説明

遠隔映像監視システム

【課題】映像中の異常な部分を容易に判るように他者に伝達する。
【解決手段】 カメラで撮影した映像をエンコーダで映像符号化して出力する監視カメラ装置と、映像符号化された映像を入力されそれを復号して表示装置に再生する監視所設備とが、IPネットワークで通信可能に接続される。
前記監視所設備には、監視員からの手書き操作を受け付ける入力手段(マウス、タッチパネル)と、前記受け付けた手書き操作のデータを描画データに変換し、所定のプロトコルで前記エンコーダに送信する手書きデータ送信手段(パソコン端末22、管理サーバ21)と、を設ける。監視カメラ装置は、入力された映像の信号に、前記手書きデータ送信手段からの該描画データを処理して生成した描画映像信号を合成した後、該合成された信号を映像符号化するエンコーダを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔映像監視システムに関し、特に操作者の操作に応じた映像の配信を行う遠隔映像監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、監視カメラで撮影した映像を符号化し、IPネットワークを介して監視センタ等に伝送するCCTV(Closed Circuit TeleVsion)システムが知られる(例えば、特許文献1乃至3参照。)。
【0003】
監視の対象の一例として、道路、河川等の公共建造物が挙げられる。これらの監視では、災害等により異常が発生したときに、映像を見て状況を観察し、必要に応じて現地確認を行い、復旧作業や交通規制、避難等の対応を行うことが考えられる。監視センタにおいて、映像から亀裂や漏水のような異常の兆候を発見した場合には、関係者やパトロール員にその映像を配信する。
【0004】
状況説明のない映像だけの配信では、状況の把握が十分にできない恐れがあり、映像の取扱者にとって監視上便利な文字情報をインポーズした合成画像を表示できると便利である。
【0005】
特許文献1には、監視エリアのカメラ画像データを取得するカメラ装置、及びこのカメラ画像データを符号化した符号化画像データを生成するエンコーダを有するカメラシステムと、インポーズ文字列データを送信する映像管理サーバと、前記符号化画像データに前記インポーズ文字列データを合成して合成画像データを生成すると共に、この合成画像データを復号化して復号画像データを生成するデコーダと、前記復号画像データを受信して前記インポーズ文字列を含むカメラ画像を画面表示する表示装置とを有する映像監視ターミナルと、を備えた映像監視システムが開示されている。
【0006】
特許文献2には、カメラや文字信号発生部を有する複数の監視装置が、ネットワークを介して外部から受信した監視コードに対応する警報文字を前記カメラの映像に重畳して、映像集配装置にネットワークを介して送信する監視システムが開示されている。
【0007】
この他、本発明に関連する技術として、無線式のリモコンによりモニター表示器を操作可能な無線制御モニター装置が知られる(例えば、特許文献4参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−67974号公報
【特許文献2】特開2005−136557号公報
【特許文献3】特開2004−96197号公報
【特許文献4】特開2002−112247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
映像に異常兆候があっても、熟練した監視員以外は、映像中のどこに異常があるのか容易に判らない場合がある。しかしながら、特許文献1や2の監視システムでは、監視映像に重畳できるのは文字であり、手書き入力された図形等は表示できないため、映像中の異常な部分を指し示すような使い方ができないという問題があった。
また、文字を映像に重畳させるとしても、監視センタでも通常はほとんど使用しないキーボード等から文字を入力しなければならず、またキーボードを有しない携帯通信端末等も考慮すると、映像に応じた機敏な入力が難しいという問題があった。
