説明

部屋構造、電波吸収体の製造方法、及び建築物

【課題】広帯域の電波の吸収が可能な部屋構造、この部屋構造に備えられる電波吸収体の製造方法、及びこの部屋構造を有する建築物を得る。
【解決手段】部屋構造26の平面部電波吸収膜42は、固有の周波数の電波Pのみを吸収する周波数特性が入射角によって異なる。この性質を利用し、部屋12の内部で発生した電波Pを電波反射層20A〜20Dによって繰り返し反射させて、さまざまな入射角で平面部電波吸収膜42に入射させることにより、広帯域の電波Pを吸収することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部屋の内部で発生する電波を吸収する部屋構造、この部屋構造に備えられる電波吸収体の製造方法、及びこの部屋構造を有する建築物に関する。
【背景技術】
【0002】
部屋の内部で使用するパソコン、無線LAN、携帯電話等の機器からは電波が発生する。このため、このような機器を多数使用している場合には、機器の使用に支障を来すことが懸念される。また、電波が混在する部屋空間は、人間にとって好ましい環境ではない。
【0003】
このような問題を解決するために、部屋の内部に電波吸収体を配置し、部屋の内部で発生する不要な電波をこの電波吸収体によって吸収することが考えられている。例えば、図23に示されるように、特許文献1の電波吸収体300では、反射膜302から距離を隔てた電波到来側に分割導電膜304が設けられている。
【0004】
分割導電膜304に電波Pが到来すると、分割導電膜304は電波Pを反射、透過、及び吸収する。さらに、分割導電膜304を透過した電波Pは、反射膜302で反射した後に分割導電膜304を透過する。このときに、この分割導電膜304を透過する電波Pと、分割導電膜304に到来してこの分割導電膜304で反射する電波Pとが互いに干渉して打ち消し合うようになっている。
【0005】
特許文献1の電波吸収体300のような、反射層(反射膜302)と導電層(分割導電膜304)とを距離を隔てることで構成された電波吸収体では、反射層と導電層間で多重反射して導電層を透過した電波の総和と、導電層で反射する電波の位相が逆位相になっているときに完全に相殺し合う。このため、nを自然数としたときに、反射層と導電層との間の距離を(2n+1)λ/4とすれば電波を効果的に吸収することができる(正面入射の場合)。
【0006】
しかし、さまざまな周波数の電波が混在する部屋においては、これらの電波の波長λがそれぞれ異なるので、全ての電波を効果的に吸収することが難しい。
【特許文献1】特開2003−298278号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は係る事実を考慮し、広帯域の電波の吸収が可能な部屋構造、この部屋構造に備えられる電波吸収体の製造方法、及びこの部屋構造を有する建築物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に係る部屋構造は、床面、壁面及び天井面の少なくとも1つの面に備えられ、電波を反射する反射層と、単層の導電層を有する平面部電波吸収膜が設けられた平面部材と、前記平面部材を前記反射層から離して支持する支持部材と、を備えた電波吸収体と、を有することを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、反射層が床面、壁面及び天井面の少なくとも1つに設けられている。また、単層の導電層を有する平面部電波吸収膜が設けられた平面部材と、この平面部材を反射層から離して支持する支持部材とから構成された電波吸収体が備えられている。
【0010】
そして、単層の導電層を有する平面部電波吸収膜に電波が入射すると、この電波の一部は平面部電波吸収膜にエネルギー吸収される。また、吸収されなかった電波は平面部電波吸収膜で反射し、残りの電波は平面部電波吸収膜を透過する。
【0011】
さらに、平面部電波吸収膜を透過した電波は、反射層で反射した後、再び平面部電波吸収膜へ入射する。入射した電波の一部は平面部電波吸収膜でエネルギー吸収され、吸収されなかった電波は平面部電波吸収膜で反射し、残りの電波は平面部電波吸収膜を透過する。平面部電波吸収膜で反射した電波は、反射層と平面部電波吸収膜間で多重反射し、何度も平面部電波吸収膜に当たることによって電波のエネルギーが低減される。
【0012】
また、反射層と平面部電波吸収膜間で多重反射する間に、平面部電波吸収膜間を透過する電波の総和と、平面部電波吸収膜に最初に入射したときに反射する電波との干渉により、電波が打ち消される。
【0013】
ここで、干渉し合う電波は、位相が逆位相になっているときに完全に相殺し合うので、反射層と平面部電波吸収膜との間の距離を(2n+1)λ/4にすれば電波を効果的に相殺することができる(nは自然数)(正面入射の場合)。
【0014】
しかし、平面部電波吸収膜は、固有の周波数の電波(設定した波長λの電波)のみを吸収する周波数特性を有することになり、さまざまな周波数の電波が混在する部屋空間においては、これらの電波の波長λがそれぞれ異なるので、全ての電波を効果的に吸収することが難しくなる。
【0015】
これに対して請求項1の部屋構造では、平面部電波吸収膜に対する電波の入射角によって吸収される周波数特性が異なる。この性質を利用し、部屋の内部で発生した電波を反射層によって繰り返し反射させて、さまざまな入射角で平面部電波吸収膜に入射させることにより、広帯域の電波を吸収することができる。
【0016】
また、広い領域に電波吸収層を形成しようとする場合に、導電層を有するフィルム状の電波吸収膜を壁ボードや天井ボード等に貼り付けることは難しい。これに対して、請求項1の部屋構造では、電波吸収体を複数設置することにより、広い領域に容易に電波吸収層を形成することができる。また、設置する電波吸収体の数を増減させることによって、電波吸収層の形成を必要とする領域の広さに応じて柔軟に対応することができる。
【0017】
本発明の請求項2に係る部屋構造は、請求項1に記載において、前記支持部材には、前記反射層が前記平面部電波吸収膜と対面するように固定されていることを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、反射層が平面部材又は平面部電波吸収膜と対面するように支持部材に固定されている。
【0019】
このように、反射層を支持部材に固定することで、電波吸収体を設置するだけで、広帯域の電波を吸収することができる。
【0020】
本発明の請求項3に係る部屋構造は、請求項1又は2に記載において、前記支持部材には、単層の導電層を有する側面部電波吸収膜が前記電波吸収体の側面を形成するように固定されていることを特徴とする。
【0021】
上記構成によれば、単層の導電層を有する側面部電波吸収膜が、電波吸収体の側面を形成するように支持部材に固定されている。
【0022】
このように、平面部電波吸収膜の他に側面部電波吸収膜を追加し、電波吸収面(単層の導電層を有する電波吸収膜の面積)を増やすことで、効果的に広帯域の電波を吸収することができる。
【0023】
また、平面部電波吸収膜による電波吸収が困難となる平面部電波吸収膜に対して入射角度の大きな電波を側面部電波吸収膜によって効果的に吸収することができる。
【0024】
本発明の請求項4に係る部屋構造は、請求項3に記載において、前記平面部電波吸収膜と前記側面部電波吸収膜が連続する前記電波吸収体が複数並べられ、隣り合う前記電波吸収体の前記側面部電波吸収膜同士が接触していることを特徴とする。
【0025】
上記構成によれば、電波吸収体に設けられた平面部電波吸収膜と側面部電波吸収膜とを連続させ、隣り合う電波吸収体の側面部電波吸収膜同士を接触させることで、各電波吸収体に設けられた平面部電波吸収膜同士が電磁的につながった1つの面を形成する。
