説明

遮蔽体

【課題】粉塵発生空間に粉塵を閉じ込めて該粉塵がトンネル孔全体に拡散する前に効率良く除去することが可能となるのは勿論、防塵シートの透明部分から地山状況等の確認や、照明・測量等を行える実用性に秀れた遮蔽体を提供する。
【解決手段】地山を前方に掘削進行して形成されたトンネル孔1内の粉塵発生箇所2を含む粉塵発生空間3を区画するように設置される遮蔽体Xであって、この遮蔽体Xは、防塵シート4と、該防塵シート4を支持する枠体5とで構成され、前記防塵シート4の少なくとも一部が透明材料で構成されているもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮蔽体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地山を前方に掘削進行してトンネルを形成するトンネル形成工法には種々の工法があるが、いずれの工法においても粉塵が発生する場面があり、この粉塵の除去が問題となっている。
【0003】
一例を挙げれば、発破や掘削機械などによって形成された掘削トンネル孔にコンクリート吹付作業を行う場合、大量のエアーによってセメントを吹き付けるために粒径の大きな粉塵を含む多量の粉塵が発生し、この粉塵が拡散してしまう。
【0004】
このため、コンクリート吹付作業箇所の近くに湿式フィルターや乾式フィルターなどを利用した集塵機を配置して使用したり、また、セメントに粉塵抑制剤を混入したり、また、換気方法を工夫してみたりするなどの様々な対策が行われていたが、いずれも粉塵除去の決め手とはならないものであった。
【0005】
そこで、出願人は、特開平11−324597号公報(特許文献1)に記載されるように、粉塵をトンネル孔全体に拡散させる前に効率良く除去可能なトンネル形成方法を提案している。
【0006】
【特許文献1】特開平11−324597号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記特許文献1を元に、更なる安全性・作業性の向上を図るべく種々研究を行った結果完成したもので、粉塵がトンネル孔全体に拡散する前に効率良く除去し得るのは勿論、防塵シート越しに作業箇所の確認等を行える実用性に秀れた遮蔽体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0009】
地山を前方に掘削進行して形成されたトンネル孔1内の粉塵発生箇所2を含む粉塵発生空間3を区画するように設置される遮蔽体Xであって、この遮蔽体Xは、防塵シート4と、該防塵シート4を支持する枠体5とで構成され、前記防塵シート4の少なくとも一部が透明材料で構成されていることを特徴とする遮蔽体に係るものである。
【0010】
また、請求項1記載の遮蔽体において、前記粉塵発生箇所2で生じる粉塵を含む含粉塵空気を吸引して前記粉塵発生空間3の外に排気する粉塵除去装置6と連通する連通部8が設けられていることを特徴とする遮蔽体に係るものである。
【0011】
また、請求項1,2いずれか1項に記載の遮蔽体において、前記防塵シート4は、全部が透明材料で構成されていることを特徴とする遮蔽体に係るものである。
【0012】
また、請求項1〜3いずれか1項に記載の遮蔽体において、前記遮蔽体Xはトンネル施工装置に着脱自在に設けられることを特徴とする遮蔽体に係るものである。
【0013】
また、請求項4記載の遮蔽体において、前記遮蔽体Xは、前記粉塵発生空間3を区画せしめる機能発揮状態と、前記粉塵発生空間3を区画しない機能非発揮状態とに切り替え自在な構成であることを特徴とする遮蔽体に係るものである。
【0014】
また、請求項4,5いずれか1項に記載の遮蔽体において、前記遮蔽体Xは、前記トンネル施工装置の運転席と前記粉塵発生箇所2との間に設けられていることを特徴とする遮蔽体に係るものである。
【0015】
また、請求項4〜6いずれか1項に記載の遮蔽体において、前記トンネル施工装置は、コンクリート吹付装置9であることを特徴とする遮蔽体に係るものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は上述のように構成したから、粉塵発生空間に粉塵を閉じ込めて該粉塵がトンネル孔全体に拡散する前に効率良く除去することが可能となるのは勿論、防塵シートの透明部分から地山状況等の確認や、照明・測量等を行える実用性に秀れた遮蔽体となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0018】
