説明

遠隔検査システム

【課題】各自動検査装置に対して迅速に検査開始の開始コマンドを送信できるようにするとともに、検査対象物と検査結果データとの対応関係を特定できるようにする。
【解決手段】複数の自動検査装置2に接続されるマスターコンピューター3と、このマスターコンピューター3と自動検査装置2に接続されるサーバーコンピューター4とを設けてなるシステムにおいて、マスターコンピューター3から各自動検査装置2やサーバーコンピューター4に対して他の自動検査装置2で検査される検査対象物6と区別するための識別情報を送信し、自動検査装置2からサーバーコンピューター4に、前記識別情報に検査結果を付加した検査結果データを送信する。これにより、マスターコンピューター3がサーバーコンピューター4に検査結果データを転送する時間を短縮化して、他の自動検査装置2に開始コマンドを迅速に送信できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の自動検査装置を用いて検査対象物を検査する検査システムに関し、より詳しくは、離れた位置に設けられた複数の自動検査装置で効率よく検査できるようにした遠隔検査システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年では、通信網の発達により遠隔地で検査対象物を検査できるようにシステムが各種提案されている(特許文献1,特許文献2)。このようなシステムは、自動検査装置によって得られた検査結果データをネットワークを介してリアルタイムにサーバーコンピューターに送信し、サーバーコンピューターでその検査結果を分析して事後的に評価できるようにしたものである。
【特許文献1】特開2002−22713号公報
【特許文献2】特開2006−189422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、このように複数の自動検査装置を用いて検査対象物を検査する場合、一般的に次のような処理を行う。この検査の処理方法について図6を用いて説明すると、2は、複数の自動検査装置であって、カメラから取得された画像に基づいて自動的に検査対象物の良否を検査するものである。これら複数の自動検査装置は、同じ検査対象物の異なる領域の検査を行い、あるいは、同じ検査対象物の同じ検査領域の検査を行う。もしくは、各自動検査装置ごとに異なる検査対象物を検査する。一方、3は、マスターコンピューターであって、複数の自動検査装置の制御やデータの管理などを行い、例えば、各自動検査装置に検査開始を指示して検査を行わせ、また、各自動検査装置から送られてきた検査結果データを受信して不良原因毎に検査結果データを加工し、サーバーコンピューター4に送信できるようにしたものである。また、4は、サーバーコンピューターであって、マスターコンピューター3から送られてきた検査結果データを記憶部に格納し、事後的に目視検査装置で目視検査できるようにしたものである。そして、このように構成されたシステムにおいて検査対象物を検査する場合、図7に示すような処理を行う。
【0004】
まず、図7において、Sはサーバーコンピューターであり、Mはマスターコンピューターである。また検1や検2は、自動検査装置であり、マスターコンピューターMに接続されるものである。このようなシステムを用いて検査対象物を検査する場合、マスターコンピューターSは、スレーブコンピューターである一の自動検査装置(検1)に対して検査開始のための「開始指示」のコマンドを送信すると、自動検査装置(検1)は、その「開始指示」のコマンドを受信することによって、検査対象物をスタッカから取り出してカメラでその表面画像を撮影し、その画像とあらかじめ記憶部に格納しておいた基準データと比較して形成状態の良否を判定する。そして、その判定結果や不良箇所の座標、不良箇所の画像などをマスターコンピューターMに送信する。マスターコンピューターMはこれらの検査結果データを受信すると、その受信した検査結果データを不良原因ごとに並び替え、その並び替えられた検査結果データをサーバーコンピューターSに送信する。そして、サーバーコンピューターSが検査結果データを受信すると、記憶部にその検査結果を格納し、図示しない目視検査装置によってこれらのデータを読み出すことによって目視検査を行えるようにする。一方、マスターコンピューターMが検査結果データをサーバーコンピューターSに送信すると、マスターコンピューターMは、他の一の自動検査装置(検2)に対して検査開始のための「開始指示」のコマンドを送信し、自動検査装置(検2)に検査対象物の検査をさせる。
