説明

遠隔監視システム

【課題】対象監視装置に遠隔監視装置が接続されてから可及的に短い期間で、遠隔監視装置における監視対象に関する情報の提示動作、たとえば映像の表示動作を安定させることができる遠隔監視システムを提供する。
【解決手段】対象監視装置1は、カメラ4で撮像されて入力された監視対象の映像データを、映像通信制御部13から、対象側通信インターフェース部14および通信網3を介して、遠隔監視装置2に送信する。遠隔監視装置2は、映像データの受信の可否に基づいて、通信情報生成部25で通信情報を生成し、遠隔側通信インターフェース部21から対象監視装置1に送信する。対象監視装置1の通信情報処理部16は、受信した通信情報に含まれる通信帯域に基づいて、映像通信制御部13から送信される映像データの送信量を調整し、この調整に用いた通信帯域を含む通信情報を通信情報記憶部17に記憶させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視対象を遠隔地で監視する遠隔監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
遠隔監視システムでは、対象監視装置で監視対象を撮像して得た映像データをデジタルデータに変換して、通信網を介して、遠隔地にある遠隔監視装置に送信し、映像データが表す監視対象の映像を遠隔監視装置のモニタなどに表示して、監視対象を監視する。
【0003】
通信網内では、映像データだけでなく、他のデータの送信も行われるので、従来技術の遠隔監視システムでは、通信網内で映像データの送信に割り振られる通信帯域において、映像データの一部を送信できない場合がある。この場合、送信できなかった部分が欠損した映像データが遠隔監視装置で受信されるので、遠隔監視装置のモニタに映像を表示することができないという問題が生じる。
【0004】
このような問題を解決するための技術が、特許文献1および特許文献2に開示されている。特許文献1に開示される技術では、リアルタイムで配信中の監視映像データのデータ量を算出して、他のデータの配信量を、通信網の配信性能の実効値と前記監視映像データのデータ量との差分の量以内とする。これによって、他のデータの配信が、リアルタイムで配信中の映像データの配信に影響を与えないようにしている。
【0005】
また、特許文献2に開示される技術では、映像データの圧縮処理に、記録用とは別に送信用に高圧縮処理する機能を付加している。前記高圧縮処理を用いて、映像データの送信用の通信帯域で送信できるデータ量にデータ圧縮することによって、映像データのデータ量を、送信できるデータ量としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4261229号公報(第6頁、図5)
【特許文献2】特開2000−59758号公報(第8頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述のように、従来技術の遠隔監視システムでは、映像データの送信に割り振られる通信帯域が一定でない通信網、たとえばインターネットを経由して映像データを送信することがある。したがって、従来技術の遠隔監視システムは、前述の特許文献1および特許文献2に開示されるように、実際に通信動作をしているときに、通信帯域を実効値に合わせて調整して、映像データの送信量を操作するように構成されている。
【0008】
遠隔監視システムにおいて、対象監視装置に遠隔監視装置を接続した直後は、映像データの送信に適する通信帯域が不明であるので、映像データの送信量の初期値として、仮の値が設定されて、映像データの送信が開始される。仮の値としては、大抵は、適する値よりも大きい値が設定される。
【0009】
このように仮の値で映像データを送信して、映像データの送信量を調整する処理をしばらくの間行うことによって、適する通信帯域が定められることになる。したがって、対象監視装置に遠隔監視装置を接続した直後から、しばらくの間は、遠隔監視装置で映像が表示されなかったり、表示される映像の更新が滞りがちになったりして、映像の表示が一時的に不安定になる。
【0010】
この映像の表示が一時的に不安定な状態が、対象監視装置に遠隔監視装置を接続する度に発生するので、監視対象の監視に支障を来たすという問題がある。特に、通信網に狭帯域の通信経路が含まれる場合には、適する通信帯域に調整するまでに長時間を要するので、映像の表示が不安定な期間が長期間になるという問題がある。
【0011】
本発明の目的は、対象監視装置に遠隔監視装置が接続されてから可及的に短い期間で、遠隔監視装置における監視対象に関する情報の提示動作、たとえば映像の表示動作を安定させることができる遠隔監視システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の遠隔監視システムは、監視対象の映像データおよび音声データの少なくとも一方を含む監視データが入力される対象監視装置と、前記対象監視装置と通信網を介して通信可能に接続され、前記対象監視装置から与えられる監視データに基づいて、前記監視対象を監視する遠隔監視装置とを備える遠隔監視システムであって、前記対象監視装置は、入力された前記監視データを、前記通信網を介して、前記遠隔監視装置に送信する対象側送信部と、前記通信網を介して、前記遠隔監視装置から、前記監視データの送信に用いるべき通信帯域を含む通信情報を受信すると、受信した通信情報に含まれる通信帯域に基づいて、前記対象側送信部によって前記監視データを送信するときに用いるべき通信帯域を含む新たな通信情報を生成し、生成した通信情報に基づいて、前記対象側送信部によって送信される前記監視データの送信量を調整する通信情報処理部と、前記通信情報処理部によって生成された前記通信情報を記憶する通信情報記憶部とを備え、前記遠隔監視装置は、前記対象監視装置から送信される前記監視データを受信できたか否かに基づいて、前記監視データの送信に用いるべき通信帯域を含む通信情報を生成する通信情報生成部と、前記通信情報生成部によって生成された前記通信情報を前記対象監視装置へ送信する遠隔側送信部とを備え、前記通信情報処理部は、前記遠隔監視装置が前記対象監視装置に接続されたときに、前記通信情報記憶部に前記通信情報が記憶されていると判断すると、前記通信情報記憶部に記憶されている前記通信情報に含まれる通信帯域に基づいて、前記対象側送信部によって送信される前記監視データの送信量を調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の遠隔監視システムによれば、対象監視装置と遠隔監視装置とを備えて、遠隔監視システムが構成される。