説明

遺伝子発現を阻害する組成物およびその使用

本発明者らは、より有効な遺伝子発現遮断化合物を提供する方法について検討した。本発明者らは、遺伝子発現遮断分子の有効性を驚異的に改善する、新規な構造的特徴を見出した。これらの特徴には、複数の3’末端の存在および5’末端におけるリンカーの存在が含まれる。驚くべきことには、これらの特徴は、遺伝子発現遮断化合物の有効性を、該化合物の生物学的不安定性を減少させるような様式で改善する。さらに驚くべきことには、この効果は、DNAおよびRNAオリゴヌクレオチドベースの化合物の両方に適用可能であり、伝統的なアンチセンスおよびRNAi技術において適用されることが見出された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(代理人整理番号:IDR−062PC)
本発明は、遺伝子発現および/または活性を阻害するための、または、遺伝子発現および/または活性の阻害に応答する疾患および/または病態を診断する、処置する、および/または予防するための、化合物、組成物、および使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の概要
遺伝子発現を阻害するための1つのアプローチは、アンチセンス技術またはRNA阻害(RNAi)である。これらのアプローチは、DNAおよび/またはRNAベースのオリゴヌクレオチドの、選択されたmRNA、マイクロRNA,プレRNA、またはミトコンドリアRNA標的に対する配列特異的結合および、これから生じる翻訳の阻害を利用する。翻訳および最終的に遺伝子発現の、このオリゴヌクレオチドに基づく阻害は、1または2以上の細胞機構の結果であり、これには限定されないが、(i)翻訳の直接的(立体的)妨害、(ii)RNaseH媒介性阻害、および(iii)RNAi媒介性阻害(例えば低分子干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、DNA依存性RNAi(ddRNAi)、および一本鎖RNAi(ssRNAi))を含み得る。
【0003】
アンチセンス技術の歴史から、mRNAに結合するアンチセンスオリゴヌクレオチドの決定は比較的容易であるが、遺伝子発現を阻害する真の能力を有し、したがって良好な臨床的候補となるアンチセンスオリゴヌクレオチドの最適化は容易ではないことが明らかとなった。したがって、遺伝子発現を下方制御するオリゴヌクレオチドベースのアプローチの成功には、この結果を最も効率的に達成する最適化アンチセンスオリゴヌクレオチドが必要である。かかる最適化アンチセンスオリゴヌクレオチドは、それのみで、または他の予防的および/または治療的組成物と組み合わせて用いることができる。
【0004】
Zamecnik & Stephensonが、アンチセンスオリゴヌクレオチドをウイルスタンパク質の翻訳を阻害する手段として用いた最初の実証について公表して以来(Zemecnik and Stephenson (1978) Proc. Natl. Acad. Sci. 75: 285-288)、オリゴヌクレオチドベースの化合物を遺伝子発現の阻害に利用することについて、多大な関心が寄せられてきた。これらの初期の取組みでは、in vivoでは本質的に不安定な、一本鎖の非修飾オリゴデオキシリボヌクレオチドまたはオリゴリボヌクレオチドを用いて(Agrawal et al. (1992) Ann. NY Acad. Sci. 660:2-10)、in vivoでmRNAに結合し、酵素またはRNAse分解のための二本鎖RNAテンプレートを作製した。続く取組みでは、ヌクレアーゼ抵抗性ホスホロチオアートおよび/またはメチルホスホナート結合を組み込んだオリゴデオキシリボヌクレオチドの効用が決定された(Agrawal et. al (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. 85:7079-7083;Metelev & Agrawal US 5,652,355;Metelev & Agrawal US 6,143,881;Matsukura et al. (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. 84:7706)。
【0005】
遺伝子発現を阻害する別のクラスのRNAベースの分子を、リボザイムという。リボザイムはステムループ構造を形成し、RNA標的に結合して、直接その切断に介在する(Cech, T. (1990) Ann. Rev. Biochem. 59:543)。リボザイムは標的RNAに選択的に結合し、トランスエステル化または加水分解反応を触媒して、一本鎖RNAの特定のホスホジエステル結合を切断する。細胞に導入されると、リボザイムは、標的mRNAに結合してかかるmRNAの翻訳を阻害する能力を有する。一本鎖アンチセンス技術と同様に、リボザイムの安定性および活性は、一定の化学的修飾をリボザイム構造に組み込むことによって改善された(Goodchild US 6,204,027;Goodchild US 6,573,072)。アンチセンスオリゴヌクレオチドおよびリボザイム技術が進歩し続ける間に、その他のオリゴヌクレオチドベースの技術についての発見がなされている。
【0006】
Fire and Melloによる先駆的発見に基づいて(Fire et al. (1998) Nature, 391:806-811)、取組みは、哺乳類系におけるRNA干渉(RNAi)技術(例えば低分子干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、DNA依存性RNAi(ddRNAi)、および一本鎖RNAi(ssRNAi))へと方向を変えた。RNAiとは、特定のmRNA標的にハイブリダイズするよう設計されている低分子オリゴヌクレオチドを用いた、遺伝子発現の転写後阻害プロセスを指す((Fire et al. (1998) Nature 391:806-811;Zamore et al. (2000) Cell, 101:25-33)。siRNAの場合、低分子二本鎖RNA分子は、細胞酵素マシナリーを用いて相同体標的RNA分子を切断する(Rana (2007) Nature Rev. Mol. Cell. Biol. 8:23-36)。二本鎖RNAi技術は、一旦細胞内に入るとダイサーと呼ばれる酵素により結合されて21〜23個のヌクレオチドに切断される二本鎖RNA(dsRNA)の、投与または発現に依存する。得られたダイサー−dsRNA複合体は、RNA誘導型サイレンシング複合体(RISC)と呼ばれる、アルゴノート(Argonaut)含有タンパク質複合体に送達され、これと相互反応する。RISCは、細胞内に存在して特定のmRNA分子を触媒的に分解すると考えられている。RISCにより結合されると、dsRNAは巻きとかれて、ssRNA−RISC複合体となり、これは標的mRNAにハイブリダイズすることができる。ハイブリダイズすると、RISC複合体はmRNAを分解する。場合によっては、ダイサーのdsRNA特異的プロセスは、RISCと直接相互反応する一本鎖RNAi(ssRNAi)組成物を用いて回避され、遺伝子発現の阻害を達成する(Holen et al. (2003) Nuc. Acids Res. 31:2401-2407)。RNAi技術は標的mRNAに選択的に結合することができるが、かかる分子はまた、TLR3との相互反応を介して、非特異的免疫刺激を誘発することも認められている(Kleinman et al, (2008) Nature 452:591-597;De Veer et. al. (2005) Immun. Cell Bio. 83:224-228;Kariko et al. (2004) J. Immunol. 172:6545-6549)。この非特異的免疫活性化は、RNAi技術の医薬剤としての有効性について問題を提起した。
【0007】
アンチセンスに基づく技術の各々は一定の成功をもたらしているが、オリゴヌクレオチドベースであるために、これら技術の各々はin vivoで不安定であり、また的外れの効果、例えば意図されない免疫刺激(Agrawal & Kandimalla (2004) Nature Biotech. 22:1533-1537)などをもたらす可能性を有するという、本質的な問題がある。dsRNAの場合、これらのオリゴヌクレオチドは、細胞への非効率なin vivo送達という別の問題を有するようである(Medarova et. al (2007) Nature Med. 13:372-377)。アンチセンスオリゴヌクレオチド薬剤候補について多くの臨床試験がなされたが、ただ1つのみがFDAにより薬剤として認められたに過ぎない。このアンチセンス化合物はCMVの処置用に承認されたが、製品として市場化されてはいない。さらに、リボザイムまたはsiRNA薬剤候補は、未だFDAによって承認されていない。
【0008】
これらの技術の各々を最適化するアプローチは、生体安定性、標的認識(例えば、細胞透過性、熱安定性)、およびin vivo活性への対処に焦点を絞ってきた。多くの場合、これらには競合的な判断が必要である。例えば、伝統的なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ホスフェートエステルヌクレオチド間結合を利用しており、これは、効果的であるには生物学的に不安定すぎることが証明された。したがって、アンチセンスオリゴヌクレオチドを修飾して、これらをさらに生物学的に安定にすることに焦点があてられた。初期のアプローチでは、ヌクレオチド間結合の修飾に焦点を当て、細胞ヌクレアーゼによる分解に対して抵抗性を高めようとした。これらのアプローチにより、種々の非天然のヌクレオチド間結合、例えばホルホロチオアート、メチルホスホナート(Sarin et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. 85:7448-7451)、およびペプチドベースの結合(Matsukura et. al (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. 84:7706;Agrawal et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. 85:7079-7083;Miller (1991) Bio-Technology 9:358)などを有する、アンチセンスオリゴヌクレオチドの開発がもたらされた。しかしこれらの修飾は、分子の標的特異性を低下させ、望ましくない生物学的活性を生じさせた。
【0009】
安定性を改善し、特異性および生物学的活性を保持するための後のアプローチでは、ホスホジエステルおよびホルホロチオアートヌクレオチド間結合を含有する、混合主鎖オリゴヌクレオチドを利用する。この混合主鎖により、ホスホジエステル結合のみのオリゴヌクレオチドと比べて、生物学的安定性が改善されたかまたはこれを保持する、オリゴヌクレオチドがもたらされた(Agrawal et al. (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. 87:1401-1405;米国特許公報第20010049436号)。オリゴヌクレオチのド研究を通して、これらの分子は、in vivoでエキソヌクレアーゼによる分解を受けやすく、主な分解が分子の3’末端から起こることが認められた(Shaw et. al (1991) Nucleic Acids Res. 19:747-750;Temsamani et al. (1993) Analytical Bioc. 215:54-58)。そのため、このエキソヌクレアーゼ活性を回避するアプローチでは、以下を利用した:(i)5’および/または3’終端でのキャップ構造(Tesamani et. al (1992) Ann. NY Acad. Sci. 660:318-320;Temsamani et al. (1993) Antisense Res. Dev. 3:277-284;Tang et al. (1993) Nucl. Acids Res. 20:2729-2735)、(ii)2または3以上のオリゴヌクレオチドを、分子間の5’−3’、5’−2’、2’−3’、3’−2’、または3’−3’結合を介して結合する(Agrawal et al. US 6,489,464)、(iii)3’末端でそれ自身を折りたたむ、自己ハイブリダイズオリゴヌクレオチド、これはヘアピンを作製し、3’−エキソヌクレアーゼ活性が開始されるアクセスポイントを除去する(Tang et al. (1993) Nucl. Acids Res. 20:2729-2735)、または(iv)RNAをオリゴヌクレオチド分子に組み込み、こうしてRNA/DNAハイブリッド分子を作製する(Metelev at al. (1994) Bioorg. Med. Chem. Lett. 4:2929-2934;Metelev US 5,652,355;Metelev & Agrawal US 6,143,881;Metelev& Agrawal US 6,346,614;Metelev & Agrawal US 6,683,167;Metelev & Agrawal US 7,045,609)。
【0010】
アンチセンスオリゴヌクレオチドの安定性を改善し、特異性および生物学的活性を保持するための別のアプローチでは、二本鎖DNAまたはRNA標的に結合する、三重鎖形成性のポリピリミジンオリゴヌクレオチドを利用する。ポリピリミジンオリゴヌクレオチドは、フーグスティーン水素結合を介して主溝の二本鎖DNAに結合することができ、1つのポリプリンおよび2つのポリピリミジン鎖を含む、T:A−TおよびC:G−C’塩基トリプレットの三重構造を形成する(Moser, H E. and Dervan, P.B. (1987) Science 238, 645-650;Cooney, et al (1988) Science 241, 456-459)。分子内三重鎖はまた、DNAホモプリンおよびホモピリミジン鎖が溶解して再度畳まれる場合に形成される(Vasqueza, .M. and Wilson, J. H. (1998) Trends Bioche. Sci. 23, 4-9)。第三の鎖の存在は、DNAの柔軟性に重大な制限をもたらし、主溝にそって特定タンパク質を認識するその能力を変化させ(Shields, G.C., et al. (1997) Am. Chem. Soc, 119, 7463-7469;Jimenez-Garcia, E., et al. (1998) J. Biol. Chem. 273, 24640-24648)、転写の阻害および究極的には遺伝子発現の低下をもたらす。配列特異的に二本鎖DNAまたはRNAに結合することができるオリゴヌクレオチドは、転写/翻訳レギュレーターとして作用することができ、遺伝子発現の調節を制御するための有望な抗遺伝子/アンチセンス戦略を提供した(Giovannangeli, C. and Helene, C. (1997) Antisense Nucleic Acid Drug Dev., 413;Giovannangeli, C, et al. (1996) Biochemistry 35, 10539;Maher, L.J., et al. (1992) Biochemistry 31, 70)。しかし、安定な三重鎖の形成条件は、塩基認識の制限および三重鎖形成性オリゴヌクレオチドのプロトン化に必要な非生理学的酸性pH条件のために、問題が多い。
【0011】
かかる安定な三重鎖を形成する試みにおいて、リンカーを介して結合している(すなわち、5’→3’の極性を有する1つの配列に続いて、3’→5’の極性を有する別の配列、またはその逆)、極性の逆転したポリピリミジンオリゴヌクレオチドが記載されている(Froehler, US5,399,676;Froehler US5,527,899;Froehler US5,721,218)。かかる極性の逆転したオリゴヌクレオチドにおいて、逆位の片側の配列は、三重らせんコードにより二重鎖のポリプリン鎖に結合し、反対側の配列は二重鎖の逆の鎖において隣接して位置するポリプリン部位に結合するであろう(ダイアグラム1A)。この様式において、三重らせん認識の拡張は、必要でありかつ標的配列ストレッチが利用可能である場合には、二重鎖の1つの鎖から別の鎖へ、さらにもとに戻るようにと認識を切り替えることによって可能である。さらに、これらのオリゴヌクレオチドはまた、ダイアグラム1Bに示すように、二重鎖と共にDループを形成してもよい。この状況において、第一極性の領域は三重鎖を形成でき、一方逆転部位は、二重鎖の1つの鎖の部分を置換して、その領域において置換二重鎖をもたらす。スイッチバックオリゴヌクレオチドは大きな二重結合活性を持ち得るため、これらのオリゴヌクレオチドは、二重鎖の形態の、疾患の原因となる望ましくないDNAまたはRNAを不活性化するのに有用となり得る。しかし、このような分子の組成物は、二重鎖RNAまたはDNAのポリプリン部位を標的とする、ポリピリミジン配列に限定されている。
【化1】

【0012】
代替的に、三重らせん形成によって一本鎖DNAおよびRNAを標的とする戦略が開発されている。1つのアプローチは、逆転極性のフォールドバック型三重鎖形成性オリゴヌクレオチドを用いて、ポリピリミジンDNAまたはRNA一本鎖を標的とすることである(Kandimalla, E.R., et al. (1995) J. Am. Chem. Soc. 117, 6416-6417;Kandimalla, E.R., and Agrawal, S. (1996) Biochemistry 35, 15332)。かかるフォールドバック型三重鎖形成性オリゴヌクレオチドにおいて、ポリピリミジンオリゴヌクレオチドおよびその相補的ポリプリン鎖は、3’−3’連結または5’−5’連結を介して連結される。3’−3’または5’−5’結合を介して連結された相補的配列を含むかかるオリゴヌクレオチドは、フーグスティーンまたは逆フーグスティーン塩基対合を介して、並行鎖二重鎖を形成する。相補的ポリピリミジン鎖が利用可能な場合、これらは三重らせん構造を形成する(ダイアグラム2)。
【化2】

