説明

遠心ポンプを備える嗜好性飲料生成装置

嗜好性飲料生成装置は、貯蔵タンクと、供給導管によって貯蔵タンクに連結される吸込口を有する遠心ポンプを備える。遠心ポンプは、貯蔵タンクの満杯レベルより下に位置付けられ、液体がポンプに呼び水として供給される際に排気できるようにするためのプライミングベントを備えていてもよい。計量タンクは、ポンプ導管によって遠心ポンプに連結される注入口と、計量タンクから受け取った液体を使って嗜好性飲料を生成する抽出チャンバに連結される排出口を有していてもよい。1つの実施形態において、逆止弁等の流量調整弁をポンプ導管に設置し、それによってポンプから計量タンクへの流れは可能とされるが、逆流は防止されるようにしてもよい。別の実施形態においては、ポンプ導管の排気弁は、ポンプ導管の少なくとも一部を排気して、たとえば周辺空気圧とするように配置してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は嗜好性飲料生成機、たとえばカートリッジを使って嗜好性飲料を生成する嗜好性飲料抽出機等に関する。
【背景技術】
【0002】
嗜好性飲料生成機は一般に、貯蔵タンクや、公営水道施設との配管接続等の給水手段を備える。特に貯蔵タンクを備える機械の場合、水を貯蔵タンクから、水と飲料素材(beverage medium)が混合されて嗜好性飲料が生成される抽出チャンバ等、機械のさまざまな部分に供給するために、ポンプその他のデバイスが必要となることが多い。
【0003】
マサチューセッツ州リーディングのキューリグ社製のコーヒー抽出機はソレノイド式ポンプを備え、これが水を貯蔵タンクから計量チャンバに供給し、貯蔵タンクで水が加熱される。ソレノイド式ポンプは、1つまたは複数の逆止弁またはその他の逆流防止手段を備え、水が計量タンクから貯蔵タンクへと逆方向に流れるのを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第3131637号明細書
【特許文献2】米国特許第5314302号明細書
【特許文献3】米国特許第6098525号明細書
【特許文献4】米国特許第6786134号明細書
【特許文献5】米国特許第7043149号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2005/236431号明細書
【特許文献7】国際公開第05/060800号パンフレット
【特許文献8】国際公開第07/033016号パンフレット
【特許文献9】欧州特許出願公開第0850586号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の発明者らは、ソレノイド式ポンプが、状況によっては許容程度を超えた騒音をたてることがある点を認識している。しかしながら、この種のポンプには自吸式(self-priming)であるという利点があり、これに対し、他の多くのポンプは自吸式でない。ポンプの自吸機能は、たとえば抽出機またはその他の嗜好性飲料生成装置に水を初めて導入するとき、または嗜好性飲料生成装置が脱着可能な水貯蔵タンクを備える場合に有利となりうる。すなわち、抽出機を初めて使用するとき、または水貯蔵タンクを抽出機から取り外したときに、空気が給水装置の中に引き込まれるかもしれない。このような空気により、自吸機能のないポンプはエアロック状態となり、貯蔵タンクを抽出機に再び取り付けたときに、貯蔵タンクから抽出機の他の部分に水を送出できなくなることがある。これは、特に一般家庭の使用者がポンプへの呼び水操作を行えない場合、大きな問題となる。コーヒー抽出機等の家庭用の嗜好性飲料生成機の製造者が、自吸式でないポンプを用いないのはこのためだと考えられている。たとえば、抽出機の製造者が、何らかの理由でエアロック状態となり、抽出水を送出できないような非自吸式ポンプを使用すれば、その抽出機は無用となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様によれば、遠心ポンプ等の非自吸式ポンプを、脱着自在の水貯蔵タンクを備える抽出機その他の嗜好性飲料生成装置にも用いることが可能となる。たとえば、本発明の1つの態様において、遠心ポンプはプライミングベント(priming vent)を備え、これによって、ポンプがそれ自体に呼び水を吸引するのに十分なレベルまで水がポンプの中に流れる。