説明

遮音性能体感設備

【課題】ドア付き開口やサッシ付き開口に複数種類のドアやサッシを取り付けた場合の遮音性の相違や、複数種類の間仕切壁の遮音性の相違を、効果的に比較しながら体感できる遮音性能体感設備を提供する。
【解決手段】体感者が在室する体感ルーム11と、体感ルーム11の周囲に配置された、一対の間仕切用音源室13a,13bと、一対のドア用音源室15a,15bと、一対のサッシ用音源室17a,17bとを有する。各間仕切用音源室13a,13bは、遮音性能の異なる間仕切壁12a,12bを挟んで体感ルーム11と対向しており、各ドア用音源室15a,15bは、遮音性能の異なるドア付き開口14a,14bを挟んで体感ルーム11と対向しており、各サッシ用音源室17a,17bは、遮音性能の異なるサッシ付き開口16a,16bを挟んで体感ルーム11と対向している。各音源室には、スピーカ20及びマイクロフォン21が設置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮音性能体感設備に関し、特に、遮音性能の異なる複数の間仕切壁やドアやサッシ等の遮音性能を比較しながら効果的に体感できる遮音性能体感設備に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅建築物や集合住宅等の建物の内部における遮音性能等の音環境に関する性能については、建物を建築する前に実際に体感することが難しく、例えばカタログ上の数値のみを用いて説明が行われているのが現状である。このため、建物の音環境に関する性能については、説明する側も説明される側も、実感を伴った納得をすることができないまま建物が建築されることになり、想定していた遮音性能等の音環境と建物の建築後の実際の音環境とが相違することが考えられる。
【0003】
このようなことから、外壁、床、排水管など、住宅における各部の仕様の違いによる防音遮音状態を体験できるようにした防音遮音体験装置(例えば、特許文献1参照)や、界壁、床などの住宅における各部の仕様の違いによる防音遮音状態を体験できるようにした騒音体験装置(例えば、特許文献2参照)が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−2124418号公報
【特許文献2】特開2004−226705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の防音遮音体験装置では、サッシが設けられた外壁と、全く窓が設けられずに構成された外壁と、出窓サッシが設けられた外壁と、防音ドアが設けられた防音壁との遮音性能の相違を体感することができるようになっているが、例えばドア付き開口やサッシ付き開口に取り付けられる、遮音性能が相違する複数種類のドアやサッシの遮音性を、効果的に比較しながら体感することは困難である。
【0006】
また、特許文献2の騒音体験装置では、体験室と騒音発生室との間の開口を密閉する、最新仕様、及び在来仕様の2種類の界壁を、開口に沿って移動させて交代で取り付けることにより、2種類の界壁による騒音の違いを体験室で把握させることができるようになっているが、界壁の移動に手間がかかるため、これらの界壁の遮音性能の相違を効果的に比較しながら体感することは困難である。
【0007】
本発明は、例えばドア付き開口やサッシ付き開口に遮音性能が異なる複数種類のドアやサッシを取り付けた場合の遮音性の相違や、遮音性能が異なる複数種類の間仕切壁の遮音性の相違を、効果的に比較しながら体感することのできる遮音性能体感設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、体感者が在室する体感ルームと、該体感ルームの周囲に配置された、間仕切壁を挟んで前記体感ルームと対向する少なくとも一対の間仕切用音源室と、ドア付き開口を挟んで前記体感ルームと対向する少なくとも一対のドア用音源室と、サッシ付き開口を挟んで前記体感ルームと対向する少なくとも一対のサッシ用音源室とを有する遮音性能体感設備であって、前記少なくとも一対の間仕切用音源室は、遮音性能の異なる前記間仕切壁を挟んで前記体感ルームと対向しており、前記少なくとも一対のドア用音源室は、遮音性能の異なるドアが取り付けられた前記ドア付き開口を挟んで前記体感ルームと対向しており、前記少なくとも一対のサッシ用音源室は、遮音性能の異なるサッシが取り付けられた前記サッシ付き開口を挟んで前記体感ルームと対向しており、且つ、前記各音源室には、スピーカ及びマイクロフォンが設置されている遮音性能体感設備を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0009】
