説明

遮熱シートの取付構造

【課題】屋根上への遮熱シートの取付作業を、切粉の発生するビス止めによらず簡易、迅速に行うことができる遮熱シートの取付構造を提供する。
【解決手段】屋根上に溝形フレーム10を架設し、該溝形フレーム10の溝部13内で遮熱シート1を固定して遮熱シート1を屋根上に張設してなる遮熱シートの取付構造において、溝形フレーム10の溝部13に内装固定された、ボルトBを上方に突設させたボルト固定杆20と、該ボルトBが挿通されるボルト挿通孔31、43を有したシート押さえ体Aとを備えてなり、遮熱シート1をボルトBに挿通させてシート押さえ体Aで押圧して固定した構造となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根上に溝形フレームを架設し、その溝形フレームの溝部内で遮熱シートを固定して屋根上に遮熱シートを張設してなる遮熱シートの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋根上に遮熱シートを配設するために、屋根上取付具を介して溝形フレームを屋根上に架設し、その溝形フレームで遮熱シートを固定、張設するようにした遮熱シートの取付構造が種々提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
従来のこの種の遮熱シートの取付構造は、例えば、遮熱シートを溝形フレームの溝部の内底面と仮止めフレームとの間に挟み込んだ状態にして、その上面側で固定部材や固定ばねで溝形フレームの溝部の内底面に対して押さえつけ、その状態で溝形フレームの開口を押さえカバーで塞ぎ、押さえカバーの上方から、押さえカバー、仮止めフレーム、遮熱シートおよび溝形フレームの底部を屋根上取付具に対してビス止めする構造となっている。
【0004】
このように、ビス止めで遮熱シートを動かないように固定する構造であるため、遮熱シートは弛んだり外れたりすることなく、張設された状態を維持できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−112007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の取付構造は上記のように種々の部材を用いなければならないため、作業には多大なる時間を要していた。また、遮熱シートを仮止めフレームで溝形フレームの内底面に押さえて固定するためには工具を必要とするため、屋根上での作業はきわめて面倒なものとなっていた。
【0007】
さらに、押さえカバーの上方から溝形フレームに対してビス止めするものでは、ビス止めによる切粉が開口を塞いだ溝内空間に溜まったり、溝形フレームの下方の波形屋根表面に飛散したりするため、その除去作業は容易ではなかった。切粉を除去せずそのまま放置すれば、雨水等によって切粉が錆びて、周辺の屋根面にも錆が及ぶおそれもあった。
【0008】
本発明は、このような事情を考慮して提案されたもので、その目的は、屋根上への遮熱シートの取付作業を、切粉の発生するビス止めによらず簡易、迅速に行うことができる遮熱シートの取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の遮熱シートの取付構造は、屋根上に溝形フレームを架設し、該溝形フレームの溝部内で遮熱シートを固定して遮熱シートを屋根上に張設してなる遮熱シートの取付構造において、溝形フレームの溝部に内装固定された、ボルトを上方に突設させたボルト固定杆と、該ボルトが挿通されるボルト挿通孔を有したシート押さえ体とを備えてなり、遮熱シートを、ボルトに挿通させて、シート押さえ体で下方に押圧して固定したことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の遮熱シートの取付構造は、シート押さえ体が溝形フレームの溝部の開口を塞ぐ押さえカバーで構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の遮熱シートの取付構造は、シート押さえ体が、溝形フレームの溝部に内装するシート押さえ部材と、該シート押さえ部材の上方から溝形フレームの溝部の開口を塞ぐ押さえカバーとよりなることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の遮熱シートの取付構造は、ボルト固定杆が、その下面側にボルト回り止め突片を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の遮熱シートの取付構造によれば、溝形フレームの溝部内において、ボルトを上方に突設させたボルト固定杆と、ボルト挿通孔を有したシート押さえ体との間に遮熱シートをボルトに挿通した状態で配し、シート押さえ体で遮熱シートを押圧して張設、固定する構造となっているため、工具を使うことなく簡易、迅速に遮熱シートを十分に張った状態に取り付けることができる。