対象監視装置は、対象側送信部と通信情報処理部と通信情報記憶部とを備える。遠隔監視装置は、通信情報生成部と遠隔側送信部とを備える。対象監視装置の通信情報処理部は、遠隔監視装置が対象監視装置に接続されたときに、通信情報記憶部に通信情報が記憶されていると判断すると、通信情報記憶部に記憶されている通信情報に含まれる通信帯域に基づいて、対象側送信部によって送信される監視データの送信量を調整する。これによって、対象監視装置に遠隔監視装置が接続されてから可及的に短い期間で、遠隔監視装置における監視対象に関する情報の提示動作、たとえば映像の表示動作を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態である遠隔監視システム10の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における対象監視装置1の通信情報処理部16の動作の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2の実施の形態における対象監視装置1の通信情報処理部16の動作の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第3の実施の形態である遠隔監視システム10Aの構成を示すブロック図である。
【図5】複数の遠隔監視装置2−1〜2−nが、対象監視装置1と接続して映像データの通信を行った場合の通信帯域の分布の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態である遠隔監視システム10の構成を示すブロック図である。遠隔監視システム10は、対象監視装置1と、遠隔監視装置2と、通信網3と、カメラ4と、映像表示装置5とを備えて構成される。対象監視装置1および遠隔監視装置2は、それぞれ通信網3に接続されている。対象監視装置1と遠隔監視装置2とは、通信網3を介して相互に通信可能に接続されている。
【0016】
対象監視装置1は、カメラ入力部11、映像情報圧縮部12、映像通信制御部13、対象側通信インターフェース部14、映像蓄積部15、通信情報処理部16および通信情報記憶部17を備えて構成される。カメラ4は、対象監視装置1のカメラ入力部11に接続されている。カメラ4は、監視対象を撮像し、撮像した監視対象を表す映像データを生成する。生成された映像データは、対象監視装置1のカメラ入力部11に入力される。映像データは、監視データに相当する。
【0017】
カメラ入力部11は、カメラ4から入力される映像データをデジタルデータに変換して、映像情報圧縮部12に与える。映像情報圧縮部12は、カメラ入力部11から与えられた映像データを圧縮し、圧縮した映像データを映像通信制御部13および映像蓄積部15に与える。映像蓄積部15は、映像情報圧縮部12から与えられる、圧縮された映像データを蓄積する。映像蓄積部15は、たとえば磁気ディスク装置によって実現される。
【0018】
映像通信制御部13は、映像情報圧縮部12から与えられる映像データおよび映像蓄積部15から読み出した映像データを、対象側通信インターフェース部14および通信網3を介して遠隔監視装置2へ送信する処理(以下「映像データ送信処理」という場合がある)を制御する。映像通信制御部13は、通信情報処理部16から与えられる通信情報に基づいて、映像データ送信処理を行う。映像通信制御部13および対象側通信インターフェース部14は、対象側送信部に相当する。
【0019】
「通信情報」とは、遠隔監視装置2に映像データなどのデータを送信するときの通信条件に関する情報である。通信情報は、遠隔監視装置2に映像データを送信するときに使用する通信帯域を含む。映像通信制御部13は、具体的には、通信情報処理部16から与えられる通信情報に含まれる通信帯域に基づいて、遠隔監視装置2へ送信する映像データのデータ量を制御する。
【0020】
対象側通信インターフェース部14は、映像通信制御部13から与えられる映像データを、通信網3を介して遠隔監視装置2へ送信する。また対象側通信インターフェース部14は、遠隔監視装置2から送信される通信情報を、通信網3を介して受信する。対象側通信インターフェース部14は、受信した通信情報を通信情報処理部16に与える。
【0021】
通信情報処理部16は、対象側通信インターフェース部14から与えられる通信情報を処理する。具体的には、通信情報処理部16は、対象側通信インターフェース部14から与えられる通信情報から、新たな通信情報を生成する処理を行う。通信情報処理部16は、新たに生成した通信情報を映像通信制御部13および通信情報記憶部17に与える。通信情報記憶部17は、通信情報処理部16から与えられる通信情報を記憶する。また通信情報記憶部17は、遠隔監視装置2に映像データを送信するときに使用する通信帯域の初期値を記憶する。通信帯域の初期値は、予め定められて、通信情報記憶部17に記憶される。
【0022】
遠隔監視装置2は、遠隔側通信インターフェース部21、映像通信受信部22、映像情報伸張部23、表示インターフェース部24および通信情報生成部25を備えて構成される。映像表示装置5は、表示インターフェース部24に接続されている。
【0023】
遠隔側通信インターフェース部21は、通信網3を介して対象監視装置1から送信された映像データを受信し、受信した映像データを映像通信受信部22に与える。映像通信受信部22は、遠隔側通信インターフェース部21から与えられる映像データを映像情報伸張部23へ与える。また映像通信受信部22は、映像データが受信できたか否か、すなわち映像データの受信の成否を表す受信成否情報を生成し、通信情報生成部25に与える。