プライミングベントは、常に開いたままで、しかもポンプの動作を妨害せず、たとえば、ポンプが抽出に適した水を供給するための十分な圧力を発生させるようになっていてもよい。プライミングベントを貯蔵タンクに連結し、たとえば、ポンプ作動中のプライミングベントからの流れがすべて、水貯蔵タンクに導かれ、ポンプに再供給されるようにしてもよい。プライミングベントは、貯蔵タンクが満杯になった時のタンク内の最高水位にあたる貯蔵タンクの満杯水位より下に配置される。こうすることにより、自重供給された水が呼び水としてポンプ内に流れやすくなるかもしれない。
【0007】
本発明の他の態様において、貯蔵タンクから計量タンクに液体を供給する液体供給回路は、遠心ポンプと、ポンプの下流にあり、デバイス内に適当な圧力差があると開いて一方向の流れを可能にする逆止弁またはその他の逆流防止装置を備えていてもよい。逆流防止装置は、ポンプが液体を計量タンクに送出するのを可能にし、同時に、たとえばサイフォンにより発生する計量タンクからポンプへの流れは防止してもよい。たとえば重力により生じた圧力が不十分で逆止弁その他のデバイスが開かない等の理由により、逆流防止装置が重力による液体の貯蔵タンクから遠心ポンプへの流れを阻止し、ポンプへの呼び水ができなかったとしても、遠心ポンプ内のプライミングベントによって、十分な液体が流れて空気が排出され、ポンプへの呼び水が可能となるかもしれない。1つの実施形態では、プライミングベントをポンプの動作中であっても常に開いたままとすれば、弁の開閉の制御を必要としない、比較的安価なプライミング装置となる。
【0008】
本発明の他の態様では、抽出機のポンプと計量タンクの間の導管にベントを設けて、たとえば、計量タンクからポンプへの逆流防止を助け、および/または導管内の逆止弁等の逆流防止装置の漏れの抑制を助ける。本願の発明者らは、供給ポンプと計量タンクの間の導管内に計量タンクからポンプへの逆流を防止するために設けられた逆止弁が、特に逆止弁の下流の導管内の圧力が比較的高い場合に、漏れることがあることに気付いた。本発明の態様によれば、ベントを設けて、導管内の逆流防止装置の下流の圧力を逃がすことにより、液体の不要な逆流の抑制を助ける。本発明の他の態様においては、ベントにより、ポンプと計量タンクの間の導管内のサイフォンが破壊されるかもしれない。これもまた、逆止弁やその他の逆流防止装置がなくても、不要な逆流を防止するのに役立つかもしれない。1つの実施形態において、ポンプと計量タンクの間の導管を、計量タンクの最上部より上の地点に回し、重力によるサイフォンの形成を防止することができる。
【0009】
本発明の他の態様において、嗜好性飲料生成装置は供給用の液体を保持する貯蔵タンクを備え、貯蔵タンクが液体で満杯になったときが液体の満杯レベルであり、またプライミングベントと、供給導管によって貯蔵タンクに連結される吸込口を有する遠心ポンプも備える。プライミングベントは、貯蔵タンクの満杯レベルより下に配置され、たとえば重力によって貯蔵タンクからの液体がポンプに注入される際に遠心ポンプ内の空気が排出されるようになっていてもよい。計量タンクはポンプ導管によって遠心ポンプの吐出口に連結された注入口と、排出口とを有し、計量タンクの排出口には計量タンク導管によって抽出チャンバが連結されて、抽出チャンバは計量タンクから受け取った液体を使って嗜好性飲料を生成する。
【0010】
1つの実施形態において、逆止弁等の流量調整弁を任意でポンプ導管内に設置し、ポンプから計量タンクへの流れは可能であるが、計量タンクからポンプへのポンプ導管内の流れは抑制されるようにしてもよい。別の実施形態では、ポンプ導管内の排気弁を、ポンプ導管の少なくとも一部を排気して、ポンプ導管内の圧力とは異なる圧力、たとえば周辺空気圧とするように構成してもよい。以上のように、流量調整弁と排気弁は、両方を装置内に設けても、一方のみを使用してもよい。
【0011】
1つの実施形態において、排気弁とプライミングベントは共通の導管で貯蔵タンクに連結してもよい。排気弁は、流量調整弁(設けられている場合)の下流のポンプ導管の、計量タンクの最上部より上の位置に連結してもよい。このような構成は、その構成がなければ計量タンクと遠心ポンプの間に形成される可能性のあるサイフォンを破壊するのに役立つかもしれない。
