説明

適応等化器およびタップ係数制御方法

【課題】伝送路の特性に適したタップ数を決定する。
【解決手段】適応等化器は、入力受信信号1を等化するフィルタリング回路100と、入力受信信号1に含まれる受信パイロット信号5を検出するパイロット信号検出回路104と、受信パイロット信号5とこのパイロット信号の既知の信号パターンとの誤差を計算し、この誤差に基づいてフィルタリング回路100のタップ係数を計算する係数更新回路102と、係数更新回路102で計算された誤差が所定の上限閾値より大きい場合はフィルタリング回路100のタップ数を増加させ、誤差が所定の下限閾値より小さい場合はタップ数を減少させる係数制御回路103とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムに係り、特に受信信号を等化するトランスバーサル型の適応等化器および適応等化器のタップ係数制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
等化器は、無線通信システムにおいて伝送路上で発生した歪みを補償するために使用される信号処理回路である。図1は本発明の第1の実施の形態に係る適応等化器の構成を示すブロック図であるが、この図1を用いて、等化器のフィルタリング回路について説明する。フィルタリング回路100は、受信装置の受信回路(不図示)が受信した入力受信信号1を遅延素子101−1,101−2,・・・,101−k,・・・,101−nによりT時間ずつ遅らせた受信信号1−1,1−2,・・・,1−k,・・・,1−nとタップ係数2−1,2−2,・・・,2−k,・・・,2−nとを乗算器105−1,105−2,・・・,105−k,・・・,105−nで乗算し、この乗算によって得られた乗算受信信号3−1,3−2,・・・3−k,・・・,3−nを加算器106で合成することにより等化処理を行う。こうして、フィルタリング回路100は、マルチパスによって発生する信号の歪みを除去して通信システムの性能を向上させる。
【0003】
フィルタリング回路100のタップ係数2−1〜2−nは、パイロット信号の誤差値と受信パイロット信号5の相関をとることにより求められる。パイロット信号の誤差値は、入力受信信号1に含まれる受信パイロット信号5とこのパイロット信号の正しい信号パターンとの差である。タップ係数2−1〜2−nの具体的な決定方法としては、ZF(Zero Forcing)法やMMSE(Minimum Mean Square Errors)法等の自動制御アルゴリズムが知られている。この自動制御アルゴリズムにより、伝送路の特性に応じて最適なタップ係数を求めることができる。
【0004】
最適なタップ係数となるように自動的に制御する適応等化器については、例えば特許文献1に開示されている。しかし、特許文献1に開示された等化器では、受信入力信号の状態に関係なくフィルタリング回路のタップ数が一定であるため、伝送路の特性が良好な場合に不必要なタップまで等化に使用することになり、消費電力が増大するという問題点があった。
一方、特許文献2には、伝送路の遅延広がりを推定し、推定した遅延広がりに適したタップ係数制御を行う適応等化器が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−115261号公報
【特許文献2】特開2007−201729号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のように、特許文献1に開示された適応等化器では、フェージング等信号劣化要因が小さく無線伝搬特性が良好な場合に、不必要なタップまで等化に使用することになり、消費電力が増大するという問題点があった。
また、特許文献2に開示された適応等化器によれば、伝送路の遅延広がりに適したタップ数に設定できるとしている。しかしながら、特許文献2に開示された適応等化器では、伝送路の遅延広がりを推定し、推定した遅延広がりに適したタップ数を選択する技術について具体的な解決手段が明示されていない。