説明

選択された密度の水性媒体によって使用済み有機物質を分離すると共に同時に純度を向上させる方法

除去すべき種々の汚染物質と共に混合されている、二つの異なる密度の使用済み有機合成物質の混合物を、前記有機物質及び汚染物質を分離する閾値としての選択密度“ds”を有している濃縮された水性媒体で、選択的に分離すると共に同時に純度を増加させる方法であって、以下の工程を有する。a)混合物を二つの流体である上澄み流体(a1)と沈殿物流体(a2)とに分離する工程;b)上澄み流体を除去し、第1の再利用可能な使用済み有機合成物質から形成される沈殿物を集めることにより、上澄み流体(a1)の要素を分離する工程;c)上澄みを集めて沈殿を除去することにより、沈殿物流体(a2)の要素を分離する工程;及びd)上澄みを除去し、第2の再利用可能な使用済み有機合成物質から形成される沈殿物を集めることにより、上澄み流体の要素を分離する工程。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の処理手段により、除去対象である汚染物質が含有されている又はされていない、充填又は非充填の高分子及び/又は共重合高分子のような、少なくとも二つの均一な有機合成物質の混合物から、有機合成物質を抽出して汚染物質の無い均一な物質に分離し、少なくとも純度99%の均一で再利用可能な物質を集めることにより、有機合成物質を選択的に分離すると共に同時に純度を向上させる方法に関する。
【0002】
この充填又は非充填の高分子及び/又は共重合高分子は、廃棄され、特に使用済みになり廃棄され、品質向上のため再利用される。この有機合成物質は、第1に、商品の寿命を終えた自動車や耐久消費品の粉砕破壊から生じ、また再利用可能な金属物質を取り除いた後に生じ、汚染物質の主要部を取り除いた後に生じる。有機合成物質の第1分離は、以下に少なくとも2つ示すように、分離閾値として選択される1に等しい密度の水性媒体にて行われる。
【0003】
一つの流体は、密度1の水性相に、この密度を1より小さくさせるために、溶液中に適切な量のアルコールを含有して、1より小さい分離密度を有する。
【0004】
他の流体は、1以上に密度を増加させるため、溶液中及び/又は安定化懸濁液中に、溶解性無機物質又は水相に分散した不溶性無機粉状粒子を有する水性相によって得られる、1以上の分離密度を有する。水性媒体の密度を変化させることにより、使用済み物質の混合物から二つの流体物へ分離する、有機物質の選択的な分離が可能となる。
【0005】
本発明は、より詳細には、汚染物質を含む又は含まない、混合物中の少なくとも二つの均一な有機物質を1に等しい分離密度で均一に分離し、汚染物質を含む場合はその汚染物質を除去して、有機物質を分離すると共に同時に純度を向上させる方法に関する。
【0006】
本発明は、再利用による品質を向上させるため、例え両者の密度が近接していたとしても、混合物中の少なくとも二つの有機合成物質を分離する方法の利用にも関する。
【背景技術】
【0007】
再利用工業は、使用済み有機合成物質の選択的復活及び再利用により、急激に注目されている。
【0008】
使用済み有機合成物質は、一般的には、商品寿命を終えた自動車及び耐久消費品の残骸を粉砕することにより得られる。金属、無機物、木材、及び種々の源からの工業的廃棄物や荷造り廃棄物のような種々の汚染物質といった不愉快な汚染物質を、この残骸から分離することにより、充填又は非充填の、難燃性の又は非難燃性の、混合された又は非混合の高分子及び/又は共重合体高分子が、品質向上されうると考えられている。
【0009】
品質向上される使用済み有機合成物質の再利用工業では、流体構成物を分離するために種々の手法が用いられており、おおよそ汚染している又は汚染されている流体、汚染物質から分離された品質向上される有機合成物質でおおよそ濃縮されている流体、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)共重合体、ポリアミド(PA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、アシル化又はメタクリル化共重合体等のような有機合成物質の種類により均一に濃縮及び分類されている流体、に分離される。ここで上記全ての高分子は充填又非充填であり、混合又は非混合であり、難燃性又は非難燃性である。
【0010】
この現在公知の処理によれば、品質向上される有機合成物質と除去される汚染物質との混合物からなる処理対象である流体を抽出して分離することが可能である。この流体は、以下を含有する。
