説明

適応的直交性訂正のための装置及び方法

【課題】 受信信号のエラーを削除するための効率的な概念を提供する。
【解決手段】 適応的方式が入力信号により構成されない特徴的性質に依存する適応的ステップを備えている適応的方式に基づいて入力信号のエラーを適応的に訂正するための装置は、係数の集合を使用して該入力信号を重み付けすることにより訂正された入力信号を提供するためのエラー訂正要素(101)と、該入力信号を特徴的性質を含む第1の変換済み信号に変換するための第1の変換器(111)と、該訂正された入力信号を特徴的性質を含む第2の変換済み信号に変換するための第2の変換器(121)と、該係数の集合と該第1と第2の変換済み信号とから、該特徴的性質を利用して次の適応的ステップで使用される新しい係数の集合を決定するための手段(117)とを備えている。したがって、入力信号のエラーは効率的に削減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は適応的な信号処理の分野にあり、特に入力信号における適応的誤差低減の分野にある。
【背景技術】
【0002】
今日、GSM(グローバルシステムフォーモバイルコミュニケーション)等の多くの無線通信システムが提供され、多くの新しい無線システムが開始されようとしている。該通信システムのそれぞれは加入者のニーズを満たすために他のシステムによって提供されるサービスとは異なるサービスの部分集合を提供する。GSMはPDCの伝送速度に類似する伝送速度を有しているが、例えば、GSMのサービスエリアは例えばPDC(パーソナルデジタルセルラー)のサービスエリアとは相補的に異なる。一方、IMT(インターナショナルモバイルテレコミュニケーションズ)またはUMTS(ユニバーサルモバイルテレコミュニケーションシステム)のようなシステムはGSMの伝送速度より高い伝送速度を有している。さらに、これらの2つのシステムのサービスエリアはGSMとPDCのサービスエリアと重複する。言い換えると、それぞれのシステムに優位点があるので、複数の通信システムの特性を含む無線電気通信システムはその中に含まれる特定の通信システムより優れているであろう。
【0003】
上述の無線通信システムと並んで、現在では、複数の有線通信システムが提供されている。とりわけ、ISDN(統合デジタル通信網)及びADSL(非対称型デジタル加入者回線)はかなり重要になっている。しかしながら、この場合にも、複数の有線システムを結合し、1つの端末の中でこれらのシステムを実現することが有効であろう。さらに複数の通信システムをともに結合できる場合には、結果として生じる装置も、例えば将来出現するシステム信号の認識を行うために適用できるであろう。従来より、受信機が例えば携帯端末及び基地局において実現できる複数の受信機を結合したものであれば、複数の伝送システムの1つに対応する信号を受信することができる。
【0004】
図12では、2つの無線ネットワークシステムに関連した信号を受信できる受信機の例が示されている。
【0005】
図12の従来の受信機は、第1のアンテナ1202と第2のアンテナ1203を備えている。第1のアンテナ1201と第2のアンテナ1203は、2つのネットワークで送信される2種類の信号を受信するために使用される。第1のアンテナ1201で受信する信号は入力端末1207を介して受信機1205に送られる。受信機1205では、入力信号は無線周波数装置(RF装置)1209及びベースバンド装置1211によって復調される。ベースバンド装置は、出力1215を有する切替装置1213に結合されている出力を有する。
【0006】
第2のネットワークに関連した受信信号は、受信機1205の構造と同一の構造を有する受信機1217(システム2)に提供される。したがって、対応する復調信号も切替装置1213に与えられる。さらに、図12の受信機は受信信号を復調するために使用される受信機を選択するように作動するコントローラ1219を備えている。例えば、コントローラ1219は適切なネットワークを選択するユーザが制御できる。切替装置1203は、出力端末1215で、対応するネットワークを介して送信される情報を検出するためにさらに処理できる選択された信号を提供する。
【0007】
便宜上、すでに説明された構成部品に類似する以下の図に表示される構成部品には同じ参照番号が付けられ、異なる構成部品には異なる参照番号が付けられている。
【0008】
図13は、従来のマルチモード受信機の追加の実施形態を示す。
【0009】
図13に示されている受信機は、切替装置1213に結合されている出力を有するRF装置1209に結合されている第1のアンテナ1201を備えている。第2のアンテナ1203は、切替装置1213に接続される出力を有するRF装置1301に結合されている。
【0010】
出力装置1215(切替装置1213の出力端末)は、出力1303を有するベースバンド装置1301に結合されている。さらに、図13に示される受信機は切替装置1213の動作及びベースバンド装置1301の動作を制御するコントローラ1305を備えている。
【0011】
図13に示される受信機は、2つの異なるネットワークに対応する信号を受信するために必要とされる2台のRF装置を備えているにすぎない。アンテナ1201と1203で受信する信号は、それぞれのRF装置1209と1301に提供される。RF装置1209と1301の出力を介して提供される出力信号は、コントローラ(制御装置)1305によって制御されている切替装置1203に与えられる。選択されたシステムに応じて、RF装置1209またはRF装置1201の出力信号の1つが切替装置1213の出力端子1215を通して送られる(wired)。図12の受信機とは異なり、図13に示される従来の受信機はただ1台のベースバンド装置1301を備え、その結果図13に示される受信機の電力消費は図12に示される受信機の電力消費に比べて削減される。しかしながら、図12と図13に示される受信機は、2つの所定の無線ネットワークシステムから入信する受信信号だけに適用できるので、将来出現するシステムの信号の受信のためのフレキシビリティーは減殺されてしまう。これは、図12と図13に示されている受信機が、ベースバンド信号処理装置に提供される信号を決定する別々の無線周波数装置を有するという事実のためである。
【0012】
上記の不利な点は、通信受信機が、1台の無線周波数装置と、複数の無線ネットワークシステムに関連した信号を受信するための1台のベースバンド装置とから構成される単一の信号チェーンを備えるときに克服できる。図14はM台のシステムに関連した信号を受信できるRF装置1403に結合された出力を有する受信アンテナ1401を備えているマルチモード受信機の実施形態を示す。RF装置1403は、出力端子1407を有するベースバンド装置1405に接続される出力を有する。
【0013】
基本的には、図14の構成は、例えばGSMネットワーク等のただ1つのネットワークから入信する信号を復調できる従来の受信機構造に匹敵する構造を有する。しかしながら、図14に示される装置はシステム1からMのそれぞれと相互運用できる。したがって、アンテナ1401で受信する複数のシステムに関連した信号は、信号をダウンコンバートするRF装置1403に送られる。RF装置1403によって提供される出力信号はベースバンド装置1405に提供され、そこでユーザ信号またはシステム信号は入力信号から分離される。最後に、分離された信号は出力端子1407を介して提供される。しかしながら、図14に示されている受信機は、受信信号に含まれている複数の信号が互いに干渉するため伝送性能が低いという問題がある。これらの干渉がシステム性能を引き下げ、その結果ビット誤り率が上昇する。この性能損失を回避するために無線周波数フィルタが取り付けられ、所望される周波数帯域の外に位置する搬送周波数を有する干渉信号が取り除かれる。しかしながら、このような無線周波数フィルタは性能を向上させるが、従来の伝送方式を適用する複数のシステムに関連した複数の信号を受信することに関して、受信機の柔軟性を引き下げる。例えば、無線周波数フィルタの周波数応答が電気的に変更可能であれば、おそらく異なる搬送周波数を有する複数のシステムに関連した信号を受信できる。しかしながらこのような電気的に切り替え可能な(可変)無線周波数フィルタは高電力消費とサイズの拡大の問題があり、その結果移動体通信システムの本来の要件は満たされない。さらに、電気的に可変の無線周波数フィルタは、高圧電路も必要とする。前述された問題に考えられる解決策は、無線周波数フィルタの通過帯域を広げるか、あるいは受信機内の無線周波数フィルタを取り外すことである。さらに、前述されたような干渉はより高い伝送性能を達成するために相殺技法を使用して相殺されることがある。しかしながら、従来の相殺技法は複雑度が高いという問題がある。
【0014】
送信される送信信号は送信機内で無線周波数帯域にアップコンバートされるため、送信された情報を検出するためには受信信号はベースバンドにダウンコンバートされなければならない。従来、ヘテロダイン受信機と直接変換受信機(直接変換方式)という2種類のダウンコンバージョン方式が公知である。
【0015】
図15は、直接変換受信機のブロック図を示す。受信機は、入力と出力を有する無線周波数フィルタ1505(RFフィルタ)を有する。RFフィルタ1501の出力はダウンコンバータ(D/C)1503の入力と接続される。ダウンコンバータ1503は低域通過フィルタ1505(LPF)に結合されている出力を有する。低域通過フィルタ1505はアナログデジタル変換器1507(A/D変換器)に接続される出力を有する。アナログデジタル変換器1507は、第1の出力1511と第2の出力1513を有するヒルベルト変換器1509に接続される出力を有する。ヒルベルト変換器1511の出力は、第1の出力1517と第2の出力1519を有する検出器1515に結合されている。
【0016】
アンテナを介して受信する信号は、入力端子1521を介してRFフィルタ1501に提供される。RFフィルタ1501の出力信号はRF入力信号をベースバンドに変換するために作動するダウンコンバータ1503に提供される。フィルタリング後、信号はヒルベルト変換によって同相信号(I)と直交信号(Q)を提供するために作動するアナログデジタルコンバータ1507に提供される。I信号、Q信号はヒルベルト変換器1509の出力を介して、入力信号から搬送周波数成分を完全に取り除くために作動する検出器1515に提供される。したがって、検出器1515の出力は平均ホワイトガウスノイズ(AWGN)及び無線チャネルのマルチパス特性に関連した干渉によって崩壊される送信信号の再生として出力信号を提供する。
【0017】
しかしながら、図15に描かれている受信機の不利な点とは、ダウンコンバータ1503によって提供される出力信号は無線周波数回路で発生する非常に大きい直流の影響を受けるという点である。情報は周波数変動によってコード化されるため、デジタル周波数変調(FM)が変調方式として適用されている限りは、ベースバンドに現れる直流は容易に除去できる。しかしながら、例えば、移相(PSK)または直交振幅変調(QAM)が適用されているときには直流を取り除くことはできない。ただし、これらの方式は広帯域幅効率により特徴付けられるので、デジタル移動体通信システム、PSK及びQAM変調方式は幅広く使用されている。
【0018】
