説明

遠心分離機

【課題】底壁部に突設された環状突出部の内側に固形物排出孔を有するバスケットと、バスケットを支持する固定フレームに取り付けられてバスケットの環状突出部を同心的に取り囲む固形物案内用ダクトとを備えた遠心分離機において、固形物案内用ダクトを取り外すことなく、バスケットの環状突出部付近の点検や清掃を行い得るようにする。
【解決手段】固形物案内用ダクト30をバスケット10の環状突出部10dの周方向に並ぶ複数のダクト構成部材30A〜30Dに分割し、各ダクト構成部材を支持装置31A〜31Dにより固定フレーム1に支持する。各ダクト構成部材を持ち上げて手前に引いた際に、各ダクト構成部材がバスケットの環状突出部10dから離れる方向に斜めに倒れて、バスケットの環状突出部とその下方のスペースとを開放するように、支持装置31A〜31Dが構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固液分離処理によりバスケット内に生成された固形物を、バスケットの底壁部に設けられた固形物排出孔から下方に排出するように構成された遠心分離機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1ないし特許文献3に示されているように、固液分離処理によりバスケット内に生成された固形物を、バスケットの底壁部に設けられた固形物排出孔から下方に排出するようにした遠心分離機が用いられている。
【0003】
この種の遠心分離機は、軸線を上下方向に向けて配置される周壁部と該周壁部の下端を閉じる底壁部と該底壁部の中央部に固定されたボス部とボス部を同心的に取り囲むように形成されて底壁部から下方に突出した環状突出部とを有して環状突出部とボス部との間に固形物排出孔が形成されたバスケットと、固定フレームに設けられた軸受け装置により回転自在に支持されて上端がバスケットのボス部に結合された回転軸と、固定フレームに取り付けられて、固定フレームとバスケットの環状突出部との間に形成された隙間とバスケットの環状突出部の一部とを外側から同心的に取り囲む円筒状の固形物案内用ダクトと、回転軸を駆動する回転駆動装置とを備えている。
【0004】
この種の遠心分離機においては、回転しているバスケット内に原液を供給して固液分離処理を行い、生成された固形物を洗浄液により洗浄する洗浄処理を行った後、バスケット内に生成された固形物を?取装置により掻き取って、バスケットの底壁部に突設された環状突出部の内側の固形物排出孔から落下させ、落下させた固形物を遠心分離機の下部に配置された固形物回収槽内に回収する。
【0005】
医薬品の製造などに用いる遠心分離機においては、生成された固形物が汚染されるのを防ぐため、1ロットの固液分離処理が終了する毎にバスケットの内面及び外面や、固形物案内用ダクトの内面などを念入りに洗浄する必要がある。バスケットの底壁部の下面や固形物案内用ダクトの洗浄を行いやすくし、その洗浄結果の確認を行いやすくするため、特許文献1、特許文献2或いは特許文献3に示されているように、バスケットの下面を、バスケットの回転軸を支持する軸受け装置の上端面よりも上方に位置させて、バスケットの下面と軸受け装置との間に隙間を形成しておくようにした遠心分離機が古くから知られている。また特許文献3にも見られるように、固形物案内用ダクトを、遠心分離機のフレームにボルト止めされる複数のダクト構成部材に分割することにより着脱可能な構造として、洗浄を行う際に固形物案内用ダクトを遠心分離機のフレームから取り外すようにしたものも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭59−189951号公報
【特許文献2】特開平1−151959号公報
【特許文献3】特開2009−119334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、バスケットの洗浄や、固形物案内用ダクトの洗浄を容易にするために、バスケットの底壁部の下面に突設された環状突出部の一部とその下方のスペースとを取り囲む固形物案内用ダクトを複数のダクト構成部材に分割して、各ダクト構成部材を遠心分離機のフレームにボルトを用いて取り付ける構造を採用した場合には、ダクト構成部材の着脱を行う際にボルトが固形物回収槽内に落下することがあり、ボルトの落下に気付かずに次のロットの固液分離処理を行うと、生成された固形物にボルトが混入して、重大な製品事故が生じるおそれがあった。
【0008】
また、ダクト構成部材を遠心分離機の固定フレームにボルト止めするようにした場合には、各ダクト構成部材の着脱を行う際に多数のボルトを着脱する作業を行う必要があるため、ダクト構成部材の着脱に長い時間がかかり、作業能率が低下するという問題があった。
【0009】
更に、ダクト構成部材を遠心分離機の固定フレームにボルト止めするようにした場合には、バスケット及び固形物案内用ダクトの洗浄を行うのに先立って、ダクト構成部材を取り外す作業に長い時間がかかるため、固液分離処理により生成される固形物が有毒物質である場合に、作業員がその有害物質から生じる有毒ガスに曝される時間が長くなって、重大な人身事故を招くおそれがあった。
【0010】
また、バスケットを洗浄する際にダクト構成部材を遠心分離機のフレームから取り外すようにした場合には、取り外した複数のダクト構成部材の洗浄を、遠心分離機本体の洗浄とは別に行う必要があるため面倒であった。
【0011】