【0024】
映像情報伸張部23は、映像通信受信部22から与えられる映像データを伸張して、表示インターフェース部24に与える。表示インターフェース部24は、映像情報伸張部23から与えられた映像データを映像表示装置5に与える。映像表示装置5は、表示インターフェース部24から与えられた映像データが表す監視対象の映像を表示する。
【0025】
通信情報生成部25は、映像通信受信部22から与えられた受信成否情報に基づいて、対象監視装置1へ送信すべき通信情報を生成する。通信情報生成部25は、受信成否情報が、映像データを受信できたことを表す場合、現在の通信帯域を含む通信情報を、対象監視装置1へ送信すべき通信情報として生成する。また通信情報生成部25は、受信成否情報が、映像データを受信できなかったことを表す場合、現在の通信帯域よりも広い帯域を通信帯域として含む通信情報を、対象監視装置1へ送信すべき通信情報として生成する。
【0026】
通信情報生成部25は、生成した通信情報を遠隔側通信インターフェース部21に与える。遠隔側通信インターフェース部21は、通信情報生成部25から与えられる通信情報を、通信網3を介して対象監視装置1へ送信する。遠隔側通信インターフェース部21は、遠隔側送信部に相当する。
【0027】
通信網3は、光ファイバーを通信路に用いる高速デジタル通信、または通信帯域が狭い総合サービスデジタル網(Integrated Services Digital Network;略称:ISDN)通信などで構成される、インターネットの広域通信網を想定している。通信網3は、複数のライブ映像データおよび複数の蓄積映像データを、対象監視装置1から遠隔監視装置2へ送信することができる機能を備える。
【0028】
ここで、「ライブ映像データ」とは、カメラ4で時々刻々と生成されて、対象監視装置1のカメラ入力部11、映像情報圧縮部12、映像通信制御部13および対象側通信インターフェース部14を介して、通信網3に与えられる映像データをいう。また「蓄積映像データ」とは、対象監視装置1の映像蓄積部15から読み出されて、映像通信制御部13および対象側通信インターフェース部14を介して、通信網3に与えられる映像データをいう。対象監視装置1の映像通信制御部13は、遠隔監視装置2から与えられる指示に基づいて、映像蓄積部15から映像データを読み出し、対象側通信インターフェース部14および通信網3を介して、遠隔監視装置2に送信する。
【0029】
図2は、本発明の第1の実施の形態における対象監視装置1の通信情報処理部16の動作の処理手順を示すフローチャートである。図2に示すフローチャートは、対象監視装置1の電源が投入されると開始され、ステップST1に移行する。
【0030】
ステップST1において、通信情報処理部16は、通信インターフェース部14を介して、遠隔監視装置2から送信された接続開始要求を受信したか否かを判断する。通信情報処理部16は、遠隔監視装置2から送信された接続開始要求を受信したと判断した場合は、ステップST2に移行する。通信情報処理部16は、遠隔監視装置2から送信された接続開始要求を受信していないと判断した場合は、ステップST1に戻り、遠隔監視装置2から送信される接続開始要求を受信するまで待機する。
【0031】
ステップST2において、通信情報処理部16は、通信情報記憶部17に通信情報が記憶されているか否かを判断する。通信情報処理部16は、通信情報記憶部17に通信情報が記憶されていると判断した場合は、ステップST3に移行する。通信情報処理部16は、通信情報記憶部17に通信情報が記憶されていないと判断した場合は、ステップST4に移行する。通信情報は、遠隔監視装置2が対象監視装置1に接続されると、通信情報記憶部17に記憶される。したがって、遠隔監視装置2が対象監視装置1に初めて接続された場合は、ステップST2において、通信情報記憶部17に通信情報が記憶されていないと判断され、ステップST4に移行する。
【0032】
ステップST3において、通信情報処理部16は、通信情報記憶部17から、記憶されている通信情報を読み出す。通信情報は、遠隔監視装置2に映像データを送信するときに使用する通信帯域を含む。通信情報を読み出した後は、ステップST5に移行する。
【0033】
ステップST4において、通信情報処理部16は、通信情報記憶部17から、通信帯域の初期値を読み出す。通信帯域の初期値を読み出した後は、ステップST5に移行する。
【0034】
ステップST5において、通信情報処理部16は、ステップST3で読み出した通信情報に含まれる通信帯域、またはステップST4で読み出した通信帯域の初期値を、送信開始時の通信帯域として映像通信制御部13に与えて、映像データの送信を開始させる。映像通信制御部13は、通信情報処理部16から与えられる通信帯域で、映像データの送信を開始する。ステップST5の処理を終了した後は、ステップST6に移行する。
【0035】
ステップST6において、通信情報処理部16は、通信インターフェース部14を介して、遠隔監視装置2から送信された通信情報を受信したか否かを判断する。ステップST6において、通信情報処理部16は、遠隔監視装置2から送信された通信情報を受信したと判断した場合は、ステップST7に移行し、遠隔監視装置2から送信された通信情報を受信していないと判断した場合は、ステップST8に移行する。
【0036】
ステップST7において、通信情報処理部16は、受信した通信情報に基づいて、新たな通信情報を生成して、映像通信制御部13に与えることによって、映像データの送信量を調整する。通信情報処理部16は、受信した通信情報に含まれる通信帯域を取得し、取得した通信帯域を含む通信情報を新たな通信情報として生成する。映像通信制御部13は、現在の通信帯域を、通信情報処理部16から与えられた新たな通信情報に含まれる通信帯域に変更して、その通信帯域に対応するように映像データの送信量を調整し、映像データの送信を継続する。映像データの送信量を調整すると、ステップST8に移行する。
【0037】