【0010】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、映像中の異常な部分を関係者等に容易に判るように伝達する遠隔映像監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の遠隔映像監視システム。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、監視者による任意図形等の入力操作を受け付けて、その任意図形等を映像の配信元で重畳してから映像符号化するようにしたので、映像中の異常な部分を容易に他の映像閲覧者に指し示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】監視システム1の構成図(実施例1、2)
【図2】エンコーダ13の機能ブロック図(実施例1、2)
【図3】パソコン端末22等で入力操作された描画データが、エンコーダ13で監視カメラ映像に重畳されるまで流れを示すフローチャート(実施例1、2)
【図4】無線リモコン26の外観図(実施例1)
【図5】Javaアプリを起動させた状態の携帯通信端末40の画面表示例(実施例2)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の遠隔映像監視システムの実施の形態を、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、実施例1に係る監視システム1の構成図である。
【0016】
監視システム1は、複数の監視カメラ装置10と、監視員が監視を行う監視所20によって構築される。監視カメラ装置10のそれぞれと監視所20とは、IPネットワーク30で接続されている。
監視カメラ装置10は、雲台カメラ11、雲台カメラ制御器12、エンコーダ13、伝送装置14から構成されている。
【0017】
雲台カメラ11は、電動雲台と一体化された監視用ビデオカメラであり、撮像した映像をアナログ信号で雲台カメラ制御器12に出力する。また雲台カメラ制御器12からの雲台制御信号に従い、雲台のパンチルトやズームを駆動して、撮像範囲(画各)を所望の向き及び倍率にする。
【0018】
雲台カメラ制御器12は、雲台カメラ11と専用のケーブルで接続され、雲台カメラ制御器12からのアナログ映像信号を、標準的なアナログ映像信号にしてエンコーダに出力する。また伝送装置14を介して受信した制御コマンドパケットに従い、雲台制御コマンドや、カメラ制御コマンドを雲台カメラ11に出力するとともに、それらコマンドの応答を雲台カメラ11から受信して制御元に応答パケットとして送出する。カメラ制御コマンドは、AGC(自動利得制御)やホワイトバランス、自動電子シャッター等を設定したり、カメラをセルフチェックするためものである。
【0019】
エンコーダ13は、アナログビデオ入力端子とネットワークインタフェースを備え、監視カメラ11が撮影した映像のアナログ信号を、監視所20からの映像要求に応じて映像符号化データに変換しIPパケット化して出力するネットワーク機器であり、ビデオIPサーバ等とも呼ばれる。RTSP等を用いたライブ映像(動画)の送信の他、HTTP等を用いた静止画の送信機能も有している。本実施例では、監視所20から受信した重畳画像データを監視カメラ11が撮影した映像にオーバレイさせてから、映像符号化を行うことが特徴である。
【0020】
伝送装置14は、雲台カメラ制御器12及びエンコーダ13をIPネットワーク30に接続しIP通信を行えるようにする装置であり、ハブ装置、ネットワークスイッチ(L2/L3)、ルータ、イーサネット(商標)−SDH(Synchronous Digital Hierarchy)変換器等を適宜用いる。
【0021】
次に監視所20について説明する。監視所20には、管理サーバ21、パソコン端末22、デコーダ23、大型表示装置24、無線操作中継装置25、無線リモコン26、伝送装置27、ルータ28が設置され、各装置は監視所LAN29で接続されている。
【0022】
管理サーバ21は、監視システム全体を管理するサーバであり、監視員によるパソコン端末22や無線リモコン26からの各種操作による信号や操作権を問合せる信号や、監視カメラ装置10からのアラーム信号を受信し、それに応じて監視カメラ装置10やデコーダ23を制御したり、操作権の情報や映像の受信に必要な情報を要求元のパソコン端末22等に通知したり、回転灯等(図示せず)を作動させて発報したりする。監視カメラ装置10やパソコン端末22、デコーダとの制御上の通信には、例えばONVIF(Open Network Video Interface Forum Core Specification Version 1.0
2008年11月)を利用でき、無線リモコン26(無線操作中継装置25)との通信には、より単純なプロトコルを利用できる。
また、携帯通信端末(図示せず)への映像(静止画も含む)の配信を行うための、メールサーバ機能やWebサーバ機能を有してもよい。
【0023】
パソコン端末22は、監視員が使用する端末であり、ソフトウェアデコード機能を有し、任意の複数の監視カメラ装置10の雲台カメラ制御器12やエンコーダ13に直接あるいは管理サーバ21を介して映像要求をし、映像を周期的或いは巡回的に受信して、それらを選択可能に一覧表示(タイル表示)したり、選択された映像1つを全画面表示したり、雲台を操作したりする。またエンコーダ13あるいはデコーダ23に、直接あるいは管理サーバ21を介してアクセスし、デコーダ23が受信すべき映像の指示等の操作を行う。なお、パソコン端末22は複数台備えられ得るが、デコーダの表示出力を変更操作できるのは、特定の1台のみとする。
本実施例の特徴として、パソコン端末22は更に、画面に表示されるポインタをマウス等で操作することで、表示された映像上に任意の線を描画するとともに、描画された線のデータ(ラスターあるいはベクトルイメージデータ)を圧縮して、エンコーダに送信する。
【0024】
デコーダ23は、複数の監視カメラ装置10から送信される映像符号化データを受信して復号し、それらの映像をタイル状に結合して、RGB信号等の汎用のインターフェースで大型表示装置24に出力する、HD対応型の映像復号化装置である。デコーダ23は、パソコン端末22に指示された映像を受信できるように自らエンコーダ13に映像要求してもよく、単に自身のIPアドレス宛に送られてきた映像を復号するようにしてもよい。
【0025】
大型表示装置24は、1920×1080画素の高解像度の映像を表示することができる。
無線操作中継装置25は、ZigBee―IPゲートウェイであり、IEEE802.15.4として規格化された無線ネットワークと、IPネットワークとの間で通信できるように、アドレス変換やプロトコル変換等を行う。必要に応じ、IPネットワーク上の通信相手となる管理サーバ21等のIPアドレスを記憶する。
【0026】
無線リモコン26は、パソコン端末22が行うことができる操作機能の一部を有し、ボタンの押下により、操作対象の監視カメラ装置10を選択し、雲台やズーム、フォーカス等を操作する。
無線リモコン26は例えば、パソコン端末22が用いるものと同じ形態の制御コマンド(ONVIFのSOAPメッセージ)をIPパケット化(ヘッダは未完成でもよい)し、無線ネットワークに送出する。操作コマンドは無線操作中継装置25のネットワーク層ゲートウェイ機能により完全なIPパケットになって、エンコーダ13やデコーダ23等に伝送される。あるいは、無線リモコン26等においてパソコン端末22が用いる操作コマンド(或いは無線リモコン26の各ボタン類)に対応するApplication Objectを定義しておき、無線リモコン26は、ボタン押下時にこのObjectを利用してメッセージを送信し、無線操作中継装置25のアプリケーションがこのメッセージを操作コマンドに変換してそのメッセージ(Object)に対応付けれたURIを宛先としてIPネットワークに送出する。このとき変換される操作コマンドは、パソコン端末22が用いるものと同じでくても管理サーバ21で解釈できればよく、より単純な数バイトのキーコードのようなものでもよい。
【0027】
伝送装置27は、伝送装置14と同様の装置であり、監視所LAN29をIPネットワーク30に接続する。
ルータ28は、監視所LAN29をインターネットや携帯電話のパケット網等に接続する。
【0028】
図2は、エンコーダ13の機能ブロック図である。実際には、符号31、32、40、44、45以外のブロックは、DSP等のソフトウェア実行手段で実現される。また、各ブロックには、一時メモリや不揮発メモリを要するものがあるが、図示を省略した。
AFE(Analog Front-End)31は、コンポジットビデオ信号等を入力し、A/D変換後、くし型フィルタやノッチフィルタによるY−C分離、クロマ処理等を行う。
デインタレース部32は、AFE31から入力されたインタレース映像をプログレッシブ映像に変換する。