【0012】
他の実施形態において、プライミングベントを常に開いたままとし、周辺空気圧に接続されるようにしてもよい。たとえば、プライミングベントは適当なサイズのオリフィスを有し、遠心ポンプへの呼び水を行うのに十分な空気が流れるようにするが、液体の流れは制限して、ポンプ作動中の実質的な漏れを防止してもよい。
【0013】
1つの実施形態において、エアポンプが圧縮空気を計量タンクに供給して、液体を計量タンクから抽出チャンバに押し出してもよい。たとえば、遠心ポンプは、所望の量の液体を計量タンクに供給してもよく(たとえば、計量タンク内の導電性探針またはその他の水位センサで測定)、この液体はその後、タンクを加圧し、液体を計量タンク導管から抽出チャンバへと押し出すエアポンプによって、計量タンクから送出される。ヒータを設けて、計量タンク内の液体を加熱し、あるいは抽出チャンバに供給される液体をその他の方法で加熱してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】嗜好性飲料生成装置の斜視図である。
【図2】嗜好性飲料カートリッジを受けようとしている嗜好性飲料生成装置の側面図である。
【図3】ある実施例における嗜好性飲料生成装置の中の選択された構成要素の概略ブロック図である。
【図4】ある実施例における遠心ポンプの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の上記およびその他の態様は、以下の説明と特許請求の範囲から明らかとなる。
【0016】
以下に、本発明の態様を、添付の図面を参照しながら説明し、図中、同様の参照番号は同様の要素を指す。
【0017】
理解すべき点として、本明細書において、本発明の態様は図面を参照しながら説明され、図面は本発明の態様による実施例を示している。本明細書で説明する実施例は、必ずしも本発明のすべての態様を示そうとしているのではなく、2、3の実施例を紹介するためのものである。したがって、本発明の態様は実施例を見て狭く解釈されないものとする。さらに、理解すべき点として、本発明の態様は、単独でも、本発明の他の態様との適切な組み合わせにおいても実施できる。
【0018】
図1,2は、本発明の1つまたは複数の態様を取り入れた嗜好性飲料生成装置100の、それぞれ斜視図と側面図である。嗜好性飲料生成装置100は、紅茶、コーヒー、その他の滲出型嗜好性飲料、液状または粉末濃縮物から生成される嗜好性飲料またはその他、適当などのような嗜好性飲料の生成にも使用できるが、本実施例では、装置100はコーヒーまたは紅茶飲料を生成するように構成される。本実施形態において、装置100は、外枠またはハウジング6を有し、そこには使用者が装置100の各種の機能を制御するために操作できるユーザインタフェース8がある。当業界で周知のように、飲料カートリッジ1(図2参照)を装置100にセットして嗜好性飲料の生成に使用してもよく、生成された飲料は、ドリップトレイ9またはその他の支持手段があればその上に設置された適当な容器またはカップ2の中に注がれる。カートリッジ1は、手で、または自動的に、嗜好性飲料生成装置100の第一と第二の部分3,4によって画定されるカートリッジ受容部にセットしてもよい。使用者は、たとえばハンドル5を持ち上げることによって第一と第二の部分3,4を開位置まで移動させ、カートリッジ1をセットできるカップ型またはその他の適当な形状の領域を露出させる。カートリッジ1をセットした後に、ハンドル5またはその他のアクチュエータを手で、または自動的に動かして第一と第二の部分3,4を閉位置(図1に示される)まで移動させ、それによってカートリッジ1が少なくとも部分的に抽出チャンバ内に入るようにする。しかしながら、理解すべき点として、カートリッジ1が装置100によって受けられる方法は、適当であればどのようなものでもよく、装置100がカートリッジ1を受ける、またはその他使用する方法は本発明の態様にとって重要でないからである。
【0019】
