説明

選択的な核酸の単離方法および組成物

【課題】本発明は、核酸を単離するおよび/または同定するための方法に関する。
【解決手段】本発明の方法は、以下の工程を包含する:選択的にDNAを結合する条件下での、生物学サンプルの固相との接触による、固相への選択的DNA結合を行う工程;固相と結合DNAの、生物学サンプルの非結合部分からの分離を行う工程;および固相からの結合DNAの単離を行う工程。本発明はまた、核酸を単離するおよび/または同定するためのキットも、提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権データ)
本出願は、アメリカ合衆国仮特許出願第60/334,029号(2001年11月28日出願)の利益を主張する。仮特許出願第60/334,029号は、任意の目的で、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、核酸を単離および/または同定するための方法に関する。本発明は、核酸を単離および/または同定するためのキットも提供する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
生物学サンプルから核酸を単離することが、望まれ得る。特定の例において、このような生物学サンプルからの選択的なDNA単離は、有用である。特定の例において、生物学サンプルからの選択的なDNA単離および選択的なRNA単離は、有用である。RNAまたはDNAいずれかの単離のための代表的なプロトコールは、選択的な酵素的分解を、望まない核酸の除去のために使用してきた。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の要旨)
特定の実施形態に従い、生物学サンプルからのDNA単離の方法が、提供される。特定の実施形態において、生物学サンプルからのDNA単離の方法は、以下を包含する:選択的にDNAを結合する条件下での、生物学サンプルの固相との接触による、固相への選択的DNA結合;固相と結合DNAの、生物学サンプルの非結合部分からの分離;および固相からの結合DNAの単離。
【0005】
特定の実施形態に従い、選択的にDNAを結合する条件は、以下を含む結合緩衝液の使用を含む:アルカリpH;および大型のアニオン。この場合の大型のアニオンとは、少なくともブロミドイオンの大きさである。
【0006】
特定の実施形態に従い、生物学サンプルからのDNAおよびRNAの単離の方法が、提供される。この方法は、以下を包含する:選択的にDNAを結合する条件下での、生物学サンプルの第一固相との接触による、第一固相への選択的なDNAの結合;第一固相と結合DNAの、生物学サンプルの第一非結合部分からの分離;第一固相からのDNAの単離;および生物学サンプルの第一非結合部分からのRNAの単離。
【0007】
特定の実施形態に従い、生物学サンプルの第一非結合部分からのRNAの単離は、以下を包含する:RNAを第二固相に結合させる条件下において、生物学サンプルの第一非結合部分を、第二固相に晒す工程;第二固相と結合RNAの、生物学サンプルの第二部分からの分離;および第二固相からの結合RNAの単離。
【0008】
特定の実施形態に従い、生物学サンプルからの核酸の単離の方法が、提供される。この方法は、以下を包含する:DNAおよびRNAの両方を結合する条件下での、生物学サンプルの第一固相との接触による、第一固相への核酸の結合;第一固相と結合核酸の、生物学サンプルの第一非結合部分からの分離;選択的にDNAを結合する条件下での、第一固相と結合核酸からのRNAの溶出;第一溶出物からの第一固相とDNAの除去;および第一固相からの結合DNAの単離。
【0009】
特定の実施形態に従い、選択的にDNAを結合する条件は、以下を含む結合緩衝液の使用を含む;アルカリpH;および大型のアニオン。この場合の大型のアニオンとは、少なくともブロミドイオンの大きさである。
【0010】
特定の実施形態に従い、生物学サンプルからの核酸の単離の方法は、さらに以下を包含する:RNAが第二固相に結合する条件下において、第一溶出物を第二固相に晒す工程;第二溶出物からの、第二固相と結合RNAの分離;および第二固相からの結合RNAの単離。
【0011】
特定の実施形態に従い、固相からの核酸の単離は、固相からの核酸の溶出を包含する。
【0012】
特定の実施形態に従い、生物学サンプルにおいてDNAを同定する方法が、提供される。特定の実施形態に従い、生物学サンプルにおいてDNAを同定する方法は、以下を包含する:選択的にDNAを結合する条件下での、生物学サンプルの固相との接触による、固相への選択的DNA結合;固相と結合DNAの、生物学サンプルの非結合部分からの分離;および固相に結合したDNAの同定。特定の実施形態に従い、固相上の核酸の同定は、固相に結合する核酸の増幅を包含する。
【0013】
特定の実施形態に従い、以下を含むキットが提供される:アルカリpHの緩衝液;大型のアニオン;および固相。この場合の大型のアニオンとは、少なくともブロミドの大きさである。
【0014】
特定の実施形態に従い、以下を含むキットが提供される:固相;核酸結合緩衝液により生み出された条件下において、DNAおよびRNAの両方が固相に結合するような、核酸結合緩衝液;ならびに選択的DNA結合緩衝液により生み出された条件が、DNAを選択的に固相に結合させるような、選択的DNA結合緩衝液。
(1) 生物学サンプルからDNAを単離する方法であって、上記方法は、以下:
上記生物学サンプルを、選択的DNA結合条件下で固相と接触させることにより、DNAを、上記固相に選択的に結合させる、工程;
上記固相と上記結合DNAを、上記生物学サンプルの非結合部分から分離する工程;および
上記DNAを、上記固相から単離する工程、
を、包含する、方法。
(2) 上記固相からの上記DNAの単離が、上記DNAの溶出を含む、項目1に記載の方法。
(3) 上記固相がケイ酸含有物質である、項目1に記載の方法。
(4) 上記ケイ酸含有物質が、シリカ、二酸化ケイ素、珪藻土、ガラス、セライト、およびシリカゲルの少なくとも1つから選択される、項目3に記載の方法。
(5) 上記固相が、粒子、ビーズ、膜、フリット、チャンバの表面、および容器の壁の少なくとも1つから選択される形状である、項目4に記載の方法。
(6) 上記選択的DNA結合条件が、以下:
アルカリ性pH;および
少なくともブロミドイオンの大きさである大型アニオン、
を含む結合緩衝液の使用を含む、項目1に記載の方法。
(7) 上記大型アニオンが、ピクレート、タンネート、タングステート、モリブデート、パークロレート、およびスルホサリチレートの少なくとも1つから選択される、項目6に記載の方法。
(8) 上記大型アニオンが、トリクロロアセテート、トリブロモアセテート、チオシアネート、およびニトレートの少なくとも1つから選択される、項目6に記載の方法。
(9) 上記大型アニオンが、ヨードイオンおよびブロミドイオンの少なくとも1つから選択される、項目6に記載の方法。
(10) 上記アルカリ性pHが、pH8.0以上である、項目6に記載の方法。
(11) 上記アルカリ性pHが、pH9.0以上である、項目6に記載の方法。
(12) 上記アルカリ性pHが、pH10.0以上である、項目6に記載の方法。
(13) 生物学サンプルからDNAおよびRNAを単離するための方法であって、上記方法は、以下:
上記生物学サンプルを、選択的DNA結合条件下で、第一固相と接触させることにより、DNAを、上記第一固相へ選択的に結合させる工程;
上記第一固相と上記結合DNAを、上記生物学サンプルの非結合部分から分離する工程;
上記DNAを、上記第一固相から単離する工程;および
RNAを、上記生物学サンプルの上記第一非結合部分から単離する工程、
を、包含する、方法。
(14) 上記第一固相からの上記DNAの上記単離が、上記DNAの溶出を含む、項目13に記載の方法。
(15) 項目13に記載の方法であって、上記RNAを上記生物学サンプルの上記第一非結合部分から単離する工程が、以下:
上記生物学サンプルの上記第一非結合部分を、RNAが第二固相に結合する条件で、上記第二固相に晒すこと;
上記第二固相と結合RNAを、上記生物学サンプルの第二非結合部分から分離すること;および
RNAの溶出により、RNAを、上記第二固相から単離すること、
を、包含する、方法。
(16) RNAが上記第二固相へ結合する上記条件が、中性または酸性pHを含む、項目15に記載の方法。
(17) 上記第二固相がケイ酸含有物質である、項目15に記載の方法。
(18) 上記ケイ酸含有物質が、シリカ、二酸化ケイ素、珪藻土、ガラス、セライト、およびシリカゲルの少なくとも1つから選択される、項目17に記載の方法。
(19) 上記第二固相が、粒子、ビーズ、膜、フリット、チャンバの表面、および容器の壁の少なくとも1つから選択される形状である、項目15に記載の方法。
(20) 上記選択的DNA結合条件が、以下:
アルカリ性pH;および
少なくともブロミドイオンの大きさである大型アニオン、
を含む結合緩衝液の使用を含む、項目15に記載の方法。
(21) 上記大型アニオンが、ピクレート、タンネート、タングステート、モリブデート、パークロレート、およびスルホサリチレートの少なくとも1つから選択される、項目20に記載の方法。
(22) 上記大型アニオンが、トリクロロアセテート、トリブロモアセテート、チオシアネート、およびニトレートの少なくとも1つから選択される、項目20に記載の方法。
(23) 上記大型アニオンが、ヨードイオンおよびブロミドイオンの少なくとも1つから選択される、項目20に記載の方法。
(24) 上記アルカリ性pHが、pH8.0以上である、項目20に記載の方法。
(25) 上記アルカリ性pHが、pH9.0以上である、項目20に記載の方法。
(26) 上記アルカリ性pHが、pH10.0以上である、項目20に記載の方法。
(27) RNAが上記第二固相へ結合する上記条件が、中性およびアルカリ性pHを含む、項目21に記載の方法。
(28) 生物学サンプルから核酸を単離する方法であって、上記方法は、以下:
上記生物学サンプルを、RNAおよびDNA両方の結合条件下で、第一固相と接触させることにより、核酸を、上記第一固相へ結合させる工程;
上記第一固相と上記結合核酸を、上記生物学サンプルの第一非結合部分から分離する工程;
RNAを、選択的DNA結合条件下で、上記第一固相と上記結合核酸から溶出する工程;
上記第一固相と上記結合DNAを、第一溶出物から除去する工程;および
上記DNAを、上記第一固相から単離する工程、
を、包含する、方法。
(29) 上記第一固相からの上記DNAの上記単離が、上記第一固相からの上記DNAの溶出を含む、項目28に記載の方法。
(30) 上記第一固相がケイ酸含有物質である、項目28に記載の方法。
(31) 上記ケイ酸含有物質が、シリカ、二酸化ケイ素、珪藻土、ガラス、セライト、およびシリカゲルの少なくとも1つから選択される、項目30に記載の方法。
(32) 上記第一固相が、粒子、ビーズ、膜、フリット、チャンバの表面、および容器の壁の少なくとも1つから選択される形状である、項目31に記載の方法。
(33) 上記選択的DNA結合条件が、以下:
アルカリ性pH;および
少なくともブロミドイオンの大きさである大型アニオン、
を含む結合緩衝液の使用を含む、項目28に記載の方法。
(34) 上記大型アニオンが、ピクレート、タンネート、タングステート、モリブデート、パークロレート、およびスルホサリチレートの少なくとも1つから選択される、項目33に記載の方法。
(35) 上記大型アニオンが、トリクロロアセテート、トリブロモアセテート、チオシアネート、およびニトレートの少なくとも1つから選択される、項目33に記載の方法。
(36) 上記大型アニオンが、ヨードイオンおよびブロミドイオンの少なくとも1つから選択される、項目33に記載の方法。
(37) 上記アルカリ性pHが、pH8.0以上である、項目33に記載の方法。
(38) 上記アルカリ性pHが、pH9.0以上である、項目33に記載の方法。
(39) 上記アルカリ性pHが、pH10.0以上である、項目33に記載の方法。
(40) 項目28に記載の方法であって、上記方法は、以下:
上記第一溶出物を、RNAが上記第二固相に結合する条件で、上記第二固相に晒す工程;
上記第二固相と上記結合RNAを、上記第一溶出物の非結合部分から分離する工程;および