粉塵発生箇所2から発生した粉塵は遮蔽体Xにより区画された粉塵発生空間3の外へ拡散することが防止される。従って、この粉塵発生空間3内の粉塵濃度が高いままの含粉塵空気を、例えばこの含粉塵空気を吸引して清浄化し粉塵発生空間3の外に排気する粉塵除去装置6によって除去することで、粉塵がトンネル孔3全体に拡散する前に極めて効率的に除去することが可能となる。
【0019】
また、防塵シート4の少なくとも一部は透明であるから、この透明部分を介してコンクリート吹付作業の状況や地山状況を粉塵発生空間3に作業者が立ち入ることなく確認することが可能となり、作業者の粉塵吸引量を可及的に減少させることができる。
【0020】
更に、粉塵発生空間3に照明設備や測量機械を設置することなく、透明部分を介して外部から照明や測量を行うことが可能となり、照明設備や測量機械を粉塵で汚すことがなく、これら照明設備や測量機械の保守がそれだけ容易となる。
【0021】
よって、本発明は、粉塵がトンネル孔全体に拡散する前に効率良く除去し得るのは勿論、従来に比し安全性及び作業性を飛躍的に向上させることができる実用性に秀れた遮蔽体となる。
【実施例】
【0022】
本発明の具体的な実施例について図1〜6に基づいて説明する。
【0023】
本実施例は、地山を前方に掘削進行して形成されたトンネル孔1内の粉塵発生箇所2を含む粉塵発生空間3を区画するように設置される遮蔽体Xであって、この遮蔽体Xは、防塵シート4と、該防塵シート4が張設される枠体5とで構成され、前記防塵シート4の少なくとも一部は透明材料で構成されているものである。
【0024】
各部を具体的に説明する。
【0025】
防塵シート4は、その全部が透明材料で構成されている。本実施例においては、内部に補強用の布製メッシュが入った樹脂製透明フィルムが採用されている。この防塵シート4は、ワイヤー41により鋼製の枠体5に固定される。
【0026】
枠体5は、2本の支柱用鋼管11a・11bを連結鋼管15により防塵シート4の面方向と平行となるように並設して構成される支柱11と、該支柱11によって支持される枠材12と、該枠材12を補強する桟13とで構成されている。図中、符号14は、補強用部材である。
【0027】
本実施例の遮蔽体Xは、図2中のトンネル孔1の上部右側及び左側に対設される三角形状のもの、左側に配設される台形状のもの、右側に配設される一部に切欠窓を形成しこの切欠窓に上縁のみを止着した防塵シート4が設けられた台形状のものの計4つを一組とした構成である。この4つの遮蔽体Xのうち、左側及び右側の遮蔽体Xは軸棒33を介して折曲可能に構成されている。即ち、左側及び右側の枠体5は、軸棒33を境として基端側と先端側とが蝶番(図示省略)を介して回動自在に連結され、先端側と基端側とを折畳み重合し得るように構成されている。
【0028】
尚、防塵シート4としてはフィルム状や膜状のものに限らず、強化ガラス板や透明アクリル板等、板状のものを採用しても良いし、これらを併用しても良い。この場合、メッシュがない分だけ粉塵発生空間3内を見易くなる。また、枠体5として樹脂材等の透明材を採用しても良い。この場合、より作業者の視界を確保できることになる。
【0029】
防塵シート4と前記枠体5とは、図1及び図2に図示したように、トンネル施工装置としてのコンクリート吹付装置9に着脱自在に設けられている。具体的には、図3及び図4に図示したようにコンクリート吹付装置9にして該コンクリート吹付装置9の運転席10と前記粉塵発生箇所2との間に設けられている。
【0030】
従って、コンクリート吹付装置9を運転する作業者が粉塵発生空間3内にいる必要がなく、作業者が吸引する粉塵量は可及的に低減される。
【0031】
尚、コンクリート吹付装置は上述のように運転席から操作するのではなく、例えばコンクリート吹き付け作業時に防塵シートの外側若しくはマスク等の防護措置を講じて粉塵発生空間内でリモコンで操作するものを採用しても良い。
【0032】
また、遮蔽体Xは、粉塵発生空間3を区画せしめる機能発揮状態と、前記粉塵発生空間3を区画しない機能非発揮状態とに切替し得るように構成され、コンクリート吹付装置9に設けられている。即ち、機能を発揮する開状態と機能を発揮せずコンクリート吹付装置9に添設状態に収納される閉状態とに切り替えし得るように構成されている。