カートリッジ1を受けると、嗜好性飲料生成素装置100はカートリッジ1を使って嗜好性飲料を生成するかもしれない。たとえば、第一の部分3に関連付けられた1つまたは複数の入口側針(inlet needle)7がカートリッジ1を穿刺し、加熱された水またはその他の液体をカートリッジの中に注入する。注入された液体は、所望の嗜好性飲料または嗜好性飲料前駆物質(すなわち、ミルク、香料等の添加等、嗜好性飲料生成のためのその他の作業に使用される物質)となるかもしれない。当業界で周知のように、カートリッジ1は、袋、ポッド、カプセル、容器その他の一般に知られているもの等、適当であればどのような形態でもよい。たとえば、カートリッジ1は不浸透性の外側カバーを有していてもよく、その中に、焙煎され、挽かれたコーヒーその他、飲料素材が格納される。カートリッジ1はまた、フィルタを備え、液体と飲料素材との相互作用によって生成された嗜好性飲料がフィルタを通過してから容器2に入るようになっていてもよい。当業者であれば理解できるように、ポッドの形態のカートリッジ(たとえば、飲料素材を封じ込めた対向する層状の浸透性濾紙を有する)は、カートリッジ1の外側部分を使って、生成された飲料を濾過してもよい。第二の部分4にも1つまたは複数の出口側針(outlet needle)またはその他の要素が設けられ、カートリッジ1を(必要に応じて)出口側で穿刺または穿孔し、生成された飲料がカートリッジ1から出るようになっていてもよい。しかしながら、上記以外の構成も可能であり、たとえばカートリッジの下側部分が浸透性で、カートリッジ内に加圧された液体が導入されると開いてもよい。
【0020】
図3は、本発明の態様による嗜好性飲料生成システム装置100に含まれる各種の構成要素の概略ブロック図である。貯蔵タンク10からの水またはその他の液体は、供給導管11を通じて遠心ポンプ12に供給され、遠心ポンプ12はポンプ導管15を通じて液体を計量タンクまたはチャンバ18へと送出する。水ポンプ12と装置100のその他の構成要素の動作はコントローラ30によって制御されてもよく、コントローラ30はたとえば、プログラムされたプロセッサおよび/またはその他のデータ処理デバイスと適当なソフトウェアまたはその他の動作命令、1つまたは複数のメモリ、温度および液面センサ、圧力センサ、入力/出力インタフェース、通信バスまたはその他のリンク、ディスプレイ、スイッチ、リレー、トライアックおよび、所望の入力/出力またはその他の機能を実行するのに必要な構成要素である。計量タンク18は、適当であればどのような方法によっても、所望の量の液体を充満させることができ、たとえば、ポンプ12を所定の時間だけ作動させる方法、計量タンク18の水位を導電性探針または静電容量センサで感知する方法、液体がタンクに注入される際に計量タンク18の圧力上昇を検出する方法、またはその他各種の技術を使用する方法がある。たとえば、水が計量タンク18の最上部に到達したことを意味する圧力上昇を圧力センサが検出したところで、コントローラ30は計量タンク18が満杯になったことを検出してもよい。タンク内の水は、希望に応じて、加熱要素23によって加熱してもよく、加熱要素23の動作は、コントローラ30により、温度センサからの入力またはその他の適切な入力を使って制御される。計量タンク18の水は、計量タンク導管19を通じて抽出チャンバ20またはその他の嗜好性飲料生成ステーションに注入されてもよい。抽出チャンバ20には、たとえばカートリッジ1に収容された、挽いた状態のコーヒー、紅茶、香料入りドリンクミックスまたはその他の物質等の嗜好性飲料調合成分が入っていてもよい。液体は、エアポンプ21から供給される空気で計量タンクを加圧することによって計量タンク18から放出されてもよく、この空気により液体は管17から計量タンク導管19の中に放出される。計量タンク18からの注入の完了は、適当であればどのような方法で検出してもよく、たとえば計量タンク18の圧力低下を検出する方法、計量タンク18の水位変化を検出する方法、あるいはその他の各種の技術を使う方法がある。あるいは、液体はポンプ12によって計量タンク18から注入してもよく、ポンプ12はさらに液体をタンク18の中に押し込み、これによって水をタンク18から排出させて抽出チャンバに入るよう動作する。流量センサまたはその他適当なデバイスを使って、タンク18に供給される液体の量、したがって抽出チャンバに供給される液体の量を判断してもよい。
【0021】
