説明

適合層状アンテナアレイ

平面型、柔軟性のある構造又は湾曲したアレイ構造の低コストアンテナアレイ及びその製造方法を開示する。このアンテナアレイは、金属接地層上に接合された発泡体コア層に形成された複数の金属製アンテナ電気素子及び放射器素子を有する。放射器素子は発泡体コア層に接合された薄い誘電体層上に形成されることが好ましい。このアンテナアレイは、電気素子上に取り付けられた1つ以上の付加的な誘電体層を含んでおり、各誘電体層上には複数の非励振放射器素子が設けられている。このアンテナアレイを製造する際には、それらの誘電体層を互いに接合することが望ましい。電気素子及び放射器素子は、発泡体コア層を接地層に接合する前にエッチングにより形成するのが望ましく、それから付加的な誘電体層及び非励振放射器が、接地層に既に形成された電気素子に接合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナアレイに関し、更に詳しくは、電気通信用のほぼ平坦な曲面を有する低コストアンテナアレイ及びアンテナアレイの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アンテナアレイは様々な型に作られ、通信分野において様々な用途がある。特に大量に使用されコスト面が問題となる用途としては、移動体通信システム、例えば、米国において約800MHzで動作するセルラー通信や、約1900MHzで動作するパーソナル通信サービス(PCS)通信、及びその他、世界中の無線通信や移動体通信などの基地局に使用される場合である。
【0003】
基地局アンテナアレイは、様々な型、コスト、信頼性を有する多種多様の構造を使って構成されている。一般に、従来型の基地局アンテナアレイは、2以上の独立配置した放射器、アンテナのインタフェースポートから放射器間にRFパワーを配信する通信ネットワーク、全ての素子をアセンブリ内に設ける機械構造、及び保護用のレードームを備えている。基地局アンテナアレイの基本型の1つは、既知の円筒型ダイポールのアレイで形成される。一般にこれらのアンテナアレイは非常に多くの部品を必要とし、その構造を製造するには高コストがかかり、物理的にサイズが大きく、また比較的重量も重い。また基地局アンテナアレイの別の基本型では、シートメタルのダイポール放射器及び分離誘電体スペーサによって支持されたシートメタルで形成されたマイクロストリップ電力分配ネットワークを用いて形成される。通常、個々の金属部品はアルミニウムシート素材から打ち抜き形成され、労働集約的な作業で組立てられる。また別の従来型基地局アンテナアレイは電力分割回路用プリント回路基板(PCB’s)、及び同軸ケーブルを用いて相互接続された金属ダイポール放射器又はパッチ放射器を用いる。
【0004】
従来型基地局アンテナアレイの別のタイプでは、電力分配ネットワーク用にPCB’sを用い、ダイポール放射器用に個々に分離したPCB’sを用いる。高利得で8個以上の放射器を備える基地局アンテナでは、信号消失によって起こるネットワーク損失を低く抑えるために、通常、電力分配ネットワーク用のPCB材料をベースとした高性能ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用いる必要がある。PCB材料をベースとした高性能PTFEは、PCB材料の他のタイプに比べ非常に高コストである。電力分配ネットワーク用及び放射器用にPCB’sを使用して構成される基地局アンテナは、シートメタルを用いて構成された同様のアンテナに比べ、製造工具コスト、再生産、組立容易性、及びより複雑な回路を構成できる点で優れている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
製造コスト、物理的な大きさ、アンテナアレイとしての重量を低減するために、様々な構成からなる平面アンテナアレイが提案されてきた。これらのアンテナアレイは、様々なサンドイッチ型の配列を用い、またアンテナ放射器や回路用に様々な種類の材料を用いていろいろな構造に形成されている。通常、平面アンテナアレイはスクリーン印刷によって、またパッチ放射器の打ち抜き又は金属層にパッチ放射器を形成するために金属を切断するなど物理的に金属層を切断することによって、若しくは所望のパターンを形成するために金属層をエッチングすることによって形成される。こういった種類のアンテナは、種々の一般に硬質の誘電体基板、例えばプラスチック、発泡材、スタイロフォーム(登録商標)、PVC樹脂、グラスファイバー、ポリプロピレン、ポリエステル、アクリル、又はポリエチレンなどの誘電体基板上に支持又は配置された非常に薄い金属層又はホイルからなる1つ以上の回路及び放射器を備えている。これら従来型のアレイ構造では、部品数や重量などアンテナアレイのいくつかの特徴について改善されてはいるものの、電気的性能、製造コスト、得られる機械構造については改善が必要である。
【0006】
従って、たとえば、コストを低減して製造することのできる基地局用途に使用されるアンテナアレイが必要である。また、アンテナアレイの所望の低コストを達成しつつ、同時にアンテナアレイの好ましい電気的性能を保持することが望ましい。さらに、特定用途用に曲面構造にすることのできる可撓性のあるアンテナアレイを形成することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、基地局アンテナとして利用するなどの通信用途用の低コストアンテナアレイ及びそのようなアンテナアレイの製造方法に関する。また、本発明に係るアンテナアレイは、いくつかの用途において好ましい平面型、構造的に可撓性がある又は曲面のアレイ構造となるように設計しても良い。
【0008】
本発明の実施形態に係るアンテナアレイは、複数の層からなり、好ましくは相互に接合された複数層からなる。このアンテナアレイは、金属接地層に順次接合されている2つ以上の誘電体層に形成された複数の金属放射器素子を備えることができる。その誘電体層の厚さは、放射器素子が機能するのに適当な間隔を確保するように選択される。放射器素子は可撓性キャリア誘電体層に設けるのが好ましく、そのキャリア誘電体層は、可撓性を持たせたり、平面型又は非平面型に成形又は切断したりすることのできる誘電性の発泡体コア層に接合することができる。アンテナアレイは、1つ以上の誘電体層を備えることができ、その誘電体層上には複数の非励振放射器素子が設けられ、そこで前記誘電体層が、金属放射器素子上に接合されているのが望ましい。この誘電体層及び接地層は、レードームを備え、周囲環境から保護し、他の構造よりもアンテナアセンブリを安全かつ頑丈な方法で取り付けやすい構造体中に収納することができる。
【0009】
本発明の実施形態に係るアンテナアレイの製造方法では、相互に層を接合することができる。放射器素子は、発泡体コア誘電体層が接地層に接合される前に、金属層をエッチングすることによって形成するのが望ましい。また、非励振素子を有する誘電体層を、前もって形成された放射器素子に接合することができる。接地層は、必要があれば、部分的に又は全体的に曲げることができる。