−密度が1より小さい有機合成物質相
−密度が1以上の有機合成物質相
−例えば、ポリエチレン又はポリウレタン発泡体、フィルム廃棄物、ワイヤー等からなる有機合成物質相
−例えば、砂、ガラス片、木片、金属残骸等のような分離及び品質向上工程にて品質向上されない、除去対象の汚染物質の相
【0011】
商品の寿命を終えた自動車及び/又はその他の品物の粉砕から生じた全ての種類の高分子物質を分離する方法の一つ(欧州特許EP0918606B)は、有機合成物質の破片を得る粉砕工程の後、好ましくは、造形部により機械的分離工程を行い、その後、品質向上される全ての有機合成物質の分離をするための第1密度分離工程が行われる。これは以下の二つの流体となる。
【0012】
密度が1以下の流体は、例えば、ポリエチレン(d=0.92〜0.95)、ポリプロピレン(d=約0.9)、エチレンプロピレン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンプロピレンラバー(EPR)共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン−モノマー(EPDM)共重合体、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリウレタン(PU)発泡体等のような非充填ポリオレフィンを含有する。
【0013】
密度が1以上の他の流体は、例えば、以下を有する。
ポリスチレン:非充填PS(d=約1.05)、
アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体:非充填ABS(d=約1.07)、
ポリ塩化ビニル:プラスチゾルとPVC発泡体のように可塑化されている、
剛性非充填PVC(d=約1.30〜1.40)及び充填PVC(d=約1.40〜1.55)、
ポリカーボネート:密度d1.20〜1.24の非充填PC、密度d=1.3のガラスファイバを20%で充填したPC、又は、密度d=1.44のガラスファイバを30%で充填したPC、
熱硬化性多孔質発泡体を除く熱可塑性ゴム、
ポリウレタン:充填PU(d=約1.21)、
タルク充填ポリプロピレン(タルクが5%〜40%充填されたタルクPP)、
充填ポリエチレン:(2%〜4%のファイバで充填されたPE)、
不飽和ポリエステル(dは約1.10〜1.13の範囲)、
充填又は非充填(しばしばガラスファイバで充填される)の飽和ポリエステル(d≧1.20)、
ポリアミド:充填又は非充填のPA(d=1.13)、PA6.6(d=1.14)、PA6.10(d=1.08)、PA11(d=1.04)、PA12(d=1.02)、
ポリメチルメタクリル酸:PMMA(d=1.18)、
その他
【0014】
その後、これら2つの流体は、各々の要素を抽出し、均一な流体となるように分離し、プラスチック処理工程で直接使用できる定型ペレットを製造するために処理される。
【0015】
しかしながら、各々の使用済み有機合成物質を品質向上のために抽出し、その後均一な流体から定型ペレットを製造する上記の2つの流体の処理は、処理される有機合成物質の流れにおける混合物中の種々の高分子化合物を正確に且つ均一に選別することを可能とするものではない。換言すれば、抽出され分離された高分子化合物の純度を増加させるものではない。
【0016】
密度が1よりも小さい品質向上される有機合成物質の混合物の流体の場合、この流体は、浴中の増加する一連の密度の水性媒体にて、一連の分離工程によって処理される。これにより流体中の種々の高分子化合物のいわゆる均一的な選別が可能となるが、選別の後の純度の向上が不十分である。
【0017】
密度が1以上の有機物質の混合物の流体の場合、個々の浴の密度は分離に適しており、時間がたっても個々の浴の密度は一定のままであるが、浴から浴へ密度が一定の割合で増加する浴における種々の有機合成物質の分離は、問題を有している。
【0018】
充填又は非充填の高分子及び/又は共重合高分子の混合物からなる、密度が1〜約1.6の範囲である第2流体に対して、連続的に水力セパレータの密度を上昇させることにより、混合物中の種々の有機合成物質の分離がなされる。個々のセパレータにおいて水性分離媒体は、水と、無機塩及び/又は粘度若しくはベントナイトのような無機化合物といった水溶性無機化合物と、から形成され、この無機化合物は、液相の密度を増加させ、種々の有機合成物質を二つの相に分離させる密度値にするために入れられる。前記の二つの相のうち、一方は上澄み相であり、他方はセパレータの底に溜まる沈殿相である。この沈殿相の流体に対して新しい密度での分離が行われて、二つの相に分離される。一方は上澄み相であり、他方はセパレータの底に溜まる沈殿相である。