本発明の目的は、底壁部の下面に、固形物排出孔を形成するための環状突出部が突設されたバスケットと、該環状突出部の一部と該環状突出部の下方のスペースとを囲む固形物案内用ダクトとを備えた遠心分離機において、固形物案内用ダクトを固定フレームから取り外すことなく、バスケットの洗浄と固形物案内用ダクトの洗浄とを容易に行うことができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、軸線を上下方向に向けて配置される周壁部と該周壁部の下端を閉じる底壁部と該底壁部の中央部に固定されたボス部と前記底壁部の下面に突設されてボス部を同心的に取り囲む環状突出部とを有して環状突出部とボス部との間に固形物排出孔が形成されたバスケットと、固定フレームに設けられた軸受け装置により回転自在に支持されて上端がバスケットのボス部に結合された回転軸と、固定フレームに取り付けられてバスケットの環状突出部の一部を外側から同心的に取り囲む円筒状の固形物案内用ダクトと、前記回転軸を駆動する回転駆動装置とを備えた遠心分離機を対象とする。
【0013】
本発明においては、前記固形物案内用ダクトが、バスケットの底壁部の下面に突設された環状突出部の周方向に沿って並ぶ複数のダクト構成部材に分割されている。各ダクト構成部材は、支持装置により、バスケットの環状突出部の周囲に並んだ状態で配置されて他のダクト構成部材とともに固形物案内用ダクトを構成した状態になる閉位置と、バスケットの環状突出部から離れる方向に斜めに倒れた状態で配置されてバスケットの環状突出部を固形物案内用ダクトにより囲まれた状態から開放した状態になる開位置との間を変位し得るようにして固定フレームに支持される。
【0014】
各ダクト構成部材を支持する支持装置は、固形物案内用ダクトの横断面の輪郭線を構成する円の接線方向に伸びるように設けられて各ダクト構成部材の外周部に固定された支持軸と、この支持軸が嵌合されたスロットを有して固定フレームに固定された支持金具とを備えている。
【0015】
上記支持金具に設けられたスロットは、上下方向に伸びるガイド部と、該ガイド部の上端よりも固形物案内用ダクトの径方向の外側に偏った位置に設けられた軸嵌合保持部と、ガイド部の上端と軸嵌合保持部との間を連絡する連絡通路とを有する形状に形成されている。
【0016】
本発明に係わる遠心分離機は、上記の構成を備えることにより、閉位置に配置された各ダクト構成部材を持ち上げて各ダクト構成部材に固定された支持軸を対応する支持金具のスロットのガイド部に沿って該ガイド部の上端まで変位させた後、各ダクト構成部材をバスケットの環状突出部から離れる方向に変位させた際に該支持軸が対応する支持金具のスロットの軸嵌合保持部に嵌合して、各ダクト構成部材が開位置に向けて回動し得る状態になるように構成されている。即ち、本発明においては、固形物案内用ダクトを構成するダクト構成部材が、固定フレームに対して着脱自在に設けられるのではなく、開閉可能な状態で固定フレームに支持される。
【0017】
上記のように構成すると、各ダクト構成部材を閉位置から開位置に変位させることにより、固形物案内用ダクトを構成していた複数のダクト構成部材を分離して(ダクト構成部材を開いて)、バスケットの環状突出部とその下方のスペースとを固形物案内用ダクトにより囲まれた状態から開放することができ、これにより、バスケット及び固形物案内用ダクトの洗浄と、それぞれの洗浄結果の確認とを容易に行わせることができる。
【0018】
また各ダクト構成部材を閉位置から開位置に変位させる動作は、各ダクト構成部材を持ち上げて手前に引くだけの簡単な操作により行わせることができ、開位置にある各ダクト構成部材を閉位置に戻す動作は、開位置に倒れた状態で配置されている各ダクト構成部材を起立させて各ダクト構成部材に固定された支持軸を対応する支持金具のスロットのガイド部に落とし込むだけの簡単な操作により行うことができるため、バスケットの環状突出部及びその下方のスペースを固形物案内用ダクトにより囲まれている状態から開放する作業と、バスケットの環状突出部及びその下方のスペースを固形物案内用ダクトにより囲まれた状態に戻す作業とを短時間で行うことができる。
【0019】
本発明の好ましい態様では、各ダクト構成部材に固定された支持軸が対応する支持金具のスロットのガイド部に嵌合しているときに、各ダクト構成部材の外周面に接して各ダクト構成部材を径方向に位置決めする位置決め部が、各ダクト構成部材に対応する支持金具に設けられている。
【0020】
このように構成しておくと、各ダクト構成部材を、固液分離処理を行う際及びバスケットから固形物を回収する際の正規位置である閉位置に確実に保持することができる。
【0021】
本発明の他の好ましい態様では、複数のダクト構成部材が閉位置に配置されているときに隣り合うダクト構成部材の隣り合う周方向端部の上部に跨って配置されて、該隣り合うダクト構成部材の隣り合う周方向端部間を連結する連結具が、隣り合うダクト構成部材の隣り合う周方向端部の一方の上部に固定される。各連結具は、各連結具が固定されたダクト構成部材が開位置から閉位置に戻される際に、各連結具が固定されたダクト構成部材に隣接する他のダクト構成部材の周方向端部の上部に上方から嵌合して、各連結具が固定されたダクト構成部材の周方向端部と隣接する他のダクト構成部材の周方向端部とを連結するように構成されている。
【0022】
上記のように構成すると、各ダクト構成部材を閉位置に戻して固形物案内用ダクトを構成した状態で、一連のダクト構成部材の隣り合う周方向端部どうしが連結具により相互に連結されるので、固形物案内用ダクトの機械的強度を高めることができる。
【0023】