【0010】
本発明の各実施例に係る低コストアンテナアレイの設計はプリント回路基板製造技術用として好適な低コストの個別の部品を用いる。このプリント回路基板製造技術は短期間に組み立てでき、組み立て後に所望性能を実現するのに必要な調整がほとんど不要又は全く不要である。
【0011】
したがって本発明によれば、複数個の放射器素子と給電素子とを備えた金属層と、第1の薄いキャリア誘電体層と、前記第1のキャリア誘電体層上に形成される前記金属層と、頂面と底面とを有する発泡体コア誘電体層とを備える複数個の層を有するアンテナアレイを提供することができ、その中で、前記第1の薄いキャリア誘電体層は前記発泡体コア誘電体層の頂面上に形成され、接着層が前記発泡体コア誘電体層の底面に形成されて該接着層が金属接地層に接合される。
【0012】
本発明の特徴及び利点は、添付図面を参照しながら、以下の詳細な説明により容易に明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1を参照するに、基地局即ちセルサイト10は本発明に係るアンテナアレイ12を少なくとも一個、一般的には複数個含み、それらの各例は図2〜図16に詳細に開示されている。同じ参照番号は図において同じ又は類似の要素を参照するものとして用いられている。基地局アンテナアレイ12は一般に実質的にシールドされたレードーム(図14〜図16参照)内に被覆されており、更に基地局塔14上に通常の方法で装着されている。ここで用いられているように、アンテナアレイは、個々の放射器素子が結合して特定の方向には最大強度で且つ他の方向には最小電界強度を発生するように、アンテナ素子の寸法、間隔、照射順序の結合されたアセンブリである。アンテナアレイという語は、そのようなアセンブリを説明する際に用いることもできる。
【0014】
各基地局アンテナアレイ12は、アメリカ合衆国において約800MHzで動作するセルラー伝送システム及び約1900MHzで動作するパーソナル通信サービス(PCS)又は1つ若しくはそれ以上の受信可能範囲16内のように固定あるいは移動無線ユーザシステムを備えた他の無線通信のような、移動又は固定通信システム(図示せず)のセルの受信可能範囲を提供する。本発明に係る基地局アンテナアレイは、アンテナアレイ12のような平面構造のものと、湾曲したアンテナアレイ18のような曲面構造のものが示されている(曲面構造の例は図17〜図20に詳細に開示されている)。曲面アンテナアレイ18は第2の基地局塔14’に装着されており、山中若しくは航空機19内のように受信可能範囲16の上方に基地局10の通信範囲を拡大させることができる。
【0015】
本発明に係るアンテナアレイの第1の実施例20は図2の分解図に示されており、図を縮尺で作成するために種々の素子が省略されている。アンテナアレイの第1の実施例20は二重の直交する直線偏波を有する二重偏波アンテナであり、16個の個別の放射器でもって説明されている。本発明は二重偏波アンテナに限定するものではなく、単一の特性の偏波を有するアンテナに適用することができるばかりか、図示された具体例よりも少なく又はより多くの個別放射器を有するアンテナに応用することも可能であることは当業者であれば容易に理解することができるであろう。アンテナアレイ20はPCB積層体若しくはサンドイッチ22を含んでおり、そのPCB積層体は金属層60(図5参照)によって形成された複数個の放射器素子若しくはパッチ24を含んでおり、その積層体22の長手方向に沿って従来の方法で放射器素子24と相互に接続する所要の給電回路26を使用して形成されている。好ましくは、金属層60は先ず粘着層62(図5参照)のような材料によって比較的薄いキャリア誘電体層27上に装着若しくは接合され、次いで複数個の放射器素子又はパッチ24が例えば通常の化学的エッチング処理によって形成され、積層体22の長手方向に沿って放射器素子24と相互接続する所要の給電回路26を使用して形成されている。接合という語は接合のための従来技術を含むものであり、粘着物若しくはファスナーを用いた接合を含むものであるがそれに限定されるものではない。
【0016】
PCB積層体22は次に粘着層30によって比較的厚い発泡体コア誘電体層28に接合される。アンテナアレイ20の台は粘着及び開放層32を含むことが望ましく、その開放層は始めに発泡体コア誘電体層28の底面に接合され、両層が相互に接合された時に積層体又はサンドイッチアセンブリ34が完成される。所要の給電回路26を備えた複数個の放射器素子又はパッチ24は、通常の化学的エッチング処理によってこの時点でこの積層体中に形成される。一旦放射器素子24及び所要の給電回路26が形成されると、積層体34は通常の方法によって整備される。層32の開放部分(図示しないが、ポリエステルか若しくは同様の剥離層など)は除去され、次いで積層体34は接地層若しくは導電性トレイ35に残存粘着剤を使用して接合される。
【0017】
積層体22、発泡体コア誘電体層28及び導電性トレイ35は夫々対になったセットの中心孔36を含み、相互に結合されてPCB積層体22上の給電回路26にRF結合するために用いられる。もう一つの複数のセットである結合孔38は積層体22、発泡体コア誘電体層28及び導電性トレイ35の縁に沿って形成され、これらの結合孔38は装着ブラケット48を導電性トレイ35に物理的に装着するために利用される(図3参照)。導電性トレイ35の中心孔38はボルト若しくはリベット若しくは同様のデバイス(図示せず)を支承し、他方積層体22内の中心孔38及び発泡体コア誘電体層28はボルトの頭に対してクリアランスを与えるものである。
【0018】
積層体34及び導電性トレイ35はアンテナ構造40内に装着され、且つ図3に示された要素と共にアンテナ構造40の一部を形成している。アンテナ構造40は雨、みぞれ、雪、泥、風等の周囲の環境条件からアンテナを保護するアンテナアレイ20のための囲いを形成している。アンテナアレイ20は一般に基地局の露出した位置に装着されるが、アレイ20は他の応用例において他のタイプの保護器若しくは囲いの有無に関わらず装着することができる。アンテナ構造40はレードームカバー部材42を含み、このレードームカバー部材を導電性トレイ35の底部に装着することができる。レードームカバー42の両端は一対のエンドキャップ44によって包囲されており、それらのエンドキャップはリベット(図示せず)などのファスナーによって接地層35若しくはレードームカバー42に固定され、包囲されたアンテナ構造40を形成している。
【0019】
レードームカバー42は適当な規定外等級(outdoor grade)のプラスチック材料を押出成形によって製造することができ、ロスに対して適当な無線周波数特性及び適切な誘電体定数を有している。その材料はまた適度な寸法に安定しており、且つ低温においても強度が高くなければならない。レードームの材料は外環境で長寿命を得られるように紫外線に対して安定した材料である規定外等級のポリビニルクロライド(PVC)であることが望ましい。PVC材料は好ましい選択であることは基地局のアンテナレードームとして用いられてきたことからも証明されている。
