説明

遠心成形コンクリート製品

【課題】低水/結合材比下でも流動性が良好なコンクリート配合物を用い、遠心成形時におけるスラッジの発生が少ない上、内面仕上がり性が良好で、かつ高強度の遠心成形コンクリート製品を提供する。
【解決手段】(A)セメント、(B)硫酸カルシウム、(C)合成真球状二酸化珪素微粉末、(D)骨材及び水を含むコンクリート配合物を遠心成形してなるコンクリート製品であって、前記(C)成分が、SiO2含有量99重量%以上、1000±50℃での強熱減量0.3重量%以下及びBET法比表面積1〜4.8m2/gであり、かつ、コンクリート配合物において、(A)成分のセメント100重量部に対し、(B)成分の含有量が3〜17重量部であり、(C)成分の含有量が7〜43重量部であることを特徴とする遠心成形コンクリート製品である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遠心成形コンクリート製品に関し、さらに詳しくは、遠心成形時におけるスラッジの発生が少ない上、内面仕上がり性が良好で、かつ高強度の遠心成形コンクリート製品に関する。
【背景技術】
【0002】
パイル、ポール、ヒューム管等の円柱形状を呈するコンクリート製品の製造方法としては、遠心成形方法が広く採用されている。この方法はコンクリートの充填された型枠を、長軸を回転軸として回転させた際に発生する遠心力を締固めに利用するものである。
ところで、圧縮強度100N/mm2以上の高強度コンクリート製品を得る方法として、セメントに硫酸カルシウムと平均粒径1μm以下のシリカフュームを併用して加え、水/セメント比0.25以下のコンクリート配合物を調製し、成形後蒸気養生する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、このようなコンクリート配合物を使用して遠心成形した場合、コンクリート内面に多量のスラッジが発生し、締固めによる成形が難しく、成形後の製品内面の仕上がり性が悪くなるのを免れない。また、成形時に排出されるスラッジは、セメントなどの固形分を多く含むため、その処理が大きな問題となっている。
【0003】
このような遠心成形によりコンクリート製品を製造する際のスラッジ発生の問題を解決するために、様々な手法が用いられている。
例えば、(1)アクリルアミド単位を必須構成単位とするポリマー、乳化剤、水及び油を含有するエマルジョンからなるスラッジ発生防止剤を、遠心成形時のコンクリート配合物に添加する遠心製品の製造方法(例えば、特許文献2参照)、(2)スラッジ発生防止剤として、カリ明バンとアルミン酸ソーダ、炭酸ソーダ、及び消石灰を使用し、25G以下の低速で遠心成形するコンクリート製品の製造方法(例えば、特許文献3参照)が開示されている。
しかしながら、前記(1)及び(2)の技術においては、スラッジ発生防止剤を別途添加する必要があって、コンクリート製品の強度低下を招きやすいという問題がある。
【0004】
一方、コンクリートの流動性の改善及び高強度化のため、一般に各種セメントに混和材としてシリカフュ−ムを混合することが行われている。
このシリカフュームは、金属シリコンやフェロシリコンの製造時に副生される非晶質二酸化珪素を主成分とする粒径約0.1〜0.3μmの球状超微粒子材料であり、モルタルやコンクリートに混和すると、その高いポゾラン活性やマイクロフィラー効果により硬化体が緻密化され、強度が増進することが知られている。
しかしながら、シリカフュームの一次粒子は粒径約0.1〜0.3μmの超微粒子であり、通常凝集して数〜数十μmサイズの二次粒子を形成しているため、シリカフュ−ムのコンクリート中での分散性はよくない。
また、シリカフュ−ムは金属シリコンやフェロシリコン製造時の副生品であるため、品質が安定せず、未燃カーボンや三酸化硫黄、酸化マグネシウムなど種々の不純物を数%含有しており、これらの不純物は、シリカフュ−ムをセメント用混和材として用いるときに、高性能減水剤やAE剤などの化学混和剤の所要量をその都度調整する必要が生じてしまう。
【0005】
高強度を狙った水/結合材比が低い配合、特に水/結合材比0.2未満の配合では、シリカフュ−ムの混和量がセメントに対して内割り添加量で約15重量%を超えるとコンクリートの粘性が著しく高くなり、このようなコンクリートを用いて遠心力による成形を行うと著しく成型性が悪くなることが知られている。また混和材であるシリカフュ−ムの分散性が悪いとモルタルやコンクリートの練り混ぜ時間を非常に長くする必要がある。さらにシリカフュ−ムは嵩密度が約0.2〜0.3g/cm3と著しく嵩高なため、輸送や貯蔵が非効率で定量供給が難しく、作業時に粉塵が発生しやすく取り扱いが難しいという問題もある。
【0006】
【特許文献1】特開昭59−202810号公報
【特許文献2】特許第3657840号公報
【特許文献3】特開2002−60258号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような状況下で、低水/結合材比下でも流動性が良好なコンクリート配合物を用い、遠心成形時におけるスラッジの発生が少ない上、内面仕上がり性が良好で、かつ高強度の遠心成形コンクリート製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、シリカフュ−ムに換えて、特定の性状を有する合成真球状二酸化珪素微粉末と、硫酸カルシウムとを、セメントに対して特定の割合で用いることによりその目的を達成し得ることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成にするに至った。
すなわち、本発明は、
(1)(A)セメント、(B)硫酸カルシウム、(C)合成真球状二酸化珪素微粉末、(D)骨材及び水を含むコンクリート配合物を遠心成形してなるコンクリート製品であって、前記(C)成分が、SiO2含有量99重量%以上、1000±50℃での強熱減量0.3重量%以下、及びBET法比表面積1〜4.8m2/gであり、かつ、コンクリート配合物において、(A)成分のセメント100重量部に対し、(B)成分の含有量が3〜17重量部であり、(C)成分の含有量が7〜43重量部であることを特徴とする遠心成形コンクリート製品、
(2)コンクリート配合物が、さらに(E)減水剤を含む上記(1)に記載の遠心成形コンクリート製品、
(3)コンクリート配合物において、水/[(A)成分+(B)成分+(C)成分]重量比が0.2未満である上記(2)に記載の遠心成形コンクリート製品、及び
(4)JIS A 1136「遠心力締固めコンクリートの圧縮試験方法」に準じて測定した圧縮強度が100N/mm2以上である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の遠心成形コンクリート製品、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、低水/結合材比下でも流動性が良好なコンクリート配合物を用い、遠心成形時におけるスラッジの発生が少ない上、内面仕上がり性が良好で、かつ高強度の遠心成形コンクリート製品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の遠心成形コンクリート製品は、(A)セメント、(B)硫酸カルシウム、(C)合成真球状二酸化珪素微粉末、(D)骨材及び水を含むコンクリート配合物を遠心成形してなるコンクリート製品であり、まず、前記コンクリート配合物について説明する。
[コンクリート配合物]
当該コンクリート配合物において、(A)成分として用いられるセメントについては特に制限はなく、従来遠心成形コンクリート製品に使用されているセメントの中から、コンクリート製品の用途に応じて、適宣選択することができる。
このようなセメントとしては、例えば、普通、中庸熱、低熱、早強、超早強、耐硫酸塩など各種ポルトランドセメント、高炉セメントやフライアッシュセメントおよびシリカセメントなどの混合セメントなどから選ばれる少なくとも一種を挙げることができる。
【0011】
当該コンクリート配合物において、(B)成分の硫酸カルシウムとしては、例えば石膏を用いることができ、この場合は無水、二水、半水いずれも用いることができる。また、ブレーン値は3000〜8000cm2/gの範囲にあるものが好ましい。
【0012】
当該コンクリート配合物において、(C)成分として用いられる合成真球状二酸化珪素微粉末は、非晶質SiO2 を主成分とする微粒子材料であり、例えば、酸素含有雰囲気中で金属珪素粉末に着火し、燃焼火炎を形成して金属珪素粉末を連続的に酸化燃焼して製造される合成品である。また、その金属珪素粉末の酸化燃焼時に二酸化珪素粉末を共存させて該二酸化珪素粉末中の不純物を燃焼させたものであってもよい。このような合成品であるゆえに、他の材料生産時の副生物で不純物が多いシリカフュームとは異なり、SiO2含有量が99重量%以上、1000±50℃での強熱減量が0.3重量%以下と高純度であり、未燃カーボンや三酸化硫黄、酸化マグネシウムなどのモルタルおよびコンクリートに有害な不純物をほとんど含有せず、かつBET法比表面積が1〜4.8m/gの比較的粒径の大きい真球状二酸化珪素微粉末である。
本発明で使用する合成真球状二酸化珪素微粉末は、BET法比表面積が上記範囲であり、粒径は数μmから数十μmでシリ化フュームの数倍から数十倍と大きく、嵩密度が大きいため取扱い性がよく、コンクリート配合物中での分散性に優れて練り混ぜが容易であり、高い流動性のコンクリート配合物が得られる。
かかる合成真球状二酸化珪素微粉末は、市販品では、アドマテックス社製のアドマファインSO−E3、SO−E5、SO−E6、SO−C3、SO−C5、SO-C6等として入手できる。
このような真球状二酸化珪素微粉末はシリカフュームと比較して(1)粒径が大きいことから凝集の程度が低く分散性に優れており、低水/セメント比であっても多量に使用が可能である、(2)真球度が高いため流動性に優れ粘性が小さい、(3)不純物が少なく多量に使用した場合でもコンクリートの諸物性に悪影響を及ぼさないなどの特徴があり、遠心成形性に優れた高強度コンクリート製品が作製できる。
一方、微細なシリカフュームをバーナーの火炎中で溶融、球状化させて、平均粒径8μm未満の比較的粒径の大きな球状シリカ粒子を製造する方法が提案されている(特開2001−97712号公報)。この球状シリカ粒子は、取扱い性がよく、コンクリート配合物の流動性を良好にする効果を有するものの、シリカフュームに混在する酸化マグネシウムなどの無機不純物は除去することができず、コンクリートの品質を安定させることが難しい。
【0013】
当該コンクリート配合物において、前記(B)成分の硫酸カルシウム及び(C)成分の合成真球状二酸化珪素微粉末の含有量は、遠心成形製品に要求されるワーカビリティ、スラッジ発生の抑制、内面仕上がり性及び強度などの観点から、(A)成分のセメント100重量部に対し、(B)成分の含有量が3〜17重量部、好ましくは5〜15重量部であり、(C)成分の含有量が7〜43重量部、好ましくは10〜40重量部である。
【0014】
当該コンクリート配合物において、(D)成分として用いられる骨材には細骨材及び粗骨材がある。前記細骨材としては、例えば、通常のモルタルやコンクリートに使用されている山砂、陸砂、海砂、川砂、砕砂、高炉スラグ細骨材、フェロニッケルスラグ細骨材、銅スラグ細骨材や電気炉酸化スラグ等が挙げられる。上記細骨材は、JIS A 1103「骨材の微粒分量試験方法」の方法により求められる微粒分量が5重量%以下であるものが好ましく、さらに好ましくは、3重量%以下である。一方、粗骨材としては、例えば、川砂利、山砂利、陸砂利、海砂利、砕石、高炉スラグ粗骨材、電気炉酸化スラグ等が挙げられる。
また、使用する細骨材、粗骨材ともに所要強度を満足できる品質を持ったものを選定する。
【0015】
当該コンクリート配合物における、セメント、細骨材及び粗骨材の含有量については特に制限はないが、高強度コンクリートであることを考慮し、水/[(A)成分+(B)成分+(C)成分]重量比は、0.2未満であることが好ましい。該重量比が0.2未満であれば、所望の強度を有する遠心成形コンクリート製品を得ることができる。該重量比の下限は、練り混ぜに要する労力や練り上がったコンクリートのハンドリング性などを考慮すると、通常1.5程度である。
また、当該コンクリート配合物には、所望により(E)成分として減水剤を含有させることができる。この減水剤としては、高性能減水剤や、ポリカルボン酸塩系減水剤である高性能AE減水剤が挙げられ、リグニンスルホン酸塩等の一般的な減水率の小さい減水剤は効果が得られにくい。高性能減水剤とは、ポリアルキルアリルスルホン酸塩系やメラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系のいずれかを主成分とするものである。
【0016】
ポリアルキルアリルスルホン酸塩系高性能減水剤には、メチルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、及びアントラセンスルホン酸ホルマリン縮合物等があり、市販品としては電気化学工業(株)社製商品名「FT−500」とそのシリーズ、花王(株)社製商品名「マイティ−100(粉末)」や「マイティ−150」とそのシリーズ、第一工業製薬(株)社製商品名「セルフロー110P(粉末)」、竹本油脂(株)社製商品名「ポールファイン510N」など、山陽国策パルプ(株)社製商品名「サンフローPS」とそのシリーズなどが代表的である。藤沢薬品工業(株)社製商品名「パリックFP200H」シリーズの芳香族アミノスルホン酸塩系高性能減水剤もこのカテゴリーに入るものである。メラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系高性能減水剤には、グレースケミカルズ社製商品名「FT−3S」、昭和電工(株)社製商品名「モルマスターF−10(粉末)」や「モルマスターF−20(粉末)」が挙げられる。
ポリカルボン酸塩系高性能AE減水剤としては、(株)エヌエムビー社製商品名「レオビルドSP8」シリーズ、(株)フローリック社製商品名「フローリックSF500」シリーズ、竹本油脂(株)社製商品名「チュポールHP8,11」シリーズ、グレースケミカルズ(株)社製商品名「ダーレックススーパー100,200,300,1000」シリーズ、及び花王(株)社製「マイティ21WH,3000S」などがあり、その他の市販品も使用される。
高性能減水剤や高性能AE減水剤の使用量は、前記の(A)成分と(B)成分と(C)成分との合計100重量部に対し、通常1.0〜2.5重量部程度である。
【0017】
次に、当該コンクリート配合物を用いて、遠心成形コンクリート製品を製造する方法について説明する。
[遠心成形コンクリート製品の製造方法]
まず、当該コンクリート配合物に用いる各成分を、所定の割合の配合で一軸式又は二軸式の強制練りパグミル型ミキサ、強制練りパン型ミキサ又は可傾式ミキサなどを用いて混練りすることにより、当該コンクリート配合物を調製する。
次いで、このコンクリート配合物を遠心成形型枠に投入して遠心成形を行う。遠心成形の条件に特に制限はなく、得られる遠心成形コンクリート製品の用途に応じて、従来使用されている条件の中から適宜選択すればよい。遠心条件は、通常、0.5G〜40G程度にて5〜40分間程度であるが、細密充填の面から、低速回転から、順次高速回転にすることが好ましい。
遠心成形終了後、遠心成形体は、室温にて2〜6時間程度放置したのち、蒸気養生を行うことが好ましい。具体的な養生条件としては、1時間当たり、10〜30℃程度の昇温速度で、60〜80℃程度に昇温して2〜6時間程度保持し、次いで、自然冷却して、成形体を脱型する。
このようにして、JIS A 1136「遠心力締固めコンクリートの圧縮試験方法」に準じて測定した圧縮強度が100N/mm2以上である遠心成形コンクリート製品を得ることができる。
本発明の遠心成形コンクリート製品は、遠心成形時におけるスラッジの発生が少ない上、内面仕上がり性が良好で、かつ高強度であり、例えばパイル、ポール、ヒューム管などに用いられる。
【実施例】
【0018】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが本発明は、これらの例によって、なんら限定されるものではない。
なお、コンクリート試験体作製時に排出されたスラッジの量、コンクリート試験体の内面仕上がり性及びコンクリート試験体の圧縮強度は、以下に示す方法に従って求めた。
(1)スラッジ排出量
遠心成形終了後、排出されたスラッジの重量を測定し、遠心成形の型枠に投入したコンクリート配合物の全重量に対する割合を百分率で表した。
(2)コンクリート試験体の内面仕上がり性
内面の仕上がり性は目視によって判断し、試験体内面にモルタルの波打ちやダレといった現象が見られたものは不良とした。
(3)コンクリ−ト試験体の圧縮強度
蒸気養生後、7日間自然放冷したコンクリート試験体(材齢7日)について、JIS A 1136「遠心力締固めコンクリート圧縮試験方法」に準じて圧縮試験を行い、圧縮強度を測定した。
【0019】
また、使用した材料を下記に示す。
セメント(C);普通ポルトランドセメント、密度:3.16g/cm3
細骨材(S);静岡県掛川産、山砂、密度:2.60g/cm3
粗骨材(G);茨城県岩瀬産、砕石、密度:2.66g/cm3
硫酸カルシウム(ADl);天然無水石膏、ブレーン値:7000cm2/g
混和剤(SP);ポリカルボン酸系高性能AE減水剤[花王社製「マイティ21WH」]
次に、使用した合成真球状二酸化珪素微粉末(AD2)及びシリカフューム(AD3)の性状を表1に示す。
【0020】
【表1】

【0021】