【0026】
これにより、隣接する平面部電波吸収膜間の隙間から電波を透過させることなく、平面部電波吸収膜の一辺の長さよりも波長の長い電波を効果的に吸収することができる。
【0027】
本発明の請求項5に係る部屋構造は、請求項3に記載において、前記電波吸収体が複数並べられ、隣り合う前記電波吸収体の側面部電波吸収膜同士の間に隙間を有していることを特徴とする。
【0028】
上記構成によれば、隣接する側面部電波吸収膜が隙間を有するように電波吸収体が配置されている。
【0029】
例えば、隣接する側面部電波吸収膜間の距離が大きい場合は、隣接する側面部電波吸収膜の間で電波の反射を繰り返えさせることで、効果的に側面部電波吸収膜が電波を吸収することができる。
【0030】
これに対し、例えば、隣接する側面部電波吸収膜間の距離が近接している場合は、隣接する側面部電波吸収膜の間がコンデンサとして働く。これにより、隣接する平面部電波吸収膜同士が電磁的につながった1つの面を形成することになり、隣接する平面部電波吸収膜の間から電波を透過させることなく、平面部電波吸収膜の一辺の長さよりも波長の長い電波を効果的に吸収することができる。
【0031】
本発明の請求項6に係る部屋構造は、請求項4に記載において、前記平面部電波吸収膜及び前記側面部電波吸収膜の面抵抗値は、120π(Ω□)を中心とした60π(Ω□)以上240π(Ω□)以下とされることを特徴とする。
【0032】
上記構成によれば、平面部電波吸収膜及び側面部電波吸収膜の面抵抗値が、120π(Ω□)を中心とした60π(Ω□)以上240π(Ω□)以下である。
【0033】
隣り合う電波吸収体の側面部電波吸収膜同士が接触している部分では、120π(Ω□)を中心とした60π(Ω□)以上240π(Ω□)以下の面抵抗値の膜2枚を並列に接続することとなるため、この部分の合成抵抗(面抵抗値)は、60π(Ω□)を中心とした30π(Ω□)以上120π(Ω□)以下となる。
【0034】
つまり、平面部電波吸収膜の面抵抗値は、120π(Ω□)を中心とした60π(Ω□)以上240π(Ω□)以下となり、接触する側面部電波吸収膜の面抵抗値は、60π(Ω□)を中心とした30π(Ω□)以上120π(Ω□)以下となる。このため、例えば、平面部電波吸収膜と電波反射層との距離が0.1λ〜0.4λの場合には、平面部電波吸収膜及び側面部電波吸収膜に優れた電波吸収性を発揮させることができる。
【0035】

本発明の請求項7に係る部屋構造は、請求項5に記載において、隣り合う前記電波吸収体の側面部電波吸収膜同士を導電部材によって接続することを特徴とする。
【0036】
上記構成によれば、隣接する側面部電波吸収膜が隙間を有するように電波吸収体は配置され、導電部材が隣接する側面部電波吸収膜を電気的に接続している。
【0037】
このように導電部材によって隣接する側面部電波吸収膜を電気的に接続することで、隣接する電波吸収体に設けられた平面部電波吸収膜が電磁的につながった1つの面を形成する。これにより、隣接する平面部電波吸収膜の間から電波を透過させることなく、平面部電波吸収膜の一辺の長さよりも波長の長い電波を効果的に吸収することができる。
【0038】
本発明の請求項8に係る部屋構造は、請求項1〜7の何れか1項に記載において、前記支持部材によって囲まれる空間に単層の導電層を有する仕切り部材が設けられることを特徴とする。
【0039】
上記構成によれば、単層の導電層を有する仕切り部材が支持部材によって囲まれた空間に設けられている。
【0040】
このように、単層の導電層を有する仕切り部材を配置することで電波吸収面が増加し、これにより、効果的に広帯域の電波を吸収することができる。
【0041】
また、仕切り部材を設けることで、電波吸収体の剛性を向上させることができる。
【0042】
本発明の請求項9に係る電波吸収体の製造方法は、請求項1〜8何れか1項に記載の部屋構造に備えられる電波吸収体の製造方法であって、熱可塑性フィルムに前記平面部電波吸収膜を設けてシート状の基板を製造する基板製造工程と、前記基板製造工程で製造された基板を加熱することで立体形成する立体形成工程と、を有することを特徴とする。
【0043】
上記構成によれば、基板製造工程で熱可塑性フィルムに平面部電波吸収膜を設けてシート状の基板を製造し、立体形成工程でこの基板を加熱することで立体形成する。
【0044】
このように、基板の製造に熱可塑性フィルムを用い、基板を加熱することでさまざまな形状の電波吸収体を立体形成することができる。
【0045】
また、接着剤、テープ、ボルト等を用いずに電波吸収体を立体形成することができるので、電波吸収体を安価な構成とすることができる。
【0046】
また、立体形成工程を行うまでは、基板をシート状の材料として取り扱うことができるので、電波吸収体を設置する現場で立体形成工程を行うようにすれば、運搬作業や保管作業を効率よく行うことができる。
【0047】
本発明の請求項10に係る建築物は、請求項1〜8の何れか1項に記載の部屋構造を有することを特徴とする。
【0048】
上記構成によれば、建築物は、請求項1〜8の何れか1項に記載の部屋構造を有している。これにより、広帯域の電波の吸収が可能な部屋構造を有する建築物を構築することができる。
【発明の効果】
【0049】
本発明によれば、広帯域の電波を吸収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
(全体構成)
本発明の第1実施形態に係る部屋構造が採用された部屋及びこの部屋を有した建築物の一例について図1〜図5に従って説明する。
【0051】
なお、本実施形態では、建築物10の部屋に本発明の部屋構造を採用した例を示すが、これに限らずに、航空機、電車等の室空間に対しても本発明に係る部屋構造を採用することができる。
【0052】
図1に示されるように、建築物に設けられた部屋12を形成する躯体床14、躯体壁16A、16B、躯体天井18の内面に、反射層としての電波反射層20A〜20Dがそれぞれ設けられている。すなわち、部屋12は、床、壁、及び天井の全部に反射層が設けられた電波シールドルームになっている。
【0053】
この部屋12の中には、パソコン22や携帯電話24が存在し、パソコン22の無線LANや携帯電話24の通信時に電波Pが発生する。そして、電波反射層20A〜20Dは、部屋12の内部で発生した電波Pを反射するようになっている。
【0054】
部屋12の床面には、躯体床14の上面に設けられた電波反射層20Aと間隔を空けて板状の内装床28が支持脚(図示省略)によって支持されている。内装床28は、誘電体としてのコンクリート製の床パネルを複数並べて配置することによって構成されている。
【0055】
また、部屋12の天井面には、躯体天井18の下面に設けられた電波反射層20Cと間隔を空けて誘電体である岩綿吸音板で形成された内装天井36が躯体天井18から吊るされたロッド(不図示)によって支持されている。
【0056】
さらに、部屋12の壁面には、躯体壁16A、16Bの内面に設けられた電波反射層20B、20Dを覆うように、本発明の部屋構造26を構成する複数個の箱状の電波吸収体30が並べられている。そして、箱状の電波吸収体30の底板を構成する平面部材32が部屋12の室内空間に向けられている。つまり、内装床28、電波吸収体30の平面部材32、及び内装天井36によって部屋12の室内空間が形成されている。
【0057】
(要部構成)
図2、図3に示されるように、一方が開放された箱状の電波吸収体30の平面部材32は矩形状とされ、矩形状の平面部材32の縁辺からは、躯体壁16A、16B向うように、板状の支持部材34が立設されている。そして、この電波吸収体30が四方に敷き詰められるよう並べられ、躯体壁16A、16Bに設けられた電波反射層20B、20Dを覆うようになっている。
【0058】