そして、本発明の遮音性能体感設備は、前記体感ルームの周囲に、少なくとも一対の給気口が形成された給気用間仕切壁を挟んで前記体感ルームと対向する給気口音源室が配置されており、前記少なくとも一対の給気口には、遮音性能の異なる給気装置が取り付けられていることが好ましい。
【0010】
また、本発明の遮音性能体感設備は、前記体感ルームの周囲に、制御室が配置されており、該制御室に設けられた制御装置に前記スピーカ及びマイクロフォンが接続していて、前記各音源室における音響が制御されるようになっていることが好ましい。
【0011】
さらに、本発明の遮音性能体感設備は、前記体感ルームの上方の床面に歩行時の衝撃を再現する装置である歩行加振器が設置されており、前記体感ルームにおいて歩行者による床衝撃音を体感できるようになっていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の遮音性能体感設備によれば、例えばドア付き開口やサッシ付き開口に遮音性能が異なる複数種類のドアやサッシを取り付けた場合の遮音性の相違や、遮音性能が異なる複数種類の間仕切壁の遮音性の相違を、効果的に比較しながら体感することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)は、本発明の好ましい一実施形態に係る遮音性能体感設備が設けられた部分のモデル住宅の1階平面図、(b)は2階平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の好ましい一実施形態に係る遮音性能体感設備10は、図1(a),(b)に示すように、例えば住宅展示場に設置された、住宅建築物における音環境を体感させるための2階建てのモデル住宅50に組み込んで設けられた設備であり、例えば住宅建築物の購入を検討する購入予定者(ユーザ)が、好ましくは営業者と共に体感者として体感ルーム11に在室することにより、種々の音環境の下で、例えばドア付き開口やサッシ付き開口に遮音性能が相違する複数種類のドアやサッシを取り付けた場合の遮音性の相違や、遮音性能が相違する複数種類の間仕切壁の遮音性の相違を、実際に比較しながら体感することができるようにするための設備として採用されたものである。
【0015】
そして、本実施形態の遮音性能体感設備10は、体感者が在室する体感ルーム11と、体感ルーム11の周囲に配置された、間仕切壁12a,12bを挟んで体感ルーム11と対向する少なくとも一対(本実施形態では一対)の間仕切用音源室13a,13bと、ドア付き開口14a,14bを挟んで体感ルーム11と対向する少なくとも一対(本実施形態では一対)のドア用音源室15a,15bと、サッシ付き開口16a,16bを挟んで体感ルーム11と対向する少なくとも一対(本実施形態では一対)のサッシ用音源室17a,17bとを有する2階建ての設備であって、一対の間仕切用音源室13a,13bは、遮音性能の異なる間仕切壁12a,12bを挟んで体感ルーム11と対向しており、一対のドア用音源室15a,15bは、遮音性能の異なるドア18a,18bが取り付けられたドア付き開口14a,14bを挟んで体感ルーム11と対向しており、一対のサッシ用音源室17a,17bは、遮音性能の異なるサッシ19a,19bが取り付けられたサッシ付き開口16a,16bを挟んで体感ルーム11と対向しており、且つ、各音源室13a,13b,15a,15b,17a,17bには、スピーカ20及びマイクロフォン21が設置されている。
【0016】
また、本実施形態では、体感ルーム11の周囲に、少なくとも一対(本実施形態では一対)の給気口22a,22bが形成された給気用間仕切壁23を挟んで体感ルーム11と対向する給気口音源室24が配置されており、一対の給気口22a,22bには、遮音性能の異なる給気装置25a,25bが取り付けられている。
【0017】
さらに、本実施形態では、体感ルーム11の周囲に、制御室26が配置されており、この制御室26に設けられた制御装置27に、各音源室13a,13b,15a,15b,17a,17b,24に配置されたスピーカ20及びマイクロフォン21が接続していて、各音源室13a,13b,15a,15b,17a,17b,24における音響が制御されるようになっている。
【0018】
さらにまた、本実施形態では、体感ルーム11の上方の2階の床面28に歩行時の衝撃を再現する装置である歩行加振器29が設けられており、下階の体感ルーム11において歩行者による床衝撃音を体感できるようになっている。
【0019】
本実施形態では、遮音性能体感設備10は、例えば2階建てのモデル住宅50の一部として、周囲を外周遮音壁30によって囲まれた状態で設けられており、図1(a),(b)に示すように、1階部分と2階部分とを有している。遮音性能体感設備10の1階部分には、図1(a)に示すように、例えば南側に面した中央部分に8畳程度の広さの略正方形の平面形状を有する体感ルーム11が設けられており、この体感ルーム11には、椅子やソファー等が適宜配設されていると共に、一対の防音ドア31を介してユーザや営業者が外部から出入りして、在室することができるようになっている。この体感ルーム11の周囲の三方を囲むようにして、北側及び東西両側の部分には、一対の間仕切用音源室13a,13bと、一対のドア用音源室15a,15bと、一対のサッシ用音源室17a,17bとが、体感ルーム11の中央を中心線とする略対称な位置に各々配置された状態で設けられている。
【0020】
一対の間仕切用音源室13a,13bは、体感ルーム11の北側の部分に略対称に配置される2畳程度の広さの略正方形の平面形状を有する音源室であり、東側の第1間仕切用音源室13aと、西側の第2間仕切用音源室13bとからなる。第1間仕切用音源室13aと第2間仕切用音源室13bとの間は、第1仕切遮音壁32aによって仕切られていると共に、両側に隣接する第1ドア用音源室15aや第2ドア用音源室15bとは、ドア付仕切遮音壁33a,33bによって各々仕切られた状態となっている。そして、これらのドア付仕切遮音壁33a,33bに設けられた防音ドア34を介して、第1ドア用音源室15aや第2ドア用音源室15bから、第1間仕切用音源室13aや第2間仕切用音源室13bに各々出入りできるようになっている。
【0021】
また、一対の間仕切用音源室13a,13bは、体感ルーム11の北側の壁面に沿って配置された遮音性能の異なる2種類の間仕切壁12a,12bを挟んで各々体感ルーム11と対向するようになっている。すなわち、第1間仕切用音源室13aと体感ルーム11とを仕切る第1間仕切壁12aは、例えば標準仕様の間仕切壁となっており、例えば間柱に支持させて表裏の面に各々12.5mmの厚さの石膏ボードを取り付けると共に、内部にグラスウール等の断熱材が設置されていない仕様となっている。一方、第2間仕切用音源室13bと体感ルーム11とを仕切る第2間仕切壁12bは、例えば界壁間仕切となっており、例えば45×75の間柱と45×105の間柱とが千鳥に配置されると共に、表裏の面に各々12.5mmの厚さの石膏ボードが各々2枚重ねで取り付けられており、且つ内部にグラスウールが設置された仕様となっている。
【0022】
さらに、各間仕切用音源室13a,13bには、好ましくは体感ルーム11の中央を中心線とする略対称な位置に配置されて、スピーカ20及びマイクロフォン21が各々設置されている。
【0023】
一対のドア用音源室15a,15bは、1階部分の北東の角部及び北西の角部に略対称に配置される3畳程度の広さの略矩形の平面形状を有する音源室であり、北東の角部の第1ドア用音源室15aと、北西の角部の第2ドア用音源室15bとからなる。第1ドア用音源室15aは、第1ドア付仕切遮音壁33aによって第1間仕切用音源室13aと仕切られていると共に、第3ドア付仕切遮音壁33cによって南側の第1サッシ用音源室17aと仕切られている。一方、第2ドア用音源室15bは、第2ドア付仕切遮音壁33bによって第2間仕切用音源室13bと仕切られていると共に、第4ドア付仕切遮音壁33dによって南側の第2サッシ用音源室17bと仕切られている。
【0024】
また、一対のドア用音源室15a,15bは、遮音性能の異なる2種類のドア18a,18bが取り付けられたドア付き開口14a,14bを挟んで各々体感ルーム11と対向するようになっている。すなわち、第1ドア用音源室15aと体感ルーム11とを仕切る第1ドア付き開口14aに取り付けられた第1ドア18aは、例えば標準仕様のドアとなっており、第2ドア用音源室15bと体感ルーム11とを仕切る第2ドア付き開口14bに取り付けられた第2ドア18bは、例えば防音仕様のドアとなっている。
【0025】
さらに、各ドア用音源室15a,15bには、好ましくは体感ルーム11の中央を中心線とする略対称な位置に配置されて、スピーカ20及びマイクロフォン21が各々設置されている。
【0026】
一対のサッシ用音源室17a,17bは、体感ルーム11の東側及び西側の部分に略対称に配置される2畳程度の広さの略矩形の平面形状を有する音源室であり、東側の第1サッシ用音源室17aと、西側の第2サッシ用音源室17bとからなる。第1サッシ用音源室17aは、第3ドア付仕切遮音壁33cによって第1ドア用音源室15aと仕切られていると共に、第2仕切遮音壁32bによって後述する南側の制御室26と仕切られている。一方、第2サッシ用音源室17bは、第4ドア付仕切遮音壁33dによって第2ドア用音源室15bと仕切られていると共に、第5ドア付仕切遮音壁33eによって後述する南側の給気口音源室24と仕切られている。そして、これらのドア付仕切遮音壁33c,33dに設けられた防音ドア34を介して、第1ドア用音源室15aや第2ドア用音源室15bから、第1サッシ用音源室17aや第2サッシ用音源室17bに各々出入りできるようになっている。
【0027】
また、一対のサッシ用音源室17a,17bは、遮音性能の異なる2種類のサッシ19a,19bが取り付けられたサッシ付き開口16a,16bを挟んで各々体感ルーム11と対向するようになっている。すなわち、第1サッシ用音源室17aと体感ルーム11とを仕切る第1サッシ付き開口16aに取り付けられた第1サッシ19aは、例えば標準仕様のサッシとなっており、第2サッシ用音源室17bと体感ルーム11とを仕切る第2サッシ付き開口16bに取り付けられた第2サッシ19bは、例えば2重サッシとなっている。
【0028】
さらに、各サッシ用音源室17a,17bには、好ましくは体感ルーム11の中央を中心線とする略対称な位置に配置されて、スピーカ20及びマイクロフォン21が各々設置されている。
【0029】
そして、本実施形態では、第2サッシ用音源室17bの南側には、1階部分の南西の角部に配置されて、給気口音源室24が設けられている。給気口音源室24は、1畳程度の広さの略矩形の平面形状を有する音源室であり、第5ドア付仕切遮音壁33eによって北側の第2サッシ用音源室17bと仕切られていると共に、第5ドア付仕切遮音壁33eに設けられた防音ドア34を介して、第2サッシ用音源室17bから、給気口音源室24に出入りできるようになっている。
【0030】
また、給気口音源室24は、遮音性能の異なる2種類の給気装置25a,25bが取り付けられた一対の給気口22a,22bを有する給気用間仕切壁23を挟んで体感ルーム11と対向するようになっている。すなわち、一対の給気口22a,22bは、例えば給気用間仕切壁23に左右2箇所に同じ高さで開口形成されており、北側の第1給気口22aに取り付けられた第1給気装置25aは、例えば標準仕様の給気装置となっており、南側の第2給気口22bに取り付けられた第2給気装置25bは、例えば防音仕様の給気装置となっている。
【0031】
