遮熱建材
【課題】互いに積層しても、塗料の付着を防止できる遮熱建材を提供すること。
【解決手段】野地板110上に複数配置される瓦本体10と、瓦本体10の野地板110側の面1bに設けられ、野地板110上に配置された状態で前記野地板110側に曝露する範囲11aに塗布された金属粉末又は金属粉末顔料を含有する塗料11と、を備えることを特徴とする遮熱建材を備える構成とする。
【解決手段】野地板110上に複数配置される瓦本体10と、瓦本体10の野地板110側の面1bに設けられ、野地板110上に配置された状態で前記野地板110側に曝露する範囲11aに塗布された金属粉末又は金属粉末顔料を含有する塗料11と、を備えることを特徴とする遮熱建材を備える構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮熱可能な塗料が塗布された遮熱建材に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、家屋において用いる建材として、野地板上を覆う瓦等の屋根材や、外壁面を形成する壁材等が用いられている。このような建材は、直接日光が照射されるため、屋根材や壁材を通して屋内の温度が上昇するという問題がある。このため、さまざまな暑さ対策が採られている。
【0003】
このような暑さ対策の一例として、建材の屋内側の面に遮熱可能な塗料である低放射率金属膜等を設けた遮熱建材を屋根構造及び壁構造に用いる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−46970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した遮熱建材では、以下の問題があった。即ち、遮熱建材を製造後、当該遮熱建材を複数まとめて積層させて梱包する。しかし、遮熱建材に塗布した塗料が乾燥する前に複数の遮熱建材を積層させて梱包すると、当該積層により、重なり合う遮熱建材同士が接触し、塗料が付着する、という問題がある。
【0006】
他の遮熱建材に塗料が付着することを防止するために、塗料を乾燥させることも考えられるが、塗料が乾燥するまでに時間がかかるという問題がある。また、当該乾燥時間を短縮させるために、塗料を乾燥させるための乾燥設備を導入すると、製造コストが増大するという問題もある。
【0007】
そこで本発明は、互いに積層しても、塗料の付着を防止できる遮熱建材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の遮熱建材は、次のように構成されている。
【0009】
本発明の一態様として、野地板上に複数配置される屋根材と、前記屋根材の前記野地板側の面に設けられ、前記野地板上に配置された状態で曝露する範囲に塗布された金属粉末又は金属粉末顔料を含有する塗料と、を備える。
【0010】
本発明の一態様として、内壁上に複数配置されることで外壁を構成する壁材本体と、前記壁材本体の前記内壁側の面に設けられ、前記内壁側に曝露する範囲に塗布された金属粉末又は金属粉末顔料を含有する塗料と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、互いに積層しても、塗料の付着を防止できる遮熱建材を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る遮熱建材の構成を模式的に示す説明図。
【図2】同遮熱建材の構成を下方から示す斜視図。
【図3】同遮熱建材の構成を下方から示す平面図。
【図4】同遮熱建材の使用の一例を上方から模式的に示す平面図。
【図5】同遮熱建材の使用の一例を模式的に示す断面図。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る遮熱建材の構成を下方から示す平面図。
【図7】同遮熱建材の使用の一例を模式的に示す断面図。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る遮熱建材の構成及び使用の一例を模式的に示す断面図。
【図9】本発明の第4の実施の形態に係る遮熱建材の構成を模式的に示す説明図。
【図10】同遮熱建材の構成を示す平面図。
【図11】同遮熱建材の使用の一例を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態に係る遮熱建材1を、図1乃至図5を用いて説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態に係る屋根構造100に用いられる遮熱建材1を模式的に示す断面図、図2は遮熱建材1の構成を下方から示す斜視図、図3は遮熱建材1の構成を下方から示す平面図、図4は遮熱建材1の使用の一例である施工時の遮熱建材1の配置を上方から模式的に示す平面図、図5は遮熱建材1の使用の一例である遮熱建材1の積層状態を示す断面図である。
【0014】
なお、図4は、複数の遮熱建材1を一方向にのみ配置した状態を、上方から視認した図であり、他の方向に配置する状態は省略するとともに、突起部12を省略して示す。また、図5は、遮熱建材1の製造後の梱包等のための積層状態を示す。
【0015】
遮熱建材1は、屋根構造100に用いられる。なお、図1に示す屋根構造100は、家屋の屋根構造を示すが、他の屋根構造、例えば、ルーフバルコニー、陸屋根等の屋上用建材にも適用可能である。例えば、屋根構造100は、野地板110と、この野地板110の上に敷かれた防水シート120と、を備えている。遮熱建材1は、防水シート120の上に複数配置及び固定される。
【0016】
遮熱建材1は、屋根に設けられる建材、例えば、防水シート120上に互いにその一部が積層されて複数配置される所謂J形の瓦である。また、遮熱建材1は、製造時や搬送時において、互いに積層(載置)されて梱包される。
【0017】
遮熱建材1は、その表面1a(図1中上面)が屋外側に向かって配置されるとともに、その裏面(野地板側の面)1b(図1中下面)が、屋内側、換言すると野地板110及び防水シート120と対向するように配置される。
【0018】
遮熱建材1は、J形の形状を有する瓦本体(屋根材)10と、低放射率金属膜11と、突起部12と、を備えている。
【0019】
低放射率金属膜11は、遮熱建材1(瓦本体10)の裏面1bに塗布された遮熱性を有する塗料(遮熱塗料)である。低放射率金属膜11は、高温の瓦本体10から伝わる熱を、低い放射率で下面に熱放射する。これにより、低放射率金属膜11は、遮熱建材1の表面1aから室内に伝わる熱移動を抑制し、室内温度の上昇を抑える機能を有する。