【0005】
しかしながら、このような検査処理においては、次のような問題を生ずる。すなわち、このようなシステムにおいては、マスターコンピューターが、一台ずつの自動検査装置に対して開始指示のコマンドを送信し、その自動検査装置から検査結果を受信してサーバーコンピューターに転送しなければならないため、検査結果データを受信してからサーバーコンピューターに送信するまでの間は、マスターコンピューターは、他の自動検査装置に対して「開始指示」のためのコマンドを送信することができない。このため、図7における待ち時間Aの区間においては、他の自動検査装置に対して開始コマンドを送信することができず、他の自動検査装置は検査開始を待機していなければならい。特に、このような自動検査装置が数十台設けられている場合は、マスターコンピューターは、各自動検査装置からの検査結果データの受信とサーバーコンピューターへの送信のために膨大な時間を取られ、各自動検査装置に対してタイミング良く検査開始のコマンドを送信することができなくなる。
【0006】
一方、各自動検査装置で独自に検査を開始し、その検査結果をマスターコンピューターに送信させるような方法も採用することもできるが、このようにすると、マスターコンピューターで受信した検査結果データがどの自動検査装置のどの検査対象物に対応したものかを事後的に特定することができなくなる可能性がある。このとき、各自動検査装置で独自に識別情報を発生させて検査対象物に割り当てることもできるが、他の自動検査装置との整合をとらなければ、重複した識別情報の発生の可能性もある。
【0007】
そこで、本発明は上記課題に着目してなされたもので、各自動検査装置に対してタイミング良く検査開始の開始コマンドを送信することで、効率よく検査を行うことができるようにするとともに、検査対象物と検査結果データとの対応関係を確実に特定できるようにした遠隔検査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は上記課題を解決するために、複数の自動検査装置に接続されるマスターコンピューターと、当該マスターコンピューター及び自動検査装置に対して通信可能に設けられたサーバーコンピューターとを設けてなる遠隔検査システムにおいて、前記マスターコンピューターに、各自動検査装置に対して当該自動検査装置で検査される検査対象物に付与される識別情報を送信する識別情報送信手段を設け、前記自動検査装置に、自動検査によって得られた検査結果に前記識別情報を付加した検査結果データをサーバーコンピューターに送信する結果データ送信手段を設け、さらに、前記サーバーコンピューターに、自動検査装置から送信されてきた検査結果データを格納する結果データ格納手段を設けようにしたものである。
【0009】
このようにすれば、マスターコンピューターは、自動検査装置で検査された検査結果データをサーバーコンピューターに転送する必要がないので、その分、次の自動検査装置に対して検査開始のコマンドをタイミング良く送信することができるようになる。これにより、他の自動検査装置における待機状態をなくし、効率よく検査を行わせることができるようになる。また、マスターコンピューターが検査対象物に対する識別番号を管理するので、収集された検査結果データのうち、どの検査結果データがどの自動検査装置のどの検査対象物に対応しているのかを確実に特定することができるようになる。
【0010】
また、このような発明において、マスターコンピューターからサーバーコンピューターに対しても識別情報を送信し、サーバーコンピューター側では、自動検査装置から送信されてきた検査結果データと、前記マスターコンピューターから送信されてきた識別情報とを記憶部を格納する。
【0011】
このようにすれば、サーバーコンピューターにマスターコンピューターからの識別情報と自動検査装置からの識別情報とが送信されてくるため、どの識別情報に対応する検査対象物が現在検査中であるのかを知ることができるようになる。また、自動検査装置で勝手に検査された場合における検査結果データを特定することができ、マスターコンピューターにおける検査のための管理機能を担保することができるようになる。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、マスターコンピューターで管理されている検査対象物の識別情報を各自動検査装置に送信し、自動検査装置でその識別情報に検査結果データを付加してサーバーコンピューターに送信するようにしたので、マスターコンピューターは、検査結果データを転送する必要がなくなり、他の自動検査装置に対して迅速に検査開始のコマンドを送信することができるようになる。