説明

部品搬送システム

【課題】バッファに保管できる部品量が限られている場合に、時々刻々と変化する生産計画に対応した、効率の良い部品搬送システムを提供する。
【解決手段】部品搬送システム1は、部品2が保管されるストア3と、部品2が加工されるライン4と、ライン4へ部品2を供給するライン投入口5と、ストア3よりもライン投入口5に近い場所に設けられる、部品2を一時的に保管するバッファ6と、制御部7からの指示に従って、部品2を搬送する部品搬送車8とを備えるようになした。制御部7は、ライン4の生産計画情報、部品2の優先度情報、部品搬送指示情報を記憶する部品搬送システム情報記憶部10と、部品搬送指示情報を作成する部品搬送指示情報作成部11と、使用予定判断部12と、優先度付与部13とを備えるようになした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ラインに対して部品を部品搬送車により搬送する部品搬送システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、特開2000−235415号公報に示されるように、搬送物を一時的に保管する搬送物保管庫を持った無人搬送車による搬送システムが知られている。この搬送システム20は、図18に示すように、搬送物の搬送を行う複数の無人搬送車21と、搬送物を一時的に保管する複数の搬送物保管庫22と、搬送物の搬送を要求する複数の搬送物移載装置23と、搬送指示を発行し、無人搬送車21に搬送指示を割り当てる搬送制御部24と、この搬送制御部24から発行された搬送指示を一時的に溜める搬送指示バッファ25とを有している。また、搬送システム20にはライン管理部26があり、各搬送物移載装置23からの搬送要求状況、無人搬送車21の位置や移動速度等の移動状況及び、搬送指示処理状況等の情報を管理する。
【0003】
この場合、搬送物移載装置23の搬送要求情報、無人搬送車21の移動状態情報、及び搬送処理情報を管理するライン管理部26からの情報を活用し、無人搬送車21の搬送処理時間を予測し、所定のタイミングで無人搬送車21に搬送指示を割り当てることにより、無人搬送車21の搬送回数が減少し、装置及び無人搬送車21のスループットを向上させることができる。
【特許文献1】特開2000−235415号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来例である搬送システム20にあっては、搬送物を搬送元の搬送物移載装置23から搬送先の搬送物移載装置23へ移動する際に、搬送物を一時的に保管する搬送物保管庫22を利用しているが、搬送物保管庫22の容量が限られている場合には、搬送物保管庫22に搬送物を搬送しきれず、システムの運用に支障をきたすという問題があった。
【0005】
本願発明は、上記背景技術に鑑みてなしたものであり、その目的は、バッファに保管できる部品量が限られている場合に、時々刻々と変化する生産計画に対応した、効率の良い部品搬送システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本願請求項1記載の発明は、部品が保管されるストアと、部品が加工されるラインと、ラインへ部品を供給するライン投入口と、ストアよりもライン投入口に近い場所に設けられる、部品を一時的に保管するバッファと、部品搬送指示情報を作成する部品搬送指示情報作成部と、ラインの生産計画情報、部品の優先度情報、部品搬送指示情報を記憶する部品搬送システム情報記憶部と、部品搬送指示情報に従って部品を搬送する部品搬送車とを備えた部品搬送システムにおいて、パレットを用いて部品搬送が行われ、ライン投入口で返却部品が発生する場合に、所定期間の生産計画情報を利用して返却部品の次回使用予定があるか否かを判断する使用予定判断部を備え、返却部品の次回使用予定があると判断された場合に、部品の優先度情報に基づいて、次回使用予定部品の優先度を付与する優先度付与部を備え、部品搬送指示情報作成部は次回使用予定部品の優先度に従って、返却部品をライン投入口からバッファへ搬送する部品搬送指示情報を作成することを特徴としている。
【0007】
本願請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の部品搬送システムにおいて、部品の優先度情報は優先度と品番と生産計画情報の変更度合とが関連付けられ、優先度付与部は生産計画情報の変更度合の低い順に優先度を付与することを特徴としている。
【0008】
本願請求項3記載の発明は、上記請求項1記載の部品搬送システムにおいて、部品の優先度情報は優先度と品番と生産計画情報の注文キャンセル度合とが関連付けられ、優先度付与部は生産計画情報の注文キャンセル度合の低い順に優先度を付与することを特徴としている。
【0009】
本願請求項4記載の発明は、上記請求項1記載の部品搬送システムにおいて、部品の優先度情報は優先度と品番と部品の劣化度合とが関連付けられ、優先度付与部は部品の劣化度合の早い順に優先度を付与することを特徴としている。
【0010】
本願請求項5記載の発明は、上記請求項1記載の部品搬送システムにおいて、部品の優先度情報は優先度と品番と部品のスペースとが関連付けられ、優先度付与部は部品のスペースの小さい順に優先度を付与することを特徴としている。
【0011】
本願請求項6記載の発明は、上記請求項1記載の部品搬送システムにおいて、部品の優先度情報は優先度と生産時間の短い品番の後に生産される順とが関連付けられ、優先度付与部は生産時間の短い品番の後に生産される順に優先度を付与することを特徴としている。
【0012】
本願請求項7記載の発明は、上記請求項1記載の部品搬送システムにおいて、バッファの部品情報と優先度付与部による次回使用予定部品の優先度を利用して、返却部品をライン投入口からバッファへ搬送するのが適当であるか否かを判断する返却部品判断部を備え、部品搬送システム情報記憶部はバッファの部品情報を記憶し、部品の優先度情報は優先度と次回使用すると判断された順とが関連付けられ、優先度付与部は使用予定判断部により返却部品を次回使用すると判断された順に優先度を付与することを特徴としている。
【0013】
本願請求項8記載の発明は、上記請求項1記載の部品搬送システムにおいて、ライン投入口に所定量の部品が供給されているか否かを判断する供給量判断部と、所定期間の生産計画情報、ストアから一度に供給できる部品供給量情報を利用して、返却部品の次回使用予定を決定する使用予定決定部と、バッファの部品情報と優先度付与部による次回使用予定部品の優先度を利用して、返却部品をライン投入口からバッファへ搬送するのが適当であるか否かを判断する返却部品判断部とを備え、部品搬送システム情報記憶部はストアから一度に供給できる部品供給量情報、バッファの部品情報を記憶し、部品の優先度情報は優先度と次回使用すると決定された順とが関連付けられ、優先度付与部は使用予定決定部により返却部品を次回使用すると決定された順に優先度を付与し、使用予定決定部は返却部品量が次回使用量以上である場合や返却部品を用いるとストアから部品を供給するより搬送時間を短くできる場合に返却部品を次回使用すると決定することを特徴としている。
【0014】
本願請求項9記載の発明は、上記請求項1乃至8のいずれか一項記載の部品搬送システムにおいて、使用予定判断部が参照する生産計画情報の参照期間を決定する参照期間決定部を備えたことを特徴としている。
【0015】
本願請求項10記載の発明は、上記請求項9記載の部品搬送システムにおいて、部品搬送システム情報記憶部はシステムが正常であるか否かのシステム情報を記憶し、参照期間決定部はシステム情報に基づいて参照期間を決定することを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本願請求項1記載の発明の部品搬送システムにおいては、所定期間の生産計画情報、部品の優先度情報を利用して、バッファに仮置きする部品を決定するので、バッファに保管できる部品量が限られている場合に、時々刻々と変化する生産計画を反映したバッファの運用ができ、部品搬送システムの効率化を図ることができる。また、バッファをストアよりもライン投入口に近い場所に設けているので、バッファに部品を仮置きすることにより、搬送時間を短縮することができる。
【0017】
本願請求項2記載の発明の部品搬送システムにおいては、特に、生産計画情報の変更度合の低い順に優先度を付与することにより、バッファに仮置きした部品が生産計画情報の変更に伴い、使用されない事態をより確実に防ぐことができる。
【0018】
本願請求項3記載の発明の部品搬送システムにおいては、特に、生産計画情報の注文キャンセル度合の低い順に優先度を付与することにより、バッファに仮置きした部品が生産計画情報の注文キャンセルに伴い、使用されない事態をより確実に防ぐことができる。
【0019】
本願請求項4記載の発明の部品搬送システムにおいては、特に、部品の劣化度合の早い順に優先度を付与することにより、劣化度合の早い部品の搬送時間を優先的に短縮することができる。
【0020】
本願請求項5記載の発明の部品搬送システムにおいては、特に、部品のスペースの小さい順に優先度を付与することにより、バッファに保管できる部品量が限られている場合に、スペースの小さい部品をより多くバッファに保管できるので、部品搬送システムの効率化を図ることができる。
【0021】
本願請求項6記載の発明の部品搬送システムにおいては、特に、生産時間の短い品番の後に生産される順に優先度を付与することにより、生産待ち時間を短縮し、ラインの稼働率を上げることができる。
【0022】
本願請求項7記載の発明の部品搬送システムにおいては、特に、使用予定判断部により返却部品を次回使用すると判断された順に優先度を付与することにより、返却部品をバッファに搬送するものであるから、優先度付与方法を簡略化することができる。また、バッファの部品情報を利用することにより、返却部品をバッファに保管できないという事態を防ぐことができる。
【0023】
本願請求項8記載の発明の部品搬送システムにおいては、特に、返却部品量が次回使用量以上である場合や返却部品を用いるとストアから部品を供給するより搬送時間を短くできる場合に、返却部品をバッファに搬送するものであるから、返却部品の有効活用に伴い、部品搬送システムの効率化を図ることができる。
【0024】
本願請求項9記載の発明の部品搬送システムにおいては、特に、参照する生産計画情報の参照期間を決定する参照期間決定部を備えることにより、参照期間を短くして生産計画情報の変更による搬送ロスを低減させたり、参照期間を長くしてバッファの効率的な活用を図ったりすることができる。
【0025】
本願請求項10記載の発明の部品搬送システムにおいては、特に、部品搬送システム情報記憶部はシステムが正常であるか否かのシステム情報を記憶し、参照期間決定部はシステム情報に基づいて参照期間を決定することで、システムの状態に応じた運用が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1乃至図5は、本願発明の第1の実施形態である部品搬送システムを示している。この部品搬送システム1は、図2に示すように、部品2が保管されるストア3と、部品2が加工されるライン4と、ライン4へ部品2を供給するライン投入口5と、ストア3よりもライン投入口5に近い場所に設けられる、部品2を一時的に保管するバッファ6と、制御部7からの指示に従って、部品2を搬送する部品搬送車8とを備えている。
【0027】
ストア3は、品番ごとに部品2をパレット19に収めて保管するところであり、部品2をより多く保管できるよう大型化され、ライン4から離れた場所に設置されている。ストア3からは常に、部品2がパレット19に満載された状態で搬出される。ここで、ライン投入口5から返却部品9が収められたパレット19がストア3に返却された場合に、返却部品9が収められたパレット19のうち、部品2が満載された状態ではないパレット19がそのままストア3から搬出されることはない。
【0028】
ライン4は、部品2を加工するところであり、ライン投入口5から部品2の供給を受ける。
【0029】
ライン投入口5は、部品搬送車8からパレット19に収められた部品2をパレット19ごと受け取り、ライン4へ部品2を供給する。そして、ライン4で部品2が使用され、ライン投入口5で返却部品9が発生すると、部品搬送車8に対して、返却部品9が収められたパレット19をパレット19ごと返却する。
【0030】
バッファ6は、ストア3よりもライン投入口5に近い場所に設けられ、部品2を一時的に保管するものである。通常、ライン4の周辺にはライン4を稼動させるための設備が配置されるので、バッファ6のスペースはストア3よりも小さく、保管できる部品量は限られる。また、バッファ6に保管される部品2は、ライン投入口5からの返却部品9であるから、パレット19には部品2が満載されていない。さらに、ストア3から搬出された部品2を満載したパレット19が、バッファ6に直接搬入されることはない。なお、パレット19に部品2を収容するスペースが発生していても、部品2をバッファ6にて新たに補充して、パレット19を部品2で満載にすることはしない。
【0031】
部品搬送車8は、制御部7の部品搬送指示情報作成部11にて作成された部品搬送指示情報に従って、部品2を搬送するものである。ここで、部品搬送車8はパレット19を用いて部品2を搬送するよう設計されている。図3を用いて説明すると、ストア3もしくはバッファ6からパレット19に収められた部品2を積載し、ライン投入口5へ部品2を搬送する。ライン4で部品2が使用され、ライン投入口5で返却部品9が発生した場合に、パレット19に収められた返却部品9を積載し、ライン投入口5からストア3もしくはバッファ6へ返却部品9を搬送する。
【0032】
パレット19は、品番ごとに部品2を収容するものであり、ストア3では部品2が満載されている。
【0033】
制御部7は、図1に示すように、部品搬送システム情報記憶部10と、部品搬送指示情報作成部11と、所定期間の生産計画情報を利用して返却部品9の次回使用予定があるか否かを判断する使用予定判断部12と、部品2の優先度情報に基づいて次回使用予定部品の優先度を付与する優先度付与部13と、供給部品判断部17と、返却部品判断部18とを備えている。
【0034】
部品搬送システム情報記憶部10は、ライン4の生産計画情報、部品2の優先度情報、バッファ6の部品情報、部品搬送指示情報を記憶する。ライン4の生産計画情報は、図4(a)に示すように、品番ごとに生産順序に従って作成されている。部品2の優先度情報は、図4(b)に示すように、優先度と品番が関連付けられている。バッファ6の部品情報は、バッファ6に保管されている部品2の品番と数量や、バッファ6に保管できるスペースに関する情報を含んでいる。部品搬送指示情報は、部品搬送指示情報作成部11によって作成され、部品搬送車8の搬送経路を決定するものである。
【0035】
部品搬送指示情報作成部11は、供給部品判断部17により部品2をバッファ6から搬送するのが適当であると判断された場合には、部品2をバッファ6からライン投入口5へ搬送する部品搬送指示情報を作成し、部品2をバッファ6から搬送するのが適当でないと判断された場合には、部品2をストア3からライン投入口5へ搬送する部品搬送指示情報を作成する。また、使用予定判断部12にて、返却部品9の次回使用予定がないと判断された場合には、返却部品9をライン投入口5からストア3へ搬送する部品搬送指示情報を作成する。さらに、使用予定判断部12にて、返却部品9の次回使用予定があると判断された場合であって、返却部品判断部18により返却部品9をバッファ6に保管するのが適当であると判断された場合には、返却部品9をライン投入口5からバッファ6へ搬送する部品搬送指示情報を作成し、返却部品9をバッファ6に保管するのが適当でないと判断された場合には、返却部品9をライン投入口5からストア3へ搬送する部品搬送指示情報を作成する。
【0036】
使用予定判断部12は、ライン4の所定期間における生産計画情報を利用して、返却部品9の次回使用予定があるか否かを判断する。
【0037】
優先度付与部13は、使用予定判断部12にて返却部品9の次回使用予定があると判断された場合に、部品2の優先度情報に基づいて、返却部品9の次回使用予定部品に優先度を付与する。図4(b)より、品番Aの優先度は3であるから、図4(a)に示すように、品番Aの次回使用予定部品に優先度3を付与する。同様に、図4(b)より、品番Bの優先度は2、品番Cの優先度は1であるから、図4(a)に示すように、品番Bの次回使用予定部品に優先度2を、品番Cの次回使用予定部品に優先度1をそれぞれ付与する。一方、品番Dは次回使用予定がないので、優先度を付与しない。
【0038】
供給部品判断部17は、ライン4の生産計画情報、バッファ6の部品情報を利用して部品2をバッファ6から搬送するのが適当であるか否かを判断する。具体的には、ライン4の生産計画情報からライン投入口5へ搬送する部品2を確認し、バッファ6の部品情報と照合し、搬送する部品2がバッファ6に保管されているか否かを判断し、保管されている場合には、部品2をバッファ6から搬送するのが適当であると判断する。保管されていない場合には、部品2をバッファ6から搬送するのが適当でないと判断する。
【0039】
返却部品判断部18は、ライン投入口5で使用されなかった部品2を返却部品9として認定する。また、バッファ6の部品情報と優先度付与部13による次回使用予定部品の優先度を利用して、返却部品9をライン投入口5からバッファ6へ搬送するのが適当であるか否かを判断する。具体的には、返却部品9の次回使用予定部品の優先度に従い、例えば、優先度の高いものから2品番は、返却部品9をライン投入口5からバッファ6へ搬送するのが適当であると判断する。その他の場合には、返却部品9をライン投入口5からバッファ6へ搬送するのが適当でないと判断する。図4(a)を用いて説明すると、品番Aの次回使用予定部品の優先度は3であるから、返却部品9をライン投入口5からバッファ6へ搬送するのが適当でないと判断する。一方、品番Bの次回使用予定部品の優先度は2、品番Cの次回使用予定部品の優先度は1であるから、いずれも返却部品9をライン投入口5からバッファ6へ搬送するのが適当であると判断する。よって、品番Aに対応する返却部品9はライン投入口5からストア3へ搬送され、品番B、Cに対応する返却部品9はライン投入口5からバッファ6へ搬送される。なお、優先度の高いものから何品番、バッファ6へ搬送するかはシステムの状況に合わせて適宜、変更してもよい。
【0040】
以下、この部品搬送システム1の部品搬送処理について図5を用いて説明する。まず、供給部品判断部17は、部品搬送システム情報記憶部10に記憶されているライン4の生産計画情報を取得する(ステップS11)。次に、供給部品判断部17は、ライン4の生産計画情報からライン投入口5へ搬送する部品2を確認する(ステップS12)。
【0041】
次に、供給部品判断部17は、部品搬送システム情報記憶部10に記憶されているバッファ6の部品情報と搬送する部品2を照合して、搬送する部品2がバッファ6に保管されているか否かを判断する(ステップS13)。次に、搬送する部品2がバッファ6に保管されており、供給部品判断部17にて部品2をバッファ6から搬送するのが適当であると判断された場合には、部品搬送指示情報作成部11は、部品2をバッファ6からライン投入口5へ搬送する部品搬送指示情報を作成する。そして、部品搬送車8は、部品搬送指示情報に従って、部品2をバッファ6からライン投入口5へ搬送する(ステップS14)。一方、搬送する部品2がバッファ6に保管されておらず、供給部品判断部17にて部品2をバッファ6から搬送するのが適当でないと判断された場合には、部品搬送指示情報作成部11は、部品2をストア3からライン投入口5へ搬送する部品搬送指示情報を作成する。そして、部品搬送車8は、部品搬送指示情報に従って、部品2をストア3からライン投入口5へ搬送する(ステップS15)。
【0042】
次に、返却部品判断部18は、ライン投入口5で使用されなかった部品2を返却部品9として認定する(ステップS16)。次に、使用予定判断部12は、ライン4の所定期間における生産計画情報を利用して、返却部品9の次回使用予定があるか否かを判断する(ステップS17)。次に、優先度付与部13は、使用予定判断部12にて返却部品9の次回使用予定があると判断された場合には、部品2の優先度情報に基づいて、返却部品9の次回使用予定部品に優先度を付与する(ステップS18)。
【0043】
次に、返却部品判断部18は、バッファ6の部品情報と優先度付与部13による次回使用予定部品の優先度を利用して、返却部品9をライン投入口5からバッファ6へ搬送するのが適当であるか否かを判断する(ステップS19)。次に、返却部品判断部18にて返却部品9をバッファ6に保管するのが適当であると判断された場合には、部品搬送指示情報作成部11は、返却部品9をライン投入口5からバッファ6へ搬送する部品搬送指示情報を作成する。そして、部品搬送車8は、部品搬送指示情報に従って、返却部品9をライン投入口5からバッファ6へ搬送する(ステップS20)。一方、返却部品判断部18にて返却部品9をバッファ6に保管するのが適当でないと判断された場合には、部品搬送指示情報作成部11は、返却部品9をライン投入口5からストア3へ搬送する部品搬送指示情報を作成する。そして、部品搬送車8は、部品搬送指示情報に従って、返却部品9をライン投入口5からストア3へ搬送する(ステップS21)。
【0044】
したがって、所定期間の生産計画情報、部品2の優先度情報を利用して、バッファ6に仮置きする部品2を決定するので、バッファ6に保管できる部品量が限られている場合に、時々刻々と変化する生産計画を反映したバッファ6の運用ができ、部品搬送システム1の効率化を図ることができる。また、バッファ6の部品情報を利用することにより、返却部品9をバッファ6に保管できないという事態を防ぐことができる。さらに、バッファ6をストア3よりもライン投入口5に近い場所に設けているので、バッファ6に部品2を仮置きすることにより、搬送時間を短縮することができる。
【0045】
図6は、本願発明の第2の実施形態である部品搬送システムを示している。ここでは、上記第1の実施形態と相違する事項についてのみ説明し、その他の事項(構成、作用効果等)については、上記第1の実施形態と同様であるのでその説明を省略する。この部品搬送システムにおける部品の優先度情報は、図6(b)に示すように、優先度と品番と生産計画情報の変更度合とが関連付けられている。
【0046】
優先度付与部13は、使用予定判断部12にて返却部品9の次回使用予定があると判断された場合に、部品2の優先度情報に基づいて、返却部品9の次回使用予定部品に優先度を付与する。図6(b)より、品番Aの優先度は3であるから、図6(a)に示すように、品番Aの次回使用予定部品に優先度3を付与する。同様に、図6(b)より、品番Bの優先度は2、品番Cの優先度は1であるから、図6(a)に示すように、品番Bの次回使用予定部品に優先度2を、品番Cの次回使用予定部品に優先度1をそれぞれ付与する。
【0047】
したがって、生産計画情報の変更度合の低い順に優先度を付与することにより、バッファ6に仮置きした部品2が生産計画情報の変更に伴い、使用されない事態をより確実に防ぐことができる。
【0048】
図7は、本願発明の第3の実施形態である部品搬送システムを示している。ここでは、上記第1の実施形態と相違する事項についてのみ説明し、その他の事項(構成、作用効果等)については、上記第1の実施形態と同様であるのでその説明を省略する。この部品搬送システムにおける部品の優先度情報は、図7(b)に示すように、優先度と品番と生産計画情報の注文キャンセル度合とが関連付けられている。
【0049】
優先度付与部13は、使用予定判断部12にて返却部品9の次回使用予定があると判断された場合に、部品2の優先度情報に基づいて、返却部品9の次回使用予定部品に優先度を付与する。図7(b)より、品番Aの優先度は3であるから、図7(a)に示すように、品番Aの次回使用予定部品に優先度3を付与する。同様に、図7(b)より、品番Bの優先度は2、品番Cの優先度は1であるから、図7(a)に示すように、品番Bの次回使用予定部品に優先度2を、品番Cの次回使用予定部品に優先度1をそれぞれ付与する。
【0050】
したがって、生産計画情報の注文キャンセル度合の低い順に優先度を付与することにより、バッファ6に仮置きした部品2が生産計画情報の注文キャンセルに伴い、使用されない事態をより確実に防ぐことができる。
【0051】
図8は、本願発明の第4の実施形態である部品搬送システムを示している。ここでは、上記第1の実施形態と相違する事項についてのみ説明し、その他の事項(構成、作用効果等)については、上記第1の実施形態と同様であるのでその説明を省略する。この部品搬送システムにおける部品の優先度情報は、図8(b)に示すように、優先度と品番と部品の劣化度合とが関連付けられている。
【0052】
優先度付与部13は、使用予定判断部12にて返却部品9の次回使用予定があると判断された場合に、部品2の優先度情報に基づいて、返却部品9の次回使用予定部品に優先度を付与する。図8(b)より、品番Aの優先度は1であるから、図8(a)に示すように、品番Aの次回使用予定部品に優先度1を付与する。同様に、図8(b)より、品番Bの優先度は2、品番Cの優先度は3であるから、図8(a)に示すように、品番Bの次回使用予定部品に優先度2を、品番Cの次回使用予定部品に優先度3をそれぞれ付与する。
【0053】
したがって、部品2の劣化度合の早い順に優先度を付与することにより、劣化度合の早い部品2の搬送時間を優先的に短縮することができる。
【0054】
図9は、本願発明の第5の実施形態である部品搬送システムを示している。ここでは、上記第1の実施形態と相違する事項についてのみ説明し、その他の事項(構成、作用効果等)については、上記第1の実施形態と同様であるのでその説明を省略する。この部品搬送システムにおける部品の優先度情報は、図9(b)に示すように、優先度と品番と部品のスペースとが関連付けられている。
【0055】
優先度付与部13は、使用予定判断部12にて返却部品9の次回使用予定があると判断された場合に、部品2の優先度情報に基づいて、返却部品9の次回使用予定部品に優先度を付与する。図9(b)より、品番Aの優先度は3であるから、図9(a)に示すように、品番Aの次回使用予定部品に優先度3を付与する。同様に、図9(b)より、品番Bの優先度は2、品番Cの優先度は1であるから、図9(a)に示すように、品番Bの次回使用予定部品に優先度2を、品番Cの次回使用予定部品に優先度1をそれぞれ付与する。
【0056】
したがって、部品2のスペースの小さい順に優先度を付与することにより、バッファ6に保管できる部品量が限られている場合に、スペースの小さい部品2をより多くバッファ6に保管できるので、部品搬送システム1の効率化を図ることができる。
【0057】
図10は、本願発明の第6の実施形態である部品搬送システムを示している。ここでは、上記第1の実施形態と相違する事項についてのみ説明し、その他の事項(構成、作用効果等)については、上記第1の実施形態と同様であるのでその説明を省略する。この部品搬送システムにおける部品の優先度情報は、図10(b)に示すように、優先度と生産時間の短い品番の後に生産される順とが関連付けられている。
【0058】
優先度付与部13は、使用予定判断部12にて返却部品9の次回使用予定があると判断された場合に、部品2の優先度情報に基づいて、返却部品9の次回使用予定部品に優先度を付与する。ここで、図10(c)より、品番Cの生産時間は1分であり、4品番の中で一番短い。そのため、図10(b)に示すように、優先度は品番Cの後に生産される順となる。図10(a)、(b)より、品番Aの次回使用予定は品番Cから2番目であるので、品番Aの次回使用予定部品に優先度2を、品番Bの次回使用予定は品番Cの次であるので、品番Bの次回使用予定部品に優先度1を、品番Cの次回使用予定は品番Cから3番目であるので、品番Cの次回使用予定部品に優先度3を付与する。
【0059】
これにより、例えば、品番Cをライン投入口5へ搬送した後、次に生産される品番Bをストア3からライン投入口5へ搬送する搬送時間が5分である場合に、ライン4で待ち時間が発生してしまうが、品番Bの搬送時間を短くするために、品番Bをバッファ6へ優先的に保管できるようにすれば、ライン4の稼働率を高めることができる。したがって、生産時間の短い品番の後に生産される順に優先度を付与することにより、生産待ち時間を短縮し、ライン4の稼働率を上げることができる。
【0060】
図11は、本願発明の第7の実施形態である部品搬送システムを示している。ここでは、上記第1の実施形態と相違する事項についてのみ説明し、その他の事項(構成、作用効果等)については、上記第1の実施形態と同様であるのでその説明を省略する。この部品搬送システムにおける部品の優先度情報は、優先度と次回使用すると判断された順とが関連付けられている。
【0061】
優先度付与部13は、使用予定判断部12にて返却部品9の次回使用予定があると判断された場合に、部品2の優先度情報に基づいて、返却部品9の次回使用予定部品に優先度を付与する。図11に示すように、品番Aに対応する返却部品9は次回使用予定があるので優先度1を、品番Bに対応する返却部品9は次回使用予定があるので優先度2を、品番Cに対応する返却部品9は次回使用予定があるので優先度3をそれぞれ付与する。しかし、品番Dに対応する返却部品9は次回使用予定がないので優先度を付与しない。
【0062】
返却部品判断部18は、ライン投入口5で使用されなかった部品2を返却部品9として認定する。また、バッファ6の部品情報と優先度付与部13による次回使用予定部品の優先度を利用して、返却部品9をライン投入口5からバッファ6へ搬送するのが適当であるか否かを判断する。具体的には、バッファ6へ返却部品9を搬送できるスペースがある場合に、優先度が付与された順に、返却部品9をライン投入口5からバッファ6へ搬送するのが適当であると判断する。例えば、バッファ6に2品番まで返却部品9を搬送できるとすると、図11より、品番A、Bに対応する返却部品9はライン投入口5からバッファ6へ搬送するのが適当であると判断し、品番Cに対応する返却部品9はライン投入口5からバッファ6へ搬送するのが適当でないと判断する。
【0063】
したがって、使用予定判断部12により返却部品9を次回使用すると判断された順に優先度を付与することにより、バッファ6へ返却部品9を搬送できるスペースがある場合に、返却部品9をバッファ6に搬送するものであるから、優先度付与方法を簡略化することができる。
【0064】
図12乃至図14は、本願発明の第8の実施形態である部品搬送システムを示している。ここでは、上記第1の実施形態と相違する事項についてのみ説明し、その他の事項(構成、作用効果等)については、上記第1の実施形態と同様であるのでその説明を省略する。この部品搬送システム1の制御部7は、図12に示すように、部品搬送システム情報記憶部10と、部品搬送指示情報作成部11と、所定期間の生産計画情報を利用して返却部品9の次回使用予定があるか否かを判断する使用予定判断部12と、部品2の優先度情報に基づいて次回使用予定部品の優先度を付与する優先度付与部13と、供給量判断部14と、使用予定決定部15と、供給部品判断部17と、返却部品判断部18とを備えている。
【0065】
部品搬送システム情報記憶部10は、ライン4の生産計画情報、部品2の優先度情報、バッファ6の部品情報、部品搬送指示情報、ストア3から一度に供給できる部品供給量情報を記憶する。部品2の優先度情報は、優先度と次回使用すると決定された順とが関連付けられている。ストア3から一度に供給できる部品供給量情報は、図14(b)に示すものであり、部品搬送車8が一度に搬送できるパレット19の数とパレット当たりの部品2の収容数から算出される。
【0066】
優先度付与部13は、使用予定判断部12にて返却部品9の次回使用予定があると判断された場合に、使用予定決定部15により返却部品9を次回使用すると決定された順に、返却部品9の次回使用予定部品に優先度を付与する。使用予定決定部15での処理については後述するが、図14(a)に示すように、品番Aに対応する返却部品9は次回使用しないので、優先度を付与せず、品番B、Cに対応する返却部品9は次回使用するので、処理された順にそれぞれ優先度1、2を付与する。
【0067】
供給量判断部14は、部品搬送システム情報記憶部10に記憶されているライン4の生産計画情報を利用して、ライン投入口5に所定量の部品2が供給されているか否かを判断する。
【0068】
使用予定決定部15は、ライン4の所定期間における生産計画情報から、返却部品量情報と返却部品9の次回使用量情報を取得し、ストア3から一度に供給できる部品供給量情報を用いて、返却部品9の次回使用予定を決定する。図14(c)を用いて具体的に説明する。ここでは、次回使用量をX、返却部品量をY、ストア3から一度に供給できる部品供給量をZ、搬送時の端数をKとすると、Kは、K=X−nZで表され、Kが、0≦K<Zとなるよう、nは0を含む自然数から選択される。
【0069】
品番Aの次回使用量Xは40、一度に供給できる部品供給量Zは60であるから、品番Aの搬送時の端数Kは、K=40−0×60=40となる。品番Bの次回使用量Xは80、一度に供給できる部品供給量Zは60であるから、品番Bの搬送時の端数Kは、K=80−1×60=20となる。品番Cの次回使用量Xは20、一度に供給できる部品供給量Zは60であるから、品番Cの搬送時の端数Kは、K=20−0×60=20となる。
【0070】
次に、次回使用量X、返却部品量Y、搬送時の端数Kを用い、次式に従って、返却部品9の次回使用予定を決定する。
(1)Y≧Xなら、返却部品9をバッファ6に搬送する。
(2)Y<Xかつ、0<K≦Yなら、返却部品9をバッファ6に搬送する。
(3)Y<Xかつ、K>Yなら、返却部品9をストア3に搬送する。
(4)Y<Xかつ、K=0なら、返却部品9をストア3に搬送する。
【0071】
品番Aの次回使用量Xは40、返却部品量Yは20、搬送時の端数Kは40であるから、(3)式に該当し、返却部品9をストア3に搬送し、次回の生産では使用しない。品番Bの次回使用量Xは80、返却部品量Yは40、搬送時の端数Kは20であるから、(2)式に該当し、返却部品9をバッファ6に搬送し、次回の生産ではバッファ6とストア3から部品2をそれぞれ搬送して使用する。品番Cの次回使用量Xは20、返却部品量Yは30、搬送時の端数Kは20であるから、(1)式に該当し、返却部品9をバッファ6に搬送し、次回の生産ではバッファ6から部品2を搬送して使用する。つまり、品番Aの返却部品9は次回使用しないと決定され、品番B、Cの返却部品9は次回使用すると決定される。
【0072】
返却部品判断部18は、ライン投入口5で使用されなかった部品2を返却部品9として認定する。また、使用予定決定部15にて、返却部品9は次回使用しないと決定された場合には、返却部品9をライン投入口5からバッファ6へ搬送するのが適当でないと判断する。使用予定決定部15にて、返却部品9は次回使用すると決定された場合には、バッファ6の部品情報と優先度付与部13による次回使用予定部品の優先度を利用して、返却部品9をライン投入口5からバッファ6へ搬送するのが適当であるか否かを判断する。具体的には、バッファ6へ返却部品9を搬送できるスペースがある場合に、優先度が付与された順に、返却部品9をライン投入口5からバッファ6へ搬送するのが適当であると判断する。図14(a)に示すように、品番Aに対応する返却部品9は次回使用しないと決定されたので、ライン投入口5からバッファ6へ搬送するのが適当でないと判断する。ここで、例えば、バッファ6に2品番まで返却部品9を搬送できるとすると、品番B、Cに対応する返却部品9はライン投入口5からバッファ6へ搬送するのが適当であると判断する。
【0073】
以下、この部品搬送システム1の部品搬送処理について図13を用いて説明する。まず、供給部品判断部17は、部品搬送システム情報記憶部10に記憶されているライン4の生産計画情報を取得する(ステップS31)。次に、供給部品判断部17は、生産計画情報からライン投入口5へ搬送する部品2を確認する(ステップS32)。
【0074】
次に、供給部品判断部17は、部品搬送システム情報記憶部10に記憶されているバッファ6の部品情報と搬送する部品2を照合して、搬送する部品2がバッファ6に保管されているか否かを判断する(ステップS33)。次に、搬送する部品2がバッファ6に保管されており、供給部品判断部17にて部品2をバッファ6から搬送するのが適当であると判断された場合には、部品搬送指示情報作成部11は、部品2をバッファ6からライン投入口5へ搬送する部品搬送指示情報を作成する。そして、部品搬送車8は、部品搬送指示情報に従って、部品2をバッファ6からライン投入口5へ搬送する(ステップS34)。一方、搬送する部品2がバッファ6に保管されておらず、供給部品判断部17にて部品2をバッファ6から搬送するのが適当でないと判断された場合には、部品搬送指示情報作成部11は、部品2をストア3からライン投入口5へ搬送する部品搬送指示情報を作成する。そして、部品搬送車8は、部品搬送指示情報に従って、部品2をストア3からライン投入口5へ搬送する(ステップS35)。
【0075】
次に、供給量判断部14は、部品搬送システム情報記憶部10に記憶されているライン4の生産計画情報を利用して、ライン投入口5に所定量の部品2が供給されているか否かを判断する(ステップS36)。ここで、ライン投入口5に所定量の部品2が供給されていないと判断された場合には、ステップS33に戻る。次に、ライン投入口5に所定量の部品2が供給されていると判断された場合には、返却部品判断部18は、ライン投入口5で使用されなかった部品2を返却部品9として認定する(ステップS37)。次に、使用予定判断部12は、ライン4の所定期間における生産計画情報を利用して、返却部品9の次回使用予定があるか否かを判断する(ステップS38)。次に、使用予定決定部15は、返却部品9の次回使用予定を決定する(ステップS39)。次に、優先度付与部13は、使用予定決定部15にて返却部品9の次回使用予定があると決定された場合に、使用予定が決定された順に、返却部品9の次回使用予定部品に優先度を付与する(ステップS40)。
【0076】
次に、返却部品判断部18は、バッファ6の部品情報と優先度付与部13による次回使用予定部品の優先度を利用して、返却部品9をライン投入口5からバッファ6へ搬送するのが適当であるか否かを判断する(ステップS41)。次に、返却部品判断部18にて返却部品9をバッファ6に保管するのが適当であると判断された場合には、部品搬送指示情報作成部11は、返却部品9をライン投入口5からバッファ6へ搬送する部品搬送指示情報を作成する。そして、部品搬送車8は、部品搬送指示情報に従って、返却部品9をライン投入口5からバッファ6へ搬送する(ステップS42)。一方、返却部品判断部18にて返却部品9をバッファ6に保管するのが適当でないと判断された場合には、部品搬送指示情報作成部11は、返却部品9をライン投入口5からストア3へ搬送する部品搬送指示情報を作成する。そして、部品搬送車8は、部品搬送指示情報に従って、返却部品9をライン投入口5からストア3へ搬送する(ステップS43)。
【0077】
したがって、返却部品量が次回使用量以上である場合や返却部品9を用いるとストア3から部品2を供給するより搬送時間を短くできる場合に、返却部品9をバッファ6に搬送するものであるから、返却部品9の有効活用に伴い、部品搬送システム1の効率化を図ることができる。
【0078】
図15及び図16は、本願発明の第9の実施形態である部品搬送システムを示している。ここでは、上記第1の実施形態と相違する事項についてのみ説明し、その他の事項(構成、作用効果等)については、上記第1の実施形態と同様であるのでその説明を省略する。この部品搬送システム1の制御部7は、図15に示すように、部品搬送システム情報記憶部10と、部品搬送指示情報作成部11と、所定期間の生産計画情報を利用して返却部品9の次回使用予定があるか否かを判断する使用予定判断部12と、部品2の優先度情報に基づいて次回使用予定部品の優先度を付与する優先度付与部13と、参照期間決定部16と、供給部品判断部17と、返却部品判断部18とを備えている。
【0079】
参照期間決定部16は、使用予定判断部12が参照するライン4における生産計画情報の参照期間を決定する。図16(a)に示すように、生産計画情報の参照期間は、参照期間の終端を予め決めておき、生産が進むにつれて参照期間が短くなるようにしてもよい。また、図16(b)に示すように、参照期間を固定しておき、生産が進むにつれて参照期間がシフトしていくようにしてもよい。さらに、生産計画の変更度合いに応じて、適宜、参照期間を変更してもよい。
【0080】
したがって、参照する生産計画情報の参照期間を決定する参照期間決定部16を備えることにより、参照期間を短くして生産計画情報の変更による搬送ロスを低減させたり、参照期間を長くしてバッファ6の効率的な活用を図ったりすることができる。
【0081】
図17は、本願発明の第10の実施形態である部品搬送システムを示している。ここでは、上記第9の実施形態と相違する事項についてのみ説明し、その他の事項(構成、作用効果等)については、上記第9の実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
【0082】
部品搬送システム情報記憶部10は、ライン4の生産計画情報、部品2の優先度情報、バッファ6の部品情報、部品搬送指示情報、システムが正常であるか否かのシステム情報を記憶する。
【0083】
参照期間決定部16は、システム情報に基づいて、使用予定判断部12が参照するライン4における生産計画情報の参照期間を決定する。
【0084】
以下、生産計画情報の参照期間決定処理について図17を用いて説明する。まず、参照期間決定部16は、参照期間をN品番先までに決定する(ステップS51)。次に、システム情報に基づいて、システムが正常であるか否かの判断をする(ステップS52)。ここで、システムが正常であると判断された場合には、ステップS51に戻る。次に、システムが正常であると判断されなかった場合には、参照期間をN−1品番先までに短縮する(ステップS53)。次に、N−1品番、生産されたか否かを判断する(ステップS54)。ここで、N−1品番、生産されたと判断された場合には、ステップS51に戻り、参照期間をN品番先までに延長する。一方、N−1品番、生産されたと判断されなかった場合には、ステップS53に戻り、参照期間をN−1品番先までとする。
【0085】
したがって、部品搬送システム情報記憶部10はシステムが正常であるか否かのシステム情報を記憶し、参照期間決定部16はシステム情報に基づいて参照期間を決定することで、システムの状態に応じた運用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本願発明の第1の実施形態である部品搬送システムの制御部を示すブロック図。
【図2】同部品搬送システムのシステム構成図。
【図3】同部品搬送システムの部品搬送状態を示す概略図。
【図4】同部品搬送システムに用いられるテーブルであり、(a)は生産計画情報と優先度を示し、(b)は優先度テーブルをそれぞれ示している。
【図5】同部品搬送システムの部品搬送処理を示すフローチャート。
【図6】本願発明の第2の実施形態である部品搬送システムに用いられるテーブルであり、(a)は生産計画情報と優先度を示し、(b)は優先度テーブルをそれぞれ示している。
【図7】本願発明の第3の実施形態である部品搬送システムに用いられるテーブルであり、(a)は生産計画情報と優先度を示し、(b)は優先度テーブルをそれぞれ示している。
【図8】本願発明の第4の実施形態である部品搬送システムに用いられるテーブルであり、(a)は生産計画情報と優先度を示し、(b)は優先度テーブルをそれぞれ示している。
【図9】本願発明の第5の実施形態である部品搬送システムに用いられるテーブルであり、(a)は生産計画情報と優先度を示し、(b)は優先度テーブルをそれぞれ示している。
【図10】本願発明の第6の実施形態である部品搬送システムに用いられるテーブルであり、(a)は生産計画情報と優先度を示し、(b)は優先度テーブルを示し、(c)は品番ごとの生産数と生産時間をそれぞれ示している。
【図11】本願発明の第7の実施形態である部品搬送システムに用いられるテーブルであり、生産計画情報と優先度を示している。
【図12】本願発明の第7の実施形態である部品搬送システムの制御部を示すブロック図。
【図13】同部品搬送システムの部品搬送処理を示すフローチャート。
【図14】同部品搬送システムに用いられるテーブルであり、(a)は生産計画情報と優先度を示し、(b)はストアから一度に供給できる部品供給量情報を示し、(c)は品番ごとの返却部品量情報、返却部品の次回使用量情報、ストアから一度に供給できる部品供給量情報をそれぞれ示している。
【図15】本願発明の第8の実施形態である部品搬送システムの制御部を示すブロック図。
【図16】同部品搬送システムに用いられるテーブルであり、(a)は生産計画情報の参照期間の終端が決められている場合を示し、(b)は生産計画情報の参照期間が固定されている場合をそれぞれ示している。
【図17】本願発明の第9の実施形態である部品搬送システムの生産計画情報の参照期間決定処理を示すフローチャート。
【図18】従来例の部品搬送システムを示したブロック図。
【符号の説明】
【0087】
1 部品搬送システム
2 部品
3 ストア
4 ライン
5 ライン投入口
6 バッファ
7 制御部
8 部品搬送車
9 返却部品
10 部品搬送システム情報記憶部
11 部品搬送指示情報作成部
12 使用予定判断部
13 優先度付与部
14 供給量判断部
15 使用予定決定部
16 参照期間決定部
17 供給部品判断部
18 返却部品判断部
19 パレット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品が保管されるストアと、部品が加工されるラインと、ラインへ部品を供給するライン投入口と、ストアよりもライン投入口に近い場所に設けられる、部品を一時的に保管するバッファと、部品搬送指示情報を作成する部品搬送指示情報作成部と、ラインの生産計画情報、部品の優先度情報、部品搬送指示情報を記憶する部品搬送システム情報記憶部と、部品搬送指示情報に従って部品を搬送する部品搬送車とを備えた部品搬送システムにおいて、パレットを用いて部品搬送が行われ、ライン投入口で返却部品が発生する場合に、所定期間の生産計画情報を利用して返却部品の次回使用予定があるか否かを判断する使用予定判断部を備え、返却部品の次回使用予定があると判断された場合に、部品の優先度情報に基づいて、次回使用予定部品の優先度を付与する優先度付与部を備え、部品搬送指示情報作成部は次回使用予定部品の優先度に従って、返却部品をライン投入口からバッファへ搬送する部品搬送指示情報を作成することを特徴とする部品搬送システム。
【請求項2】
部品の優先度情報は優先度と品番と生産計画情報の変更度合とが関連付けられ、優先度付与部は生産計画情報の変更度合の低い順に優先度を付与することを特徴とする請求項1記載の部品搬送システム。
【請求項3】
部品の優先度情報は優先度と品番と生産計画情報の注文キャンセル度合とが関連付けられ、優先度付与部は生産計画情報の注文キャンセル度合の低い順に優先度を付与することを特徴とする請求項1記載の部品搬送システム。
【請求項4】
部品の優先度情報は優先度と品番と部品の劣化度合とが関連付けられ、優先度付与部は部品の劣化度合の早い順に優先度を付与することを特徴とする請求項1記載の部品搬送システム。
【請求項5】
部品の優先度情報は優先度と品番と部品のスペースとが関連付けられ、優先度付与部は部品のスペースの小さい順に優先度を付与することを特徴とする請求項1記載の部品搬送システム。
【請求項6】
部品の優先度情報は優先度と生産時間の短い品番の後に生産される順とが関連付けられ、優先度付与部は生産時間の短い品番の後に生産される順に優先度を付与することを特徴とする請求項1記載の部品搬送システム。
【請求項7】
バッファの部品情報と優先度付与部による次回使用予定部品の優先度を利用して、返却部品をライン投入口からバッファへ搬送するのが適当であるか否かを判断する返却部品判断部を備え、部品搬送システム情報記憶部はバッファの部品情報を記憶し、部品の優先度情報は優先度と次回使用すると判断された順とが関連付けられ、優先度付与部は使用予定判断部により返却部品を次回使用すると判断された順に優先度を付与することを特徴とする請求項1記載の部品搬送システム。
【請求項8】
ライン投入口に所定量の部品が供給されているか否かを判断する供給量判断部と、所定期間の生産計画情報、ストアから一度に供給できる部品供給量情報を利用して、返却部品の次回使用予定を決定する使用予定決定部と、バッファの部品情報と優先度付与部による次回使用予定部品の優先度を利用して、返却部品をライン投入口からバッファへ搬送するのが適当であるか否かを判断する返却部品判断部とを備え、部品搬送システム情報記憶部はストアから一度に供給できる部品供給量情報、バッファの部品情報を記憶し、部品の優先度情報は優先度と次回使用すると決定された順とが関連付けられ、優先度付与部は使用予定決定部により返却部品を次回使用すると決定された順に優先度を付与し、使用予定決定部は返却部品量が次回使用量以上である場合や返却部品を用いるとストアから部品を供給するより搬送時間を短くできる場合に返却部品を次回使用すると決定することを特徴とする請求項1記載の部品搬送システム。
【請求項9】
使用予定判断部が参照する生産計画情報の参照期間を決定する参照期間決定部を備えたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項記載の部品搬送システム。
【請求項10】
部品搬送システム情報記憶部はシステムが正常であるか否かのシステム情報を記憶し、参照期間決定部はシステム情報に基づいて参照期間を決定することを特徴とする請求項9記載の部品搬送システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2010−30719(P2010−30719A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−193339(P2008−193339)
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】