本発明の好ましい態様では、各ダクト構成部材を持ち上げる際に用いる取っ手が各ダクト構成部材の外周部に取り付けられ、各ダクト構成部材を開位置に回動させた際に前記取っ手が固定フレームに接して各ダクト構成部材を開位置に位置決めするように構成されている。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、バスケットの底壁部の下面に突設されている環状突出部を取り囲む固形物案内用ダクトを構成している複数のダクト構成部材を開位置に変位させて、バスケットの環状突出部とその下方のスペースとを開放することができるようにしたため、バスケットの洗浄とその洗浄結果の確認とを容易に行うことができる。また各ダクト構成部材を開位置に変位させた状態では、各ダクト構成部材の内面を外部に露呈させることができるため、各ダクト構成部材を遠心分離機の固定フレームに支持したままの状態で各ダクト構成部材の内面の洗浄を行うことができ、バスケット及び固形物案内用ダクトの洗浄を能率よく行うことができる。
【0025】
また各ダクト構成部材を開位置に変位させる動作は、各ダクト構成部材を上方に持ち上げた後手前に引くだけの簡単な操作で行うことができるので、バスケットの環状突出部とその下方のスペースとを開放する操作を短時間で行わせることができ、固液分離処理により生成される固形物が有毒である場合に、作業員が固形物から発生する有毒ガスに曝される時間を短くすることができ、バスケット及び固形物案内用ダクトの洗浄作業が、重大な人身事故を招く結果になるのを防ぐことができる。
【0026】
また本発明によれば、固形物案内用ダクトを構成する複数のダクト構成部材を開閉する操作を、ボルトの着脱作業を一切伴うことなく行うことができるため、ボルトが固形物回収槽内に落下して、固形物にボルトが混入する事故が生じるおそれをなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係わる遠心分離機の一実施形態の要部を示す縦断面図である。
【図2】本発明に係わる遠心分離機を図1のII−II線に沿って断面して示した横断面図である。
【図3】(A),(B)及び(C)はそれぞれ本実施形態で用いる支持金具の上面図、正面図及び左側面図である。
【図4】(A)は本実施形態で用いるダクト構成部材の要部の正面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図5】本実施形態で用いる支持装置の上面図である。
【図6】(A)ないし(C)は本実施形態で用いる支持装置の動作を示す側面図である。
【図7】本実施形態において、各ダクト構成部材の周方向端部を隣接する他のダクト構成部材の周方向端部に連結するために用いる連結具の一例を示した側面図である。
【図8】(A)及び(B)はそれぞれ隣り合うダクト構成部材の周方向端部の連結具の構成を示した要部の上面図及び正面図、(C)は隣り合う周方向端部同士が連結されている2つのダクト構成部材の一方を上方に変位させた状態を示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下図面を参照して本発明の一実施形態の構成を詳細に説明する。
図1及び図2において、1は中心軸線を上下方向(鉛直方向)に向けて配置された円筒状の周壁部1aと、周壁部1aの下部を支える基部(図示せず。)とを有する遠心分離機の固定フレームで、周壁部1aの上端寄りの部分の外周には、環状の底板部1b1と底板部1b1の外周部から上方に起立した円筒状の起立壁部1b2とからなる張出し部1bが一体に形成されている。周壁部1aの上端寄りの部分と、張出し部1bとの間に、固液分離処理を行う際に生じた液分を回収する液分回収用溝部1cが形成されている。
【0029】
固定フレーム1はまた、周壁部1aの内側に該周壁部と軸線を共有した状態で配置された筒状の回転軸保持部1dを有している。図示の回転軸保持部1dは、その外径が下方から上方に向って徐々に小さくなっていくようにテーパが付けられた外周面を有する形状に形成されている。回転軸保持部1dは、その下端が固定フレーム1の図示しない基部に一体化された状態で設けられ、回転軸保持部1dの上端面は、周壁部1aの上端面と同じ高さの位置で終端されている。
【0030】
回転軸保持部1dの内側には、上下に延びる回転軸2が、該回転軸保持部1dと軸線を共有した状態で配置されている。回転軸2は、その上端寄りの一定長さの部分を回転軸保持部1dの上端よりも上方に突出させた状態で設けられていて、回転軸保持部1dの上端寄りの部分及び下端寄りの部分の内周にそれぞれ外輪が保持された軸受け3により、固定フレーム1に対して回転自在に支持されている。図1には、回転軸2を支持する軸受けのうち、回転軸保持部1dの上端寄りの部分に保持された軸受け3のみが図示されている。
【0031】
回転軸保持部1dの上端には、該回転軸保持部の周壁部と回転軸2との間に形成された隙間の上端開口部を塞ぐと共に、回転軸保持部1dの上端寄りの部分に保持された軸受け3の外輪を押える蓋板4がネジ5により取り付けられている。蓋板4は、その内周寄りの部分から上方に起立した周壁部4aを有し、この周壁部4aと回転軸2の外周との間にオイルシール6が配置されている。本実施形態においては、固定フレーム1に設けられた回転軸保持部1dと、軸受け3と、蓋板4と、オイルシール6とにより、回転軸2を固定フレーム1に対して回転自在に支持する軸受け装置7が構成されている。
【0032】
軸受け装置7から上方に突出した回転軸2の上端には雄ネジ部2aが形成され、この雄ネジ2aよりも下方に位置する部分にテーパ部2bが形成されている。回転軸2のテーパ部2bに、後述するバスケット10が取り付けられる。回転軸2の下端は、固定フレーム1に支持された電動機などの回転駆動装置(図示せず。)の出力軸に適宜の動力伝達機構を介して機械的に結合されている。回転軸2を回転駆動装置の出力軸に結合する動力伝達機構は、例えば、回転軸2の下端に取り付けられたプーリと、回転駆動装置の出力軸に取り付けられたプーリと、両プーリに巻き掛けされたベルトとにより構成される。
【0033】