本発明の1つの態様において、嗜好性飲料生成装置は、液体を貯蔵タンクから計量タンクおよび/または抽出チャンバに供給する遠心ポンプを備えていてもよい。1つの実施形態において、貯蔵タンク10は、たとえば供給導管11の接続部等で、装置100から取り外すことができてもよい。前述のように、貯蔵タンク10を供給導管11から取り外したとき、貯蔵タンク10が完全に空になった(または「使い切った」)とき、または装置100を初めて運転させるときに、空気が供給導管11の中に入り込むことがある。多くの遠心ポンプは、空気がポンプ本体またはポンプへの供給導管の中にある状況では、適切に自吸ができない。本発明のある態様によれば、遠心ポンプ12はプライミングベント13を備えていてもよく、これによって空気が供給導管11および/またはポンプ12のチャンバから逃がされるため、液体が貯蔵タンク10から出て、導管11および/またはポンプ12の中に流れることができる。プライミングベント13は、貯蔵タンク10の満杯水位101、すなわちタンク10が満杯のときの貯蔵タンク10の中の液体の最高液面より下に配置されてもよい。したがって、空気がプライミングベント13によって排出される際に、重力により液体は供給導管11とポンプ12の中に流れる。プライミングベント13は、供給導管11とポンプ12を液体で完全に満たす必要はない。その代わりに、初期動作中にポンプ12に十分な呼び水が行われる程度に充満されれば十分である。
【0022】
1つの実施例において、プライミングベント13は常に開いたまま、すなわち閉じるようになっていない通路を有していてもよい。たとえば、プライミングベント13には適当なサイズのオリフィスがあってもよく(たとえば、直径約1−3mmであるが、それ以外の、より大きい、または小さいサイズでもよい)、これによって空気は比較的自由に通過することができるが、液体の流れに関する適当な流量制限手段として機能し、プライミングベント13からの漏れが、液体を計量タンク18に供給する遠心ポンプ12の能力にそれほど影響を与えないかもしれない。プライミングベント13は周辺空気圧まで排気してもよく、貯蔵タンク10に、満杯レベル101より上、またはその位置、またはそれより下で連結してもよい。プライミングベント13を貯蔵タンク10に連結することによって、ポンプ12の動作中にプライミングベント13から漏出した液体が回収され、ポンプ12に戻されることが可能となる。
【0023】
本発明の別の態様によれば、装置は、遠心ポンプから計量タンクへの流れは可能にするが、計量タンクから遠心ポンプへの流れを抑制する流量調整弁をポンプ導管内に備えていてもよい。1つの実施形態において、流量調整弁14は逆止弁であってもよい。しかしながら、流量調整弁14は他の適当な形態であってもよく、たとえば、その他の受動的一方向弁、コントローラ30の制御によって動作する電気式または空気圧式調整弁等がある(図3は、流量調整弁14とコントローラ30の間の制御ラインを示しているが、理解すべき点として、このような制御ラインは、流量調整弁14が逆止弁またはその他の受動デバイスであれば不要である)。このように、流量調整弁14により、ポンプ12の動作中はポンプ12から計量タンク18への流れが可能であり、ポンプ12の停止中は、計量タンク18からポンプ12への流れが抑制される。この構成は、たとえばサイフォンによって重力を受けたとき、またはエアポンプ21が計量タンク18を加圧して、水を計量タンク18ら抽出チャンバ20に押し出すときに、計量タンク18からポンプ12への逆流を防止するのに役立つ。流量調整弁14を設けた場合、プライミングベント13を設けることは重要となり、これは、流量調整弁14が阻止するポンプ導管15内の流れは、阻止されなければポンプのプライミングに役立つからである。たとえば、流量調整弁14が逆止弁である場合、弁を開くのに必要なクラッキング圧、すなわち開放圧は、ポンプが停止中のポンプ導管15内の圧力より大きいかもしれない。(このような状況のポンプ導管15の圧力は、貯蔵タンク10の中の液体の高さにより変化することがある。)その結果、重力によるポンプ12から計量タンク18への流れが発生しないかもしれない。しかしながら、プライミングベント13の存在によって、前述のように、遠心ポンプ12への呼び水となるのに十分な流れが発生する。(プライミングベントが設けられない別の実施形態では、逆止弁のクラッキング圧力が適正に低くてもよく、あるいは流量調整弁が、貯蔵タンク10とポンプ12の間にポンプへの呼び水に適した流れが発生するように構成されてもよい。)
