遮断竿復帰装置及びこれを備えた通行遮断機
【課題】遮断竿が退避位置になったときに、スイッチ操作で遮断竿を垂直方向回動状態に戻すことのできる遮断竿復帰装置を提供する。
【解決手段】駆動軸3aの軸方向に対し交差方向へ伸長して駆動軸3aの回転により垂直方向に回動する遮断竿6を有し、閉位置にある遮断竿6が退避位置(点線)まで水平方向に回動できるように遮断竿6駆動軸3aにヒンジ接続3c〜3eされている通行遮断機1に設けられる遮断竿復帰装置であって、アクチュエータにより駆動されて、駆動軸3aの軸方向に前進及び後退する往復アーム5fを有し、前進する往復アーム5fが、突片3lに係止して押し、退避位置にある遮断竿6を垂直方向回動状態へ押し戻す、遮断竿復帰装置とする。
【解決手段】駆動軸3aの軸方向に対し交差方向へ伸長して駆動軸3aの回転により垂直方向に回動する遮断竿6を有し、閉位置にある遮断竿6が退避位置(点線)まで水平方向に回動できるように遮断竿6駆動軸3aにヒンジ接続3c〜3eされている通行遮断機1に設けられる遮断竿復帰装置であって、アクチュエータにより駆動されて、駆動軸3aの軸方向に前進及び後退する往復アーム5fを有し、前進する往復アーム5fが、突片3lに係止して押し、退避位置にある遮断竿6を垂直方向回動状態へ押し戻す、遮断竿復帰装置とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等の通行を遮断する通行遮断機に関し、特に、垂直方向に遮断竿を回動させて開閉を行うようにした通行遮断機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば有料道路の料金所に設置されているETC(Electronic Toll Collection)レーンには、通行車両の速度制限を行うために通行遮断機が設けられる。この種の通行遮断機は、駆動軸に片持ちした、つまり駆動軸の軸方向に対し交差方向へ伸長するように駆動軸に接続した遮断竿が、駆動軸の回転に従って垂直方向に回動することで、開閉を行う構成とされる。且つ、ETCレーンなどに設置される通行遮断機の場合、車道に突き出した横臥状態の閉位置にある遮断竿に速度超過の車両が接触することを想定して、遮断竿及び車両双方の損傷防止のために、接触した車両の勢いで遮断竿が水平方向に回動できるように、駆動軸に対して遮断竿がヒンジ接続されている(特許文献1〜3参照)。
【0003】
特許文献1〜3に記載されている通行遮断機は、閉位置にある遮断竿が車両の接触により退避位置まで水平方向回動した場合、その退避位置に遮断竿を留める仕組みを備えている(特許文献1[0038]〜[0039][0043]・特許文献2[0033]〜[0035]・特許文献3[0020])。これは、退避位置から跳ね戻る遮断竿が後続車両に衝突する事故を防ぐための仕組みで、現状のETCレーンに設けられる通行遮断機には必須の構造である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−043729号公報
【特許文献2】特開2001−107327号公報
【特許文献3】特開2002−146735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記通行遮断機は、遮断竿の水平方向回動を検知するセンサを備え、遮断竿が退避位置まで回動した場合には該センサで検知し、ランプやブザーなどでブース内等の人員に報知している(特許文献1[0040][0046]・特許文献2[0027])。したがって、この報知を認知した人員により、退避位置にあって駆動軸と一直線状の状態になっている遮断竿は、手作業で垂直方向回動状態に押し戻され(ヒンジ軸で折り曲げられ)、閉位置へ復帰することになる。
【0006】
しかし、退避位置にある遮断竿を垂直方向回動状態に押し戻す手作業に伴って人員が車道に入ってしまう場合があり、できれば手押しでの閉位置復帰作業は避けたいとの要望が出ている。当該事情に鑑みると、遮断竿が退避位置になったときの報知に応じて人員がスイッチ操作するなどにより、遮断竿を動作させて垂直方向回動状態に戻すことのできる遮断竿復帰装置の提供が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に対して提案する遮断竿復帰装置は、
駆動軸の軸方向に対し交差方向へ伸長して前記駆動軸の回転により垂直方向に回動する遮断竿を有し、閉位置にある前記遮断竿が退避位置まで水平方向に回動できるように前記遮断竿が前記駆動軸にヒンジ接続されている通行遮断機に設けられる、
遮断竿復帰装置であって、
アクチュエータにより駆動されて、前記駆動軸の軸方向又は該軸方向に対する交差方向に前進及び後退する往復アームを有し、
前進する前記往復アームが、前記退避位置にある前記遮断竿を垂直方向回動状態へ押し戻す、遮断竿復帰装置である。
【0008】
また、上記課題に対して提案する通行遮断機は、
遮断竿駆動装置と、該遮断竿駆動装置の駆動軸にヒンジ接続された遮断竿と、を含んで構成され、
前記遮断竿が、前記駆動軸の軸方向に対し交差方向へ伸長して前記駆動軸の回転により垂直方向に回動すると共に、前記駆動軸とのヒンジ接続により、閉位置にあるときに退避位置まで水平方向に回動できる、
通行遮断機であって、
アクチュエータにより駆動されて、前記駆動軸の軸方向又は該軸方向に対する交差方向に前進及び後退する往復アームを有し、前進する前記往復アームが、前記退避位置にある前記遮断竿を垂直方向回動状態へ押し戻す遮断竿復帰装置を備えた、通行遮断機である。
【発明の効果】
【0009】
上記提案に係る遮断竿復帰装置は、アクチュエータにより駆動される往復アームが前進することで、退避位置の遮断竿を垂直方向回動状態へ押し戻す装置である。アクチュエータとして、モータや、液圧又は気圧シリンダなどを利用することができるので、当該遮断竿復帰装置は、モータ等を制御するスイッチ操作によって、遮断竿の復帰動作を行わせることができる。すなわち、当該遮断竿復帰装置を備えた通行遮断機は、手作業によらずに、遮断竿を垂直方向回動状態に戻すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ETCレーンに設置された通行遮断機を背面及び上面から見て示す全体像の図。
【図2】図1の通行遮断機の内部を拡大して示した図。
【図3】遮断竿駆動装置の詳細を示す断面図。
【図4】図3中のA−A線断面で見た遮断竿駆動装置の断面図。
【図5】遮断竿復帰装置の第1実施形態を示した図。
【図6】遮断竿復帰装置の第2実施形態を示した図。
【図7】遮断竿駆動装置の取り付け構造の一例を説明する図。
【図8】遮断竿駆動装置の取り付け構造の他の例を説明する図。
【図9】退避位置の遮断竿を開位置へ復帰させる方式を説明する、遮断竿が退避位置へ回動したときの図。
【図10】退避位置の遮断竿を開位置へ復帰させる方式を説明する、駆動軸を遮断竿の開位置の角度へ回転させるときの図。
【図11】退避位置の遮断竿を開位置へ復帰させる方式を説明する、遮断竿を垂直方向回動状態へ押し戻すときの図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1A,Bに、ETCレーンに設置した通行遮断機の実施形態について、全体像を示している。また、図2A,Bには、図1中の右側に示す通行遮断機の内部構造について詳細を示している。なお、車両の通行方向に対して左右に1機ずつ設けられる通行遮断機は、その各要素は左右同じものであるが、遮断竿を回動させる方向に応じて各要素の配置が左右対称になっている。
【0012】
通行遮断機1は、全体を覆う箱形の筐体2内に、遮断竿駆動装置3、制御ユニット4、及び遮断竿復帰装置5を収納して構成されている。これら遮断竿駆動装置3、制御ユニット4、及び遮断竿復帰装置5は、地面に立設されたステンレス製の支柱1a上に固定されたステンレス製のベースフレーム1bに、それぞれ取り付けられている。遮断竿駆動装置3は後述のようにボルト止めされるが、制御ユニット4及び遮断竿復帰装置5は、ボルト止めに限らず溶接その他の固定方法により取り付けることができる。制御ユニット4は、遮断竿駆動装置3及び遮断竿復帰装置5のモータ制御を実行する電気制御ユニットである。
【0013】