ステップST8において、通信情報処理部16は、遠隔監視装置2との接続が切断されたか否かを判断する。通信情報処理部16は、遠隔監視装置2との接続が切断されたと判断した場合は、ステップST9に移行する。通信情報処理部16は、遠隔監視装置2との接続が切断されていないと判断した場合、すなわち遠隔監視装置2との接続が継続していると判断した場合は、ステップST6に戻り、前述の処理を繰り返す。
【0038】
ステップST9において、通信情報処理部16は、映像通信制御部13へ最後に与えた通信情報を通信情報記憶部17に記憶させる。「映像通信制御部13へ最後に与えた通信情報」とは、ステップST1で遠隔監視装置2から接続開始要求を受信したと判断してから、ステップST8で遠隔監視装置2との接続が切断されたと判断するまでに、通信情報処理部16が映像通信制御部13に与えた通信情報のうち、最後に与えた通信情報をいう。ステップST9で通信情報記憶部17に記憶される通信情報は、遠隔監視装置2が再び接続されたときに、ステップST3で読み出される通信情報となる。通信情報記憶部17に記憶される通信情報には、通信帯域が含まれる。ステップST9の処理が終了すると、全ての処理手順を終了する。
【0039】
以上のように本実施の形態によれば、遠隔監視装置2が対象監視装置1に接続されたとき、通信情報処理部16は、通信情報記憶部17に通信情報が記憶されていると判断すると、通信情報記憶部17に記憶されている通信情報に含まれる通信帯域に基づいて、通信制御部13および対象側通信インターフェース部14によって送信される映像データの送信量を調整する。
【0040】
たとえば、対象監視装置1との接続が一度切断された遠隔監視装置2が、再度、対象監視装置1に接続される場合を考える。この場合、通信情報記憶部17には、前回、遠隔監視装置2が対象監視装置1に接続されていたときの通信情報が記憶されているので、再度接続された後に映像データを送信するときには、通信情報記憶部17に記憶されている通信情報を用いて、映像データの送信量が調整される。
【0041】
このように本実施の形態では、前回の接続で映像データの送信量の調整に用いられた通信情報を通信情報記憶部17に記憶しておく。そして、遠隔監視装置2が再度対象監視装置1に接続されて、対象監視装置1から遠隔監視装置2への映像データの送信が再開されるときに、通信情報記憶部17に記憶されている通信情報を、映像データの送信量の調整に用いる。
【0042】
通信情報記憶部17に記憶されている通信情報は、前回の接続で、実際に映像データの送信量を調整するときに用いられたものであるので、対象監視装置1から遠隔監視装置2への映像データの通信の実情を反映した通信帯域を含んでいる。
【0043】
したがって、対象監視装置1から遠隔監視装置2への映像データの送信を開始または再開するときに、前述のように通信情報記憶部17に記憶されている通信情報に含まれる通信帯域に基づいて、映像データの送信量を調整することによって、遠隔監視装置2に接続された映像表示装置5において、映像の表示が安定するまでの期間を短縮することができる。換言すれば、対象監視装置1に遠隔監視装置2が接続されてから可及的に短い期間で、遠隔監視装置2における監視対象に関する情報の提示動作、たとえば映像表示装置5を用いた映像の表示動作を安定させることができる。
【0044】
<第2の実施の形態>
次に本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態の遠隔監視システムの構成は、前述の第1の実施の形態と同様であり、動作についても通信情報処理部16の動作以外は同様であるので、図示を省略し、異なる部分についてのみ説明する。本実施の形態において、第1の実施の形態に対応する部分については、同一の参照符を付して、共通する説明を省略する。
【0045】
図3は、本発明の第2の実施の形態における対象監視装置1の通信情報処理部16の動作の処理手順を示すフローチャートである。図3に示すフローチャートは、対象監視装置1の電源が投入されると開始され、ステップST11に移行する。
【0046】
ステップST11において、通信情報処理部16は、通信インターフェース部14を介して、遠隔監視装置2から送信される接続開始要求を受信したか否かを判断する。通信情報処理部16は、遠隔監視装置2から送信される接続開始要求を受信したと判断した場合は、ステップST12に移行する。通信情報処理部16は、遠隔監視装置2から送信される接続開始要求を受信していないと判断した場合は、ステップST11に戻り、遠隔監視装置2から送信される接続開始要求を受信するまで待機する。
【0047】
ステップST12において、通信情報処理部16は、通信情報記憶部17に通信情報が記憶されているか否かを判断する。通信情報処理部16は、通信情報記憶部17に通信情報が記憶されていると判断した場合は、ステップST13に移行する。通信情報処理部16は、通信情報記憶部17に通信情報が記憶されていないと判断した場合は、ステップST14に移行する。たとえば、遠隔監視装置2が対象監視装置1に初めて接続された場合は、ステップST12において、通信情報記憶部17に通信情報が記憶されていないと判断され、ステップST14に移行する。
【0048】
ステップST13において、通信情報処理部16は、通信情報記憶部17から、記憶されている通信情報を読み出す。通信情報を読み出した後は、ステップST15に移行する。
【0049】
ステップST14において、通信情報処理部16は、通信情報記憶部17から、通信帯域の初期値を読み出す。通信帯域の初期値を読み出した後は、ステップST15に移行する。
【0050】
ステップST15において、通信情報処理部16は、ステップST13で読み出した通信情報に含まれる通信帯域、またはステップST14で読み出した通信帯域の初期値を、送信開始時の通信帯域として映像通信制御部13に与えて、映像データの送信を開始させる。映像通信制御部13は、通信情報処理部16から与えられる通信帯域で、映像データの送信を開始する。ステップST15の処理を終了した後は、ステップST16に移行する。
【0051】