【0024】
本発明の別の態様において、装置はポンプ導管の中に排気弁を設けて、たとえばポンプ導管内の圧力を逃がし、および/または、排気弁がなければポンプ導管内に形成されるかもしれないサイフォンを破壊してもよい。排気弁は、計量タンクの最上部より上の地点に設置して、たとえば、排気時に、計量タンクから遠心ポンプへの流れが発生する原因となるサイフォンが確実に破壊されるようにしてもよい。この実施例では、排気弁16は、コントローラ30の制御によって開閉する電気制御式ソレノイドバルブである。遠心ポンプ12が動作していると、排気弁16は閉じて、ポンプ導管15から計量タンク18へと流れが発生する。しかしながら、ポンプ12が停止されると、排気弁16は、おそらく短時間のみ開いて、計量タンクの最上部より高い地点でポンプ導管15を周辺空気圧まで排気してもよい。この排気によって、遠心ポンプ12の動作により構築されたポンプ導管15内の圧力および/または計量タンク18を加圧するエアポンプ21により構築された圧力が逃がされるかもしれない。本願の発明者らは、ある場合には、ポンプ導管15内の圧力によって、流量調整弁14(たとえば、逆止弁)の計量タンク18からポンプ12への方向の望ましくない漏出が発生しうることに気付いた。過剰な圧力を逃がすことにより、流量調整弁14からの漏出が防止される。また、計量タンク18の最上部より高い地点でポンプ導管15の排気を行うことで、計量タンク18からポンプ12への流れを起こすサイフォンを破壊できる。このサイフォン破壊は、流量調整弁14が設けられていない場合、または低圧時の性能が悪い場合に有利となりうる。
【0025】
図3からわかるように、排気弁16は、貯蔵タンク10へのポンプ導管15またはその他の適当な場所を排気してもよい。図のように、1つの実施形態では、計量タンク排気弁22(これは、計量タンク18に遠心ポンプ12によって液体が注入されているときには開いて空気を排出させ、エアポンプ21がタンク18を加圧して水を抽出チャンバに送出するときには閉じる)を貯蔵タンク10に連結してもよい。このようにして、ポンプ導管15および/または計量タンク18から排出された液体を、貯蔵タンク10またはその他の場所に回すことができる。
【0026】
前述のように、本発明の各種の態様は、単独で、および/または適当な組み合わせで利用できる。たとえば、図3は、プライミングベント13、流量調整弁14および排気弁16を備える装置100を示しているが、その他の実施形態では、プライミングベント13のみ、流量調整弁14のみ、排気弁16のみ、あるいはプライミングベント13と流量調整弁14、プライミングベント13と排気弁16、または流量調整弁14と排気弁16の組み合わせとしてもよい。プライミングベント13だけを使用した場合、装置100がアイドル状態の時に空気が計量タンク18に入らないようにされ、これによって液体が計量タンク18からポンプ12に吸い上げられるのを防止する。排気弁16だけを使用した場合、排気弁16が開くと遠心ポンプ21への呼び水ができるほか、計量タンク18が満杯になると開き、形成されているかもしれないサイフォンが破壊される。流量調整弁14だけを使用した場合、流量調整弁14は、遠心ポンプ12への呼び水に適した、低いクラッキング圧力で流れが発生するように構成されてもよい。もちろん、理解すべき点として、流量調整弁14と排気弁16は、希望に応じて、1つの3方向弁として組み合わせてもよい。
【0027】
図4は、本発明の態様で使用可能な例としての遠心ポンプ12を示しているが、適当であればどのような構成の遠心ポンプでも本発明の態様に使用できる。この実施例において、ポンプ12はモータ121と、モータ121に固定された羽根車基底部122を含む。磁石取付板123と磁石124がモータ12のシャフトに固定され、ポンプ羽根車の駆動に使用される。シール板125が磁石124の上に嵌め込まれ、羽根車基底部122と係合して、ポンプチャンバ内の液体が漏出するのを防止する。したがって、磁石124はシール板125の「乾燥」側の、羽根車127が配置されるポンプチャンバの外側に設置される。シャフト126はポンプチャンバ内のシール板125の上に配置され、羽根車127がシャフト126に取り付けられる。