【0014】
また、ボルトを用いて遮熱シートを固定する構成であるため、遮熱シートを張設する際にはビス止めによる切粉が発生するおそれはなく、切粉を取り除く作業が省け、遮熱シートの取付作業のさらなる迅速化が図れる。
【0015】
さらに、遮熱シートをボルトに通した状態で固定する構造であるため、遮熱シートの張設後に遮熱シートが弛んだり外れたりすることはもちろんなく、適切な張り具合で張設された状態を維持することができる。
【0016】
請求項2に記載の遮熱シートの取付構造によれば、シート押さえ体が溝形フレームの溝部の開口を塞ぐ押さえカバーで構成されているので、遮熱シートをより簡易に取り付けできる。
【0017】
請求項3に記載の遮熱シートの取付構造によれば、シート押さえ体が、溝形フレームの溝部に内装するシート押さえ部材と、その上方から溝形フレームの溝部の開口を塞ぐ押さえカバーとよりなるため、遮熱シートを2種の部材で確実に固定することができる。
【0018】
請求項4に記載の遮熱シートの取付構造によれば、ボルト固定杆の下面側にボルト回り止め突片が形成してあるので、ナット止めの際にボルトが回ることがなく、効率的に作業を行える。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る遮熱シートの取付構造の一例を示した分解斜視図である。
【図2】(a)は遮熱シートの取付状態を示した遮熱シートの取付構造の正面図、(b)は溝形フレームの取付状態を示した概略側面図である。
【図3】(a)、(b)は遮熱シートの取付手順を示した遮熱シートの取付構造の正面図である。
【図4】(c)、(d)は遮熱シートの取付手順を示した遮熱シートの取付構造の正面図である。
【図5】遮熱シートの取付構造の他例を示した正面図である。
【図6】複数の溝形フレームで遮熱シートを張設した状態を示した正面図である。
【図7】(a)はシート押さえ体の他の形状例を示した遮熱シートの取付構造の正面図、(b)はシート押さえ体のさらに他の形状例を示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る遮熱シートの取付構造の一例を示した分解斜視図である。図2(a)は、遮熱シートの取付状態を示した遮熱シートの取付構造の正面図である。また、図2(b)は、溝形フレームの取付状態を概略的に示した側面図である。
【0022】
本実施形態における遮熱シート1の取付対象は、図2(a)、(b)に示しているように波形屋根2であり、波形屋根2の屋根材の端部を連結した連結山部2aの上に屋根上取付具5を固定し、その上に溝形フレーム10を架設して、さらにその上に遮熱シート1を取り付けるようにしたものである。また、波形屋根2は、屋根材が山部においてボルト体4で連結されており、そのボルト体4は連結山部2aにおいて、波形屋根2を波形屋根2と側面視同形状の屋根材支持具(タイトフレーム)(不図示)で支持した状態で、下方より突出されている。なお、取付対象の屋根は波形屋根2に限定されず、他の形状、構造の屋根であってもよい。
【0023】
屋根上取付具5は、2つの挟着片5aを組み合わせてなり、連結山部2aの上方に突出した連結用のボルト体4の軸部に2つの挟着片5aを挟着させて屋根に固定される構造となっている。また、溝形フレーム10は、屋根上取付具5に対してビス止めにて固定される構造となっている。なお、図2(a)、(b)中の5bは、2つの挟着片5aを緊締してボルト体4の軸部に挟着させるようにした緊締ボルトである。
【0024】
このような屋根上取付具5に限らず他の構造のものを用いてもよい。例えば、屋根材がハゼ結合されている屋根の場合、ハゼ部に対して固定可能な屋根上取付具が用いられるが、本発明はそのような屋根上取付具を用いたものについても適用可能である。ようするに、屋根上取付具5については本明細書では一例を示したにすぎず、溝形フレーム10の屋根への固定手法については、その手段を問わない。
【0025】
溝形フレーム10は、金属または硬質の合成樹脂よりなり、底部11と両側壁部12とを備えた凹条体に形成されており、両部により溝部13が形成された構成となっている。両側壁部12の上端部である開口端部15は、開口14が変形することを防止するために、また押さえカバー40で遮熱シート1を押さえこんだときに遮熱シート1の破損を防止するために、丸く角のない状態に折り返し成形されている。