【0013】
相当の努力にも関わらず、的外れな効果なしで安定性を改善し、標的認識を維持するための取り組みは、臨床的効用を有すると考えられるオリゴヌクレオチドを一般に生成していない。したがって、現在のアンチセンスベースの技術は、生物学的に安定で、標的特異的であり、遺伝子発現の効率的な阻害剤である化合物を作製するチャレンジについて開かれている。したがって新しいアプローチが必要とされている。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、遺伝子発現を調整するのに有用な、オリゴヌクレオチドベースの化合物を用いた化合物、組成物、および方法に関し、該オリゴヌクレオチドベースの化合物は、その5’末端を通して結合されて2または3以上のアクセス可能な3’末端の存在を許容する、2または3以上の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドを含有し、遺伝子発現を効果的に阻害または低減する。驚くべきことには、本発明者らは、かかるオリゴヌクレオチド化合物は、非結合アンチセンスオリゴヌクレオチドよりも効果的であることを見出した。
【0015】
第1の側面において、本発明は、1または2以上のmRNA配列に相補的な2または3以上のオリゴヌクレオチドを含む新規な合成オリゴヌクレオチドベースの化合物であって、ここで該オリゴヌクレオチドは、その5’末端で結合されて2または3以上のアクセス可能な3’末端の存在を許容し、および前記1または2以上のRNA配列に特異的にハイブリダイズしてその発現を阻害する、前記化合物を提供する。
【0016】
第2の側面において、本発明は、医薬組成物を提供する。これらの組成物は、第1の側面による任意の合成オリゴヌクレオチドベースの化合物を、薬学的または生理学的に許容し得る担体中に含んでよい。
【0017】
第3の側面において、本発明は、遺伝子発現を阻害する方法であって、細胞を、本発明の第1の側面による合成オリゴヌクレオチドベースの化合物と接触させることを含む、前記方法を提供する。
【0018】
第4の側面において、本発明は、哺乳動物における遺伝子発現を阻害する方法であって、該哺乳動物に対して、本発明の第1の側面による合成オリゴヌクレオチドベースの化合物を投与することを含む、前記方法を提供する。
【0019】
第5の側面において、本発明は、哺乳動物におけるTLR媒介性、Bcl−2媒介性、EGFR媒介性、mdm2媒介性、MyD88媒介性、PCSK9媒介性、サバイビン媒介性、またはVEGF媒介性の応答を、本発明の第1の側面による合成オリゴヌクレオチドベースの化合物であって、オリゴヌクレオチドが、1または2以上の、TLR、Bcl−2、EGFR、mdm2、MyD88、PCSK9、サバイビン、またはVEGFのmRNA配列に相補的である、前記化合物の投与を介して阻害する方法を提供する。
【0020】
第6の側面において、本発明は、哺乳動物におけるTLR媒介性、Bcl−2媒介性、EGFR媒介性、mdm2媒介性、MyD88媒介性、PCSK9媒介性、サバイビン媒介性、またはVEGF媒介性の応答を、本発明の第1の側面による合成オリゴヌクレオチドベースの化合物であって、オリゴヌクレオチドが、1または2以上の、TLR、Bcl−2、EGFR、mdm2、MyD88、PCSK9、サバイビン、またはVEGFのmRNA配列に相補的である前記化合物を、TLR、EGFR、mdm2、MyD88、PCSK9、サバイビン、またはVEGFタンパク質の活性のアンタゴニストと組み合わせて投与することを介して、阻害する方法を提供する。
【0021】
第7の側面において、本発明は、哺乳動物における遺伝子発現を阻害する方法であって、該哺乳動物に対して、本発明によるオリゴヌクレオチドベースの化合物を投与することを含む、前記方法を提供する。いくつかの態様において、哺乳動物はヒトである。いくつかの好ましい態様において、本発明によるオリゴヌクレオチドベースの化合物は、その免疫応答を阻害することが必要な哺乳動物に投与される。
【0022】
第8の側面において、本発明は、疾患または障害を有する患者を治療的に処置する方法を提供し、かかる方法は、該患者に対して、本発明によるオリゴヌクレオチドベースの化合物を、治療有効量で投与することを含む。種々の態様において、処置する疾患または障害は、癌、自己免疫障害、感染症、気道炎症、炎症性疾患、皮膚障害、アレルギー、喘息、または病原菌による疾患である。病原菌は、限定することなく、細菌、寄生生物、真菌、ウイルス、ウイロイド、およびプリオンを含む。
【0023】
第9の側面において、本発明は、疾患または障害を予防する方法を提供し、かかる方法は、疾患または障害を発症するリスクのある対象に対して、本発明によるオリゴヌクレオチドベースの化合物を、薬学的有効量で投与することを含む。種々の態様において、予防する疾患または障害は、癌、自己免疫障害、気道炎症、炎症性疾患、感染症、アレルギー、喘息、または病原菌による疾患である。病原菌は、限定することなく、細菌、寄生生物、真菌、ウイルス、ウイロイド、およびプリオンを含む。
【0024】
第10の側面において、本発明は、障害を予防または処置する方法を提供し、かかる方法は、以下を含む:サイトカインまたはケモカインであって、限定することなく、免疫細胞、T調節細胞、B細胞、PBMC、pDC,およびリンパ球細胞を含む前記サイトカインまたはケモカインを産生することができる細胞を単離すること;かかる細胞を、標準細胞培養条件下で培養すること、かかる細胞をex vivoで本発明の第1の側面によるオリゴヌクレオチドベースの化合物で処理して、単離された細胞が低減されたレベルのサイトカインまたはケモカインを産生または分泌するようにすること;および、処理された細胞を治療の必要な患者に対して投与または再投与して、疾患の予防および/または処置のためにサイトカインおよび/またはケモカインを阻害すること。本発明のこの側面は、活性免疫細胞を産生する標準の養子細胞免疫療法技術に従ってもよい。
【0025】
第11の側面において、本発明は、本発明の第1の側面による化合物および、1または2以上のワクチン、抗原、抗体、細胞毒性剤、化学療法剤(伝統的化学療法および新しい標的療法の両方)、キナーゼ阻害剤、アレルゲン、抗生物質、アゴニスト、アンタゴニスト、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、RNAi分子、siRNA分子、miRNA分子、アプタマー、タンパク質、遺伝子治療ベクター、DNAワクチン、アジュバント、共刺激分子、またはこれらの組み合わせを含有する、組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1A】図1Aは、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドのリニア合成のための合成スキームである。DMTr=4,4’−ジメトキシトリチル、CE=シアノエチル。
【0027】
【図1B】図1Bは、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドのパラレル合成のための合成スキームである。DMTr=4,4’−ジメトキシトリチル、CE=シアノエチル。
【0028】
【図2A】図2Aおよび2Bは、マウスTLR9を発現するHEK293細胞における、本発明の例示のアンチセンスオリゴヌクレオチドのアンチセンス活性を表す図である。データは、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドの、例2に従って培養および処理した細胞における、TLR9アゴニスト活性を阻害する能力を実証する。
【図2B】図2Aおよび2Bは、マウスTLR9を発現するHEK293細胞における、本発明の例示のアンチセンスオリゴヌクレオチドのアンチセンス活性を表す図である。
【0029】
【図2C】図2Cは、マウスTLR7を発現するHEK293細胞における、本発明の例示のアンチセンスオリゴヌクレオチドのアンチセンス活性を表す図である。データは、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドの、例2に従って培養および処理した細胞における、TLR7アゴニスト活性を阻害する能力を実証する。
【0030】
【図2D】図2Dは、マウスMyD88を発現するHEK293細胞における、本発明の例示のアンチセンスオリゴヌクレオチドのアンチセンス活性を表す図である。データは、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドの、例2に従って培養および処理した細胞における、MyD88アゴニスト活性を阻害する能力を実証する。
【0031】
【図3】図3は、マウス脾細胞における、本発明の例示のアンチセンスオリゴヌクレオチドのアンチセンス活性を表す図である。データは、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドの、例2に従って処理した脾細胞における、TLR9mRNAの翻訳またはタンパク質合成を阻害する能力を実証する。
【0032】
【図4】図4は、ヒトPBMCにおける、本発明の例示のアンチセンスオリゴヌクレオチドのアンチセンス活性を表す図である。データは、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドの、例2に従って処理したヒトPBMCにおける、TLR9mRNAの翻訳またはタンパク質合成を阻害する能力を実証する。
【0033】
【図5A】図5Aおよび5Bは、例3に従ってin vivo投与の後の、TLR9誘導性IL−12を阻害する、本発明の例示のアンチセンスオリゴヌクレオチドの活性を表す図である。データは、本発明の例示のTLR9アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与が、in vivoでのTLR9発現の下方制御を引き起こし、TLR9アゴニストによるIL−12の誘導を防止可能であることを実証する。さらに一般的には、データは、本発明のTLR9アンチセンスオリゴヌクレオチドの、TLR9アゴニストによる炎症誘発性サイトカインの誘導を阻害する能力を実証する。
【図5B】図5Aおよび5Bは、例3に従ってin vivo投与の後の、TLR9誘導性IL−12を阻害する、本発明の例示のアンチセンスオリゴヌクレオチドの活性を表す図である。
【0034】
【図5C】図5Cは、例3に従ってin vivo投与の後の、MyD88誘導性IL−12を阻害する、本発明の例示のアンチセンスオリゴヌクレオチドのin vivo活性の持続時間を表す図である。データは、本発明の例示のMyD88アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与が、in vivoでのMyD88発現の下方制御を引き起こし、TLR9アゴニストによるIL−12の誘導を、リニアアンチセンスオリゴヌクレオチドまたは3’−3’結合アンチセンスオリゴヌクレオチドのどちらよりも長く、防止可能であることを実証する。さらに一般的には、データは、本発明のMyD88アンチセンスオリゴヌクレオチドの、TLR9アゴニストによる炎症誘発性サイトカインの誘導を阻害する能力を実証する。
【0035】
【図6】図6は、例3に従ってin vivo投与の後の、TLR9誘導性IL−12を用量依存的に阻害する、本発明の例示のアンチセンスオリゴヌクレオチドの活性を表す図である。データは、本発明のTLR9アンチセンスオリゴヌクレオチドのin vivo投与が、in vivoでのTLR9発現の用量依存的な下方制御を引き起こし、TLR9アゴニストによるIL−12の誘導を防止可能であることを実証する。さらに一般的には、データは、本発明のTLR9アンチセンスオリゴヌクレオチドの、TLR9アゴニストによる炎症誘発性サイトカインの誘発を選択的に阻害する能力を実証する。
【0036】
【図7】図7は、例3に従ってin vivo投与の後の、TLR9誘導性IL−12を時間依存的に阻害する、本発明の例示のアンチセンスオリゴヌクレオチドの活性を表す図である。データは、本発明のTLR9アンチセンスオリゴヌクレオチドのin vivo投与が、in vivoでのTLR9発現の時間依存的な下方制御を引き起こし、TLR9アゴニストによるIL−12の誘導をより長い時間防止可能であることを実証する。さらに一般的には、データは、本発明のTLR9アンチセンスオリゴヌクレオチドの、TLR9アゴニストによる炎症誘発性サイトカインの誘導を時間依存的に阻害する能力を実証する。
【0037】
【図8A】図8A、8Bおよび8Cは、マウスJ774細胞における、本発明の例示のアンチセンスオリゴヌクレオチドのアンチセンス活性を表す図である。データは、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドの、例2に従って処理されたマウスJ774細胞における、TLR9mRNAの、転写、翻訳、またはタンパク質合成を阻害する能力を実証する。
【図8B】図8A、8Bおよび8Cは、マウスJ774細胞における、本発明の例示のアンチセンスオリゴヌクレオチドのアンチセンス活性を表す図である。
【図8C】図8A、8Bおよび8Cは、マウスJ774細胞における、本発明の例示のアンチセンスオリゴヌクレオチドのアンチセンス活性を表す図である。
【0038】
【図8D】図8Dは、ヒトHeLa細胞における、本発明の例示のアンチセンスオリゴヌクレオチドのアンチセンス活性を表す図である。データは、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドの、例2に従って処理されたヒトHeLa細胞における、VEGFmRNAの転写を阻害する能力を実証する。
【0039】
【図9】図9は、ヒトB細胞における、本発明の例示のアンチセンスオリゴヌクレオチドのアンチセンス活性を表す図である。データは、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドの、例2に従って処理されたヒトB細胞における、TLR9mRNAの翻訳またはタンパク質合成を阻害する能力を実証する。
【0040】
【図10】図10は、ヒトpDCにおける、本発明の例示のアンチセンスオリゴヌクレオチドのアンチセンス活性を表す図である。データは、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドの、例2に従って処理されたヒトpDCにおける、TLR9mRNAの翻訳またはタンパク質合成を阻害する能力を実証する。
【0041】
【図11】図11は、例3に従ってin vivo投与の後の、TLR9誘導性IL−12を阻害する、本発明の例示のアンチセンスオリゴヌクレオチドの活性を表す図である。データは、本発明の例示のTLR9アンチセンスオリゴヌクレオチドのin vivo投与が、in vivoでのTLR9発現の下方制御を引き起こし、TLR9アゴニストによるIL−12の誘導を防止可能であることを実証する。さらに一般的には、データは、本発明のTLR9アンチセンスオリゴヌクレオチドの、TLR9アゴニストによる炎症誘発性サイトカインの誘導を阻害する能力を実証する。
【0042】
【図12】図12は、マウスTLR7を発現するHEK293細胞における、本発明の例示のアンチセンスオリゴヌクレオチドのアンチセンス活性を表す図である。データは、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドの、例2に従って培養および処理された細胞における、TLR7アゴニスト活性を阻害する能力を実証する。
【0043】
【図13】図13は、例4に従って処理された、本発明の例示のアンチセンスオリゴヌクレオチドの、選択的結合および切断を表す図である。図13において、レーン1は基質のみであり;レーン2はT1ヌクレアーゼであり;レーン3は5'-AAUGCUUGUCUGUGCAGUCC-3'(配列番号28)であり;レーン4は5'-AAUGCUUGUCUGUGCAGUCC-X-CCUGACGUGUCUGUUCGUAA-5'であり;レーン5は3'-CCUGACGUGUCUGUUCGUAA-X-AAUGCUUGUCUGUGCAGUCC-3'(配列番号21)であり;レーン6は5'-AAUGCUUGUCUGUGCAGUCC-AAUGCUUGUCUGUGCAGUCC-3'であり;レーン7は5'-CUGUCoAoAoAoUoGoCoUoUoGoUoCoUoGoUoGoCoAoGoUoCoCoACGAU-3'(配列番号29)であり;レーン8はdsRNAであり;およびレーン9は20マーDNAアンチセンスであり;ここで全ての配列は、「o」(ホスホジエステル結合)で表したものを除き、ホスホロチオアート主鎖を有し;下線のヌクレオチドは、2’−O−メチルリボヌクレオチドを表す。データは、本発明のオリゴヌクレオチドが、遺伝子発現のRNAi媒介性阻害に関連するタンパク質および酵素による結合および切断について、最適な構造を提供することを実証する。
【0044】
好ましい態様の詳細な説明
本発明は、新規なアンチセンスオリゴヌクレオチドの、遺伝子発現を下方制御するための治療的および予防的使用に関する。かかる分子は、例えば遺伝子発現を調節するための組成物の提供において、または、患者、対象、動物もしくは生物における遺伝子発現の調節に応答可能な疾患および/または病態を処置するか、および/または予防することにおいて、有用である。
【0045】
本明細書に引用された特許および出版物は当分野の知識のレベルを反映し、これらはその全体がここに参照として組み込まれる。これら特許および出版物と本明細書の教示の間におけるいかなる不一致も、後者を支持して解決されるものとする。
【0046】
本発明の目的、その種々の特徴、および発明それ自体は、添付の図面と共に読む場合に以下の説明からより完全に理解することができ、ここでは、以下の用語は認められた意味を有する。
【0047】
用語「2’−O−置換」とは、ペントース部分の2’位の、次のものよる置換を意味する:1〜6個の飽和または不飽和炭素原子を含む−O−低級アルキル基(例えば、限定はしないが2’−O−メチル)による、または2〜6個の炭素原子を有する−O−アリールまたはアリル基による置換であって、ここで、かかるアルキル、アリールまたはアリル基は、非置換であるかまたは置換されていてもよく(例えば2’−O−メトキシエチル、エトキシ、メトキシ、ハロ、ヒドロキシル、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、アシル、アシルオキシ、アルコキシ、カルボキシル、カルバルコキシル(carbalkoxyl)、もしくはアミノ基により);または、ヒドロキシル基、アミノ基、またはハロ基による置換、ただし2’−H基による置換ではない。いくつかの態様において、本発明のオリゴヌクレオチドは、その5’終端において4または5個の2’−O−アルキルヌクレオチド、および/またはその3’ 終端において4または5個の2’−O−アルキルヌクレオチドを含む。
【0048】
指向的に用いられる場合、「3’」という語は一般的に、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの別の領域または位置から、同じポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの3’の(ヌクレオチドの3’末端に向かう)領域または位置をいう。
【0049】
「3’末端」という語は一般的に、構成成分オリゴヌクレオチドの3’末端ヌクレオチドを指す。「その3’末端で結合している2または3個以上のオリゴヌクレオチド」は一般的に、オリゴヌクレオチドの3’末端ヌクレオチド間の結合を指し、これは直接的に5’、3’、または2’ヒドロキシル基を介してもよく、または間接的に非ヌクレオチドリンカーを介してもよい。かかる結合はまた、ヌクレオシドを介して、ヌクレオシドの2’および3’ヒドロキシル位置の両方を利用してもよい。かかる結合はまた、3’末端ヌクレオチドの機能性糖または核酸塩基を利用してもよい。
【0050】
指向的に用いられる場合、「5’」という語は一般的に、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの別の領域または位置から、同じポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの5’(ヌクレオチドの5’末端に向かう)領域または位置をいう。
【0051】
「5’末端」という語は一般的に、構成成分オリゴヌクレオチドの5’末端ヌクレオチドを指す。「その5’末端で結合している2または3個以上の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド」は一般的に、オリゴヌクレオチドの5’末端ヌクレオチド間の結合を指し、これは直接的に5’、3’、または2’ヒドロキシル基を介してもよく、または間接的に非ヌクレオチドリンカーを介してもよい。かかる結合はまた、ヌクレオシドを介して、ヌクレオシドの2’および3’ヒドロキシル位置の両方を利用してもよい。かかる結合はまた、5’末端ヌクレオチドの機能性糖または核酸塩基を利用してもよい。
【0052】
「約」という語は、一般的に、正確な数が重要でないことを意味する。したがって、1または2少ない数のヌクレオシド残基または1から数個の追加のヌクレオシド残基を有するオリゴヌクレオチドは、上記のそれぞれの態様の等価物として意図される。
【0053】
「アクセス可能な(accessible)」の語は、本発明の化合物に関連する場合、一般に、分子の関連部分が、化合物に対する意図された応答を示すために必要な細胞成分によって認識され得ることを意味する。
【0054】
「アゴニスト」の語は、一般に、細胞の受容体に結合して応答を引き起こす物質をいう。アゴニストはしばしば、リガンドなどの天然の物質の作用を模倣する。
【0055】
「アンタゴニスト」の語は、一般に、アゴニストまたはリガンドの効果を弱める物質をいう。
【0056】
「気道炎症」という語は一般的に、限定することなく、アレルゲンに起因する気道の炎症を含み、これは喘息を含む。
【0057】
「アレルゲン」という語は一般的に、対象への曝露によってアレルギー反応を引き起こすところの、抗原または通常はタンパク質である分子の抗原部分をいう。典型的には、対象は、例えば膨疹および発赤試験(wheal and flare test)または当該技術分野において知られたあらゆる方法によって示されるように、アレルゲンに対してアレルギー性である。分子は、たとえ対象の小さなサブセットのみが、該分子への曝露によってアレルギー性(例えばIgE)免疫応答を示す場合でも、アレルゲンという。
【0058】
「アレルギー」という語は一般的に、限定することなく、食物アレルギー、呼吸器アレルギーおよび皮膚アレルギーを含む。
【0059】
「抗原」という語は一般的に、抗体またはT細胞抗原受容体によって認識され、選択的に結合される物質のことをいう。抗原は、これに限定されないが、ペプチド、タンパク質、脂質、炭水化物、ヌクレオシド、ヌクレオチド、核酸、およびそれらの組み合わせを含んでよい。抗原は天然または合成であってよく、一般的にその抗原に特異的な免疫応答を誘導する。
【0060】
「自己免疫障害」という語は一般的に、「自分」の抗原が免疫系の攻撃を被る障害をいう。かかる語は、限定することなく、エリテマトーデス、多発性硬化症、I型糖尿病、過敏性腸症候群、クローン病、関節リウマチ、敗血性ショック、全身性脱毛症、急性播種性脳脊髄炎、アジソン病、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、水疱性類天疱瘡、シャーガス病、慢性閉塞性肺疾患、ハイドロックス病(hydrox disease)、皮膚筋炎、子宮内膜症、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、橋本病、汗腺膿瘍、特発性血小板減少性紫斑病、間質性膀胱炎、限局性強皮症、重症筋無力症、ナルコレプシー、神経性筋強直、天疱瘡、悪性貧血、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、統合失調症、シェーグレン症候群、側頭動脈炎(「巨細胞性動脈炎」)、血管炎、白斑、外陰部痛およびウェゲナー肉芽腫症、自己免疫性喘息(autoimmune asthma)、敗血性ショック、および乾癬を含む。
【0061】
「生物学的不安定性」の語は一般的に、in vivoで分解され続いて不活性化される、分子の能力をいう。オリゴヌクレオチドについて、かかる分解はエキソヌクレアーゼ活性および/またはエンドヌクレアーゼ活性から生じ、ここでエキソヌクレアーゼ活性は、ヌクレオチドをオリゴヌクレオチドの3’または5’末端から切断することをいい、エンドヌクレアーゼ活性とは、ホスホジエステル結合をオリゴヌクレオチドの末端以外の位置において切断することをいう。
【0062】
「癌」という語は一般的に、限定することなく、異常なまたは制御されていない細胞増殖および/または分裂に起因する、あらゆる悪性増殖または腫瘍をいう。癌はヒトおよび/または哺乳動物で起こり得、任意のおよび全ての組織において生じ得る。癌を有する患者の処置は、異常なまたは制御されていない細胞増殖および/もしくは分裂または転移が影響を受けるように、本発明の化合物、医薬製剤またはワクチンを投与することを含んでよい。
【0063】
「担体」という語は一般的に、あらゆる賦形剤、希釈剤、充填剤、塩、緩衝剤、安定剤、可溶化剤、油、脂質、脂質含有ベシクル、マイクロスフェア、リポソーム被包、または医薬製剤に用いられるその他の材料を包含する。担体、賦形剤または希釈剤の特性は、特定の用途に対する投与経路に依存するであろうことが理解されるだろう。これらの材料を含有する薬学的に許容し得る製剤の調製は、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences, 18th Edition, ed. A. Gennaro, Mack Publishing Co., Easton, PA, 1990などに記載されている。
【0064】
「共投与」または「共投与された」という語は一般的に、少なくとも2つの異なる物質を、免疫応答を調節するために、十分に近い時間で投与することをいう。共投与は、少なくとも2つの異なる物質の、任意の順序における単一用量または分離された用量での、同時投与および、数日までの時間的間隔が置かれた順序で投与することをいう。
【0065】
「組み合わせて」という語は一般的に、本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物ならびに、患者の処置過程において該化合物の活性を無効にしない、疾患および病態を処置するのに有用な別の剤を投与することを意味する。かかる投与は、同時投与、および数秒から数日までの時間的間隔が置かれた順序を含む、あらゆる順序で行われてよい。かかる組合せ処置はまた、本発明の化合物および/または独立して他の剤の、単回より多くの投与を含んでよい。本発明の化合物および他の剤の投与は、同一または異なる経路によるものであってよい。
【0066】
「個体」または「対象」または「患者」の語は一般的に、ヒトなどの哺乳動物をいう。
【0067】
「キナーゼ阻害剤」の語は一般的に、細胞における、リン酸化依存性の細胞シグナル伝達および/または増殖経路に拮抗するか、これを阻害する分子をいう。キナーゼ阻害剤は、天然または合成であってよく、経口療法として投与され得る小分子を含む。キナーゼ阻害剤は、標的のキナーゼ分子の活性化を迅速かつ特異的に阻害する能力を有する。タンパク質キナーゼは魅力的な薬物標的であり、その理由の一部は、これらが広範囲のシグナル伝達および増殖経路を調節し、多くの異なるタンパク質を含むからである。そのため、キナーゼ阻害剤は、癌、心臓血管疾患、炎症性疾患、糖尿病、黄斑変性症、および神経障害を含む、キナーゼシグナル伝達が関与する疾患の処置に大きな可能性を有する。キナーゼ阻害剤の非限定的例は、ソラフェニブである。
【0068】
「リニア合成」という語は一般的に、1つのオリゴヌクレオチドの1つの末端から開始して、他端まで線形的に進行する合成をいう。リニア合成は、同一または非同一(長さ、塩基組成、および/または組込まれた化学的修飾に関して)どちらかのモノマー単位をオリゴヌクレオチドに組込むことを可能にする。
【0069】
「哺乳動物」という語は明示的に、温血脊椎動物を含むことを意図し、これには限定することなく、ヒト、非ヒト霊長類、ラット、マウス、ネコ、イヌ、ウマ、畜牛、ウシ、ブタ、ヒツジおよびウサギを含む。
【0070】
「ヌクレオシド」という語は一般的に、糖、通常はリボース、デオキシリボース、ペントース、アラビノースまたはヘキソース、およびプリンまたはピリミジン塩基からなる化合物をいう。
【0071】
「ヌクレオチド」という語は一般的に、糖に連結したリン含有基を含むヌクレオシドをいう。
【0072】
「修飾ヌクレオシド」または「ヌクレオチド誘導体」という語は一般的に、修飾複素環式塩基、修飾糖部分、またはそれらのあらゆる組み合わせを含むヌクレオシドである。いくつかの態様において、修飾ヌクレオシドまたはヌクレオチド誘導体は、本明細書に記載されたように、非天然ピリミジンまたはプリンヌクレオシドである。本発明の目的のために、修飾ヌクレオシドまたはヌクレオチド誘導体、ピリミジンまたはプリンアナログあるいは非天然のピリミジンまたはプリンは互換的に用いることができ、これは非天然の塩基および/または非天然の糖部分を含むヌクレオシドをいう。本発明の目的のために、塩基は、それがグアニン、シトシン、アデニン、チミンまたはウラシルでない場合、非天然であると考えられ、糖は、それがβ−リボ−フラノシドまたは2’−デオキシリボ−フラノシドでない場合、非天然であると考えられる。
【0073】
本明細書で用いる場合、「修飾オリゴヌクレオチド」という語は、そのヌクレオチドの少なくとも2つが合成結合を介して共有結合しているオリゴヌクレオチドをいい、該合成結合とはすなわち、1つのヌクレオチドの5’末端と、5’ヌクレオチドホスフェートが任意数の化学基により置き換えられている他のヌクレオチドの3’末端との間の、ホスホジエステル結合以外の結合である。用語「修飾オリゴヌクレオチド」はまた、2’−O−、4’−C−メチレン−b−D−リボフラノシル核酸、アラビノース核酸、置換アラビノース核酸、ヘキソース核酸、ペプチド核酸、モルホリノ、ならびに、修飾塩基および/または糖を有する少なくとも1つのヌクレオチド、例えば2’−O−置換リボヌクレオチド、5’−メチルシトシンリボヌクレオチド、および/または3’−O−置換リボヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドも包含する。
【0074】
用語「核酸」は、ゲノム領域またはそれから転写されるRNA分子を包含する。いくつかの態様において、核酸はmRNAである。
【0075】
用語「リンカー」は一般に、糖、塩基、または主鎖を介した共有結合または非共有結合によりオリゴヌクレオチドに連結することができる、任意の部分をいう。非共有結合は、限定することなく、静電相互作用、親水性相互作用、πスタッキング相互作用、水素結合およびそれらの組み合わせであってよい。かかる非共有結合の非限定的例には、ワトソン−クリック塩基対合、フーグスティーン塩基対合および塩基スタッキングが含まれる。リンカーは、2または3以上のヌクレオシオドを連結するために用いることができ、またはリンカーは、オリゴヌクレオチドの5’および/または3’末端ヌクレオチドに連結することができる。かかるリンカーは、非ヌクレオチドリンカーまたはヌクレオシドリンカーのどちらかであることができる。
【0076】
用語「非ヌクレオチドリンカー」は一般に、共有結合または非共有結合によりオリゴヌクレオチドに連結させることができる2つのヌクレオチド間に直接存在する結合以外の、化学部分をいう。好ましくは、かかる非ヌクレオチドリンカーは、長さが約2オングストローム〜約200オングストロームであり、シスまたはトランス配向のどちらであってもよい。
【0077】
用語「ヌクレオチド間結合」は一般に、2つのヌクレオシドを、それらの糖(例えば3’−3’、2’−3’、2’−5’、3’−5’、5’−5’)を介して連結する化学結合をいい、隣接するヌクレオシドの間のリン原子および帯電した、または中性の基(例えばホスホジエステル、ホスホロチオアート、ホスホロジチオアートまたはメチルホスホナート)からなる。
【0078】
用語「オリゴヌクレオチド」は、複数の結合されたヌクレオシド単位から形成されるポリヌクレオシドをいい、これには例えば、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド、合成または天然のヌクレオチド、ホスホジエステルまたは修飾結合、天然塩基または修飾塩基、天然糖または修飾糖、またはこれらの成分の組み合わせを含んでよい。ヌクレオシド単位は、ウイルス、細菌、細胞残屑、またはオリゴヌクレオチドベースの組成物(例えばsiRNAおよびマイクロRNA)の一部であってよい。かかるオリゴヌクレオチドはまた、ゲノムDNAまたはcDNAを含む既存の核酸源からも得ることができるが、好ましくは合成法により産生される。ある態様において、各ヌクレオシド単位は、複素環式塩基およびペントフラノシル、トレハロース、アラビノース、2’−デオキシ−2’−置換ヌクレオシド、2’−デオキシ−2’−置換アラビノース、2’−O−置換アラビノースまたはヘキソース糖基を含む。ヌクレオシド残基は、多くの知られているヌクレオシド間結合の任意のものにより互いに結合することができる。かかるヌクレオシド間結合としては、限定することなく、ホスホジエステル、ホスホロチオアート、ホスホロジチオアート、メチルホスホナート、アルキルホスホナート、アルキルホスホノチオアート、ホスホトリエステル、ホスホルアミデート、シロキサン、カルボナート、カルボアルコキシ、アセトアミデート、カルバメート、モルホリノ、ボラノ、チオエーテル、架橋ホスホルアミデート、架橋メチレンホスホナート、架橋ホスホロチオアート、およびスルホンヌクレオシド間結合が挙げられる。「オリゴヌクレオチド」という語はまた、1または2以上の立体特異的ヌクレオシド間結合(例えば、(R)−または(S)−ホスホロチオアート、アルキルホスホナート、またはホスホトリエステル結合)を有するポリヌクレオシドを包含する。本明細書で使用される場合、用語「オリゴヌクレオチド」および「ジヌクレオチド」は明示的に、結合がリン酸基を含もうと含まなかろうと、あらゆるかかるヌクレオシド間結合を有するポリヌクレオシドおよびジヌクレオシドを含むことを意図する。ある例示の態様において、これらのヌクレオシド間結合は、ホスホジエステル、ホスホロチオアートまたはホスホロジチオアート結合、あるいはそれらの組み合わせであってよい。例示の態様において、合成オリゴヌクレオチドのヌクレオチドは、少なくとも1つのホスホロチオアートヌクレオチド間結合により結合される。ホスホロチオアート結合は、混合されたRpおよびSpエナンチオマーであってよく、またはこれは、RpもしくはSpどちらかの形態において立体規則性または実質的に立体規則性であってよい(Iyer et al. (1995) Tetrahedron Asymmetry 6: 1051-1054を参照のこと)。ある態様において、本発明のアンチセンス組成物内の1または2以上のオリゴヌクレオチドは、1または2以上の2’−O、4’−C−メチレン−b−D−リボフラノシル核酸を含み、ここでリボースは2’および4’炭素の間の結合により修飾されており、これが、リボースを3’末端の構造的立体配座に固定する。
【0079】
用語「一本鎖RNA配列に相補的なオリゴヌクレオチド」等とは、生理学的条件下で、オリゴヌクレオチドが、その核酸塩基と一本鎖RNA配列の核酸塩基とのワトソン−クリック相互反応により十分な数の水素結合を形成して、一本鎖RNA配列と二重らせんを形成することを意味する。これは、フーグスティーン水素結合を介して、二本鎖DNAまたはRNAと三重らせんを形成するオリゴヌクレオチドと対照的である。
【0080】
語「相補的」とは、生理学的条件下で、例えばワトソン−クリック塩基対合(オリゴヌクレオチドと一本鎖核酸の間の相互作用)により、またはフーグスティーン塩基対合(オリゴヌクレオチドと二本鎖核酸の間の相互作用)により、または任意の他の手段により(これには、オリゴヌクレオチドの場合、RNAに結合して擬結節形成を引き起こすことを含む)、核酸配列に結合するオリゴヌクレオチドを意味することを意図する。ワトソン−クリックまたはフーグスティーン塩基対合による生理学的条件下での結合は、核酸配列の機能との干渉を観察することにより、実際的に測定される。
【0081】
用語「ペプチド」は、該ペプチドがハプテンであろうと無かろうと、例えば抗体産生またはサイトカイン活性などの生物学的応答に影響するのに十分な長さおよび組成を有するアミノ酸のオリゴマーまたはポリマーを一般的にいう。用語「ペプチド」は、修飾アミノ酸(天然または非天然であるかどうかにかかわらず)を含んでもよく、かかる修飾は、これに限定されないが、リン酸化、グリコシル化、PEG化、脂質化(lipidization)およびメチル化を含む。
【0082】
用語「薬学的に許容し得る」とは、本発明の化合物の有効性または本発明の化合物の生物学的活性に干渉しない、非毒性物質を意味する。
【0083】
用語「生理学的に許容し得る」とは、細胞、細胞培養物、組織または有機体などの生体系に適合的な、非毒性物質をいう。好ましくは生体系は生物であり、例えば哺乳動物を含む脊椎動物、特にヒトである。
【0084】
用語「予防有効量」とは、一般に、望ましくない生物学的効果の発生を防止または減少させるのに十分な量をいう。
【0085】
用語「治療有効量」または「薬学的有効量」とは、一般に、例えば限定することなく、疾患または障害の兆候または症状の予防、低減、改善または除去を含む有益な結果などの望ましい生物学的効果に対して、影響を及ぼすのに十分な量をいう。したがって、医薬組成物または方法の各活性成分の総量は、例えば限定することなく、免疫刺激を特徴とする慢性の病態の回復などの、有意義な患者の利益を示すのに十分である。したがって、「薬学的有効量」は、それが投与される状況に依存するであろう。薬学的有効量は、1または2以上の予防的または治療的投与において投与してよい。それのみで投与される個別の活性成分に適用される場合、この用語は、その成分のみをさす。組み合わせに適用される場合は、この用語は、組み合わせ投与か、連続投与か、または同時投与であるかどうかにかかわらず、治療効果をもたらす活性成分の組み合わせの量をさす。
【0086】
「処置」という語は一般的に、症状の緩和、または疾病の進行を遅らせるかまたは改善することを含み得る、有益な、または所望の結果を得ることを意図したアプローチをいう。
【0087】
[遺伝子発現]の語は、一般に、遺伝子からの情報が機能的遺伝子産物の合成に用いられるプロセスをいい、該産物はタンパク質であってよい。このプロセスには、タンパク質の転写、RNAスプライシング、翻訳、および翻訳語修飾が関与することができ、タンパク質合成のためのmRNA、プレRNA、リボソームRNA、およびその他のテンプレートを含むことができる。
【0088】
第1の側面において、本発明は、その5’末端で結合された2または3以上の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む、新規なオリゴヌクレオチドベースの化合物を提供し、ここで該化合物は、2または3以上のアクセス可能な3’末端を有する。構成成分オリゴヌクレオチドの5’末端での結合は他のオリゴヌクレオチド結合から独立しており、直接的に5’、3’または2’ヒドロキシル基を介してもよく、または、間接的に非ヌクレオチドリンカーもしくはヌクレオシドを介した、ヌクレオシドの2’または3’ヒドロキシル位置のどちらかを利用したものでもよい。結合はまた、5’末端ヌクレオチドの機能性糖または核酸塩基を利用してもよい。
【0089】
本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物は、ホスホジエステル、ホスホロチオアート、または非ヌクレオシドリンカーを介してその5’−5’末端で結合(conjugate)された、2つの同一または異なる配列を含む(ダイアグラム3)。かかる化合物は、遺伝子産物のアンチセンス下方制御のための、対象であるmRNA標的の特定部位に相補的な15〜27のヌクレオチドを含む。同一配列を含む本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物は、特定のmRNAに、ワトソン−クリック水素結合相互作用を介して結合することができ、タンパク質発現を阻害する(ダイアグラム3)。異なる配列を含む本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物は、1または2以上のmRNA標的の2または3以上の異なる領域に結合することができ、タンパク質発現を阻害する。かかる化合物は、標的mRNAに相補的なヘテロヌクレオチド配列から構成され、ワトソン−クリック水素結合を介して安定な二重鎖構造を形成する。驚くべきことには、2つの自由な3’末端(5’−5’連結アンチセンス)を含むかかる配列は、1つの自由な3’末端を含むか、または自由な3’末端なしのものよりも、強力な遺伝子発現の阻害剤である。
【化3】