図16は、従来のヘテロダイン受信機の実施形態を示す。受信信号は入力端子1521を通してRFフィルタ1501に提供される。フィルタリング後、ダウンコンバージョンが実行され、ダウンコンバータ1503は無線周波数信号を中間周波数帯域(IF)に変換するために作動する。ダウンコンバータ1503によって提供される中間周波数信号は中間周波数フィルタリングを実行するために作動する帯域通過フィルタ1601に送られる。フィルタリング後、信号はアナログデジタル変換され、2つの中間周波数直交信号を検出器1515に提供するヒルベルト変換器1509に提供される。図15に示されている受信機構造と反対に、直流は帯域通過フィルタ1601によって容易に除去できる。したがって、直流に関連した前述された問題は克服される。このため、ヘテロダイン受信機構造は現在の通信システムで幅広く使用されている。
【0019】
図17は、コスタループを適用するヘテロダイン受信機の追加の実施形態を示す。図16に示されている受信機とは異なり、図17の実施形態はアナログデジタル変換器1507の出力に結合されている擬似コヒーレント検出器(quasi coherent detector)1701を備えている。擬似コヒーレント検出器は第1の出力1703と第2の出力1705を有し、両方の出力とも検出器1707に結合されている。該検出器は第1の出力1709と第2の出力1711を有する。さらに、検出器1707は、ループフィルタ1713が結合されている追加の出力を有する。該ループフィルタ1713は、擬似コヒーレント検出器1701の入力に結合されている出力を有する発振器1715に接続される出力を有する。
【0020】
図17の受信機は、入力端子1521、RFフィルタ1501、ダウンコンバータ1503、帯域通過フィルタ1601及びアナログデジタル変換器1507を備えているヘテロダインダウンコンバージョン方式を有する。さらに、受信機は、擬似コヒーレント検出器1701、検出器1707、ループフィルタ1713、及び電気的に制御される発振器である発振器1715を含むコスタ型のコヒーレント検出器を備えている。検出器1707は検出器入力信号と、検出器1707によって提供される厳しい決断データの間の誤差を計算する。該誤差はループフィルタ1713を介して該発振器1715にフィードバックされる。発振器1715は特定の中間周波数の正弦波を生成する。したがって、ループは擬似コヒーレント検出器1701、検出器1707、ループフィルタ1713、及び位相ロックループ(PLL)と見なされてよい発振器1715から構成され、その結果、正確な位相同期が達成できる。入力信号は、受信信号を同期させる発振器1715によって提供される正弦波によってダウンコンバートできるので、検出器出力信号はコヒーレンス検出方式に関連した特性を有する。
【0021】
しかしながら、さまざまな伝送方式に関連した信号の受信に関して柔軟性を達成するためにRFフィルタ1501の通過帯域幅が受信機内で広げられると、ヘテロダイン受信機は虚数周波数干渉の影響を受ける。
【0022】
図18は、ヘテロダイン方式が無線周波数フィルタを使用しない受信機に適用されるときに結果として生じるスペクトルの図を示す。図18を参照すると、fRFIF及びfcはそれぞれ無線周波数搬送周波数、IF周波数、第1のダウンコンバージョン時に適用する正弦波の周波数を示す。搬送周波数fRF=fc+fIFを有する信号が周波数fcを有する正弦波を拡大させることによりダウンコンバートされると、ダウンコンバートされた信号は中間周波数fIFを有する。しかしながら、虚数バンドfc−fIFの信号も、正弦波がダウンコンバージョンに適用されるときに同時にダウンコンバートされる。ダウンコンバートされた信号は搬送周波数−fcを有する。ダウンコンバータに提供される信号は実数値であるので、搬送周波数fcを有する信号は搬送周波数−fcを有する信号と区別できない。図18に描かれているように、搬送周波数fcを有する信号は、搬送周波数−fcを有する信号によって重複される。言い換えると、搬送周波数fcを有する所望の信号は、搬送周波数−fcを有する望ましくない信号により干渉される。したがって、出力信号は虚数スペクトル干渉のために誤差を生ずる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
受信信号のエラーを削除するための効率的な概念を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0024】
この目的は、請求項1による入力信号のエラーを適応的に訂正するための装置によって、または請求項11による受信機装置によって、または請求項12による入力信号の誤差を適応的に訂正するための方法によって、または請求項13による受信信号を処理するための方法によって、または請求項14によるコンピュータプログラムによって達成される。
【0025】
本発明は、虚数スペクトル干渉から生じるエラーが、ダウンコンバージョンの前に実数値の受信信号が複素数値入力信号に変換されると適応的に削除することができ、入力信号の実数部は受信信号から引き出される同相(I)成分であり、入力信号の虚数成分は受信信号から引き出される直交成分であるという発見事項に基づいている。
【0026】
特に、ダウンコンバージョン方式に関連したエラーは、入力信号の実数部と入力信号の虚数部分が互いに関して完全に直交であるときに完全に削減されてよいことが発見された。しかしながら、受信信号からI成分とQ成分を得るために実行される直交化の間、実数部が虚数部分に完全に直交ではないときに直交性誤差が発生する可能性がある。このような誤った入力信号にダウンコンバージョン方式を適用した後、ダウンコンバートされた信号は入力信号の構成要素間での直交性損失によって誘発される干渉誤差を生ずる。この直交性誤差が入力信号を係数の集合で重み付けすることにより適応的に削除でき、係数の集合が適応的に決定されてよく、その結果直交性エラーが削減されることもさらに発見された。
【0027】
係数の集合の係数を適応的に決定するために、好ましくは、ブラインド適応的方式が適用される。ブラインド適応的方式は、Simon Haykin, Adaptive Filter Theory,4th Edition, Prentice Hall, 2002に記載されているように、適応的プロセスを実行する受信信号によって提供される情報のみを利用する。
【0028】
本発明の概念は、好ましくは無線通信システムのマルチモード受信機に適用される。また、本発明は、ブラインド干渉相殺方式をマルチキャリヤシステムに適用する可能性を提供する。
【0029】
図19は、ブラインド適応的アルゴリズムを適用する虚数信号キャンセラを示す。虚数信号キャンセラは、無線周波数帯域に擬似コヒーレント検出器1901を含み、擬似コヒーレント検出器1901は入力1903、第1の出力1905、及び第2の出力1907を有する。第1の出力1905及び第2の出力1907は、第1の出力1911及び第2の出力1913を有する帯域通過フィルタ1909に結合されている。帯域通過フィルタ1909の第1の出力1911及び第2の出力1913は、第1の出力1917及び第2の出力1919を有するアナログデジタル変換機1915に結合されている。アナログデジタル変換機の出力は、第1の出力1923、第2の出力1925及び追加の入力1927を有する直行正規化プログラム1921に結合されている。直行正規化プログラム1921の第1の出力1923及び第2の出力1925は、第1の出力1929及び第2の出力1931を有する複素数乗算器1927に結合されている。
【0030】
複素数乗算器1927の第1の出力1929と第2の出力1931は、第1の出力1935と第2の出力1937を有するフィルタ1933に結合されている。
【0031】
図19に示されている虚数信号キャンセラは4つの入力を有する適応的コントローラ1939をさらに備えている。適応的コントローラの入力の2つは複素数乗算器1927の第1の出力1929と第2の出力1931に結合されている。適応的コントローラ1939の残りの2つの入力はフィルタ1933の出力に結合されている。適応的コントローラ1939は、直交正規化プログラム1921の入力1927に結合されている出力をさらに有する。
【0032】
前述されたように、干渉は、すべての処理された変数が実数値の変数であるように、従来ダウンコンバージョン方式が実数値信号に適用されるために導入される。実数値の変数が複合ドメイン(complex domain)に変換されると、干渉は抑制できる。言い換えると、すべての変数が複素数である場合、負の周波数は正の周波数から容易に分離でき、その結果干渉を削減できる。
【0033】
図19では、入力端子1903での受信した信号(受信信号)は無線周波数擬似コヒーレント検出器1901(RF−QCD)に直接的に提供される。擬似コヒーレント検出器1901は、受信信号から直交するI成分とQ成分を引き出すために、ヒルベルト変換を実行するように作動する。したがって、擬似コヒーレント検出器1901によって提供される出力信号は、それぞれ複素数の実数部と虚数部分に(実数成分と虚数成分)対応する同相成分と直交成分とを含んでいる。これらの信号は帯域幅フィルタ1909に提供されてから、フィルタリング後に、アナログデジタル変換器1915の出力が第1の出力1917と第2の出力1919を介して入力信号を提供するようにデジタルドメインに変換され、実数部と虚数部分を有する該入力信号は、完全直交化の場合互いに直交となる。入力信号は直交正規化プログラム1921に提供され、直交正規化プログラム1921は、擬似コヒーレント検出器1901が性能不足である場合に入力信号の再直交正規化を実行するように作動する。
【0034】
直交正規化プログラム1921は、第1の出力1923と第2の出力1925を介して訂正された入力信号を提供し、訂正された入力信号は正規化プログラム1921の入力時の入力信号と比較して直交性エラーが削減されている。入力信号と訂正された入力信号は好ましくはデジタル信号であるため、ベースバンドに対するダウンコンバージョンは、訂正された入力信号に複雑な乗算を適用することによって実行されてよい。この演算は訂正された入力信号をベースバンドにダウンコンバートする複素数乗算器1927によって実行される。次にベースバンド信号は、虚数干渉を削除するために形成されるフィルタ1933に与えられる。したがって、所望される信号だけが出力1935と1937を介して提供される。
【0035】
擬似コヒーレント検出器1901によって実行されるヒルベルト変換にエラーがないとき、つまり入力信号の実数部が入力信号の虚数部に直交しているとき、虚数干渉は、再直交正規化を行わずに無事に除去できる。しかしながら、擬似コヒーレント検出器1901が中間周波数信号を直交化するために完全に作動するので、擬似コヒーレント検出器1901を実現するためにアナログデバイスが使用されなければならない。アナログデバイスの欠陥の可能性のため、擬似コヒーレント検出器1901は直交性エラーを導入し、その結果入力信号の実数部と入力信号の虚数部分は互いに関して直交ではない。さらに、擬似コヒーレント検出器1901がブロードバンド幅で動作しなければならない場合には、アナログデバイスの欠陥のために全周波数での完全な直交性を得ることはできない。例えば、図19に示されている受信機が異なる搬送周波数を有するさまざまな伝送方式に関連した受信信号に適用される場合には、擬似コヒーレント検出器1901で実現されるアナログ成分を使用してすべての受信信号に完全な直交性を達成することは不可能である。
【0036】
以下では、前述された問題の数学的な説明を行う。
【0037】
アンテナにより受信する信号r(t)は以下のように記述されてよく、
【数1】