【0033】
前記4つの遮蔽体Xの支柱11には、コンクリート吹付装置9に設けられた上部左側用,上部右側用,左側用及び右側用の嵌合凹部20若しくは嵌合凸部21と嵌合する嵌合部が設けられている。
【0034】
具体的には、上部左側及び上部右側の枠体5は、図5に図示したように(図1及び図2のA部分)、支柱11(支柱用鋼管11a・11b)の下端部が前記コンクリート吹付装置9の嵌合凹部20に夫々嵌合せしめられる嵌合凸部16・17に設定されている。
【0035】
コンクリート吹付装置9の上部左側用及び上部右側用の嵌合凹部20としては、前記支柱用鋼管11a・11bが挿入可能な筒状鋼管が採用されている。この筒状鋼管は、片側に夫々3つずつ設けられており、この3つの筒状鋼管23,24,25は略L字状に配設されている。
【0036】
この3つの筒状鋼管23,24,25は夫々、前記支柱用鋼管11a・11b同士の間隔と略同間隔で配設されている。尚、図中、符号38は筒状鋼管固定用の固定枠、39は筒状鋼管が立設状態で固定される固定板である。
【0037】
また、この3つの筒状鋼管23,24,25は、前記支柱用鋼管11a・11bを、筒状鋼管23・24に嵌合せしめた場合、防塵シート4がコンクリート吹付装置9の長さ方向と略直交するように配設され、また、筒状鋼管23・25に嵌合せしめた場合、防塵シート4がコンクリート吹付装置9の長さ方向と略平行になるように配設されている。
【0038】
従って、遮蔽体Xをコンクリート吹付装置9に強固に取り付けることができ、しかも、筒状鋼管23・24に嵌合されている上部左側及び上部右側の遮蔽体Xの支柱11を該筒状鋼管23・24から抜き出し、筒状鋼管23・25に嵌合することで、粉塵発生空間3を区画せしめる機能発揮状態から、前記粉塵発生空間3を区画しない機能非発揮状態に簡単に切り替えることが可能となる。
【0039】
また、左側及び右側の枠体5は、図6に図示したように(図1及び図2のB部分)、支柱11の中央部(長さ方向略中央位置)に、前記コンクリート吹付装置9の左側用及び右側用の嵌合凸部21に夫々嵌合せしめられる嵌合凹部18・19を形成した鋼製の嵌合体26が設けられている。
【0040】
前記嵌合凸部21としては、前記嵌合体26の嵌合凹部18・19に挿入可能な棒状鋼管が採用されている。この棒状鋼管は、片側に夫々3つずつ設けられており、この3つの棒状鋼管27・28・29は略L字状に配設されている。
【0041】
この3つの棒状鋼管27・28・29は夫々、前記左側及び右側の嵌合体26に設けられた嵌合凹部18・19同士の間隔と略同間隔で配設されている。尚、図中、符号40は棒状鋼管が立設状態で固定される固定体である。
【0042】
また、この3つの棒状鋼管27・28・29は、前記嵌合体26の嵌合凹部18・19を、棒状鋼管27・28に嵌合せしめた場合、防塵シート4がコンクリート吹付装置9の長さ方向と略直交するように配設され、また、棒状鋼管27・29に嵌合せしめた場合、防塵シート4がコンクリート吹付装置9の長さ方向と略平行になるように配設されている。
【0043】
従って、遮蔽体Xをコンクリート吹付装置9に強固に取り付けることができ、しかも、棒状鋼管27・28に嵌合されている左側及び右側の遮蔽体Xの嵌合体26を該棒状鋼管27・28から抜き出し、棒状鋼管27・29に嵌合することで、粉塵発生空間3を区画せしめる機能発揮状態から、前記粉塵発生空間3を区画しない機能非発揮状態に簡単に切り替えることが可能となる。
【0044】
また、棒状鋼管27・28・29は、棒状鋼管27の長さが2つの棒状鋼管28・29より長く設定されている。従って、嵌合体26の嵌合凹部19から一方の棒状鋼管28・29のみを抜いて、嵌合凹部18に嵌合されている棒状鋼管27を軸として嵌合体26を水平方向に回動させ、嵌合凹部19を他方の棒状鋼管28・29に嵌合するだけで遮蔽体Xを粉塵発生空間3を区画する機能発揮状態から、前記粉塵発生空間3を区画しない機能非発揮状態に簡単に切り替えることができる。
【0045】
尚、本実施例においては、機能発揮状態と機能非発揮状態とを切り替える構成として上述の構成を採用しているが、例えば、支柱に対して防塵シート4を回動可能な状態で枢着する蝶番結合やボール結合、支柱を回転可能な状態で支持する軸回転結合等を用いて水平方向や鉛直方向に回動自在に設ける構成等、他の構成を採用しても良い。