SiO2の含有量はセメント協会法「けい酸質原料の化学分析方法」、SO3(三酸化硫黄)およびMgOの含有量は、JIS R 5202「ポルトランドセメントの化学分析方法」にそれぞれ準じて測定した。強熱減量は、JIS A 6201「コンクリート用フライアッシュ」に準じて1000±50℃で測定した。また、未燃炭素(未燃カーボン)量の指標として、メチレンブルー吸着量をセメント協会法の「メチレンブルー吸着量試験」に準じて測定した。BET法比表面積は、「窒素吸着法」によって測定した。
なお、FE−SEM(電界放出型走査電子顕微鏡)を用いて、倍率5千倍〜5万倍で観察すると,AD2は粒径約0.5〜50μmの真球状の一次粒子があまり凝集していないのに対し、AD3は粒径約0.1〜0.3μmの球状もしくは非球状の一次粒子のほとんどが凝集し、粒径約10〜50μmの異形状の二次粒子を形成しているものである。
【0022】
表1より、AD2は、AD3よりSiO2含有量が高く、不純物であるSO3とMgO含有量は極めて低い。また、AD2はAD3より強熱減量およびメチレンブルー吸着量が著しく少ないため、未燃炭素(未燃カーボン)が少ないと判断される。またBET法比表面積は、AD2がAD3より大幅に小さいことは明らかである。
【0023】
実施例1〜8及び比較例1〜6
表2に示す配合組成のコンクリート配合物を調製した。材料の投入及び練り混ぜ手順は、まずセメント(C)、細骨材(S)、粗骨材(G)、AD1、及びAD2又はAD3を表1に示す割合で二軸強制練りミキサに投入し、30秒間攪拌したのち、練り混ぜ水及び高性能AE減水剤を表1に示す割合で投入して3分間練り混ぜ、コンクリート配合物を調製した。なお、水/結合材重量比は0.175で一定とした。また、高性能AE減水剤(SP)は、練り混ぜ水とみなして水量を補正した。
次に、このようにして得られたコンクリート配合物を、遠心成形型枠(直径20cm×高さ30cm)に投入後、2G(5分)、6G(1分)、12G(1分)及び20G(5分)の条件で遠心成形を行った。成形終了後は排出されたスラッジの量および内面の仕上がり性を確認した。また、成形の終了したコンクリートは、前置き4時間、昇温速度20℃/h、最高温度80℃、最高温度4時間保持の条件で、蒸気養生を行い、自然放冷後に脱型してコンクリート試験体を作製した。コンクリート試験体は7日間気中にて2次養生を行った後に圧縮強度を求めた。
その結果を表3に示す。
【0024】
【表2】

【0025】
【表3】

【0026】
表3から分かるように、本発明の遠心成形コンクリート製品(実施例1〜8)は、いずれも遠心成形においてスラッジの排出がなく、かつ該コンクリート製品は内面仕上がり性が良好であって、圧縮強度が100N/mm2を超えている。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の遠心成形コンクリート製品は、遠心成形時におけるスラッジの発生が少ない上、内面仕上がり性が良好で、かつ高強度であり、例えばパイル、ポール、ヒューム管などに用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)セメント、(B)硫酸カルシウム、(C)合成真球状二酸化珪素微粉末、(D)骨材及び水を含むコンクリート配合物を遠心成形してなるコンクリート製品であって、前記(C)成分が、SiO2含有量99重量%以上、1000±50℃での強熱減量0.3重量%以下及びBET法比表面積1〜4.8m2/gであり、かつ、コンクリート配合物において、(A)成分のセメント100重量部に対し、(B)成分の含有量が3〜17重量部であり、(C)成分含有量が7〜43重量部であることを特徴とする遠心成形コンクリート製品。
【請求項2】
コンクリート配合物が、さらに(E)減水剤を含む請求項1に記載の遠心成形コンクリート製品。
【請求項3】
コンクリート配合物において、水/[(A)成分+(B)成分+(C)成分]重量比が0.2未満である請求項2に記載の遠心成形コンクリート製品。
【請求項4】
JIS A 1136「遠心力締固めコンクリートの圧縮試験方法」に準じて測定した圧縮強度が100N/mm2以上である請求項1〜3のいずれかに記載の遠心成形コンクリート製品。

【公開番号】特開2008−195588(P2008−195588A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−34482(P2007−34482)
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(000183266)住友大阪セメント株式会社 (1,342)
【Fターム(参考)】