羽根車127は、相互に連結されて一体のユニットを形成するいくつかの構成要素からなり、これにはたとえば(図4の左から右に)ブラケット、金属板、磁石、磁石カバー、羽根車のブレード等が含まれる。羽根車127の磁石は磁力によって磁石124と結合して、磁石124がモータ121によって回転されると、羽根車127が回転し、液体をポンプチャンバの入口から排出口へと送出する。シールリング128が基底部122とカバー129の間に配置され、基底部122とカバー129が相互に固定される。カバー129には、ポンプ吸込口および吐出口のほか、2つのプライミングベント13がある。2つのプライミグベント13は異なる角度で設置され、重力に関するポンプ12の異なる位置に対応し、適切な排気が行われる。もちろん、プライミングベント13は1つだけでもよく、このベント13は適当であればどこに設置してもよい。
【0028】
以上、本発明の少なくとも1つの実施形態のいくつかの態様を紹介したが、当業者であれば種々の改変、改造、改良を考案できると予想される。このような改変、改造、改良は本願の開示の一部とされ、本発明の精神と範囲の中に含まれるものとする。したがって、以上の説明と図面は例にすぎない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
嗜好性飲料生成装置であって、
供給用液体を保持する貯蔵タンクであって、前記貯蔵タンクが満杯になったときが前記液体の満杯レベルである貯蔵タンクと、
プライミングベントと、吐出口と、前記貯蔵タンクに供給導管によって連結された吸込口とを有する遠心ポンプであって、前記プライミングベントは前記貯蔵タンクの前記満杯レベルより下に位置付けられて、前記貯蔵タンクからの液体が前記遠心ポンプに注入される際に前記遠心ポンプの中の空気が排出されるようにする遠心ポンプと、
前記遠心ポンプの前記吐出口にポンプ導管によって連結された注入口と、排出口とを有する計量タンクと、
前記計量タンクの前記排出口に計量タンク導管によって連結され、前記計量タンクから受け取った液体を使って嗜好性飲料を生成する抽出チャンバと、
を備えることを特徴とする嗜好性飲料生成装置。
【請求項2】
前記遠心ポンプ導管の中に設置され、前記遠心ポンプから前記計量タンクへの流れを可能にし、前記計量タンクから前記遠心ポンプへの流れは抑制する流量調整弁と、
前記ポンプ導管の中に設置され、前記ポンプ導管の少なくとも一部を排気して、前記ポンプ導管内の圧力とは異なる圧力にするように構成された排気弁と、
をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記流量調整弁は逆止弁であることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記排気弁は、前記ポンプ導管を周辺空気圧になるように選択的に排気するように構成されていることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記排気弁と前記プライミングベントは、共通の導管によって前記貯蔵タンクに連結されることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記排気弁は前記ポンプ導管に、前記計量タンクの最上部より上の地点で連結されることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記排気弁は、前記貯蔵タンクと前記計量タンクの間の前記ポンプ導管内にサイフォンが形成されるのを防止するように構成されていることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項8】
前記プライミングベントは常に開いたままで、周辺空気圧に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記計量タンクに圧縮空気を供給して、前記計量タンクから前記抽出チャンバに液体を送出するエアポンプをさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記計量タンク内の前記液体を加熱するヒータをさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
嗜好性飲料生成装置であって、