【0019】
このように、一連の水力セパレータを用いて、使用済み高分子物質の各々が分離されるまで、セパレータとセパレータとの密度はどんどん近くなるように一定の間隔で増加するように密度差を利用し、混合物中の使用済み高分子物質を2つの相である上澄み相と沈殿相とに分離することは、従来技術において開示されている。
【0020】
商品の寿命を終えた耐久消費品の粉砕から生じたアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリカーボネート(PC)、ABS/PCアロイ、ポリスチレン(PS)、及びポリオレフィン(PE、PP)を含有する混合物中の使用済み高分子物質を分離する工程は、米国特許出願2003/0027877号に記載されている。この工程は、混合物中のABS及びPCの密度分離を行うための粉砕(6mm、ついで2mm)による2つの粒状化工程の後、増加する密度の水性媒体での一連の4つの工程からなる水力分離を行う。
−ポリオレフィン、ポリスチレン、及び少量のABSから形成される上澄み液部を除去するための密度1.04の第1分離工程の水性媒体、及び、第2分離工程にて処理される沈殿部の再利用
−ABS及びPCからなる第1の再利用可能な生成物から形成される上澄み液部の再利用を可能とする密度1.090の第2分離工程の水性媒体、及び、第3分離工程にて処理される沈殿部
−密度1.160の第3分離工程の水性媒体の上澄み液は除去され、沈殿部は第4分離工程へ送られる
−密度1.203の第4分離工程の水性媒体における、ABS及びPCからなる第2の再利用可能な生成物によって形成される上澄み部は再利用され、沈殿部は繰り返し処理される
【0021】
しかしながら、使用済み有機合成物質を品質向上させるため、工業機械にて密度分離装置を使用する際、下記のような問題がある。
−水性分離媒体は時間の経過に伴い不安定であるので、十分に選択的に且つ均一な密度分離、即ち、汚染物質により水性分離媒体を変化させて物質の種類ごとの明確な分離、は困難である。そのため、分離後の流体には、各々の密度が互いに接近している複数の物質が混在することになる。
−分別された物質は96%又は98%よりも高い純度に到達しない。
【0022】
この液体密度分離媒体では種々の有害現象の発生が観察される。この有害現象は、実際、不利益をもたらすものであり、以下を有する。
−各々を高純度で分離して高分子物質を得るという大きな難題
−より液状又はよりペースト状になる粘度での攪乱振動により明らかになる液体媒体のレオロジー変化
−その密度が、品質向上される使用済み有機合成物質を良好に分離するために最初に選択された基準において安定性を維持できない液体媒体の見かけ密度での偏差又は変位、この偏差(変位)により、濃縮された水性媒体にて分離された流体の組成の変化が生じる
−液体分離媒体の密度における変化の起始部で選択密度を形成するため、水性媒体中に分散した無機化合物の一部の時間経過に伴う沈殿
【0023】
従って、選別された物質の密度の偏差又は混合が無く、汚染物質が選別された物質に混入することも無いように、分離物質の選別された均一な流体を得るために、そして、より高純度の選別された有機合成物質の流体を得るために、商品の寿命を終えた自動車や耐久消費品の粉砕破壊から生じた再利用される使用済み廃棄物を構成する、充填又は非充填の高分子及び/又は共重合体高分子のような品質向上される使用済み有機合成物質の密度分離に関して、明白且つ重要な問題が存在する。
【発明の概要】
【0024】
密度が1より小さいか1以上の選択された密度での分離し、同時に、商品の寿命を終えた自動車、家庭電化製品、及び電気製品の粉砕破壊から生じた、再再利用対象の使用済み有機合成物質の純度を品質向上させるために増加させる本発明に係る方法によれば、従来の不利益を解消でき、従来の方法に実質的な改善を行うことができる。
【0025】
本発明によって、互いに混じり合っており且つ除去対象の種々の汚染物質が混入している異なる密度の二つの使用済み有機合成物質を、有機物質と汚染物質との混合物を二つの流体である上澄み流体と沈殿物流体とに分離する閾値としての選択密度“ds”を備える1よりも小さい又は大きい密度の濃縮された水性媒体で、選択的に分離すると共に同時にその純度を向上させる方法が得られる。この方法は下記を有する。
【0026】
a)分離対象である各々の有機合成物質の密度の間の中間的密度、好ましくは完全に浮遊させるため分離される有機物質のうち最低密度に近い密度、として選択される密度ds(a)の水性媒体を用いて、前記混合物を、二つの流体である上澄み流体(a1)と沈殿物流体(a2)とに分離する高密度ds(a)分離工程
b)ds(a)以下になるように選択される密度ds(b)の水性媒体によって、上澄み流体(a1)の化合物から、汚染物質によって形成される上澄み流体(b1)を除去すると共に、再利用対象の第1の使用済み有機合成物質によって形成される沈殿物流体(b2)を集める低密度ds(b)分離工程
c)沈殿物流体(a2)中に存在する有機合成物質の密度に少なくとも等しいように選択され、密度ds(a)よりも大きい密度ds(c)の水性媒体によって、沈殿物流体(a2)の化合物から、密度ds(c)の有機合成物質と密度ds(a)〜ds(c)の汚染物質との混合から形成される上澄み流体(c1)を分離し、ds(c)以下の密度の汚染物質から形成される沈殿物流体(a2)を除去する高密度ds(c)分離工程
d)密度ds(c)より小さいように選択される密度ds(d)の水性媒体によって、前記上澄み流体(c1)から、密度ds(a)〜ds(c)の汚染物質から形成される上澄み流体(d1)を除去し、密度ds(d)の均一な使用済み有機合成物質によって形成される沈殿物流体(d2)を集めて品質向上させる低密度ds(d)分離工程
【発明を実施するための形態】
【0027】
上述のように背景技術で記載された方法は、最終相までセパレータごとに一定且つ系統的に水性分離媒体の密度が増加する一連の水力セパレータによって、混合物中の使用済み有機合成物質を密度の差により二つの相である上澄み相と沈殿相とに分離するが、本発明に係る方法は、一連のセパレータにおいて密度が交互に変化する。即ち、高密度セパレータの後に低密度セパレータが続くき、その後高密度セパレータが続くので、高密度セパレータにおける浮遊相は次のセパレータでは沈殿相となり、これが継続する。
【0028】
本発明に係る方法において、下記を有する。
−分離対象である各々の有機合成物質の密度の間の中間的密度であり、密度が最低の有機物質を浮遊させるように選択される密度ds(a)の水性媒体を用いて、二つの使用済み有機合成物質と汚染物質との混合物を二つの流体に分離する分離工程(a):
a1)密度が“ds(a)”以下である、均一な有機合成物質と汚染物質とによって形成される上澄み流体
a2)密度が“ds(a)”よりも大きい、均一な有機合成物質と汚染物質とによって形成される沈殿物流体;
−ds(a)以下の密度ds(b)の水性媒体によって、上澄み流体(a1)の化合物から、“ds(b)”以下の密度の汚染物質によって形成される上澄み流体(b1)を除去すると共に、密度“ds(b)”の均一な有機合成物質によって形成される沈殿物流体(b2)を再利用して品質向上させるために集める、二つの使用済み有機合成物質と汚染物質との混合物の分離工程(b);
−沈殿物流体(a2)中に存在する有機合成物質の密度に少なくとも等しいように選択され、密度“ds(a)”よりも大きい密度“ds(c)”の水性媒体によって、沈殿物流体(a2)の化合物から、密度“ds(c)”の有機合成物質と密度“ds(a)”〜“ds(c)”の汚染物質との混合から形成される上澄み流体(c1)を集め、“ds(c)”より大きい密度の汚染物質から形成される沈殿物流体(c2)を除去する、二つの使用済み有機合成物質と汚染物質との混合物の分離工程(c);
−密度“ds(c)”より小さい密度“ds(d)”の水性媒体によって、前記上澄み流体(c1)から、密度“ds(a)”〜“ds(c)”の汚染物質から形成される上澄み流体(d1)を除去し、密度“ds(d)”の均一な使用済み有機合成物質によって形成される沈殿物流体(d2)を集めて品質向上させる、二つの使用済み有機合成物質と汚染物質との混合物の分離工程(d)
【0029】
再利用して品質向上される使用済み有機合成物質の混合物の本発明に係る選択的分離方法は、熱可塑性及び/又は熱硬化性のいずれにせよ、品質向上される全ての充填又は非充填高分子及び/又は共重合高分子物質に適用される。
【0030】
本発明に係る分離方法により分離され、再利用により品質向上される使用済み有機合成物質の混合物は、大半の場合、特に、自動車の粉砕廃棄物や商品の寿命を終えた耐久消費品又は使用され再利用可能な有機合成物質の廃棄物を有する全ての種類の廃棄物からの使用済み有機合成物質の品質向上処理から得られる。有機合成物質は、木材、無機物、金属、ガラス、ゴム、ポリオレフィン又はポリウレタン発泡体、ワイヤ、線維、フィルム廃棄物等のような汚染物質として公知である他の物質から分離されることにより抽出される。
【0031】
本発明に係る分離方法により、少なくとも2つに分離されて、残余の汚染物質から取り除かれる混合物中の使用済み有機合成物質は、清浄され且つ乾燥している状態であるので、分離の閾値として選択された水性分離媒体の密度“ds”を著しく変化させない。
【0032】
本発明に係る分離方法にて実行される分離閾値としての密度“ds”の水性分離媒体は、混合物中の各々の物質が1より小さい密度である使用済み有機合成物質の流体と、混合物中の各々の物質が1以上の密度である使用済み有機合成物質の流体と、の両方から得られる有機合成物質を分離できるように、選択される。
【0033】
品質向上される有機合成物質の流体の密度が1よりも小さい場合、水性分離媒体は、水と、最も簡単な例としてはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブタノール、又はグリコールのようなモノ又はポリアルコールである密度が1より小さい水溶性有機試薬と、からなり、この試薬の量は、密度“ds”の分離閾値として選択される値になるように制御される。
【0034】
品質向上される有機合成物質の流体の密度が1以上の場合、水性分離媒体は、分離閾値“ds0”が正確に1に等しいように選択されて形成され、前記水性媒体は、水と、粘土や炭酸カルシウムのような極小の粒子経を有し、水に不溶性又は低溶解性の無機塩及び/又は無機化合物のような水溶性無機化合物と、からなり、前記水性媒体は、密度“ds”の分離閾値として選択される値になるように制御された量で水中に懸濁される。
【0035】
使用済み有機合成物質が、二つの均一な有機合成物質の流体に分離され、含有されていた汚染物質が除去されると、有機合成物質が熱可塑性の場合は、混合された又は非混合の高分子顆粒の形態で押し出し成形され、この再利用される顆粒は生産工程循環に導入されて、プラスチック処理技術により自動車、家庭電化製品、及び電気工業製品等の部品の製造に用いられる。
【0036】
本発明に係る密度分離方法は、混合物中の少なくとも2つの有機合成物質の選択的な分離及び汚染物質の除去に適用される。ここで有機合成物質は、再利用される使用済み廃棄物である、充填又は非充填の高分子及び/又は共重合体高分子であり、特に、商品の寿命を終えた自動車や耐久消費品の粉砕破壊から得られる。
【0037】
本発明に係る方法によれば、二つの有機合成物質は最初は混合されており、次に分離されて純度99%になる。
【実施例】
【0038】
本発明は、商品の寿命を終えた自動車を粉砕することによって得られた、ポリエチレンとポリプロピレンと除去対象の汚染物質との混合物について、水性媒体での密度分離の実施例の説明を参照することによって更に理解される。
【0039】
下記を有する2トンの物質が本発明に係る方法によって処理される。
−密度が0.920であり、ポリプロピレン及び3%タルクで充填されたポリプロピレンの1.204トンの混合物、合計の60.2%、
−0.684トンのポリエチレン、合計の34.2%、
−0.056トンの汚染物質C1、合計の2.8%(密度<ポリプロピレン密度)、
−0.036トンの汚染物質C2、合計の1.8%(密度>ポリプロピレン密度<ポリエチレン)、
−0.020トンの汚染物質C3、合計の1.0%(密度>ポリエチレン)、合計は2トン
【0040】
各々汚染物質C1、C2、C3は下記に示す。
−C1は、発泡体(ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン等)、木材、多孔質又は発泡プラスチック、及びその他からなり、
−C2は、わずかに充填されたポリプロピレンからなり(タルク又はその他)、
−C3は、シリコーン、ポリスチレン、ABS、及びその他からなる。
【0041】
水性媒体において選別のために選択された密度は、下記に示す。
分離工程(a)では、水性分離媒体の密度は0.925〜0.930の範囲から選択される:
C1ではポリプロピレンは浮かび、C2及びC3ではポリエチレンは沈む;
分離工程(b)では、水性分離媒体の密度は0.850〜0.890の範囲から選択される:
ポリプロピレンは沈みそして再利用される;C1は上澄みである;
分離工程(c)では、水性分離媒体の密度は0.940〜0.950の範囲から選択される:
C2ではポリエチレンは上澄みとなる;C3は沈む;
分離工程(d)では、水性分離媒体の密度は0.910〜0.920の範囲から選択される:
ポリプロピレンは沈みそして再利用される;C2は上澄みであり除去される。
【0042】
再利用されたポリプロピレン及びポリエチレンは均一であり、極めて良好な純度を有しているので、全ての工業分野、特に自動車工業において再利用可能である。
【0043】
ポリスチレン、ABS、PS及びその他のような高分子を再利用するために、その後、汚染物質C1、C2、及びC3の処理がなされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
除去すべき種々の汚染物質と共に混合されている、1以下又は1以上の密度の二つの異なる密度の使用済み有機合成物質の混合物を、前記有機合成物質及び汚染物質を二つの流体である上澄み液流体と沈殿物流体とに分離する閾値としての選択密度“ds”を有している濃縮された水性媒体で、選択的に分離すると共に純度を増加させる方法であって、前記方法は下記工程を有することを特徴とする。
a)分離対象である各々の有機合成物質の密度の間の中間的密度、好ましくは完全に浮遊させるため分離される有機物質のうち最低密度に近い密度、として選択される密度ds(a)の水性媒体を用いて、前記混合物を、二つの流体である上澄み流体(a1)と沈殿物流体(a2)とに分離する高密度ds(a)分離工程
b)ds(a)以下になるように選択される密度ds(b)の水性媒体によって、上澄み流体(a1)の化合物から、汚染物質によって形成される上澄み流体(b1)を除去すると共に、再利用対象の第1の使用済み有機合成物質によって形成される沈殿物流体(b2)を集める低密度ds(b)分離工程
c)沈殿物流体(a2)中に存在する有機合成物質の密度に少なくとも等しいように選択され、密度ds(a)よりも大きい密度ds(c)の水性媒体によって、沈殿物流体(a2)の化合物から、密度ds(c)の有機合成物質と密度ds(a)〜ds(c)の汚染物質との混合から形成される上澄み流体(c1)を分離し、ds(c)以下の密度の汚染物質から形成される沈殿物流体(a2)を除去する高密度ds(c)分離工程
d)密度ds(c)より小さいように選択される密度ds(d)の水性媒体によって、前記上澄み流体(c1)から、密度ds(a)〜ds(c)の汚染物質から形成される上澄み流体(d1)を除去し、密度ds(d)の均一な使用済み有機合成物質によって形成される沈殿物流体(d2)を集めて品質向上させる低密度ds(d)分離工程
【請求項2】
品質向上される有機合成物質の密度が1より小さい場合、前記水性媒体は、水と、最も簡単な例としてはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブタノール、又はグリコールのようなモノ又はポリアルコールである密度が1より小さい水溶性有機試薬と、からなり、この試薬の量は、密度“ds”の分離閾値として選択される値になるように制御されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
品質向上される有機合成物質の密度が1以上の場合、前記水性媒体は、分離閾値“ds0”が正確に1に等しいように選択されて形成され、前記水性媒体は、水と、粘土や炭酸カルシウムのような極小の粒子経を有し、水に不溶性又は低溶解性の無機塩及び/又は無機化合物のような水溶性無機化合物と、からなり、前記水性媒体は、密度“ds”の分離閾値として選択される値になるように制御された量で水中に懸濁されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも二つの有機合成物質の分離、又は、これらを有する汚染物質からの有機合成物質の分離において、品質向上される有機合成物質は、熱可塑性及び/又は熱硬化性の、充填又は非充填の高分子及び/又は共重合高分子であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2012−504049(P2012−504049A)
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529592(P2011−529592)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【国際出願番号】PCT/FR2009/001154
【国際公開番号】WO2010/037927
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(511081277)
【Fターム(参考)】