【0029】
映像処理部33は、デインタレース部32から入力された映像信号に対して、視覚的ダイナミックレンジ拡張作用があるニー補正、ゆれ補正、超解像処理、デジタルズーム(部分切り出し)等、デジタル信号処理による各種映像変換を行う。
OSD(On Screen Display)部34は、映像処理部33から入力された映像信号に、監視所20から送られてきた描画データに基づいて生成した描画映像信号を合成(スーパインポーズ)して出力する。
【0030】
映像符号化部35は、OSD部34から入力された映像信号をJPEG、MPEG4、H.264等の方式で符号化し、符号化映像データを出力する。符号化方式やフレームレート等のパラメータは制御部42(後述)から与えられる。
メモリ36は、現在から過去一定量の符号化映像データを常時記憶するリングバッファであり、RTP処理部に読み出された後も最新の映像に上書きされるまで保持されるので、プリアラーム録画や、通信速度変動への対処に用いられる。
【0031】
RTP処理部37は、メモリ36から符号化映像データを順次読み出してRTPパケット化し、トンネル処理部38(後述)に出力する。RTCPの送信者レポートや受信レポートをトンネル処理部38を介して監視所20側と送受信し、RTPパケット化のレートを制御する。パケット化のサイズは、後段のカプセル化(トンネリング処理)のオーバヘッドを見込んで1500バイト以下に調整する。RTP処理部37は、制御部42からの指示により、レートを固定にしたり、RTPパケット化せずに読み出した符号化映像データをそのまま出力したりする。
【0032】
トンネル処理部38は、RTSPやHTTPプロトコル機能を有し、RFC2326の“10.12 Embedded (Interleaved) Binary Data”の規定に従い、RTPパケットやRTCPパケットを1つずつ、”$”文字で始まる簡易なヘッダを付してカプセル化する。RTSPトンネリングのみ用いる場合は、このデータをRTSPのポート番号を指定してL2−l3処理部39(後述)に出力する。HTTPトンネリングを行う場合は、生のあるいはカプセル化さらたRTP(RTCP)パケットに、HTTPヘッダを付してカプセル化したhttpメッセージとして、HTTPのポート番号を指定してL2−l3処理部39に送出する。逆に受信の際は、これと反対の処理を行う。
【0033】
L2−L3処理部39は、ソケット通信を提供するものであり、トンネル処理部38等から入力されたデータをTCPやUDPでパケット化し、更にIPパケット化してLAN
I/F40(後述)に出力するとともに、LAN I/F40から受け取ったIPパケットに対してはこれと逆の処理をし、バインドされたコネクション毎に振り分けてトンネル処理部38等に出力する。
LAN I/F40は、IPネットワーク30に応じたMAC層及び物理層の処理を行う。
【0034】
HTTP処理部41は、HTTP(及びHTTPS)サーバ機能を有し、RTSPのセッション開始に必要なメタファイルの送信や、エンコーダ13の各種設定を行うWebページの提供を行う。HTTP処理部41は、cgiパラメータによる設定変更や、POSTメソッドによるデータ送信(OSD描画データ)を監視所20のパソコン端末22等から受け付け、制御部42に渡す。例えば、パソコン端末22は、下記の2行で始まるヘッダを有するHTTPリクエストメッセージを送信する。
GET cgi-bin/ctrl.cgi?(設定項目名)=(設定値)
Host: www.******.ne.jp
HTTP処理部41はまた、HTTPトンネリングで受信した、雲台制御コマンドやカメラ制御コマンドを、デカプセル化して、プロトコル変換部43(後述)に渡すとともに、プロトコル変換部43から受け取った雲台制御コマンド等に対してその逆の処理をする(本実施例では使用しない)。
【0035】
制御部42は、エンコーダ13全体の動作を司る部分であり、HTTP処理部41が受け付けた各種設定やデータを、映像符号化部35、OSD部33等に出力して、設定を反映させる。
プロトコル変換部43は、接続される雲台カメラのコマンド体系に合うように、雲台制御コマンドやカメラ制御コマンドを変換する。
【0036】
RS―485I/F44は、プロトコル変換部43が変換したコマンド等を雲台カメラ等と双方向に通信するための物理インタフェースを提供する。
接点I/O45は、雲台カメラ11付近に設けられる人感センサ等や緊急ボタン等の信号を入力したり、雲台カメラのワイパーやデフロスタ、あるいは警報ブザー等のON/OFF制御信号を出力したりするための、汎用の接点入出力回路であり、制御部42により制御される。プロトコル変換部43やRS―485I/F44は、雲台カメラ制御器12に備えられるものと同じであり、本例では特に使用しない。
【0037】
音声符号化部46は、雲台カメラ11付近に設けられるマイク等から入力される音声信号を、ADPCM等の方式で符号化した音声符号化データを出力する。
メモリ47は、メモリ36同様のリングバッファである。
なお、トンネル処理部38において、映像符号化データと音声符号化データのRTPパケット等は、1つのコネクションあるいはセッションにまとめられる場合がある。
【0038】
音声復号化部48は、パソコン端末22等から送信されRTP処理部37を介して受け取ったRTPパケット等を復号化し、アナログ音声信号に変換して出力する。この音声出力は、雲台カメラ11付近に設けられるスピーカ等に接続される。
【0039】
図3は、パソコン端末22等で入力操作された描画データが、エンコーダ13で監視カメラ映像に重畳されるまで流れを示すフローチャートである。
ステップS101において、パソコン端末22は、マウスやタブレット等のポインティングデバイスからの入力を受け付ける。これは、OSやデバイスドライバにより実現され、この入力イベントによりこのフローが開始する。例えば、OSが米国マイクロソフト社のWindows XPであれば、画面に表示されるウィンドウ内に、自由曲線、矢印、矩形枠、文字等の描画入力指示のボタンコントロールをそれぞれ設けておく。
【0040】
ステップS102において、パソコン端末22は、ステップS101で受け付けた入力が描画入力か否かを判断する。例えば、User32.dll等で提供されるAPIを利用することにより、自由曲線のボタンコントロールからの押下メッセージ後に、マウスの左ボタンが押された状態でマウスの座標が変化したかどうか(つまり直近の処理済の座標を受け取った後、マウスの左ボタンが離されたというイベントを挟まないで、現在の座標を受け取っかどうか)を判断する。あるいは、矢印(矩形)のボタンコントロールからの押下メッセージ後に、マウスの左ボタンが押され、その後異なるの座標に移動して左ボタンが離されたかを判断する。描画入力でないと判断した場合、このフローの処理は終了する。
【0041】
ステップS103において、パソコン端末22は、描画入力に従って、その描画入力に軌跡を画面に表示する。例えば、GDIオブジェクトを作成しておき、直近の処理済の座標と現在の座標を結ぶような直線を描画するAPI関数を用いて描画する。なお、マウス等による描画入力のほか、テレメータ等で取得した数値から自動生成した文字や図形等を、描画入力同様に映像に重畳させて表示するようにしてもよい。
【0042】
ステップS104において、パソコン端末22は、描画入力(自動生成文字/図形を含む)あるいはその描画結果のデータをデータ形式を適宜変換して、描画データとして、映像の送信元の監視カメラ装置10のエンコーダ13に送信する。データ形式としては、S103で描画する直線と同様に2点の座標を指定するもの(ベクトルデータ)や、GDIオブジェクトから取得できるビットマップ(表示すべき全ての描画入力が反映されている)をLZH形式で圧縮したもの等が利用できる。また、線の色、太さ等の情報を含んでもよい。これらの描画データは、HTTPのPOSTあるいはPUTメッセージに同封するか、GETメッセージ等のcgiパラメータとして与えて、エンコーダ13のURI宛に送信する。
【0043】
ステップS105において、描画入力された現在の座標を、直近の処理済の座標として保存する。
【0044】
ステップS106において、エンコーダ13のHTTP処理部41は、S105でパソコン端末22から送信されたHTTPメッセージを受信し、描画データを制御部41に渡すか、一時メモリ(不図示)に保存する。また受信に対する応答メッセージを返信する。受信した描画データにおいて線の色、太さ等が指定されていない場合、デフォルトの値を適用する。これらの指定のない描画データが、異なる複数のパソコン端末22等から送信されHTTP処理部41で受信された場合は、後から描画データを受信したパソコン端末22のデフォルト値を、先に描画データを受信していたパソコン端末22のデフォルト値とは、自動的に異ならせて設定する。
