説明

遺伝子発現分析を増強するための方法

本出願は細胞または組織のサンプルの遺伝子発現プロファイルを歪めるmRNA転写物またはその代表物が識別され、そして、逆転写反応の前、最中または後にmRNA転写物の集団から除去される、遺伝子発現データを分析する進歩した方法に関する。本発明は細胞または組織のサンプル中の遺伝子発現を分析する進歩した方法を提供することにより全血遺伝子発現分析の既存の方法に関わる遺伝子発現分析の問題点を解決するものであり、ここで、細胞または組織のサンプルの相対的遺伝子発現プロファイルを歪める転写物1つ以上またはその代表物は、逆転写反応の前、最中または後に除去されるか、または実質的に抑制または不活性化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる本表題の2003年6月6日出願の米国仮出願60/476,233、2003年7月1日出願の米国仮出願60/628,483、2003年8月1日出願の米国仮出願60/491,528、および、2004年5月11日出願の米国仮出願60/569,646に関する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は遺伝子発現分析の分野、および、遺伝子発現を試験するために使用される増幅反応を進歩させる方法に関する。特に本発明は遺伝子発現分析を妨害するか、サンプルの相対的遺伝子発現プロファイルをスキューさせる転写物種の増幅または逆転写を抑制することによる定量的遺伝子発現分析を進歩させる方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
生命は実質的に情報に基づいており、その遺伝的内容が生物の生育および生殖を制御する。全ての生命系の重要な特徴であるポリペプチドのアミノ酸配列は細胞の遺伝子的物質によりコードされている。さらにまた、ポリヌクレオチドの配列もまた遺伝子発現の制御および調節に関与している。従って、この遺伝子的情報の性質を測定することは大きな科学的重要性を達成している。
【0004】
遺伝子発現分析は研究者等に対し、どの遺伝子が特定の細胞または組織のサンプル中で「ターンオン」または「ターンオフ」されるかを知らせる。発現された遺伝子は細胞内のどのタンパク質がどの程度まで合成されるかを決定する1つの要素である。特定の発現パターンは細胞型、並びに、細胞内の生理学的条件、例えば疾患を決定する。遺伝子発現の変化を理解することは、どの遺伝子およびタンパク質が特定の疾患または生理学的状態において役割を果たしているかの証拠を研究者等に提供し、そして、遺伝子的異常、疾患の経路、疾患の作用機序および毒性機序に関する手がかりを提供できる。
【0005】
遺伝子発現データを分析するためには全血が特に好都合なサンプルである。全血サンプルからの赤血球(RBC)の除去、およびその後の精製および遺伝子発現に関する白血球(WBC)の分析は、その調製が厄介で困難であるにも関わらず、最も有用なデータを提供している。実際、全血からのWBCの単離を可能にするプロトコルは存在するが、これらは技術的専門知識および細胞を急速に単離するために必要な時間に起因する潜在的問題点を有し、これは殆どの増殖部分に対して理想的であるとはいえない。さらにまた、細胞を短期間で処理しない場合には、遺伝子の活性化の可能性が生じ、これはインビボ応答の正確なモニタリングを困難にする。これらの問題のため、全血からの包括的な遺伝子発現を可能にするプロトコルが有用となる。
【0006】
一部の商業的手法は遺伝子発現データが改善されるように全血の安定化を行っている(Rainen et al.,2002,Stabilization of mRNA in whole blood samples,Clin.Chem.48(11):1883−90参照)。Rainen et al.によれば、全血中のmRNAの正確な定量はサンプルの取り扱いまたは制御できない凝血活性化により同時に起こる遺伝子転写物の分解と意図しない遺伝子誘導により困難となる。しかしながら本発明者等は、市販の遺伝子発現マイクロアレイ手法を用いて分析した場合に全血から直接単離されるRNAのサンプル中において検出されない末梢白血球に検出可能な遺伝子があることを発見した。この理由により、全血単離および安定化プロトコル(即ちTrizol,GITC)の使用は全血に関わる遺伝子発現分析の問題点を解決しない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明は細胞または組織のサンプル中の遺伝子発現を分析する進歩した方法を提供することにより全血遺伝子発現分析の既存の方法に関わる遺伝子発現分析の問題点を解決するものであり、ここでは、細胞または組織のサンプルの相対的遺伝子発現プロファイルを歪める転写物1つ以上またはその代表物は、逆転写反応の前、最中または後に除去されるか、または実質的に抑制または不活性化される。1つの実施形態において、特に、サンプル中の他の転写物種の遺伝子発現分析を妨害するサンプル中の赤血球mRNA転写物種1つ以上の増幅を抑制する方法が提供され、これは、(a)サンプルの赤血球核酸配列特異的干渉分子1つ以上を添加すること;および、(b)赤血球核酸配列特異的干渉分子1つ以上の存在下にサンプル中の該転写物種を増幅することを含む。本発明はまた、細胞または組織のサンプルの相対的遺伝子発現プロファイルをスキューさせるmRNA転写物種を識別する方法およびそのようなmRNA転写物をターゲティングする干渉分子を含む組成物およびキットを提供する。
【0008】
(定義)
本発明の方法の文脈においては、「増幅」という用語は何れかの知られた増幅の操作法、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、核酸配列系増幅(NASBA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、線状増幅手法、インビトロ転写(IVT)、即ち複数のcRNA転写物を形成するためのcDNAによるもの等を含む物とする。本明細書において使用する増幅プロトコルは逆転写工程、例えばmRNA分子をまず逆転写してcDNA分子とし、次にcDNAを用いて複数コピーのcDNAまたはcRNAをPCRによるか、インビトロ転写により作成する場合を含んでよいが、逆転写単独ではRNA物質種の増幅は行われないことを理解されたい。
【0009】
「遺伝子発現分析」とはmRNA転写物、即ち細胞または組織サンプルに由来するものの集団を作成して分析することによりどの遺伝子がサンプル中で発現されているかを調べることを包含する。典型的な遺伝子発現分析プロトコルはmRNA転写物を逆転写してcDNA分子とし(「RT」工程)、そして次にT7RNAポリメラーゼまたは他の適当なRNAポリメラーゼを用いてインビトロの転写によりcDNAから複数の「cRNA」転写物を形成する(「IVT」工程)ことを包含する。「定量的遺伝子発現分析」とは例えば反応に添加した既知量の内因性または外因性の制御配列を同時に増幅させてカリブレーション用の内標準を作成することにより、サンプル中の遺伝子発現の相対量を求める分析を包含する。
【0010】
「遺伝子発現プロファイル」とは遺伝子発現分析の結果を与えるものであり、サンプル中に存在する転写物少なくとも1つについて遺伝子発現濃度のある尺度を示す。プロファイルはさらに遺伝子が分析すべきサンプル中に検出されるか、そして/または分析すべきサンプル中に検出されないような分析を包含する。遺伝子発現プロファイルを作成するためにいずれのプラットフォーム技術も使用してよいが、Affymetrix(Santa Clara,CA USA)より入手可能なもののようなマイクロアレイプラットフォームが好ましい技術である。
【0011】
Affymetrixは存在および非存在のコールとして存在(即ち検出された)および非存在(即ち検出されない)遺伝子発現プロファイルを定義する。Affymetrixの「統計アルゴリズムレファレンスガイド」によれば、プローブセットにおける各プローブ対は測定された転写物が検出される(存在する)か検出されない(存在しない)かを決定する際の潜在的「投票」を有するものとみなされる。プローブ対はパーフェクトマッチ(PM)およびその相当するミスマッチ(MM)として設計された2つのプローブ細胞であるのに対し、プローブセットは特定の標的配列を検出するために設計された11〜20のプローブ対のコレクションである。判別スコアと称される数値が投票を記載する。判別スコアは各プローブ対について計算され、そして予め設定された閾値と比較される。閾値より高値のスコアを有するプローブ対が転写物の存在に投票するものである。閾値より低値のスコアを有するプローブ対は転写物の非存在に投票するものである。投票結果はp値として総括される。判別スコアが閾値より高値であるほど、p値は低値となり、転写物が存在する確立がより高くなる。判別スコアが低値となるほど逆もまた真となる。Affymetrix GeneChip(登録商標)アレイをAffymetrix MAS5.0ソフトウエアと共に使用することにより存在および非存在のコールを決定する。
【0012】
市販の核酸アレイ、例えばAffymetrixのGeneChip(登録商標)アレイは種々の既知位置における個体支持体表面上にカップリングされている種々のオリゴヌクレオチドプローブの秩序アレイへの増幅cRNA転写物またはcDNAのハイブリダイゼーションを介した集団内の検出可能な遺伝子の比率および実体を調べるために一般的に使用されている。cRNAはcDNA鋳型から転写されたアンチセンスRNAである。転写物は典型的にはアレイ上での検出を容易にするために増幅の最中に標識される。このようなアレイは一般的には当該分野で報告されており、例えばその全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許5,143,854、WO90/15070およびWO92/11092に記載されている。ハイブリダイゼーションおよびアレイのスキャニングの後、ハイブリダイゼーションデータを分析することにより、標識された転写物がハイブリダイズしたプローブから決定されるものとして、転写物のうちのどれがサンプル中に存在するかを識別する。さらにまた、各存在遺伝子の蛍光水準を識別し、それらの水準を用いて遺伝子発現の匹敵する定量的水準を得ることができる。この操作法の変法は複数の固体表面に結合した(即ちLuminex,Illumina,bDNA)、または溶液中に懸濁した(Aclara)プローブの使用である。
【0013】
パーフェクトマッチ(PM)およびミスマッチ(MM)のプローブセットの数値は遺伝子発現データの正確さを決定するために使用できる尺度である。ミスマッチの対照プローブは中央位置の一塩基相違を除いてそのパーフェクトマッチのパートナーと同一である。MMプローブはバックグラウンドと交差ハイブリダイゼーションのシグナルの両方の直接の差し引きを可能とし、そして「真の」シグナルと非特異的または半特異的ハイブリダイゼーションに由来するものとの間の判別を可能とする、特異性対照として機能する。意図するRNA分子のハイブリダイゼーションによりMMプローブよりも多いPMプローブに関するシグナルが生成し、偶然により起こるとは極めて考えにくい一貫したパターンが得られる。低濃度RNAの存在下であっても、PM/MMプローブ対のハイブリダイゼーションは認識可能で定量的な蛍光パターンを与える。これらのパターンの強度は複合サンプル中のRNA分子の濃度に直接関係する。即ち、PM/MMプローブセットにより、意図するRNA分子のハイブリダイゼーションによりシグナルが生成するかどうか、調べることができるようになる。MMプローブからのシグナルがPMプローブからのものより高値であれば、非特異的または交差ハイブリダイゼーションが起こっている。PMシグナルより高値のMMシグナルを示したプローブ対が多数であるサンプルは通常は質の悪いサンプルの調製またはハイブリダイゼーションの結果であり、質の悪い発現データを有する。
【0014】
本発明による所望または要望とは異なる転写物はその存在が試験すべき細胞または組織のサンプルの相対的遺伝子発現プロファイルを「スキューさせる」ものである。転写物は、転写物が欠失するかその増幅が抑制される場合と比較して増幅されたサンプル中に転写物が含有される場合に、検出可能な他の転写物種の低減があれば相対的遺伝子発現プロファイルを「スキューさせる」。転写物はまた、その存在が、サンプルのアレイ分析が質の悪い発現データをもたらすように有意に低減したPM/MM比をもたらす場合に、相対的遺伝子発現プロファイルをスキューさせる。アレイ上において、相対的遺伝子発現プロファイルをスキューさせる遺伝子に対するシグナル強度は、発現されない遺伝子に対する約20のシグナル強度(即ちバックグラウンド)または発現の有意な水準を示す遺伝子に対する約100のシグナルと比較して、数万の桁となる。さらに比較するために、Affymetrix GeneChip(登録商標)における対照遺伝子であるβアクチンおよびGADPHに対するシグナルは5000の範囲にあり、そして高度に発現されるとみなされる。
【0015】
「干渉分子」とは、本明細書においては、増幅集団における1つ以上の所望または要望とは異なる転写物種の最終的存在を、何れかの特徴において、干渉するか、または、ユーザーが干渉できるようにしたものである。従って、本発明において使用する場合の増幅の「抑制」とは、検出可能な転写物の集団からの望ましくない転写物の欠失または低減をもたらすような何れかの手段を指す。このような抑制は、例えば、転写物の逆転写または相当するcDNAのIVTまたはPCRを干渉することによるか、または、例えば磁気ビーズを用いてアレイハイブリダイゼーション分析の前に相当するcRNA物質種の除去または脱離または分解を促進することにより、増幅操作法の何れかの段階において起こってよい。干渉分子はRNAまたはDNA、または、RNAまたはDNAの修飾された物質種であってよい。このような抑制は「進歩した」遺伝子発現プロファイル、即ち、得られる検出可能な転写物の数が、所望でない転写物の増殖、そして特に逆転写が抑制されない場合に得られる検出可能な転写物の数よりも高値である状態を達成するために使用してよい。
【0016】
本発明の「干渉分子」とは、ターゲティングされる所望または要望とは異なる転写物種に対して「特異的」である。この点に関し、「特異的」とは、分子が、特異性をもって、所望でない標的転写物種またはその相補体、例えばそれに相当するcDNA鎖と結合または相互作用することができることを意味する。「特異性をもって」結合または相互作用するとは、干渉分子がターゲティングされた転写物種またはその相補体とは結合または相互作用するが、他の転写物種とは実質的にそうならないことを意味する。従って、アンチセンス干渉分子については、そのような分子は一般的に結合特異性を得るためには、ターゲティングされた転写物種の相補鎖に対し配列において少なくとも約90%同一である。しかしながら、ワトソンクリック塩基対形成が中断される位置は、ハイブリダイゼーション条件と同様に非常に重要であることに留意しなければならない。中断された塩基対形成の位置は二重らせんの脱安定化の程度を決定する際に重要である。二重らせんの末端における不正確な塩基対形成は二重らせんの中央における不正確な塩基対形成よりも脱安定化度が低い。
【0017】
本発明によれば「逆転写酵素」とはインビトロの逆転写反応において使用してよい当該分野で知られた何れかの逆転写酵素、例えばAMV、MMLV、HIV、FIV、テロメラーゼおよびrTthである。AMVおよびMMLVはRNaseH陰性または陽性であることができる。テロメラーゼはCech et al.,The Telomere and Telomerase:Nucleic Acid−−Protein Complexes Acting in a Telomere Homeostasis System:A Review.(1997)Biochemistry(Mosc),62,1202−1205により、逆転写酵素として記載されている。本発明の「RNAポリメラーゼ」はインビトロの転写反応を促進するために使用してよい当該分野で知られた何れかのRNAポリメラーゼ酵素、例えばT7、T3、SP6または修飾された型(即ちプロセシング性を高めたもの)およびRNApolIIである。当該分野で知られており所望の増幅反応を実施するために有用である何れかの他の酵素も使用してよく、例えば熱安定性DNAポリメラーゼ、リガーゼ酵素等が挙げられる。
【0018】
本発明によれば「全血」サンプルとは、多くの血球型、例えば赤血球(RBC)、白血球(WBC)、血小板等を含んでよい。血液マイクロリットル中合計数千となるWBCの5種の型、すなわち顆粒球(多い順に好中球、好酸球および好塩基球)および単核細胞(リンパ球および単球)が存在する。約500万のRBCおよび300,000の血小板が血液ミリリットル当たり存在する。RBC集団内において、約1%が活動的にmRNAを生成する網状赤血球である。網状赤血球はその核を放出している未成熟の赤血球である。網状赤血球は大量のRNAおよびリボソームを含有しており、これらは網状赤血球が成熟して赤血球となるために必要な2日間に亘り徐々に消失する。網状赤血球はRNAを使用してヘモグロビンを生産し、その合成はRNAが枯渇すれば停止する。即ち網状赤血球により生産されたヘモグロビンは成熟赤血球内に存在するヘモグロビンである。網状赤血球は骨内で1日経過し、血液内で1日経過する。血中にある間は、網状赤血球は特殊な超生体染色法を用いて成熟赤血球から区別できるのみである。赤血球は網内皮細胞系により破壊されるまで約120日間血流中を循環する成熟した赤血球である。
【0019】
本発明の方法は、RNA分析よりも前にRBCを除去することが困難であり、そして、そのような細胞の除去により生物学的に関連性のあるデータの一部が除去されるような全血全RNA分析に特に有用である。しかしながら、方法はまた赤血球を含有する何れかの組織、例えば脾臓、骨髄、胎盤、血管化腫瘍、血管様腫瘍、脂肪、肺、筋肉、膵臓、心臓、脳、肝臓および出血性組織からなる群より選択された組織の遺伝子発現分析において使用することもできる。
【0020】
(発明の詳細な説明)
本発明は細胞または組織のサンプルの遺伝子発現プロファイルをスキューさせることが解っている所望ではない遺伝子転写物1つ以上を含有する細胞または組織のサンプルの遺伝子発現分析を向上させる方法に関する。さらにまた、このような方法は所定のサンプルの集団におけるこのような要望とは異なる転写物を識別することを包含する。特に、本発明者等はこのようなサンプルから、特にGeneChip(登録商標)アレイ、CodeLinkTM等のようなマイクロアレイプラットフォーム上で実施されるプロファイル分析で得られた相対的遺伝子発現プロファイルをスキューさせる全血および赤血球含有組織中の転写物を識別した。
【0021】
例えば、本発明者等は、本発明の進歩なくしては、全血サンプルからの全RNA単離の間に同時精製されている末梢血中の赤血球RNA、例えばグロビンRNAがGeneChip(登録商標)アレイ上にロードされるべきcRNAの正確な測定に干渉し、そして交差ハイブリダイゼーションを増大させることを発見した。この干渉によりより低値の全般的な存在コールおよびより少数の検出可能な遺伝子となり、その結果、全血サンプルからの遺伝子発現の数値が不正確に測定されてしまう。
【0022】
説明すれば、赤血球(RBC)を除去するために処理されている血液サンプルは典型的には約40%の存在コール(AffymetrixのHuU133AGeneChip(登録商標)アレイ上で〜22,000遺伝子中〜9,000)を示す。一方、全血から処理されたサンプルは存在コールされた遺伝子の総数は低下する(〜22,000遺伝子中〜5,000、即ち〜24%)。2つの調製物の間で、全血のWBCに対する検出可能な遺伝子の重複は〜90%である。即ち、検出された発現遺伝子はより少数である(各既知細胞型から比例的に少数となる代表)が、全血のデータは生物学的に該当している(RNA単離の前のRBCの除去は理想的な解決法ではないことを意味する)。さらにまた、検出可能な遺伝子の数の減少に加えて、ミスマッチからのシグナルがパーフェクトマッチからのものより高値となるプローブ対の数が増大する(即ちMM/PM比の上昇)。ミスマッチのパーフェクトマッチプローブ対に対する比は品質管理の尺度であるため、マイクロアレイチップはQC不合格となる。
【0023】
本発明者等はまた全血全RNA調製物中の網状赤血球RNAの質量が目視可能な優勢のRNA物質種または物質種群をmRNA調製物および結果として生じるIVTcRNAサンプルの両方にもたらすことも観察している。この物質種または転写物群はmRNAサンプルおよびcRNA調製物をアガロースゲルにおいて観察した場合に約600塩基対の優勢なバンドとして目視可能である。本発明者等は以外にもこの優勢なバンドが赤血球mRNAからのヘモグロビン転写物を含有していること、および、グロビンRNAの増幅を逆転写中にブロックすれば一般的な検出可能な遺伝子の数および遺伝子発現の数値の同時上昇が達成できることを発見した。
【0024】
即ち、本発明は集団内の他の転写物と共に同時増幅した場合に相対的遺伝子発現プロファイルをスキューさせる細胞または組織のサンプル中の要望とは異なる転写物を識別する方法を包含する。本発明はまた、増幅または逆転写反応の前または最中に相対的遺伝子発現プロファイルをスキューさせる転写物1つ以上を除去することによる、サンプル中のこのような要望とは異なる転写物種1つ以上の増幅を抑制する方法を包含する。本発明はさらに、要望とは異なる転写物種1つ以上を含有するサンプルの遺伝子発現分析を進歩または増強する方法を包含し、ここでその進歩は、要望とは異なる転写物種を除去するか増幅を抑制し、そしてこれにより要望とは異なる転写物種の存在下で得られるものよりも検出可能な遺伝子の数を増大させることを包含する。
【0025】
本発明の方法を用いてこのような所望ではない転写物1つ以上を含有する何れかのサンプルの遺伝子発現分析を改善してよいが、方法は特に、全血および赤血球含有組織から所望ではない転写物を除去するか、その作用を除去するために有用である。さらに、方法は、集団の中の個々の核酸の1つ以上がこのような転写物の増幅により集団の残余の分析が妨害される程度にまで存在している場合に、核酸の混合サンプルの増幅反応の何れかの型に適用できる。
【0026】
本発明の方法が全血または赤血球含有組織の分析のために使用される場合、抑制方法は(a)サンプルに赤血球核酸配列特異的干渉分子1つ以上を添加すること;および(b)該赤血球配列特異的干渉分子1つ以上の存在下にサンプル中の転写物種を増幅することを含む。特に本発明は核酸の増殖過程の最中にRNAを含有するサンプル中の赤血球特異的遺伝子、例えばグロビンmRNA分子1つ以上の増幅を抑制するための方法を包含し、これは、(a)サンプルにグロビン核酸配列特異的干渉分子1つ以上を添加すること;および(b)該グロビン核酸配列特異的干渉分子1つ以上の存在下にサンプル中の該RNAを増幅することを含む。
【0027】
同時に1つより多い遺伝子を測定する遺伝子発現分析の何れかの型が本発明の方法、特に「定量的」分析、例えば対照配列の既知量を同時に増幅してカリブレーション用の内標準を得るような方法から利益を被る。遺伝子発現分析は種々の増幅反応を用いながら、例えばcDNAへのサンプル中のmRNAの逆転写、そしてさらに場合によりRNAポリメラーゼを用いて各cDNA分子からcRNA転写物を合成することにより行ってよい。或いは、遺伝子発現分析は、例えばPCRまたは他の知られた増幅反応の場合のようにDNAポリメラーゼを用いてさらにcDNA分子を合成する工程を含んでよい。
【0028】
マイクロアレイ手法を用いて遺伝子発現をモニタリングする場合、mRNA分子はcDNA分子とするための逆転写酵素の使用を介してcDNAに変換され、そして次にポリメラーゼの使用を介して2本鎖cDNA分子とされる場合が多い。次にcDNA分子を用いながら種々のRNAポリメラーゼの活性により複数のアンチセンスまたはcDNAのcRNAコピーを作成する。この最終増幅過程の間、修飾されたヌクレオチドが反応混合物中に、そして故にcRNA分子中に取り込まれる。次にこれらの修飾されたヌクレオチドを用いてシグナルを含有するかシグナルを発生できる他の分子との相互作用を介して検出可能なシグナルを生成する。次に標識されたcRNAをアレイ上のプローブと反応させ、ここでcRNAはアレイ上の遺伝子特異的プローブにハイブリダイズする。
【0029】
このような増幅反応において、増幅の抑制は増幅過程の何れかの工程において、例えばmRNAからcDNAへの逆転写の工程において、または、RNAまたはDNAポリメラーゼをそれぞれ用いたcDNAからのcRNAまたはcDNAの合成の工程において行ってよい。増幅の抑制はまた、例えば後に詳述する切断または分解によるか、または相補オリゴヌクレオチドに結合した磁気粒子を使用することにより、分析の前に、元の所望でない赤血球mRNA物質種または結果として生じるcRNA物質種を欠失させることにより行ってもよい。即ち、上記において定義した通り、「干渉分子」とは本明細書においては、逆転写酵素またはポリメラーゼ反応に干渉するのみである分子ではなく、サンプル中の標的赤血球転写物種1つ以上の最終的な存在に何れかの特徴において干渉するものである。
【0030】
増幅過程において酵素的反応に干渉するためには、アンチセンス機序をブロックすること(種々のポリメラーゼ酵素によるmRNAまたはcDNAの酵素的プロセシングに対する物理的バリア)によるか、または、三重鎖(Hoogstein塩基対保有)機序により機能できる核酸分子の多数を設計することが可能である。さらに、交差結合官能基を有する配列特異的オリゴヌクレオチド(ソラレン等)を使用してmRNAまたはcDNA分子の酵素的読み取りを抑制することも可能である。
【0031】
さらにまた、ターゲティングされた赤血球mRNAのRNaseH媒介の切断を誘発するアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用するか、所望ではない標的mRNAの分解を媒介できる触媒性の官能基(EDTA等)を使用するアンチセンスオリゴマーを介するかして、全RNAプールまたは結果として得られるcRNAにおける所望ではないmRNAを特異的に分解することが可能である。
【0032】
即ち、転写酵素またはポリメラーゼの反応に干渉するためには、未修飾のDNAアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用できる。このようなオリゴヌクレオチドはRNaseHの活性を支援するが、RNaseHがヘテロ二重らせんのRNA成分を切断できるようにする十分な一過性のハイブリダイゼーションイベントが潜在的に起こりえることから、ターゲティングされていないmRNAの分解が増大するようにオペレーターには観察される。或いは、未修飾のアンチセンスDNAまたはRNAオリゴヌクレオチドはブロッキング分子として使用してよいが、後に詳述する通り、抑制すべき増幅工程に応じて5’または3’末端にブロッキング修飾を付加することは、アンチセンスオリゴヌクレオチドからの伸長を防止するためには好都合である。
【0033】
さらにまた、非標的のRNA物質種にハイブリダイズした場合にRNaseHの活性を支援する能力が最小限にされるように、RNaseH活性を支援しない修飾よりなる部分を有するキメラオリゴヌクレオチドを使用することも可能である。即ち非標的のmRNAがRNaseHにより意図と反して切断される可能性が低減され、mRNAプールの全体的統合性が維持される。これはRNaseH活性を支援できる配列の数を最小限にするはずであり、それゆえ、mRNAの全体的統合性は未修飾DNAオリゴマーを使用した場合よりも高品質となるのである。適当な修飾は例えば糖修飾(2’O−アルキル修飾、例えば2’O−メチル、2’O−ブチルおよび2’O−プロピル;2’−O−ハロゲン化物修飾、例えば2’O−Fおよび2’O−Br;および2’O−メトキシエトキシ)、炭素環(非酸素)糖模倣物、骨格に対する2環式糖(1’と3’位の間、または1’と4’位の間のアルキル架橋等)修飾(PNA、2’−5’連結オリゴマー、α連結オリゴマー、ボラノ−ホスフェート修飾オリゴマー、キメラオリゴマー、例えばアニオン系、カチオン系および中性の骨格構造等)またはホスホジエステル骨格に対する修飾(ホスホロチオエート、ジホスホロチオエート、ホスホロアミデート、メチルホスホネート等)を包含する。
【0034】
さらにまた、RNaseH活性を必ずしも支援しないがポリメラーゼおよび転写酵素がオリゴマーを転写または逆転写(「リードスルー」)することが不可能となるほど十分な強度で結合することにより核酸の倍加に対して物理的ブロックとして機能できるような修飾オリゴヌクレオチドを使用することが可能である。逆転写酵素、ポリメラーゼおよび他のタンパク質は核酸中の二次構造(二重らせん構造)を通過して「溶融」する能力を有し、従ってブロッキングオリゴマーを「リードスルー」し、そして鋳型核酸に対して逆相補の核酸の作成を完了することができる場合がある。ターゲティングされたmRNAへのオリゴマーの結合親和性を増大させる修飾を用いることにより、鋳型核酸をコピーしているポリメラーゼおよび転写酵素を抑制し、オリゴマーおよび標的mRNAにより形成される二重らせん構造を「リードスルー」する酵素の能力を低減することにより正しい複製を防止することが可能である。修飾は例えば2’O−アルキル、2’O−F、PNAおよび5メチルC置換を包含する。
【0035】
さらにまた、酵素的方法によりRNAを切断して正しいコピー作成を防止する機能的RNaseH部分を自らに結合させたアンチセンスオリゴマーを使用することも可能である。この場合、RNaseH部分はヘテロ二重らせん上に折り戻され、RNA成分を切断する。この方法はまたオリゴヌクレオチド上にRNaseHの活性をロックダウンすることにより、非標的RNAの擬似的切断の可能性が低減されるという点において好都合であるが、その理由は、ハイブリッドはRNaseHとオリゴマーの間のリンカーの長さにより決定される特定の距離で切断する能力に限定されているためである。触媒性のリボザイムもまたmRNAまたはcRNAをターゲティングするために使用でき、そして、リボザイムの活性のための配列の条件が標的RNA内に存在する限り、切断することができる。
【0036】
さらにまた、酵素的方法により活性化後にRNAを切断して正しいコピー作成を防止するような機能的部分を連結して保有しているアンチセンスオリゴマーを使用することも可能である。このような機能的部分を活性化してRNA成分と化学結合を形成する。使用できる特定の化学物質は例えばアルドール化剤、アルキル化剤、ソラレンまたはEDTAである。活性化剤には紫外線、第二鉄/第一鉄のイオン性化合物等が包含される。リンカーによりオリゴヌクレオチドに機能性部分を結合することにより、非標的RNAへの擬似的化学結合の可能性が低減されるが、その理由は、部分が標的RNAに空間的に接近するように部分に最も近い末端においてヘテロ二重らせんを形成するように活性が限定されているためである。標的mRNAを「攻撃する」その部分の能力はこの接近に依存している。
【0037】
増幅を抑制するための非アンチセンス手法もまた本発明の方法に包含される。例えば、ポリメラーゼおよび逆転写酵素に対する物理的ブロックとして機能するHoogstein塩基対形成を介してmRNA中のプリンまたはピリミジンのストレッチの領域において3重鎖オリゴマーを形成してよい。3重鎖は三重らせんの形成を可能にする成分配列である2つの個別のオリゴマーにより媒介されてよい。さらに、三重らせんの形成を支援する、環状の核酸、または、環状または幹状に相互に対向して位置した必要な2配列を自らの配列内部に保有しているダンベルまたは幹状ループの構造を使用することも可能である。このような構造については、非三重らせん形成配列のループの大きさはそのような構造が形成されるために十分な長さであるが、2つの三重らせん形成配列がmRNA配列と会合するほど接近することが無いように長すぎてはならない。
【0038】
本発明の一部の実施形態においては、遺伝子特異的プライマーを設計し、増幅過程において酵素的反応に干渉するために使用する。例えば、複製を抑制すべきmRNA、例えばヒトまたは他の哺乳類のグロビンmRNAに結合する選択された遺伝子特異的プライマーを使用することにより、cDNA合成の間にmRNA分子の酵素的読み取りを抑制することが可能である。遺伝子特異的プライマーは転写開始プライマー(典型的にはポリ−dTT7またはT3プロモーター含有プライマー)の下流に結合する。逆転写酵素の存在下においては、遺伝子特異的プライマーは転写開始プライマーと同様に3’方向に伸長されるが、このプライマーからの転写はこのcDNAが遺伝子特異的プライマーにより形成されたブロックに接近すれば停止する。ブロックは逆転写酵素のトランスロケーションを抑制する働きを有する。即ち、プロモーター領域を含有するcDNAは生成せず、これによりDNAポリメラーゼまたはRNAポリメラーゼがサンプルに添加された場合に選択された遺伝子に相当するcDNAまたはcRNAの複製が防止される。図2はどのようにして逆転写酵素によるcDNAの合成が本発明の遺伝子特異的プライマーにより抑制されるかを示している。
【0039】
本発明の一部の実施形態においては、遺伝子特異的プライマーは、プライマーの結合親和性が増大し、その後の反応における解離または「メルティングオフ」が防止されるように、その5’末端において相対的により多数のGおよびC残基を含有するように設計される。本発明はまた逆転写酵素による鎖伸長をプライマーが支援する限り、キメラ遺伝子特異的プライマーの使用も意図している。遺伝子特異的プライマーからの伸長が長いほど、得られるヘテロ二重らせんはより安定となり、これによりさらに、オリゴdTプライマーからcDNAを伸長させる逆転写酵素の能力が弱められる。
【0040】
本発明の方法はプライマーとして機能できないオリゴマー、例えば3−OH位においてホスフェートまたは他のブロッキング基により、または、リボースO−メチル基のような置換基、または、修飾されたホスフェート骨格により、上記した通りブロックされたものの使用とは対照的である。
【0041】
本発明は、本発明者等が知る限り、本明細書に記載したパラメーターに従って、その存在がサンプルの相対的遺伝子発現をスキューさせる転写物を識別する最初のものである。従って、本発明は本明細書において識別される転写物をターゲティングする干渉分子を含有するキットおよび組成物も包含する。要望とは異なる転写物を発見する方法は例えばアガロースまたはアクリルアミドゲル上で観察されるとおり、RNAサンプルにおける優勢な転写物の配列を識別すること、または、GeneChip(登録商標)または他の遺伝子発現アレイ上で分析した場合に数万のシグナル強度を有する増幅集団中の物質種を識別することを包含する。このような要望とは異なる転写物を識別する別の方法は分析すべき細胞または組織のサンプルに応じて当業者が容易に知りえるものである。
【0042】
(例示される標的遺伝子および干渉分子)
本発明の方法は植物、脊椎動物または無脊椎動物、カビ、細菌等の何れかの種からの遺伝子発現の分析を進歩させるために使用してよい。例えば本発明の方法はヒト、ラット、ネズミ、ウサギ、モルモット、イヌ、ネコ、霊長類、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジおよびニワトリを包含する動物種における遺伝子発現の分析を進歩させるために使用してよい。種々の種におけるグロビン遺伝子の配列は知られており、本発明に従って干渉分子を設計するために使用してよい。グロビン干渉分子はDNAまたはRNAであることができる。例えばヒト、ラットおよびイヌのグロビンmRNAの増幅を抑制するための適当なRNA干渉分子は以下のような配列を含有するか含んでいてよい(相当するDNA干渉分子については「U」は「T」となり、その配列は5’から3’の順に示されることに留意)。
【0043】
【化1】

【0044】
【化2】

【0045】
【化3】

他の適当な配列は明細書全体を通して開示しており、例えば実施例のセクションに示すとおりである。
【0046】
α(HBA1、HBA2)、β(HBB)、γ(HBG1、HBG2)、δ(HBD)、イプシロン(HBE1)、θ(HBQ1)およびζ(HBZ)グロビン配列およびその変異体を含む赤血球含有組織の遺伝子発現分析の間にグロビンRNA配列の増殖を抑制するために特に好都合であるが、遺伝子発現分析を妨害する他の赤血球RNA転写物種もまた単独またはグロビン転写物種の何れか、例えば、リボソームタンパク質L3(RPL3L)、L6(RPL6)、L7(RPL7)、L7a(RPL7A)、L9(RPL9)、L10a(RPL10A)、L11(RPL11)、L12(RPL12)、L13a(RPL13A)、L17(RPL17)、L18(RPL18)、L19(RPL19)、L21、L23a(RPL23A)、L24(RPL24)、L27(RPL27)、L27a(RPL27A)、L28(RPL28)、L30(RPL30)、L31(RPL31)、L32(RPL32)、L34(RPL34)、L35(RPL35)、L37(RPL37)、L37a(RPL37A)、L41(RPL41)、S2(RPS2)、S3a(RPS3A)、S5(RPS5)、S6(RPS6)、S7(RPS7)、S10(RPS10)、S11(RPS11)、S13(RPS13)、S16(RPS16)、S17(RPS17)、S18(RPS18)、S23(RPS23)、S24(RPS24)、S27a(RPS27A)、S31(RPS31)、SM、大型リボソームタンパク質PO(RPLPO)、フラビン還元酵素(BLVRB)、フェロケラターゼ(FECH)、ミオシン軽タンパク質(MYL4)、シヌクレイック(synucleic)α(SNCA)、δーアミノレブリン酸シンテターゼ2(ALSA2)、セレン結合タンパク質1(SELENBP1)、赤血球膜タンパク質バンド4.2(EPB42)および赤血球膜タンパク質バンド4.9(EPB49)、グリコホリンC(GYPC)、抗酸化剤タンパク質2(AOP2)、βアクチン(ACTB)、γアクチン1(ACTG1)、ビメンチン(VIM)、脂肪細胞脂肪酸結合タンパク質4(FABP4)、真核細胞翻訳伸長因子1α1(EEF1E1)、翻訳制御1腫瘍タンパク質(TPT1)、ユビキチンC(UBC)、フェリチン軽ポリペプチド(FTL)、白血球レセプタークラスター(LRC)メンバー7(LENG7)、β−2−ミクログロブリン(B2M)、グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ(GAPD)、複製因子C(アクチベーター1)(RFC1)、ヘテロ核リボヌクレオタンパク質A1(HNRPR1)、フィンケル−ビスキス−ライリーネズミ肉腫ウィルス(FBR−MuSV)遍在的発現物(キツネ由来)(FAU)、ras相同体遺伝子ファミリーメンバーA(ARHA)、コフィリン1(非筋肉)(CFL1)、オルニチンデカルボキシラーゼ抗酵素1(OAZ1)、ミクロソームグルタチオンS−トランスフェラーゼ1(MGST1)、早期増殖応答1(early growth response 1)(EGR1)、ミクソロームグルタチオンSトランスフェラーゼ1(MGST1)、ペプチジルプロリルイソメラーゼA(シクロフィリンA)(PPIA)、癌胎児抗原関連細胞接着分子5(CEACAM5)、ガラクトシド結合レクチン4(LGALS4)、肝脂肪酸結合タンパク質1(FABP1)、コートマータンパク質複合体サブユニットγ(イムノグロブリンλ連結3)(COPG,IGLJ3)、主要組織適合性複合体クラス1B(HLA−B)、主要組織適合性複合体クラス1C(HLA−C)、免疫グロブリン重μ定常物(IGHM)、免疫グロブリンκ定常物(IGKC)、溶質キャリアファミリー25メンバー3(SLC25A3)、H3ヒストンファミリー3A(HSFA)、食道特異的正常粘膜1(NMES1)、熱ショック70kDaタンパク質8(HSPA8)、仮想タンパク質MGC14697(MGC14697)、重合体免疫グロブリンレセプター(PIGR)およびFK506結合タンパク質8(FKBP8)、仮想タンパク質BC012775(LOC91300)、寒冷ショックドメインタンパク質A(CSDA)、Fボックス唯一タンパク質7(F−box only protein)(FBOX07)、CGI−45タンパク質(CGI−45)、マコリンリングフィンガータンパク質1(makorin ring finger protein 1)(MKRN1)、小型EDRKリッチ因子2(SERF2)、ピニン(pinin)(PNN)、SETドメイン分岐1抗酸化剤タンパク質2(AOP2、SETDB1)、ヌクレアーゼ感受性エレメント結合タンパク質(NSEP1)、グルタチオンペルオキシダーゼ1(GPX1)、MAX相互作用タンパク質1(MXI1)およびユビキチンB(UBB)に対する転写物と組み合わせてターゲティングしてよい。FK506結合タンパク質8およびセレン結合タンパク質1を抑制するための適当な干渉分子は以下の通りである。
【0047】
【化4】

(用途)
本発明の方法は核酸物質種1つ以上が混合集団の増幅反応の分析をスキューまたは妨害するような何れかの用途において使用してよい。例えば、上記した通り、本発明の方法はGeneChip(登録商標)または他のアレイを用いた定量的遺伝子発現分析を行う際に使用してよい。本発明の方法は疾患マーカーの存在について、または、特定の疾患への罹患しやすさについて、ヒトをスクリーニングする際に使用してよい。本発明の方法はまた例えば遺伝子発現プロファイルに関する潜在的毒性化合物の作用を分析するためのGeneLogicのToxExpress(登録商標)システムにおいて動物の血液または組織のサンプルを分析する際にも使用してよい。その全体が参照により本明細書に組み込まれる出願番号09/917,800、10/060,087、10/191,803、10/338,044、10/357,507および60/395,355を参照できる。
【実施例】
【0048】
以下の実施例は本発明を説明および例証するために示すものである。それら自体は本発明の範囲を限定するものではない。当業者の知るとおり、多くの他の実施形態も上記および請求項に記載するとおり本発明の範囲に包含される。
【0049】
(実施例1 全血中の優勢な転写物種としてのグロビンmRNA分子の識別)
遺伝子発現分析のための全血サンプル(ヒト、ラット、マウス等)の処理において、本発明者等は特定の過剰発現される遺伝子についてサンプル中に発現される他の遺伝子をモニタリングする能力を妨害する可能性があることを観察した。例えば、全血から全RNAを調製する場合、極めて高い濃度で過剰発現される独特のmRNA少なくとも1つが生じると考えられる。遺伝子発現の典型的な分析においては、全RNAは、全RNAサンプル中の元のmRNAの各々に対して生じるcRNAの量を決定するために測定することができるシグナルの発生を可能にする修飾されたヌクレオチドを自らに取り込んでいるアンチセンスRNAまたはcRNAを生成する一連の反応を介して増幅される。全血から単離した全RNAのこのような増幅を実施する場合、長さ約600ヌクレオチドのサイズを示すcRNAプール中に存在する大量のcRNAが存在する(図1参照)。
【0050】
末梢白血球が除去されている全血調製物と比較した場合の全血調製物の実験的分析ではこの過剰発現されたcRNAがなお存在することが示される。単離された末梢白血球に由来するcRNAを調べる場合、この過剰発現cRNAのバンドは存在しない(図1参照)。従って、過剰発現されたcRNAのバンドは赤血球または何らかの他の非白血球の成分(例えば血小板)から誘導されたものである。
【0051】
データをさらに分析したところ、全血球調製物中でより高い発現濃度を示すグロビン遺伝子(α、βおよびγ)に相当するプローブの独特のセットがあることがわかった。全血中において、これらのグロビン遺伝子は赤血球内で高濃度に発現され、γは胎児または新生児に検出されるが、加齢と共に減少し、αおよびβ型は誕生後により高い濃度で発現される。グロビン遺伝子の長さはαが〜567ヌクレオチド、βが〜626ヌクレオチド、そしてγが〜574ヌクレオチド長であることが知られている。従って、cRNAにおいては、約600ヌクレオチド長の増幅バンドの存在はこのバンドがこれらのグロビン遺伝子の1つ以上から誘導される場合があることを示している(電気泳動ゲルの分解能は長さの相違が十分大きくないためここのバンドを分割するのに十分ではない)。
【0052】
(実施例2 干渉分子の存在下および非存在下における全血サンプルの遺伝子発現分析)
現在のところ、血液のサンプルは、治療および診断に関連する白血球(WBC)からの発現が得られるように赤血球(RBC)を除去するように処理されている。上記した通り、これらのサンプルは典型的には約40%の存在コール(AffymetrixのGeneChip(登録商標)Hu133Aヒトアレイでは〜22,000遺伝子中〜9,000)を示している。全血から処理されたサンプルは存在をコールされた遺伝子の総数が低減している(〜22,000遺伝子中〜5,000、即ち〜24%)。全血サンプルからの低減された存在コールに加えて、ミスマッチからのシグナルがパーフェクトマッチからのものより高値であるプローブ対の数が増大する(即ちMM/PM比が増大する)。シグナルがパーフェクトマッチのプローブよりも高値であるミスマッチプローブの数が増大するに従い、遺伝子発現データの質は低下する。
【0053】
大量のグロビンcRNAに対応するためにアレイ上にロードされるcRNAの量を増大させることにより、より多くの遺伝子がモニタリング可能になるかどうか調べた。しかしながら、cRNAロードを増大(40μgまで)させても全血からの存在コールの数は有意に増大せず(24%から28%への〜4%の増加)、チップがQC不合格となるようなMM/PM比の僅かな低下が起こった。さらにまた、ポリA選択mRNAを全RNAの代わりに使用したところ、存在コールは約31%まで上昇したが、高いMM/PM比は低下しなかった。結果として、このような調製ではやはり低品質の遺伝子発現データしか得られない。
【0054】
次の実験は全血調整物中に存在する高度に発現されたグロビンmRNAからプライマー指向性逆転写酵素をブロックすることであった。3種の異なるブロッキングオリゴマー(「「ブロッカー」)をα、βおよびγグロビンの最も3’側の領域に設計した。オリゴマーはハイブリッド形成の安定性を増大させるために修飾されたRNAヌクレオチド(2’O−メチル修飾)よりなるものであり、そして、種々の長さを試験することによりRTトランスロケーションを抑制する能力を至適化した。一部の実験においてはグロビンmRNA物質種あたり1つより多くのオリゴマーの組み合わせが最大抑制をもたらすことがわかった。単一のブロッカーを用いた場合、完全長とトランケーションされたバンドが現れ(cRNAQCゲル分析で観察)、逆転写酵素が完全に抑制されていないことが示唆された。一般的に、より長いブロッカーが短いブロッカーよりもRTトランスロケーションの抑制においてより有効であった。
【0055】
以下に示す表は、9種のブロッカー(α、βおよびγグロビンの各々に対して3種の異なるブロッカー)の存在下および非存在下にAffymetrixHU133GeneChip(登録商標)アレイを用いて全血全RNAを評価した場合のデータを示す。該すれば、全血より得た1μgの初期全RNAに各オリゴマー0,10および100pmoleのブロッカー混合物を添加し、その後、第1鎖cDNA合成反応を行い、そしてその後サンプルを処理してビオチン標識cRNAとし、そして、チップハイブリダイゼーション、洗浄、染色およびデータキャプチャーに関するAffymetrixのSOPに従って処理した。
【0056】
QC結果(表1参照)はα、βおよびγグロビンをターゲティングした9種のブロッカーの非存在下(CTRL)または存在下(2つの異なる濃度)における全血全RNA調製物から得たものである。cRNAハイブリダイゼーション段階においてスパイクされた細菌遺伝子に対する人工的に作成されたcRNA転写物はブロッカーの存在下において未変化であった。対数強度/対数バックグラウンド(即ちSN比)にも変化は無かった。ミスマッチからのシグナルがパーフェクトマッチからのものよりも高値(即ちMM/PM比)である場合のプローブ対の数が15%減少していたことに留意すべきであり、これは性能の進歩を裏付けるものであった。Li/Wongアウトライアーの数もまた低減していた(「Model−based analysis of oligonucleotide arrays:expression index computation and outlier detection」,Li,C.and Wong,PNAS98(1):331−36,2001)。GAPDHおよびB−Actinに関する5’/3’比もまたQCの尺度となる。比の増大は良好なcDNA合成およびより5’側の領域に対して設計されたチッププローブセットと反応するcRNAサンプルの能力の向上を示している。GAPDHおよびB−Actinに関する5’/3’比は100pmoleのブロッカーでそれぞれ9%および29%増大していた。さらにまた、ブロッカーは存在コールのパーセントに対して用量依存的な応答を示していた。10pmoleの混合サンプルに対し、存在パーセントは46%増大し、100pmoleの混合物ではゲインはブロックされていない全血サンプルと比較して61%であった。ゲル分析によれば各ブロッカーの100pmoleの存在下において、優勢な600塩基対のcRNAバンドは観察されなかった。
【0057】
【表1】

全血からの増大した遺伝子発現がWBC調製物から得られたものにどのように相関しているかを調べるために、全RNA+ブロッカーから得られた発現データ(各濃度につきn=1)をWBC調製物から得られた発現データと比較した(表2参照)。WBCデータを使用した場合、3点のWBC調製物全てにおける存在コールの遺伝子のリストは合計22283中9662を含有していることがわかった(約43%存在)。これらの遺伝子を3種の全血調製物(CTRL、10pmoleおよび100pmole)において生成されたものと比較した。対照チップ上の5429の存在遺伝子のうち、4915がWBCフィルターリストであった(90.5%)。10pmole混合チップ上の7939存在遺伝子のうち、7204がWBCフィルターリストであった(90.7%)。そして100pmole混合チップ上の8763存在遺伝子のうち、7861がWBCフィルターリストであった(89.7%)。これはブロッカー使用時にゲインされた存在コールがWBC遺伝子リスト上で一貫して(〜90%)観察されたことを示している。
【0058】
【表2】

このデータによれば、ブロッカーの使用により全血サンプル中のWBC遺伝子カバレッジは50.9%から81.4%(可能な9662中4915から7861)に増大したこと、あるいは、本質的には、プロトコルの変更が全血中のWBC発現遺伝子の総数をさらに30.5%回復させたことを示している(これは全血サンプルより60%増大に相当する)。
【0059】
(実施例3 全血中の他の優勢な転写物種の識別)
精製されたWBC中には発現され、全血RNA+ブロッカー中には発現されない遺伝子を比較した場合、僅か28フラグメントが識別された。これらのうち、活性化された免疫細胞に特徴的なものは僅か3つであり、大部分は単球であり、程度も極めて軽少であった(Il−1β、MHCIIおよびCD69)。残余は一般的にはある程度増殖性である細胞または造血細胞型により特徴的に発現され、これらはブロッカーを用いた全血の調製全体に亘る本操作法を用いればリッチ化されると予測される。
【0060】
全血+ブロッカーのみにおいて発現された遺伝子については、43遺伝子がWBCサンプル中において検出されなかった。予測されたとおり、これらの遺伝子は赤血球中で特異的または高度に発現されることが特に知られているものであった。倍数変化(FC)分析で一位であったものはRBCタンパク質(赤血球膜タンパク質、ヘモグロビンζ、グリコホリン、セレン結合タンパク質およびALAS2)であった。
【0061】
遺伝子リストはその発現がセットの3サンプル全てにおいて存在コールをもたらした遺伝子についてフィルタリングすることによりまず作成した。第2に、1つのサンプルセットのみ(即ちWBCのみまたは100pmグロビンブロッカーのみ)において存在コールを与えた遺伝子を発見するために分析を行った。これらは1調製プロトコルにおいてのみ独特に検出される遺伝子である。最後に、倍数変化分析を実施して両方のサンプルセットに共通に発現される遺伝子の発現を調べた。2群間の遺伝子発現数値の相違の測定を行い、両側T検定により調べた場合に0.001未満のp値で有意差ありとする。
【0062】
WBCと全血RNA+ブロッカーのFC相違分析において、全血RNA+ブロッカーにおいて極めて高度にアップレギュレートされた遺伝子はRBCに関連する傾向を示していたが、一部のものは細胞型に関しては不明であった。特に興味深い点は、全血調製物中のαシヌクレインの極めて高い濃度であった。全血RNA+ブロッカーと比較した場合にWBC中で極めて高度にアップレギュレートされた遺伝子は大部分が均一してリボソームタンパク質遺伝子であった。
【0063】
要約すれば、ブロッカーを使用することは全血プロトコル単独に対して多大な進歩となり、そして他の高度に発現されるRBCタンパク質、例えばδーアミノレブリン酸シンテターゼ2(ALAS2)、セレン結合タンパク質、グリコホリンおよび一部の他のヘモグロビンに対してブロッカーを使用することによっても実施できる。
【0064】
(実施例4 霊長類全血サンプルと共に用いるためのオリゴヌクレオチドブロッカーの設計および評価)
ヒトα−グロビンブロッカーオリゴマーおよび霊長類βグロビンブロッカーオリゴマーがαグロビンおよびβグロビンmRNAに結合してグロビンmRNAのプライマー指向性逆転写酵素をブロックする能力について、カニクイザル全血調製物において試験した。
【0065】
ヒトαグロビンおよびβグロビンをコードするヌクレオチド配列を、アカゲザルおよびカニクイザルのαおよびβグロビンヌクレオチド配列それぞれに対するコンセンサスに関して評価した。霊長類αグロビンヌクレオチド配列はヒトαグロビンヌクレオチド配列とマッチしている。この理由から、以前に評価されたヒトαグロビンブロッキングオリゴマー04および05を使用したが、04は以下の通り、即ち、UUUGCCGCCCACUCAGACUUUAU(配列番号34、配列番号4+3’末端の追加3ヌクレオチドと同じ)となるように伸長した。霊長類βグロビンヌクレオチド配列をヒトβグロビンヌクレオチド配列と比較したところ、1塩基対の相違が判明した。3つの2’−O−メチル霊長類βグロビンブロッキングオリゴマーを設計し霊長類βグロビンmRNAの逆転写を効果的にブロックするその能力について試験した。評価はQ−PCRおよびcRNAデータの結果に基づいた。設計して試験したβグロビンブロッキングオリゴマーは以下に列挙するとおりである。
【0066】
【化5】

分析を実施するために、カニクイザルの血液をEDTA試験管中に採取する(10ml血液/霊長類の1試験管)。次に全血をPAXgeneTM血液試験管中に分注し、試験管をPAXgeneTM血液RNAキットハンドブックに従って処理することにより全RNAを得る。PAXgeneTM血液RNAキットはαおよびβグロビンRNAを含む血液中の核酸を安定化させる。
【0067】
RNA抽出の後、反応あたり全RNA5μgを用いて逆転写を実施する。逆転写工程はプライマー−アニーリング工程において反応に2’−O−メチル修飾グロビンブロッキングオリゴマーを添加した以外はAffymetrixのプロトコルに従って実施する。表3はサンプルの説明である。サンプルCyP1を対照として使用した。
【0068】
【表3】

cDNA/サンプル約0.9μgづつを用いてQ−PCRを行った。Q−PCRはαグロビンおよびβグロビンmRNAの逆転写をブロックする2’−O−メチルαグロビンオリゴマーおよび2’−O−メチル−βグロビンオリゴマーの能力を評価するために使用した。Q−PCRデータは被験サンプル各々(CyP2、CyP3およびCyP4)の平均のCをブロックされていない全血cDNA対照(CyP1)のものと比較することにより分析した。ブロックされていないサンプルの平均C値と比較した場合の各ブロックサンプルの平均C値の上昇は、対照サンプルと比較してαグロビンmRNAまたはβグロビンmRNA逆転写をブロッカーが良好にブロックしたことを示している。全被験サンプルは相当する対照の平均C値よりも高値の平均C値を有しており、全てのオリゴマーが被験サンプル中のグロビンRNAの逆転写をブロックしたことを示していた。
【0069】
【表4】

cDNAはAffymetrixの標準的インビトロ転写(IVT)のプロトコルを用いてcRNAに転写する。cRNAの品質はA260測定により試験する。CyP1対照サンプルは転写物がそのサンプル中でブロックされていなかったために最も高い総収量を有することが予測された。25μg未満のいずれの収量も不良とみなした。全被験サンプルの総収量は高く、CyP2サンプルは対照サンプルと統計的に同様の良好な性能を示した。サンプルCyP3およびCyP4はCyP2サンプルより低値の全cRNA収量であったが、これらの収量はなお十分であった。cRNAの品質および2’−O−メチルオリゴマーがαグロビンおよびβグロビンをブロックする能力は1XMOPS、1.25%アガロースゲル上で試験した。許容基準はグロビンに相当することが実施例1でわかっている≦0.6Kbのバンドが存在しないこととした。0.6Kb以下のバンドの存在は完全ではない部分的なグロビン転写のブロッキングを示唆していた。全被験サンプルにおいてグロビンが完全にブロックされたことをゲルは示していた。
【0070】
【表5】

Q−PCRおよびcRNAのデータは全オリゴマーが結合し、αおよびβグロビンRNAの逆転写を効果的にブロックしたことを示していた。CyB1オリゴマーはβグロビンmRNAの3’末端に最も近く結合するように設計した。これは他のβグロビンブロッキングオリゴマーと同様に効果的にβグロビンRNAの転写をブロックし、cRNAの最高収量をもたらした。この理由から、CyB1(配列番号35)は評価された最も効果的なβグロビンブロッキングオリゴマーであると考えられる。
【0071】
(実施例5 干渉分子の存在下および非存在下の霊長類全血サンプルの遺伝子発現分析)
カニクイザル白血球、全血および全血+ブロッキングオリゴマーの遺伝子発現分析をAffymetrixHG_U133AGeneChip(登録商標)アレイ上で実施する。RNAは全血中の赤血球を溶解させ、そして製造元の説明書に従ってQiagenRNeasyキットを用いて全RNAを抽出することにより白血球から得る。PAXgene血液RNAキットを用いて全血調製物から抽出された全量を抽出し、製造元の説明書に従って使用する。全RNAサンプルはRNAからcDNAへの逆転写のプライマーアニーリング工程の間にサンプルPAX_100にブロッキングオリゴマーを添加する以外はAffymetrixの標準的プロトコルに従ってAffymetrixHG_U133AGeneChip(登録商標)アレイを用いて処理した。表6はサンプルの情報を示す。
【0072】
【表6】

各サンプルはAffymetrixの標準的プロトコルに従って3AffymetrixHG_U133AGeneChip(登録商標)アレイ上で実施する。サンプルは交差物質種ハイブリダイゼーションにより実施例2に記載したものよりも低い存在コールを示した。白血球サンプルは約21.5%の存在コールを示した(〜22,000遺伝子中〜9,000、即ち〜24%)。ブロッキングオリゴマー非存在下の全血サンプルは約17.9%の存在コールを示した。これと比較して、ブロッキングオリゴマーを含有する全血サンプルは約26.0%の存在コールを示した。このデータは白血球サンプルまたはブロッキングオリゴマー非含有全血サンプルよりも多くの遺伝子がブロッキングオリゴマー含有全血サンプル中から検出されたことを示している。
【0073】
相関カラーマップおよびPCAグラフ(図示せず)もまた白血球サンプルとブロッキングオリゴマー含有全血サンプルの存在コール遺伝子の間に高い水準の一致があったことを示していた。
【0074】
(実施例6 イヌ全血サンプルを用いたオリゴヌクレオチドブロッカーの評価)
イヌブロッキングオリゴマーを設計し、グロビンmRNAの逆転写を効果的にブロックするその能力について評価した。イヌ血液を採取し、PAXgeneTM血液RNAキットを用いて製造元の説明書に従って処理する。mRNAを逆転写し、そして2’O−メチル修飾ブロッキングオリゴマーを被験サンプルのプライマーアニーリング工程中に100pmol/反応で添加する。設計して試験したαおよびβグロビンブロッキングオリゴマーは以下に列挙するとおりである。サンプルの説明は表7に示す。
【0075】
【化6】

【0076】
【表7】

サンプルは実施例2に記載する通りQ−PCRを用いて試験する。対照サンプル(全血、ブロッカー無添加)は最低の平均αグロビンCおよびβグロビンC値を全サンプルに亘り示した。このことは全てのブロッカーは、対照サンプルと比較して被験サンプル中のグロビンRNAの逆転写をブロックしたことを示している。
【0077】
cDNAサンプルを実施例2に記載した通りcRNAに転写する。ブロッカーオリゴマーを含有しない全血サンプルは110.45μgのcRNA総収量を示した。ブロックされたサンプルはより低値の収量を示したが、全収量とも29μgより高値であった。25μg未満の収量は「失敗」とみなした。この理由から、全被験サンプルの総収量は十分であると考えられた。
【0078】
cRNAはまた1XMOPS、1.25%アガロースゲル上で泳動することによりブロッキングオリゴマーがグロビンmRNAの逆転写を完全にブロックしたかどうか調べた。サンプルK9P17に相当するゲルのレーン内の約0.6Kbの弱いバンドはこのサンプルについて部分的なブロッキングのみ生じたことを示唆していた。他の被験サンプルに相当するゲルのレーンはバンドを示しておらず、これはグロビンmRNA転写物の逆転写の完全なブロッキングが起こったことを示唆していた。この理由から、αブロッキングオリゴマーの組み合わせはαグロビンブロッキングオリゴマーCANaG.04が単独でブロックするよりも効果的に逆転写をブロックすると考えられる。
【0079】
(実施例7 干渉分子の存在下および非存在下のイヌ全血サンプルの遺伝子発現分析)
イヌ白血球、全血およびグロビンブロッカーを含有する全血の遺伝子発現分析をAffymetrixイヌGeneChip(登録商標)アレイプラットフォームを用いて実施する。実験は実施例5に記載した実験と並行する。白血球サンプルは赤血球を溶解することにより採取し、全RNAはQiagenのRNeasyキットを使用して抽出する。全RNAはPAXgene血液RNAキットを用いて全血サンプルから抽出する。サンプルの説明は表8に記載するとおりである。
【0080】
【表8】

サンプルは実施例5に記載の通り処理し、そしてサンプルは各々1つのイヌGeneChip(登録商標)アレイとハイブリダイズする。WBCサンプルセットは34.8%で最高パーセント存在コールを示した。PAX_0サンプルセットは16.7%で最低パーセント存在コールを示した。PAX_10、PAX_100およびPAX_200サンプルセットはそれぞれ29.9%、31.9%および29.3%のパーセント存在コールを示した。データはグロビンブロッキングオリゴマーを添加した場合には全血球サンプル中のパーセント存在コールが実質的に増大したことを示している。
【0081】
PAX_100サンプルセットは他の全血球調製物と比較した場合にWBCサンプルセットと合致した最高水準を示した。WBCサンプルセットとPAX_100サンプルセットとの間の存在コール遺伝子の一致は86.3%であった。WBCサンプルセットとPAX_0サンプルセットとの間の存在コール遺伝子の一致は46.5%であった。データは、遺伝子発現データは白血球サンプルと100pmolブロッキングオリゴマー添加全血サンプルとの間で最も同様であることを示していた。
【0082】
(実施例8 ラット全血サンプルの遺伝子発現分析:グロビン低減の有無による示差的遺伝子発現の分析に関するPAXgene(登録商標)およびTRIzol(登録商標)プロトコルの比較)
本試験の目的はラット全血サンプルに対するグロビン低減プロトコルの有効性を評価すること、および、WBCプロトコルと比較した場合のグロビン低減プロトコル処理サンプルと未処理サンプルの遺伝子発現の差の測定における進歩の程度を評価することであった。
【0083】
ラット15匹に食塩水(3ml/kg、ip)を投与し、そして15匹にLPS(3ml/kgの容量で10mg/kg、ip)を投与し、そしてラット血液から、(1)ノースカロライナ大学RBC溶解プロトコル(UNC)(Yang et al.,2002,Expression profile of leukocyte genes activated by anti−neutrophil cytoplasmic autoantibodies(ANCA),Kidney Intl.,62(5):1638−49)、全血混合TRIzol(登録商標)プロトコルおよびPAXgene(登録商標)標準単離プロトコルを用いてRNAを単離した。mRNAを逆転写し、2’O−メチル修飾ブロッキングオリゴマーを被験サンプルのプライマーアニーリング工程の間に5μg全RNAの400pmol/反応で添加する。使用されたブロッカーは以下のとおりである。
【0084】
【化7】

次に各サンプルを1つのRGU34AGeneChip(登録商標)アレイに45℃で24時間ハイブリダイズし、アレイをMicroarray Suite 5.0ソフトウエア(Affymetrix)を用いて、以下のセッティング、すなわちスケーリング=全プローブセット@TGT100、規格化ファクター=1、α1=0.04、α2=0.06、タウ=0.015、γ1L=0.0025、γ1H=0.0025、γ2L=0.003、γ2H=0.003および摂動=1.1により分析した。
【0085】
プローブセットのリストはASCENTATMシステム(Gene Logic,Inc.,Gaithersburg,MD)から入手し、これはサイトカイン遺伝子ファミリー(53メンバー)またはGPCR遺伝子ファミリー(277メンバー)の何れかのメンバーと考えられた。log変換Geomeanデータの比較によれば、未処理の全血サンプルよりもグロビン低減プロトコルおよびUNCプロトコルで処理したTRIzol(登録商標)プロトコルおよびPAXgene(登録商標)サンプルの間に有意に増大した相関(R2)が示されていた。このことは、グロビンメッセージを除去した場合に遺伝子発現測定の正確さの有意な進歩が起こることを示している。
【0086】
8炎症経路(腫瘍壊死因子(TNF)、サイトカイン炎症応答、インターロイキン−6(IL−6)、サイトカインネットワーク、炎症応答、細胞毒性Tリンパ球(CTL)免疫応答、形質転換成長因子β(TGFβ)および有糸分裂促進物質活性化タンパク質キナーゼ(MAPK))のメンバーであり、そして対照とLPS投与WBCサンプルとの間に有意な遺伝子発現の相違を示した遺伝子のサブセットを調べた。WBCサンプルセットにおいてみられた対照とLPS投与サンプルとの間の測定された遺伝子発現の相違の程度をTRIzol(登録商標)とPAXgene(登録商標)サンプルセットのものと比較した。グロビン低減プロトコルで処理したTRIzol(登録商標)およびPAXgene(登録商標)のサンプルセットの両方につき、対照およびLPS投与サンプルの間で測定された遺伝子発現の相違の計算された程度の相関は、WBCサンプルセットのものに対して、増大していた。即ち、倍数変化の規模の相関ははるかに高度であり、そして発現における倍数変化の方向は(TRIzol(登録商標)およびPAXgene(登録商標)のサンプルセットの両方につき)グロビン低減後のWBCサンプルのものとより合致している。
【0087】
要約すれば、TRIzol(登録商標)およびPAXgene(登録商標)のRNAサンプルをグロビン低減プロトコルで処理することによりWBC中の示差的遺伝子発現の正確な測定に対して顕著な利点が与えられる。αおよびβグロビンcRNAの大部分をアレイハイブリダイゼーション溶液から除去することにより、遺伝子検出の感度および測定された遺伝子発現の正確さと再現性が大きく高められる。グロビン低減プロトコルはTRIzol(登録商標)およびPAXgene(登録商標)のRNA単離にさらに付け加えたプロトコル工程を含んでいるため、プロトコルはWBC単離が無いという利点も有している。
【0088】
(実施例9 ヒトサンプル中の全血遺伝子発現プロファイリングを増強するための逆転写中のαグロビン、βグロビンおよびγグロビンのブロッキング)
本試験の目的は、(1)0.2%から2.5%の範囲の広範な網状赤血球を有するヒト全血サンプルに対するグロビン低減プロトコルの有効性を測定すること;(2)ブロッキング方法がグロビンmRNAを極めて少量または極めて大量に含有するサンプルにおいてもなお有効であるかどうか調べること;および(3)Affymetrixの最近発表したRNaseH系のグロビン低減プロトコル(Affymetrix Technical Note An Analysis of Blood Procdssing Methods to Prepare Samples for GeneChip(登録商標)Expression Profiling(2003))と遺伝子特異的ブロッカーとして2’O−メチル化学修飾オリゴマーを用いた本発明のグロビン低減プロトコルを比較することであった。
【0089】
血液を異なる6ドナーの各々から採取し、網状赤血球計数分析を含む完全な血液計数分析のために処理した。全RNAは(1)後のパラグラフにおいて「WBC」と称される「RNeasy Midi Protocol for Isolation of Total Cellular RNA from Whole Blood」(Qiagen)のプロトコル(任意のオンカラムの「RNase−free DNase Set」(Qiagen)DNase I処理消化を含む);(2)TRIzol(登録商標)RNA単離プロトコル(Invitrogen);および(3)「PAXgeneTM血液RNAキット」(PreAnalytiX)プロトコル(任意のオンカラムの「RNase−free DNase Set」(Qiagen)DNase I処理消化を含む)の各々を利用しながら各サンプルの一部から単離した。
【0090】
6WBC全RNA、6TRIzol(登録商標)RNAおよび複数のPAXgeneTM全RNAサンプルの各々を「RNA 6000 Nano LabChip Kit」(Agilent)を用いてAgilent 2100 バイオアナライザーシステム上でRNAの品質について個別に評価し、そして次に「RNeasy Mini Kit」(Qiagen)または「RNeasy MinElute Cleanup Kit」プロトコル(Qiagen)の何れかを用いて1μg/μlより高値の濃度まで濃縮した。濃縮されたRNAサンプルは「GeneChip(登録商標)Expression Analysis Technical Manual−Chapter 2:Eukaryotic Sample and Array Processing」マニュアル(Affymetrix)に記載されている通り、GeneChip(登録商標)分析用のサンプル調製に関する標準的プロトコルに従って調製した。さらにまた、各TRIzol(登録商標)およびPAXgeneTMの全RNAサンプルの小分量も以下の通り本発明のグロビン低減プロトコルまたはAffymetrixグロビン低減プロトコルで処理した。
【0091】
本発明のグロビン低減プロトコル法:初回鎖cDNA合成反応の開始時において、PAXgeneTMおよびTRIzol(登録商標)全RNAの両方の5μgずつをT7−オリゴ(dT)プライマー100pmolおよび以下の5種のグロビンmRNAブロッキングオリゴマー(2種のαブロッカー、2種のβブロッカーおよび1種のγブロッカー、反応あたり各々90pmol)の各々90pmolを含有する修飾オリゴヌクレオチド(オリゴ)混合物5μlに同時にアニーリングした。
【0092】
【化8】

各アニーリング反応は10分間70℃で12μlの総容量中で行った(総数6サンプル2セット)。次に12「処理」サンプル全てを「GeneChip(登録商標)Expression Analysis Technical Manual−Chapter 2:Eukaryotic Sample and Array Processing」マニュアル(Affymetrix)に記載されている通りのプロトコルの残余に従ってGeneChip(登録商標)分析用に調製した。
【0093】
Affymetrixのグロビン低減プロトコル法:初回鎖cDNA合成反応の開始前にPAXgeneTMおよびTRIzol(登録商標)全RNAの両方の5μgずつを2種のαグロビン3’末端アンチセンスプライマー各々15pmolおよびβグロビン3’アンチセンスプライマー40pmolに同時にアニーリングした。各アニーリング反応は5分間70℃hで10μlの総容量で行った(合計2セット6サンプル)。次に各アニーリングサンプルを10分間37℃で総反応容量20μl中2単位のRNaseH(Invitrogen)で消化した。次にRNaseH消化全RNAサンプルを清浄化し、GeneChip(登録商標)サンプルクリーンアップモジュール(Affymetrix)のIVTcRNAクリーンアップスピンカラムを用いて11μlの容量に濃縮した。次に12「処理」サンプル全てを「GeneChip(登録商標)Expression Analysis Technical Manual−Chapter 2:Eukaryotic Sample and Array Processing」マニュアル(Affymetrix)に記載されている通りのプロトコルの残りの部分に従ってGeneChip(登録商標)分析用に調製した。
【0094】
次に各WBC、TRIzol(登録商標)およびPAXgeneTMRNAサンプル(本発明のグロビン低減法またはAffymetrixのグロビン低減プロトコルの何れかで処理したサンプルを含む)を各々1つのHu133Aアレイに45℃で16時間ハイブリダイズした。各アレイを「GeneChip(登録商標)Expression Analysis Technical Manual−Chapter 2:Eukaryotic Sample and Array Processing」マニュアル(Affymetrix)に従って洗浄、染色およびスキャン(単一のスキャナー上)した(SOP3037v2および3008v3参照)。各アレイのイメージをGeneLogicの専売QCワークベンチプログラムを用いて品質評価し、次にMicroarray Suite 5.0ソフトウエア(Affymetrix)を用いて分析した。使用したMAS5.0分析のセッティングはスケーリング=全プローブセット@TGT100、規格化ファクター=1、α1=0.05、α2=0.065、タウ=0.015、γ1L=0.0045、γ1H=0.0045、γ2L=0.006、γ2H=0.006および摂動=1.1とした。
【0095】
cRNA標的の長さに関する典型的な範囲である200〜4,000塩基がWBC調製物について観察できる。PAXgeneTMシステムおよびTRIzol(登録商標)の調製物を用いれば、優勢な〜600bpのバンドは著明であり、cRNA分布の相対強度はWBC調製物で観察されるものより低値である。何れかのグロビン低減法により調製したサンプルから得られたイメージでは優勢な〜600bpのバンドは顕著に低減され、著明ではなかった。さらに、本発明のグロビン低減プロトコルにより処理したPAXgeneTMシステムおよびTRIzol(登録商標)サンプルのcRNA標的分布の長さは再度WBCcRNA標的と適合していた。しかしながら、AffymetrixRNaseH系のグロビン低減プロトコルで処理したPAXgeneTMシステムおよびTRIzol(登録商標)サンプルのcRNA標的分布の長さは僅かに低減しているように観察された。
【0096】
赤血球溶解調製物中に発現されたものと比較してPAXgeneTM調製物中で最も高度に発現された遺伝子はグロビン転写物である(データ示さず)。優勢な〜600bpのバンドは全血調製物中に存在するが他の方法では除去される網状赤血球由来のグロビンmRNAの増幅に起因する。グロビン転写物をターゲティングするためには、本発明のグロビン低減プロトコルはそれぞれHBA1、HBA2、HBBおよびHBG1に対して設計されたグロビン転写物α、βおよびγグロビンに対する5種の遺伝子特異的ブロッキングオリゴマーを利用する。Affymetrixグロビン低減プロトコルはαおよびβグロビン転写物のみをターゲティングするプライマーを利用する(HBA1、HBA2およびHBB配列に特異的)。しかしながら、試験した各ブロッキング方法は優勢な〜600bpのバンドを完全に除去している。〜600bpのバンドは全RNA調製物には検出されず、cRNA増幅過程を実施した後にのみ生じたことに留意しなければならない。cRNA強度の相対的低減およびゲルイメージにおけるTRIzol(登録商標)およびPAXgeneTMサンプルの見かけ上の長さは豊富なグロビンメッセージと増幅および標識中の残存転写物との間の競合に起因しているか、または、単に、大量のグロビンcRNAによるサンプル中の非グロビンcRNAの希釈の結果であると考えられる。
【0097】
一貫して低値の「パーセント存在コール」および高値のMM>PMプローブ対計数がTRIzol(登録商標)およびPAXgeneTMサンプルにおいて観察された(データ示さず)。〜600bpのバンドの低減は増大した「パーセント存在コール」および低値のMM>PMプローブ対計数と相関しているため、PAXgeneTMおよびTRIzol(登録商標)の実験における低減した感度は全血RNA調製物中に存在する増幅されたcRNA標的の優勢なバンドの存在による可能性が最も高い。
【0098】
cDNA合成の前またはその間のグロビン転写物枯渇の効率性を調べるために、各サンプルに関するα、βおよびγグロビン遺伝子発現値を抽出した。一部の例においては6種以下の異なるプローブセットを用いて単一のグロビン遺伝子の平均の遺伝子発現を測定した。網状赤血球が高濃度であるサンプルはより高値のグロビンシグナルを示したが、両方のグロビン低減方法ともその予測される転写物に関する測定遺伝子発現シグナル値を低減した。本発明の方法のためのブロッカーカクテルはWBC調製物において測定されたものと同じかより低値であるシグナル値の範囲までα、βおよびγグロビンプローブセットのシグナル値を低減した。しかしながらAffymetrixのグロビン低減プロトコルは本発明のグロビン低減プロトコルほど顕著にはグロビンプローブセットのシグナル値を低減しなかった。
【0099】
GeneLogicのグロビン低減プロトコルは実際にWBCプロトコルで観察された数値より僅かに低値までβグロビンの発現シグナルを低減したことに留意しなければならない。さらにまた、予測されるとおり、Affymetrixグロビン低減プロトコルはγグロビン値に対しては僅かな作用しか示さなかった(RNaseH消化についてはγグロビン転写物を特異的にターゲティングしないため)。両方のグロビン低減プロトコルは広範な網状赤血球計数を示すドナーから得たサンプルに亘ってグロビンシグナルを低減することについては、同様の有効性を示した。このことは両方のプロトコルは可変のドナーサンプル集団に対してグロビンを低減する場合には効果的であることを意味する。
【0100】
ベースライン発現としてのWBC全RNAと異なる全血全RNAとの間の示差的発現を示した遺伝子およびグロビン枯渇方法を識別するためにスチューデントのt検定を用いた。各比較におけるプローブセットの大部分は2倍より小さい変化の相違を示した。しかしながら、TRIzol(登録商標)およびPAXgeneTM全RNAをWBC調製物と比較した場合、それぞれ843および1020プローブセットがp値<0.01でいずれかの方向に2倍の発現差があることが判明した。有意な発現の差の数は、本発明のグロビン低減法を用いれば、TRIzol(登録商標)サンプルでは843から124プローブに、そしてPAXgeneTMサンプルでは1020から391プローブセットにそれぞれ低減した。また、上記の場合ほど有意ではないが、有意な発現の差の数は、Affymetrixグロビン低減プロトコル法を用いることで、TRIzol(登録商標)サンプルでは843から726プローブに、そしてPAXgeneTMサンプルでは1020から799プローブセットにそれぞれ低減した。この方法で処理されたサンプルについては有意な負の倍数変化の数の大きな増大が観察され、Affymetrixプロトコルの間に起こっている非特異的またはオフターゲットの作用を示している。明らかに、本分析においては本発明のグロビン低減法が最良の性能のプロトコルであり、そして本プロトコルで処理したサンプルにおいてはオフターゲット作用は仮にあったとしても少数であることをデータは示している。
【0101】
細胞型特異的で遺伝子ファミリー特異的なシグネチャー遺伝子の2セットを用いて血液特異的遺伝子に基づいて試験された異なるプロトコルにより作成された遺伝子発現データを相関付けた。赤血球特異的遺伝子は全血全RNAプロトコルのいずれにおいてもより高度に発現された。顆粒球および単核細胞特異的な転写物の相関はWBC対未処理TRIzol(登録商標)サンプルについてはR=0.90でありWBC対未処理PAXgeneTMサンプルについてはR=0.83であったが、この相関は本発明のグロビン低減プロトコル処理サンプルのいずれにおいても0.99超まで増大していた。R=0.99の最高相関は本発明のグロビン低減プロトコルで処理されたTRIzol(登録商標)サンプルで観察された。
【0102】
興味深いことに、AffymetrixのRNaseH系のグロビン低減プロトコルにより処理されたTRIzol(登録商標)およびPAXgeneTMサンプルはこの特定の分析においては極めて不良な性能を示した。顆粒球および単核細胞特異的な遺伝子発現の数値の相関はWBC対TRIzol(登録商標)+RNaseHについてはR=0.66であり、WBC対PAXgeneTM+RNaseHについてはR=0.63であった。この遺伝子セットについてはオフターゲット作用が実際にWVCサンプルデータへの相関を低下させていたことは明らかである。
【0103】
同様の結果がシグネチャー遺伝子の第2のセットについても観察された。WBC対未処理TRIzol(登録商標)またはPAXgeneTMサンプルについては遺伝子発現の数値の相関はそれぞれR=0.85および0.83であった。この相関は本発明のグロビン低減プロトコルで処理したTRIzol(登録商標)およびPAXgeneTMサンプルについてはそれぞれ0.97および0.94に増大した。さらに、顆粒球および単核細胞特異的な遺伝子とは対照的に、WBCと比較した場合のAffymetrixプロトコル処理のTRIzol(登録商標)およびPAXgeneTMサンプルでは相関の増大が観察された(それぞれR=0.90および0.89)。
【0104】
考えられるプロトコルのオフターゲット作用を示すプローブセットの数をさらに求めるために、各グロビン低減プロトコル(即ちTRIzol(登録商標)+ブロッカー、TRIzol(登録商標)+RNaseH等)について幾何平均の比(各プローブセットに対する)を未処理のPAXgeneTMまたはTRIzol(登録商標)サンプルのデータと比較し、そして各比較についてスチューデントのt検定を行うことにより何れかの測定された発現の差が有意であるか調べた。最後に、未処理のPAXgeneTMまたはTRIzol(登録商標)サンプルセットの場合よりもWBCサンプルセットにおいて高値の幾何平均のシグナル値を有していたプローブセットのみを含むようなプローブセットのフィルターリストを求めた。処理対未処理のサンプルにおいて有意な低下(1.5倍より大きいシグナル低下、p<0.05)を示し、そして、未処理サンプルよりもWBCサンプルにおいて高濃度に発現されたものとして測定されたプローブセットを計数した。〜22,000プローブセット中僅か6および2つが本発明のグロビン低減プロトコルで処理されたPAXgeneTMおよびTRIzol(登録商標)サンプルについてこのような基準を満足した。しかしながら、329および520プローブセットがAffymetrixグロビン低減プロトコルで処理したPAXgeneTMおよびTRIzol(登録商標)サンプルについてこの同様の基準を満足した。この分析から得られる結果はAffymetrixRNaseH系プロトコルは有意で多数のオフターゲット作用をもたらすということである。このことはプロトコル自体の性質によるものと考えられ、ゲノムDNAのフラグメントを含有する可能性のあるサンプル中の酵素的反応を使用することにより、多くの異なる非グロビンmRNA消化が起こる可能性がある。
【0105】
要約すれば、本発明またはAffymetrixのグロビン低減プロトコルの何れかを用いて調製された6種の異なる全血サンプルから得られたGeneChip(登録商標)アレイデータをブロックされていない全血全RNAサンプルから得たデータと比較した。これらの異なるプロトコルの性能をGeneChip(登録商標)アレイ上のハイブリダイゼーションの前および後に多くのパラメーターに対して評価した。発現データの分析によれば、本発明のプロトコルは%存在以外の全ての分析およびPAXgeneTMサンプルの一致分析においてAffymetrixのプロトコルよりも良好な性能を示した。さらに、本発明のプロトコルは全血サンプルマイクロアレイデータの感度および再現性を大きく向上させ、生産において実施できる最も平易なプロトコルであり、そして最も自動化が容易である。
【0106】
AffymetrixGeneChip(登録商標)プラットフォーム用に処理したサンプルに対して本発明の転写ブロッキング法を用いれば、全血調製物由来の全RNAから誘導したものとの関連において測定可能な遺伝子の数が66%から86%に増大した。網状赤血球溶解プロトコルを用いて処理された同じサンプルにおける存在コールとして測定された遺伝子に対して転写ブロッキングプロトコルを用いて得られた遺伝子を比較したところ、2つのプロトコルの間には96%の重複があった。このことは遺伝子発現の生物学的一貫性が維持されており、より関連する末梢白血球の遺伝子発現分析が得られることを示唆している。平均の変動係数は転写ブロックプロトコルにおいては3.9%低減され、それに伴うGAPDHまたはβアクチン比較対象遺伝子のSN比や5’−3’比の有意な変化は無い。ブロッキング法を用いる場合の1つの懸案事項は非ブロッカーのターゲティングされた転写の「オフターゲット」サイレンシングがある点である。しかしながら、得られたデータの分析によれば、マイクロアレイ上にタイルされた〜22,000遺伝子のうちオフターゲット作用の可能性を示したものは最大でも6つであった。これらの結果によれば、採取時に安定化された全血全RNAの使用は感度および再現性を失うことなく全ゲノムの遺伝子発現プロファイリングのためのサンプルとして効率的に使用できる。
【0107】
全ての出版物、特許および特許出願は参照により本明細書に組み込まれる。上記した明細書において、本発明はその特定の好ましい実施形態に関連して記載されており、多くの詳細事項は説明を目的としているが、当業者の知るとおり本発明はさらに別の実施形態が可能であり、そして本明細書に記載した詳細の特定のものは本発明の基本原理から外れることなく大幅に変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】図1は、白血球対全血から得たcRNA中の約600塩基対の顕著なバンドを示すアガロースゲルの写真である。
【図2】図2は、選択されたmRNA配列の逆転写酵素による転写を本発明の遺伝子特異的プライマーがブロックする機序を示す説明図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高赤血球含量を有する血液または組織のサンプルの遺伝子発現分析を改良する方法であって、以下:
(a)該血液または組織からRNAのサンプルを得る工程;
(b)該サンプルに、一種以上の赤血球(RBC)核酸配列特異的干渉分子を添加する工程;
(c)該サンプル中のRNA転写物を増幅する工程;および、
(d)該サンプルの遺伝子発現プロファイルを決定する工程;
を包含する、方法。
【請求項2】
前記一種以上のRBC核酸配列特異的干渉分子が、cDNAへの一種以上のRBC mRNA転写物種の逆転写をブロックする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記血液または組織が全血である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記一種以上のRBC mRNA転写物種がグロビンであり、そして、前記一種以上のRBC核酸配列特異的干渉分子がグロビン核酸配列特異的干渉分子である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
RNAを含有するサンプル中の一種以上のRBC RNA転写物種の核酸増幅プロセスの間に増幅を阻害する方法であって、以下:
(a)該サンプルに一種以上のRBC核酸配列特異的干渉分子を添加する工程;および、
(b)該サンプル中のRNA転写物を増幅する工程;
を包含する、方法。
【請求項6】
前記一種以上のRBC核酸配列特異的干渉分子が、cDNAへの一種以上のRBC mRNA転写物種の逆転写をブロックする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記サンプルが全血から得られる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記一種以上のRBC mRNA転写物種がグロビンであり、そして、前記一種以上のRBC核酸配列特異的干渉分子がグロビン核酸配列特異的干渉分子である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
サンプル中の他の転写物種の遺伝子発現分析を妨害する、サンプル中の一種以上の赤血球RNA転写物種の増幅を阻害する方法であって、該方法は、以下:
(a)該サンプルに、一種以上の赤血球核酸配列特異的干渉分子を添加する工程;および、
(b)一種以上の該赤血球核酸配列特異的干渉分子の存在下で、該サンプル中の転写物を増幅する工程;
を包含する、方法。
【請求項10】
前記増幅が前記転写物種の逆転写を包含する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記サンプルが全血であるか、または高赤血球含量の組織より得られたRNA調製物であり、該組織が必要に応じて脾臓、骨髄、胎盤、血管化腫瘍、血管様腫瘍、脂肪、肺、筋肉、膵臓、心臓、肝臓および出血性組織からなる群より選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記遺伝子発現分析が定量的である、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記赤血球転写物種が、リボソームタンパク質L3(RPL3L)、L6(RPL6)、L7(RPL7)、L7a(RPL7A)、L9(RPL9)、L10a(RPL10A)、L11(RPL11)、L12(RPL12)、L13a(RPL13A)、L17(RPL17)、L18(RPL18)、L19(RPL19)、L21、L23a(RPL23A)、L24(RPL24)、L27(RPL27)、L27a(RPL27A)、L28(RPL28)、L30(RPL30)、L31(RPL31)、L32(RPL32)、L34(RPL34)、L35(RPL35)、L37(RPL37)、L37a(RPL37A)、L41(RPL41)、S2(RPS2)、S3a(RPS3A)、S5(RPS5)、S6(RPS6)、S7(RPS7)、S10(RPS10)、S11(RPS11)、S13(RPS13)、S16(RPS16)、S17(RPS17)、S18(RPS18)、S23(RPS23)、S24(RPS24)、S27a(RPS27A)、S31(RPS31)、SM、大型リボソームタンパク質PO(RPLPO)、フラビン還元酵素(BLVRB)、フェロケラターゼ(FECH)、ミオシン軽タンパク質(MYL4)、シヌクレイックα(SNCA)、δーアミノレブリン酸シンテターゼ2(ALSA2)、セレン結合タンパク質1(SELENBP1)、赤血球膜タンパク質バンド4.2(EPB42)および赤血球膜タンパク質バンド4.9(EPB49)、グリコホリンC(GYPC)、抗酸化剤タンパク質2(AOP2)、βアクチン(ACTB)、γアクチン1(ACTG1)、ビメンチン(VIM)、脂肪細胞脂肪酸結合タンパク質4(FABP4)、真核細胞翻訳伸長因子1α1(EEF1E1)、翻訳制御1腫瘍タンパク質(TPT1)、ユビキチンC(UBC)、フェリチン軽ポリペプチド(FTL)、白血球レセプタークラスター(LRC)メンバー7(LENG7)、β−2−ミクログロブリン(B2M)、グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ(GAPD)、複製因子C(アクチベーター1)(RFC1)、ヘテロ核リボヌクレオタンパク質A1(HNRPR1)、フィンケル−ビスキス−ライリーネズミ肉腫ウィルス(FBR−MuSV)遍在的発現物(キツネ由来)(FAU)、ras相同体遺伝子ファミリーメンバーA(ARHA)、コフィリン1(非筋肉)(CFL1)、オルニチンデカルボキシラーゼ抗酵素1(OAZ1)、ミクロソームグルタチオンS−トランスフェラーゼ1(MGST1)、早期増殖応答1(EGR1)、ミクソロームグルタチオンS-トランスフェラーゼ1(MGST1)、ペプチジルプロリルイソメラーゼA(シクロフィリンA)(PPIA)、癌胎児抗原関連細胞接着分子5(CEACAM5)、ガラクトシド結合レクチン4(LGALS4)、肝脂肪酸結合タンパク質1(FABP1)、コートマータンパク質複合体サブユニットγ(イムノグロブリンλ連結3)(COPG,IGLJ3)、主要組織適合性複合体クラス1B(HLA−B)、主要組織適合性複合体クラス1C(HLA−C)、免疫グロブリン重μ定常物(IGHM)、免疫グロブリンκ定常物(IGKC)、溶質キャリアファミリー25メンバー3(SLC25A3)、H3ヒストンファミリー3A(H3FA)、食道特異的正常粘膜1(NMES1)、熱ショック70kDaタンパク質8(HSPA8)、仮想タンパク質MGC14697(MGC14697)、重合体免疫グロブリンレセプター(PIGR)およびFK506結合タンパク質8(FKBP8)、仮想タンパク質BC012775(LOC91300)、寒冷ショックドメインタンパク質A(CSDA)、F−ボックス唯一タンパク質7(FBX07)、CGI−45タンパク質(CGI−45)、マコリンリングフィンガータンパク質1(MKRN1)、小型EDRKリッチ因子2(SERF2)、ピニン(PNN)、SETドメイン分岐1抗酸化剤タンパク質2(AOP2、SETDB1)、ヌクレアーゼ感受性エレメント結合タンパク質(NSEP1)、グルタチオンペルオキシダーゼ1(GPX1)、MAX相互作用タンパク質1(MXI1)およびユビキチンB(UBB)に対する転写物からなる群より選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
サンプル中の他の転写物種の遺伝子発現分析を妨害する、サンプル中の一種以上の赤血球転写物種の逆転写を阻害する工程を包含する、定量的遺伝子発現分析を増強する方法であって、該阻害が、以下:
(a)該サンプルに、一種以上の赤血球核酸配列特異的干渉分子を添加する工程;および、
(b)該一種以上の赤血球核酸配列特異的干渉分子の存在下で、該サンプル中のRNAを逆転写する工程;
を包含する、方法。
【請求項15】
前記サンプルが全血であるか、または高赤血球含量の組織より得たRNA調製物であり、該組織が必要に応じて脾臓、骨髄、胎盤、血管化腫瘍、血管様腫瘍、脂肪、肺、筋肉、膵臓、肝臓、心臓および出血性組織からなる群より選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記赤血球転写物種が、リボソームタンパク質L3(RPL3L)、L6(RPL6)、L7(RPL7)、L7a(RPL7A)、L9(RPL9)、L10a(RPL10A)、L11(RPL11)、L12(RPL12)、L13a(RPL13A)、L17(RPL17)、L18(RPL18)、L19(RPL19)、L21、L23a(RPL23A)、L24(RPL24)、L27(RPL27)、L27a(RPL27A)、L28(RPL28)、L30(RPL30)、L31(RPL31)、L32(RPL32)、L34(RPL34)、L35(RPL35)、L37(RPL37)、L37a(RPL37A)、L41(RPL41)、S2(RPS2)、S3a(RPS3A)、S5(RPS5)、S6(RPS6)、S7(RPS7)、S10(RPS10)、S11(RPS11)、S13(RPS13)、S16(RPS16)、S17(RPS17)、S18(RPS18)、S23(RPS23)、S24(RPS24)、S27a(RPS27A)、S31(RPS31)、SM、大型リボソームタンパク質PO(RPLPO)、フラビン還元酵素(BLVRB)、フェロケラターゼ(FECH)、ミオシン軽タンパク質(MYL4)、シヌクレイックα(SNCA)、δーアミノレブリン酸シンテターゼ2(ALSA2)、セレン結合タンパク質1(SELENBP1)、赤血球膜タンパク質バンド4.2(EPB42)および赤血球膜タンパク質バンド4.9(EPB49)、グリコホリンC(GYPC)、抗酸化剤タンパク質2(AOP2)、βアクチン(ACTB)、γアクチン1(ACTG1)、ビメンチン(VIM)、脂肪細胞脂肪酸結合タンパク質4(FABP4)、真核細胞翻訳伸長因子1α1(EEF1E1)、翻訳制御1腫瘍タンパク質(TPT1)、ユビキチンC(UBC)、フェリチン軽ポリペプチド(FTL)、白血球レセプタークラスター(LRC)メンバー7(LENG7)、β−2−ミクログロブリン(B2M)、グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ(GAPD)、複製因子C(アクチベーター1)(RFC1)、ヘテロ核リボヌクレオタンパク質A1(HNRPR1)、フィンケル−ビスキス−ライリーネズミ肉腫ウィルス(FBR−MuSV)遍在的発現物(キツネ由来)(FAU)、ras相同体遺伝子ファミリーメンバーA(ARHA)、コフィリン1(非筋肉)(CFL1)、オルニチンデカルボキシラーゼ抗酵素1(OAZ1)、ミクロソームグルタチオンS−トランスフェラーゼ1(MGST1)、早期増殖応答1(EGR1)、ミクソロームグルタチオンS−トランスフェラーゼ1(MGST1)、ペプチジルプロリルイソメラーゼA(シクロフィリンA)(PPIA)、癌胎児抗原関連細胞接着分子5(CEACAM5)、ガラクトシド結合レクチン4(LGALS4)、肝脂肪酸結合タンパク質1(FABP1)、コートマータンパク質複合体サブユニットγ(イムノグロブリンλ連結3)(COPG,IGLJ3)、主要組織適合性複合体クラス1B(HLA−B)、主要組織適合性複合体クラス1C(HLA−C)、免疫グロブリン重μ定常物(IGHM)、免疫グロブリンκ定常物(IGKC)、溶質キャリアファミリー25メンバー3(SLC25A3)、H3ヒストンファミリー3A(H3FA)、食道特異的正常粘膜1(NMES1)、熱ショック70kDaタンパク質8(HSPA8)、仮想タンパク質MGC14697(MGC14697)、重合体免疫グロブリンレセプター(PIGR)およびFK506結合タンパク質8(FKBP8)、仮想タンパク質BC012775(LOC91300)、寒冷ショックドメインタンパク質A(CSDA)、F−ボックス唯一タンパク質7(FBX07)、CGI−45タンパク質(CGI−45)、マコリンリングフィンガータンパク質1(MKRN1)、小型EDRKリッチ因子2(SERF2)、ピニン(PNN)、SETドメイン分岐1抗酸化剤タンパク質2(AOP2、SETDB1)、ヌクレアーゼ感受性エレメント結合タンパク質(NSEP1)、グルタチオンペルオキシダーゼ1(GPX1)、MAX相互作用タンパク質1(MXI1)およびユビキチンB(UBB)に対する転写物からなる群より選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
細胞または組織のサンプル中の遺伝子発現を分析する改良された方法であって、該改良は、該細胞または組織のサンプルの相対的遺伝子発現プロファイルを歪める逆転写反応の前またはその間に、一種以上の転写物を除去する工程を包含する、方法。
【請求項18】
前記一種以上の転写物が、該一種以上の転写物を一種以上の転写物配列特異的干渉分子に接触させる工程により、または、磁気ビーズに結合させた一種以上の転写物配列特異的核酸分子とハイブリダイズさせる工程により除去され、該一種以上の転写物配列特異的干渉分子が、細胞または組織のサンプルの相対的遺伝子発現プロファイルを歪める該一種以上の転写物の逆転写をブロックし得る、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記改良が、遺伝子発現プロファイルを得る工程をさらに包含し、ここで得られる検出可能な遺伝子の数は、望ましくない転写物の逆転写が阻害されない場合に得られる検出可能な遺伝子の数よりも大きい、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
核酸増幅プロセスの間に、RNAを含有するサンプル中の一種以上のグロビンmRNA分子の増幅を阻害するための方法であって、以下:
(a)該サンプルに、一種以上のグロビン核酸配列特異的干渉分子を添加する工程;および、
(b)該一種以上のグロビン核酸配列特異的干渉分子の存在下で、該サンプル中の該RNAを増幅する工程;
を包含する、方法。
【請求項21】
前記グロビンmRNA分子が、αグロビン、βグロビン、γグロビン、δグロビン、θグロビンおよびζグロビンならびにそれらの改変体からなる群より選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記サンプルが、全血から、または高赤血球含量の組織から得たRNA調製物であり、該組織が、必要に応じて脾臓、骨髄、胎盤、血管化腫瘍、血管様腫瘍、脂肪、肺、筋肉、膵臓、肝臓、心臓および出血性組織からなる群より選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記一種以上のグロビン核酸配列特異的干渉分子が、グロビンmRNA、グロビンcDNAまたはグロビンcRNAに対する相補性を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記一種以上のグロビン核酸配列特異的干渉分子が、逆転写酵素またはRNAポリメラーゼの反応に干渉する工程によりグロビンmRNAの増幅を阻害する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記一種以上のグロビン核酸配列特異的干渉分子が、グロビンmRNAのグロビンcDNAへの逆転写をブロックし、そして/または、グロビンcRNAの重合、もしくはグロビンcDNAからのcDNAの第2鎖の重合をブロックする、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記一種以上のグロビン核酸配列特異的干渉分子が、修飾および未修飾のアンチセンス分子および三重鎖形成オリゴマーからなる群より選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記修飾アンチセンス分子が、前記グロビンmRNAの切断を生じる窒素性塩基(複素環)修飾、糖修飾、骨格修飾、末端修飾および機能的修飾からなる群より選択される一種以上の修飾を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記一種以上の糖修飾が、2’O−アルキル修飾および2’O−ハロゲン化物修飾、炭素環糖模倣物および2環式の糖からなる群より選択され、前記一種以上の骨格修飾が、ホスホロチオエート修飾、ジホスホロチオエート修飾、ホスホロアミデート修飾およびメチルホスホネート修飾、PNA、2’−5’連結オリゴマー、α−連結オリゴマー、ボラノ−ホスフェート修飾オリゴマー、キメラオリゴマー、アニオン性の骨格構造、カチオン性の骨格構造および中性の骨格構造からなる群より選択され、前記機能的修飾が、RNAse付加、リボザイム付加、活性化されるとグロビンmRNAを切断し得る化学基の付加、および分子をロックダウンすることにより逆転写酵素またはポリメラーゼが分子を融解してグロビンRNAを放出することを防ぐ結合からなる群より選択され、前記化学基の結合が必要に応じてアルドール化剤、アルキル化剤、ソラレンおよびEDTAからなる群より選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記一種以上のグロビン核酸配列特異的干渉分子が、グロビンmRNAまたはcRNAの分解または切断を支援する工程によりグロビンmRNAの増幅を阻害し、該分解または切断は、必要に応じてRNAse活性によるか、または、リボザイム活性により引き起こされる、請求項20に記載の方法。
【請求項30】
前記一種以上のグロビン核酸配列特異的干渉分子が、グロビンmRNAまたはcRNAの分解または切断を支援するためにさらに使用される、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記グロビンmRNA分子が、ヒト、ラット、ネズミ、ウサギ、モルモット、イヌ、ネコ、霊長類、ウマ、ウシ、ブタ、 ヒツジおよびニワトリからなる群より選択される種に由来する、請求項21に記載の方法。
【請求項32】
前記グロビンmRNA分子が、配列番号4、配列番号5、配列番号6および配列番号34からなる群より選択されるヒトαグロビンmRNA分子、ならびに/または、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号19および配列番号44からなる群より選択されるヒトβグロビンmRNA分子、ならびに/または、配列番号7、配列番号8および配列番号9からなる群より選択されるヒトγグロビンmRNA分子である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記グロビンmRNA分子が、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48および配列番号49からなる群より選択されるラットαグロビンmRNA分子、ならびに/または、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14および配列番号15からなる群より選択されるラットβグロビンmRNA分子である、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記RNAが、遺伝子発現プロファイルを得るために使用され、該遺伝子発現プロファイルは、前記一種以上のグロビン核酸配列特異的干渉分子の非存在下において得られる遺伝子発現プロファイルと比較して改良されている、請求項20に記載の方法。
【請求項35】
一種以上のグロビン核酸配列特異的干渉分子を備える、核酸増幅プロセスの間にRNAを含有するサンプル中の一種以上のグロビンmRNA分子の増幅を阻害するためのキット。
【請求項36】
前記グロビンmRNA分子が、αグロビン、βグロビン、γグロビン、δグロビン、θグロビンおよびζグロビンからなる群より選択される、請求項35に記載のキット。
【請求項37】
前記一種以上のグロビン核酸配列特異的干渉分子が、グロビンmRNA、グロビンcDNAまたはグロビンcRNAに対する相補性を有する、請求項35に記載のキット。
【請求項38】
前記一種以上のグロビン核酸配列特異的干渉分子が、逆転写酵素またはRNAポリメラーゼの反応を干渉する工程により、グロビンmRNAの増幅を阻害する、請求項35に記載のキット。
【請求項39】
前記一種以上のグロビン核酸配列特異的干渉分子が、グロビンmRNAのグロビンcDNAへの逆転写をブロックし、そして/または、グロビンcRNAの重合、もしくはグロビンcDNAからのcDNA第2鎖の重合をブロックする、請求項38に記載のキット。
【請求項40】
前記一種以上のグロビン核酸配列特異的干渉分子が、修飾および未修飾のアンチセンス分子ならびに三重鎖形成オリゴマーからなる群より選択される、請求項35に記載のキット。
【請求項41】
前記修飾アンチセンス分子が、前記グロビンmRNAの切断を生じる窒素性塩基(複素環)修飾、糖修飾、骨格修飾、末端修飾および機能的修飾からなる群より選択される一種以上の修飾を含む、請求項40に記載のキット。
【請求項42】
前記一種以上の糖修飾が、2’O−アルキルおよび2’O−ハロゲン化物修飾、炭素環糖模倣物および2環式の糖からなる群より選択され、前記一種以上の骨格修飾が、ホスホロチオエート修飾、ジホスホロチオエート修飾、ホスホロアミデート修飾およびメチルホスホネート修飾、PNA、2’−5’連結オリゴマー、α−連結オリゴマー、ボラノ−ホスフェート修飾オリゴマー、キメラオリゴマー、アニオン性の骨格構造、カチオン性の骨格構造および中性の骨格構造からなる群より選択され、前記機能的修飾が、RNAse付加、リボザイム付加および活性化されるとグロビンmRNAを切断し得る化学基の付加からなる群より選択され、前記化学基の結合が、必要に応じてアルドール化剤、アルキル化剤、ソラレンおよびEDTAからなる群より選択される、請求項41に記載のキット。
【請求項43】
前記一種以上のグロビン核酸配列特異的干渉分子が、グロビンmRNAまたはcRNAの分解または切断を支援する工程によりグロビンmRNAの増幅を阻害し、該分解または切断は、必要に応じてRNAse活性によるか、または、リボザイム活性により引き起こされる、請求項37に記載のキット。
【請求項44】
前記一種以上のグロビン核酸配列特異的干渉分子が、グロビンmRNAまたはcRNAの分解または切断を支援するためにさらに使用される、請求項38に記載のキット。
【請求項45】
前記グロビンmRNA分子が、ヒト、ラット、ネズミ、ウサギ、モルモット、イヌ、ネコ、霊長類、ウマ、ウシ、ブタ、 ヒツジおよびニワトリからなる群より選択される種に由来する、請求項35に記載のキット。
【請求項46】
前記グロビンmRNA分子が、配列番号4、配列番号5、配列番号6および配列番号34からなる群より選択されるヒトαグロビンmRNA分子、ならびに/または、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号19および配列番号44からなる群より選択されるヒトβグロビンmRNA分子、ならびに/または、配列番号7、配列番号8および配列番号9からなる群より選択されるヒトγグロビンmRNA分子である、請求項45に記載のキット。
【請求項47】
前記グロビンmRNA分子が、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48および配列番号49からなる群より選択されるラットαグロビンmRNA分子、ならびに/または、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14および配列番号15からなる群より選択されるラットβグロビンmRNA分子である、請求項45に記載のキット。
【請求項48】
細胞または組織のサンプルの相対的遺伝子発現プロファイルを歪める一種以上の転写物の配列に対して特異的な一種以上の干渉分子を含む、細胞または組織のサンプルの改良された遺伝子発現プロファイルを得るために有用な組成物。
【請求項49】
前記一種以上の干渉分子が、前記一種以上の転写物と少なくとも90%同一であるか、または、該一種以上の転写物に相補的な核酸と少なくとも90%同一である、請求項48に記載の組成物。
【請求項50】
前記サンプルが全血であり、そして前記一種以上の転写物が赤血球転写物である、請求項48に記載の組成物。
【請求項51】
前記一種以上の赤血球転写物がグロビン転写物であり、そして該一種以上のグロビン転写物が、必要に応じてαグロビン、βグロビン、γグロビン、δグロビン、θグロビンおよびζグロビンならびにそれらの改変体からなる群より選択される、請求項50に記載の組成物。
【請求項52】
前記一種以上の干渉分子が、修飾および未修飾のアンチセンス分子および三重鎖形成オリゴマーからなる群より選択される、請求項48に記載の組成物。
【請求項53】
前記修飾アンチセンス分子が、前記グロビンmRNAの切断を生じる窒素性塩基(複素環)修飾、糖修飾、骨格修飾、末端修飾および機能的修飾からなる群より選択される一種以上の修飾を含む、請求項52に記載の組成物。
【請求項54】
前記一種以上の糖修飾が、2’O−アルキルおよび2’O−ハロゲン化物修飾、炭素環糖模倣物および2環式の糖からなる群より選択され、前記一種以上の骨格修飾が、ホスホロチオエート修飾、ジホスホロチオエート修飾、ホスホロアミデート修飾およびメチルホスホネート修飾、PNA、2’−5’連結オリゴマー、α−連結オリゴマー、ボラノ−ホスフェート修飾オリゴマー、キメラオリゴマー、アニオン性の骨格構造、カチオン性の骨格構造および中性の骨格構造からなる群より選択され、前記機能的修飾が、RNAse付加、リボザイム付加、活性化されるとグロビンmRNAを切断し得る化学基の付加および分子をロックダウンすることにより逆転写酵素またはポリメラーゼが分子を融解してグロビンRNAを放出することを防ぐ付加からなる群より選択され、前記化学基の結合が、必要に応じてアルドール化剤、アルキル化剤、ソラレンおよびEDTAからなる群より選択される、請求項53に記載の組成物。
【請求項55】
前記一種以上の干渉分子が、グロビンmRNA、グロビンcDNAまたはグロビンcRNAに対する相補性を有する、請求項48に記載の組成物。
【請求項56】
前記一種以上の干渉分子が、グロビンmRNAまたはcRNAの分解または切断を支援する工程によりグロビンmRNAの増幅を阻害し、該分解または切断は、必要に応じてRNAse活性によるか、または、リボザイム活性により引き起こされる、請求項55に記載の組成物。
【請求項57】
前記グロビンmRNA分子が、ヒト、ラット、ネズミ、ウサギ、モルモット、イヌ、ネコ、霊長類、ウマ、ウシ、ブタ、 ヒツジおよびニワトリからなる群より選択される種に由来する、請求項48に記載の組成物。
【請求項58】
前記グロビンmRNA分子が、配列番号4、配列番号5、配列番号6および配列番号34からなる群より選択されるヒトαグロビンmRNA分子、ならびに/または、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号19および配列番号44からなる群より選択されるヒトβグロビンmRNA分子、ならびに/または、配列番号7、配列番号8および配列番号9からなる群より選択されるヒトγグロビンmRNA分子である、請求項57に記載の組成物。
【請求項59】
前記グロビンmRNA分子が、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48および配列番号49からなる群より選択されるラットαグロビンmRNA分子、ならびに/または、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14および配列番号15からなる群より選択されるラットβグロビンmRNA分子である、請求項57に記載の組成物。
【請求項60】
前記配列特異的干渉分子が、mRNAの逆転写を実質的にブロックする遺伝子特異的プライマーである、請求項1、5、9、14または20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記プライマーが高G/C含量を有する、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記プライマーが、逆転写酵素により3’方向に伸長され、転写開始プライマーからのcDNA鎖の合成をブロックする、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記配列特異的干渉分子が、mRNAの逆転写を実質的にブロックする遺伝子特異的プライマーである、請求項35に記載のキット。
【請求項64】
前記プライマーが高G/C含量を有する、請求項63に記載のキット。
【請求項65】
前記プライマーが、逆転写酵素により3’方向に伸長され、転写開始プライマーからのcDNA鎖の合成をブロックする、請求項64に記載のキット。
【請求項66】
前記干渉分子が、前記一種以上の転写物の逆転写を実質的にブロックする遺伝子特異的プライマーである、請求項48に記載の組成物。
【請求項67】
前記プライマーが高G/C含量を有する、請求項66に記載の組成物。
【請求項68】
前記プライマーが、逆転写酵素により3’方向に伸長され、転写開始プライマーからのcDNA鎖の合成をブロックする、請求項67に記載の組成物。
【請求項69】
前記増幅が前記転写物種の逆転写を含む、請求項1、5、14または20のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−500002(P2008−500002A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515165(P2006−515165)
【出願日】平成16年6月4日(2004.6.4)
【国際出願番号】PCT/US2004/017621
【国際公開番号】WO2005/003370
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(504373750)ジーン ロジック インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】