バスケット10は、軸線を上下方向に向けて配置される周壁部10aと、周壁部10aの下端を閉じる底壁部10bと、底壁部10bの中央部に固定されたボス部10cと、底壁部10bの下面に突設されてボス部10cを同心的に取り囲む環状突出部10dとを有して、環状突出部10dとボス部10cとの間に複数の固形物排出孔10eが形成された周知のものである。環状突出部10dとボス部10cとの間は放射状に設けられた複数のリブ10fにより機械的に連結され、複数のリブ10f相互間に固形物排出孔10eが形成されている。図示してないが、バスケット10の周壁部10aの上端の内周部には内鍔部が形成されていて、該内鍔部の内側にバスケットの開口部が形成されている。バスケット10の周壁部10aには多数の透過孔が形成され、該周壁部10aの内周にはフィルタが配置される。
【0034】
ボス部10cの軸心部にテーパ孔10gが形成され、このテーパ孔10gに回転軸2のテーパ部2bが嵌合されている。そして、ボス部10cの上端から上方に突出した回転軸2の雄ネジ部2aに袋ナット11が螺合されて、該ナット11が締め付けられることにより、バスケット10が回転軸2に取り付けられている。
【0035】
固定フレーム1の張出し部1bの起立壁部1b2の上端に、周壁部20aと該周壁部20aの上端を閉鎖する天井部(図示せず。)とを有する円筒状のバスケットカバー20が配置されている。バスケットカバー20は、図示しないヒンジを介して固定フレーム1の張出し部1bに回動自在に支持されている。バスケットカバー20は、油圧シリンダなどの駆動源により操作されて、図1に示すようにバスケット10を内側に収容した状態になる閉位置と、バスケット10を露出させた状態になる開位置との間を回動変位させられる。バスケットカバー20の天井壁には、バスケット10内に原液を供給する給液パイプや、バスケット10内に生成された固形物を掻き取る固形物?取装置が取り付けられていて、バスケットカバー20を図1に示した閉位置に位置させた際に、給液パイプや固形物?取装置(いずれも図示せず。)がバスケット10の上端開口部からバスケット10内に挿入されるようになっている。
【0036】
図示のバスケット10は、その底壁部10bの下面に突設された環状突出部10dの下端10d1とボス部10cの下端10c1とが同一平面上に配置されるように構成されていて、環状突出部10dの下端10d1とボス部10cの下端10c1とを固定フレーム1の周壁部1aの上端よりも上方に位置させた状態で回転軸2に取り付けられている。従って、バスケット10の環状突出部10dの下端と、固定フレーム1の上端との間に隙間Gが形成されている。バスケット10のボス部10cの下面の回転軸2寄りの部分に、回転軸支持部1cの上端開口部を閉じる蓋板4に設けられた周壁部4aを同心的に取り囲む周壁部21aを備えたカップ状のオイルシール保持部材21が取り付けられ、このオイルシール保持部材21の周壁部21aと蓋板4の周壁部4aとの間にオイルシール22が設けられている。バスケットのボス部10cと軸受け装置7の上端との間の洗浄を可能にするため、オイルシール保持部材21の周壁部21aは、ボス部10cと軸受け装置7の上端との間に形成される隙間を塞がないように(蓋板4の周壁部4aに近接した位置に)設けられている。
【0037】
固定フレーム1の周壁部1aの上端には、バスケット10の環状突出部10dの下端と、固定フレーム1の周壁部1aの上端との間に形成された隙間Gと、バスケット10の環状突出部10dの一部(下端寄り部分)とを外側から同心的に取り囲む円筒状の固形物案内用ダクト30が取り付けられている。固形物案内用ダクト30は、バスケット10の環状突出部10dの周方向に沿って並ぶ複数のダクト構成部材に分割されている。本実施形態では、固形物案内用ダクト30が、等しい周方向長さを有する4つのダクト構成部材30Aないし30Dに分割されていて、これらのダクト構成部材がバスケットの環状突出部10dの周囲に整列して配置されることにより、バスケットの環状突出部10dの一部(下端寄り部分)と、環状突出部10dの下方の隙間Gとを外側から同心的に取り囲む円筒状の固形物案内用ダクト30が構成されるようになっている。
【0038】
ダクト構成部材30A〜30Dは、それぞれに対して設けられた支持装置31Aないし31Dにより、固定フレーム1の周壁部1aの上部に取り付けられている。ダクト構成部材30A〜30Dをそれぞれ支持する支持装置31Aないし31Dは、ダクト構成部材30A〜30Dのそれぞれの周方向の中央部の下部に配置されていて、ダクト構成部材30A〜30Dを、図1に実線で示した閉位置と、図1に鎖線で示した開位置とに変位させるように構成されている。
【0039】
ここで、各ダクト構成部材の閉位置とは、各ダクト構成部材が他のダクト構成部材とともにバスケット10の環状突出部の周囲に整列した状態で配置されて、各ダクト構成部材が他のダクト構成部材とともにバスケットの環状突出部10dを同心的に取り囲む円筒状の固形物案内用ダクト30を構成した状態にあるときの各ダクト構成部材の位置である。
【0040】
また各ダクト構成部材の開位置とは、各ダクト構成部材が、バスケット10の環状突出部10dから離れる方向に斜めに倒れた状態で配置されて、バスケット10の環状突出部10dと該環状突出部の下方の空間とを固形物案内用ダクト30により囲まれた状態から開放した状態にあるときの各ダクト構成部材の位置である。
【0041】
以下ダクト構成部材30Aを支持する支持装置31Aについて、その構成を詳細に説明する。ダクト構成部材30Aを支持する支持装置31Aは、図4に示されているように、ダクト構成部材30Aの周方向の中央部の下部の外周部に第1の取付け板32と第2の取付け板33とを介して取り付けられた支持軸34と、図3に示すように、固定フレーム1の周壁部1aの上部の外周部に取り付けられた支持金具36とからなっている。
【0042】