【0045】
ステップS107において、制御部41は、S105で受信した描画データを処理して、OSD部33のビデオメモリ(1フレーム分のビットマップ)に書き込む。書き込むタイミングは、映像符号化部35がIピクチャ(IDRピクチャ)で符号化するフレームの直前とする。そして、雲台のパンチルトやズームが駆動された時点で、ビデオメモリを全て消去する(自動生成文字/図形はこの限りではない)。
OSD部33は、Iピクチャに同期してその整数倍の周期で、ビデオメモリに書き込まれた描画データのカラーテーブルを変化させてもよい。これにより描画データを点滅等させて視認性を高めることができる。
【0046】
図4は、無線リモコン26の外観図である。無線リモコン26は、箱型の外形であり、操作面となる上面に、電源ボタン51と、多画面表示ボタン52と、1対の映像選択ボタン53と、INITIALボタン54と、WIPERボタン55と、LIGHTボタン56と、1対のFOCUSボタン57と、1対のZOOMボタン58と、雲台制御十字キー59と、0〜9に対応するPRESETボタン群60と、LED61とを有している。また、顕示手段62(不図示)を内蔵している。大勢で閲覧する大型表示装置24等の表示を直接操作することも想定し、画面上にガイダンス等は表示させず、ボタン類の1回の押下で直接的に操作が反映されるようになっている。
【0047】
電源ボタン51は、無線リモコン26の電源を入切するボタンである。LED61は、電源ボタン51および電源入り時には他の全てのボタンを押下したときに、一定時間点灯する。
【0048】
多画面表示ボタン52は、押下するたびに、画面表示の形態を1画面表示か多画面表示かを切り替えるものである。
映像選択ボタン53は、1画面表示中は、表示対象の監視カメラ装置10を複数の中から所定の順序で1つずつ順送りあるいは逆送りするものであり、多画面表示中は現に表示中の複数の映像内で、1つを選択するためのものである。後者の選択操作は、選択された映像に一定時間、枠がついて表示されることで画面上に反映される。
【0049】
INITIALボタン54は、画面表示を初期状態に戻すためのものであり、例えば、短く押したときは、所定の監視カメラ装置10の所定のプリセットにおける映像を表示するようにし、長く押したときは、エンコーダ13やデコーダ23や雲台カメラ制御器12、雲台カメラ11にリセット信号を送り、その後無線リモコン26自身もリセットして以前の操作を全て解除してから、上記同様の表示をする。なお、プリセットとは、同じ画各でいつでも撮影できるように、雲台カメラの少なくともパン、チルト及びズームの位置を定めたものであり、更にホワイトバランスや逆光補正、解像度等の設定も含みうる。
【0050】
FOCUSボタン57と、ZOOMボタン58は、1画面表示中のときは表示された、多画面表示中は選択された映像に対して、それを撮影した監視カメラ装置10の雲台カメラ11の焦点とズームとをそれぞれ操作するためのものである。
雲台制御十字キー59は、望ましくは2軸のポジションセンサであり、左右及び上下方向の押下量に応じて雲台カメラ11のパン及びチルトの駆動速度を与えるものである。
【0051】
PRESETボタン群60は、1画面表示中は、表示中の監視カメラ装置10に予め設定された複数あるプリセットの番号に対応付けられて、押下により、そのプリセットに雲台カメラが向くようにするものである。多画面表示中は、複数ある多画面割付設定に対応付けられて、押下により、その割付設定で表示が行われる。なお多画面割付設定とは、例えば4画面の場合、4つの監視カメラ装置10およびそれらのプリセットの組を定義する設定情報である。
【0052】
顕示手段62は、ブザーあるはバイブレータであって、エンコーダ13等の接点I/O45から入力されたセンサ信号等が、管理サーバ21や無線操作中継装置25を経由して無線リモコン26に伝達された時や、無線リモコン26からした操作に対して管理サーバ21から操作権がない旨或いはエラーの応答が返ってきた時に、鳴動する。
【0053】
本実施例に拠れば、パソコン端末22での操作で、自由曲線、矢印、矩形枠、文字等が書き込まれた監視映像を、監視カメラ装置10から配信するので、他の閲覧者に同じ監視映像を容易に提供できる。