ステップST16において、通信情報処理部16は、通信インターフェース部14を介して、遠隔監視装置2から送信された通信情報を受信したか否かを判断する。ステップST16において、通信情報処理部16は、遠隔監視装置2から送信された通信情報を受信したと判断した場合は、ステップST17に移行し、遠隔監視装置2から送信された通信情報を受信していないと判断した場合は、ステップST19に移行する。
【0052】
ステップST17において、通信情報処理部16は、以前の通信帯域と、ステップST16で受信した通信情報とに基づいて、次の映像データの送信に使用する通信帯域(以下「次の通信帯域」という場合がある)を求め、求めた通信帯域を含む新たな通信情報を生成する。具体的には、通信情報処理部16は、以前に生成した複数の通信情報から、通信帯域の平均値または中央値などの統計値を求めることによって、求めた統計値を次の通信帯域として含む新たな通信情報を生成する。
【0053】
ステップST18において、通信情報処理部16は、ステップST17で生成した新たな通信情報を映像通信制御部13に与えて、映像通信制御部13によって映像データの送信量を調整させる。映像通信制御部13は、現在の通信帯域を、通信情報処理部16から与えられた新たな通信情報に含まれる通信帯域に変更して、その通信帯域に対応するように映像データの送信量を調整し、映像データの送信を継続する。また通信情報処理部16は、ステップST17で生成した新たな通信情報を、通信情報記憶部17に記憶させる。通信情報記憶部17には、ステップST17で生成された通信情報が順次記憶され、蓄積される。ステップST18の処理が終了すると、ステップST19に移行する。
【0054】
ステップST19において、通信情報処理部16は、遠隔監視装置2との接続が切断されたか否かを判断する。通信情報処理部16は、遠隔監視装置2との接続が切断されたと判断した場合は、ステップST20に移行する。通信情報処理部16は、遠隔監視装置2との接続が切断されていないと判断した場合、すなわち遠隔監視装置2との接続が継続していると判断した場合は、ステップST16に戻り、前述の処理を繰り返す。
【0055】
ステップST20において、通信情報処理部16は、映像通信制御部13へ最後に与えた通信情報を通信情報記憶部17に記憶させる。通信情報記憶部17に記憶される通信情報には、通信帯域が含まれる。
【0056】
以上のように本実施の形態によれば、通信情報処理部16は、遠隔監視装置2から受信した通信情報と、以前に生成した通信情報とを含む複数の通信情報を用いて、通信帯域の統計値を求める。そして、通信情報処理部16は、求めた通信帯域の統計値に基づいて、通信制御部13および対象側通信インターフェース部14によって送信される映像データの送信量を調整する。また通信情報処理部16は、求めた通信帯域を含む新たな通信情報を生成し、通信情報記憶部17に記憶させる。
【0057】
このように通信情報処理部16は、求めた通信帯域の統計値に基づいて、映像データの送信量を調整するので、一時的な通信帯域の変動を緩和することができる。これによって、一時的に通信帯域が減少する影響を軽減した上で、遠隔監視装置2に接続された映像表示装置5での映像の表示が安定するまでの期間を短縮することができる。
【0058】
具体的に述べると、遠隔監視システム10では、対象監視装置1と遠隔監視装置2とを接続し、対象監視装置1から送信された映像データを遠隔監視装置2で受信することによって、遠隔監視装置2が設置される場所において、監視対象を遠隔で監視している。このように遠隔での監視を行っているときに、たとえば通信網3内で障害が発生すると、遠隔での監視を終了するために、対象監視装置1と遠隔監視装置2との接続が切断される。
【0059】
本実施の形態では、対象監視装置1と遠隔監視装置2との接続が切断されたときに、切断直前に映像データの送信に用いていた通信帯域を含む通信情報を通信情報記憶部17に記憶しておく。そして、次に遠隔監視装置2が対象監視装置1に接続されたときに、通信情報記憶部17に記憶しておいた通信情報を用いて、映像データの送信を開始する。
【0060】
通信情報記憶部17に記憶される通信情報は、遠隔監視装置2の通信情報生成部25で生成された通信情報に基づいて、通信情報処理部16で生成されたものである。通信情報生成部25では、対象監視装置1から送信された映像データの受信の可否に基づいて、映像データの送信に用いるべき通信帯域を求め、求めた通信帯域を含むように通信情報を生成する。通信情報生成部21で求められる通信帯域は、通信網3内の通信路が変わるなどの通信環境の変化によって、一時的に狭くなる場合がある。
【0061】
本実施の形態では、通信情報処理部16は、遠隔監視装置2から受信した通信情報と、その通信情報を受信する前までに生成した通信情報(以下「以前に生成した通信情報」という場合がある)とを含む複数の通信情報に基づいて、通信帯域の統計値を求める。通信情報処理部16が以前に生成した通信情報は、遠隔監視装置2から通信情報を受信する前までに映像データの送信量の調整に用いられた通信帯域(以下「以前の映像データの送信で用いられた通信帯域」という場合がある)を含む。
【0062】
映像データの送信は、繰り返し行われるので、通信帯域の統計値を求めるときには、以前の映像データの送信で用いられた複数の通信帯域と、遠隔監視装置2から受信された通信情報に含まれる通信帯域とを用いて、統計値が求められる。このようにして求められた通信帯域の統計値が、対象監視装置1と遠隔監視装置2との次回の接続において、映像データの送信開始時に映像データの送信量の調整に用いられる。
【0063】
このように、本実施の形態において、映像データの送信開始時に用いられる通信帯域は統計値であるので、前述のように通信網3内の通信路が変わるなどの通信環境の変化によって一時的に通信帯域が狭まった場合でも、その影響を受けにくい。したがって、本実施の形態では、一時的に通信帯域が減少する影響を軽減した上で、遠隔監視装置2に接続された映像表示装置5において、映像の表示が安定するまでの期間を短縮することができる。
【0064】
<第3の実施の形態>
図4は、本発明の第3の実施の形態である遠隔監視システム10Aの構成を示すブロック図である。本実施の形態の遠隔監視システム10Aは、前述の第1の実施の形態における遠隔監視システム10と構成が類似しているので、対応する部分については同一の参照符を付して、共通する説明を省略する。