【0046】
また、遮蔽体Xには、前記粉塵発生箇所2で生じる粉塵を含む含粉塵空気を吸引して前記粉塵発生空間3の外に排気する粉塵除去装置6と連通する連通部8が設けられている。
【0047】
具体的には、右側の防塵シート4の一部はフィルムに切欠窓が形成され、この切欠窓に上縁のみを止着した防塵シート4が設けられ、この上縁のみ止着した防塵シート4をめくり上げることで連通部8が形成される。従って、この連通部8を介して例えば粉塵除去装置6により含粉塵空気を吸引することで粉塵を除去することができる。
【0048】
また、遮蔽体Xは、トンネル孔1に配設した際、該遮蔽体Xとトンネル孔1の内周壁との間に所定間隙30を有するように配設される。従って、前記粉塵除去装置6により粉塵発生空間3内の含粉塵空気を吸引した際、この粉塵発生空間3内が負圧となり、粉塵発生空間3外から清浄な空気がこの間隙30から粉塵発生空間3内に流入することになり、粉塵発生空間3から間隙30を通じて含粉塵空気が外部に漏出することが可及的に阻止できる。
【0049】
図中、符号32は既にトンネル孔の内周壁31に吹き付けられたコンクリートに形成されたトンネル補強壁、42はコンクリート吹付装置にコンクリートを供給するコンクリート供給装置、34はコンクリート吹付装置9に付設されたコンクリートを吹き付けるノズル、36は粉塵除去装置6が積載される車両である。
【0050】
尚、コンクリート吹付装置9,粉塵除去装置6及びコンクリート供給装置33はいずれも車載型であり、トンネル孔1内を容易に移動可能で、発破などによってトンネル孔1を更に掘削進行する場合や、トンネル補強壁32にコンクリートブロック37を配設してトンネル孔1を完成させる場合には邪魔にならない位置に容易に退避させることができる。
【0051】
以下、作業工程について更に詳述する。
【0052】
粉塵発生箇所2は、コンクリート吹付作業箇所2であり、大量のエアーによってセメント小砂利や水や薬剤などの混合物(コンクリート吹付原料)をトンネル孔1の内周壁31に吹き付ける作業をコンクリート吹付装置9により行っており、粒径の大きな粉塵(小砂利)やミスト状の粉塵などが混じった大量の粉塵が発生している。
【0053】
コンクリート吹付装置9,粉塵除去装置6及びコンクリート供給装置33をトンネル孔1の所定の位置に配設する。
【0054】
続いて、コンクリート吹付装置9に付設された各遮蔽体Xを機能発揮状態としてトンネル長さ方向に対して直交するように配置してコンクリート吹付作業箇所2を含む粉塵発生空間3を区画する。
【0055】
尚、本実施例ではコンクリート吹付作業箇所2をトンネル孔1の切羽35寄りで行う為、粉塵発生空間3がトンネル孔1の内周壁31とトンネル孔1の切羽35と遮蔽体Xとにより区画されることになるが、トンネル孔1の中間部付近などで粉塵発生作業を行う場合には本実施例の2つの遮蔽体とトンネル孔1の内周壁31とで粉塵発生空間3を区画するようにしても良いし、遮蔽体Xを粉塵発生空間を囲繞することで区画するようにしても良い。また、トンネル孔1を掘削推進する掘削機等は、コンクリート吹付作業箇所2外に移動せしめておく。
【0056】
続いて、コンクリート吹付装置9によりトンネル孔1の内周壁31にコンクリート吹き付け作業を行い、また、粉塵除去装置6により粉塵発生空間3内の含粉塵空気を吸い出して粉塵除去作業を行う。この際、右側の遮蔽体Xには、粉塵発生空間3内の含粉塵空気を粉塵発生空間3の外に放出する粉塵除去装置6の吸引口7と連通する連通部8(ダクト部)が設けられているから、粉塵発生空間3内の含粉塵空気は該ダクト部を通過して粉塵除去装置6に達し、該粉塵除去装置6により粉塵を除去されて清浄な空気となり、粉塵発生空間3外へ放出される。
【0057】
この粉塵除去装置6による含粉塵空気の吸い出し量は、コンクリート吹付装置9による吹付コンクリート量とエアー量の総和量より多く設定する。従って、粉塵発生空間3内には本実施例の遮蔽体Xとトンネル孔1の内周壁31との間隙30から清浄な空気が導入されることになり、この空気の流れによって粉塵発生空間3内の含粉塵空気が前記間隙30から漏出したりせず、また、粉塵発生空間3内と粉塵発生空間3外とに圧力差が発生したりせず、良好に含粉塵空気の吸い出しを行えることになる。
【0058】