ダクト構成部材30Aに取り付けられた支持軸34は、円筒状の固形物案内用ダクト30の横断面の輪郭線を構成する円の接線方向に伸びるように設けられていて、ダクト構成部材30Aの周方向の中央部の下部の外周部に、第1及び第2の取付け板32及び33を介して固定されている。
【0043】
第1の取付け板32は、ダクト構成部材30Aの外周面に沿う円筒面状の内周面32aと、ダクト構成部材30Aの外周面の接線方向に延びる平坦な外面32bとを有する金属板からなっていて、その内周面32aをダクト構成部材30Aの外周面に添わせ、かつその下端の位置をダクト構成部材30Aの下端の位置に一致させた状態で配置されて、ダクト構成部材30Aの外周面に溶接やネジ止め等により固定されている。
【0044】
第2の取付け板33は、金属からなる矩形状の平板からなっている。この第2の取付け板33は、その下端をダクト構成部材30Aの下端よりも下方に一定の張出し寸法dだけ張り出した状態で第1の取付け板32の外面32bに添わせて配置されて、溶接等により第1の取付け板32に固定されている。支持軸34は、第2の取付け板33の幅寸法(ダクト構成部材30Aの周方向に測った長さ)よりも十分に長い長さを有していて、その長手方向を固形物案内用ダクト30の横断面の輪郭を構成する円の接線方向に向け、かつその長手方向の両端を第2の取付け板33の幅方向の両端から突出させた状態で配置されて、第2の取付け板33の下端に溶接されている。支持軸34の両端の第2の取付け板33の幅方向端部からの突出寸法Lは等しく設定されている。
【0045】
支持軸34と共に支持装置31Aを構成する支持金具36は、固定フレーム1の周壁部1aに取付け板35を介して取付けられている。取付け板35は、固定フレームの周壁部1aの外周面に沿う円筒面状の内周面35aと、固形物案内用ダクト30の横断面の輪郭を構成する円の接線方向に延びる平坦な外面35bとを有する金属板からなっていて、その内周面35aを固定フレームの周壁部1aの外周面に添わせた状態で、周壁部1aの上部の外周面に溶接やネジ止め等により固定されている。
【0046】
図3に示されているように、支持金具36は、取付け板35の外面35aに添わせた状態で配置されて取付け板35に溶接等により固定された矩形板状の基板部36aと、固定フレームの周壁部1aの周方向に沿う基板部36aの長手方向の両端からそれぞれ上方に起立した一対の起立部36b,36bとを備えている。図示の各起立部36bは、基板部36aに一体に設けられた帯板状の部分を折曲げることにより形成されていて、各起立部36bの内側に、支持軸34をスライド自在に嵌合させることができる寸法を有するスロットSが形成されている。
【0047】
支持金具36に設けられたスロットSは、上下方向に伸びるガイド部S1と、ガイド部S1の上端に隣接する位置で、かつガイド部S1の上端よりも固形物案内用ダクト30の径方向(固定フレームの周壁部1aの径方向)の外側に偏った位置に設けられた軸嵌合保持部(凹部)S2と、ガイド部S1の上端と軸嵌合保持部S2との間を連絡する短い連絡通路S3とを有するほぼ逆L字形の形状に形成されている。
【0048】
支持金具36の一対の起立部36b,36b相互間の間隔W′は、支持軸34をダクト構成部材30Aに取り付けている第2の取付け板33の幅寸法Wよりも僅かに大きく設定されていて、図5に示したように、支持軸34の両端が一対の起立部36b,36bの内側のスロットS,Sに嵌合されるとともに、支持軸34を支持している第2の取付け板33が、上下にスライド自在な状態で支持金具36の一対の起立部36b,36bの間に配置されている。
【0049】
本実施形態では、支持金具36の一対の起立部36b,36bにより、ダクト構成部材30Aを閉位置に位置決め保持する位置決め部が構成されている。図示の起立部36b,36bは、固定フレーム1の周壁部1aの径方向の内側に向いた垂直面36b1,36b1を有していて、ダクト構成部材30Aに固定された支持軸34が支持金具31AのスロットSのガイド部S1に嵌合しているときに、垂直面36b1,36b1がダクト構成部材30Aの外周面に接してダクト構成部材30Aを径方向に位置決めするようになっている。
【0050】
本実施形態においては、ダクト構成部材30Aが閉位置にあって、その下端が固定フレーム1の周壁部1aの上端に接しているときに、支持軸34が、図6(A)に示したように、支持金具31AのスロットSのガイド部S1の下端に接すると共に、第1の取付け板32の下端が、支持金具31Aを固定フレームの周壁部1aに取り付けている取付け板35の上端に接した状態になるように、第2の取付け板33のダクト構成部材30Aからの張出し寸法dが設定されている。
【0051】
また支持金具36に設けられたスロットSのガイド部S1の長さは、ダクト構成部材30Aが閉位置にあって、他のダクト構成部材とともに固形物案内用ダクト30を構成しているときに、ダクト構成部材30Aの上端とバスケット10の底壁部10bとの間に形成される隙間の寸法よりも短く設定されていて、閉位置にあるダクト構成部材30Aを上方に変位させた際に、ダクト構成部材30Aの上端がバスケット10の底壁部10bに突き当たる前に、支持軸34がスロットSのガイド部S1の上端に達して、ダクト構成部材30Aの上方への変位を規制するようになっている。
【0052】
以上、ダクト構成部材30Aを固定フレーム1の周壁部1aに支持している支持装置31Aの構成について説明したが、他のダクト構成部材30Bないし30Dをそれぞれ固定フレーム1の周壁部1aに支持している支持装置31Bないし31Dも、支持装置31Aと全く同様に構成されている。
【0053】