【0065】
本実施の形態の遠隔監視システム10Aは、対象監視装置1と、複数の遠隔監視装置2−1,2−2,2−3,2−4,・・・,2−n(nは自然数)と、通信網3と、カメラ4と、複数の映像表示装置5−1,5−2,5−3,5−4,・・・,5−n(nは自然数)とを備えて構成される。対象監視装置1および複数の遠隔監視装置2は、それぞれ通信網3に接続されている。対象監視装置1と各遠隔監視装置2−1〜2−nとは、通信網3を介して相互に通信可能に接続されている。
【0066】
映像表示装置5−1〜5−nは、遠隔監視装置2−1〜2−nと同数が設けられる。具体的には、n個の遠隔監視装置2−1〜2−nと、n個の映像表示装置5−1〜5−nとが設けられる。1つの遠隔監視装置2−1〜2−nに対して、1つの映像表示装置5−1〜5−nが接続されている。各遠隔監視装置2−1〜2−nは、前述の第1の実施の形態における遠隔監視装置2と同一の構成を有する。各映像表示装置5−1〜5−nは、前述の第1の実施の形態における映像表示装置5と同一の構成を有する。
【0067】
以下では、複数の遠隔監視装置2−1〜2−nを、第1の遠隔監視装置2−1、第2の遠隔監視装置2−2、第3の遠隔監視装置2−3、第4の遠隔監視装置2−4、・・・、第nの遠隔監視装置2−nという場合がある。
【0068】
図5は、複数の遠隔監視装置2−1〜2−nが、対象監視装置1と接続して映像データの通信を行った場合の通信帯域の分布の一例を示す図である。図5では、複数の遠隔監視装置2−1〜2−nを、通信帯域が類似するグループに分類して、複数のグループGp1,Gp2,・・・,Gpm(mは自然数)を形成した場合を示している。複数の遠隔監視装置2−1〜2−nは、たとえばm個のグループGp1〜Gpmに分類される。以下では、m個のグループGp1〜Gpmを、第1のグループGp1、第2のグループGp2、・・・、第mのグループGpmという場合がある。
【0069】
図5に示す例では、第1のグループGp1は、第1の遠隔監視装置2−1、第3の遠隔監視装置2−3および第nの遠隔監視装置2−nを含む。第2のグループGp2は、第2の遠隔監視装置2−2、第5の遠隔監視装置2−5および第6の遠隔監視装置2−6を含む。第mのグループGpmは、第4の遠隔監視装置2−4を含む。
【0070】
遠隔監視装置2−1〜2−nをグループに分類する場合、対象監視装置1が各遠隔監視装置2−1〜2−nとの通信によって得ることができ、かつ各遠隔監視装置2−1〜2−nを識別可能な情報(以下「識別情報」という)を用いて、グループ分けを行う。識別情報としては、たとえば、各遠隔監視装置2−1〜2−nのインターネットプロトコル(Internet Protocol;略称:IP)アドレスまたはメディアアクセス制御(Media Access Control;略称:MAC)アドレスなどが用いられる。
【0071】
本実施の形態では、対象監視装置1の通信情報処理部16は、第1〜第mのグループGp1〜Gpmの各グループに属する遠隔監視装置2−1〜2−nを、1つの遠隔監視装置とみなして、前述の第1の実施の形態における遠隔監視装置2と同様に取り扱う。具体的には、通信情報処理部16は、複数の遠隔監視装置2−1〜2−nを複数のグループGp1〜Gpmに分類して、グループGp1〜Gpm毎に、新たな通信情報を生成するように構成される。
【0072】
通信情報処理部16は、各遠隔監視装置2−1〜2−nに関して、図2に示すフローチャートの処理を実行する。具体的に述べると、通信情報処理部16は、ステップST1において、注目している遠隔監視装置から送信される接続開始要求を受信したか否かを判断する。通信情報処理部16は、注目している遠隔監視装置から送信される接続開始要求を受信したと判断した場合はステップST2に移行し、受信していないと判断した場合はステップST1に戻り、注目している遠隔監視装置から送信される接続開始要求を受信するまで待機する。
【0073】
ステップST2において、通信情報処理部16は、接続開始要求を送信した遠隔監視装置の属するグループに関する通信情報が、通信情報記憶部17に記憶されているか否かを判断する。具体的には、通信情報処理部16は、まず、接続開始要求を送信した遠隔監視装置から、その遠隔監視装置の識別情報を取得し、取得した識別情報が、いずれかのグループに属する遠隔監視装置の識別情報として、通信情報記憶部17に記憶されているか否かを判断する。
【0074】
通信情報処理部16は、取得した識別情報が通信情報記憶部17に記憶されていると判断すると、接続開始要求を送信した遠隔監視装置の属するグループに関する識別情報が通信情報記憶部17に記憶されていると判断して、ステップST3に移行する。通信情報処理部16は、取得した識別情報が通信情報記憶部17に記憶されていないと判断すると、接続開始要求を送信した遠隔監視装置の属するグループに関する識別情報が通信情報記憶部17に記憶されていないと判断して、ステップST4に移行する。
【0075】
ステップST3において、通信情報処理部16は、通信情報記憶部17から、注目している遠隔監視装置の属するグループに関する通信情報を読み出し、ステップST5に移行する。ステップST4において、通信情報処理部16は、通信情報記憶部17から、通信帯域の初期値を読み出し、ステップST5に移行する。
【0076】
ステップST5において、通信情報処理部16は、ステップST3で読み出した通信情報に含まれる通信帯域、またはステップST4で読み出した通信帯域の初期値を、送信開始時の通信帯域として映像通信制御部13に与えて、映像データの送信を開始させ、ステップST6に移行する。
【0077】
ステップST6において、通信情報処理部16は、注目している遠隔監視装置、およびその遠隔監視装置と同じグループに属する他の遠隔監視装置のいずれかから送信された通信情報を受信したか否かを判断する。通信情報処理部16は、通信情報を受信したと判断した場合はステップST7に移行し、通信情報を受信していないと判断した場合はステップST8に移行する。
【0078】