上記RNAを、上記第二固相から単離する工程、
を、さらに包含する、方法。
(41) 上記第二固相からの上記RNAの上記単離が、上記RNAの溶出を含む、項目40に記載の方法。
(42) 上記第二固相がケイ酸含有物質である、項目40に記載の方法。
(43) 上記ケイ酸含有物質が、シリカ、二酸化ケイ素、珪藻土、ガラス、セライト、およびシリカゲルの少なくとも1つから選択される、項目42に記載の方法。
(44) 上記第二固相が、粒子、ビーズ、膜、フリット、チャンバの表面、および容器の壁の少なくとも1つから選択される形状である、項目43に記載の方法。
(45) RNAが上記第二固相へ結合する上記条件が、中性または酸性pHを含む、項目40に記載の方法。
(46) 上記選択的DNA結合条件が、以下:
アルカリ性pH;および
少なくともブロミドイオンの大きさである大型アニオン、
を含む結合緩衝液の使用を含む、項目40に記載の方法。
(47) RNAが上記第二固相へ結合する上記条件が、中性または酸性pHを含む、項目46に記載の方法。
(48) 生物学サンプルにおけるDNAを同定する方法であって、上記方法は、以下:
上記生物学サンプルを、選択的DNA結合条件下で固相と接触させることにより、DNAを、上記固相に選択的に結合させる、工程;
上記固相と上記結合DNAを、上記生物学サンプルの非結合部分から分離する工程;および
上記固相に結合した上記DNAを、同定する工程、
を、包含する、方法。
(49) 上記固相に結合した上記DNAの同定が、上記固相に結合した上記DNAの増幅を含む、項目48に記載の方法。
(50) 生物学サンプルにおけるDNAおよびRNAを同定する方法であって、上記方法は、以下:
上記生物学サンプルを、選択的DNA結合条件下で、第一固相と接触させることにより、DNAを、上記第一固相へ選択的に結合させる工程;
上記第一固相と上記結合DNAを、上記生物学サンプルの第一非結合部分から分離する工程;
上記第一固相に結合した上記DNAを、同定する工程;および
上記生物学サンプルの上記第一非結合部分からRNAを同定する工程、
を、包含する、方法。
(51) 上記第一固相に結合した上記DNAの同定が、上記第一固相に結合した上記DNAの増幅を含む、項目50に記載の方法。
(52) 生物学サンプルにおける核酸を同定する方法であって、上記方法は、以下:
上記生物学サンプルを、DNAおよびRNA両方の結合条件下で、第一固相と接触させることにより、核酸を、上記第一固相へ結合させる工程;
上記第一固相と上記結合核酸を、上記生物学サンプルの第一非結合部分から分離する工程;
RNAを、選択的DNA結合条件下で、上記第一固相と結合核酸から溶出する工程;
上記第一固相と結合DNAを、第一溶出物から除去する工程;および
上記第一固相に結合した上記DNAを、同定する工程、および
上記第一固相に結合した上記DNAを同定する工程、
を、包含する、方法。
(53) 上記第一固相に結合した上記DNAの同定が、上記第一固相に結合した上記DNAの増幅を含む、項目52に記載の方法。
(54) 以下:
アルカリ性pHの緩衝液;
少なくともブロミドイオンの大きさである大型アニオン;および
固相、
を、含むキット。
(55) 上記大型アニオンが、ピクレート、タンネート、タングステート、モリブデート、パークロレート、およびスルホサリチレートの少なくとも1つから選択される、項目54に記載のキット。
(56) 上記大型アニオンが、トリクロロアセテート、トリブロモアセテート、チオシアネート、およびニトレートの少なくとも1つから選択される、項目54に記載のキット。
(57) 上記大型アニオンが、ヨードイオンおよびブロミドイオンの少なくとも1つから選択される、項目54に記載のキット。
(58) 上記アルカリ性pHが、pH8.0以上である、請項目54に記載のキット。
(59) 上記アルカリ性pHが、pH9.0以上である、項目54に記載のキット。
(60) 上記アルカリ性pHが、pH10.0以上である、請項目54に記載のキット。
(61) 以下:
固相;
核酸結合緩衝液であって、上記核酸結合緩衝液により、DNAおよびRNAの両方が結合する条件が生じる、核酸結合緩衝液;および
選択的DNA結合緩衝液であって、上記選択的DNA結合緩衝液により、DNAを上記固相に選択的に結合させる条件が生じる、選択的DNA結合緩衝液、
を、含むキット。
(62) RNA結合緩衝液をさらに含み、上記RNA結合緩衝液により、RNAを上記固相に結合させる条件が生じる、項目61に記載のキット。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(特定の実施形態の詳細な説明)
上述の一般的記載および以下の詳細な記載の両方は、ただ代表的および説明的なものであり、そして、特許請求されるような発明を限定するものではないことを理解されたい。本出願において、単数形の使用は、特に述べない限り、複数形を含む。本出願において、「または」の使用は、特に述べない限り、「および/または」を意味する。なお、「含む」という用語の使用、ならびにその活用形(「含んだ」および「含んでいる」のような)の使用は、限定しない。
【0016】
本明細書中で使用される節の見出しは、編集目的だけのためのものであり、記載した主題を限定すると解釈されるべきではない。本明細書中に引用される全文書、または文書の一部(特許、特許出願、記事、本、および専門書を含むがこれらに限定されない)は、その全体が、任意の目的のために、本明細書中で参考として完全に援用される。
【0017】
(定義)
「生物学サンプル」という用語は、広義に使用されており、そして核酸を含む種々の生物学供給源を含むことを意図する。これらの供給源としては、限定されることなく、以下が挙げられる:生検材料および吸引液を含む全組織;一次および二次細胞、形質転換細胞系統、ならびに組織および細胞外植体を含むインビトロ培養細胞;全血、赤血球、白血球、およびリンパ球;尿、痰、精液、分泌物、眼洗浄液および眼吸引液、肺洗浄液、脳脊髄液、膿瘍液、および膿瘍吸引液のような体液。この「生物学サンプル」の定義に含まれるサンプルは、生物学供給源から取り出されるサンプルであり、細胞溶解産物および核酸含有抽出物を含むが、これらに限定されない。核酸を含む任意の生物は、生物学サンプルの供給源になり得る。任意の生物には、以下が含まれるが、限定されない:任意の真核生物、真正細菌、古細菌、またはウイルス。真菌類ならびに、葉、根、茎、および傘のような植物組織。これらもまた本発明の範囲内である。
【0018】
「緩衝液」という用語は、本明細書内で使用されるように、酸または塩基が溶液に加えられた場合にpHの変化に抵抗する、水溶液または組成物を意味する。このpH変化に対する抵抗は、溶液の緩衝作用による。緩衝作用を示す溶液は、緩衝液または緩衝化溶液と呼ばれる。一般的に、緩衝液は、溶液または組成物のpHを保持する無制限の能力を有しない。むしろ一般的に、緩衝液はpHを例えば、pH5とpH7の間のような、特定の範囲内で保持し得る。一般例として、C.Mohan,Buffers,A guide for the preparation and use of buffers in biological systems,Calbiochem,1999を参照せよ。代表的な緩衝液としては以下が挙げられるが、これらに限定されない;MES([2−(N−モルフィノ)エタンスルホン酸])、ADA(N−2−アセトアミド−2−イミノ二酢酸)、およびTris([トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン];Trizmaとしても知られる);Bis−Tris;ACES;PIPES;およびMOPS。
【0019】
pHを特定のpHの範囲(例えばpH5とpH7との間)で保持する緩衝液、および本明細書内で使用されるような同様の用語は、述べられたpHの範囲内のある点における緩衝作用を示す、任意の緩衝液を含むことを意図する。従ってこの用語は、述べられた範囲全体における緩衝能力を示さない緩衝液、および述べられた範囲を超える緩衝能力を有する緩衝液を含む。例えば、溶液AはpH5.2とpH6.7との間の緩衝能力を示し得、溶液BはpH6.0とpH8.0との間の緩衝能力を示し得る。本発明の目的のためには、これらの両溶液は、pH5.0からpH7.0の範囲内のpHを保持する緩衝液とみなされる。当業者は、特定の範囲の間のpHを保持するために適切な緩衝液を、緩衝液表を使用して同定し得る。緩衝液表は、とりわけ、以下において見出され得る;the Calbiochem 2000−2001 General Catalogの81〜82頁において;およびthe Sigma 2000−2001 Biochemicals and Reagents for Life Science Research Catalogの1873頁において。これらは両者とも、特に参考として援用される。
【0020】
核酸を「単離する」という用語は、核酸分子の供給源からの回収を意味する。常に最適ではないが、核酸の回収のプロセスは、タンパク質のような何らかの不純物の回収も含み得る。供給源からの核酸分子の物理的富化も、含むが、限定はされない。「単離する」という用語はまた、核酸分子の複製または増幅を意味し得、これは必ずしも供給源から核酸分子を除去しない。
【0021】
「塩」という用語は、本明細書で使用されるように、酸と塩基の相互作用によって産生される化合物を意味する。代表的な塩としては以下が挙げられるが、これらに限定されない;塩化ナトリウム(食塩)、ヨウ化ナトリウム、臭化ナトリウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、リン酸カリウム、重炭酸ナトリウム、など。水および他の水溶液において、塩は通常溶解して「アニオン」すなわち負電荷を帯びた小成分、および「カチオン」すなわち正電荷を帯びた小成分を生じる。例えば、塩化ナトリウム(NaCl)が水に溶解する場合、溶解してナトリウムカチオン(Na)および塩化物アニオン(Cl)を生じる。代表的な塩は、例えば、Waser,Jurg,Quantitative Chemistry,A Laboratory Text,W.A.Benjamin,Inc.,New York,160頁(1966)において議論される。
【0022】
「核酸」という用語は、本明細書中で使用されるように、リボヌクレオシドまたはデオキシヌクレオシドのポリマーを意味し、一般には、サブユニット間にホスホジエステル結合を含む。サブユニット間の他の結合としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:メチルホスホネート結合、ホスホロチオエート結合、およびペプチド結合。このような核酸としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:ゲノムDNA、cDNA、hnRNA、mRNA、rRNA、tRNA、断片化された核酸、ミトコンドリアまたは葉緑体のような細胞下小器官を有する核酸、および生物学サンプル上または生物学サンプル内に存在し得る。微生物から得られた核酸またはDNAもしくはRNAウイルス。
【0023】
生物サンプルから解放された核酸を結合させ得る固相成分(固相とも呼ぶ)は、適切な安定条件下で核酸を結合させ得る種々の物質を含む。代表的な固相成分としては以下が挙げられるが、これらに限定されない;シリカ粒子、二酸化ケイ素、珪藻土、ガラス、アルキルシリカ、ケイ酸アルミニウム、ボロシリケート、ニトロセルロース、ジアゾ化紙、ヒドロキシアパタイト、ナイロン、金属酸化物、ジルコニア、アルミナ、ジエチルアミノエチル由来支持体およびトリエチルアミノエチル由来支持体(Chromegabond SAX、LiChrosorb−AN、Nucleosil SB、Partisil SAX、RSL Anion、Vydac TP Anion、Zorbax SAX、Nucleosil NMe、Aminex Aシリーズ、Chromex、およびHamilton HA Ionex SB、DEAE セファロース、QAE セファロース)、疎水性クロマトグラフィー樹脂(フェニルセファロースまたはオクチルセファロースのような)など。
【0024】