【0026】
この溝形フレーム10の溝部13には、図1に示すように、ボルトBを下方より突設させたボルト固定杆20と、そのボルトBが挿通されるボルト挿通孔31を有したシート押さえ部材30とが、それら2部材間に遮熱シート1を挟み込むように内装され、そのシート押さえ部材30の上には、ボルトBが挿通されるとともに溝形フレーム10の開口14を塞ぐようにした押さえカバー40が取り付けられている。
【0027】
これらボルト固定杆20、シート押さえ部材30、および押さえカバー40のそれぞれは、金属または硬質の合成樹脂よりなり、長手方向の長さ寸法を遮熱シート1の幅寸法と略同一としている。
【0028】
以下、ボルト固定杆20、シート押さえ部材30、押さえカバー40および遮熱シート1について個別に詳述する。
【0029】
ボルト固定杆20は、ボルト挿通孔22を有した本体片21と、幅方向の両端より下方に突出した脚片とを有して倒コ字形に形成され、ボルトBがその軸部B2を上方に向けてボルト挿通孔22に挿通された状態で、両脚片が溝形フレーム10の底部11の内底面に当接するように配設されている。
【0030】
また、ボルト固定杆20をボルトBを取り付けた状態で溝部13に載置できるように、上方に突出したボルトBの軸部B2には、載置前にあらかじめ落下防止プレート29を取り付けておくことが望ましい。なお、作業中にボルトBを落下させないためには、落下防止プレート29を用いる代わりに、ボルト挿通孔22をねじ孔とするか、圧入孔としてもよい。
【0031】
ボルトBの頭部B1は両脚片間の凹所に配される。このボルトBは押さえカバー40の上方でナットNaと螺合されるが、螺合作業の際にボルトBの頭部B1が回転しないように、凹所の幅寸法をボルトBの頭部B1が回らない程度としている。すなわち、両脚片によってボルト回り止め突片23が構成されている。
【0032】
一方、シート押さえ部材30はボルト挿通孔31を有した帯板体に形成されており、その幅寸法はボルト固定杆20の幅寸法と同程度である。
【0033】
ボルト固定杆20、シート押さえ部材30の幅寸法は溝形フレーム10の底部11に載置できる程度の寸法であればよく、高さ寸法はこれらの合計寸法がこれらを積み重ねた状態で溝部13に内装される程度の寸法であればよい。なお、遮熱シート1を安定的に固定するために、押さえカバー40を取り付けたときに溝部13内にボルトBの軸部B2が露出されない程度に、つまりボルト固定杆20、シート押さえ部材30を積み重ねた状態の高さが開口端部15と略同じ高さとなるようにすることが望ましい。
【0034】
また、押さえカバー40は、溝形フレーム10の開口14を十分に塞ぐことができる程度の幅寸法を有した板状体の本体部41と、本体部41の幅方向の両端部より下方に傾斜させた押さえ片42とを備えている。
【0035】
押さえカバー40は、本体部41が溝形フレーム10の溝部13に内装したシート押さえ部材30の上面と接触するとともに、押さえ片42が開口端部15の外側面に接触するように、溝形フレーム10の上に配されており、ボルト挿通孔43より突出したボルトBの軸部B2にナットNaが螺合されて、押さえカバー40は固定されている。
【0036】
また、押さえ片42は、押さえカバー40を配設したときに溝形フレーム10の開口端部15との間に遮熱シート1を挟み込むとともに上方から押圧する構成となっている。
【0037】
つまり、押さえカバー40は、その本体部41がシート押さえ部材30を介して溝部13内で遮熱シート1を上方より押圧するとともに、押さえ片42が溝部13の開口14の外側で遮熱シート1を挟持し、さらに押さえ片42の先端が遮熱シート1を押圧する構成となっている。
【0038】
一方、遮熱シート1は溝部13内において、ボルト固定杆20と、シート押さえ部材30との間に配され、ボルトBの軸部B2が挿通されて、横方向にずれないように固定されている。
【0039】
この遮熱シート1は、柔軟性、伸縮性を有し、太陽熱を反射して遮断・遮熱する合成樹脂シートで形成されることが望ましく、例えば、太陽熱等を反射して遮断・遮熱する銀色等に着色した樹脂糸材を縦横に編んで形成した織物シートを好適に使用できる。
【0040】
この遮熱シート1は、屋根上に固定した溝形フレーム10に固定され、複数の溝形フレーム10間に張設されるようになっている。なお、遮熱シート1には、縦横の樹脂糸材で編み込まれたものを使用すればよいが、本実施形態ではボルトBを挿通させて固定する構成となっているため、ボルトBを挿通できる程度の編み目とすることが望ましい。
【0041】