【0020】
接地層35は他の各層に形成された各中心孔36と一致する一対にセットされた中心孔36を有している。中心孔36は、PCB積層体22上に設けられた給電回路26にRF電力を供給する一対のRFコネクタ46に対して利用される。RFコネクタ46はアンテナ構造40に対するインタフェースポート若しくはポートコネクタを形成している。アンテナ構造20又は40内においては金属と金属との接触のみであり、直接RF信号路がRFコネクタ46にはんだ接続されているために、得られるアンテナ構造20又は40は良好な受動的相互変調(PIM)動作を得ることができる。PIMはトーン毎に20ワットの2キャリアトーンでテストをすると、一般に−150dBcより小さい。
【0021】
アンテナ構造40は、前述した通り、中心孔38を通してボルト若しくはリベット(図示せず)などのファスナーによって接地層35に固定する一対の装着用ブラケット48を含むことが望ましい。ブラケット48はセル塔14などの所望の位置にアンテナ12を装着することに利用される。
【0022】
積層体34及び接地層35は拡大部分斜視図として図4に示されている。放射器素子24及び給電回路26を備えたTCB積層体22はより明瞭に図示されている。更に、少なくとも発泡体コア誘電体層28及び接地層35はそれぞれエンドキャップ44が装着された一対の孔50を含んでいる。孔50はまた積層体22、層28、30及び32(各々は必要であれば孔50を含むことができる)を相互に調整するために利用することができ、積層体34が導電性トレイ35上に製造され装着される。一般に、孔は積層体の種々の層に形成することができ、それらはファスナーの周囲にクリアランスを提供し、あるいは種々の積層体内で他の局所的に突出するという突出特性を提供するものである。
【0023】
積層体34及び導電性トレイ35は図5に拡大端面図として示されている。また縮尺するために各素子は示されていない。更に、比較的薄いキャリア誘電体層27は金属層60から分離して示されており、この金属層はパターン化されて放射器24及び給電回路26が形成される。金属層60は粘着層62によりキャリア誘電体層27に接合されて積層体22を形成する。導電性トレイ35もまた長手方向の対向する両側縁にレードームカバー42にスライドさせるための溝64及び66を設けることが好ましく、その後エンドキャップ44が導電性トレイ35に装着される。
【0024】
特殊な材料及び層の厚さは重要なものではないが、一般的な寸法及び材料は次の通りである。一つの好ましい実施の形態において、金属層60は放射器素子24及び給電回路26を形成するためにエッチングされる薄い銅のホイルである。ホイル60は、キャリア誘電体層27上の粘着性層62に接触している表面上に化学的処理を有する電着型銅ホイルであることが望ましく、処理時に一般に反転−処理銅ホイルと呼ばれる。金属層60は約0.0014インチの厚さに相当する1平方フィート当たりにつき1オンスの銅である。他の銅ホイル、例えば一般により高価なロール状の銅ホイル及び接合された表面上が縮減された表面を持つEDホイルも用いることができる。1平方フィート当たり1/2若しくは2オンスなど種々の重量の銅ホイルも使用することができる。1オンスの銅ホイルはコストの面及び基地局アンテナとして用いた場合に信号電流可能出力の面で好ましい。キャリア誘電体層27は、好ましくは厚さ約0.003〜0.005インチで、上限が厚さ0.010インチの厚さである低損失のポリエステルフイルムが用いられる。金属層60及び比較的薄いキャリア誘電体層27は比較的薄い粘着層62で接合され、粘着層62には金属層60及びキャリア誘電体層27の間で温式被覆加工処理を適用することができ、かつ粘着層62は処理する際、後に単一のアセンブリである積層体22として扱われることになる積層板を形成する。得られた積層板アセンブリ又は積層体22は一般に可撓性を有し、少なくとも1平面中に曲面部を有するように加工することができる。
【0025】
発泡体コア誘電体層28は好ましくは、閉じられたセル即ち独立気泡発泡体であり、実質上、アンテナ周辺環境の湿度の吸い上げを制限し、比較的水分吸収量の少ない発泡体コア誘電体層28がプリント回路基板を湿らせやすくしている。発泡体コア誘電体層28は一般に1立方フィート当たり2、4、6、9、若しくは12lbsの密度を有する発泡したポリオレフィンプラスチック材料を使用することが可能である。かかる材料の1つに発泡ポリエチレンがあり、これは一般に製造中材料特性を高めるための放熱を利用して交差結合されることが好ましい。熱活性化された化学的交差結合動因は他の組成に用いられる。放熱を利用して交差結合された独立気泡の膨張型ポリエチレン発泡体は、デラウェア州の法人であるバルカン・インタナショナル・コーポレーション(Vulcan International Corporation)の完全子会社であるテネシー州の法人バルカン・コーポレーション(Vulcan Corporation)によって製造されたバルトラセル(Vultra Cell)(登録商標)として知られている。第2の交差結合された膨張型ポリエチレン発泡体は、セキスイ・アメリカ・コーポレーション(Sekisui America Corporation)の事業部であるボルテク(Voltek)によって製造されたボララ(Volara)(登録商標)として知られている。ボルテクは他の種々の等級の交差結合された独立気泡のポリオレフィン発泡体材料を製造しており、それらの材料は本出願に適したものである。ロール型ポリオレフィン発泡体は可撓性があり、他の形状を採ることが可能で、接合されるそれらの材料はここで示された構成要素及び従来の処理及び組み立て技術を用いて1つ以上の平面内で曲面を有するアンテナの製造を可能としている。
【0026】
発泡体コア誘電体層28の誘電率は、発泡体コア誘電体層28を形成するのに利用される発泡材料の密度と誘電率に依存している。モールドされた発泡ポリスチレン(EPS)などの硬質で低密度の発泡体は一般に1立方フィート当たり1.25〜2.5lbsの密度を有する。これらの低密度の発泡体の誘電率は1.02〜1.04であって、空気の誘電率に近い。押出型ポリスチレン発泡体は膨張型ポリエチレン発泡体よりも好ましく、それは構造中の発泡体ビーズを用いて発泡した発泡体に発生する小さい隙間の溝が減少した結果上昇する湿気が減少したからである。それにもかかわらず、上記のEPSはいくつかの応用にとって充分に低い湿度上昇特性を持っている。密度が1立方フィート当たり6lbsの押出処理型の交差結合されたポリエチレン発泡体の誘電率は典型的に2.3である。他の交差結合された膨張型ポリオレフィン発泡体は1.35の誘電率値を持っている。本発明において利用される発泡体コア誘電体層28は厚さが約0.090インチである。誘電率の低い値のものはプラスチック材料の低密度に起因して一般に低い散逸率を有している。