【0090】
本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物は、遺伝子発現の阻害が有益である疾患を処置および/または予防するのに有用である。本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物としては、限定することなく、天然のヌクレオチド、修飾ヌクレオチド、修飾オリゴヌクレオチドおよび/または主鎖修飾オリゴヌクレオチドを含有する、アンチセンスオリゴヌクレオチドが挙げられる。しかし、mRNAがコードするタンパク質の翻訳を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドは、望ましくない生物学的効果、例えば不十分なアンチセンス活性、不適切なバイオアベイラビリティ、準最適な薬物動態または薬力学、意図されない免疫刺激、的外れな活性、および生物学的不安定性を含むがこれに限定されない効果を生成する可能性がある。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドの最適設計は、標的RNA配列に相補的な分子の単純な設計を超えた、多くの考慮を必要とする。したがって、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドの調製には、アンチセンス活性への二次構造干渉を制限し、オリゴヌクレオチドの標的特異性を強化し、結合または競合因子(例えばタンパク質)との相互反応を最小化し、細胞取り込み、バイオアベイラビリティ、薬物動態および薬力学を最適化し、および/または免疫細胞活性化を阻害、予防または抑制するのに必要な変更を組み込むことが意図される。
【0091】
本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物の一般構造は、次の式により記載することができる。
【0092】
3’−Nn...N1N2N3N4−5’−L−5’−N8N7N6N5...Nm−3’(式1)
【0093】
式中、Lはヌクレオチドリンカーまたは非ヌクレオチドリンカーであり;N1〜N8は、その各々の出現において、独立してヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体であり;NmおよびNnは、その各々の出現において、独立してヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体であり;および、式中、mおよびnは独立して0から約40までの数値である。代表的な非ヌクレオチドリンカーを、表1に示す。
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【表1−4】