ベースフレーム1bに取り付けられた遮断竿駆動装置3から駆動軸3aが筐体2の外へ突出しており、この駆動軸3aに、遮断竿6が着脱可能に取り付けられる。遮断竿6は、例えば紅白縞模様に塗装したウレタン等のカバーでアルミ製のパイプを覆って形成され、そのパイプの一端を、駆動軸3aに設けられた竿ホルダ3bに嵌入することで、装着される。竿ホルダ3bは、端部3cにおいて駆動軸3aとヒンジ接続される。すなわち、竿ホルダ3bのヒンジ接続端部3cは断面がT字形状を有し、当該ヒンジ接続端部3cが、駆動軸3aの先端に設けられた断面コ字形状を有するヒンジ部3dに挟み込まれ、そして、これらヒンジ接続端部3c及びヒンジ部3dを貫通するヒンジ軸3eにより、ヒンジ部3dにおいてヒンジ接続端部3cが軸支される。ヒンジ部3dは平面視が正方形としてあり、その正方形の1つの角にのみ面取り3fが施されているので、ヒンジ接続端部3cは、その面取り角3fを挟むほぼ90°の範囲で、ヒンジ軸3eを軸に回動することができる。
【0014】
このようにして、駆動軸3aの軸方向に対し交差方向へ伸長するように装着される遮断竿6は、駆動軸3aの回転に従って、直立状態の開位置(図1A中の点線)と横臥状態の閉位置(図1A中の実線)との間を、垂直方向に回動する。当該遮断竿6を垂直方向に回動させる遮断竿駆動装置3について、実施形態を図3及び図4に示している。
【0015】
本実施形態の遮断竿駆動装置3は、鉄製のハウジング3gに、ウォーム軸3h、緩衝手段3i、ウォームホイール3j、駆動軸3a、そしてモータ3kを組み付けて構成されている。ウォーム軸3hは、中間部3h−aとこれより小径の両端部3h−b,3h−cとを有し、その両端部3h−b,3h−cをボールベアリングの軸受3h−d,3h−eに保持することで、矢印X方向へ摺動可能にしてハウジング3g内に収められている。一方の端部3h−bは、軸受3h−dを貫通して反対側へ突出すると共に先端にプーリー3h−fが設けられており、当該プーリー3h−fが、モータ3kの出力軸3k−aに巻回したタイミングベルト3k−bにより駆動されることで、ウォーム軸3hが回転する。また、本実施形態の場合、この端部3h−bの先端面に六角穴3h−b’が凹設されており、当該六角穴3h−b’に嵌る六角レンチをもったハンドルにて、緊急時などには、手動でウォーム軸3hを回すこともできるようにしてある。
【0016】
螺旋状のウォーム3h−gがウォーム軸3hの中間部3h−aに形成されており、また、当該中間部3h−aと両端部3h−b,3h−cとの境界部分に段部3h−h,3h−iが形成されている。この段部3h−h,3h−iと軸受3h−d,3h−eとの間に、緩衝手段として、各4枚の皿バネを組み合わせてなる組合皿バネ3iが挟み込まれている。
【0017】
組合皿バネ3iは、端部3h−b,3h−cに緩挿され且つ段部3h−h,3h−iと軸受3h−d,3h−eとに当接して規制されているので、ウォーム軸3hが軸方向へ摺動するとこれに抵抗する弾発力を発生する。このような緩衝手段としては、ゴム製ワッシャやコイルバネなどを使用することも可能であるが、弾発力が比較的強く且つ弾発力を調整し易いということで、組合皿バネ3iとするのが適している。
【0018】
このウォーム軸3hのウォーム3h−gに噛み合うウォームホイール3jは、ほぼ90°の遮断竿6の回動角度に必要な範囲でできるだけ小型に形成してあり、120°程度の円弧に形成してある。そして、当該ウォームホイール3jの回転軸3j−aが延長されてハウジング3gから突出し、駆動軸3aが固定されている。ハウジング3gから突出した回転軸3j−aは断面四角形で、該回転軸3j−aが、相応する形状の凹部をもった駆動軸3aの端部に嵌入され、相互回転しないように両者が固定される。
【0019】
ウォーム軸3hを回転させるモータ3kは、本実施形態の場合、高出力を得やすいDCモータで、ハウジング3g内に内蔵した駆動回路3k−cにより回転及び制動制御される。また、ハウジング3g内にバッテリー3k−dを内蔵し、半導体回路制御により緊急時にはバッテリー3k−dで駆動するようになっている。モータ3kにはACモータを使用することも可能で、この場合には、DCモータに必要な駆動回路等を省き、低価格品とすることができる。
【0020】
以上の構成をもつ遮断竿駆動装置3では、閉位置にある遮断竿6を、モータ3kに通電して回動させ、開位置で停止させる際、あるいはこの逆に開位置から閉位置にする際、モータ3kにより制動をかけて停止させる。モータ3kの制動でウォーム3h−gが急停止すると、回動から停止する遮断竿6の慣性を駆動軸3aを介してウォームホイール3jが受けるので、当該慣性力によりウォーム軸3hを摺動させようとする力が働く。この慣性に対し、ウォーム軸3hの両端部3h−b,3h−cに設けられた組合皿バネ3iが弾発力を発生し吸収するので、遮断竿6が回転から停止するときの負荷に耐え得る構造となっている。したがって、コンパクト設計の可能なウォームギアの採用とあわせて小型軽量化を図ることができ、遮断機設置位置の自由度などが向上する。また、当該構成のウォームギア構造を採用していることにより、遮断竿6を持って手で駆動軸3aを回動させることは実質上できない構造となっている。
【0021】
図1B及び図2Bに示す通り、竿ホルダ3bが駆動軸3aにヒンジ接続されているので、竿ホルダ3bに装着された遮断竿6は、閉位置において車両が衝突した場合、水平方向にほぼ90°回動して退避位置へ退避することが可能となっている。この遮断竿6の退避位置への回動は、例えば前述の特許文献同様のセンサにて検知され、当該検知に応じ、本実施形態では筐体2に設けたランプ2aが点灯して、人員に報知される。報知を受けた人員は、筐体2に設けられたスイッチ2bを操作することで遮断竿復帰装置5を作動させ、遮断竿6を垂直方向回動状態へ戻すことができる。なお、ランプ2a及びスイッチ2bは、遠隔操作として、人員が通常待機しているブース内に設けることも可能である。
【0022】
この遮断竿復帰装置5の第1実施形態について、図1、図2及び図5を参照して説明する。図5は、図2中に示す矢示Y方向から見た遮断竿復帰装置5である。
第1実施形態の遮断竿復帰装置5は、遮断竿駆動装置3及び制御ユニット4を取り付けたベースフレーム1bの側壁部に固定することで、遮断竿駆動装置3に隣接して設置されている。具体的には、遮断竿復帰装置5は、L字形のフレーム5aの側壁部がベースフレーム1bにボルト止め又は溶接等で固定され、該フレーム5aに、アクチュエータとして、モータ5bと、モータ5bにより回転するピニオンギヤ5cと、ピニオンギヤ5cに従い前進及び後退するラックギヤ5dと、が取り付けられている。
【0023】
モータ5bは、頭部に減速器5eが設けられており、フレーム5aの底壁部下面に固定されて垂下している。その減速器5eの出力軸は、フレーム5aの底壁部を貫通して上面側へ突出し、ピニオンギヤ5cが固定される。このピニオンギヤ5cと噛み合うラックギヤ5dは、駆動軸3aの軸方向へ伸延した棒状で、一端部に往復アーム5fが接続されている。側面にギヤを切削形成した棒状のラックギヤ5dは、フレーム5aに載置固定された2つの軸受ブロック5gにより支持されて、駆動軸3aの軸方向に摺動する。そして、離間配置されている2つの軸受ブロック5gの間において、ピニオンギヤ5cがラックギヤ5dに噛み合っており、当該ピニオンギヤ5cの正逆回転に従ってラックギヤ5dが前進及び後退する。したがって、ラックギヤ5dに接続された往復アーム5fは、駆動軸3aの軸方向へ前進及び後退する(図2B参照)。
【0024】
本実施形態における2つの軸受ブロック5gは、それぞれ、上下並列にした2つの軸受(ブッシュ)を有しており、各下側の軸受を通してラックギヤ5dが支持される。一方、各上側の軸受を通して、ラックギヤ5dと平行に伸延するガイドロッド5hが支持されており、当該ガイドロッド5hの一端部も往復アーム5fに接続されている。したがって、ガイドロッド5hはラックギヤ5dと共に前進及び後退し、これにより、往復アーム5fの回転及びブレが防止される。
【0025】
ラックギヤ5d及びガイドロッド5hの他端部には、プレート5iが接続され、ラックギヤ5dが最前進したときに、フレーム5a上に設けられたリミットスイッチ5jに当接する。リミットスイッチ5jは、前後に2つ設けられており、ラックギヤ5dの後退時には、後退してきた往復アーム5fが前側のリミットスイッチ5jに当接することでモータ5bが停止する。反対に、ラックギヤ5dの前進時には、前進してきたプレート5iが後側のリミットスイッチ5jに当接することで、それまで正回転していたモータ5bが逆回転を開始する。
【0026】