供給用液体を保持する貯蔵タンクであって、前記貯蔵タンクが満杯になったときが前記液体の満杯レベルである貯蔵タンクと、
プライミングベントと、吐出口と、前記貯蔵タンクに供給導管によって連結された吸込口とを有する遠心ポンプであって、前記プライミングベントは前記貯蔵タンクの前記満杯レベルより下に位置付けられて、前記貯蔵タンクからの液体が前記遠心ポンプに注入される際に前記遠心ポンプの中の空気が排出されるようにする遠心ポンプと、
前記遠心ポンプの前記吐出口にポンプ導管によって連結された注入口と、排出口とを有する計量タンクと、
前記ポンプ導管の中に設置され、前記遠心ポンプから前記計量タンクへの流れを可能にし、前記計量タンクから前記遠心ポンプへの流れは抑制する流量調整弁と、
前記計量タンクに計量タンク導管によって連結され、前記計量タンクから受け取った液体を使って嗜好性飲料を生成する抽出チャンバと、
を備えることを特徴とする嗜好性飲料生成装置。
【請求項12】
前記流量調整弁は逆止弁であることを特徴とする、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記排気弁はソレノイド式弁であることを特徴とする、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記プライミングベントは常に周辺空気圧に開放したままであることを特徴とする、請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記ポンプ導管内に設置され、前記ポンプ導管のうち前記流量調整弁の下流の少なくとも一部を排気して、前記ポンプ導管内の圧力とは異なる圧力にする排気弁と、
をさらに備えることを特徴とする、請求項11に記載の装置。
【請求項16】
嗜好性飲料生成装置であって、
供給用液体を保持する貯蔵タンクであって、前記貯蔵タンクが満杯になったときが前記液体の満杯レベルである貯蔵タンクと、
プライミングベントと、吐出口と、前記貯蔵タンクに供給導管によって連結された吸込口とを有する遠心ポンプであって、前記プライミングベントは前記貯蔵タンクの前記満杯レベルより下に位置付けられて、前記貯蔵タンクからの液体が前記遠心ポンプに注入される際に前記遠心ポンプの中の空気が排出されるようにする遠心ポンプと、
前記遠心ポンプの前記吐出口にポンプ導管によって連結された注入口と、排出口とを有する計量タンクと、
前記ポンプ導管の中に設置され、前記ポンプ導管のうち前記流量調整弁の下流の少なくとも一部を排気して、前記ポンプ導管内の圧力とは異なる圧力にする排気弁と、
前記計量タンクに計量タンク導管によって連結され、前記計量タンクから受け取った液体を使って嗜好性飲料を生成する抽出チャンバと、
を備えることを特徴とする嗜好性飲料生成装置。
【請求項17】
前記ポンプ導管の中に設置され、前記遠心ポンプから前記計量タンクへの流れを可能にし、前記計量タンクから前記遠心ポンプへの流れは抑制する流量調整弁と、
をさらに備えることを特徴とする、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記排気弁は前記ポンプ導管に、前記流量調整弁と前記計量タンクの間で、前記計量タンクの最上部より上の地点で連結されていることを特徴とする、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記遠心ポンプと前記排気弁の動作を制御するコントローラ
をさらに備えることを特徴とする、請求項16に記載の装置。
【請求項20】
前記プライミングベントは常に周辺空気圧に開放されていることを特徴とする、請求項16に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−529717(P2011−529717A)
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521117(P2011−521117)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/004350
【国際公開番号】WO2010/014201
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(500430109)コリグ インク (15)
【Fターム(参考)】