一方、図4(A)(B)に示されるように、躯体壁16A、16Bには、電波吸収体30を躯体壁16A、16Bに固定する固定部材38が設けられている。詳細には、固定部材38には、躯体壁16A、16Bにスクリュー44にて固定される支持部38Aが設けられ、重なり合う2枚の支持部材34を挟み込む一対の挟持部38Bが、支持部38Aから室内空間に向けて立設している。さらに、一対の挟持部38Bの先端部には、互いに接近するように凸となる凸部38Cが設けられ、電波吸収体30を支持した状態(図4(B)参照)で、支持部材34に設けられた凹部40に嵌合するようになっている。
【0059】
つまり、図4(A)に示されるように、箱状の電波吸収体30の開放部を躯体壁16A、16B側に向け、そして一対の挟持部38Bの間に重なり合う2枚の支持部材34を挿入するように電波吸収体30を押圧すると、一対の挟持部38Bが撓んで開放する。さらに、図4(B)に示されるように、支持部材34の端部が支持部38Aに当接すると、挟持部38Bの先端部に設けられた凸部38Cが、支持部材34の凹部40に嵌合するようになっている。これにより、電波吸収体30が、躯体壁16A、16Bに固定されるようになっている。
【0060】
なお、電波吸収体30を躯体壁16A、16Bから取り外す際は、電波吸収体30を室内側に引くことで、固定部材38の挟持部38Bが開くように撓み(図4(A)参照)、凸部38Cと凹部40の嵌合を解除することで電波吸収体30を取り外すことができる。
【0061】
一方、図2に示されるように、電波吸収体30の平面部材32には、単層の導電層を有する厚さ5μm〜60μmの平面部電波吸収膜42が設けられている。
【0062】
また、平面部電波吸収膜42の端部は、図1に示されるように、電波反射層20Aを介してアースに接続されている。冬場等において平面部電波吸収膜42が帯電すると、部屋12に居る人に不快な思いをさせることがあるが、平面部電波吸収膜42をアースに接続させることで、平面部電波吸収膜42が帯電するのを抑制する構成となっている。
【0063】
つまり、部屋12を構成する躯体床14、躯体壁16A、16B、躯体天井18の内面に電波反射層20A〜20Dがそれぞれ設けられ、電波吸収体30の平面部電波吸収膜42は、電波反射層20B、20Dと非接触とされている。
【0064】
一方、図5には、電波反射層20B、20Dと平面部電波吸収膜42との間隔を10mmとしたときの平面部電波吸収膜42の電波吸収特性を有限要素シミュレーションにより計算した結果が示されている。
【0065】
平面部電波吸収膜42の面抵抗値を60π(Ω□)として、横軸は電波の周波数(GHz)であり、縦軸は電波吸収特性(dB)である。電波吸収特性のマイナスの値が大きい(縦軸の下に行く)ほど、電波吸収特性が高い(電波吸収量が多い)ことを示している。
【0066】
電波Pの入射面に対して偏波面を垂直にしたTE波において、符号48は入射角が15°のときの値を示し、符号50は入射角が30°のときの値を示し、符号52は入射角が45°のときの値を示している。また、電波Pの入射面に対して偏波面を平行にしたTM波において、符号54は入射角が15°のときの値を示し、符号56は入射角が30°のときの値を示し、符号58は入射角が45°のときの値を示している。また、符号60は入射角が0°(正面照射)のときの値を示している。
【0067】
図5に示されるように、平面部電波吸収膜42と電波反射層20B、20Dとの間に多重反射が生じると、平面部電波吸収膜42の電波吸収特性は固有の周波数で電波吸収のピークを持つ波形となる。すなわち、平面部電波吸収膜42は固有の周波数の電波Pのみを吸収する周波数特性を有する。そして、この周波数特性は平面部電波吸収膜42に対する電波Pの入射角によって異なるのが分る。
【0068】
(作用・効果)
次に本願発明に係る部屋構造26の作用及び効果について説明する。
【0069】
図1に示されるように、部屋12の室内には、パソコン22や携帯電話24等から生じる電波Pが不特定の方向へ向けて発生している。そして、躯体天井18及び躯体床14に向けて出射された電波Pは、内装天井36及び内装床28を透過して電波反射層20A、20Cによって反射される。
【0070】
さらに、電波反射層20A、20Cによって反射され躯体壁16A、16Bに向けて出射された電波P、及びパソコン22や携帯電話24等から発生して直接躯体壁16A、16Bに向けて出射された電波Pは、単層の導電層からなる平面部電波吸収膜42に入射する。
【0071】
図2に示されるように、平面部電波吸収膜42に入射した電波Pの一部は平面部電波吸収膜42にエネルギー吸収される。また、吸収されなかった電波Pは平面部電波吸収膜42で反射し、残りの電波Pは平面部電波吸収膜42を透過する。
【0072】
平面部電波吸収膜42を透過した電波Pは、電波反射層20B、20Dで反射した後、再び平面部電波吸収膜42へ入射する。入射した電波Pの一部は平面部電波吸収膜42でエネルギー吸収され、吸収されなかった電波Pは平面部電波吸収膜42で反射し、残りの電波Pは平面部電波吸収膜42を透過する。平面部電波吸収膜42で反射した電波は、電波反射層20B、20Dと平面部電波吸収膜間42で多重反射し、何度も平面部電波吸収膜42に当たることによって電波Pのエネルギーが低減される。
【0073】
また、電波反射層20B、20Dと平面部電波吸収膜間42で多重反射する間に、平面部電波吸収膜間42を透過する電波Pの総和と、平面部電波吸収膜42に最初に入射して反射する電波Pとの干渉により、電波Pが打ち消される。
【0074】
このように、平面部電波吸収膜42によるエネルギー吸収効果によって、平面部電波吸収膜42に入射した電波Pを吸収することができる。
【0075】
ここで、干渉し合う電波Pは、位相が逆位相になっているときに完全に相殺し合うので、nを自然数としたときに、反射層と平面部電波吸収膜との間の距離を(2n+1)λ/4にすれば電波を効果的に相殺することができる(正面入射の場合)。
【0076】
しかし、平面部電波吸収膜42は、固有の周波数の電波P(設定した波長λの電波)のみを吸収する周波数特性を有することになり、さまざまな周波数の電波が混在する部屋空間においては、これらの電波Pの波長λがそれぞれ異なるので、全ての電波Pを効果的に吸収することが難しくなる。
【0077】
これに対して第1実施形態の部屋構造26の平面部電波吸収膜42は、図5を使用して説明したように、平面部電波吸収膜42に対する電波Pの入射角によって吸収される周波数特性が異なる。この性質を利用し、部屋12の内部で発生した電波Pを電波反射層20A〜20Dによって繰り返し反射させて、さまざまな入射角で平面部電波吸収膜42に入射させることにより、広帯域の電波Pを吸収することができる。
【0078】
また、広い領域に電波吸収層を形成しようとする場合、導電層を有するフィルム状の電波吸収膜を壁ボードや天井ボード等に貼り付けることは難しい。これに対して、第1実施形態の部屋構造26では、電波吸収体30を複数設置することにより、広い領域に容易に平面部電波吸収膜42(電波吸収層)を形成することができる。
【0079】
また、設置する電波吸収体30の数を増減させることによって、平面部電波吸収膜42を必要とする広さに応じて柔軟に対応することができる。
【0080】
また、単層の導電層で構成された平面部電波吸収膜42は、多層の電波吸収体に比べて一度に吸収できる電波Pの量は小さい。例えば、高い電波吸収性を有する面抵抗値が60π(Ω□)の電波吸収膜においても、電波吸収膜に照射された電波の50%程度しか吸収できない。しかし、第1の実施形態のように、電波反射層20A〜20Dが設けられた部屋12内では電波Pが何度も反射するので複数回の反射の後にエネルギーを低減させることができる。
【0081】