ダクト構成部材30Aないし30Dを上方に変位させる(持ち上げる)操作を行いやすくするため、ダクト構成部材30Aないし30Dをそれぞれ支持する支持装置31Aないし31Dがそれぞれ設けられた位置に位置させて、ダクト構成部材30Aないし30Dの外周部の上部にコの字型の取っ手38Aないし38Dが取り付けられている。取っ手38Aないし38Dは、ダクト構成部材30Aないし30Dが開位置にあるときに固定フレーム1の周壁部1aの外周に接して、ダクト構成部材30Aないし30Dを開位置に位置決めする位置決め部材としても機能する。
【0054】
本実施形態においては、バスケット10の底壁部の下面に突設された環状突出部10dと整合する固定フレーム1の周壁部1aが固形物排出用ダクトを構成していて、バスケット10の環状突出部10dの内側の固形物排出孔から排出された固形物が、周壁部1aの内側を通して、固定フレーム1の下部に配置された固形物回収槽内に落下するようになっている。
【0055】
本実施形態においては、バスケット10内に原液を供給して固液分離処理を行う際、及びバスケット10内に生成された固形物を回収する際に、ダクト構成部材30Aないし30Dを図1及び図2に実線で示された閉位置に位置させて、ダクト構成部材30Aないし30Dにより、固形物案内用ダクト30を構成する。またバスケット10及び固形物排出ダクト30の洗浄を行う際に、ダクト構成部材30Aないし30Dを閉位置から開位置に変位させることによりダクト構成部材30Aないし30Dを開いた状態にし、各部の洗浄が終了した後に、ダクト構成部材30Aないし30Dを開位置から閉位置に戻す。
【0056】
ここで、閉位置にあるダクト構成部材30Aないし30Dを開位置に変位させる際の操作、及び開位置にあるダクト構成部材を閉位置に戻す際の操作を、ダクト構成部材30Aを例にとって説明する。図6(A)は、ダクト構成部材30Aが閉位置にあるときの支持装置31Aの状態を示している。ダクト構成部材30Aが閉位置にあるときには、ダクト構成部材30Aに固定された支持軸34がスロットSのガイド部S1の下端に接した状態にあり、ダクト構成部材30Aは、固定フレーム1の周壁部1aの上端に起立した状態で配置される。支持軸34がスロットSのガイド部S1に嵌合している状態では、支持金具36の起立部36b,36bの垂直面36b1,36b1がダクト構成部材30Aの外周面に接して、ダクト構成部材30Aを径方向に位置決めする。
【0057】
この状態からダクト構成部材30Aを開位置に変位させる際には、取っ手38Aを持ってダクト構成部材30Aを持ち上げて、ダクト構成部材30Aに固定された支持軸34を支持金具31AのスロットSのガイド部S1に沿って上方に変位させる。図6(B)に示されているように、支持軸34がスロットSのガイド部S1の上端まで変位したところで、ダクト構成部材30Aを手前に引いて、図6(C)に示すように支持軸34を軸嵌合保持部S2を構成する凹部内に嵌合させ、この状態でダクト構成部材30Aを手前に倒して開位置まで回動させる。
【0058】
ダクト構成部材30Aを開位置に位置させた状態(ダクト構成部材30Aを開いた状態)では、該ダクト構成部材30Aの内面が外部に露呈された状態になるため、ダクト構成部材30Aの内面の洗浄とその洗浄結果の確認とを容易に行うことができる。またバスケット10の環状突出部10dの下部及び環状突出部10dの下方のスペースが開放された状態になるため、バスケットの洗浄(特にバスケットの底壁部付近の外側の洗浄)とその洗浄結果の確認とを容易に行うことができる。ダクト構成部材30Aを開位置に変位させる動作は、ダクト構成部材30Aを持ち上げて手前に引くだけの簡単な操作により行うことができるため、バスケットの環状突出部10dとその下方のスペースとを開放するための作業を極めて短時間で行わせることができ、作業者がバスケットや固形物案内用ダクトに付着している固形物から発生するガスに曝される時間を短くすることができる。
【0059】
洗浄作業を終了した後、ダクト構成部材30Aを閉位置に戻す際には、図6(C)に示したように開位置に倒れた状態にあるダクト構成部材30Aを上方に回動させて起立させた後、ダクト構成部材30Aの下部をバスケットの環状突出部10d側に押すことにより支持軸34をスロットSの連絡通路S3を通してガイド部S1に移行させ、ダクト構成部材30Aを支持軸34とともに下方に変位させる。ダクト構成部材30Aを閉位置に戻す動作も、短時間で行わせることができる。
【0060】
他のダクト構成部材30Bないし30Dを開位置及び閉位置に変位させる操作も上記と同様にして行わせることができる。
【0061】
本実施形態では、ダクト構成部材30Aないし30Dが閉位置にあって固形物案内用ダクト30を構成しているときに、該固形物案内用ダクトの機械的強度を高めるために、図2に示されているように、隣り合うダクト構成部材の隣り合う周方向端部同士を連結する連結具40が設けられている。本実施形態で用いる連結具40の構成を図7に示し、連結具40が設けられた図2のA部の構成を図8(A)ないし(C)に示した。
【0062】
各連結金具40は、ダクト構成部材30Aないし30Dが閉位置に配置されているときに、隣り合う2つのダクト構成部材の隣り合う周方向端部の上部に跨って配置されて、隣り合う2つのダクト構成部材の隣り合う周方向端部間を連結する。
【0063】
本実施形態で用いる連結具40は、図7に示されているように、断面が逆U字形の形状を呈するとともに、ダクト構成部材の周方向に沿うように湾曲された金具からなっていて、ダクト構成部材30Aないし30Dの隣り合う周方向端部の上部に上方から嵌合し得るように構成されている。連結具40は、連結すべき2つのダクト構成部材の隣り合う周方向端部の一方に溶接等により固定された状態で設けられる。連結具40の開口部には、ダクト構成部材を嵌合させやすくするためのテーパ面40a,40aが形成されている。
【0064】