したがって、タップ数を可変制御したとしても、選択したタップ数が伝送路の特性に適合しない可能性があった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、伝送路の特性に適したタップ数を決定することができる適応等化器およびタップ係数制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の適応等化器は、入力信号を等化するトランスバーサルフィルタリング手段と、前記入力信号に含まれるパイロット信号を検出するパイロット信号検出手段と、前記パイロット信号とこのパイロット信号の既知の信号パターンとの誤差を計算し、この誤差に基づいて前記トランスバーサルフィルタリング手段のタップ係数を計算する係数更新手段と、前記誤差が所定の上限閾値より大きい場合は前記トランスバーサルフィルタリング手段のタップ数を増加させ、前記誤差が所定の下限閾値より小さい場合は前記タップ数を減少させる係数制御手段とを備えることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の適応等化器のタップ係数制御方法は、入力信号に含まれるパイロット信号を検出するパイロット信号検出手順と、前記パイロット信号とこのパイロット信号の既知の信号パターンとの誤差を計算し、前記入力信号を等化するトランスバーサルフィルタリング手段のタップ係数を前記誤差に基づいて計算する係数更新手順と、前記誤差が所定の上限閾値より大きい場合は前記トランスバーサルフィルタリング手段のタップ数を増加させ、前記誤差が所定の下限閾値より小さい場合は前記タップ数を減少させる係数制御手順とを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、係数更新手段で計算される誤差が所定の上限閾値より大きい場合はトランスバーサルフィルタリング手段のタップ数を増加させ、誤差が所定の下限閾値より小さい場合はタップ数を減少させる。したがって、上限閾値と下限閾値を、使用する無線通信装置や通信環境に応じて予め設定しておけば、伝送路の特性に適したタップ数を決定することができる。その結果、本発明においては、以下のような効果を奏する。1つの効果は、無線伝搬特性が良好な場合、適応等化器を搭載する無線通信装置の消費電力を低減できることである。無線伝搬特性が良好な場合には、等化器のタップ数を削減しても受信品質を所望のレベルに維持することができるので、本発明による制御により、使用するタップ数を削減した分だけ無線通信装置の消費電力を低減することができる。もう1つの効果は、無線伝搬特性が劣化した場合に受信品質を改善できることである。フェージング等により無線伝搬特性が劣化することで等化精度が悪くなった場合には、本発明の制御方法によりタップ数を増加させることで等化精度および受信品質を改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本実施の形態は、トランスバーサル型適応等化器において、無線伝搬特性が良好な場合に等化に使用するタップ数を減少させることで、無線通信装置の消費電力を低減できることを特徴としている。図1は本発明の第1の実施の形態に係る適応等化器の構成を示すブロック図である。
【0012】
本実施の形態の適応等化器は、フィルタリング回路100と、係数更新回路102と、係数制御回路103と、パイロット信号検出回路104とを備えている。
フィルタリング回路100は、n個の遅延素子101−1,101−2,・・・,101−k,・・・,101−nと、n個の乗算器105−1,105−2,・・・,105−k,・・・,105−nと、加算器106とから構成される。
【0013】
フィルタリング回路100は、入力受信信号1を遅延素子101−1,101−2,・・・,101−k,・・・,101−nによりT時間ずつ遅らせた受信信号1−1,1−2,・・・,1−k,・・・,1−nとタップ係数2−1,2−2,・・・,2−k,・・・,2−nとを乗算器105−1,105−2,・・・,105−k,・・・,105−nで乗算し、この乗算によって得られた乗算受信信号3−1,3−2,・・・,3−k,・・・,3−nを加算器106で合成することにより等化処理を行い、等化出力信号4を出力する。一般的に、Tはシンボル時間間隔であるが、遅延素子101−1,101−2,・・・,101−k,・・・,101−nの遅延時間をT/2にすることも可能である。
【0014】
パイロット信号検出回路104は、適応等化器に入力される受信入力信号1を受信し、後述するフレーム同期回路から入力されるパイロット信号検出情報20に基づいて、受信入力信号1に含まれる受信パイロット信号5を検出する。この受信パイロット信号5の正しい信号パターンは、適応等化器を搭載する無線通信装置において既知である。