また、マスターコンピューターで検査対象物に対する識別番号を管理して自動検査装置に送信するので、収集された検査結果データのうち、どの検査結果データがどの自動検査装置のどの検査対象物に対応しているのかを確実に特定することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本実施の形態における検査では、検査対象物6としてプリント基板を用いて、その表面に形成されたパッドや配線パターン、レジスト、シルクなどの形成状態を検査する場合について説明する。ただし、本発明との関係において、検査対象物はプリント基板だけでなく、液晶基板や実装基板などの他、物品の表面に印刷された文字や図形、あるいは、物品の傷や欠けなどを検査する検査システムに適用することもできる。
【0014】
図1は、本実施の形態における遠隔検査システム1の構成を示す概要図であり、図2は、その機能ブロック図である。本実施の形態における遠隔検査システム1は、図1に示すように、検査対象物6であるプリント基板を自動的に検査する複数の自動検査装置2と、これら複数の自動検査装置2に対してネットワークを介して接続されるマスターコンピューター3と、これらの自動検査装置2やマスターコンピューター3に対してネットワークを介して接続されるサーバーコンピューター4や目視検査装置5を設けて構成される。
【0015】
このうち自動検査装置2は、図1に示すように、プリント基板を積層するスタッカ21を備え、そのスタッカ21に積層された検査対象物6をピックアップして搬送機構22を用いてカメラ23の位置まで搬送する。そして、自動検査部25(図2)による検査結果に基づいて検査対象物6を良否に分けて回収機構24によって回収する。さらに、この自動検査装置2は、図2に示すように、通信部26と自動検査部25とを備え、通信部26によってマスターコンピューター3から送信されてきた検査開始のための開始コマンドを受信し、自動検査部25でカメラ23から取得された画像と記憶部にあらかじめ記憶されている基準データとを比較することによって検査対象物6の良否を判定する。そして、その判定結果を一旦記憶部に格納しておき、検査が終了した時点で通信部26を介してその検査結果データをサーバーコンピューター4に送信する。この自動検査装置2は複数設けられ、例えば、第一の自動検査装置2によってプリント基板の配線パターンやパッドの形成状態を検査し、また、第二の自動検査装置2で同じプリント基板のレジストやシルクなどを検査するようにしてもよく、あるいは、第一の自動検査装置2でプリント基板の配線パターンやパッド、レジスト、シルクの形成状態を検査し、また、第二の自動検査装置2でも同様にプリント基板の配線パターンやパッド、レジスト、シルクのすべての形成状態を検査するようにしてもよい。もしくは、一の自動検査装置2で一の種類のプリント基板を検査し、他の自動検査装置2で異なる種類のプリント基板を検査するようにしてもよい。
【0016】
マスターコンピューター3は、これらの自動検査装置2に対して、LANやインターネットなどのネットワークを介して接続されるもので、入力受付部31や識別情報生成部32、通信部33を少なくとも備える。このマスターコンピューター3は、各自動検査装置2に対して一または複数台設けられ、各自動検査装置2に対して検査開始を指示する開始コマンドを送信するとともに、各自動検査装置2で検査されるそれぞれの検査対象物6を識別するための識別情報を送信する。この識別情報は、検査対象物6や日時、検査責任者などを特定するものであり、具体的には、検査対象物6の種類毎に割り当てられた基準ID、同じ基準IDの検査対象物6に対して他の同じ基準IDの検査対象物6と区別するための検査ID、製造単位毎に割り当てられるロットID、検査を行う自動検査装置2に割り当てられた装置ID、検査を行う日時、自動検査を指示した責任者名などを含むものである。なお、識別情報として、上述のような複数の情報を含めるようにしているが、各自動検査装置2で検査される検査対象物6と他の自動検査装置2で検査される検査対象物6とを区別できるような情報であれば、どのような情報であってもよい。これらの情報のうち、検査対象物6の一群を示す基準IDとロットIDは入力受付部31を介してオペレーターによって入力され、一方、検査IDは他の検査IDと重複しないように識別情報生成部32によって自動的に生成される。なお、この基準IDやロットIDなどは自動的に生成されるようにしてもよい。そして、このように設定された識別情報を通信部33を介して開始コマンドと一緒に各自動検査装置2に送信し、また、この識別情報を通信部33を介してサーバーコンピューター4に対して送信する。
