説明

部分結晶性プラスチックの歪みのない着色のための方法

本発明は、材料中で部分結晶性プラスチックを着色するための方法に関する。前記発明は、(i)ホモポリマー、ターポリマー、またはエチレンコポリマー、プロピレン、ブチレン、スチレンおよび/またはジビニルベンゼン、ポリエステル、ポリアミドおよび熱可塑性イオノマーの群からの部分結晶性プラスチック;(ii)ジケトピロロピロール、キナクリドン、ジスアゾ縮合、イソインドリノンおよびイソインドリン顔料の群からの顔料;および(iii)顔料1重量部に対して、式(I)[式中、Qは、式(1a)のジケトピロロピロール化合物の基であり、R14、R15、R16およびR17は、独立に水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、またはシアノを表し;sは0.1〜4.0の数であり;Rは、式−CONZ、−NZまたは−COOZの基である。]の添加物0.001から0.25重量部が形成されることを特徴とする。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部分結晶性プラスチックの着色に、ある一定のジケトピロロ[3,4c]ピロール添加物を使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
部分結晶性プラスチックを有機顔料によって着色すると、反りまたは歪み現象を頻繁に引き起こす。大きな体積の射出成形品、特にポリエチレンからなるもの、を着色する場合は、変形、収縮および亀裂(内部応力)が生じ、適用分野によっては、着色された物品を使用不能にする。例えば、瓶の枠箱は形状を損ない、積み上げることができなくなる可能性が高い。
【0003】
これらの欠点は、有機顔料の大多数に関係するものであり、無機顔料および有機顔料の小数は中立的に振る舞う。顔料は、ポリマー融液が固化する間中、核形成サイトの役割を果たし、反りまたは歪みを生じやすいポリマーをもたらすと考えられる。
【0004】
プラスチックの着色に用いられる顔料は、反りのない着色をもたらすのみならず、顔料としての高度な性能要件、例えば、良好な分散性、高着色力、高い彩度の鮮明な色相、高熱堅牢度、良好な耐にじみ性ならびに良好な耐光および耐候性などを満たさなければならない。また、顔料は1つの系だけではなく理想的には全般に使用できることが望ましい。したがって、顔料は、非部分結晶性プラスチックにも、およびその他の高分子有機材料の着色にも適していなければならず、例えば、さらにその他の要件、例えば、粉砕配合物または即席印刷およびコーティングカラーが低粘度であること、良好な耐凝集性、耐溶媒性および耐上塗り膜性、高度な光沢および、金属効果コーティングの場合の高い透明性などを満たさなければならないコーティングまたは印刷系においても使用できなければならない。
【0005】
さまざまな方法が、反り問題の悪影響を防止するためにすでに提案されている。反りを免れる顔料は、例えば、EP0952183A1およびWO2004/01566に従って、長鎖の置換基を有するジケトピロロピロールを用いることによって得られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、これらの方法は、上記の性能特性に関する現在の要件を必ずしも満たすものではない。本発明は、ジケトピロロピロール顔料によって部分結晶性プラスチックの反りを免れた着色を達成するための新たな方法を見いだすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、以下に述べる顔料調合によって、意外にも達成されることを発見した。
【0008】
したがって、本発明は、部分結晶性プラスチックの原液着色法を提供するものであり、この方法は、
(i)エチレン、プロピレン、ブチレン、スチレンおよび/またはジビニルベンゼンのホモポリマー、ターポリマー、またはコポリマー、ポリエステル、ポリアミドおよび熱可塑性イオノマーの群からの部分結晶性プラスチック;
(ii)ジケトピロロピロール、キナクリドン、ジスアゾ縮合、イソインドリノンおよびイソインドリンの群からの顔料;および
(iii)顔料1重量部を基準にして、式(I):
【0009】
【化6】

の添加物0.001から0.25重量部を形成することを含み;
式中、Qは、式(Ia)のジケトピロロピロール化合物の残部であり、
【0010】
【化7】

式中、
14、R15、R16およびR17は、独立に水素、ハロゲン、例えば塩素または臭素、C〜Cアルキル、例えばメチル、エチルまたはtert−ブチル、C〜Cアルコキシ、例えばメトキシ、またはシアノであり;
sは0.1から4.0の数であり;
Rは、式−CONZ、−NZまたは−COOZの基であり、
式中、
およびZは、同一であるか異なり、水素またはC〜C30アルキルまたはC〜C30アルケニル基を表し、直鎖または分岐鎖であることができ、非置換またはハロゲン、ヒドロキシル、ヒドロキシカルボニル、C〜C15シクロアルキまたはC〜C15アルコキシ置換されていることができ、アルケニルは一不飽和または多不飽和であり、但し、ZおよびZは両方が水素であることはなく、
は、水素、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカリ金属、C〜C30アルキルまたはC〜C30アルケニル基を表し、直鎖または分岐鎖であることができ、非置換またはハロゲン、ヒドロキシル、ヒドロキシカルボニル、C〜C15シクロアルキまたはC〜C15アルコキシ置換されることができ、アルケニルは一不飽和または多不飽和である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
顔料(ii)は、好ましくは、式(II):
【0012】
【化8】

のジケトピロロピロールであり、
式中、R10、R11、R12およびR13は、独立に水素、ハロゲン、例えば、塩素または臭素、C〜Cアルキル、例えば、メチル、エチルまたはtert−ブチル、C〜Cアルコキシ、例えば、メトキシ、シアノまたはフェニルである。
【0013】
より好ましくは、
11およびR13はそれぞれ水素であり、
10およびR12は、同一であるか異なり、それぞれ水素、メチル、tert−ブチル、塩素、シアノまたはフェニルである。
【0014】
顔料(ii)の例は、C.I.ピグメントオレンジ71、73、81、ピグメントレッド254、255、264、270、272、ピグメントイエロー139、ピグメントバイオレット19、37、ピグメントブルー15である。
【0015】
好ましい添加物は、
およびZが、同一であるか異なり、それぞれC〜C18アルキルまたはC〜C18アルケニルであり、
がC〜C18アルキルまたはC〜C18アルケニルであり、
14およびR16が、それぞれ水素であり、
15およびR17が、それぞれ水素、メチル、tert−ブチル、塩素またはシアノであるものである。
【0016】
好ましい添加物は、さらに、sが0.2から3.0および特に0.5から2.5であるものである。
【0017】
本発明による着色は、部分結晶性プラスチック1重量部を基準にして、顔料プラス式(I)の添加物を0.0001から0.5重量部、特に0.0002から0.05重量部、およびより好ましくは、0.0005から0.01重量部有利に使用する。マスターバッチを着色しなければならない場合は、部分結晶性プラスチック1重量部を基準にして、顔料プラス式(I)の添加物を約0.05から0.5重量部使用する。
【0018】
望ましい反りのない状態を達成するために、顔料1重量部を基準にして、式(I)の添加物を0.001から0.25重量部、特に0.01から0.15重量部およびより好ましくは、0.02から0.1重量部使用することが有利である。
【0019】
本発明の添加物は、従来法により調製することができる。この方法は、適切に置換されたニトリルが、EP−A−0094911に記載の工程と同じく、適切な溶媒中で、コハク酸ジエステルおよび強塩基と反応させられることを含む。
【0020】
上述の成分のみならず、界面活性剤、色素性および非色素性分散剤、充填剤、標準化剤(standardizers)、樹脂、蝋、脱泡剤、防塵剤、増量剤、遮光着色剤、防腐剤、乾燥遅延剤、レオロジー制御添加剤、湿潤剤、酸化防止剤、UV吸収剤、および光安定剤の群からの、少なくとも1つのさらなる助剤を、プラスチックと顔料の混合物1重量部を基準にして、0から0.5重量部、好ましくは0.001から0.1重量部まで使用することができる。
有用な界面活性剤には、アニオンまたはアニオン活性、カチオンまたはカチオン活性、および非イオン性物質またはこれらの試薬の混合物が含まれる。
適切なアニオン活性物質の例には、脂肪酸タウリド、脂肪酸N−メチルタウリド、脂肪酸イセチオネート、アルキルフェニルスルホネート、アルキルナフタレンスルホネート、アルキルフェノールポリグリコールエーテル硫酸エステル、脂肪アルコールポリグリコールエーテルサルフェート、脂肪酸アミドポリグリコールエーテルサルフェート、アルキルスルホスクシナメート、アルケニルコハク酸モノエステル、脂肪アルコールポリグリコールエーテルスルホコハク酸エステル、アルカンスルホネート、脂肪酸グルタメート、アルキルスルホコハク酸エステル、脂肪酸サルコシド;脂肪酸、例は、パルミチン酸、ステアリン酸およびオレイン酸;セッケン、例は、脂肪酸、ナフテン酸および(例えば、アビエチン酸など)樹脂酸のアルカリ金属塩、アルカリ溶解性樹脂、例はロジン改質マレイン酸樹脂およびシアヌル酸塩化物、タウリン、N,N′−ジエチルアミノプロピルアミンおよびp−フェニレンジアミンをベースとする縮合生成物がある。特に好ましいものは、樹脂セッケン、すなわち、樹脂酸のアルカリ金属塩である。
適切なカチオン活性物質の例には、第四級アンモニウム塩、脂肪アミンアルコキシレート、アルコキシル化ポリアミン、脂肪アミンポリグリコールエーテル、脂肪アミンまたは脂肪アルコールから誘導された脂肪アミン、ジアミンおよびポリアミン、および前記アミンのアルコキシレート、脂肪酸から誘導されたイミダゾリン、およびこれらのカチオン活性物質の塩、例えば、アセテートなど、が含まれる。
適切な非イオン物質の例には、アミン酸化物、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、脂肪酸ポリグリコールエステル、ベタイン、例えば、脂肪酸アミドN−プロピルベタインなど、脂肪族および芳香族アルコールのリン酸エステル、脂肪アルコールまたは脂肪アルコールポリグリコールエーテル、脂肪酸アミドエトキシレート、脂肪アルコール−アルキレンオキシド付加物、およびアルキルフェノールポリグリコールエーテルなどが含まれる。
【0021】
顔料(ii)および添加物(iii)および本発明の工程において使用されるいずれのさらなる助剤も、これらの成分からなる顔料調合物の形態で使用できる。一般に、顔料調合物は、自由に流れる粉末成分の固体系を含むかまたは顆粒を含む。しかし、プラスチック濃縮物(マスターバッチ)と同様に水性または溶媒を含むプレスケーキも可能である。
【0022】
顔料調合物は、製造作業の間に互いに混合され、または互いに作用し合うことができるようにされる、添加物またはこれらの添加物の混合物、および顔料またはこれらの顔料の混合物によって製造できる。例えば、ジケトピロロピロール顔料の製造作業は、合成、細かな分割および/または分散、例えば、粉砕、混練、または再沈殿、必要ならば仕上げ、およびまた、プレスケーキとしてまたは乾燥粒状体または粉末としての単離を含む。他の基本顔料の製造作業は、文献から公知である。例えば、添加物は、例えば、合成、微細分割操作、仕上げ、単離、乾燥または粉末化などの、通例の加工段階の1つの、前に、その間に、またはその後で、添加できる。例えば、合成のように早い段階で添加すると、微粒子を生じることになる。添加物は、細分化された量を異なった時間に添加することもできることが理解されるはずである。
添加物が、微細分割操作の間に添加される場合は、添加物は、例えば、塩の混練の前または混練の間に、粗製顔料の乾式粉砕の前または粉砕の間に、または粗製顔料の湿式粉砕の前または粉砕の間に添加される。
添加物を、任意の所望のpHの水性または水性有機媒質において、または有機媒質において、基本顔料の仕上げの前または後から、添加することは、同様に有利になるはずである。
添加物は、また、好ましくは水で湿った顔料のプレスケーキに、乾燥に先立って添加され、取り込まれることができ、この場合は添加物自体がプレスケーキとして同じく存在しうる。さらに、添加物の粉末または粒状体を顔料の粉末または粒状体と乾式混合すること、または顔料および添加物を、粉砕または粉末化する過程で混合を達成させることもできる。
【0023】
本発明により達成される反りの改善は、添加物により基本顔料の表面構造が変更されるためであると考えられる。添加物の有効性およびそれによって生じる顔料調合物の品質が、基本顔料の製造作業において添加物を添加する時間に依存するという、多数の一連の事例が存在する。2種またはそれ以上の添加物が使用される場合は、添加物は同時にまたは異なる時間に添加されることができるか、または添加される前に混合できる。また、添加物の有効性も、粒子の寸法および粒子の形状、およびコーティング可能な顔料表面積の割合に依存しうる。添加物は、企図されている適用媒質においてのみ、顔料に添加されることが好ましい。添加物のそれぞれの最適濃度は、顔料特性の向上が添加物の量と、常に直線的に相関するとは限らないので、予め行う予備試験において決定されなければならない。
【0024】
本明細書において使用される用語「反りのない(反りを免れた)」は、未処理の顔料と比較して、明らかに小さくなっている反りの程度を意味するものと理解されるべきである。
【0025】
部分結晶性プラスチックは、固化して(核形成剤(例えば、有機顔料)の存在下でのみ結晶化するものを含めて)小さな結晶核または結晶性凝集体を形成するものを指すと理解されるべきである。部分結晶性プラスチックは、一般に熱可塑性高分子有機材料であり、10から10g/mol、好ましくは10から10g/molの分子量(M)、および10から99.9%、好ましくは40から99%、より好ましくは80から99%の結晶化度(X)を有するものである。好ましい部分結晶性プラスチックは、エチレン、プロピレン、ブチレン、スチレンおよび/またはジビニルベンゼンのホモポリマー、ブロックまたはランダムコポリマーおよびターポリマー、特にポリオレフィン、例えば、ポリエチレン(HDPE、MDPE、LDPE)、ポリプロピレン、特に高密度ポリエチレン(HDPE)、さらにポリスチレン、PVC、ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート、およびポリアミド、例えば、ナイロン6およびナイロン66、および熱可塑性イオノマーである。部分結晶性プラスチックは、さらに、通常の量の添加物、例えば、安定剤、蛍光増白剤、充填剤および潤滑剤を含む。
【0026】
プラスチックの成形は、押出成形または射出成形法を用いて行うことができる。押出成形法においては、ポリマーは、最初に押出成形機において可塑化され、引き続いて、成形用の適切なダイを通されてプレスされる。この方法は、例えば、さまざまな断面の成形物、例えば、平坦な、中空の、開放されたまたは中身の詰まった成形物などを製造するために使用できる。射出成形法においては、溶融され、可塑化されたポリマーは、金型キャビティーが所望の物品の形状および寸法を有する金型へ射出される。ポリマーが冷却された後、金型は開かれ、最終物品が取り出される。
【0027】
顔料調合が、ポリオレフィンの反り傾向に及ぼす影響は、DIN EN ISO294−4に準拠して、平板形状の即席の射出成形品について試験する。エージングの後、平板の寸法(長さ、幅)を測定し、反りの程度を決定する。
【0028】
(ii)ジケトピロロピロール顔料、好ましくは前述の式(II)の、特にC.I.ピグメントレッド254;および
(iii)顔料1重量部を基準にして、式(I)の添加物を0.001から0.25重量部;
【0029】
【化9】

[式中、
Qは、式(Ia)のジケトピロロピロール化合物の残部であり:
【0030】
【化10】

式中、
14、R15、R16およびR17は、独立に水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、またはシアノであり;
sは0.1から4.0であり;
Rは、式−CONZの基であり、
式中、
およびZは、同一であるか異なり、水素またはC〜C30アルキルまたはC〜C30アルケニル基を表し、直鎖または分岐鎖であることができ、非置換またはハロゲン、ヒドロキシル、ヒドロキシカルボニル、C〜C15シクロアルキまたはC〜C15アルコキシ置換されていることができ、アルケニルは一不飽和または多不飽和であり、但し、ZおよびZは両方が水素であることはない。]
を含む顔料調合物は、新規であり、本発明の主題の一部を同様に形成する。
【0031】
本発明の顔料調合物は、WO2004/01566に記載の混合物と比較して、改善された反り特性を有する。
【0032】
加えて、本発明の顔料調合は、EP0952183A1に記載の混合物と比較して、DIN EN 12877準拠の熱安定性が高められている。
【0033】
以下の実施例においては、百分率は、特段の記述がない限り重量を基準とする。
【実施例】
【0034】
(実施例1a)
3−シアノ安息香酸30gを塩化チオニル300g中で4時間還流する。塩化チオニルを水ジェット真空下で蒸留し、残渣を、1,4−ジオキサン200ml中にとる。ピリジン16.6gとメチルブチルアミン18.3gを添加し、室温において45分間撹拌する。溶液を、ジクロロメタン200mlと10%NaOH水溶液200mlにより抽出し、生成物(III)を、ジクロロメタン相から単離する。
【0035】
【化11】

【0036】
(実施例1b)
式(IV)の添加物を、EP−A−0094911において開示されている方法により、アミルアルコール中でナトリウムアミレートの存在下において、ベンゾニトリル(III)とコハク酸ジイソプロピルとの反応によって調製する。この反応においては、ナトリウムの6.9gが、沸点においてアミルアルコール200g中で反応する。ベンゾニトリル(III)の43.6gが、得られたナトリウムアミレート中に溶解され、コハク酸ジイソプロピルの20.2gを、150分経過する間に100℃において一滴一滴添加する。100℃においてさらに6時間撹拌し、水200gの上に注ぎ、水蒸気蒸留によってアミルアルコールを除去し、生成物(IV)を濾過によって単離し、水で洗浄する。
【0037】
【化12】

【0038】
P.R.254((登録商標)Irgazin Rot BO)95部を、式(IV)の添加物5部と混合する。顔料調合物を用いてポリエチレン平板を着色し((登録商標)Hostalen GC7260を600gおよび顔料調合物を0.6g)、反りを、DIN EN ISO294−4に準拠して決定する。
【0039】
方法:射出成形されたポリエチレンにおける有機顔料の収縮試験。フィルムゲート付きの、寸法が60×60mmの長方形平板を、成形する。成形の方向に沿って、およびそれを横切る方向での測定によって、評価が行われる。試験されるそれぞれの顔料に10個の成形品が作製され、測定され、それぞれ平均値が使用される。使用される対照標準は、顔料を含まないプラスチック製の10個の成形品である。その場合、この材料が、着色された系と同一の加工履歴を正確に経験することが、非常に大切である。
【0040】
本発明の顔料調合物によって着色されたポリエチレン平板は、添加物なしの上記P.R.254((登録商標)Irgazin Rot BO)より、明らかに小さな反り値を有する。
【0041】
(実施例2a)
3−シアノ安息香酸10gを塩化チオニル100g中で4時間還流する。塩化チオニルを水ジェット真空下で蒸留し、残渣を、1,4−ジオキサン100ml中にとる。ピリジン5.4gとジオクチルアミン16.87gを添加し、80℃において1時間撹拌する。溶液を、ジクロロメタン150mlと10%NaOH水溶液100mlにより抽出し、生成物(V)を、ジクロロメタン相から単離する。
【0042】
【化13】

【0043】
(実施例2b)
式(VI)の添加物を、EP−A−0094911において開示されている方法により、実施例1bと同様に、アミルアルコール中でナトリウムアミレートの存在下において、ベンゾニトリル(V)とコハク酸ジイソプロピルとの反応によって調製する。
【0044】
【化14】

【0045】
P.R.254((登録商標)Irgazin Rot BO)95部を、式(VI)の添加物5部と混合する。顔料調合物を用いてポリエチレン平板を着色し((登録商標)Hostalen GC7260を600gおよび顔料調合物を0.6g)、反りを、DIN EN ISO294−4に準拠して決定する。
【0046】
本発明の顔料調合物によって着色されたポリエチレン平板は、添加物なしの上記P.R.254((登録商標)Irgazin Rot BO)より、明らかに小さな反り値を有する。
【0047】
(実施例3a)
3−シアノ安息香酸10gを塩化チオニル100g中で4時間還流する。塩化チオニルを水ジェット真空下で蒸留し、残渣を、1,4−ジオキサン100ml中にとる。ピリジン5.4gとジシクロヘキシルアミン12.67gを添加し、80℃において1時間撹拌する。溶液を、ジクロロメタン150mlと10%NaOH水溶液100mlにより抽出し、生成物(VII)を、ジクロロメタン相から単離する。
【0048】
【化15】

【0049】
(実施例3b)
式(VIII)の添加物を、EP−A−0094911において開示されている方法により、実施例1bと同様に、アミルアルコール中でナトリウムアミレートの存在下において、ベンゾニトリル(VII)とコハク酸ジイソプロピルとの反応によって調製する。
【0050】
【化16】

【0051】
P.R.254((登録商標)Irgazin Rot BO)95部を、式(VIII)の添加物5部と混合する。顔料調合物を用いてポリエチレン平板を着色し((登録商標)Hostalen GC7260を600gおよび顔料調合物を0.6g)、反りを、DIN EN ISO294−4に準拠して決定する。
【0052】
本発明の顔料調合物によって着色されたポリエチレン平板は、添加物なしの上記P.R.254((登録商標)Irgazin Rot BO)より、明らかに小さな反り値を有する。
【0053】
(実施例4a)
3−シアノ安息香酸10gを塩化チオニル100g中で4時間還流する。塩化チオニルを水ジェット真空下で蒸留し、残渣を、1,4−ジオキサン100ml中にとる。ピリジン5.4gとドデシルアミン12.95gを添加し、80℃において1時間撹拌する。溶液を、ジクロロメタン150mlと10%NaOH水溶液100mlにより抽出し、生成物(IX)を、ジクロロメタン相から単離する。
【0054】
【化17】

【0055】
(実施例4b)
式(X)の添加物を、EP−A−0094911において開示されている方法により、実施例1bと同様に、アミルアルコール中でナトリウムアミレートの存在下において、ベンゾニトリル(IX)とコハク酸ジイソプロピルとの反応によって調製する。
【0056】
【化18】

【0057】
P.R.254((登録商標)Irgazin Rot BO)95部を、式(X)の添加物5部と混合する。顔料調合物を用いてポリエチレン平板を着色し((登録商標)Hostalen GC7260を600gおよび顔料調合物を0.6g)、反りを、DIN EN ISO294−4に準拠して決定する。
【0058】
本発明の顔料調合物によって着色されたポリエチレン平板は、添加物なしの上記P.R.254((登録商標)Irgazin Rot BO)より、明らかに小さな反り値を有する。
【0059】
(実施例5)
添加物(XI)を、EP−A−0353184において開示されている方法により、調製する。この目的のために、1,4−ジケト−3,6−ビス(4−ブロモフェニル)ピロロ[3,4−c]ピロール5g、n−メチルブチルアミン7.81gおよび無水N−メチルピロリドン100mlを、窒素下で最初に投入するものとして、1000mlのテフロンオートクレーブ中に導入する。懸濁液を、穏やかに撹拌しながら、2時間の間に200℃まで加熱し、穏やかに撹拌しながら200℃で24時間保持する。次いで、反応塊を室温まで冷却し、オートクレーブを開き、懸濁液を吸引濾過する。引き続き、濾過ケーキをN−メチルピロリドン、メタノールおよび熱湯により洗浄し、真空乾燥器内で80℃において24時間乾燥する。
【0060】
【化19】

【0061】
P.R.254((登録商標)Irgazin Rot BO)95部を、式(XI)の添加物5部と混合する。顔料調合物を用いてポリエチレン平板を着色し((登録商標)Hostalen GC7260を600gおよび顔料調合物を0.6g)、反りを、DIN EN ISO294−4に準拠して決定する。
【0062】
本発明の顔料調合物によって着色されたポリエチレン平板は、添加物なしの上記P.R.254((登録商標)Irgazin Rot BO)より、明らかに小さな反り値を有する。
【0063】
(実施例6a)
3−シアノ安息香酸10gを塩化チオニル100g中で4時間還流する。塩化チオニルを水ジェット真空下で蒸留し、残渣を、1,4−ジオキサン100ml中にとる。ピリジン5.4gとデカノール11.06gを添加し、80℃において1時間撹拌する。溶液を、ジクロロメタン150gと10%NaOH水溶液100gにより抽出し、生成物(XII)を、ジクロロメタン相から単離する。
【0064】
【化20】

【0065】
(実施例6b)
P.R.254((登録商標)Irgazin Rot BO)95部を、実施例1bと同様に、アミルアルコール中でナトリウムアミレートの存在下において、ベンゾニトリル(XII)とコハク酸ジイソプロピルとの反応によって得られた添加物5部と混合する。
顔料調合物を用いてポリエチレン平板を着色し((登録商標)Hostalen GC7260を600gおよび顔料調合物を0.6g)、反りを、DIN EN ISO294−4に準拠して決定する。
本発明の顔料調合物によって着色されたポリエチレン平板は、添加物なしの上記P.R.254((登録商標)Irgazin Rot BO)より、明らかに小さな反り値を有する。
【0066】
(実施例7(比較))
P.R.254((登録商標)Irgazin Rot BO)95部を、WO2004/01566に記載の式(XIII)の添加物5部と混合する。
【0067】
【化21】

【0068】
顔料調合物を用いてポリエチレン平板を着色し((登録商標)Hostalen GC7260を600gおよび顔料調合物を0.6g)、反りを、DIN EN ISO294−4に準拠して決定する。
着色されたポリエチレン平板は、実施例1bに記載された混合物、本発明の顔料調合物により着色されたポリエチレン平板より、明らかに大きな反り値を有する。
【0069】
(実施例8(比較))
P.R.254((登録商標)Irgazin Rot BO)95部を、EP0952183A1に記載の式(XIV)の添加物5部と混合する。
【0070】
【化22】

【0071】
添加物(XIV)を添加されたP.R254は、本発明の顔料調合物によって着色されたポリエチレン平板より、DIN EN12877による耐熱性が低い。
【0072】
(実施例9)
P.V.19((登録商標)PV−Echtviolett ER)95部を、式(IV)の添加物5部と混合する(実施例1b)。
顔料調合物を用いてポリエチレン平板を着色し((登録商標)Hostalen GC7260を600gおよび顔料調合物を0.6g)、反りを、DIN EN ISO294−4に準拠して決定する。
【0073】
本発明の顔料調合物により着色されたポリエチレン平板は、添加物なしの上記P.V19((登録商標)PV−Echtviolett ER)より、小さな反り値を有する。
【0074】
(実施例10)
P.Y.139((登録商標)PV−Echtgelb H2R)95部を、式(IV)の添加物5部と混合する(実施例1b)。
顔料調合物を用いてポリエチレン平板を着色し((登録商標)Hostalen GC7260を600gおよび顔料調合物を0.6g)、反りを、DIN EN ISO294−4に準拠して決定する。
本発明の顔料調合物により着色されたポリエチレン平板は、添加物なしの上記P.Y.139((登録商標)PV−Echtgelb H2R)より、小さな反り値を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部分結晶性プラスチックの原液着色方法であって、
(i)エチレン、プロピレン、ブチレン、スチレンおよび/またはジビニルベンゼンのホモポリマー、ターポリマー、またはコポリマー、ポリエステル、ポリアミドおよび熱可塑性イオノマーの群からの部分結晶性プラスチック;
(ii)ジケトピロロピロール、キナクリドン、ジスアゾ縮合、イソインドリノンおよびイソインドリン顔料の群からの顔料;および
(iii)顔料1重量部を基準にして、式(I):
【化1】

の添加物0.001から0.25重量部
[式中、Qは、式(Ia)のジケトピロロピロール化合物残部であり、
【化2】

14、R15、R16およびR17は、独立に水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、またはシアノであり;
sは、0.1から4.0であり;および
Rは、式−CONZ、−NZまたは−COOZの基であり、
およびZは、同一であるか異なり、水素またはC〜C30アルキルまたはC〜C30アルケニル基を表し、直鎖または分岐鎖であることができ、ならびに非置換またはハロゲン、ヒドロキシル、ヒドロキシカルボニル、C〜C15シクロアルキまたはC〜C15アルコキシ置換されていることができ、アルケニルは一不飽和または多不飽和であり、但し、ZおよびZは両方が水素であることはなく、
は、水素、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカリ金属、C〜C30アルキルまたはC〜C30アルケニル基を表し、直鎖または分岐鎖であることができ、非置換またはハロゲン、ヒドロキシル、ヒドロキシカルボニル、C〜C15、シクロアルキまたはC〜C15アルコキシ置換されていることができ、アルケニルは一不飽和または多不飽和である。]
を形成することを含む方法。
【請求項2】
前記顔料(ii)が式(II)のジケトピロロピロールである、請求項1に記載の方法。
【化3】

[式中、
10、R11、R12およびR13は、独立に水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、シアノまたはフェニルである。]。
【請求項3】
11およびR13がそれぞれ水素であり、および
10およびR12が、同一であるか異なり、それぞれ水素、メチル、tert−ブチル、塩素、シアノまたはフェニルである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記顔料(ii)が、C.I.ピグメントオレンジ71、73、81、ピグメントレッド254、255、264、270、272、ピグメントイエロー139、ピグメントバイオレット19、37、またはピグメントブルー15である、請求項1から3の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項5】
およびZが、同一であるかまたは異なり、それぞれC〜C18アルキルまたはC〜C18アルケニルであり、
がC〜C18アルキルまたはC〜C18アルケニルであり、
14およびR16が、それぞれ水素であり、および
15およびR17が、それぞれ水素、メチル、tert−ブチル、塩素またはシアノである、請求項1から4の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項6】
sが0.5から2.5である、請求項1から5の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項7】
部分結晶性プラスチック1重量部を基準にして、顔料プラス式(I)の添加物を、0.0001から0.5重量部まで使用する、請求項1から6の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項8】
顔料1重量部を基準にして、式(I)の添加物を0.02から0.1重量部使用する、請求項1から7の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項9】
界面活性剤、色素性および非色素性分散剤、充填剤、標準化剤、樹脂、蝋、脱泡剤、防塵剤、増量剤、遮光着色剤、防腐剤、乾燥遅延剤、レオロジー制御添加剤、湿潤剤、酸化防止剤、UV吸収剤、および光安定剤の群からの、少なくとも1つのさらなる助剤を、プラスチックと顔料の組合せ1重量部を基準にして、最大で0.5重量部使用する、請求項1から8の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項10】
部分結晶性プラスチックが、HDPE、MDPE、LDPE、ポリプロピレン、PVC、PET、ナイロン6またはナイロン66である、請求項1から9の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項11】
前記成分が、押出成形法または射出成形法により成形される、請求項1から10の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項12】
(ii)ジケトピロロピロール顔料および
(iii)顔料1重量部を基準にして、式(I)の添加物を0.001から0.25重量部
【化4】

[式中、Qは式(Ia)のジケトピロロピロール化合物残部であり、
【化5】

14、R15、R16およびR17は、独立に水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、またはシアノであり;
sは0.1から4.0であり;および
Rは、式−CONZの基であり、
およびZは、同一であるか異なり、水素またはC〜C30アルキルまたはC〜C30アルケニル基を表し、直鎖または分岐鎖であることができ、ならびに非置換またはハロゲン、ヒドロキシル、ヒドロキシカルボニル、C〜C15シクロアルキまたはC〜C15アルコキシ置換されていることができ、アルケニルは一不飽和または多不飽和であり、但し、ZおよびZは両方が水素であることはない。]
を含む顔料配合物。
【請求項13】
前記ジケトピロロピロール顔料(ii)が、C.Iピグメントレッド254である、請求項12に記載の顔料配合物。

【公表番号】特表2008−510049(P2008−510049A)
【公表日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−526377(P2007−526377)
【出願日】平成17年8月16日(2005.8.16)
【国際出願番号】PCT/EP2005/008872
【国際公開番号】WO2006/018271
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(598109501)クラリアント・プロドゥクテ(ドイチュラント)ゲーエムベーハー (45)
【氏名又は名称原語表記】Clariant Produkte (Deutschland)GmbH
【Fターム(参考)】