「選択的結合」という用語は、核酸に関しては、ある型または種の核酸(例えば、DNA)の固相への結合であって、他の型または種の核酸(例えば、RNA)がより低い効率で結合するような条件下での結合をいう。例えば、結合条件がDNA選択的であると言い得るのは、固相へ結合したDNAの量がRNA量より多い場合で、DNAおよびRNAが溶液中に等モル比で存在しているような場合である。さらに、固相へのDNA結合条件が選択的であると言い得るのは、固相へのDNA結合の効率が、DNAを含む溶液中のRNA量によって影響を受けない場合である。
【0025】
(例示的な実施形態)
A.特定の実施形態に従い、生物学サンプルからのDNA単離の方法が、提供され、この方法は、以下の工程を包含する:選択的にDNAに結合する条件下で、生物学サンプルを固相と接触させることによって、この固相にDNAを選択的に結合する工程;結合DNAを含む固相を、生物学サンプルの未結合部分から分離する工程;および固相からDNAを単離する工程。
【0026】
特定の実施形態に従って、生物学サンプルにおけるDNAの同定方法が、提供される。特定の実施形態において、生物学サンプルにおけるDNAの同定方法は、以下の工程を包含する:選択的にDNAに結合する条件下で、生物学サンプルを固相と接触させることによって、この固相にDNAを選択的に結合する工程;結合DNAを含む固相を、生物学サンプルの未結合部分から分離する工程;および固相に結合したDNAを同定する工程。特定の実施形態に従い、固相に結合したDNAを同定する工程は、固相に結合したDNAを増幅する工程を包含する。
【0027】
特定の実施形態に従って、固相は、ケイ酸含有物質である。特定の実施形態において、ケイ酸含有物質は、以下を含む群から選択される:シリカ、二酸化ケイ素、珪藻土、ガラス、セライト、およびシリカゲル。特定の実施形態において、固相は、以下を含む群から選択される形状である:粒子、ビーズ、膜、フリット(frit)、および容器の側面。代表的には、限定はされないが、固相の例は以下において議論される:米国特許出願第4,648,975号;同第4,923,978号;同第5,075,430号;同第5,175,271号;同第5,234,809号;同第5,438,129号;同第5,658,548号;同第5,804,684号;および同第5,808,041号;欧州特許出願EP0391608号および同EP0757106号、ならびにPCT公開WO87/06621号;同WO91/00924号;同WO92/18514号;同WO97/30062号;同WO99/51734号および同WO99/40098号。
【0028】
特定の実施形態に従って、選択的にDNAを結合する条件は、以下を含む結合緩衝液の使用を包含する:アルカリ性pH;および大型のアニオン。この場合の大型のアニオンとは、少なくともブロミドイオンの大きさである。特定の実施形態において、大型のアニオンは、以下を含む少なくとも1つの群から選択される:ピクレート、タンネート、タングステート、モリブデート、パークロレート、およびスルホサリチレート。特定の実施形態において、大型のアニオンは、以下を含む少なくとも1つの群から選択される:トリクロロアセテート、トリブロモアセテート、チオシアネート、およびニトレート。特定の実施形態において、大型のアニオンは、以下を含む少なくとも1つの群から選択される:ヨージドまたはブロミド。特定の実施形態において、アルカリ性pHは、pH8.0以上である。特定の実施形態において、アルカリ性pHは、pH9.0以上である。特定の実施形態において、アルカリ性pHは、pH10.0以上である。特定の実施形態において、アルカリ性pHは、pH8.0とpH12.0との間の、任意の範囲または点である。
【0029】
特定の実施形態において、固相からDNAを単離する工程は、DNAを溶出する工程を包含する。
【0030】
B.特定の実施形態に従って、生物学サンプルからDNAおよびRNAを単離する方法が、提供され、この方法は、以下の工程を包含する:選択的にDNAに結合する条件下で、生物学サンプルを第一の固相と接触させることによって、第一の固相にDNAを選択的に結合する工程;結合DNAを含む第一の固相を、生物学サンプルの第一の未結合部分から分離する工程;第一の固相からDNAを単離する工程;および生物学サンプルの第一の未結合部分からRNAを単離する工程。特定の実施形態において、第一の固相からDNAを単離する工程は、DNAを溶出する工程を包含する。
【0031】
特定の実施形態に従って、生物学サンプルにおいてDNAおよびRNAを同定する方法が、提供され、この方法は、以下の工程を包含する:選択的にDNAを結合する条件下で、生物学サンプルを第一の固相と接触させることによって、この第一の固相にDNAを選択的に結合する工程;結合DNAを含む第一の固相を、生物学サンプルの第一の未結合部分から分離する工程;第一の固相に結合したDNAを同定する工程;および生物学サンプルの第一の未結合部分からRNAを同定する工程。特定の実施形態において、第一の固相からDNAを単離する工程は、DNAを溶出する工程を包含する。特定の実施形態に従い、第一の固相に結合したDNAを同定する工程は、第一の固相に結合したDNAを増幅する工程を包含する。
【0032】
当業者は、特定の実施形態に従い、固相に結合した核酸(DNAおよびRNAの両方)を同定する多くの方法が存在することを理解する。このような方法としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:標識プローブへのハイブリダイゼーション、逆転写、質量分析法、および結合DNAと標識の反応による検出(例えば、DNA結合発蛍光団の添加後の蛍光検出)。
【0033】
特定の実施形態に従って、生物学サンプルの第一の未結合部分からのRNAの単離は、以下の工程を包含する:RNAを第二の固相に結合させる条件下で、生物学サンプルの第一の未結合部分を第二の固相に晒す工程;結合RNAを含む第二の固相を、生物学サンプルの第二の部分から分離する工程;およびRNAを溶出することによって、第二の固相からRNAを単離する工程。
【0034】
特定の実施形態に従って、RNAが第二の固相と結合する条件は、中性および酸性のpHを含む。特定の実施形態において、RNAが第二の固相と結合する条件は、pHを8.0以下に下げることを含む。特定の実施形態において、RNAが第二の固相と結合する条件は、ブロミドより小さいアニオンとの塩の使用を含む。
【0035】
特定の実施形態に従って、第二の固相は、上のAでの第一の固相について上記したように議論した任意の物質から選択される。第二の固相は、第一の固相と同じ物質または異なった物質であり得る。
【0036】
特定の実施形態に従って、選択的にDNAを結合する条件は、以下を含む結合緩衝液の使用を包含する:アルカリ性pH;および大型のアニオン。この場合の大型のアニオンとは、少なくともブロミドイオンの大きさである。これらの方法についての選択的DNA結合の条件は、A節における選択的DNA結合について上記された条件を含み得る。
【0037】
非限定的な例として、緩衝液または塩を、細胞溶解物に加え、この細胞溶解物を、強アルカリ性にし得る。次いで、シリカビーズのような固相を、アルカリ性の溶解物に晒す。DNAが、選択的にビーズに結合し、次いで、除去される。他の緩衝液または塩を、アルカリ性の溶解物に加え、この溶解物を中性のpHにする。第二の固相を、中性の溶解物に加え、そして溶解物中のRNAが、第二の固相に結合する。第一の固相に結合したDNAを、次いで、中性またはアルカリ性の低塩緩衝液で溶出する。第二の固相を中性の溶解物から除去し、そしてRNAを、第二の固相から中性またはアルカリ性の低塩緩衝液で溶出する。
【0038】
C.特定の実施形態に従って、生物学サンプルから核酸を単離する方法が、提供され、この方法は、以下の工程を包含する:RNAおよびDNAの両方を結合する条件下で、生物学サンプルを第一の固相と接触させることによって、第一の固相に核酸を選択的に結合する工程;結合核酸を含む第一の固相を、生物学サンプルの第一の未結合部分から分離する工程;選択的にDNAを結合する条件下で、未結合核酸を含む第一の固相からRNAを溶出する工程;第一の溶出物から結合DNAを含む第一の固相を除去する工程;および第一の固相からDNAを単離する工程。
【0039】
特定の実施形態に従って、第一の固相からDNAを単離する工程は、第一の固相からDNAを溶出する工程を包含する。
【0040】
特定の実施形態に従って、生物学サンプルにおける核酸の同定方法が、提供され、この方法は、以下の工程を包含する:RNAおよびDNAの両方を結合する条件下で、生物学サンプルを第一の固相と接触させることによって、第一の固相に核酸を結合;結合核酸を含む第一の固相を、生物学サンプルの第一の未結合部分から分離する工程;選択的にDNAを結合する条件下で、結合核酸を含む第一の固相からRNAを溶出する工程;生物学サンプルの第一の溶出物から結合DNAを含む第一の固相を除去する工程;および第一の固相に結合するDNAを同定する工程。特定の実施形態に従い、第一の固相に結合するDNAを同定する工程は、この第一の固相に結合するDNAを増幅する工程を包含する。
【0041】
当業者は、特定の実施形態に従い、固相に結合した核酸(DNAおよびRNAの両方)を同定する多くの方法が存在することを理解する。このような方法としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:標識プローブへのハイブリダイゼーション、逆転写、質量分析法、および結合DNAと標識の反応による検出(例えば、DNA結合発蛍光団の添加後の蛍光検出)。
【0042】
特定の実施形態に従って、第一の固相は、上のAでの第一の固相について上記したように議論した任意の物質から選択される。
【0043】
特定の実施形態に従って、選択的にDNAを結合する条件は、以下を含む結合緩衝液の使用を包含する:アルカリ性pHの緩衝液;および大型のアニオン。この場合の大型のアニオンとは、少なくともブロミドイオンの大きさである。これらの方法についての選択的DNA結合の条件は、A節における選択的DNA結合について上記された条件を含み得る。
【0044】
特定の実施形態に従って、生物学サンプルからRNAを単離する方法は、以下の工程をさらに包含する:RNAを第二の固相に結合させる条件下において、第一の溶出物を第二の固相に晒す工程;結合RNAを含む第二の固相を、生物学サンプルの第二の溶出物から分離する工程;および第二の固相からRNAを単離する工程。
【0045】
特定の実施形態に従って、第二の固相からRNAを単離する工程は、RNAを溶出する工程を包含する。特定の実施形態に従い、第二の固相からRNAを単離する工程は、第二の固相に結合するRNAを増幅する工程を包含する。
【0046】
特定の実施形態に従い、第二の固相は、上のAでの第一の固相について上記したように議論した任意の物質から選択される。第二の固相は、第一の固相と同じ物質または異なった物質であり得る。
【0047】
特定の実施形態に従い、選択的にDNAを結合する条件は、以下を含む結合緩衝液の使用を包含する:アルカリ性pH;および大型のアニオン。この場合の大型のアニオンとは、少なくともブロミドイオンの大きさである。これらの方法についての選択的DNA結合の条件は、A節における選択的DNA結合について上記された条件を含み得る。特定の実施形態において、RNAを第二の固相に結合する条件は、中性または酸性のpHを含む。
【0048】
特定の実施形態において、RNAが第二の固相と結合する条件は、pHを8.0以下に下げることを含む。特定の実施形態において、RNAが第二の固相と結合する条件は、ブロミドより小さいアニオンとの塩の使用を含む。
【0049】
非限定的な例として、シリカビーズのような固相を、アルカリ性の溶解物に晒す。次いで、核酸(DNAおよびRNAの両方)が、固相に結合し、次いで、除去される。次いで、固相をpHの高い緩衝液中に入れ、固相からRNAを溶出させるが、固相に結合しているDNAは維持する。次いで、固相を取り除き、そして低塩緩衝液中に入れ、DNAを溶出する。
【0050】