また、平面部電波吸収膜42は、単層の導電層を備える簡単な構造なので、多層の電波吸収体を備える構造と比べて安価な構成となっている。
【0082】
また、平面部電波吸収膜42は膜材なので、誘電部材に容易に取り付けることができる。
【0083】
また、第1の実施形態では、広帯域の電波Pを吸収することができるので、部屋12に存在する電波発生源となる機器が変わっても電波吸収体30を交換することなく部屋12内の電波Pを吸収することができる。
【0084】
また、電波吸収体30は、固定部材38に設けられた凸部38Cと電波吸収体30の支持部材34に設けられた凹部40を嵌合させることで躯体壁16A、16Bに固定する構成となっているため、特にネジ等の固定金具を必要とせず、容易に電波吸収体30を躯体壁16A、16Bへ着脱することができる。
【0085】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、反射層としての電波反射層20A〜20Dが部屋12全体を覆う例を示したが、反射層は部屋12の床、壁、及び天井の一部又は全部に設けられていればよく、部屋12には窓や出入り口等の電波Pが逃げる開口があってもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、特に言及しながったが、電波反射層20A〜20Dの材料は、部屋12の内部で発生した電波Pを反射するものであればよく、鉄筋入りのコンクリート壁、床や天井に配置された金属製のデッキプレートや電波Pを反射するスチール家具等であってもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、電波発生源としてのパソコン22、携帯電話24を部屋12内に配置させた例を示したが、第1の実施形態の部屋構造26は、広帯域の電波Pを吸収することができるので、電波Pを発生するさまざまな機器を部屋12内で使用してもよい。
【0088】
次ぎに、本発明の第2実施形態に係る部屋構造62ついて図6に従って説明する。
【0089】
なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。図6に示されるように、躯体壁16A、16Bには、電波反射層が取り付けられておらず、電波Pを反射する電波反射膜66は、電波吸収体30に設けられている。
【0090】
詳細には、電波吸収体30には、支持部材34で区画された開放部を覆うように板状の蓋部材68が設けられ、この蓋部材68の内面に電波反射膜66が取り付けられている。また、蓋部材68には、固定部材38の挟持部38Bが挿通する開口部68Aが適宜設けられている。
【0091】
このように、電波反射膜66を電波吸収体30に設けることで、電波吸収体30を設置するだけで、広帯域の電波Pを吸収することができる。
【0092】
次ぎに、本発明の第3実施形態に係る部屋構造72ついて図7〜図11に従って説明する。
【0093】
なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。図7に示されるように、第3実施形態では、第1実施形態と違い、電波吸収体30の支持部材34の外表面には、平面部電波吸収膜42の縁部から連なるように単層の導電層を有する側面部電波吸収膜74が設けられている。そして、電波吸収体30が躯体壁16A、16Bに取り付けられた状態で、隣接する電波吸収体30の側面部電波吸収膜74は、重なるように接触するようになっている。
【0094】
さらに、平面部電波吸収膜42及び側面部電波吸収膜74の面抵抗値は、120π(Ω□)を中心とした60π(Ω□)以上240π(Ω□)以下とされている。
【0095】
つまり、側面部電波吸収膜74は隣接する側面部電波吸収膜74と重なるように接触しているのでこの部分では、120π(Ω□)を中心とした60π(Ω□)以上240π(Ω□)以下の抵抗が並列に接続されることとなる。このため、この部分の合成抵抗(面抵抗値)は、60π(Ω□)を中心とした30π(Ω□)以上120π(Ω□)以下となる。
【0096】
すなわち、平面部電波吸収膜42の面抵抗値は、120π(Ω□)を中心とした60π(Ω□)以上240π(Ω□)以下となり、接触する側面部電波吸収膜74の面抵抗値は、60π(Ω□)を中心とした30π(Ω□)以上120π(Ω□)以下となる。
【0097】
次に、平面部電波吸収膜42及び側面部電波吸収膜74の面抵抗値が60π(Ω□)を中心とした30π(Ω□)以上120π(Ω□)以下である場合に、優れた電波吸収性が得られることについて説明する。
【0098】
図8の各曲線は、平面部電波吸収膜42及び側面部電波吸収膜74に電波Pを照射したときの、平面部電波吸収膜42及び側面部電波吸収膜74の面抵抗値(横軸)に対する電波Pの反射、透過、及び吸収エネルギーの割合(縦軸)を示している。実線は吸収エネルギー、一点鎖線は透過エネルギー、二点鎖線は反射エネルギーをそれぞれ示している。これらの値は、有限要素法シミュレーションにより計算した結果である。
【0099】
例えば、フィルムの面抵抗値が十分に低い1.E−01Ω□程度の金属等の場合には、照射された電波Pは、ほぼ全て反射される。また逆に、フィルムの面抵抗値が十分に高い1.E+06(Ω□)程度のビニールシート等の絶縁膜の場合には、照射された電波Pは、ほぼ全て透過される。
【0100】
そして、フィルムの面抵抗値が60π(Ω□)(A点)のときに吸収エネルギーが最大となり、入射エネルギーの50%が吸収されて、25%の電波Pが透過され、25%の電波Pが反射される。
【0101】
このように電波Pの吸収特性は、面抵抗値が60π(Ω□)(A点)のときの吸収エネルギーの値50%を頂点とする正規分布の曲線になる。さらに、図8より、面抵抗値が30π(Ω□)(B点)、120π(Ω□)(B点)のときに入射エネルギーの45%が吸収され、面抵抗値が45π(Ω□)(C点)、90π(Ω□)(C点)のときに入射エネルギーの47.5%が吸収される。
【0102】
つまり、優れた電波吸収性(照射された電波エネルギーの45%〜50%を吸収)を得るためには、電波吸収体の面抵抗値を30π(Ω□)〜120π(Ω□)とすればよく、45π(Ω□)〜90π(Ω□)とするのが好ましく、60π(Ω□)とするのがより好ましい。
【0103】
また、これらの特性は、電波吸収体30の導電層が単層で成立し、多重反射を用いないため、周波数に依存しないので、広帯域の電波Pに対して利用することができる。
【0104】
なお、面抵抗値が60π(Ω□)のときの吸収エネルギーの値が最大になることは、等価回路をキルヒホッフの法則によって解くことからも立証できる。
【0105】
図9に示すフィルムに電波を照射したモデルの等価回路76に、キルヒホッフの法則を適用し、フィルムに到達する電波の起電力をV、等価回路に流れる電流をI、I、空間のインピーダンスをZ、フィルムの面抵抗値をRとすると、式(1)、(2)が得られる。
【0106】
V=Z・I+R(I−I)・・・・・(1)
0=R(I−I)+Z・I・・・・・(2)
この式(1)、(2)より、フィルムで消費される電力Pは式(3)によって算出される。
【0107】
P=R(I−I=R・V/Z+2・R)・・・(3)
さらに、フィルムの面抵抗値Rで式(3)を偏微分して電力吸収の極値を求め、空間のインピーダンスZを120π(Ω)とすると、式(4)よりフィルムの面抵抗値は60π(Ω)となり、シミュレーション結果と一致する。
【0108】
R=Z/2・・・・・(4)
一方、図10は、平面部電波吸収膜42に対して電波Pを正面照射した場合における、電波反射層20B、20Dと平面部電波吸収膜42との間隔に対する平面部電波吸収膜42の電波吸収特性を有限要素シミュレーションにより計算した結果である。実線は面抵抗値が60π(Ω□)の平面部電波吸収膜42の値を示し、点線は面抵抗値が120π(Ω□)の平面部電波吸収膜42の値を示している。