【0020】
具体的には、低放射率金属膜11は、遮熱建材1の裏面1bに任意の範囲に設定された塗布範囲11aに塗布され、乾燥することで形成される。
【0021】
遮熱塗料は、例えば、低放射率を有する金属粉末若しくは金属粉末顔料を含有する、リーフィングタイプの塗料である。なお、リーフィングタイプの塗料とは、乾燥時に、金属粉末若しくは金属粉末顔料が、形成された低放射率金属膜11の表面に浮く塗料である。
【0022】
なお、遮熱塗料に用いられる金属粉末若しくは金属粉末顔料の材質として、金属(錫・アルミニウム・金・銀・銅・亜鉛、又は、それら合金等)等が用いられる。
【0023】
図4及び図5に示すように、塗布範囲11aは、施工時、即ち、複数の遮熱建材1を、その一部を積層させて配置させた際に、遮熱建材1の梱包時において、互いに積層された際に、他の遮熱建材1の表面1aに接触しない範囲であって、且つ、裏面1bに曝露する部位に設定される。
【0024】
なお、裏面1bに曝露する部位とは、例えば、野地板110又は防水シート120と対向する部位であって、例えば、遮熱建材1と野地板110及び防水シート120との間の空間(外部)に曝露する部位である。即ち、当該部位は、野地板110側に曝露する部位である。
【0025】
また、塗布範囲11aは、低放射率金属膜11により、瓦本体10から発生する熱放射を遮断できればよく、必ずしも曝露する部位のすべてに設けられていなければならないわけではない。即ち、塗布範囲11aは、熱放射を遮断できる機能を有するように、外部に曝露する部位の範囲におおよそ設けられていればよい。
【0026】
換言すると、塗布範囲11aは、施工時に隣り合う遮熱建材1の低放射率金属膜11と隣接して設けられ、少なくとも野地板110及び/又は防水シート120に直接対向する部位に設定される。
【0027】
具体的には、塗布範囲11aは、裏面1bであって、突起部12及び他の遮熱建材1と接触する部位を除いた(避けた)範囲のいずれかに設けられる。
【0028】
突起部12は、瓦本体10に複数設けられる。突起部12は、当該突起部12が設けられた遮熱建材1が積層する他の遮熱建材1の表面1aの一部と当接可能に形成されている。突起部12は、当該積層において、遮熱建材1の裏面1bと当該遮熱建材1と積層する遮熱建材1の表面1aと間に所定の間隙を形成可能に形成されている。
【0029】
なお、突起部12は、複数の遮熱建材1を積層したときに、他の遮熱建材1の低放射率金属膜11の塗布範囲11a外と当接可能であれば、瓦本体10の表面1a及び裏面1bのどちらに設けられていてもよい。
【0030】
突起部12は、例えば、桟木130に引き掛ける爪部20と、水返し21と、により構成されている。即ち、爪部20及び水返し21は、瓦本体10の表面1a及び/又は裏面1bに設けられ、遮熱建材1同士が積層した際に、遮熱建材1の裏面1bに設けられた低放射率金属膜11が、当該遮熱建材1と積層する他の遮熱建材1に接触しないように、前述の所定の間隙を形成することが可能に形成されている。
【0031】
なお、突起部12は、爪部20及び水返し21以外の他に、他の遮熱建材1の表面1aと所定の間隙を形成する機能のみを有する突起を有していてもよい。
【0032】
このように構成された屋根構造100に用いられる遮熱建材1は、図1及び図4に示すように、施工時に、複数の遮熱建材1が、瓦本体10の一部が互いに積層して配置される。このとき、遮熱建材1は、その裏面1bに設けられた低放射率金属膜11により、上方からの熱移動を遮熱することで、遮熱材を遮熱建材1の表面1aに設ける場合や遮熱シートを野地板110又は防水シート120上に設けた場合と同様に屋内の温度上昇を抑えることができる。
【0033】
低放射率金属膜11の塗布範囲11aは、突起部12と他の遮熱建材1とが接触する部位を除いた範囲のいずれかに設けられる。また、突起部12は、製造された遮熱建材1の梱包等における積層時に、遮熱建材1の低放射率金属膜11が、当該遮熱建材1が積層する他の遮熱建材1と接触することを防止する間隙を形成する。これら塗布範囲11a及び突起部12により、低放射率金属膜11が、他の遮熱建材1に接触することを防止することができる。
【0034】
これにより、製造時において、低放射率金属膜11の塗布後、低放射率金属膜11が乾燥する前に、梱包等のために遮熱建材1を積層しても、他の遮熱建材1に低放射率金属膜11が付着することを防止することが可能となる。
【0035】
このため、遮熱建材1は、その製造時において、低放射率金属膜11の乾燥処理を行わずに複数積層した状態、換言すると、梱包した状態で自然乾燥が可能となる。また、乾燥していない低放射率金属膜11が塗布された遮熱建材1を積層できるため、低放射率金属膜11の塗布後の乾燥のための工程及び製造時間を低減することが可能となる。
【0036】
また、低放射率金属膜11として、リーフィングタイプの塗料を用いた場合には、低放射率金属膜11が乾燥後であっても、低放射率金属膜11に他の遮熱建材1が接触すると、金属粉末若しくは金属粉末顔料が当該遮熱建材1に付着する虞がある。しかし、突起部12により、複数の遮熱建材1の積層時に、他の遮熱建材1と接触することを防止する間隙を形成することで、他の遮熱建材1に、低放射率金属膜11の金属粉末若しくは金属粉末顔料が付着することを防止できる。
【0037】
上述したように、本実施の形態に係る遮熱建材1によれば、突起部12を設け、他の遮熱建材1との積層時に所定の間隙を形成することで、低放射率金属膜11又は低放射率金属膜11の金属粉末若しくは金属粉末顔料等の塗料が、他の遮熱建材1に付着することを防止可能となる。
【0038】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施の形態に係る遮熱建材1Aについて、図6及び図7を用いて説明する。なお、上述した遮熱建材1と同様の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0039】
遮熱建材1Aは、屋根構造100に用いられる。遮熱建材1Aは、互いにその一部が積層されて配置される所謂F形の瓦である。また、遮熱建材1Aは、製造時や搬送時において、互いに積層して梱包される。
【0040】
遮熱建材1Aは、その表面1a(図1中上面)が屋外側に向かって配置されるとともに、その裏面1b(図1中下面)が、野地板110及び防水シート120と対向するように配置される。
【0041】
遮熱建材1Aは、F形の形状を有する瓦本体10Aと、低放射率金属膜11と、突起部12と、積層部13と、を備えている。また、遮熱建材1Aは、例えば、突起部12とは異なる突出部25を備えている。
【0042】
突起部12は、爪部20と、水返し21と、により構成されている。突起部12は、裏面1bに設けられ、遮熱建材1Aが積層する他の遮熱建材1Aの表面1aの一部と当接可能に形成されるとともに、当該積層において、他の遮熱建材1Aと所定の間隙を形成可能に形成されている。
【0043】
積層部13は、遮熱建材1Aの一対の端辺に設けられ、互いに積層可能に形成されている。積層部13は、例えば、一方が他方にオーバーラップすることで積層されるアンダーラップ部26及びオーバーラップ部27を備えている。
【0044】
突出部25は、裏面1bから突出する突起である。なお、本実施の形態の突出部25は、例えば、その表面に低放射率金属膜11が形成されるとともに、その頂部が突起部12よりも突出しないように、突起部12よりも短く形成されている。換言すると、突出部25は、積層時に、他の遮熱建材1Aの表面1aに、干渉しない高さに突出して形成される。
【0045】
このように構成された屋根構造100に用いられる遮熱建材1Aは、上述した第1の実施形態の遮熱建材1と同様の効果を得ることが可能となる。更に言えば、遮熱建材1Aは、突起部12を突出部25よりも突出させ、突起部12である爪部20及び水返し21により、遮熱建材1Aの積層時に、他の遮熱建材1Aと間隙を形成することで、低放射率金属膜11が他の遮熱建材1Aに付着することを防止することが可能となる。
【0046】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第2の実施の形態に係る遮熱建材1Bについて、図8を用いて説明する。なお、上述した遮熱建材1,1Aと同様の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0047】
遮熱建材1Bは、上述した遮熱建材1Aと略同等の構成であって、突起部12が、爪部20及び水切り21に加え、さらに突出部25を備える構成に形成されている。また、遮熱建材1Bは、低放射率金属膜11の塗布範囲11aとして、突出部12に低放射率金属膜11を塗布しない構成である。
【0048】
換言すると、遮熱建材1Bは、瓦本体10Aと、爪部20、水切り21及び突出部25を有する突起部12と、を備え、突出部25は、爪部20及び水切り21と略同一の高さに形成されている。
【0049】
このように構成された遮熱建材1Bは、上述した第2の実施形態の遮熱建材1Aと同様の効果を得ることが可能となる。更に言えば、遮熱建材1Bは、突起部12である爪部20、水返し21及び突出部25により、遮熱建材1Bの積層時に、他の遮熱建材1Bと間隙を形成することで、低放射率金属膜11が他の遮熱建材1Bに付着することを防止することが可能となる。
【0050】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施の形態に係る遮熱建材2について、図9、図10及び図11を用いて説明する。
図9は本発明の第4の実施の形態に係る壁構造200に用いられる遮熱建材2を模式的に示す断面図、図10は遮熱建材2の構成を屋内側から示す平面図、図11は遮熱建材2の使用の一例である遮熱建材1の積層状態を示す断面図である。
【0051】
遮熱建材2は、壁構造200に用いられる。図9に示すように、壁構造200は、例えば、屋内側に配置された石膏ボード210と、石膏ボード210の屋外側に設けられた気密シート211と、気密シート211の屋外側に設けられた断熱材212と、断熱材212の屋外側に設けられた透湿防水シート213と、透湿防水シート213の屋外側に設けられ、通気層を形成する胴縁214と、胴縁214の屋外側に設けられた遮熱建材2と、を備えている。
【0052】
石膏ボード210、気密シート211、断熱材212、透湿防水シート213、及び、胴縁214は、壁構造200のうち、内壁を構成するが、他の構成により内壁を構成してもよく、また、上記の一部により内壁を構成してもよい。
【0053】
遮熱建材2は、互いにその一部が積層されて配置され、壁構造200の外壁を構成する壁材である。また、遮熱建材2は、製造時や搬送時において、互いに積層して梱包される。
【0054】
遮熱建材2は、その表面2aが屋外側に向かって配置されるとともに、その裏面2bが、屋内側(内壁側)、換言すると胴縁214と対向するように胴縁214に配置及び固定される。また、遮熱建材2は、胴縁214に固定された際に、胴縁214により形成された空気層に、その内壁側の一部が曝露する。なお、胴縁214は、遮熱建材2と、透湿防水シート213の間に通気層を形成するとともに、遮熱建材2を固定可能に形成されているが、その詳細な説明は省略する。
【0055】
遮熱建材2は、方形板状の壁材本体40と、低放射率金属膜41と、突起部42と、積層部43と、を備えている。
【0056】
低放射率金属膜41は、遮熱建材2(壁材本体40)の裏面2bに設けられている。低放射率金属膜41は、上述した低放射率金属膜11と同一の遮熱塗料により形成されることで、当該低放射率金属膜11と同様の機能を有する。このため、低放射率金属膜41の詳細な説明は省略する。
【0057】
低放射率金属膜41は、遮熱建材2の裏面2bに任意の範囲に設定された塗布範囲41aに設けられる。低放射率金属膜41は、遮熱塗料が遮熱建材2の裏面2bに塗布され、乾燥することで形成される。
【0058】
図10に示すように、塗布範囲41aは、施工時に複数の遮熱建材2を、互いの積層部43を積層させて配置させた際に、少なくとも、内壁側に曝露する範囲、さらに言えば、胴縁214により形成される空気層に曝露する範囲に設定される。
【0059】
具体的には、塗布範囲41aは、突起部42及び他の遮熱建材2と接触する部位を除いた範囲、例えば、突起部42及び積層部43を除く裏面2bに設定されている。また、塗布範囲41aは、少なくとも裏面2bの内壁側に曝露する部位に設定される。なお、当該塗布範囲41aは、遮熱建材2が熱放射を遮断できる機能を有するように、空気層に曝露する部位の範囲におおよそ設けられていればよい。
【0060】
突起部42は、壁材本体40に複数設けられる。突起部42は、積層する他の遮熱建材2の表面2aの一部と当接可能に形成され、当該積層において、遮熱建材2の裏面2bと当該遮熱建材2が積層される遮熱建材2の表面2aとの間に所定の間隙を形成可能に形成されている。