【実施例2】
【0054】
実施例2に係る監視システムは、携帯通信端末等からも映像への手書き入力を可能にした点で実施例1と異なる。
【0055】
本例の携帯通信端末40は、J2ME(Java 2 Micro Edition。javaは商標)の実行環境を有した一般的な携帯電話、PDA等であり、ルータ28を介して監視システム1と通信可能になっている。また表示画面に抵抗膜式或いは静電式のタッチパネルを有しており、指先やスタイラスペン等で手書き入力ができるようになっている。そして最初に、映像閲覧及び手書き入力を行うためのJavaアプリ(MIDLet)が、管理サーバ21から携帯通信端末40にダウンロード及びインストールされる。その際、そのJavaアプリの通信接続先の設定として、管理サーバ21のURI等が自動的に保存される。
【0056】
図5は、Javaアプリを起動させ、管理サーバ21からの映像を表示させた状態の画面表示例である。画面の左下にある「メニュー」から管理サーバ21のアドレス等を設定しておくと、Javaアプリの起動後、管理サーバ21からPUSH配信された映像(動画や静止画)があると自動的に受信して表示する。
【0057】
例えばiモード(商標)の場合、”com.docomostar.opt.ui.TouchDevice”クラスによりタッチパネルからの入力を、キーと同様にイベント受信することができる。
Javaアプリは、図4の”手書き”ボタンが押されると、タッチパネルからの入力を受けて、入力に応じた画面の座標に、軌跡を表示すると共に、冗長な入力を除く全てのタッチパネル入力をベクトルデータ等で蓄積する。”矢印”ボタンを押した場合、タッチした座標とリリースした座標のみを組にして扱う以外は”手書き”と同様である。
”戻す”ボタンが押されると、直近の蓄積ベクトルデータを所定の単位で削除し、削除後の蓄積ベクトルデータで軌跡の再表示を行い、記入操作を戻せるようになっている。
そして”記入結果をメール送信”ボタンが押されると、蓄積したベクトルデータおよび”文字”ボタンを押して記入したテキストを、HTTPのPOSTメソッド或いはEメールにより管理サーバ21に送信する。
なお映像の右下の領域には、”文字”ボタン押下時の入力テキストや、監視カメラの設置位置や撮影方向を表した地図等が表示される。
【0058】
管理サーバ21は、携帯通信端末40からベクトルデータを受信すると、実施例1においてパソコン端末22から送信したのと同じプロトコルで、それをエンコーダ13に送信する。
本実施例1では、パソコン端末22から手書き入力が逐次(リアルタイムに)エンコーダ13に送信されたが、本例では、携帯通信端末40で描き終えたデータが一括して管理サーバ21に届き、エンコーダ13に反映される。
【符号の説明】
【0059】
1 監視システム、 10 監視カメラ装置、
20 監視所、 30 IPネットワーク、
11 雲台カメラ、 12 雲台カメラ制御器、
13 エンコーダ、 14 伝送装置、
21 管理サーバ、 22 パソコン端末、
23 デコーダ、 24 大型表示装置、
25 無線操作中継装置、 26 無線リモコン、
27 伝送装置、 28 ルータ、
29 監視所LAN。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラで撮影した映像をエンコーダで映像符号化してIPネットワークに出力する監視カメラ装置と、該IPネットワークを介して受信した該映像符号化された映像を復号して表示装置に再生する監視所設備と、を備える遠隔映像監視システムにおいて、
前記監視所設備は、
監視員からの手書き操作を受け付ける入力手段と、
前記受け付けた手書き操作のデータを描画データに変換し、所定のプロトコルで前記エンコーダに送信する手書きデータ送信手段と、を有し、
監視カメラ装置は、
入力された映像の信号に、前記手書きデータ送信手段からの該描画データを処理して生成した描画映像信号を合成した後、該合成された信号を映像符号化するエンコーダを有することを特徴とする遠隔映像監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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