説明

選択装置、選択方法及びコンピュータプログラム

【課題】選択可能な複数の選択対象が配置された仮想空間を表示させ、表示された仮想空間内に配置された選択対象を選択する際の操作性を向上させる選択装置、選択方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】選択装置1は、指示された位置から、所定の方向へ延びる半直線上に、予め設定されている閾値以下の透明度が設定された選択対象が存在する場合(S503:YES,S505:YES)、透明度が閾値以下の選択対象の内で、最も指示位置に近い選択対象を選択する(S506)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、選択可能な複数の選択対象が配置された仮想空間内で、選択対象を選択する選択装置、その装置を用いて行われる選択方法、その装置を実現するためのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
仮想空間内に配置された様々な仮想物体を表示する3次元CADシステム等の3次元画像表示装置が普及している。例えば設備設計に用いられる3次元CADシステムでは、建築物等の建物オブジェクト、壁等の躯体シンボル、椅子、机、便器等の設備部材シンボルが仮想物体として表示される。そしてCADシステムの操作者は、表示されている仮想物体を選択し、選択した仮想物体に対する移動、変形等の編集操作を行うことができる(例えば特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2007−179212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら特許文献1に開示されている様な従来のシステムでは、遮蔽物の向こうの物体を選択する場合に操作性が悪いという問題がある。例えば建物が表示されている段階で、その内部の壁、ドア等の仮想物体を選択する場合、また壁の向こうの椅子、机等の仮想物体を選択する場合等である。
【0004】
躯体シンボル等の遮蔽物の向こうの設備シンボル等の物体を選択する場合、遮蔽物を非表示とする操作を行って、遮蔽物を選択対象から除外した上で、選択対象となる仮想物体を選択する操作を行わなければならない。この様な操作を行う場合、遮蔽物が多い程、操作性は悪化する。
【0005】
また別の選択方法として、正面からの視点を上方からの視点に変える操作を行った上で、選択対象となる仮想物体を選択することもできるが、この方法でも操作性が良いとは言えない。
【0006】
本願は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、指示位置から所定の方向へ延びる半直線上に位置する選択対象に対して予め設定されている設定値が、予め設定されている閾値以下である選択対象を選択することにより、操作性を向上させる選択装置、その装置を用いて行われる選択方法、その装置を実現するためのコンピュータプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願は、選択可能な複数の選択対象が配置された仮想空間を表示させる表示処理手段と、前記仮想空間内の位置を指示する指示手段とを備え、各選択対象に対して設定されている透明度を記録する第1記録部と、透明度に対して設定されている閾値を記録する第2記録部と、前記指示手段にて指示された指示位置から所定の方向へ延びる半直線上に位置する選択対象に設定された透明度を、閾値と比較する手段と、指示位置からの半直線上で、透明度が閾値以下である選択対象を選択する手段とを備える選択装置、その装置を用いて行われる選択方法、その装置を実現するためのコンピュータプログラムを開示する。
【0008】
これにより、簡単な操作で選択対象を選択することが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本願に記載の選択装置等は、選択可能な複数の選択対象が配置された仮想空間を表示させる表示処理手段と、前記仮想空間内の位置を指示する指示手段とを備える。また各選択対象に対して設定されている透明度を記録する第1記録部と、透明度に対して設定されている閾値を記録する第2記録部とを予め準備する。そして前記指示手段にて指示された指示位置から所定の方向へ延びる半直線上に位置する選択対象に設定された透明度を、閾値と比較し、指示位置からの半直線上で、透明度が閾値以下である選択対象を選択する。
【0010】
この構成により、本願では、所定の選択対象以外の選択対象が選択されなくなるので、簡単な操作で選択対象を選択することができ、操作性を向上させることが可能となる等、優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本願の内容をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は、本願の選択装置の構成例を示すブロック図である。図1中1は、汎用型コンピュータ、CADシステム用コンピュータ等のコンピュータを用いた選択装置である。選択装置1は、例えば3次元CADシステム等の仮想空間を表示する装置として用いられる。選択装置1が表示する仮想空間内には、選択可能な複数の選択対象が配置される。選択対象とは、建築物等の建物オブジェクト、壁等の躯体シンボル、椅子、机、便器等の設備部材シンボル等の仮想物体である。そして選択対象を選択することにより、選択した選択対象に対する移動、変形、情報表示等の各種編集操作を行うことができる。
【0012】
選択装置1は、制御部10、補助記憶部11、記録部12、記憶部13、表示部14及び操作部15を備えている。制御部10は、装置全体を制御するCPU等の機構である。補助記憶部11は、選択装置用のコンピュータプログラム2等のプログラム及びデータ等の各種情報を記録するCD−ROM、DVD−ROM等の記録媒体から各種情報を読み取る光学ドライブ等の機構である。記録部12は、補助記憶部11により読み取った各種情報を記録するハードディスク等の機構である。記憶部13は、制御部10の処理により一時的に発生する情報を記憶するRAM等の機構である。そして記録部12に記録した選択装置用のコンピュータプログラム2を記憶部13に記憶させ、制御部10の制御にて実行することにより、コンピュータは本願の選択装置1として作動する。
【0013】
また選択装置1の記録部12の記録領域の一部は、種別テーブル120、透明度テーブル121、閾値テーブル122、優先テーブル123等の各種テーブルとして用いられている。これらの各テーブルは、記憶部13内に形成する様にしても良く、また選択装置1に接続する他の装置の記録領域に形成する様にしても良い。なお各テーブルの内容については後述する。
【0014】
表示部14は、画像を表示するモニタ等の機構である。操作部15は、操作者の操作を受け付けるマウス、キーボード等の機構である。なお本願では、操作部15として、表示部14に表示された画像上に表示されるカーソル等の指示子を操作して、後述する仮想空間内の位置を指示するマウス、トラックボール、デジタイザ、タブレット、タッチパッド等のポインティングデバイスを主に用いる。
【0015】
図2は、本願の選択装置1が備える種別テーブル120の記録内容の一例を概念的に示す説明図である。種別テーブル120は、各選択対象を特定するシンボルIDと、選択対象の種別とを対応付けたレコードとして記録するテーブルである。選択対象の種別とは、建築躯体、壁、ドア、空調配管、ダクト、バルブ、建具、椅子、机、器具、便器等の種別を示す。なお選択対象の種別は、階層構造をもって設定されている。例えば選択躯体の下位の種別として壁、ドアが、空調配管の下位の種別としてダクト、バルブが、建具の下位の種別として椅子、机が、器具の下位の種別として便器が夫々設定されている。図2では、選択対象に対して階層的な種別を対応付けた例を示している。
【0016】
図3は、本願の選択装置1が備える透明度テーブル121の記録内容の一例を概念的に示す説明図である。透明度テーブル121は、種別と、透明度とを対応付けたレコードとして記録するテーブルである。透明度とは、0.0〜1.0の実数として示される数値の設定値であり、可視光等の光の透過度を示す。透明度が0.0の場合、その選択対象は完全に不透明な仮想物体として表示されるため、仮想空間内で当該選択対象の後方に配置された仮想物体は全く表示されない。また透明度が1.0の場合、その選択対象は完全に透明な仮想物体となり、仮想空間内で当該選択対象は表示されないことになる。透明度が0.0より大きく1.0より小さい値をとる場合、その選択対象は半透明な仮想物体となり、仮想空間内で当該選択対象の後方に配置された仮想物体が透けて見えることになる。なお選択対象のどの階層の種別に透明度を対応付けるかは適宜設定することが可能である。また上位の階層の種別と下位の階層の種別とに夫々異なる透明度が設定されている場合には、下位の種別に対応付けて設定された透明度が優先される。
【0017】
図2に示した種別テーブル120及び図3に示した透明度テーブル121を組み合わせることにより、各選択対象に対して予め設定されている夫々の透明度を特定することができる。なお種別テーブル120及び透明度テーブル121として、透明度を記録するのではなく、シンボルIDと透明度とを直接対応付けて記録し、選択対象の夫々の透明度を個々に設定する様にしても良い。
【0018】
図4は、本願の選択装置1が備える閾値テーブル122の記録内容の一例を概念的に示す説明図である。閾値テーブル122には、透明度に対する比較の基準となる設定値であり、0.0〜1.0の実数として示される閾値が記録されている。後述する処理により、閾値以下の透明度が設定された選択対象は選択可能であるが、閾値より大きい透明度が設定された選択対象は選択することができない。なおここでは閾値と透明度とが同値である場合、選択対象は選択可能であるものとするが、同値の場合の処理は適宜設定することが可能である。
【0019】
図5は、本願の選択装置1が備える優先テーブル123の記録内容の一例を概念的に示す説明図である。優先テーブル123には、選択した選択対象に対する処理内容と、選択対象の種別とを対応付けたレコードとして記録するテーブルである。優先テーブル123は、後述する処理により、選択対象に対する操作を示す処理内容が選択された場合、対応付けられている種別の選択対象が優先的に選択される様に各種設定変更処理を行うためのテーブルである。具体的には、処理内容が「壁/編集」である場合、種別が「建築躯体」及び「建具」である選択対象の透明度が閾値以下となる様に変更される。なお処理内容に対応付けて種別の具体的な透明度の数値を記録する様にしても良く、該当する選択対象の透明度が閾値以下となる様に変更されるのであれば、その記録内容及び記録形態は適宜設定することが可能である。また処理内容に対応付けてシンボルIDを記録する様にしても良い。
【0020】
図2に示した種別テーブル120及び図5に示した優先選択テーブル123を組み合わせることにより、処理内容に対して優先的に選択される選択対象を特定することができる。なお種別テーブル120及び優先選択テーブル123として、優先する選択対象を記録するのではなく、処理内容と優先する選択対象とを対応付けて記録し、各選択対象の夫々の優先度、例えば処理内容に応じて変更される透明度を個々に設定する様にしても良い。
【0021】
次に本願の選択装置1の処理について説明する。図6は、本願の選択装置1の閾値設定処理の一例を示すフローチャートである。選択装置1の操作者は、操作部15を用いて、閾値の設定値を入力する操作を行う。選択装置1は、コンピュータプログラム2を実行する制御部10の制御により、操作部15から閾値の入力を受け付け、受け付けた閾値を閾値テーブル122に記録する(S101)。この様にして閾値設定処理が実行される。
【0022】
図7は、本願の選択装置1の透明度設定処理の一例を示すフローチャートである。選択装置1の操作者は、操作部15を用いて各選択対象の種別を指定し、指定した種別に対する透明度を入力する操作を行う。選択装置1は、コンピュータプログラム2を実行する制御部10の制御により、操作部15から種別の指定及び透明度の入力を受け付け、指定された種別及び透明度を対応付けて透明度テーブル121に記録する(S201)。なお透明度は、各選択対象に対して指定することも可能であり、その場合、選択対象、即ち当該選択対象のシンボルIDに対応付けて透明度が記録される。この様にして透明度設定処理が実行される。また設定された透明度は、固定されたものではなく、任意の選択対象を優先的に選択することを目的として設定変更することも可能である。
【0023】
図8は、本願の選択装置1の透明度の設定変更のマンマシンインタフェースの一例を示す説明図である。図8(a)は、設定変更前の透明度テーブル121の記録内容を概念的に示している。図8(a)において、透明度の閾値が0.7に設定されている場合、種別「ダクト」が閾値以下の選択対象となる。図8(b)は、透明度の設定変更時に表示される画像を示しており、選択対象の種別の階層構造が樹形図として示されている。ここで種別「バルブ」を指定した場合には、種別「バルブ」のみが閾値以下となる様に透明度の設定が変更される。図8(c)は、透明度の設定変更後の透明度テーブル121の記録内容を概念的に示している。図8(b)の操作により指定された種別「バルブ」の透明度が閾値である0.7以下の値である0.6となり、他の種別は、閾値より大きい値となっている。
【0024】
図9は、本願の選択装置1の優先選択設定処理の一例を示すフローチャートである。選択装置1の操作者は、操作部15を用いて、処理内容を指定し、指定した処理内容が選択された場合に優先的に選択すべき選択対象の種別を入力する操作を行う。選択装置1は、コンピュータプログラム2を実行する制御部10の制御により、操作部15から処理内容の指定及び種別の入力を受け付け、指定された処理内容及び種別を対応付けて優先テーブル123に記録する(S301)。なお処理内容に対応付けて、各選択対象を指定することも可能であり、また処理内容に対応付けて変更後の透明度をも記録する等、適宜設定することが可能である。なお処理内容に対応付ける種別の入力に際しては、図8に示す様なマンマシンインタフェースを用いる様にしても良い。この様にして優先選択設定処理が実行される。
【0025】
次に画像表示に関する基本的な処理について説明する。図10は、本願の選択装置1の画像表示処理の一例を示すフローチャートである。選択装置1は、コンピュータプログラム2を実行する制御部10の制御により、選択可能な複数の選択対象が配置された仮想空間を表示部14に表示させる(S401)。ステップS401では、3次元座標にて示される仮想空間内に、予め設定されている各選択対象の位置及び形状に基づいて各選択対象を配置する。即ち複数の選択対象が配置された仮想空間を定義する。そして定義された仮想空間に対し、指定された視点から注視点方向への3次元画像を計算し、表示部14に表示させる処理を実行する。また表示された各選択対象に対しては、設定されている透明度に応じた透過処理が施される。この様にして画像表示処理が実行される。
【0026】
次に表示された画像に対する処理ついて説明する。図11は、本願の選択装置1の選択処理の一例を示すフローチャートである。画像表示処理により、選択可能な複数の選択対象が配置された仮想空間を表示部14に表示後、選択装置1の操作者は、操作部15を用い、表示部14に表示された画像上に表示されるカーソル等の指示子を移動させて、仮想空間内の位置を指示する操作を行う。
【0027】
選択装置1は、コンピュータプログラム2を実行する制御部10の制御により、操作部15から操作を受け付け、指示された仮想空間内の位置に指示子を描画することにより、仮想空間内の位置を指示する(S501)。
【0028】
操作者は、操作部15を操作して、選択対象を選択する操作を行う。選択対象を選択する操作とは、例えば2ボタン形式、3ボタン形式等の形式のマウスを操作部15として用いる場合、操作者にとって左側に配設されたボタンを押下する操作、所謂、左クリックを示す。
【0029】
選択装置1は、制御部10の制御により、操作部15から操作を受け付け(S502)、ステップS501にて指示された位置から、所定の方向へ延びる半直線上に選択対象が存在するか否かを判定する(S503)。所定の方向とは、適宜設定することが可能であるが、ここでは注視点の方向が所定の方向として設定されているものとする。注視点の方向とは、3次元の仮想空間において、表示部14に表示される画面に対する奥行きの方向であり、例えば仮想空間が遠近法等の視覚効果を用いた画像として表示されている場合、無限遠となる消失点の方向である。
【0030】
ステップS503において、選択対象が存在すると判定した場合(S503:YES)、選択装置1は、制御部10の制御により、指示された位置から、所定の方向へ延びる半直線上に位置する選択対象に設定された透明度を、閾値と比較する(S504)。選択対象に設定された透明度とは、種別テーブル120及び透明度テーブル121の組み合わせに基づいて決定される選択対象に対応する透明度である。閾値とは、閾値テーブル122に記録されている閾値である。
【0031】
選択装置1は、制御部10の制御により、ステップS504の比較により、選択対象に設定された透明度が、閾値以下である選択対象の有無を判定する(S505)。
【0032】
ステップS505において、透明度が閾値以下である選択対象が有ると判定した場合(S505:YES)、選択装置1は、制御部10の制御により、透明度が閾値以下の選択対象の内で、最も指示位置に近い選択対象を選択する(S506)。ステップS506により、操作者が操作した選択対象を選択する操作に対し、選択対象の選択が確定することになる。そして選択装置1は、選択を確定した選択対象に対する操作待ちの状態で待機する。操作者は、適宜操作を行い、選択装置1は、制御部10の制御により、操作に基づき選択された選択対象に対する様々な処理を実行する(S507)。
【0033】
ステップS503において、選択対象が存在しないと判定した場合(S503:NO)、又はステップS505において、透明度が閾値以下である選択対象が無いと判定した場合(S505:NO)、選択装置1は、ステップS501へ戻り、以降の処理を繰り返す。この様にして選択処理が実行される。
【0034】
図11に示した選択処理は、本願に係る処理の無数の実現形態の一を示したに過ぎず、指示位置から所定の方向へ延びる半直線上に位置する選択対象の内で、閾値より透明度が低い選択対象を選択する様々な処理として実現することが可能である。例えば指示位置から所定の方向へ延びる半直線上に位置する選択対象の透明度を、指示位置から近い順に閾値と比較し、最初に透明度が閾値以下であると判定した選択対象を選択する等、様々な処理として実現することが可能である。
【0035】
図12は、本願の選択装置1にて表示される画像の例を示す説明図である。図12(a)は、画像表示処理にて表示された仮想空間を示している。図12(b)は、選択処理において、指示子を描画して仮想空間内の位置を指示した状態を示している。図12(c)は、選択対象の選択を確定した状態を示している。図12(a)に表示された仮想空間内には、複数の選択対象が示されており、躯体シンボルである壁を示す選択対象には、閾値より低い透明度が設定されており、壁の向こうの設備シンボルである便器を示す選択対象には、閾値より高い透明度が設定されている。そして壁は、透明度が高く半透明に表示され、壁の向こうの便器が透けて表示されている。操作者が、図12(b)に示す様に位置を指定し、選択対象を選択する操作を行った場合、図12(c)に示す様に壁が選択されずに、その向こうの便器が選択される。
【0036】
例えば従来のCADシステムでは、壁の向こうの便器を選択する場合、壁を非表示とする操作を行って、壁を選択対象から除外した上で、選択対象となる便器を選択する操作を行わなければならない。そしてこの様な操作を行った場合、壁と、便器との位置関係の判断が難しくなる。これに対し本願の選択装置1では、図12に示す様に、壁を除外することなく便器を選択することができるので、位置関係を把握した状態で次の操作を行うことができる等、優れた効果を奏する。
【0037】
また例えば従来のCADシステムでは、正面からの視点を上方からの視点に変える操作を行った上で、壁の向こうの便器を選択することもできるが、その場合、作業を効率的にするために調整した視界が変更されることになる。これに対し本願の選択装置1では、図12に示す様に視界を変更せずに便器を選択することができるので利便性を損ねることがない等、優れた効果を奏する。
【0038】
前述した選択処理についての拡張機能として、特定の選択対象を優先的に選択することができる様にすることも可能である。その一例として、選択を確定した選択対象に対して行う操作、即ち編集操作等の処理の内容を先に指定し、指定した処理内容に応じた選択対象を優先的に選択する処理について説明する。図13は、本願の選択装置1の優先選択処理の一例を示すフローチャートである。画像表示処理により、選択可能な複数の選択対象が配置された仮想空間を表示部14に表示後、操作者は、操作部15を用いて、処理内容を指定する操作を行う。
【0039】
選択装置1は、コンピュータプログラム2を実行する制御部10の制御により、操作部15から処理内容を指定する操作を受け付け(S601)、指定された処理内容に対応付けられている優先すべき選択対象の種別を優先テーブル123から読み取る(S602)。例えば図5に示した優先テーブル123を用いる場合、処理内容として「壁/編集」が指定された場合、「建築躯体」及び「建具」が優先すべき選択対象の種別として読み取られる。
【0040】
選択装置1は、制御部10の制御により、優先テーブル123から読み取った優先すべき種別に係る選択対象の透明度の設定を、閾値以下に変更する(S603)。更に選択装置1は、制御部10の制御により、優先テーブル123から読みとった種別以外の選択対象、即ち優先しない選択対象の透明度の設定を、閾値より大きい値に変更する(S604)。透明度の設定を変更する方法については、予め設定されている値への変更、所定の演算等の方法を適宜設定することが可能である。
【0041】
そして選択装置1は、透明度の設定を変更後、前述した選択処理を実行し、選択された選択対象に対して、指定された処理内容に基づく処理を実行する。なお処理内容に対応付けられている優先すべき選択対象の透明度が閾値以下に変更されているので、選択処理においては優先すべき選択対象が選択される様になる。なお処理内容に対応する選択対象を優先するのではなく、直接選択対象を指定し、指定した選択対象又はその選択対象と同じ種別の選択対象を優先すべき選択対象となる様に透明度を変更する等、適宜設定することが可能である。この様にして優先選択処理が実行される。なお図13に示した優先選択処理は、本願に係る処理の無数の実現形態の一を示したに過ぎず、本願は、この一形態に限るものではなく、様々な形態として実現することが可能である。
【0042】
前述した選択処理についての拡張機能として、指示位置から延びる半直線を選択線として可視化することも可能である。図14は、本願の選択装置1の選択線表示処理の一例を示すフローチャートである。画像表示処理により、選択可能な複数の選択対象が配置された仮想空間を表示部14に表示後、操作者は、操作部15を用いて、表示部14に表示された画像上に表示されるカーソル等の指示子を移動させて、仮想空間内の位置を指示する操作を行う。
【0043】
選択装置1は、コンピュータプログラム2を実行する制御部10の制御により、操作部15から操作を受け付け、指示された仮想空間内の位置に指示子を描画することにより、仮想空間内の位置を指示する(S701)。
【0044】
選択装置1は、制御部10の制御により、ステップS701にて指示された位置から、所定の方向へ延びる半直線上に選択対象が存在するか否かを判定する(S702)。
【0045】
ステップS702において、選択対象が存在すると判定した場合(S702:YES)、選択装置1は、制御部10の制御により、指示された位置から、所定の方向へ延びる半直線上に位置する選択対象に設定された透明度を、閾値と比較する(S703)。
【0046】
選択装置1は、制御部10の制御により、ステップS703の比較により、選択対象に設定された透明度が、閾値以下である選択対象の有無を判定する(S704)。
【0047】
ステップS704において、透明度が閾値以下である選択対象が有ると判定した場合(S704:YES)、選択装置1は顕示表示処理を行う。即ち選択装置1は、制御部10の制御により、透明度が閾値以下の選択対象の内で、最も指示位置に近い選択対象を選択し、指示位置から選択した選択対象までの線分を表示部14に表示させ(S705)、更に選択した選択対象の表示方法を変更する(S706)。ステップS705の処理により、指示位置から選択した選択対象までの線分を、例えば赤い線として表示し、ステップS706の処理により、選択対象の色の変更、点滅等の視覚効果による顕示表示処理を行う。顕示表示処理を行うことにより、操作者はどの選択対象を選択することが可能であるかを容易に視認することができる。
【0048】
そして選択装置1は、顕示表示を維持した状態で、指示子を移動する操作、又は他の処理の操作の受け付けを待つ待機状態となる。他の処理の操作とは、前述した選択対象を選択する選択処理の操作、終了操作等の操作である。
【0049】
選択装置1は、制御部10の制御により、操作部15から操作を受け付け(S707)、受け付けた操作が指示子を移動させる操作か否かを判定する(S708)。
【0050】
ステップS708において、指示子を移動させる操作であると判定した場合(S708:YES)、選択装置1は、ステップS701へ戻り、以降の処理を実行する。なお指示子の移動により、指示位置から選択した選択対象までの線分及び選択した選択対象がずれる場合、移動前の線分及び選択対象の顕示表示は解除される。
【0051】
ステップS708において、指示子を移動させる操作以外の操作であると判定した場合(S708:NO)、選択装置1は、制御部10の制御により、受け付けた操作に基づく処理を実行する(S709)。ステップS709の受け付けた操作に基づく処理とは、選択処理、終了処理等の処理である。
【0052】
ステップS702において、選択対象が存在しないと判定した場合(S702:NO)、又はステップS704において、透明度が閾値以下である選択対象が無いと判定した場合(S704:NO)、選択装置1は選択すべき選択対象が存在しないことを表示する。即ち選択装置1は、制御部10の制御により、指示位置から所定方向への半直線を表示部14に表示する(S710)。ステップS710の処理により、指示位置から所定方向への半直線を、例えば赤い線として表示する。なおステップS710の処理は、指示位置から注視点までの線分を表示する処理としても良い。
【0053】
そして選択装置1は、待機状態となり、ステップS707へ進み、以降の処理を実行する。この様にして選択線表示処理が実行される。
【0054】
なお図14に示した選択先表示処理は、本願に係る処理の無数の実現形態の一を示したに過ぎず、指示位置から所定の方向へ延びる半直線上に位置する選択対象の内で、閾値より透明度が低い選択対象までの線分を表示する様々な処理として実現することが可能である。例えば指示位置から所定の方向へ延びる半直線上に位置する選択対象の透明度を、指示位置から近い順に閾値と比較し、最初に透明度が閾値以下であると判定した選択対象までの線分を表示する等、様々な処理として実現することが可能である。
【0055】
図15は、本願の選択装置1にて表示される画像の例を示す説明図である。図15は、選択線表示処理により、顕示表示がなされた状態の画像を示している。図15に示す画像は、躯体シンボルである壁の向こうに、設備シンボルである便器が配置されている。また壁は、透明度が高く半透明に表示され、壁の向こうの便器が透けて表示されている。なお画像中に表示されている壁、便器、配管等の仮想物体はいずれも選択対象である。図15では、指示子(マウスカーソル)にて示される指示位置から所定方向に位置する選択対象までの線分が、レーザー光線を模した赤い線として示されており、また選択された便器の色が他の便器と異なる色に顕示表示されている。これにより操作者は、選択対象として便器を選択可能な位置にあることを容易に認識することができる。なお操作者が操作部15を操作して指示子が移動した場合、選択が解除され、顕示表示された便器も元の表示となる。
【0056】
図16は、本願の選択装置1にて表示される画像の例を示す説明図である。上述した選択線表示処理において、指示位置に表示された指示子と、選択された選択対象の表示位置とが近接し、又は重なる場合も生じる。図16は、その様な場合の画像処理を示したものであり、指示子が選択された選択対象に重なる場合に指示子の表示方法を変更する顕示表示を行うことが可能であることを示したものである。図16の「A」の位置に指示子が位置する場合、指示子と選択された選択対象は離れているため、指示子は「×」印を含む形状となる。そして図16の「B」の位置に指示子が位置する場合、指示子と選択された選択対象が重なっているため、指示子は「◎」を含む形状に変化する。この様にすることで、操作者は指示子と選択された選択対象との関係を容易に把握することができる。
【0057】
前述した選択処理についての拡張機能として、複数の表示窓(ウィンドウ)に仮想空間を表示することも可能である。その一例として、一の表示窓に表示された一の視点からの仮想空間を、他の表示窓に他の視点からの仮想空間として表示する処理について説明する。図17は、本願の選択装置1の複数画像表示処理の一例を示すフローチャートである。画像表示処理により、選択可能な複数の選択対象が配置された仮想空間を表示部14に表示する。最初に表示されるこの仮想空間を表示する表示窓をメインウィンドウと称する。また後述するメインウィンドウ以外の表示窓をサブウィンドウと称する。そして操作者は、操作部15を用いて、表示部14に表示されたメインウィンドウの画像上に表示されるカーソル等の指示子を移動させて、仮想空間内の位置を指示する操作を行う。
【0058】
選択装置1は、コンピュータプログラム2を実行する制御部10の制御により、操作部15から操作を受け付け、指示された仮想空間内の位置を示す指示位置を読み取る(S801)。ステップS801では、仮想空間内での指示位置の3次元座標を読み取る。
【0059】
選択装置1は、制御部10の制御により、指示位置を基点として所定方向、即ち注視点の方向へ延びるベクトルを持つ直線と、仮想空間内で定義されている上方向のベクトルとで形成される平面を断面として定義する(S802)。
【0060】
選択装置1は、制御部10の制御により、サブウィンドウが表示されているか否かを判定する(S803)。ステップS803において、サブウィンドウが表示されていないと判定した場合(S803:NO)、選択装置1は、制御部10の制御により、サブウィンドウを表示部14に表示する(S804)。サブウィンドウとは、前述した様に一の表示窓であるメインウィンドウと異なる他の表示窓である。なおステップS803において、既にサブウィンドウが表示されていると判定した場合(S803:YES)、ステップS804の処理は実行されない。なおメインウィンドウ及びサブウィンドウは、表示部14の表示画面に並べて表示される。但し、適宜設定することにより、メインウィンドウ及びサブウィンドウを重畳して表示する様にしても良い。
【0061】
選択装置1は、制御部10の制御により、メインウィンドウの手前方向をサブウィンドウの左方向として、メインウィンドウの奥行き方向をサブウィンドウの右方向として定義する(S805)。
【0062】
選択装置1は、制御部10の制御により、表示部14に、定義した方向に基づく視点の仮想空間を、サブウィンドウに表示する(S806)。定義した方向に基づく視点の仮想空間とは、ステップS802にて定義した断面に対する直交方向から、画面に対する傾きをステップS805にて定義した方向に基づいて決定した視点である。サブウィンドウに表示されている仮想空間は、メインウィンドウと同様の仮想空間を、メインウィンドウと異なる視点から表示したものである。従ってサブウィンドウに表示された仮想空間内にも、複数の選択対象が配置されている。即ち表示部14には、メインウィンドウ及びサブウィンドウに夫々異なる視点からの仮想空間が表示される。そしてサブウィンドウに表示された仮想空間に係る視点は、メインウィンドウに表示される仮想空間内での指示位置から所定方向への半直線を含む平面に対し、直交する方向からの視点である。
【0063】
選択装置1は、制御部10の制御により、サブウィンドウに表示された仮想空間において、指示位置から所定の方向へ延びる半直線上に選択対象が存在するか否かを判定する(S807)。
【0064】
ステップS807において、選択対象が存在すると判定した場合(S807:YES)、選択装置1は、制御部10の制御により、指示された位置から、所定の方向へ延びる半直線上に位置する選択対象に設定された透明度を、閾値と比較する(S808)。
【0065】
選択装置1は、制御部10の制御により、ステップS808の比較により、選択対象に設定された透明度が、閾値以下である選択対象の有無を判定する(S809)。
【0066】
ステップS809において、透明度が閾値以下である選択対象が有ると判定した場合(S809:YES)、選択装置1は顕示表示処理を行う。即ち選択装置1は、制御部10の制御により、透明度が閾値以下の選択対象の内で、最も指示位置に近い選択対象を選択し、指示位置から選択した選択対象までの線分を表示部14に表示させ(S810)、更に選択した選択対象の表示方法を変更する(S811)。ステップS810及びS811の顕示表示処理は、サブウィンドウに表示された仮想空間内において実行される。
【0067】
そして選択装置1は、顕示表示を維持した状態で、指示子を移動する操作、選択対象を選択する選択処理の操作、終了操作、サブウィンドウに表示された仮想空間の視点又は視野を変更する操作等の操作の受け付けを待つ待機状態となる。
【0068】
選択装置1は、制御部10の制御により、操作部15から操作を受け付け(S812)、受け付けた操作がサブウィンドウに表示された仮想空間の視点又は視野を変更する操作か否かを判定する(S813)。
【0069】
ステップS813において、サブウィンドウに表示された仮想空間の視点又は視野を変更する操作であると判定した場合(S813:YES)、選択装置1は、制御部10の制御により、変更された視点又は視野の仮想空間をサブウィンドウに表示する(S814)。ステップS815において仮想空間の視点又は視野を変更する場合、メインウィンドウとサブウィンドウとのベクトル差を記憶部13に記憶する。例えばベクトル差として、「X=0.0,Y=1.0,Z=0.0」等の値が記憶される。
【0070】
そして選択装置1は、制御部10の制御により、操作の受け付けを待つ待機状態となり、ステップS812へ戻り、以降の処理を繰り返す。
【0071】
ステップS813において、サブウィンドウに表示された仮想空間の視点又は視野を変更する操作以外の操作であると判定した場合(S813:NO)、選択装置1は、制御部10の制御により、受け付けた操作が指示子を移動させる操作か否かを判定する(S815)。
【0072】
ステップS815において、指示子を移動させる操作であると判定した場合(S815:YES)、選択装置1は、ステップS801へ戻り、以降の処理を実行する。
【0073】
ステップS815において、指示子を移動させる操作以外の操作であると判定した場合(S815:NO)、選択装置1は、制御部10の制御により、受け付けた操作に基づく処理を実行する(S816)。ステップS816の受け付けた操作に基づく処理とは、選択処理、終了処理等の処理である。
【0074】
ステップS807において、選択対象が存在しないと判定した場合(S807:NO)、又はステップS809において、透明度が閾値以下である選択対象が無いと判定した場合(S809:NO)、選択装置1は選択すべき選択対象が存在しないことを表示する。即ち選択装置1は、制御部10の制御により、指示位置から所定方向への半直線を表示部14に表示する(S817)。ステップS817の表示処理は、サブウィンドウに表示された仮想空間内において実行される。
【0075】
そして選択装置1は、操作の受け付けを待つ待機状態となり、ステップS812へ進み、以降の処理を実行する。
【0076】
なおステップS807以降の処理は、仮想空間の視点又は視野を変更する処理を除き、前述した選択線表示処理を、サブウィンドウ内で実行する処理である。従って選択線表示処理と併用する場合には、ステップS807以降の処理に換えて、メインウィンドウに表示された仮想空間に対して視点を変換する処理を実行し、視点を変更した仮想空間をサブウィンドウに表示する様にしても良い。
【0077】
またサブウィンドウの視点又は視野を変更後、ステップS805等のサブウィンドウの定義に係る処理を実行する場合、記憶部13に記憶させたメインウィンドウとサブウィンドウとのベクトル差に基づいてサブウィンドウに係る定義を調整する処理を併用する。この様にして複数画像表示処理が実行される。
【0078】
なお図17に示した複数画像表示処理は、本願に係る処理の無数の実現形態の一を示したに過ぎず、指示位置から所定の方向へ延びる半直線上に位置する選択対象の内で、閾値より透明度が低い選択対象までの線分を表示する様々な処理として実現することが可能である。例えば指示位置から所定の方向へ延びる半直線上に位置する選択対象の透明度を、指示位置から近い順に閾値と比較し、最初に透明度が閾値以下であると判定した選択対象までの線分を表示する等、様々な処理として実現することが可能である。
【0079】
図18は、本願の選択装置1にて表示される画像の例を示す説明図である。図18は、複数画像表示処理により表示されるメインウィンドウ及びサブウィンドウを示している。図18(a)は、メインウィンドウに表示された仮想空間を示しており、図18(b)は、サブウィンドウに表示された仮想空間を示している。なお図18(a)に示すメインウィンドウでは、選択線表示処理も併用している。図18(b)に示すサブウィンドウに表示された仮想空間は、図18(a)に示すメインウィンドウに表示された仮想空間を横から表示した断面図となっている。図18(b)に示す様に横からの視点の仮想空間を表示することにより、例えば選択対象が視点から注視点の方向に並んでいる場合にも、どの選択対象を選択することが可能であるのか容易に認識することができる。
【0080】
図19は、本願の選択装置1にて表示される画像の例を示す説明図である。図19は、複数画像表示処理により表示されるメインウィンドウ及びサブウィンドウを示している。図19(a)は、メインウィンドウに表示された仮想空間を示しており、図19(b)は、サブウィンドウに表示された仮想空間を示している。なお図19(b)は、サブウィンドウに表示された仮想空間の視点を換えた状態を示している。この様に本願では、仮想空間内で選択される選択対象を様々な視点から容易に認識することが可能であり、利便性を向上することが可能となる。
【0081】
前記実施の形態は、本願の無限にある実施の形態の一部を例示したに過ぎず、各種ハードウェア及びソフトウェア等の構成は、用途、目的等に応じて適宜設計することが可能である。例えば、選択装置は、全ての処理をソフトウェアの実行にて行うのではなく、一部又は全ての処理をVLSI等の回路に組み込んだハードウェアによる処理として実行する様にしても良い等、適宜設計することが可能である。
【0082】
また前記実施の形態では、透明度が閾値以下の選択対象の内で、最も指示位置に近い選択対象を選択する形態を示したが、本願はこれに限らず、2番目に近い選択対象、最も遠い選択対象、全ての選択対象を選択する等、適宜設定することが可能である。
【0083】
さらに前記実施の形態では、3次元CADシステムに選択装置を適用する形態を示したが、本願は、これに限らず、コンピュータゲーム、ナビゲーションシステム、地図システム等の3次元の仮想空間を表示させる様々な装置として実現することも可能である。
【0084】
そして前記実施の形態では、3次元の仮想空間内で選択対象を選択する形態を示したが、本願は、これに限らず2次元の仮想平面内で選択対象を選択する選択装置として実現することも可能である。
【0085】
さらには選択可能な複数の選択対象が配置されたN次元(Nは2以上の自然数)の論理空間を定義し、その論理空間内での選択対象の選択に適用することも可能である。即ち各選択対象に対して設定されている設定値と、設定値に対して設定されている閾値とを、例えばテーブル形式で予め記録部に記録しておく。そして操作者が、論理空間内の位置を指示する操作を行い、選択装置は、指示された指示位置から所定の方向へ延びる半直線上に位置する選択対象に設定された設定値を、閾値と比較し、指示位置からの半直線上で、設定値が閾値以下である選択対象を選択するのである。
【0086】
以上の実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0087】
(付記1)
選択可能な複数の選択対象が配置された仮想空間を表示させる表示処理手段と、
前記仮想空間内の位置を指示する指示手段と
を備え、
各選択対象に対して設定されている透明度を記録する第1記録部と、
透明度に対して設定されている閾値を記録する第2記録部と、
前記指示手段にて指示された指示位置から所定の方向へ延びる半直線上に位置する選択対象に設定された透明度を、閾値と比較する手段と、
指示位置からの半直線上で、透明度が閾値以下である選択対象を選択する手段と
を備える選択装置。
【0088】
(付記2)
前記選択する手段は、透明度が閾値以下である選択対象の内で、最も指示位置に近い選択対象を選択する様にしてある付記1に記載の選択装置。
【0089】
(付記3)
選択対象及び選択した選択対象に対する処理内容を対応付けて記録する第3記録部と、
処理内容の指定を受け付けた場合に、指定された処理内容に対応付けられている選択対象の透明度の設定を変更する手段と、
選択された選択対象に対して、指定された処理内容に基づく処理を実行する手段と
を更に備える付記1又は付記2に記載の選択装置。
【0090】
(付記4)
前記設定を変更する手段は、対応付けられている選択対象の透明度の設定が、閾値以下になる様に変更する様にしてある付記3に記載の選択装置。
【0091】
(付記5)
前記指示手段にて指示された指示位置から選択された選択対象までの線分を表示させる手段を更に備える付記1乃至付記4のいずれかに記載の選択装置。
【0092】
(付記6)
選択された選択対象の表示方法を変更する手段を更に備える付記1乃至付記5のいずれかに記載の選択装置。
【0093】
(付記7)
前記表示処理手段は、夫々異なる視点からの前記仮想空間を複数並べて表示させる様にしてある付記1乃至付記6のいずれかに記載の選択装置。
【0094】
(付記8)
前記表示処理手段は、
一の視点からの前記仮想空間及び他の視点からの前記仮想空間を並べて表示させる様にしてあり、
前記他の視点は、前記一の視点からの仮想空間内で指示された指示位置から所定方向への半直線を含む平面に対し、直角をなす方向からの視点である
付記7に記載の選択装置。
【0095】
(付記9)
選択可能な複数の選択対象が配置されたN次元(Nは2以上の自然数)の論理空間を定義する手段と、
前記論理空間内の位置を指示する指示手段と
を備え、
各選択対象に対して設定されている設定値を記録する第1記録部と、
設定値に対して設定されている閾値を記録する第2記録部と、
前記指示手段にて指示された指示位置から所定の方向へ延びる半直線上に位置する選択対象に設定された設定値を、閾値と比較する手段と、
指示位置からの半直線上で、設定値が閾値以下である選択対象を選択する手段と
を備える選択装置。
【0096】
(付記10)
選択可能な複数の選択対象が配置された仮想空間を表示し、
前記仮想空間内の位置を指示し、
指示された指示位置から所定の方向へ延びる半直線上に位置する選択対象に対して予め設定されている透明度を、予め設定されている閾値と比較し、
指示位置からの半直線上で、透明度が閾値以下である選択対象を選択する
選択方法。
【0097】
(付記11)
コンピュータに、
選択可能な複数の選択対象が配置されたN次元(Nは2以上の自然数)の論理空間内の位置を指示された場合に、指示された指示位置から所定の方向へ延びる半直線上に位置する選択対象に対して予め設定されている設定値を、予め設定されている閾値と比較させる手順と、
指示位置からの半直線上で設定値が閾値以上である選択対象を選択させる手順と
を実行させるコンピュータプログラム。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本願の選択装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本願の選択装置が備える種別テーブルの記録内容の一例を概念的に示す説明図である。
【図3】本願の選択装置が備える透明度テーブルの記録内容の一例を概念的に示す説明図である。
【図4】本願の選択装置が備える閾値テーブルの記録内容の一例を概念的に示す説明図である。
【図5】本願の選択装置が備える優先テーブルの記録内容の一例を概念的に示す説明図である。
【図6】本願の選択装置の閾値設定処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】本願の選択装置の透明度設定処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】本願の選択装置の透明度の設定変更のマンマシンインタフェースの一例を示す説明図である。
【図9】本願の選択装置の優先選択設定処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】本願の選択装置の画像表示処理の一例を示すフローチャートである。
【図11】本願の選択装置の選択処理の一例を示すフローチャートである。
【図12】本願の選択装置にて表示される画像の例を示す説明図である。
【図13】本願の選択装置の優先選択処理の一例を示すフローチャートである。
【図14】本願の選択装置の選択線表示処理の一例を示すフローチャートである。
【図15】本願の選択装置にて表示される画像の例を示す説明図である。
【図16】本願の選択装置にて表示される画像の例を示す説明図である。
【図17】本願の選択装置の複数画像表示処理の一例を示すフローチャートである。
【図18】本願の選択装置にて表示される画像の例を示す説明図である。
【図19】本願の選択装置にて表示される画像の例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0099】
1 選択装置
10 制御部
11 補助記憶部
12 記録部
120 種別テーブル
121 透明度テーブル
122 閾値テーブル
123 優先テーブル
13 記憶部
14 表示部
15 操作部
2 コンピュータプログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択可能な複数の選択対象が配置された仮想空間を表示させる表示処理手段と、
前記仮想空間内の位置を指示する指示手段と
を備え、
各選択対象に対して設定されている透明度を記録する第1記録部と、
透明度に対して設定されている閾値を記録する第2記録部と、
前記指示手段にて指示された指示位置から所定の方向へ延びる半直線上に位置する選択対象に設定された透明度を、閾値と比較する手段と、
指示位置からの半直線上で、透明度が閾値以下である選択対象を選択する手段と
を備える選択装置。
【請求項2】
選択対象及び選択した選択対象に対する処理内容を対応付けて記録する第3記録部と、
処理内容の指定を受け付けた場合に、指定された処理内容に対応付けられている選択対象の透明度の設定を変更する手段と、
選択された選択対象に対して、指定された処理内容に基づく処理を実行する手段と
を更に備える請求項1に記載の選択装置。
【請求項3】
前記指示手段にて指示された指示位置から選択された選択対象までの線分を表示させる手段を更に備える請求項1又は請求項2に記載の選択装置。
【請求項4】
前記表示処理手段は、夫々異なる視点からの前記仮想空間を複数並べて表示させる様にしてある請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の選択装置。
【請求項5】
選択可能な複数の選択対象が配置されたN次元(Nは2以上の自然数)の論理空間を定義する手段と、
前記論理空間内の位置を指示する指示手段と
を備え、
各選択対象に対して設定されている設定値を記録する第1記録部と、
設定値に対して設定されている閾値を記録する第2記録部と、
前記指示手段にて指示された指示位置から所定の方向へ延びる半直線上に位置する選択対象に設定された設定値を、閾値と比較する手段と、
指示位置からの半直線上で、設定値が閾値以下である選択対象を選択する手段と
を備える選択装置。
【請求項6】
選択可能な複数の選択対象が配置された仮想空間を表示し、
前記仮想空間内の位置を指示し、
指示された指示位置から所定の方向へ延びる半直線上に位置する選択対象に対して予め設定されている透明度を、予め設定されている閾値と比較し、
指示位置からの半直線上で、透明度が閾値以下である選択対象を選択する
選択方法。
【請求項7】
コンピュータに、
選択可能な複数の選択対象が配置されたN次元(Nは2以上の自然数)の論理空間内の位置を指示された場合に、指示された指示位置から所定の方向へ延びる半直線上に位置する選択対象に対して予め設定されている設定値を、予め設定されている閾値と比較させる手順と、
指示位置からの半直線上で設定値が閾値以上である選択対象を選択させる手順と
を実行させるコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−134792(P2010−134792A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−311516(P2008−311516)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【出願人】(000180357)株式会社四電工 (11)
【Fターム(参考)】