ステップST7において、通信情報処理部16は、注目している遠隔監視装置、またはその遠隔監視装置と同じグループに属する他の遠隔監視装置から受信した通信情報に基づいて、新たな通信情報を生成する。通信情報処理部16は、受信した通信情報に含まれる通信帯域を取得し、取得した通信帯域を含む通信情報を新たな通信情報として生成する。通信情報処理部16は、生成した通信情報を映像通信制御部13に与えることによって、映像データの送信量を調整する。
【0079】
またステップST7において、通信情報処理部16は、生成した通信情報を、注目している遠隔監視装置の属するグループに関する通信情報として、通信情報記憶部17に記憶させる。このとき、通信情報処理部16は、まず、注目している遠隔監視装置の識別情報が、いずれかのグループに属する遠隔監視装置の識別情報として、通信情報記憶部17に記憶されているか否かを判断する。
【0080】
通信情報処理部16は、注目している遠隔監視装置の識別情報が通信情報記憶部17に記憶されていると判断した場合、注目している遠隔監視装置の属するグループに関する通信情報が、既に通信情報記憶部17に記憶されていると判断して、既に記憶されている通信情報を、新たに生成した通信情報に置き換えるように、通信情報記憶部17に指示する。
【0081】
通信情報処理部16は、注目している遠隔監視装置の識別情報が通信情報記憶部17に記憶されていないと判断した場合には、新たに生成した通信情報に含まれる通信帯域に類似する通信帯域を含む通信情報が、通信情報記憶部17に記憶されているか否かを判断する。具体的には、通信情報処理部16は、新たに生成した通信情報に含まれる通信帯域との差が、予め定める閾値以下である通信帯域を、類似する通信帯域と判断する。つまり、通信情報処理部16は、新たに生成した通信情報に含まれる通信帯域との差が、予め定める閾値以下である通信帯域を含む通信情報が通信情報記憶部17に記憶されているか否かを判断する。
【0082】
通信情報処理部16は、類似する通信帯域を含む通信情報が通信情報記憶部17に記憶されていると判断した場合には、その通信情報が、グループに関する通信情報として記憶されているグループに、注目している遠隔監視装置を分類する。そして、通信情報処理部16は、注目している遠隔監視装置の識別情報を、分類したグループに属する遠隔監視装置の識別情報として、通信情報記憶部17に記憶させる。また通信情報処理部16は、分類したグループに関する通信情報として通信情報記憶部17に記憶されている通信情報を、新たに生成した通信情報に置き換えるように、通信情報記憶部17に指示する。
【0083】
通信情報処理部16は、類似する通信帯域を含む通信情報が通信情報記憶部17に記憶されていないと判断した場合には、注目している遠隔監視装置を含むグループを新たに作成し、そのグループに関する通信情報として、新たに生成した通信情報を通信情報記憶部17に記憶させる。このとき、通信情報処理部16は、注目している遠隔監視装置の識別情報を、作成したグループに属する遠隔監視装置の識別情報として、通信情報と対応付けて通信情報記憶部17に記憶させる。ステップST7の処理が終了すると、ステップST8に移行する。
【0084】
ステップST8において、通信情報処理部16は、注目している遠隔監視装置との接続が切断されたか否かを判断する。通信情報処理部16は、注目している遠隔監視装置との接続が切断されていないと判断した場合は、ステップST6に戻り、前述の処理を繰り返す。通信情報処理部16は、注目している遠隔監視装置との接続が切断されたと判断した場合は、ステップST9に移行する。
【0085】
ステップST9において、通信情報処理部16は、映像通信制御部13へ最後に与えた通信情報を、注目している遠隔監視装置の属するグループに関する通信情報として、通信情報記憶部17に記憶させる。ステップST9の処理は、前述のステップST7において生成した通信情報を、注目している遠隔監視装置の属するグループに関する通信情報として、通信情報記憶部17に記憶させる場合と同様に実行される。ステップST9の処理が終了すると、全ての処理手順を終了する。
【0086】
以上のように本実施の形態によれば、通信情報処理部16は、複数の遠隔監視装置2−1〜2−nを複数のグループGp1〜Gpmに分類して、グループ毎に新たな通信情報を生成し、生成した通信情報を通信情報記憶部17に記憶させる。そして、通信情報処理部16は、以前に対象監視装置1との接続が切断された遠隔監視装置2−1〜2−nが、再度、対象監視装置1に接続されたときに、通信情報記憶部17に記憶されている通信情報を、映像データの送信開始時の送信量の調整に用いる。
【0087】
このように本実施の形態における対象監視装置1は、複数の遠隔監視装置2−1〜2−nを、通信帯域の似通った遠隔監視装置同士で複数のグループに分類して、グループ毎に通信情報を記憶しておき、その通信情報を、次回の接続における映像データの送信開始時に用いるように構成される。
【0088】
このようにグループ毎に通信情報を生成して通信情報記憶部17に記憶させることによって、各遠隔監視装置2−1〜2−nに関する通信情報を個別に生成して通信情報記憶部17に記憶させる場合に比べて、通信情報記憶部17に記憶される通信情報に、通信網3内の通信環境の変化を、より細かく反映させることができる。これによって、通信情報記憶部17に記憶される通信情報に含まれる通信帯域に基づいて、映像データの送信量を調整するときに、より細かく調整することができる。したがって、映像の表示が安定するまでの期間を、さらに短縮することができる。
【0089】
本実施の形態では、対象監視装置1は、第1の実施の形態と同様の動作を行うように構成されるが、前述の第2の実施の形態と同様の動作を行うように構成されてもよい。具体的には、通信情報処理部16で新たな通信情報を生成するときに、以前に生成した通信情報と、遠隔監視装置2−1〜2−nから受信した通信情報とに基づいて、通信帯域の平均値または中央値などの統計値を、次の送信で用いる新たな通信帯域として求めるように構成されてもよい。
【0090】