ラックギヤ5dにより前進する往復アーム5fは、駆動軸3aのヒンジ部3dの横位置まで延長されており、竿ホルダ3bのヒンジ接続端部3cから斜め後ろへ突設された突片3lに係止し、当該突片3lを押し出すことにより、竿ホルダ3bを閉位置へ水平方向に回動させる。すなわち、往復アーム3fが前進することにより、退避位置にある遮断竿6が垂直方向回動状態へ押し戻される。往復アーム3fが最前進すると、遮断竿6が閉位置へ復帰すると共に、反対側のプレート5iがリミットスイッチ5jに当接するので、モータ5bが逆回転に転じ、後退動作が開始される。そして、最後退した往復アーム5fがリミットスイッチ5jに当接するとモータ5bが停止し、往復アーム5fは後退位置に保持される。以後、閉位置に復帰した遮断竿6は、遮断竿駆動装置3により、閉位置と開位置とに垂直方向へ回動する通常動作に復旧する。
【0027】
第1実施形態の遮断竿復帰装置5では、駆動軸3aの軸方向へ前進及び後退するようにラックギヤ5dが設けられ、往復アーム5fは、突片3lに係止して遮断竿6を押し戻している。これに限らず、フレーム5aをベースフレーム1bから離して別途立設するなどし、駆動軸3aの軸方向に対する交差方向(図2B参照)へラックギヤ5dが前進及び後退するように配置し、往復アーム5fが遮断竿6(竿ホルダ3b)を直接押す構造とすることも可能である。しかしながら、遮断竿復帰装置5を遮断竿駆動装置3に隣接させてコンパクトに設置するには、図2に図示した第1実施形態の配置が優れている。
【0028】
遮断竿復帰装置の第2実施形態について、第1実施形態を示した図5と同じ方向から見て図6に示す。第2実施形態の遮断竿復帰装置50は、第1実施形態と同じく、駆動軸3aの軸方向へ往復アーム51を前進及び後退させるものであるが、ラックアンドピニオンではなく、モータ52により回転するネジ軸53と、該ネジ軸53に螺合するナット筒54と、を含んで構成されるアクチュエータが使用されている。
【0029】
モータ52は、頭部に減速器55を有し、ベースフレーム1bの側壁部に固定されたフレーム56の後側フランジ部に、横臥状態にして固定されている。減速器55の出力軸はフランジ部を貫通しており、該貫通して突出した出力軸に駆動ギヤ57が固定される。駆動ギヤ57は、ネジ軸53の端部に設けられた従動ギヤ58と噛み合い、正逆回転させる。ネジ軸53は、軸受を通してフレーム56の後側フランジ部を貫通しており、該貫通して伸延するネジ軸53に、ナット筒54のナット59が螺合している。ナット筒54は、ネジ軸53を囲繞して同軸方向に伸延し、軸受を通してフレーム56の前側フランジ部を貫通している。該貫通したナット筒54の一端部に、往復アーム51が接続される。従動ギヤ58の回転に従いネジ軸53が回転すると、ネジ軸53に螺合しているナット59が、その正逆回転に従って前進及び後退するので、これに従いナット筒54全体が前進及び後退する。ナット筒54の前進及び後退で、ナット筒54の一端部に接続された往復アーム51が前進及び後退して、第1実施形態の遮断竿復帰装置5と同様に、遮断竿6を垂直方向回転状態に押し戻す。
【0030】
往復アーム51には、ナット筒54を中心にしてその上下に、2本のガイドロッド60が並行して接続されている。ガイドロッド60は、フレーム56の前側フランジ部をブッシュを介し貫通しており、前後に摺動できる。したがって、往復アーム51及びナット筒54は、ネジ軸53が回転しても回転せず、ネジ軸53の回転に伴って前進及び後退する。往復アーム51の最前進及び最後退を検知するリミットスイッチを第1実施形態同様に設けることもできるが、第2実施形態の場合は、モータ52の回転回数制御で往復アーム51の前進及び後退を制御している。また、ネジ軸53及びナット筒54は、フレーム56の前後側両フランジ部の間に固定したカバー筒61内に収納されており、当該駆動部分が外部に露出しないようになっている。
【0031】
この他にも、アクチュエータは、液圧(油圧)シリンダや気圧(エア)シリンダを使用して構成し、そのロッドに往復アームを接続する構造とすることもできる。ただし、メンテナンスや制御の容易性を考えると、モータ制御による上記第1実施形態及び第2実施形態のアクチュエータの方が優れている。
【0032】
図7A,Bに、遮断竿駆動装置3のベースフレーム1bへのボルト止め手法について、拡大して示している。図7に示しているのは、図2A中の左上のボルト1c部分の拡大図で、その他のボルト1cも同様の締め付け構造を有する。図2及び図8〜図10に図示したボルト1cは、駆動軸3aの周囲に4箇所(駆動軸3aの上側に2箇所及び下側に2箇所)設けられている。駆動軸3a中心から各ボルト1cの中心までの距離はほぼ等距離で、いずれかのボルト1cに負荷が片寄らないようにしてある。
【0033】
遮断竿駆動装置3は、ベースフレーム1bの直立した側壁部、つまり駆動軸3aの軸方向に対し交差する表面をもった取付面部1b−aにボルト止めされるが、この遮断竿駆動装置3を取り付ける六角ボルト1cは、取付面部1b−aの反対側から取付面部1b−aを貫通して、ハウジング3gのボルト穴3g−aに螺合して締め付けられる。ボルト1cを通す取付面部1b−aのボルト孔1dは、ボルト1cの外径、すなわち軸部1eの外径よりも大きい径で形成されており(いわゆるバカ孔)、軸部1eは、ボルト孔1d内で移動し得る。そして、ボルト1cの頭部と取付面部1b−aとの間、及び、取付面部1b−aとハウジング3gとの間には、それぞれゴム製で厚さ数ミリ〜数十ミリ(あるいは皿バネを利用可)の弾性ワッシャ1fが挟み込まれており、弾発力を発生している。すなわち、ボルト1cは、取付面部1b−aの両側に弾性ワッシャ1fを介在させて締結され、これら弾性ワッシャ1fにより取付面部1b−aを挟持するように締結される。
【0034】
なお、ボルト1cは、頭部付きの六角ボルトに限られるものではなく、スタッドボルトにナットを組み合わせた構成とするなど、弾性ワッシャ1fにより取付面部1b−aを挟持可能な各種のボルトを使用し得る。また、ボルト1cを取付面部1b−aの反対側から締め込む構造に限らず、例えば、遮断竿駆動装置3のハウジング3gにスタッドボルトを予め立設しておいて、これをボルト孔1dに通し、そして取付面部1b−aの反対側からナットを締め付ける構造とすることもできる。
【0035】
このように、軸部1eを通すボルト孔1dを、軸部1eが数ミリ程度移動し得る大きい径とした上で、弾性ワッシャ1fを取付面部1b−aの両側に介在させてボルト締めする構造により、遮断竿6が垂直方向に回転して閉位置で止まるとき及び開位置で止まるときの慣性力を吸収し、回動から停止するときに発生する遮断竿6の振動を抑制することができる。すなわち、遮断竿6が回動から急停止するときに、その慣性力は、駆動軸3aを通して遮断竿駆動装置3を回転させるように働く力となる。この力が作用したときに、本ボルト止め構造によれば、弾性ワッシャ1fを介在させて止めてあることから、遮断竿駆動装置3がその力の方向に、軸部1eに対するボルト孔1dの余裕分だけ移動(回転)することができる。これにより慣性力が吸収されるので、回動から停止するときに発生する遮断竿6の振動が抑制される。
【0036】
図8A,Bには、遮断竿駆動装置3のベースフレーム1bへのボルト止め手法に関する他の例を示している。図8に示してあるのは、図2A相当の図面で、ベースフレーム1b’及び遮断竿駆動装置3以外の要素は省略されている。
【0037】
図7の例と同じく、遮断竿駆動装置3は、ベースフレーム1b’において、駆動軸3aの軸方向に対し交差する表面をもった取付面部1b’−aにボルト止めされる。この場合、駆動軸3aは、取付面部1b’−aに開けられた軸孔1b’−bを通して突出する。遮断竿駆動装置3を取り付ける六角ボルト1c’は、取付面部1b’−aの反対側から取付面部1b’−aを貫通して、ハウジング3gのボルト穴3g−aに螺合して締め付けられる(図7B参照)。ボルト1c’を通すために設けられた取付面部1b’−aのボルト孔1d’は、本例の場合、駆動軸3aの軸心を中心とした円周方向に沿う形状の長孔として形成されている。そして、該ボルト孔1d’にベアリング1gが保持されて、ボルト孔1d’に沿って摺動可能になっている。
【0038】