【0017】
サーバーコンピューター4は、これらマスターコンピューター3や自動検査装置2に対してLANやインターネットなどを介して遠隔地に設けられるもので、各自動検査装置2で検査されたデータを一括管理し、事後的に目視検査装置5(図1参照)によって不良箇所などを目視検査できるようにしたものである。この目視検査装置5は、サーバーコンピューター4の記憶部41に格納された検査結果データを読み出し、検査対象物6の不良箇所の画像をディスプレイに表示させることによって、オペレーターの目視による検査を受け付ける。この目視検査装置5も、好ましくは、遠隔地での検査を可能にすべく、サーバーコンピューター4に対して通信部を介して接続できるような構成にしておく。
【0018】
次に、このように構成された遠隔検査システム1における検査処理の流れについて図4や図5を用いて説明する。まず、一の自動検査装置2に対して検査開始の開始コマンドを送信して検査結果データをサーバーコンピューター4に格納させる場合のフローチャートを図4に示す。
【0019】
まず、検査対象物6を検査する場合、あらかじめ自動検査装置2のスタッカ21に検査対象物6を積層しておき、この状態でマスターコンピューター3の入力受付部31を介して検査対象物6の種類を示す基準IDやロットID、自動検査装置2の装置ID、責任者名などの入力を受け付ける(ステップS1)。また、識別情報生成部32を介して一枚毎の検査対象物6を識別する検査IDを生成し(ステップS2)、検査開始のための開始コマンドとともにその装置IDに対応した自動検査装置2に送信する(ステップS3)。なお、この検査IDに対しては、自動検査装置2で何枚の検査対象物6を検査するか把握することができない場合は、自動検査装置2からの開始コマンドの送信要求に対して一枚ずつ検査IDを生成し、開始コマンドとともに送信するようにしてもよい。
【0020】
そして、マスターコンピューター3は、このように自動検査装置2に検査開始のための開始コマンドを送信した後(ステップS3)、その入力や生成された識別情報をサーバーコンピューター4にも送信する(ステップS4)。このサーバーコンピューター4に識別情報を送信する場合は、自動検査装置2への開始コマンドの送信と同時であってもよく、あるいは、自動検査装置2からの開始コマンドの受信レスポンスを受信してからであってもよい。受信レスポンスを受信してからサーバーコンピューター4に識別情報を送信すると、確実に検査される識別情報をサーバーコンピューター4の記憶部41にその識別情報を格納させることができるというメリットがある。そして、サーバーコンピューター4は、これらの識別情報を受信すると、その識別情報を記憶部41に順次格納する(ステップT1)。
【0021】
一方、検査開始のための開始コマンドを受信した自動検査装置2では、開始コマンドを受信することによって(ステップU1)スタッカ21から一枚の検査対象物6をピックアップし、搬送機構22を介して移動途中のカメラ23で表面画像を取得する。そして、その画像を処理してあらかじめ記憶させておいた基準データと比較することによって各検査対象領域の形成状態の良否を判定し(ステップU2)、不良箇所が存在した場合は、その不良箇所の座標や不良原因(例えば、パッドの欠け、シルク印刷のにじみなど)、不良箇所の画像などをその検査対象物6の検査IDに対応させて記憶する(ステップU3)。そして、その自動検査装置2のスタッカ21に積層されたすべての検査対象物6の検査が終了した時点で、識別情報に検査結果を付加した検査結果データをサーバーコンピューター4に送信し、また、検査が終了した旨を示す終了コマンドをマスターコンピューター3に対して送信する(ステップU4)。
【0022】
一方、検査結果データを受信したサーバーコンピューター4は(ステップT2)、その検査結果データを記憶部41に格納させるとともに(ステップT3)、目視検査装置5などによって読み出せるような状態にする。なお、この実施の形態では、検査結果データをそのまま記憶部41に格納させるようにしているが、マスターコンピューター3から送信されてきた識別情報と、各自動検査装置2から送信されてきた検査結果データに含まれる識別情報とを付き合わせ処理し、一致する識別情報が存在しない場合は、不明な検査結果データとして、記憶部41の異なる記憶領域に格納しておくようにしてもよい。
【0023】
次に、複数台の自動検査装置2で同様の検査を行う場合における処理の概要について図5に説明する。
【0024】
まず、一の自動検査装置2(検1)に対してマスターコンピューター3(M)が開始コマンドを送信すると、前述のように、その自動検査装置2(検1)は検査対象物6に対する検査を開始し、検査が終了した時点で、識別情報に検査結果を付加した検査結果データをサーバーコンピューター4(M)に送信する。このとき、マスターコンピューター3(M)は、開始コマンドの送信した以降は、サーバーコンピューター4(S)への識別情報の送信以外の処理を行わないので、他の自動検査装置2に対してすぐに開始コマンドを送信することができる状態となる。また、サーバーコンピューター4(S)への識別情報の送信は、識別情報のデータ量がそれほど大きいものではないため、実質的に瞬時に識別情報を送信することができ、開始コマンドの送信タイミングのずれに大きな影響を及ぼすことがない。そこで、マスターコンピューター3(M)は、検査の終了した自動検査装置2(すなわち、終了コマンドを受信した自動検査装置2)や、まだ検査を開始していない自動検査装置2を探索し、その自動検査装置2(検2)に対して識別情報とともに開始コマンドを送信する。このようにすると、他の自動検査装置2(検2)は実施的なアイドリング状態をなくして瞬時に検査を開始することができる。そして、その検査結果データをサーバーコンピューター4(S)に直接送信することで、同様に、他の自動検査装置2(検2)に対しても開始コマンドを送信できるような状態とする。
【0025】
なお、サーバーコンピューター4(S)に検査結果データを送信する際、サーバーコンピューター4(S)が他の自動検査装置2から大容量の検査結果データを受信している場合には、他の自動検査装置2からの検査結果データを受信することができないが、図7に示す従来方式に比べて、さらに送信するための時間を少なくとも短縮化することができるようになる。特に、この検査結果データには大きな画像データが含まれるため、送信のための時間が長くなるが、本方式によればマスターコンピューター3が再送する時間がなくなるため、大幅に検査開始のタイミングを早くすることができるようになる。
【0026】
このように上記実施の形態によれば、複数の自動検査装置2に接続されるマスターコンピューター3と、このマスターコンピューター3及び自動検査装置2に対して通信可能に設けられたサーバーコンピューター4とを設けてなる遠隔検査システム1において、マスターコンピューター3に、各自動検査装置2に対して他の自動検査装置2で検査される検査対象物6と識別するための識別情報を送信する通信部33を設け、自動検査装置2に、自動検査によって得られた検査結果に前記識別情報を付加した検査結果データをサーバーコンピューター4に送信する通信部26を設け、また、サーバーコンピューター4に、自動検査装置2から送信されてきた検査結果データを格納する記憶部41を設けようにしたので、マスターコンピューター3がサーバーコンピューター4に検査結果データを転送する時間を短縮化することができる。これにより、他の自動検査装置2に対して検査開始のための開始コマンドをタイミングよく送信することができるようになる。さらに、マスターコンピューター3で一枚ずつの検査対象物6の識別番号を管理して自動検査装置2に送信するようにしたので、サーバーコンピューター4に集められた検査結果データのうち、どの検査結果がどの検査対象物6に対応しているのかを確実に判断することができるようになり、各自動検査装置2で自動的に識別情報を生成して割り当てる場合における重複した識別情報の発生などを防止することができる。
【0027】
また、マスターコンピューター3からサーバーコンピューター4に対しても識別情報を送信し、サーバーコンピューター4で、自動検査装置2から送信されてきた検査結果データと、前記マスターコンピューター3から送信されてきた識別情報とを記憶部41に格納するようにしたので、マスターコンピューター3から各自動検査装置2に検査開始の指示がされていない検査結果データを容易に把握することができるようになり、マスターコンピューター3における検査のための管理機能を担保することができるようになる。
【0028】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。
【0029】