【0109】
詳細には、横軸は電波反射層20B、20Dと平面部電波吸収膜42との間隔を、照射する電波Pの波長λの倍数で示したものであり、縦軸は電波吸収特性(dB)である。電波吸収特性のマイナスの値が大きい(縦軸の下に行く)ほど、電波吸収特性が高い(電波吸収量が多い)ことを示している。
【0110】
図10に示されるように、電波反射層20B、20Dと平面部電波吸収膜42との間隔が0.1λ〜0.4λのときに、面抵抗値120π(Ω□)の平面部電波吸収膜42の電波吸収特性が、面抵抗値60π(Ω□)の平面部電波吸収膜42の電波吸収特性を上回る構成となっている。
【0111】
この程度の電波吸収特性が得られれば、電波反射層20B、20Dが設けられた部屋内における電波Pの複数回の反射によってエネルギーを効果的に低減させることができ、広帯域の電波Pに対する高い吸収特性を発揮することが可能になる。
【0112】
また、図10では、電波反射層20B、20Dと平面部電波吸収膜42との間隔が0.1λよりも大きく0.25λに近づくほど、電波吸収特性が高くなっていることが示されている。
【0113】
そこで、これらの特性を生かして、本実施形態では、電波反射層20B、20Dと平面部電波吸収膜42との間隔を電波Pの波長の0.1倍よりも大きく0.4倍までの範囲とすることで、高い電波吸収性を得ることができる。
【0114】
なお、図10に示されるように、面抵抗値120π(Ω□)の平面部電波吸収膜42の電波吸収特性は、波長の0.1倍から0.4倍までの範囲、波長の0.6倍から0.9倍までの範囲(以下周期的に発生)で、面抵抗値60π(Ω□)の平面部電波吸収膜42の電波吸収特性を上回る。しかし、一般建築においては、電波反射層20B、20Dと平面部電波吸収膜42との間隔を大きく取ることが困難であるため、最初の区間(0.1倍から0.4倍)のみを本実施形態では説明する。
【0115】

さらに、図10で示すように、平面部電波吸収膜42と電波反射層20B、20Dとの間の距離が0.1λ(λ/10)よりも小さい場合(0.4λ以上0.6λ以下、0.9λ以上1.1λ以下等の周期的領域も含まれる。)において、平面部電波吸収膜42の面抵抗値を60π(Ω□)とすれば、電波吸収性を、平面部電波吸収膜42の面抵抗値を120π(Ω□)としたときよりも高くなる。
【0116】
これに対し、平面部電波吸収膜42と電波反射層20B、20Dとの間の距離が0.1λ(λ/10)よりも大きく0.4λ未満の場合(0.6λより大きく0.9λ未満の等の周期的領域も含まれる。)において、平面部電波吸収膜42の面抵抗値を120π(Ω□)とすれば、電波吸収性を、平面部電波吸収膜42の面抵抗値を60π(Ω□)としたときよりも高くなる。
【0117】
以上より、面抵抗値60π(Ω□)を中心とした30π(Ω□)以上120π(Ω□)以下の平面部電波吸収膜42は、平面部電波吸収膜42と電波反射層20B、20Dとの間の距離が0.1λよりも小さい場合(0.4λ以上0.6λ以下、0.9λ以上1.1λ以下等の周期的領域も含まれる。)に用いられる。
【0118】
さらに、面抵抗値60π(Ω□)を中心とした30π(Ω□)以上120π(Ω□)以下の平面部電波吸収膜42は、側面部電波吸収膜74に電波が入射するときのように多重反射する反射層がなくて(電波反射する層があったとしても、側面部電波吸収膜の幅が反射層との距離に比較して小さく、多重反射できない場合を含む)自由空間に膜を置いたのと同等の場合に用いられる。
【0119】
これに対し、面抵抗値120π(Ω□)を中心とした60π(Ω□)以上240π(Ω□)以下の平面部電波吸収膜42は、平面部電波吸収膜42と電波反射層20B、20Dとの間の距離が0.1λ(λ/10)よりも大きく0.4λ未満(0.6λより大きく0.9λ未満の等の周期的領域も含まれる。)の場合に用いられる。
【0120】
図11は、平面部電波吸収膜42に対して電波Pを正面照射した場合において、電波反射層20B、20Dと平面部電波吸収膜42との間隔を10GHzの電波に対して0.25λ(λ/4)としたときの平面部電波吸収膜42の電波吸収特性を有限要素シミュレーションにより計算した結果である。
【0121】
詳細には、横軸を電波Pの周波数[GHz]として、縦軸を平面部電波吸収膜42の電波吸収特性[dB]として、所定の面抵抗値[Ohm]毎に曲線にて電波吸収特性を表している。また、電波吸収特性のマイナスの値が大きい(縦軸の下に行く)ほど、電波吸収特性が高い(電波吸収量が多い)ことを示している。
【0122】
これからも分るように、面抵抗値が120πからずれたときには、吸収ピークが鈍って下がるものの電波Pの周波数が約10[GHz]のときに、平面部電波吸収膜42の電波吸収量が最大になることが分かる。さらに、シミュレーションの結果としては、面抵抗値を60π(Ω□)の場合に、電波吸収特性は最高で−9.5[dB]となり、面抵抗値を120π(Ω□)の場合に、電波吸収特性は最高で−71[dB]となる(なお、この値は、あくまでもシミュレータの計算精度に依存する。理論的には−∞となる。)。
【0123】
以上説明したように、本第3実施形態では、側面部電波吸収膜74を電波吸収体30の側面を形成するように支持部材34に固定することで、電波吸収面(単層の導電層を有する電波吸収膜の面積)が増加し、効果的に広帯域の電波Pを吸収することができる。
【0124】
また、平面部電波吸収膜42による電波吸収が困難となる平面部電波吸収膜42に対して入射角度の大きな電波を、側面部電波吸収膜74によって吸収することができる。
【0125】
また、平面部電波吸収膜42及び側面部電波吸収膜74の面抵抗値は、60π(Ω□)以上120π(Ω□)以下とされている。さらに、隣接する側面部電波吸収膜74を重ねるように接触させることで、この部分の合成抵抗(面抵抗値)は、30π(Ω□)以上60π(Ω□)以下となる。このため、平面部電波吸収膜42側面部電波吸収膜74に優れた電波吸収性(入射した電波の45%〜50%を吸収)を発揮させることができる。
【0126】
また、図10で示すように、平面部電波吸収膜42と電波反射層20B、20Dとの間の距離が0.1λ(λ/10)よりも小さい場合において、平面部電波吸収膜42の面抵抗値を60π(Ω□)とすれば、電波吸収性を、平面部電波吸収膜42の面抵抗値を120π(Ω□)としたときよりも高くすることができる。
【0127】
また、これに対し、平面部電波吸収膜42と電波反射層20B、20Dとの間の距離が0.1λ(λ/10)よりも大きく0.4λ未満の場合において、平面部電波吸収膜42の面抵抗値を120π(Ω□)とすれば、電波吸収性を、平面部電波吸収膜42の面抵抗値を60π(Ω□)としたときよりも高くすることができる。
【0128】
次ぎに、本発明の第4実施形態に係る部屋構造82ついて図12に従って説明する。
【0129】
なお、第3実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。図12に示されるように、第4実施形態では、隣接する電波吸収体30の側面部電波吸収膜84は、重なるように接触するようになっておらず、隣接する側面部電波吸収膜84の間には大きな隙間が設けられている。
【0130】
このように、大きな隙間を設けることで、隣接する側面部電波吸収膜84の間で電波Pの反射が繰り返えされる。これにより、効果的に側面部電波吸収膜84が電波Pを吸収することができる。
【0131】
次ぎに、本発明の第5実施形態に係る部屋構造92ついて図13に従って説明する。
【0132】
なお、第3実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。図13に示されるように、第5実施形態では、電波吸収体30の支持部材34に設けられた側面部電波吸収膜94には、側面部電波吸収膜94を保護する保護フィルム96が一面に貼付されている。
【0133】
このため、隣接する電波吸収体30の側面部電波吸収膜94は、重なるように接触することなく、隣接する側面部電波吸収膜94の間には、保護フィルム96を挟んで微小な隙間が設けられ、側面部電波吸収膜94の間がコンデンサとして働くようになっている。
【0134】
これにより、隣接する平面部電波吸収膜42同士が電磁的につながった1つの面を形成することになり、隣接する平面部電波吸収膜42の間から電波を透過させることなく、平面部電波吸収膜42の一辺の長さよりも波長の長い電波Pを効果的に吸収することができる。
【0135】
次ぎに、本発明の第6実施形態に係る部屋構造102ついて図14(A)に従って説明する。
【0136】
なお、第3実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。図14(A)に示されるように、第6実施形態では、電波吸収体30の支持部材34に設けられた側面部電波吸収膜104には、側面部電波吸収膜104を覆う板状の装飾部材106が一面に設けられている。
【0137】
そして、隣接する側面部電波吸収膜104の間に設けられた装飾部材106には、開口部106Aが設けられており、この開口部106Aに導電部材としての導電板108が配置されている。そして、この導電板108を通して隣接する側面部電波吸収膜104が電気的に接続されている。
【0138】
このように、導電板108によって隣接する側面部電波吸収膜104を電気的に接続することで、隣接する電波吸収体30に設けられた平面部電波吸収膜42が電磁的につながった1つの面を形成する。これにより、隣接する平面部電波吸収膜42の間から電波Pを透過させることなく、平面部電波吸収膜42の一辺の長さよりも波長の長い電波Pを効果的に吸収することができる。
【0139】
次ぎに、本発明の第7実施形態に係る部屋構造112ついて図14(B)に従って説明する。
【0140】
なお、第3実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。図14(B)に示されるように、第7実施形態では、電波吸収体30に設けられた平面部電波吸収膜114及び側面部電波吸収膜116は、電波吸収体30の外表面ではなく、内表面に設けられている。
【0141】
そして、隣接する支持部材34には、隣り合う電波吸収体30の内周面を貫くように円孔34Aが複数個(本実施形態では2個)設けられている。さらに、この円孔34Aを挿通する導電部材としてのボルト118が設けられ、このボルト118の先端部にナット120が締め付けられている。
【0142】
このように、ボルト118及びナット120によって隣接する側面部電波吸収膜116を電気的に接続することで、隣接する電波吸収体30に設けられた平面部電波吸収膜114が電磁的につながった1つの面を形成する。これにより、隣接する平面部電波吸収膜114の間から電波Pを透過させることなく、平面部電波吸収膜114の一辺の長さよりも波長の長い電波Pを効果的に吸収することができる。
【0143】
次ぎに、本発明の第8実施形態に係る部屋構造122ついて図14(C)に従って説明する。
【0144】
なお、第3実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。図14(C)に示されるように、第8実施形態では、電波吸収体30に設けられた平面部電波吸収膜124及び側面部電波吸収膜126は、電波吸収体30の外表面ではなく、内表面に設けられている。
【0145】
さらに、夫々の側面部電波吸収膜126と電波反射層20B、20Dを電気的に接続する接続線128が設けられている。そして、接続線128及び電波反射層20B、20Dを通して隣接する側面部電波吸収膜126が電気的に接続されるようになっている。
【0146】
このように、接続線128によって隣接する側面部電波吸収膜126を電気的に接続することで、隣接する電波吸収体30に設けられた平面部電波吸収膜124が電磁的につながった1つの面を形成する。これにより、隣接する平面部電波吸収膜124の間から電波Pを透過させることなく、平面部電波吸収膜124の一辺の長さよりも波長の長い電波Pを効果的に吸収することができる。なお、34の材質を金属製としてもよい。
【0147】
次ぎに、本発明の第9実施形態に係る部屋構造132ついて図15(A)(B)に従って説明する。
【0148】
なお、第3実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。図15(A)に示されるように、第9実施形態では、箱状の電波吸収体30の内部に、発砲PP及び発砲PSに代表される発砲体134が充填されている。
【0149】
さらに、躯体壁16A、16Bには、挟持部を備えて固定部材は設けられておらず、先細りの先端部を室内側へ向け、螺旋状のネジ部を備えたネジ部材136が複数個設けられている。
【0150】
図15(A)に示されるように、電波吸収体30を躯体壁16A、16Bに向けて押圧することで、図15(B)に示されるように、ネジ部材136の螺旋状のネジ部が発砲体134にめり込んで電波吸収体30が躯体壁16A、16Bに固定されるようになっている。
【0151】
このように、躯体壁16A、16Bにネジ部材136を予め固定することで、電波吸収体30を躯体壁16A、16Bに固定させる際に別途ボルト等の締付部材を用いることなく、容易に電波吸収体30を躯体壁16A、16Bに固定することができる。
【0152】
次ぎに、本発明の第10実施形態に係る部屋構造138ついて図16(A)に従って説明する。
【0153】
なお、第3実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。図16(A)に示されるように、第10実施形態では、電波吸収体30に設けられた支持部材34の縁部には、電波吸収体30の断面がハット形状になるように板状のフランジ部140が連結されている。
【0154】
さらに、このフランジ部140には、表裏を貫通する円孔140Aが形成され、この円孔140Aを挿通させてスクリュー141を室内側から躯体壁16A、16Bへ締め込むことで、電波吸収体30を躯体壁16A、16Bに固定するようになっている。
【0155】
このように、電波吸収体30にフランジ部140を設け、スクリュー141で電波吸収体30を躯体壁16A、16Bに固定することで、確実に電波吸収体30を躯体壁16A、16Bに固定することができる。
【0156】
次ぎに、本発明の第11実施形態に係る部屋構造142ついて図16(B)に従って説明する。
【0157】
なお、第3実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。図16(B)に示されるように、第11実施形態では、電波吸収体30に設けられた支持部材34の縁部には、電波吸収体30の開口を狭めるように板状のフランジ部144が設けられている。
【0158】
さらに、このフランジ部144には、表裏を貫通する円孔144Aが形成され、平面部材32には、円孔144Aと対向する位置に円孔32Aが形成されている。そして、円孔32A及び144Aを挿通させてスクリュー146を室内側から躯体壁16A、16Bへ締め込むことで、電波吸収体30を躯体壁16A、16Bに固定するようになっている。
【0159】
このように、開口を狭めるようにフランジ部144を設け、スクリュー146で電波吸収体30を躯体壁16A、16Bに固定することで、隣接する電波吸収体30の障害になることなく、確実に電波吸収体30を躯体壁16A、16Bに固定することができる。
【0160】
次ぎに、本発明の第12実施形態に係る部屋構造152ついて図17(A)に従って説明する。
【0161】
なお、第3実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。図17(A)に示されるように、第12実施形態では、電波吸収体30は、躯体壁16A、16Bに設けられておらず、躯体天井18に設けられている。
【0162】
詳細には、基端部が躯体天井18に固定された吊金具154が、躯体天井18から吊り下げられ、吊金具154の先端部には、板状の内装天井36が取り付けられている。さらに、内装天井36に載置されるように電波吸収体30が並べられている。
【0163】
このように、電波吸収体30を内装天井36に並べて載置することで電波反射層20Cと平面部電波吸収膜42との間で電波Pが多重反射し、何度も平面部電波吸収膜42に当てることによって電波Pのエネルギーを低減させることができる。
【0164】
なお、本形態において、平面部電波吸収膜42を反射層とし、内装天井36の天井裏側に電波吸収層を設置する形態でも良い。
【0165】
次ぎに、本発明の第13実施形態に係る部屋構造162ついて図17(B)に従って説明する。
【0166】
なお、第12実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。図17(B)に示されるように、第13実施形態では、電波吸収体30は、内装天井36に載置されておらず、躯体天井18に固定されている。
【0167】
詳細には、箱状の電波吸収体30の開放部を躯体天井18に向けて、電波吸収体30は図示せぬ固定具で躯体天井18に並べられて固定されている。
【0168】
このように、電波吸収体30を躯体天井18に並べて固定することで電波反射層20Cと平面部電波吸収膜42との間で電波Pが多重反射し、何度も平面部電波吸収膜42に当てることによって電波Pのエネルギーを低減させることができる。
【0169】
次ぎに、本発明の第14実施形態に係る部屋構造172ついて図18(A)に従って説明する。
【0170】
なお、第3実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。図18(A)に示されるように、第14実施形態では、電波吸収体30は、躯体壁16A、16Bに設けられておらず、躯体床14の上に並べられて載置されている。
【0171】
詳細には、基端部が躯体床14に固定された支持脚174が、躯体床14から立設され、支持脚174の先端部には、床材176Aとフローリング176Bから構成された内装床176が載置されている。そして、支持脚174との干渉を避けるように躯体床14の上に電波吸収体30が設けられている。
【0172】
このように、電波吸収体30を躯体床14の上に並べて載置することで電波反射層20Aと平面部電波吸収膜42との間で電波Pが多重反射し、何度も平面部電波吸収膜42に当てることによって電波Pのエネルギーを低減させることができる。
【0173】
次ぎに、本発明の第15実施形態に係る部屋構造182ついて図18(B)に従って説明する。
【0174】
なお、第14実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。図18(B)に示されるように、第15実施形態では、電波吸収体30は、躯体床14の上には載置されておらず、内装床176の上に並べられて載置されている。
【0175】
このように、電波吸収体30を内装床176の上に並べて載置することで、支持脚174との干渉を考慮することなく隙間無く電波吸収体30を並べることができる。これにより、電波反射層20Aと平面部電波吸収膜42との間で電波Pが多重反射し、効果的に何度も平面部電波吸収膜42に当てることによって電波Pのエネルギーを低減させることができる。
【0176】
次ぎに、本発明の第16実施形態に係る部屋構造192ついて図19に従って説明する。
【0177】
なお、第14実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。図19に示されるように、第16実施形態の電波吸収体30の支持部材34の外表面には、平面部電波吸収膜42の縁部から連なるように単層の導電層を有する側面部電波吸収膜194が設けられている。そして、隣接する支持部材34を挟み込む挟持部材196が備えられている。
【0178】
詳細には、電波吸収体30には、挟持部材196を取り付けるための作業穴195が形成されており、この作業穴195を通して挟持部材196を支持部材34に近づけ、そして、挟持部材196で隣接する支持部材34を挟み込んで取り付けるようになっている。
【0179】
このように、作業穴195を設けて挟持部材196を取り付けることで、隣接する電波吸収体30の側面部電波吸収膜194を確実に接触させることができる。
【0180】
また、隣接する電波吸収体30の側面部電波吸収膜194が確実に接触するため、予定数量の電波吸収体30を躯体床14上に敷き詰めることができる。
【0181】
次ぎに、本発明の第17実施形態に係る部屋構造198ついて図20(A)(B)に従って説明する。
【0182】
なお、第14実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。図20(B)に示されるように、第17実施形態の部屋構造198には、平面視で格子状の取付枠部材199が設けられ、躯体床14に載置されている。
【0183】
詳細には、取付枠部材199の枠形状は、電波吸収体30が嵌合するように決められている。さらに、電波吸収体30の支持部材34の外表面には、平面部電波吸収膜42の縁部から連なるように単層の導電層を有する側面部電波吸収膜200が設けられている。 そして、図20(A)に示されるように、躯体床14に載置された取付枠部材199に電波吸収体30を一つ一つ嵌合させることで、電波吸収体30を躯体床14上に並べて載置するようになっている。
【0184】
このように、電波吸収体30を一つ一つ取付枠部材199に嵌合させることで、隣接する電波吸収体30の間隔を所定量に保つことができる。
【0185】
また、隣接する電波吸収体30の間隔を所定量に保つことで、隣接する側面部電波吸収膜200の間で電波Pの反射が確実に繰り返えされ、効果的に側面部電波吸収膜200が電波Pを吸収することができる。
【0186】
次ぎに、本発明の第18実施形態に係る部屋構造202ついて図21(A)に従って説明する。
【0187】
なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。図21(A)に示されるように、第18実施形態の部屋構造202に用いられる電波吸収体204の内部には、箱状の内部を4つに区画する仕切り部材としての板状の仕切板206、208が設けられている。そして、この仕切板206、208には、単層の導電層が設けられている。
【0188】
このように、単層の導電層を有する仕切板206、208を配置することで電波Pを吸収する電波吸収面が増加し、これにより、効果的に広帯域の電波Pを吸収することができる。
【0189】
次ぎに、本発明の第19実施形態に係る部屋構造212ついて図21(B)に従って説明する。
【0190】
なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。図21(B)に示されるように、第19実施形態の部屋構造212に用いられる電波吸収体214の内部には、箱状の内部を円状に区画する仕切り部材としての円状の仕切板216、218、220が設けられている。そして、この仕切板216、218、220には、単層の導電層が設けられている。
【0191】
このように、単層の導電層を有する仕切板216、218、220を配置することで電波Pを吸収する電波吸収面が増加し、これにより、効果的に広帯域の電波Pを吸収することができる。
【0192】