ボルト1c’の軸部1e’は、ベアリング1gを通して取付面部1b’−aを貫通している(図8A中の拡大断面図参照)。このボルト1c’の頭部とベアリング1gとの間には、スプリングワッシャ1h及びワッシャ1iが挟み込まれており、また、反対側のハウジング3gとベアリング1gとの間には、ワッシャ1iが挟み込まれている。これらワッシャ類1h,1iの介在により、ボルト1c’及びベアリング1gが確実に固定される。さらに、ワッシャ1iと取付面部1b’−aとの間にカラー1jが挟持されており、取付面部1b’−aよりもベアリング1gが厚い場合に、遮断竿駆動装置3の取り付けががたつかないようにしてある。カラー1jは、ベアリング1gを囲繞する樹脂製のリングである。
【0039】
このようにして、ベアリング1gを通しボルト1c’が取付面部1b’−aを貫通して締結されているので、遮断材駆動装置3は、ベアリング1gがボルト孔1d’内を摺動可能な分、回転動作することが可能に取り付けられる。この遮断竿駆動装置3の回転動作を緩衝するために、緩衝器1kが2本設けられている。2本の緩衝器1kは、ベースプレート1b’の底面と遮断竿駆動装置3との間に、駆動軸3aを挟んでほぼ対称位置に設置される。したがって、図8において、遮断竿駆動装置3が時計回りに回転動作するとき及び反時計回りに回転動作するときの両方で緩衝が行われる。緩衝器1kとしては、コイルスプリング内蔵式、液圧(油圧)式、気圧(エア)式の各種緩衝器を使用可能である。緩衝器1kの設置位置は、遮断竿駆動装置3の回転動作に対する緩衝が実行されれば、側部など底部以外の部位に設置することもできる。
【0040】
なお、上述同様にボルト1c’は、頭部付きの六角ボルトに限られるものではなく、スタッドボルトにナットを組み合わせた構成とするなど、ベアリング1gを通して締結可能な各種のボルトを使用し得る。また、ボルト1c’を取付面部1b’−aの反対側から締め込む構造に限らず、例えば、遮断竿駆動装置3のハウジング3gにスタッドボルトを予め立設しておいて、これをベアリング1gに通し、そして取付面部1b’−aの反対側からナットを締め付ける構造とすることもできる。
【0041】
図8の例に係るボルト止め構造は、長孔としたボルト孔1d’にベアリング1gを摺動可能に保持し、ベアリング1gを介してボルト1c’を通す構造により、遮断竿駆動装置3を、取付面部1b’−aに対して回転動作可能に取り付けている。したがって、遮断竿6が停止するときの慣性力に応じて、ボルト孔1d’内をベアリング1gが摺動可能な距離だけ遮断竿駆動装置3が回転動作することが可能であり、且つ、当該回転動作が緩衝器1kにより緩衝される。この遮断竿駆動装置3の回転動作及び緩衝により、遮断竿6が開位置又は閉位置で停止するときの慣性力は吸収され、遮断竿6の振動が抑制される。
【0042】
以上の実施形態の通行遮断機1は、閉位置から水平方向に回動して退避位置になった遮断竿6を、遮断竿復帰装置5(50)によって、閉位置(横臥状態)へ復帰させる、つまり水平方向に回動させつつ押し戻す仕組みとなっている。しかし、遮断竿6を退避位置から閉位置へ復帰させる場合(つまり水平方向に回動させて戻す場合)、通行車両から見ると、遮断竿6が車両の方に迫って閉じてくるイメージとなり、好ましくない。これを解消する復帰方式とした通行遮断機1を、図8〜図10に示し説明する。
【0043】
図8〜図10に示しているのは、退避位置の遮断竿6を開位置へ復帰させる方式とした通行遮断機1である。すなわち、退避位置の遮断竿6は、遮断竿復帰装置5によって、上方へ回動しつつ押し戻される。図8A、図9A、図10Aは図2A相当、図8B、図9B、図10Bは図2B相当である。
【0044】
通行遮断機1において、筐体2、遮断竿駆動装置3、制御ユニット4、及び遮断竿復帰装置5は、図2に示す実施形態のものと同じものである。ただし、遮断竿復帰装置5のベースフレーム1bへの取り付け位置と、その往復アーム5f’の形状が若干相異している。すなわち、遮断竿復帰装置5のフレーム5aは、図2の場合よりも下方へ取り付けられており、これに伴い往復アーム5f’が、駆動軸3aのヒンジ部3dの下位置まで延長されている。なお、本方式の場合の遮断竿復帰装置5の取り付け位置は、ベースフレーム1bの底面、すなわち遮断竿駆動装置3の下でもよい。
【0045】
通行車両が衝突するなどにより遮断竿6が閉位置から水平方向へ回動して退避位置になったとき(図8)、当該回動が前述のセンサにより検知され、ランプ2aが点灯する。これに応じてスイッチ2bが操作されると、まず遮断竿駆動装置3が、駆動軸3aを、遮断竿6の開位置の角度に回転させる(図9)。すなわち、図9に示す場合、竿ホルダ3bを開位置である上方へ向け戻せるように、遮断竿駆動装置3は、駆動軸3aを90°時計回りに回転させて、ヒンジ接続端部3c及びヒンジ部3dが上向きに曲がる角度にする。
【0046】
この駆動軸3aの回転によって突片3lが横向きから下向きになり、往復アーム5f’と係止可能な位置にくる。したがって、駆動軸3aが遮断竿6の開位置の角度に回転した後、遮断竿復帰装置5のモータ5bが正回転して往復アーム5f’が前進すると、該前進する往復アーム5f’は突片3lに係止し、当該突片3lを押し出す(図10)。これに従って竿ホルダ3bが開位置へ向け上方へ回動するので、往復アーム3fが前進することにより、退避位置にある遮断竿6が垂直方向回動状態へ押し戻され、開位置へ復帰する。この他の各部動作は、上記実施形態と同じである。
【0047】
当該方式によれば、遮断竿6は、退避位置から上方へ回動して開位置へ復帰した後に、通常の開閉動作の垂直方向回動により閉位置へ閉じることになる。したがって、遮断竿6が車両の方に迫って閉じてくるイメージとはならない。
【符号の説明】
【0048】
1 通行遮断機
2 筐体
3 遮断竿駆動装置
4 制御ユニット
5 遮断竿復帰装置
5a フレーム
5b モータ
5c ピニオンギヤ
5d ラックギヤ
5e 減速器
5f,5f’ 往復アーム
5g 軸受ブロック
5h ガイドロッド
5i プレート
5j リミットスイッチ
6 遮断竿
50 遮断竿復帰装置
51 往復アーム
52 モータ
53 ネジ軸
54 ナット筒
55 減速器
56 フレーム
57 駆動ギヤ
58 従動ギヤ
59 ナット
60 ガイドロッド
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等の通行を遮断する通行遮断機に関し、特に、垂直方向に遮断竿を回動させて開閉を行うようにした通行遮断機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば有料道路の料金所に設置されているETC(Electronic Toll Collection)レーンには、通行車両の速度制限を行うために通行遮断機が設けられる。この種の通行遮断機は、駆動軸に片持ちした、つまり駆動軸の軸方向に対し交差方向へ伸長するように駆動軸に接続した遮断竿が、駆動軸の回転に従って垂直方向に回動することで、開閉を行う構成とされる。且つ、ETCレーンなどに設置される通行遮断機の場合、車道に突き出した横臥状態の閉位置にある遮断竿に速度超過の車両が接触することを想定して、遮断竿及び車両双方の損傷防止のために、接触した車両の勢いで遮断竿が水平方向に回動できるように、駆動軸に対して遮断竿がヒンジ接続されている(特許文献1〜3参照)。
【0003】
特許文献1〜3に記載されている通行遮断機は、閉位置にある遮断竿が車両の接触により退避位置まで水平方向回動した場合、その退避位置に遮断竿を留める仕組みを備えている(特許文献1[0038]〜[0039][0043]・特許文献2[0033]〜[0035]・特許文献3[0020])。これは、退避位置から跳ね戻る遮断竿が後続車両に衝突する事故を防ぐための仕組みで、現状のETCレーンに設けられる通行遮断機には必須の構造である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−043729号公報
【特許文献2】特開2001−107327号公報
【特許文献3】特開2002−146735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記通行遮断機は、遮断竿の水平方向回動を検知するセンサを備え、遮断竿が退避位置まで回動した場合には該センサで検知し、ランプやブザーなどでブース内等の人員に報知している(特許文献1[0040][0046]・特許文献2[0027])。したがって、この報知を認知した人員により、退避位置にあって駆動軸と一直線状の状態になっている遮断竿は、手作業で垂直方向回動状態に押し戻され(ヒンジ軸で折り曲げられ)、閉位置へ復帰することになる。
【0006】
