遠心型ターボ機械
【課題】
遠心ファン、遠心ブロア、遠心圧縮機、遠心ポンプ等の遠心型ターボ機械において、設計点性能の向上と作動範囲の拡大を両立させる。
【解決手段】
遠心型流体機械300では、同一の回転軸に少なくとも1個以上の羽根車が取り付けられている。羽根車の少なくともいずれかの下流に、羽根付きディフューザを備える。羽根付きディフューザは、同心円板309aに周方向に間隔を置いて複数個配置され羽根車のハブ側からシュラウド側に延びる翼309cを有する曲線要素3次元ディフューザである。各々の翼は、基準となる翼をハブとシュラウド間の隙間方向である翼高さ方向に積み重ねた形状で形成されている。基準となる翼の前縁と後縁とを結ぶ翼弦方向に垂直な方向であって羽根車の回転方向とは逆の方向に移動させるのを正の移動とするダイヘドラル分布が、ハブ側端部から翼高さの中間部にむけて非一様な分布となっている。
遠心ファン、遠心ブロア、遠心圧縮機、遠心ポンプ等の遠心型ターボ機械において、設計点性能の向上と作動範囲の拡大を両立させる。
【解決手段】
遠心型流体機械300では、同一の回転軸に少なくとも1個以上の羽根車が取り付けられている。羽根車の少なくともいずれかの下流に、羽根付きディフューザを備える。羽根付きディフューザは、同心円板309aに周方向に間隔を置いて複数個配置され羽根車のハブ側からシュラウド側に延びる翼309cを有する曲線要素3次元ディフューザである。各々の翼は、基準となる翼をハブとシュラウド間の隙間方向である翼高さ方向に積み重ねた形状で形成されている。基準となる翼の前縁と後縁とを結ぶ翼弦方向に垂直な方向であって羽根車の回転方向とは逆の方向に移動させるのを正の移動とするダイヘドラル分布が、ハブ側端部から翼高さの中間部にむけて非一様な分布となっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遠心圧縮機や遠心ブロア、遠心ファン、遠心ポンプなどの遠心羽根車を備えた遠心型ターボ機械に関する。
【背景技術】
【0002】
遠心型ターボ機械の一種である多段遠心圧縮機では、同一軸に多数の羽根車が取り付けられ、各羽根車の下流側には、ディフューザおよびリターンガイドベーンが併設されている。羽根車およびディフューザ、リターンガイドベーンは、段落を構成する。ここで、ディフューザとしては、ベーンレスディフューザと羽根付きディフューザ、羽根付きディフューザの一種である小弦節比ディフューザ等が、その目的および用途により用いられている。
【0003】
これらディフューザの中で小弦節比ディフューザは、幾何学的なスロートを有していないので、大流量側の作動範囲であるチョークマージンを拡大できるという特性を有する。それとともに、小流量域においては、2次流れによる翼面上の境界層掃き出し効果により翼面剥離を抑制するので、小流量側の作動範囲であるサージマージンも十分に確保することができるという利点を有している。そのため、小弦節比ディフューザが多用されている。
【0004】
小弦節比ディフューザに代表される遠心型ターボ機械向け羽根付きディフューザには、同じ翼型を翼の高さ方向に積層した2次元翼が一般的に用いられる。しかしさらなる性能改善の要求から、3次元翼化も試みられており、例えば特許文献1に記載の遠心圧縮機では、ディフューザの翼高さ方向にディフューザ翼断面の食い違い角を徐々に変えて3次元翼とし、非一様分布の流入流れに対して無衝突流入を実現して高効率化と広作動範囲の両立を図っている。
【0005】
また特許文献2に記載の遠心圧縮機では、ディフューザの前縁部において、翼高さ中央部分を下流方向に湾曲させ、ディフューザ入口径を変更している。これにより、非一様分布の流入流れに対して無衝突流入を実現して、高効率化と広作動範囲の両立を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2009−504974号公報
【特許文献2】特開2004−92482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載の遠心圧縮機用の翼型ディフューザでは、3次元のディフューザ翼を形成する際に、ディフューザ翼を仮想的に軸方向(ハブ面からシュラウド面に向かう方向)に複数に分割して積み重ねて構成することが記載されている。その際、翼の積み重ね方向がハブ面またはシュラウド面に直角な方向に対してなす角度であるリーン角を、ディフューザ翼のスパンに沿って変化させるバウディフューザ翼についての示唆もなされている。
【0008】
しかし、曲線要素羽根では選択肢が多く、筆者らの考察では必ずしも十分な改良となるわけではない。つまり、リーン分布を翼に付与する場合、その与え方によっては2次流れが増長され、かえって性能悪化を招くことがあるので、性能向上に結びつく分割した翼の積み重ねパターンの解明が求められている。
【0009】
また特許文献2に開示された遠心圧縮機では、ディフューザ前縁という局所的な部位にリーンを付与して流入角のマッチングを図っているが、曲線要素ディフューザの構成を採用しておらず、曲線要素ディフューザを採用したときに顕著になるディフューザ翼間流路の2次流れを制御することについての考慮もない。
【0010】
本発明は上記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は遠心型ターボ機械に用いられる羽根付きディフューザにおいて、曲線要素ディフューザを用いて効率向上を図ったときに翼間の2次流れを効果的に抑制して性能を向上させることにある。本発明の他の目的は、遠心圧縮機に用いられるこのような曲線要素ディフューザにおいて、性能向上に結びつく分割した翼の積み重ねパターンを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
初めに本明細書で使用するいくつかの用語を、図1、2を参照して、以下のように定義する。図1は翼型の移動を説明するためのディフューザ翼1枚の平面図であり、図2は、羽根付きディフューザの翼1枚を取り出して示した斜視図であり、基準となる翼型をZ方向に積み重ねる様子を示す図である。座標系は、羽根車の半径方向をR、羽根車の回転方向をθ、回転軸の軸方向をZとする円筒座標系(R,θ、Z)である。Zは、シュラウド102側からハブ101側に向かう方向を正とする。
【0012】
翼弦(C):ディフューザ翼103の基準となる翼型104において、前縁208と後縁209とを結ぶ線。
リーン:ディフューザ翼103のハブ101面に対する傾き度合いであり、以下に述べるスイープとダイヘドラルの複合とみなせる。
食い違い角(θSG):翼弦Cが半径方向(R方向)となす角(tanθSG=dC/dR)。
スイープ(Δσ):図1中で一点鎖線で表した場合で、ディフューザ翼103の翼型104を、翼弦C方向へ平行移動させることで、下流側へ移動させる場合を正とする。
ダイヘドラル(Δδ):図1中で破線で表した場合で、ディフューザ翼103の翼型104を、翼弦Cに垂直な方向へ移動させることである。羽根車の回転方向とは逆方向へ移動させる場合を、正とする。
【0013】
翼高さ(h):ディフューザ翼の高さで、ハブ面側から測った高さである。ハブ面とシュラウド面が軸に垂直な平行壁の場合には、−Z方向の高さになる。ハブ面とシュラウド面の少なくともいずれかが傾斜面であれば、ディフューザ翼のハブ側における前縁と後縁を結ぶ線からの高さとする。ディフューザ翼のハブ側とシュラウド側の前縁を結ぶ線と、ディフューザ翼のハブ側とシュラウド側の後縁を結ぶ線とを基準にして、前縁と後縁の流れ方向中間の点の高さを決定する。翼の全高さは、Hで表す。
【0014】
このような定義を用いて、本発明では上記課題を解決するために、同一の回転軸に、ハブとシュラウドとこれらハブとシュラウド間に周方向に間隔をおいて配置した複数の羽根とからなる少なくとも1個以上の羽根車を取り付け、この少なくとも1個の羽根車の少なくともいずれかの下流に羽根付きディフューザを備えた遠心型ターボ機械において、羽根付きディフューザは、羽根車の下流側に形成される流路に複数の翼を周方向に間隔をおいて配置されて形成されたものであり、各々の翼は、基準となる翼を回転軸の軸方向である翼高さ方向に積み重ねた形状で形成されており、基準となる翼の前縁と後縁とを結ぶ翼弦方向に垂直な方向であって羽根車の回転方向とは逆の方向に移動させるのを正の移動とするダイヘドラル分布を、ハブ壁面側でハブ側端部から翼高さの中間部に向けて非一様としたことを特徴とするものである。
【0015】
そしてこの特徴において、ディフューザ翼の各々のダイヘドラル分布が、ハブ側端部から翼高さの中間部にむけて増大させる分布とし、ディフューザ翼の各々を、その前縁部であってハブ側端部に仮想的に形成される平面とディフューザ翼の負圧面とが鈍角をなすようにするのが好ましい。
【0016】
また、ダイヘドラル分布をシュラウド側端部から翼高さの中間部に向けて増大する分布とし、ディフューザ翼の各々を、その前縁部であってシュラウド側端部に仮想的に形成される平面とディフューザ翼の負圧面とが鈍角をなすようにするのが好ましい。
【0017】
上記特徴において、ディフューザ翼の各々のダイヘドラル分布が、ハブ側端部から翼高さの中間部にむけて減少する分布とし、基準となる翼の翼弦方向に平行な方向であって下流側に移動させるのを正の移動とするスイープ分布を、ハブ側端部から翼高さの中間部にむけて減少させる分布としてもよい。
【0018】
なお、上記いずれの特徴においても、ディフューザ翼の各々は、少なくともその翼の流れ方向前半部に前記ダイヘドラル分布と前記スイープ分布の少なくともいずれかが適用されているのが望ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、遠心型ターボ機械に用いられる羽根付きディフューザにおいて、曲線要素3次元羽根をディフューザ翼に適用し、スイープ分布とダイヘドラル分布を与えるようにしてディフューザ翼への流れの衝突損失を低減し、さらに翼中間部の流れを制御可能にしたので、翼間の2次流れを効果的に抑制してディフューザ性能および圧縮機性能を向上できる。本発明ではさらに、遠心圧縮機に用いられるこのような曲線要素ディフューザにおいて、性能向上に結びつく分割した翼の積み重ねパターンを得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】羽根付きディフューザにおける傾きを説明する図である。
【図2】羽根付きディフューザが有する翼の3次元化を説明する図である。
【図3】本発明に係る遠心型ターボ機械の一実施例の縦断面図である。
【図4】羽根付きディフューザの分類を説明する図である。
【図5】図3に示した圧縮機が有するディフューザの一実施例のダイヘドラル分布を示す図である。
【図6】図5に示したダイヘドラル分布を有するディフューザの斜視図およびその部分拡大図である。
【図7】図3に示した圧縮機が有するディフューザの他の実施例のダイヘドラル分布を示す図である。
【図8】図7に示したダイヘドラル分布を有するディフューザの斜視図およびその部分拡大図ある。
【図9】図3に示した圧縮機が有するディフューザのさらに他の実施例のダイヘドラル分布とスイープ分布を示す図である。
【図10】図9に示したダイヘドラル分布とスイープ分布を有するディフューザの斜視図およびその部分拡大図である。
【図11】本発明に係るディフューザを備えた遠心圧縮機における性能線図の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明のいくつかの実施例を図面を用いて説明する。初めに、図3の縦断面図を用いて、遠心型ターボ機械の一例としての多段遠心圧縮機300について説明する。本多段遠心圧縮機300は2段の遠心圧縮機である。なお本発明の対象は単段または多段の遠心型ターボ機械であればよく、特に2段圧縮機に限定するものではない。
【0022】
図3に示した多段の遠心圧縮機300は、初段301と第2段302とからなる2段圧縮機である。初段羽根車308および第2段羽根車311は同一の回転軸303に取り付けられて、回転体を構成する。回転軸303は、回転軸303や羽根車308,311を収容する圧縮機ケーシング306に取り付けられたジャーナルベアリング304やスラストベアリング305により、回転自在に支持されている。
【0023】
初段羽根車308の下流側には、羽根車308で圧縮された作動ガスの圧力を回復し半径方向外向きの流れを形成するディフューザ309と、このディフューザ309で半径方向外向きにされた作動ガスの流れを半径方向内向きにして第2段羽根車311に導くリターンガイドベーン310とが配置されている。2段羽根車311の下流には同様にディフューザ312と、2段ディフューザ312で圧力上昇した作動ガスをまとめて機外へ送り出すためのコレクタまたはスクロールと呼ばれる回収手段313が配置されている。
【0024】
各段の羽根車308、311は、心板308a、311aと側板308b、311bと心板308a、311aと側板308b、311bとの間に周方向ほぼ等間隔に複数枚配置された羽根308c、311cとを有している。羽根車308、311の入り口側であって側板308b、311b側の外周部には吸込みラビリンスシール315が、心板308a、311aの背面側にはシャフトシール316、317が配置されている。吸込ノズル307から流入した作動ガスが、初段の羽根車308、羽根付きディフューザ309、リターンガイドベーン310、第2段の羽根車311、羽根付きディフューザ312の順に通過して、コレクタやスクロールといった回収手段313に漏れることなく導かれる。
【0025】
このように構成した遠心圧縮機300に用いるディフューザ309、312について、以下に詳述する。なお、ディフューザは309は、圧縮機ケーシング306の一部を構成するダイヤフラムに取り付けられ、流路面が羽根車308の流路面とほぼ同じ軸方向位置にあるハブ309aと、このハブ309の表面に周方向間隔を置いて立設された複数の翼309cとを有している。そして、圧縮機ケーシング306の一部を構成するインナーケーシングの壁面が、シュラウド面として流路を形成する。説明を省略するが、ディフューザ312も同様の構成である。なお、本実施例では、上記構成について説明するが、ディフューザの構成はこれに限るものではなく、ディフューザをダイヤフラムとは別体にする構成等ももちろん、本発明に含まれる。
【0026】
図4に、以下の説明に用いる羽根付きディフューザ400を、分類して示す。図4(a)は、ディフューザ400の横断面図である。ハブ板410a上に、周方向にほぼ等間隔で複数のディフューザ翼420aが立設されている。図示しない羽根車を出た流れが、図で矢印FLのように、内周側から翼420aに沿って流れるように導かれる。このとき図示しない羽根車の回転方向は矢印RNの方向となっている。
【0027】
ディフューザの形状は、従来から使用されている2次元ディフューザ(図4(b))、リーンを有する直線要素3次元ディフューザ(図4(c))、同じくリーンを有する曲線要素の集合で表される曲線要素3次元ディフューザ(図4(d))に分類される。ここで、各ディフューザ翼420b〜420dは、ハブ板側断面421b〜421dの輪郭とシュラウド側断面422b〜422dの輪郭間を、線素423b〜423dで結んだ形状として表されている。これら各ディフューザ翼420b〜420dへは、羽根車から同一の流れが吐出され、ディフューザ入り口流れ402を形成する。
【0028】
図4(b)に示した直線要素2次元ディフューザ翼420bは、翼420bの高さ方向に同一の翼型をまっすぐに積み上げる傾斜していない直線要素423bからなる2次元ディフューザである。つまり、直線要素423bは、ハブ板410aに垂直である。このような翼420bを有するディフューザでは、流入流れ402が分布しているときに、翼420bの前縁のどの高さ方向(h方向)位置でも流れを翼420bに衝突させないようにすることはできず、高性能化に限界がある。
【0029】
図4(c)に示した直線要素3次元ディフューザでは、食い違い角(θSG)を変化させてディフューザ翼420cにひねりを与えている。これにより、羽根車を出た流れがディフューザ翼420cに衝突することなく流入することが可能になる。つまり、非一様な流れが羽根車から吐出されても、ディフューザ翼420cの前縁部では流入流れ402に応じた翼420c形状とすることができる。
【0030】
この直線要素3次元ディフューザ翼420cでは、ハブ板側断面421cの輪郭とシュラウド側断面422cの輪郭とを結ぶ直線要素423cは直線であり、翼420cの高さ方向(h方向)のリーン分布も直線的である。ただし、ハブ面410aに対しては線素423cは必ずしも垂直ではない。流れが翼420c、420c間に流入した後は、翼420cの翼型は基本的な例えばNACA翼等で形成されているので、流れ角に対応した値に変更することができない。そのため、2次元ディフューザよりは効率向上が期待できるが、十分な流れの制御が困難である。
【0031】
図4(d)に示した曲線要素3次元ディフューザでは、任意の曲線要素423dに沿って翼型を積み上げている。すなわち、ハブ板側断面421dの輪郭とシュラウド側断面422dの輪郭とを結ぶ曲線要素423dは曲線である。このディフューザでは、リーン角を翼420dの高さ方向(h方向)に一定ではなく変化させている。そのため、曲線要素3次元ディフューザは、翼420dの前縁部で単に無衝突流入を実現できるのみでなく、翼420dの流路面を湾曲させて翼力の作用方向を変えることができる。
【0032】
したがって、翼420d、420d間の流路内において流れを制御することが可能となる。そこで、本発明では、図3に示すように、羽根車308、311の出口の動圧を静圧として回収する羽根付きディフューザ309、312を、曲線要素3次元ディフューザ化している。
【0033】
ところで、ディフューザを3次元化するためには種々の方法が考えられるが、上述したダイヘドラルとスイープを用いると、3次元化を系統的に取り扱うことが可能になる。そこで、ダイヘドラルとスイープとを用いて表した曲線要素3次元ディフューザの具体的例を、図5〜図11を用いて説明する。以下の説明においては、初段のディフューザ309を例にとり説明するが、第2段以降のディフューザでも、同様に取り扱える。
【0034】
図5および図6を用いて、曲線要素3次元ディフューザの一実施例を説明する。ダイヘドラル分布だけを示している。図5は、翼620の翼高さ方向(h方向)に対するダイヘドラル分布を示す図で、ダイヘドラル(Δδ)量は翼弦長(C)で無次元化し、翼高さは全高さHで無次元化されている。図6は、図5のダイヘドラル分布を有するディフューザ600の斜視図であり、同図(a)は全体斜視図、同図(b)は(a)図のC部詳細図、同図(c)は(a)図のD部詳細図図である。ディフューザ板610は、羽根車のハブ側に取り付けられる。
【0035】
図5に示すように本実施例では、ハブ側端面(h=0)近傍で翼高さ方向にダイヘドラルが増加している(丸囲み501参照)。つまり、ディフューザ翼620の負圧面601は、ハブ面603と鈍角を形成している。なお、ディフューザ翼620の負圧面は、羽根車の回転方向に対して背面側になる翼面である。
【0036】
本発明者らの研究によれば、図5に示したダイヘドラル分布においては、丸囲み部501すなわちハブ側端面近傍501以外の部分では、一般にはダイヘドラル分布やスイープ分布が性能に及ぼす影響は小さかった。したがって、ハブ側端面近傍501以外の部分は、翼309cの加工性や取り扱い性を考慮してダイヘドラル分布およびスイープ分布を設定可能である。
【0037】
図6(b)に示すように、本実施例のディフューザ600では、翼高さ方向に翼力成分602が生じる。この翼力成分602は、ハブ面603上の境界層がハブ側負圧面601に回りこもうとする2次流れと逆方向であるので、2次流れを押し戻す効果がある。したがって、本実施例によれば、2次流れが抑制されて翼間流れ分布が一様化し、ディフューザ性能が向上する。
【0038】
本発明の他の実施例を、図7と図8を用いて説明する。これらの図は上記実施例と同様の図であり、図7がダイヘドラル分布図であり、図8は図7に示したダイヘドラル分布を有するディフューザ800の斜視図である。図8(a)はディフューザ800全体の斜視図であり、図8(b)は図8(a)のE部詳細図、図8(c)は図8(a)のF部詳細図である。このディフューザ800でも、ディフューザ板810は羽根車のハブ側に取り付けられる。上記実施例とはシュラウド側端面近傍(丸囲み702)で、翼高さ方向にダイヘドラルを減少させている点が相違する。
【0039】
上記実施例ではダイヘドラル分布の影響がハブ面側で大きかったが、シュラウド面側のダイヘドラル分布も、羽根車から流出する流れによってはディフューザへ影響を与えていることが判明した。なお、この場合でも、シュラウド側のダイヘドラル分布は、上記実施例と同様にする必要がある。この具体例を、以下に説明する。
【0040】
ハブ側端面では、上記実施例と同様に、翼高さ方向(h方向)にダイヘドラル量(Δδ)を増加させている(丸囲み701参照)。また本実施例においても、ハブ側端面近傍及びシュラウド側端面近傍の2つの領域を除いた翼高さ方向中央領域のダイヘドラル分布やスイープ分布が性能に与える感度は小さかった。つまり、ハブ側とシュラウド側の両端面近傍においては、ディフューザ翼820の負圧面801、802とハブ端面およびシュラウド端面とのなす角が鈍角となるので、上記実施例と同様な作用効果で2次流れを抑制できる。
【0041】
なお、羽根車出口流れが比較的一様な場合には図7に示した分布を用いるのがよく、一方、非一様性が強い場合には図5に示した分布を用いるのがよい。これは、羽根車出口流れの一様性の影響をディフューザ翼820が受けるためである。すなわち、羽根車出口流れの非一様性が強い場合には、主流が存在するハブ面側の流れを重点的に制御すれば、流れにおけるエネルギーの大きい部位を制御するので流れ全体を効果的に制御できる。
【0042】
本発明のさらに他の実施例を、図9と図10を用いて説明する。図9(a)はダイヘドラル分布図であり、図9(b)は翼弦長で無次元化したスイープ分布図である。図10は図9に示した分布を有するディフューザ309の斜視図であり、同図(a)はディフューザの全体図、同図(b)は図9(a)のG部詳細図、同図(c)は図9(a)のH部詳細図である。上記各実施例と同様、ハブ板1010は、羽根車のハブ側に取り付けられる。
【0043】
上記2つの実施例では、ハブ側のダイヘドラル分布が重要であり、しかも翼高さ方向に増加させるのが流れの制御の観点から効果的であったが、翼高さ方向にダイヘドラル分布を減少させる場合でも、スイープと組み合わせることにより、効果を得る場合のあることが判明した。この具体例を、以下に説明する。
【0044】
図9に示すように、本実施例ではハブ側端面近傍(丸囲み901参照)において、翼高さ方向にダイヘドラルを減少させており、さらにスイープは、同じハブ側端面近傍(丸囲み902参照)で減少させている。つまり、ダイヘドラルとスイープの複合したリーンであり、曲線要素3次元が用いられたディフューザ1000になっている。ハブ側端面近傍以外の領域では性能への感度が小さかったので、ダイヘドラルおよびスイープのいずれについても、極端な変化の生じない範囲で任意に定めることができる。
【0045】
本実施例では、上述各実施例とはハブ側端面におけるダイヘドラルの向きを逆向きにしている。その結果、ハブ板1010表面とディフューザ負圧面1001とのなす角が鋭角となり、図6に示した翼力601とは逆向きの翼力が発生する。この逆向きの翼力は、一見2次流れを増長するようであるが、実際は2次流れを抑制するように働く。その理由は以下のとおりである。
【0046】
本実施例では、ダイヘドラルとスイープを組合せてディフューザ翼1020を構成している。ディフューザ翼1020がスイープ1002を有しているので、ディフューザ翼1020の前縁1005とハブ板1010の表面との間に切り欠き状の間隙1003が形成される。この切り欠き状の間隙1003部において、ディフューザ翼1020の圧力面から負圧面へ回りこむ流れが生じ縦渦1004を発生する。ディフューザ翼1020の負圧面とハブ板1010表面とで形成される角部では、2次流れを抑制する渦度1006を生じる。それと共に、周囲流体との攪拌促進や渦中心の負圧効果によりディフューザ翼1020での翼面剥離が抑制される。このように、縦渦の作用により2次流れが抑制され、流れ場が一様化され曲線要素3次元ディフューザの性能が向上する。
【0047】
図11に、直線要素2次元ディフューザを用いた圧縮機に対して、本実施例に示した曲線要素3次元ディフューザを用いた場合に、圧縮機が性能向上している様子を示す。グラフの横軸は設計点流量Qdesで無次元化した流量Qであり、縦軸は二次元ディフューザにおける断熱効率η2DIMで無次元化した圧縮機段の断熱効率ηと二次元ディフューザにおける圧力係数ψ2DIMで無次元化した圧力係数ψである。
【0048】
設計流量においてはもちろんのこと、広い流量範囲において断熱効率ηと圧力係数ψが向上している。また設計点流量(Q=1.0)から離れるにしたがって、性能向上量が増加しているので、本発明に羽根付きディフューザは非設計点(Q≠1.0)における性能に優れている。すなわち、圧縮機の作動範囲が改善されている。
【0049】
上記各実施例では、ディフューザ翼がスイープ分布とダイヘドラル分布の少なくともいずれかを有することで、曲線要素3次元ディフューザを実現している。そして、これらのディフューザ翼を傾かせる方法により、ディフューザのハブ壁面近傍とシュラウド壁面近傍での2次流れ、及びディフューザ翼の前縁付近での衝突流れを制御している。その結果、ディフューザの性能を向上できる。なお、上記各実施例で示したスイープ分布およびダイヘドラル分布はあくまで例示的なものであり、性能への感度が小さいとして形状を限定しなかった部位についての両分布についても例示的に示したものに過ぎない。
【0050】
さらに、各実施例に示された形状の特徴が翼全体にあることが望ましいが、ディフューザ翼の前半部分(上流側)の形状が性能に与える影響が相対的に大きいことから、特にディフューザの流れ方向前半部分においてだけ上述した形状を有していても本発明の効果は得られる。したがって、流れ方向の後半部分には、従来多用される直線要素2次元ディフューザ等を用いることも可能である。
【0051】
上記各実施例では、ハブ板にディフューザ翼を設けていたが、ハブ板に対向する面側、すなわちシュラウド面側の板にディフューザ翼を設けてよいことは言うまでもない。いずれにしろ組み立てのし易さ等でハブ側かシュラウド側のいずれかに取り付ける。また、多段機のすべてに羽根付きディフューザを設ける必要もなく、少なくとも1段の圧縮機段に羽根付きディフューザを設け、そのディフューザに本発明を適用すれば、本発明の効果は得られる。
【符号の説明】
【0052】
101…ハブ、102…シュラウド、103…ディフューザ翼、104…翼型、105…ディフューザ板、208…前縁、209…後縁、300…遠心型ターボ機械(多段遠心圧縮機)、301…初段、302…第2段、303…回転軸、304…ジャーナルベアリング、305…スラストベアリング、306…圧縮機ケーシング、307…吸込ノズル、308…初段羽根車、308a…ハブ、308b…シュラウド、308c…羽根、309…羽根付きディフューザ、309a…ハブ、309c…翼、310…リターンガイドベーン、311…第2段羽根車、311a…ハブ、311b…シュラウド、311c…羽根、312…羽根付きディフューザ、313…回収手段(スクロールまたはコレクタ)、315…ラビリンスシール、316、317…シャフトシール、400…羽根付きディフューザ、401…直線要素、402…流入流れ、403…ハブ側翼断面、404…シュラウド側翼断面、405…直線要素、407…ハブ側翼断面、408…シュラウド側翼断面、409…曲線要素、410…ハブ板、411…ハブ側翼断面、412…シュラウド側翼断面、420a〜420d…ディフューザ翼、421b〜421d…ハブ面、422b〜422d…シュラウド面、423b〜423d…線素、501…ダイヘドラル分布、600…羽根付きディフューザ、601…ハブ側負圧面、602…翼力成分、603…ハブ面、610…ハブ板、620…翼、701…ダイヘドラル分布、702…ダイヘドラル分布、800…羽根付きディフューザ、801…ハブ側負圧面、802…シュラウド側負圧面、810…ハブ面、820…翼、901…ダイヘドラル分布、902…スイープ分布、1000…羽根付きディフューザ、1001…ハブ側負圧面、1002…スイープ、1003…切り欠き、1004…縦渦、1005…ディフューザ前縁、1006…渦度、1010…ハブ板、1020…翼、C…翼弦、FL…流入流れ、h…ディフューザ翼高さ、H…ディフューザ翼全高さ、RN…羽根車の回転方向、Δδ…ダイヘドラル量、Δσ…スイープ量、Q…流量、Qdes…設計点流量、η…断熱効率、η2DIM…二次元翼ディフューザの効率、ψ…圧力係数、ψ2DIM…二次元翼ディフューザの圧力係数。
【技術分野】
【0001】
本発明は遠心圧縮機や遠心ブロア、遠心ファン、遠心ポンプなどの遠心羽根車を備えた遠心型ターボ機械に関する。
【背景技術】
【0002】
遠心型ターボ機械の一種である多段遠心圧縮機では、同一軸に多数の羽根車が取り付けられ、各羽根車の下流側には、ディフューザおよびリターンガイドベーンが併設されている。羽根車およびディフューザ、リターンガイドベーンは、段落を構成する。ここで、ディフューザとしては、ベーンレスディフューザと羽根付きディフューザ、羽根付きディフューザの一種である小弦節比ディフューザ等が、その目的および用途により用いられている。
【0003】
これらディフューザの中で小弦節比ディフューザは、幾何学的なスロートを有していないので、大流量側の作動範囲であるチョークマージンを拡大できるという特性を有する。それとともに、小流量域においては、2次流れによる翼面上の境界層掃き出し効果により翼面剥離を抑制するので、小流量側の作動範囲であるサージマージンも十分に確保することができるという利点を有している。そのため、小弦節比ディフューザが多用されている。
【0004】
小弦節比ディフューザに代表される遠心型ターボ機械向け羽根付きディフューザには、同じ翼型を翼の高さ方向に積層した2次元翼が一般的に用いられる。しかしさらなる性能改善の要求から、3次元翼化も試みられており、例えば特許文献1に記載の遠心圧縮機では、ディフューザの翼高さ方向にディフューザ翼断面の食い違い角を徐々に変えて3次元翼とし、非一様分布の流入流れに対して無衝突流入を実現して高効率化と広作動範囲の両立を図っている。
【0005】
また特許文献2に記載の遠心圧縮機では、ディフューザの前縁部において、翼高さ中央部分を下流方向に湾曲させ、ディフューザ入口径を変更している。これにより、非一様分布の流入流れに対して無衝突流入を実現して、高効率化と広作動範囲の両立を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2009−504974号公報
【特許文献2】特開2004−92482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載の遠心圧縮機用の翼型ディフューザでは、3次元のディフューザ翼を形成する際に、ディフューザ翼を仮想的に軸方向(ハブ面からシュラウド面に向かう方向)に複数に分割して積み重ねて構成することが記載されている。その際、翼の積み重ね方向がハブ面またはシュラウド面に直角な方向に対してなす角度であるリーン角を、ディフューザ翼のスパンに沿って変化させるバウディフューザ翼についての示唆もなされている。
【0008】
しかし、曲線要素羽根では選択肢が多く、筆者らの考察では必ずしも十分な改良となるわけではない。つまり、リーン分布を翼に付与する場合、その与え方によっては2次流れが増長され、かえって性能悪化を招くことがあるので、性能向上に結びつく分割した翼の積み重ねパターンの解明が求められている。
【0009】
また特許文献2に開示された遠心圧縮機では、ディフューザ前縁という局所的な部位にリーンを付与して流入角のマッチングを図っているが、曲線要素ディフューザの構成を採用しておらず、曲線要素ディフューザを採用したときに顕著になるディフューザ翼間流路の2次流れを制御することについての考慮もない。
【0010】
本発明は上記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は遠心型ターボ機械に用いられる羽根付きディフューザにおいて、曲線要素ディフューザを用いて効率向上を図ったときに翼間の2次流れを効果的に抑制して性能を向上させることにある。本発明の他の目的は、遠心圧縮機に用いられるこのような曲線要素ディフューザにおいて、性能向上に結びつく分割した翼の積み重ねパターンを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
初めに本明細書で使用するいくつかの用語を、図1、2を参照して、以下のように定義する。図1は翼型の移動を説明するためのディフューザ翼1枚の平面図であり、図2は、羽根付きディフューザの翼1枚を取り出して示した斜視図であり、基準となる翼型をZ方向に積み重ねる様子を示す図である。座標系は、羽根車の半径方向をR、羽根車の回転方向をθ、回転軸の軸方向をZとする円筒座標系(R,θ、Z)である。Zは、シュラウド102側からハブ101側に向かう方向を正とする。
【0012】
翼弦(C):ディフューザ翼103の基準となる翼型104において、前縁208と後縁209とを結ぶ線。
リーン:ディフューザ翼103のハブ101面に対する傾き度合いであり、以下に述べるスイープとダイヘドラルの複合とみなせる。
食い違い角(θSG):翼弦Cが半径方向(R方向)となす角(tanθSG=dC/dR)。
スイープ(Δσ):図1中で一点鎖線で表した場合で、ディフューザ翼103の翼型104を、翼弦C方向へ平行移動させることで、下流側へ移動させる場合を正とする。
ダイヘドラル(Δδ):図1中で破線で表した場合で、ディフューザ翼103の翼型104を、翼弦Cに垂直な方向へ移動させることである。羽根車の回転方向とは逆方向へ移動させる場合を、正とする。
【0013】
翼高さ(h):ディフューザ翼の高さで、ハブ面側から測った高さである。ハブ面とシュラウド面が軸に垂直な平行壁の場合には、−Z方向の高さになる。ハブ面とシュラウド面の少なくともいずれかが傾斜面であれば、ディフューザ翼のハブ側における前縁と後縁を結ぶ線からの高さとする。ディフューザ翼のハブ側とシュラウド側の前縁を結ぶ線と、ディフューザ翼のハブ側とシュラウド側の後縁を結ぶ線とを基準にして、前縁と後縁の流れ方向中間の点の高さを決定する。翼の全高さは、Hで表す。
【0014】
このような定義を用いて、本発明では上記課題を解決するために、同一の回転軸に、ハブとシュラウドとこれらハブとシュラウド間に周方向に間隔をおいて配置した複数の羽根とからなる少なくとも1個以上の羽根車を取り付け、この少なくとも1個の羽根車の少なくともいずれかの下流に羽根付きディフューザを備えた遠心型ターボ機械において、羽根付きディフューザは、羽根車の下流側に形成される流路に複数の翼を周方向に間隔をおいて配置されて形成されたものであり、各々の翼は、基準となる翼を回転軸の軸方向である翼高さ方向に積み重ねた形状で形成されており、基準となる翼の前縁と後縁とを結ぶ翼弦方向に垂直な方向であって羽根車の回転方向とは逆の方向に移動させるのを正の移動とするダイヘドラル分布を、ハブ壁面側でハブ側端部から翼高さの中間部に向けて非一様としたことを特徴とするものである。
【0015】
そしてこの特徴において、ディフューザ翼の各々のダイヘドラル分布が、ハブ側端部から翼高さの中間部にむけて増大させる分布とし、ディフューザ翼の各々を、その前縁部であってハブ側端部に仮想的に形成される平面とディフューザ翼の負圧面とが鈍角をなすようにするのが好ましい。
【0016】
また、ダイヘドラル分布をシュラウド側端部から翼高さの中間部に向けて増大する分布とし、ディフューザ翼の各々を、その前縁部であってシュラウド側端部に仮想的に形成される平面とディフューザ翼の負圧面とが鈍角をなすようにするのが好ましい。
【0017】
上記特徴において、ディフューザ翼の各々のダイヘドラル分布が、ハブ側端部から翼高さの中間部にむけて減少する分布とし、基準となる翼の翼弦方向に平行な方向であって下流側に移動させるのを正の移動とするスイープ分布を、ハブ側端部から翼高さの中間部にむけて減少させる分布としてもよい。
【0018】
なお、上記いずれの特徴においても、ディフューザ翼の各々は、少なくともその翼の流れ方向前半部に前記ダイヘドラル分布と前記スイープ分布の少なくともいずれかが適用されているのが望ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、遠心型ターボ機械に用いられる羽根付きディフューザにおいて、曲線要素3次元羽根をディフューザ翼に適用し、スイープ分布とダイヘドラル分布を与えるようにしてディフューザ翼への流れの衝突損失を低減し、さらに翼中間部の流れを制御可能にしたので、翼間の2次流れを効果的に抑制してディフューザ性能および圧縮機性能を向上できる。本発明ではさらに、遠心圧縮機に用いられるこのような曲線要素ディフューザにおいて、性能向上に結びつく分割した翼の積み重ねパターンを得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】羽根付きディフューザにおける傾きを説明する図である。
【図2】羽根付きディフューザが有する翼の3次元化を説明する図である。
【図3】本発明に係る遠心型ターボ機械の一実施例の縦断面図である。
【図4】羽根付きディフューザの分類を説明する図である。
【図5】図3に示した圧縮機が有するディフューザの一実施例のダイヘドラル分布を示す図である。
【図6】図5に示したダイヘドラル分布を有するディフューザの斜視図およびその部分拡大図である。
【図7】図3に示した圧縮機が有するディフューザの他の実施例のダイヘドラル分布を示す図である。
【図8】図7に示したダイヘドラル分布を有するディフューザの斜視図およびその部分拡大図ある。
【図9】図3に示した圧縮機が有するディフューザのさらに他の実施例のダイヘドラル分布とスイープ分布を示す図である。
【図10】図9に示したダイヘドラル分布とスイープ分布を有するディフューザの斜視図およびその部分拡大図である。
【図11】本発明に係るディフューザを備えた遠心圧縮機における性能線図の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明のいくつかの実施例を図面を用いて説明する。初めに、図3の縦断面図を用いて、遠心型ターボ機械の一例としての多段遠心圧縮機300について説明する。本多段遠心圧縮機300は2段の遠心圧縮機である。なお本発明の対象は単段または多段の遠心型ターボ機械であればよく、特に2段圧縮機に限定するものではない。
【0022】
図3に示した多段の遠心圧縮機300は、初段301と第2段302とからなる2段圧縮機である。初段羽根車308および第2段羽根車311は同一の回転軸303に取り付けられて、回転体を構成する。回転軸303は、回転軸303や羽根車308,311を収容する圧縮機ケーシング306に取り付けられたジャーナルベアリング304やスラストベアリング305により、回転自在に支持されている。
【0023】
初段羽根車308の下流側には、羽根車308で圧縮された作動ガスの圧力を回復し半径方向外向きの流れを形成するディフューザ309と、このディフューザ309で半径方向外向きにされた作動ガスの流れを半径方向内向きにして第2段羽根車311に導くリターンガイドベーン310とが配置されている。2段羽根車311の下流には同様にディフューザ312と、2段ディフューザ312で圧力上昇した作動ガスをまとめて機外へ送り出すためのコレクタまたはスクロールと呼ばれる回収手段313が配置されている。
【0024】
各段の羽根車308、311は、心板308a、311aと側板308b、311bと心板308a、311aと側板308b、311bとの間に周方向ほぼ等間隔に複数枚配置された羽根308c、311cとを有している。羽根車308、311の入り口側であって側板308b、311b側の外周部には吸込みラビリンスシール315が、心板308a、311aの背面側にはシャフトシール316、317が配置されている。吸込ノズル307から流入した作動ガスが、初段の羽根車308、羽根付きディフューザ309、リターンガイドベーン310、第2段の羽根車311、羽根付きディフューザ312の順に通過して、コレクタやスクロールといった回収手段313に漏れることなく導かれる。
【0025】
このように構成した遠心圧縮機300に用いるディフューザ309、312について、以下に詳述する。なお、ディフューザは309は、圧縮機ケーシング306の一部を構成するダイヤフラムに取り付けられ、流路面が羽根車308の流路面とほぼ同じ軸方向位置にあるハブ309aと、このハブ309の表面に周方向間隔を置いて立設された複数の翼309cとを有している。そして、圧縮機ケーシング306の一部を構成するインナーケーシングの壁面が、シュラウド面として流路を形成する。説明を省略するが、ディフューザ312も同様の構成である。なお、本実施例では、上記構成について説明するが、ディフューザの構成はこれに限るものではなく、ディフューザをダイヤフラムとは別体にする構成等ももちろん、本発明に含まれる。
【0026】
図4に、以下の説明に用いる羽根付きディフューザ400を、分類して示す。図4(a)は、ディフューザ400の横断面図である。ハブ板410a上に、周方向にほぼ等間隔で複数のディフューザ翼420aが立設されている。図示しない羽根車を出た流れが、図で矢印FLのように、内周側から翼420aに沿って流れるように導かれる。このとき図示しない羽根車の回転方向は矢印RNの方向となっている。
【0027】
ディフューザの形状は、従来から使用されている2次元ディフューザ(図4(b))、リーンを有する直線要素3次元ディフューザ(図4(c))、同じくリーンを有する曲線要素の集合で表される曲線要素3次元ディフューザ(図4(d))に分類される。ここで、各ディフューザ翼420b〜420dは、ハブ板側断面421b〜421dの輪郭とシュラウド側断面422b〜422dの輪郭間を、線素423b〜423dで結んだ形状として表されている。これら各ディフューザ翼420b〜420dへは、羽根車から同一の流れが吐出され、ディフューザ入り口流れ402を形成する。
【0028】
図4(b)に示した直線要素2次元ディフューザ翼420bは、翼420bの高さ方向に同一の翼型をまっすぐに積み上げる傾斜していない直線要素423bからなる2次元ディフューザである。つまり、直線要素423bは、ハブ板410aに垂直である。このような翼420bを有するディフューザでは、流入流れ402が分布しているときに、翼420bの前縁のどの高さ方向(h方向)位置でも流れを翼420bに衝突させないようにすることはできず、高性能化に限界がある。
【0029】
図4(c)に示した直線要素3次元ディフューザでは、食い違い角(θSG)を変化させてディフューザ翼420cにひねりを与えている。これにより、羽根車を出た流れがディフューザ翼420cに衝突することなく流入することが可能になる。つまり、非一様な流れが羽根車から吐出されても、ディフューザ翼420cの前縁部では流入流れ402に応じた翼420c形状とすることができる。
【0030】
この直線要素3次元ディフューザ翼420cでは、ハブ板側断面421cの輪郭とシュラウド側断面422cの輪郭とを結ぶ直線要素423cは直線であり、翼420cの高さ方向(h方向)のリーン分布も直線的である。ただし、ハブ面410aに対しては線素423cは必ずしも垂直ではない。流れが翼420c、420c間に流入した後は、翼420cの翼型は基本的な例えばNACA翼等で形成されているので、流れ角に対応した値に変更することができない。そのため、2次元ディフューザよりは効率向上が期待できるが、十分な流れの制御が困難である。
【0031】
図4(d)に示した曲線要素3次元ディフューザでは、任意の曲線要素423dに沿って翼型を積み上げている。すなわち、ハブ板側断面421dの輪郭とシュラウド側断面422dの輪郭とを結ぶ曲線要素423dは曲線である。このディフューザでは、リーン角を翼420dの高さ方向(h方向)に一定ではなく変化させている。そのため、曲線要素3次元ディフューザは、翼420dの前縁部で単に無衝突流入を実現できるのみでなく、翼420dの流路面を湾曲させて翼力の作用方向を変えることができる。
【0032】
したがって、翼420d、420d間の流路内において流れを制御することが可能となる。そこで、本発明では、図3に示すように、羽根車308、311の出口の動圧を静圧として回収する羽根付きディフューザ309、312を、曲線要素3次元ディフューザ化している。
【0033】
ところで、ディフューザを3次元化するためには種々の方法が考えられるが、上述したダイヘドラルとスイープを用いると、3次元化を系統的に取り扱うことが可能になる。そこで、ダイヘドラルとスイープとを用いて表した曲線要素3次元ディフューザの具体的例を、図5〜図11を用いて説明する。以下の説明においては、初段のディフューザ309を例にとり説明するが、第2段以降のディフューザでも、同様に取り扱える。
【0034】
図5および図6を用いて、曲線要素3次元ディフューザの一実施例を説明する。ダイヘドラル分布だけを示している。図5は、翼620の翼高さ方向(h方向)に対するダイヘドラル分布を示す図で、ダイヘドラル(Δδ)量は翼弦長(C)で無次元化し、翼高さは全高さHで無次元化されている。図6は、図5のダイヘドラル分布を有するディフューザ600の斜視図であり、同図(a)は全体斜視図、同図(b)は(a)図のC部詳細図、同図(c)は(a)図のD部詳細図図である。ディフューザ板610は、羽根車のハブ側に取り付けられる。
【0035】
図5に示すように本実施例では、ハブ側端面(h=0)近傍で翼高さ方向にダイヘドラルが増加している(丸囲み501参照)。つまり、ディフューザ翼620の負圧面601は、ハブ面603と鈍角を形成している。なお、ディフューザ翼620の負圧面は、羽根車の回転方向に対して背面側になる翼面である。
【0036】
本発明者らの研究によれば、図5に示したダイヘドラル分布においては、丸囲み部501すなわちハブ側端面近傍501以外の部分では、一般にはダイヘドラル分布やスイープ分布が性能に及ぼす影響は小さかった。したがって、ハブ側端面近傍501以外の部分は、翼309cの加工性や取り扱い性を考慮してダイヘドラル分布およびスイープ分布を設定可能である。
【0037】
図6(b)に示すように、本実施例のディフューザ600では、翼高さ方向に翼力成分602が生じる。この翼力成分602は、ハブ面603上の境界層がハブ側負圧面601に回りこもうとする2次流れと逆方向であるので、2次流れを押し戻す効果がある。したがって、本実施例によれば、2次流れが抑制されて翼間流れ分布が一様化し、ディフューザ性能が向上する。
【0038】
本発明の他の実施例を、図7と図8を用いて説明する。これらの図は上記実施例と同様の図であり、図7がダイヘドラル分布図であり、図8は図7に示したダイヘドラル分布を有するディフューザ800の斜視図である。図8(a)はディフューザ800全体の斜視図であり、図8(b)は図8(a)のE部詳細図、図8(c)は図8(a)のF部詳細図である。このディフューザ800でも、ディフューザ板810は羽根車のハブ側に取り付けられる。上記実施例とはシュラウド側端面近傍(丸囲み702)で、翼高さ方向にダイヘドラルを減少させている点が相違する。
【0039】
上記実施例ではダイヘドラル分布の影響がハブ面側で大きかったが、シュラウド面側のダイヘドラル分布も、羽根車から流出する流れによってはディフューザへ影響を与えていることが判明した。なお、この場合でも、シュラウド側のダイヘドラル分布は、上記実施例と同様にする必要がある。この具体例を、以下に説明する。
【0040】
ハブ側端面では、上記実施例と同様に、翼高さ方向(h方向)にダイヘドラル量(Δδ)を増加させている(丸囲み701参照)。また本実施例においても、ハブ側端面近傍及びシュラウド側端面近傍の2つの領域を除いた翼高さ方向中央領域のダイヘドラル分布やスイープ分布が性能に与える感度は小さかった。つまり、ハブ側とシュラウド側の両端面近傍においては、ディフューザ翼820の負圧面801、802とハブ端面およびシュラウド端面とのなす角が鈍角となるので、上記実施例と同様な作用効果で2次流れを抑制できる。
【0041】
なお、羽根車出口流れが比較的一様な場合には図7に示した分布を用いるのがよく、一方、非一様性が強い場合には図5に示した分布を用いるのがよい。これは、羽根車出口流れの一様性の影響をディフューザ翼820が受けるためである。すなわち、羽根車出口流れの非一様性が強い場合には、主流が存在するハブ面側の流れを重点的に制御すれば、流れにおけるエネルギーの大きい部位を制御するので流れ全体を効果的に制御できる。
【0042】
本発明のさらに他の実施例を、図9と図10を用いて説明する。図9(a)はダイヘドラル分布図であり、図9(b)は翼弦長で無次元化したスイープ分布図である。図10は図9に示した分布を有するディフューザ309の斜視図であり、同図(a)はディフューザの全体図、同図(b)は図9(a)のG部詳細図、同図(c)は図9(a)のH部詳細図である。上記各実施例と同様、ハブ板1010は、羽根車のハブ側に取り付けられる。
【0043】
上記2つの実施例では、ハブ側のダイヘドラル分布が重要であり、しかも翼高さ方向に増加させるのが流れの制御の観点から効果的であったが、翼高さ方向にダイヘドラル分布を減少させる場合でも、スイープと組み合わせることにより、効果を得る場合のあることが判明した。この具体例を、以下に説明する。
【0044】
図9に示すように、本実施例ではハブ側端面近傍(丸囲み901参照)において、翼高さ方向にダイヘドラルを減少させており、さらにスイープは、同じハブ側端面近傍(丸囲み902参照)で減少させている。つまり、ダイヘドラルとスイープの複合したリーンであり、曲線要素3次元が用いられたディフューザ1000になっている。ハブ側端面近傍以外の領域では性能への感度が小さかったので、ダイヘドラルおよびスイープのいずれについても、極端な変化の生じない範囲で任意に定めることができる。
【0045】
本実施例では、上述各実施例とはハブ側端面におけるダイヘドラルの向きを逆向きにしている。その結果、ハブ板1010表面とディフューザ負圧面1001とのなす角が鋭角となり、図6に示した翼力601とは逆向きの翼力が発生する。この逆向きの翼力は、一見2次流れを増長するようであるが、実際は2次流れを抑制するように働く。その理由は以下のとおりである。
【0046】
本実施例では、ダイヘドラルとスイープを組合せてディフューザ翼1020を構成している。ディフューザ翼1020がスイープ1002を有しているので、ディフューザ翼1020の前縁1005とハブ板1010の表面との間に切り欠き状の間隙1003が形成される。この切り欠き状の間隙1003部において、ディフューザ翼1020の圧力面から負圧面へ回りこむ流れが生じ縦渦1004を発生する。ディフューザ翼1020の負圧面とハブ板1010表面とで形成される角部では、2次流れを抑制する渦度1006を生じる。それと共に、周囲流体との攪拌促進や渦中心の負圧効果によりディフューザ翼1020での翼面剥離が抑制される。このように、縦渦の作用により2次流れが抑制され、流れ場が一様化され曲線要素3次元ディフューザの性能が向上する。
【0047】
図11に、直線要素2次元ディフューザを用いた圧縮機に対して、本実施例に示した曲線要素3次元ディフューザを用いた場合に、圧縮機が性能向上している様子を示す。グラフの横軸は設計点流量Qdesで無次元化した流量Qであり、縦軸は二次元ディフューザにおける断熱効率η2DIMで無次元化した圧縮機段の断熱効率ηと二次元ディフューザにおける圧力係数ψ2DIMで無次元化した圧力係数ψである。
【0048】
設計流量においてはもちろんのこと、広い流量範囲において断熱効率ηと圧力係数ψが向上している。また設計点流量(Q=1.0)から離れるにしたがって、性能向上量が増加しているので、本発明に羽根付きディフューザは非設計点(Q≠1.0)における性能に優れている。すなわち、圧縮機の作動範囲が改善されている。
【0049】
上記各実施例では、ディフューザ翼がスイープ分布とダイヘドラル分布の少なくともいずれかを有することで、曲線要素3次元ディフューザを実現している。そして、これらのディフューザ翼を傾かせる方法により、ディフューザのハブ壁面近傍とシュラウド壁面近傍での2次流れ、及びディフューザ翼の前縁付近での衝突流れを制御している。その結果、ディフューザの性能を向上できる。なお、上記各実施例で示したスイープ分布およびダイヘドラル分布はあくまで例示的なものであり、性能への感度が小さいとして形状を限定しなかった部位についての両分布についても例示的に示したものに過ぎない。
【0050】
さらに、各実施例に示された形状の特徴が翼全体にあることが望ましいが、ディフューザ翼の前半部分(上流側)の形状が性能に与える影響が相対的に大きいことから、特にディフューザの流れ方向前半部分においてだけ上述した形状を有していても本発明の効果は得られる。したがって、流れ方向の後半部分には、従来多用される直線要素2次元ディフューザ等を用いることも可能である。
【0051】
上記各実施例では、ハブ板にディフューザ翼を設けていたが、ハブ板に対向する面側、すなわちシュラウド面側の板にディフューザ翼を設けてよいことは言うまでもない。いずれにしろ組み立てのし易さ等でハブ側かシュラウド側のいずれかに取り付ける。また、多段機のすべてに羽根付きディフューザを設ける必要もなく、少なくとも1段の圧縮機段に羽根付きディフューザを設け、そのディフューザに本発明を適用すれば、本発明の効果は得られる。
【符号の説明】
【0052】
101…ハブ、102…シュラウド、103…ディフューザ翼、104…翼型、105…ディフューザ板、208…前縁、209…後縁、300…遠心型ターボ機械(多段遠心圧縮機)、301…初段、302…第2段、303…回転軸、304…ジャーナルベアリング、305…スラストベアリング、306…圧縮機ケーシング、307…吸込ノズル、308…初段羽根車、308a…ハブ、308b…シュラウド、308c…羽根、309…羽根付きディフューザ、309a…ハブ、309c…翼、310…リターンガイドベーン、311…第2段羽根車、311a…ハブ、311b…シュラウド、311c…羽根、312…羽根付きディフューザ、313…回収手段(スクロールまたはコレクタ)、315…ラビリンスシール、316、317…シャフトシール、400…羽根付きディフューザ、401…直線要素、402…流入流れ、403…ハブ側翼断面、404…シュラウド側翼断面、405…直線要素、407…ハブ側翼断面、408…シュラウド側翼断面、409…曲線要素、410…ハブ板、411…ハブ側翼断面、412…シュラウド側翼断面、420a〜420d…ディフューザ翼、421b〜421d…ハブ面、422b〜422d…シュラウド面、423b〜423d…線素、501…ダイヘドラル分布、600…羽根付きディフューザ、601…ハブ側負圧面、602…翼力成分、603…ハブ面、610…ハブ板、620…翼、701…ダイヘドラル分布、702…ダイヘドラル分布、800…羽根付きディフューザ、801…ハブ側負圧面、802…シュラウド側負圧面、810…ハブ面、820…翼、901…ダイヘドラル分布、902…スイープ分布、1000…羽根付きディフューザ、1001…ハブ側負圧面、1002…スイープ、1003…切り欠き、1004…縦渦、1005…ディフューザ前縁、1006…渦度、1010…ハブ板、1020…翼、C…翼弦、FL…流入流れ、h…ディフューザ翼高さ、H…ディフューザ翼全高さ、RN…羽根車の回転方向、Δδ…ダイヘドラル量、Δσ…スイープ量、Q…流量、Qdes…設計点流量、η…断熱効率、η2DIM…二次元翼ディフューザの効率、ψ…圧力係数、ψ2DIM…二次元翼ディフューザの圧力係数。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の回転軸に、ハブとシュラウドとこれらハブとシュラウド間に周方向に間隔をおいて配置した複数の羽根とからなる少なくとも1個以上の羽根車を取り付け、この少なくとも1個の羽根車の少なくともいずれかの下流に羽根付きディフューザを備えた遠心型ターボ機械において、
前記羽根付きディフューザは、前記羽根車の下流側に形成される流路に複数の翼を周方向に間隔をおいて配置されたものであり、各々の前記翼は、基準となる翼を前記回転軸の軸方向である翼高さ方向に積み重ねた形状で形成されており、基準となる翼の前縁と後縁とを結ぶ翼弦方向に垂直な方向であって羽根車の回転方向とは逆の方向に移動させるのを正の移動とするダイヘドラル分布を、ハブ壁面側でハブ側端部から翼高さの中間部に向けて非一様としたことを特徴とする遠心型ターボ機械。
【請求項2】
前記ディフューザ翼の各々のダイヘドラル分布が、ハブ側端部から翼高さの中間部にむけて増大させる分布としたことを特徴とする請求項1に記載の遠心型ターボ機械。
【請求項3】
前記ディフューザ翼の各々は、その前縁部であってハブ側端部に仮想的に形成される平面とディフューザ翼の負圧面とが鈍角をなすことを特徴とする請求項2に記載の遠心型ターボ機械。
【請求項4】
前記ダイヘドラル分布が、シュラウド側端部から翼高さの中間部に向けておよびハブ側端部から翼高さの中間部に向けて増大する分布であることを特徴とする請求項3に記載の遠心型ターボ機械。
【請求項5】
前記ディフューザ翼の各々においては、その前縁部であってシュラウド側端部に仮想的に形成される平面とディフューザ翼の負圧面がなす角度およびハブ板とディフューザ翼の負圧面とがなす角度が鈍角であることを特徴とする請求項4に記載の遠心型ターボ機械。
【請求項6】
前記ディフューザ翼の各々のダイヘドラル分布が、ハブ側端部から翼高さの中間部にむけて減少する分布とし、前記基準となる翼の翼弦方向に平行な方向であって下流側に移動させるのを正の移動とするスイープ分布を、ハブ側端部から翼高さの中間部にむけて減少させる分布としたことを特徴とする請求項1に記載の遠心型ターボ機械。
【請求項7】
前記ディフューザ翼の各々は、少なくともその翼の流れ方向前半部に前記ダイヘドラル分布と前記スイープ分布の少なくともいずれかが適用されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の遠心型ターボ機械。
【請求項1】
同一の回転軸に、ハブとシュラウドとこれらハブとシュラウド間に周方向に間隔をおいて配置した複数の羽根とからなる少なくとも1個以上の羽根車を取り付け、この少なくとも1個の羽根車の少なくともいずれかの下流に羽根付きディフューザを備えた遠心型ターボ機械において、
前記羽根付きディフューザは、前記羽根車の下流側に形成される流路に複数の翼を周方向に間隔をおいて配置されたものであり、各々の前記翼は、基準となる翼を前記回転軸の軸方向である翼高さ方向に積み重ねた形状で形成されており、基準となる翼の前縁と後縁とを結ぶ翼弦方向に垂直な方向であって羽根車の回転方向とは逆の方向に移動させるのを正の移動とするダイヘドラル分布を、ハブ壁面側でハブ側端部から翼高さの中間部に向けて非一様としたことを特徴とする遠心型ターボ機械。
【請求項2】
前記ディフューザ翼の各々のダイヘドラル分布が、ハブ側端部から翼高さの中間部にむけて増大させる分布としたことを特徴とする請求項1に記載の遠心型ターボ機械。
【請求項3】
前記ディフューザ翼の各々は、その前縁部であってハブ側端部に仮想的に形成される平面とディフューザ翼の負圧面とが鈍角をなすことを特徴とする請求項2に記載の遠心型ターボ機械。
【請求項4】
前記ダイヘドラル分布が、シュラウド側端部から翼高さの中間部に向けておよびハブ側端部から翼高さの中間部に向けて増大する分布であることを特徴とする請求項3に記載の遠心型ターボ機械。
【請求項5】
前記ディフューザ翼の各々においては、その前縁部であってシュラウド側端部に仮想的に形成される平面とディフューザ翼の負圧面がなす角度およびハブ板とディフューザ翼の負圧面とがなす角度が鈍角であることを特徴とする請求項4に記載の遠心型ターボ機械。
【請求項6】
前記ディフューザ翼の各々のダイヘドラル分布が、ハブ側端部から翼高さの中間部にむけて減少する分布とし、前記基準となる翼の翼弦方向に平行な方向であって下流側に移動させるのを正の移動とするスイープ分布を、ハブ側端部から翼高さの中間部にむけて減少させる分布としたことを特徴とする請求項1に記載の遠心型ターボ機械。
【請求項7】
前記ディフューザ翼の各々は、少なくともその翼の流れ方向前半部に前記ダイヘドラル分布と前記スイープ分布の少なくともいずれかが適用されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の遠心型ターボ機械。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−122443(P2012−122443A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275839(P2010−275839)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]