【0027】
発泡体コア誘電体層28に用いることができる硬質発泡体材料は、イギリス、ノリッジのエムカイ・プラスチックス・リミテッド(ENKAY Plastics Ltd.)によって製造されたロハセル(Rohacell)(登録商標)である。このロハセル(登録商標)は、CFCs、臭素及びハロゲンの無いがポリメタクリリミド(PMI)硬質発泡体であって、100%独立気泡で等方性があるとされている。このロハセル(登録商標)発泡体は優れた機械的特性、高度な耐熱寸法安定性、高い溶媒抵抗性及び特に低い熱伝導係数を有している。耐久力、弾性モジュール及び剪断変形は、現在のところ同じ密度の他の発泡プラスチックより優れている。このロハセル(登録商標)発泡体は、密度が1立方フィート当たり2、3.25、4.68及び6.87lbsを含む種々の密度のものを入手することができる。一般にこのロハセル(登録商標)発泡体の誘電率は同じ密度の可撓性ポリオレフィン同属発泡体より低い値を示す。例えば、1立方フィート当たり4.68lbsの密度を有するロハセル(登録商標)発泡体は2GHzで約1.08の誘電率を有している。ロハセル(登録商標)発泡体は熱可塑性になり、従って170〜190°Cの温度で成形することができる。必要な成形温度は密度と成形の度合いに依存している。曲面発泡体の形状は熱を伴った機械加工若しくは成形加工によって形成される。
【0028】
導電性トレイ35は厚さが約0.125インチのアルミニウムで形成することができる。図示された実施例における導電性トレイ又は接地層35はまた重要な構成要素の一つであり、硬度及び強度を強くするためにそれに関連した厚さを備えていることは当業者に理解されるであろう。重要な構成要素としてレードーム囲い42を含む他の実施例も可能であり、その際には接地層35は厚さが約0.003〜0.010インチの範囲の比較的薄い金属層であるアルミニウム若しくは他の適当な導電性材料を用いることができる。
【0029】
金属層60、粘着層62及び比較的薄いキャリア誘電体層27を含む図5に示された積層体22の一実施例は、ロードアイランド州イーストプロビデンス所在のアーロン・エンジニヤード・ラミネーツ・アンド・コーティング事業部(Arlon Engineered Laminates and Coating Division)から銅張りポリエステル積層板(Copper Clad Polyester Laminate(CPL))の製品名で入手することができる。アーロン(Arlon)製CPLの粘着層62はアーロン特許の熱硬化性ウレタン粘着システムである。金属により硬化された積層体22は、比較的薄いキャリア誘電体層27がデュポン(Dupont)社により製造されたカプトン(Kapton)(登録商標)フィルムとして知られているポリイミド材料である場合可撓性回路業界において数多くの業者から入手することができる。アーロン製CPLは比較的低い誘電率と実質的に低い吸水性のために積層されたポリイミドフイルムよりも好ましい。
【0030】
粘着層30及び62は、例えばミネソタ州セントポールに所在する3エム・コーポレーション(3M Corporation)により製造された商品名VHB(登録商標)のようなアクリル感圧転写接着剤を使用することができ、その製品の厚さは約0.002〜0.005インチである。また湿気応用システムを含む他のアクリル粘着システムも使用することができる。アクリルを用いた粘着システムは好ましいが、本発明はこのアクリル粘着システムを用いることに限定するものではない。感圧粘着剤(PSA)を用いることは粘着層32が積層体34を接地層35に対して組み立てるのが容易である。
【0031】
比較的薄いキャリア誘電体層27はポリエステル材料に限定されるものではなく、発泡体コア誘電体層28と銅ホイル60との間で不透過性の重合体薄膜として作用する比較的低湿気で低RFエネルギー吸収の適当な低コストプラスチック材料を用いることができる。プラスチック材料はまたプリンティング、エッチング処理に対してスムーズな表面を作り、且つ更に典型的なPCBによる化学処理によって発生する化学薬品が発泡体コア誘電体層28の表面に浸透するのを阻止する作用をする。比較的薄いキャリア誘電体層27は、低コストアンテナを構成するのに重要な要素であり、放射器素子24に接続するのに必要な給電回路26の導通パターンを形成するのに通常のPCB処理を用いて促進することが可能であり通常のアクリル接着システムを用いて発泡体コア誘電体層28に容易に接着できる。発泡体コア誘電体層28は可撓性を有することもでき、所望の平面若しくは非平面の構成にモールド若しくは切断することが可能である。
【0032】
図6及び図7は部分的に組み立てられたアンテナ構造40を示し、組み立てられた積層体22及び34、各層28、30及び32は互いに接合され、接地層35に装着され、レードームカバー42は省略されている。
【0033】
本発明に係る第2のアンテナアレイの実施例70は、実質的に第1のアンテナアレイ実施例20と同様の積層体34を含み、図8の分解図に示されている。積層体34の層に加えて、前述したように、アンテナ70は、積層体22と同じような積層体71を含み、積層体71は粘着層(図11参照)によって薄いキャリア誘電体層74上に形成されるか若しくは粘着されることが好ましい非励振放射器素子72を備えている。非励振放射器素子72は、非励振放射器素子72を設けない同様のアンテナアレイを設計する時と比較して、放射器素子24を駆動してアンテナアレイ20の動作帯域幅を増大させるものである。薄いキャリア誘電体層74は薄いキャリア誘電体層27と同様のものである。放射器素子72は放射器素子24に対応するものと非励振結合されている。放射器素子72は何ら給電回路を含んではおらず、それぞれの放射器素子24と72との間の好ましい非励振結合のための所定の距離に等しい厚みを有している誘電体層76によって積層体22から所定の上記距離だけスペースを置いている。誘電体層76は粘着層78によって積層体71に接着若しくは粘着されている。放射器素子72はまた層74及び層78を用いることなく、直接誘電体層76に接着することも可能である。誘電体層76はモールドされるか又は所望の寸法に切断された通常の発泡ポリスチレン材料から形成することができる。誘電体層76の好ましい実施の形態は、比較的低密度値で且つ実質的に一定の厚さを有する単一の独立気泡発泡体である。誘電体層76は次に粘着層80によって積層体22の頂部に接合される。素子72を有するキャリア誘電体層74を追加した積層体71、誘電体層76及び積層体34は、更に積層体82を形成し、前述の通り導電性トレイ35に装着される。
【0034】
導電性トレイ35上の積層体82は、また図3に関して前述したように同様の構成要素を備えて、図9に示されているようにアンテナ構造40内に装着される。2つの層74及び76が追加されただけで、2つのアンテナ構造20及び70は殆んど同じである。
【0035】