ここで、
【数2】

であり、tは時間である。
【数3】

はそれぞれフェーディング増幅率(fading gain)、送信済み信号、加算性ホワイトガウスノイズ(AWGN)、送信機内の搬送波発振器の所望される初期位相の角周波数、及び実数部を抽出する関数を示す。加えて、g1(t)とθ1(t)は送信された記号の振幅と位相部分を表し、その上に情報がマッピングされる。帯域通過フィルタ1909は以下の周波数応答を有すると仮定され、
【数4】

ここで、ωIF(==2πfc)及び△ωはそれぞれ中間周波数帯域通過フィルタ1909の角中間周波数及び帯域通過である。擬似コヒーレント検出器1901及び帯域通過フィルタ1901を通過する信号は以下の方程式を使用して表現されてよく、ω0は所望される信号の搬送周波数であり、
【数5】

ここで、nI(+)、nQ(+)、nI(-)、nQ(-)、φ(ωn)及びBPF[ ]は、それぞれ所望される帯域幅からダウンコンバートされるAWGNの実数部と虚数部、虚数帯域からダウンコンバートされるAWGNの実数部と虚数部、擬似コヒーレント検出器1901によって取り込まれる直交性エラー、中間帯域通過周波数の通過帯域信号を抽出する関数である。
【0038】
前記方程式では、第1の項だけが所望される信号成分であり、第3の項は虚数干渉である。φ(ωn)がゼロに等しい場合には、ベースバンド出力には虚数干渉がない。直交性エラーを削除するために、Y(t)が、入力信号を以下の(重み付け)行列で乗算するように作動する直交正規化プログラム1921に与えられる。
【数6】

ここで、w0(k)、w1(k)、及びw2(k)は入力信号の重み付けに適用される係数の集合を示す。
【0039】
再直交正規化装置1921の後、複素数周波数変換器である複素乗算器1927が配置される。複素周波数変換器1927は以下の方程式で定義される行列によって訂正される入力ベクトルを乗算することにより訂正された入力信号(訂正された入力ベクトル)のダウンコンバージョンを実行するように作動する。
【数7】

【0040】
低域通過フィルタ1933の出力z(k)は以下の通りである。
【数8】

【0041】
前記方程式では、H及び
【数9】

はそれぞれ低域通過フィルタ1933のインパルス応答及び畳み込み演算を表す。
【0042】
さらに、Y(k)=Y(kT0)であり、ここでt=kT0である。目的はZ(k)から干渉を除去するための最適な行列W(k)を求めることである。したがって、W(k)は所望される信号の任意の搬送周波数について推定されなければならない。
【0043】
しかしながら、フェーディングチャネルの場合、干渉電力は数百(20 dozens)dB等、所望される電力より大幅に大きい可能性がある。言い換えると、前記方程式の第1の項は、第3の項の電力より大きい電力を有する。
【0044】
W(k)の係数を求めるための適応的な方式を実行するために、最小平均二乗誤差アルゴリズム(MMSE)を適用できる。しかしながら、MMSEアルゴリズムは、チャネル対干渉比(CIR)がゼロ未満であるときに収束する。さらに、MMSEアルゴリズムは、適応的プロセスを実行するために公知のトレーニングシーケンスの伝送を必要とする。したがって、前述されたように、適応的プロセスを実行するためのトレーニングシーケンスを必要としないブラインドアルゴリズムが適用されてよい。
【0045】
他のブラインドアルゴリズムの中で、重み付け行列の係数の集合を適応的に求めるために一定の対数係数(constant modulus)アルゴリズム(CMA)が適用されてよい。さらに、一定の対数係数アルゴリズムは、ひずみ信号の等化に適用される等化器の係数を求めることに適用でき、外乱を受けていない信号の特徴的性質が利用される。さらに具体的には、一定の対数係数アルゴリズムは好ましくは外乱を受けていない状態で一定の包絡線を有する信号に適用される。この特定の波形は、等化される信号が一定の包絡線(一定の対数係数)を含んでいるように等化器の係数を求めるために利用されてよい。
【0046】
また、本発明に従って、一定の対数係数アルゴリズムは、直交性エラーまたは入力信号を外乱する他のエラーも除去するために適用されてよい。最適重み付け行列は以下の再帰アルゴリズムを反復して得ることができる。
【数10】