【表1−5】

【0094】
いくつかの態様において、小分子リンカーは、式:HO−(CH−CH(OH)−(CH−OHのグリセロールまたはグリセロール相同体であって、式中、oおよびpは独立して、1〜約6、1〜約4、または1〜約3の整数である。いくつかの別の態様において、小分子リンカーは、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパンの誘導体である。いくつかのかかる誘導体は、式:HO−(CH−C(O)NH−CH−CH(OH)−CH−NHC(O)−(CH−OHを有し、式中、mは、0〜約10、0〜約6、2〜約6、または2〜約4の整数である。
【0095】
本発明のいくつかの非ヌクレオチドリンカーは、2つより多くの本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物の連結を可能とする。例えば、小分子リンカーグリセロールは3つのヒドロキシル基を有し、これに、かかるオリゴヌクレオチドは共有的に連結される。したがって本発明のいくつかオリゴヌクレオチドベースの化合物は、1つのヌクレオチドまたは1つの非ヌクレオチドリンカーに結合した2または3以上のオリゴヌクレオチドを含有する。かかる本発明のオリゴヌクレオチドは、「分枝状」であるという。
【0096】
本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物は、2または3以上の自由な3’末端を有する少なくとも2つの結合アンチセンスオリゴヌクレオチドを含んでよい。2または3以上のオリゴヌクレオチドを結合可能ないくつかの方法を、表2に示す。
【表2】

【0097】
式IIおよび/またはVのある態様において、Lはリンカーまたはヌクレオチド結合であり、ドメインAおよび/またはドメインBは、同一の標的RNA配列または異なる標的RNA配列に選択的にハイブリダイズするよう設計された、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0098】
式II、III、IVまたはVのある態様において、Lはリンカーであり、ドメインAおよび/またはドメインBおよび/またはドメインCは、同一の標的RNA配列または異なる標的RNA配列に選択的にハイブリダイズするよう設計された、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。例えば、一態様において、式IIおよび/またはIIIのドメインAおよび/またはドメインBおよび/またはドメインCは、同一の標的RNA配列列に選択的にハイブリダイズするよう設計された、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。この態様において、ドメインAおよび/またはドメインBおよび/またはドメインCは、標的RNA配列上の同一の領域に、または同一標的RNA配列の異なる領域に、ハイブリダイズするよう設計することができる。
【0099】
本発明のこの側面のさらなる態様において、ドメインA、ドメインBおよびドメインCは、独立してRNAまたはDNAベースのオリゴヌクレオチドである。この態様のある側面において、オリゴヌクレオチドは、混合された主鎖オリゴヌクレオチドを含有する。
【0100】
別の態様において、式IVのドメインAおよび/またはドメインBおよび/またはドメインCの1または2以上は、1つの標的RNA配列に選択的にハイブリダイズするよう設計された、アンチセンスオリゴヌクレオチドであり、残りのドメインAおよび/またはドメインBおよび/またはドメインCの1または2以上は、異なる標的RNA配列に選択的にハイブリダイズするよう設計された、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0101】
別の態様において、式IVのドメインA、ドメインBまたはドメインCの1または2以上は、細胞表面または細胞内受容体のアンタゴニストである。ある態様において、アンタゴニストはTLRアンタゴニストである。
【0102】
別の態様において、式II、III、IVおよび/またはVのドメインAおよび/またはドメインBおよび/またはドメインCの1または2以上は、ドメインがsiRNA分子を含むような様式で相補的RNAベースのオリゴヌクレオチドにハイブリダイズされた、RNAベースのオリゴヌクレオチドである。
【0103】
本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物の、構成成分オリゴヌクレオチドは、少なくとも14ヌクレオチド長の長さであるが、好ましくは15〜40ヌクレオチド長、好ましくは20〜30ヌクレオチド長である。したがって、本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物の、構成成分オリゴヌクレオチドは、独立して、長さが14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40ヌクレオチド長であることができる。これらのオリゴヌクレオチドは、当分野に認識されている方法により調製することができ、例えば、手動または自動合成機により実施可能なホスホルアミデートまたはH−ホスホナート化学による。代表的な合成アプローチを、図1Aおよび1Bに示す。本発明の合成アンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、mRNAにハイブリダイズするそれらの能力を損なうことなく、多くの方法により修飾してよい。かかる修飾には、オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのヌクレオチド間結合が、以下であるものが挙げられる:アルキルホスホナート、ホスホロチオアート、ホスホロジチオアート、メチルホスホナート、ホスフェートエステル、アルキルホスホノチオアート、ホスホルアミデート、カルバメート、カルボナート、ホスフェートヒドロキシル、アセトアミデート、またはカルボキシメチルエステル、または、これらとその他のヌクレオチド間結合(該結合は、1つのヌクレオチドの5’末端と他のヌクレオチドの3’末端の間の結合であって、ここで、5’ヌクレオチドホスホジエステル結合が、任意数の化学基で置き換えられているもの)との組み合わせ。
【0104】
本発明の合成アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヌクレオチド間結合の組み合わせを含んでよい。例えば、米国特許第5,149,797号には、メチルホスホナートまたはホスホルアミデート隣接領域間にあるホスホロチオアートコア領域を有する、伝統的なキメラオリゴヌクレオチドが記載されている。さらに、米国特許第5,652,356号には、オリゴヌクレオチドホスホロチオアートの1または2以上の領域が側面にある、1または2以上の非イオン性オリゴヌクレオチド領域(例えばアルキルホスホナートおよび/またはホスホルアミデートおよび/またはホスホトリエステルヌクレオシド間結合)を含む、「逆転」キメラオリゴヌクレオチドが開示されている。修飾ヌクレオチド間結合を有する種々の合成アンチセンスオリゴヌクレオチドは、標準法に従って調製可能である。ある態様においては、ホスホロチオアート結合は、混合されたRpおよびSpエナンチオマーであってよく、またはこれは、RpもしくはSpどちらかの形態において立体規則性または実質的に立体規則性に作製してもよい。
【0105】
本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物のその他の修飾としては、オリゴヌクレオチド分子の内部または末端(1または2以上)におけるものであって、ヌクレオシド間ホスフェート結合の分子への付加物を含み、例えばコレステロール、コレステリル、またはアミノ基と末端リボースの間に種々の数の炭素残基を有するジアミン化合物、および、デオキシリボースおよびホスフェート修飾物であって、反対側の鎖またはゲノムに結合する関連酵素もしくは他のタンパク質を切断するか、これに架橋するものである。かかる修飾オリゴヌクレオチドの例としては、2’−O、4’−C−メチレン−b−D−リボフラノシル、またはリボースの代わりにアラビノースなどの、修飾塩基および/または糖を有するオリゴヌクレオチド、または、その3’および5’位の両方において、ヒドロキシル基以外(その3’位において)またはホスフェート基以外(その5’位において)の化学基に連結している糖を有する、3’および5’−置換オリゴヌクレオチドが挙げられる。
【0106】
本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物の糖に対するその他の修飾には、リボース部分の2’位への修飾を含み、これには、限定することなく、1〜6個の飽和または不飽和炭素原子を含む−O−アルキル基により、または2〜6個の炭素原子を有する−O−アリールもしくは−O−アリル基により置換された2’−O−を含み、かかる−O−アルキル、−O−アリールまたは−O−アリル基は、非置換であるか、または例えばハロ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、アシル、アシルオキシ、アルコキシ、カルボキシ、カルバルコキシル(carbalkoxyl)、もしくはアミノ基により置換されていてもよい。これらの置換のいずれも、リボースの場合には天然の2’−ヒドロキシル基を有する他の残基、およびデオキシリボースの場合には2’H−の存在を除外することを意図しない。
【0107】
本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物は、1または2以上のリボヌクレオチドを含むことができる。例えば、米国特許第5,652,355号には、DNAコア領域に隣接する2’−O−置換リボヌクレオチドの領域を有する、伝統的なハイブリッドオリゴヌクレオチドが開示されている。米国特許第5,652,356号には、2つのオリゴデオキシリボヌクレオチド領域の間の2’−O−置換(または、2’OH、非置換)RNA領域を含むオリゴヌクレオチドを含む、「逆転」ハイブリッドオリゴヌクレオチドが開示されており、これは、「伝統的な」ハイブリッドオリゴヌクレオチドに対して「逆転」した構造である。本発明の特に有用なオリゴヌクレオチドの非限定的例は、2’−O−アルキル化リボヌクレオチドをその3’、5’、または3’および5’終端において有し、ここで少なくとも4個の、いくつかの例示の態様では5個の隣接するヌクレオチドがそのように修飾されている。2’−O−アルキル化基の非限定的例としては、2’−O−メチル、2’−O−エチル、2’−O−プロピル、2’−O−ブチルおよび2’−O−メトキシ−エチルを含む。
【0108】
本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物は、自動合成機および、図1Bに模式的に示し、さらに例1に記載したホスホルアミダイトアプローチを用いて、便利に合成することができる。いくつかの態様において、本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物は、リニア合成アプローチ(図1A参照)により合成される。
【0109】
合成の代替様式は「パラレル合成」であり、ここでは合成は、中心リンカー部分から外側に進行する(図1参照)。米国特許第5,912,332号に記載のように、固体支持体結合リンカーをパラレル合成に用いることができる。代替的に、汎用固体支持体(例えば、ホスフェート連結制御細孔ガラス(phosphate attached controlled pore glass))を用いることもできる。
【0110】
本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物のパラレル合成は、リニア合成に対していくつかの利点を有する:(1)パラレル合成は、同一のモノマー単位の組み込みを可能とする;(2)リニア合成と異なり、両方(または全ての)モノマー単位が同時に合成され、これにより、合成ステップ数および合成に必要な時間は、モノマー単位のそれらと同じである;および(3)合成ステップの低減は、最終の免疫調節オリゴヌクレオチド産物の純度および収率を改善する。
【0111】
リニア合成またはパラレル合成プロトコルのどちらかによる合成の最後に、本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物は、濃縮アンモニア溶液により、またはもし修飾ヌクレオシドが組み込まれている場合はホスホルアミダイト供給業者の推奨にしたがって、便利に脱保護することができる。オリゴヌクレオチドベースの化合物の産物は、好ましくは、逆相HPLC、脱トリチル化、脱塩および透析により精製される。
【0112】
本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物の非限定的なリストを、次の表3の配列番号1〜配列番号175に示す。表3に示すように、オリゴヌクレオチドベースの化合物はホスホロチオアート(PS)結合を有するが、ホスホジエステル(o)結合も含んでよい。当業者はしかし、ホスホジエステルまたは非ホスホジエステル部分に基づくその他の結合も含有してよいことを認識する。
【表3−1】

【表3−2】

【表3−3】

【表3−4】

【表3−5】

【表3−6】

【表3−7】

【表3−8】

【表3−9】

【表3−10】

【表3−11】

【表3−12】

【表3−13】

【表3−14】

【0113】
本発明のこの側面において、本組成物は、一定のオリゴヌクレオチド組成物の免疫刺激活性が欠けている。一定のオリゴヌクレオチドベースの組成物は、免疫刺激モチーフを有し得ることが知られている。この免疫刺激活性には、オリゴヌクレオチドが非結合であるか、またはその3’末端で結合していることが必要である。したがって、式I、II、IIIまたはIVに示すように、5’末端での結合を利用する本発明のオリゴヌクレオチドベースの組成物の結果として、その任意の固有の免疫刺激活性は、非結合であるかまたは3’末端もしくは2’−5’様式で結合しているオリゴヌクレオチドベースの組成物に存在する免疫刺激活性と比べて、阻害されることが意図される。
【0114】
本発明者らは、驚くべきことに、本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物の構造が、RNaseH媒介性および/またはRNAi媒介性の遺伝子発現阻害に関与する酵素およびその他のタンパク質による結合について、最適な化合物を提供することを見出した。したがって、本発明のこの側面のさらなる態様において、本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物は、RNaseH、ダイサー、アルゴノート、RISCまたはRNAi媒介性の遺伝子発現の阻害に関与するその他のタンパク質により、選択的に結合されることができる。この選択的結合は、in vitroおよびin vivoでのRNaseH媒介性および/またはRNAi媒介性の遺伝子発現阻害を利用するための、最適なオリゴヌクレオチドベースの化合物を提供する。
【0115】
第2の側面において、本発明は、本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物および生理学的に許容し得る担体を含む、医薬製剤を提供する。
【0116】
第3の側面において、本発明は、遺伝子発現を阻害する方法であって、細胞を、本発明の第1の側面による合成オリゴヌクレオチドベースの化合物と接触させることを含む、前記方法を提供する。
【0117】
第4の側面において、本発明は、哺乳動物において遺伝子発現を阻害する方法であって、該哺乳動物に対して、本発明の第1の側面による合成オリゴヌクレオチドベースの化合物を投与することを含む、前記方法を提供する。本発明のこの側面のさらなる態様において、本発明の第1の側面による合成オリゴヌクレオチドベースの化合物は、限定することなく、癌遺伝子を含む、細胞増殖に関連するある遺伝子の発現および活性を阻害し得ることが、意図される。
【0118】
第5の側面において、本発明は、哺乳動物におけるTLR媒介性、Bcl−2媒介性、EGFR媒介性、mdm2媒介性、MyD88媒介性、PCSK9媒介性、サバイビン媒介性、またはVEGF媒介性の応答を、本発明の第1の側面による合成オリゴヌクレオチドベースの化合物の投与を介して阻害する方法を提供し、ここでオリゴヌクレオチドは、TLRシグナル伝達、またはBcl−2、EGFR、mdm2、MyD88、PCSK9、サバイビン、もしくはVEGF活性に関与する分子をコードする、1または2以上のmRNA配列に相補的である。
【0119】
第6の側面において、本発明は、哺乳動物におけるTLR媒介性、Bcl−2媒介性、EGFR媒介性、mdm2媒介性、MyD88媒介性、PCSK9媒介性、サバイビン媒介性、またはVEGF媒介性の応答を、本発明の第1の側面による合成オリゴヌクレオチドベースの化合物であって、オリゴヌクレオチドが1または2以上の、TLR、Bcl−2、EGFR、mdm2、MyD88、PCSK9、サバイビン、またはVEGFのmRNA配列に相補的である前記化合物を、TLR、Bcl−2、EGFR、mdm2、MyD88、PCSK9、サバイビン、またはVEGFタンパク質の活性のアンタゴニストと組み合わせて投与することを介して、阻害する方法を提供する。
【0120】
第7の側面において、本発明は、哺乳動物における遺伝子発現を阻害する方法であって、該哺乳動物に対して、本発明によるオリゴヌクレオチドベースの化合物を投与することを含む、前記方法を提供する。いくつかの態様において、哺乳動物はヒトである。好ましい態様において、本発明によるオリゴヌクレオチドベースの化合物は、その免疫応答を阻害することが必要な哺乳動物に投与される。
【0121】
第8の側面において、本発明は、疾患または障害を有する患者を治療的に処置する方法を提供し、かかる方法は、該患者に対して、本発明によるオリゴヌクレオチドベースの化合物を、治療有効量で投与することを含む。種々の態様において、処置する疾患または障害は、癌、自己免疫障害、感染症、気道炎症、炎症性疾患、アレルギー、喘息、または病原菌による疾患である。病原菌は、細菌、寄生生物、真菌、ウイルス、ウイロイド、およびプリオンを含む。
【0122】
第9の側面において、本発明は、疾患または障害を予防する方法を提供し、かかる方法は、疾患または障害を発症するリスクのある対象に対して、本発明によるオリゴヌクレオチドベースの化合物を、薬学的有効量で投与することを含む。対象は、該対象が疾患もしくは障害の病原因子に暴露されてきたか、される可能性があるか、またはされるであろう場合に、または疾患もしくは障害になる遺伝的素因を有する場合に、疾患または障害を発症するリスクがあると考えられる。種々の態様において、予防する疾患または障害は、癌、自己免疫障害、気道炎症、炎症性疾患、感染症、アレルギー、喘息、または病原菌による疾患である。病原菌は、細菌、寄生生物、真菌、ウイルス、ウイロイド、およびプリオンを含む。
【0123】
第10の側面において、本発明は、障害を予防または処置する方法を提供し、かかる方法は、以下を含む:サイトカインまたはケモカインであって、限定することなく、免疫細胞、T調節細胞、B細胞、PBMC、pDC,およびリンパ球細胞を含む前記サイトカインまたはケモカインを産生可能な細胞を単離すること;かかる細胞を、標準細胞培養条件下で培養すること、かかる細胞をex vivoで本発明の第1の側面によるオリゴヌクレオチドベースの化合物で処理して、単離された細胞が低減されたレベルのサイトカインまたはケモカインを産生または分泌するようにすること;および、処理された細胞を治療の必要な患者に対して投与または再投与して、疾患の予防および/または処置のためにサイトカインおよび/またはケモカインを阻害すること。本発明のこの側面は、活性免疫細胞を産生する標準の養子細胞免疫療法技術に従ってもよい。
【0124】
本発明のこの側面のいくつかの態様において、サイトカインまたはケモカインを産生することのできる細胞は、疾患または障害を有するかまたは有していない対象から単離してもよい。かかる単離には、同定および選択を含んでよく、標準の細胞単離手順を用いて実施することができ、これには、以下の特定の例に記載されたものを含む。このように単離された細胞は、標準の細胞培養手順に従い、標準の細胞培養条件を用いて培養され、これらには、以下の特定の例に記載された培養手順および条件を含んでよい。本発明のこの態様のさらなる側面において、単離された細胞は、少なくとも1つの本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物の存在下において、かかる1または2以上の本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物の不在下で培養した単離細胞と比較して、サイトカインおよび/またはケモカインの産生および/または分泌を抑制または阻害するのに十分な量および時間で、培養される。かかる時間は、数分から数時間、数日間であってよい。こうして単離および処理された細胞は、ドナーへの再投与の後に、または第2の患者への投与の後に使用が見出され、ここでかかるドナーまたは第2の患者は、サイトカインおよび/またはケモカインの産生および/または分泌の抑制または阻害を必要とするものである。例えば、ドナーへの再投与、または癌、自己免疫障害、気道炎症、炎症性疾患、感染症、アレルギー、喘息、または病原菌による疾患を有する第2の患者への投与である。かかる再投与または投与は、カテーテルまたは注射投与または任意のその他の有効な経路を含む、種々の様式で実施してよい。本発明のこの側面はまた、免疫応答を行うのに制限されたかまたは不完全な能力を有する可能性があるか、または免疫低下した(例えばHIVに感染した患者および骨髄移植患者)患者において、使用を見出すことができる。
【0125】
第11の側面において、本発明は、本発明の第1の側面による化合物および、1または2以上のワクチン、抗原、抗体、細胞毒性剤、化学療法剤(伝統的化学療法および新しい標的療法の両方)、キナーゼ阻害剤、アレルゲン、抗生物質、アゴニスト、アンタゴニスト、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、RNAi分子、siRNA分子、miRNA分子、アプタマー、タンパク質、遺伝子治療ベクター、DNAワクチン、アジュバント、共刺激分子、またはこれらの組み合わせを含む、組成物を提供する。
【0126】
本発明のいずれの方法においても、本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物は、直接的な遺伝子発現調節効果を、それのみで生成するか、および/または、本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物の遺伝子発現調節効果を減少させることなく疾患または病態を処置または予防するのに有用な、任意の他の剤と組み合わせて生成することにより、様々に作用することができる。本発明のいずれの方法においても、疾患または病態を処置または予防するのに有用な1または2以上の任意の他の剤としては、限定することなく、ワクチン、抗原、抗体、好ましくはモノクローナル抗体、細胞毒性剤、キナーゼ阻害剤、アレルゲン、抗生物質、siRNA分子、アンチセンスオリゴヌクレオチド、TLRアンタゴニスト(例えばTLR3および/またはTLR7のアンタゴニストおよび/またはTLR8のアンタゴニストおよび/またはTLR9のアンタゴニスト)、化学療法剤(伝統的化学療法および新しい標的療法の両方)、標的化治療剤、活性化細胞、ペプチド、タンパク質、遺伝子治療ベクター、ペプチドワクチン、タンパク質ワクチン、DNAワクチン、アジュバント、および共刺激分子(例えばサイトカイン、ケモカイン、タンパク質リガンド、トランス活性化因子、ペプチド、または修飾アミノ酸を含むペプチド)、またはこれらの組み合わせを含む。例えば、癌の処置において、本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物は、1または2以上の化学療法化合物、標的化治療剤および/またはモノクローナル抗体と組み合わせて投与できることが、意図される。代替的に、剤には、抗原またはアレルゲンをコードするDNAベクターを含むことができる。代替的に、本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物は、他の化合物(例えば脂質またはリポソーム)と組み合わせて投与して、本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物の特異性または遺伝子発現調節の程度を強化することができる。
【0127】
本発明のいずれの方法においても、本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物の、それのみまたは任意の他の剤と組み合わせた投与は、任意の適した経路で行うことができ、これには限定することなく、非経口、粘膜送達、経口、舌下、経皮、局所、吸入、鼻腔内、エアロゾル、眼内、気管内、直腸内、膣内、遺伝子銃、皮膚パッチ、点眼、または洗口形態を含む。本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物の治療組成物の投与は、既知の手順を用い、有効量および疾患の症状または代理マーカーを低減するのに有効な期間を用いて、実施することができる。例えば、疾患および/または障害を処置するための、本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物の有効量は、症状を改善もしくは低減するため、または腫瘍、癌、または細菌もしくはウイルスもしくは真菌感染症を遅延もしくは緩和するために必要な量であることができる。遺伝子発現を調節する組成物の投与の文脈において、本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物の有効量は、本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物の不在における遺伝子発現と比較して、所望の調節を達成するのに十分な量である。任意の特定用途についての有効量は、処置する疾患または病態、投与する特定のオリゴヌクレオチド、対象の大きさ、または疾患もしくは病態の重篤度などの要因に依存して変化し得る。当業者は、過度の実験を必要とすることなく、特定のオリゴヌクレオチドの有効量を経験的に決定することができる。
【0128】
全身的に投与する場合、治療組成物は好ましくは、本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物の血液レベルで約0.0001μM〜約10μMを達成するのに十分な用量で投与する。局所的投与については、これよりはるかに低い濃度が有効となり得、またはるかに高い濃度も耐容され得る。好ましくは、本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物の総用量は、1日患者当たり約0.001mg〜1日体重1kg当たり約200mgの範囲である。ある態様において、総用量は、0.08、0.16、0.32、0.48、0.32、0.64、1、10または30mg/体重1kgを毎日、週に2回、または毎週の投与であってよい。1または2以上の本発明の治療組成物の治療有効量を、同時に、または連続して、1個人に対する1回の処置エピソードとして投与することが望ましい場合もある。
【0129】
本発明のこの側面による方法は、遺伝子発現のモデル研究に有用である。方法はまた、ヒトまたは動物の疾患の、予防的または治療的処置に有用である。例えば、方法は、遺伝子発現用途の小児科的および獣医学的阻害に有用である。
【0130】
以下の例は、本発明のある好ましい態様をさらに説明することを意図し、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0131】
例1:
オリゴヌクレオチドベースの化合物の調製
本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物を、DNA/RNA自動合成機でホスホルアミダイト化学を用いて、化学的に合成した。TAC保護(Uを除く)2’−O−TBDMS RNAモノマー、A、G、CおよびUは、Sigma-Aldrichより購入した。7−デアザ−G、イノシンおよびロキソリビンモノマーは、ChemGenes Corporationより購入した。0.25Mの5−エチルチオ−1H−テトラゾール、PCA−無水Cap AおよびCap Bは、Glen Researchより購入した。ジクロロメタン(DCM)中の3%トリクロロ酢酸(TCA)および5%3H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン−1,1−ジオキシド(ビューケージ(Beaucage)試薬)は自家で作製した。
【0132】
本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物は、標準のRNA合成プロトコルを用いて、1〜2μMスケールで合成した。
【0133】
切断および塩基脱保護
本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物を固体支持体から切断し、溶液をさらに65℃に加熱して、エキソ環式アミンの保護基を除去した。得られた溶液は、SpeedVacで完全に乾燥した。
【0134】
1E HPLC精製
本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物を、イオン交換HPLCで精製した。
カラム:Dionex DNAPac 100カラム(22X250)
カラムヒーター:Chrom Tech TL-105HPLCカラムヒーター、温度は80℃に設定。
バッファーA:20mMのトリス−HCl、pH7.0、20%アセトニトリル。
バッファーB:3.0MのNaCl、20mMのトリス−HCl、pH7.0、20%アセトニトリル
流量:10ml/分
勾配:
0〜2分:0%B
2〜11分:0%Bから35%B
11〜41分:35%Bから90%B
41〜45分:100%B
【0135】
本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物の粗溶液をHPLCに注入した。上記の勾配を実施して、画分を収集した。90%を超える所望の産物を含有する全ての画分を混合し、次に溶液をほぼ乾燥するまでRoto Vapで濃縮した。RNAse非含有水を加えて、最終容量を10mlとした。
【0136】
C−18逆相脱塩
Watersから購入したCC-18 Sep-Pakカートリッジを、初めに10mlのアセトニトリルで、次に10mlの0.5M酢酸ナトリウムで調整した。10mlの本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物の溶液を負荷した。次に15mlの水を用いて塩を洗い流した。本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物を、水中の1mlの50%アセトニトリルにより溶出した。
【0137】
溶液をSpeedVac内に30分間置いた。残りの溶液を0.2マイクロフィルターに通し、次に乾燥まで凍結乾燥した。固体を次に再度水に溶解して、所望の濃度とした。
【0138】
最終溶液は0℃未満で保存した。
【0139】
キャピラリー電気泳動
本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物を、次の条件に従ってキャピラリー電気泳動で分析した。
機器:Beckman 5010
毛細管:62cmssDNA毛細管
試料の調製:0.2ODの本発明のオリゴヌクレオチドベースの組成物を200ulのRNAse非含有水に溶解した。
注入:5KVで5秒間の動電学的注入
走行条件:14KV、30℃で50分間
【0140】
イオン交換HPLC分析
本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物を、次の条件に従ってイオン交換HPLCで分析した。
カラム:Dionex DNAPac ガードカラム(22X250)
カラムヒーター:Chrom Tech TL-105HPLCカラムヒーター、温度は80℃に設定。
バッファーA:100mMのトリス−HCl、pH8.0、20%アセトニトリル。
バッファーB:2.0MのLiCl、100mMのトリス−HCl、pH8.0、20%アセトニトリル
流量:2ml/分
勾配:
0〜2分:0%B
2〜10分:0%Bから100%B
10〜15分:100%B
【0141】
PAGE分析
0.3ODの本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物を20%ポリアクリルアミドゲルに負荷し、これを4ワットの定常電力で約5時間走行させた。ゲルは短波長UV光のもとで観察した。
【0142】
例2:
ヒトPBMCの単離
新しく採取した健康なボランティアの血液(CBR Laboratories, Boston, MA)からの末梢血単核細胞(PBMC)を、Ficoll密度勾配遠心法(Histopaque-1077, Sigma)により単離した。
【0143】
ヒトpDCの単離
ヒト形質細胞様樹状細胞(pDC)を、新しく得た健康なヒトボランティアの血液PBMCから、製造業者の指示に従ってBDCA4細胞単離キット(Miltenyi Biotec)を用いて正の選択により単離した。
【0144】
PBMCおよびpDCの処理
ヒトPBMCを、5×10細胞/mlを用いて48ウェルプレートにプレートした。ヒトpDCを、1×10細胞/mlを用いて96ウェルディッシュにプレートした。例示の本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物をDPBS(pH7.4;Mediatech)に溶解し、これを細胞培養物に0、0.01、1.0または10.0μg/mlの用量で加えた。細胞を次に37℃で24時間インキュベートし、続いて10μg/mlのTLR9アゴニストで24時間刺激した。処理および刺激の後、上清をluminex多重またはELISAアッセイ用に収集した。一定の実験においては、IFN−α、IL−6、および/またはIL−12のレベルをサンドイッチELISAにより測定した。サイトカイン抗体および標準を含む必要な試薬は、PharMingenより購入した。
【0145】
TLR9アンチセンス活性のためのヒトB細胞アッセイ
ヒトB細胞を、PBMCから、CD19細胞単離キット(Miltenyi Biotec, Auburn, CA)を用い製造業者の指示に従って、正の選択により単離した。
【0146】
アッセイに用いた培養培地は、RPMI1640培地に1.5mMグルタミン、1mMピルビン酸ナトリウム、0.1mM非必須アミノ酸、50μMの2−メルカプトエタノール、100IU/mlのペニシリン−ストレプトマイシン混合物、および10%の熱不活性化ウシ胎仔血清を補足したものである。
【0147】
全体で1ml当たり0.5×10のB細胞(すなわち、1×10/200μl/ウェル)を、96ウェル平底プレート内で50μg/mlの例示の本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物と共に24時間インキュベートした。24時間後、細胞を10μg/mlのTLR9アゴニストで24時間刺激した。処理および刺激の後、細胞抽出物を調製し、TLR9mRNAの量について分析した。
【0148】
TLR9またはTLR7アンチセンス活性についてのHEK293細胞培養アッセイ
マウスTLR9またはTLR7を安定に発現するHEK293細胞(Invivogen, San Diego, CA)を、5%CO2インキュベータにおいて、48ウェルプレート内の、10%熱不活性化FBSを補足した250μL/ウェルのDMEM中にプレートした。80%の集密度において、培養物を一時的に、培養培地中4μL/mLのリポフェクタミン(Invitrogen, Carlsbad, CA)の存在下、ヒト胎児アルカリホスファターゼ(SEAP)レポータープラスミド(pNifty2-Seap)(Invivogen)の分泌形態400ng/mlを用いてトランスフェクトした。プラスミドDNAおよびリポフェクタミンを、無血清培地中で別々に希釈し、室温で5分間インキュベートした。インキュベーション後、希釈したDNAおよびリポフェクタミンを混合し、混合物をさらに室温で20分インキュベートした。100ngのプラスミドDNAおよび1μLのリポフェクタミンを含む、DNA/リポフェクタミン混合物の25μLのアリコートを、細胞培養プレートの各ウェルに加え、細胞を6時間トランスフェクトした。トランスフェクションの後、培地を新鮮な培養培地(抗生物質なし)に置き換えて、0、0.01、1または10μg/mlの、TLR9またはTLR7特異的な本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物をウェルに加え、インキュベーションを24時間継続した。アンチセンス処理に続いて、細胞を次に10μg/mlのTLR9またはTLR7アゴニストで24時間刺激した。
【0149】
処理および刺激の最後に、20μLの細胞上清を各ウェルから取り出し、SEAPアッセイについて、製造業者のプロトコル(Invivogen)に従ってQuanti Blue法によりアッセイした。データは、PBS対照に対するNF−κB活性の増加倍数で示す。
【0150】
TLR7、TLR8またはその他の特異的RNA標的アンチセンス活性についてのHEK293細胞培養アッセイ
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドの、TLR7またはTLR8またはその他の特異的RNA標的を阻害する活性を決定するために、次の手順に従った:マウスTLR7またはTLR8またはその他の特異的RNA標的を安定に発現するHEK293細胞(Invivogen, San Diego, CA)を、5%CO2インキュベータにおいて、48ウェルプレート内の、10%熱不活性化FBSを補足した250μL/ウェルのDMEM中にプレートした。80%の集密度において、培養物を一時的に、培養培地中4μL/mLのリポフェクタミン(Invitrogen, Carlsbad, CA)の存在下、ヒト胎児アルカリホスファターゼ(SEAP)レポータープラスミド(pNifty2-Seap)(Invivogen)の分泌形態400ng/mlを用いてトランスフェクトした。プラスミドDNAおよびリポフェクタミンを、無血清培地中で別々に希釈し、室温で5分間インキュベートした。インキュベーション後、希釈DNAおよびリポフェクタミンを混合し、混合物をさらに室温で20分インキュベートした。100ngのプラスミドDNAおよび1μLのリポフェクタミンを含む、DNA/リポフェクタミン混合物の25μLのアリコートを、細胞培養プレートの各ウェルに加え、細胞を6時間トランスフェクトした。トランスフェクションの後、培地を新鮮な培養培地(抗生物質なし)に置き換えて、0、0.01、1または10μg/mlの、本発明の特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドをウェルに加え、インキュベーションを24時間継続した。アンチセンス処理に続いて、細胞を次に10μg/mlの標的のアゴニストで24時間まで刺激した。
【0151】
処理および刺激の最後に、20μLの細胞上清を各ウェルから取り出し、SEAPアッセイについて、製造業者のプロトコル(Invivogen)に従ってQuanti Blue法によりアッセイした。データは、PBS対照に対するNF−κB活性の増加倍数で示す。
【0152】
TLR9アンチセンス活性についてのマウスJ774細胞アッセイ
マウスJ774マクロファージ細胞(American Type Culture Collection, Rockville, MD)を、10%(v/v)ウシ胎仔血清および抗生物質(100IU/mlのペニシリンG/100μg/mlのストレプトマイシン)を補足したダルベッコ修飾イーグル培地で培養した。J774細胞を、6ウェルプレートに5×10細胞/ウェルの密度でプレートした。用量依存性実験のために、J774細胞を次に、0、1、10、50または100μg/mlの本発明のTLR9特異的オリゴヌクレオチドベースの化合物で処理し、インキュベーションを24時間継続した。mRNAへの効果を決定する実験のために、J774細胞を次に、0、1、または3μg/mlの本発明のTLR9特異的オリゴヌクレオチドベースの化合物または対照オリゴヌクレオチドで処理し、インキュベーションを48時間継続した。タンパク質への効果を決定する実験のために、J774細胞を次に、0または50μg/mlの本発明のTLR9特異的オリゴヌクレオチドベースの化合物または対照オリゴヌクレオチドで処理し、インキュベーションを48時間継続した。アンチセンス処理に続いて、細胞抽出物を調製し、TLR9mRNAまたはTLR9タンパク質の量について分析した。
【0153】
VEGFアンチセンス活性についてのHeLa細胞アッセイ
5×10のHeLa細胞(ATCC, Manassas, VA)を、12ウェル培養プレート内の10%ウシ胎仔血清(FBS, Mediatech, Manassas, VA)を補足したダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM, Mediatech, Manassas, VA)にプレートした。細胞トランスフェクションには、5μlのリポフェクタミン(登録商標)2000(Invitrogen, Carlsbad, CA)および5μgのアンチセンスオリゴヌクレオチドを、100μlの無血清DMEM中に混合し、室温で15分間インキュベートした。細胞を無血清DMEMで1回洗浄し、100μlのリポフェクタミン/オリゴヌクレオチド複合体を900μlの無血清DMEMに加え、続いて5%COを用いて37℃で2時間インキュベーションした。リポフェクタミンのみの群は対照として用いる。培地を次に、10%FBSを加えたDMEMに変更し、24時間インキュベートした。24時間のインキュベーションの後、全RNAを、製造業者の指示に従ってQIAGEN RNeasyミニキット(QIAGEN, Valencia, CA)を用いて単離した。1μgのRNAを用いて、製造業者の推奨に従ってHigh Capacity cDNA Reverse Transcriptionキット(Applied biosystems, Carlsbad, CA)を用いてcDNAの逆転写を行った。定量的リアルタイムPCR(qPCR)には、VEGF用(カタログNO.Hs00900057_ml)およびGAPDH用(Hs99999905_ml)のプライマーおよびプローブを、Applied Biosystemsから購入した。50ngのcDNAを、qPCRにおいてTaqman(登録商標)Fast Universal PCR Master Mix(Applied Biosystems)と共に用いて、反応はApplied BiosystemsのStepOnePlus? Real-Time PCR Systemで製造業者の指示に従って実施した。データを図8Dに、ΔΔCT法を用いて、リポフェクタミン処理細胞に対する相対的なmRNAの量として示し、ここで、ΔCT=CTVEGF−CTGAPDHおよびΔΔCT=ΔCTオリゴヌクレオチド−ΔCTリポフェクタミンである。各バーは、2〜3の個別の実験を示す。
【0154】
TLR9アンチセンス活性についてのC57BL/6マウス脾細胞アッセイ
4〜8週齢のC57BL/6マウスからの脾細胞を、RPMI完全培地で培養した。マウス脾細胞を5×10細胞/mlで24ウェルディッシュにプレートし、TEバッファー(10mMのトリス−HCl、pH7.5、1mMのEDTA)に溶解した本発明のTLR9特異的オリゴヌクレオチドベースの化合物で処理し、37℃で24時間インキュベートした。アンチセンス処理の後、細胞を次に、10μg/mlのTLR9アゴニストで24時間刺激した。処理および刺激の後、上清を収集し、細胞培養上清物中のIL−12およびIL−6分泌を、サンドイッチELISAで測定した
【0155】
例3:
オリゴヌクレオチドベースの組成物のin vivo活性
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドのin vivo活性を評価するために、5〜6週齢の雌C57BL/6マウス(N=3/群)に、本発明の例示のオリゴヌクレオチドベースの組成物を0.25、2、または5mg/kgで、またはPBSを、左側腹部に皮下注射した。オリゴヌクレオチドベースの組成物の投与の24時間後、マウスに、0.25mg/kgのTLRアゴニストを右側腹部に皮下注射した。TLRアゴニスト投与の2時間後、血液を採取し、血清IL−12濃度をELISAにより決定した。データは、IL−12の絶対濃度またはIL−12産生のパーセンテージとして示す。
【0156】
オリゴヌクレオチドベースの組成物のin vivo活性の持続時間
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドのin vivo活性の持続時間を評価するために、5〜6週齢の雌C57BL/6マウス(N=3/群)に、本発明の例示のオリゴヌクレオチドベースの組成物を5mg/kgで、またはPBSを、左側腹部に皮下注射した。オリゴヌクレオチドベースの組成物の投与の24時間後、0.25mg/kgのTLRアゴニストをマウスの右側腹部に、1、3、5、7、10または14日目に皮下注射した。TLRアゴニストの各投与の2時間後、血液を採取し、血清IL−12濃度をELISAにより決定した。データは、IL−12の絶対濃度またはIL−12産生のパーセンテージとして示す。
【0157】
例4:
アンチセンス関連タンパク質および酵素による、オリゴヌクレオチドベースの化合物の選択的結合および切断
アンチセンス関連タンパク質および酵素の、本発明のオリゴヌクレオチドベースの化合物または対照オリゴヌクレオチドに結合および切断する特異性を評価するために、以下のように処理した:30mlのバッファー(10Xバッファー、Invitrogen)中の5’末端[γ―32P]ラベル標的mRNA(例えば配列番号21:10nMのヒト/マウスTLR7)および相補的RNAまたはDNA(10nM;ヒト/マウスTLR7)を85℃で5分間加熱し、室温に20分間冷却して、2本鎖のアニーリングを許容した。ヒトダイサー酵素(0.025U、Invitrogen)を反応溶液に加え、次に37℃で1時間インキュベートした。1mlの停止溶液(Invitrogen)および10mlのゲル負荷染料を試料溶液に加えて、よく撹拌した。試料を直ちに−80℃に冷凍した。RNA消化産物を16%変性PAGE上で分析し、ゲルをX線フィルムに暴露し、オートラジオグラムを現像した。結果を図13に示す。
【0158】
等価物
当業者は、ルーチンの実験以上のものを用いることなく、本明細書に記載の特定の物質および手順の多数の等価物を認識し、または解明することができる。例えば、オリゴヌクレオチドとオーバーラップするアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いてもよい。かかる等価物は本発明の範囲内と考えられ、以下のクレームに包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または2以上の一本鎖RNA配列に相補的な2または3以上のオリゴヌクレオチドを含む合成オリゴヌクレオチドベースの化合物であって、該オリゴヌクレオチドはその5’末端で結合されており、したがって前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は2または3以上のアクセス可能な3’末端を有し、および前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は前記1または2以上の一本鎖RNA配列に特異的にハイブリダイズしてその発現を阻害する、前記化合物。
【請求項2】
オリゴヌクレオチドが、それぞれが独立して15〜40ヌクレオチド長である、請求項1に記載のオリゴヌクレオチドベースの化合物。
【請求項3】
オリゴヌクレオチドが、ヌクレオチド結合を介して互いに結合されている、請求項1に記載のオリゴヌクレオチドベースの化合物。
【請求項4】
オリゴヌクレオチドが、リンカーを介して互いに結合されている、請求項1に記載のオリゴヌクレオチドベースの化合物。
【請求項5】
リンカーが、非ヌクレオチドリンカーである、請求項4に記載のオリゴヌクレオチドベースの化合物。
【請求項6】
オリゴヌクレオチドが、1または2以上のリボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、ロックされた核酸、アラビノ糖ヌクレオチド、またはこれらの組み合わせを含有する、請求項1に記載のオリゴヌクレオチドベースの化合物。
【請求項7】
少なくとも1つのオリゴヌクレオチドが修飾されている、請求項1に記載のオリゴヌクレオチドベースの化合物。
【請求項8】
修飾オリゴヌクレオチドが、アルキルホスホナート、ホスホロチオアート、ホスホロジチオアート、メチルホスホナート、および非ヌクレオチドリンカーからなる群から選択される少なくとも1つのヌクレオチド間結合を有する、請求項7に記載のオリゴヌクレオチドベースの化合物。
【請求項9】
修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの2’−O−置換ヌクレオチドを含有する、請求項7に記載のオリゴヌクレオチドベースの化合物。
【請求項10】
2’−O−置換が、2’−O−メチル、2’−O−メトキシ、2’−O−エトキシ、2’−O−メトキシエチル、2’−O−アルキル、2’−O−アリール、および2’−O−アリルから選択される、請求項9に記載のオリゴヌクレオチドベースの化合物。
【請求項11】
オリゴヌクレオチドベースの化合物が、遺伝子発現のRNAi媒介性阻害に関与するタンパク質によって選択的に結合されるか、および/または切断される、請求項1に記載のオリゴヌクレオチドベースの化合物。
【請求項12】
遺伝子発現のRNAi媒介性阻害に関与するタンパク質が、ダイサー、アルゴノート、およびRISCから選択される、請求項11に記載のオリゴヌクレオチドベースの化合物。
【請求項13】
オリゴヌクレオチドベースの化合物が、遺伝子発現のRNaseH媒介性阻害に関与するタンパク質によって選択的に結合されるか、および/または切断される、請求項1に記載のオリゴヌクレオチドベースの化合物。
【請求項14】
請求項1に記載のオリゴヌクレオチドベースの化合物および生理学的に許容し得る担体を含む、組成物。
【請求項15】
1または2以上の一本鎖RNA配列に相補的な2つのオリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドベースの化合物であって、該オリゴヌクレオチドはその5’末端で結合されており、したがって前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は2つのアクセス可能な3’末端を有し、および前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は前記1または2以上の一本鎖RNA配列に特異的にハイブリダイズしてその発現を阻害し、前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は、構造:
【化1】

ここで、ドメインAまたはドメインBの少なくとも1つは、相補的オリゴリボヌクレオチドにハイブリダイズされてsiRNAを形成するオリゴリボヌクレオチドである、
を有する、前記化合物。
【請求項16】
1または2以上の一本鎖RNA配列に相補的な3つのオリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドベースの化合物であって、該オリゴヌクレオチドはその5’末端で結合されており、したがって前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は2または3以上のアクセス可能な3’末端を有し、および前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は前記1または2以上の一本鎖RNA配列に特異的にハイブリダイズしてその発現を阻害し、前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は、構造:
【化2】

ここで、ドメインA、ドメインB、またはドメインCの少なくとも1つは、相補的オリゴリボヌクレオチドにハイブリダイズされてsiRNA分子を形成するオリゴリボヌクレオチドである、
を有する、前記化合物。
【請求項17】
1または2以上の一本鎖RNA配列に相補的な3つのオリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドベースの化合物であって、該オリゴヌクレオチドの2つはその5’末端で結合されており、したがって前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は2つのアクセス可能な3’末端を有し、および前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は前記1または2以上の一本鎖RNA配列に特異的にハイブリダイズしてその発現を阻害し、前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は、構造:
【化3】

ここで、ドメインA、ドメインB、またはドメインCの少なくとも1つは、相補的オリゴリボヌクレオチドにハイブリダイズされてsiRNA分子を形成するオリゴリボヌクレオチドである、
を有する、前記化合物。
【請求項18】
1または2以上の一本鎖RNA配列に相補的な4つのオリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドベースの化合物であって、該オリゴヌクレオチドはその5’末端で結合されており、したがって前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は2つのアクセス可能な3’末端を有し、および前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は前記1または2以上の一本鎖RNA配列に特異的にハイブリダイズしてその発現を阻害し、前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は、構造:
【化4】

ここで、ドメインAまたはドメインBまたはドメインCまたはドメインDの少なくとも1つは、相補的オリゴリボヌクレオチドにハイブリダイズされてsiRNA分子を形成するオリゴリボヌクレオチドである、
を有する、前記化合物。
【請求項19】
3つのオリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドベースの化合物であって、該オリゴヌクレオチドの2つはその5’末端で結合されており、したがって前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は2つのアクセス可能な3’末端を有し、前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は、構造:
【化5】

ここで、ドメインA、ドメインB、またはドメインCの少なくとも1つは、一本鎖RNA配列に相補的なオリゴヌクレオチドであり、したがって前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は少なくとも1つの一本鎖RNA配列に特異的にハイブリダイズしてその発現を阻害し、およびここで、ドメインA、ドメインB、またはドメインCの少なくとも1つは、細胞内または細胞外受容体のアンタゴニストであるオリゴヌクレオチドである、
を有する、前記化合物。
【請求項20】
受容体がTLRである、請求項19に記載のオリゴヌクレオチドベースの化合物。
【請求項21】
遺伝子発現を阻害する方法であって、前記方法は、細胞を、1または2以上の一本鎖RNA配列に相補的な2または3以上のオリゴヌクレオチドを含有する合成オリゴヌクレオチドベースの化合物に接触させることを含み、ここで、該オリゴヌクレオチドはその5’末端で結合されており、したがって該オリゴヌクレオチドは2または3以上のアクセス可能な3’末端を有し、および該オリゴヌクレオチドは前記1または2以上の一本鎖RNA配列に特異的にハイブリダイズしてその発現を阻害する、前記方法。
【請求項22】
遺伝子発現をin vivoで阻害する方法であって、前記方法は、哺乳動物に対して、1または2以上の一本鎖RNA配列に相補的な2または3以上のオリゴヌクレオチドを含有するオリゴヌクレオチドベースの化合物を、薬学的有効量で投与することを含み、ここで、該オリゴヌクレオチドはその5’末端で結合されており、したがって該オリゴヌクレオチドは2または3以上のアクセス可能な3’末端を有し、および該オリゴヌクレオチドは前記1または2以上の一本鎖RNA配列に特異的にハイブリダイズしてその発現を阻害する、前記方法。
【請求項23】
オリゴヌクレオチドが、Bcl−2、EGFR、mdm2、MyD88、PCSK9、サバイビン、またはVEGFをコードする1または2以上のRNAに相補的である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
オリゴヌクレオチドが、TLRをコードする1または2以上のRNAに相補的である、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
TLRが、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、およびTLR9から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
投与経路が、非経口、筋肉内、皮下、腹腔内、静脈内、粘膜送達、経口、舌下、経皮、局所、吸入、鼻腔内、エアロゾル、眼内、気管内、直腸内、膣内、遺伝子銃、皮膚パッチ、点眼、または洗口から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
各オリゴヌクレオチドが、異なる一本鎖RNA配列に相補的である、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
1または2以上のタンパク質が介在する疾患または障害を有する哺乳動物を治療的に処置する方法であって、前記方法は、該哺乳動物に対して、1または2以上の一本鎖RNA配列に相補的な2または3以上のオリゴヌクレオチドを含有する合成オリゴヌクレオチドベースの化合物を、薬学的有効量で投与することを含み、ここで、該オリゴヌクレオチドはその5’末端で結合されており、したがって該オリゴヌクレオチドは2または3以上のアクセス可能な3’末端を有し、および該オリゴヌクレオチドは前記1または2以上の一本鎖RNA配列に特異的にハイブリダイズしてその発現を阻害し、ここで該オリゴヌクレオチドの少なくとも1つは、前記1または2以上のタンパク質をコードする一本鎖RNAに相補的である、前記方法。
【請求項29】
1つより多くのオリゴヌクレオチドが、1または2以上のタンパク質をコードする一本鎖RNAに相補的である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
1または2以上のタンパク質の少なくとも1つが、Bcl−2、EGFR、mdm2、MyD88、PCSK9、サバイビン、VEGF、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、およびTLR9から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
1または2以上のタンパク質が、Bcl−2、EGFR、mdm2、MyD88、PCSK9、サバイビン、VEGF、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、およびTLR9から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
疾患または障害が、癌、自己免疫障害、気道炎症、炎症性疾患、感染症、皮膚障害、アレルギー、喘息、細菌もしくはウイルスもしくは真菌感染症、または病原菌による疾患から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
1種または2種以上のワクチン、抗原、抗体、細胞毒性剤、アレルゲン、抗生物質、TLRアゴニスト、TLRアンタゴニスト、siRNA分子、miRNA分子、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アプタマー、タンパク質、ペプチド、遺伝子治療ベクター、DNAワクチン、アジュバント、共刺激分子またはこれらの組み合わせをさらに投与することを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
投与経路が、非経口、筋肉内、皮下、腹腔内、静脈内、粘膜送達、経口、舌下、経皮、局所、吸入、鼻腔内、エアロゾル、眼内、気管内、直腸内、膣内、遺伝子銃、皮膚パッチ、点眼、または洗口から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項35】
1または2以上のタンパク質が介在する疾患または障害を発症するリスクを有する哺乳動物における、該疾患または障害を予防する方法であって、前記方法は、該哺乳動物に対して、1または2以上の一本鎖RNA配列に相補的な2または3以上のオリゴヌクレオチドを含有する合成オリゴヌクレオチドベースの化合物を、予防有効量で投与することを含み、ここで、該オリゴヌクレオチドはその5’末端で結合されており、したがって該オリゴヌクレオチドは2または3以上のアクセス可能な3’末端を有し、および該オリゴヌクレオチドは前記1または2以上の一本鎖RNA配列に特異的にハイブリダイズしてその発現を阻害し、ここで該オリゴヌクレオチドの少なくとも1つは、前記1または2以上のタンパク質をコードする一本鎖RNAに相補的である、前記方法。
【請求項36】
1または2以上のタンパク質の少なくとも1つが、Bcl−2、EGFR、mdm2、MyD88、PCSK9、サバイビン、VEGF、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、およびTLR9から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
1または2以上のタンパク質が、Bcl−2、EGFR、mdm2、MyD88、PCSK9、サバイビン、VEGF、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、およびTLR9から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
疾患または障害が、癌、自己免疫障害、気道炎症、炎症性疾患、感染症、皮膚障害、アレルギー、喘息、細菌もしくはウイルスもしくは真菌感染症、または病原菌による疾患から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
哺乳動物がヒトである、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
投与経路が、非経口、筋肉内、皮下、腹腔内、静脈内、粘膜送達、経口、舌下、経皮、局所、吸入、鼻腔内、エアロゾル、眼内、気管内、直腸内、膣内、遺伝子銃、皮膚パッチ、点眼、または洗口から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項41】
1種または2種以上のワクチン、抗原、抗体、細胞毒性剤、アレルゲン、抗生物質、アンチセンスオリゴヌクレオチド、TLRアゴニスト、TLRアンタゴニスト、siRNA分子、miRNA分子、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アプタマー、タンパク質、ペプチド、遺伝子治療ベクター、DNAワクチン、アジュバント、共刺激分子またはこれらの組み合わせをさらに投与することを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項42】
哺乳動物において、選択された分子の一本鎖RNA発現およびタンパク質活性を阻害する方法であって、該哺乳動物に対して、1または2以上の一本鎖RNA配列に相補的な2または3以上のオリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドベースの化合物を、薬学的有効量で、タンパク質活性のアンタゴニストと組み合わせて投与することを含み、ここで、該オリゴヌクレオチドはその5’末端で結合されており、したがって該オリゴヌクレオチドは2または3以上のアクセス可能な3’末端を有し、および該オリゴヌクレオチドは前記1または2以上の一本鎖RNA配列に特異的にハイブリダイズしてその発現を阻害する、前記方法。
【請求項43】
選択された分子がTLRである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
TLRアンタゴニストが、抗TLR抗体またはその結合断片もしくはペプチド模倣薬、RNAベースの化合物、オリゴヌクレオチドベースの化合物、およびかかるTLR活性の小分子阻害剤からなる群から選択される、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
オリゴヌクレオチドベースの化合物が、1または2以上の一本鎖RNA配列に相補的な2つのオリゴヌクレオチドを含み、ここで、該オリゴヌクレオチドはその5’末端で結合されており、したがって前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は2つのアクセス可能な3’末端を有し、および前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は、前記1または2以上の一本鎖RNA配列に特異的にハイブリダイズしてその発現を阻害し、前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は、構造:
【化6】

ここで、ドメインAまたはドメインBの少なくとも1つは、相補的オリゴリボヌクレオチドにハイブリダイズされてsiRNAを形成するオリゴリボヌクレオチドである、
を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項46】
オリゴヌクレオチドベースの化合物が、1または2以上の一本鎖RNA配列に相補的な3つのオリゴヌクレオチドを含み、ここで、該オリゴヌクレオチドはその5’末端で結合されており、したがって前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は2または3以上のアクセス可能な3’末端を有し、および前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は、前記1または2以上の一本鎖RNA配列に特異的にハイブリダイズしてその発現を阻害し、前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は、構造:
【化7】

ここで、ドメインA、ドメインB、またはドメインCの少なくとも1つは、相補的オリゴリボヌクレオチドにハイブリダイズされてsiRNA分子を形成するオリゴリボヌクレオチドである、
を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項47】
オリゴヌクレオチドベースの化合物が、1または2以上の一本鎖RNA配列に相補的な3つのオリゴヌクレオチドを含み、ここで、該オリゴヌクレオチドの2つはその5’末端で結合されており、したがって前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は2つのアクセス可能な3’末端を有し、および前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は、前記1または2以上の一本鎖RNA配列に特異的にハイブリダイズしてその発現を阻害し、前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は、構造:
【化8】

ここで、ドメインA、ドメインB、またはドメインCの少なくとも1つは、相補的オリゴリボヌクレオチドにハイブリダイズされてsiRNA分子を形成するオリゴリボヌクレオチドである、
を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項48】
オリゴヌクレオチドベースの化合物が、1または2以上の一本鎖RNA配列に相補的な4つのオリゴヌクレオチドを含み、ここで、該オリゴヌクレオチドはその5’末端で結合されており、したがって前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は2つのアクセス可能な3’末端を有し、および前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は、前記1または2以上の一本鎖RNA配列に特異的にハイブリダイズしてその発現を阻害し、前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は、構造:
【化9】

ここで、ドメインAまたはドメインBまたはドメインCまたはドメインDの少なくとも1つは、相補的オリゴリボヌクレオチドにハイブリダイズされてsiRNA分子を形成するオリゴリボヌクレオチドである、
を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項49】
オリゴヌクレオチドベースの化合物が、3つのオリゴヌクレオチドを含み、ここで、該オリゴヌクレオチドの2つはその5’末端で結合されており、したがって前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は2つのアクセス可能な3’末端を有し、前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は、構造:
【化10】

ここで、ドメインA、ドメインB、またはドメインCの少なくとも1つは、一本鎖RNA配列に相補的なオリゴヌクレオチドであり、したがって前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は、少なくとも1つの一本鎖RNA配列に特異的にハイブリダイズしてその発現を阻害し、およびここで、ドメインA、ドメインB、またはドメインCの少なくとも1つは、細胞内または細胞外受容体のアンタゴニストであるオリゴヌクレオチドである、
を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項50】
受容体がTLRである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
オリゴヌクレオチドベースの化合物が、1または2以上の一本鎖RNA配列に相補的な2つのオリゴヌクレオチドを含み、ここで、該オリゴヌクレオチドはその5’末端で結合されており、したがって前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は2つのアクセス可能な3’末端を有し、および前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は、前記1または2以上の一本鎖RNA配列に特異的にハイブリダイズしてその発現を阻害し、前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は、構造:
【化11】

ここで、ドメインAまたはドメインBの少なくとも1つは、相補的オリゴリボヌクレオチドにハイブリダイズされてsiRNAを形成するオリゴリボヌクレオチドである、
を有する、請求項28に記載の方法。
【請求項52】
オリゴヌクレオチドベースの化合物が、1または2以上の一本鎖RNA配列に相補的な3つのオリゴヌクレオチドを含み、ここで、該オリゴヌクレオチドはその5’末端で結合されており、したがって前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は2または3以上のアクセス可能な3’末端を有し、および前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は、前記1または2以上の一本鎖RNA配列に特異的にハイブリダイズしてその発現を阻害し、前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は、構造:
【化12】

ここで、ドメインA、ドメインB、またはドメインCの少なくとも1つは、相補的オリゴリボヌクレオチドにハイブリダイズされてsiRNA分子を形成するオリゴリボヌクレオチドである、
を有する、請求項28に記載の方法。
【請求項53】
オリゴヌクレオチドベースの化合物が、1または2以上の一本鎖RNA配列に相補的な3つのオリゴヌクレオチドを含み、ここで、該オリゴヌクレオチドの2つはその5’末端で結合されており、したがって前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は2つのアクセス可能な3’末端を有し、および前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は、前記1または2以上の一本鎖RNA配列に特異的にハイブリダイズしてその発現を阻害し、前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は、構造:
【化13】

ここで、ドメインA、ドメインB、またはドメインCの少なくとも1つは、相補的オリゴリボヌクレオチドにハイブリダイズされてsiRNA分子を形成するオリゴリボヌクレオチドである、
を有する、請求項28に記載の方法。
【請求項54】
オリゴヌクレオチドベースの化合物が、1または2以上の一本鎖RNA配列に相補的な4つのオリゴヌクレオチドを含み、ここで、該オリゴヌクレオチドはその5’末端で結合されており、したがって前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は2つのアクセス可能な3’末端を有し、および前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は、前記1または2以上の一本鎖RNA配列に特異的にハイブリダイズしてその発現を阻害し、前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は、構造:
【化14】

ここで、ドメインAまたはドメインBまたはドメインCまたはドメインDの少なくとも1つは、相補的オリゴリボヌクレオチドにハイブリダイズされてsiRNA分子を形成するオリゴリボヌクレオチドである、
を有する、請求項28に記載の方法。
【請求項55】
オリゴヌクレオチドベースの化合物が、3つのオリゴヌクレオチドを含み、ここで、該オリゴヌクレオチドの2つはその5’末端で結合されており、したがって前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は2つのアクセス可能な3’末端を有し、前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は、構造:
【化15】

ここで、ドメインA、ドメインB、またはドメインCの少なくとも1つは、一本鎖RNA配列に相補的なオリゴヌクレオチドであり、したがって前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は、少なくとも1つの一本鎖RNA配列に特異的にハイブリダイズしてその発現を阻害し、およびここで、ドメインA、ドメインB、またはドメインCの少なくとも1つは、細胞内または細胞外受容体のアンタゴニストであるオリゴヌクレオチドである、
を有する、請求項28に記載の方法。
【請求項56】
受容体がTLRである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
オリゴヌクレオチドベースの化合物が、1または2以上の一本鎖RNA配列に相補的な2つのオリゴヌクレオチドを含み、ここで、該オリゴヌクレオチドはその5’末端で結合されており、したがって前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は2つのアクセス可能な3’末端を有し、および前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は、前記1または2以上の一本鎖RNA配列に特異的にハイブリダイズしてその発現を阻害し、前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は、構造:
【化16】

ここで、ドメインAまたはドメインBの少なくとも1つは、相補的オリゴリボヌクレオチドにハイブリダイズされてsiRNAを形成するオリゴリボヌクレオチドである、
を有する、請求項35に記載の方法。
【請求項58】
オリゴヌクレオチドベースの化合物が、1または2以上の一本鎖RNA配列に相補的な3つのオリゴヌクレオチドを含み、ここで、該オリゴヌクレオチドはその5’末端で結合されており、したがって前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は2または3以上のアクセス可能な3’末端を有し、および前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は、前記1または2以上の一本鎖RNA配列に特異的にハイブリダイズしてその発現を阻害し、前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は、構造:
【化17】

ここで、ドメインA、ドメインB、またはドメインCの少なくとも1つは、相補的オリゴリボヌクレオチドにハイブリダイズされてsiRNA分子を形成するオリゴリボヌクレオチドである、
を有する、請求項35に記載の方法。
【請求項59】
オリゴヌクレオチドベースの化合物が、1または2以上の一本鎖RNA配列に相補的な3つのオリゴヌクレオチドを含み、ここで、該オリゴヌクレオチドの2つはその5’末端で結合されており、したがって前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は2つのアクセス可能な3’末端を有し、および該オリゴヌクレオチドベースの化合物は、前記1または2以上の一本鎖RNA配列に特異的にハイブリダイズしてその発現を阻害し、前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は、構造:
【化18】

ここで、ドメインA、ドメインB、またはドメインCの少なくとも1つは、相補的オリゴリボヌクレオチドにハイブリダイズされてsiRNA分子を形成するオリゴリボヌクレオチドである、
を有する、請求項35に記載の方法。
【請求項60】
オリゴヌクレオチドベースの化合物が、1または2以上の一本鎖RNA配列に相補的な4つのオリゴヌクレオチドを含み、ここで、該オリゴヌクレオチドはその5’末端で結合されており、したがって前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は2つのアクセス可能な3’末端を有し、および前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は、前記1または2以上の一本鎖RNA配列に特異的にハイブリダイズしてその発現を阻害し、該オリゴヌクレオチドベースの化合物は、構造:
【化19】

ここで、ドメインAまたはドメインBまたはドメインCまたはドメインDの少なくとも1つは、相補的オリゴリボヌクレオチドにハイブリダイズされてsiRNA分子を形成するオリゴリボヌクレオチドである、
を有する、請求項35に記載の方法。
【請求項61】
オリゴヌクレオチドベースの化合物が、3つのオリゴヌクレオチドを含み、ここで、該オリゴヌクレオチドの2つはその5’末端で結合されており、したがって前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は2つのアクセス可能な3’末端を有し、前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は、構造:
【化20】

ここで、ドメインA、ドメインB、またはドメインCの少なくとも1つは、一本鎖RNA配列に相補的なオリゴヌクレオチドであり、したがって前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は、少なくとも1つの一本鎖RNA配列に特異的にハイブリダイズしてその発現を阻害し、およびここで、ドメインA、ドメインB、またはドメインCの少なくとも1つは、細胞内または細胞外受容体のアンタゴニストであるオリゴヌクレオチドである、
を有する、請求項35に記載の方法。
【請求項62】
受容体がTLRである、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
オリゴヌクレオチドベースの化合物が、1または2以上の一本鎖RNA配列に相補的な2つのオリゴヌクレオチドを含み、ここで、該オリゴヌクレオチドはその5’末端で結合されており、したがって前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は2つのアクセス可能な3’末端を有し、および前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は、前記1または2以上の一本鎖RNA配列に特異的にハイブリダイズしてその発現を阻害し、前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は、構造:
【化21】

ここで、ドメインAまたはドメインBの少なくとも1つは、相補的オリゴリボヌクレオチドにハイブリダイズされてsiRNAを形成するオリゴリボヌクレオチドである、
を有する、請求項42に記載の方法。
【請求項64】
オリゴヌクレオチドベースの化合物が、1または2以上の一本鎖RNA配列に相補的な3つのオリゴヌクレオチドを含み、ここで、該オリゴヌクレオチドはその5’末端で結合されており、したがって前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は2または3以上のアクセス可能な3’末端を有し、および前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は、前記1または2以上の一本鎖RNA配列に特異的にハイブリダイズしてその発現を阻害し、前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は、構造:
【化22】

ここで、ドメインA、ドメインB、またはドメインCの少なくとも1つは、相補的オリゴリボヌクレオチドにハイブリダイズされてsiRNA分子を形成するオリゴリボヌクレオチドである、
を有する、請求項42に記載の方法。
【請求項65】
オリゴヌクレオチドベースの化合物が、1または2以上の一本鎖RNA配列に相補的な3つのオリゴヌクレオチドを含み、ここで、該オリゴヌクレオチドの2つはその5’末端で結合されており、したがって前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は2つのアクセス可能な3’末端を有し、および前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は、前記1または2以上の一本鎖RNA配列に特異的にハイブリダイズしてその発現を阻害し、前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は、構造:
【化23】

ここで、ドメインA、ドメインB、またはドメインCの少なくとも1つは、相補的オリゴリボヌクレオチドにハイブリダイズされてsiRNA分子を形成するオリゴリボヌクレオチドである、
を有する、請求項42に記載の方法。
【請求項66】
オリゴヌクレオチドベースの化合物が、1または2以上の一本鎖RNA配列に相補的な4つのオリゴヌクレオチドを含み、ここで、該オリゴヌクレオチドはその5’末端で結合されており、したがって前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は2つのアクセス可能な3’末端を有し、および前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は、前記1または2以上の一本鎖RNA配列に特異的にハイブリダイズしてその発現を阻害し、前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は、構造:
【化24】

ここで、ドメインAまたはドメインBまたはドメインCまたはドメインDの少なくとも1つは、相補的オリゴリボヌクレオチドにハイブリダイズされてsiRNA分子を形成するオリゴリボヌクレオチドである、
を有する、請求項42に記載の方法。
【請求項67】
オリゴヌクレオチドベースの化合物が、3つのオリゴヌクレオチドを含み、ここで、該オリゴヌクレオチドの2つはその5’末端で結合されており、したがって前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は2つのアクセス可能な3’末端を有し、前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は、構造:
【化25】

ここで、ドメインA、ドメインB、またはドメインCの少なくとも1つは、一本鎖RNA配列に相補的なオリゴヌクレオチドであり、したがって前記オリゴヌクレオチドベースの化合物は、少なくとも1つの一本鎖RNA配列に特異的にハイブリダイズしてその発現を阻害し、およびここで、ドメインA、ドメインB、またはドメインCの少なくとも1つは、細胞内または細胞外受容体のアンタゴニストであるオリゴヌクレオチドである、
を有する、請求項46に記載の方法。
【請求項68】
受容体がTLRである、請求項67に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2013−507905(P2013−507905A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−526977(P2012−526977)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際出願番号】PCT/US2010/046781
【国際公開番号】WO2011/031520
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(398032717)イデラ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (38)
【氏名又は名称原語表記】Idera Pharmaceuticals, Inc.
【Fターム(参考)】