積層体82は図10に拡大部分斜視図として示されている。放射器24及び給電回路26を備えた金属積層体22は積層体71及び層76とを備えた結合体として更に明瞭に示されている。発泡体コア誘電体層28及び接地層35はそれぞれエンドキャップ44が装着される一対の孔50を含んでいる。サンドイッチ82は導電性トレイ35上に形成され装着されるので、孔50は各層を相互に調整させるのに使用できる。
【0036】
積層体82はまた図11に導電性トレイ35を備えて拡大端面図として示されている。層は縮尺するために示されていない。更に、誘電体層74は金属層(図示せず)からパターン化される非励振放射器72から分離して示されている。放射器72は粘着層73によってキャリア誘電体層74に接合されている。1つの好ましい実施の形態においては、金属層72は層60のような薄い銅ホイルで構成することができる。キャリア誘電体層74もまた、層27のように厚さ約0.003〜0.005インチの比較的薄い低損失ポリエステル材料で形成することができる。誘電体層76は低損失で低い誘電体率で且つ約0.375インチの厚さの独立気泡ポリスチレンで形成することができる。粘着層73、78及び80は従来の感圧粘着剤であり、約0.002〜0.005インチの厚さを有している。他の実施例において、金属層72はアルミニウム、真鍮若しくは銅のレーザーカット若しくはダイカットシートで形成することができ、厚さは約0.05インチである。次いで個々の放射器72は個々の部片にされ、続いてキャリア層74に接着されるかあるいは誘電体層76に直接接着される。個々の放射器が形成されたときに、それらの放射器72は特定のアンテナ応用のために所望の適当な厚さ寸法に形成される。
【0037】
図12及び図13は部分的に組み立てられたアンテナ構造70を示しており、組み立てられた積層体82及び各層22、28、74及び76が相互に接続されて接地層35に装着されており、ただレードームカバー42は省略されている。
【0038】
図14A、図14B、図14C、図15及び図16は、アンテナアレイ70を形成するレードームアンテナ構造40内における組み立てられた積層体82の種々の形態を示している。
【0039】
図17〜図20は非平面のアンテナアレイ若しくは一部が非平面のアンテナアレイであるアンテナアレイの実施例を示している。これらのデザインは可撓性のある若しくは平坦なシートから熱形成される発泡体コア28用の材料を用いて実施されるのが望ましい。
【0040】
図17は本発明に係る曲面のアンテナアレイ実施例90を示す斜視図である。誘電体層27及び28は圧縮でき適合性のある発泡体材料などの可撓性材料により形成することができ、あるいは前述したようにモールド若しくはカットできる。そのようなアンテナアレイの例として、アレイ90は円筒状基板即ち接地層92上に形成され、複数個の放射器24を有する一対のアンテナ20を形成する2個の積層体34を含んでいる。円筒状即ち曲面の基板92上にアンテナ20を形成することによって、アンテナ20は実質上360度の受信可能範囲を提供することができる。構造40(図示せず)のようなレードーム構造はアレイ90上に装着され、寸法及び重量が減少され、更に見た目にも美しいアンテナ構造を形成することができる。次にアレイ90はセル塔14(図示せず)上のように所望される所に装着される。
【0041】
図18は図17に示されたアンテナ20の一部分を有するアンテナアレイ90の拡大部分斜視図である。アレイ90はまたレードームを使用せずに、特定の応用に必要ならば保護用被覆若しくは他の型のカバーを備えることができる。
【0042】
図17及び図18に示された実施例におけるシリンダ92の周囲のアンテナ20の曲面はこのシリンダの長手方向に沿って存在するアレイ90の平面に対してクロスする方向である。アンテナアレイ90はアレイの主たる面に沿って真直である。曲面を有するアンテナアレイ90のこの特別の実施例において、個々にアンテナアレイ放射器24は同じ方向に置かれている。この配置は遠視野像特性の算定をする時にこのアレイの貢献から個々の放射器の貢献度を分離するのに適当な状態を提供する。図17及び図18に示されたこれらの特殊な実施例において、曲面にする目的は、アレイの曲面に対して交差する平面にパターンを形成し、中心装着構造の周囲に数多くのアンテナアレイをコンパクトに整列させることにある。2つ以上のアンテナアレイにとって、信号インタフェースは各アレイのセクタサービス適用範囲を分離することができるが、ワイドセクタあるいは全方向性の場合には各アレイに対応する信号は更に結合される。
【0043】
図19A及び図19Bはアレイに沿って湾曲したアンテナアレイ100の斜視図である。図19Aは円筒状基板102にアレイが適合した一実施例を示し、かつ図19Bは円筒状基板102の一様な曲面に対して一様でない曲面を有する実施例100’を示している。この特定の実施例においては、個別アレイ放射器24は種々の違った方向に置かれている。この実施例の一般的な条件はワイドセクタ若しくは全方向に対して適用範囲を提供するために有用である。形成されたパターンは一様でない振幅と相関的な位相で個々の放射器24に信号を分配することが可能である。
【0044】
図20は本発明に係る1対の曲面アンテナアレイ110を基地局周辺において利用する場合の概略図である。図20は非平面の各アレイの一部112を有する2つのアレイ110を示している。実施例110は装着構造の両側面の領域を強調する受信可能範囲を提供するが、一方エネルギーの一部は装着構造の上部に提供される。これは、地上から航空機で通信するような際にしばしば望まれるように形成されたビーム適用範囲を提供することが特に重要であり、前記地上では最大のアンテナ指向性が水平線に近く、装着構造の頂点に常に受信可能な範囲を設ける必要がある。こアレイ110はセル塔14’の頂点に装着することができ、弓形の上端面112を含み、図1の曲面アンテナ18に示されるようにセル塔14’の上方に受信可能範囲を提供する。
【0045】
図21には本発明に係るアンテナアレイの第1の実施例を製造するための方法120が示されている。図5には、アンテナ20を製造する実施例が初めて記述されている。ステップ122において、金属層60が初めに粘着層62を使用してキャリア誘電体層27に接合される。次にステップ124において、キャリア誘電体層27は粘着層30を用いて発泡体コア誘電体層28に接合される。誘電体層27は一般に金属層60に対して薄いキャリア層であり、一方発泡体コア誘電体層28は放射器24を適切に動作させるために所望の誘電体距離即ち厚みを与えている。
【0046】
次いでステップ126において誘電体層32は誘電体層28に接合され、積層体又はサンドイッチ34が形成される。粘着層32は発泡体コア誘電体層28の反対側に開放層(図示せず)を有する両面誘電体テープであることが好ましい。次いでステップ128において、アンテナの電気素子である放射器24及び給電回路26がエッチング処理により金属層60から所望の放射器パターンが形成され、エッチングステップの後に一般に通常の方法で積層体34のトリミング処理がなされる。次にステップ130で、すでに放射器24及び給電回路26を形成された積層体34は粘着層32を用いて接地層35に装着されると共に開放層は除去される。RFコネクタ46が導電性トレイ35に機械的に接続され、次いで金属層60にはんだ付けされて適正な電気的接続がなされる。所望の際には、残された機械的要素が集合され、図3に示されるように、最終的な保護カバー即ちレードームアセンブリ40が完成され、オプショナルステップ132に追加される。もし必要ならば、電気素子24及び26はステップ122の後に形成することもできる。