例えば、上記実施の形態では、マスターコンピューター3と自動検査装置2、サーバーコンピューター4とを分けて説明したが、一の自動検査装置2をマスターコンピューター3として機能させるようにしてもよく、あるいは、一のマスターコンピューター3とサーバーコンピューター4として機能させるようにしてもよい。
【0030】
また、上記実施の形態では、自動検査装置2やサーバーコンピューター4で検査結果データの加工を行っていないが、自動検査装置2やサーバーコンピューター4で不良原因毎に検査結果を並び替えるなどの処理を行うようにしてもよく、あるいは、目視検査装置5が検査結果データを読み出す際に、目視検査装置5側で検査結果データを並び替えるようにしてもよい。
【0031】
さらに、上記実施の形態では、マスターコンピューター3から識別情報をサーバーコンピューター4に送信するようにしているが、この識別情報をサーバーコンピューター4に送信しないようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施の形態における遠隔検査システムの機能ブロック図
【図2】同形態における自動検査装置の概要を示す図
【図3】同形態における識別情報と検査結果を含む検査結果データを示す図
【図4】同形態における一の自動検査装置で検査を行う場合の処理の流れを示す図
【図5】同形態における複数の自動検査装置で検査する場合の処理の概要を示す図
【図6】従来における遠隔検査システムの構成を示す図
【図7】従来における複数の自動検査装置で検査する場合の処理の流れを示す図
【符号の説明】
【0033】
1・・・遠隔検査システム
2・・・自動検査装置
21・・・スタッカ
22・・・搬送機構
23・・・カメラ
24・・・回収機構
25・・・自動検査部
26・・・通信部
3・・・マスターコンピューター
31・・・入力受付部
32・・・識別情報生成部
33・・・通信部
4・・・サーバーコンピューター
41・・・記憶部
42・・・通信部
5・・・目視検査装置
6・・・検査対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の自動検査装置に接続されるマスターコンピューターと、当該マスターコンピューター及び自動検査装置に対して通信可能に設けられたサーバーコンピューターとを設けてなる遠隔検査システムにおいて、
前記マスターコンピューターに、各自動検査装置に対して当該自動検査装置で検査される検査対象物に付与される識別情報を送信する識別情報送信手段を設け、
前記自動検査装置に、自動検査によって得られた検査結果に前記識別情報を付加した検査結果データをサーバーコンピューターに送信する結果データ送信手段を設け、
前記サーバーコンピューターに、自動検査装置から送信されてきた検査結果データを格納する結果データ格納手段を設けたことを特徴とする遠隔検査システム。
【請求項2】
複数の自動検査装置に接続されるマスターコンピューターと、当該マスターコンピューター及び自動検査装置に対して通信可能に設けられたサーバーコンピューターとを設けてなる遠隔検査システムにおいて、
前記マスターコンピューターに、各自動検査装置に対して当該自動検査装置で検査される検査対象物に付与される識別情報を送信するとともに、サーバーコンピューターに対しても当該識別情報を送信する識別情報送信手段を設け、
前記自動検査装置に、自動検査によって得られた検査結果に前記識別情報を付加した検査結果データをサーバーコンピューターに送信する結果データ送信手段を設け、
前記サーバーコンピューターに、自動検査装置から送信されてきた検査結果データと、前記マスターコンピューターから送信されてきた識別情報とを格納する結果データ格納手段を設けたことを特徴とする遠隔検査システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−14442(P2009−14442A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−175154(P2007−175154)
【出願日】平成19年7月3日(2007.7.3)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成17年度、経済産業省、独立行政法人情報処理推進機構の委託研究、産業再生法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(597028081)株式会社メガトレード (27)
【Fターム(参考)】