説明

部品供給装置

【課題】部品を正確に把持させるために適正となる部品数量の供給を行い、機種切り替え性能も向上させた部品供給装置を提供する。
【解決手段】部品供給装置100は、供給する部品Pを収容する第1給材部1と、第1給材部1を駆動し、部品Pを移動させる第1駆動部4と、第1給材部1内を移動した部品Pが供給される第2給材部2と、第2給材部2を所定位置に移動させる第2駆動部5と、所定位置で第2給材部2から部品Pが供給される第3給材部3と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を供給する部品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製品のメカニカルな組立作業を行う製造ラインは、複数の製造工程を備えており、製造工程ごとに必要となる部品を供給し、供給した部品を画像認識などによりロボット等で把持させ、必要な位置に搬送させて組立てることが行われている。
【0003】
部品供給装置において、特許文献1及び特許文献2では、山積みした部品を立体的に画像認識した後にロボットで把持することが開示されている。また、特許文献3では、パーツフィーダー等で部品を整列した後、部品の姿勢を画像認識し、ロボットで把持することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−685号公報
【特許文献2】特開2010−105081号公報
【特許文献3】特開平6−167323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2では、山積みした部品の場合、部品同士が重なり合っているため、3次元での画像認識を行っても、部品形状を正確に認識することが難しいという課題がある。また、部品を把持するためのチャック構造や動作が複雑となり、正確に把持することが難しいという課題がある。また、これらにより、組立てのサイクルタイムが長くなるという課題がある。特許文献3では、パーツフィーダーボールのサイズや部品搬送溝等を、ある程度専用化せざるを得ないため、適応部品(機種)が限定される。従って、搬送する部品(機種)を切り替える場合には、パーツフィーダーボール等から部品を全て取り除くための時間が必要となり、機種切り替え性能に課題がある。
【0006】
従って、部品を正確に把持させるために適正となる部品数量の供給を行い、機種切り替え性能も向上させた部品供給装置が要望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]本適用例に係る部品供給装置は、部品を供給する部品供給装置であって、供給する部品を収容する第1給材部と、第1給材部を駆動し、部品を移動させる第1駆動部と、第1給材部内を移動した部品が供給される第2給材部と、第2給材部を所定位置に移動させる第2駆動部と、所定位置で第2給材部から部品が供給される第3給材部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
このような部品供給装置によれば、第1給材部の部品を所定位置にある第3給材部に供給する場合、第1給材部と第3給材部との間に、第2給材部を備えることにより、第1給材部の部品を適正な数量だけ第2給材部に的確に分けることができる。そして、第2給材部に供給された部品を第3給材部に、適時供給することができる。
【0010】
[適用例2]上記適用例に係る部品供給装置において、第3給材部内の部品の位置と姿勢を検出する検出部と、第3給材部内の部品を把持して搬送する搬送部と、検出部による検出結果を基に搬送部に部品を把持する指示を送る制御部と、を備えることが好ましい。
【0011】
このような部品供給装置によれば、第3給材部に適正な数量の部品が供給されるため、検出部による部品の検出と制御部による搬送部への指示により、搬送部による部品の把持を正確に行うことができる。
【0012】
[適用例3]上記適用例に係る部品供給装置において、第1給材部は、階段状に連続して構成される収容領域を備え、部品は、収容領域の上段に供給されることにより、収容領域の上段から下段へ移動することが好ましい。
【0013】
このような部品供給装置によれば、収容領域の上段に供給された複数の部品を、階段状の収容領域を上段から下段に順次移動させることにより、部品の滞留を防止し、部品ごとの重なりを抑制させ、滑らかに部品を移動させることができる。
【0014】
[適用例4]上記適用例に係る部品供給装置において、収容領域は、上段から下段に行くに従い、幅が狭まることが好ましい。
【0015】
このような部品供給装置によれば、部品が上段から下段に移動することに伴い、部品数量を規制しながら滑らかに移動させることができ、部品数量を制御し易くすることができる。
【0016】
[適用例5]上記適用例に係る部品供給装置において、第1給材部と第1駆動部とを保持する保持部を備え、第1給材部は、保持部により、第1駆動部に着脱自在に設置されることが好ましい。
【0017】
このような部品供給装置によれば、保持部により、第1給材部が第1駆動部に着脱自在に設置されることにより、供給する部品を切り替える場合、第1給材部自体を取り替えることでよいため、第1給材部内の部品を取り替える必要がなく、機種切り替え性能を向上させることができる。
【0018】
[適用例6]上記適用例に係る部品供給装置において、第2給材部に供給される部品の量を計測する計測部を備えていることが好ましい。
【0019】
このような部品供給装置によれば、計測部を備えて第2給材部に供給される部品の量を計測することにより、第3給材部に適正な数量の部品を供給することができる。
【0020】
[適用例7]上記適用例に係る部品供給装置において、計測部は、第2給材部に供給された部品の重量が所定の重量となった場合、支軸を中心に回動する回動部と、回動部に移動自在に保持され、計測する部品の重量に応じて回動部との回動のバランスをとるバランス部と、を備えていることが好ましい。
【0021】
このような部品供給装置によれば、計測部は、回動部とバランス部とを備えることにより、第3給材部に供給する適正な部品の数量を部品の重量として代用して計測することができる。また、部品の数量を変更する場合や、部品を切り替えた場合等には、必要とする新たな数量(重量)に対応させてバランス部を移動させることにより、容易に計測することができる。
【0022】
[適用例8]上記適用例に係る部品供給装置において、第2給材部は、部品を収容する収容底面を開閉自在とし、収容底面を開放して第3給材部に部品を落下させて供給する開閉機構部を備えていることが好ましい。
【0023】
このような部品供給装置によれば、開閉機構部を備えることにより、第2給材部の部品を第3給材部に落下させて供給することにより、第3給材部内での部品の重なりを抑制することができる。
【0024】
[適用例9]上記適用例に係る部品供給装置において、第3給材部を駆動し、第3給材部に収容する部品の位置を変化させる第3駆動部を備えていることが好ましい。
【0025】
このような部品供給装置によれば、第3駆動部により、第3給材部内の部品の位置を変化させることで、重なっている部品を移動させて重なりをなくすことができる。
【0026】
[適用例10]上記適用例に係る部品供給装置において、第3駆動部は、第3給材部に振動を付与することが好ましい。
【0027】
このような部品供給装置によれば、第3給材部を振動させることにより、重なっている部品に対して、効率的に移動させて重なりを防止することができる。
【0028】
[適用例11]上記適用例に係る部品供給装置において、第3給材部は、収容する部品を整列させる部品整列部を備えていることが好ましい。
【0029】
このような部品供給装置によれば、第3給材部内の部品の位置を固定させることができ、例えば、外形が円柱状を有した不安定な部品等を部品整列部により整列させて固定することで、搬送部で正確に部品を把持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施形態に係る部品供給装置を左面側から見た断面図。
【図2】部品供給装置を上面側から見た平面図。
【図3】部品供給装置を前面側から見た断面図。
【図4】第1駆動部を構成する駆動用モーターの拡大図。
【図5】保持部を示す拡大図。
【図6】第2給材部の概構成と動作を示す図。
【図7】計測機構部のバランス部を第2給材部の左面側から見た図。
【図8】第3給材部の部品整列部を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態)
【0032】
図1は、実施形態に係る部品供給装置100を左面側から見た断面図である。図2は、部品供給装置100を上面側から見た平面図である。図3は、部品供給装置100を前面側から見た断面図である。図4は、第1駆動部4を構成する駆動用モーター41の拡大断面図である。図5は、保持部450を示す拡大断面図である。なお、図1〜図3では、搬送部及び制御部を省略して示している。図1〜図5を参照して、部品供給装置100の構成と動作に関して説明する。
【0033】
本実施形態の部品供給装置100は、複数の製造工程を備えたメカニカルな組立作業を行う製造ラインの中の、1つの製造工程を担う装置として組まれている。そして、部品供給装置100は、その工程で必要となる部品Pを供給し、供給した部品Pを画像認識によりロボット(搬送部)で把持させて必要な位置に搬送させる動作を繰り返し実行する。
【0034】
なお、本実施形態を説明する図面は、説明の便宜上、XYZ直交座標系を用いて示す。詳細には、図1において、紙面左側から右側の方向をX軸方向(+X方向)とする。また、X軸方向に直交して、紙面表面側から裏面側の方向をY軸方向(+Y方向)、X軸方向およびY軸方向に直交し、紙面下側から上側の方向をZ軸方向(+Z方向)とする。なお、+X方向を前方向(−X方向を後方向)、+Y方向を右方向(−Y方向を左方向)、+Z方向を上方向(−Z方向を下方向)として、適宜使用する。
【0035】
部品供給装置100は、供給する部品Pを収容する第1給材部1と、第1給材部1を移動した部品Pが供給される第2給材部2と、所定の位置として画像認識される位置に固定されて第2給材部2からの部品Pが供給される第3給材部3とを備えて構成されている。なお、第2給材部2には、所定量の部品Pが供給される。また、部品供給装置100は、第1給材部1を駆動して部品Pを移動させる第1駆動部4と、第2給材部2を第3給材部3の上方に移動させる第2駆動部5(図6参照)と、第3給材部3を駆動させて部品Pの位置を変化させる第3駆動部6とを備えて構成されている。
【0036】
また、部品供給装置100は、第3給材部3内の部品Pの位置と姿勢を検出する検出部7と、第3給材部3内の部品Pを把持して搬送する搬送部(図示省略)と、検出部7による検出結果を基に搬送部に部品Pを把持させる指示を送る制御部(図示省略)とを備えて構成されている。
【0037】
部品供給装置100は、ベース基板800に第1駆動部4が設置される。また、別のベース基板(図示省略)に第2駆動部5が設置される。第3駆動部6及び検出部7、搬送部(図示省略)は、また、別のベース基板810に設置される。制御部(図示省略)は、部品供給装置100内部に別に設置される。
【0038】
第1給材部1は、上側と前側が開口された箱状に形成されている。詳細には、第1給材部1は、左面部1a、右面部1b、後面部1c、底面部1eで構成されている。そして、第1給材部1には、箱内部において、底面部1eからテーパを有し、左面部1a及び右面部1bの後側から前側に渡って設置される斜面部1f、1gが構成されている。
【0039】
そして、第1給材部1には、斜面部1f、1gに対して、後側から前側に渡って階段状に連続して収容領域10が構成されている。本実施形態では、収容領域10は5段で構成されている。詳細には、収容領域10は、後側の最も上段となる1段目領域11、次に2段目領域12、3段目領域13、4段目領域14、前側の最も下段となる5段目領域15で構成されている。このような構成により、収容領域10は、1段目領域11から5段目領域15に行くに従って、収容領域10の幅Wが狭まるように構成されている。
【0040】
なお、本実施形態では、供給する部品Pは、1段目領域11に上方向から投入される。また、1段目領域11と2段目領域12との境界部には、規制板111が設置されており、大量の部品Pが一度に2段目領域12に落下しないように規制している。
【0041】
なお、本実施形態の部品Pには、円柱形状を有するプラテンローラーを用いている。従って、本実施形態の部品供給装置100は、プラテンローラー(部品P)を、第1給材部1に供給し、第2給材部2でプラテンローラーの数量を計測し、第3給材部3に供給する。そして、第3給材部3に供給されたプラテンローラーを、搬送装置で把持して所定の位置に搬送し、プラテンローラーを収容するケース等に組み込む。
【0042】
第1駆動部4は、上述したように、ベース基板800上に固定されている。第1駆動部4は、図4に示すように、扁芯軸42を有する駆動用モーター41と、扁芯軸42に接続して揺動する軸部材43を有して構成される。また、第1駆動部4は、図1に示すように、軸部材43を揺動自在に軸支する軸支部44と、軸支部44が固定される固定板45とで構成される。また、第1駆動部4は、板バネ46と、板バネ46をベース基板800と固定板45との間に所定の角度で傾斜させて設置する固定部材47、48とを備えている。なお、板バネ46及び固定部材47、48は、4箇所設置され、固定板45に載置する第1給材部1を保持する。
【0043】
固定板45及び第1給材部1には、固定板45に対して第1給材部1を着脱自在に保持固定する保持部450が構成されている。保持部450は、図5に示すように、第1給材部1の底面部1eに形成される係合部451と、この係合部451に相対して、固定板45の上面に固定されて設置する係合受部452とを備えている。
【0044】
また、保持部450は、図1に示すように、固定板45の後方の上面にネジ453を回動自在に保持するネジ保持部454が構成され、そのネジ453を受けるネジ受部455が、第1給材部1の後面部1cの下方に構成されている。なお、係合部451、係合受部452、及び、ネジ保持部454(ネジ453)、ネジ受部455は、左右方向にそれぞれ一対ずつ形成されている。
【0045】
第1給材部1を固定板45に固定させる場合には、最初に、第1給材部1の係合部451を固定板45の係合受部452に係合させる。詳細には、係合部451は、内側に傾斜する傾斜面451aを有して形成され、係合受部452は、この傾斜面451aを受けて互いに係合させる。その後、ネジ保持部454が保持するネジ453を回転させることにより、ネジ453をネジ受部455に所定の圧力となるように押圧させる。これにより、第1給材部1を固定板45に固定させることができる。
【0046】
第1給材部1を固定板45から取り外す場合には、上述したと逆の動作を行うことで、取り外すことができる。
なお、保持部450のネジ保持部454やネジ受部455は、トグルクランプ等を用いた構成に置き換えることで着脱時間の短縮化も図れるため、保持部450の構成は適宜変更してもよい。
【0047】
このように、第1給材部1を固定板45に対して容易に着脱できる構造のため、部品供給装置100が供給する部品Pを他の部品に切り替える場合には、第1給材部1の内部に収容する部品Pを取り出す必要はなく、部品Pを収容する第1給材部1自体を固定板45から取り外して、新たな第1給材部を固定板45に設置することで、新たな部品の供給に対応させることができる。
【0048】
次に、第1駆動部4の駆動による第1給材部1内の部品Pの動作を説明する。
図1、図4に示すように、第1駆動部4の駆動用モーター41が回転を開始した場合、扁芯軸42の回転により軸部材43が揺動する。軸部材43の揺動が軸支部44を介して固定板45に伝達する。固定板45に伝達した軸部材43の揺動は、固定板45とベース基板800との間に設置された板バネ46に伝達される。板バネ46に伝達された軸部材43の揺動は、固定板45を介し、第1給材部1に、部品Pを前方向(+X方向)に移動させる振動として伝達される。
【0049】
第1駆動部4の駆動により、第1給材部1の1段目領域11に投入された部品Pは、前方に移動し、規制板111に規制されながら、2段目領域12に落下する。2段目領域12に落下した部品Pは、同様に前方に移動し、3段目領域13に落下する。そして最終的に、5段目領域15に達する。なお、収容領域10は、下段に行くに従って幅Wが狭まっているため、下段に行くに従って、部品Pの数量も規制されてくる。なお、5段目領域15に達した部品Pは5段目領域15を前方に移動して、5段目領域15の下方に位置する第2給材部2に順次落下する。
【0050】
このように、収容領域10が階段状に連続して構成され、1段目領域11から5段目領域15に行くに従って、収容領域10の幅Wが狭まるように構成されることにより、部品Pの滞留を防止し、数量を規制されながら滑らかに各収容領域10を移動する。
【0051】
図6は、第2給材部2の概構成と動作を示す図であり、図6(a)は、後面側から見た図を示し、図6(b)は、左面側から見た断面図を示し、図6(c)は、前面側から見た図を示す。図7は、計測機構部21のバランス部22を第2給材部2の左面側から見た図である。図1〜図3、図6、図7を参照して第2給材部2及び第2駆動部5の構成と動作を説明する。
【0052】
第2給材部2は、第1給材部1を移動した部品Pが供給されるものであり、また、供給された部品Pが所定量となった場合、第2給材部2自体が移動して第3給材部3に部品Pを供給するものである。第2給材部2は、上側が開口された箱状に形成されている。詳細には、第2給材部2は、左面部2a、右面部2b、後面部2c、前面部2d、底面部2eで構成されている。
【0053】
第2駆動部5は、ベース基板800に固定される図示省略するエアーシリンダー等を備えている。また、第2駆動部5は、第2給材部2の後面部2cに設置されて第2給材部2を保持する保持板51を備えている。そして、第2給材部2は、第2駆動部5(エアーシリンダー等)の動作により、5段目領域15から部品Pを供給される位置(被供給位置)と、第3給材部3に部品Pを落下させて供給する位置(供給位置)とを往復してスライド移動する。
【0054】
第2給材部2は、計測部としての計測機構部21を備えており、第2給材部2内に供給される部品Pの量を計測する。また、第2給材部2は、開閉機構部25を備えており、部品Pを収容する収容底面としての上述した底面部2eを開閉自在とし、詳細には、底面部2eを構成する後述する可動板252を開閉することにより、第3給材部3に部品Pを落下させて供給する。
【0055】
計測機構部21は、開閉機構部25を保持した構成となっている。第2給材部2を保持する保持板51には、下方向に突出する軸保持部52が一対形成されている。計測機構部21は、軸部材211を有し、この軸部材211が軸保持部52に保持されることにより、軸部材211を中心に回動自在となる回動部(後述する平板部212、アーム部213等)を有している。
【0056】
計測機構部21は、回動部として、軸部材211の後方向に平板状に形成される平板部212を有している。また、計測機構部21は、回動部として、軸部材211の前方向で、平板部212の左右両端部から突出し、第2給材部2の側面外周を周回して形成されるアーム部213を有している。
【0057】
アーム部213の左右側には、図6(c)に示すように、開閉機構部25が設置されている。詳細には、アーム部213の左右側には、開閉機構部25を構成するエアーシリンダー251がそれぞれ設置されている。アーム部213の内側に位置する第2給材部2に相対し、エアーシリンダー251の先端部には、開閉機構部25を構成する可動板252がそれぞれ設置されている。可動板252は、上述したように、第2給材部2の底面部2eを構成し、制御部からの指示により、エアーシリンダー251が駆動することにより、従動して可動板252が左右方向に移動し、開閉自在となる。
【0058】
アーム部213の前側には、図6(b),(c)に示すように、上方に突出してセンサー23が設置されている。センサー23は、赤外線を出力する第1センサー231と出力した赤外線を受信する第2センサー232とで構成されている。また、この第1センサー231と第2センサー232との間に、赤外線を遮る遮光板201が、第2給材部2の前面部2dに設置されている。この構成により、第2給材部2に部品Pが供給中(所定の重量とならない状態)の場合には、遮光板201は、赤外線を遮る状態となる。
【0059】
また、図7に示すように、アーム部213の左側のコーナー部に形成される突出部214には、計測機構部21(回動部)と部品Pとの重量バランスをとるためのバランス部22が構成されている。バランス部22は、詳細には、突出部214から軸部材211の方向に延出する保持軸221と、保持軸221を挿通して保持軸221に移動自在に保持される矩形状のおもり222とで構成されている。
【0060】
バランス部22は、第2給材部2で計測しようとする部品Pの所定数量(所定重量)を加味しておもり222の位置を移動させることで、計測機構部21の重量バランスをとっている。なお、本実施形態では、第3給材部3に供給する部品Pの数量が適正な数量となるように、前段の第2給材部2において部品Pの数量を計測している。また、本実施形態では、第3給材部3に供給する適正な部品Pの数量(所定数量)を所定重量として代用して計測している。なお、第2給材部2に供給された部品Pの数量が所定数量(所定重量)に達した場合、このバランスが崩れることにより、計測機構部21は軸部材211を中心にして回動部が回転する。
【0061】
図6(b)に二点鎖線で示すように、軸部材211を中心にして回動部が回転(前側が下方向に回転)した場合、アーム部213に保持される可動板252も前側が下方向に回転する。この動作により、赤外線を遮光していた遮光板201が、第1センサー231と第2センサー232との間から外れる。遮光板201が外れることにより、第2センサー232は、第1センサー231からの赤外線が受信可能となる。これにより、制御部は、第2給材部2に供給された部品Pが所定重量となったと判断する。
【0062】
制御部が、第2給材部2に供給された部品Pが所定重量となったと判断した場合、制御部は、第1駆動部4の駆動を停止させる。次に、制御部は、第2駆動部5を駆動する。第2駆動部5が駆動することにより、詳細には、第2駆動部5を構成するエアーシリンダーが動作し、第2給材部2を被供給位置から供給位置に移動させる。詳細には、第2駆動部5を被供給位置から前方(+X方向)に移動させ、供給位置となる第3給材部3の上方に位置するように移動させる。
【0063】
なお、第2給材部2の底面部2eとなる可動板252は、計測機構部21により、前側下方に傾いた(回転した)状態となっている。そして、第2給材部2が供給位置に達した場合、制御部は第2駆動部5の駆動を停止させ、次に、開閉機構部25を駆動させる。開閉機構部25は、それぞれのエアーシリンダー251を駆動することで、それぞれの可動板252を左右方向に移動させることにより開口させる。可動板252の開口により、第2給材部2内部の部品Pは、落下して第3給材部3に供給される。
【0064】
なお、制御部は、可動板252を所定時間開口した後、エアーシリンダー251を駆動して可動板252を閉塞する。次に、制御部は、第2駆動部5を駆動させ、第2給材部2を供給位置から被供給位置に移動させて、第2駆動部5の駆動を停止する。なお、第2給材部2内部の部品Pを第3給材部3内に供給した後、計測機構部21は、バランス部22により、回動部が前側を上方向に回動させることにより、第2給材部2が被供給位置に位置する状態では、可動板252は傾かない状態となっている。
【0065】
本実施形態では、第2給材部2が被供給位置に移動した際に、保持板51に設置されたエアーシリンダー215が動作して、平板部212を上方から押圧することにより、可動板252が傾かない状態とさせている。なお、制御部は、第2給材部2が被供給位置に位置して、可動板252が傾かない状態となったことを、センサー23からの信号により認識し、エアーシリンダー215の動作を停止させる。そして、制御部は、第1駆動部4を駆動し、前述したように第1給材部1内の部品Pを移動させ、第2給材部2に部品Pの供給を開始する。
【0066】
図8は、第3給材部3の部品整列部31を示す斜視図である。図1〜図3、図8を参照して第3給材部3及び第3駆動部6の構成と動作を説明する。
【0067】
第3給材部3は、供給された部品Pを搬送部に搬送させるためのものである。第3給材部3は、図1〜図3に示すように、上側が開口された箱状に形成されている。詳細には、第3給材部3は、左面部3a、右面部3b、後面部3c、前面部3d、底面部3eで構成されている。
【0068】
なお、底面部3eは板状に形成されており、部品Pの移動を抑制して部品Pを整列させる部品整列部31として構成されている。図8に示すように、部品整列部31は、上面311に、断面形状が概半円状の整列溝312が格子状に形成されている。詳細には、整列溝312は、本実施形態では、上面311に対して、X軸方向とY軸方向とに交差した状態で形成されている。
【0069】
部品Pは、図8に示すように、円柱形状を有するプラテンローラーであるため、移動(転がり)を抑制して、特定の方向に整列(位置を固定)させることが難しい。従って、底面部3eに部品整列部31を構成することで、供給された部品Pを整列溝312に沿わせて整列(固定)させ易くしている。また、整列させる特定の方向は、直交方向(X軸方向及びY軸方向)として形成されている。
【0070】
なお、第2給材部2から落下して第3給材部3に供給された部品Pは、部品整列部31により、整列溝312に沿った状態で固定されるものが大半となるが、整列溝312に沿わずに固定されるものや、重なって固定されるものもある。これに対して、詳細は後述するが、第3駆動部6により、第3給材部3を適時振動させることにより、部品Pが、整列溝312に沿わずに固定されることや、重なって固定されることを防止し、整列溝312に沿って固定(整列)され易くしている。
【0071】
第3給材部3は、図1、図3に示すように、第3給材部3の上方に設置される検出部7により第3給材部3内の部品Pを撮像可能となる位置を所定の位置として、設置されている。検出部7は、第3給材部3内の部品Pを撮像するCCD(Charge Coupled Device)を用いたカメラを備えて構成される。なお、第3給材部3の下方には、LED(Light Emitting Diode)で構成される平板状の照明部72が設置されている。この照明部72も検出部7を構成している。
【0072】
また、第3給材部3の底面部3e(部品整列部31)と、後述する第3駆動部6を構成するスライド板64とは、透明な部材により構成されている。この構成により、照明部72が上方に向けて発光することにより、発光した光りはスライド板64と底面部3eとを透過する。これにより、撮像部71は、LEDの光が透過しない底面部3eの部品Pを高コントラストに撮像することができる。
【0073】
また、本実施形態の制御部は、検出部7(撮像部71)からの検出結果としての画像を解析(画像処理)し、直交方向に交差して形成される整列溝312に沿って整列している部品Pのみを搬送部に把持させる指示を行っている。これにより、画像認識から搬送までの時間を短縮すると共に部品Pを正確に把持させている。
【0074】
なお、本実施形態では、部品供給装置100は、部品組立てのサイクルタイムを約3秒として構成されている。その際の、第3給材部3に供給する部品Pの所定数量は、発明者らの実験等により、20個から30個の間となるように、第2給材部2の計測機構部21を設定している。
【0075】
第3駆動部6は、第3給材部3に振動を付与することで第3給材部3を駆動(振動)させ、第3給材部3に収容する部品Pの位置を変化させることで、部品Pを整列溝312に整列させ易くしている。第3駆動部6は、図1に示すように、ベース基板810に固定されている。第3駆動部6は、扁芯軸62を有する駆動用モーター61を有して構成される。また、第3駆動部6は、ベース基板810の上方に、Y軸方向に移動自在なスライド板63と、X軸方向に移動自在なスライド板64とを備えて構成される。
【0076】
ベース基板810には、スライド板63をY軸方向に移動させるスライド用フレーム811が上面に設置される。スライド板63には、ベース基板810に設置されるスライド用フレーム811に係合するフレーム受部631が下面に設置され、また、スライド板64をX軸方向に移動させるスライド用フレーム632が上面に設置される。
【0077】
スライド板64には、スライド板63に設置されるスライド用フレーム632に係合するフレーム受部641が下面に設置される。また、スライド板64には、扁芯軸62を受けるボールベアリング642等が設置される。また、スライド板64は、透明な部材で構成され、上面に第3給材部3を載置している。
【0078】
この第3駆動部6の構成により、駆動用モーター61が駆動した場合、扁芯軸62の回転により、結果的に、スライド板64は、扁芯軸62の扁芯量に対応し、X軸方向とY軸方向とに規制されながら、X−Y平面において円を描くように振動する。従って、第3給材部3もスライド板64の動きに従動して振動する。この振動により、第3給材部3に収容する部品Pの位置を変化させることで、重なっている部品Pや整列溝312に沿わずに固定している部品Pを整列溝312に沿って整列させる。
【0079】
なお、第3駆動部6は、第2給材部2が被供給位置から供給位置に移動する期間と、供給位置で第3給材部3に部品Pを供給する期間と、供給位置から再び被供給位置に戻る期間において駆動する。また、第3駆動部6は、搬送部が部品Pを把持して搬送することにより、整列溝312に沿った位置に整列している部品Pの数量が所定数に減った場合で、重なっている部品Pや整列溝312に沿わずに固定している部品Pがまだある場合に駆動する。なお、第3給材部3の部品Pが減りすぎると、制御部の指示により、第2給材部2から新たに部品Pが供給される。
【0080】
上述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
本実施形態の部品供給装置100によれば、第1給材部1の部品Pを所定位置にある第3給材部3に供給する場合、第1給材部1と第3給材部3との間に、第2給材部2を備えることにより、第1給材部1の部品Pを適正な数量だけ第2給材部2に的確に分けることができる。そして、第2給材部2に供給された部品Pを第3給材部3に、適時供給することができる。
【0081】
本実施形態の部品供給装置100によれば、第3給材部3に適正な数量の部品Pが供給されるため、検出部7による部品Pの検出と制御部による搬送部への指示により、搬送部による部品の把持を正確に行うことができる。また、部品供給装置100による部品組立てのサイクルタイムを短縮させることが可能となる。
【0082】
本実施形態の部品供給装置100によれば、第1給材部1は、階段状に連続して構成される収容領域10(1段目領域11〜5段目領域15)を備えることにより、1段目領域11に供給された複数の部品Pを、順次下段に移動させることにより、部品Pの滞留を防止し、部品Pごとの重なりを抑制させ、滑らかに部品Pを移動させることができる。
【0083】
本実施形態の部品供給装置100によれば、収容領域10は、1段目領域11から下段に行くに従い、収容領域10の幅Wが狭められることにより、部品Pの数量を規制しながら滑らかに移動させることができ、部品Pの数量を制御し易くすることができる。
【0084】
本実施形態の部品供給装置100によれば、保持部450により、第1給材部1が第1駆動部4(固定板45)に着脱自在に設置されることにより、供給する部品Pを切り替える場合、第1給材部1自体を取り替えることでよいため、第1給材部1内の部品Pを取り替える必要がなく、機種切り替え性能を向上させることができる。
【0085】
本実施形態の部品供給装置100によれば、計測部としての計測機構部21を備えている。また、計測機構部21は、回動部(平板部212、アーム部213等)とバランス部22(保持軸221、おもり222等)とを備えることにより、第2給材部2に供給される部品Pの数量を部品Pの重量として代用して計測することができる。従って、第3給材部3には、適正な数量の部品Pを供給することができる。また、部品Pの数量を変更する場合や、部品Pの種類を切り替えた場合等には、必要とする新たな数量(重量)に対応させて、おもり222を移動させることにより容易に計測することができる。
【0086】
本実施形態の部品供給装置100によれば、第2給材部2に部品Pを収容する底面部2e(可動板252)を開閉自在とする開閉機構部25を備え、第2給材部2の部品Pを第3給材部3に落下させて供給することにより、第3給材部3内での部品Pの重なりを抑制することができる。
【0087】
本実施形態の部品供給装置100によれば、第3駆動部6による振動により、第3給材部3内の部品Pの位置を変化させることで、重なっている部品Pを効率的に移動させ、重なりを防止することができる。
【0088】
本実施形態の部品供給装置100によれば、第3給材部3は、部品整列部31を備えていることにより、第3給材部3内の部品Pを部品整列部31の整列溝312に沿って整列させて固定する。特に、円柱形状を有したプラテンローラー等の不安定な部品Pを部品整列部31により整列させて固定することで、搬送部で正確に部品Pを把持させることができる。
【0089】
本実施形態の部品供給装置100によれば、第3給材部3を構成する部品整列部31の整列溝312を直交するように形成し、制御部は、画像処理により、整列溝312に整列した部品Pのみを検出して搬送部に把持させている。これにより、ランダムに位置する部品Pを把持させるための画像処理と比較して、画像処理の効率化を図ることができる。
【0090】
なお、上述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更や改良などを加えて実施することが可能である。変形例を以下に述べる。
【0091】
前記実施形態の部品供給装置100において、第1給材部1の収容領域10は、5段で構成されているが、段数は供給する部品Pの形状や数量等を考慮して適宜設定することでよい。
【0092】
前記実施形態の部品供給装置100において、第3給材部3に供給する部品Pの数量(所定数量)を20個から30個の間としているが、所定数量は、それぞれの部品供給装置に合わせ、サイクルタイムを向上させるように適宜設定することでよい。
【0093】
前記実施形態の部品供給装置100において、計測部(計測機構部21)は、部品Pの所定数量を所定重量として代用して計測しているが、所定数量を撮像装置で検出する構成としてもよい。
【0094】
前記実施形態の部品供給装置100において、計測機構部21の回動部、バランス部22、センサー23の構成は適宜変更することができる。また、開閉機構部25の構成も適宜変更することができる。
【0095】
前記実施形態の部品供給装置100において、部品整列部31の整列溝312形状は概半円状に形成されている。しかし、これに限られず、V字状等の形状でもよく、部品Pを整列し易くできる溝形状であればよい。
【0096】
前記実施形態の部品供給装置100において、検出部7を構成する照明部72は、透過させて使用するいわゆる透過型の照明装置として用いている。しかし、これに限られず、反射型の照明装置として用いてもよい。また、照明部72は、LEDに限られず、冷陰極管や有機EL(Electro Luminescence)等、他の発光手段を用いる照明装置であってもよい。
【符号の説明】
【0097】
1…第1給材部、2…第2給材部、3…第3給材部、4…第1駆動部、5…第2駆動部、6…第3駆動部、7…検出部、10…収容領域、11…1段目領域、12…2段目領域、13…3段目領域、14…4段目領域、15…5段目領域、21…計測機構部、22…バランス部、25…開閉機構部、31…部品整列部、100…部品供給装置、P…部品、W…収容領域の幅。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を供給する部品供給装置であって、
供給する前記部品を収容する第1給材部と、
前記第1給材部を駆動し、前記部品を移動させる第1駆動部と、
前記第1給材部内を移動した前記部品が供給される第2給材部と、
前記第2給材部を所定位置に移動させる第2駆動部と、
前記所定位置で前記第2給材部から前記部品が供給される第3給材部と、を備えることを特徴とする部品供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の部品供給装置であって、
前記第3給材部内の前記部品の位置と姿勢を検出する検出部と、
前記第3給材部内の前記部品を把持して搬送する搬送部と、
前記検出部による検出結果を基に前記搬送部に前記部品を把持する指示を送る制御部と、を備えることを特徴とする部品供給装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の部品供給装置であって、
前記第1給材部は、階段状に連続して構成される収容領域を備え、
前記部品は、前記収容領域の上段に供給されることにより、前記収容領域の上段から下段へ移動することを特徴とする部品供給装置。
【請求項4】
請求項3に記載の部品供給装置であって、
前記収容領域は、前記上段から前記下段に行くに従い、幅が狭まることを特徴とする部品供給装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の部品供給装置であって、
前記第1給材部と前記第1駆動部とを保持する保持部を備え、
前記第1給材部は、前記保持部により、前記第1駆動部に着脱自在に設置されることを特徴とする部品供給装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の部品供給装置であって、
前記第2給材部に供給される前記部品の量を計測する計測部を備えていることを特徴とする部品供給装置。
【請求項7】
請求項6に記載の部品供給装置であって、
前記計測部は、
前記第2給材部に供給された前記部品の重量が所定の重量となった場合、支軸を中心に回動する回動部と、
前記回動部に移動自在に保持され、計測する前記部品の重量に応じて前記回動部との回動のバランスをとるバランス部と、
を備えていることを特徴とする部品供給装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の部品供給装置であって、
前記第2給材部は、前記部品を収容する収容底面を開閉自在とし、当該収容底面を開放して前記第3給材部に前記部品を落下させて供給する開閉機構部を備えていることを特徴とする部品供給装置。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の部品供給装置であって、
前記第3給材部を駆動し、当該第3給材部に収容する前記部品の位置を変化させる第3駆動部を備えていることを特徴とする部品供給装置。
【請求項10】
請求項9に記載の部品供給装置であって、
前記第3駆動部は、前記第3給材部に振動を付与することを特徴とする部品供給装置。
【請求項11】
請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の部品供給装置であって、
前記第3給材部は、収容する前記部品を整列させる部品整列部を備えていることを特徴とする部品供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−197122(P2012−197122A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60495(P2011−60495)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】