【0047】
前記方程式では、σ、p、及びqはそれぞれCMAアルゴリズムの特性(CMAアルゴリズムの整数)を決定する基準レベルと指数を示す。基準レベルは、例えば外乱されていない信号の一定の包絡線値から求められてよい。代わりに、基準レベルは所定の範囲内の一定の包絡線に関連した集合基準レベルから選ばれてよい。
【0048】
CMAアルゴリズムは、外乱を受けていない信号が一定の包絡線を含んでいると収束するので、それが例えばQPSK(直角位相偏移変調)等の一定の包絡線変調方式を使用する単一キャリヤシステムにおいてしか適用できないという不利な点がある。しかしながら、単一キャリヤシステムは帯域幅効率の削減の影響を受け、その結果次世代伝送システムの所望される高速データレートを達成することはできない。例えば、次の移動体通信システムは毎秒100Mbitでダウンリンク方向でのデータ伝送速度をサポートするのに対し、UMTS等の第3世代のシステムは毎秒384kbitのデータレートをサポートする。しかしながら、マルチキャリヤ変調技法が適用されると、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)内で毎秒約50Mbitのデータ伝送速度を達成できる。しかしながら、WLANのサービスエリアは制限され、GSMまたはPDC等のセルラー移動体通信システムのサービスエリアより狭い。したがって無線通信システムはセルラーシステムのサービスエリアに匹敵するサービスエリアを有し、毎秒100Mbitという高速データレートを証明する。これらの変調方式は達成可能なデータレートを制限する符号間干渉(ISI)に対してロバストであるため、頻繁に使用されるマルチキャリヤ変調技法の1つは直交周波数分割多重(OFDM)である。
【0049】
図11は、OFDM伝送方式を明示している。OFDM送信機は、入力1103と複数の出力1105を有するシリアルパラレル変換器1101を有する。該複数の出力1105は高速フーリエ逆変換(IFFT)を実行するように作動する変換器1107に結合されている。変換器1107は、パラレルシリアル変換器1111に結合されている複数の出力1109を有する。該パラレルシリアル変換器1111は送信アンテナ1115に結合されている変調器113に結合されている。
【0050】
受信機はRF装置1119に結合されている出力を有する受信アンテナ1117を備えている。RF装置1119は復調器1121に結合されている出力を有する。復調器1121は高速フーリエ変換(FFT)を実行するように作動する変換器1125に結合されている複数の出力を有するシリアルパラレル変換器1123に結合されている。変換器1125は、出力1129を有するパラレルシリアル変換器1127に結合されている複数の出力を有する。
【0051】
入力1103を介してシリアルパラレル変換器1101に提供される情報データストリームはこれにより、複数の出力1105を介して提供される複数のデータストリームに多重化される。ストリームがIFFT演算を実行する変換器1107に提供され、例えば変換器1107は、例えばプロセッサであってよい。変換される信号は複数の出力1109を介してパラレルシリアル変換器1111に提供され、出力1111を介してシリアルデータストリームを提供する。変調器1113はシリアルデータストリームの中にガード間隔を挿入し、アンテナ1115から送信可能である高周波送信信号を提供するためにアップコンバージョン方式を実行する。アンテナ115で発せられる信号は通信無線チャネルを通して送信され、受信アンテナ1117は受信高周波信号を検出する。受信高周波信号はRF装置1119と、ガード間隔をさらに削除する復調器1121の両方によってダウンコンバートされる。復調器1121は、出力を介してシリアルパラレル変換器に信号を与え、該信号は、I成分とQ成分を含んでいるヒルベルト変換済み信号であってよい。変換器1125は、シリアルパラレル変換器1123によって提供される信号を周波数ドメインに変換し、周波数ドメイン信号は、パラレルシリアル変換後に出力端子1129を介して提供される。
【0052】
しかしながら、一定の対数係数アルゴリズムは、これが一定の対数係数アルゴリズム、すなわち一定の包絡線に必要とされる特徴的性質を有さないためにOFDM信号に適用できない。したがって、上述の虚数干渉キャンセラをQFDMシステムにおいて簡単に適用することはできない。
【0053】
しかしながら、OFDM伝送方式を使用して送信される入力シーケンスが一定の包絡線を有する場合、つまり入力信号ストリームが例えばQPSK変調方式に属するときには、周波数ドメインで、信号包絡線は一定であり、一定の対数係数アルゴリズムを使用する重み付け行列の係数の適応的に利用できる。
【0054】
したがって、再直交正規化装置を制御する適応的な信号処理は、たとえ再直交正規化が時間ドメインで実行されるにしても、信号包絡線が一定である周波数ドメインで実行されてよい。
【0055】
一般的には、本発明は、可変包絡線によって特徴付けられる信号を、一定包絡線特性を満たす変換済み信号に変換することによって、可変包絡線によって特徴付けられる信号に一定の対数係数アルゴリズムを適用するための概念を提供する。
【0056】
虚数相殺が受信機で機械的に(blindly)実行でき、その結果適応的プロセスを実行するためにトレーニングシーケンスが必要とされないことは本発明の追加の優位点である。この結果、結果として生じる伝送システムの帯域幅効率が高まる。
【0057】
本発明の追加の実施形態は、以下の図に関して詳細に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
図1は、入力信号を含まない特徴的性質に依存する適応的方式に基づいて入力信号のエラーを適応的に訂正するための装置を示す。特徴的性質は特徴的な波形、例えば一定の包絡線であってよい。
【0059】
図1に示される装置は、入力103と出力107を有するエラー訂正要素101を備えている。さらに、エラー訂正要素101は、追加の入力109を有する。装置は、エラー訂正要素101の入力103に結合されている入力113及び係数の新しい集合を求めるための手段117に結合されている出力115を有する第1の変換器111をさらに含んでいる。係数の新しい集合を求めるための手段117はエラー訂正要素109の入力109に結合されている出力、及び追加の入力119を有する。第2の変換器121はエラー訂正要素101の出力107と、係数の新しい集合を求めるための手段117との間で結合されている。具体的には、第2の変換器121はエラー訂正要素107の出力に結合されている入力123と、係数の新しい集合を求めるための手段117の入力119に結合されている出力を有する。
【0060】
エラー訂正要素101は、係数の集合を使用して入力103を介して提供される入力信号を重み付けすることにより、訂正された入力信号を提供するように作動する。エラー訂正要素は、出力107を介して、入力信号に対してエラーが削減された訂正済みの入力信号を提供する。入力信号を適応的に重み付けするためには、エラー訂正要素101が、第1の時刻に係数の集合を使用して入力信号を重み付けする。第2の時刻には、次に受信した入力信号が新しい訂正済みの入力信号を提供するために係数の新しい集合によって重み付けされる。したがって、エラー訂正要素101によって使用される係数は、経時的に適応的に求められる。
【0061】
係数の新しい集合を求めるために、入力信号と訂正済みの入力信号は変換済み信号に変換され、その結果対応する変換された信号は適応的プロセスを実行するために新しい集合係数を求めるための手段117によって必要とされる特徴的性質を含む。さらに具体的には、第1の変換器111は入力信号を、係数の新しい集合を求めるための手段117に出力115を介して提供される変換された入力信号(第1の変換された信号)に変換する。したがって、第2の変換器121は訂正された入力信号を、係数の新しい集合を求めるための手段117に入力119を介して提供される変換された訂正済み入力信号(第2の変換された信号)に変換する。第1の変換器111と第2の変換器121は、特徴的性質を含む対応する変換済み信号に入力信号と訂正済みの入力信号を変換する変換を実行するように作動する。前述されたように、係数の新しい集合を求めるための手段117は、現在の適応的ステップまたは過去の適応的ステップで使用される係数の集合と第1の変換された信号と第2の変換された信号とから次の適応的ステップで使用される係数の集合を求めるように作動する。
【0062】
入力信号は例えば、入力信号の実数部として受信信号から同相(I)成分を引き出し、入力信号の虚数部として受信信号から直交(Q)成分を引き出すことによって受信信号から形成され得る。直交成分の導出中、直交性エラーが発生することがあり、その結果入力信号の実数部は入力信号の虚数部分に直交していない。このシナリオはヒルベルト変換ケースに対応し、適応化されるヒルベルト変換器が前述されたように純粋な性能を有する。このケースでは、エラー訂正要素101は、係数の新しい集合によって求められる係数の集合を使用して入力信号を重み付けすることによって直交性エラーが削減された訂正済み入力信号を提供するように作動する。
【0063】
特に、入力信号と訂正済み入力信号はアナログ受信信号のアナログデジタル変換から得られるデジタル信号で有り得る。この場合、入力信号は入力点の集合を含み、該入力点の集合は入力信号の虚数部分に対応する虚数値の集合で、入力信号の実数部に対応する実数値の集合を含み、訂正された入力信号は訂正された点の集合を含み、訂正された点の集合は訂正された入力信号の実数部に対応する実数値の集合と、訂正された入力信号の虚数部に対応する虚数値の集合とを含んでいる。したがって、入力点のそれぞれは、関連した入力点の実数値と虚数値に対応する2つのエントリを有する二次元ベクトルであると見なされてよい。
【0064】
直交性エラーのために、入力点の集合の誤りのある入力点は直交性エラーを有し、その結果誤りのある入力点の実数値は誤りのある入力点の虚数値に直交ではない。エラー訂正要素101は、直交性エラーが削減された訂正済み信号の訂正点を提供するために係数の集合により誤りのある入力点を重み付けするように作動する。要約すると、エラー訂正要素101は係数の集合によって各特定の入力点を重み付けするエラー訂正演算を実行する。この重み付け演算は行列とベクトルとの乗算として実現でき、ベクトルとして誤りのある入力点は行列内に配列される係数の集合を含んでいる重み付け行列によって乗算され、該重み付け行列は例えば以下の行列である場合がある。
【数11】

