説明

遺伝子解析用基板

【課題】 新規なTAGの提供、その相補体が固定されている基板の提供など。
【解決手段】 下記の(1)〜(7)の条件を満たす少なくとも2種のオリゴヌクレオチドの相補体が固定されている基板。
(1)配列長が19-25merであること。
(2)融解温度(Tm)が64.0-69.0℃であること。
(3)標的核酸の配列との類似性が50%以下であること。
(4)高次構造をとらないこと。
(5)任意の2種を選んでもヘテロダイマーを形成しないこと。
(6)同一塩基の繰り返し数が4個以下であること。
(7)GC含量が40.0-60.0%であること。
遺伝子解析法、オリゴヌクレオチド及びその相補体、それらの組合せ、並びに核酸プライマー及びプローブなども提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺伝子解析用基板に関し、より詳細には、新規なTAG配列の相補体が固定されている遺伝子解析用基板に関する。
【背景技術】
【0002】
DNAの一塩基多型解析方法として、TAGを利用する方法、すなわち、ZipCodeタグという短いオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション反応を利用する方法がある(特許文献1及び非特許文献1)。この方法では、SNP部位を含むゲノムDNAの特定の断片をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によりまず増幅する。二本鎖PCR産物を、SAPとエキソヌクレアーゼIで処置して一本鎖にし、ddNTP-FITC存在化で、SNP部位にすぐ隣接するよう設計したZipCodeタグシーケンスのオリゴヌクレオチドを末端に付加したプライマーで一塩基伸長反応を行う。このプライマーはSNP部位ごとに相補なシーケンスと異なるZipCodeタグシーケンスを付加する。そして微小ビーズに固定されたアンチセンスZipCodeタグシーケンスのオリゴヌクレオチドとハイブリダイゼーションを行い、FITCのシグナルをフローサイトメーターで検出する。シグナルが検出されたZipCodeタグの番号からSNP部位のタイプを決定する事ができる。
【0003】
また、同じくDNAにおける一塩基多型を解析する方法として、微小ビーズに固定したTAGを利用する方法がある(非特許文献2)。この方法では、dCTP-Biotin存在化で、SNP部位にすぐ隣接するよう設計したアンチセンスTAGシーケンスのオリゴヌクレオチドを末端に付加したプライマーでアレル特異プライマー伸長反応を行う。TAGを固定した微小ビーズとハイブリダイゼーションさせ、xMAPフローサイトメーター(Luminex)で検出している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようにTAGを使った核酸サンプルにおける遺伝子検出、一塩基多型解析方法は公知の技術であるが、本発明は、これらのTAGとは配列が異なる新規なTAG(TAGオリゴヌクレオチド配列)を提供することを目的とする。
【0005】
また、本発明は、新規なTAGの相補体が固定されている遺伝子解析用基板を提供することを目的とする。
【0006】
さらに、本発明は、新規なTAGの相補体が固定されている基板を用いた遺伝子解析法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、下記の(1)〜(7)の条件を満たす少なくとも2種のオリゴヌクレオチドをTAGとして選択し、その相補体の配列の各々が固定されている基板を用いて遺伝子解析を行うことに成功し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
本発明の要旨は以下の通りである。
【0009】
(1)下記の(1)〜(7)の条件を満たす少なくとも2種のオリゴヌクレオチドの相補体が固定されている基板。
(1)配列長が19-25merであること。
(2)融解温度(Tm)が64.0-69.0℃であること。
(3)標的核酸の配列との類似性が50%以下であること。
(4)高次構造をとらないこと。
(5)任意の2種を選んでもヘテロダイマーを形成しないこと。
(6)同一塩基の繰り返し数が4個以下であること。
(7)GC含量が40.0-60.0%であること。
(2)ビーズ又は磁性ビーズの形状をとる(1)記載の基板。
(3)ビーズ又は磁性ビーズのそれぞれに異なるオリゴヌクレオチドの相補体が固定されている(2)記載の基板。
(4)糸の形状をとる(1)記載の基板。
(5)糸の異なる位置のそれぞれに異なるオリゴヌクレオチドの相補体が固定されている(4)記載の基板。
(6)標的核酸の配列がヒトゲノム配列である(1)〜(5)のいずれかに記載の基板。
(7)オリゴヌクレオチドの配列が配列番号1〜120のいずれかの配列である(1)〜(6)のいずれかに記載の基板。
(8)オリゴヌクレオチドの配列が、それぞれ、配列番号2、3、6、8、12、14,16、18、21、25、27、28、30、39、40、42、49、52、53、54、55、56、61、71、73、76、81、84、96、100、108、109、113、114、118及び120で表される(7)記載の基板。
(9)オリゴヌクレオチドの配列が、それぞれ、配列番号3、12、14,16、21、25、27、28、30、39、40、42、49、53、54、56、61、71、73、76、81、84、96、100、108、109、114、118及び120で表される(7)記載の基板。
(10)オリゴヌクレオチドの配列が、それぞれ、配列番号3、12、14,16、25、27、28、30、39、40、42、49、53、54、56、61、71、73、76、81、84、100、108、109、118及び120で表される(7)記載の基板。
(11)オリゴヌクレオチドの配列が、それぞれ、配列番号3、12、14、27、28、39、40、42、49、53、54、56、61、71、73、81、84、100、108、109及び120で表される(7)記載の基板。
(12)オリゴヌクレオチドの配列が、それぞれ、配列番号3、14,27、28、39、40、42、49、53、54、56、61、71、73、81、84、100、108、109及び120で表される(7)記載の基板。
(13)オリゴヌクレオチドの配列が、それぞれ、配列番号3、14、27、28、39、42、49、53、54、56、61、71、73、81、100、108、109及び120で表される(7)記載の基板。
(14)(1)〜(13)のいずれかに記載の基板を用いて、遺伝子解析を行う方法。
(15)遺伝子解析が、一塩基多型解析である(14)記載の方法。
(16)遺伝子解析が、遺伝子検出である(14)記載の方法。
(17)配列番号1〜120のいずれかで表されるヌクレオチド配列からなるオリゴヌクレオチド又はその相補体。
(18)配列番号1〜120のいずれかで表されるヌクレオチド配列からなるオリゴヌクレオチドの組合せであって、200ug/mlサケ精子DNAを含む2×SSC中の常温でのハイブリダイゼーションの条件下で、互いにクロスハイブリダイゼーションしないオリゴヌクレオチドの組合せ。
(19)(18)の組合せに含まれるオリゴヌクレオチドの相補体の組合せ。
(20)配列番号1〜120のいずれかで表されるヌクレオチド配列からなるオリゴヌクレオチドが付加された核酸プライマー又はプローブ。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、新規なTAGのハイブリダイゼーション反応を利用して核酸サンプルにおける遺伝子検出、一塩基多型解析が可能となった。この方法は、任意の遺伝子検出において利用でき、反応を多重化(Multiplex)することが容易になるため、データ読み出し容量を増加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】クロスハイブリダイゼーション有無判定のImage画像を示す。
【図2】実施例3の特異的反応による蛍光強度を示す。
【図3】実施例3の選定2の後の26種のTAGの蛍光強度を示す。
【図4】TAG109とTAG012の蛍光強度を示す。
【図5】本発明の基板(ビーズ)を用いた遺伝子解析法(一塩基多型解析)の一例の概略を示す。
【図6】実施例5のSNP部位をマルチプレックスで増幅した増幅断片を電気泳動にて分離した結果を示す。
【図7】実施例5の一塩基多型解析をBISTnnerで検出した発光強度の波形を示す。
【図8】実施例6のRDase遺伝子を網羅的に増幅した増幅断片を電気泳動にて分離した結果を示す。
【図9】実施例6のRDase遺伝子をBISTnnerで検出した発光データの波形を示す。
【図10】実施例6の32type のRDase遺伝子をBISTnnerで検出して得られた3回のシグナルの平均値を示す。
【図11】実施例7の抽出ゲノムの吸光度を示す。
【図12】実施例7のゲノム抽出物を電気泳動にて分離した結果(左)とSNP部位をマルチプレックスで増幅した増幅断片を電気泳動にて分離した結果(右)を示す。
【図13】実施例7のSNP解析をBISTnnerで検出した発光強度の波形を示す。
【図14】実施例8の抽出ゲノムの吸光度を示す。
【図15】実施例8のSNP部位をマルチプレックスで増幅した増幅断片を電気泳動にて分離した結果を示す。
【図16】実施例8の4SNP解析をBISTnnerで検出した発光強度の波形を示す。
【図17】実施例9の4SNP解析をBISTnnerで検出した発光強度の波形を示す。
【図18】実施例10の9SNP解析をBISTnnerで検出した発光強度の波形を示す。
【図19】実施例10の9SNP解析をBISTnnerで検出した発光強度の波形を示す。
【図20】実施例10の9SNP解析をBISTnnerで検出した発光強度の波形を示す。
【図21】実施例10の9SNP解析をBISTnnerで検出した発光強度の波形を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明は、下記の(1)〜(7)の条件を満たす少なくとも2種のオリゴヌクレオチドの相補体が固定されている基板を提供する。
【0014】
(1)配列長が19-25merであること。
(2)融解温度(Tm)が64.0-69.0℃であること。
(3)標的核酸の配列との類似性が50%以下であること。
(4)高次構造をとらないこと。
(5)任意の2種を選んでもヘテロダイマーを形成しないこと。
(6)同一塩基の繰り返し数が4個以下であること。
(7)GC含量が40.0-60.0%であること。
【0015】
本明細書において、(1)〜(7)の条件を満たす少なくとも2種のオリゴヌクレオチドのそれぞれを「TAG」、「TAGヌクレオチド」、「タグ配列」などと呼ぶこともある。
【0016】
本発明において、TAGは配列長が19-25merである(条件(1))。TAGは配列長があまり短ければ十分なTm値を確保できず,あまり長ければ非特異的なアニーリングが起こるため、19-25merが適当である。
【0017】
TAGの融解温度(Tm)は64.0-69.0℃である(条件(2))。融解温度(Tm)は、最近接法1(reslauer. et al., PNAS, vol.83:3746-3750)などの方法により、算出することができる。上記の方法における熱力学パラメーターとしては、Breslauer. et al., PNAS, vol.83:3746-3750に記載の数値を用いることができる。
【0018】
このTmであれば、室温での100%ハイブリダイゼーションが予測できる。
【0019】
TAGは、標的核酸の配列との類似性が50%以下である(条件(3))。標的核酸の配列としては、ヒトゲノム配列、ヒトRNA配列などを例示することができるが、これらに限定されるわけではない。
【0020】
これらの標的核酸の配列情報は、NCBI/GenBankなどの種々のデータベースから入手することができる。
【0021】
標的核酸の配列との類似性は、データベース中の配列を1つずつ取り出し、標的核酸配列とペアワイズにローカルアライメントを行うなどの方法により、算出することができる。標的核酸を検出するためにTAGはプライマーの末端に付加するため、類似性が高いと標的核酸とTAGの見分けがつかず、正しくPCRが行われないなど最終的には誤判定につながる可能性があるため、TAGは標的核酸の配列との類似性が50%以下であることが好ましい。
【0022】
TAGは高次構造をとらない(条件(4))。高次構造としては、ダイマー形成、ヘアピンループなどの二次構造などを例示することができる。
【0023】
高次構造形成能の検証には、ウィーン大学が開発したVienna RNA パッケージ、OLIGOTM Primer Analysis Software(タカラバイオ株式会社)などを利用することができる。検証時の温度条件としては、常温(25℃)を用いるとよい。遺伝子解析法として使用するハイブリダイゼーションは、1本鎖の核酸の塩基が結合することであり、高次構造をとるとその反応をさまたげるので、TAGは高次構造をとらないことが好ましい。
【0024】
TAGは、任意の2種を選んでもヘテロダイマーを形成しない(条件(5))。ヘテロダイマー形成とは、1つまたはそれ以上のミスマッチによる部分的な二本鎖形成を意味する。
【0025】
ヘテロダイマー形成能の検証には、ウィーン大学が開発したVienna RNA パッケージなどを利用することができる。検証時の温度条件としては、常温(25℃)を用いるとよい。それぞれのTAGがそれぞれの標的核酸検出に対応するため、TAG同士がヘテロダイマーを形成すると正しく遺伝子解析を行うことができないため、TAGは、任意の2種を選んでもヘテロダイマーを形成しないことが好ましい。
【0026】
TAGは、同一塩基の繰り返し数が4個以下である(条件(6))。「同一塩基の繰り返し数が4個以下である」という条件により、TAGは4個以上の同一タンデム配列やリピート配列を含まないことになる。得にGCは反応が強いためリピート配列があると非特異的な反応につながるため、TAGは同一塩基の繰り返し数が4個以下であることが好ましい。
【0027】
TAGは、GC含量が40.0-60.0%である(条件(7))。40.0-60.0%のGC含量は、一般的にプライマーの設計に適していると言われている数値である。
【0028】
本発明の基板は、ビーズ、糸(ストランド)、磁性ビーズ、などの形状をとることができる。
【0029】
本発明の基板がビーズ又は磁性ビーズの形状をとる場合には、ビーズ又は磁性ビーズのそれぞれに異なるオリゴヌクレオチドの相補体が固定されているとよい。
【0030】
本発明の基板が糸の形状をとる場合には、糸の異なる位置のそれぞれに異なるオリゴヌクレオチドの相補体が固定されているとよい。
【0031】
(1)〜(7)の条件を満たすTAGの例として、配列番号1〜120のTAGを例示することができる。これらの配列は、条件(3)の標的核酸の配列としてヒトゲノム配列を選択して得られたものである(後述の実施例1を参照のこと)。
【0032】
配列番号2、3、6、8、12、14,16、18、21、25、27、28、30、39、40、42、49、52、53、54、55、56、61、71、73、76、81、84、96、100、108、109、113、114、118及び120で表されるTAGは、200ug/mlサケ精子DNAを含む2×SSC中の常温でのハイブリダイゼーション条件下で、クロスハイブリダイゼーションを起こす可能性がより低いと予想された(後述の実施例2を参照のこと)。
【0033】
さらに、配列番号3、12、14,16、21、25、27、28、30、39、40、42、49、53、54、56、61、71、73、76、81、84、96、100、108、109、114、118及び120で表されるTAGは、Cy5オリゴヌクレオチドを用いた蛍光強度の差が小さかった(後述の実施例3(選定1)を参照のこと)。
【0034】
さらに、配列番号3、12、14,16、25、27、28、30、39、40、42、49、53、54、56、61、71、73、76、81、84、100、108、109、118及び120で表されるTAGは、200ug/mlサケ精子DNAを含む2×SSC中の常温でのハイブリダイゼーションの条件下で、クロスハイブリダイゼーションが無かった(後述の実施例3(選定2)を参照のこと)。
【0035】
さらに、配列番号3、12、14、27、28、39、40、42、49、53、54、56、61、71、73、81、84、100、108、109及び120で表されるTAGは、Cy5オリゴヌクレオチドを用いた蛍光強度の差がより小さかった(後述の実施例3(選定3)を参照のこと)。
【0036】
さらに、配列番号3、14,27、28、39、40、42、49、53、54、56、61、71、73、81、84、100、108、109及び120で表されるTAGは、Cy5オリゴヌクレオチドを用いた蛍光強度の差がさらに小さい(後述の実施例3(選定4)を参照のこと)。
【0037】
さらに、配列番号3、14、27、28、39、42、49、53、54、56、61、71、73、81、100、108、109及び120で表されるTAGは、クロスハイブリダイゼーションが行われず特異性のあるハイブリダイゼーションが行えることとハイブリダイゼーションシグナルにあまり差がないことから検出が比較的容易に行えることといった利点がある(後述の実施例3(選定5)を参照のこと)。
【0038】
上記の(1)〜(7)の条件を満たすTAGの相補体が固定された基板を用いて、遺伝子解析を行うことができる。
【0039】
基板としては、ビーズ、糸(ストランド)、磁性ビーズなどを挙げることができる。
【0040】
ビーズは、大きさは1mm程度で、プラスチックやセラミックなどの材質のものであるとよく、このようなビーズは、特開2000-346842号公報、特表平14-534657号公報などに記載されている。
【0041】
磁性ビーズは、大きさは数十μmで、プラスチックやセラミックなどに鉄粉等を混ぜ、磁気化したものであるとよい。このようなビーズは、特開平8-62224号公報(特許第3115501号明細書)、国際公開WO96/29602パンフレット、国際公開WO97/44671パンフレットなどに記載されている。
【0042】
糸(ストランド)は、大きさは直径0.1mm程度で、樹脂系の材質のものであるとよく、このような糸は、特開2006-214759号公報、国際公開WO01/53831パンフレット、国際公開WO2003/7901パンフレットなどに記載されている。
【0043】
基板表面には、TAGの相補体を結合できる官能基を生成させてもよい。例えば、基板がポリアミド系高分子の素材で作製されている場合には、ポリアミド系高分子が有するペプチド結合を加水分解することにより、カルボキシル基(-COOH)、アミノ基(-NH2)などの官能基を生成させることができる。
【0044】
TAGの相補体は、公知のDNA合成法により、市販のDNA合成機を用いて製造することができる。
【0045】
TAGの相補体を基板に固定するには、固体表面へDNAを固定するための公知のいかなる方法を用いてもよい。例えば、基板の末端をカルボキシル基などの官能基などで修飾し、カルボジイミドなどの試薬を用いて、化学的にTAGの相補体を基板に固定することができる。また、基板をアビジン又はストレプトアビジンで被覆し、TAG相補体をビオチン化すれば、アビジンとビオチンとの間の特異的反応によって、TAGの相補体を基板に結合させることができる。あるいはまた、TAGの相補体を基板に物理的に吸着させる方法などもある。TAGの相補体にはスペーサー配列を付加してもよい。
【0046】
TAGの相補体が固定された基板を用いて行うことができる遺伝子解析としては、一塩基多型解析、遺伝子検出などを例示することができるが、これらに限定されるわけではない。
【0047】
一塩基多型解析を行うには、A Microsphere-Based Assay for Multiplexed Single Nucleotide Polymorphism Analysis Using Single Base Chain Extension. Jingwen Chen; Marie A. Iannone; May-Sung Li; J. David Taylor; Philip Rivers; Anita J. Nelsen; Kimberly A. Slentz-Kesler; Allen Roses; Michael P. Weiner. 10:549-557 2000 by Cold Spring Harbor Laboratory Press ISSN 1088-9051/00(非特許文献1)、Analytical Validation of the TAG-It High-Throughput Microsphere-Based Universal Array Genotyping Platform: Application to the Multiplex Detection of a Panel of Thrombophilia-Associated Single-Nucleotide Polymorphisms. Susan Bortolin; Margot Black; Hemanshu Modi; Ihor Boszko; Daniel Kobler; Dan Fieldhouse; Eve Lopes; Jean-Michel Lacroix; Rebecca Grimwood; Philip Wells; Richard Janeczko; Roman Zastawny. Clinical Chemistry 50:11 2028-2036 (2004)(非特許文献2)などを参照するとよい。
【0048】
遺伝子検出を行うには、TaqMan PCR法について記載しているAllelic discrimination using fluorogenic probes and the 5’ nuclease assay. Livak KJ. Gnenet Anal 14, 143 (1999);Rapid reverse transcription-PCR detection of Hepatitis C virus RNA in serum by using the TaqMan fluorogenic detection syste. Morris T et al. J Clin Microbiol 34, 2933 (1996)、Invader法について記載しているStructure-specific endonucleolytic cleavage of nucleic acids by eubacterial DNA polymerases. Lyamichev V et al. Science 260, 778 (1993);Polymorphism identification and quantitative detection of genomic DNA by invasive clevage of oligonucleotide probes. Lyamichev V et al. Nat Biotechnol 17, 292 (1999);Comparison of the 5’ nuclease activities of Taq DNA polymerase and its isolated nuclease domain. Lyamichev V et al. Proc Natl Acad Sci USA 96, 6143 (1999);A comparison of eubacterial and archaeal structure-specific 5’-exonucleases. Kaiser MW et al. J Biol Chem 274, 21387 (1999)などを参照するとよい。
【0049】
TaqMan PCR法(Allelic discrimination using fluorogenic probes and the 5’ nuclease assay. Livak KJ. Gnenet Anal 14, 143 (1999);Rapid reverse transcription-PCR detection of Hepatitis C virus RNA in serum by using the TaqMan fluorogenic detection syste. Morris T et al. J Clin Microbiol 34, 2933 (1996))は、蛍光標識をしたアレル特異的オリゴとTaq DNAポリメラーゼによるPCR反応とを利用した方法である。アレル特異的オリゴ(TaqManプローブ)は約20塩基程度の長さであり、5’末端はFAMやVICなどの蛍光レポーター色素、3’末端がクエンチャー(消光物質)によって標識されている。このプローブが鋳型DNAの得意的な配列にハイブリダイゼーションし、同時にPCRプライマーから伸長反応が起こる。この際、TaqDNAポリメラーゼは5’ヌクレアーゼ活性を有しているため、PCRプライマーの伸長反応が進む際にハイブリダイゼーションをしたTaqManプローブを切断する。TaqManプローブが切断されると、蛍光色素がクエンチャーの影響を受けなくなり蛍光が検出される。この蛍光を検出することで、目的の遺伝子有無が確認できる方法である。
【0050】
Invader法(Structure-specific endonucleolytic cleavage of nucleic acids by eubacterial DNA polymerases. Lyamichev V et al. Science 260, 778 (1993);Polymorphism identification and quantitative detection of genomic DNA by invasive clevage of oligonucleotide probes. Lyamichev V et al. Nat Biotechnol 17, 292 (1999);Comparison of the 5’ nuclease activities of Taq DNA polymerase and its isolated nuclease domain. Lyamichev V et al. Proc Natl Acad Sci USA 96, 6143 (1999);A comparison of eubacterial and archaeal structure-specific 5’-exonucleases. Kaiser MW et al. J Biol Chem 274, 21387 (1999))は、TaqMan PCR法と同様にアレル特異的オリゴと鋳型をハイブリダイゼーションさせることによりタイピングする方法である。2種類の非蛍光標識オリゴのうちひとつは、蛍光標識の代わりに鋳型の配列とは無関係な配列(フラップ)を5’側に有している(アレルプローブ)。3’側は鋳型に特異的な相補配列であり、特異的な配列の5’末端はSNP部となっている。もうひとつのオリゴは、インベーダープローブと呼ばれており、SNP部位からの鋳型の3’側に相補的に結合するように設計されている。鋳型と2つのプローブをハイブリダイゼーションさせるとSNP部分にインベーダープローブの1塩基が侵入する。このときSNP部には3つの塩基が並ぶことになり、これをエンドヌクレアーゼ活性を有する特殊な酵素(cleavase)で切断する。この切断されたフラップが、Fluorescence resonance energy transfer (FRET)プローブの3’側に配置した相補な配列と相補結合する。相補結合することで、フラップのSNP部がFRET自身の相補結合部位に侵入し、cleavaseが再びこの構造を認識して切断する。FRETプローブの5’末端にはTaqManプローブと同様の蛍光色素が標識されており、上流にはクエンチャーが結合しているため、切断されることで、クエンチャーと離れ蛍光を発する。この蛍光を検出することで、目的の遺伝子有無が確認できる方法である。
【0051】
シグナルの検出法としては、蛍光検出と化学発光が主な検出法であり、マイクロタイタープレート検出機やスキャナー型のイメージアナライザーなどがある。
【0052】
また、本発明は、配列番号1〜120のいずれかで表されるTAGからなるオリゴヌクレオチド又はその相補体;配列番号1〜120のいずれかで表されるTAGからなるオリゴヌクレオチドの組合せであって、200ug/mlサケ精子DNAを含む2×SSC中の常温でのハイブリダイゼーションの条件下で、互いにクロスハイブリダイゼーションしないオリゴヌクレオチドの組合せ;及び上記のオリゴヌクレオチドの組合せに含まれるオリゴヌクレオチドの相補体の組合せも提供する。配列番号1〜120のいずれかで表されるTAGからなるオリゴヌクレオチドは、公知のDNA合成法により、市販のDNA合成機を用いて製造することができ、遺伝子解析用のTAGとして利用可能である。これらのオリゴヌクレオチドはTAGとして核酸プライマーやプローブに付加されてハイブリダイゼーションに供される。そのハイブリダイゼーションの条件としては、200ug/mlサケ精子DNAを含む2×SSC中の常温でのハイブリダイゼーションという条件の他、200ug/ulサケ精子DNA 、25%ホルムアミド、0.01% Tween20を含むMES溶液の常温でのハイブリダイゼーションなどを挙げることができるが、これらに限定されるわけではない。
【0053】
さらに、本発明は、配列番号1〜120のいずれかで表されるTAGからなるオリゴヌクレオチドが付加された核酸プライマー又はプローブも提供する。これらの核酸プライマー及びプローブは、公知のDNA合成法により、市販のDNA合成機を用いて製造することができ、TAGの相補体が固定された基板を用いた遺伝子解析に利用可能である。
【実施例】
【0054】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに何ら影響されることはない。
【0055】
〔実施例1〕TAG設計
19〜25merの配列をランダムに生成し、下記の(1)〜(7)の条件を満たすTAGを選定した。選定したTAGを優先順位の高い順番に番号付けし(TAG001-TAG120)、その配列を配列番号1〜120に示す。
【0056】
(1)配列長が19-25merであること。
(2)融解温度(Tm)が64.0-69.0℃であること。
(3)ヒトゲノム配列(標的核酸の配列)との類似性が50%以下であること。
(4)高次構造をとらないこと。
(5)任意の2種を選んでもヘテロダイマーを形成しないこと。
(6)同一塩基の繰り返し数が4個以下であること。
(7)GC含量が40.0-60.0%であること。
【0057】
Tm値の算出には最近接法1の計算式を用いた。最近接法2により算出したTm値は参考値とした。
【0058】
熱力学パラメータ:Breslauer, et al., PNAS, vol 83: 3746-3750.
最近接法1:
Tm = ΔH / (ΔS + Rln(Ct/4)) - 273.15 + 16.6log[Na+]
Ct:DNA 濃度; 500nM、Na+:ナトリウムイオン濃度; 50mM
R:気体定数(1.987cal/deg・mol)
ヒト配列との特異性(類似性)を検証には、3 つの配列データベース(NCBI RefSeq アセンブル済ゲノム配列 (BUILD 36.1; 1〜23,X,Y 染色体)、NCBI RefSeq RNA 配列 (2006/07/17 更新版; 40368 配列)、NCBI UniGene クラスタ配列 (BUILD #194;86810 配列))を用いた。TAGはこれらのデータベースに含まれるすべての配列との類似性が、50%以下になるように設計を行った。
【0059】
TAGの高次構造形成能(TAGの二次構造、ダイマー形成、ヘテロダイマー形成能)の検証には、ウィーン大学が開発したVienna RNA パッケージを使用した。また、二次構造、ダイマー形成、ヘテロダイマー形成能検証時の温度条件には常温(25℃)を用いた。
【0060】
〔実施例2〕TAGの組合せ(1)
実施例1の優先順位結果、「Oligo」ソフト(OLIGOTM Primer Analysis Software(タカラバイオ株式会社))で予測したヘアピン構造の形成条件予測、Handy Bio-Strandシステム(プレシジョン・システム・サイエンス株式会社)を用いたハイブリダイゼーション結果より、クロスハイブリダイゼーションを起こさないと予測される36種(TAG002、003、006、008、012、014,016、018、021、025、027、028、030、039、040、042、049、052、053、054、055、056、061、071、073、076、081、084、096、100、108、109、113、114、118及び120)の組合せを選定した。
【0061】
Bio−Strandを用いたハイブリダイゼーション条件は、200ug/mlサケ精子DNAを含む2×SSC溶液にCy5ラベルしたTAGを入れ、Bio-Strandチップに吸引しストランド上に固定してあるタグ相補配列と常温でハイブリダイゼーションさせ洗浄して、専用のスキャナーでCy5のシグナルを検出し、特異的な反応が起きているかどうかを判断した。選定基準はスポットシグナルが出たことを目視で判定できることとした。
【0062】
〔実施例3〕TAGの組合せ(2)
1.実験目的
反応用ビーズに固定するプローブとして適したTAGを候補となっている36種(実施例2)から選定する。
【0063】
2.実験方法・手順
<使用器具・機器>
・Handy Bio-Strand一式
Handy Bio-Strand Kenzan (PSS、Code No.D4011)
Handy Bio-Strand Strand Kit (PSS、 Code No.D4010 Lot No.A05S1300)
Handy Bio-Strand Stamper (PSS、Code No.D4001 Lot No.HTB01-003)、
Handy Bio-Strand Spinner (PSS、Code No.D4002 Lot No.HP001-003)、
Handy Bio-Strand Rotator (PSS、Code No.D4004 Lot No.HRB01-010)、
Handy Bio-Strand Scanner (PSS、Code No.D4005 Lot No.HCC01-0023)
・384穴プレート(GENETX、X6004)
・SPECTRO LINKER XL-1500UV CROSS LINKER (Spectronics、UV-C)
・SX-12GC(PSS、Code No.A1003)
・ICカード(SX-12GC用 Hybri Machine V0.5/Firmware 12GC E200)
・Water Bath
・ボルテックス
・チビタン
・Nano Drop
・Hy-Soft (PSS、Ver.0.1.7.S)
<使用試薬>
・Sheared Salmon Sperm DNA 10mg/ml (エッペンドルフ)
・20×SSC (Wako)
・10%SDS (Wako)
・超純水
・Marker Cy5 CFWT 合成オリゴヌクレオチド (SIGMA)
・TAG 合成オリゴヌクレオチド (SIGMA) 36種
【0064】
【表1】

・Cy5 TAGc 合成オリゴヌクレオチド (SIGMA) 36種
【0065】
【表2】

<実験方法>
1)TAG 合成オリゴヌクレオチドとCy5 TAGc 合成オリゴヌクレオチドを10uMになるよう超純水で調製し、NanoDropで濃度測定を行った。10uMに希釈したTAG 合成オリゴヌクレオチドを2uMに、Cy5 TAGc 合成オリゴヌクレオチドを1uMに超純水で希釈した。
【0066】
2)Pre-Hybridization Bufferに使用するSheared Salmon Sperm DNA (10mg/ml)を95℃設定のWater Bathで3分ボイル後、氷上にて急冷を行った。
【0067】
3)各Bufferの調製を行った。
【0068】
Wash Buffer 1 : 2×SSC、0.1%SDS
Wash Buffer 2 : 1×SSC、0.1%SDS
Wash Buffer 3 : 0.1×SSC、0.1%SDS
Detection Buffer : 2×SSC
Pre-Hybridization Buffer : 2×SSC、200ug/ml Sheared Salmon Sperm DNA
Hybridization Buffer : 2×SSC、200ug/ml Sheared Salmon Sperm DNA、10nM Cy5 TAGc
※Hybridization反応は36種の固定化TAG 合成オリゴヌクレオチドに対し、Cy5 TAGc 合成オリゴヌクレオチドを1種類ずつ反応させるため、Hybridization BufferはCy5 TAGc 合成オリゴヌクレオチド別にそれぞれ調製した。
【0069】
4)下記のSpot Mapに従い、2uMのTAGを384穴プレートへ5ulずつ分注した。(Spot MapにはTAGのNo.を記した。また、Mの箇所にはMarkerを分注した。)
【0070】
【表3】

5)384穴プレートに分注したTAGをHandy Bio-Strand Stamper、KenzanおよびStrand Kitを用いて4回(各5秒)スポットを行った。
【0071】
6)スポットしたCassetteをHandy Bio-Strand Spinnerを用いてストランドをコアピンに巻き取り、Handy Bio-Strand Rotatorにセットし、SPECTRO LINKER XL-1500UV CROSS LINKERにて70mJ/cm2のUV照射を行った。
【0072】
7)UV照射後のコアピンをBS-2000 Tip(PSS、Handy Bio-Strand一式中に含まれている)に挿入した。
【0073】
8)カートリッジへ下記の通り試薬分注を行い、SX-12GCおよびICカードにて常温でのハイブリダイゼーションを行った。
【0074】
Well 1 : Pre-Hybridization Buffer 500ul
Well 2 : Pre-Hybridization Buffer 500ul
Well 3 : Hybridization Buffer 500ul
Well 4 : Wash Buffer 1 500ul
Well 5 : Wash Buffer 2 500ul
Well 6 : Wash Buffer 3 500ul
Well 7 : Detection Buffer 500ul
9)Hybridization後、Handy Bio-Strand Scannerにて測定(50msec)し、Hy-softで解析を行い、特異反応スポットの蛍光強度を数値化した。
【0075】
10)翌日、再度Handy Bio-Strand Scannerにて測定(50msec)し、目視によりクロスハイブリダイゼーションの有無を確認した。
【0076】
<クロスハイブリダイゼーション有無の判定方法>
クロスハイブリダイゼーション有無の判定をHy-softのImage画像より目視で行った。目視によりスポットとして認識したTAG No.を得るため、Hy-SoftのImage画像の▼(赤三角)をスポットの場所にあわせて、plate画像の□(赤四角)が示す場所を確認した。クロスハイブリダイゼーション有無判定のImage画像を図1に示す。
【0077】
3.実験結果・選定
<特異的反応による蛍光強度について>
特異的反応によるハイブリダイゼーションによって得られた蛍光強度を図2に示す。
【0078】
(選定1)蛍光強度の差をできるだけ小さくするため、特異的反応によるハイブリダイゼーションによって得られた蛍光強度が20000以下のTAG(TAG002・TAG006・TAG008・TAG018・TAG113)と蛍光強度が40000以上のTAG(TAG052・TAG055)は除外した。
【0079】
<クロスハイブリダイゼーションについて>
選定1で選定された29種のTAGについてクロスハイブリダイゼーションの有無を表4に示す。
【0080】
【表4】

(選定2)クロスハイブリダイゼーションが2つ以上得られたTAG021・TAG096・TAG114を除外した。
【0081】
<選定1・2で除外されなかったTAGの蛍光強度とクロスハイブリダイゼーション>
選定2で除外されたTAGを考慮すると、残った26種のTAGのクロスハイブリダイゼーションの有無は表5のようになった。また、26種のTAGの蛍光強度を図3に示す。
【0082】
【表5】

(選定3)蛍光強度の差をできるだけ小さくするため、蛍光強度が25000以下のTAG(TAG016・TAG025・TAG030・TAG076・TAG118)は除外した。
【0083】
<選定3で除外されなかったTAGの蛍光強度とクロスハイブリダイゼーション>
選定3で除外されたTAGを考慮すると、残った21種のTAGのクロスハイブリダイゼーションの有無は表6のようになった。また、クロスハイブリダイゼーションが見られたTAG109とTAG012のシグナルを図4に示す。
【0084】
【表6】

(選定4)TAG012とTAG109に関してだが、特異的反応によるハイブリダイゼーションによって得られた蛍光強度の平均が約30000であることから、TAG012はクロスハイブリダイゼーションが見られないが、蛍光強度の値が平均に近いTAG109を選定した。
【0085】
4.結論
選定1から4により下記の表7に示す20種のTAGを選定した。
【0086】
【表7】

(選定5)
後述の実施例5に記載の一塩基多型解析を行うにあたり、TAGに付加するプライマーシーケンスとでヘアピン構造を作らないという選定基準で、TAG003、014、027、028、039、042、049、053、054、056、061、071、073、081、100、108、109、120を選定した。
【0087】
〔実施例4〕キャピラリービーズアレイの製造
実施例3で選定したTAGの相補体が固定されたビーズをキャピラリーに充填したキャピラリービーズアレイを以下のように製造した。
【0088】
1×PBSで洗浄した非磁性ビーズを詰めたキャピラリーを用意し、Magtration System 12GCを使って以下に示す各試薬を順に反応させ、TAGの相補体をビーズに固定化した。ここで、10種のTAG相補体を固定化させたキャピラリービーズアレイをBIST-10(TAG014、039、042、054、071、073、081、084、100、109の相補体)とし、18種のTAG相補体(TAG003、014、027、028、039、042、049、053、054、056、061、071、073、081、100、108、109、120の相補体)を固定化させたキャピラリービーズアレイをBIST-18Cとした。
【0089】
分注試薬
well 1:0.1mg/ml Avidin溶液
well 2:PBS-T (Tween0.05%)
well 3:PBS-T (Tween0.05%)
well 4:Blocking Buffer
well 5:0.8uM TAG相補体オリゴDNA溶液
well 6:PBS-T (Tween0.05%)
well 7:PBS-T (Tween0.05%)
well 8:1%BlockAce
well 9:5mM Tis-HCl、0.5mM EDTA、1M NaCl
well 10:2.5mM Tis-HCl、0.25mM EDTA、0.5M NaCl
本実施例に使用する各試薬は全て製造を委託している、ジェネテイン株式会社で調達した。
【0090】
また、以下の手順で、N-BISTを調製した。
ナイロンをコーティングした非磁性ビーズを詰めたキャピラリーを用意し、Magtration System 12GCを使って以下に示す各試薬を順に反応させ、TAGの相補体をビーズに固定化した。ここで、10種のTAG相補体を固定化させたキャピラリービーズアレイをBIST-10(TAG014、039、042、054、071、073、081、084、100、109の相補体)とし、18種のTAG相補体(TAG003、014、027、028、039、042、049、053、054、056、061、071、073、081、100、108、109、120の相補体)を固定化させたキャピラリービーズアレイをBIST-18Cとした。
【0091】
分注試薬
well 1:41.25mg/ml EDC溶液、約6.6uM TAG相補体オリゴDNA溶液
well 2:PBS-T (Tween0.05%)
well 3:PBS-T (Tween0.05%)
well 4:超純水
well 5:超純水
【0092】
本実施例に使用する各試薬は自社で調整した。
なお、このN-BISTは後述の実施例10で使用した。
【0093】
〔実施例5〕一塩基多型解析
1.実験目的
実施例4で製造したキャピラリービーズアレイを用いて一塩基多型解析を行った。操作の概略を図5に示す。
【0094】
2.実験方法・手順
Allele Specific Primer Extensionおよび実施例4で製造したキャピラリービーズアレイ(BIST-10)を用いて自動一塩基多型解析方法を開発した。BIST中のビーズにマルチプレックス同時判定を可能にするためのTAG相補体を結合させる。一塩基多型特異的配列とTAGを両配列に含むプライマーで、DNAポリメラーゼおよび標識化デオキリボヌクレオチド存在下で伸長反応を行う。BIST検出のためにTAGはBISTビーズに固定されたTAG相補体とハイブリダイズする。BIST中のビーズの標識を検出することで、一塩基多型解析を行う。TAGを使用することで、マルチプレックスのハイブリダイゼーション条件が容易になり、複数の同時一塩基多型解析が可能になる。実施例1、2、3で選定したクロスハイブリダイゼーションを起こさないTAGで実施例4に記載の方法でBISTを製造し、他の技術により決定された遺伝子型との比較により精度を確認した。
【0095】
本実施例に使用するHot Gold star(カタログ番号:314−80251)ポリメラーゼは株式会社ニッポンジーンから購入した。BIOTAQ(カタログ番号:BIO-21040)ポリメラーゼはBIOLINEから購入した。Digoxigenin-11-2’-deoxy-uridine-5’-triphosphate, alkali-stable(カタログ番号:11093088910)はRocheから購入した。PCRプライマー、標識化プライマーはオペロンに注文した。デオキシリボヌクレオチド(カタログ番号:D7295)、MES-free acid monohydrate(カタログ番号:M2933)、MES Sodium Salt(カタログ番号:M3058)はSIGMAから購入した。NaCl(カタログ番号:191−01665)、EDTA2Na・2H2O(カタログ番号:345−01865)、水酸化ナトリウム(カタログ番号:197-02125、196-05375)、Tween20(カタログ番号:163−11512)、ホルムアミド(カタログ番号:066−02301)は和光純薬工業株式会社から購入した。ブロックエース(カタログ番号:UK-B80)は大日本住友製薬から購入した。Guardian(カタログ番号:37548)、SuperSignal West Femto Maximum Sensitivity Substrate(カタログ番号:34094)はPieaceから購入した。Anti-Digoxigenin-POD(Poly), Fab fragments(カタログ番号:11644716001)はRocheから購入した。解析したゲノムDNAは女子栄養大学から提供してもらった。
【0096】
PCR増幅
DICE(タカラバイオ)を用いてPCR反応を行った。20ul反応混合液は、15mM Tis-HCl pH8.0、50mM KCl、0.01% Tween 20、2mM MgCl2、2mM dNTP、各プライマー(表8)を0.4uM、Hot Gold star DNAポリメラーゼ 0.5ユニット、および20ngゲノムDNAを含んでいた。反応混合液は95℃にて10分間保持して、DNAポリメラーゼを活性化させ、95℃にて15秒間、60℃にて15秒間、72℃にて15秒間を35サイクルさせ増幅を行った。さらに72℃にて5分間の伸長の後、反応液を4℃に保った。
【0097】
【表8】

Label化反応(Allele Specific Primer Extension)
PCR産物 2ulに、Label化混合液18ul添加し20ulの反応混合液を作成した。反応混合液は、16mM (NH4)2SO4、67mM Tis-HCl pH8.8、0.01% Tween 20、2mM MgCl2、10uM dATP、10uM dGTP、10uM dCTP、1uM Digoxigenin-11-2’-deoxy-uridine-5’-triphosphate, alkali-stable、各プライマー(表9)を0.4uM、BIOTAQ DNAポリメラーゼ 1ユニット、を含んでいた。反応混合液は95℃にて2分間保持して、DNAポリメラーゼを活性化させ、95℃にて20秒間、55℃にて20秒間、72℃にて15秒間を20サイクルさせ増幅を行い、反応液を4℃に保った。
【0098】
【表9】

BIST-10とLabel化反応産物のハイブリダイゼーション
Label化反応後、対立遺伝子特異的伸長産物のそれぞれを、TAG相補体を含むBIST中のビーズにて捕獲した。25%ホルムアミド、100mM MES、1M Na、20mM EDTA、0.01% Tween20からなるMESバッファー、200ug/ulサケ精子DNAが入ったハイブリダイゼーション溶液に95ulに5ulのLabel化反応産物を添加し、BISTに80ulを吸引し室温で5分間のハイブリダイゼーションを行った。1% BlockAce、5mM Tis-HCl、0.5mM EDTA、1M NaClとBIST中の溶液を入れ替え、室温にてBIST中のビーズを洗浄した。Anti-Digoxigenin-POD(Poly), Fab fragments 1ユニット、1% BlockAce、5mM Tis-HCl、0.5mM EDTA、1M NaClとBIST中の溶液を入れ替え、室温にて15分間BIST中のビーズに捕獲されたラベル化反応産物をAnti-Digoxigenin-POD(Poly), Fab fragmentsと反応させた。1% BlockAce、5mM Tis-HCl、0.5mM EDTA、1M NaClとBIST中の溶液を入れ替え、室温にてBIST中のビーズを洗浄した。BlockAceを取り除くため、5mM Tis-HCl、0.5mM EDTA、1M NaClとBIST中の溶液を入れ替え、さらに室温にてBIST中のビーズを洗浄した。これらの反応工程は全てプレシジョン・システム・サイエンス株式会社のMagtration System 6GCもしくは12GCを用いて自動で行った。
【0099】
BIST中ビーズの発光シグナル検出
プレシジョン・システム・サイエンス株式会社が開発したBISTnner(BIST専用検出装置)を用いてBIST中ビーズの発光シグナルを測定した。発光試薬は、SuperSignal West Femto Maximum Sensitivity Substrateを用いた。
【0100】
3.実験結果
(1)PCR産物の電気泳動評価
結果を図6に示す。各増幅断片は、目的のSNPサイトをマルチプレックスで増幅した増幅断片を電気泳動にて分離した結果を表す。
【0101】
(2)BIST-10によるSNPタイピング
結果を図7に示す。図7の下図はBISTnnerで検出した発光強度の波形を示す。振幅の大きい波形が発光強度で、振幅の小さい波形がビーズの影を測定したデータである。ビーズがあるところは振幅の小さい波形が検出できないため谷の波形を描く。この振幅の小さい波形の谷と振幅の大きい波形の山を重ね合わせることで、何番目のビーズがいくつの発光強度を示すかがわかる。上図はこのビーズの位置情報と発光強度をSNPごとに並びかえたデータである。たとえば、検体No.112の3ARはTアレルのビーズにのみシグナルが出ているので、TTタイプとなるといえる。
【0102】
(3)PCR-RFLP法との答え合わせ
結果を下記の表に示す。
【0103】
【表10】

4.考察
異なるシーケンスである3種類の検体全てにおいて、PCR-RFLP法の解析結果と一致した。
【0104】
〔実施例6〕Dehalococcoides属細菌還元的脱塩素化酵素遺伝子検出
1.実験目的
実施例4で製造したキャピラリービーズアレイ(BIST-18C)を用いてクロロエチレン類により汚染された地下水からのDehalococcoides属細菌還元的脱塩素化酵素(RDase)遺伝子を検出した。
【0105】
2.実験方法・手順
Allele Specific Primer Extensionおよび実施例4で製造したキャピラリービーズアレイ(BIST-18C)を用いて自動遺伝子検出方法を開発した。BIST中のビーズにマルチプレックス同時判定を可能にするためのTAG相補体を結合させる。標的遺伝子特異的配列とTAGを両配列に含むプライマーで、DNAポリメラーゼおよび標識化デオキリボヌクレオチド存在下で伸長反応を行う。BIST検出のためにTAGはBISTビーズに固定されたTAG相補体とハイブリダイズする。BIST中のビーズの標識を検出することで、標的遺伝子の検出を行う。TAGを使用することで、マルチプレックスのハイブリダイゼーション条件が容易になり、複数の同時標的遺伝子検出が可能になる。実施例1、2、3で選定したクロスハイブリダイゼーションを起こさないTAGで実施例4に記載の方法でBISTを製造し、他の技術により決定された遺伝子型との比較により精度を確認した。
【0106】
本実施例に使用するEx Taq(カタログ番号:RR001A)ポリメラーゼはタカラバイオ株式会社から購入した。Taq DNA(カタログ番号:E5000S)ポリメラーゼはNEW ENGLAND BioLabsから購入した。Digoxigenin-11-2’-deoxy-uridine-5’-triphosphate, alkali-stable(カタログ番号:11093088910)はRocheから購入した。PCRプライマー、標識化プライマーは合成オリゴメーカーに注文した。デオキシリボヌクレオチド(カタログ番号:D7295)、MES-free acid monohydrate(カタログ番号:M2933)、MES Sodium Salt(カタログ番号:M3058)はSIGMAから購入した。NaCl(カタログ番号:191−01665)、EDTA2Na・2H2O(カタログ番号:345−01865)、水酸化ナトリウム(カタログ番号:197-02125、196-05375)、Tween20(カタログ番号:163−11512)、ホルムアミド(カタログ番号:066−02301)は和光純薬工業株式会社から購入した。ブロックエース(カタログ番号:UK-B80)は大日本住友製薬から購入した。Guardian(カタログ番号:37548)、SuperSignal West Femto Maximum Sensitivity Substrate(カタログ番号:34094)はPieaceから購入した。Anti-Digoxigenin-POD(Poly), Fab fragments(カタログ番号:11644716001)はRocheから購入した。解析したゲノムDNAはクロロエチレン類で汚染された地下水100mlからUltraClean Water DNA Isolation Kit(MO BIO, #14880-25)を用いて抽出した。紫外可視分光光度計V-570(JASCO)を用いて吸光度を測定し、DNA濃度を求めた。
【0107】
PCR増幅
DICE(タカラバイオ)を用いてPCR反応を行った。20ul反応混合液は、20mM Tis-HCl pH8.3、100mM KCl、0.1mM EDTA、0.5% Tween20、0.5% Nonidet P-40、50% Glycerol、15mM MgCl2、2mM dNTP、各プライマー(表11)を0.5uM、Ex Taq ポリメラーゼ 2.5ユニット、および抽出したゲノム1ulを含んでいた。反応混合液は95℃にて5分間ゲノムテンプレートをDenatureして、95℃にて30秒間、50℃にて30秒間、72℃にて2分間を35サイクルさせ増幅を行った。さらに72℃にて4分間の伸長の後、反応液を4℃に保った。
【0108】
【表11】

精製
PCR産物100μl中50μlを1%アガロースゲルで電気泳動し、Mag Extractor -PCR&Gel Clean up-(TOYOBO)を用いてアガロースゲルからの切り出し精製を行った。溶出はTE buffer 20μlで行った。
【0109】
Label化反応(Allele Specific Primer Extension)
PCR産物 5ulに、Label化混合液15ul添加し20ulの反応混合液を作成した。反応混合液は、10mM Tis-HCl pH8.3、50mM KCl、1.5mM MgCl2、0.5uM dATP、0.5uM dGTP、0.5uM dCTP、0.5uM Digoxigenin-11-2’-deoxy-uridine-5’-triphosphate, alkali-stable、各プライマー(表12)を0.25uM、Taq DNA ポリメラーゼ 1ユニットを含んでいた。反応混合液は95℃にて3分間保持して、テンプレートのPCR産物をDenatureさせ、95℃にて30秒間、55℃にて30秒間、72℃にて1分間を35サイクルさせ増幅を行い、反応液を4℃に保った。
【0110】
【表12】

BIST-18CとLabel化反応産物のハイブリダイゼーション
Label化反応後、対立遺伝子特異的伸長生成物のそれぞれを、TAG相補体を含むBIST中のビーズにて捕獲した。25%ホルムアミド、100mM MES、1M Na、20mM EDTA、0.01% Tween20からなるMESバッファー、200ug/ulサケ精子DNAが入ったハイブリダイゼーション溶液に95ulに5ulのLabel化反応産物を添加し、BISTに80ulを吸引し室温で5分間のハイブリダイゼーションを行った。1% BlockAce、5mM Tis-HCl、0.5mM EDTA、1M NaClとBIST中の溶液を入れ替え、室温にてBIST中のビーズを洗浄した。Anti-Digoxigenin-POD(Poly), Fab fragments 1ユニット、1% BlockAce、5mM Tis-HCl、0.5mM EDTA、1M NaClとBIST中の溶液を入れ替え、室温にて15分間BIST中のビーズに捕獲されたラベル化反応産物をAnti-Digoxigenin-POD(Poly), Fab fragmentsと反応させた。1% BlockAce、5mM Tis-HCl、0.5mM EDTA、1M NaClとBIST中の溶液を入れ替え、室温にてBIST中のビーズを洗浄した。BlockAceを取り除くため、5mM Tis-HCl、0.5mM EDTA、1M NaClとBIST中の溶液を入れ替え、さらに室温にてBIST中のビーズを洗浄した。これらの反応工程は全てプレシジョン・システム・サイエンス株式会社のMagtration System 6GCもしくは12GCを用いて自動で行った。
【0111】
BIST中ビーズの発光シグナル検出
プレシジョン・システム・サイエンス株式会社が開発したBISTnner(BIST専用検出装置)を用いてBIST中ビーズの発光シグナルを測定した。発光試薬は、SuperSignal West Femto Maximum Sensitivity Substrateを用いた。
【0112】
3.実験結果
(1)地下水ゲノムDNAの濃度測定
260nmにおける吸光度から濃度を求めたところ、68ng/μlであった。
(2)PCR産物の増幅確認
結果を図8に示す。各増幅断片は、RDaseの保存されたアミノ酸配列をもとに作製した縮退プライマーを用い、複数のtypeが存在するRDase遺伝子を網羅的に増幅した増幅断片を電気泳動にて分離した結果を表す。
(3)BIST-18Cによる検出
結果を図9に示す。図9の下図はBISTnnerで検出した発光強度の波形を示す。振幅の大きい波形が発光強度で、振幅の小さい波形がビーズの影を測定したデータである。ビーズがあるところは光が検出できないため谷の波形を描く。この振幅の小さい波形と振幅の大きい波形の山を重ね合わせることで、何番目のビーズがいくつの発光強度を示すかがわかる。上図に示す棒グラフはこのビーズの位置情報と発光強度をTAGの番号順に並びかえて表記したデータである。
【0113】
図10は、16type−(1)と(2)を合わせた32typeのRDase遺伝子typeに関して、得られた3回のシグナルの平均値をとったものをグラフ化したものである。
【0114】
4.考察
平均値の値が1,000以上のものを検出できたとすると、type1,2,4,8,9,10,12,17,19,23,25,26,28,34,35,36,37の17typeが検出できたと言える。また、縮退プライマーの増幅産物をベクターへ挿入→大腸菌に形質転換→培養してplasmid抽出→インサート部分のシークエンスという方法で96plasmidのシークエンスを行ったところ、type1,2,4,9,12,16,19,23,25,26,27,28,34,35,36の15typeが検出された。シークエンスで検出された15typeのうち13typeに関しては本法でも検出できており、実用的な方法として使用できることが示唆された。
【0115】
〔実施例7〕異なる方法によって抽出されたゲノムからのSNP解析
1.実験目的
BIST(キャピラリービーズ)を用いるSNP解析プロトコルは、利用するユーザーによって解析するゲノムの抽出法が異なることが予想できるため、それらの違いによる差がないかの検証を行った。
【0116】
2.実験方法・手順
(1)ゲノム抽出
2種類の血液サンプル(検体1と4)を用いて、採取した当日に、以下の4つの抽出方法でゲノムを抽出した。
(i)E2005試薬(PSS販売試薬)
SX-12GC(PSS、Code No.A1003)にE2005プレパック試薬(Lot.11S06)を搭載し、添付の取扱説明書に従って、血液200 ulからゲノムを抽出した。
(ii)QIAamp DNA Mini/DNA Blood Mini Kit(キアゲン)
添付の取扱説明書に従い、血液200 ulからゲノムを抽出した。
(iii)Genomicsキット(TALENT)
添付の取扱説明書に従い、血液2.4 mlからゲノムを抽出した。
(2)PCR
DICE(TAKARA)を用いてPCR反応を行った。20ul反応混合液は、4SNP 1st Primer Mix(3AR-5 uM, AGT1, UCP1, MTHFR-2.5 uM each)(表8)を1.6 ul、ゲノムDNAを1 ul、10xReaction Bufferを2 ul、2.5 mM dNTPを1.6 ul、25 mM MgCl2を1.6 ul、5U/ul Hot Gold starを0.1 ul、dH2Oを12.1 ul含んでいた。反応混合液は95℃にて10分間保持して、DNAポリメラーゼを活性化させ、95℃にて15秒間、60℃にて15秒間、72℃にて15秒間を35サイクルさせ増幅を行った。さらに72℃にて5分間の伸長の後、反応液を4℃に保った。
(3)ASPE(Allele Specific Primer Extension)
PCR産物 2ulに、Label化混合液18ul添加し20ulの反応混合液を作成した。反応混合液は、ASPE Primer (3AR, AGT1は5 uM、UCP1は2.5 uM、MTHFRは0.25 uM)(表9)を1 ul、10xReaction Bufferを2 ul、100 uM dNTP(dA, dC, dG)を2 ul、10 uM DIG-dUTPを2 ul、50 mM MgCl2を0.8 ul、5U/ul BIOTAQを0.2 ul、dH2Oを10 ul含んでいた。反応混合液は95℃にて2分間保持して、DNAポリメラーゼを活性化させ、95℃にて20秒間、55℃にて20秒間、72℃にて15秒間を20サイクルさせ増幅を行い、反応液を4℃に保った。
(4)ハイブリダイゼーション
Label化反応(ASPE)後、対立遺伝子特異的伸長生成物のそれぞれを、TAG相補体を含むBIST中のビーズにて捕獲した。25%ホルムアミド、100mM MES、1M Na、20mM EDTA、0.01% Tween20からなるMESバッファー、200ug/ulサケ精子DNAが入ったハイブリダイゼーション溶液に95ulに5ulのLabel化反応産物を添加し、BISTに80ulを吸引し室温で5分間のハイブリダイゼーションを行った。1% BlockAce、5mM Tis-HCl、0.5mM EDTA、1M NaClとBIST中の溶液を入れ替え、室温にてBIST中のビーズを洗浄した。Anti-Digoxigenin-POD(Poly), Fab fragments 1ユニット、1% BlockAce、5mM Tis-HCl、0.5mM EDTA、1M NaClとBIST中の溶液を入れ替え、室温にて15分間BIST中のビーズに捕獲されたラベル化反応産物をAnti-Digoxigenin-POD(Poly), Fab fragmentsと反応させた。1% BlockAce、5mM Tis-HCl、0.5mM EDTA、1M NaClとBIST中の溶液を入れ替え、室温にてBIST中のビーズを洗浄した。BlockAceを取り除くため、5mM Tis-HCl、0.5mM EDTA、1M NaClとBIST中の溶液を入れ替え、さらに室温にてBIST中のビーズを洗浄した。これらの反応工程は全てプレシジョン・システム・サイエンス株式会社のMagtration System 6GCもしくは12GCを用いて自動で行った。
(5)検出・解析
反応させたBIST-10に発光基質(Super Signal)40 ulを吸引し、BISTnner(PSS製品)にてビーズの発光強度を測定した。また、専用のソフトウェアで、ビーズに固定されたTag情報からSNPのタイピングを行った。
【0117】
3.実験結果
(1)抽出ゲノムの吸光度測定結果
結果を図11に示す。定量データを表13に示す。
【0118】
【表13】

(2)PCR産物、マルチプレックスPCRの電気泳動評価
結果を図12に示す。
(3)BIST-10によるSNPタイピング
結果を図13に示す。
【0119】
4.考察
電気泳動の結果からすると、溶媒遠心によるGenomicsキット(TALENT)による抽出が、一番、高分子としてゲノムが回収できることがわかった。しかし、PCRの結果に大差はなく、抽出されたゲノムの量や一部に切断があっても、今回検証した4SNP解析においては問題とならないことが確認できた。
プロトコルをユーザーに提供する場合、少なくとも今回検証した抽出法によって得られたゲノムならば問題なく解析ができるといえる。
【0120】
〔実施例8〕ツメから抽出したゲノムの4SNP解析
1.実験目的
ツメからゲノムを抽出し肥満関連遺伝子のSNPタイピングを行った。
【0121】
2.実験方法・手順
(1)ツメからのゲノム抽出
チューブに入れた30mgのツメ断片にExtraction Buffer 400ulとProteinase K 5ulとRNaseA 4ul中を入れ、65度で1時間処理し、溶解操作後、その上清をMagtration System 12GCのサンプル位置にセットし、抽出操作を行った。
分注試薬
well 1:GE2-K buffer
well 2:Magnetic beads (Cortex:CM5000)
well 3:EtOH
well 4:Magnetic beads (Cortex:CM5000)
well 5:GW buffer
well 6:GW buffer
well 8:TE 50ul
well 11:sample
【0122】
(2)PCR
DICE(TAKARA)を用いてPCR反応を行った。20ul反応混合液は、4SNP 1st Primer Mix(3AR-5 uM, AGT1, UCP1, MTHFR-2.5 uM each)(表8)を1.6 ul、ゲノムDNA(女子栄養大学から提供)を1 ul、10xReaction Bufferを2 ul、2.5 mM dNTPを1.6 ul、25 mM MgCl2を1.6 ul、5U/ul Hot Gold starを0.1 ul、dH2Oを12.1 ul含んでいた。反応混合液は95℃にて10分間保持して、DNAポリメラーゼを活性化させ、95℃にて15秒間、60℃にて15秒間、72℃にて15秒間を35サイクルさせ増幅を行った。さらに72℃にて5分間の伸長の後、反応液を4℃に保った。
【0123】
(3)ASPE
PCR産物 2ulに、Label化混合液18ul添加し20ulの反応混合液を作成した。反応混合液は、ASPE Primer (3AR, AGT1は5 uM、UCP1は2.5 uM、MTHFRは0.25 uM)(表9)を1 ul、10xReaction Bufferを2 ul、100 uM dNTP(dA, dC, dG)を2 ul、10 uM DIG-dUTPを2 ul、50 mM MgCl2を0.8 ul、5U/ul BIOTAQを0.2 ul、dH2Oを10 ul含んでいた。反応混合液は95℃にて2分間保持して、DNAポリメラーゼを活性化させ、95℃にて20秒間、55℃にて20秒間、72℃にて15秒間を20サイクルさせ増幅を行い、反応液を4℃に保った。
【0124】
(4)ハイブリダイゼーション
Label化反応(ASPE)後、対立遺伝子特異的伸長生成物のそれぞれを、TAG相補体を含むBIST中のビーズにて捕獲した。25%ホルムアミド、100mM MES、1M Na、20mM EDTA、0.01% Tween20からなるMESバッファー、200ug/ulサケ精子DNAが入ったハイブリダイゼーション溶液に95ulに5ulのLabel化反応産物を添加し、BISTに80ulを吸引し室温で5分間のハイブリダイゼーションを行った。1% BlockAce、5mM Tis-HCl、0.5mM EDTA、1M NaClとBIST中の溶液を入れ替え、室温にてBIST中のビーズを洗浄した。Anti-Digoxigenin-POD(Poly), Fab fragments 1ユニット、1% BlockAce、5mM Tis-HCl、0.5mM EDTA、1M NaClとBIST中の溶液を入れ替え、室温にて15分間BIST中のビーズに捕獲されたラベル化反応産物をAnti-Digoxigenin-POD(Poly), Fab fragmentsと反応させた。1% BlockAce、5mM Tis-HCl、0.5mM EDTA、1M NaClとBIST中の溶液を入れ替え、室温にてBIST中のビーズを洗浄した。BlockAceを取り除くため、5mM Tis-HCl、0.5mM EDTA、1M NaClとBIST中の溶液を入れ替え、さらに室温にてBIST中のビーズを洗浄した。これらの反応工程は全てプレシジョン・システム・サイエンス株式会社のMagtration System 6GCもしくは12GCを用いて自動で行った。
【0125】
(5)検出・解析
反応させたBIST-18Cに発光基質(Super Signal)40 ulを吸引し、BISTnnerにてビーズの発光強度を測定した。また、専用のソフトウェアで、ビーズに固定されたTag情報からSNPのタイピングを行った。
【0126】
3.実験結果
(1)抽出ゲノムの吸光度測定結果
結果を図14に示す。定量データを表14に示す。
【0127】
【表14】

(2)PCR産物の電気泳動評価
結果を図15に示す。検体No.4はポジティブコントロールとして使用した血液から抽出ゲノムのPCR結果である。
(3)BIST-18CによるSNPタイピング
結果を図16に示す。
(4)血液から抽出したゲノムによるSNP解析結果との答え合わせ
結果を表15に示す。
【0128】
【表15】

【0129】
4.考察
回収できたゲノム量に差はあったが、2検体どちらも4SNPのタイピングが可能で、血液から抽出ゲノムによるタイピング結果が分っている検体Mにおいてはタイピング結果も一致した。
回収できたゲノム量の違いの1つにはツメの大きさがあり、検体Mは1mm幅を10本分、検体Yは大きなかけらを3本分であった。のびきっていないツメの方が、ゲノムが抽出しやすいのかもしれない。しかし、次工程でPCRを行うため、ゲノムの収量差はBISTのシグナルには反映されずどちらの検体も同じくらい高いシグナルを得る事ができた。
以上の結果から、ツメを検体(サンプル)としたい顧客にも、BISTによるタイピングシステムを使用していただけることが明らかとなった。
【0130】
〔実施例9〕ASP-PCR法(1段階PCR)を用いる4SNP解析
1.実験目的
ユーザー間差の低減と信頼性の向上を目指し、工程を減らすプロトコルの検証を行った。具体的には、2段階プロトコル(実施例5、7、8)を参考に、SNP近傍配列のTAG化とラベル化、増幅を一度に行う1段階プロトコルの確立を試みた。
【0131】
2.実験方法・手順
(1)ASP-PCR
DICE(TAKARA)を用いてPCR反応を行った。20ul反応混合液は、4SNP ASP-PCR Primer Mix(5 uM each)(表16)を1.6 ul、ゲノムDNA(女子栄養大学提供ゲノム#202, 203, 205 各20 ng/ul、PSS検体#M4 57 ng/ul)を1 ul、10xReaction Bufferを2 ul、DIG Labeling Mix Kit (roche)を2 ul、25 mM MgCl2を1.6 ul、5U/ul Hot Gold starを0.1 ul、dH2Oを11.7 ul含んでいた。反応混合液は95℃にて10分間保持して、DNAポリメラーゼを活性化させ、95℃にて30秒間、60℃にて30秒間、72℃にて30秒間を35サイクルさせ増幅を行った。さらに72℃にて5分間の伸長、95 ℃で10分間の1本鎖化をおこなうDenature反応の後、反応液を4℃に急冷した。
【0132】
【表16】

(2)ハイブリダイゼーション
Label化反応(ASP-PCR)後、対立遺伝子特異的伸長生成物のそれぞれを、TAG相補体を含むBIST中のビーズにて捕獲した。25%ホルムアミド、100mM MES、1M Na、20mM EDTA、0.01% Tween20からなるMESバッファー、200ug/ulサケ精子DNAが入ったハイブリダイゼーション溶液に95ulに5ulのLabel化反応産物を添加し、BISTに80ulを吸引し室温で5分間のハイブリダイゼーションを行った。1% BlockAce、5mM Tis-HCl、0.5mM EDTA、1M NaClとBIST中の溶液を入れ替え、室温にてBIST中のビーズを洗浄した。Anti-Digoxigenin-POD(Poly), Fab fragments 1ユニット、1% BlockAce、5mM Tis-HCl、0.5mM EDTA、1M NaClとBIST中の溶液を入れ替え、室温にて15分間BIST中のビーズに捕獲されたラベル化反応産物をAnti-Digoxigenin-POD(Poly), Fab fragmentsと反応させた。1% BlockAce、5mM Tis-HCl、0.5mM EDTA、1M NaClとBIST中の溶液を入れ替え、室温にてBIST中のビーズを洗浄した。BlockAceを取り除くため、5mM Tis-HCl、0.5mM EDTA、1M NaClとBIST中の溶液を入れ替え、さらに室温にてBIST中のビーズを洗浄した。これらの反応工程は全てプレシジョン・システム・サイエンス株式会社のMagtration System 6GCもしくは12GCを用いて自動で行った。
(3)検出・解析
反応させたBIST-18Cに発光基質(Super Signal)40 ulを吸引し、BISTnnerにてビーズの発光強度を測定した。また、専用のソフトウェアで、ビーズに固定されたTag情報からSNPのタイピングを行った。
【0133】
3.実験結果
(1)BIST-18CによるSNPタイピング
結果を図17に示す。
(2)PCR-RFLP法との答え合わせ
結果を表17に示す。但し、検体M4に関してはシークエンス結果と比較した。
【0134】
【表17】

【0135】
4.考察
2段階プロトコルで使用していた1stPCR用のReverseプライマーとASPE用のForwardプライマーとdUTPの5%にDIGがついたDIG Labeling Mix kit (roche)でPCRを行う事により、2回に分けて行っていた増幅反応とBISTハイブリ用のTAG付加とラベル化を同時に行うことができる1段階プロトコルを実現した。BISTでのタイピング結果においても、検証した4検体全て、栄養大手法(PCR-RFLP法)またはシーケンス結果と一致する良好な結果であった。
当方法を使用することで、自分たちで解析をしたいというユーザーにとっては省力化やランニングコストの低減、ユーザー間差の低減から精度の向上にもつながると考えられる。また、工程を減らせたことは、全自動化装置への展開を考慮した際に分注ロスが低減できるというメリットがある。
【0136】
〔実施例10〕N-BISTを用いた肥満関連遺伝子9SNP解析
1.実験目的
産総研から提供してもらった数十種のゲノムについて、N-BISTによる肥満関連遺伝子同時9SNP解析を行う。
【0137】
2.実験方法・手順
N-BIST解析
(1)ASP-PCR
DICE(TAKARA)を用いてPCR反応を行った。20ul反応混合液は、9SNP ASP-PCR Primer Mix(表18)を1.6 ul、ゲノムDNA(産総研提供検体5 各20 ng/ul)を2 ul、10xReaction Bufferを2 ul、dUTPの5%にBiotinがついた0.5mM dNTPを5 ul、50 mM MgCl2を0.8 ul、5U/ul Hot Gold starを0.1 ul、dH2Oを8.5 ul含んでいた。反応混合液は95℃にて10分間保持して、DNAポリメラーゼを活性化させ、95℃にて30秒間、60℃にて30秒間、72℃にて30秒間を35サイクルさせ増幅を行った。さらに72℃にて5分間の伸長、の後、反応液を4℃に保持した。
【0138】
【表18】

(2)ハイブリダイゼーション
Label化反応(ASP-PCR)後、対立遺伝子特異的伸長生成物のそれぞれを、TAG相補体を含むBIST中のビーズにて捕獲した。25%ホルムアミド、100mM MES、1M Na、20mM EDTA、0.01% Tween20からなるMESバッファー、200ug/ulサケ精子DNAが入ったハイブリダイゼーション溶液に95ulに5ulのLabel化反応産物を添加し、BISTに80ulを吸引し室温で5分間のハイブリダイゼーションを行った。1% BlockAce、5mM Tis-HCl、0.5mM EDTA、1M NaClとBIST中の溶液を入れ替え、室温にてBIST中のビーズを洗浄した。Anti-Digoxigenin-POD(Poly), Fab fragments 1ユニット、1% BlockAce、5mM Tis-HCl、0.5mM EDTA、1M NaClとBIST中の溶液を入れ替え、室温にて15分間BIST中のビーズに捕獲されたラベル化反応産物をAnti-Digoxigenin-POD(Poly), Fab fragmentsと反応させた。1% BlockAce、5mM Tis-HCl、0.5mM EDTA、1M NaClとBIST中の溶液を入れ替え、室温にてBIST中のビーズを洗浄した。BlockAceを取り除くため、5mM Tis-HCl、0.5mM EDTA、1M NaClとBIST中の溶液を入れ替え、さらに室温にてBIST中のビーズを洗浄した。これらの反応工程は全てプレシジョン・システム・サイエンス株式会社のMagtration System 6GCもしくは12GCを用いて自動で行った。
(3)検出・解析
反応させたBIST-18Cに発光基質(Super Signal)40 ulを吸引し、BISTnnerにてビーズの発光強度を測定した。また、専用のソフトウェアで、ビーズに固定されたTag情報からSNPのタイピングを行った。
【0139】
SNP部分のSequence解析
PCR産物の精製までを自社で行い、Macrogen社へ依頼した。
(1)PCR
DICE(TAKARA)を用いてPCR反応を行った。50ul反応混合液は、5uM Forward Primer、5uM Reverse Primer(表19)を各4ul、ゲノムDNA(産総研提供検体 各20 ng/ul)を1 ul、10xReaction Bufferを5 ul、2.5mM each dNTPを4 ul、25 mM MgCl2を4 ul、5U/ul Hot Gold starを0.25ul、dH2Oを27.75 ul含んでいた。反応混合液は95℃にて10分間保持して、DNAポリメラーゼを活性化させ、95℃にて30秒間、60℃にて30秒間、72℃にて30秒間を35サイクルさせ増幅を行った。
【0140】
【表19】

(2)PCR Products Clean up
Magtration System 12GCのサンプル位置にPCR Productをセットし、精製操作を行った。
分注試薬
well 1:ChargeSwitch Purification Buffer、0.5% Tween 20
well 2:ChargeSwitch Magnetic beads
well 3:Washing Buffer 1
well 4:Washing Buffer 2
well 5:Washing Buffer 3
well 6:ChargeSwich Elution Buffer
【0141】
3.実験結果
(1)N-BIST解析結果
結果を図18〜21に示す。
(2)Sequence解読結果との答え合わせ
結果を表20に示す。表中の「外注」はMacrogenによるSequence解読結果を示す。
【0142】
【表20】

【0143】
4.考察
検体No.678を除いては、Sequence解析結果とN-BISTタイピング結果が一致し、プロトコルの精度が確認できたと考える。
検体No.678においては、N-BISTタイピングの結果とSequence解析の結果が一致していないが、Sequenceの波形を見ても、UCPにおいては「G」が、β2ARにおいては「A」の小さなピークが確認できる。N-BISTタイピングの結果においても、同様のタイプが低いシグナルとなっており、結果が一致していないとは考えにくい。従って、N-BISTを使ったBiotinラベルによる9SNP解析プロトコルを確立したといえる。
【産業上の利用可能性】
【0144】
本発明の新規なオリゴヌクレオチドはTAGとして有用であり、このTAGの相補体を固定した基板は遺伝子解析に利用することができる。
【配列表フリーテキスト】
【0145】
<配列番号1〜120>
配列番号1〜120は、新規なTAGを示す。
<配列番号121>
配列番号121は、3AR-mFプライマーの配列を示す。
<配列番号122>
配列番号122は、3AR-mRプライマーの配列を示す。
<配列番号123>
配列番号123は、UCP1-Fプライマーの配列を示す。
<配列番号124>
配列番号124は、UCP1-Rプライマーの配列を示す。
<配列番号125>
配列番号125は、AGT1-F-Newプライマーの配列を示す。
<配列番号126>
配列番号126は、AGT1-R-Newプライマーの配列を示す。
<配列番号127>
配列番号127は、MTHFR-Fプライマーの配列を示す。
<配列番号128>
配列番号128は、MTHFR-Rプライマーの配列を示す。
<配列番号129>
配列番号129は、3AR-ASP-PT109Tプライマーの配列を示す。
<配列番号130>
配列番号130は、3AR-ASP-PT100Tプライマーの配列を示す。
<配列番号131>
配列番号131は、UCP1-ASP-PT39Gプライマーの配列を示す。
<配列番号132>
配列番号132は、UCP1-ASP-PT42Aプライマーの配列を示す。
<配列番号133>
配列番号133は、AGT1-ASP-PT71Tプライマーの配列を示す。
<配列番号134>
配列番号134は、AGT1-ASP-PT54Cプライマーの配列を示す。
<配列番号135>
配列番号135は、MTHFR-ASP-PT73Cプライマーの配列を示す。
<配列番号136>
配列番号136は、MTHFR-ASP-PT81Tプライマーの配列を示す。
<配列番号137>
配列番号137は、RRF2プライマーの配列を示す。
<配列番号138>
配列番号138は、B1Rプライマーの配列を示す。
<配列番号139>
配列番号139は、T3-type1プライマーの配列を示す。
<配列番号140>
配列番号140は、T27-type25プライマーの配列を示す。
<配列番号141>
配列番号141は、T28-type34プライマーの配列を示す。
<配列番号142>
配列番号142は、T39-type24-2プライマーの配列を示す。
<配列番号143>
配列番号143は、T42-type31-2プライマーの配列を示す。
<配列番号144>
配列番号144は、T49-type26-2プライマーの配列を示す。
<配列番号145>
配列番号145は、T53-type35プライマーの配列を示す。
<配列番号146>
配列番号146は、T54-type19プライマーの配列を示す。
<配列番号147>
配列番号147は、T56-type5プライマーの配列を示す。
<配列番号148>
配列番号148は、T61-type27プライマーの配列を示す。
<配列番号149>
配列番号149は、T71-type32プライマーの配列を示す。
<配列番号150>
配列番号150は、T73-type33-2プライマーの配列を示す。
<配列番号151>
配列番号151は、T81-type36プライマーの配列を示す。
<配列番号152>
配列番号152は、T100-type13プライマーの配列を示す。
<配列番号153>
配列番号153は、T109-type10プライマーの配列を示す。
<配列番号154>
配列番号154は、T120-type28プライマーの配列を示す。
<配列番号155>
配列番号155は、T3-type7プライマーの配列を示す。
<配列番号156>
配列番号156は、T14-type16プライマーの配列を示す。
<配列番号157>
配列番号157は、T27-type8プライマーの配列を示す。
<配列番号158>
配列番号158は、T28-type17プライマーの配列を示す。
<配列番号159>
配列番号159は、T39-type11プライマーの配列を示す。
<配列番号160>
配列番号160は、T42-type23プライマーの配列を示す。
<配列番号161>
配列番号161は、T49-type18プライマーの配列を示す。
<配列番号162>
配列番号162は、T53-type29プライマーの配列を示す。
<配列番号163>
配列番号163は、T54-type14プライマーの配列を示す。
<配列番号164>
配列番号164は、T56-type9プライマーの配列を示す。
<配列番号165>
配列番号165は、T61-type37プライマーの配列を示す。
<配列番号166>
配列番号166は、T71-type12プライマーの配列を示す。
<配列番号167>
配列番号167は、T73-type2プライマーの配列を示す。
<配列番号168>
配列番号168は、T81-type38プライマーの配列を示す。
<配列番号169>
配列番号169は、T100-type22プライマーの配列を示す。
<配列番号170>
配列番号170は、T109-type4プライマーの配列を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0146】
【特許文献1】国際公開第WO01/048244号パンフレット
【非特許文献】
【0147】
【非特許文献1】A Microsphere-Based Assay for Multiplexed Single Nucleotide Polymorphism Analysis Using Single Base Chain Extension. Jingwen Chen; Marie A. Iannone; May-Sung Li; J. David Taylor; Philip Rivers; Anita J. Nelsen; Kimberly A. Slentz-Kesler; Allen Roses; Michael P. Weiner. 10:549-557 2000 by Cold Spring Harbor Laboratory Press ISSN 1088-9051/00
【非特許文献2】Analytical Validation of the Tag-It High-Throughput Microsphere-Based Universal Array Genotyping Platform: Application to the Multiplex Detection of a Panel of Thrombophilia-Associated Single-Nucleotide Polymorphisms. Susan Bortolin; Margot Black; Hemanshu Modi; Ihor Boszko; Daniel Kobler; Dan Fieldhouse; Eve Lopes; Jean-Michel Lacroix; Rebecca Grimwood; Philip Wells; Richard Janeczko; Roman Zastawny. Clinical Chemistry 50:11 2028-2036 (2004)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(1)〜(7)の条件を満たす少なくとも2種のオリゴヌクレオチドの相補体が固定されている基板。
(1)配列長が19-25merであること。
(2)融解温度(Tm)が64.0-69.0℃であること。
(3)標的核酸の配列との類似性が50%以下であること。
(4)高次構造をとらないこと。
(5)任意の2種を選んでもヘテロダイマーを形成しないこと。
(6)同一塩基の繰り返し数が4個以下であること。
(7)GC含量が40.0-60.0%であること。
【請求項2】
ビーズ又は磁性ビーズの形状をとる請求項1記載の基板。
【請求項3】
ビーズ又は磁性ビーズのそれぞれに異なるオリゴヌクレオチドの相補体が固定されている請求項2記載の基板。
【請求項4】
糸の形状をとる請求項1記載の基板。
【請求項5】
糸の異なる位置のそれぞれに異なるオリゴヌクレオチドの相補体が固定されている請求項4記載の基板。
【請求項6】
標的核酸の配列がヒトゲノム配列である請求項1〜5のいずれかに記載の基板。
【請求項7】
オリゴヌクレオチドの配列が配列番号1〜120のいずれかの配列である請求項1〜6のいずれかに記載の基板。
【請求項8】
オリゴヌクレオチドの配列が、それぞれ、配列番号2、3、6、8、12、14,16、18、21、25、27、28、30、39、40、42、49、52、53、54、55、56、61、71、73、76、81、84、96、100、108、109、113、114、118及び120で表される請求項7記載の基板。
【請求項9】
オリゴヌクレオチドの配列が、それぞれ、配列番号3、12、14,16、21、25、27、28、30、39、40、42、49、53、54、56、61、71、73、76、81、84、96、100、108、109、114、118及び120で表される請求項7記載の基板。
【請求項10】
オリゴヌクレオチドの配列が、それぞれ、配列番号3、12、14,16、25、27、28、30、39、40、42、49、53、54、56、61、71、73、76、81、84、100、108、109、118及び120で表される請求項7記載の基板。
【請求項11】
オリゴヌクレオチドの配列が、それぞれ、配列番号3、12、14、27、28、39、40、42、49、53、54、56、61、71、73、81、84、100、108、109及び120で表される請求項7記載の基板。
【請求項12】
オリゴヌクレオチドの配列が、それぞれ、配列番号3、14,27、28、39、40、42、49、53、54、56、61、71、73、81、84、100、108、109及び120で表される請求項7記載の基板。
【請求項13】
オリゴヌクレオチドの配列が、それぞれ、配列番号3、14、27、28、39、42、49、53、54、56、61、71、73、81、100、108、109及び120で表される請求項7記載の基板。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載の基板を用いて、遺伝子解析を行う方法。
【請求項15】
遺伝子解析が、一塩基多型解析である請求項14記載の方法。
【請求項16】
遺伝子解析が、遺伝子検出である請求項14記載の方法。
【請求項17】
配列番号1〜120のいずれかで表されるヌクレオチド配列からなるオリゴヌクレオチド又はその相補体。
【請求項18】
配列番号1〜120のいずれかで表されるヌクレオチド配列からなるオリゴヌクレオチドの組合せであって、200ug/mlサケ精子DNAを含む2×SSC中の常温でのハイブリダイゼーションの条件下で、互いにクロスハイブリダイゼーションしないオリゴヌクレオチドの組合せ。
【請求項19】
請求項18の組合せに含まれるオリゴヌクレオチドの相補体の組合せ。
【請求項20】
配列番号1〜120のいずれかで表されるヌクレオチド配列からなるオリゴヌクレオチドが付加された核酸プライマー又はプローブ。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図10】
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【図1】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−29184(P2010−29184A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−155511(P2009−155511)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(502338292)ユニバーサル・バイオ・リサーチ株式会社 (23)
【Fターム(参考)】