【0061】
また、突起部42は、例えば、遮熱建材2の施工時に、その先端が胴縁214に配置されることで、低放射率金属膜41が胴縁214により形成される空気層に露出される。
【0062】
本実施の形態の遮熱建材2においては、突起部42は、例えば、塗布範囲41aと積層部43との間に、壁材本体40の長手方向に沿って2つ設けられる。
【0063】
積層部43は、遮熱建材2の一対の端辺に、例えば、壁材本体40の長手方向に沿って設けられ、互いに積層可能に形成されている。積層部43は、例えば、一方が他方にオーバーラップすることで積層されるアンダーラップ部46及びオーバーラップ部47を備えている。
【0064】
このように構成された壁構造200に用いられる遮熱建材2は、施工時に、複数の遮熱建材2が、壁材本体40の積層部43が互いに積層して配置される。このとき、遮熱建材2は、その裏面2bに設けられた低放射率金属膜41により、屋外側からの熱移動を遮熱することで、遮熱材を遮熱建材2の表面2aに設ける場合と同様に屋内の温度上昇を抑えることができる。
【0065】
また、低放射率金属膜41の塗布範囲41aは、突起部42、及び、遮熱建材2の積層時に他の遮熱建材2と接触する部位を除いた範囲に設けられる。また突起部42は、遮熱建材2の積層時に、低放射率金属膜41が、他の遮熱建材2との接触を防止する間隙を形成する。これらの構成により、遮熱建材2を積層しても、低放射率金属膜41が、他の遮熱建材2に接触することを防止することができる。
【0066】
これにより、製造時において、低放射率金属膜41の塗布後、低放射率金属膜41が乾燥する前に梱包等のために遮熱建材2を積層しても、他の遮熱建材1に低放射率金属膜41が付着することを防止することが可能となる。
【0067】
このため、製造時において、低放射率金属膜41の乾燥処理を行わずに遮熱建材2を積層できるため、低放射率金属膜41の塗布後の乾燥のための工程及び製造時間を低減することが可能となる。
【0068】
また、低放射率金属膜41として、リーフィングタイプの塗料を用いた場合には、低放射率金属膜41が乾燥後であっても、低放射率金属膜41に他の遮熱建材2が接触すると、金属粉末若しくは金属粉末顔料が当該遮熱建材2に付着する虞がある。しかし、突起部42により、複数の遮熱建材2の積層時に、他の遮熱建材2と接触することを防止する間隙を形成することで、他の遮熱建材2に、低放射率金属膜41の金属粉末若しくは金属粉末顔料が付着することを防止できる。
【0069】
上述したように、本実施の形態に係る遮熱建材2によれば、突起部42を設け、他の遮熱建材2との積層時に所定の間隙を形成することで、低放射率金属膜41又は低放射率金属膜41の金属粉末若しくは金属粉末顔料等の塗料が、他の遮熱建材2に付着することを防止可能となる。
【0070】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述した遮熱建材1,1A,1Bにおいては、屋根材としてJ形及びF形の瓦本体10,10Aを設ける構成を説明したがこれに限定されない。例えば、S形の瓦を用いてもよく、他の形状であってもよい。また、瓦本体10の材質も、適宜設定可能である。例えば、セメント瓦、金属瓦、樹脂瓦等に適用できる。また、瓦以外の屋根材、例えば、タイルやトタン等に適用してもよい。また、他の構成であってもよい。同様に、壁材40に関しても、同様に適宜設定可能である。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論である。
【符号の説明】
【0071】
1,1A,1B,2…遮熱建材、10,10A…瓦本体(屋根材)、11…低放射率金属膜(塗料)、11a…塗布範囲、12…突起部、13…積層部、20…爪部、22…突起、25…突出部、26…アンダーラップ部、27…オーバーラップ部、40…壁材本体、41…低放射率金属膜、41a…塗布範囲、42…突起部、43…積層部、46…アンダーラップ部、47…オーバーラップ部、100…屋根構造、110…野地板、120…防水シート、130…桟木、200…壁構造、210…石膏ボード、211…気密シート、212…断熱材、213…透湿防水シート、214…胴縁、220…第2建材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮熱可能な塗料が塗布された遮熱建材に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、家屋において用いる建材として、野地板上を覆う瓦等の屋根材や、外壁面を形成する壁材等が用いられている。このような建材は、直接日光が照射されるため、屋根材や壁材を通して屋内の温度が上昇するという問題がある。このため、さまざまな暑さ対策が採られている。
【0003】
このような暑さ対策の一例として、建材の屋内側の面に遮熱可能な塗料である低放射率金属膜等を設けた遮熱建材を屋根構造及び壁構造に用いる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−46970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した遮熱建材では、以下の問題があった。即ち、遮熱建材を製造後、当該遮熱建材を複数まとめて積層させて梱包する。しかし、遮熱建材に塗布した塗料が乾燥する前に複数の遮熱建材を積層させて梱包すると、当該積層により、重なり合う遮熱建材同士が接触し、塗料が付着する、という問題がある。
【0006】
他の遮熱建材に塗料が付着することを防止するために、塗料を乾燥させることも考えられるが、塗料が乾燥するまでに時間がかかるという問題がある。また、当該乾燥時間を短縮させるために、塗料を乾燥させるための乾燥設備を導入すると、製造コストが増大するという問題もある。
【0007】
そこで本発明は、互いに積層しても、塗料の付着を防止できる遮熱建材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の遮熱建材は、次のように構成されている。
【0009】
本発明の一態様として、野地板上に複数配置される屋根材と、前記屋根材の前記野地板側の面に設けられ、前記野地板上に配置された状態で曝露する範囲に塗布された金属粉末又は金属粉末顔料を含有する塗料と、を備える。
【0010】