【0047】
図22には本発明に係るアンテナアレイの別の製造方法140が示されている。図11には本発明に係るアンテナ70の製造実施例が示されている。前記の方法120のステップ122〜ステップ130がプロセス140で反復される。ステップ142において金属層60がキャリア誘電体層27に粘着層62を使用して接合される。次いでキャリア誘電体層27はステップ144において粘着層30を使用して発泡体コア誘電体層28に接合される。次に粘着層32がステップ146で発泡体コア誘電体層28に接合されて積層体34が形成される。粘着層32は開放層(図示せず)を発泡体コア誘電体層28の反対側に備えた両側誘電体テープであることが望ましい。次にステップ148において、アンテナ電気素子である放射器24及び給電回路26の所望のパターンが金属層60からエッチング処理によって形成されるが、アンテナ電気素子である放射器24及び給電回路26はステップ142の後に形成されてもよい。すでに形成された放射器24及び給電回路26を備えた積層体34は次にステップ150において粘着層32を使用して導電性トレイ35に接着される。
【0048】
第1のオプショナル実施例として、ステップ152において非励振素子72を形成するための金属層が粘着層73を用いて薄いキャリア誘電体層74に接着されて積層体71が形成される。非励振素子は金属層からエッチング処理され、ステップ154で個々の放射器素子72が形成される。次いでキャリア誘電体層74を有する積層体71はステップ156で粘着層78を用いて誘電体層76に接着される。誘電体層76は、次いでステップ158において粘着層80を用いて積層体22上の対応する放射器24の頂部に誘電体層76を接着することによって、積層体34に接合される。RFコネクタ46は再び導電性トレイ35に機械的に接合され、次いで金属層60にはんだ付けされて適切な電気的接続がなされる。前述した通り、所望される際には、その他の機械的要素が設備され、図9に示されているように、最終的な保護カバー即ちレードームアセンブリ40が完成され、次いで、オプショナルステップ160に追加される。
【0049】
他のオプショナル実施例において、放射器72がまた誘電体層76に直接接着され、キャリア誘電体層74及びエッチングステップ154が省略、除去される。この実施例において、ステップ150に続いて、放射器72はレーザ若しくはダイカットされ、ステップ162において個々の放射器が形成される。次いで素子72はステップ164で個別に誘電体層76に接着される。残ったステップは、前述のステップ158及びオプショナルステップ160と同様である。
【0050】
前述の通り、接地層は金属層60のような単に他の金属ホイルであってもよく、それによって硬質の金属支持体である導電性トレイ35を省略することができる。本実施例において、接地層ホイルを有する積層体34若しくは82は、図23〜図25に示したレードーム170のような非導電性支持体によって支持されている。レードーム170は図示の如く、溶接若しくは機械的に接合することにより、若しくは押し出し成形ユニットによる集合あるいは単一の部分に形成する等により数多くの部品によって形成することができる。レードーム170はレードームカバー42に用いた材料と同じ若しくは類似の材料から形成することができる。積層体34若しくは82のための支持体はいくつもの形態で形成されるが、レードーム170はレードーム170の両側壁176、178に形成された一対の両スロット172、174を含んでいる。側壁176及び178は隣接しており曲面形状を有するように示されたトップ上面カバー180を備えているが、希望するならば平面形状若しくは他の形状に形成することもできる。側壁176及び178はまた隣接しているが、底部材182を設けることもできる。また底部材182は平面形状で示されているが、所望により他の形状を備えることもできる。積層体82はレードーム170内のスロット172及び174間に装着されている。メタルホイルバック平面35を有する積層体34若しくは積層体82はレードーム170(図25参照)内に滑動させられて、開放された両端にキャップ44(図示せず)と類似のエンドキャップが嵌合される。底部材182は積層体34若しくは82を支持するために1つ以上の支持体184を有することが望ましく、それらは底部材に装着されるか若しくは形成されるとよい(1対の支持体は図示されている)。
【0051】
上述の通り、本発明に係る低コストアンテナアレイの設計は組み立て後に所望の性能を得るための調整がほとんど又は全く必要なく短時間で組み立てることのできるプリント配線板製造技術に適合する低コストの個別の部品を使用する。
【0052】
本発明のいくつかの好ましい実施の形態について説明してきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく開示した本発明について数多くの変形、追加、削除をできることは当業者には容易に想起できるものである。例えば、上部に素子72を有する非励振構造76はアンテナ70に関して1個だけと説明しているが、所望すればアンテナ70の上面に1個以上の非励振構造を追加して装着することも可能である。発泡体コア誘電体層28及び発泡体層76は単一の構造として示されているが、熱を用いた溶接若しくは超音波技術などを用いて2つ以上の発泡体コア層を一緒にして多層若しくは積層構造とすることもできる。また、発泡体コア誘電体層28及び発泡体層76は、湾曲した接地層を備えて用いられる場合には、また、発泡体コア誘電体層28及び発泡体層76は、曲面の接地層に用いられた際には、連続した曲面セクションというよりはむしろ断片的な直線あるいは平面部分を形成されることにより“曲面化”することができる。したがって発泡体コア誘電体層28及び発泡体層76は、断片的な直線あるいは実質的に連続した曲面接地層表面の一部分あるいは複数の部分として平面性近似にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施例によるアンテナアレイの基地局周辺における使用を示す図である。
【図2】本発明の一実施例によるアンテナアレイの分解斜視図である。
【図3】完全なアンテナ構造を形成するレードーム素子を備えた図2のアンテナアレイの分解斜視図である。
【図4】図2に示されたアンテナアレイの部分拡大分解斜視図である。
【図5】図2に示されたアンテナアレイの拡大分解端面図である。
【図6】完全なアンテナ構造を部分的に形成するレードーム素子を備えた図2のアンテナアレイを示す斜視図である。