【0015】
係数更新回路102は、パイロット信号検出回路104から受信パイロット信号5を受信し、適応等化器のn個のタップ係数2−1,2−2,・・・,2−k,・・・,2−nの値を求める。ここで、2−kはセンターのタップ係数を表す。各々のタップ係数は、パイロット信号の誤差値と受信パイロット信号5との相関をとることにより求められる。パイロット信号の誤差値は、受信パイロット信号5と受信装置側で既知であるパイロット信号の正しい信号パターンとの差である。
【0016】
具体的には、係数更新回路102は、受信パイロット信号5とこのパイロット信号5の正しい信号パターンとの誤差を計算し、この誤差の2乗値が最小となるように等化器のタップ係数2−1,2−2,・・・,2−k,・・・,2−nを計算する。このタップ係数2−1,2−2,・・・,2−k,・・・,2−nの計算方法は、MMSE法に基づくものである。そして、係数更新回路102は、計算したタップ係数2−1,2−2,・・・,2−k,・・・,2−nをそれぞれ乗算器105−1,105−2,・・・,105−k,・・・,105−nに送出する。また、係数更新回路102は、前記の誤差の2乗値を示す誤差信号6を係数制御回路103に送出する。
【0017】
係数制御回路103は、係数更新回路102から入力される誤差信号6と所定のタップ数切り替え閾値δ,δ’との比較を行い、等化に使用するタップ数を制御する。タップ数切り替え閾値δ,δ’は、等化に使用するタップ数の増加または減少を決定するための閾値である。係数制御回路103は、誤差信号6が示す誤差の2乗値が下限閾値δ’より小さい場合、無線伝搬特性が良好と判断してタップ数を減少させ、誤差信号6が示す誤差の2乗値が上限閾値δ(δ>δ’)より大きい場合、フェージングによる信号劣化が大きく等化精度が悪くなったと判断してタップ数を増加させる。ここで、閾値δ,δ’は使用する無線通信装置や通信環境に応じて予め決定される。
【0018】
係数制御回路103は、誤差信号6とタップ数切り替え閾値δ,δ’との比較結果に基づいてタップ数を決定すると、このタップ数を指定するタップ数指定信号7を係数更新回路102に送出する。
係数更新回路102は、タップ数指定信号7に従ってタップ数を切り替える。係数更新回路102は、係数制御回路103が等化に使用すると判断したタップについては前述のようにタップ係数を計算し、使用しないと判断したタップについてはタップ係数を0とする。本実施の形態では、物理的なタップ数はn個に固定されており、係数制御回路103がタップ数減少と判断した場合に、使用しないタップ係数を0にする。未使用のタップ係数を0とすることで、フィルタリング回路100の演算量を減少させることができるので、無線通信装置の消費電力を削減することができる。
【0019】
図2は無線通信装置の受信装置側における適応等化器からフレーム同期回路までの構成を示すブロック図である。図2を用いて、波形等化からフレーム同期までの信号処理の構成を説明する。
適応等化器201は、図1の構成を持つ等化器であり、受信入力信号1に対して等化処理を行い、等化出力信号4をデマッピング回路202に送出する。
【0020】
デマッピング回路202は、等化出力信号4をディジタルデータに変換するデマッピング処理を行い、デマッピング信号2024をフレーム同期回路203に送出する。
フレーム同期回路203は、デマッピング信号2024に対してフレーム同期検出処理を行い、受信ディジタルデータ信号2034を出力する。また、フレーム同期回路203は、フレーム同期検出処理によって特定したパイロット信号の位置を示すパイロット信号検出情報20を適応等化器201へ出力する。
【0021】
次に、図1、図2に示した適応等化器201の動作について説明する。適応等化器201のフィルタリング回路100は、送信側の無線通信装置から送信され受信装置の受信回路(不図示)が受信した入力受信信号1を遅延素子101−1,101−2,・・・,101−k,・・・,101−nによりT時間ずつ遅らせた受信信号1−1,1−2,・・・,1−k,・・・,1−nと係数更新回路102で計算されたタップ係数2−1,2−2,・・・,2−k,・・・,2−nとを乗算器105−1,105−2,・・・,105−k,・・・,105−nで乗算し、この乗算によって得られた乗算受信信号3−1,3−2,・・・,3−k,・・・,3−nを加算器106で合成することにより等化処理を行い、等化出力信号4を出力する。Tはシンボル時間間隔であるが、遅延素子101−1,101−2,・・・,101−k,・・・,101−nの遅延時間をT/2にすることも可能である。等化器は、前記等化処理を行うことで、無線伝送路フェージング等に起因する信号の歪みを除去することができる。
【0022】
係数更新回路102は、受信パイロット信号5とこのパイロット信号の正しい信号パターンとの誤差を計算する。そして、係数更新回路102は、計算した誤差と受信パイロット信号5との相関値を計算し、誤差の2乗値が最小となるように等化器のタップ係数2−1,2−2,・・・,2−k,・・・,2−nを計算する。係数更新回路102は、タップ係数2−1,2−2,・・・,2−nをそれぞれ乗算器105−1,105−2,・・・、105−nに送出する。また、係数更新回路102は、、受信パイロット信号5の誤差の2乗値を示す誤差信号6を係数制御回路103に送出する。
【0023】
受信パイロット信号5の検出は次のように行う。等化出力信号4は、適応等化器201から出力された後、デマッピング回路202を経て、フレーム同期回路203でフレーム同期処理される。このフレーム同期処理の際に、フレーム同期回路203は、受信パイロット信号5の位置を検出し、パイロット信号検出情報20を適応等化器201のパイロット信号検出回路104にフィードバックする。
【0024】
パイロット信号検出回路104は、パイロット信号検出情報20に基づいて受信入力信号1に含まれる受信パイロット信号5を検出し、検出した受信パイロット信号5を係数更新回路102に送出する。本実施の形態では、1フレームに1つのパイロット信号列が挿入されているフレーム構成を想定しており、係数更新回路102は、1フレームごとに1回タップ係数の更新を行う。なお、フレーム構成やタップ係数更新の頻度は、無線通信装置や通信環境に応じて任意に設定できる。
【0025】
次に、係数制御回路103の動作について、図3を用いて説明する。無線通信装置の電源投入直後(図3のステップ301)、係数制御回路103は、タップ数をrに初期設定する(ステップ302)。ここで、rは1<r<nの範囲で任意に決定できる。係数更新回路102にてタップ係数を求める際も、電源投入後初回のタップ数はrとする。
【0026】
次に、係数制御回路103は、係数更新回路102が送出した誤差信号6を受信する(ステップ303)。係数制御回路103は、誤差信号6が示す誤差の2乗値が下限閾値δ’以上かつ上限閾値δ以下の場合(ステップ304において判定Yes、ステップ305において判定No)、タップ数切り替えなしと判断し、等化に使用するタップ数が前回と同じ値になるようにタップ数指定信号7を係数更新回路102に送信する(ステップ312)。ここで、上限閾値δはタップ数増加と判定する閾値、下限閾値δ’はタップ数減少と判定する閾値である。閾値δ,δ’は使用する無線通信装置や通信環境に応じて予め決定される。
【0027】
係数制御回路103は、誤差信号6が示す誤差の2乗値が上限閾値δより大きい場合(ステップ304において判定No)、タップ数を1個増加させる。このとき、係数制御回路103は、タップ数増加によりタップ数が上限値であるn個以上となってしまうかどうかを判定し(ステップ306)、タップ数を1個増加させたとしてもタップ数がn個以上にならない場合はタップ数を1個増加させ(ステップ308)、タップ数増加によりタップ数がn個以上になってしまう場合はタップ数をn個とする(ステップ309)。そして、係数制御回路103は、決定したタップ数を示すタップ数指定信号7を係数更新回路102に送信する(ステップ312)。
【0028】
係数制御回路103は、誤差信号6が示す誤差の2乗値が下限閾値δ’より小さい場合(ステップ305において判定Yes)、タップ数を1個減少させる。このとき、係数制御回路103は、タップ数減少によりタップ数が下限値である1個以下となってしまうかどうかを判定し(ステップ307)、タップ数を1個減少させたとしてもタップ数が1個以下にならない場合はタップ数を1個減少させ(ステップ310)、タップ数減少によりタップ数が1個以下になってしまう場合はタップ数を1個とする(ステップ311)。そして、係数制御回路103は、決定したタップ数を示すタップ数指定信号7を係数更新回路102に送信する(ステップ312)。
【0029】
係数更新回路102は、係数制御回路103が等化に使用すると判断したタップについては前述のようにタップ係数を計算し、使用しないと判断したタップについてはタップ係数を0とする。タップ数指定信号7がタップ数の1個増加を指定している場合には、係数を計算するタップ数が1個増えることになり、タップ数指定信号7がタップ数の1個減少を指定している場合には、係数を0にするタップ数が1個増えることになる。
なお、本実施の形態では、タップ数の増減量を±1としているが、使用する無線通信装置や通信環境に応じて、タップ数の増減量を別の値に設定してもよい。
【0030】
以上説明したように、本実施の形態では、誤差信号6が示す誤差の2乗値が上限閾値δより大きい場合はタップ数を増加させ、誤差信号6が示す誤差の2乗値が下限閾値δ’より小さい場合はタップ数を減少させることにより、伝送路の特性に適したタップ数を決定することができる。
【0031】
その結果、本実施の形態においては、以下のような効果を奏する。1つの効果は、無線伝搬特性が良好な場合、適応等化器を搭載する無線通信装置の消費電力を低減できることである。無線伝搬特性が良好な場合には、等化器のタップ数を削減しても受信品質を所望のレベルに維持することができるので、本実施の形態による制御により、使用するタップ数を削減した分だけ無線通信装置の消費電力を低減することができる。もう1つの効果は、無線伝搬特性が劣化した場合に受信品質を改善できることである。フェージング等により無線伝搬特性が劣化することで等化精度が悪くなった場合には、本実施の形態の制御方法によりタップ数を増加させることで等化精度および受信品質を改善することができる。
【0032】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態においても、適応等化器の構成は第1の実施の形態と同様であるので、図1の符号を用いて説明する。本実施の形態では、図1の適応等化器において、係数制御回路103がタップ数減少と判断した場合に、センタータップを適応等化器の遅延時間が最小になる位置へ移動させる。
【0033】
係数更新回路102は、タップ数指定信号7によりタップ数=pの命令を受けたとき、m番目のタップ係数2−mをセンタータップとする。ここで、pは1以上n以下の整数であり、mはm=ceiling((p+1)/2)を満たす整数である。ceiling(x)は天井関数であり、実数xに対してx以上の最小の整数として定義される関数である。こうして、係数更新回路102は、タップ係数2−1,2−2,・・・,2−pのみ等化に使用し、タップ係数2−(p+1),・・・,2−nを0にする。
以上の動作により、本実施の形態では、適応等化器の遅延量を最小限に抑えることができるという効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、トランスバーサル型の適応等化器に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る適応等化器の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態において無線通信装置の受信装置側における適応等化器からフレーム同期回路までの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における係数制御回路の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0036】
1…入力受信信号、1−1〜1−n…受信信号、2−1〜2−n…タップ係数、3−1〜3−n…乗算受信信号、4…等化出力信号、5…受信パイロット信号、6…誤差信号、7…タップ数指定信号、20…パイロット信号検出情報、100…フィルタリング回路、101−1〜101−n…遅延素子、102…係数更新回路、103…係数制御回路、104…パイロット信号検出回路、105−1〜105−n…乗算器、106…加算器、201…適応等化器、202…デマッピング回路、203…フレーム同期回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号を等化するトランスバーサルフィルタリング手段と、
前記入力信号に含まれるパイロット信号を検出するパイロット信号検出手段と、
前記パイロット信号とこのパイロット信号の既知の信号パターンとの誤差を計算し、この誤差に基づいて前記トランスバーサルフィルタリング手段のタップ係数を計算する係数更新手段と、
前記誤差が所定の上限閾値より大きい場合は前記トランスバーサルフィルタリング手段のタップ数を増加させ、前記誤差が所定の下限閾値より小さい場合は前記タップ数を減少させる係数制御手段とを備えることを特徴とする適応等化器。
【請求項2】
請求項1記載の適応等化器において、
前記係数更新手段は、予め定められた頻度で前記タップ係数の更新を行い、更新時に前記係数制御手段が決定したタップ数に応じて、前記等化に使用するタップについては前記タップ係数を計算し、使用しないタップについては前記タップ係数を0とすることを特徴とする適応等化器。
【請求項3】
請求項2記載の適応等化器において、
前記係数更新手段は、前記係数制御手段が決定したタップ数に応じて、適応等化器の遅延時間が最小になる位置にセンタータップを設定することを特徴とする適応等化器。
【請求項4】
請求項3記載の適応等化器において、
前記係数更新手段は、前記タップ数の最大値がn(nは2以上の整数)で、前記係数制御手段からタップ数=p(pは1以上n以下の整数)の指定を受けたとき、m(mは(p+1)/2以上の整数のうち最小の整数)番目のタップ係数をセンタータップとし、1番目からp番目までのタップ係数のみ等化に使用し、(p+1)番目からn番目までのタップ係数を0とすることを特徴とする適応等化器。
【請求項5】
請求項1記載の適応等化器において、
前記トランスバーサルフィルタリング手段は、
前記入力信号を遅らせる直列接続されたn(nは2以上の整数)個の遅延素子と、
各遅延素子の出力信号とこれに対応するタップ係数とを乗算するn個の乗算器と、
各乗算器の出力信号を合成する加算器とからなることを特徴とする適応等化器。
【請求項6】
請求項1記載の適応等化器において、
前記係数更新手段は、前記誤差の2乗値が最小となるように前記タップ係数を計算することを特徴とする適応等化器。
【請求項7】
入力信号に含まれるパイロット信号を検出するパイロット信号検出手順と、
前記パイロット信号とこのパイロット信号の既知の信号パターンとの誤差を計算し、前記入力信号を等化するトランスバーサルフィルタリング手段のタップ係数を前記誤差に基づいて計算する係数更新手順と、
前記誤差が所定の上限閾値より大きい場合は前記トランスバーサルフィルタリング手段のタップ数を増加させ、前記誤差が所定の下限閾値より小さい場合は前記タップ数を減少させる係数制御手順とを備えることを特徴とする適応等化器のタップ係数制御方法。
【請求項8】
請求項7記載の適応等化器のタップ係数制御方法において、
前記係数更新手順は、予め定められた頻度で前記タップ係数の更新を行い、更新時に前記係数制御手順で決定されたタップ数に応じて、前記等化に使用するタップについては前記タップ係数を計算し、使用しないタップについては前記タップ係数を0とすることを特徴とする適応等化器のタップ係数制御方法。
【請求項9】
請求項8記載の適応等化器のタップ係数制御方法において、
前記係数更新手順は、前記係数制御手順が決定したタップ数に応じて、適応等化器の遅延時間が最小になる位置にセンタータップを設定することを特徴とする適応等化器のタップ係数制御方法。
【請求項10】
請求項9記載の適応等化器のタップ係数制御方法において、
前記係数更新手順は、前記タップ数の最大値がn(nは2以上の整数)で、前記係数制御手順でタップ数=p(pは1以上n以下の整数)と決定されたとき、m(mは(p+1)/2以上の整数のうち最小の整数)番目のタップ係数をセンタータップとし、1番目からp番目までのタップ係数のみ等化に使用し、(p+1)番目からn番目までのタップ係数を0とすることを特徴とする適応等化器のタップ係数制御方法。
【請求項11】
請求項7記載の適応等化器のタップ係数制御方法において、
前記係数更新手順は、前記誤差の2乗値が最小となるように前記タップ係数を計算することを特徴とする適応等化器のタップ係数制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−118817(P2010−118817A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−289568(P2008−289568)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】