ダクト構成部材30Aないし30Dの閉位置から開位置への変位及び開位置から閉位置への変位を妨げないようにするため、各連結具40は、固形物案内用ダクト30を構成する一連のダクト構成部材30Aないし30Dの中から選定された特定のダクト構成部材の周方向端部の上部に溶接等により固定されていて、各連結金具40が固定されたダクト構成部材が開位置から閉位置に戻される際に、各連結金具40が連結すべき2つのダクト構成部材のうち、既に閉位置に配置されているダクト構成部材の周方向端部の上部に上方から嵌合されるようになっている。
【0065】
連結金具40を固定するダクト構成部材は、各ダクト構成部材の閉位置及び開位置への変位を妨げることがないように選定される。例えば、本実施形態のように、固形物案内用ダクト30が4つのダクト構成部材30Aないし30Dに分割されている場合には、一つおきに(相対する位置に)配置された一対のダクト構成部材30B及び30Dのそれぞれの周方向の両端の上部に連結具40を固定しておき、他のダクト構成部材30A及び30Cのそれぞれの両端には連結部40を固定しないようにしておく。この場合は、一連のダクト構成部材を閉位置に戻して固形物案内用ダクト30を構成する際に、連結具40が固定されていないダクト構成部材30Aと30Cとを先に閉位置に変位させておく。連結具40が固定されていないダクト構成部材30Aと30Cとを閉位置に変位させた後、両端に連結具40が固定されたダクト構成部材30Bを閉位置に変位させる操作を行い、このダクト構成部材30Bを閉位置に向けて下方に変位させる過程で、図8(C)に示したように、ダクト構成部材30Bの両端に固定された連結具40を、既に閉位置に配置されているダクト構成部材30A及び30Cの一方の周方向端部の上部に嵌合させる。同様にして、両端に連結具40が固定された他のダクト構成部材30Dを閉位置に変位させる操作を行い、このダクト構成部材30Dを閉位置に向けて下方に変位させる過程で、該ダクト構成部材30Dの両端に固定された連結具40を既に閉位置に配置されているダクト構成部材30A及び30Cの他方の周方向端部の上部に嵌合させる。
【0066】
固形物案内用ダクト30の周方向に測った各連結具40の寸法a(図8A参照)は、ダクト構成部材30Aないし30Dが開位置にあるときに、特定のダクト構成部材30B及び30Dに固定された各連結具40が他のダクト構成部材30A及び30Cの周方向端部と干渉することがない範囲で、隣り合うダクト構成部材相互間を連結するために必要な大きさに設定される。また特定のダクト構成部材30B及び30Dを持ち上げて、これらのダクト構成部材に固定された支持軸34を支持装置31B及び31Dの支持金具のスロットSのガイド部S1の上端まで変位させるまでの間に、ダクト構成部材30B及び30Dに固定された各連結具40が他のダクト構成部材30A及び30Cの周方向端部から外れるように、固形物案内用ダクト30の軸線方向に測った各連結金具40の寸法が設定される。
【0067】
上記のように、固形物排出ダクト30を構成するダクト構成部材30Aないし30Dが閉位置にあるときに隣り合うダクト構成部材の隣り合う周方向端部の上部に跨がって配置されて隣り合うダクト構成部材の隣り合う周方向端部間を連結する連結具40を設けておくと、固形物案内用ダクト30の機械的強度を高めることができる。連結具40は、何れかのダクト構成部材に固定されているので、連結具40が固定フレーム1の周壁部1aの内側を通して固形物回収槽内に落下するおそれはない。
【0068】
本実施形態の遠心分離機を用いて固液分離処理を行う際には、ダクト構成部材30Aないし30Dを閉位置に位置させてバスケット10の環状突出部10dを取り囲む固形物案内用ダクト30を構成した状態で、高速回転しているバスケット10内に原液を供給し、バスケット10の回転により生じる遠心力により原液を固形部とを液分との分離する。液分はバスケット10の周壁部10aの内周に配置されたフィルタと、周壁部10aに設けられた多数の透過孔とを通して、バスケット10とバスケットカバー20との間の空間に排出された後、固定フレーム1の周壁部1aの上部と張出し部1bとの間に形成された液分回収用溝部1c内に落下する。液分回収用溝部1c内に落下した液分は図示しない排液口を通して外部に排出される。固形物は、バスケット10の内周に配置されたフィルタの内周に堆積していく。バスケット内に所定量の固形物が生成されたところでバスケット10内への原液の供給を停止し、一定時間の間バスケットを高速回転させて、固形物からの脱液を行わせる。
【0069】
固形物からの脱液が終了した後、バスケット10内に洗浄液を供給して固形物の洗浄する洗浄工程を行う。固形物の洗浄が終了し、バスケットの回転により固形物に含まれる洗浄液を離脱させた後、バスケット10を減速してバスケット10の内周に生成された固形物を固形物?取装置により掻き取り、掻き取った固形物をバスケット10の底壁部に設けられた環状突出部10dの内側の固形物排出孔から下方に落下させて、固定フレーム1の下部に配置された固形物回収槽内に回収する。
【0070】
1ロットの固液分離処理が終了し、バスケット10内に生成された固形物を回収した後、バスケット10を回転させながらバスケット10内に洗浄液を供給してバスケット10の洗浄を行う。このようにしてバスケットの洗浄を行った後、バスケット10を停止させ、バスケットカバー20を開いて、バスケット10の外面、バスケットカバー20の内面、固定フレーム1の上部に設けられている液分回収用溝部1c内等の洗浄を行う。またダクト構成部材30Aないし30Dを開位置に変位させることにより、バスケット10の環状突出部10dとその下方のスペースとを開放するとともに、ダクト構成部材30Aないし30Dの内面を外部から目視し得る状態にする。この状態でバスケット10の下面、ダクト構成部材30Aないし30dの内面、固定フレーム1の周壁部1aの内面などの各部に洗浄液を吹き付けて、これらの各部を洗浄する。各部の洗浄が終了し、洗浄結果の確認を行った後、ダクト構成部材30Aないし30Dを閉位置に戻して固形物案内用ダクト30を構成し、バスケットカバー20を閉位置に戻して次の固液分離処理に備える。