【図7】図6に示された部分的に完成されたアンテナ構造の平面図である。
【図8】本発明の他の実施例によるアンテナアレイの分解斜視図である。
【図9】完全なアンテナ構造を形成するレードーム素子を備えた図8のアンテナアレイの実施例を示す分解斜視図である。
【図10】図8に示されたアンテナアレイの実施例の部分拡大分解斜視図である。
【図11】図8に示されたアンテナアレイの実施例の拡大分解端面図である。
【図12】部分的に完全なアンテナ構造を形成するレードーム素子を備えた図8に示されたアンテナアレイの実施例の部分斜視図である。
【図13】図12の部分的に完成されたアンテナ構造の平面図である。
【図14A】レードーム内に装着された完成のアンテナアレイ構造の側面図である。
【図14B】レードーム内に装着された完成のアンテナアレイ構造の底面図である。
【図14C】レードーム内に装着された完成のアンテナアレイ構造の平面図である。
【図15】図14Aの15−15線に沿って切断し矢印の方向に見た完全なアンテナアレイ及びレードーム構造の断面図である。
【図16】図15の完全なアンテナアレイ構造の斜視図である。
【図17】本発明に係る曲面アンテナアレイの実施例を示す斜視図である。
【図18】図17に示されたアンテナアレイ構造の拡大部分斜視図である。
【図19A】本発明に係る他の曲面アンテナアレイの実施例の斜視図である。
【図19B】本発明に係る他の曲面アンテナアレイの実施例の平面図である。
【図20】本発明に係る曲面アンテナアレイの基地局周辺内における使用を示す概略図である。
【図21】本発明に係るアンテナアレイの一実施例を製造する処理ステップを示す図である。
【図22】本発明に係るアンテナアレイの他の実施例を製造する処理ステップを示す図である。
【図23】完全なアンテナ構造を支持する本発明に係るアンテナアレイレードームの実施例を示す部分斜視図である。
【図24】内部に完全なアンテナ構造を備えた図23のレードームの側面図及び端面図である。
【図25】アンテナ構造が装着される図23のレードームを示す部分斜視図である。
【符号の説明】
【0054】
10…基地局
12…アンテナアレイ
16…受信可能範囲
18…アンテナアレイ
20…アンテナアレイ
22…PCB積層体/サンドイッチ
24…放射器素子/パッチ
26…給電回路
27…キャリア誘電体層
28…発泡体コア誘電体層
30…粘着層
32…開放層
34…積層体/サンドイッチアセンブリ
35…接地層/導電性トレイ
40…アンテナアレイ
42…レードームカバー
44…エンドキャップ
60…金属層
62…粘着層
70…アンテナアレイ
71…積層体
72…放射器素子
74…キャリア誘電体層
82…積層体
90…曲面アンテナアレイ
92…円筒形接地層
100…アンテナアレイ
102…円筒形基体
110…曲面アンテナアレイ
170…レードーム
180…上面カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個のアンテナ電気放射器素子及び給電素子が形成される金属層と、
前記金属層が上に形成される第1の薄いキャリア誘電体層と、
頂面及び底面を有し、前記第1の薄いキャリア誘電体層が前記頂面に形成される発泡体コア層と、
前記発泡体コア層の前記底面に形成されると共に金属接地層に接合されている接着層と、
を含み、複数個の層を有するアンテナアレイ。
【請求項2】
前記金属層が前記第1の薄いキャリア誘電体層に粘着的に接合される請求項1に記載のアンテナアレイ。
【請求項3】
前記第1の薄いキャリア誘電体層が前記発泡体コア層に粘着的に接合される請求項1に記載のアンテナアレイ。
【請求項4】
前記金属接地層が薄い金属層である請求項1に記載のアンテナアレイ。
【請求項5】
前記アンテナ各層を包囲すると共にそれらを支持する非導電性レードームカバーを更に含む請求項4に記載のアンテナアレイ。
【請求項6】
前記各アンテナ層が相互に粘着的に接合されている請求項1に記載のアンテナアレイ。
【請求項7】
前記各アンテナ層を包囲するレードームカバー構造を更に含む請求項1に記載のアンテナアレイ。
【請求項8】
前記複数個のアンテナ層の少なくとも一部が曲面接地層上に形成される請求項1に記載のアンテナアレイ。
【請求項9】
前記複数個のアンテナ層が前記曲面接地層に適合した可撓性材料で形成される請求項8に記載のアンテナアレイ。
【請求項10】
前記発泡体コア層が前記曲面接地層に適合した曲面形状に形成されている請求項8に記載のアンテナアレイ。
【請求項11】
前記金属接地層が実質的に硬質の支持金属層である請求項1に記載のアンテナアレイ。
【請求項12】
更に前記金属層上に形成され、該金属層内の対応する放射器素子に電気的に結合される複数個の非励振放射器素子を表面に形成された第2の誘電体層を少なくとも含む請求項1に記載のアンテナアレイ。
【請求項13】
更に第2の薄いキャリア誘電体層の上面に形成された前記複数個の非励振放射器素子を少なくとも含み、該第2の薄いキャリア誘電体層が前記第2の誘電体層上に形成されている請求項12に記載のアンテナアレイ。
【請求項14】
前記各層は相互に粘着性的に接合されている請求項12に記載のアンテナアレイ。
【請求項15】
前記各アンテナ層を包囲するレードームカバー構造を更に含む請求項12に記載のアンテナアレイ。
【請求項16】
前記金属接地層が薄い金属接地層である請求項12に記載のアンテナアレイ。
【請求項17】
前記各アンテナ層を包囲すると共に支持する非導電性レードームカバー構造を更に含む請求項16に記載のアンテナアレイ。
【請求項18】
前記複数個のアンテナ層の少なくとも一部が曲面接地層上に形成されている請求項12に記載のアンテナアレイ。
【請求項19】
前記複数個の各アンテナ層が前記曲面接地層に適合する可撓性材料で形成されている請求項18に記載のアンテナアレイ。
【請求項20】
前記発泡体コア層が湾曲形状に形成されて前記曲面接地層に適合する請求項18に記載のアンテナアレイ。
【請求項21】
前記金属接地層が実質的に硬質の支持金属層である請求項12に記載のアンテナアレイ。
【請求項22】
複数個のアンテナ電気放射器素子及び給電素子が形成される金属層と、
前記金属層が上部に形成される第1の薄いキャリア誘電体層と、
頂面及び底面を有し、該頂面に前記第1の薄いキャリア誘電体層が形成される発泡体コア層と、
前記金属層上に形成される少なくとも1つの第2の誘電体層と、
前記金属層内の対応する放射器素子と電気的に結合される複数個の非励振素子がその頂面に形成された第2の薄いキャリア誘電体層と、
前記第2の誘電体層上に前記第2の薄い誘電体層が形成され、そこでそれらの各層が相互に接合されて形成される積層体と、
を含み、
前記積層体の前記発泡体コア層の底面に接着層が形成されて前記積層体が該接着層によって前記金属接地層に接合されることを特徴とする複数個の層を有するアンテナアレイ。
【請求項23】
前記各アンテナ層を包囲するレードームカバー構造を更に含む請求項22に記載のアンテナアレイ。