【0065】
入力信号と訂正済みの入力信号は時間ドメイン信号であってよく、特徴的性質は特定の波形であってよい。例えば、特徴的性質は前述された一定の包絡線である。代わりに、特定の波形は、パルス振幅変調等、エラーがないケースでは入力信号を特徴付ける任意の他の波形である場合がある。
【0066】
第1の変換された信号を提供するために、第1の変換器111は、入力信号のバージョンを周波数ドメインに変換するように作動する。相応して、第2の変換器121は、第2の変換された信号を得るために訂正済みの信号のバージョンを周波数ドメインに変換するように作動する。したがって、第1の変換器111と第2の変換器121の動作、つまり周波数ドメイン変換された信号を提供することは、例えば前述の一定の包絡線等の特定の波形を含んでいる変換された信号を得るために実行される。
【0067】
適用されるブラインド適応的方式の収束特性を改善するために、第1の変換器111は2以上のオーバサンプリング因数Mによって、第1の変換された信号を提供する前に入力信号113をオーバサンプリングし、入力信号のバージョンとしてオーバサンプリング済みの入力信号を提供するように作動する。その結果、第2の変換器はオーバサンプリング因数Mによって、訂正された信号をオーバサンプリングし、訂正された信号のバージョンとしてオーバサンプリングされた有向信号を提供するように作動し得る。
【0068】
入力信号及び訂正済みの信号がベースバンド信号である場合には、第1の変換器は入力信号またはオーバサンプリングされた入力信号を周波数ドメインに直接的に変換する。相応して、第2の変換器121は、ベースバンド信号またはそのオーバサンプリングされたバージョンである訂正済みの入力信号を、直接的に周波数ドメインに変換する。しかしながら、訂正済みの信号としての入力信号は中間周波数信号であってよく、ベースバンド信号であってはならない。このケースでは、第1の変換器は周波数ドメインに変換される入力信号のバージョンとして入力信号のダウンコンバートされたバージョンを提供するために、中間周波数信号をダウンコンバートするための第1のダウンコンバータを備えてよい。相応して、第2の変換器121は周波数ドメインに変換される訂正信号のバージョンとして訂正済み信号のダウンコンバートされたバージョンを提供するために作動する第2のダウンコンバータを備えてよい。
【0069】
第1の変換された信号を周波数ドメイン変換された信号として提供するために、第1の変換器は、入力信号のバージョンを周波数ドメインに変換し、第1の変換された信号を得るために高速フーリエ変換器(FFT)または離散フーリエ変換器(DFT)を備えてよい。相応して、第2の変換器は、訂正済みの入力信号のバージョンを周波数ドメインに変換し、第2の変換された信号を得るために高速フーリエ変換器または離散フーリエ変換器を備えてよい。
【0070】
前述されたように、入力信号は、入力信号の実数部として受信信号の同相(I)成分を引き出し、入力信号の虚数部分として受信信号から直交(Q)成分を引き出すことによって受信信号から形成され得る。直交性エラーは、I成分とQ成分の導出の間に発生する可能性があり、その結果入力信号の実数部は入力信号の虚数部分に直交ではない。したがって、エラー訂正要素101は、係数の新しい集合を求めるための手段117によって提供される重み付け係数を使用して直交性エラーを削減するように作動する。係数の新しい集合を求めるための手段117は、例えば、前述された一定の包絡線特性に関して中継している。例えば、第1の変換された信号は、直交性エラーが発生しないときに、所定の範囲内に一定の包絡線を有する。該所定の範囲は、例えば包絡線が平均一定包絡線値の例えば5%の範囲内で変化するときに包絡線の小さな変動を考慮に入れる。
【0071】
しかしながら、直交性エラーのケースでは、第1の変換された信号は一定の包絡線の重ね合わせを含んでいる歪んだ包絡線と、直交性エラーのためのエラー包絡線とを有する。次の適応的ステップで使用される係数の新しい集合を求めるための手段117は、エラーのない場合に一定の包絡線特性を利用して新しい係数を決定するように作動する。例えば、新しい係数の集合を求めるための手段は、次の適応的ステップで使用される新しい係数の集合を得るために前述された一定の対数係数アルゴリズムを実行するように作動してよい。適応化は、エラー訂正要素101が係数の新しい集合を求めるための手段117によって提供される係数の新しい集合で入力信号を重み付けするときに、第2の変換された信号によって構成されるエラー包絡線が縮小されるように実行される。
【0072】
係数の新しい集合を求めるための本発明の手段117によって実行される一定の対数係数手法はさらに詳しく後述される。
【0073】
図2は、本発明よる受信機装置を示す。
【0074】
図2に示される装置はI成分とQ成分を引き出すための手段201を備えている。引き出すための手段201は、入力203、第1の出力205及び第2の出力207を有する。引き出すための手段201の出力は第1の出力209と第2の出力211を有するエラー訂正要素101に結合されている。
【0075】
図2に示されている装置は、第1の出力215と第2の出力217を有するダウンコンバータ213を有する第1の変換器111をさらに備え、両方の出力ともフーリエ変換器219に結合されている。フーリエ変換器219は、係数の新しい集合を求めるための手段117に結合されている複数の出力211を有する。
【0076】
さらに、装置はダウンコンバータ213とフーリエ変換器219を備えている第2の変換器121を備え、第2の変換器121の構造は第1の変換器111の構造に一致する。第2の変換器121のフーリエ変換器219の出力は係数の新しい集合を求めるための手段117に結合され、係数の新しい集合を求めるための手段117の出力109はエラー訂正要素101に結合されている。
【0077】
図2に示されている受信機装置は前記説明に従って直交性エラーを適応的に訂正するための本発明の装置を利用する。特に、エラー訂正要素101、第1の変換器111及び第2の変換器121及び係数の新しい集合を求めるための手段117は前述された動作を実行するように作動する。
【0078】
入力203を介して、受信信号は直交成分を引き出すための手段201に与えられる。受信信号は、図2に描かれていない、受信信号を提供するための手段によって提供されてよい。受信信号を提供するための手段は、例えば、受信アンテナ及びRF装置を備えてよい。
【0079】
受信信号は中間周波数アナログ信号であってよい。この場合、直交成分を引き出すための手段は直交成分を引き出し、入力信号として直交成分のアナログデジタル変換されたバージョンを提供するように作動する。したがって、直交成分を引き出すための手段201は、引き出されたI成分とQ成分をデジタルドメインに変換するように作動するアナログデジタル変換器をさらに備えてよい。
【0080】
入力信号を引き出すための手段201は、受信信号から実数部分と虚数部分を有する入力信号を引き出すように作動しており、これを引き出すための手段201は、入力信号の実数部分として受信信号から同相(I)成分を引き出し、入力信号の虚数部分として直交(Q)成分を引き出すように作動する。前述されたように、入力信号の直交成分は、受信信号がアナログ信号であるときにはデジタルドメインに変換されてよい。導出プロセスの間、入力信号を引き出すための手段201は直交性エラーを取り込み、その結果入力信号の実数部分と入力信号の虚数部分は互いに直交ではない。直交性エラーを削減するために、前記説明に従って直交性エラーを訂正するための装置が適用されてよい。
【0081】
入力信号と訂正済みの入力信号が中間周波数信号である場合、第1の変換器111はダウンコンバータ213(第1のダウンコンバータ)を備え、第2の変換器121は、対応する第1または第2の出力215と217を介してダウンコンバートされるベースバンド信号を提供するためのダウンコンバータ213(第2のダウンコンバータ)を備えている。フーリエ変換器219は、ベースバンド信号を変換して第1の変換された信号及び第2の変換された信号を得るように作動されている。
【0082】
該手段117は、第1の変換された信号、第2の変換された信号、及び現在使用されている係数の集合から開始して係数の新しい集合を決定するように作動する。エラー訂正要素101が中間周波数信号である入力信号を重み付けするように作動してよいので、係数の集合はアップコンバータによって係数の中間周波数集合に変換されてよく、係数の新しい集合を決定するための手段117によって、あるいは代わりにエラー訂正要素101によって構成できる。係数の新しい集合は、代わりに、入力信号が係数の新しい集合によって直接的に重み付けされてよいように直接的に提供されてよい。時間ドメイン信号である入力信号は、新しい係数の集合によって重み付けされ、周波数ドメイン信号(第1の変換された信号と第2の変換された信号)に基づいて決定する。言い換えると、係数の新しい集合を求めることに適用される適応的プロセスは周波数ドメインで実行され、重み付け演算は時間ドメインで実行される。
【0083】
図3は、無線周波数擬似コヒーレント検出器として形成される、入力信号を引き出すための手段の実施形態を示す。
【0084】
図3に示される擬似コヒーレント検出器は、入力303、第1の出力305及び第2の出力307を有するハイブリッド301を備えている。第1の出力305は、乗算器309、ここでは出力311と追加の入力313に結合されている。
【0085】
ハイブリッドの第2の出力307は、出力317及び追加の入力319を有する乗算器315に結合されている。出力311と317は、それぞれ帯域通過フィルタ321に結合され、各々の帯域通過フィルタ321は可変増幅率増幅器323に結合されている出力を有し、可変増幅率増幅器323のそれぞれが出力325を有する。
【0086】
図3に示されている擬似コヒーレント検出器は、第1の乗算器309に結合されている第1の出力と、追加のハイブリッド329を介して第2の乗算器315の追加入力319に結合されている第2の出力とを有する可変移相器327をさらに備えている。追加のハイブリッド329は、発振器331が結合されている入力を有する。
【0087】
入力端子303を介して提供される受信信号は、ハイブリッド301に送られる。ハイブリッド301の出力は好ましくは実数値乗算器309と315に提供される。さらに、ローカル発振器331によって生成される正弦波は、追加のハイブリッドに提供される。追加のハイブリッドの出力は可変移相器327を介して乗算器313に、及び乗算器315に提供される。明らかに、可変移相器327はそれぞれの乗算器315と309の追加入力に提供される信号の間に90°の移相を提供するように作動する。図3に描かれているように、可変増幅率増幅器323が使用されるため、上部線路と下部線路の増幅率は調整可能である。さらに、2つの線路間の直交性は、適用される可変移相器327のために可変である。しかしながら、特に受信信号がアナログ信号である場合、直交性エラーが発生し、上部線路と下部線路を介して設けられる信号間の直交性の損失を生じさせる。
【0088】
図4は、本発明のマルチキャリヤ虚数キャンセラを使用して本発明の追加の実施形態による受信機装置を示す。
【0089】
図4に示される装置は送信機と受信機を備え、送信機は図11に示される送信機の構造に同一の構造を有する。しかしながら、受信機は異なる。
【0090】
さらに具体的には、図4の装置は、入力403、第1の出力405、及び第2の出力407を有する擬似コヒーレント検出器401を備えている。第1の出力405と第2の出力407は、第1の出力411と第2の出力413を有する直交正規化プログラム409に結合されている。直交正規化プログラム409は追加の入力415を有する。
【0091】
直交正規化プログラム409の第1の出力411と第2の出力413は第1の出力419と第2の出力421を有する複素数乗算器417に結合され、両方の出力ともFFT変換を実行するように作動する変換器423に結合されている。変換器423は複数の出力425を有する。
【0092】
さらに、図4に示されている装置は複数の入力429を有する適応的コントローラ427を備え、入力のそれぞれは変換器423の複数の出力427の対応する出力に結合されている。さらに、適応的コントローラ427は直交正規化プログラム409の追加の入力に結合されている追加の入力415に結合されている出力を有する。さらに、適応的コントローラ427は出力405と407を介して擬似コヒーレント検出器によって提供される信号を受信する。この特徴は図4で明示的に描かれていない。
【0093】
プロセッサで有り得るIFFT1101の出力1105を介して提供される情報シーケンスは、パラレルシリアル変換される時間ドメイン表現に変換される。変調器1113は通信チャネル431を通して送信されている無線周波数信号を提供する。図4に描かれていない受信信号を提供するための手段は、受信無線周波数信号を検出し、実数値受信信号を複素数値入力信号に変換する擬似コヒーレント検出器401に提供する。直交正規化プログラム409は、前述されたような再直交正規化を実行し、ベースバンドに訂正済みの信号をダウンコンバートするように作動する複素数乗算器417に訂正済みの入力信号を与える。ダウンコンバートされた入力信号は、前記説明の中の第2の変換器に相当する変換器423に提供される。変換器423によって提供される第2の変換された信号は、係数の新しい集合を求めるための本発明の手段に対応する適応的コントローラ427に送られる。適応的コントローラ427は、直交正規化プログラム409によって次の適応的ステップで使用される最適係数を求める。ここで、直交正規化プログラム409はエラー訂正要素に相当する。
【0094】
擬似コヒーレント検出器401、直交正規化プログラム409、及び複素数乗算器417が擬似コヒーレント検出器1901に、直交正規化プログラム1921に、図19に示されている複素数乗算器1927に相当することがここで注記されなければならない。図19の擬似コヒーレント検出器1901とは異なり、擬似コヒーレント検出器401は、帯域通過フィルタとアナログデジタル変換器を備えてよく、その結果直交正規化プログラム409に提供される入力信号はデジタル信号である。
【0095】
図4に描かれているように、直交正規化プログラム409(再直交正規化装置)によって使用される最適係数は、たとえ直交正規化プログラム409が時間ドメイン信号を処理するように作動するにしても、周波数ドメイン信号を使用して計算される。 本発明に従って、適応的コントローラ427は、たとえ入力信号と出力信号が異なるドメインに、つまり時間ドメイン内と周波数ドメイン内にあっても、最適係数を推定できる。以下で、本発明の概念が後述される。
【0096】
l番目のユーザi番目のi番目の情報シンボルは、al,i(k)として示され、kは時間インデックスを表す。
【0097】
l番目のユーザのIFFTプロセッサの出力、dl(k)は以下のように表すことができる
【数12】

