説明

部品の取付構造

【課題】車体パネルから容易に取り外しできる部品の取付構造を提供すること。
【解決手段】部品の取付構造は、センターピラー20に取り付けられる中間ガイド10の取付構造であって、センターピラー20には、貫通孔21が形成され、中間ガイド10は、中間ガイド本体11と、この中間ガイド本体11の取り付け面11Aから突出して形成されて貫通孔21に係止する係止部12と、中間ガイド本体11の取り付け面11Aに形成されたリブ13と、を備え、係止部12は、取り付け面11Aから略垂直に延出する延出部14と、この延出部14の先端側から錨足状に延出しかつ延出部14に接近する方向に弾性変形可能な一対の弾性部15と、この一対の弾性部15の先端側に形成されて延出部14側に凹んだ段差部16と、一対の弾性部15の先端側に形成された被押圧部17と、を備え、被押圧部17は、取り付け面11Aに沿った方向に延びて、弾性部15から突出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品の取付構造に関する。詳しくは、自動車のシートベルトの中間ガイドの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車のセンターピラーには、環状の中間ガイドが設けられている。この中間ガイドによれば、シートベルトをこの中間ガイドの環状部分に挿通することにより、シートベルトをセンターピラーに沿って配置できる。
以上の中間ガイドは、例えば、以下のような構造である(特許文献1参照)。すなわち、センターピラーには、取付孔およびボルト孔が形成されている。一方、中間ガイドは、環状の中間ガイド本体と、この中間ガイド本体に設けられた爪と、を備える。また、中間ガイド本体には、ボルト孔が形成されている。
【0003】
この中間ガイドは、以下の手順でセンターピラーに取り付けられる。この中間ガイドの爪をセンターピラーの取付孔に係止させて、この状態で、中間ガイドおよびセンターピラーのボルト孔にボルトを締め付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平4−76564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、中間ガイドは、自動車の座席の側方に取り付けられるため、中間ガイドを取り付ける部分の空間は狭くなっている。したがって、中間ガイドを取り外す際、狭い空間でボルトを取り扱う必要があるため、手間がかかる、という問題があった。
【0006】
本発明では、車体パネルから容易に取り外しできる部品の取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の部品の取付構造は、車体パネルに取り付けられる部品(例えば、後述の中間ガイド10)の取付構造であって、前記車体パネルには、孔が形成され、前記部品は、本体と、当該本体の取り付け面から突出して形成されて前記孔に係止する係止部と、前記本体の取り付け面に形成されたリブ(例えば、後述のリブ13)と、を備え、前記係止部は、前記本体の取り付け面から略垂直に延出する延出部と、当該延出部の先端側から錨足状に延出しかつ前記延出部に接近する方向に弾性変形可能な一対の弾性部と、当該一対の弾性部の先端側に形成されて前記延出部側に凹んだ段差部と、前記一対の弾性部の先端側に形成された被押圧部(例えば、後述の被押圧部17)と、を備え、当該被押圧部は、前記取り付け面に沿った方向に延びて、前記弾性部から突出することを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、部品の係止部の先端側を車体パネルの孔に当てて、孔の奥に向かって押し込む。すると、弾性部は、孔の縁に押圧されて、延出部に接近する方向に弾性変形しながら、孔の奥に向かって進む。その後、孔の縁が弾性部の先端側に形成された段差部に到達すると、弾性部が僅かに復元して、孔の縁が段差部に係止する。また、このとき、リブが車体パネルに当接する。これにより、部品のリブと段差部とで車体パネルを挟み込むこととなり、部品が車体パネルに保持される。
その後、一対の被押圧部を工具で挟んで、この工具で一対の被押圧部同士を接近させると、弾性部が延出部に接近する方向に弾性変形し、孔の縁と段差部との係止が解除される。この状態で、係止部を孔から抜き取る。これにより、部品を車体パネルから容易に取り外すことができる。
【0009】
この場合、前記被押圧部は、前記本体の端縁から突出しないことが好ましい。
【0010】
この発明によれば、被押圧部を本体の端縁から突出させないので、外観が良好になるうえに、部品の製造に用いる材料を低減できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、部品の係止部の先端側を車体パネルの孔に当てて、孔の奥に向かって押し込む。すると、弾性部は、孔の縁に押圧されて、延出部に接近する方向に弾性変形しながら、孔の奥に向かって進む。その後、孔の縁が弾性部の先端側に形成された段差部に到達すると、弾性部が僅かに復元して、孔の縁が段差部に係止する。また、このとき、リブが車体パネルに当接する。これにより、部品のリブと段差部とで車体パネルを挟み込むこととなり、部品が車体パネルに保持される。その後、一対の被押圧部を工具で挟んで、この工具で一対の被押圧部同士を接近させると、弾性部が延出部に接近する方向に弾性変形し、孔の縁と段差部との係止が解除される。この状態で、係止部を孔から抜き取る。これにより、部品を車体パネルから容易に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る部品の取付構造の斜視図である。
【図2】前記実施形態に係る部品の取付構造の分解斜視図である。
【図3】前記実施形態に係る部品の取付構造の平面図である。
【図4】前記実施形態に係る部品の取付構造の部品を取り外す手順を説明するための斜視図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る部品の取付構造の平面図である。
【図6】前記実施形態に係る部品の取付構造の部品を取り外す手順を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
【0014】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る部品の取付構造が適用された部品としての中間ガイド10の斜視図である。
この中間ガイド10は、車体パネルとしてのボディのセンターピラー20に取り付けられる。中間ガイド10には、シートベルト30が挿通されており、これにより、シートベルト30は、センターピラー20に沿って配置されている。
【0015】
図2は、中間ガイド10およびセンターピラー20の中間ガイド10が取り付けられる部分の分解斜視図である。
センターピラー20には、一対の貫通孔21が形成されている。
中間ガイド10は、樹脂製であり、中間ガイド本体11と、この中間ガイド本体11の取り付け面11Aから突出して形成されて貫通孔21に係止する一対の係止部12と、中間ガイド本体11の取り付け面11Aに形成されたリブ13と、を備える。
【0016】
各係止部12は、中間ガイド本体11の取り付け面11Aから略垂直に延出する延出部14と、この延出部14の先端側から錨足状に延出する一対の弾性部15と、一対の弾性部15の先端側に形成されて延出部14側に凹んだ段差部16と、一対の弾性部15の先端側に形成された被押圧部17と、を備える。
【0017】
各弾性部15は、延出部14の先端側から基端側に向かうに従って延出部14から離れるように、湾曲して延びている。これにより、弾性部15の先端側は、延出部14に接近する方向に弾性変形可能となっている。
【0018】
各リブ13は、中間ガイド本体11の幅方向つまり図2中高さ方向に沿って延びている。本実施形態では、中間ガイド本体11の長さ方向の一端側に2本のリブ13を設け、他端側には1本のリブ13を設けて区別することにより、誤組み付けを防止している。
各被押圧部17は、中間ガイド本体11の幅方向つまり図2中高さ方向に延びて、弾性部15から突出しているが、中間ガイド本体11の端縁から突出していない。
【0019】
以上の中間ガイド10は、以下のようにしてセンターピラー20に取り付けられる。
まず、中間ガイド10の係止部12の先端側をセンターピラー20の貫通孔21に当てて、この貫通孔21の奥に向かって押し込む。すると、図3中破線で示すように、係止部12の弾性部15は、貫通孔21の縁に押圧されて、延出部14に接近する方向に弾性変形しながら、貫通孔21の奥に向かって進む。その後、貫通孔21の縁が弾性部15の先端側に形成された段差部16に到達すると、弾性部15が僅かに復元して、図3中実線で示すように、貫通孔21の縁が段差部16に係止する。また、このとき、リブ13がセンターピラー20に当接して、センターピラー20と中間ガイド本体11との間には、隙間が形成される。これにより、中間ガイド10のリブ13と段差部16とでセンターピラー20を挟み込むこととなり、中間ガイド10がセンターピラー20に保持される。
【0020】
その後、図4に示すように、一対の被押圧部17を工具としてのペンチ40で挟んで、このペンチ40により一対の被押圧部17同士を接近させると、弾性部15が延出部14に接近する方向に弾性変形し、貫通孔21の縁と段差部16との係止が解除される。この状態で、係止部12を貫通孔21から抜き取る。これにより、中間ガイド10をセンターピラー20から取り外すことができる。
【0021】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)中間ガイド10の係止部12の先端側をセンターピラー20の貫通孔21に当てて、この貫通孔21の奥に向かって押し込む。すると、貫通孔21の縁が段差部16に係止する。これにより、中間ガイド10のリブ13と段差部16とでセンターピラー20を挟み込むこととなり、中間ガイド10がセンターピラー20に保持される。
その後、一対の被押圧部17をペンチ40で挟んで、このペンチ40により一対の被押圧部17同士を接近させると、弾性部15が延出部14に接近する方向に弾性変形し、貫通孔21の縁と段差部16との係止が解除される。この状態で、係止部12を貫通孔21から抜き取る。したがって、ペンチで被押圧部17を挟み込むだけでよいので、中間ガイド10をセンターピラー20から容易に取り外すことができる。
【0022】
(2)被押圧部17を中間ガイド本体11の端縁から突出させないので、外観が良好になるうえに、中間ガイド10の製造に用いる樹脂量を低減できる。
【0023】
<第2実施形態>
本実施形態では、被押圧部17Aおよびリブ13Aの構造が、第1実施形態と異なる。
図5は、本発明の第2実施形態に係る部品の取り付け構造が適用された中間ガイド10Aの平面図である。
すなわち、被押圧部17Aは、弾性部15から突出しておらず、リブ13Aとラップしている。つまり、被押圧部17Aは、リブ13Aに略平行に延びている。また、図5に示すように、被押圧部17Aは、取り付け面11Aに垂直な方向において、リブ13Aとラップ幅Wでラップしている。
また、リブ13Aと被押圧部17Aとの間には、工具としてのマイナスドライバ41が挿入可能である。
【0024】
この中間ガイド10Aによれば、図6に示すように、リブ13Aと被押圧部17Aとの間にマイナスドライバ41を挿入し、このマイナスドライバ41を図6中矢印方向に傾ける。すると、リブ13Aと被押圧部17Aはラップしているため、マイナスドライバ41がリブ13Aと被押圧部17Aとに当接し、リブ13Aを支点としたてこの原理によって、リブ13Aと被押圧部17Aとの間が拡げられる。このとき、リブ13Aは中間ガイド本体11に固定されているので、弾性部15が延出部14に接近する方向に弾性変形し、貫通孔21の縁と段差部16との係止が解除される。したがって、この状態で、係止部12を貫通孔21から抜き取ることで、中間ガイド10をセンターピラー20から取り外すことができる。
【0025】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(3)リブ13Aと被押圧部17Aとの間にマイナスドライバ41を挿入し、このマイナスドライバ41を傾ける。すると、リブ13Aと被押圧部17Aはラップしているため、マイナスドライバ41がリブ13Aと被押圧部17Aとに当接し、リブ13Aを支点としたてこの原理によって、リブ13Aと被押圧部17Aとの間が拡げられる。このとき、リブ13Aは中間ガイド本体11に固定されているので、弾性部15が延出部14に接近する方向に弾性変形し、貫通孔21の縁と段差部16との係止が解除される。この状態で、係止部12を貫通孔21から抜き取る。したがって、ペンチで被押圧部17を挟み込むだけでよいので、中間ガイド10をセンターピラー20から容易に取り外すことができる。
【0026】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良は本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0027】
10、10A 中間ガイド(部品)
11 中間ガイド本体(本体)
11A 取り付け面
12 係止部
13、13A リブ
14 延出部
15 弾性部
16 段差部
17、17A 被押圧部
20 センターピラー(車体パネル)
21 貫通孔
40 ペンチ(工具)
41 マイナスドライバ(工具)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体パネルに取り付けられる部品の取付構造であって、
前記車体パネルには、孔が形成され、
前記部品は、本体と、当該本体の取り付け面から突出して形成されて前記孔に係止する係止部と、前記本体の取り付け面に形成されたリブと、を備え、
前記係止部は、前記本体の取り付け面から略垂直に延出する延出部と、
当該延出部の先端側から錨足状に延出しかつ前記延出部に接近する方向に弾性変形可能な一対の弾性部と、
当該一対の弾性部の先端側に形成されて前記延出部側に凹んだ段差部と、
前記一対の弾性部の先端側に形成された被押圧部と、を備え、
当該被押圧部は、前記取り付け面に沿った方向に延びて、前記弾性部から突出することを特徴とする部品の取付構造。
【請求項2】
前記被押圧部は、前記本体の端縁から突出しないことを特徴とする請求項1に記載の部品の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−112533(P2012−112533A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−48246(P2012−48246)
【出願日】平成24年3月5日(2012.3.5)
【分割の表示】特願2009−237644(P2009−237644)の分割
【原出願日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】