図3(a)、(b)および図4(c)、(d)は、遮熱シート1の取付手順を示した遮熱シートの取付構造の正面図である。図3、図4にもとづいて、遮熱シート1の取付構造の詳細について説明する。
【0042】
ボルト固定杆20は、ボルトBをボルト挿通孔22より突出させ落下防止プレート29でボルトBが落ちないようにして、溝形フレーム10の溝部13の内底面に載置され、ボルト固定杆20の上から屋根上取付具5(図2参照)に対して溝形フレーム10の底部11にビス止めされた後(図3、図4には図示省略)、ボルト固定杆20の上にボルトBの軸部B2を挿通させた遮熱シート1が配される(図3(a)、(b)参照)。
【0043】
つぎに、溝形プレート10の溝部13にはさらに、ボルト固定杆20から遮熱シート1を介して上方に突出したボルトBの軸部B2がボルト挿通孔31を挿通するように、シート押さえ部材30が張力をかけた状態の遮熱シート1の上に載せ置かれる(図3(b)、図4(c)参照)。
【0044】
そして、シート押さえ部材30を上方から押さえるように、かつ遮熱シート1、シート押さえ部材30を介して上方に突出したボルトBの軸部B2がボルト挿通孔43を挿通するように、押さえカバー40がシート押さえ部材30の上に載置され、その状態で押さえカバー40を下方に押圧することで、押さえカバー40によって開口14が塞がれ、さらに押さえカバー40のボルト挿通孔43より突出したボルトBの軸部B2に対してナットNaが螺合される(図4(c)、(d)参照)。
【0045】
この押さえカバー40の取り付け操作によって、シート押さえ部材30は押さえカバー40とともに押し込まれて溝部13に内装され、遮熱シート1をボルト固定杆20との間で挟み込むこととなる(図4(d)参照)。
【0046】
また、押さえカバー40を取り付けた状態では、その押さえ片42が遮熱シート1を溝形フレーム10の開口端部15との間に挟み込むとともに、押さえ片42の先端で遮熱シート1を下方に押圧する。
【0047】
以上に示した遮熱シートの取付構造によれば、溝形フレーム10の溝部13内において、ボルトBを突設させたボルト固定杆20と、シート押さえ部材30との間に遮熱シート1をボルトBに挿通した状態で挟み込んで固定する構造となっているため、遮熱シート1がボルトBで横方向にずれないように仮固定された状態で作業できる。そのため、遮熱シート1を溝部13内に押さえ込むような工具を使う必要はなく、簡易、迅速に遮熱シート1を取り付けることができる。
【0048】
特に、一端が固定されている遮熱シート1の中間部等を固定する場合、遮熱シート1を張った状態を維持しながら固定する必要があるが、そのような場合でも上方に突出したボルトBの軸部B2に遮熱シート1を挿通させて仮止め状態にしておけば、その後、シート押さえ部材30、押さえカバー40を取り付けることで遮熱シート1の張り具合を強固にできる。よって、施工後に遮熱シート1が弛んだり、外れたりすることを防止できる。
【0049】
さらに、ボルト固定杆20に対して、遮熱シート1と、シート押さえ部材30と、押さえカバー40とをボルトB、ナットNaにより固定する構成であるため、ビス止めによる削り粉である切粉が発生することはなく、当然に切粉の除去作業の必要はなく、取付作業の迅速化が図れる。また、素材が金属の場合であっても切粉を原因とする錆の発生はない。なお、ボルト固定杆20は溝形フレーム10に対してビス止めされるが、シート押さえ部材30および押さえカバー40を取り付ける前にビス止めするので、切粉は容易に取り除くことができる。
【0050】
また、本実施形態のものでは、溝形フレーム10の溝部13の開口14を塞ぐ押さえカバー40で、溝形フレーム10の溝部13に内装されるシート押さえ部材30を押圧する構成となっているため、遮熱シート1を強く張った状態で固定することができる。
【0051】
なお、本実施形態では、溝部13の深さ寸法と、ボルト固定杆20およびシート押さえ部材30の合計高さ寸法とを略同じにすることで、遮熱シート1がシート押さえ部材30と、ボルト固定杆20との間で挟み込まれて、遮熱シート1がより安定的に張設される構成となっている。
【0052】
上記のように部材間の寸法調整をすることが遮熱シート1の安定的な配設には望ましいが、図5(a)に示すように、シート押さえ部材30と、ボルト固定杆20との間に隙間ができるものでもよく、また図5(b)に示すように、シート押さえ部材30を溝部13内で中間ナットNbで固定するようにしてもよい。
【0053】
つまり、図5(a)のように、シート押さえ部材30の押圧のみで遮熱シート1を張力調整してもよいし、図5(b)のように、遮熱シート1をシート押さえ部材30で押圧するとともに、シート押さえ部材30とボルト固定杆20との間へ挟み込むことによって張力調整してもよい。
【0054】
ようするに、溝形フレーム10の溝部13の深さがボルト固定杆20およびシート押さえ部材30の合計高さよりも深い場合でも、遮熱シート1の張力調整をなんら問題なく行える。
【0055】
また、本実施形態では、シート押さえ部材30と押さえカバー40の2部材で、遮熱シート1を押圧するシート押さえ体Aを構成しているが、いずれか一方で構成してもよい。
【0056】
例えば、図6に示すように、遮熱シート1の端部においては、ボルトBに対して押さえカバー40のみで固定してもよい。つまり、遮熱シート1の端部を屋根上に最初に溝形フレーム10へ取り付ける際には、遮熱シート1を張った状態で固定する必要がないから、このような簡易な取付構造であってもよい。
【0057】
また、溝形フレーム10の開口14を塞がなくてもよい場合には、押さえカバー40を取り付けずに、シート押さえ部材30を直接ナット止めすることで遮熱シート1を固定するようにしてもよい。
【0058】
また、シート押さえ体Aは、図7(a)、(b)に示すように、押さえカバー40が上記シート押さえ部材30と同等な作用を有したシート押さえ部45を一体的に備えた形状であってもよい。
【0059】
なお、遮熱シート1をボルト固定杆20との間で挟み込むシート押さえ部45は、少なくとも幅方向の両端で遮熱シート1を押さえることができればよいため、図7(b)に示すように、中程を肉抜き形成したシート押さえ部45であってもよい。
【0060】
このようにシート押さえ部45を一体化した押さえカバー40をシート押さえ体Aとして用いることで、遮熱シート1の押圧操作を手間なく行うことができ、屋根上での遮熱シート張設作業をさらに迅速に行うことができる。
【0061】
以上の実施形態では、シート押さえ部材30を溝形フレーム10の長手方向に沿って帯状に形成したものを例示したが、シート押さえ部材30を、例えばボルトBの取付位置ごとに分離した構成としてもよい。
【0062】
上述したように、本発明によれば、遮熱シート1の取り付け施工の際に遮熱シート1をボルトBに挿通させて溝形フレーム10の溝部13内で押さえ込む位置を確定できるため、分離されたシート押さえ体を順に取り付けるようにしても手間はかからない。
【符号の説明】
【0063】
10 溝形フレーム
11 底部
12 側壁部
13 溝部
14 開口
15 開口端部
20 ボルト固定杆
21 本体片
22 ボルト挿通孔
23 ボルト回り止め突片(脚片)
29 落下防止プレート
A シート押さえ体
30 シート押さえ部材
31 ボルト挿通孔
40 押さえカバー
41 本体部
42 押さえ片
43 ボルト挿通孔
45 シート押さえ部
B ボルト
B1 頭部
B2 軸部
Na ナット
Nb 中間ナット
1 遮熱シート
2 波形屋根
2a 連結山部
4 ボルト体
5 屋根上取付具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根上に溝形フレームを架設し、該溝形フレームの溝部内で遮熱シートを固定して遮熱シートを屋根上に張設してなる遮熱シートの取付構造において、
上記溝形フレームの溝部に内装固定された、ボルトを上方に突設させたボルト固定杆と、該ボルトが挿通されるボルト挿通孔を有したシート押さえ体とを備えてなり、
上記遮熱シートを、上記ボルトに挿通させて、上記シート押さえ体で下方に押圧して固定したことを特徴とする遮熱シートの取付構造。
【請求項2】
請求項1において、
上記シート押さえ体は、上記溝形フレームの溝部の開口を塞ぐ押さえカバーで構成されていることを特徴とする遮熱シートの取付構造。
【請求項3】
請求項1において、
上記シート押さえ体は、上記溝形フレームの溝部に内装するシート押さえ部材と、該シート押さえ部材の上方から上記溝形フレームの溝部の開口を塞ぐ押さえカバーとよりなることを特徴とする遮熱シートの取付構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項において、
上記ボルト固定杆は、その下面側にボルト回り止め突片を備えていることを特徴とする遮熱シートの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−28939(P2013−28939A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165110(P2011−165110)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(593178409)株式会社オーティス (224)
【Fターム(参考)】