【0098】
前記方程式では、NとjはIFFTの次元と虚数装置に等しい入力数を示す。直交変調器の出力は、以下のように表され、
【数13】

ここでは、Re[・]とω1が、それぞれ実数部分を抽出する関数、l番目のユーザに関連した角搬送周波数を示す。以下では、通信チャネルはAWGNチャネルであると見なされる。したがって、擬似コヒーレント検出器401での受信信号(入力)は、以下のとおりであり、
【数14】

ここでは
【数15】

が、i番目のユーザ信号に関連したチャネル増幅率を表す。この信号は、ヒルベルト変換を実行するように作動する擬似コヒーレント検出器401(QCD)に提供される。したがって出力信号は以下のとおりである。
【数16】

【0099】
前記方程式では、
【数17】

は、QCD401内の位相エラーを示し、BPF[・]は帯域通過信号を抽出する関数を示す。帯域通過関数は以下のように定義される。
【数18】

【0100】
簡単にするために、ωupperとωlowerは、L=1となるように選ばれると仮定する。0番目のユーザ信号は所望される信号であるが、l番目のユーザ信号は干渉信号である。さらに、△ω0=−△ω1は最悪のケースのシナリオを示し、すべての干渉信号が中間周波数帯域の所望される信号と重複する。したがって、最悪のケースのシナリオはシステムの性能を大幅に制限する。したがって、以下では△ω0=−△ω1であると仮定される。
Im[ ]を入力信号の虚数部分を抽出する関数とし、したがってy(kN+n)は再直交正規化装置401を介して複素数乗算器417に適用される。複素数乗算器により提供される出力信号は、
【数19】

であり、ここでは
【数20】

である。W(k)は前記に定義される重み付け行列である。F(k)は以下のダウンコンバージョン行列を示す。
【数21】

【0101】
干渉信号から所望される信号を区別するためには、Mという因数でのオーバサンプリングがFFTに適用される。したがって、FFT423によって提供される出力信号は以下として表すことができる。
【数22】

【0102】
したがって、前記方程式は、FFT423の出力信号を記述し、ダウンコンバージョン動作は高速フーリエ変換時に考慮に入れられる。
【0103】
FFT演算が実行されるので、受信フィルタは回避できる。したがって、所望される信号はベースバンドにダウンコンバートされ、出力zi(k)は所望される信号であり、iは0とN−1の間である。それとは逆に、干渉成分は約M/T−△ω0/(2π)の回りに現れるであろう。
【0104】
i(k)も以下によって時間ドメインで表現されてよく、
【数23】

ここで
【数24】

である。前記方程式では、E(a)はaのサンプル平均を示す。明らかに、zi(k)は所望されるa0,i(k)と干渉信号ai,N-i(k)から構成されている。したがってFFT423によって提供される出力信号は干渉の影響を受ける。
【数25】


【数26】

を上回るときには、所望されるユーザ送信a0,i(k)と通信することはほぼ不可能である。zi(k)の累乗に関しては、a0,i(k)とa1,i(k)が相関していないという事実を利用することにより以下の関係性が検出される。
【数27】

【0105】
前記方程式を引き出すために、シュワルツの不等式が使用された。したがって、受信信号の電力が適切な値の中のW(k)のノルムを保つことを条件に最小限に抑えられると、干渉信号a1,i(k)はzi(k)から除去できる.a1,i(k)が除去される場合、W(k)は以下の解に収束し、重み付け行列W(k)の係数の集合を提供し、
【数28】

ここではσ及び<a>は、出力信号zi(k)及びaのサンプル平均の所望されるレベルを示している。
【0106】
前述されたように、直交性エラーは所望される信号に出現する干渉を取り込む。一般的には、複素数の虚数部分と実数部分が互いに対して直交である場合には、複素数は複素座標で円で表現され得る。したがって、重み付け行列W(k)が実数部分と虚数部分を有する訂正済みの信号を提供する場合、訂正された信号は複素座標内の単位円上にあるので、係数の集合のための前述された解は正しい。したがって行列Gは、以下のとおりである。
【数29】

【0107】
W(k)とGの積は、複素座標の単位円上にある値を有する。言い換えると、W(t)定数のノルムを保ちながら受信信号の電力を最小限に抑える適応的アルゴリズムが提供できる場合には、アルゴリズムは前述された最適解に収束するW(k)を提供する。
【0108】
無線通信チャネルでは、虚数帯域に対応する信号が、さまざまな送信電力により特徴付けられる異なる通信システムに属する異なる信号により引き起こされる干渉から生じることがある。したがって、干渉に関連した伝送電力は所望される信号に関連した伝送電力より大きくなるであろう。さらに、受信機と送信機間の距離が変化するにつれて受信電力は変化する。したがって、所望される信号の電力は例えば−60dB分だけ干渉信号の電力より低くなる場合がある。前述されたように、MMSEアルゴリズムはトレーニングシーケンスに関連した信号対干渉比(SIR)が0未満のとき分岐するので、変換するためにトレーニングシーケンスを必要とするMMSEベースのアルゴリズムは前記参照されるシナリオで重み付け行列の係数の適応化に適用できない。
【0109】
前述されたように、ブラインドアルゴリズムは適応的プロセスを実行するためにトレーニングシーケンスを必要としない。したがって、多くの種類のブラインドアルゴリズムは前記参照された最適解に向かって収束する重み付け行列W(k)の係数を見つけるために、適応的コントローラ427によって実行できる。
【0110】
とりわけ、前述されたCMAアルゴリズムは重み付け行列の係数の集合を求めることに適用できる。
【0111】
エラーは以下の方程式によって定義され、
【数30】

ここで、pは整数である。したがって、コスト関数は以下により定義され、
【数31】

ここで、qは整数である。
【0112】
特に、重み付け行列の係数の集合の中のある係数は、以下の方程式から求められ得ることが分かり、
【数32】

ここで、μはステップサイズパラメータである。Piは以下によって定義される微分に適用される選択行列を定義する。
【数33】

【0113】
したがって
【数34】

である。
【0114】
しかしながら、深刻な干渉が発生すると前記アルゴリズムが不安定になる場合がある。この問題に対処するために、ステップサイズパラメータは干渉を含む受信信号の電力により正規化できる。さらに、前記問題が考慮に入れられるときに、更新方程式が以下の方程式に書き換え直されることが分かった。
【数35】

Lはウィンドウ長を示す。通信チャネルが時間的に変化する場合には、忘却因子βが取り込まれ、その結果以下のステップファクタが得られる。
【数36】

しかしながら、例えばステップファクタは高速フーリエ変換器によって提供されるすべてのキャリヤにとって一般的であるため、前記の(固定ステップ)方程式は周波数ドメインに完全には変換されていない。
【0115】
適応的アルゴリズムが周波数ドメインで完全に実現できることが分かった。△ω0を4π/Tと定義する。したがって、再直交正規化更新アルゴリズム(適応的ステップ)は、以下によって定義され、
【数37】

ここでは
【数38】

である。
【0116】
Mは、前述されたようにオーバサンプリング因数を示す。
【0117】
CMAアルゴリズムは、W(k)のノルムを保ちながら受信信号を最小限に抑えることによって引き出されないが、CMAアルゴリズムは所望される信号電力を一定に保ちながら干渉の直接的な最小化を可能にする。所望される信号電力を一定に保つことはW(k)のノルムを一定に保つことに同等であるため、CMAアプローチは前述された要件を満たす。
【0118】
図5は、本発明の追加の実施形態による受信機装置の実施形態を示す。
【0119】
図5に描かれている伝送システムは図11に示されている送信機に同一の構造を有する送信機を備えている。
【0120】
図5に示される伝送システムにより構成される受信機装置は、図4の実施形態に関連して説明される受信機装置の構造に類似している。さらに、受信機構造は、擬似コヒーレント検出器401の第1の出力402及び第2の出力407に結合されている2つの入力を有する帯域通過フィルタ501を備えている。該帯域通過フィルタ501は第1の出力503と第2の出力505を有し、出力はアナログデジタル変換器507に結合されている。該アナログデジタル変換器507は直交正規化プログラム409に結合されている第1の出力509と第2の出力511を有する。
【0121】
例えば、図5に示されている無線伝送システムは、ただ一人のユーザ(1つのシステム)が無線チャネルを占有するシナリオを描いている。
【0122】
図5では、QCD401、帯域通過フィルタ501及びアナログデジタル変換器507がアナログデジタル変換器507の出力を介して提供される入力信号を引き出すための本発明の手段の構成要素である。残りの構成要素は前述されたように動作する。
【0123】
帯域通過フィルタ501は、所望される帯域と虚数帯域内だけで信号を通過させるように作動するため、図5に示されている装置により取り込まれる本発明の手法は、例えば任意のチャネルの場合にも2つの無線網から受信信号の復調を可能にする。
【0124】
図5では、信号はマイクロ波パーツを除き、デジタル信号処理によって処理される。特に、適応的制御もデジタル信号処理ドメインで実行される。しかしながら、デジタル信号処理はハードウェアの複雑度及び処理速度に比例して高電力を消費し得る。オーバサンプリング及び高速フーリエ変換演算はM/NTの速度で実行され、Tはビットレートを示す。したがって再直交正規化装置409及び複素数乗算器417は、かなりの電力消費に関連した1/Tというレートで操作されなければならない。
【0125】
干渉は擬似コヒーレント検出器401の欠陥により引き起こされるため、擬似コヒーレント検出器401が無線周波数帯域でも直交性を保証するために適応して制御され得るとき、再直交正規化は受信機で必要とされない。しかしながら、デジタル信号処理アルゴリズムの精度は、特にアナログ信号処理装置とデジタル信号処理装置が共存する場合にアナログデジタル変換器の解像度により制限されている。高速演算及び高解像度によって特徴付けられるアナログデジタル変換器は高価であるため、本発明の信号処理の部分はアナログデバイスを使用して実現されてよい。
【0126】
これを考慮に入れるために、本発明の適応的方式はアナログデバイスの適応的制御に適用されてもよい。
【0127】
図6は、無線周波数装置が制御される本発明のマルチモード受信機の追加の実施形態を示す。
【0128】
図6に示される受信機装置は無線周波数装置605の入力603に結合されている出力を有する受信アンテナ601を備えている。無線周波数装置605は、出力607と追加の入力609とを有する。無線周波数装置605の出力607は、出力611と、無線周波数装置605の追加の入力609に結合されている追加の出力を有するベースバンド装置609に結合されている。
【0129】
図6に示されている受信機装置は、ベースバンド装置609によって適応的制御されている無線周波数擬似コヒーレント検出器を備えている。アンテナ601で受信する信号は入力端子603を介して適応的無線周波数装置609に提供される。出力信号の実数部と虚数部は直交化され、無線周波数装置609の出力信号は本発明による入力信号としてベースバンド装置609に提供される。ベースバンド装置609では、制御信号は、互いに直交である複素信号がその出力で発生するような無線周波数装置605で実現される適応的無線周波数擬似コヒーレント検出器を制御するために発生する。
【0130】
例えば、制御可能な擬似コヒーレント検出器は図3に示される構造を有する。
【0131】
図7は、本発明の追加の実施形態による無線周波数擬似コヒーレント検出器を備えている受信機装置を示す。
【0132】
図7に示されている受信機装置は、例えば図11に示される実施形態に関連して説明されるような送信機を有する伝送システムの中に埋め込まれる。
【0133】
受信装置は無線周波数擬似コヒーレント検出器703(RF−QCD)に結合されている出力を有する受信アンテナ701を備えている。RF−QCD703は第1の出力705と第2の出力707を有する。さらに、RF−QCD703は追加入力709を有する。RF−QCD703の出力705と707は第1の出力713と第2の出力715を有する帯域通過フィルタ711に結合されている。帯域通過フィルタの出力713と715は第1の擬似コヒーレント検出器717及び第2の擬似コヒーレント検出器719に結合されている。擬似コヒーレント検出器717の出力は低域通過フィルタ721に結合され、第2の擬似コヒーレント検出器719の出力は低域通過フィルタ723に結合されている。低域通過フィルタ721の出力と低域通過フィルタの出力723はアナログデジタル変換器725に結合され、第1のアナログデジタル変換器は低域通過フィルタ721によって決定される信号経路に関連し、第2のアナログデジタル変換器725は第2の低域通過フィルタ723によって決定される第2の信号経路に関連している。第1のアナログデジタル変換器725は第1の高速フーリエ変換器727(FFT)に接続される2つの出力を有し、第2のアナログデジタル変換器の2つの出力は第2の高速フーリエ変換器729(FFT)に結合されている。
【0134】
図7に示されている受信機装置は、係数の新しい集合を求めるための本発明の手段に対応する適応的コントローラ731をさらに備えている。適応的コントローラ731は複数の入力733を有する。第1の入力の数は第1のFFT729の出力の数に結合され、入力733の第2の数はFFT727の出力の数に結合されている。適応的コントローラ731は、RF−QCD703の追加入力709に結合されている出力をさらに備えている。
【0135】
さらに、図7に示される受信機装置は、FFT727の出力の数に結合されている入力の数を有するパラレルシリアル変換器735を備えている。さらにパラレルシリアル変換器735は出力737を有する。
【0136】
帯域通過フィルタ711によって提供される出力信号は、第1の擬似コヒーレント検出器717及び第2の擬似コヒーレント検出器719(C−QCD)に提供される。QCD717とQCD719は以下の計算を実行するように作動する。
【数39】

【0137】
QCD717と719によって提供される出力信号は、対応する低域通過フィルタ721と723によってフィルタリングされる。アナログデジタル変換後、高速フーリエ変換器演算が実行される。FFT727と729の出力信号は以下のように説明される。
【数40】

【0138】
図7では、従来のMMSE推定方式は無線周波数信号処理には有効ではないため、再直交正規化行列更新は、摂動法によって取得できる。
【0139】
再び図3を参照すると、適応的無線周波数擬似コヒーレント検出器の例が示されている。無線周波数擬似コヒーレント検出器は、出力325を介して提供される直交信号が理想的には互いに直交であるように位相シフトを調整する可変位相シフト要素327のための可変機能性を有する。図3に示されている適応的無線周波数擬似コヒーレント検出器のこの可変機能性は、前述された再直交正規化装置の可変機能性に匹敵する。したがって、適応的擬似コヒーレント検出器の転送関数は以下のように表現できる。
【数41】

【0140】
したがって、重み付け係数は、以下の更新アルゴリズムから得ることができ、
【数42】

ここでは
【数43】


【数44】

は以下のように定義されることが分かる。
【数45】

【0141】
前記方程式では、
【数46】

及び
【数47】

はそれぞれ制御電圧vに対して可変移相器327の電圧と移相関数を制御するために増幅器323の出力振幅の微分によって得られる値である。さらに、ΔgとΔvは小さい振幅と位相偏差を示す。移相関数は、測定できる装置の特性を利用することにより決定できる。しかしながら、前記アルゴリズムは増幅器と移相器の特徴偏差に対してロバストである。アナログデジタル変換器に提供される信号の動的範囲を圧縮するために、アナログ信号処理を活用することにより、任意の無線網から提供される任意の種類の信号は同時に処理できる。したがって、前記本発明のアルゴリズムはマルチモード受信機の柔軟性を高める。
【0142】
図7に示される受信機装置内で適用されるエラー訂正要素は無線周波数擬似コヒーレント検出器で実現され、その結果出力305と307を介して提供される入力信号が移相要素327の選ばれた移相に従って乗算器309と315の結果として生じる係数により重み付けされる。さらに、取得された信号の振幅は可変増幅器323によって調整される。したがって、入力信号を決定するための手段とエラー訂正要素は無線周波数擬似コヒーレント検出器内で統合される。
【0143】
図8は、入力信号のエラーを適応的に訂正するための本発明の装置の性能を証明する。装置は2モード受信機における虚数キャンセラとして利用された。図8は、10dbに等しいチャネル雑音比でのビット誤り率性能対チャネル対干渉比(CIR)を示す。したがって、2つの信号は1つの無線周波数回路を有する受信機によって同時に受信する。したがって、性能は、一定に保たれていた所望される信号の電力に対して干渉の電力を変化することにより得られる。したがって、所望される信号の信号対雑音比(SNR)は一定である。さらに、64に等しいサブキャリヤの数を有するOFDMシステムが利用された。さらに、各サブキャリヤ変調はQPSK変調(直角位相偏移変調)に属する。中間周波数は2/Tに設定され、Tは信号によって送信機内のパラレル変換器に提供される信号のシンボル期間を示す。
【0144】
受信機で使用される可変周波数擬似コヒーレント検出器は、10度という直交性エラーを取り入れる。曲線801はシステムの性能を示し、虚数キャンセラは適用されない。分かるように、性能は干渉電力の増加を伴い大きく劣化している。
【0145】
曲線803は入力信号のエラーを適応的に訂正するための本発明の装置を活用するシステムの性能を示し、前述された固定ステップアルゴリズムが適用され、固定ステップアルゴリズムは前述されたようにすべてのサブキャリヤにとって固定反復ステップによって特徴付けられる。固定ステップアルゴリズムが、キャンセラを使用しないシステムの性能より優れた性能を有することが分かる。
【0146】
曲線805は、適応的ステップを前述されるようにサブキャリヤごとに適応して選ぶことができるシステム性能を示す。該適応的ステップアルゴリズムが、固定ステップアルゴリズムよりなおさらに多く平坦なCIR領域を拡張することがあることが分かる。実際に70dbのCIRでも、受信機は、本発明の概念が適用されるときに劣化させることなく所望される信号を復調できる。
【0147】
図9は、本発明によるビット誤り率(BER)性能を示す。パラメータは、直交性エラー及びCIRを除き、図8で提示された結果を得るために使用されたパラメータと同じである。CIRは−40dbに設定され、直交性エラーは可変である。さらに、AWGNチャネルにおけるキャンセラを使用しない受信機の性能が示されている。明らかに、キャンセラを使用しない受信機の性能は小さな直交性エラーの存在だけでも劣化する。この劣化と反対に、本発明の干渉キャンセラを備えている受信機はキャンセラを使用しない受信機より優れた性能を有する。該性能は、直交性エラーがゼロ度から約40度に変えられても一定のまま保たれ得る。ごくわずかなまたはゼロの干渉環境により特徴付けられるAWGNのシナリオでも、キャンセラを使用しない受信機は直交性エラーによってわずかに劣化する性能を有する。したがって、本発明のアルゴリズムは最適再直交正規化行列を無事に推定する。
【0148】
図10は、多くの反復でのMSE(平均平方誤差)という点で収束特性を示し、CNRは50dbに設定され、CIRはマイナス40dbである。残りのパラメータは図8に図示される結果に関連したセットアップのパラメータと同じである。本発明による固定ステップアルゴリズムは5000反復で開始する収束フロアを有し、フロアは反復数が増加するにつれ最適を達成していることが分かる。一方、本発明の適応的ステップアルゴリズムは5000の反復後迅速に最適変換を達成する。
【0149】
特定のインプリメンテーション要件に応じて、本発明の方法はハードウェア内またはソフトウェア内で実現できる。該インプリメンテーションはデジタル記憶媒体、特に電子的に読み取り可能な制御信号がその上に記憶されているディスクまたはCDを使用して実行でき、プログラマブルコンピュータシステムと協調でき、その結果本発明の方法が実行される。したがって、一般的には、本発明は、機械読み取り可能キャリヤ上にプログラムコードが記憶されるコンピュータプログラム製品であり、プログラムコードは本発明の方法を実行し、コンピュータプログラム製品はコンピュータ上で実行する。言い換えると、したがって、本発明の方法は、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行するときに、本発明の方法を形成するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】本発明の第1の実施形態による入力信号のエラーを適応的に訂正するための装置のブロック図を示す。
【図2】本発明による受信機装置のブロック図を示す。
【図3】擬似コヒーレント検出器の実施形態を示す。
【図4】本発明の追加実施形態によるマルチキャリヤ虚数キャンセラの実施形態を示す。
【図5】本発明の追加の実施形態によるマルチキャリヤ虚数キャンセラのブロック図を示す。
【図6】本発明の追加の実施形態による受信機装置を示す。
【図7】本発明の追加の実施形態による受信機装置のブロック図を示す。
【図8】エラーを適応的に訂正するための本発明の装置の性能を立証する。
【図9】エラーを適応的に訂正するための本発明の装置の性能を立証する。
【図10】エラーを適応的に訂正するための本発明の装置の性能を立証する。
【図11】OFDM伝送方式のブロック図を示す。
【図12】従来のマルチモード受信機のブロック図を示す。
【図13】従来のマルチモード受信機のブロック図を示す。
【図14】マルチモード受信機を示す。
【図15】従来のホモダイン受信機を示す。
【図16】従来のヘテロダイン受信機を示す。
【図17】従来のヘテロダイン受信機を示す。
【図18】周波数割り当て方式を示す。
【図19】虚数信号キャンセラを示す。
【符号の説明】
【0151】
101 エラー訂正要素
103 入力信号
107 訂正済み入力信号
111 第1の変換器
115 第1の変換された信号
117 係数の新しい集合を求めるための手段
119 第2の変換された信号
121 第2の変換器
201 入力信号を引き出すための手段
203 受信信号
205 実数部分
207 虚数部分
209 実数部分
211 虚数部分
213 ダウンコンバータ
219 フーリエ変換器
409 直交正規化プログラム
417 複素数乗算器
427 適応的コントローラ
431 チャネル
605 RF装置
609 ベースバンド装置
731 適応的コントローラ
1113 変調器
1119 RF装置
1209 RF装置
1211 ベースバンド装置
1213 切替装置
1219 コントローラ
1301 ベースバンド装置
1305 コントローラ
1403 RF装置
1405 ベースバンド装置
1501 RFフィルタ
1509 ヒルベルト変換器
1515 検出器
1701 擬似コヒーレント検出器
1707 検出器
1713 ループフィルタ
1921 直交正規化プログラム
1927 複素数乗算器
1933 フィルタ
1939 適応的コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
適応的ステップを有する適応的方式に基づいて入力信号のエラーを適応的に訂正するための装置であって、前記適応的方式が前記入力信号を含まない特徴的性質に依存し、
いくつかの係数の集合を使用して前記入力信号を重み付けすることにより訂正された入力信号を提供するエラー訂正要素(101、409)と、
前記特徴的性質を含む第1の変換された信号に前記入力信号を変換するための第1の変換器(111)と、
前記特徴的性質を含む第2の変換された信号に前記訂正済み入力信号を変換するための第2の変換器(121、423)と、
前記特徴的性質を利用して、次の適応的ステップで使用される係数の新しい集合を、前記係数の集合と前記第1と第2の変換された信号とから求めるための手段(117、427、731)と
を備えている装置。
【請求項2】
前記入力信号が、前記入力信号の実数部分として受信信号から同相(I)成分を引き出し、前記入力信号の虚数部分として前記受信信号から直交(Q)成分を引き出すことによって前記受信信号から形成され、前記エラーが前記I成分とQ成分の導出中に発生する直交性エラーであり、その結果前記入力信号の前記実数部分が前記入力信号の前記虚数部分に直交しておらず、直交性エラーが削減された前記訂正済みの入力信号を提供するように前記エラー訂正要素(101、409)が作動する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記入力信号が、各入力点が実数値と虚数値を有する入力点の集合を含み、その結果前記入力点の集合が前記入力信号の前記実数部分に対応する実数値の集合と、前記入力信号の前記虚数部分に対応する虚数値の集合とを含み、前記訂正済み入力信号が、各訂正済み入力点が実数値と虚数値を有する訂正点の集合を含み、その結果、前記訂正済みの点の集合が前記訂正済み入力信号の前記実数部分に対応する実数値の集合と、前記訂正済み入力信号の前記虚数部分に対応する虚数値の集合とを含み、前記入力点の集合が前記直交性エラーを有する誤りのある入力点を含み、
前記エラー訂正要素(101、409)が、直交性エラーが削減された前記訂正済み入力信号の訂正点を提供するために前記係数の集合により前記誤りのある入力点を重み付けするように作動する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記誤りのある入力点がベクトルであり、前記係数の集合が行列で配列され、前記エラー訂正要素(101、409)が前記訂正点の集合の内の訂正済みの点を提供するために行列とベクトルとの乗算を実行するように作動する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記入力信号と前記訂正済み入力信号が時間ドメイン信号であり、前記特徴的性質が特定の波形であり、前記第1の変換器(111)が前記第1の変換された信号を得るために前記入力信号のバージョンを周波数ドメインに変換するように作動しており、前記第2の変換器(121)が前記第2の変換された信号を得るために前記訂正済み信号のバージョンを周波数ドメインに変換するように作動しており、
前記第1の変換された信号と前記第2の変換された信号が前記特定の波形を含んでいる、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の変換器(111)が、前記入力信号の前記バージョンとしてオーバサンプリングされた入力信号を提供するためにオーバサンプリング因数で前記入力信号をオーバサンプリングするように作動しており、
前記第2の変換器(121)が、前記訂正済み入力信号の前記バージョンとしてオーバサンプリングされた訂正済み入力信号を提供するために前記オーバサンプリング因数で前記訂正済み入力信号をオーバサンプリングするように作動する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記入力信号と前記訂正済み入力信号が中間周波数信号であり、
前記第1の変換器(111)が、前記入力信号の前記バージョンとして前記入力信号のダウンコンバートされたバージョンを提供するための第1のダウンコンバータ(213)を含み、
前記第2の変換器(121)が、前記訂正済み入力信号の前記バージョンとして前記訂正済み入力信号のダウンコンバートされたバージョンを提供するための第2のダウンコンバータ(213)を備えている、請求項5または6に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の変換器(111)が、前記第1の変換された信号を得るために前記入力信号の前記バージョンを周波数ドメインに変換するための高速フーリエ変換器または離散フーリエ変換器を備えており、および/または、前記第2の変換器(121)が、前記第2の変換された信号を得るために前記訂正済み入力信号の前記バージョンを周波数ドメインに変換するための高速フーリエ変換器または離散フーリエ変換器を備えている、請求項5から7にいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記入力信号が、前記入力信号の実数部分として受信信号から同相(I)成分を引き出し、前記入力信号の虚数部分として前記受信信号から直交(Q)成分を引き出すことによって前記受信信号から形成され、前記エラーが、前記I成分とQ成分の導出中に発生する直交性エラーであり、その結果前記入力信号の前記実数部分が前記入力信号の前記虚数部分に直交ではなく、前記特定の波形が一定の包絡線であり、前記直交性エラーが発生しないときに前記第1の変換された信号が所定の範囲内に一定の包絡線を有し、前記第1の変換された信号が前記一定の包絡線とエラー包絡線の重ね合わせを含んでいる歪み包絡線を有し、
前記次の適応的ステップで使用される前記新しい係数の集合を求めるための前記手段(117)は、エラーがない場合に前記一定の包絡線特性を利用して前記新しい係数の集合を求めるように作動する、請求項5から8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記新しい係数の集合を求めるための前記手段(117)が、前記次の適応的ステップで使用される前記新しい係数の集合を得るために一定の対数係数アルゴリズムを実行するように作動する、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
受信信号を提供するための手段と、
前記受信信号から、実数部分と虚数部分を有する入力信号を引き出すための手段(201)と、ここで、この引き出すための手段(201)は、前記入力信号の前記実数部分として前記受信信号から同相(I)成分を引き出し、前記入力信号の前記虚数部分として前記受信信号から直交(Q)成分を引き出すように作動しており、引き出すための前記手段(201)が直交性エラーを取り込み、その結果前記入力信号の前記実数部分と前記入力信号の前記虚数部分が互いに直交ではないものであり、
請求項1から10のいずれか一項に従って前記直交性エラーを適応的に訂正するための前記装置と
を備えている受信機装置。
【請求項12】
入力信号によって構成されていない特徴的性質に依存する適応的方式に基づいて前記入力信号のエラーを適応的に訂正するための方法であって、
係数の集合を使用して前記入力信号を重み付けすることにより訂正済み入力信号を提供するステップと、
前記特徴的性質を含む第1の変換された信号に前記入力信号を変換するステップと、
前記特徴的性質を含む第2の変換された信号に前記訂正済み入力信号を変換するステップと、
前記特徴的性質を利用して、前記係数の集合と前記第1と第2の変換された信号とから次の適応的ステップに使用される係数の新しい集合を求めるステップと
を含んでいる方法。
【請求項13】
受信信号を提供するステップと、
前記受信信号から実数部分と虚数部分とを有する入力信号を引き出すステップと、ここで、この入力信号を引き出すステップは、前記入力信号の前記実数部分として前記受信信号から同相(I)成分を引き出す前記ステップと、前記入力信号の前記虚数部分として直交(Q)成分を引き出す前記ステップとを含み、前記導出プロセスの間に、直交性エラーが発生し、その結果前記入力信号の前記実数部分と前記入力信号の前記虚数部分は互いに直交ではないものであり、
請求項12による前記方法を使用して前記直交性エラーを適応的に訂正するステップと
を含む、受信信号を処理する方法。
【請求項14】
請求項12による前記方法または請求項13による前記方法を、コンピュータ上で実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公表番号】特表2007−506310(P2007−506310A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526524(P2006−526524)
【出願日】平成16年2月19日(2004.2.19)
【国際出願番号】PCT/EP2004/001633
【国際公開番号】WO2005/027454
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】