【0071】
上記の実施形態では、固形物案内用ダクト30を4分割したが、固形物案内用ダクト30の分割数は4に限定されない。例えば、固形物案内用ダクト30を3つのダクト構成部材に分割することも可能である。固形物案内用ダクト30を3つのダクト構成部材に分割する場合には、3つのダクト構成部材のうちの1つのダクト構成部材の周方向の両端にそれぞれ連結具40を固定し、他の2つのダクト構成部材の隣り合う周方向端部間を連結する連結具40を、該他の2つのダクト構成部材の内の何れか一方に固定しておく。
【0072】
上記の実施形態では、各ダクト構成部材に対して支持軸及び支持金具を1つずつ設けているが、各ダクト構成部材に対して支持軸及び支持金具を複数個設けることもできる。
【0073】
上記の実施形態では、ダクト構成部材30A〜30Dのそれぞれの周方向の中央部に取っ手38A〜38Dを設けているが、取っ手38A〜38Dは、ダクト構成部材30A〜30Dを取り扱い易い位置に設ければよく、取っ手の取付け位置は上記実施形態で示した位置に限定されない。
【符号の説明】
【0074】
1 固定フレーム
1a 周壁部
1c 液分回収用溝部
1d 回転軸保持部
2 回転軸
3 軸受け
4 蓋板
7 軸受け装置
10 バスケット
10a 周壁部
10b 底壁部
10c ボス部
10d 環状突出部
10e 固形物排出孔
20 バスケットカバー
30 固形物案内用ダクト
30A〜30D ダクト構成部材
31A〜31D 支持装置
32 第1の取付け板
33 第2の取付け板
34 支持軸
35 取付け板
36 支持金具
36a 基板部
36b 起立部(位置決め保持部)
38A〜38D 取っ手
40 連結具
S スロット
S1 ガイド部
S2 軸嵌合保持部
S3 連絡通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線を上下方向に向けて配置される周壁部と該周壁部の下端を閉じる底壁部と該底壁部の中央部に固定されたボス部と前記底壁部の下面に突設されて前記ボス部を同心的に取り囲む環状突出部とを有して前記環状突出部とボス部との間に固形物排出孔が形成されたバスケットと、固定フレームに設けられた軸受け装置により回転自在に支持されて上端が前記バスケットのボス部に結合された回転軸と、前記固定フレームに取り付けられて前記バスケットの環状突出部の一部を外側から同心的に取り囲む円筒状の固形物案内用ダクトと、前記回転軸を駆動する回転駆動装置とを備えた遠心分離機において、
前記固形物案内用ダクトは、前記バスケットの環状突出部の周方向に沿って並ぶ複数のダクト構成部材に分割され、
各ダクト構成部材は、支持装置により、前記バスケットの環状突出部の周囲に並んだ状態で配置されて他のダクト構成部材とともに前記固形物案内用ダクトを構成した状態になる閉位置と、前記環状突出部から離れる方向に斜めに倒れた状態で配置されて前記環状突出部を固形物案内用ダクトにより囲まれた状態から開放した状態になる開位置との間を変位し得るようにして前記固定フレームに支持され、
各ダクト構成部材を支持する支持装置は、前記固形物案内用ダクトの横断面の輪郭線を構成する円の接線方向に伸びるように設けられて各ダクト構成部材の外周部に固定された支持軸と、該支持軸が嵌合されたスロットを有して前記固定フレームに固定された支持金具とを備え、
前記支持金具に設けられたスロットは、上下方向に伸びるガイド部と、該ガイド部の上端よりも前記ダクトの径方向の外側に偏った位置に設けられた軸嵌合保持部と、前記ガイド部の上端と軸嵌合保持部との間を連絡する連絡通路とを有する形状に形成され、
前記閉位置に配置された各ダクト構成部材を持ち上げて各ダクト構成部材に固定された支持軸を対応する支持金具のスロットのガイド部に沿って該ガイド部の上端まで変位させた後、各ダクト構成部材を前記バスケットの環状突出部から離れる方向に変位させた際に該支持軸が対応する支持金具のスロットの軸嵌合保持部に嵌合して、各ダクト構成部材が前記開位置に向けて回動し得る状態になるように構成されていることを特徴とする遠心分離機。
【請求項2】
各ダクト構成部材に固定された支持軸が対応する支持金具のスロットのガイド部に嵌合しているときに、各ダクト構成部材の外周面に接して各ダクト構成部材を径方向に位置決めする位置決め部が、各支持金具に設けられていること、
を特徴とする請求項1に記載の遠心分離機。
【請求項3】
前記複数のダクト構成部材が閉位置に配置されているときに隣り合うダクト構成部材の隣り合う周方向端部の上部に跨って配置されて、該隣り合うダクト構成部材の隣り合う周方向端部間を連結する連結具が、隣り合うダクト構成部材の隣り合う周方向端部の一方の上部に固定され、
各連結具は、各連結具が固定されたダクト構成部材が開位置から閉位置に戻される際に、各連結具が固定されたダクト構成部材に隣接する他のダクト構成部材の周方向端部の上部に上方から嵌合して、各連結具が固定されたダクト構成部材の周方向端部と隣接する他のダクト構成部材の周方向端部とを連結するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の遠心分離機。
【請求項4】
各ダクト構成部材を持ち上げる際に用いる取っ手が、各ダクト構成部材の外周部に取り付けられ、各ダクト構成部材を開位置に回動させた際に前記取っ手が前記固定フレームに接して各ダクト構成部材を開位置に位置決めするように構成されていることを特徴とする請求項1,2又は3に記載の遠心分離機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate