説明

部品反転方法および装置

【課題】部品を第一面および第二面の何れの側でも搭載可能な共通のトレイを交互に用いて、トレイを循環させるようにした部品反転方法および装置を提供する。
【解決手段】トレイ15は、部品10を第一面および第二面の何れの側でも搭載可能な部品搭載部15aを有する共通のトレイからなり、部品反転装置30は、反転可能なトレイ保持部材(32)と、トレイ保持部材に設けられ2つのトレイを搭載部を内向きにして搬入搬出する一対の搬送部材と、一対の搬送部材を互いに接近離間可能に開閉する開閉手段(46)と、2つのトレイによって部品が挟持された状態でトレイ保持部材を反転して部品を一方のトレイから他方のトレイに移し替える反転手段(34)とによって構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を第一面および第二面の何れの側でも搭載可能な共通のトレイを用いた部品反転方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルディスプレイ(FPD)等のパネル(部品)を生産する生産工程においては、パネルの保護や、パネルに接続されたフレキシブル基板(FPC)および回路基板(PCB)を保持するために、パネルを専用のトレイ(パレット)に搭載して搬送する場合がある。また、パネルの表裏それぞれに対して作業を行う場合には、トレイに搭載されたパネルをトレイ毎反転させ、反転したパネルを別のトレイに移し替えて後工程に搬送する手法が考えられる。このようなパネル反転装置として、例えば、特許文献1に記載されているものが知られている。
【特許文献1】特開平10−167467号公報(段落0043〜0046、図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この種のパネル反転装置においては、パネルに接続されたフレキシブル基板および回路基板の位置によって、表向きの外形と裏向きの外形が異なる場合があり、このような場合には、表用と裏用のトレイを個別に製作し、トレイを反転させる場合には、パネルを表向き用のトレイから裏向き用のトレイに移し替えるようにしている。
【0004】
このために、2種類のトレイを用意する必要があるとともに、反転装置に裏向き用トレイを供給したり、あるいは反転装置から表向き用トレイを回収したりする必要があり、コストや手間を多く必要とする問題があった。
【0005】
本発明は、上記した従来の不具合を解消するためになされたもので、表向きおよび裏向きの何れの部品でも搭載可能な表裏共通のトレイを交互に用いて、トレイを循環させるようにした部品反転方法および装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するために、請求項1に係る発明の特徴は、部品をトレイの部品搭載部に搭載して反転ステーションに搬入し、該反転ステーションにおいて前記部品を2つのトレイによって挟持して反転した後、別のトレイの部品搭載部に前記部品を搭載して搬出するようにした部品反転方法にして、前記部品を前記第一面および第二面の何れの側でも搭載可能な部品搭載部を有する共通のトレイを用い、該トレイに前記部品の第一面側を搭載して前記反転ステーションに搬入して反転するとともに、前記トレイとは別のトレイに前記部品の第二面側を搭載して前記反転ステーションより搬出し、前記トレイを前記部品の第一面用と第二面用に交互に使用しながら循環させるようにした部品反転方法である。
【0007】
請求項2に係る発明の特徴は、部品をトレイの部品搭載部に搭載して反転ステーションに搬入し、該反転ステーションにおいて前記部品を2つのトレイによって挟持して反転した後、別のトレイの部品搭載部に前記部品を搭載して搬出するようにした部品反転装置において、前記トレイは、前記部品を第一面および第二面の何れの側でも搭載可能な部品搭載部を有する共通のトレイからなり、前記部品反転装置は、反転可能なトレイ保持部材と、該トレイ保持部材に反転中心を境にして両側2個所に設けられ2つの前記トレイを前記部品搭載部を内向きにして搬入搬出する一対の搬送部材と、該一対の搬送部材を互いに接近離間可能に開閉し前記一対の搬送部材上の2つの前記トレイによって前記部品を挟持する開閉手段と、前記2つのトレイによって前記部品が挟持された状態で前記トレイ保持部材を反転して前記部品を一方のトレイから他方のトレイに移し替える反転手段とによって構成した部品反転装置である。
【0008】
請求項3に係る発明の特徴は、請求項2において、前記トレイ保持部材は、前記一方の搬送部材に搬入された前記トレイをクランプする第1クランプ手段および前記他方の搬送部材より搬出される前記トレイをアンクランプする第2クランプ手段を有している部品反転装置である。
【0009】
請求項4に係る発明の特徴は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記トレイの部品搭載部には、前記部品を第一面および第二面の何れの側でも搭載できる形状の部品搭載ポケットが設けられている部品反転装置である。
【0010】
請求項5に係る発明の特徴は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、前記部品は、フレキシブル基板を介してプリント基板を接続したフラットパネルディスプレイである部品反転装置である。
【発明の効果】
【0011】
上記のように構成した請求項1に係る発明によれば、部品を第一面および第二面の何れの側でも搭載可能な部品搭載部を有する共通のトレイを用い、トレイに部品の第一面側を搭載して反転ステーションに搬入して反転するとともに、別のトレイに部品の第二面側を搭載して反転ステーションより搬出し、トレイを部品の第一面用と第二面用に交互に使用しながら循環させるようにしたので、トレイを2種類作製する必要がなく、しかも、反転装置へ外部から空トレイを供給したり、あるいは反転装置より使用済のトレイを回収する必要がなく、コストや手間を削減できる部品反転方法を提供することができる。
【0012】
上記のように構成した請求項2に係る発明によれば、トレイは、部品を第一面および第二面の何れの側でも搭載可能な部品搭載部を有する共通のトレイからなり、部品反転装置は、反転可能なトレイ保持部材と、トレイ保持部材に反転中心を境にして両側2個所に設けられ2つのトレイを部品搭載部を内向きにして搬入搬出する一対の搬送部材と、一対の搬送部材を互いに接近離間可能に開閉し一対の搬送部材上の2つのトレイによって部品を挟持する開閉手段と、2つのトレイによって部品が挟持された状態でトレイ保持部材を反転して部品を一方のトレイから他方のトレイに移し替える反転手段とによって構成したので、1種類のトレイを部品の第一面用と第二面用に交互に使用しながら部品を反転させることができ、生産設備の簡素化と、コストダウンを実現することができる。
【0013】
上記のように構成した請求項3に係る発明によれば、トレイ保持部材は、一方の搬送部材に搬入されたトレイをクランプする第1クランプ手段および他方の搬送部材より搬出されるトレイをアンクランプする第2クランプ手段を有しているので、トレイの反転を確実に行い得るとともに、トレイ保持部材内に常に一方のトレイを待機保持させることができる。
【0014】
上記のように構成した請求項4に係る発明によれば、トレイの搭載部には、部品を第一面および第二面の何れの側でも搭載できる形状の部品搭載ポケットが設けられているので、表裏共通のトレイを簡単に構成することができるとともに、部品を部品搭載ポケットに何れの向きでも確実に搬送することができる。
【0015】
上記のように構成した請求項5に係る発明によれば、部品は、フレキシブル基板を介してプリント基板を接続したフラットパネルディスプレイであるので、フラットパネルディスプレイの多面作業を効率的に行い得、フラットパネルディスプレイの生産効率を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を、フラットパネルディスプレイ(以下、FPDという)を反転する例について、図面に基づいて説明する。
【0017】
図2において、FPD10は、液晶表示部が形成された表示パネル11を有し、表示パネル11の周縁部には、フレキシブル配線基板12を介して、表示パネル11を駆動する電子部品13がボンディングされている。FPD10は、図3(A)に示すトレイ15に搭載されて、後述する作業ライン20を搬送され、例えば表面の第一面と、例えば裏面の第二面にそれぞれ所要の作業が施される。
【0018】
FPD10は左右非対称をなし、かつ表向きの外形と裏向きの外形が異なっている。FPD10を搭載して搬送するトレイ15には、FPD10を表向きでも裏向きでも搭載可能なFPD搭載ポケット15aが形成されている。すなわち、FPD搭載ポケット15aは、中央部に矩形状をなす表示パネル11に合致する形状の収納溝が形成され、一端(図3(A)の左端)に表向きのFPD10の電子部品13に合致する形状の収納溝が形成され、他端(図3(A)の右端)に裏向きのFPD10の電子部品13に合致する形状の収納溝が形成されている。これにより、トレイ15は、図3(B)に示すように、FPD10を表向きに搭載できるとともに、図3(C)に示すように、FPD10を裏向きにも搭載できるようになり、しかも、FPD10はFPD搭載ポケット15a内で移動不能に位置決め保持される。このようにして、トレイ15としては、FPD10を表向きでも裏向きでも搭載可能な表裏共通の1種類が用いられる。
【0019】
図1は、トレイ15を循環して、FPD10に必要な作業を行う作業ライン20を示すもので、作業ライン20は、FPD取付けステーション21と、FPD表面作業ステーション22と、反転ステーション23と、FPD裏面作業ステーション24と、FPD取出しステーション25と、FPD取出しステーション25とFPD取付けステーション21との間でトレイ15をリターンするリターンコンベア26とによって構成され、トレイ15はこれら各ステーション21〜25を連続的に循環されるようになっている。
【0020】
FPD10は、まずFPD取付けステーション21において、トレイ15の搭載ポケット15aに表向きで搭載されて、トレイ15とともにFPD表面作業ステーション22に搬送され、FPD表面作業ステーション22において、FPD10の表面に所定の作業が施される。表面に所定の作業を施されたFPD10は、次いでトレイ15とともに反転ステーション23に搬送される。反転ステーション23には、後述するように、常にもう1つのトレイ15が搭載ポケット15aを下向きにして待機保持されており、FPD10は反転ステーション23において、2つのトレイ15によってサンドイッチ状に挟持された状態で裏表反転される。これによって、FPD10は、待機保持されていたトレイ15の搭載ポケット15aに裏向きで搭載されて、反転ステーション23より搬出され、FPD10を表向きで搭載して反転ステーション23に搬入されたトレイ15は、搭載ポケット15aを下向きにして反転ステーション23に待機保持される。
【0021】
反転ステーション23より搬出されたFPD10は、トレイ15とともにFPD裏面作業ステーション24に搬送され、FPD裏面作業ステーション24において、FPD10の裏面に所定の作業が施される。裏面に所定の作業を施されたFPD10はトレイ15とともにFPD取出しステーション25に搬送され、FPD取出しステーション25において、作業済み(裏向き)のFPD10をトレイ15の搭載ポケット15aより取出す。その後、空になったトレイ15は、リターンコンベア26によってFPD取付けステーション21にリターンされ、FPD取付けステーション21において、今度は、表向きにFPD10を搭載するトレイ15として使用される。
【0022】
上記した反転ステーション23には、反転装置30が配設されている。反転装置30は、図4および図5に示すように、トレイ保持部材としての反転ドラム32の両側に固定された水平な支持軸33が固定のブロック31に水平な軸線の回りに回転可能に支持されている。一方の支持軸33には、反転手段としての反転用モータ34が連結され、反転用モータ34によって反転ドラム32が180°ずつ反転されるようになっている。
【0023】
反転ドラム32には、支持軸33を結ぶ中心軸線を挟んで上下方向の両側に、互いに平行な一対の搬送部材としての搬送コンベア35、36が複数のガイド軸37にガイドされて接近離間可能に支持されている。また、反転ドラム32には、ガイド軸37と平行に2本のねじ軸39が回転可能に支持され、これらねじ軸39の両端には右ねじ39aと左ねじ39bがそれぞれ形成されている。ねじ軸39に形成された右ねじ39aと左ねじ39bは、一対の搬送コンベア35、36に取付けられたナット41、42に螺合されている。2本のねじ軸39の各一端には歯付プーリ43が取付けられ、これら歯付プーリ43の間にタイミングベルト45が巻装されている。タイミングベルト45には反転ドラム32に設置された開閉用モータ46の出力軸に取付けられた歯付プーリ47が係合され、開閉用モータ46の回転によりタイミングベルト45を介して2本のねじ軸39が同方向に回転され、ナット41、42を介して一対の搬送コンベア35、36がガイド軸37に沿って互いに接近方向あるいは離間方向に同期移動されるようになっている。
【0024】
これら開閉用モータ46、歯付プーリ43、47、タイミングベルト45、右ねじ39aおよび左ねじ39bを形成したねじ軸39、ならびにナット41、42等により、一対の搬送コンベア35,36を互いに接近離間可能に開閉して、2つのトレイ15によってFPD10を挟持する開閉手段を構成している。
【0025】
一対の搬送コンベア35、36には、トレイ15を水平状態で搬送可能に支持する複数のローラ49、50が設けられ、下方に位置する一方の搬送コンベア35のローラ49に支持されてトレイ15が反転ドラム32内に搬送されるようになっている。一対の搬送コンベア35、36には、反転ドラム32内に搬送されたトレイ15をクランプするためのクランプ手段51、52がそれぞれ設けられている。
【0026】
クランプ手段51、52は同一の構成をなすものであり、図6および図7に示すように、トレイ15の前後両端部をクランプする開閉可能な各一対のクランパ53、54と、これらクランパ53、54を同期してクランプ、アンクランプさせるベルトおよび歯車からなる連動機構55と、連動機構55を介して一対のクランパ53、54を同期的に作動するロータリアクチュエータ56とによって構成されている。
【0027】
クランプ手段51、52のうち、下方に位置する一方の搬送コンベア35に設けられたクランプ手段51は、図6および図7の実線で示すように、通常はトレイ15の搬入、搬出の障害とならないアンクランプ位置に保持されており、上方に位置する他方の搬送コンベア36に設けられたクランプ手段52は、常時トレイ15をクランプした状態に保持している。この状態で、下方に位置する搬送コンベア35上に、FPD10を表向きで搭載したトレイ15が、クランプ手段52によって上方に位置する搬送コンベア36にクランプされたトレイ15の真下に搬入される。
【0028】
次に、上記した構成における本実施の形態の動作を、図8を参照しながら説明する。FPD取付けステーション21において、トレイ15の搭載ポケット15a上にFPD10が、図3(B)に示すように表向きで搭載され、トレイ15とともにFPD表面作業ステーション22に搬送され、FPD表面作業ステーション22において、FPD10の表面に所定の作業が施される。
【0029】
続いて、FPD10を表向きで搭載したトレイ15(以下、説明の便宜上第1トレイ15Aと称する)は、図略の搬送装置により、反転ステーション23に配設された反転ドラム32に設けられた下方の搬送コンベア35上に搬入される(図8(A)参照)。このとき、反転ドラム32に設けられた上方の搬送コンベア36には、搭載ポケット15aを下向きにしたトレイ15(以下、説明の便宜上第2トレイ15Bと称する)がクランプ手段52によってクランプされて待機保持されており、FPD10を表向きで搭載した第1トレイ15Aは、第2トレイ15Bの下方の所定位置に搬入される(図8(B)参照)。
【0030】
反転ドラム32の下方の搬送コンベア35上の所定位置に第1トレイ15Aが搬入されると、クランプ手段51のロータリアクチュエータ56が作動され、連動機構55により一対のクランパ53,54が連動してクランプ動作され、第1トレイ15Aの前後をクランプする。その状態で、開閉用モータ46が一方向に駆動され、一対の搬送コンベア35、36が、右ねじ39aおよび左ねじ39bを形成したねじ軸39およびこれに螺合するナット41、42を介して互いに接近する方向に同期して移動される。かかる一対の搬送コンベア35、36の接近移動により、FPD10を表向きで搭載した第1トレイ15A上に、搭載ポケット15aを下向きにした第2トレイ15Bが重合され、FPD10は上下2つのトレイ15A、15Bによってサンドウィッチ状に挟み込まれた状態となる(図8(C)参照)。
【0031】
一対の搬送コンベア35、36が所定位置まで接近移動されると、次いで、反転用モータ34が駆動され、反転ドラム32が180°反転される。これにより、第1トレイ15Aをクランプした搬送コンベア35が上側に、第2トレイ15Bをクランプした搬送コンベア36が下側に反転される(図8(D)参照)。
【0032】
続いて、開閉用モータ46が前記と逆方向に駆動され、一対の搬送コンベア35、36がねじ軸39およびナット41、42を介して互いに離間する方向に同期して移動される。かかる一対の搬送コンベア35、36の離間移動により、重合状態にあった2つのトレイ15A、15Bが上下方向に切り離される。これによって、FPD10は、第1トレイ15Aのトレイ搭載面15aより離脱されて、第2トレイ15Bのトレイ搭載面15aに裏向きで搭載されるようになる(図8(E)参照)。
【0033】
一対の搬送コンベア35、36が所定位置まで離間移動されると、下方側に反転された搬送コンベア36のクランプ手段52がアンクランプ動作され、第2トレイ15Bがアンクランプされる。その状態で、第2トレイ15Bが図略の搬送装置により反転ドラム32内より搬出され(図8(F)参照)、FPD裏面作業ステーション24に搬送される。
【0034】
このように、反転ステーション23において、FPD10の表裏が反転されるとともに、FPD10を搭載するトレイが置き換えられる。すなわち、FPD10を表向きで搭載して反転ドラム32内に搬入された第1トレイ15Aは、反転ドラム32内に待機保持され、反転ドラム32内に待機保持されていた第2トレイ15BがFPD10を裏向きで搭載して反転ドラム32内より搬出されることになる。
【0035】
FPD裏面作業ステーション24に第2トレイ15Bが搬送されると、FPD裏面作業ステーション24において、FPD10の裏面に所定の作業が施される。続いて、第2トレイ15Bは、FPD取出しステーション25に搬送され、第2トレイ15Bの搭載ポケット15aより作業済みのFPD10が取出される。その後、第2トレイ15Bはリターンコンベア25によってFPD取出しステーション25からFPD取付けステーション21にリターンされる。そして、FPD取付けステーション21において、トレイ15(第2トレイ15B)のトレイ搭載ポケット15aにFPD10が表向きで搭載され、以下、上記した動作を繰り返し、トレイ15は、各ステーション21〜24を循環される。
【0036】
このように、トレイ15に搭載されて反転ステーション23に搬入されたFPD10は、反転ステーション23において別のトレイ15に移し替えられ、反転ステーション23より搬出されるが、トレイ15がFPD10を表向きでも裏向きでも搭載できる表裏共通に構成されているので、トレイ15を作業ライン20に連続的に循環させることができ、トレイ15を作業ライン20より回収したり、補給したりすることが不要となる。
【0037】
なお、上記した動作説明においては、1つのFPD10の流れに沿って説明したが、実際は、FPD10を搭載した複数のトレイ15が生産ライン20に投入されるのに同期して、各ステーションから次ステーションにトレイ15が同時に搬送され、各ステーション21〜25においてFPD10に対し必要な作業が並行して行われるものである。
【0038】
このように、上記した実施の形態によれば、トレイ15に表向きで搭載されて反転ステーション23に搬入されたFPD10は、反転ステーション23において別のトレイ15に移し替えられ、そのトレイ15に裏向きで搭載されて反転ステーション23より搬出されるが、トレイ15がFPD10を表向きでも裏向きでも搭載できる表裏共通に構成されているので、トレイ15を作業ライン20に連続的に循環させることができ、トレイ15を作業ライン20より回収したり、作業ライン20に供給することが不要となり、循環するトレイ15を表用と裏用に交互に使用しながら、FPD10に必要な作業を連続的に施すことができるようになる。
【0039】
上記した実施の形態においては、表示パネル11の周縁部にフレキシブル配線基板12を介して、表示パネル11を駆動する電子部品13がボンディングされたフラットパネルディスプレイ(FPD)10を反転する例について述べたが、本発明は、表向きの形状と裏向きの形状が異なるその他の電子部品等の部品の反転にも広く適用できるものであり、フラットパネルディスプレイ10の反転に限定されるものではない。
【0040】
また、上記した実施の形態においては、トレイ15に形成した搭載ポケット15aに、FPD10を表向きあるいは裏向きで搭載するようにしたが、FPD10の搭載は必ずしもFPD10を収納するポケットに限られるものではなく、トレイ上にFPDを裏表共通に支持できる支持部(搭載部)を設けたものでもよい。
【0041】
また、上記した実施の形態においては、トレイ15に部品(FPD10)を表向き、裏向きで搭載して搬送する例について述べたが、トレイ15は部品の異なる面(第一面と第二面)を共通に搭載できるものであればよく、特に表向き、裏向きに限定されるものではない。
【0042】
さらに、上記した実施の形態における反転装置30の構成は、本発明に好適な1つの例を示したものにすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で各種の変形を採り得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態におけるFPD作業ラインを示す図である。
【図2】FPD作業ラインを搬送されるFPDを示す図である。
【図3】FPDを搭載するトレイを示すもので、(A)は空状態を、(B)はFPDを表向きに搭載した状態を、(C)はFPDを裏向きに搭載した状態を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態を示す反転装置の正面図である。
【図5】図4の5−5線に沿って矢視した図である。
【図6】反転装置に設けられたクランプ手段を示す上面図である。
【図7】図6の側面図である。
【図8】反転装置におけるトレイの作動を示す作動説明図である。
【符号の説明】
【0044】
10・・・部品(フラットパネルディスプレイ)、11・・・表示パネル、12・・・フレキシブル配線基板、13・・・パネル駆動基板、15・・・トレイ、15a・・・搭載ポケット、20・・・作業ライン、21・・・FPD取付けステーション、22・・・FPD表面作業ステーション、23・・・反転ステーション、24・・・FPD裏面作業ステーション、25・・・FPD取出しステーション、30・・・反転装置、32・・・トレイ保持部材(反転ドラム)、33・・・支持軸、34・・・反転用モータ、35、36・・・搬送コンベア、37・・・ガイド軸、39・・・ねじ軸、46・・・開閉用モータ、51、52・・・クランプ手段、57、58・・・クランプ用モータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品をトレイの部品搭載部に搭載して反転ステーションに搬入し、該反転ステーションにおいて前記部品を2つのトレイによって挟持して反転した後、別のトレイの部品搭載部に前記部品を搭載して搬出するようにした部品反転方法にして、
前記部品を前記第一面および第二面の何れの側でも搭載可能な部品搭載部を有する共通のトレイを用い、該トレイに前記部品の第一面側を搭載して前記反転ステーションに搬入して反転するとともに、前記トレイとは別のトレイに前記部品の第二面側を搭載して前記反転ステーションより搬出し、前記トレイを前記部品の第一面用と第二面用に交互に使用しながら循環させるようにしたことを特徴とする部品反転方法。
【請求項2】
部品をトレイの部品搭載部に搭載して反転ステーションに搬入し、該反転ステーションにおいて前記部品を2つのトレイによって挟持して反転した後、別のトレイの部品搭載部に前記部品を搭載して搬出するようにした部品反転装置において、
前記トレイは、前記部品を第一面および第二面の何れの側でも搭載可能な部品搭載部を有する共通のトレイからなり、
前記部品反転装置は、反転可能なトレイ保持部材と、該トレイ保持部材に反転中心を境にして両側2個所に設けられ2つの前記トレイを前記部品搭載部を内向きにして搬入搬出する一対の搬送部材と、該一対の搬送部材を互いに接近離間可能に開閉し前記一対の搬送部材上の2つの前記トレイによって前記部品を挟持する開閉手段と、前記2つのトレイによって前記部品が挟持された状態で前記トレイ保持部材を反転して前記部品を一方のトレイから他方のトレイに移し替える反転手段とによって構成したことを特徴とする部品反転装置。
【請求項3】
請求項2において、前記トレイ保持部材は、前記一方の搬送部材に搬入された前記トレイをクランプする第1クランプ手段および前記他方の搬送部材より搬出される前記トレイをアンクランプする第2クランプ手段を有していることを特徴とする部品反転装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記トレイの部品搭載部には、前記部品を第一面および第二面の何れの側でも搭載できる形状の部品搭載ポケットが設けられていることを特徴とする部品反転装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、前記部品は、フレキシブル基板を介してプリント基板を接続したフラットパネルディスプレイであることを特徴とする部品反転装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−302375(P2007−302375A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−130649(P2006−130649)
【出願日】平成18年5月9日(2006.5.9)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】