しかし、退避位置にある遮断竿を垂直方向回動状態に押し戻す手作業に伴って人員が車道に入ってしまう場合があり、できれば手押しでの閉位置復帰作業は避けたいとの要望が出ている。当該事情に鑑みると、遮断竿が退避位置になったときの報知に応じて人員がスイッチ操作するなどにより、遮断竿を動作させて垂直方向回動状態に戻すことのできる遮断竿復帰装置の提供が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に対して提案する遮断竿復帰装置は、
駆動軸の軸方向に対し交差方向へ伸長して前記駆動軸の回転により垂直方向に回動する遮断竿を有し、閉位置にある前記遮断竿が退避位置まで水平方向に回動できるように前記遮断竿が前記駆動軸にヒンジ接続されている通行遮断機に設けられる、
遮断竿復帰装置であって、
アクチュエータにより駆動されて、前記駆動軸の軸方向又は該軸方向に対する交差方向に前進及び後退する往復アームを有し、
前進する前記往復アームが、前記退避位置にある前記遮断竿を垂直方向回動状態へ押し戻す、遮断竿復帰装置である。
【0008】
また、上記課題に対して提案する通行遮断機は、
遮断竿駆動装置と、該遮断竿駆動装置の駆動軸にヒンジ接続された遮断竿と、を含んで構成され、
前記遮断竿が、前記駆動軸の軸方向に対し交差方向へ伸長して前記駆動軸の回転により垂直方向に回動すると共に、前記駆動軸とのヒンジ接続により、閉位置にあるときに退避位置まで水平方向に回動できる、
通行遮断機であって、
アクチュエータにより駆動されて、前記駆動軸の軸方向又は該軸方向に対する交差方向に前進及び後退する往復アームを有し、前進する前記往復アームが、前記退避位置にある前記遮断竿を垂直方向回動状態へ押し戻す遮断竿復帰装置を備えた、通行遮断機である。
【発明の効果】
【0009】
上記提案に係る遮断竿復帰装置は、アクチュエータにより駆動される往復アームが前進することで、退避位置の遮断竿を垂直方向回動状態へ押し戻す装置である。アクチュエータとして、モータや、液圧又は気圧シリンダなどを利用することができるので、当該遮断竿復帰装置は、モータ等を制御するスイッチ操作によって、遮断竿の復帰動作を行わせることができる。すなわち、当該遮断竿復帰装置を備えた通行遮断機は、手作業によらずに、遮断竿を垂直方向回動状態に戻すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ETCレーンに設置された通行遮断機を背面及び上面から見て示す全体像の図。
【図2】図1の通行遮断機の内部を拡大して示した図。
【図3】遮断竿駆動装置の詳細を示す断面図。
【図4】図3中のA−A線断面で見た遮断竿駆動装置の断面図。
【図5】遮断竿復帰装置の第1実施形態を示した図。
【図6】遮断竿復帰装置の第2実施形態を示した図。
【図7】遮断竿駆動装置の取り付け構造の一例を説明する図。
【図8】遮断竿駆動装置の取り付け構造の他の例を説明する図。
【図9】退避位置の遮断竿を開位置へ復帰させる方式を説明する、遮断竿が退避位置へ回動したときの図。
【図10】退避位置の遮断竿を開位置へ復帰させる方式を説明する、駆動軸を遮断竿の開位置の角度へ回転させるときの図。
【図11】退避位置の遮断竿を開位置へ復帰させる方式を説明する、遮断竿を垂直方向回動状態へ押し戻すときの図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1A,Bに、ETCレーンに設置した通行遮断機の実施形態について、全体像を示している。また、図2A,Bには、図1中の右側に示す通行遮断機の内部構造について詳細を示している。なお、車両の通行方向に対して左右に1機ずつ設けられる通行遮断機は、その各要素は左右同じものであるが、遮断竿を回動させる方向に応じて各要素の配置が左右対称になっている。
【0012】
通行遮断機1は、全体を覆う箱形の筐体2内に、遮断竿駆動装置3、制御ユニット4、及び遮断竿復帰装置5を収納して構成されている。これら遮断竿駆動装置3、制御ユニット4、及び遮断竿復帰装置5は、地面に立設されたステンレス製の支柱1a上に固定されたステンレス製のベースフレーム1bに、それぞれ取り付けられている。遮断竿駆動装置3は後述のようにボルト止めされるが、制御ユニット4及び遮断竿復帰装置5は、ボルト止めに限らず溶接その他の固定方法により取り付けることができる。制御ユニット4は、遮断竿駆動装置3及び遮断竿復帰装置5のモータ制御を実行する電気制御ユニットである。
【0013】
ベースフレーム1bに取り付けられた遮断竿駆動装置3から駆動軸3aが筐体2の外へ突出しており、この駆動軸3aに、遮断竿6が着脱可能に取り付けられる。遮断竿6は、例えば紅白縞模様に塗装したウレタン等のカバーでアルミ製のパイプを覆って形成され、そのパイプの一端を、駆動軸3aに設けられた竿ホルダ3bに嵌入することで、装着される。竿ホルダ3bは、端部3cにおいて駆動軸3aとヒンジ接続される。すなわち、竿ホルダ3bのヒンジ接続端部3cは断面がT字形状を有し、当該ヒンジ接続端部3cが、駆動軸3aの先端に設けられた断面コ字形状を有するヒンジ部3dに挟み込まれ、そして、これらヒンジ接続端部3c及びヒンジ部3dを貫通するヒンジ軸3eにより、ヒンジ部3dにおいてヒンジ接続端部3cが軸支される。ヒンジ部3dは平面視が正方形としてあり、その正方形の1つの角にのみ面取り3fが施されているので、ヒンジ接続端部3cは、その面取り角3fを挟むほぼ90°の範囲で、ヒンジ軸3eを軸に回動することができる。
【0014】
このようにして、駆動軸3aの軸方向に対し交差方向へ伸長するように装着される遮断竿6は、駆動軸3aの回転に従って、直立状態の開位置(図1A中の点線)と横臥状態の閉位置(図1A中の実線)との間を、垂直方向に回動する。当該遮断竿6を垂直方向に回動させる遮断竿駆動装置3について、実施形態を図3及び図4に示している。
【0015】
本実施形態の遮断竿駆動装置3は、鉄製のハウジング3gに、ウォーム軸3h、緩衝手段3i、ウォームホイール3j、駆動軸3a、そしてモータ3kを組み付けて構成されている。ウォーム軸3hは、中間部3h−aとこれより小径の両端部3h−b,3h−cとを有し、その両端部3h−b,3h−cをボールベアリングの軸受3h−d,3h−eに保持することで、矢印X方向へ摺動可能にしてハウジング3g内に収められている。一方の端部3h−bは、軸受3h−dを貫通して反対側へ突出すると共に先端にプーリー3h−fが設けられており、当該プーリー3h−fが、モータ3kの出力軸3k−aに巻回したタイミングベルト3k−bにより駆動されることで、ウォーム軸3hが回転する。また、本実施形態の場合、この端部3h−bの先端面に六角穴3h−b’が凹設されており、当該六角穴3h−b’に嵌る六角レンチをもったハンドルにて、緊急時などには、手動でウォーム軸3hを回すこともできるようにしてある。
【0016】
螺旋状のウォーム3h−gがウォーム軸3hの中間部3h−aに形成されており、また、当該中間部3h−aと両端部3h−b,3h−cとの境界部分に段部3h−h,3h−iが形成されている。この段部3h−h,3h−iと軸受3h−d,3h−eとの間に、緩衝手段として、各4枚の皿バネを組み合わせてなる組合皿バネ3iが挟み込まれている。
【0017】
組合皿バネ3iは、端部3h−b,3h−cに緩挿され且つ段部3h−h,3h−iと軸受3h−d,3h−eとに当接して規制されているので、ウォーム軸3hが軸方向へ摺動するとこれに抵抗する弾発力を発生する。このような緩衝手段としては、ゴム製ワッシャやコイルバネなどを使用することも可能であるが、弾発力が比較的強く且つ弾発力を調整し易いということで、組合皿バネ3iとするのが適している。
【0018】
このウォーム軸3hのウォーム3h−gに噛み合うウォームホイール3jは、ほぼ90°の遮断竿6の回動角度に必要な範囲でできるだけ小型に形成してあり、120°程度の円弧に形成してある。そして、当該ウォームホイール3jの回転軸3j−aが延長されてハウジング3gから突出し、駆動軸3aが固定されている。ハウジング3gから突出した回転軸3j−aは断面四角形で、該回転軸3j−aが、相応する形状の凹部をもった駆動軸3aの端部に嵌入され、相互回転しないように両者が固定される。
【0019】
ウォーム軸3hを回転させるモータ3kは、本実施形態の場合、高出力を得やすいDCモータで、ハウジング3g内に内蔵した駆動回路3k−cにより回転及び制動制御される。また、ハウジング3g内にバッテリー3k−dを内蔵し、半導体回路制御により緊急時にはバッテリー3k−dで駆動するようになっている。モータ3kにはACモータを使用することも可能で、この場合には、DCモータに必要な駆動回路等を省き、低価格品とすることができる。
【0020】
以上の構成をもつ遮断竿駆動装置3では、閉位置にある遮断竿6を、モータ3kに通電して回動させ、開位置で停止させる際、あるいはこの逆に開位置から閉位置にする際、モータ3kにより制動をかけて停止させる。モータ3kの制動でウォーム3h−gが急停止すると、回動から停止する遮断竿6の慣性を駆動軸3aを介してウォームホイール3jが受けるので、当該慣性力によりウォーム軸3hを摺動させようとする力が働く。この慣性に対し、ウォーム軸3hの両端部3h−b,3h−cに設けられた組合皿バネ3iが弾発力を発生し吸収するので、遮断竿6が回転から停止するときの負荷に耐え得る構造となっている。したがって、コンパクト設計の可能なウォームギアの採用とあわせて小型軽量化を図ることができ、遮断機設置位置の自由度などが向上する。また、当該構成のウォームギア構造を採用していることにより、遮断竿6を持って手で駆動軸3aを回動させることは実質上できない構造となっている。
【0021】
図1B及び図2Bに示す通り、竿ホルダ3bが駆動軸3aにヒンジ接続されているので、竿ホルダ3bに装着された遮断竿6は、閉位置において車両が衝突した場合、水平方向にほぼ90°回動して退避位置へ退避することが可能となっている。この遮断竿6の退避位置への回動は、例えば前述の特許文献同様のセンサにて検知され、当該検知に応じ、本実施形態では筐体2に設けたランプ2aが点灯して、人員に報知される。報知を受けた人員は、筐体2に設けられたスイッチ2bを操作することで遮断竿復帰装置5を作動させ、遮断竿6を垂直方向回動状態へ戻すことができる。なお、ランプ2a及びスイッチ2bは、遠隔操作として、人員が通常待機しているブース内に設けることも可能である。
【0022】
この遮断竿復帰装置5の第1実施形態について、図1、図2及び図5を参照して説明する。図5は、図2中に示す矢示Y方向から見た遮断竿復帰装置5である。
第1実施形態の遮断竿復帰装置5は、遮断竿駆動装置3及び制御ユニット4を取り付けたベースフレーム1bの側壁部に固定することで、遮断竿駆動装置3に隣接して設置されている。具体的には、遮断竿復帰装置5は、L字形のフレーム5aの側壁部がベースフレーム1bにボルト止め又は溶接等で固定され、該フレーム5aに、アクチュエータとして、モータ5bと、モータ5bにより回転するピニオンギヤ5cと、ピニオンギヤ5cに従い前進及び後退するラックギヤ5dと、が取り付けられている。
【0023】
モータ5bは、頭部に減速器5eが設けられており、フレーム5aの底壁部下面に固定されて垂下している。その減速器5eの出力軸は、フレーム5aの底壁部を貫通して上面側へ突出し、ピニオンギヤ5cが固定される。このピニオンギヤ5cと噛み合うラックギヤ5dは、駆動軸3aの軸方向へ伸延した棒状で、一端部に往復アーム5fが接続されている。側面にギヤを切削形成した棒状のラックギヤ5dは、フレーム5aに載置固定された2つの軸受ブロック5gにより支持されて、駆動軸3aの軸方向に摺動する。そして、離間配置されている2つの軸受ブロック5gの間において、ピニオンギヤ5cがラックギヤ5dに噛み合っており、当該ピニオンギヤ5cの正逆回転に従ってラックギヤ5dが前進及び後退する。したがって、ラックギヤ5dに接続された往復アーム5fは、駆動軸3aの軸方向へ前進及び後退する(図2B参照)。
【0024】
本実施形態における2つの軸受ブロック5gは、それぞれ、上下並列にした2つの軸受(ブッシュ)を有しており、各下側の軸受を通してラックギヤ5dが支持される。一方、各上側の軸受を通して、ラックギヤ5dと平行に伸延するガイドロッド5hが支持されており、当該ガイドロッド5hの一端部も往復アーム5fに接続されている。したがって、ガイドロッド5hはラックギヤ5dと共に前進及び後退し、これにより、往復アーム5fの回転及びブレが防止される。
【0025】
ラックギヤ5d及びガイドロッド5hの他端部には、プレート5iが接続され、ラックギヤ5dが最前進したときに、フレーム5a上に設けられたリミットスイッチ5jに当接する。リミットスイッチ5jは、前後に2つ設けられており、ラックギヤ5dの後退時には、後退してきた往復アーム5fが前側のリミットスイッチ5jに当接することでモータ5bが停止する。反対に、ラックギヤ5dの前進時には、前進してきたプレート5iが後側のリミットスイッチ5jに当接することで、それまで正回転していたモータ5bが逆回転を開始する。
【0026】
ラックギヤ5dにより前進する往復アーム5fは、駆動軸3aのヒンジ部3dの横位置まで延長されており、竿ホルダ3bのヒンジ接続端部3cから斜め後ろへ突設された突片3lに係止し、当該突片3lを押し出すことにより、竿ホルダ3bを閉位置へ水平方向に回動させる。すなわち、往復アーム3fが前進することにより、退避位置にある遮断竿6が垂直方向回動状態へ押し戻される。往復アーム3fが最前進すると、遮断竿6が閉位置へ復帰すると共に、反対側のプレート5iがリミットスイッチ5jに当接するので、モータ5bが逆回転に転じ、後退動作が開始される。そして、最後退した往復アーム5fがリミットスイッチ5jに当接するとモータ5bが停止し、往復アーム5fは後退位置に保持される。以後、閉位置に復帰した遮断竿6は、遮断竿駆動装置3により、閉位置と開位置とに垂直方向へ回動する通常動作に復旧する。
【0027】
第1実施形態の遮断竿復帰装置5では、駆動軸3aの軸方向へ前進及び後退するようにラックギヤ5dが設けられ、往復アーム5fは、突片3lに係止して遮断竿6を押し戻している。これに限らず、フレーム5aをベースフレーム1bから離して別途立設するなどし、駆動軸3aの軸方向に対する交差方向(図2B参照)へラックギヤ5dが前進及び後退するように配置し、往復アーム5fが遮断竿6(竿ホルダ3b)を直接押す構造とすることも可能である。しかしながら、遮断竿復帰装置5を遮断竿駆動装置3に隣接させてコンパクトに設置するには、図2に図示した第1実施形態の配置が優れている。
【0028】
遮断竿復帰装置の第2実施形態について、第1実施形態を示した図5と同じ方向から見て図6に示す。第2実施形態の遮断竿復帰装置50は、第1実施形態と同じく、駆動軸3aの軸方向へ往復アーム51を前進及び後退させるものであるが、ラックアンドピニオンではなく、モータ52により回転するネジ軸53と、該ネジ軸53に螺合するナット筒54と、を含んで構成されるアクチュエータが使用されている。
【0029】
モータ52は、頭部に減速器55を有し、ベースフレーム1bの側壁部に固定されたフレーム56の後側フランジ部に、横臥状態にして固定されている。減速器55の出力軸はフランジ部を貫通しており、該貫通して突出した出力軸に駆動ギヤ57が固定される。駆動ギヤ57は、ネジ軸53の端部に設けられた従動ギヤ58と噛み合い、正逆回転させる。ネジ軸53は、軸受を通してフレーム56の後側フランジ部を貫通しており、該貫通して伸延するネジ軸53に、ナット筒54のナット59が螺合している。ナット筒54は、ネジ軸53を囲繞して同軸方向に伸延し、軸受を通してフレーム56の前側フランジ部を貫通している。該貫通したナット筒54の一端部に、往復アーム51が接続される。従動ギヤ58の回転に従いネジ軸53が回転すると、ネジ軸53に螺合しているナット59が、その正逆回転に従って前進及び後退するので、これに従いナット筒54全体が前進及び後退する。ナット筒54の前進及び後退で、ナット筒54の一端部に接続された往復アーム51が前進及び後退して、第1実施形態の遮断竿復帰装置5と同様に、遮断竿6を垂直方向回転状態に押し戻す。
【0030】
往復アーム51には、ナット筒54を中心にしてその上下に、2本のガイドロッド60が並行して接続されている。ガイドロッド60は、フレーム56の前側フランジ部をブッシュを介し貫通しており、前後に摺動できる。したがって、往復アーム51及びナット筒54は、ネジ軸53が回転しても回転せず、ネジ軸53の回転に伴って前進及び後退する。往復アーム51の最前進及び最後退を検知するリミットスイッチを第1実施形態同様に設けることもできるが、第2実施形態の場合は、モータ52の回転回数制御で往復アーム51の前進及び後退を制御している。また、ネジ軸53及びナット筒54は、フレーム56の前後側両フランジ部の間に固定したカバー筒61内に収納されており、当該駆動部分が外部に露出しないようになっている。
【0031】
この他にも、アクチュエータは、液圧(油圧)シリンダや気圧(エア)シリンダを使用して構成し、そのロッドに往復アームを接続する構造とすることもできる。ただし、メンテナンスや制御の容易性を考えると、モータ制御による上記第1実施形態及び第2実施形態のアクチュエータの方が優れている。
【0032】
図7A,Bに、遮断竿駆動装置3のベースフレーム1bへのボルト止め手法について、拡大して示している。図7に示しているのは、図2A中の左上のボルト1c部分の拡大図で、その他のボルト1cも同様の締め付け構造を有する。図2及び図8〜図10に図示したボルト1cは、駆動軸3aの周囲に4箇所(駆動軸3aの上側に2箇所及び下側に2箇所)設けられている。駆動軸3a中心から各ボルト1cの中心までの距離はほぼ等距離で、いずれかのボルト1cに負荷が片寄らないようにしてある。
【0033】
遮断竿駆動装置3は、ベースフレーム1bの直立した側壁部、つまり駆動軸3aの軸方向に対し交差する表面をもった取付面部1b−aにボルト止めされるが、この遮断竿駆動装置3を取り付ける六角ボルト1cは、取付面部1b−aの反対側から取付面部1b−aを貫通して、ハウジング3gのボルト穴3g−aに螺合して締め付けられる。ボルト1cを通す取付面部1b−aのボルト孔1dは、ボルト1cの外径、すなわち軸部1eの外径よりも大きい径で形成されており(いわゆるバカ孔)、軸部1eは、ボルト孔1d内で移動し得る。そして、ボルト1cの頭部と取付面部1b−aとの間、及び、取付面部1b−aとハウジング3gとの間には、それぞれゴム製で厚さ数ミリ〜数十ミリ(あるいは皿バネを利用可)の弾性ワッシャ1fが挟み込まれており、弾発力を発生している。すなわち、ボルト1cは、取付面部1b−aの両側に弾性ワッシャ1fを介在させて締結され、これら弾性ワッシャ1fにより取付面部1b−aを挟持するように締結される。
【0034】
なお、ボルト1cは、頭部付きの六角ボルトに限られるものではなく、スタッドボルトにナットを組み合わせた構成とするなど、弾性ワッシャ1fにより取付面部1b−aを挟持可能な各種のボルトを使用し得る。また、ボルト1cを取付面部1b−aの反対側から締め込む構造に限らず、例えば、遮断竿駆動装置3のハウジング3gにスタッドボルトを予め立設しておいて、これをボルト孔1dに通し、そして取付面部1b−aの反対側からナットを締め付ける構造とすることもできる。
【0035】
このように、軸部1eを通すボルト孔1dを、軸部1eが数ミリ程度移動し得る大きい径とした上で、弾性ワッシャ1fを取付面部1b−aの両側に介在させてボルト締めする構造により、遮断竿6が垂直方向に回転して閉位置で止まるとき及び開位置で止まるときの慣性力を吸収し、回動から停止するときに発生する遮断竿6の振動を抑制することができる。すなわち、遮断竿6が回動から急停止するときに、その慣性力は、駆動軸3aを通して遮断竿駆動装置3を回転させるように働く力となる。この力が作用したときに、本ボルト止め構造によれば、弾性ワッシャ1fを介在させて止めてあることから、遮断竿駆動装置3がその力の方向に、軸部1eに対するボルト孔1dの余裕分だけ移動(回転)することができる。これにより慣性力が吸収されるので、回動から停止するときに発生する遮断竿6の振動が抑制される。
【0036】
図8A,Bには、遮断竿駆動装置3のベースフレーム1bへのボルト止め手法に関する他の例を示している。図8に示してあるのは、図2A相当の図面で、ベースフレーム1b’及び遮断竿駆動装置3以外の要素は省略されている。
【0037】
図7の例と同じく、遮断竿駆動装置3は、ベースフレーム1b’において、駆動軸3aの軸方向に対し交差する表面をもった取付面部1b’−aにボルト止めされる。この場合、駆動軸3aは、取付面部1b’−aに開けられた軸孔1b’−bを通して突出する。遮断竿駆動装置3を取り付ける六角ボルト1c’は、取付面部1b’−aの反対側から取付面部1b’−aを貫通して、ハウジング3gのボルト穴3g−aに螺合して締め付けられる(図7B参照)。ボルト1c’を通すために設けられた取付面部1b’−aのボルト孔1d’は、本例の場合、駆動軸3aの軸心を中心とした円周方向に沿う形状の長孔として形成されている。そして、該ボルト孔1d’にベアリング1gが保持されて、ボルト孔1d’に沿って摺動可能になっている。
【0038】
ボルト1c’の軸部1e’は、ベアリング1gを通して取付面部1b’−aを貫通している(図8A中の拡大断面図参照)。このボルト1c’の頭部とベアリング1gとの間には、スプリングワッシャ1h及びワッシャ1iが挟み込まれており、また、反対側のハウジング3gとベアリング1gとの間には、ワッシャ1iが挟み込まれている。これらワッシャ類1h,1iの介在により、ボルト1c’及びベアリング1gが確実に固定される。さらに、ワッシャ1iと取付面部1b’−aとの間にカラー1jが挟持されており、取付面部1b’−aよりもベアリング1gが厚い場合に、遮断竿駆動装置3の取り付けががたつかないようにしてある。カラー1jは、ベアリング1gを囲繞する樹脂製のリングである。
【0039】
このようにして、ベアリング1gを通しボルト1c’が取付面部1b’−aを貫通して締結されているので、遮断材駆動装置3は、ベアリング1gがボルト孔1d’内を摺動可能な分、回転動作することが可能に取り付けられる。この遮断竿駆動装置3の回転動作を緩衝するために、緩衝器1kが2本設けられている。2本の緩衝器1kは、ベースプレート1b’の底面と遮断竿駆動装置3との間に、駆動軸3aを挟んでほぼ対称位置に設置される。したがって、図8において、遮断竿駆動装置3が時計回りに回転動作するとき及び反時計回りに回転動作するときの両方で緩衝が行われる。緩衝器1kとしては、コイルスプリング内蔵式、液圧(油圧)式、気圧(エア)式の各種緩衝器を使用可能である。緩衝器1kの設置位置は、遮断竿駆動装置3の回転動作に対する緩衝が実行されれば、側部など底部以外の部位に設置することもできる。
【0040】
なお、上述同様にボルト1c’は、頭部付きの六角ボルトに限られるものではなく、スタッドボルトにナットを組み合わせた構成とするなど、ベアリング1gを通して締結可能な各種のボルトを使用し得る。また、ボルト1c’を取付面部1b’−aの反対側から締め込む構造に限らず、例えば、遮断竿駆動装置3のハウジング3gにスタッドボルトを予め立設しておいて、これをベアリング1gに通し、そして取付面部1b’−aの反対側からナットを締め付ける構造とすることもできる。
【0041】
図8の例に係るボルト止め構造は、長孔としたボルト孔1d’にベアリング1gを摺動可能に保持し、ベアリング1gを介してボルト1c’を通す構造により、遮断竿駆動装置3を、取付面部1b’−aに対して回転動作可能に取り付けている。したがって、遮断竿6が停止するときの慣性力に応じて、ボルト孔1d’内をベアリング1gが摺動可能な距離だけ遮断竿駆動装置3が回転動作することが可能であり、且つ、当該回転動作が緩衝器1kにより緩衝される。この遮断竿駆動装置3の回転動作及び緩衝により、遮断竿6が開位置又は閉位置で停止するときの慣性力は吸収され、遮断竿6の振動が抑制される。
【0042】
以上の実施形態の通行遮断機1は、閉位置から水平方向に回動して退避位置になった遮断竿6を、遮断竿復帰装置5(50)によって、閉位置(横臥状態)へ復帰させる、つまり水平方向に回動させつつ押し戻す仕組みとなっている。しかし、遮断竿6を退避位置から閉位置へ復帰させる場合(つまり水平方向に回動させて戻す場合)、通行車両から見ると、遮断竿6が車両の方に迫って閉じてくるイメージとなり、好ましくない。これを解消する復帰方式とした通行遮断機1を、図8〜図10に示し説明する。
【0043】
図8〜図10に示しているのは、退避位置の遮断竿6を開位置へ復帰させる方式とした通行遮断機1である。すなわち、退避位置の遮断竿6は、遮断竿復帰装置5によって、上方へ回動しつつ押し戻される。図8A、図9A、図10Aは図2A相当、図8B、図9B、図10Bは図2B相当である。
【0044】
通行遮断機1において、筐体2、遮断竿駆動装置3、制御ユニット4、及び遮断竿復帰装置5は、図2に示す実施形態のものと同じものである。ただし、遮断竿復帰装置5のベースフレーム1bへの取り付け位置と、その往復アーム5f’の形状が若干相異している。すなわち、遮断竿復帰装置5のフレーム5aは、図2の場合よりも下方へ取り付けられており、これに伴い往復アーム5f’が、駆動軸3aのヒンジ部3dの下位置まで延長されている。なお、本方式の場合の遮断竿復帰装置5の取り付け位置は、ベースフレーム1bの底面、すなわち遮断竿駆動装置3の下でもよい。