【請求項24】
前記金属接地層が薄い金属層である請求項22に記載のアンテナアレイ。
【請求項25】
前記各アンテナ層を包囲して前記各アンテナ層を支持する非導電性のレードームカバー構造を更に含む請求項24に記載のアンテナアレイ。
【請求項26】
前記複数個の各アンテナ層の少なくとも一部が曲面接地層上に形成されている請求項22に記載のアンテナアレイ。
【請求項27】
前記複数個の各アンテナ層が前記曲面接地層形状に適合する可撓性材料で形成される請求項26に記載のアンテナアレイ。
【請求項28】
前記発泡体コア層が前記曲面接地層に適合する曲面形状に形成される請求項26に記載のアンテナアレイ。
【請求項29】
前記金属接地層が実質的に硬質の支持金属層である請求項22に記載のアンテナアレイ。
【請求項30】
頂面及び底面を有する発泡体コア層を形成するステップと、
第1の薄いキャリア誘電体層上に金属層を接合し且つ前記発泡体コア層の頂面に前記第1の薄いキャリア誘電体層を接合するステップと、
前記発泡体コア層の底面上に接着層を供給するステップと、
前記金属層に複数個の放射器素子及び給電素子をエッチングするステップと、
金属接地層を形成し前記接着層により前記発泡体コア層、前記第1の薄いキャリア誘電体層及び前記金属層を前記金属接地層に接着するステップと、
を含むアンテナアレイの製造方法。
【請求項31】
前記各アンテナ層をレードームカバーに包囲するステップを更に含む請求項30に記載のアンテナアレイの製造方法。
【請求項32】
前記金属を薄い金属層で形成するステップを含む請求項30に記載のアンテナアレイの製造方法。
【請求項33】
前記各アンテナ層を支持する非導電性レードームカバー構造を形成し、該レードームカバー構造内に該アンテナ層を包囲して支持する請求項32に記載のアンテナアレイの製造方法。
【請求項34】
曲面の接地層上に前記複数個のアンテナ層の少なくとも一部を形成するステップを含む請求項30に記載のアンテナアレイの製造方法。
【請求項35】
前記複数個の各アンテナ層が前記曲面接地層形状に適合する可撓性材料で形成される請求項34に記載のアンテナアレイの製造方法。
【請求項36】
前記発泡体コア層を前記曲面接地層に適合させる曲面形状に形成するステップを含む請求項34に記載のアンテナアレイの製造方法。
【請求項37】
前記金属接地層を前記各アンテナ層に対して実質的に硬質の支持金属層として形成するステップを含む請求項30に記載のアンテナアレイの製造方法。
【請求項38】
少なくとも1つの第2の誘電体層を前記金属層に接合して該第2の誘電体層の頂面に複数個の非励振放射器素子を形成し、前記金属層に形成されている対応する放射器素子と結合させるステップを含む請求項30に記載のアンテナアレイの製造方法。
【請求項39】
前記複数個の非励振放射器素子を第2の薄いキャリア誘電体層に形成し前記第2の薄いキャリア誘電体層を前記第2の誘電体層に接合するステップを更に含む請求項38に記載のアンテナアレイの製造方法。
【請求項40】
前記各アンテナ層をレードームカバー構造に包囲するステップを更に含む請求項38に記載のアンテナアレイの製造方法。
【請求項41】
前記複数個のアンテナ層の少なくとも一部を曲面接地層に形成するステップを含む請求項38に記載のアンテナアレイの製造方法。
【請求項42】
前記各複数個のアンテナ層を可撓性材料で形成し前記曲面接地層に適合させるステップを含む請求項41に記載のアンテナアレイの製造方法。
【請求項43】
前記発泡体コア層を曲面形状に形成し、前記曲面接地層に適合させるステップを含む請求項41に記載のアンテナアレイの製造方法。
【請求項44】
前記金属接地層を前記アンテナ層に対して実質的に硬質の支持金属層として形成するステップを含む請求項38に記載のアンテナアレイの製造方法。
【請求項45】
頂面及び底面を有する発泡体コア層を形成するステップと、
第1の薄いキャリア誘電体層上に金属層を接合し該第1の薄いキャリア誘電体層を前記発泡体コア層の頂面に接合するステップと、
前記発泡体コア層の底面に接着層を供給するステップと、
前記金属層に複数個の放射器素子と給電素子をエッチングするステップと、
金属接地層を形成し前記接着層により前記発泡体コア層、前記第1の薄いキャリア誘電体層及び前記金属層を前記金属接地層に接合するステップと、
少なくとも1つの第2の誘電体層を前記金属層放射器及び給電素子に接合するステップと、
前記第2の誘電体層の頂面に複数個の非励振放射器素子を形成するステップと、
を含むアンテナアレイの製造方法。
【請求項46】
前記アンテナ層をレードームカバーに包囲するステップを更に含む請求項45に記載のアンテナアレイの製造方法。
【請求項47】
前記金属接地層を薄い金属層で形成するステップを更に含む請求項45に記載のアンテナアレイの製造方法。
【請求項48】
非導電性レードームカバー構造を形成し、該レードームカバー構造内に前記アンテナ層を包囲して支持するステップを更に含む請求項45に記載のアンテナアレイの製造方法。
【請求項49】
前記複数個のアンテナ層の少なくとも一部を曲面接地層の上に形成するステップを含む請求項45に記載のアンテナアレイの製造方法。
【請求項50】
前記各複数個のアンテナ層を可撓性材料で形成し、前記各アンテナ層を前記曲面接地層に適合させるステップを含む請求項49に記載のアンテナアレイの製造方法。
【請求項51】
前記発泡体コア層を曲面形状に形成し前記曲面接地層に適合させるステップを含む請求項49に記載のアンテナアレイの製造方法。
【請求項52】
前記金属接地層を前記アンテナ層に対して実質的に硬質の支持金属層として形成するステップを含む請求項45に記載のアンテナアレイの製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個のアンテナ電気放射器素子及び給電素子が形成される金属層と、
前記金属層が上に形成される第1の薄いキャリア誘電体層と、
頂面及び底面を有し、前記第1の薄いキャリア誘電体層が前記頂面に形成される発泡体コア層と、
前記発泡体コア層の前記底面に形成されると共に金属接地層に接合されている接着層と、
を含み、複数個の層を有するアンテナアレイ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公表番号】特表2006−514463(P2006−514463A)
【公表日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−567957(P2004−567957)
【出願日】平成15年1月31日(2003.1.31)
【国際出願番号】PCT/US2003/002752
【国際公開番号】WO2004/070878
【国際公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(302069701)イーエムエス テクノロジーズ インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】