D.特定の実施形態に従って、キットが提供される。このキットは、以下を含む:アルカリ性pHの緩衝液;大型のアニオン(この場合の大型のアニオンとは少なくともブロミドイオンの大きさである);および固相。特定の実施形態において、大型のアニオンは、A節において議論された任意の大型のアニオンより選択される。特定の実施形態において、このアルカリ性pHは、pH8.0以上である。特定の実施形態において、このアルカリ性pHは、9.0以上である。特定の実施形態において、このアルカリ性pHは、10.0以上である。特定の実施形態に従い、この固相は、上のAでの第一の固相について上記したように議論した任意の物質から選択される。
【0051】
E.特定の実施形態において、キットが、提供される。このキットは、以下を含む:固相;核酸結合緩衝液(核酸結合緩衝液の作り出した状況下で、DNAおよびRNAの両方がその固相と結合する);および選択的DNA結合緩衝液(この選択的DNA結合緩衝液によりつくり出された条件によって、DNAをその固相へ選択的に結合させることが可能となる)。選択的DNA結合条件は、上でA節において議論されたものである。特定の実施形態において、キットは、さらにRNA結合緩衝液を含む。ここで、このRNA結合緩衝液によってつくり出された条件によって、RNAが固相に結合することが可能になる。RNAの結合を可能にする条件は、上でB節において議論されたものである。特定の実施形態において、この選択的結合緩衝液は、pH8.0以上のpHを有する。特定の実施形態において、この選択的結合緩衝液は、9.0以上のpHを有する。特定の実施形態において、この選択的結合緩衝液は、10.0以上のpHを有する。特定の実施形態に従い、この固相は、上のAで固相について議論した任意の物質から選択される。特定の実施形態において、核酸結合緩衝液は、pH8.0以下である。
【実施例】
【0052】
以下の実施例は、本発明の特定の実施形態を説明し、そして、本発明の範囲をいかなる手段においても限定しない。
【0053】
以下の用語、略称、および供給源は、実施例1から4を通じて議論される物質に適用する。
【0054】
これらの基質を、以下の供給源から取得し得た:シリカ(Organon Teknika,製品番号82951,Lot 00030302)、珪藻土(Sigma,製品番号D−3877,Lot 128H3702)、Empore Filter Aid 400(3M,製品番号56221−746,Lot 990020)、シリカゲル(JT Baker,製品番号3405−01,Lot 36338)二酸化ケイ素(Sigma,製品番号S−5631,Lot 58H0154)、Binding Matrix(BIO−101,製品番号6540−408,ロット番号6540−408−0B13)、Glassmilk Spin Buffer #4(BIO 101,製品番号2072−204,ロット番号2072−204−8A17)、Davisil Grade 643 Silica Gel(Spectrum,製品番号Sil 66,Lot NE 0387)、およびUniform Silica Microspheres(Bangs Laboratories,Inc.カタログコードSS05N,Inv#L0002188)。
【0055】
以下の試薬およびそれらの供給源の略称または名称は、以下である:グアニジン塩酸塩(Sigma,Lot 38H5432)、グアニジンチオシアネート(Sigma,製品番号G−9277)、ヨウ化ナトリウム(Aldrich Chemical Company,製品番号38,311−2,Lot Number07004TS)、過塩素酸ナトリウム(Aldrich Chemical Company,製品番号41,024−1,Lot KU 06910HU)、臭化ナトリウム(Aldrich,製品番号31050−6,Lot 11805KR)、塩化ナトリウム(Aldrich Chemical Company,製品番号33,251−4,ロット番号16524CS)、Tris(Trizma base,トリス[ヒドロキシメチル]アミノメタン、Sigma,製品番号T−6791,ロット番号1261−15738)−pH8、MES(2−[N−モルホリノ]エタンスルホン酸、Sigma,製品番号M−5287,ロット番号58H5411)−pH6.0、AMP(2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、Sigma,製品番号221)−pH10、HEPES(n−[2ヒドロキシエチル]ピペラジン−N’−[2−エタンスルホン酸],Sigma,製品番号H−4034,ロット番号19H54101)エタノール(エチルアルコール、無水、Aldrich,カタログ番号E702−3)、HCl(Sigma,製品番号H−7020,ロット番号97H3562)、水酸化ナトリウム(Sigma,製品番号S−8045,ロット番号127H0531および69H1264)、重フッ化アンモニウム(フッ化水素アンモニウム、Aldrich 製品番号22,482−0)、硝酸(Aldrich,製品番号22571−1,ロット番号00261 A1)、および水酸化アンモニウム(Aldrich 製品番号22,122−8,ロット番号02308KR)。
【0056】
核酸および組織サンプルならびにそれらの供給源は、以下である:仔ウシ胸腺ゲノムDNA(デオキシリボ核酸、タイプ1、仔ウシ胸腺由来で高い重合度、Sigma,製品番号D−1501,Lot 87H7840);ラット肝臓全RNA(Biochain Institute, ロット番号A304057,A305062,またはA306073);および全血(Blood Centers of the Pacific)。
【0057】
分光光度法は、Hewlett−Packard Model 8453 Spectrophotometerを使用して行った。
【0058】
実施例12から14における核酸サンプルのゲル電気泳動は、以下を使用して行った:SeaKem(登録商標)アガロース(Teknova)、1×TBE(89mM Tris、89mM ホウ酸、2mM EDTA、Teknova,カタログ番号0278−1L,ロット番号17F801);および0.5μg/mlのエチジウムブロマイド緩衝液(BIO−RAD)。電気泳動において使用した分子量マーカーは、AmpliSize DNA分子量標準物質(BIO−RAD)、High Molecular Weight DNA Marker(Gibco BRL)、およびRNA ladder(GIBCO BRL)であった。
【0059】
(実施例1)
種々の業者からのシリカマトリックスおよびガラスマトリックスは、pH8での種々の塩を用いてゲノムDNAに結合する能力によって評価した。
【0060】
シリカ(Organon Teknika)、珪藻土、Empore Filter Aid 400、J.T.Baker Silica Gel、二酸化ケイ素、Binding Matrix、およびGlassmilk Spin Buffer #4を、以下の実施例のために使用した。使用前に、全ての粒子を(Organon Teknika製のシリカを除き)、以下のように調製した:粒子を、4〜8容量の1N HClで1回、4〜8容量の水で2回、4〜8容量の1N NaOHで1回、4〜8容量の水で2回、4〜8容量のエタノールで1回、および4〜8容量の水で4回洗浄した。本明細書中で使用されるように、「一容量」の水またはエタノールは、洗浄される粒子の質量と、質量が等しい水またはエタノールの量をいう。BIO−101製Binding MatrixおよびGlassmilkを、HCl、NaOH、およびエタノールで(上述のように)処理する前に、少なくとも4容量の水で4回洗浄した。シリカ粒子を、供給された状態で使用した。珪藻土、Empore Filter Aid 400、シリカゲル、および二酸化ケイ素を、200mg/ml(20%)水中スラリーとして保存した。Binding Matrix粒子を、580mg/ml(58%)水中スラリーとして保存し、そしてGlassmilk粒子は、373mg/ml(37%)水中スラリーとして保存した。
【0061】
仔ウシ胸腺DNAを、ゲノムDNAの供給源として使用した。以下の実施例において使用した剪断ゲノムDNAを、以下のように調製した。DNAを、およそ10mg/mlで水に再懸濁した。次いで、DNAを、20G 1 1/2の注射針に4回、21G 1 1/2ゲージの注射針に3回、22G 1 1/2ゲージの注射針に3回、そして26G 1 1/2ゲージの注射針に1回通すことによって剪断した。
【0062】
図1に示す各固相と緩衝液との組み合わせを、1回評価した。剪断仔ウシ胸腺DNA(DNA25μg、濃度0.5mg/mlの50μl)を、以下の緩衝液のうち1つを0.45ml含む1.5ml微量遠心チューブに加えた:(1)50mM Tris−HCl(pH8)、4.75Mグアニジンチオシアネート;(2)50mM Tris HCl(pH8);4.75Mグアニジン塩酸塩;(3)50mM Tris HCl(pH8);4.75M塩化ナトリウム;(4)50mM Tris−HCl(pH8)、4.75M臭化ナトリウム;(5)50mM Tris−HCl(pH8)、4.75Mヨウ化ナトリウム;または(6)50mM Tris−HCl(pH8)、4.75M過塩素酸ナトリウム。核酸を、周囲の温度で10分まで、緩衝化溶液内において、時々攪拌しながらインキュベートした。これらとの混合物を、周囲の温度で10分間、時々攪拌しながらインキュベートした。結合インキュベーションに続き、粒子を、遠心分離(15,800×g、1分)して、そして結合インキュベーションに用いた結合緩衝液0.5mlで2回洗浄した。続いて、粒子を、0.5mlの70%エタノールで、3回から4回洗浄した。
【0063】
最後のエタノール洗浄に続けて、粒子を、周囲の温度または56℃で5〜10分間風乾させた。結合した核酸は、56℃で5分間、常に攪拌しつつ0.25mlの10mM Tris(pH9)での第一溶出を行い、溶出した核酸を回収した。続けて、粒子に結合された任意の残余核酸を、56℃で5分間、常に攪拌しつつ0.25mlの0.1N NaOHでの溶出を行い、溶出した核酸を回収した。核酸量を、分光光度法で定量した。結果を図1に示す。
【0064】
pH8において、DNA結合に対する塩の組成の効果が、固相の供給源の機能であるように見える。特定のマトリックスに対し、塩の選択に依存して、DNAの回収量は43倍にまで変化した。本研究において、大抵のマトリックスに対して好ましいアニオンは、かさ高いアニオンであるチオシアネート、ブロミド、ヨード、パークロレートであった。一般的に、よりかさ高さが小さいクロリドアニオンを含む塩によるDNAの回収量は、少なかった。GuHClおよびGuSCNの、DNA結合に対する効果の比較により、より大きいチオシアネートアニオンの存在下でのより多くのDNAの結合が、証明された。
【0065】
(実施例2)
本実施例において使用した固相を、実施例1で記載したように調製した。仔ウシ胸腺由来の剪断ゲノムDNAを、実施例1で記載したように調製した。
【0066】
各固相と緩衝液との組み合わせを、1回アッセイした。剪断仔ウシ胸腺DNA(DNA25μg、濃度0.5mg/mlの50μl)を、以下の緩衝液のいずれかを0.45ml含む1.5ml微量遠心チューブに加えた:(1)50mM Tris−HCl(pH8)、4.75Mグアニジンチオシアネート;または(2)50mM Tris−HCl(pH8)および4.75Mグアニジン塩酸塩。核酸を、周囲の温度で10分まで、時々攪拌しながら緩衝化溶液内において、インキュベートした。7種の固相(10〜187mg)それぞれを、2種の緩衝化核酸溶液それぞれに別々に加え、その結果、それぞれ個々の固相と個々の緩衝液との組み合わせを含む、14の容器を得た。これらの混合物を、周囲の温度で10分間、時々攪拌しながらインキュベートした。結合インキュベーションに続き、粒子を、遠心分離(15,800×g、1分)して、そして結合インキュベーションに用いた結合緩衝液0.5mlで2回洗浄した。続いて、粒子を、0.5mlの70%エタノールで、3回から4回洗浄した。
【0067】
最後のエタノール洗浄に続けて、粒子を、周囲の温度または56℃で5〜10分間風乾させた。結合した核酸は、常に攪拌しつつ、56℃で5分間0.25mlの10mM Tris(pH9)での第一溶出を行い、溶出した核酸を回収した。続けて、粒子に結合された任意の残余核酸を、常に攪拌しつつ、56℃で5分間0.25mlの0.1N NaOHでの溶出を行い、溶出した核酸を回収した。核酸量を、分光光度法で定量した。結果を図2に示す。一般的に、チオシアネート存在下での回収量は、クロリドイオン存在下での回収量を上回るように見えた。
【0068】
(実施例3)
種々の業者からのシリカ固相およびガラス固相へのRNAの結合特性を、種々の塩を用いてpH8においてアッセイした。
【0069】
シリカ、珪藻土、Binding Matrix、およびGlassmilk Spin Buffer #4を、以下の実施例のために使用した。固相粒子を、実施例1で記載したように調製した。
1. 各固相と緩衝液との組み合わせを、1回アッセイした。ラット肝臓全RNA(RNA15μg、水中において濃度2.5mg/mlの6μl)を、以下の緩衝液の1つを0.45ml含む1.5ml微量遠心チューブに加えた:(1)50mM Tris−HCl(pH8)、4.75Mグアニジンチオシアネート;(2)50mM Tris HCl(pH8);4.75Mグアニジン塩酸塩(3)50mM Tris HCl(pH8);4.75M塩化ナトリウム;(4)または50mM Tris−HCl(pH8);4.75Mヨウ化ナトリウム。核酸を、時々攪拌しながら、緩衝化溶液内において、周囲の温度で5分までインキュベートした。これらの混合物を、時々攪拌しながら、周囲の温度で10分間インキュベートした。
【0070】
結合インキュベーションに続き、粒子を、遠心分離(15,800×g、1分)して、そして結合インキュベーションに用いた結合緩衝液0.5mlで2回洗浄した。続いて、粒子を、0.5mlの70%エタノールで、2回または4回洗浄した。エタノールで2回洗浄した粒子を、次に0.5mlのアセトンで1度洗浄し、56℃5分で乾かした。結合した核酸は、56℃で5分間、常に攪拌しつつ0.25mlまたは0.275mlの50mM Tris(pH9)での第一溶出を行い、溶出した核酸を回収した。任意の残余核酸を、56℃で5分間、常に攪拌しつつ0.25mlまたは0.275mlの0.1N NaOHで溶出し、溶出した核酸を回収した。核酸量は、分光光度法で定量した。結果を図3に示す。
【0071】
DNAで見出された結果と対照的に、pH8で固相に結合した場合のRNAの回収量は、塩の組成に強く依存しないことが示されないように見える。塩の選択は、特定のマトリックスに対するRNAの回収量に、3倍未満の変化しかもたらさなかった。
【0072】
pH8における結合の場合、多くのマトリックスは、RNAと比較して適度に高いDNAの結合を示した。DNA結合への選択性は、ヨウ化ナトリウムにより増加した(図4参照)。
【0073】
(実施例4)
DNA結合と固相の間の関係を調査するため、DNAを、種々の塩組成とpHレベルの緩衝液を使用して、幾つかの固相に結合させた。
【0074】
本研究において使用された以下の固相を、実施例1で記載したように調製した:シリカ、珪藻土、およびGlassmilk Spin Buffer #4。これらの研究で、剪断仔ウシ胸腺DNAを実施例1で記載したように調製し、ゲノムDNAの供給源として使用した。
【0075】
各固相と緩衝液との組み合わせを、1回アッセイした。剪断仔ウシ胸腺DNA(25μg、濃度0.5mg/mlの50μl)を、以下の緩衝液のうち1つの0.45mlを含む異なった1.5ml微量遠心チューブに加えた:(1)50mM MES(pH6)、4.75Mグアニジンチオシアネート;(2)50mM MES(pH6.0)、4.75Mグアニジン塩酸塩;(3)50mM MES(pH6.0)、4.75M臭化ナトリウム;(4)50mM MES(pH6.0)、4.75Mヨウ化ナトリウム;(5)50mM Tris−HCl(pH8)、4.75Mグアニジンチオシアネート;(6)50mM Tris−HCl(pH8)、4.75M塩化ナトリウム;(7)50mM Tris−HCl(pH8)、4.75M臭化ナトリウム;(8)50mM Tris−HCl(pH8)、4.75Mヨウ化ナトリウム;(9)50mM AMP(pH10)、4.75Mグアニジンチオシアネート;(10)50mM AMP(pH10)、4.75M塩化ナトリウム;(11)50mM AMP(pH10)、4.75M臭化ナトリウム;または(12)50mM AMP(pH10)、4.75Mヨウ化ナトリウム。
【0076】
核酸を、周囲の温度で5〜10分間、緩衝化溶液内において、時々攪拌しながらインキュベートした。3種の固相(10mg)それぞれを、緩衝核酸溶液それぞれに別々に加えた。これらの混合物を、周囲の温度で10分間、時々攪拌しながらインキュベートした。結合インキュベーションに続き、粒子を、遠心分離(4000×g、1分)して、そして結合インキュベーションに用いた結合緩衝液0.5mlで2回洗浄した。次いで、粒子を、0.5mlの70%エタノールで、3回洗浄した。
【0077】
最後のエタノール洗浄に続けて、粒子を、周囲の温度で5〜10分間風乾させた。結合した核酸は、常に攪拌しつつ、56℃で5分間0.25mlの50mM Tris(pH9)で第一溶出し、溶出した核酸を回収した。粒子に結合された任意の残余核酸を、0.25mlの0.1N NaOHで常に攪拌しつつ、56℃で5分間溶出し、溶出した核酸を回収した。核酸量は、分光光度法で定量した。それぞれの実験セットの結果は、図5(a)〜(k)に示す。
【0078】
以前の調査により、シリカに対するDNAの結合は、緩衝液のpHが7より高くなる場合に減少することが示された(Melzak,Kathryn A.ら(1996),Driving Forces for DNA Adsorption to Silica in Perchlorate Solutions,Journal of Colloid and interface Science 181:635−644)。この実験の結果は、塩組成がDNA結合に対するpHの効果に対して影響を及ぼすことを示した。この結果は、固相の供給源が、塩の効果の大きさおよび結合していた核酸の絶対量を変えたことも証明した。DNA結合のpH感受性に対する塩の効果は、以下のpH感受性の順序で示される:
NaCl>GuSCN>NaBr>NaI
(実施例5)
RNAの結合に対するpHおよび特定の塩の効果もまた、評価した。Binding MatrixおよびGlassmilk粒子の固相を、実施例1で記載したように調製した。ラット肝臓全RNAは、RNAの供給源であった。
【0079】
各固相と緩衝液との組み合わせを、1回アッセイした。ラット肝臓全RNA(RNA15μg、濃度2.5mg/mlを6μl)を、以下の緩衝液のうち1つを0.45ml含む1.5ml微量遠心チューブに加えた:(1)50mM Tris−HCl(pH8)、4.75Mグアニジンチオシアネート;(2)50mM Tris−HCl(pH8)、4.75M塩化ナトリウム;(3)50mM Tris−HCl(pH8)、4.75Mヨウ化ナトリウム;(4)50mM MES(pH6)、4.75Mグアニジンチオシアネート;(5)50mM MES(pH6)、4.75Mヨウ化ナトリウム;(6)50mM MES(pH6)、4.75M塩化ナトリウム;(7)50mM AMP(pH10)、4.75Mグアニジンチオシアネート;(8)50mM AMP(pH10)、4.75Mヨウ化ナトリウム;または(9)50mM AMP(pH10)、4.75M塩化ナトリウム。核酸を、時々攪拌しながら、緩衝化溶液内において、周囲の温度で5分までインキュベートした。2種の固相(10〜187mg)それぞれを、緩衝化核酸溶液に別々に加えた。これらの混合物を、時々攪拌しながら、周囲の温度で10分間インキュベートした。結合インキュベーションに続き、粒子を、遠心分離(15,8000×g、1分)して、そして結合インキュベーションに用いた結合緩衝液0.5mlで2回洗浄した。続いて、粒子を、0.5mlの70%エタノールで、2回または4回洗浄した。エタノールで2回洗浄した粒子を、次に0.5mlのアセトンで1回洗浄し、そして56℃5分で乾かした。結合した核酸は、0.25mlまたは0.275mlの10mM Tris(pH9)で、常に攪拌しつつ56℃で5分間第一溶出を行い、溶出した核酸を回収した。粒子に結合された任意の残余核酸を、続いて0.25mlまたは0.275mlの0.1N NaOHで、常に攪拌しつつ5分間、溶出し、溶出した核酸を回収した。核酸量は、分光光度法で定量した。
【0080】
結果を、図6に示す。評価された2種の固相へのRNAの結合は、pHへの大きな依存性を示した。緩衝液のpHが上昇した場合に、全ての塩とのRNAの結合に有意の減少があった。
【0081】
(実施例6)
Glass Milkの選択性を、結合の間のpHおよびイオン組成の関与として、さらに評価した。Glassmilk Spin Buffer #4を、実施例1に記載したように調製した。剪断仔ウシ胸腺DNAを、実施例1に記載したように調製した。ラット肝臓全RNAが、RNAの供給源であった。
【0082】
各核酸と緩衝液との組み合わせを、1回アッセイした。25μgの剪断仔ウシ胸腺DNA(50μlの0.5mg/ml水溶液)または15μgのラット肝臓全RNA(6μlの2.5mg/ml水溶液)のいずれかを、以下の緩衝液のうち1つを0.45ml含む別々の1.5ml微量遠心チューブに別々に加えた:(1)50mM MES(pH6.0)、4.75M塩化ナトリウム;(2)50mM MES(pH6.0)、4.75Mヨウ化ナトリウム;(3)50mM Tris−HCl(pH8)、4.75M塩化ナトリウム;(4)50mM Tris−HCl(pH8)、4.75Mヨウ化ナトリウム;(5)50mM AMP(pH10)、4.75Mヨウ化ナトリウム;または(6)50mM AMP(pH10)、4.75M塩化ナトリウム。従って、DNAまたはRNAと個々の緩衝液との組み合わせそれぞれを含む別個の12の容器が存在した。固相(186mg)を、緩衝化核酸溶液に加え、これらの混合物を、時々攪拌しながら、周囲の温度で10分間インキュベートした。結合インキュベーションに続き、粒子を、遠心分離(15,8000×g、1分)して、そして結合インキュベーションに用いた結合緩衝液0.5mlで2回洗浄した。続いて、粒子を、0.5mlの70%エタノールで、4回洗浄した。結合した核酸を、常に攪拌しつつ、0.25mlの10mM Tris(pH9)で56℃で5分間、第一溶出を行い、溶出した核酸を回収した。粒子に結合された任意の残余核酸を、常に攪拌しつつ、0.25mlの0.1N NaOHで5分間、溶出し、溶出した核酸を回収した。核酸量を、分光光度法で定量した。
【0083】
結果を、図7に示す。結合用塩としてのヨウ化ナトリウムにより、pHが上昇した時に、DNA結合の選択性は、増加した。対照的に、塩化ナトリウム存在下での結合は、アルカリpHにおける特異性の増加を示さなかった。
【0084】
(実施例7)
ヨウ化ナトリウム存在下でのDNAおよびRNAの結合に対するpHの効果を、幾つかの固相で評価した。二酸化ケイ素(Sigma,Product Number S−5631,Lot 58H0154)、Davisil Grade 643 Silica Gel(Spectrum,Product Number Sil 66, Lot NE 0387)およびUniform Silica Microspheres(Bangs Laboratories,Inc.Catalog Code SS05N,Inv#L0002188)を、以下の研究に使用した。使用前に、二酸化ケイ素粒子およびDavisil Grade Silica Gel粒子を、以下のように調製した。粒子を水で1回、500mMアンモニウムバイオフルオリドで1回、100mM硝酸で1回、100mM水酸化アンモニウムで2回、300mM水酸化アンモニウムで2回、エタノールで1回、そして水で9回洗浄した。3種の固相の全粒子は、200mg/ml(20%)水中スラリーとして調製し、保存した。
【0085】
全ラット肝臓RNAが、RNAの供給源であった。ゲノムDNAについて、剪断仔ウシ胸腺DNAを、実施例1に記載したように調製した。
【0086】
各固相と核酸と緩衝液との組み合わせを、3連で行った。剪断仔ウシ胸腺DNA(30μg、590μg/mLストックを50μL添加)または全ラット肝臓RNA(30μg、600μg/mLストック溶液を50μL添加)のいずれかを、0.45mlの以下の緩衝液のうち1つと共に50μLのシリカ粒子(10mg)を含む、別々の1.5ml微量遠心チューブに別々に加えた:(1)50mM MES(pH6.0)、4.8M NaI;(2)50mM Hepes(pH7.0)、4.8M NaI;(3)50mM Tris(pH8)、4.8M NaI;(4)50mM Tris(pH9)、4.8M NaI;または(5)50mM AMP(pH10)、4.8M NaI。3種の固相それぞれに対し、DNAまたはRNAのいずれかの結合を、3連の5種の緩衝液のそれぞれで評価し、その結果、一固相につき合計30の容器を得た。核酸を、Vortex Genie−2 mixer(Scientific Industries)を設定7で使用して常に攪拌しながら、緩衝化溶液内において、周囲の温度で5〜30分、インキュベートした。
【0087】
結合に続き、粒子を14,000rpmで1分間遠心分離して、そして上清を取り除いた。粒子を、次に、1mLの70%エタノールで、4回洗浄した。続けて、250μLの50mM Tris(pH9.0)を加え、粒子を、Eppendorf Thermomixier R上で、常に振とう(1400rpm)しながら、56℃で5〜6分間、インキュベートした。粒子を、14,000rpmで1分間遠心分離し、そして溶出した核酸を含む上清を回収した。残余の結合核酸の存在を検出するため、250μLの100mM NaOHを加え、粒子を、Eppendorf Thermomixier R上で常に振とう(1400rpm)しながら、56℃で5〜70分間インキュベートし、溶出した核酸を回収した。それぞれの分画の核酸量を、分光光度法で定量した。
【0088】
結果を図8(a)〜(c)に示す。試験したほぼ全てのケイ酸含有固相は、ヨウ化ナトリウムが結合用塩である場合に、アルカリpHでDNA結合選択性の増加を示した。ヨウ化ナトリウム存在下でのSigma SilicaへのDNA結合は、比較的pH感受性が低かった。対照的に、同固相へのRNA結合においては、pHが上昇することで劇的な減少がもたらされた。従って、DNA選択性が、NaI存在下のアルカリpHにおいて見られた。
【0089】
(実施例8)
ヨウ化ナトリウムが結合用塩である場合に、DNA選択性に対するpHの影響を、幾つかの固相を使用して、試験した。シリカ(Organon Teknika)、珪藻土、二酸化ケイ素(Sigma Silica)、Binding Matrix、およびGlassmilkを、実施例1で記載したように調製した。結合は、剪断仔ウシ胸腺DNA(実施例1で記載)またはラット肝臓全RNAの存在下で行った。結合は、以下の結合緩衝液内で行った:(1)50mM Tris−HCl(pH8)、4.75M NaI;または(2)50mM AMP(pH10)、4.75M NaI。
【0090】
各固相と核酸と緩衝液との組み合わせを、1〜3回アッセイした。剪断仔ウシ胸腺DNA(25μg)または全ラット肝臓RNA(15〜25μg)のいずれかを、以下の緩衝液のうち1つを0.45ml含む別々の1.5ml微量遠心チューブに加えた:(1)50mM Tris−HCl(pH8)、4.75M NaI;または(2)50mM AMP(pH10)、4.75M NaI。
【0091】
5種の固相(10〜186mg)それぞれを、RNAまたはDNAと個々の緩衝液との組み合わせに、別々に加えた。図9におけるデータは、以下のRNA実験およびDNA実験のそれぞれを反映している:(1)pH8のGlassmilkを入れた3つの別々の容器およびpH10のGlassmilkを入れた2つの容器;(2)pH8のBinding Matrixを入れた2つの別々の容器およびpH10のBinding Matrixを入れた1つの容器;(3)pH8のSigma Silicaを入れた1つの独立した容器およびpH10のSigma Silicaを入れた1つの容器;(4)pH8のシリカ(Organon Teknika)を入れた1つの独立した容器;ならびに(5)pH8の珪藻土を入れた2つの別々の容器およびpH10の珪藻土を入れた1つの容器。従って、RNAについての固相と緩衝液との取り得る組み合わせそれぞれを含む異なった14の容器、そしてDNAについての固相と緩衝液との取り得る組み合わせそれぞれを含む異なった14の容器が、存在した。混合物を、時々混合しながら、周囲温度で10分間インキュベートした。結合インキュベーションに続き、粒子を、遠心分離(15,800×g、1分間)して、結合インキュベーションに使用した結合緩衝液0.5mlで2回洗浄した。次に粒子を、0.5mlの70%エタノールで、3〜4回洗浄した。
【0092】
最後のエタノール洗浄に続けて、粒子を、周囲温度または56℃で5〜10分間風乾させた。結合した核酸を、一定の混合で、0.25mlの10mM Tris(pH9)で、56℃で5分間最初に溶出し、溶出した核酸を回収した。粒子に結合した任意の残余核酸を、一定の混合で、0.25mlの0.1N NaOHで、56℃で5分間溶出し、溶出した核酸を回収した。核酸量は、分光光度法で定量した。
【0093】
結果を図9に示す。試験した固相はそれぞれ、アルカリpHにおいてより大きなDNA結合選択性を示した。アルカリpHにおいて、RNAへの親和性が減少するようであった。固相の飽和量未満の濃度におけるDNAの結合が、効率的だった。加えたDNAのほぼ全てが、ケイ素含有固相に結合し、そこから回収された。対照的に、これらの条件下でのRNA結合は、量を多く加えた場合であっても、効率が低かった。
【0094】
(実施例9)
二酸化ケイ素へのDNA結合とRNA結合との間の相違、および飽和のレベルを測定するため、以下の実験を行った。試験した固相は、二酸化ケイ素であり、これは、実施例1で記載したように調製した。研究した核酸は、剪断仔ウシ胸腺DNA(実施例1で記載したように調製)およびラット肝臓全RNAであった。
【0095】
剪断仔ウシ胸腺DNA(126μg、60μg、30μg、15μg、または5μg)または全ラット肝臓RNA(125μg、60μg、30μg、15μg、または5μg)を50μLで、450μlの結合緩衝液(50mM Tris(pH8)、4.8M ヨウ化ナトリウム)および10mgのSigma二酸化ケイ素粒子(Sigma、実施例7で記載したように調製)を含む別々のEppendorfチューブ(1.5ml)に加えた。実験は3連で行ったので、5種の異なった量のDNAの容器15個、および5種の異なった量のRNAの容器15個が、存在した。サンプルを、設定7のVortex Genie−2 mixer(Scientific Industries)上で、周囲温度で5〜10分間インキュベートした。
【0096】
結合に続き、粒子を、14,000rpmで1分間遠心分離して、そして上清を取り除いた。次に粒子を、1mlの70%エタノールで、4回洗浄した。250μLの50mM Tris(pH9.0)を加えた後、粒子を、Eppendorf Thermomixer R上で常に振とう(1400rpm)しながら、56℃で5〜10分間インキュベートした。粒子を、14,000rpmで1分間遠心分離し、そして溶出した核酸を含む上清を回収した。残余の結合核酸の存在を検出するため、250μLの100mM NaOHを加え、粒子を、Eppendorf Thermomixier R上で常に振とう(1400rpm)しながら、56℃で5〜10分間インキュベートし、溶出した核酸を回収した。それぞれの分画中の核酸量を、分光光度法で定量した。
【0097】
結果を図10に示す。本研究に使用した結合条件下では、10mgの二酸化ケイ素粒子は、ゲノムDNAに対する約25μgの受容能(capacity)を有していた。飽和未満の濃度で加えたゲノムDNAのほぼ完全な回収が見られ、DNAの回収が効率的であることが示された。対照的に、RNA回収は、添加したRNA量の全範囲にわたり、低かった。事実、低いRNA回収量は、最初の調製におけるRNAの混入の結果であり得た。
【0098】
(実施例10)
選択性が、結合緩衝液のアルカリ度に起因するRNA分解の結果もたらされたか否かを試験するため、RNAを、pH6またはpH10のいずれかにおいてインキュベートしてから、以下のようなRNA結合に適合した条件下で、シリカと結合させた。全ラット肝臓RNA(全容量10μL中に25μg)を、2連で、100μLの、50mM AMP(pH10、4.8M NaIを含む)、または50mM MES(pH6、4.8M NaIを含む)のいずれかの中で、周囲温度で5分間、10分間、15分間、30分間、または60分間、インキュベートした。示した時間の最後に、1mLの、4.8M NaI含有50mM MES(pH6)を、各チューブに加え、シリカへのRNA結合に適合した条件にした。反応物を混合し、10mgのSigma二酸化ケイ素(実施例1で記載されたように調製)を、全容量50μLで加えた。サンプルを、設定7のVortex Genie−2 mixer(Scientific Industries)上で、周囲温度で10分間インキュベートした。
【0099】
結合に続き、粒子を、14,000rpmで1分間遠心分離して、そして上清を取り除いた。次に粒子を、1mlの4.8M NaI含有50mM MES(pH6)で2回、続けて1mLの70%エタノールで4回、洗浄した。250μLの50mM Tris(pH9.0)を加えた後、粒子を、Eppendorf Thermomixer R上で常に振とう(1400rpm)しながら、56℃で5〜10分間インキュベートした。粒子を、14,000rpmで1分間遠心分離し、溶出した核酸を含む上清を回収した。残余の結合核酸の存在を検出するため、250μLの100mM NaOHを加え、粒子を、Eppendorf Thermomixier R上で常に振とう(1400rpm)しながら、56℃で5〜10分間インキュベートし、溶出した核酸を回収した。それぞれの分画中の核酸量を、分光光度法で定量した。
【0100】
図16で示すように、RNAの半減期は、pH10およびpH6において、それぞれ86分および260分である。これらの半減期に基づき、pH10およびpH6において、加えたRNAのそれぞれ7.7%および2.6%だけが、10分間の結合インキュベーションの間に、分解されると予測される。
【0101】
(実施例11)
タンパク質の結合に対するpHの影響を、試験した。各条件を、1回アッセイした。精製ウシ血清アルブミン(1mg、100μlの10mg/ml水溶液、New England Biolab,Lot 938)を、以下を1ml含む1.5ml微量遠心チューブに加えた:(1)50mM MES(pH6.0)、4.75M NaI;(2)50mM Tris−HCl(pH8)、4.75M NaI;または(3)50mM AMP(pH10)、4.75M NaI。固相(10mg)を、別々の緩衝化タンパク質溶液に加え、これらの混合物を、時々混合しながら、周囲温度でインキュベートした。
【0102】
結合インキュベーションに続き、粒子を、遠心分離(15,800×g、1分)して、そして次に0.5mlの70%エタノールで、4回洗浄した。最後のエタノール洗浄に続けて、粒子を、周囲温度で10分間風乾させた。結合したタンパク質を、一定の混合で、0.25mlの50mM Tris(pH9)で、56℃で5分間、最初に溶出し、溶出した核酸を回収した。粒子に結合した任意の残余タンパク質を、一定の混合で、0.25mlの0.1N NaOHで、56℃で5分間溶出し、溶出したタンパク質を回収した。タンパク質の回収を、分光光度法で定量した。
【0103】
結果を図11に示す。RNA結合と同様に、結合緩衝液のpHが高まるにつれ、タンパク質のシリカへの結合は減少した。
【0104】
(実施例12)
DNAおよびRNAのシリカへの結合に対する塩組成の影響を、アルカリpHにおいて試験した。二酸化ケイ素(Sigma Silicaとも呼ばれる)を、実施例1で記載したように調製した。剪断仔ウシ胸腺DNAを、実施例1に従って調製した。ラット肝臓全RNAを、RNAの供給源とした。
【0105】
各核酸と緩衝液との組み合わせを、1回アッセイした。25μg(50μlの0.5mg/ml水溶液)の剪断仔ウシ胸腺DNAまたは25μg(10μlの2.5mg/ml水溶液)のラット肝臓全RNAを、以下の緩衝液のうちの1つを0.5ml含む別々の1.5ml微量遠心チューブに別々に加えた:(1)50mM AMP(pH10)、3.65M塩化リチウム;(2)50mM AMP(pH10)、3.65M臭化リチウム;(3)50mM AMP(pH10)、3.65Mヨウ化リチウム;(4)50mM AMP(pH10)、3.65M塩化ナトリウム;(5)50mM AMP(pH10)、3.65M臭化ナトリウム;(6)50mM AMP(pH10)、3.65Mヨウ化ナトリウム;(7)50mM AMP(pH10)、3.65M塩化カリウム;(8)50mM AMP(pH10)、3.65M臭化カリウム;または(9)50mM AMP(pH10)、3.65Mヨウ化カリウム。
【0106】
固相(10mg)を、18種の緩衝化核酸溶液それぞれに加え、これらの混合物を、時々混合しながら、周囲温度で10分間インキュベートした。結合インキュベーションに続き、粒子を、遠心分離(15,800×g、1分)して、そして0.5mlの70%エタノールで、4回洗浄した。結合した核酸を、一定の混合で、0.25mlの10mM Tris(pH9)で、56℃で5分間、最初に溶出し、溶出した核酸を回収した。粒子に結合された任意の残余核酸を、一定の混合で、0.25mlの0.1N NaOHで、56℃で5分間溶出を行い、溶出した核酸を回収した。核酸の回収は、分光光度法で定量した。
【0107】
結果を図12(a)〜(f)に示す。分析を容易にするため、データはカチオンまたはアニオンで分類して示される。
【0108】
pH10において、DNAの結合はアニオンの組成に影響された。二酸化ケイ素(Sigma silica)へのDNA結合は、一価のアニオンの半径が増大するにつれ増加した。一価のカチオンの半径は、その影響の大きさに影響を及ぼした。対照的に、シリカへのRNAの結合は、アニオンの半径が増大するにつれ減少する傾向を示した。カチオンの大きさの減少は、両核酸種に対する二酸化ケイ素の受容能を増加した。結果として、DNA結合の選択性は、塩組成の特定の選択により改善され得た。これらの結果は、アニオンが大きくなるほど、選択性が大きくなることを示した。カチオンの半径と選択性との間には、相関関係はなかった。ナトリウムは、DNA結合への高い程度の選択性を実証した。
【0109】
(実施例13)
DNA単離のための選択的条件の識別能力を実証するために、高濃度RNAがゲノムDNAの結合を阻害する能力を試験した。二酸化ケイ素およびゲノムDNAは、実施例1で記載したように調製した。ラット肝臓全RNAを、RNAの供給源とした。
【0110】
各条件を、1回アッセイした。1:1(15μg:15μg)、10:1(15μg:1μg)、30:1(15μg:0.5μg)、または100:1(20μg:0.2μg)のRNA:DNA比で、5つの独立したRNAとDNAとの混合物10μlを、以下の緩衝液のうちの1つを0.45ml含む別々の1.5ml微量遠心チューブに加えた:(1)50mM AMP(pH10)、4.75M NaI;または(2)50mM MES(pH6.0)、4.75M臭化リチウムNaI。固相(10mg)を、10の緩衝化核酸溶液の組み合わせそれぞれに加え、そしてこれらの混合物を、時々混合しながら、周囲温度で10分間インキュベートした。
【0111】
結合インキュベーションに続き、粒子を、遠心分離(15,800×g、1分)して、そして0.5mlの70%エタノールで、4回洗浄した。最後のエタノール洗浄に続けて、粒子を、0.5mLのアセトンで1回洗浄した。一旦アセトンを除去して、ペレットを、56℃で5分間乾燥させた。結合した核酸を、一定の混合で、50μlの10mM Tris(pH9)で、56℃で5分間溶出し、溶出した核酸を回収した。
【0112】
核酸の回収を、アガロースゲル電気泳動により可視化した(図13参照)。電気泳動を、2μlの核酸ストック混合物または5μlの単離した溶出物にて行った。サンプルを、1%SeaKem(登録商標)(Teknova)、1×TBEを使用する0.5μg/mlエチジウムブロマイドゲル、0.5μg/mlのエチジウムブロマイド緩衝液(BIO−RAD)にて、8V/cmで30分〜1時間、電気泳動した。エチジウム染色された物質を、短波長の紫外線下で可視化および撮影した。分子量マーカーは、AmpliSize DNA分子量標準(BIO−RAD)およびRNAラダー(GIBCO BRL)からなった。
【0113】
NaI中pH10において、シリカは、RNAよりもDNAに対して、少なくとも40倍より高く選択的であった。pH6においては、添加したRNAをほぼ完全に捕捉した。RNA添加の最高レベル(20μg)において、pH10で回収されたRNAは、検出できなかった。対照的に、0.5μgのゲノムDNAを添加した場合、検出可能なDNAが回収された。従って、pH10において、ヨウ化ナトリウム存在下で、シリカは、RNAに対するよりもDNAに対して40倍高い選択性を示した。
【0114】
(実施例14)
高レベルのRNAが固相への結合においてDNAと競合するかどうかを評価するため、高レベルのRNAを、ゲノムDNAと混合し、非選択的条件および選択的条件の両条件下で結合させた。Sigma二酸化ケイ素および剪断ゲノムDNAを、実施例1で記載したように調製した。ラット肝臓全RNA(Biochain Institute、ロット番号A304057、ロット番号A305062またはロット番号A306073)を、RNAの供給源とした。
【0115】
各核酸と緩衝液との組み合わせを、2回アッセイした。(a)5μg(0.5mg/mlの10μl)の剪断仔ウシ胸腺DNAおよび5μg(2.5mg/mlの2μl)のラット肝臓全RNA、または(b)5μg(0.5mg/mlの10μl)の剪断仔ウシ胸腺DNAおよび50μg(2.5mg/mlの20μl)のラット肝臓全RNAのいずれかを、以下の緩衝液のうちの1つを0.45ml含む別々の1.5ml微量遠心チューブに別々に加え、そして混合した:(1)50mM AMP(pH10)、3.5M NaI;または(2)50mM MES(pH6.0)、3.5M NaI。これらの溶液を、周囲温度で5分インキュベートした。
【0116】
固相(10mg)を、4種の緩衝化核酸溶液の組み合わせそれぞれに加え、混合物を、時々混合しながら、周囲温度で10分間インキュベートした。結合インキュベーションに続き、粒子を、遠心分離(15,800×g、1分)して、そして0.5mlの70%エタノールで、3回洗浄した。結合した核酸を、一定の混合で、100μlの10mM Tris(pH9)で、56℃で5分間溶出し、溶出した核酸を回収した。
【0117】
核酸の回収を、アガロースゲル電気泳動により可視化した(図14参照)。単離した溶出物の10μlを、0.8%のSeaKemアガロースゲルで、実施例13で記載したように電気泳動した。エチジウム染色された物質を、短波長の紫外線下で可視化し、撮影した。
【0118】
過剰なRNA濃度ですら、DNA選択的条件下では、RNAはほとんど単離されなかった。データは、選択的条件を使用した場合、RNA混入量が検出限界より低いことを示した。非選択的条件下では、高濃度の核酸で、限定数の核酸結合部位は、DNA回収の全体量を減少させ得る。
【0119】
(実施例15)
以下のように、ヒト全血から、ゲノムDNAを単離した。二酸化ケイ素を、実施例1で記載したように調製した。
【0120】
各条件を、1回アッセイした。25μlまたは100μlの全血(Blood Centers of the Pacific)を、以下の緩衝液のうちの1つを(それぞれ)0.25mlまたは0.9ml含む別々の1.5ml微量遠心チューブに別々に加えた:(1)50mM MES(pH6.0)、4.75M NaI;または(2)50mM AMP(pH10)、4.75M NaI。核酸を、時々混合しつつ、緩衝化溶液内で、周囲温度で10分インキュベートした。
【0121】
固相(10mg)を、4種の緩衝化核酸溶液の組み合わせに加え、これらの混合物を、時々混合しながら、周囲温度で10分間インキュベートした。結合インキュベーションに続き、粒子を、遠心分離(15,800×g、1分)して、そして結合インキュベーションに用いた結合緩衝液0.5mlで、2回洗浄した。次に、粒子を、70%エタノールで4回洗浄した。結合した核酸を、一定の混合で、50μlの10mM Tris(pH9)で、56℃で5分間溶出し、溶出した核酸を回収した。
【0122】
核酸の回収量は、アガロースゲル電気泳動により可視化した(図15参照)。単離した溶出物の2μlまたは10μlを、1.0%のSeaKemアガロースゲルで、実施例13で記載したように電気泳動した。エチジウム染色物質を、短波長の紫外線下で可視化し、撮影した。
【0123】
pH6で、NaI含有緩衝液中で全血にシリカを加えた場合、粒子は凝集した。これは、タンパク質も粒子に吸着していることを示唆している。結果として、DNA回収量は乏しかった。対照的に、pH10で全血に加えた場合、シリカ粒子は懸濁状態に留まった。粒子へのタンパク質の吸着がない場合、DNA回収率は高かった。
【0124】
(実施例16)
特定の実施形態において、DNAおよびRNAの両方を、連続的選択的結合(連続的選択的結合)により、サンプル混合物から単離し得る。代表的な連続的選択的結合を、図17に示す。連続的選択的結合にて、サンプルを、選択的DNA結合に適合した条件下で、固相に接触させた。結合核酸を含む固相を、非結合物質から分離し、そして非結合画分における条件を、固相へのRNA結合に適合した条件に調節した。この第二画分に第二固相を加え、RNAを吸着させた。DNAおよびRNAを、次にそれぞれの固相から単離した。
【0125】
DNAおよびRNAの連続的選択的結合の実施形態を評価するため、DNAとRNAとの混合物を、連続的選択的結合条件下で処理した。最初に、DNAを、DNA選択的条件下で固相に結合させ、そして次に非結合RNA画分を除去し、そして非選択的結合条件を用いて、RNAを同じ固相に結合させた。Sigma二酸化ケイ素および剪断ゲノムDNAを、実施例1で記載したように調製した。ラット肝臓全RNA(Biochem Institute)が、RNAの供給源であった。
【0126】
各核酸と緩衝液との組み合わせを、2回アッセイした。5μgのDNA、5μgのRNAおよび5μgのDNAと5μgのRNAとの混合物それぞれを、それぞれ50mM AMP(pH10)、3.5M NaI;50mM MES(pH6.0)、3.5M NaI;50mM AMP(pH10)、3.5M NaIを含む別々の1.5ml微量遠心チューブに加えた。緩衝溶液を、周囲温度で5分インキュベートした。10mgの固相を、6種の緩衝核酸溶液の組み合わせそれぞれに加え、混合物を、時々攪拌しながら、周囲温度で10分間インキュベートした。
【0127】
結合インキュベーションに続き、粒子を、遠心分離(15,800×g、1分)して、そして0.5mlの70%エタノールで、3回洗浄した。エタノールを除去したら、粒子を、周囲温度で少なくとも10分間乾燥させた。
【0128】
DNAおよびRNAの混合物の結合反応物から取った上清を、1mLの50mM MES(pH6.0)、3.5M NaIを含む別々の1.5ml微量遠心チューブに加えた。これらのチューブに、10mgの固相を加え、混合物を、時々攪拌しながら、周囲温度で10分間インキュベートした。
【0129】
結合インキュベーションに続き、粒子を、遠心分離(15,800×g、1分)して、そして0.5mLの70%エタノールで、3回洗浄した。いったんエタノールを除去し、粒子を、周囲温度で少なくとも10分間乾燥させた。
【0130】
結合した核酸は、常に攪拌しつつ、0.1mLの10mM Tris−HCl(pH9)を用いて、56℃で5分間、全粒子から溶出し、溶出した核酸を回収した。
【0131】
核酸の回収物を、アガロースゲル電気泳動により可視化した。単離した溶出物の10μLに対して、電気泳動を行った。サンプルを、0.8%のSeaKem(登録商標)、0.5μg/mLエチジウムブロマイドゲルを通して、1×TBE、0.5μg/mLエチジウムブロマイド緩衝液(BIO−RAD)を用いて、7V/cmで30分から1時間、電気泳動した。エチジウム染色物質を、短波長の紫外線下で可視化し、撮影した。分子量マーカーは、High Molecular Weight DNA Marker (GIBCO BRL)からなるものであった。結果を図18に示す。
【0132】
(実施例17)
特定の実施形態において、DNAおよびRNAの両方を、最初に固相へこれらの両種を結合させて、適切な条件下で連続的に各核酸型を放出させること(連続的特異的溶出)により、サンプル混合物から単離し得る。代表的な連続的選択的溶出を、図17に示す。連続的選択的溶出において、サンプルをDNAおよびRNAの両方に結合する条件下で固相と接触させる。洗浄に続き、このRNAを、DNAとのみ結合する条件下で解放する。固相を除去し、DNAおよびRNAを、次に両画分から連続的に精製する。
【0133】
連続的選択的溶出の実施形態を評価するため、DNAおよびRNAの混合物を、両方と結合する条件下で固相と接触させた。RNAを、DNAとのみ結合する条件下で溶出し、続いてDNAを、低イオン強度緩衝液を用いて溶出する。Sigma二酸化ケイ素および剪断ゲノムDNAを、実施例1で記載したように調製した。ラット肝臓全RNA(Biochin Institute)が、RNAの供給源であった。
【0134】
各核酸と緩衝液との組み合わせを、2回アッセイし、そしてDNAおよびRNAを、以下のように処理した。(1)10μgの剪断仔ウシ胸腺DNA、あるいは(2)10μgのラット肝臓全RNA、または(3)10μgの剪断仔ウシ胸腺DNAおよび10μgのラット肝臓全RNAのいずれかを、0.2mlの50mM MES(pH6)、3.5M ヨウ化ナトリウムを含む別々の1.5ml微量遠心チューブに加え、周囲温度で、時々攪拌しつつ、5分インキュベートした。固相(10mg)を、各緩衝化核酸溶液に加え、混合物を、攪拌しながら周囲の温度で10分間インキュベートした。
【0135】
結合インキュベーションに続き、粒子(DNAおよびRNAの両方が結合した粒子の複製セットを除く)を、遠心分離(15,800×g、1分)して、そして結合核酸を、常に攪拌しつつ、0.2mLの10mM Tris(pH9)で、56℃で5分間溶出し、溶出した核酸を、回収した。
【0136】
DNAおよびRNAの両方が結合した粒子の1複製セットを、0.2mlの50mM AMP(pH10)、3.5M NaIで、時々攪拌しながら、周囲温度で5分間洗浄し、RNAを溶出して回収した。粒子は、次に0.2mlの50mM Tris(pH9)で、常に攪拌しながら、56℃で5分間洗浄し、結合DNAを溶出し、回収した。
【0137】
核酸の回収を、アガロースゲル電気泳動により、可視化した。単離した溶出物の10μLを、1%のSeaKem(登録商標)、0.5μg/mLエチジウムブロマイドゲルで、1×TBE、0.5μg/mLエチジウムブロマイド緩衝液(BIO−RAD)を使用し、7V/cmで30分から1時間、電気泳動した。エチジウム染色物質を、短波長の紫外線下で可視化し、撮影した。分子量マーカーは、High Molecular Weight DNA Marker (GIBCO BRL)からなるものであった。結果を図19に示す。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】図1は、種々の塩が、pH8において、DNAの種々の固相への結合に及ぼす影響を示す。
【図2】図2は、塩化物またはチオシアン酸塩のいずれかの存在下でのDNAの種々の固相への結合を、pH8において、比較する。
【図3】図3は、種々の塩が、pH8において、RNAの種々の固相への結合に及ぼす効果を示す。
【図4】図4は、種々の塩が、種々の固相へのDNA結合の選択性に及ぼす効果を、DNA対RNAの回収率によって表す。
【図5a】図5(a)は、種々の塩およびpHが、ゲノムDNAのOrganon Teknika Silicaへの結合に及ぼす効果を示す。
【図5b】図5(b)は、種々の塩およびpHが、ゲノムDNAのSigma Diatomaceous Earthへの結合に及ぼす効果を示す。
【図5c】図5(c)は、種々の塩およびpHが、ゲノムDNAのBio101 Glassmilkへの結合に及ぼす効果を示す。
【図5d】図5(d)は、NaCl存在下において、pHが、ゲノムDNAの種々の固相への結合に及ぼす効果を示す。
【図5e】図5(e)は、GuSCN存在下において、pHが、ゲノムDNAの種々の固相への結合に及ぼす効果を示す。
【図5f】図5(f)は、NaBr存在下において、pHが、ゲノムDNAのOrganon Teknika Silicaへの結合に及ぼす効果を示す。
【図5g】図5(g)は、NaI存在下において、pHが、ゲノムDNAの種々の固相への結合に及ぼす効果を示す。
【図5h】図5(h)は、NaCl存在下において、pHが、ゲノムDNAの種々の固相にへの結合に及ぼす効果を示す(結果は、pH6における回収率により標準化された種々のpHレベルにおける相対効率として、示す)。
【図5i】図5(i)は、GuSCN存在下において、pHが、ゲノムDNAの種々の固相への結合に及ぼす効果を示す(結果は、pH6における回収率により標準化された種々のpHレベルにおける相対効率として、示す)。
【図5j】図5(j)は、NaBr存在下において、pHが、ゲノムDNAのOrganon Teknika Silicaへの結合に及ぼす効果を示す(結果は、pH6における回収率により標準化された種々のpHレベルにおける相対効率として、示す)。
【図5k】図5(k)は、NaI存在下において、pHが、ゲノムDNAの種々の基板への結合に及ぼす効果を示す(結果は、pH6における回収率により標準化された種々のpHレベルにおける相対効率として、示す)。
【図6】図6は、塩およびpHが、RNAのOrganon Teknika SilicaまたはGlassmilkのいずれかへの結合に及ぼす効果を示す。
【図7】図7は、NaIまたはNaClのいずれかの存在下において、塩およびpHが、Glassmilkへの核酸の結合の選択性に及ぼす効果を示す。
【図8a】図8(a)は、pHが、Sigma Silikaへの核酸(RNAおよびDNAの両方)の結合の選択性に及ぼす効果を示す。結合は、4.8M NaIにおいて、以下のそれぞれの緩衝液を使用して行った:50mM MES(pH6.0);50mM HEPES(pH7.0);50mM Tris(pH8.0);50mM Tris(pH9.0);または50mM AMP(pH10.0)。
【図8b】図8(b)は、pHが、Bangs 2.28μm粒子への核酸(RNAおよびDNAの両方)の結合の選択性に及ぼす効果を示す。結合は、4.8M NaIにおいて、以下のそれぞれの緩衝液を使用して行った:50mM MES(pH6.0);50mM HEPES(pH7.0);50mM Tris(pH8.0);50mM Tris(pH9.0);または50mM AMP(pH10.0)。
【図8c】図8(c)は、pHが、Davisil Silica Gelへの核酸(RNAおよびDNAの両方)の結合の選択性に及ぼす効果を示す。結合は、4.8M NaIにおいて、以下のそれぞれの緩衝液を使用して行った:50mM MES(pH6.0);50mM HEPES(pH7.0);50mM Tris(pH8.0);50mM Tris(pH9.0);または50mM AMP(pH10.0)。
【図9】図9は、NaI存在下のpH8またはpH10において、DNA対RNAの、種々の固相に対する結合選択性を示す。
【図10】図10は、DNA選択的結合条件が、DNAおよびRNAのSigma Silicaへの結合に及ぼす効果を示す。DNAまたはRNAのいずれかの濃度を増加することで、50mM Tris(pH8.0)、および4.8M NaIを使用して、Sigma Silicaへ結合した。
【図11】図11は、種々のpHレベルにおける、タンパク質(ウシ血清アルブミン)のシリカへの結合を示す。
【図12a】図12(a)は、種々のアニオンおよびカチオンが、pH10におけるDNAのSigma Silicaへの結合に及ぼす効果を示す(カチオンによって分類した)。
【図12b】図12(b)は、種々のアニオンおよびカチオンが、pH10におけるRNAのSigma Silicaへの結合に及ぼす効果を示す(カチオンによって分類した)。
【図12c】図12(c)は、種々のアニオンおよびカチオンが、pH10におけるDNAのSigma Silicaへの結合に及ぼす効果を示す(アニオンによって分類した)。
【図12d】図12(d)は、種々のアニオンおよびカチオンが、pH10におけるRNAのSigma Silicaへの結合に及ぼす効果を示す(アニオンによって分類した)。
【図12e】図12(e)は、種々のアニオンおよびカチオンが、pH10におけるSigma Silicaへの結合選択性に及ぼす効果を示す(カチオンによって分類した)。
【図12f】図12(f)は、種々のアニオンおよびカチオンが、pH10におけるSigma Silicaへの結合選択性に及ぼす効果を示す(アニオンによって分類した)。
【図13】図13は、pH6またはpH10における、種々の濃度のDNAを用いた選択的結合実験の結果を示す。
【図14】図14は、選択的および非選択的条件下での、異なったDNA対RNA比を用いたDNAおよびRNAの回収の結果を示す。
【図15】図15は、pH6およびpH10におけるSigma Silicaを用いた、全血からのDNAの抽出結果を示す。
【図16】図16は、種々のインキュベーション時間の後のRNAの、RNA分解のテストのための回収を示す。
【図17】図17は、選択的結合および溶出を使用した、核酸を単離する特定の方法の図を示す。
【図18】図18は、代表的な連続の選択的結合方法により単離されたRNAおよびDNAを示す染色したアガロースゲルを示す。
【図19】図19は、代表的な連続の選択的溶出方法により単離されたRNAおよびDNAを示す染色したアガロースゲルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の核酸の単離方法および組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図5e】
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【図5f】
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【図5g】
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【図5h】
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【図5i】
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【図5j】
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【図5k】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12a】
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【図12b】
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【図12c】
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【図12d】
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【図12e】
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【図12f】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−146(P2008−146A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−246299(P2007−246299)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【分割の表示】特願2003−547581(P2003−547581)の分割
【原出願日】平成14年11月27日(2002.11.27)
【出願人】(500069057)アプレラ コーポレイション (120)
【住所又は居所原語表記】850 Lincoln Centre Drive Foster City CALIFORNIA 94404 U.S.A.
【Fターム(参考)】