本発明の一態様として、内壁上に複数配置されることで外壁を構成する壁材本体と、前記壁材本体の前記内壁側の面に設けられ、前記内壁側に曝露する範囲に塗布された金属粉末又は金属粉末顔料を含有する塗料と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、互いに積層しても、塗料の付着を防止できる遮熱建材を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る遮熱建材の構成を模式的に示す説明図。
【図2】同遮熱建材の構成を下方から示す斜視図。
【図3】同遮熱建材の構成を下方から示す平面図。
【図4】同遮熱建材の使用の一例を上方から模式的に示す平面図。
【図5】同遮熱建材の使用の一例を模式的に示す断面図。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る遮熱建材の構成を下方から示す平面図。
【図7】同遮熱建材の使用の一例を模式的に示す断面図。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る遮熱建材の構成及び使用の一例を模式的に示す断面図。
【図9】本発明の第4の実施の形態に係る遮熱建材の構成を模式的に示す説明図。
【図10】同遮熱建材の構成を示す平面図。
【図11】同遮熱建材の使用の一例を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態に係る遮熱建材1を、図1乃至図5を用いて説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態に係る屋根構造100に用いられる遮熱建材1を模式的に示す断面図、図2は遮熱建材1の構成を下方から示す斜視図、図3は遮熱建材1の構成を下方から示す平面図、図4は遮熱建材1の使用の一例である施工時の遮熱建材1の配置を上方から模式的に示す平面図、図5は遮熱建材1の使用の一例である遮熱建材1の積層状態を示す断面図である。
【0014】
なお、図4は、複数の遮熱建材1を一方向にのみ配置した状態を、上方から視認した図であり、他の方向に配置する状態は省略するとともに、突起部12を省略して示す。また、図5は、遮熱建材1の製造後の梱包等のための積層状態を示す。
【0015】
遮熱建材1は、屋根構造100に用いられる。なお、図1に示す屋根構造100は、家屋の屋根構造を示すが、他の屋根構造、例えば、ルーフバルコニー、陸屋根等の屋上用建材にも適用可能である。例えば、屋根構造100は、野地板110と、この野地板110の上に敷かれた防水シート120と、を備えている。遮熱建材1は、防水シート120の上に複数配置及び固定される。
【0016】
遮熱建材1は、屋根に設けられる建材、例えば、防水シート120上に互いにその一部が積層されて複数配置される所謂J形の瓦である。また、遮熱建材1は、製造時や搬送時において、互いに積層(載置)されて梱包される。
【0017】
遮熱建材1は、その表面1a(図1中上面)が屋外側に向かって配置されるとともに、その裏面(野地板側の面)1b(図1中下面)が、屋内側、換言すると野地板110及び防水シート120と対向するように配置される。
【0018】
遮熱建材1は、J形の形状を有する瓦本体(屋根材)10と、低放射率金属膜11と、突起部12と、を備えている。
【0019】
低放射率金属膜11は、遮熱建材1(瓦本体10)の裏面1bに塗布された遮熱性を有する塗料(遮熱塗料)である。低放射率金属膜11は、高温の瓦本体10から伝わる熱を、低い放射率で下面に熱放射する。これにより、低放射率金属膜11は、遮熱建材1の表面1aから室内に伝わる熱移動を抑制し、室内温度の上昇を抑える機能を有する。
【0020】
具体的には、低放射率金属膜11は、遮熱建材1の裏面1bに任意の範囲に設定された塗布範囲11aに塗布され、乾燥することで形成される。
【0021】
遮熱塗料は、例えば、低放射率を有する金属粉末若しくは金属粉末顔料を含有する、リーフィングタイプの塗料である。なお、リーフィングタイプの塗料とは、乾燥時に、金属粉末若しくは金属粉末顔料が、形成された低放射率金属膜11の表面に浮く塗料である。
【0022】
なお、遮熱塗料に用いられる金属粉末若しくは金属粉末顔料の材質として、金属(錫・アルミニウム・金・銀・銅・亜鉛、又は、それら合金等)等が用いられる。
【0023】
図4及び図5に示すように、塗布範囲11aは、施工時、即ち、複数の遮熱建材1を、その一部を積層させて配置させた際に、遮熱建材1の梱包時において、互いに積層された際に、他の遮熱建材1の表面1aに接触しない範囲であって、且つ、裏面1bに曝露する部位に設定される。
【0024】
なお、裏面1bに曝露する部位とは、例えば、野地板110又は防水シート120と対向する部位であって、例えば、遮熱建材1と野地板110及び防水シート120との間の空間(外部)に曝露する部位である。即ち、当該部位は、野地板110側に曝露する部位である。
【0025】
また、塗布範囲11aは、低放射率金属膜11により、瓦本体10から発生する熱放射を遮断できればよく、必ずしも曝露する部位のすべてに設けられていなければならないわけではない。即ち、塗布範囲11aは、熱放射を遮断できる機能を有するように、外部に曝露する部位の範囲におおよそ設けられていればよい。
【0026】
換言すると、塗布範囲11aは、施工時に隣り合う遮熱建材1の低放射率金属膜11と隣接して設けられ、少なくとも野地板110及び/又は防水シート120に直接対向する部位に設定される。
【0027】
具体的には、塗布範囲11aは、裏面1bであって、突起部12及び他の遮熱建材1と接触する部位を除いた(避けた)範囲のいずれかに設けられる。
【0028】
突起部12は、瓦本体10に複数設けられる。突起部12は、当該突起部12が設けられた遮熱建材1が積層する他の遮熱建材1の表面1aの一部と当接可能に形成されている。突起部12は、当該積層において、遮熱建材1の裏面1bと当該遮熱建材1と積層する遮熱建材1の表面1aと間に所定の間隙を形成可能に形成されている。
【0029】
なお、突起部12は、複数の遮熱建材1を積層したときに、他の遮熱建材1の低放射率金属膜11の塗布範囲11a外と当接可能であれば、瓦本体10の表面1a及び裏面1bのどちらに設けられていてもよい。
【0030】
突起部12は、例えば、桟木130に引き掛ける爪部20と、水返し21と、により構成されている。即ち、爪部20及び水返し21は、瓦本体10の表面1a及び/又は裏面1bに設けられ、遮熱建材1同士が積層した際に、遮熱建材1の裏面1bに設けられた低放射率金属膜11が、当該遮熱建材1と積層する他の遮熱建材1に接触しないように、前述の所定の間隙を形成することが可能に形成されている。
【0031】
なお、突起部12は、爪部20及び水返し21以外の他に、他の遮熱建材1の表面1aと所定の間隙を形成する機能のみを有する突起を有していてもよい。
【0032】
このように構成された屋根構造100に用いられる遮熱建材1は、図1及び図4に示すように、施工時に、複数の遮熱建材1が、瓦本体10の一部が互いに積層して配置される。このとき、遮熱建材1は、その裏面1bに設けられた低放射率金属膜11により、上方からの熱移動を遮熱することで、遮熱材を遮熱建材1の表面1aに設ける場合や遮熱シートを野地板110又は防水シート120上に設けた場合と同様に屋内の温度上昇を抑えることができる。
【0033】
低放射率金属膜11の塗布範囲11aは、突起部12と他の遮熱建材1とが接触する部位を除いた範囲のいずれかに設けられる。また、突起部12は、製造された遮熱建材1の梱包等における積層時に、遮熱建材1の低放射率金属膜11が、当該遮熱建材1が積層する他の遮熱建材1と接触することを防止する間隙を形成する。これら塗布範囲11a及び突起部12により、低放射率金属膜11が、他の遮熱建材1に接触することを防止することができる。
【0034】
これにより、製造時において、低放射率金属膜11の塗布後、低放射率金属膜11が乾燥する前に、梱包等のために遮熱建材1を積層しても、他の遮熱建材1に低放射率金属膜11が付着することを防止することが可能となる。
【0035】
このため、遮熱建材1は、その製造時において、低放射率金属膜11の乾燥処理を行わずに複数積層した状態、換言すると、梱包した状態で自然乾燥が可能となる。また、乾燥していない低放射率金属膜11が塗布された遮熱建材1を積層できるため、低放射率金属膜11の塗布後の乾燥のための工程及び製造時間を低減することが可能となる。
【0036】
また、低放射率金属膜11として、リーフィングタイプの塗料を用いた場合には、低放射率金属膜11が乾燥後であっても、低放射率金属膜11に他の遮熱建材1が接触すると、金属粉末若しくは金属粉末顔料が当該遮熱建材1に付着する虞がある。しかし、突起部12により、複数の遮熱建材1の積層時に、他の遮熱建材1と接触することを防止する間隙を形成することで、他の遮熱建材1に、低放射率金属膜11の金属粉末若しくは金属粉末顔料が付着することを防止できる。
【0037】
上述したように、本実施の形態に係る遮熱建材1によれば、突起部12を設け、他の遮熱建材1との積層時に所定の間隙を形成することで、低放射率金属膜11又は低放射率金属膜11の金属粉末若しくは金属粉末顔料等の塗料が、他の遮熱建材1に付着することを防止可能となる。
【0038】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施の形態に係る遮熱建材1Aについて、図6及び図7を用いて説明する。なお、上述した遮熱建材1と同様の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0039】
遮熱建材1Aは、屋根構造100に用いられる。遮熱建材1Aは、互いにその一部が積層されて配置される所謂F形の瓦である。また、遮熱建材1Aは、製造時や搬送時において、互いに積層して梱包される。
【0040】
遮熱建材1Aは、その表面1a(図1中上面)が屋外側に向かって配置されるとともに、その裏面1b(図1中下面)が、野地板110及び防水シート120と対向するように配置される。
【0041】
遮熱建材1Aは、F形の形状を有する瓦本体10Aと、低放射率金属膜11と、突起部12と、積層部13と、を備えている。また、遮熱建材1Aは、例えば、突起部12とは異なる突出部25を備えている。
【0042】
突起部12は、爪部20と、水返し21と、により構成されている。突起部12は、裏面1bに設けられ、遮熱建材1Aが積層する他の遮熱建材1Aの表面1aの一部と当接可能に形成されるとともに、当該積層において、他の遮熱建材1Aと所定の間隙を形成可能に形成されている。
【0043】
積層部13は、遮熱建材1Aの一対の端辺に設けられ、互いに積層可能に形成されている。積層部13は、例えば、一方が他方にオーバーラップすることで積層されるアンダーラップ部26及びオーバーラップ部27を備えている。
【0044】
突出部25は、裏面1bから突出する突起である。なお、本実施の形態の突出部25は、例えば、その表面に低放射率金属膜11が形成されるとともに、その頂部が突起部12よりも突出しないように、突起部12よりも短く形成されている。換言すると、突出部25は、積層時に、他の遮熱建材1Aの表面1aに、干渉しない高さに突出して形成される。
【0045】
このように構成された屋根構造100に用いられる遮熱建材1Aは、上述した第1の実施形態の遮熱建材1と同様の効果を得ることが可能となる。更に言えば、遮熱建材1Aは、突起部12を突出部25よりも突出させ、突起部12である爪部20及び水返し21により、遮熱建材1Aの積層時に、他の遮熱建材1Aと間隙を形成することで、低放射率金属膜11が他の遮熱建材1Aに付着することを防止することが可能となる。
【0046】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第2の実施の形態に係る遮熱建材1Bについて、図8を用いて説明する。なお、上述した遮熱建材1,1Aと同様の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0047】
遮熱建材1Bは、上述した遮熱建材1Aと略同等の構成であって、突起部12が、爪部20及び水切り21に加え、さらに突出部25を備える構成に形成されている。また、遮熱建材1Bは、低放射率金属膜11の塗布範囲11aとして、突出部12に低放射率金属膜11を塗布しない構成である。
【0048】
換言すると、遮熱建材1Bは、瓦本体10Aと、爪部20、水切り21及び突出部25を有する突起部12と、を備え、突出部25は、爪部20及び水切り21と略同一の高さに形成されている。
【0049】
このように構成された遮熱建材1Bは、上述した第2の実施形態の遮熱建材1Aと同様の効果を得ることが可能となる。更に言えば、遮熱建材1Bは、突起部12である爪部20、水返し21及び突出部25により、遮熱建材1Bの積層時に、他の遮熱建材1Bと間隙を形成することで、低放射率金属膜11が他の遮熱建材1Bに付着することを防止することが可能となる。
【0050】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施の形態に係る遮熱建材2について、図9、図10及び図11を用いて説明する。
図9は本発明の第4の実施の形態に係る壁構造200に用いられる遮熱建材2を模式的に示す断面図、図10は遮熱建材2の構成を屋内側から示す平面図、図11は遮熱建材2の使用の一例である遮熱建材1の積層状態を示す断面図である。
【0051】
遮熱建材2は、壁構造200に用いられる。図9に示すように、壁構造200は、例えば、屋内側に配置された石膏ボード210と、石膏ボード210の屋外側に設けられた気密シート211と、気密シート211の屋外側に設けられた断熱材212と、断熱材212の屋外側に設けられた透湿防水シート213と、透湿防水シート213の屋外側に設けられ、通気層を形成する胴縁214と、胴縁214の屋外側に設けられた遮熱建材2と、を備えている。
【0052】
石膏ボード210、気密シート211、断熱材212、透湿防水シート213、及び、胴縁214は、壁構造200のうち、内壁を構成するが、他の構成により内壁を構成してもよく、また、上記の一部により内壁を構成してもよい。
【0053】
遮熱建材2は、互いにその一部が積層されて配置され、壁構造200の外壁を構成する壁材である。また、遮熱建材2は、製造時や搬送時において、互いに積層して梱包される。
【0054】
遮熱建材2は、その表面2aが屋外側に向かって配置されるとともに、その裏面2bが、屋内側(内壁側)、換言すると胴縁214と対向するように胴縁214に配置及び固定される。また、遮熱建材2は、胴縁214に固定された際に、胴縁214により形成された空気層に、その内壁側の一部が曝露する。なお、胴縁214は、遮熱建材2と、透湿防水シート213の間に通気層を形成するとともに、遮熱建材2を固定可能に形成されているが、その詳細な説明は省略する。
【0055】
遮熱建材2は、方形板状の壁材本体40と、低放射率金属膜41と、突起部42と、積層部43と、を備えている。
【0056】
低放射率金属膜41は、遮熱建材2(壁材本体40)の裏面2bに設けられている。低放射率金属膜41は、上述した低放射率金属膜11と同一の遮熱塗料により形成されることで、当該低放射率金属膜11と同様の機能を有する。このため、低放射率金属膜41の詳細な説明は省略する。
【0057】
低放射率金属膜41は、遮熱建材2の裏面2bに任意の範囲に設定された塗布範囲41aに設けられる。低放射率金属膜41は、遮熱塗料が遮熱建材2の裏面2bに塗布され、乾燥することで形成される。
【0058】
図10に示すように、塗布範囲41aは、施工時に複数の遮熱建材2を、互いの積層部43を積層させて配置させた際に、少なくとも、内壁側に曝露する範囲、さらに言えば、胴縁214により形成される空気層に曝露する範囲に設定される。
【0059】
具体的には、塗布範囲41aは、突起部42及び他の遮熱建材2と接触する部位を除いた範囲、例えば、突起部42及び積層部43を除く裏面2bに設定されている。また、塗布範囲41aは、少なくとも裏面2bの内壁側に曝露する部位に設定される。なお、当該塗布範囲41aは、遮熱建材2が熱放射を遮断できる機能を有するように、空気層に曝露する部位の範囲におおよそ設けられていればよい。
【0060】
突起部42は、壁材本体40に複数設けられる。突起部42は、積層する他の遮熱建材2の表面2aの一部と当接可能に形成され、当該積層において、遮熱建材2の裏面2bと当該遮熱建材2が積層される遮熱建材2の表面2aとの間に所定の間隙を形成可能に形成されている。
【0061】
また、突起部42は、例えば、遮熱建材2の施工時に、その先端が胴縁214に配置されることで、低放射率金属膜41が胴縁214により形成される空気層に露出される。
【0062】
本実施の形態の遮熱建材2においては、突起部42は、例えば、塗布範囲41aと積層部43との間に、壁材本体40の長手方向に沿って2つ設けられる。
【0063】
積層部43は、遮熱建材2の一対の端辺に、例えば、壁材本体40の長手方向に沿って設けられ、互いに積層可能に形成されている。積層部43は、例えば、一方が他方にオーバーラップすることで積層されるアンダーラップ部46及びオーバーラップ部47を備えている。
【0064】
このように構成された壁構造200に用いられる遮熱建材2は、施工時に、複数の遮熱建材2が、壁材本体40の積層部43が互いに積層して配置される。このとき、遮熱建材2は、その裏面2bに設けられた低放射率金属膜41により、屋外側からの熱移動を遮熱することで、遮熱材を遮熱建材2の表面2aに設ける場合と同様に屋内の温度上昇を抑えることができる。
【0065】
また、低放射率金属膜41の塗布範囲41aは、突起部42、及び、遮熱建材2の積層時に他の遮熱建材2と接触する部位を除いた範囲に設けられる。また突起部42は、遮熱建材2の積層時に、低放射率金属膜41が、他の遮熱建材2との接触を防止する間隙を形成する。これらの構成により、遮熱建材2を積層しても、低放射率金属膜41が、他の遮熱建材2に接触することを防止することができる。
【0066】
これにより、製造時において、低放射率金属膜41の塗布後、低放射率金属膜41が乾燥する前に梱包等のために遮熱建材2を積層しても、他の遮熱建材1に低放射率金属膜41が付着することを防止することが可能となる。
【0067】
このため、製造時において、低放射率金属膜41の乾燥処理を行わずに遮熱建材2を積層できるため、低放射率金属膜41の塗布後の乾燥のための工程及び製造時間を低減することが可能となる。
【0068】
また、低放射率金属膜41として、リーフィングタイプの塗料を用いた場合には、低放射率金属膜41が乾燥後であっても、低放射率金属膜41に他の遮熱建材2が接触すると、金属粉末若しくは金属粉末顔料が当該遮熱建材2に付着する虞がある。しかし、突起部42により、複数の遮熱建材2の積層時に、他の遮熱建材2と接触することを防止する間隙を形成することで、他の遮熱建材2に、低放射率金属膜41の金属粉末若しくは金属粉末顔料が付着することを防止できる。
【0069】
上述したように、本実施の形態に係る遮熱建材2によれば、突起部42を設け、他の遮熱建材2との積層時に所定の間隙を形成することで、低放射率金属膜41又は低放射率金属膜41の金属粉末若しくは金属粉末顔料等の塗料が、他の遮熱建材2に付着することを防止可能となる。
【0070】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述した遮熱建材1,1A,1Bにおいては、屋根材としてJ形及びF形の瓦本体10,10Aを設ける構成を説明したがこれに限定されない。例えば、S形の瓦を用いてもよく、他の形状であってもよい。また、瓦本体10の材質も、適宜設定可能である。例えば、セメント瓦、金属瓦、樹脂瓦等に適用できる。また、瓦以外の屋根材、例えば、タイルやトタン等に適用してもよい。また、他の構成であってもよい。同様に、壁材40に関しても、同様に適宜設定可能である。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論である。
【符号の説明】
【0071】
1,1A,1B,2…遮熱建材、10,10A…瓦本体(屋根材)、11…低放射率金属膜(塗料)、11a…塗布範囲、12…突起部、13…積層部、20…爪部、22…突起、25…突出部、26…アンダーラップ部、27…オーバーラップ部、40…壁材本体、41…低放射率金属膜、41a…塗布範囲、42…突起部、43…積層部、46…アンダーラップ部、47…オーバーラップ部、100…屋根構造、110…野地板、120…防水シート、130…桟木、200…壁構造、210…石膏ボード、211…気密シート、212…断熱材、213…透湿防水シート、214…胴縁、220…第2建材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
野地板上に複数配置される屋根材と、
前記屋根材の前記野地板側の面に設けられ、前記野地板上に配置された状態で前記野地板側に曝露する範囲に塗布された金属粉末又は金属粉末顔料を含有する塗料と、
を備えることを特徴とする遮熱建材。
【請求項2】
前記屋根材に設けられ、前記屋根材の積層時に、他の前記屋根材の前記塗料が塗布される範囲外と当接し、前記塗料と前記屋根材の表面との間に所定の間隙を形成する突起部を備えることを特徴とする請求項1に記載の遮熱建材。
【請求項3】
前記塗料は、前記金属粉末又は前記金属粉末顔料が放射率の低い金属材料により形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遮熱建材。
【請求項4】
前記塗料は、乾燥時に、前記金属粉末又は前記金属粉末顔料の少なくとも一部が、その表面に浮くことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の遮熱建材。
【請求項5】
内壁上に複数配置されることで外壁を構成する壁材本体と、
前記壁材本体の前記内壁側の面に設けられ、前記内壁側に曝露する範囲に塗布された金属粉末又は金属粉末顔料を含有する塗料と、
を備えることを特徴とする遮熱建材。
【請求項6】
前記壁材本体に設けられ、前記壁材本体の積層時に、他の前記壁材本体の前記塗料が塗布される範囲外と当接し、前記塗料と前記壁材本体の表面との間に所定の間隙を形成する突起部を備えることを特徴とする請求項5に記載の遮熱建材。
【請求項7】
前記塗料は、前記金属粉末又は前記金属粉末顔料が放射率の低い金属材料により形成されていることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の遮熱建材。
【請求項8】
前記塗料は、乾燥時に、前記金属粉末又は前記金属粉末顔料の少なくとも一部が、その表面に浮くことを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれかに記載の遮熱建材。
【請求項1】
野地板上に複数配置される屋根材と、
前記屋根材の前記野地板側の面に設けられ、前記野地板上に配置された状態で前記野地板側に曝露する範囲に塗布された金属粉末又は金属粉末顔料を含有する塗料と、
を備えることを特徴とする遮熱建材。
【請求項2】
前記屋根材に設けられ、前記屋根材の積層時に、他の前記屋根材の前記塗料が塗布される範囲外と当接し、前記塗料と前記屋根材の表面との間に所定の間隙を形成する突起部を備えることを特徴とする請求項1に記載の遮熱建材。
【請求項3】
前記塗料は、前記金属粉末又は前記金属粉末顔料が放射率の低い金属材料により形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遮熱建材。
【請求項4】
前記塗料は、乾燥時に、前記金属粉末又は前記金属粉末顔料の少なくとも一部が、その表面に浮くことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の遮熱建材。
【請求項5】
内壁上に複数配置されることで外壁を構成する壁材本体と、
前記壁材本体の前記内壁側の面に設けられ、前記内壁側に曝露する範囲に塗布された金属粉末又は金属粉末顔料を含有する塗料と、
を備えることを特徴とする遮熱建材。
【請求項6】
前記壁材本体に設けられ、前記壁材本体の積層時に、他の前記壁材本体の前記塗料が塗布される範囲外と当接し、前記塗料と前記壁材本体の表面との間に所定の間隙を形成する突起部を備えることを特徴とする請求項5に記載の遮熱建材。
【請求項7】
前記塗料は、前記金属粉末又は前記金属粉末顔料が放射率の低い金属材料により形成されていることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の遮熱建材。
【請求項8】
前記塗料は、乾燥時に、前記金属粉末又は前記金属粉末顔料の少なくとも一部が、その表面に浮くことを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれかに記載の遮熱建材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−112185(P2012−112185A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262650(P2010−262650)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(595031731)株式会社神清 (37)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(595031731)株式会社神清 (37)
【Fターム(参考)】
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