その後、前記コンクリート吹付装置9,粉塵除去装置6及びコンクリート供給装置33をトンネル孔1の切羽35付近から移動せしめ、再び掘削機等をトンネル孔1の切羽35付近に移動せしめて掘削を再開する。
【0059】
尚、本実施例は上述のようにコンクリート吹付装置9に本実施例の遮蔽体Xを付設した場合について説明したが、他の装置に設けたり、遮蔽体単独で用いても良いのは勿論である。
【0060】
本実施例は上述のように構成したから、粉塵発生箇所2から発生した粉塵は遮蔽体Xにより区画された粉塵発生空間3の外へ拡散することが防止される。従って、この粉塵発生空間3内の粉塵濃度が高いままの含粉塵空気を、例えばこの含粉塵空気を吸引して清浄化し粉塵発生空間3の外に排気する粉塵除去装置6によって除去することで、粉塵がトンネル孔3全体に拡散する前に極めて効率的に除去することが可能となる。
【0061】
また、遮蔽体Xをトンネル長さ方向と直交するように配設するだけで極めて簡便に粉塵発生空間3を区画することができる。
【0062】
また、防塵シート4が透明であるからこの防塵シート4を介してコンクリート吹付作業の状況や地山状況を粉塵発生空間3に作業者が立ち入ることなく、良好に確認することが可能となり、作業者の粉塵吸引量を可及的に減少させることができる。
【0063】
従って、防塵シート4が作業者の視界の妨げとなりにくく、移動時等にこの防塵シート4を取り外すことも小さく折畳む必要もなく、外方に突出しないようにコンクリート吹付装置9に沿設するだけで良く、極めて作業性に秀れたものとなる。
【0064】
更に、粉塵発生空間3に照明設備や測量機械を設置することなく、防塵シート4越しに粉塵発生空間3外から照明や測量を行うことが可能となり、照明設備や測量機械を粉塵で汚すことがなく、これら照明設備や測量機械の保守がそれだけ容易となる。
【0065】
よって、本実施例は、粉塵がトンネル孔全体に拡散する前に効率良く除去し得るのは勿論、従来に比し安全性及び作業性を飛躍的に向上させることができる実用性に秀れた遮蔽体となる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本実施例の概略説明斜視図である。
【図2】本実施例の粉塵発生箇所側から見た概略説明正面図である。
【図3】本実施例の概略説明側面図である。
【図4】本実施例の概略説明側面図である。
【図5】図1及び図2のA部分の拡大概略説明斜視図である。
【図6】図1及び図2のB部分の拡大概略説明斜視図である。
【符号の説明】
【0067】
1 トンネル孔
2 粉塵発生箇所
3 粉塵発生空間
4 防塵シート
5 枠体
6 粉塵除去装置
8 連通部
9 コンクリート吹付装置
X 遮蔽体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地山を前方に掘削進行して形成されたトンネル孔内の粉塵発生箇所を含む粉塵発生空間を区画するように設置される遮蔽体であって、この遮蔽体は、防塵シートと、該防塵シートを支持する枠体とで構成され、前記防塵シートの少なくとも一部が透明材料で構成されていることを特徴とする遮蔽体。
【請求項2】
請求項1記載の遮蔽体において、前記粉塵発生箇所で生じる粉塵を含む含粉塵空気を吸引して前記粉塵発生空間の外に排気する粉塵除去装置と連通する連通部が設けられていることを特徴とする遮蔽体。
【請求項3】
請求項1,2いずれか1項に記載の遮蔽体において、前記防塵シートは、全部が透明材料で構成されていることを特徴とする遮蔽体。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか1項に記載の遮蔽体において、前記遮蔽体はトンネル施工装置に着脱自在に設けられることを特徴とする遮蔽体。
【請求項5】
請求項4記載の遮蔽体において、前記遮蔽体は、前記粉塵発生空間を区画せしめる機能発揮状態と、前記粉塵発生空間を区画しない機能非発揮状態とに切り替え自在な構成であることを特徴とする遮蔽体。
【請求項6】
請求項4,5いずれか1項に記載の遮蔽体において、前記遮蔽体は、前記トンネル施工装置の運転席と前記粉塵発生箇所との間に設けられていることを特徴とする遮蔽体。
【請求項7】
請求項4〜6いずれか1項に記載の遮蔽体において、前記トンネル施工装置は、コンクリート吹付装置であることを特徴とする遮蔽体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate