説明

遺伝子改変された光合成生物のハイスループットスクリーニング

本発明は、原形質状態についての遺伝子改変された光合成生物のハイスループットスクリーニングのための方法および組成物を提供する。本発明は、植物におけるバイオマス分解酵素を含む、1つ以上のタンパク質を産生する方法を提供する。また、藻細胞、特に葉緑体におけるバイオマス分解酵素の経路を産生する方法も提供する。単一の酵素または複数の酵素は、開示される方法によって産生され得る。本明細書に開示される方法は、エタノールを含む、バイオ燃料の生産を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(相互参照)
本出願は以下の米国仮出願の優先権および利益を主張する:Mayfieldらによる「USE OF PHOTOSYNTHETIC ORGANISMS TO GENERATE BIOFUELS」という発明の名称の2007年6月1日に出願されたUSSN60/941,452号;Mayfieldらによる「USE OF GENETICALLY MODIFIED ORGANISMS TO GENERATE BIOMASS DEGRADING ENZYMES」という発明の名称の2008年3月20日に出願されたUSSN61/070,384号;およびMayfieldらによる「HIGH THROUGHPUT SCREENING OF GENETICALLY MODIFIED PHOTOSYNTHETIC ORGANISMS」という発明の名称の2008年3月20日に出願されたUSSN61/070,437号。これらの先行出願の各々は、参照により本明細書に援用される。
【0002】
(参照による援用)
本明細書に述べられる全ての刊行物および特許出願は、各々の個々の刊行物または特許出願が具体的および個々に参照により援用されることを示されるのと同じ程度まで、本明細書に参照により援用される。
【背景技術】
【0003】
燃料は次第により高価になっている。また、燃料精製所は、汚染物質の発生および地球温暖化に関係している。産業界において、より安く、安全で、かつより環境的に無害な燃料を発生させる方法を見つけるための必要性が増加している。生物学的物質由来の燃料を生産するための手段の開発は、将来のエネルギー展望の不可欠な要素である。生物学的物質由来の燃料の生産における最も重要な要素の1つは、セルロースなどの特定の分子構造を、発酵などの燃料発生プロセスのための基質として認識可能な分子種に消化または還元する能力である。
【0004】
分子生物学および遺伝子工学は、このような燃料を生産するために使用され得る大量の生物学的に活性な分子の産生を期待できる。例えば、有機物質を燃料に分解できる酵素の産生は、代替燃料についての増加する必要性に対処することに期待できる。このような酵素を産生するために遺伝子操作技術を用いる主な利点は、その方法が大量の所望のタンパク質の産生を可能にすることである。多くの場合において、遺伝子操作されていない分泌物源由来の十分な量の生物学的物質を得るための唯一の他の方法は、その因子を産生する生物の細胞から天然に存在する生物学的物質を精製することによる。従って、遺伝子操作の出現より前に、有機物質を分解できる酵素は、大量にその生物、典型的には細菌または真菌種を増殖させ、タンパク質を抽出することによって単離され得るのみであった。このような手順はしばしば複雑であり、燃料生産に使用するには経済的に高額である。
【0005】
遺伝子操作は、大量の生物学的物質、特にタンパク質および核酸を産生するための手段を提供するが、現在利用可能な方法に限定されている。細菌はこのような酵素の産生に適切な環境を提供するが、しかしながら、一部の細菌により産生される副産物は燃料源を汚染する。従って、細菌が生物学的物質を産生するために使用され得る場合でも、精製または精油などのさらなる工程が、生物学的に活性な物質および/またはバイオ燃料を得るために必要とされ得る。さらに、非光合成系の使用は、組み換え生物に栄養源を与えるために高価な糖または他の有機炭素源の添加を必要とする。さらに、典型的に、発酵槽を建設するのに莫大な投資がかかる。
【0006】
組み換えタンパク質はまた、例えば、発現タンパク質を生物学的に活性な因子に処理するために必要な環境を提供し得る、菌類、昆虫細胞および哺乳動物細胞を含む、真核細胞において産生され得る。しかしながら、これらの系は、典型的に、同様の高額な費用(糖/有機炭素源および発酵槽)に悩まされる。
【発明の概要】
【0007】
従って、簡便に、大量の酵素を産生し、および/または分解酵素の産生に適合する宿主細胞を提供できる、生物学的に活性な酵素を産生する方法についての必要性が存在する。
【0008】
本明細書に提示されるのは、バイオマス分解酵素およびバイオ燃料を産生するための組成物および方法である。本明細書に開示される発明は、典型的には、藻類およびシアノバクテリアなどの遺伝子改変された光合成生物において、バイオマス分解酵素を産生するための新規な方法を提供する。また、本明細書に提示されるのは、光合成生物を形質転換するための組成物および方法、ならびに形質転換体をスクリーニングする方法である。
【0009】
従って、本発明の一態様は、非維管束光合成生物において、バイオマス分解酵素をコードする核酸およびその核酸を発現するために構成されるプロモーターを含むベクターを提供する。本発明のベクターは、1つより多いバイオマス分解酵素をコードする核酸を含んでもよく、他の例において、バイオマス分解酵素に共有結合するポリペプチドをコードする核酸を含んでもよい。バイオマス分解酵素は、セルロース分解酵素、ヘミセルロース分解酵素およびリグニン分解酵素を含んでもよい。より具体的には、バイオマス分解酵素は、エキソ−β−グルカナーゼ、エンド−β−グルカナーゼ、β−グルコシダーゼ、エンドキシラナーゼまたはリグナーゼであってもよい。バイオマス分解酵素をコードする核酸は、真菌または細菌源由来、例えば、Trichoderma virideにおいてエキソ−β−グルカナーゼ、Trichoderma reeseiにおいてエキソ−β−グルカナーゼ、Aspergillus aculeatusにおいてエキソ−β−グルカナーゼ、Trichoderma reeseiにおいてエンド−β−グルカナーゼ、Aspergillus nigerにおいてエンド−β−グルカナーゼ、Trichoderma reeseiにおいてβ−グルコシダーゼ、Aspergillus nigerにおいてβ−グルコシダーゼ、Trichoderma reeseiにおいてエンドキシラナーゼ、およびAspergillus nigerにおいてエンドキシラナーゼをコードするものであってもよい。バイオマス分解酵素をコードする他の核酸は、これらの生物由来の遺伝子と相同的であり得る。
【0010】
本発明のベクターはまた、形質転換された生物の直接的なスクリーニングを可能にする選択可能なマーカーを含んでもよい。本発明のベクターは、限定されないが、光合成細菌(シアノバクテリアを含む)、藍藻門(cyanophyta)、原核緑色植物(prochlorophyta)、紅色植物門(rhodophyta)、緑色植物(chlorophyta)、不等毛植物門(heterokontophyta)、黄緑藻植物(tribophyta)、灰色植物(glaucophyta)、クロララクニオン植物(chlorarachniophytes)、ユーグレナ植物門(euglenophyta)、ユーグレナ類(euglenoids)、ハプト植物門(haptophyta)、黄金色植物門(chrysophyta)、クリプト植物門(cryptophyta)、クリプト藻網(cryptomonads)、渦鞭毛植物門(dinophyta)、渦鞭毛藻類(dinoflagellata)、プリネシウム藻類(pyrmnesiophyta)、珪藻類(bacillariophyta)、黄緑色植物門(xanthophyta)、ユーステグマト植物門(eustigmatophyta)、ラフィド藻門(raphidophyta)、褐藻網(phaeophyta)、および植物プランクトン(phytoplankton)を含む、複数の光合成生物の安定な形質転換であり得る。本発明の他のベクターは、C.reinhardtii、D.salinaまたはH.pluvalisの安定な形質転換であり得る。さらに他のベクターは、生物(例えば、C.reinhardtii)のコドン選択に偏っている核酸を含む。本発明の特定のベクターは、本明細書に提供される配列(配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26または配列番号27)を含む。
【0011】
本発明のベクターを含む宿主細胞もまた、提供される。いくつかの例において、宿主細胞は、非維管束光合成生物、例えば、光合成細菌(シアノバクテリアを含む)、藍藻門(cyanophyta)、原核緑色植物(prochlorophyta)、紅色植物門(rhodophyta)、緑色植物(chlorophyta)、不等毛植物門(heterokontophyta)、黄緑藻植物(tribophyta)、灰色植物(glaucophyta)、クロララクニオン植物(chlorarachniophytes)、ユーグレナ植物門(euglenophyta)、ユーグレナ類(euglenoids)、ハプト植物門(haptophyta)、黄金色植物門(chrysophyta)、クリプト植物門(cryptophyta)、クリプト藻網(cryptomonads)、渦鞭毛植物門(dinophyta)、渦鞭毛藻類(dinoflagellata)、プリネシウム藻類(pyrmnesiophyta)、珪藻類(bacillariophyta)、黄緑色植物門(xanthophyta)、ユーステグマト植物門(eustigmatophyta)、ラフィド藻門(raphidophyta)、褐藻網(phaeophyta)、および植物プランクトン(phytoplankton)と分類される生物である。本発明の宿主細胞はまた、限定されないが、C.reinhardtii、D.salinaまたはH.pluvalisを含む、微細藻類種であってもよい。他の例において、宿主細胞は、多細胞光合成生物の1つ以上の細胞であってもよい。一部の実施形態に関して、宿主細胞は、光の非存在下および/または有機炭素源の存在下で増殖してもよい。
【0012】
本発明はまた、1つ以上の非維管束光合成生物由来の1つ以上の外因性バイオマス分解酵素を含む組成物を提供する。一部の例において、それらの組成物はまた、非維管束光合成生物の要素を含んでもよい。酵素対その生物の要素の比(w/w)は、少なくとも1:10であってもよいか、またはその要素は、微量のみで見出されてもよい。組成物のうちの一部は、以下の酵素のうちの少なくとも1つを含む:エキソ−β−グルカナーゼ、エンド−β−グルカナーゼ、β−グルコシダーゼ、エンドキシラナーゼおよび/またはリグナーゼ;ここで、これらの酵素は、以下の生物のうちの1つ以上から単離される:C.reinhardtii、D.salina、H.pluvalis、光合成細菌(シアノバクテリアを含む)、藍藻門(cyanophyta)、原核緑色植物(prochlorophyta)、紅色植物門(rhodophyta)、緑色植物(chlorophyta)、不等毛植物門(heterokontophyta)、黄緑藻植物(tribophyta)、灰色植物(glaucophyta)、クロララクニオン植物(chlorarachniophytes)、ユーグレナ植物門(euglenophyta)、ユーグレナ類(euglenoids)、ハプト植物門(haptophyta)、黄金色植物門(chrysophyta)、クリプト植物門(cryptophyta)、クリプト藻網(cryptomonads)、渦鞭毛植物門(dinophyta)、渦鞭毛藻類(dinoflagellata)、プリネシウム藻類(pyrmnesiophyta)、珪藻類(bacillariophyta)、黄緑色植物門(xanthophyta)、ユーステグマト植物門(eustigmatophyta)、ラフィド藻門(raphidophyta)、褐藻網(phaeophyta)、および植物プランクトン(phytoplankton)。一部の実施形態に関して、生物は、光の非存在下および/または有機炭素源の存在下で増殖してもよい。
【0013】
本発明はまた、複数のベクターを含む組成物を提供し、その複数のベクターの各々は、葉緑体において異なるバイオマス分解酵素および前記バイオマス分解酵素を発現するためのプロモーターをコードする。このような組成物は、特定の酵素をコードする特定のベクターの複数のコピーを含んでもよい。一部の例において、ベクターは、セルロース分解酵素、ヘミセルロース分解酵素および/またはリグニン分解酵素をコードする核酸を含む。より具体的には、複数のベクターは、エキソ−β−グルカナーゼ、エンド−β−グルカナーゼ、β−グルコシダーゼ、エンドキシラナーゼおよび/またはリグナーゼを発現できるベクターを含んでもよい。この実施形態のベクターの一部は、葉緑体ゲノムに挿入でき、このような挿入により、形質転換した葉緑体の光合成能力の破壊を引き起こし得る。葉緑体ゲノムへの他のベクターの挿入は、形質転換した葉緑体の光合成能力を破壊しない。一部のベクターは、形質転換した葉緑体において隔離されたバイオマス分解酵素の発現を提供する。さらに他のベクターは、本明細書に提供される特定の配列(配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22または配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26または配列番号27)を含んでもよい。本発明はまた、上記のベクター組成物を含む藻細胞を提供し、具体的には、ベクター組成物を含む、C.reinhardtii、D.salinaまたはH.pluvalis細胞を提供する。一部の実施形態に関して、細胞は、光の非存在下および/または有機炭素源の存在下で増殖してもよい。
【0014】
本発明の別のベクターは、非維管束光合成生物において、複数の別個のバイオマス分解酵素およびバイオマス分解酵素を発現するためのプロモーターをコードする。バイオマス分解酵素は、1つ以上のセルロース分解酵素、ヘミセルロース分解酵素またはリグニン分解酵素であってもよい。一部のベクターにおいて、複数の別個のバイオマス分解酵素は、2つ以上のエキソ−β−グルカナーゼ、エンド−β−グルカナーゼ、β−グルコシダーゼ、リグナーゼおよびエンドキシラナーゼである。一部の実施形態において、複数の酵素は、作動可能に連結される。他の実施形態において、複数の酵素は、機能タンパク質複合体として発現される。宿主細胞ゲノムへの一部のベクターの挿入は、生物の光合成能力を破壊しない。複数の別個の酵素をコードするベクターは、形質転換した生物の葉緑体において隔離された酵素の産生を引き起こし得る。本発明はまた、複数の別個の酵素をコードするベクターで形質転換された藻細胞またはシアノバクテリア細胞を提供する。一部の例において、藻細胞は、C.reinhardtii、D.salinaまたはH.pluvalisである。他の例において、シアノバクテリア細胞は、Synechocystis属またはSynechococcus属またはAthrospira属の種である。一部の実施形態に関して、生物は、光の非存在下および/または有機炭素源の存在下で増殖してもよい。
【0015】
本発明のさらに別の態様は、1つ以上のバイオマス分解酵素を産生する遺伝子改変された葉緑体を提供する。このような酵素は、セルロース分解酵素、ヘミセルロース分解酵素またはリグニン分解酵素であってもよく、より具体的には、エキソ−β−グルカナーゼ、エンド−β−グルカナーゼ、β−グルコシダーゼ、エンドキシラナーゼ、リグナーゼおよび/またはそれらの組み合わせであってもよい。一部の実施形態において、1つ以上の酵素は、葉緑体において隔離される。本発明はまた、本発明の遺伝子改変された葉緑体を含む光合成生物を提供する。
【0016】
さらに別の態様は、バイオマス分解酵素を調製するための方法を提供する。この方法は、(1)前記バイオマス分解酵素を産生、またはその産生を増加させるために、光合成、非維管束生物を形質転換する工程、ならびに(2)前記形質転換した生物からバイオマス分解酵素を回収する工程を含む。形質転換は、異なるバイオマス分解酵素をコードする複数の異なるベクターを含む組成物で行われてもよい。形質転換はまた、複数の別個のバイオマス分解酵素をコードするベクターで行われてもよい。酵素のいずれかまたは全ては互いに作動可能に連結され得る。一部の例において、葉緑体は形質転換される。本発明のこの方法は、(a):形質転換した生物を収集する工程;(b)形質転換した生物を乾燥させる工程;(c)細胞培地から酵素を収集する工程;(d)形質転換した生物を機械的に破壊する工程;または(e)形質転換した生物を化学的に破壊する工程を含む、1つ以上のさらなる工程を有してもよい。この方法はまた、液体クロマトグラフィーの実施による酵素のさらなる精製を含んでもよい。一部の例において、形質転換した生物は、藻または光合成細菌、例えば、シアノバクテリアである。一部の実施形態に関して、生物は、光の非存在下および/または有機炭素源の存在下で増殖してもよい。
【0017】
本発明のさらに別の方法は、バイオ燃料を調製することを可能にする。この方法の1つの工程は、バイオマスの少なくとも一部を分解するのに十分な時間、光合成、非維管束生物由来の1つ以上のバイオマス分解酵素で前記バイオマスを処理する工程を含む。生産されたバイオ燃料は、エタノールであってもよい。この方法の酵素は、少なくとも微量の前記光合成、非維管束生物由来の酵素を含んでもよい。さらに、この方法の一部の実施形態に有用な酵素は、セルロース分解酵素、ヘミセルロース分解酵素およびリグニン分解酵素を含む。この方法の一部の態様に有用な特定の酵素は、エキソ−β−グルカナーゼ、エンド−β−グルカナーゼ、β−グルコシダーゼ、エンドキシラナーゼ、および/またはリグナーゼを含む。この方法の生物は、光合成細菌(シアノバクテリアを含む)、藍藻門(cyanophyta)、原核緑色植物(prochlorophyta)、紅色植物門(rhodophyta)、緑色植物(chlorophyta)、不等毛植物門(heterokontophyta)、黄緑藻植物(tribophyta)、灰色植物(glaucophyta)、クロララクニオン植物(chlorarachniophytes)、ユーグレナ植物門(euglenophyta)、ユーグレナ類(euglenoids)、ハプト植物門(haptophyta)、黄金色植物門(chrysophyta)、クリプト植物門(cryptophyta)、クリプト藻網(cryptomonads)、渦鞭毛植物門(dinophyta)、渦鞭毛藻類(dinoflagellata)、プリネシウム藻類(pyrmnesiophyta)、珪藻類(bacillariophyta)、黄緑色植物門(xanthophyta)、ユーステグマト植物門(eustigmatophyta)、ラフィド藻門(raphidophyta)、褐藻網(phaeophyta)、および植物プランクトン(phytoplankton)を含んでもよい。この方法に使用される他の生物は、限定されないが、C.reinhardtii、D.salinaおよびH.pluvalisを含む、微細藻類である。一部の実施形態に関して、生物は、光の非存在下および/または有機炭素源の存在下で増殖してもよい。農業廃棄物、製紙工場廃棄物、トウモロコシ茎葉、コムギ茎葉、ダイズ茎葉、スイッチグラス、ウキクサ、ポプラの木、木くず、おがくず、湿った蒸留穀物(wet distiller grain)、乾燥した蒸留穀物(dray distiller grain)、ヒトの排泄物、新聞、リサイクルした紙製品、またはヒトのゴミを含む複数の種類のバイオマスが、本発明のこの方法で処理されてもよい。バイオマスはまた、スイッチグラスまたはウキクサなどの高セルロース含有生物由来であってもよい。この方法に使用される酵素は生物から遊離されてもよく、この遊離は、その生物の細胞の化学的または機械的破壊に関与してもよい。代替の実施形態において、酵素は生物から分泌され、次いで細胞培地から回収される。バイオマスの処理は、酵素を産生する生物以外の微生物を利用し得る発酵プロセスを含んでもよい。一部の例において、非維管束光合成生物は、糖化タンクに加えられてもよい。本発明のこの方法はまた、バイオ燃料を回収する工程を含んでもよい。回収は蒸留によって実施されてもよい。一部の例において、バイオ燃料は別の燃料と混合される。
【0018】
本発明のさらなる方法は、バイオマス分解酵素を製造するために葉緑体を形質転換することによって少なくとも1つのバイオマス分解酵素を製造することを提供する。バイオマス分解酵素は、セルロース分解酵素、ヘミセルロース分解酵素またはリグニン分解酵素であってもよく、具体的には、エキソ−β−グルカナーゼ、エンド−β−グルカナーゼ、β−グルコシダーゼ、エンドキシラナーゼ、またはリグナーゼであってもよい。一部の例において、バイオマス分解酵素は、形質転換した葉緑体において隔離される。この方法はさらに、バイオマス分解酵素を放出するために、形質転換した葉緑体を化学的または機械的手段により破壊することを含んでもよい。一部の例において、複数の酵素は、形質転換した葉緑体によって産生される。バイオマス分解酵素は、真菌または細菌由来、例えば、エキソ−β−グルカナーゼ、エンド−β−グルカナーゼ、β−グルコシダーゼ、エンドキシラナーゼ、リグナーゼまたはそれらの組み合わせであってもよい。
【0019】
本発明のさらに別の方法は、非維管束光合成生物の葉緑体由来の第1の核酸配列を増幅させる工程、および前記生物の前記葉緑体由来の第2の核酸配列を増幅させる工程によって、形質転換した前記生物をスクリーニングする工程、ならびに前記第1の配列および第2の配列の増幅からの結果に基づいて前記生物の原形質状態を決定する工程を提供する。一部の例において、第1および第2の増幅させる工程は、同時に実施される。第1の核酸配列は、内因性葉緑体ゲノム配列であってもよく、第2の核酸配列は、少なくとも部分的に外因性核酸由来であってもよい。一部の例において、葉緑体由来の第3の核酸配列が、コントロールとして増幅されてもよい。この第3の核酸配列は、外因性核酸の組み込み後、インタクトなままの野生型配列であってもよい。この第3の核酸が増幅される場合、このような増幅は、第1または第2の増幅工程と同時に実施されてもよいか、あるいは3つの増幅の全てが同時に実施されてもよい。この方法の増幅に関して、本明細書に提供される特異的プライマー−配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、または配列番号15が使用されてもよい。第1および/または第2の核酸の増幅は、30サイクルより多いPCRを利用してもよい。一部の例において、原形質状態を決定することは、増幅工程からの産物の視覚分析によって実施される。1つ以上の増幅は、リアルタイムまたは定量的PCRを用いて実施されてもよい。
【0020】
この方法によって決定される原形質状態はホモプラスミーであってもよく、試験される生物は微細藻類、具体的には、微細藻類種C.reinhardtii、D.salinaまたはH.pluvalisのうちの1つであってもよい。この方法において、生物は、目的の遺伝子および選択可能なマーカーを含む外因性核酸を含んでもよい。目的の遺伝子は、バイオマス分解酵素、例えば、セルロース分解酵素、ヘミセルロース分解酵素またはリグニン分解酵素をコードしてもよい。具体的には、バイオマス分解酵素は、エキソ−β−グルカナーゼ、エンド−β−グルカナーゼ、β−グルコシダーゼ、エンドキシラナーゼまたはリグナーゼであってもよい。さらに、外因性核酸は、本明細書に具体的に提供される核酸−配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30または配列番号31のうちの1つであってもよい。
【0021】
本発明はまた、同質細胞質の葉緑体集団を含む非維管束光合成生物を提供し、ここで、葉緑体集団は外因性核酸を含み、葉緑体集団の同質細胞質状態は、少なくとも2つの異なるPCR反応により決定される。一部の例において、葉緑体集団は1つより多い葉緑体である。非維管束光合成生物は、微細藻類、具体的には、C.reinhardtii、D.salinaまたはH.pluvalisのうちの1つであってもよい。生物は、同時に実施される少なくとも2つの異なるPCR反応を用いてスクリーニングされてもよい。これらのPCR反応は、本明細書に開示される特異的プライマー−配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、または配列番号15のうちの1つを利用してもよい。PCR反応は30より多いサイクルを利用してもよい。
【0022】
生物は、少なくとも1つの目的の遺伝子および選択可能なマーカーを含む外因性核酸を含んでもよい。この遺伝子は、バイオマス分解酵素、具体的には、セルロース分解酵素、ヘミセルロース分解酵素またはリグニン分解酵素をコードしてもよい。さらにより具体的には、バイオマス分解酵素は、エキソ−β−グルカナーゼ、エンド−β−グルカナーゼ、β−グルコシダーゼ、エンドキシラナーゼまたはリグナーゼであってもよい。本発明のこの生物に存在する外因性核酸は、本明細書に具体的に記載される核酸−配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、または配列番号31であってもよい。
【0023】
遺伝子改変された同質細胞質の非維管束光合成生物を産生するための別の方法が本明細書に提供される。この方法は、生物の少なくとも1つの葉緑体を外因性核酸で形質転換する工程、第1の核酸配列および第2の核酸配列を増幅させる工程、ならびに増幅させる工程からの結果に基づいて生物の原形質状態を決定する工程を含む。第1の核酸配列および第2の核酸配列は、葉緑体ゲノム内であってもよい。さらに、第1の核酸配列は内因性葉緑体配列であってもよい。第2の核酸配列は、少なくとも部分的に外因性核酸由来であってもよい。この方法はまた、コントロールとして葉緑体由来の第3の核酸配列を増幅させる工程を含んでもよい。一部の例において、第3の核酸は、外因性核酸の組み込み後、インタクトなままである野生型配列である。この方法は、本明細書に具体的に開示されるプライマー−配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、または配列番号15のうちの1つを用いるPCRを含んでもよい。第1の核酸配列および第2の核酸配列の増幅は、30より多いサイクルのPCRを利用してもよい。この方法を用いる原形質状態の決定は、増幅させる工程の産物の視覚的分析を含んでもよい。
【0024】
この方法によって決定される原形質状態は、ホモプラスミーであってもよく、生物は、微細藻類、具体的には、C.reinhardtii、D.salinaまたはH.pluvalis種のうちの1つであってもよい。外因性核酸は、少なくとも1つの目的の遺伝子および選択可能なマーカーを含んでもよい。一部の例において、目的の遺伝子は、バイオマス分解酵素、具体的には、セルロース分解酵素、ヘミセルロース分解酵素またはリグニン分解酵素をコードする。さらにより具体的には、バイオマス分解酵素は、エキソ−β−グルカナーゼ、エンド−β−グルカナーゼ、β−グルコシダーゼ、エンドキシラナーゼまたはリグナーゼであってもよい。さらに、外因性核酸は、本明細書に具体的に開示される核酸−配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、または配列番号31であってもよい。
【0025】
本発明の別の実施形態は、遺伝子改変された非維管束光合成生物の原形質状態を決定するためのキットである。このようなキットは、内因性配列に対応する葉緑体ゲノムの第1の核酸配列を増幅させるための増幅プライマー、および導入されるか、または非天然に存在する配列である葉緑体ゲノムの第2の核酸配列を増幅させるための増幅プライマーを含んでもよい。キットはまた、PCRバッファーおよび/またはコントロール核酸配列を増幅させるための増幅プライマーを含んでもよい。キットは、本明細書に具体的に開示されるPCRプライマー−配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、または配列番号15のうちの1つ以上を含んでもよい。本発明のキットにおける第1の核酸配列を増幅させるためのプライマーは、psbA 5’UTR、psbAコード配列、psbC 5’UTR、psbD 5’UTR、atpA 5’UTR、または3HB遺伝子座のうちの少なくとも一部に結合してもよい。一部の例において、第2の核酸配列を増幅させるためのプライマーのうちの少なくとも1つは、バイオマス分解酵素、例えば、セルロース分解酵素、ヘミセルロース分解酵素またはリグニン分解酵素をコードする配列のうちの少なくとも一部に結合する。第2の核酸によってコードされる特定のバイオマス分解酵素は、エキソ−β−グルカナーゼ、エンド−β−グルカナーゼ、β−グルコシダーゼ、エンドキシラナーゼまたはリグナーゼであってもよい。プライマーは、本明細書に具体的に開示される配列−配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、または配列番号31の1つ以上のうちの少なくとも一部を増幅させてもよい。さらに、キットは使用のための指示書を含んでもよい。
【0026】
本発明の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲における詳細とともに記載される。本発明の特徴および利点のより良い理解は、例示的な実施形態を記載する以下の詳細な説明に対する参照により得られ、ここで、本発明の原理および添付の図面が利用される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、藻細胞の形質転換、選択、確認、および酵素産生のスケーリングを示す。
【図2】図2は、葉緑体ゲノムへの遺伝子の挿入についての2つの構築物を示す。
【図3A】図3Aは、形質転換体のPCRスクリーニングのためのプライマー対、ならびに野生型、異質細胞質および同質細胞質株のための予想されるバンドプロファイルを示す。
【図3B】図3Bは、形質転換体のPCRスクリーニングのためのプライマー対、ならびに野生型、異質細胞質および同質細胞質株のための予想されるバンドプロファイルを示す。
【図3C】図3Cは、形質転換体のPCRスクリーニングのためのプライマー対、ならびに野生型、異質細胞質および同質細胞質株のための予想されるバンドプロファイルを示す。
【図4A】図4Aは、エンド−β−グルカナーゼ形質転換したC.reinhardtiiクローンのPCRスクリーニングおよびウェスタンブロット解析からの結果を示す。
【図4B】図4Bは、エンド−β−グルカナーゼ形質転換したC.reinhardtiiクローンのPCRスクリーニングおよびウェスタンブロット解析からの結果を示す。
【図4C】図4Cは、エンド−β−グルカナーゼ形質転換したC.reinhardtiiクローンのPCRスクリーニングおよびウェスタンブロット解析からの結果を示す。
【図4D】図4Dは、エンド−β−グルカナーゼ形質転換したC.reinhardtiiクローンのPCRスクリーニングおよびウェスタンブロット解析からの結果を示す。
【図5A】図5Aは、エキソ−β−グルカナーゼ形質転換したC.reinhardtiiクローンのPCRスクリーニングおよびウェスタンブロット解析からの結果を示す。
【図5B】図5Bは、エキソ−β−グルカナーゼ形質転換したC.reinhardtiiクローンのPCRスクリーニングおよびウェスタンブロット解析からの結果を示す。
【図5C】図5Cは、エキソ−β−グルカナーゼ形質転換したC.reinhardtiiクローンのPCRスクリーニングおよびウェスタンブロット解析からの結果を示す。
【図5D】図5Dは、エキソ−β−グルカナーゼ形質転換したC.reinhardtiiクローンのPCRスクリーニングおよびウェスタンブロット解析からの結果を示す。
【図6A】図6Aは、β−グルコシダーゼ形質転換したC.reinhardtiiクローンのPCRスクリーニングおよびウェスタンブロット解析からの結果を示す。
【図6B】図6Bは、β−グルコシダーゼ形質転換したC.reinhardtiiクローンのPCRスクリーニングおよびウェスタンブロット解析からの結果を示す。
【図6C】図6Cは、β−グルコシダーゼ形質転換したC.reinhardtiiクローンのPCRスクリーニングおよびウェスタンブロット解析からの結果を示す。
【図6D】図6Dは、β−グルコシダーゼ形質転換したC.reinhardtiiクローンのPCRスクリーニングおよびウェスタンブロット解析からの結果を示す。
【図7A】図7Aは、エンドキシラナーゼ形質転換したC.reinhardtiiクローンのPCRスクリーニングおよびウェスタンブロット解析からの結果を示す。
【図7B】図7Bは、エンドキシラナーゼ形質転換したC.reinhardtiiクローンのPCRスクリーニングおよびウェスタンブロット解析からの結果を示す。
【図7C】図7Cは、エンドキシラナーゼ形質転換したC.reinhardtiiクローンのPCRスクリーニングおよびウェスタンブロット解析からの結果を示す。
【図7D】図7Dは、エンドキシラナーゼ形質転換したC.reinhardtiiクローンのPCRスクリーニングおよびウェスタンブロット解析からの結果を示す。
【図8】図8は、形質転換したC.reinhardtiiクローンによって産生されたエンド−β−グルカナーゼタンパク質のレベルの決定を示す。
【図9】図9は、葉緑体ゲノムへの複数の遺伝子の挿入についての全体的な構築物を示す、本発明の実施形態の図的表現を示す。
【図10A】図10Aは、エンド−β−グルカナーゼ形質転換したC.reinhardtiiクローンのPCRスクリーニングおよびウェスタンブロット解析からの結果を示す。
【図10B】図10Bは、エンド−β−グルカナーゼ形質転換したC.reinhardtiiクローンのPCRスクリーニングおよびウェスタンブロット解析からの結果を示す。
【図10C】図10Cは、エンド−β−グルカナーゼ形質転換したC.reinhardtiiクローンのPCRスクリーニングおよびウェスタンブロット解析からの結果を示す。
【図11A】図11Aは、β−グルコシダーゼ形質転換したC.reinhardtiiクローンのPCRスクリーニングおよびウェスタンブロット解析からの結果を示す。
【図11B】図11Bは、β−グルコシダーゼ形質転換したC.reinhardtiiクローンのPCRスクリーニングおよびウェスタンブロット解析からの結果を示す。
【図11C】図11Cは、β−グルコシダーゼ形質転換したC.reinhardtiiクローンのPCRスクリーニングおよびウェスタンブロット解析からの結果を示す。
【図12A】図12Aは、葉緑体ゲノムへの挿入についての2つの外因性DNA構築物の図的表現を示す。
【図12B】図12Bは、葉緑体ゲノムへの挿入についての2つの外因性DNA構築物の図的表現を示す。
【図13A】図13Aは、シアノバクテリアゲノムへの挿入についての2つの外因性DNA構築物の図的表現を示す。
【図13B】図13Bは、シアノバクテリアゲノムへの挿入についての2つの外因性DNA構築物の図的表現を示す。
【図14A】図14Aは、エンド−β−グルカナーゼ形質転換したC.reinhardtiiクローンのPCRスクリーニングおよびウェスタンブロット解析からの結果を示す。
【図14B】図14Bは、エンド−β−グルカナーゼ形質転換したC.reinhardtiiクローンのPCRスクリーニングおよびウェスタンブロット解析からの結果を示す。
【図14C】図14Cは、エンド−β−グルカナーゼ形質転換したC.reinhardtiiクローンのPCRスクリーニングおよびウェスタンブロット解析からの結果を示す。
【図15A】図15Aは、エンドキシラナーゼ形質転換したC.reinhardtiiクローンのPCRスクリーニングおよびウェスタンブロット解析からの結果を示す。
【図15B】図15Bは、エンドキシラナーゼ形質転換したC.reinhardtiiクローンのPCRスクリーニングおよびウェスタンブロット解析からの結果を示す。
【図15C】図15Cは、エンドキシラナーゼ形質転換したC.reinhardtiiクローンのPCRスクリーニングおよびウェスタンブロット解析からの結果を示す。
【図16A】図16Aは、エキソ−β−グルカナーゼ形質転換したC.reinhardtiiクローンのPCRスクリーニングおよびウェスタンブロット解析からの結果を示す。
【図16B】図16Bは、エキソ−β−グルカナーゼ形質転換したC.reinhardtiiクローンのPCRスクリーニングおよびウェスタンブロット解析からの結果を示す。
【図16C】図16Cは、エキソ−β−グルカナーゼ形質転換したC.reinhardtiiクローンのPCRスクリーニングおよびウェスタンブロット解析からの結果を示す。
【図17】図17は、細菌によって産生されたバイオマス分解酵素の活性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書に使用される技術および科学用語は、他に定義されない限り、本発明に関係する当業者によって、一般的に理解される意味を有する。当業者に公知の種々の物質および方法論に対して参照がなされる。組み換えDNA技術の一般的原理を記載している標準的な参考文献としては、Sambrookら,“Molecular Cloning:A Laboratory Manual”,第2版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Plainview,N.Y.,1989;Kaufmanら,eds.,“Handbook of Molecular and Cellular Methods in Biology and Medicine”,CRC Press,Boca Raton,1995;およびMcPherson,ed.,“Directed Mutagenesis:A Practical Approach”,IRL Press,Oxford,1991が挙げられる。本発明の選択される態様に有用な酵母遺伝学の一般的方法論および原理を教示している標準的な参考文献としては、Shermanら“Laboratory Course Manual Methods in Yeast Genetics”,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.,1986およびGuthrieら,“Guide to Yeast Genetics and Molecular Biology”,Academic,New York,1991が挙げられる。
【0029】
ある値域が提供される場合、文脈が明確に他に特記しない限り、下限値の単位の10分の1まで、その範囲の上限値と下限値の間にある各媒介値もまた具体的に開示されることが理解される。規定範囲内の任意の規定値または媒介値とその規定範囲内の任意の他の規定値または媒介値との間のより小さな各範囲も、包含される。これらのより小さな範囲の上限値および下限値は、独立的にその範囲内に含まれても範囲から除外されてもよく、より小さな範囲内にいずれかの限界値が含まれる、いずれの限界値も含まれない、または両限界値が含まれる各範囲もまた、具体的に除外される任意の限界値が規定範囲内にある限り包含される。規定範囲が限界値の一方または両方を含む場合、それら含まれた限界値のいずれか一方または両方を除外する範囲もまた含まれる。
【0030】
本発明は、遺伝子改変された生物による、酵素、例えば、バイオマス分解酵素の産生に関する。本発明の別の態様は、限定されないが、藻類などの光合成微生物によって産生されたバイオマス分解酵素を用いて、エタノールなどの生産物を作製するために生物学的物質を使用するための組成物および方法に関する。典型的に、光合成生物は、バイオマスを分解するために必要な酵素の全てを有さなくてもよい。本発明は、藻細胞、および特に、それらの細胞の葉緑体に外因性核酸を導入する能力を利用する。酵素発現および/または酵素の経路を発現する藻株を作製するために分子生物学および遺伝子工学を用いることの1つの利点は、大量の活性酵素の産生を可能にすることである。
【0031】
藻類の遺伝子操作された株の構築に対する1つのアプローチは、図1にフローチャートとして図示されている。見られ得るように、藻細胞(例えば、Chlamydomonas reinhardti、Dunaliella salina、Hematococcus pluvalis)は、目的の遺伝子、典型的にはバイオマス分解酵素をコードする核酸で形質転換される。一部の実施形態において、形質転換は、核酸を宿主藻細胞(例えば、葉緑体)の任意のプラスチドに導入してもよい。形質転換した細胞は典型的に、外因性核酸の導入後に選択培地にプレートされる。この方法はまた、スクリーニングのための数回の工程を含んでもよい。最初に、一次形質転換体のスクリーニングは、典型的に、クローンが外因性核酸の適切な挿入を有することを決定するために行われる。適切な組み込みを示すクローンは、遺伝的安定性を確実にするためにパッチおよび再スクリーニングされてもよい。このような方法論は、形質転換体が目的の遺伝子を含むことを確実にする。多くの例において、このようなスクリーニングは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により実施されるが、しかしながら、当該分野において公知の任意の他の適切な技術が利用されてもよい。PCRの多くの異なる方法は当該分野において公知である(例えば、ネステッド(nested)PCR、リアルタイムPCR)。任意の所定のスクリーニングに関して、当業者は、最適なスクリーニング結果を達成するために、PCR成分を変更してもよいことを理解するだろう。例えば、PCRが破壊された藻細胞で実施される場合、多くのこのような生物がマグネシウムキレート剤を有するため、マグネシウム濃度を高く調整することを必要としてもよい。このような例において、マグネシウム濃度は、(市販のPCRキットにおける標準的な濃度と比較して)0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、または2.0mMだけ高くまたは低く調整することを必要としてもよい。従って、調整後、PCR反応における最終マグネシウム濃度は、例えば、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5mMまたはそれ以上であってもよい。特定の例は本明細書に記載される実施例に利用されるが、しかしながら、当業者は、他のPCR技術が記載される特定のプロトコルと置き換えられてもよいことを理解するだろう。外因性核酸の適切な組み込みを有するクローンについてのスクリーニング後、典型的に、クローンはコードされたタンパク質の存在についてスクリーニングされる。タンパク質発現のスクリーニングは、典型的に、ウェスタンブロット解析および/または酵素活性アッセイにより実施される。
【0032】
核酸組み込みおよび/またはタンパク質発現の確認後、選択されたクローンは、まず、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100リットルまたはそれ以上の、より少ない容量でバイオマス分解によるバイオ燃料の生産のためにスケールアップされてもよい。最初のスケールアップ後、バイオマスのより大きなスケールの分解は、より大きな量で実施されてもよい。部分的に閉じたバイオリアクターシステムの1つの例は、図1、工程6に示される。しかしながら、バイオマス分解および/またはバイオ燃料生産のための形質転換した株の増殖はまた、池、導水管、貯水池および/または埋立地などの人工の構造においてなされてもよい。あるいは、株はまた、天然の水域、例えば、海洋、海岸、湖、または川において直接増殖されてもよい。一部の例において、形質転換した株は、エタノール生産プラントまたは他の施設の近辺で増殖される。あるいは、バイオマス分解細胞は、CO2発生領域(例えば、発電プラント、コンクリートプラント、石油精製所、他の工業施設、都市、道路など)の近辺で増殖されてもよい。このように、本明細書に開示される方法はさらに、エタノール生産プラント近辺で本明細書に記載される1つ以上の改変された生物を増殖させることによって、燃料の生産を行うか、または触媒しながら、エタノールプラントもしくは他の施設またはCO2を発生する領域に対して、炭素クレジットを販売するためのビジネス方法を企図する。
【0033】
本発明は、1つ以上の異なるバイオマス分解酵素(例えば、セルロース分解酵素、ヘミセルロース分解酵素、キシラナーゼ、リグナーゼおよびセルラーゼ)をコードする核酸で、宿主細胞(例えば、C.reinhardtii、D.salina、H.pluvalisおよびシアノバクテリア細胞などの藻細胞)および/または宿主細胞を含む生物を形質転換することにより、バイオマス分解酵素を製造することを企図する。一部の実施形態において、単一の酵素が産生されてもよい。例えば、前処理されたセルロース断片を2つのグルコース分子(セロビオース)に分解するセルラーゼまたはセロビオースをグルコースに分割するセルラーゼが産生されてもよい。
【0034】
一部の宿主細胞は、1つ以上の酵素をコードする複数の遺伝子で形質転換されてもよい。例えば、単一の形質転換した細胞は、全生分解経路をコードする外因性核酸を含んでもよい。経路の1つの例としては、エキソ−β−グルカナーゼ(セルロース末端鎖で作用する)、エンド−β−グルカナーゼ(セルロース鎖の内部で作用する)、β−グルカナーゼ(セロビオースを分解することにより反応抑制因子を回避する)、およびエンドキシラナーゼ(ヘミセルロース架橋結合で作用する)をコードする遺伝子が挙げられ得る。このような全経路で形質転換した細胞および/またはそれらから抽出した酵素は、バイオマスの特定の成分を分解できる。構築物は、同じ遺伝子の複数のコピー、および/または異なる生物由来の同じ酵素をコードする複数の遺伝子、および/またはコード配列の1つ以上の部分に変異を有する複数の遺伝子を含んでもよい。
【0035】
あるいは、バイオマス分解経路は、経路の個々の酵素で宿主細胞を形質転換し、次いで個々の酵素を産生する細胞を組み合わせることにより作製されてもよい。このアプローチは、複数の形質転換した株の相対比率を変化させることによって、目的のバイオマスとより特に適合する酵素の組み合わせを可能にする。例えば、反応経路の第1の工程が限定された工程である場合、経路の第1の酵素を発現する細胞の2倍が、混合するために加えられてもよい。
【0036】
酵素をコードする構築物で形質転換した後、宿主細胞および/または生物を増殖させる。バイオマス分解酵素を生物/細胞から回収してもよい。回収は、限定されないが、細胞を濃縮すること、細胞の機械的または化学的破壊、ならびに細胞培地および/または細胞溶解物からの酵素の精製を含む、当該分野において公知の任意の手段であってもよい。細胞および/または生物を増殖させ、次いで任意の手段によって酵素を回収してもよい。酵素を抽出する1つの方法は、宿主細胞または宿主細胞群を収集し、次いで宿主細胞を乾燥させることによる。乾燥させた宿主細胞からの酵素は、次いで酵素を曝露するために、細胞を粉砕することにより収集される。粉砕した細胞の全産物は、次いでバイオマスを分解するために使用される。インタクトな細胞からタンパク質を抽出する多くの方法は、当該分野において周知であり、また本明細書にも企図される(例えば、酵素をコードする配列が、分泌シグナルをコードする配列に作動可能に連結される外因性核酸構築物を導入すること−抽出した酵素を増殖培地から単離すること)。細胞/生物および/または周囲媒質からタンパク質の抽出後、酵素が合計で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、50、60、70、80、90、95、99%またはそれ以上のタンパク質を含み得るように、タンパク質を粗抽出物から精製してもよい。精製工程としては、限定されないが、HPLC、親和性カラム、および抗体ベースの精製方法を用いることが挙げられる。
【0037】
バイオマス分解酵素を抽出および利用することはまた、宿主細胞におけるバイオマス産生−調節分子をコードする核酸を含むベクターを発現することによって達成されてもよい。この実施形態において、宿主細胞はバイオマスを産生し、そしてまた、バイオマス分解酵素も産生する。次いで、バイオマス分解酵素は、宿主細胞によって産生されたバイオマスを分解できる。一部の例において、バイオマス分解酵素の精製に使用されるベクターは、連続して活性化しなくてもよい。このようなベクターは、1つ以上の活性化可能なプロモーターおよび1つ以上のバイオマス分解酵素を含んでもよい。このようなプロモーターは、例えば、バイオマスが十分な濃度まで増殖し、一定の成熟度に達した後に、バイオマス分解酵素の産生を活性化させる。
【0038】
本発明の方法は、組み換え核酸分子を葉緑体に導入することによって実施され得、ここで、組み換え核酸分子は、少なくとも1つのポリペプチド(すなわち、1、2、3、4またはそれ以上)でコードする第1のポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10および/またはその後のポリペプチドに作動可能に連結される。例えば、生分解経路におけるいくつかの酵素は、直接または間接のいずれかで連結され、その結果、その経路における1つの酵素によって産生される産物は、一旦産生されると、その経路における次の酵素に近接する。
【0039】
葉緑体の形質転換に関して、本発明の1つの主な利点は、選択可能なマーカーおよび1つ以上の目的の遺伝子の両方を含む組み換え核酸構築物の利用である。典型的には、葉緑体の形質転換は、2つの構築物:選択可能なマーカーを含む第1の構築物および目的の遺伝子を含む第2の構築物での葉緑体の同時形質転換によって実施される。このような形質転換のスクリーニングは、多くの理由により困難で、時間がかかる。第1に、いくらかの形質転換した生物を増殖させるのに必要とされる時間が非常に長い。第2に、形質転換は、選択可能なマーカーの存在下および目的の遺伝子の存在下の両方でスクリーニングされなければならない。典型的に、目的の遺伝子のための二次スクリーニングは、サザンブロットにより実施される(例えば、PCT/US2007/072465を参照のこと)。
【0040】
本発明の構築物(図2、図9および図12)は、形質転換体が、挿入および野生型配列に特異的なプライマーの組み合わせ(図3、レーン:G−遺伝子特異的反応;C−コントロール反応;WT−野生型反応;M−多発性)を用いてスクリーニングされ得るPCRベースのスクリーニング方法を可能にする。この方法論は、迅速なスクリーニングプロセスおよび従来の技術に対する利点を提供する。例えば、連結していないマーカーを受容している形質転換体の選択は、本質的に、より低い割合のトランス遺伝子を有するクローンを生じる。このため、一次形質転換から同質細胞質系統を得る可能性は低い。目的のマーカーおよび遺伝子を連結することにより、トランス遺伝子、特に、同質細胞質クローンを有するトランスジェニッククローンを得る可能性は、第1の経路で向上する。形質転換体をスクリーニングするための特異的なPCRプロトコルは、以下の実施例に詳述されるが、しかし、当業者は、これらのプロトコルを形質転換体の定量的解析を得るように変更させてもよいことを理解するだろう。例えば、特定の反応に対して異なる比率のプライマーを、挿入コピー数とコントロール反応とを比較するために利用してもよい。このような変更は、多発性反応(図3、列M)が同時または別に進行する場合に実施され得る。
【0041】
挿入コピー数の決定は、目的の外因性遺伝子の発現の最適レベルが、部分的に遺伝子コピー数によって決定される一部の実施形態において重要であり得る。例えば、細胞における葉緑体ゲノムのコピーの半分未満の外因性核酸の組み込みを生じる藻宿主細胞(例えば、C.reinhardtii、D.salina、H.pluvalis)の形質転換は、目的の遺伝子の検出可能な発現をほとんど、または全く生じ得ない。あるいは、細胞における葉緑体ゲノムの全てのコピーにおける外因性核酸の組み込みは、ゲノムの少数の最初のコピーである目的の遺伝子の検出可能な発現をほとんど、または全く生じ得ない(例えば、定量的PCR分析は、少ない挿入コピー数を有する同質細胞質のクローンの排除を可能にし、それによって、目的の遺伝子および/またはポリペプチドの十分に高い産生を有さなくてもよい)。他の実施形態において、外因性核酸の組み込みの最適なレベルが存在してもよい。一部の例において、外因性DNAは、特定の範囲のコピー数で存在する場合、転写、翻訳、または他の制御機構であろうとなかろうと、最適に産生されるタンパク質をコードし得る。従って、例えば、定量的PCRによるこのような外因性DNAのコピー数の決定は、有効なレベルで目的のタンパク質を産生する形質転換した生物の選択および/または産生を可能にし得る。
【0042】
さらに、本発明の組み換え核酸分子は、第2および/またはその後のヌクレオチド配列に作動可能に連結され得る。例えば、生分解経路の酵素をコードするヌクレオチド配列は、それらの配列の発現が、誘導刺激因子で制御され得るか、または単一の転写活性因子によって制御され得るように作動可能に連結され得る。このようなシステムは、細菌のオペロン(例えば、Escherischia coli Lacオペロン)に類似している。しかしながら、本発明における作動可能に連結されたヌクレオチド配列のこれらの配合は、植物プラスチドにおいて機能するように合成および設計され、好ましくは葉緑体ゲノムに挿入される。
【0043】
本明細書に使用される場合、用語「作動可能に連結された」とは、2つ以上の分子が、単一の単位として作動し、一方または両方の分子あるいはその組み合わせに起因する機能に作用するように互いに対して位置することを意味する。例えば、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、転写または翻訳調節エレメントに作動可能に連結されてもよく、この場合において、そのエレメントは、調節エレメントが、細胞において通常会合するポリヌクレオチド配列に作用するのと同様の方法でポリヌクレオチドにその調節作用を与える。配列をコードする第1のポリヌクレオチドはまた、第2(またはそれ以上)のコード配列に作動可能に連結されてもよく、それによって、キメラポリペプチドは、作動可能に連結されたコード配列から発現され得る。このような構築物から産生されるキメラポリペプチドは、融合タンパク質であってもよく、ここで、2つ(またはそれ以上)のコードされたペプチドは、単一のポリペプチドに翻訳される。すなわち、ペプチド結合を介して、直接または短いスペーサー領域とともに、いずれかで共有結合される。
【0044】
葉緑体において、遺伝子発現の調節は、通常、転写後、しばしば翻訳開始の間に起こる。この調節は、葉緑体翻訳装置、および核によってコードされた調節因子に依存する(BarkanおよびGoldschmidt−Clermont,Biochemie 82:559−572,2000;Zerges,Biochemie 82:583−601,2000を参照のこと)。葉緑体翻訳装置は、通常、細菌において、葉緑体は70Sリボソームを含み;5’キャップを欠くmRNAを有し、通常、3’ポリ−アデニル化テイルを含まず(Harrisら、Microbiol.Rev.58:700−754,1994);そして、翻訳が、クロラムフェニコールなどの選択的因子によって葉緑体および細菌において阻害される。
【0045】
本発明の一部の方法は、コード配列に対するリボソーム結合配列(RBS)の位置決めを利用する。このようなRBSの配置が、植物の葉緑体において強固な翻訳を生じることは以前に示されており(本明細書に参照により援用される米国特許出願第2004/0014174号を参照のこと)、ポリペプチドが、典型的に、核遺伝子から発現されたポリペプチドによって横切られる細胞区画を介して進行されないという葉緑体においてポリペプチドを発現する利点があり、従って、グリコシル化などの特定の翻訳後修飾に供されない。このように、本発明の一部の方法によって産生されるポリペプチドおよびタンパク質複合体は、このような翻訳後修飾をせずに産生され得ることが予期され得る。
【0046】
以下の議論は、バックグランドのみの方法により提供され、出願人は、開示される本発明が、葉緑体遺伝子調節の機構の開示に対する範囲または理論のいずれかに限定されることを意図しない。葉緑体において、リボソーム結合および適切な翻訳開始部位の選択は、少なくとも部分的に、シス−作動性RNAエレメントによって媒介されると考えられる。潜在的な調節因子の1つの例は、葉緑体mRNAの5’UTR内で同定されている(Alexanderら,Nucl.Acids Res.26:2265−2272,1998;HiroseおよびSugiura,EMBO J.15:1687−1695,1996;Mayfieldら,J.Cell Biol.127:1537−1545,1994;Sakamotoら,Plant J.6:503−512,1994,これらの各々は本明細書に参照として援用される)。これらのエレメントは、核によってコードされた因子と相互作用し得る。
【0047】
多くの葉緑体mRNAは、原核生物のRBSエレメントに似ているエレメントを含む(Bonham−SmithおよびBourque,Nucl.Acids Res.17:2057−2080,1989;RufおよびKossel,FEBS Lett.240:41−44,1988,これらの各々は本明細書に参照として援用される)。しかしながら、葉緑体の翻訳におけるこれらのRBS配列の機能的有用性は、いくつかの研究が翻訳においてこれらのエレメントの異なる効果を示しているため、不明確である(BettsおよびSpremulli,J.Biol.Chem.269:26456−26465,1994;Hiroseら,FEBS Lett.430:257−260,1998;Fargoら,Mol.Gen.Genet.257:271−282,1998;KooおよびSpremulli,J.Biol.Chem.269:7494−7500,1994;Rochaix,Plant Mol.Biol.32:327−341,1996)。これらの結果の解釈は、葉緑体のRBSエレメントについてのコンセンサスの欠如により困難になっている。なぜなら、これらの推定RBS配列を研究するために生成される変異は、5’UTR内の他の重要な配列の状況を変化させ得るからである。
【0048】
本発明の一部の局面(例えば、ベクター)は、RBSを含んでもよい。そのようなRBSは化学合成され得るか、または天然の核酸分子から単離され得る(例えば、葉緑体遺伝子から単離)。RBSに加えて、5’UTRを用いる実施形態は、プロモーターなどの転写調節エレメントを含み得る。本発明で利用されるRBSと同様に、5’UTRは化学合成され得るか、または天然の核酸分子から単離され得る。本発明に使用され得る5’UTRの非限定的な例としては、atpA 5’UTR;psbC 5’UTR、psbD 5’UTR、psbA 5’UTR、rbcL 5’UTRおよび/または16S rRNA 5’UTRが挙げられるが、これらに限定されない。リボヌクレオチド配列はさらに、RBSに作動可能に連結される開始コドン(例えば、AUGコドン)を含んでもよい。開始コドンは、内因性(例えば、クローンされた遺伝子において天然に存在する)であってもよいか、または合成されてもよい(例えば、リンカーポリペプチドまたはPCRプライマー)。
【0049】
単離されたリボヌクレオチド配列は、限定されないが、化学合成、酵素法を用いて生成される(例えば、DNA依存性RNAポリメラーゼもしくはRNA依存性RNAポリメラーゼを用いてDNAまたはRNA鋳型から生成される)、当該分野において公知の任意の方法によって得られ得る。本発明のリボヌクレオチドをコードするDNA鋳型は、化学合成されてもよく、天然のDNA分子から単離されてもよく、または必要とされる特徴を有するように修飾される天然のDNA配列由来であってもよい。
【0050】
用語「ポリヌクレオチド」または「ヌクレオチド配列」または「核酸分子」は、リン酸ジエステル結合によって一緒に連結される2つ以上のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドの配列を意味するように本明細書に広範に使用される。このように、その用語はRNAおよびDNAを含み、それらは遺伝子またはそのタンパク質、cDNA、合成ポリデオキシリボ核酸配列などであってもよく、一本鎖または二本鎖、ならびにDNA/RNAハイブリッドであってもよい。さらに、本明細書に使用される用語は、天然の核酸分子を含み、それは細胞、ならびに、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などによる化学合成法または酵素法によって調製され得る合成ポリヌクレオチドから単離され得る。本明細書で使用する場合、用語「合成ポリヌクレオチド」は、葉緑体コドンの使用を反映するように修飾されているポリヌクレオチドを指すことを除いて、異なる用語が、例えば、組成物の異なる成分を区別するために議論の簡便さのみのために使用されることは理解されるべきである。
【0051】
一般に、ポリヌクレオチドを含むヌクレオチドは、2’−デオキシリボースに連結されるアデニン、シトシン、グアニンまたはチミンなどの天然のデオキシリボヌクレオチドあるいはリボースに連結されるアデニン、シトシン、グアニンまたはウラシルなどのリボヌクレオチドである。しかしながら、使用に依存して、ポリヌクレオチドはまた、非天然合成ヌクレオチドまたは修飾された天然ヌクレオチドを含むヌクレオチド類似体を含んでもよい。ヌクレオチド類似体は当該分野において周知であり、ヌクレオチド類似体などを含むポリヌクレオチドとして市販されている(Linら,Nucl.Acids Res.22:5220−5234,1994;Jellinekら,Biochemistry 34:11363−11372,1995;Pagratisら,Nature Biotechnol.15:68−73,1997)。一般に、リン酸ジエステル結合は、本発明のポリヌクレオチドのヌクレオチドを連結するが、しかしながら、チオジエステル結合、ホスホロチオエート結合、ペプチド様結合および当該分野において公知の任意の他の結合を含む、他の結合が、合成ポリヌクレオチドを生成するために利用されてもよい(Tamら,Nucl.Acids Res.22:977−986,1994;EckerおよびCrooke,BioTechnology 13:351360,1995)。
【0052】
天然のヌクレオチドおよびリン酸ジエステル結合を含むポリヌクレオチドは、化学合成されてもよいか、または組み換えDNA法を用いて、鋳型として適切なポリヌクレオチドを用いて生成されてもよい。それに対し、リン酸ジエステル結合以外のヌクレオチド類似体または共有結合を含むポリヌクレオチドは一般に、化学合成されるが、T7ポリメラーゼなどの酵素は、ポリヌクレオチド内に特定の型のヌクレオチド類似体を組み込むことができ、従って、適切な鋳型からの組み換えによってこのようなポリヌクレオチドを産生するために使用され得る(Jellinekら、上記、1995)。本発明の方法を実施するのに有用なポリヌクレオチドは、任意に生物から単離されてもよい。典型的に、本発明を実施するのに利用される生分解性酵素は、細菌または真菌由来のヌクレオチド配列によってコードされる。このような酵素およびそれらの供給源の非限定的な例は表1に示される。このようなポリヌクレオチドは、限定されないが、クローニング、サブクローニング、およびPCRを含む、当該分野において公知の任意の手段によって単離および/または合成されてもよい。
【0053】
ポリヌクレオチドをコードする1つ以上のコドンは、葉緑体コドンの使用を反映するように偏っていてもよい。ほとんどのアミノ酸は、2つ以上の異なる(縮重)コドンによってコードされ、種々の生物が他の生物よりも優先的に特定のコドンを利用することは十分に理解されるだろう。葉緑体においても利用されるそのような優先的コドンの使用は、本明細書において「葉緑体コドンの使用」といわれる。Chlamydomonas reinhardtiiのコドンの偏りは報告されている。米国特許出願第2004/0014174号を参照のこと。
【0054】
コドンに対する参照において使用される場合、用語「偏っている」とは、ポリヌクレオチドにおけるコドンの配列が、そのコドンが、偏りが例えば、藻細胞、葉緑体などに対する標的において優先的に使用されるものであるように変化されていることを意味する。葉緑体コドンの使用に偏っているポリヌクレオチドは、葉緑体コドンの使用に偏っているように1つ以上のコドンを変化させるために、新たに合成されてもよく、または所定の組み換えDNA技術を用いて、例えば、部位特異的突然変異誘発法により、遺伝子改変されてもよい。葉緑体コドンの偏りは、タバコと比較した藻葉緑体を含む、異なる植物において様々に変動し得る。一般に、選択された葉緑体コドンの偏りは、本発明の核酸で形質転換される植物の葉緑体コドンの使用を反映する。例えば、C.reinhardtiiが宿主である場合、葉緑体コドンの使用は、藻葉緑体コドンの使用を反映するように偏っている(第3のコドン位置において約74.6%のAT偏り)。
【0055】
本発明の1つの方法は、第1のポリペプチドおよび少なくとも第2のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを用いて実施され得る。このように、ポリヌクレオチドは、例えば、第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチド;第1のポリペプチド、第2のポリペプチド、および第3のポリペプチド;などをコードし得る。さらに、コードされたポリペプチドのいずれかまたは全ては、同じであってもまたは異なっていてもよい。微細藻類C.reinhardtiiの葉緑体において発現されるポリペプチドは、機能性ポリペプチドおよびタンパク質複合体を形成するように構築され得る。このように、本発明の方法は、例えば、二量体、三量体、および四量体を含む、機能性タンパク質複合体を産生するための手段を提供し、その複合体のサブユニットは、同じであってもまたは異なっていてもよい(例えば、それぞれホモ二量体またはヘテロ二量体)。
【0056】
本明細書に使用される用語「組み換え核酸分子」は、ヒトの介入により操作されるポリヌクレオチドを指す。組み換え核酸分子は、生成物が天然の細胞において見出されない方法で連結される2つ以上のヌクレオチド配列を含んでもよい。特に、2つ以上のヌクレオチド配列は作動可能に連結され得、例えば、融合ポリペプチドをコードし得るか、またはコード化ヌクレオチド配列および調節エレメントを含み得る。組み換え核酸分子はまた、天然のポリヌクレオチドに基づいてもよいが、異なるように操作されてもよい(例えば、葉緑体コドンの使用、制限酵素部位の挿入、プロモーターの挿入、複製起点の挿入に偏っている)。組み換え核酸分子はさらに、ペプチドタグ(例えば、His−6タグ)を含んでもよく、これは細胞におけるポリペプチドの発現の同定を促進し得る。さらなるタグは、例えば、FLAGエピトープ、c−mycエピトープ;ビオチン;およびグルタチオンS−トランスフェラーゼを含む。このようなタグは、当該分野において公知の任意の方法(例えば、抗タグ抗体、ストレプトアビジン)によって検出され得る。このようなタグはまた、作動可能に連結されたポリペプチドを、例えば、親和性クロマトグラフィーにより単離するために使用され得る。
【0057】
(組成物)
(核酸)
本明細書の組成物は、1つ以上の異なるバイオマス分解酵素および/または1つ以上の異なるバイオマス産生調節因子ならびにそのような核酸のベクターをコードする核酸を含む。核酸は、挿入される光合成宿主細胞に対して異種であってもよい。ベクターは、バイオマス分解酵素をコードする核酸の1つもしくは複数のコピーおよび/またはバイオマス産生調節因子をコードする核酸の1つもしくは複数のコピーを含んでもよい。複数のコピーを用いる場合、核酸の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、または10のコピー(例えば、単一のバイオマス分解酵素をコードする)が単一のベクターに挿入され得る。これにより、宿主細胞における増加したレベルのそれらの産生が可能になる。
【0058】
本発明の方法に有用な組み換え核酸分子は、ベクターに含まれてもよい。さらに、この方法が第2(または多く)の組み換え核酸分子を用いて実施される場合、第2の組み換え核酸分子もまた、ベクターに含まれてもよく、このベクターは、必ずしも必要としないが、第1の組み換え核酸分子を含むため、同じベクターであってもよい。ベクターは、葉緑体にポリヌクレオチドを組み込むのに有用な任意のベクターであってもよく、好ましくは、葉緑体ゲノムDNAで相同的組み換えを受けるのに十分な葉緑体ゲノムDNAのヌクレオチド配列、例えば、約400〜1500またはそれ以上の実質的に隣接する葉緑体ゲノムDNAのヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む。葉緑体ベクターおよびベクターとして使用するための葉緑体ゲノムの領域を選択するための方法は、周知である(例えば、Bock,J.Mol.Biol.312:425−438,2001を参照のこと;StaubおよびMaliga,Plant Cell 4:39−45,1992;Kavanaghら,Genetics 152:1111−1122,1999も参照のこと。これらの各々は本明細書に参照により援用される)。
【0059】
一部の例において、そのようなベクターはプロモーターを含む。本発明に有用なプロモーターは、任意の供給源(例えば、ウイルス、細菌、真菌、原生生物、動物)に由来してもよい。本明細書に企図されるプロモーターは、光合成生物、非維管束光合成生物、および維管束光合成生物(例えば、藻類、顕花植物)に特異的であってもよい。本明細書に使用される場合、用語「非維管束光合成生物」とは、高等植物において見出されるような維管束系を有さない藻類、シアノバクテリアおよび光合成細菌を含む、任意の肉眼で見える生物または微生物を指す。一部の例において、上記の核酸は、光合成生物、例えば、藻類のプロモーターを含むベクターに挿入される。プロモーターは、葉緑体および/または他のプラスチドにおいて発現するためのプロモーターであってもよい。一部の例において、核酸は葉緑体ベースである。本明細書の核酸のいずれかの葉緑体への挿入に企図されるプロモーターの例としては、米国特許出願第2004/0014174号に開示されるものが挙げられる。プロモーターは、構成的プロモーターまたは誘導プロモーターであってもよい。プロモーターは典型的に、転写の開始部位付近に必要な核酸配列(例えば、TATAエレメント)を含む。
【0060】
「構成的」プロモーターは、ほとんどの環境および発生条件下で活性化するプロモーターである。「誘導」プロモーターは、環境または発生調節下で活性化するプロモーターである。誘導プロモーター/調節エレメントの例としては、例えば、硝酸塩誘導プロモーター(Backら,Plant MoI.Biol.17:9(1991))、または光誘導プロモーター(Feinbaumら,MoI Gen.Genet.226:449(1991);LamおよびChua,Science 248:471(1990))、または熱応答プロモーター(Mullerら,Gene 111:165−73(1992))が挙げられる。
【0061】
C.reinhardtiiの全葉緑体ゲノムは、各々が本明細書に参照として援用されるURL“biology.duke.edu/chlamy genome/−chloro.html”(“view complete genome as text file”リンクおよび“maps of the chloroplast genome”リンクを参照のこと)にてワールドワイドウェブ上で公衆に利用可能である(J.Maul,J.W.Lilly,およびD.B.Stern,未発表の結果;2002年1月28日に改訂された;GenBank Acc.No.AF396929として公開されている)。一般に、葉緑体ゲノムDNAのヌクレオチド配列は、調節配列またはコード配列を含む、遺伝子の一部でないように選択され、相同的組み換え事象に起因して破壊される場合、特に遺伝子は、例えば、葉緑体ゲノムの複製のための、または葉緑体を含む植物細胞に対する葉緑体に対する有害な効果を生成する。これに関して、C.reinhardtii葉緑体ゲノム配列を含むウェブサイトはまた、葉緑体ゲノムのコードおよび非コード領域を示すマップを提供し、従って、本発明のベクターを構築するのに有用な配列の選択を促進する。例えば、本明細書に開示される実験に使用される葉緑体ベクター、p322は、約143.1kb位におけるEco(Eco RI)部位から約148.5kbにおけるXho(Xho I)部位まで伸長するクローンである(URL“biology.duke.edu/chlamy genome/chloro.html”におけるワールドワイドウェブを参照し、“maps of the chloroplast genome”をクリックすること;また、URL“biology.duke.edu/chlam−y/chloro/chlorol40.html”におけるワールドワイドウェブで直接アクセス可能である;実施例1も参照のこと)。
【0062】
本発明を実施する際に利用されるベクターはまた、例えば、その中に含まれるベクターの複製またはヌクレオチド配列の転写を方向付けるベクター、調節エレメント、選択可能なマーカーをコードする配列などの操作を促進するクローニング部位などの配列を含む、ベクターに所望の特性を与える1つ以上のさらなるヌクレオチド配列を含んでもよい。このように、ベクターは、例えば、複数のクローニング部位などの1つ以上のクローニング部位を含んでもよく、その部位は、必ずしも必要ではないが、異種ポリヌクレオチドがベクターに挿入されて、所望のエレメントに作動可能に連結され得るように位置され得る。ベクターはまた、原核生物の複製起点(ori)、例えば、E.coli oriまたはcosmid oriを含んでもよく、従って、原核生物の宿主細胞、および所望の場合、植物の葉緑体におけるベクターの経路を可能にする。
【0063】
本明細書に使用される場合、調節エレメントの用語は、広範に、ポリヌクレオチドの転写または翻訳、あるいは作動可能に連結されるポリペプチドの局在化を調節するヌクレオチド配列を指す。例としては、限定されないが、RBS、プロモーター、エンハンサー、転写ターミネーター、開始コドン、イントロン切除および正確なリーディングフレームの維持のためのスプライシングシグナル、終止コドン、amberまたはochreコドン、IRESが挙げられる。さらに、細胞区画化シグナル(すなわち、サイトゾル、核、葉緑体膜または細胞膜に対してポリペプチドを標的化する配列)。このようなシグナルは当該分野において周知であり、広範に報告されている(例えば、米国特許第5,776,689号を参照のこと)。
【0064】
ベクターまたは他の組み換え核酸分子は、レポーターポリペプチドまたは他の選択可能なマーカーをコードするヌクレオチド配列を含んでもよい。用語「レポーター」または「選択可能なマーカー」とは、検出可能な表現型を与えるポリヌクレオチド(またはコードされたポリペプチド)を指す。レポーターは、一般に、検出可能なポリペプチド、例えば、緑色蛍光タンパク質またはルシフェラーゼなどの酵素をコードし、適切な因子(光またはルシフェリンのそれぞれの特定の波長)と接触する場合、眼によって、または適切な機器を用いて検出され得るシグナルを生成する(Giacomin,Plant Sci.116:59−72,1996;Scikantha,J.Bacteriol.178:121,1996;Gerdes,FEBS Lett.389:44−47,1996;Jefferson,EMBO J.6:3901−3907,1997,fl−グルクロニダーゼも参照のこと)。選択可能なマーカーは、一般に、細胞において存在または発現する場合、選択的利点(または不利点)を、マーカーを含む細胞に与える分子である。例えば、他の因子の存在下で増殖する能力は細胞を死滅させる。
【0065】
選択可能なマーカーは、そのマーカーを発現する原核細胞または植物細胞あるいはその両方を得るための手段を提供でき、従って、本発明のベクターの組成物に有用であり得る(例えば、Bock,上記,2001を参照のこと)。選択可能なマーカーの例としては、限定されないが、代謝拮抗物質耐性を与えるもの、例えば、メトトレキサートに耐性を与えるジヒドロ葉酸還元酵素(Reiss,Plant Physiol.(Life Sci.Adv.)13:143−149,1994);アミノグリコシドネオマイシン、カナマイシンおよびプロマイシン(paromycin)に耐性を与えるネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(Herrera−Estrella,EMBO J.2:987−995,1983)、ハイグロマイシンに耐性を与えるhygro(Marsh,Gene 32:481−485,1984)、細胞がトリプトファンの代わりにインドールを利用できるtrpB;細胞がヒスチジンの代わりにヒスチノールを利用できるhisD(Hartman,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA85:8047,1988);細胞がマンノースを利用できるマンノース−6−リン酸イソメラーゼ(WO94/20627);オルニチンデカルボキシラーゼ阻害因子、2−(ジフルオロメチル)−DL−オルニチンに耐性を与えるオルニチンデカルボキシラーゼ(DFMO;McConlogue,1987,:Current Communications in Molecular Biology,Cold Spring Harbor Laboratory ed.);ならびにBlasticidin Sに耐性を与えるAspergillus terreus由来のデアミナーゼ(Tamura,Biosci.Biotechnol.Biochem.59:2336−2338,1995)が挙げられる。さらなる選択可能なマーカーとしては、除草剤抵抗性を与えるもの、例えば、ホスフィノトリシンに抵抗性を与えるホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ遺伝子(Whiteら,Nucl.Acids Res.18:1062,1990;Spencerら,Theor.Appl.Genet.79:625−631,1990)、グリホサート耐性を与える変異EPSPV−シンターゼ(Hincheeら,BioTechnology 91:915−922,1998)、イミダゾリノンまたはスルホニル尿素耐性を与える変異アセト乳酸シンターゼ(Leeら,EMBO J.7:1241−1248,1988)、アトラジンに抵抗性を与える変異psbA(Smedaら,Plant Physiol.103:911−917,1993)、あるいは変異型プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ(米国特許第5,767,373号を参照のこと)、またはグルホシネートのような除草剤に対する耐性を付与する他のマーカーが挙げられる。選択マーカーには、真核細胞については、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)またはネオマイシン耐性、および大腸菌のような原核細胞についてはテトラサイクリン;アンピシリン耐性;および植物については、ブレオマイシン、ゲンタマイシン、グリフォセート、ハイグロマイシン、カナマイシン、メトトレキセート、フレオマイシン、フォスフィノスリシン、スペクチノマイシン、ストレプトマイシン、スルホンアミド、およびスルホニル尿素耐性(例えば、Maligaら、Methods in Plant Molecular Biology,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1995,39頁を参照のこと)を付与するポリヌクレオチドが挙げられる。
【0066】
レポーター遺伝子は、高等植物の葉緑体において首尾よく使用されており、高レベルの組み換えタンパク質発現が報告されている。さらに、レポーター遺伝子は、C.reinhardtiiの葉緑体において使用されているが、ほとんどの場合において、非常に少量のタンパク質が産生された。レポーター遺伝子は、多くの生物有機体における遺伝子発現をモニターする能力を非常に高める。高等植物の葉緑体において、β−グルクロニダーゼ(uidA,StaubおよびMaliga,EMBO J.12:601−606,1993)、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(nptII,Carrerら,Mol.Gen.Genet.241:49−56,1993)、アデノシル−3−アデニルトランスフェラーゼ(aadA,SvabおよびMaliga,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA90:913−917,1993)、およびAequorea victoria GFP(Sidorovら,Plant J.19:209−216,1999)は、レポーター遺伝子として使用されている(Heifetz,Biochemie 82:655−666,2000)。これらの遺伝子の各々は、それらを、分析の容易さ、感受性、またはもとの位置で発現を調べる能力などの葉緑体遺伝子発現の有用なレポーターにすることに起因している。これらの研究に基づいて、他の異種タンパク質は、Bacillus thuringiensis Cryトキシンなどの高等植物の葉緑体において発現されており、植食昆虫(Kotaら,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 96:1840−1845,1999)、またはヒトソマトトロピン(Staubら,Nat.Biotechnol.18:333−338,2000)、潜在的生物医薬品に耐性を与える。いくつかのレポーター遺伝子は、aadA(Goldschmidt−Clermont,Nucl.Acids Res.19:4083−4089 1991;ZergesおよびRochaix,Mol.Cell Biol.14:5268−5277,1994)、uidA(Sakamotoら,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 90:477−501,19933,Ishikuraら,J. Biosci.Bioeng.87:307−314 1999)、ウミシイタケルシフェラーゼ(Minkoら,Mol.Gen.Genet.262:421−425,1999)およびAcinetobacter baumanii、aphA6由来のアミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ(BatemanおよびPurton,Mol.Gen.Genet263:404−410,2000)を含む、真核性緑藻、C.reinhardtiiの葉緑体において発現されている。
【0067】
一部の例において、本発明のベクターは、E.coliまたはS.cerevisiae複製起源などのエレメントを含む。適切な選択可能なマーカーと組み合わせたこのような特徴は、ベクターが標的宿主細胞と細菌および/または酵母細胞との間でシャトルされることを可能にする。二次宿主において本発明のシャトルベクターを通過させる能力は、ベクターの特徴のより簡便な操作を可能にする。例えば、ベクターおよび目的の推定的に挿入されるポリヌクレオチドを含む反応混合物は、所定の方法を用いて増幅および回収されたE.coliなどの原核生物宿主細胞に形質転換され得、目的の挿入物または構築物を含むベクターを同定するために試験され得る。所望の場合、ベクターはさらに、例えば、挿入されたポリヌクレオチドの部位特異的変異誘発を実施することにより操作されてもよく、次いで再び、目的の変異されたポリヌクレオチドを有するベクターを増幅および選択する。次いで、シャトルベクターは、植物細胞葉緑体に導入され得、ここで、目的のポリヌクレオチドは発現され得、所望の場合、本発明の方法に従って単離され得る。
【0068】
本発明のポリヌクレオチドまたは組み換え核酸分子は、当該分野において公知の任意の方法を用いて植物葉緑体に導入されてもよい。ポリヌクレオチドは、当該分野において周知の種々の方法によって細胞に導入され得、特定の宿主細胞に基づいて部分的に選択され得る。例えば、ポリヌクレオチドは、粒子銃を用いるエレクトロポレーションまたはマイクロプロジェクタイル媒介(遺伝子銃)形質転換、あるいは「ガラスビーズ法」、あるいは花粉により媒介された形質転換、リポソームにより媒介された形質転換、創傷したまたは酵素分解された未熟胚、あるいは創傷したまたは酵素分解された胚発生カルスを用いる形質転換などの遺伝子直接導入法を用いて植物細胞に導入されてもよい(Potrykus,Ann.Rev.Plant.Physiol.Plant Mol.Biol.42:205−225,1991)。
【0069】
用語「外因性」は、比較の意味で本明細書において使用され、言及されるヌクレオチド配列(またはポリペプチド)が、参照源以外の源由来、または通常、会合せずに、あるいは通常参照源と会合されない形態で修飾された第2のヌクレオチド配列(またはポリペプチド)に連結されることを示す。例えば、バイオマス分解酵素をコードするポリヌクレオチドは、例えば、第2のヌクレオチド配列に作動可能に連結される第1のヌクレオチド配列を含む組み換え核酸分子の成分であり、変異ポリヌクレオチドが通常、葉緑体において見出されない場合、葉緑体に導入された変異ポリヌクレオチドであるため、植物葉緑体のヌクレオチド配列に対して異種である。
【0070】
プラスチド形質転換は、ポリヌクレオチドを植物細胞葉緑体に導入するための慣例かつ、周知の方法である(米国特許第5,451,513号、同第5,545,817号および同第5,545,818号;国際公開WO95/16783号;McBrideら,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 91:7301−7305,1994を参照のこと)。一部の実施形態において、葉緑体の形質転換は、外因性DNAの標的葉緑体ゲノムへの相同的組み換えを可能にする所望のヌクレオチド配列に隣接する葉緑体DNAの領域を導入することを含む。一部の例において、1〜1.5kbの葉緑体ゲノムDNAの隣接するヌクレオチド配列が使用されてもよい。この方法を用いて、スペクチノマイシンおよびストレプトマイシンに耐性を与える葉緑体の16S rRNAおよびrps12遺伝子における点突然変異が、形質転換のための選択可能なマーカーとして利用されてもよく(Svabら,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 87:8526−8530,1990)、標的とする葉の100の照射につき約1の頻度で安定な同質細胞質形質転換を生じ得る。
【0071】
マイクロプロジェクタイル媒介形質転換もまた、ポリヌクレオチドを植物細胞葉緑体に導入するために使用され得る(Kleinら,Nature 327:70−73,1987)。この方法は、塩化カルシウム、スペルミジンまたはポリエチレングリコールでの沈殿により所望のポリヌクレオチドでコーティングされた金またはタングステンなどのマイクロプロジェクタイルを利用する。マイクロプロジェクタイル粒子は、BIOLISTIC PD−1000パーティクルガン(BioRad;Hercules Calif)などのデバイスを用いて植物組織内で高速で加速される。微粒子銃法を用いる形質転換のための方法は、当該分野において周知である(例えば、Christou,Trends in Plant Science 1:423−431,1996を参照のこと)。マイクロプロジェクタイル媒介形質転換は、例えば、綿、タバコ、トウモロコシ、雑種ポプラおよびパパイヤを含む、種々のトランスジェニック植物種を生成するために使用されている。コムギ、カラスムギ、オオムギ、モロコシおよびイネなどの重要な穀物も、マイクロプロジェクタイル媒介送達を用いて形質転換されている(Duanら,Nature Biotech.14:494−498,1996;Shimamoto,Curr.Opin.Biotech.5:158−162,1994)。ほとんどの双子葉植物の形質転換は上記の方法で可能である。単子葉植物の形質転換もまた、例えば、上記の微粒子銃法、プロトプラスト形質転換、部分的に透過性細胞のエレクトロポレーション、ガラス繊維を用いるDNAの導入、ガラスビーズ攪拌などを用いて形質転換され得る。
【0072】
形質転換率は、限定されないが、細菌のaadA遺伝子を含む、優性選択可能マーカーを含む劣勢RNAまたはr−タンパク質抗生物質抵抗性遺伝子の置換により増加し得る(SvabおよびMaliga,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 90:913−917,1993)。形質転換後の約15〜20の細胞分裂周期は一般に、同質細胞質状態に到達することを必要とする。葉緑体がその遺伝子の複数のコピーを含み得ることは当業者には明白であり、従って、用語「同質細胞質」または「ホモプラスミー」とは、目的の特定の遺伝子座の全てのコピーが実質的に同一である状態を指す。遺伝子が、各植物細胞に存在する環状プラスチドゲノムの数千コピーの全てに相同的組み換えにより挿入されるプラスチド発現は、全ての可溶性植物タンパク質の10%を容易に越える発現レベルを可能にするために、核によって発現された遺伝子に対する大量のコピー数の利点を利用する。
【0073】
本発明の方法は、微細藻類、C.reinhardtiiを用いて例示されている。本発明の方法に従うポリペプチドまたはタンパク質複合体を発現するための微細藻類の使用は、商用(Cyanotech Corp.;Kailua−Kona HI)を含む微細藻類の多数の集団が増殖され得る利点を提供し、従って、大量の所望の生成物の産生、および所望の場合、単離を可能にする。しかしながら、例えば、任意の植物の葉緑体においてタンパク質複合体を含む、機能的な哺乳動物のポリペプチドを発現する能力は、このような植物の作物の産生を可能にし、従って、大量のポリペプチドを簡便に産生する能力を可能にする。従って、本発明の方法は、例えば、微細藻類、例えば、海草および海藻、ならびに土壌で生育する植物、例えば、トウモロコシ(Zea mays)、アブラナ科(例えば、B.napus,B.rapa,B.juncea)、特に種油の源として有用なそれらのアブラナ科、アルファルファ(Medicago sativa)、イネ(Oryza sativa)、ライムギ(Secale cereale)、モロコシ(Sorghum bicolor、Sorghum vulgare)、アワ(例えば、トウジンビエ(Pennisetum glaucum)、キビ(Panicum miliaceum)、アワ(Setaria italica)、シコクビエ(Eleusine coracana))、ヒマワリ(Helianthus annuus)、ベニバナ(Carthamus tinctorius)、コムギ(Triticum aestivum)、ダイズ(Glycine max)、タバコ(Nicotiana tabacum)、ポテト(Solanum tuberosum)、ピーナッツ(Arachis hypogaea)、綿(Gossypium barbadense,Gossypium hirsutum)、サツマイモ(Ipomoea batatus)、キャッサバ(cassaya)(Manihot esculenta)、コーヒー(Cofea spp.)、ココナッツ(Cocos nucifera)、パイナップル(Ananas comosus)、柑橘類の木(Citrus spp.)、ココア(Theobroma cacao)、茶(Camellia sinensis)、バナナ(Musa spp.)、アボカド(Persea ultilane)、イチジク(Ficus casica)、グアバ(Psidium guajava)、マンゴ(Mangifera indica)、オリーブ(Olea europaea)、パパイヤ(Carica papaya)、カシュー(Anacardium occidentale)、マカダミア(Macadamia integrifolia)、アーモンド(Prunus amygdalus)、サトウダイコン(Beta vulgaris)、サトウキビ(Saccharum spp.)、カラスムギ、アオウキクサ(Lemna)、オオムギ、トマト(Lycopersicon esculentum)、レタス(例えば、Lactuca sativa)、サヤマメ(Phaseolus vulgaris)、アオイマメ(Phaseolus limensis)、エンドウマメ(Lathyrus spp.)、ならびにキュウリ(C. sativus)、カンタロープ(C. cantalupensis)、およびマスクメロン(C. melo)などのキュウリ属のメンバーを含む、葉緑体を有するいずれかの植物を用いて実施され得る。ツツジ(Rhododendron spp.)、アジサイ(Macrophylla hydrangea)、ハイビスカス(Hibiscus rosasanensis)、バラ(Rosa spp.)、チューリップ(Tulipa spp.)、ラッパズイセン(Narcissus spp.)、ペチュニア(Petunia hybrida)、カーネーション(Dianthus caryophyllus)、ポインセチア(Euphorbia pulcherrima)、およびキクなどの観葉植物もまた含まれる。本発明の方法を実施するのに有用なさらなる観葉植物は、インパチェンス、ベゴニア、ペラルゴニウム、スミレ、シクラメン、バーベナ、ツルニチニチソウ、マンジュギク、サクラソウ、セントポーリア、アゲラタム、アマランサス、キンギョソウ(Antihirrhinum)、オダマキ、フウキギク(Cineraria)、クローバー、コスモス、ササゲ、ダリア、チョウセンアサガオ、ヒエンソウ(Delphinum)、ガーベラ、グラジオラス、グロキシニア、アマリリス、マツバギク(Mesembryanthemum)、サルメンバナ、およびヒャクニチソウが含まれる。本発明を実施する際に利用され得る針葉樹には、例えば以下が含まれる:マツ(例えば、テーダマツ(Pinus taeda)、スラッシュマツ(Pinus elliotii)、ポンデローサマツ(Pinus ponderosa)、ヨレハマツ(Pinus contorta)およびモンテレーマツ(Pinus radiata)、ベイマツ(Pseudotsuga menziesii);アメリカツガ(Tsuga ultilane);ベイトウヒ(Picea glauca);アメリカスギ(Sequoia sempervirens);(本来の)モミ(例えば、ヨーロッパモミ(Abies amabilis)およびバルサムモミ(Abies balsamea));ならびにヒマラヤスギ(例えば、ベイスギ(Thuja plicata)およびアラスカヒノキ(Chamaecyparis nootkatensis))。
【0074】
本発明の方法を実施するために有用なマメ科植物には、マメおよびエンドウが含まれる。マメには、グアール、イナゴマメ、コロハ、ダイズ、ガーデンビーン、ササゲ、ヤエナリ、アオイマメ、ソラマメ、ヒラマメ、ヒヨコマメなどが含まれる。マメ科植物には、アラキス(Arachis)(例えば、ピーナッツ)、ビシア(Vicia)(例えば、オオゴンハギ、ヘアリーベッチ、アズキ、ヤエナリ、およびヒヨコマメ)、ルピナス(Lupinus)(例えば、ルピナス、シャジクソウ)、ファセオラス(Phaseolus)(例えば、インゲンマメおよびアオイマメ)、ピサム(Pisum)(例えば、ソラマメ)、メリロタス(Melilotus)(例えば、クローバー)、メディカゴ(Medicago)(例えば、アルファルファ)、ロータス(例えば、ツメクサ)、レンズ(例えば、ヒラマメ)、およびクロバナエンジュが含まれるがこれらに限定されない。本発明の方法における使用のための好ましい飼い葉および芝草には、アルファルファ、オーチャードグラス、ヒロハノウシノケグサ、ホソムギ、コヌカグサ(creeping bent grass)、およびコヌカグサ(redtop)が含まれる。本発明において有用な他の植物には、アカシア、アニス、チョウセンアザミ、キバナスズシロ、クロイチゴ、カノラ、シラントロ、クレメンタイン、キクヂシャ、ユーカリ、ウイキョウ、グレープフルーツ、ハネデュー、クズイモ、キウイフルーツ、レモン、ライム、マッシュルーム、ナッツ、オクラ、オレンジ、パセリ、カキ、プランテーン、ザクロ、ポプラ、ラディアータマツ(radiata pine)、赤チコリー、サザンパイン(Southern pine)、モミジバフウ、タンジェリン、トリチカレ、ブドウ(vine)、ヤムイモ、リンゴ、セイヨウナシ、マルメロ、チェリー、アンズ、メロン、アサ、ソバ、ブドウ(grape)、キイチゴ、ケノポジ、ブルーベリー、ネクタリン、モモ、プラム、イチゴ、スイカ、ナス、コショウ、カリフラワー、アブラナ属(例えば、ブロッコリー、キャベツ)、アルティラン・スプラウト(ultilan sprouts)、タマネギ、ニンジン、ニラ(leek)、ビート、ソラマメ、セロリ、ハツカダイコン、カボチャ(pumpkin)、エンダイブ、ヒョウタン、ニンニク、サヤインゲン(snapbean)、ホウレンソウ、カボチャ(squash)、カブ、アルティレーン(ultilane)、チコリ、アメリカホドイモ、およびズッキーニが含まれる。従って、本明細書に企図される組成物は、上記の核酸のいずれかを含む宿主生物を含む。宿主生物は、任意の葉緑体含有生物であってもよい。
【0075】
用語「植物」は、プラスチド(特に葉緑体)を含む真核生物をいうために本明細書中で広範に使用され、かつ、植物の切り枝、植物細胞、植物細胞培養物、植物器官、植物種子、および小植物(plantlet)を含む、任意の発達段階の任意のこのような生物体、または植物の一部を含む。植物細胞は、プロトプラストおよび細胞壁を含む、植物の構造的かつ生理学的な単位である。植物細胞は単離された単一の細胞もしくは培養細胞の形態であり得、または、高度に組織化された単位の一部、例えば、植物組織、植物器官、もしくは植物であり得る。従って、植物細胞は、プロトプラスト、配偶子を産生する細胞、または植物全体に再生され得る細胞または細胞の集合体であり得る。このようなものとして、複数の植物細胞を含み、かつ植物全体に再生され得る種子は、本開示の目的のための植物細胞と見なされる。植物組織または植物器官は、種子、プロトプラスト、カルス、または、構造的もしくは機能的単位に組織化される植物細胞の任意の他の群であり得る。植物の特に有用な部分には、収穫可能な部分および子孫植物の増殖のために有用な部分が含まれる。植物の収穫可能な部分は、植物の任意の有用な部分であり得、例えば、花、花粉、芽生え、塊茎、葉、茎、果実、種子、根などである。増殖のために有用な植物の部分には、例えば、種子、果実、切り枝、芽生え、塊茎、根茎などが含まれる。
【0076】
本発明の方法は、安定に組み込まれたポリヌクレオチドを含むように遺伝子改変された葉緑体を含む植物を生成し得る(HagerおよびBock、Appl.Microbiol.Biotechnol.54:302−310,2000)。従って、本発明はさらに、トランスジェニック(トランスプラストーム)植物、例えば、C.reinhardtiiを提供し、これは、特異的に会合して機能的タンパク質複合体を形成し得るポリペプチドを含む、1つまたは複数の異種ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、1つまたは複数の葉緑体を含む。
【0077】
一部の例において、特定の生分解経路(例えば、セルロース経路)の単一の酵素をコードする組み換えポリヌクレオチドを含む形質転換体および/またはトランスプラストーム植物は、生分解経路の他の酵素をコードする組み換えポリヌクレオチドを含む形質転換体と組み合わされ得る。例えば、生化学経路が基質から生成物を産生するために4つの酵素を利用する場合、4つの形質転換体系統が、その経路の酵素を提供するために組み合わされ得る。そのような組み合わせは、全酵素経路またはその一部を産生する細胞の混合物を含むのに必要であるものと同じ数の形質転換体系統を含んでもよい。従って、そのような組み合わせは、異なる形質転換体の細胞の異なる割合を含んでもよい。例えば、分解経路の1つの酵素は、その経路において律速段階であり、細胞の組み合わせは、律速酵素を産生する細胞の2、3、4、5、6、7、8、9、10倍またはそれ以上の細胞を含んでもよい。当業者は、形質転換体の複数の組み合わせの割合が、単純な方法(例えば、乾燥した形質転換体を計量することおよび合成)によって達成され得ることを理解するだろう。あるいは、個々の酵素は、形質転換体から単離され(例えば、隔離した酵素を単離するための藻類形質転換体の「クラッキング」)、次いで単離後、組み合わされてもよい。このようなアプローチは、基質または他の成分の相対比率を含み得る異なるバイオマスまたは他の基質物質に対する酵素濃度の仕立てを可能にし得る。
【0078】
一部の例において、本発明のトランスジェニック生物によって産生されるタンパク質は、それが産生された後、単離される。従って、本発明はまた、葉緑体またはトランスジェニック植物において異種ポリペプチドまたはタンパク質複合体を産生する方法を企図し、この方法は、植物細胞葉緑体から発現されたポリペプチドまたはタンパク質複合体を単離する工程を含み得る。本明細書に使用される場合、用語「単離された」または「実質的に精製された」とは、言及されるポリペプチドまたはポリヌクレオチドが、天然に付随しているタンパク質、核酸、脂質、炭水化物、または他の物質を比較的含まない形態にあることを意味する。単離されたポリペプチド(またはポリヌクレオチド)は、試料の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、6061、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%を占める。
【0079】
ポリペプチドまたはタンパク質の複合体は、特定のポリペプチドまたはタンパク質の複合体に適切な任意の方法を使用して葉緑体から単離され得、この方法には、例えば、塩による分画方法およびクロマトグラフィー方法(例えば、ポリペプチドまたはタンパク質の複合体を特異的に結合するリガンドまたはレセプターを使用するアフィニティークロマトグラフィー方法)が含まれる。本発明の方法に従って産生されるポリペプチドまたはタンパク質の複合体が単離された形態にあるということの決定は、周知の方法を使用して、例えば、電気泳動を実行し、特定の分子を相対的に分離したバンドとして、または特定の複合体を一連のバンドの1つとして同定することによってなされ得る。従って、本発明はまた、本発明の方法によって産生された、単離されたポリペプチドまたはタンパク質の複合体を提供する。一部の例において、本発明の酵素は、葉緑体において産生されるが、隔離されてもよい。このような実施形態において、活性酵素を利用する方法は、酵素を含有する細胞の「クラッキング」(例えば、細胞壁を破壊するために機械的、化学的、および/または生物学的手段を用いること)に依存し得る。そのようなクラッキングの時間は、細胞によって産生される酵素がそれらの酵素の能力を機能するために利用される時間で生じるように計画されてもよい。他の例において、酵素は、宿主細胞によって分泌されてもよい。そのような場合において、酵素は、生物の培養培地から直接回収されてもよい。そのような培地に存在する酵素は、精製せずに直接使用されてもよく、乾燥されてもよく(例えば、空気乾燥、凍結乾燥)、および/または当該分野において公知の任意の手段により精製に供されてもよい(例えば、親和性クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー)。
【0080】
バイオマス分解酵素およびそれらの酵素をコードする核酸の例を表1に示す。バイオマス分解酵素の非限定的な例としては、セルロース分解酵素、ヘミセルロース分解酵素、ペクチン分解酵素、キシラナーゼ、リグニン分解酵素、セルラーゼ、セロビアーゼ、軟化酵素(例えば、エンドポリガラクツロナーゼ)、アミラーゼ、リパーゼ、プロテアーゼ、リボヌクレアーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、イヌリナーゼ、溶解酵素、ホスホリパーゼ、ペクチナーゼ、プルラナーゼ、グルコースイソメラーゼ、エンドキシラナーゼ、β−キシロシダーゼ、α−L−アラビノフラノシダーゼ、α−グルクロニダーゼ、α−ガラクトシダーゼ、アセチルキシランエステラーゼ、およびフェルロイルエステラーゼが挙げられる。このような酵素をコードする遺伝子の例としては、限定されないが、アミラーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ(例えば、β−グルコシダーゼ、エンドセルラーゼ、エキソセルラーゼ)、エキソ−β−グルカナーゼ、エンド−β−グルカナーゼおよびキシラナーゼ(エンドキシラナーゼおよびエキソキシラナーゼ)が挙げられる。リグニン分解酵素の例としては、限定されないが、Phanerochaete chryososporium由来のリグニンペルオキシダーゼおよびマンガンペルオキシダーゼが挙げられる。当業者は、これらの酵素が、本発明で使用され得る酵素の一部の記載のみであることを理解するだろう。
【0081】
【表1】

【0082】
バイオマス産生調節因子は、生物、例えば、光合成生物においてバイオマス産生を増大させる因子を含む。
【0083】
(宿主細胞/生物)
本発明はまた、本明細書における1つ以上の核酸で形質転換された宿主細胞を企図する。好ましい実施形態において、宿主細胞は光合成生物である。一部の例において、宿主細胞は光合成および非維管束生物である。他の場合において、宿主細胞は光合成および維管束生物である。宿主細胞は真核生物または原核生物である。
【0084】
宿主細胞は、本明細書に記載されるベクター(例えば、1つ以上のバイオマス分解酵素および/または1つ以上のバイオマス産生調節因子を含むベクター)で形質転換される。ベクターは、宿主細胞の葉緑体または他のプラスチドをトランスフェクトするためのプラスチドプロモーターまたは核プロモーターを含んでもよい。ベクターはまた、融合タンパク質または葉緑体もしくは他のプラスチドに対してベクター産物を選択的に標的化する因子をコードしてもよい。宿主細胞のトランスフェクションは、当該分野において公知の任意の方法を用いて生じ得る。
【0085】
宿主生物は宿主細胞を含む生物である。好ましい実施形態において、宿主生物は光合成生物である。光合成生物は、天然の光合成をするもの(プラスチドを有する)または光合成するように遺伝子操作されるか、もしくは遺伝子改変されたものである。一部の例において、光合成生物は、光合成器官の全てまたは一部を操作不能にする本発明の構築物で形質転換され得る。一部の例において、それは非維管束および光合成生物である。宿主細胞は原核生物であってもよい。本発明の一部の原核生物の例としては、限定されないが、シアノバクテリア(例えば、Synechococcus,Synechocystis,Athrospira)が挙げられる。宿主生物は単細胞であっても、多細胞であってもよい。ほとんどの実施形態において、宿主生物は真核生物(例えば、緑藻類)である。本明細書に企図される生物の例としては、限定されないが、紅色植物門、緑色植物、不等毛植物門、黄緑藻植物、灰色植物、クロララクニオン植物、ユーグレナ類、ハプト植物門、クリプト藻類、渦鞭毛藻類が挙げられる。
【0086】
宿主細胞は光合成を可能にする条件下で増殖されてもよいが、しかしながら、これは必ずしも必要とされない(例えば、宿主生物は光の非存在下で増殖されてもよい)。一部の例において、宿主生物は、光合成能力が減少および/または破壊されるように遺伝子改変されてもよい(以下の実施例を参照のこと)。宿主生物が光合成できない(光の非存在下および/または遺伝子改変のため)増殖条件において、典型的に、生物は、光合成の非存在下で増殖を支持するのに必要な栄養素を与えられる。例えば、生物が、培養培地の中(または上)で増殖する生物は、有機炭素源、窒素源、リン源、ビタミン、金属、脂質、核酸、微量栄養素、または生物に特異的に必要とされるものを含む、いずれかの必要な栄養素を補われ得る。有機炭素源は、限定されないが、酢酸塩、単純な炭水化物(例えば、グルコース、スクロース、ラクトース)、複雑な炭水化物(例えば、デンプン、グリコーゲン)、タンパク質および脂質を含む、宿主細胞が代謝できる任意の炭素源を含む。当業者は、全ての生物が必ずしも特定の栄養素を十分に代謝できるわけではなく、適切な栄養素の混合物を与えるために、ある生物から別の生物へと変更される栄養素の混合物を必要とし得ることを理解するだろう。
【0087】
宿主生物は、陸、例えば、池、導水管、埋立地、または閉じられたもしくは部分的に閉じられたバイオリアクター系で増殖されてもよい。本明細書における宿主生物はまた、水、例えば、海洋、海岸、湖、川、貯水池などで直接増殖されてもよい。藻類が大量培養される実施形態において、藻類は、大量の藻類の培養方法として公知である高密度の光バイオリアクターで増殖されてもよい。例えば、藻類は、高密度の光バイオリアクター(例えば、Leeら,Biotech.Bioengineering 44:1161−1167,1994を参照のこと)および他のバイオリアクター(汚水処理および廃水処理のためのものなど)(例えば、Sawayamaら,Appl.Micro.Biotech.,41:729−731,1994を参照のこと)で増殖されてもよい。さらに、藻類は、重金属(例えば、Wilkinson,Biotech.Letters,11:861−864,1989)、水素(例えば、米国特許出願第20030162273号)および医薬組成物を除去するために大量培養されてもよい。
【0088】
一部の場合において、宿主細胞は、エタノール生産プラントまたは他の施設あるいはCO2を発生する領域(例えば、発電プラント、コンクリートプラント、石油精製所、他の工業施設、都市、道路など)の近辺で増殖される。このように、本明細書に開示される方法は、エタノール生産プラント近辺で本明細書に記載される1つ以上の修飾された生物を増殖させることによって、燃料の生産を行うか、または触媒しながら、エタノールプラントもしくは他の施設またはCO2を発生する領域に対して、炭素クレジットを販売するためのビジネス方法を企図する。
【0089】
(バイオマス)
本明細書に使用される場合、「バイオマス」は、任意の有機物質である。一部の例において、バイオマスは、デンプンおよび単純な糖を実質的に含まないか、または含まない。バイオマスは、燃料の産生に実質的に利用され得るデンプンまたは単純な糖に分解され得る。任意のセルロースまたはリグノセルロース物質ならびにセルロース、ヘミセルロース、リグニン、デンプン、オリゴ糖および/または単糖を含む物質もまた、バイオマスであるとみなされる。バイオマスはまた、タンパク質および/または脂質などのさらなる成分を含んでもよい。バイオマスは単一の供給源由来であってもよいか、またはバイオマスは、1つより多い供給源由来の混合物を含んでもよい;例えば、バイオマスは、軸付きトウモロコシおよびトウモロコシ茎葉の混合物、または草および葉の混合物を含んでもよい。バイオマスは、限定されないが、バイオエネルギー作物、農業残渣、都市固形廃棄物、産業固形廃棄物、紙製造からのスラッジ、庭ゴミ、木くずおよび林業廃棄物を含む。バイオマスの例としては、限定されないが、トウモロコシ穀粒、軸付きトウモロコシ、トウモロコシの皮、トウモロコシ茎葉、草、コムギ、ムギわら、オオムギ、オオムギわら、干し草、イネわら、スイッチグラス、紙くず、サトウキビの絞りかす、ソルガム、ダイズなどの作物残渣、穀物、木、枝、根、葉、ウッドチップ、おがくず、紙、低木および茂み、野菜、果物、花および家畜糞尿から得られた成分が挙げられる。
【0090】
農業廃棄物は、燃料の生産に使用されるバイオマスの1つの形態である。農業廃棄物の非限定的な例としては、トウモロコシ茎葉、コムギ茎葉、ダイズ茎葉が挙げられる。本発明におけるバイオマスの別の供給源は、高セルロース含有生物である。高セルロース含有生物は、デンプンまたは単純な糖を実質的に含まないバイオマスに起因してその重量が少なくとも30%以上である生物である。高セルロース含有生物は、バイオマスを産生するために大量に選択的に増殖され得、このバイオマスは、デンプンおよび単純な糖を作製するために本発明のバイオマス分解酵素で分解され得る。高セルロース含有生物の例としては、限定されないが、柳、ウキクサ、サトウダイコン、およびスイッチグラスが挙げられる。
【0091】
バイオマスの第3の例は、増加したセルロースまたはバイオマスを有するように遺伝子改変された生物を含む。そのような生物は必要に応じて光合成生物であってもよく、バイオマス産生調節因子をコードするベクターを導入している宿主細胞を含んでいてもよい。一部の例において、同じベクターは、バイオマス調節因子およびバイオマス分解酵素の両方をコードし得る。一部の例において、バイオマス産生調節因子をコードするベクターおよびバイオマス分解酵素をコードするベクターは別である。
【0092】
(燃料生産)
本発明は、バイオ燃料を生産する方法に関する。そのような方法は、光合成生物(例えば、非維管束)においてバイオマス分解酵素をコードする遺伝子を発現することを含む。この方法はさらに、バイオマス分解酵素を利用すること、バイオマスを酵素に分解することを含む。バイオ燃料を生産するために、この方法はさらに、分解したバイオマスを精製することを含んでもよい。次いで、その最終産物(例えば、エタノール)は1つ以上の他のバイオ燃料と混合されてもよい。
【0093】
本発明はバイオ燃料を生産する方法に関し、光合成生物(非維管束)において、バイオマス分解酵素、バイオマス分解酵素の経路、および/またはバイオマス産生調節因子をコードするベクター(複数も含む)を発現することを含む。この実施形態において、ベクターを含む宿主細胞は、次いで、その独自のバイオマスを作製して分解することができる。この方法は、バイオマス分解産物のみを抽出することを含む。この方法において、酵素は、バイオ燃料の作製に使用するために抽出されることを必要としない。バイオ燃料の生産はさらに、バイオマスの分解産物を精製することを含んでもよい。バイオ燃料の産生はまた、糖化タンクの利用を含んでもよい。このようなデバイスは当該分野において周知である。例えば、米国特許第5,114,491号;同第5,534,075号;および5,559,031号(これらの各々は本明細書に参照として援用される)を参照のこと。
【0094】
一部の実施形態において、バイオ燃料はエタノールまたは他の生物学的に産生されたアルコールである。精製は、デンプンおよび単純な糖を含むバイオマス分解産物からエタノールを産生するために発酵工程を含んでもよい。従って、精製は、デンプン、単純な糖、ならびに/または限定されないが、Saccharomyces cerevisiaeおよびZymomonas mobilisを含むバイオマス原料を発酵できる微生物を用いることを含んでもよい。
【0095】
以下の実施例は、本明細書に開示される本発明を単に例示するだけであり、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0096】
(実施例1.C. reinhardtiiにおけるエンド−β−グルカナーゼの産生)
この実施例において、T.reesei由来のエンド−β−グルカナーゼをコードする核酸を、C.reinhardtiiに導入した。形質転換DNA(配列番号20、表4)を図2Aに図示する。この例において、「トランス遺伝子」と標識したセグメントは、遺伝子(配列番号16、表3)をコードするエンド−β−グルカナーゼであり、「psbA 5’UTR」と標識したセグメントは、C.reinhardtii由来のpsbA遺伝子についての5’UTRおよびプロモーター配列であり、「psbA 3’UTR」と標識されたセグメントは、C.reinhardtii由来のpsbA遺伝子についての3’UTRを含み、「選択マーカー」と標識されたセグメントは、細菌由来のカナマイシン耐性をコードする遺伝子であり、これは、C.reinhardtii由来のatpA遺伝子についての5’UTRおよびプロモーター配列、ならびにC.reinhardtii由来のrbcL遺伝子についての3’UTR配列により調節される。トランス遺伝子カセットは、それぞれ5’および3’側上のpsbA遺伝子座に隣接するDNAの配列と同一である「5’相同」および「3’相同」と標識されたセグメントを介してC.reinhardtiiのpsbA遺伝子座に標的化される。この形質転換DNAの構築において実施した全てのDNA操作は、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press 1989)およびCohenら,Meth.Enzymol.297,192−208,1998に記載されるように必須であった。
【0097】
これらの実験に関して、全ての形質転換をC.reinhardtii株137c(mt+)で実施した。細胞を、23℃にて、100rpmに設定したロータリーシェーカーで450ルクスの一定の照射下で、TAP培地(GormanおよびLevine,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 54:1665−1669,1965、これは本明細書に参照として援用される)中の0.5mMの5−フルオロデオキシウリジンの存在下において後期対数期(約7日)まで増殖させた。上清をデカントし、細胞を、微粒子銃(Cohenら,上記,1998)によるその後の葉緑体の形質転換のために4mlのTAP培地に再懸濁した。全ての形質転換を、耐性が、「選択マーカー」と標識された図2におけるセグメントによってコードされた遺伝子によって与えられるカナマイシン選択(150μg/ml)下で実施した(クラミドモナスストックセンター(Chlamydomonas Stock Center)、デューク大学)。
【0098】
PCRを形質転換した株を同定するために使用した。PCR解析に関して、106の藻細胞(寒天プレートまたは液体培地由来)を10mMのEDTAに懸濁し、10分間、95℃まで加熱し、次いで23℃付近まで冷やした。反応バッファー、MgCl2、dNTP、PCRプライマー対(表2および図3Aに図示)、DNAポリメラーゼ、および水からなるPCRカクテルを調製した。EDTA中の藻類溶解物を、反応のための鋳型を提供するために加えた。マグネシウム濃度を、加えたEDTA中の藻類溶解物の量および濃度を補うために変化させた。アニーリング温度勾配を、特異的プライマー対についての最適アニーリング温度を決定するために使用した。
【0099】
エンド−β−グルカナーゼ遺伝子を含む株を同定するために、一方のプライマーがpsbA 5’UTR(配列番号1)内の部位にアニールし、もう一方のプライマーがエンド−β−グルカナーゼコードセグメント(配列番号3)内でアニールするプライマー対を使用した。所望のクローンは、予期したサイズのPCR産物を生じるものである。内因性遺伝子座が置換される程度(同質細胞質対異質細胞質)を決定するために、2つのセットのプライマー対からなるPCR反応を利用した(同じ反応において)。第1のプライマー対は、発現ベクターによって標識化された内因性遺伝子座を増幅させ、psbA 5’UTR(配列番号8)内でアニールするプライマー、およびpsbAコード領域(配列番号9)内でアニールするプライマーからなる。第2のプライマー対(配列番号6および7)は、発現ベクターによって標識化されない一定または制御領域を増幅させるので、全ての場合において予期されるサイズの産物を産生するはずである。この反応により、内因性遺伝子座からのPCR産物の非存在下によりPCR反応を阻害する細胞および/または他の汚染を生じなかったことを確認した。プライマー対の濃度は、同じチューブで両方の反応が進むように変更されるが;しかしながら、内因性遺伝子座についての対は一定の対の5倍の濃度である。使用したサイクル数は、感度を高めるために30より多かった。ほとんどの所望のクローンは、内因性遺伝子座ではなく一定領域についての産物を生じるものである。所望のクローンはまた、コントロール反応と比べて弱い強度の内因性遺伝子座産物を与えるものである。
【0100】
96のクローンでのこのPCRからの結果を測定し、その結果を図4に示す。図4Aはトランス遺伝子特異的プライマー対を用いたPCR結果を示す。見られ得るように、複数の形質転換したクローンは、エキソ−β−グルカナーゼ遺伝子の挿入に関して陽性である(例えば、番号1〜14)。図4Bは、同質細胞質と異質細胞質のクローンを見分けるためのプライマー対を用いたPCR結果を示す。見られ得るように、複数の形質転換したクローンは、トランス遺伝子の組み込みを支持する程度で同質細胞質または異質細胞質のいずれかである(例えば、番号1〜14)。番号をつけていないクローンは、野生型psbAの存在を示し、従って、さらなる解析のために選択しなかった。
【0101】
【表2】

【0102】
エンド−β−グルカナーゼタンパク質の発現を生じるエンド−β−グルカナーゼコード配列の存在を確実にするために、ウェスタンブロットを実施した。約1×108の藻細胞をTAP寒天培地から回収し、0.5mlの溶解バッファー(750mMのTris、pH=8.0、15%のスクロース、100mMのβ−メルカプトエタノール)に懸濁した。細胞を超音波処理(15%の電力で5×30秒)により溶解した。溶解物を、ローディングバッファー(5%のSDS、5%のβ−メルカプトエタノール、30%のスクロース、ブロモフェノールブルー)を用いて1:1で混合し、タンパク質をSDS−PAGEにより分離し、続いて、PVDF膜に移した。膜を、23℃で30分間、TBST+5%の脱脂粉乳でブロックし、4℃で10時間、抗FLAG抗体(TBST+5%の脱脂粉乳中で1:1,000に希釈した)とインキュベートし、TBSTで3回洗浄し、23℃で1時間、セイヨウワサビに結合した抗マウス抗体(TBST+5%の脱脂粉乳中で1:10,000に希釈した)とインキュベートし、TBSTで3回洗浄した。タンパク質を、化学発光による検出を用いて視覚化した。複数のクローンからの結果(図4)により、タンパク質の産生を生じるC.reinhardtii細胞におけるエンド−β−グルカナーゼ遺伝子の発現が示される。
【0103】
他に示さない限り、エンド−β−グルカナーゼの発現のためのC.reinhardtii形質転換体の培養を、23℃にて、100rpmに設定したロータリーシェーカーで5,000ルクスの一定の照射下で、液体TAP培地中で行った。培養物を、収集前に少なくとも48時間、1mlあたり1×107細胞の密度で維持した。
【0104】
形質転換した藻細胞により産生されたエンド−β−グルカナーゼが機能的であるかどうかを決定するために、エンド−β−グルカナーゼ活性を、濾紙アッセイ(Xiaoら,Biotech.Bioengineer.88,832−37,2004)を用いて試験した。つまり、500mlの藻細胞培養物を、4℃で15分間、4000×gでの遠心分離により収集した。上清をデカントし、細胞を10mlの溶解バッファー(100mMのTris−HCl、pH=8.0、300mMのNaCl、2%のTween−20)に再懸濁した。細胞を超音波処理(35%の電力で10×30秒)により溶解した。溶解物を、4℃で1時間、14,000×gでの遠心分離により浄化した。上清を除去し、4℃で10時間、抗FLAG抗体に結合したアガロース樹脂とインキュベートした。樹脂を重力濾過により溶解物から分離し、洗浄バッファー(100mMのTris−HCl、pH=8.0、300mMのNaCl、2%のTween−20)で3回洗浄した。エンド−β−グルカナーゼを、溶出バッファー(TBS、250μg/mlのFLAGペプチド)と樹脂のインキュベーションにより溶出した。各々の工程後に回収した試料のウェスタンブロット解析からの結果(図4D)により、エンド−β−グルカナーゼタンパク質が単離されたことが示される。希釈した酵素の20μlのアリコートを、40μlの50mMのNaAcバッファーおよび濾紙ディスクを含むウェルに加えた。50℃で60分のインキュベーション後、120μlのDNSを各反応に加え、95℃で5分間、インキュベートした。最終的に、各試料の36μlのアリコートを、160μlの水を含む平底プレートのウェルに移した。540nmでの吸光度を測定した。2つの形質転換した株についての結果より、単離された酵素が機能的であることが示された(0.33および0.28の吸光度)。
【0105】
(実施例2.C.reinhardtiiにおけるエキソ−β−グルカナーゼの産生)
この実施例において、T.viride由来のエキソ−β−グルカナーゼをコードする核酸を、C.reinhardtiiに導入した。形質転換DNA(配列番号19、表4)を図2Aに図示する。この例において、「トランス遺伝子」と標識されたセグメントは、エキソ−β−グルカナーゼをコードする遺伝子(配列番号15、表3)であり、「psbA 5’UTR」と標識されたセグメントは、C.reinhardtii由来のpsbA遺伝子についての5’UTRおよびプロモーター配列であり、「psbA 3’UTR」と標識されたセグメントは、C.reinhardtii由来のpsbA遺伝子についての3’UTRを含み、「選択マーカー」と標識されたセグメントは、細菌由来のカナマイシン耐性をコードする遺伝子であり、これは、C.reinhardtii由来の5’UTRおよびプロモーター配列、ならびにC.reinhardtii由来のrbcL遺伝子についての3’UTR配列により調節される。トランス遺伝子カセットは、それぞれ5’および3’側上のpsbA遺伝子座に隣接するDNAの配列と同一である「5’相同」および「3’相同」と標識されたセグメントを介してC.reinhardtiiのpsbA遺伝子座に標的化される。この形質転換DNAの構築において実施した全てのDNA操作は、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press 1989)およびCohenら,Meth.Enzymol.297,192−208,1998に実質的に記載される。
【0106】
これらの実験に関して、全ての形質転換をC.reinhardtii株137c(mt+)で実施した。細胞を、23℃にて、100rpmに設定したロータリーシェーカーで450ルクスの一定の照射下で、TAP培地(GormanおよびLevine,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 54:1665−1669,1965、これは本明細書に参照として援用される)中の0.5mMの5−フルオロデオキシウリジンの存在下において後期対数期(約7日)まで増殖させた。50mlの細胞を、23℃で5分間、4,000×gでの遠心分離により収集した。上清をデカントし、細胞を、微粒子銃(Cohenら,上記,1998)によるその後の葉緑体の形質転換のために4mlのTAP培地に再懸濁した。全ての形質転換を、耐性が、「選択マーカー」と標識された図2におけるセグメントによってコードされた遺伝子によって与えられるカナマイシン選択(150μg/ml)下で実施した(クラミドモナスストックセンター(Chlamydomonas Stock Center)、デューク大学)。
【0107】
PCRを形質転換した株を同定するために使用した。PCR解析に関して、106の藻細胞(寒天プレートまたは液体培地由来)を10mMのEDTAに懸濁し、10分間、95℃まで加熱し、次いで23℃付近まで冷やした。反応バッファー、MgCl2、dNTP、PCRプライマー対(表2および図3Aに図示)、DNAポリメラーゼ、および水からなるPCRカクテルを調製した。EDTA中の藻類溶解物を、反応のための鋳型を提供するために加えた。マグネシウム濃度を、加えたEDTA中の藻類溶解物の量および濃度を補うために変化させた。アニーリング温度勾配を、特異的プライマー対についての最適アニーリング温度を決定するために使用した。
【0108】
エキソ−β−グルカナーゼ遺伝子を含む株を同定するために、一方のプライマーがpsbA 5’UTR(配列番号1)内の部位にアニールし、もう一方のプライマーがエキソ−β−グルカナーゼコードセグメント(配列番号2)内でアニールするプライマー対を使用した。所望のクローンは、予期したサイズのPCR産物を生じるものである。内因性遺伝子座が置換される程度(同質細胞質対異質細胞質)を決定するために、2つのセットのプライマー対からなるPCR反応を利用した(同じ反応において)。第1のプライマー対は、発現ベクターによって標識化された内因性遺伝子座を増幅させ、psbA 5’UTR(配列番号8)内でアニールするプライマー、およびpsbAコード領域(配列番号9)内でアニールするプライマーからなる。第2のプライマー対(配列番号6および7)は、発現ベクターによって標識化されない一定または制御領域を増幅させるので、全ての場合において予期されるサイズの産物を産生するはずである。この反応により、内因性遺伝子座からのPCR産物の非存在下によりPCR反応を阻害する細胞および/または他の汚染を生じなかったことを確認した。プライマー対の濃度は、同じチューブで両方の反応が進むように変更されるが;しかしながら、内因性遺伝子座についての対は一定の対の5倍の濃度である。使用したサイクル数は、感度を高めるために30より多かった。ほとんどの所望のクローンは、内因性遺伝子座ではなく一定領域についての産物を生じるものである。所望のクローンはまた、コントロール反応と比べて弱い強度の内因性遺伝子座産物を与えるものである。
【0109】
96のクローンでのこのPCRからの結果を測定し、その結果を図5に示す。図5Aはトランス遺伝子特異的プライマー対を用いたPCR結果を示す。見られ得るように、複数の形質転換したクローンは、エンド−β−グルカナーゼ遺伝子の挿入に関して陽性である(例えば、番号1〜14)。図4Bは、同質細胞質と異質細胞質のクローンを見分けるためのプライマー対を用いたPCR結果を示す。見られ得るように、複数の形質転換したクローンは、トランス遺伝子の組み込みを支持する程度で同質細胞質または異質細胞質のいずれかである(例えば、番号1〜14)。番号をつけていないクローンは、野生型psbAの存在を示し、従って、さらなる解析のために選択しなかった。
【0110】
エキソ−β−グルカナーゼタンパク質の発現を生じるエキソ−β−グルカナーゼコード遺伝子の存在を確実にするために、ウェスタンブロットを実施した。約1×108の藻細胞をTAP寒天培地から回収し、0.5mlの溶解バッファー(750mMのTris、pH=8.0、15%のスクロース、100mMのβ−メルカプトエタノール)に懸濁した。細胞を超音波処理(15%の電力で5×30秒)により溶解した。溶解物を、ローディングバッファー(5%のSDS、5%のβ−メルカプトエタノール、30%のスクロース、ブロモフェノールブルー)を用いて1:1で混合し、タンパク質をSDS−PAGEにより分離し、続いて、PVDF膜に移した。膜を、23℃で30分間、TBST+5%の脱脂粉乳でブロックし、4℃で10時間、抗FLAG抗体(TBST+5%の脱脂粉乳中で1:1,000に希釈した)とインキュベートし、TBSTで3回洗浄し、23℃で1時間、セイヨウワサビに結合した抗マウス抗体(TBST+5%の脱脂粉乳中で1:10,000に希釈した)とインキュベートし、TBSTで3回洗浄した。タンパク質を、化学発光による検出を用いて視覚化した。複数のクローンからの結果(図5C)により、タンパク質の産生を生じるC.reinhardtii細胞におけるエキソ−β−グルカナーゼ遺伝子の発現が示される。
【0111】
他に示さない限り、エンド−β−グルカナーゼの発現のためのC.reinhardtii形質転換体の培養を、23℃にて、100rpmに設定したロータリーシェーカーで5,000ルクスの一定の照射下で、液体TAP培地中で行った。培養物を、収集前に少なくとも48時間、1mlあたり1×107細胞の密度で維持した。
【0112】
形質転換した藻細胞により産生されたエキソ−β−グルカナーゼが機能的であるかどうかを決定するために、エキソ−β−グルカナーゼ活性を、濾紙アッセイ(Xiaoら,Biotech.Bioengineer.88,832−37,2004)を用いて試験した。つまり、500mlの藻細胞培養物を、4℃で15分間、4000×gでの遠心分離により収集した。上清をデカントし、細胞を10mlの溶解バッファー(100mMのTris−HCl、pH=8.0、300mMのNaCl、2%のTween−20)に懸濁した。細胞を超音波処理(35%の電力で10×30秒)により溶解した。溶解物を、4℃で1時間、14,000×gでの遠心分離により浄化した。上清を除去し、4℃で10時間、抗FLAG抗体に結合したアガロース樹脂とインキュベートした。樹脂を重力濾過により溶解物から分離し、洗浄バッファー(100mMのTris−HCl、pH=8.0、300mMのNaCl、2%のTween−20)で3回洗浄した。エキソ−β−グルカナーゼを、溶出バッファー(TBS、250μg/mlのFLAGペプチド)と樹脂のインキュベーションにより溶出した。各々の工程後に回収した試料のウェスタンブロット解析からの結果(図5D)により、エキソ−β−グルカナーゼタンパク質が単離されたことが示される。希釈した酵素の20μlのアリコートを、40μlの50mMのNaAcバッファーおよび濾紙ディスクを含むウェルに加えた。50℃で60分のインキュベーション後、120μlのDNSを各反応に加え、95℃で5分間、インキュベートした。最終的に、各試料の36μlのアリコートを、160μlの水を含む平底プレートのウェルに移した。540nmでの吸光度を測定した。2つの形質転換した株についての結果より、単離された酵素が機能的であることが示された(0.20および0.45の吸光度)。
【0113】
(実施例3.C.reinhardtiiにおけるβ−グルコシダーゼの産生)
この実施例において、T.reesei由来のβ−グルコシダーゼをコードする核酸を、C.reinhardtiiに導入した。形質転換DNA(配列番号21、表4)を図2Aに図示する。この遺伝子によってコードされたアミノ酸配列を表3に示す。この例において、「トランス遺伝子」と標識されたセグメントは、β−グルコシダーゼをコードする遺伝子(配列番号17、表3)であり、「psbA 5’UTR」と標識されたセグメントは、C.reinhardtii由来のpsbA遺伝子についての5’UTRおよびプロモーター配列であり、「psbA 3’UTR」と標識されたセグメントは、C.reinhardtii由来のpsbA遺伝子についての3’UTRを含み、「選択マーカー」と標識されたセグメントは、細菌由来のカナマイシン耐性をコードする遺伝子であり、これは、C.reinhardtii由来のatpA遺伝子についての5’UTRおよびプロモーター配列、ならびにC.reinhardtii由来のrbcL遺伝子についての3’UTR配列により調節される。トランス遺伝子カセットは、それぞれ5’および3’側上のpsbA遺伝子座に隣接するDNAの配列と同一である「5’相同」および「3’相同」と標識されたセグメントを介してC.reinhardtiiのpsbA遺伝子座に標的化される。この形質転換DNAの構築において実施した全てのDNA操作は、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press 1989)およびCohenら,Meth.Enzymol.297,192−208,1998に実質的に記載される。
【0114】
これらの実験に関して、全ての形質転換をC.reinhardtii株137c(mt+)で実施した。細胞を、23℃にて、100rpmに設定したロータリーシェーカーで450ルクスの一定の照射下で、TAP培地(GormanおよびLevine,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 54:1665−1669,1965、これは本明細書に参照として援用される)中の0.5mMの5−フルオロデオキシウリジンの存在下において後期対数期(約7日)まで増殖させた。50mlの細胞を、23℃で5分間、4,000×gでの遠心分離により収集した。上清をデカントし、細胞を、微粒子銃(Cohenら,上記,1998)によるその後の葉緑体の形質転換のために4mlのTAP培地に再懸濁した。全ての形質転換を、耐性が、「選択マーカー」と標識された図2におけるセグメントによってコードされた遺伝子によって与えられるカナマイシン選択(150μg/ml)下で実施した(クラミドモナスストックセンター(Chlamydomonas Stock Center)、デューク大学)。
【0115】
PCRを形質転換した株を同定するために使用した。PCR解析に関して、106の藻細胞(寒天プレートまたは液体培地由来)を10mMのEDTAに懸濁し、10分間、95℃まで加熱し、次いで23℃付近まで冷やした。反応バッファー、MgCl2、dNTP、PCRプライマー対(表2および図3Aに図示)、DNAポリメラーゼ、および水からなるPCRカクテルを調製した。EDTA中の藻類溶解物を、反応のための鋳型を提供するために加えた。マグネシウム濃度を、加えたEDTA中の藻類溶解物の量および濃度を補うために変化させた。アニーリング温度勾配を、特異的プライマー対についての最適アニーリング温度を決定するために使用した。
【0116】
β−グルコシダーゼ遺伝子を含む株を同定するために、一方のプライマーがpsbA 5’UTR(配列番号1)内の部位にアニールし、もう一方のプライマーがβ−グルコシダーゼコードセグメント(配列番号4)内でアニールするプライマー対を使用した。所望のクローンは、予期したサイズのPCR産物を生じるものである。内因性遺伝子座が置換される程度(同質細胞質対異質細胞質)を決定するために、2つのセットのプライマー対からなるPCR反応を利用した(同じ反応において)。第1のプライマー対は、発現ベクターによって標識化された内因性遺伝子座を増幅させ、psbA 5’UTR(配列番号8)内でアニールするプライマー、およびpsbAコード領域(配列番号9)内でアニールするプライマーからなる。第2のプライマー対(配列番号6および7)は、発現ベクターによって標識化されない一定または制御領域を増幅させるので、全ての場合において予期されるサイズの産物を産生するはずである。この反応により、内因性遺伝子座からのPCR産物の非存在下によりPCR反応を阻害する細胞および/または他の汚染を生じなかったことを確認した。プライマー対の濃度は、同じチューブで両方の反応が進むように変更されるが;しかしながら、内因性遺伝子座についての対は一定の対の5倍の濃度である。使用したサイクル数は、感度を高めるために30より多かった。ほとんどの所望のクローンは、内因性遺伝子座ではなく一定領域についての産物を生じるものである。所望のクローンはまた、コントロール反応と比べて弱い強度の内因性遺伝子座産物を与えるものである。
【0117】
96のクローンでのこのPCRからの結果を測定し、その結果を図6に示す。図6Aはトランス遺伝子特異的プライマー対を用いたPCR結果を示す。見られ得るように、複数の形質転換したクローンは、エンド−β−グルカナーゼ遺伝子の挿入に関して陽性である(例えば、番号1〜9)。図6Bは、同質細胞質と異質細胞質のクローンを見分けるためのプライマー対を用いたPCR結果を示す。見られ得るように、複数の形質転換したクローンは、トランス遺伝子の組み込みを支持する程度で同質細胞質または異質細胞質のいずれかである(例えば、番号1〜9)。番号をつけていないクローンは、野生型psbAの存在を示し、従って、さらなる解析のために選択しなかった。
【0118】
β−グルコシダーゼタンパク質の発現を生じるβ−グルコシダーゼコード遺伝子の存在を確実にするために、ウェスタンブロットを実施した。約1×108の藻細胞をTAP寒天培地から回収し、0.5mlの溶解バッファー(750mMのTris、pH=8.0、15%のスクロース、100mMのβ−メルカプトエタノール)に懸濁した。細胞を超音波処理(15%の電力で5×30秒)により溶解した。溶解物を、ローディングバッファー(5%のSDS、5%のβ−メルカプトエタノール、30%のスクロース、ブロモフェノールブルー)を用いて1:1で混合し、タンパク質をSDS−PAGEにより分離し、続いて、PVDF膜に移した。膜を、23℃で30分間、TBST+5%の脱脂粉乳でブロックし、4℃で10時間、抗FLAG抗体(TBST+5%の脱脂粉乳中で1:1,000に希釈した)とインキュベートし、TBSTで3回洗浄し、23℃で1時間、セイヨウワサビに結合した抗マウス抗体(TBST+5%の脱脂粉乳中で1:10,000に希釈した)とインキュベートし、TBSTで3回洗浄した。タンパク質を、化学発光による検出を用いて視覚化した。複数のクローンからの結果(図6C)により、タンパク質の産生を生じるC.reinhardtii細胞におけるβ−グルコシダーゼ遺伝子の発現が示される。
【0119】
形質転換した藻細胞により産生されたβ−グルコシダーゼが機能的であるかどうかを決定するために、β−グルコシダーゼ活性を、酵素機能アッセイを用いて試験した。つまり、500mlの藻細胞培養物を、4℃で15分間、4000×gでの遠心分離により収集した。上清をデカントし、細胞を10mlの溶解バッファー(100mMのTris−HCl、pH=8.0、300mMのNaCl、2%のTween−20)に再懸濁した。細胞を超音波処理(35%の電力で10×30秒)により溶解した。溶解物を、4℃で1時間、14,000×gでの遠心分離により浄化した。上清を除去し、4℃で10時間、抗FLAG抗体に結合したアガロース樹脂とインキュベートした。樹脂を重力濾過により溶解物から分離し、洗浄バッファー(100mMのTris−HCl、pH=8.0、300mMのNaCl、2%のTween−20)で3回洗浄した。β−グルコシダーゼを、溶出バッファー(TBS、250μg/mlのFLAGペプチド)と樹脂のインキュベーションにより溶出した。各々の工程後に回収した試料のウェスタンブロット解析(図6D)により、β−グルコシダーゼタンパク質が単離されたことが示される。各々の試験した試料に関して、50μlのp−ニトロフェニル−/3−D−グルコシダーゼ(基質)、90μlの0.1Mの酢酸ナトリウムバッファー(pH4.8)、および10μlの酵素をマイクロプレートウェルに加えた。反応物を50℃で1時間、インキュベートし、次いで、その反応物をグリシンバッファーで停止した。遊離したp−ニトロフェノールの吸光度を430nmで測定した。2つの形質転換した株についての結果より、単離された酵素が機能的であることが示された(0.157および0.284の吸光度)。
【0120】
(実施例4.C.reinhardtiiにおけるエンドキシラナーゼの産生)
この実施例において、T.reesei由来のエンドキシラナーゼをコードする核酸を、C.reinhardtiiに導入した。形質転換DNA(配列番号22、表4)を図2Aに図示する。この遺伝子によってコードされたアミノ酸配列を表3に示す。この例において、「トランス遺伝子」と標識されたセグメントは、エンドキシラナーゼをコードする遺伝子(配列番号18、表3)であり、「psbA 5’UTR」と標識されたセグメントは、C.reinhardtii由来のpsbA遺伝子についての5’UTRおよびプロモーター配列であり、「psbA 3’UTR」と標識されたセグメントは、C.reinhardtii由来のpsbA遺伝子についての3’UTRを含み、「選択マーカー」と標識されたセグメントは、細菌由来のカナマイシン耐性をコードする遺伝子であり、これは、C.reinhardtii由来のatpA遺伝子についての5’UTRおよびプロモーター配列、ならびにC.reinhardtii由来のrbcL遺伝子についての3’UTR配列により調節される。トランス遺伝子カセットは、それぞれ5’および3’側上のpsbA遺伝子座に隣接するDNAの配列と同一である「5’相同」および「3’相同」と標識されたセグメントを介してC.reinhardtiiのpsbA遺伝子座に標的化される。この形質転換DNAの構築において実施した全てのDNA操作は、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press 1989)およびCohenら,Meth.Enzymol.297,192−208,1998に記載されるように必須であった。
【0121】
これらの実験に関して、全ての形質転換をC.reinhardtii株137c(mt+)で実施した。細胞を、23℃にて、100rpmに設定したロータリーシェーカーで450ルクスの一定の照射下で、TAP培地(GormanおよびLevine,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 54:1665−1669,1965、これは本明細書に参照として援用される)中の0.5mMの5−フルオロデオキシウリジンの存在下において後期対数期(約7日)まで増殖させた。50mlの細胞を、23℃で5分間、4,000×gでの遠心分離により収集した。上清をデカントし、細胞を、微粒子銃(Cohenら,上記,1998)によるその後の葉緑体の形質転換のために4mlのTAP培地に再懸濁した。全ての形質転換を、耐性が、「選択マーカー」と標識された図2におけるセグメントによってコードされた遺伝子によって与えられるカナマイシン選択(150μg/ml)下で実施した(クラミドモナスストックセンター(Chlamydomonas Stock Center)、デューク大学)。
【0122】
PCRを形質転換した株を同定するために使用した。PCR解析に関して、106の藻細胞(寒天プレートまたは液体培地由来)を10mMのEDTAに懸濁し、10分間、95℃まで加熱し、次いで23℃付近まで冷やした。反応バッファー、MgCl2、dNTP、PCRプライマー対(表2および図3Aに図示)、DNAポリメラーゼ、および水からなるPCRカクテルを調製した。EDTA中の藻類溶解物を、反応のための鋳型を提供するために加えた。マグネシウム濃度を、加えたEDTA中の藻類溶解物の量および濃度を補うために変化させた。アニーリング温度勾配を、特異的プライマー対についての最適アニーリング温度を決定するために使用した。
【0123】
エンドキシラナーゼ遺伝子を含む株を同定するために、一方のプライマーがpsbA 5’UTR(配列番号1)内の部位にアニールし、もう一方のプライマーがエンドキシラナーゼコードセグメント(配列番号5)内でアニールするプライマー対を使用した。所望のクローンは、予期したサイズのPCR産物を生じるものである。内因性遺伝子座が置換される程度(同質細胞質対異質細胞質)を決定するために、2つのセットのプライマー対からなるPCR反応を利用した(同じ反応において)。第1のプライマー対は、発現ベクターによって標識化された内因性遺伝子座を増幅させ、psbA 5’UTR(配列番号8)内でアニールするプライマー、およびpsbAコード領域(配列番号9)内でアニールするプライマーからなる。第2のプライマー対(配列番号6および7)は、発現ベクターによって標識化されない一定または制御領域を増幅させるので、全ての場合において予期されるサイズの産物を産生するはずである。この反応により、内因性遺伝子座からのPCR産物の非存在下によりPCR反応を阻害する細胞および/または他の汚染を生じなかったことを確認した。プライマー対の濃度は、同じチューブで両方の反応が進むように変更されるが;しかしながら、内因性遺伝子座についての対は一定の対の5倍の濃度である。使用したサイクル数は、感度を高めるために30より多かった。ほとんどの所望のクローンは、内因性遺伝子座ではなく一定領域についての産物を生じるものである。所望のクローンはまた、コントロール反応と比べて弱い強度の内因性遺伝子座産物を与えるものである。
【0124】
96のクローンでのこのPCRからの結果を測定し、その結果を図7に示す。図7Aはトランス遺伝子特異的プライマー対を用いたPCR結果を示す。見られ得るように、複数の形質転換したクローンは、エンド−β−グルカナーゼ遺伝子の挿入に関して陽性である(例えば、番号1〜9)。図7Bは、同質細胞質と異質細胞質のクローンを見分けるためのプライマー対を用いたPCR結果を示す。見られ得るように、複数の形質転換したクローンは、トランス遺伝子の組み込みを支持する程度で同質細胞質または異質細胞質のいずれかである(例えば、番号1〜9)。番号をつけていないクローンは、野生型psbAの存在を示し、従って、さらなる解析のために選択しなかった。
【0125】
エンドキシラナーゼタンパク質の発現を生じるエンドキシラナーゼコード遺伝子の存在を確実にするために、ウェスタンブロットを実施した。約1×108の藻細胞をTAP寒天培地から回収し、0.5mlの溶解バッファー(750mMのTris、pH=8.0、15%のスクロース、100mMのβ−メルカプトエタノール)に懸濁した。細胞を超音波処理(15%の電力で5×30秒)により溶解した。溶解物を、ローディングバッファー(5%のSDS、5%のβ−メルカプトエタノール、30%のスクロース、ブロモフェノールブルー)を用いて1:1で混合し、タンパク質をSDS−PAGEにより分離し、続いて、PVDF膜に移した。膜を、23℃で30分間、TBST+5%の脱脂粉乳でブロックし、4℃で10時間、抗FLAG抗体(TBST+5%の脱脂粉乳中で1:1,000に希釈した)とインキュベートし、TBSTで3回洗浄し、23℃で1時間、セイヨウワサビに結合した抗マウス抗体(TBST+5%の脱脂粉乳中で1:10,000に希釈した)とインキュベートし、TBSTで3回洗浄した。タンパク質を、化学発光による検出を用いて視覚化した。複数のクローンからの結果(図7C)により、タンパク質の産生を生じるC.reinhardtii細胞におけるエンドキシラナーゼ遺伝子の発現が示される。
【0126】
形質転換した藻細胞により産生されたエンドキシラナーゼが機能的であるかどうかを決定するために、エンドキシラナーゼ活性を、酵素機能アッセイを用いて試験した。つまり、500mlの藻細胞培養物を、4℃で15分間、4000×gでの遠心分離により収集した。上清をデカントし、細胞を10mlの溶解バッファー(100mMのTris−HCl、pH=8.0、300mMのNaCl、2%のTween−20)に再懸濁した。細胞を超音波処理(35%の電力で10×30秒)により溶解した。溶解物を、4℃で1時間、14,000×gでの遠心分離により浄化した。上清を除去し、4℃で10時間、抗FLAG抗体に結合したアガロース樹脂とインキュベートした。樹脂を重力濾過により溶解物から分離し、洗浄バッファー(100mMのTris−HCl、pH=8.0、300mMのNaCl、2%のTween−20)で3回洗浄した。エンドキシラナーゼを、溶出バッファー(TBS、250μg/mlのFLAGペプチド)と樹脂のインキュベーションにより溶出した。各々の工程後に回収した試料のウェスタンブロット解析からの結果(図7D)により、エンドキシラナーゼタンパク質が単離されたことが示される。酵素機能を試験するために、希釈した酵素調製物の0.5mlのアリコートを、ガラス試験管に加え、40℃で5分間、平衡にした。Xylazyme AX試験タブレット(Megazyme)を、反応を開始するために加えた。30分後、10mlのTrizmaベースの溶液を激しく攪拌しながら加えることによって、反応を終了させた。その管を5分間室温でインキュベートし、反応物を再び攪拌した。次いで、反応物をWhatman No.1(9cm)フィルターサークルにより濾過した。次いで、濾液を微量遠心分離によって浄化した。濾液の吸光度を590nmで測定した。この結果により、2つの異なるクローン由来の粗酵素抽出物に関して、エンドキシラナーゼ活性が存在することが示された(0.974および0.488の吸光度)。
【0127】
(実施例5.外在性エンド−β−グルカナーゼを産生するC.reinhardtii株におけるタンパク質発現のレベルの決定)
タンパク質のウェスタンブロット解析を以下のように行った。約1×108の藻細胞を、100rpmに設定したロータリーシェーカーで、5,000ルクスの一定の照射下、23℃で、TAP培地中で成長させた液体培養物から回収した。細胞を、0.5mlの溶解バッファー(750mMのトリス、pH=8.0、15%のスクロース、100mMのβメルカプトエタノール)に懸濁し、超音波処理によって溶解させた(15%の電力で5×30秒)。溶解物を、4℃にて、15分間、14,000RPMで遠心分離し、上清を回収した。可溶性の全タンパク質濃度を、BioRadのタンパク質アッセイ試薬を用いて測定した。試料濃度を次いで互いに標準化した。FLAGコントロールタンパク質はFLAG標識された細菌アルカリ性のホスファターゼタンパク質標準(Sigma−Aldrich、セントルイス、ミズーリ州)であった。溶解物を、ローディングバッファー(5%のSDS、5%のβ−メルカプトエタノール、30%のスクロース、ブロモフェノールブルー)で1:1に混合し、タンパク質を、SDS−PAGEによって分離し、その後、PVDF膜へと移動させた。この膜を、TBST+5%の脱脂粉乳で、30分間、23℃でブロックし、10時間、4℃で、抗FLAG抗体(TBST+5%の脱脂粉乳で1:1,000に希釈した)とインキュベートし、TBSTで3回洗浄し、1時間、23℃で、セイヨウワサビに結合した抗マウス抗体(TBST+5%脱脂粉乳に1:10,000に希釈した)とインキュベートし、TBSTで3回洗浄した。タンパク質を、化学発光による検出を用いて視覚化した。
【0128】
異なる増殖条件下で形質転換体に蓄積したセルラーゼのレベルを解明するために、本発明者らは、図8に示す滴定を行った。エンド−β−グルカナーゼ(BD5−26)を発現する形質転換体からの5μg、10μg、および20μgの全タンパク質を、10μg、50μg、100μg、および200μgのコントロールタンパク質と共に分離させた。両方のタンパク質はそれらのカルボキシ末端でFLAGエピトープタグを含み、したがって、2つのタンパク質間での直接比較ができ、発現レベルを決定できる。24または48時間の増殖のいずれかからの5μgの試料間のシグナル強度の比較は、50ngのコントロールペプチドより大きく、100ngの試料に対して、強度が近いシグナルを示す。1%の全タンパク質発現レベルは、5μgの試料の1/100、または50ngに等しい。ここでの強度は、その2倍のレベルに等しいシグナル、または2%の全タンパク質に等しい5μgの試料中の100ngに等しいシグナルを示す。
【0129】
【表3】

【0130】
(実施例6.複数の生分解性酵素をコードする遺伝子で形質転換したC.reinhardtii株の構築)
この実施例において、2つの別個の構築物を用いて、複数のバイオマス分解(BD)酵素をコードする遺伝子を含む株を記載する。当業者は、このような手法が例として単に提供されていることを理解するだろう。目的の遺伝子全てを含む単一の構築物を用いた株の形質転換を、前述の実施例に記載したように通常、実施する。このような株を形質転換するために利用可能な構築物の例を図9に示す。図に見られ得るように、2つのポリヌクレオチドを、複数の遺伝子を宿主の藻細胞に送達するために構築した。上側の構築物は3つの酵素をコードする配列(図9 BD−5、BD−1、およびBD−9)を含む。下側の構築物は、3つの酵素をコードする配列(図9 BD−2、BD−4、およびBD−11)を含む。この図において用いられる番号は、異なる酵素が各々の遺伝子によってコードされることを示すことのみを意図する。一部の例において、遺伝子は1つ以上のバイオマス分解経路中の異なる酵素をコードする。他の例において、1つ以上の遺伝子は同一の酵素をコードするが、1つは変異型であってもよく、または一部は複数の生物由来であってもよい。両方の構築物は、葉緑体ゲノムへの組み込みを容易にするために、C.reinhardtiiゲノムに対して相同性を有する末端領域を含む。適切な形質転換、組み込み、タンパク質産生、およびタンパク質の機能は上述のように解析される。
【0131】
各々の構築物は、選択可能なマーカー(図9 マーカーIおよびマーカーII)を含む。C.reinhardtii細胞は上述のように形質転換される。この2つの構築物の導入は、両方の構築物での同時形質転換によってなされ得る。このような例において、潜在的な形質転換体は、両方のマーカー(例えば、ストレプトマイシンおよびカナマイシン耐性)の存在を選択する物質が追加されるTAP培地での増殖によって選択される。
【0132】
両方の構築物の遺伝子は、単一の転写調節の制御下に置かれていてもよく、本質的には、合成オペロン(「Chloroperon」)を藻細胞の葉緑体に導入する。このような手法は、全経路が葉緑体内で操作されることを可能にする。あるいは、別の構築物は、異なる転写制御因子の制御下に置かれてもよい。さらに、このようにして導入された各々の遺伝子は、異なる転写制御因子の制御下に置かれてもよい。
【0133】
(実施例7.光合成能力を破壊しない構築物で形質転換したC.reinhardtii株の構築)
この実施例において、T.reesei由来のエンド−β−グルカナーゼをコードする核酸を、C.reinhardtiiに導入した。形質転換DNA(配列番号30、表4)を図2Bに図示する。この例において、「トランス遺伝子」と標識されたセグメントは、エンド−β−グルカナーゼをコードする遺伝子(配列番号16、表3)であり、5’UTRと標識されたセグメントは、C.reinhardtii由来のpsbD遺伝子についての5’UTRおよびプロモーター配列であり、3’UTRと標識されたセグメントは、C.reinhardtii由来のpsbA遺伝子についての3’UTRを含み、「選択マーカー」と標識されたセグメントは、細菌由来のカナマイシン耐性をコードする遺伝子であり、これは、C.reinhardtii由来のatpA遺伝子についての5’UTRおよびプロモーター配列、ならびにC.reinhardtii由来のrbcL遺伝子についての3’UTR配列により調節される。トランス遺伝子カセットは、それぞれ5’および3’側上の3HB遺伝子座に隣接するDNAの配列と同一である「5’相同」および「3’相同」と標識されたセグメントを介してC.reinhardtiiの3HB遺伝子座に標的化される。この形質転換DNAの構築において実施した全てのDNA操作は、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press 1989)およびCohenら,Meth.Enzymol.297,192−208,1998に実質的に記載される。
【0134】
これらの実験に関して、全ての形質転換をC.reinhardtii株137c(mt+)で実施した。細胞を、23℃にて、100rpmに設定したロータリーシェーカーで450ルクスの一定の照射下で、TAP培地(GormanおよびLevine,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 54:1665−1669,1965、これは本明細書に参照として援用される)中の0.5mMの5−フルオロデオキシウリジンの存在下において後期対数期(約7日)まで増殖させた。50mlの細胞を、23℃で5分間、4,000×gでの遠心分離により収集した。上清をデカントし、細胞を、微粒子銃(Cohenら,上記,1998)によるその後の葉緑体の形質転換のために4mlのTAP培地に再懸濁した。全ての形質転換を、耐性が、「選択マーカー」と標識された図2Bにおけるセグメントによってコードされた遺伝子によって与えられるカナマイシン選択(100μg/ml)下で実施した(クラミドモナスストックセンター(Chlamydomonas Stock Center)、デューク大学)。
【0135】
PCRを形質転換した株を同定するために使用した。PCR解析に関して、106の藻細胞(寒天プレートまたは液体培地由来)を10mMのEDTAに懸濁し、10分間、95℃まで加熱し、次いで23℃付近まで冷やした。反応バッファー、MgCl2、dNTP、PCRプライマー対(表2および図3Aに図示)、DNAポリメラーゼ、および水からなるPCRカクテルを調製した。EDTA中の藻類溶解物を、反応のための鋳型を提供するために加えた。マグネシウム濃度を、加えたEDTA中の藻類溶解物の量および濃度を補うために変化させた。アニーリング温度勾配を、特異的プライマー対についての最適アニーリング温度を決定するために使用した。
【0136】
エンド−β−グルカナーゼ遺伝子を含む株を同定するために、一方のプライマーがpsbD 5’UTR(配列番号11)内の部位にアニールし、もう一方のプライマーがエンド−β−グルカナーゼコードセグメント(配列番号3)内でアニールするプライマー対を使用した。所望のクローンは、予期したサイズのPCR産物を生じるものである。内因性遺伝子座が置換される程度(同質細胞質対異質細胞質)を決定するために、2つのセットのプライマー対からなるPCR反応を利用した(同じ反応において)。第1のプライマー対は、発現ベクター(配列番号13および14)によって標識化された内因性遺伝子座を増幅させる。第2のプライマー対(配列番号6および7)は、発現ベクターによって標識化されない一定または制御領域を増幅させるので、全ての場合において予期されるサイズの産物を産生するはずである。この反応により、内因性遺伝子座からのPCR産物の非存在下によりPCR反応を阻害する細胞および/または他の汚染を生じなかったことを確認した。プライマー対の濃度は、同じチューブで両方の反応が進むように変更されるが;しかしながら、内因性遺伝子座についての対は一定の対の5倍の濃度である。使用したサイクル数は、感度を高めるために30より多かった。ほとんどの所望のクローンは、内因性遺伝子座ではなく一定領域についての産物を生じるものである。所望のクローンはまた、コントロール反応と比べて弱い強度の内因性遺伝子座産物を与えるものである。
【0137】
96のクローンでのこのPCRからの結果を測定し、その結果を図14に示す。図14Aはトランス遺伝子特異的プライマー対を用いたPCR結果を示す。見られ得るように、複数の形質転換したクローンは、エンド−β−グルカナーゼ遺伝子の挿入に関して陽性である(例えば、番号1、4および14)。図14Bは、同質細胞質と異質細胞質のクローンを見分けるためのプライマー対を用いたPCR結果を示す。見られ得るように、複数の形質転換したクローンは、トランス遺伝子の組み込みを支持する程度で同質細胞質または異質細胞質のいずれかである(例えば、番号1、4および14)。番号をつけていないクローンは、野生型psbAの存在を示し、従って、さらなる解析のために選択しなかった。
【0138】
エンド−β−グルカナーゼタンパク質の発現を生じるエンド−β−グルカナーゼコード遺伝子の存在を確実にするために、ウェスタンブロットを実施した。約1×108の藻細胞をTAP寒天培地から回収し、0.5mlの溶解バッファー(750mMのTris、pH=8.0、15%のスクロース、100mMのβ−メルカプトエタノール)に懸濁した。細胞を超音波処理(15%の電力で5×30秒)により溶解した。溶解物を、ローディングバッファー(5%のSDS、5%のβ−メルカプトエタノール、30%のスクロース、ブロモフェノールブルー)を用いて1:1で混合し、タンパク質をSDS−PAGEにより分離し、続いて、PVDF膜に移した。膜を、23℃で30分間、TBST+5%の脱脂粉乳でブロックし、4℃で10時間、抗FLAG抗体(TBST+5%の脱脂粉乳中で1:1,000に希釈した)とインキュベートし、TBSTで3回洗浄し、23℃で1時間、セイヨウワサビに結合した抗マウス抗体(TBST+5%の脱脂粉乳中で1:10,000に希釈した)とインキュベートし、TBSTで3回洗浄した。タンパク質を、化学発光による検出を用いて視覚化した。複数のクローンからの結果(図14C)により、タンパク質の産生を生じるC.reinhardtii細胞におけるエンド−β−グルカナーゼ遺伝子の発現が示される。
【0139】
同様の結果が、T.reesei(配列番号31、表4)由来のエンドキシラナーゼ遺伝子を含む類似の構築物で見られる(図15)。エンドキシラナーゼ遺伝子を含む構築物を図2Bに示す。この例において、「トランス遺伝子」と標識されたセグメントは、エンドキシラナーゼをコードする遺伝子(配列番号18、表3)であり、5’UTRと標識されたセグメントは、C.reinhardtii由来のpsbD遺伝子についての5’UTRおよびプロモーター配列であり、3’UTRと標識されたセグメントは、C.reinhardtii由来のpsbA遺伝子についての3’UTRを含み、「選択マーカー」と標識されたセグメントは、細菌由来のカナマイシン耐性をコードする遺伝子であり、これは、C.reinhardtii由来のatpA遺伝子についての5’UTRおよびプロモーター配列、ならびにC.reinhardtii由来のrbcL遺伝子についての3’UTR配列により調節される。トランス遺伝子カセットは、それぞれ5’および3’側上の3HB遺伝子座に隣接するDNAの配列と同一である「5’相同」および「3’相同」と標識されたセグメントを介してC.reinhardtiiの3HB遺伝子座に標的化される。この形質転換DNAの構築において実施した全てのDNA操作は、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press 1989)およびCohenら,Meth.Enzymol.297,192−208,1998に実質的に記載される。
【0140】
図15Aは、遺伝子特異的プライマー対を用いたPCRを示す。見られ得るように、複数の形質転換したクローンは、エンドキシラナーゼ遺伝子の挿入に関して陽性である。図15Bは、同質細胞質と異質細胞質のクローンを見分けるためのプライマー対を用いたPCR結果を示す。見られ得るように、複数の形質転換したクローンは、トランス遺伝子の組み込みを支持する程度で同質細胞質または異質細胞質のいずれかである。番号をつけていないクローンは、野生型psbAの存在を示し、従って、さらなる解析のために選択しなかった。タンパク質の発現を示すウェスタンブロット解析は図15Cにおいて示される。
【0141】
同様の結果が、T.viride(配列番号29、表4)由来のエキソ−β−グルカナーゼ遺伝子を含む類似の構築物で見られた(図16)。エキソ−β−グルカナーゼ遺伝子を含む構築物を図2Bに示す。この例において、「トランス遺伝子」と標識されたセグメントは、エキソ−β−グルカナーゼをコードする遺伝子(配列番号15、表3)であり、5’UTRと標識されたセグメントは、C.reinhardtii由来のpsbD遺伝子についての5’UTRおよびプロモーター配列であり、3’UTRと標識されたセグメントは、C.reinhardtii由来のpsbA遺伝子についての3’UTRを含み、「選択マーカー」と標識されたセグメントは、細菌由来のカナマイシン耐性をコードする遺伝子であり、これは、C.reinhardtii由来のatpA遺伝子についての5’UTRおよびプロモーター配列、ならびにC.reinhardtii由来のrbcL遺伝子についての3’UTR配列により調節される。トランス遺伝子カセットは、それぞれ5’および3’側上の3HB遺伝子座に隣接するDNAの配列と同一である「5’相同」および「3’相同」と標識されたセグメントを介してC.reinhardtiiの3HB遺伝子座に標的化される。この形質転換DNAの構築において実施した全てのDNA操作は、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press 1989)およびCohenら,Meth.Enzymol.297,192−208,1998に実質的に記載される。
【0142】
図16Aは、遺伝子特異的プライマー対を用いたPCRを示す。見られ得るように、複数の形質転換したクローンは、エンドキシラナーゼ遺伝子の挿入に関して陽性である。図15Bは、同質細胞質と異質細胞質のクローンを見分けるためのプライマー対を用いたPCR結果を示す。見られ得るように、複数の形質転換したクローンは、トランス遺伝子の組み込みを支持する程度で同質細胞質または異質細胞質のいずれかである。番号をつけていないクローンは、野生型psbAの存在を示し、従って、さらなる解析のために選択しなかった。タンパク質の発現を示すウェスタンブロット解析は図16Cにおいて示される。
【0143】
【表4】

【0144】
【表5】

【0145】
【表6】

【0146】
【表7】

【0147】
【表8】

【0148】
【表9】

【0149】
【表10】

【0150】
【表11】

【0151】
【表12】

【0152】
【表13】

【0153】
【表14】

【0154】
【表15】

【0155】
【表16】

【0156】
【表17】

【0157】
【表18】

【0158】
【表19】

【0159】
【表20】

【0160】
【表21】

【0161】
【表22】

【0162】
【表23】

【0163】
【表24】

【0164】
【表25】

【0165】
【表26】

【0166】
【表27】

【0167】
【表28】

【0168】
【表29】

【0169】
【表30】

【0170】
【表31】

【0171】
【表32】

【0172】
【表33】

【0173】
【表34】

【0174】
【表35】

【0175】
【表36】

【0176】
【表37】

【0177】
【表38】

【0178】
【表39】

【0179】
【表40】

【0180】
【表41】

【0181】
【表42】

【0182】
【表43】

【0183】
【表44】

【0184】
(実施例8.光合成能力を破壊しない構築物で形質転換したC.reinhardtii株の構築)
この実施例において、T.reesei由来のエンド−β−グルカナーゼをコードする核酸を、C.reinhardtiiに導入した。形質転換DNA(配列番号28、表4)を図2Bに図示する。この例において、「トランス遺伝子」と標識されたセグメントは、エンド−β−グルカナーゼをコードする遺伝子(配列番号16、表3)であり、トランス遺伝子の発現を駆動するセグメント(5’UTRと標識された)は、C.reinhardtii由来のpsbC遺伝子についての5’UTRおよびプロモーター配列であり、3’UTRと標識されたセグメントは、C.reinhardtii由来のpsbA遺伝子についての3’UTRを含み、「選択マーカー」と標識されたセグメントは、細菌由来のカナマイシン耐性をコードする遺伝子であり、これは、C.reinhardtii由来のatpA遺伝子についての5’UTRおよびプロモーター配列、ならびにC.reinhardtii由来のrbcL遺伝子についての3’UTR配列により調節される。トランス遺伝子カセットは、それぞれ5’および3’側上の3HB遺伝子座に隣接するDNAの配列と同一である「5’相同」および「3’相同」と標識されたセグメントを介してC.reinhardtiiの3HB遺伝子座に標的化される。この形質転換DNAの構築において実施した全てのDNA操作は、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press 1989)およびCohenら,Meth.Enzymol.297,192−208,1998に実質的に記載される。
【0185】
これらの実験に関して、全ての形質転換をC.reinhardtii株137c(mt+)で実施した。細胞を、23℃にて、100rpmに設定したロータリーシェーカーで450ルクスの一定の照射下で、TAP培地(GormanおよびLevine,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 54:1665−1669,1965、これは本明細書に参照として援用される)中の0.5mMの5−フルオロデオキシウリジンの存在下において後期対数期(約7日)まで増殖させた。50mlの細胞を、23℃で5分間、4,000×gでの遠心分離により収集した。上清をデカントし、細胞を、微粒子銃(Cohenら,上記,1998)によるその後の葉緑体の形質転換のために4mlのTAP培地に再懸濁した。全ての形質転換を、耐性が、「選択マーカー」と標識された図2Bにおけるセグメントによってコードされた遺伝子によって与えられるカナマイシン選択(100μg/ml)下で実施した(クラミドモナスストックセンター(Chlamydomonas Stock Center)、デューク大学)。
【0186】
PCRを形質転換した株を同定するために使用した。PCR解析に関して、106の藻細胞(寒天プレートまたは液体培地由来)を10mMのEDTAに懸濁し、10分間、95℃まで加熱し、次いで23℃付近まで冷やした。反応バッファー、MgCl2、dNTP、PCRプライマー対(表2および図3Aに図示)、DNAポリメラーゼ、および水からなるPCRカクテルを調製した。EDTA中の藻類溶解物を、反応のための鋳型を提供するために加えた。マグネシウム濃度を、加えたEDTA中の藻類溶解物の量および濃度を補うために変化させた。アニーリング温度勾配を、特異的プライマー対についての最適アニーリング温度を決定するために使用した。
【0187】
エンド−β−グルカナーゼ遺伝子を含む株を同定するために、一方のプライマーがpsbC 5’UTR(配列番号10)内の部位にアニールし、もう一方のプライマーがエンド−β−グルカナーゼコードセグメント(配列番号3)内でアニールするプライマー対を使用した。所望のクローンは、予期したサイズのPCR産物を生じるものである。内因性遺伝子座が置換される程度(同質細胞質対異質細胞質)を決定するために、2つのセットのプライマー対からなるPCR反応を利用した(同じ反応において)。第1のプライマー対は、発現ベクター(配列番号13および14)によって標識化された内因性遺伝子座を増幅させる。第2のプライマー対(配列番号6および7)は、発現ベクターによって標識化されない一定または制御領域を増幅させるので、全ての場合において予期されるサイズの産物を産生するはずである。この反応により、内因性遺伝子座からのPCR産物の非存在下によりPCR反応を阻害する細胞および/または他の汚染を生じなかったことを確認した。プライマー対の濃度は、同じチューブで両方の反応が進むように変更されるが;しかしながら、内因性遺伝子座についての対は一定の対の5倍の濃度である。使用したサイクル数は、感度を高めるために30より多かった。ほとんどの所望のクローンは、内因性遺伝子座ではなく一定領域についての産物を生じるものである。所望のクローンはまた、コントロール反応と比べて弱い強度の内因性遺伝子座産物を与えるものである。
【0188】
96のクローンでのこのPCRからの結果を測定し、その結果を図10に示す。図10Aはトランス遺伝子特異的プライマー対を用いたPCR結果を示す。見られ得るように、複数の形質転換したクローンは、エンド−β−グルカナーゼ遺伝子の挿入に関して陽性である。図10Bは、同質細胞質と異質細胞質のクローンを見分けるためのプライマー対を用いたPCR結果を示す。見られ得るように、複数の形質転換したクローンは、トランス遺伝子の組み込みを支持する程度で同質細胞質または異質細胞質のいずれかである(例えば、番号67、92)。番号をつけていないクローンは、野生型psbAの存在を示し、従って、さらなる解析のために選択しなかった。
【0189】
エンド−β−グルカナーゼタンパク質の発現を生じるエンド−β−グルカナーゼコード遺伝子の存在を確実にするために、ウェスタンブロットを実施した。約1×108の藻細胞をTAP寒天培地から回収し、0.5mlの溶解バッファー(750mMのTris、pH=8.0、15%のスクロース、100mMのβ−メルカプトエタノール)に懸濁した。細胞を超音波処理(15%の電力で5×30秒)により溶解した。溶解物を、ローディングバッファー(5%のSDS、5%のβ−メルカプトエタノール、30%のスクロース、ブロモフェノールブルー)を用いて1:1で混合し、タンパク質をSDS−PAGEにより分離し、続いて、PVDF膜に移した。膜を、23℃で30分間、TBST+5%の脱脂粉乳でブロックし、4℃で10時間、抗FLAG抗体(TBST+5%の脱脂粉乳中で1:1,000に希釈した)とインキュベートし、TBSTで3回洗浄し、23℃で1時間、セイヨウワサビに結合した抗マウス抗体(TBST+5%の脱脂粉乳中で1:10,000に希釈した)とインキュベートし、TBSTで3回洗浄した。タンパク質を、化学発光による検出を用いて視覚化した。複数のクローンからの結果(図10C)により、タンパク質の産生を生じるC.reinhardtii細胞におけるエンド−β−グルカナーゼ遺伝子の発現が示される。
【0190】
同様の結果が、T.reesei(配列番号23、表4)由来のβ−グルコシダーゼ遺伝子を含む類似の構築物で見られる(図11)。エンドキシラナーゼ遺伝子を含む構築物を図2Bに示す。この例において、この例において、「トランス遺伝子」と標識されたセグメントは、β−グルコシダーゼをコードする遺伝子(配列番号17、表3)であり、トランス遺伝子の発現を駆動するセグメント(5’UTRと標識された)は、C.reinhardtii由来のpsbC遺伝子についての5’UTRおよびプロモーター配列であり、3’UTRと標識されたセグメントは、C.reinhardtii由来のpsbA遺伝子についての3’UTRを含み、「選択マーカー」と標識されたセグメントは、細菌由来のカナマイシン耐性をコードする遺伝子であり、これは、C.reinhardtii由来のatpA遺伝子についての5’UTRおよびプロモーター配列、ならびにC.reinhardtii由来のrbcL遺伝子についての3’UTR配列により調節される。トランス遺伝子カセットは、それぞれ5’および3’側上の3HB遺伝子座に隣接するDNAの配列と同一である「5’相同」および「3’相同」と標識されたセグメントを介してC.reinhardtiiの3HB遺伝子座に標的化される。この形質転換DNAの構築において実施した全てのDNA操作は、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press 1989)およびCohenら,Meth.Enzymol.297,192−208,1998に実質的に記載される。
【0191】
図11Aは、遺伝子特異的プライマー対を用いたPCRを示す。見られ得るように、複数の形質転換したクローンは、β−グルコシダーゼ遺伝子の挿入に関して陽性である。図11Bは、同質細胞質と異質細胞質のクローンを見分けるためのプライマー対を用いたPCR結果を示す。見られ得るように、複数の形質転換したクローンは、トランス遺伝子の組み込みを支持する程度で同質細胞質または異質細胞質のいずれかである(番号16、64)。番号をつけていないクローンは、野生型psbAの存在を示し、従って、さらなる解析のために選択しなかった。タンパク質の発現を示すウェスタンブロット解析は図11Cにおいて示される。
【0192】
(実施例9.光合成能力を破壊しない酵素構築物を分解するバイオマスを発現するシアノバクテリア株の構築)
この実施例において、選択されたシアノバクテリア種に挿入可能な構築物が作製される(例えば、Synechocystis sp.PCC6803株、Synechococcus sp.PCC7942株、Thermosynechococcus elongates BP−1、およびProchloroccus marina)。そのような構築物の例は、図13において図示される。そのトランス遺伝子および調節配列(例えば、プロモーターおよびターミネーター)に加えて、典型的には、そのような構築物は、適切な選択可能なマーカー(例えば、抗生物質耐性遺伝子)を含む。そのトランス遺伝子は、目的のいずれかの遺伝子であってもよいが、好ましくは、バイオマス分解酵素(例えば、セルロース分解酵素、ヘミセルロース分解酵素、リグニン分解酵素)である。カセットまたはベクターの一部は、挿入される外因性DNAが、シアノバクテリアゲノムの一部に対して相同性を共有する領域に隣接する場合、相同的組み換えを介して宿主細胞ゲノムに組み込まれてもよい。あるいは、その構築物は、宿主細胞ゲノムへと組み込まれるのではなく、その宿主細胞を安定にまたは一時的に形質転換させる自己複製するベクターであってもよい。一部の例において、調節要素、トランス遺伝子、および/または選択可能なマーカーは、宿主生物の好ましいコドン使用に偏らせる必要があってもよい。全てのDNA操作は、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press 1989)およびCohenら、Meth.Enzymol.297、192−208、1989年)に、実質的に記載されるように実施される。
【0193】
本発明の構築物でのSynechocystisの形質転換は、当該分野において公知の任意の方法によって実施され得る(例えば、DzelzkalnsおよびBogorad、J.Bacteriol.165:964−71(1986)を参照)。この実施例に関して、Synechocystis sp.6803株を、1mlあたり約2×108の細胞密度にまで増殖させ、遠心分離によって収集した。細胞ペレットを、1mlあたり1×109の細胞密度で、新しいBG−11培地(ATCC培地616)に再懸濁し、形質転換のために即座に用いた。これらの細胞のうちの100マイクロリットルを、構築物を含む5μlの少ない準備溶液と混合し、その細胞を、4時間、30℃で光とともにインキュベートした。この混合物を、次いで、TES pH8.0を補ったBG−11寒天上のナイロンフィルタに置き、12〜18時間、増殖させた。このフィルタを、次いで、BG−11寒天+TES+5μg/mlのアンピシリンに移動させ、典型的には7日から10日以内に、コロニーが現れるまで増殖させた。
【0194】
コロニーを、次いで、5μg/mlのアンピシリンを含むBG−11液体培地へ取り、5日間増殖させた。形質転換した細胞を、1〜2日間、低光強度下でインキュベートし、その後、通常の増殖条件へと移動させた。これらの細胞を、次いで、10μg/mlのアンピシリンを含むBG−11培地に移動させて、5日間、増殖させた。細胞を、次いで、PCR分析のために収集し、外因性の挿入物が存在することを決定した。挿入された構築物によってコードされるタンパク質の発現レベルを決定するために、ウェスタンブロットを実施してもよい(実質的に上述のように)。
【0195】
(実施例10.Escherichia coliにおける酵素を分解するバイオマスの発現)
この実施例において、T.reesei由来のエンド−β−グルカナーゼをコードする核酸を、遺伝子およびpET−21aの両方に存在するNdeIおよびXhoI制限酵素認識部位を用いて、pET−21aにクローンした。得られたベクター(配列番号25、表4)を、E.coli BL−21細胞に形質転換した。細胞密度がOD=0.6に達した場合に、発現が誘発された。細胞を、5時間、30℃で増殖させ、次いで収集した。上述のように実質的に精製した。細菌において発現した酵素の活性を、上述の実施例に実質的に記載されるアッセイを用いて決定した。これらの分析の結果を図17(レーン2)に示した。
【0196】
エキソ−βグルカナーゼ、β−グルコシダーゼ、およびエンドキシラナーゼをコードする核酸もまた、pET−21にクローンした。得られたベクター(各々、配列番号24、26、および27、表4)をE.coliBL−21細胞に形質転換した。細胞密度がOD=0.6に達した場合に、発現が誘発された。細胞を、5時間、30℃で増殖させ、次いで収集した。上述のように実質的に精製した。細菌において発現した酵素の活性を、上述の実施例に実質的に記載されるアッセイを用いて測定した。これらの分析の結果を図17(レーン1:エキソ−β−グルカナーゼ、レーン3:β−グルコシダーゼ、およびレーン4:エンドキシラナーゼ)に示した。酵素の活性化もまた、実質的に上述のように測定した。バックグランドを差し引いた(background−substract)値で提示する結果を表5に提供する。
【0197】
【表45】

【0198】
前述の実施例に示したデータと共に、このデータは、本明細書において記載されたベクターによってコードされた酵素が、配列中に構築されたコドンの偏りにもかかわらず、藻類および細菌の両方によって機能的に発現可能であることを実証する。
【0199】
本明細書において応用可能であり得る様々な修正、加工、および多数の構造は明らかである。様々な態様、特徴、または実施形態は、理解、信条、理論、元となる想定、および/または作業、あるいは今後現れ得る例に関連して説明または記載される場合もあり得るが、任意の特定の理解、信条、理論、元となる想定、および/または作業、あるいは今後現れ得る例は限定的ではないことは理解される。様々な態様および特徴は、本明細書における様々な実施形態および特定の例に関連して記載されてもよいが、それらのいずれもが、本出願に関連し得る添付の特許請求の範囲または他の特許請求の範囲の十全たる範囲に対して制限的ではないことは理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
形質転換した非維管束光合成生物をスクリーニングする方法であって、
a.前記生物の葉緑体から第1の核酸配列を増幅させる工程、
b.前記生物の前記葉緑体から第2の核酸配列を増幅させる工程、ならびに
c.前記第1の配列および前記第2の配列の増幅からの結果に基づいて前記生物の原形質状態を決定する工程、
を含む方法。
【請求項2】
前記第1の工程および前記第2の工程は、同時に実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の核酸配列は、内因性葉緑体ゲノム配列である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の核酸配列は、少なくとも部分的に外因性核酸由来である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
コントロールとして前記葉緑体由来の第3の核酸配列を増幅させる工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第3の核酸配列は、外因性核酸の組み込み後にインタクトなままである野生型配列である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第3の核酸を増幅させる工程は、前記第1の増幅工程または前記第2の増幅工程と同時に実施される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記増幅させる工程の全ては、同時に実施される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つのプライマーは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、または配列番号15である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の増幅工程または前記第2の増幅工程は、30サイクルより多いPCRを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の増幅工程および前記第2の増幅工程は、30サイクルより多いPCRを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記原形質状態はホモプラスミーである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記生物は微細藻類である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記微細藻類は、C.レインハーディ(C.reinhardtii)、D.サリナ(D.salina)またはH.プルビアリス(H.pluvalis)である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記決定する工程は、前記増幅させる工程由来の産物の視覚分析を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記生物は、目的の遺伝子および選択可能なマーカーのうちの少なくとも1つを含む外因性核酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記目的の遺伝子は、バイオマス分解酵素をコードする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記バイオマス分解酵素は、セルロース分解性、ヘミセルロース分解性またはリグニン分解性である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記バイオマス分解酵素は、エキソ−β−グルカナーゼ、エンド−β−グルカナーゼ、β−グルコシダーゼ、エンドキシラナーゼまたはリグナーゼである、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記外因性核酸は、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30または配列番号31である、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記増幅させる工程のうちの少なくとも1つは、リアルタイムPCRを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記増幅させる工程のうちの少なくとも1つは、定量的PCRを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
同質細胞質の葉緑体集団を含む非維管束光合成生物であって、前記葉緑体集団は外因性核酸を含み、ホモプラスミーは少なくとも2つの異なるPCR反応によって決定される、生物。
【請求項24】
前記葉緑体集団は、1つより多い葉緑体である、請求項23に記載の生物。
【請求項25】
前記生物は微細藻類である、請求項23に記載の生物。
【請求項26】
前記微細藻類は、C.レインハーディ(C.reinhardtii)、D.サリナ(D.salina)またはH.プルビアリス(H.pluvalis)である、請求項25に記載の生物。
【請求項27】
前記少なくとも2つの異なるPCR反応は同時に実施される、請求項23に記載の生物。
【請求項28】
前記少なくとも2つの異なるPCR反応に使用される少なくとも1つのプライマーは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14または配列番号15である、請求項23に記載の生物。
【請求項29】
少なくとも1つのPCR反応は、30より多いサイクルを含む、請求項23に記載の生物。
【請求項30】
前記生物は、目的の遺伝子および選択可能なマーカーのうちの少なくとも1つを含む外因性核酸を含む、請求項23に記載の生物。
【請求項31】
前記目的の遺伝子はバイオマス分解酵素をコードする、請求項30に記載の生物。
【請求項32】
前記バイオマス分解酵素は、セルロース分解性、ヘミセルロース分解性またはリグニン分解性である、請求項31に記載の生物。
【請求項33】
前記バイオマス分解酵素は、エキソ−β−グルカナーゼ、エンド−β−グルカナーゼ、β−グルコシダーゼ、エンドキシラナーゼまたはリグナーゼである、請求項31に記載の生物。
【請求項34】
前記外因性核酸は、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30または配列番号31である、請求項30に記載の生物。
【請求項35】
遺伝子改変された同質細胞質の非維管束光合成生物を産生する方法であって、
a.前記生物の少なくとも1つの葉緑体を外因性核酸で形質転換する工程、
b.第1の核酸配列および第2の核酸配列を増幅させる工程、ならびに
c.前記増幅させる工程からの結果に基づいて前記生物の原形質状態を決定する工程、
を含む方法。
【請求項36】
前記第1の核酸配列および前記第2の核酸配列は、前記葉緑体のゲノム内である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記第1の核酸配列は内因性葉緑体配列である、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記第2の核酸配列は、少なくとも部分的に前記外因性核酸由来である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
コントロールとして前記葉緑体由来の第3の核酸配列を増幅させる工程をさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記第3の核酸は、前記外因性核酸の組み込み後にインタクトなままである野生型配列である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記増幅させる工程の少なくとも1つは定量的PCRを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記増幅させる工程のための少なくとも1つのプライマーは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14または配列番号15である、請求項35に記載の方法。
【請求項43】
前記第1の核酸配列および前記第2の核酸配列の増幅は、30サイクルより多いPCRを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項44】
前記原形質状態はホモプラスミーである、請求項35に記載の方法。
【請求項45】
前記生物は微細藻類である、請求項35に記載の方法。
【請求項46】
前記微細藻類は、C.レインハーディ(C.reinhardtii)、D.サリナ(D.salina)またはH.プルビアリス(H.pluvalis)である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記決定する工程は、前記増幅させる工程由来の産物の視覚分析を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項48】
前記外因性核酸は、目的の遺伝子および選択可能なマーカーのうちの少なくとも1つを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項49】
前記目的の遺伝子は、バイオマス分解酵素をコードする、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記バイオマス分解酵素は、セルロース分解性、ヘミセルロース分解性またはリグニン分解性である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記バイオマス分解酵素は、エキソ−β−グルカナーゼ、エンド−β−グルカナーゼ、β−グルコシダーゼ、エンドキシラナーゼまたはリグナーゼである、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記外因性核酸は、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30または配列番号31である、請求項35に記載の方法。
【請求項53】
遺伝子改変された非維管束光合成生物の原形質状態を決定するためのキットであって、
a.内因性配列に対応する葉緑体ゲノムの第1の核酸配列を増幅させるための増幅プライマー、および
b.導入されるか、または非天然に存在する配列である葉緑体ゲノムの第2の核酸配列を増幅させるための増幅プライマー、
を含むキット。
【請求項54】
PCRバッファーをさらに含む、請求項53にキット。
【請求項55】
コントロール核酸配列を増幅させるための増幅プライマーをさらに含む、請求項53にキット。
【請求項56】
少なくとも1つのプライマーは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14または配列番号15である、請求項53に記載のキット。
【請求項57】
第1の核酸配列を増幅させるための前記プライマーの少なくとも1つは、psbA 5’UTR、psbAコード配列、psbC 5’UTR、psbD 5’UTR、atpA 5’UTR、または3HB遺伝子座のうちの少なくとも一部に結合する、請求項53に記載のキット。
【請求項58】
第2の核酸配列を増幅させるための前記プライマーの少なくとも1つは、バイオマス分解酵素をコードする配列の少なくとも一部に結合する、請求項53に記載のキット。
【請求項59】
前記バイオマス分解酵素は、セルロース分解性、ヘミセルロース分解性またはリグニン分解性である、請求項56に記載のキット。
【請求項60】
前記バイオマス分解酵素は、エキソ−β−グルカナーゼ、エンド−β−グルカナーゼ、β−グルコシダーゼ、エンドキシラナーゼまたはリグナーゼである、請求項56に記載のキット。
【請求項61】
前記第2の核酸配列は、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30または配列番号31のうちの一部である、請求項53に記載のキット。
【請求項62】
使用するための指示書をさらに含む、請求項53に記載のキット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図4D】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図5C】
image rotate

【図5D】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図6C】
image rotate

【図6D】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図7C】
image rotate

【図7D】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10A】
image rotate

【図10B】
image rotate

【図10C】
image rotate

【図11A】
image rotate

【図11B】
image rotate

【図11C】
image rotate

【図12A】
image rotate

【図12B】
image rotate

【図13A】
image rotate

【図13B】
image rotate

【図14A】
image rotate

【図14B】
image rotate

【図14C】
image rotate

【図15A】
image rotate

【図15B】
image rotate

【図15C】
image rotate

【図16A】
image rotate

【図16B】
image rotate

【図16C】
image rotate

【図17】
image rotate


【公表番号】特表2010−528609(P2010−528609A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510358(P2010−510358)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【国際出願番号】PCT/US2008/006876
【国際公開番号】WO2008/150461
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(509328308)サファイア エナジー,インコーポレイティド (5)
【出願人】(507074339)ザ・スクリップス・リサーチ・インスティテュート (2)
【Fターム(参考)】