さらに、給気口音源室24には、スピーカ20及びマイクロフォン21が設置されている。
【0032】
一方、本実施形態では、第1サッシ用音源室17aの南側には、1階部分の南東の角部に配置されて、制御室26が設けられている。制御室26は、1畳程度の広さの略矩形の平面形状を有する部屋であり、第2仕切遮音壁32bによって北側の第1サッシ用音源室17aと仕切られていると共に、体感ルーム11との間を仕切る引戸口35を介して、体感ルーム11から出入りできるようになっている。
【0033】
本実施形態では、制御室26には、例えばコンピュータ等からなる制御装置27が設けられており、この制御装置27には、各種の配線や、アンプ、デジタル演算装置、デ−タレコーダ等を介して各音源室13a,13b,15a,15b,17a,17b,24に配置されたスピーカ20及びマイクロフォン21が接続している。これによって、各音源室13a,13b,15a,15b,17a,17b,24における音響を制御装置27によって制御することが可能になり、また各音源室13a,13b,15a,15b,17a,17b,24において生じさせる音の種類や音響(音質、音量等)を任意に選択でき、さらに各音源室13a,13b,15a,15b,17a,17b,24で発生させた音を体感ルーム11においてパソコンの画像上で可視化して確認することができるようになっている。
【0034】
また、制御装置に各種のプログラムを組み込んでおくことにより、各音源室13a,13b,15a,15b,17a,17b,24に所定の順序で所定の種類の音響(音質、音量等)を自動的に発生させるように制御して、例えば音響の違いや、間仕切壁、ドア、サッシ、給気装置等の仕様の違いによる遮音性の相違を、体系的に比較させながら、効果的に体感者に体感させることができるようになっている。
【0035】
さらに、本実施形態では、体感ルーム11の上方の2階の床面28には、図1(b)に示すように、歩行加振器29が設けられている。すなわち、本実施形態では、重量衝撃音や軽量衝撃音とは異なる、遮音上重要な実生活で生じる歩行者による床衝撃音を体感させることが可能な装置として、歩行時の衝撃を再現する装置である歩行加振器29が設けられている。このような歩行加振器29としては、例えば特開2001−141600号公報に記載された、対象床における歩行者による衝撃音の的確な測定や評価を可能にする、連続衝撃音発生装置を用いることができる。
【0036】
そして、上述の構成を備える本実施形態の遮音性能体感設備によれば、例えばドア付き開口14a,14bやサッシ付き開口16a,16bに遮音性能が異なる複数種類のドア18a,18bやサッシ19a,19bを取り付けた場合の遮音性の相違や、遮音性能が異なる複数種類の間仕切壁12a,12bの遮音性の相違を、効果的に比較しながら体感することが可能になる。
【0037】
すなわち、本実施形態によれば、例えば形状、配置、内装、音の拡散状況等について略同一の条件で設けられた、一対の間仕切用音源室13a,13bと、一対のドア用音源室15a,15bと、一対のサッシ用音源室17a,17bとが、体感ルーム11の周囲に設置されており、各間仕切用音源室13a,13bや、各ドア用音源室15a,15bや、各サッシ用音源室17a,17bには、体感ルーム11との間に、遮音性能が異なる複数種類の仕様の間仕切壁12a,12bや、ドア18a,18bや、サッシ19a,19bが各々取り付けられているので、これらの音源室13a,13b,15a,15b,17a,17bに、所定の音響を同じ条件で、例えば比較するのに適した所定の間隔で略同時に発生させたり、繰り返し発生させたり、交互に発生させたりすることによって、例えば対象部位や部材の遮音性能について、一般的なものと高性能のものとの遮音性の相違を、実空間に非常に近い環境下で比較しながら効果的に体感することが可能になる。
【0038】
また、本実施形態では、体感ルーム11の周囲に、一対の給気口22a,22bが形成された給気用間仕切壁23を挟んで体感ルーム11と対向する給気口音源室24が配置されているので、例えば給気口音源室24に道路交通や鉄道やその他の騒音を模した音響を発生させることにより、給気口22a,22bに取り付けられた遮音性能の異なる2種類の給気装置25a,25bによる遮音性の相違を、効果的に比較しながら体感することが可能になる。