このように構成することによって、前述の第2の実施の形態のように一時的に通信帯域が減少する影響を軽減することができるので、一時的に通信帯域が減少する影響を軽減した上で、前述のようにグループ毎に新たな通信情報を生成し、生成した通信情報を通信情報記憶部17に記憶させることができる。これによって、一時的に通信帯域が減少する影響を軽減するとともに、各遠隔監視装置2−1〜2−nに関する通信情報を個別に生成して通信情報記憶部17に記憶させる場合に比べて、映像データの送信量の調整を、より細かく行うことができる。したがって、映像の表示が安定するまでの期間を、さらに短縮することができる。
【0091】
前述の各実施の形態は、本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲内において構成を変更することができる。たとえば、前述の各実施の形態の遠隔監視システム10,10Aは、対象監視装置1から遠隔監視装置2,2−1〜2−nに対して、監視対象の映像を表す映像データを送信するように構成されているが、本発明の他の実施の形態では、映像データに代えて、監視対象の音声を表す音声データを送信するようにしてもよい。
【0092】
この場合、カメラ4に代えてマイクロフォンを備え、映像表示装置5,5−1〜5−nに代えてスピーカを備えるように構成し、対象監視装置1および遠隔監視装置2,2−1〜2−nの各部において、映像データに代えて、音声データを処理する手段を備えるように構成すれば、前述の各実施の形態と同様に実施可能であり、同様の効果を得ることができる。この場合には、音声データが、監視データに相当する。
【0093】
また、本発明のさらに他の実施の形態では、遠隔監視システムは、対象監視装置1から遠隔監視装置2に対して、映像データおよび音声データの両方を送信するように構成されてもよい。この場合、カメラ4および映像表示装置5,5−1〜5−nに加えて、マイクロフォンおよびスピーカを備えるように構成し、対象監視装置1および遠隔監視装置2,2−1〜2−nに、映像データを処理する手段に加えて、音声データを処理する手段を備えるように構成すれば、前述の各実施の形態と同様に実施可能であり、同様の効果を得ることができる。この場合には、映像データおよび音声データが、監視データに相当する。
【符号の説明】
【0094】
1 対象監視装置、2,2−1〜2−n 遠隔監視装置、3 通信網、4 カメラ、5,5−1〜5−n 映像表示装置、10,10A 遠隔監視システム、11 カメラ入力部、12 映像情報圧縮部、13 映像通信制御部、14 対象側通信インターフェース部、15 映像蓄積部、16 通信情報処理部、17 通信情報記憶部、21 遠隔側通信インターフェース部、22 映像通信受信部、23 映像情報伸張部、24 表示インターフェース部、25 通信情報生成部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象の映像データおよび音声データの少なくとも一方を含む監視データが入力される対象監視装置と、前記対象監視装置と通信網を介して通信可能に接続され、前記対象監視装置から与えられる監視データに基づいて、前記監視対象を監視する遠隔監視装置とを備える遠隔監視システムであって、
前記対象監視装置は、
入力された前記監視データを、前記通信網を介して、前記遠隔監視装置に送信する対象側送信部と、
前記通信網を介して、前記遠隔監視装置から、前記監視データの送信に用いるべき通信帯域を含む通信情報を受信すると、受信した通信情報に含まれる通信帯域に基づいて、前記対象側送信部によって前記監視データを送信するときに用いるべき通信帯域を含む新たな通信情報を生成し、生成した通信情報に基づいて、前記対象側送信部によって送信される前記監視データの送信量を調整する通信情報処理部と、
前記通信情報処理部によって生成された前記通信情報を記憶する通信情報記憶部とを備え、
前記遠隔監視装置は、
前記対象監視装置から送信される前記監視データを受信できたか否かに基づいて、前記監視データの送信に用いるべき通信帯域を含む通信情報を生成する通信情報生成部と、
前記通信情報生成部によって生成された前記通信情報を前記対象監視装置へ送信する遠隔側送信部とを備え、
前記通信情報処理部は、前記遠隔監視装置が前記対象監視装置に接続されたときに、前記通信情報記憶部に前記通信情報が記憶されていると判断すると、前記通信情報記憶部に記憶されている前記通信情報に含まれる通信帯域に基づいて、前記対象側送信部によって送信される前記監視データの送信量を調整することを特徴とする遠隔監視システム。
【請求項2】
前記通信情報処理部は、
前記遠隔監視装置から前記通信情報を受信すると、受信した通信情報と、以前に生成した通信情報とに基づいて、前記通信帯域の統計値を求め、求めた統計値を前記通信帯域として含むように前記新たな通信情報を生成し、生成した通信情報を前記通信情報記憶部に記憶させることを特徴とする請求項1に記載の遠隔監視システム。
【請求項3】
複数の前記遠隔監視装置を備え、
前記通信情報処理部は、
前記複数の遠隔監視装置を前記通信帯域が類似する複数のグループに分類し、前記グループ毎に前記通信情報を前記通信情報記憶部に記憶させることを特徴とする請求項1に記載の遠隔監視システム。
【請求項4】
前記通信情報処理部は、
前記遠隔監視装置から前記通信情報を受信すると、受信した通信情報と、前記通信情報を送信した前記遠隔監視装置の属するグループに関する前記通信情報として以前に生成した通信情報とを用いて、前記通信帯域の統計値を求め、求めた統計値を前記通信帯域として含むように前記新たな通信情報を生成し、生成した通信情報を、前記通信情報を送信した前記遠隔監視装置の属するグループに関する前記通信情報として、前記通信情報記憶部に記憶させることを特徴とする請求項3に記載の遠隔監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−95253(P2012−95253A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243096(P2010−243096)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】