【0045】
通行車両が衝突するなどにより遮断竿6が閉位置から水平方向へ回動して退避位置になったとき(図8)、当該回動が前述のセンサにより検知され、ランプ2aが点灯する。これに応じてスイッチ2bが操作されると、まず遮断竿駆動装置3が、駆動軸3aを、遮断竿6の開位置の角度に回転させる(図9)。すなわち、図9に示す場合、竿ホルダ3bを開位置である上方へ向け戻せるように、遮断竿駆動装置3は、駆動軸3aを90°時計回りに回転させて、ヒンジ接続端部3c及びヒンジ部3dが上向きに曲がる角度にする。
【0046】
この駆動軸3aの回転によって突片3lが横向きから下向きになり、往復アーム5f’と係止可能な位置にくる。したがって、駆動軸3aが遮断竿6の開位置の角度に回転した後、遮断竿復帰装置5のモータ5bが正回転して往復アーム5f’が前進すると、該前進する往復アーム5f’は突片3lに係止し、当該突片3lを押し出す(図10)。これに従って竿ホルダ3bが開位置へ向け上方へ回動するので、往復アーム3fが前進することにより、退避位置にある遮断竿6が垂直方向回動状態へ押し戻され、開位置へ復帰する。この他の各部動作は、上記実施形態と同じである。
【0047】
当該方式によれば、遮断竿6は、退避位置から上方へ回動して開位置へ復帰した後に、通常の開閉動作の垂直方向回動により閉位置へ閉じることになる。したがって、遮断竿6が車両の方に迫って閉じてくるイメージとはならない。
【符号の説明】
【0048】
1 通行遮断機
2 筐体
3 遮断竿駆動装置
4 制御ユニット
5 遮断竿復帰装置
5a フレーム
5b モータ
5c ピニオンギヤ
5d ラックギヤ
5e 減速器
5f,5f’ 往復アーム
5g 軸受ブロック
5h ガイドロッド
5i プレート
5j リミットスイッチ
6 遮断竿
50 遮断竿復帰装置
51 往復アーム
52 モータ
53 ネジ軸
54 ナット筒
55 減速器
56 フレーム
57 駆動ギヤ
58 従動ギヤ
59 ナット
60 ガイドロッド
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸の軸方向に対し交差方向へ伸長して前記駆動軸の回転により垂直方向に回動する遮断竿を有し、閉位置にある前記遮断竿が退避位置まで水平方向に回動できるように前記遮断竿が前記駆動軸にヒンジ接続されている通行遮断機に設けられる、
遮断竿復帰装置であって、
アクチュエータにより駆動されて、前記駆動軸の軸方向又は該軸方向に対する交差方向に前進及び後退する往復アームを有し、
前進する前記往復アームが、前記退避位置にある前記遮断竿を垂直方向回動状態へ押し戻す、遮断竿復帰装置。
【請求項2】
前記遮断竿のヒンジ接続端部に突片が設けられており、
前記往復アームは、前記駆動軸の軸方向に前進及び後退し、
前進する前記往復アームが、前記退避位置にある前記遮断竿の前記突片に係止して当該遮断竿を垂直方向回動状態へ押し戻す、
請求項1記載の遮断竿復帰装置。
【請求項3】
前記アクチュエータは、
モータと、
該モータにより回転するピニオンギヤと、
該ピニオンギヤの正逆回転に従い前進及び後退するラックギヤと、
を含んで構成され、
前記ラックギヤの一端部に前記往復アームが接続されている、
請求項1又は請求項2記載の遮断竿復帰装置。
【請求項4】
前記アクチュエータは、
モータと、
該モータにより回転するネジ軸と、
該ネジ軸に螺合して、前記ネジ軸の正逆回転に従い前進及び後退するナット筒と、
を含んで構成され、
前記ナット筒の一端部に前記往復アームが接続されている、
請求項1又は請求項2記載の遮断竿復帰装置。
【請求項5】
遮断竿駆動装置と、
該遮断竿駆動装置の駆動軸にヒンジ接続された遮断竿と、
を含んで構成され、
前記遮断竿が、前記駆動軸の軸方向に対し交差方向へ伸長して前記駆動軸の回転により垂直方向に回動すると共に、前記駆動軸とのヒンジ接続により、閉位置にあるときに退避位置まで水平方向に回動できる、
通行遮断機であって、
アクチュエータにより駆動されて、前記駆動軸の軸方向又は該軸方向に対する交差方向に前進及び後退する往復アームを有し、前進する前記往復アームが、前記退避位置にある前記遮断竿を垂直方向回動状態へ押し戻す遮断竿復帰装置を備えた、通行遮断機。
【請求項6】
前記遮断竿駆動装置は、
前記遮断竿が前記閉位置から水平方向に回動して前記退避位置になったときに、前記駆動軸を、前記遮断竿の開位置の角度に回転させ、
前記遮断竿復帰装置は、
前記駆動軸が前記遮断竿の開位置の角度に回転した後の前記遮断竿を、前進する前記往復アームが垂直方向回動状態へ押し戻すことにより、前記遮断竿を開位置へ復帰させる、
請求項5記載の通行遮断機。
【請求項1】
駆動軸の軸方向に対し交差方向へ伸長して前記駆動軸の回転により垂直方向に回動する遮断竿を有し、閉位置にある前記遮断竿が退避位置まで水平方向に回動できるように前記遮断竿が前記駆動軸にヒンジ接続されている通行遮断機に設けられる、
遮断竿復帰装置であって、
アクチュエータにより駆動されて、前記駆動軸の軸方向又は該軸方向に対する交差方向に前進及び後退する往復アームを有し、
前進する前記往復アームが、前記退避位置にある前記遮断竿を垂直方向回動状態へ押し戻す、遮断竿復帰装置。
【請求項2】
前記遮断竿のヒンジ接続端部に突片が設けられており、
前記往復アームは、前記駆動軸の軸方向に前進及び後退し、
前進する前記往復アームが、前記退避位置にある前記遮断竿の前記突片に係止して当該遮断竿を垂直方向回動状態へ押し戻す、
請求項1記載の遮断竿復帰装置。
【請求項3】
前記アクチュエータは、
モータと、
該モータにより回転するピニオンギヤと、
該ピニオンギヤの正逆回転に従い前進及び後退するラックギヤと、
を含んで構成され、
前記ラックギヤの一端部に前記往復アームが接続されている、
請求項1又は請求項2記載の遮断竿復帰装置。
【請求項4】
前記アクチュエータは、
モータと、
該モータにより回転するネジ軸と、
該ネジ軸に螺合して、前記ネジ軸の正逆回転に従い前進及び後退するナット筒と、
を含んで構成され、
前記ナット筒の一端部に前記往復アームが接続されている、
請求項1又は請求項2記載の遮断竿復帰装置。
【請求項5】
遮断竿駆動装置と、
該遮断竿駆動装置の駆動軸にヒンジ接続された遮断竿と、
を含んで構成され、
前記遮断竿が、前記駆動軸の軸方向に対し交差方向へ伸長して前記駆動軸の回転により垂直方向に回動すると共に、前記駆動軸とのヒンジ接続により、閉位置にあるときに退避位置まで水平方向に回動できる、
通行遮断機であって、
アクチュエータにより駆動されて、前記駆動軸の軸方向又は該軸方向に対する交差方向に前進及び後退する往復アームを有し、前進する前記往復アームが、前記退避位置にある前記遮断竿を垂直方向回動状態へ押し戻す遮断竿復帰装置を備えた、通行遮断機。
【請求項6】
前記遮断竿駆動装置は、
前記遮断竿が前記閉位置から水平方向に回動して前記退避位置になったときに、前記駆動軸を、前記遮断竿の開位置の角度に回転させ、
前記遮断竿復帰装置は、
前記駆動軸が前記遮断竿の開位置の角度に回転した後の前記遮断竿を、前進する前記往復アームが垂直方向回動状態へ押し戻すことにより、前記遮断竿を開位置へ復帰させる、
請求項5記載の通行遮断機。
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【公開番号】特開2011−58331(P2011−58331A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212323(P2009−212323)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(593013889)コーエイ工業株式会社 (11)
【出願人】(505398952)中日本高速道路株式会社 (94)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(593013889)コーエイ工業株式会社 (11)
【出願人】(505398952)中日本高速道路株式会社 (94)
【Fターム(参考)】
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