【0039】
さらに、本発明では、例えば間仕切壁とドアやサッシとの遮音性能を比較することで、遮音性の観点からどこが弱点になっているかを体感を通して習得することも可能である。
【0040】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、体感ルームの周囲に間仕切用音源室やドア用音源室やサッシ用音源室を3箇所以上配置すると共に、各々の音源室に遮音性能の異なる間仕切壁やドアやサッシを取り付けて、3種類以上の間仕切壁やドアやサッシについて、遮音性の相違を体感ルームで体感できるようにすることも可能である。また、本発明の遮音性能体感設備は、購入予定者(ユーザ)に異なる種類の対象部位や部材の遮音性の相違を体感してもらうための設備として用いる他、例えば住宅メーカーの社員に異なる種類の対象部位や部材の遮音性の相違を体感してもらうための、社員研修用の設備として用いることも可能である。
【符号の説明】
【0041】
10 遮音性能体感設備
11 体感ルーム
12a,12b 間仕切壁
13a,13b 間仕切用音源室
14a,14b ドア付き開口
15a,15b ドア用音源室
16a,16b サッシ付き開口
17a,17b サッシ用音源室
18a,18b ドア
19a,19b サッシ
20 スピーカ
21 マイクロフォン
22a,22b 給気口
23 給気用間仕切壁
24 給気口音源室
25a,25b 給気装置
26 制御室
27 制御装置
28 2階の床面
29 歩行加振器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体感者が在室する体感ルームと、該体感ルームの周囲に配置された、間仕切壁を挟んで前記体感ルームと対向する少なくとも一対の間仕切用音源室と、ドア付き開口を挟んで前記体感ルームと対向する少なくとも一対のドア用音源室と、サッシ付き開口を挟んで前記体感ルームと対向する少なくとも一対のサッシ用音源室とを有する遮音性能体感設備であって、
前記少なくとも一対の間仕切用音源室は、遮音性能の異なる前記間仕切壁を挟んで前記体感ルームと対向しており、前記少なくとも一対のドア用音源室は、遮音性能の異なるドアが取り付けられた前記ドア付き開口を挟んで前記体感ルームと対向しており、前記少なくとも一対のサッシ用音源室は、遮音性能の異なるサッシが取り付けられた前記サッシ付き開口を挟んで前記体感ルームと対向しており、
且つ、前記各音源室には、スピーカ及びマイクロフォンが設置されてる遮音性能体感設備。
【請求項2】
前記体感ルームの周囲に、少なくとも一対の給気口が形成された給気用間仕切壁を挟んで前記体感ルームと対向する給気口音源室が配置されており、前記少なくとも一対の給気口には、遮音性能の異なる給気装置が取り付けられている請求項1記載の遮音性能体感設備。
【請求項3】
前記体感ルームの周囲に、制御室が配置されており、該制御室に設けられた制御装置に前記スピーカ及びマイクロフォンが接続していて、前記各音源室における音響が制御されるようになっている請求項1又は2記載の遮音性能体感設備。
【請求項4】
前記体感ルームの上方の床面に歩行加振器が設置されており、前記体感ルームにおいて歩行者による床衝撃音を体感できるようになっている請求項1〜3のいずれかに記載の遮音性能体感設備。

【図1】
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【公開番号】特開2011−2482(P2011−2482A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143003(P2009−143003)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(000183428)住友林業株式会社 (540)
【Fターム(参考)】