次ぎに、本発明の第20実施形態に係る部屋構造222ついて図22(A)(B)に従って説明する。
【0193】
なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。図22(A)に示されるように、第20実施形態の部屋構造222に用いられる電波吸収体224は、熱可塑性フィルム226、228と、単層の導電層を備えた電波吸収膜230とで構成された基板232によって形成される。
【0194】
以下、この電波吸収体224の製造方法について説明する。
【0195】
先ず、図22(A)に示されるように、基板製造工程で、熱可塑性フィルム226と熱可塑性フィルム228の間に電波吸収膜230を挟んでシート状の基板232を製造し、所定の形状にカットする。
【0196】
次に、図22(B)に示されるように、立体形成工程でこの基板232を加熱することで基板232を立体的に形成して箱状の電波吸収体224を製造する。なお、基板232を立体的に形成する工法としては、真空成形や熱プレス等を上げられる。
【0197】
このように、基板232の製造に熱可塑性フィルム226、228を利用し、基板232を加熱することで、さまざまな形状の電波吸収体224を立体形成することができる。
【0198】
また、接着剤、テープ、ボルト等を用いずに電波吸収体224を立体形成することができるので、電波吸収体224を安価な構成とすることができる。
【0199】
また、立体形成工程を行うまでは、基板232をシート状の材料として取り扱うことができるので、電波吸収体224を設置する現場で立体形成工程を行うようにすれば、運搬作業や保管作業を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0200】
【図1】本発明の第1実施形態に係る部屋構造が採用された部屋の全体側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る部屋構造に設けられた電波吸収体の拡大断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る部屋構造に設けられた電波吸収体の斜視図である。
【図4】(A)(B)本発明の第1実施形態に係る部屋構造に設けられた電波吸収体の取り付け構造を示した断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る部屋構造に設けられた電波吸収体に取り付けられた平面部電波吸収膜の特性をグラフで示した図面である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る部屋構造に設けられた電波吸収体の拡大断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る部屋構造に設けられた電波吸収体の拡大断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る部屋構造に設けられる電波吸収体に取り付けられた平面部電波吸収膜及び側面部電波吸収膜の面抵抗値と吸収エネルギー等との関係をグラフで示した図面である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る部屋構造に設けられる電波吸収体の等価回路を示す説明図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係る部屋構造に設けられる電波吸収体に取り付けられた平面部電波吸収膜の設置間隔に対する電波吸収特性をグラフで示した図面である。
【図11】本発明の第3実施形態に係る部屋構造に設けられる電波吸収体に取り付けられた平面部電波吸収膜の設置間隔を一定としたときの面部電波吸収膜の電波吸収特性をグラフで示した図面である。
【図12】本発明の第4実施形態に係る部屋構造に設けられた電波吸収体の拡大断面図である。
【図13】本発明の第5実施形態に係る部屋構造に設けられた電波吸収体の拡大断面図である。
【図14】(A)(B)(C)本発明の第6実施形態、第7実施形態、第8実施形態に係る部屋構造に設けられた電波吸収体の拡大断面図である。
【図15】(A)(B)本発明の第9実施形態に係る部屋構造に設けられた電波吸収体の拡大断面図である。
【図16】(A)(B)本発明の第10実施形態、第11実施形態に係る部屋構造に設けられた電波吸収体の拡大断面図である。
【図17】(A)(B)本発明の第12実施形態、第13実施形態に係る部屋構造に設けられた電波吸収体の拡大断面図である。
【図18】(A)(B)本発明の第14実施形態、第15実施形態に係る部屋構造に設けられた電波吸収体の拡大断面図である。
【図19】本発明の第16実施形態に係る部屋構造に設けられた電波吸収体の拡大断面図である。
【図20】(A)(B)本発明の第17実施形態に係る部屋構造に設けられた電波吸収体の側面図及び平面図である。
【図21】(A)(B)本発明の第18実施形態、第19実施形態に係る部屋構造に設けられた電波吸収体の斜視図である。
【図22】(A)(B)本発明の第20実施形態に係る部屋構造に設けられた電波吸収体の製造方法を示した説明図である。
【図23】従来の部屋構造を示す説明図である。
【符号の説明】
【0201】
10 建築物
14 躯体床
16A 躯体壁
16B 躯体壁
18 躯体天井
20A 電波反射層(反射層)
20B 電波反射層(反射層)電波反射層
20C 電波反射層(反射層)電波反射層
20D 電波反射層(反射層)電波反射層
26 部屋構造
30 電波吸収体
32 平面部材
34 支持部材
42 平面部電波吸収膜
62 部屋構造
66 電波反射膜(反射層)
72 部屋構造
74 側面部電波吸収膜
82 部屋構造
84 側面部電波吸収膜
92 部屋構造
94 側面部電波吸収膜
102 部屋構造
104 側面部電波吸収膜
108 導電板(導電部材)
112 部屋構造
114 平面部電波吸収膜
116 側面部電波吸収膜
118 ボルト(導電部材)
120 ナット(導電部材)
122 部屋構造
124 平面部電波吸収膜
126 側面部電波吸収膜
128 接続線(導電部材)
132 部屋構造
138 部屋構造
142 部屋構造
152 部屋構造
162 部屋構造
172 部屋構造
182 部屋構造
192 部屋構造
194 側面部電波吸収膜
198 部屋構造
200 側面部電波吸収膜
202 部屋構造
204 電波吸収体
206 仕切板(仕切り部材)
212 部屋構造
214 電波吸収体
216 仕切板(仕切り部材)
222 部屋構造
224 電波吸収体
226 熱可塑性フィルム
228 熱可塑性フィルム
230 電波吸収膜
232 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面、壁面及び天井面の少なくとも1つの面に備えられ、電波を反射する反射層と、
単層の導電層を有する平面部電波吸収膜が設けられた平面部材と、前記平面部材を前記反射層から離して支持する支持部材と、を備えた電波吸収体と、
を有する部屋構造。
【請求項2】
前記支持部材には、前記反射層が前記平面部電波吸収膜と対面するように固定されている請求項1に記載の部屋構造。
【請求項3】
前記支持部材には、単層の導電層を有する側面部電波吸収膜が前記電波吸収体の側面を形成するように固定されている請求項1又は2に記載の部屋構造。
【請求項4】
前記平面部電波吸収膜と前記側面部電波吸収膜が連続する前記電波吸収体が複数並べられ、隣り合う前記電波吸収体の前記側面部電波吸収膜同士が接触している請求項3に記載の部屋構造。
【請求項5】
前記電波吸収体が複数並べられ、隣り合う前記電波吸収体の側面部電波吸収膜同士の間に隙間を有している請求項3に記載の部屋構造。
【請求項6】
前記平面部電波吸収膜及び前記側面部電波吸収膜の面抵抗値は、120π(Ω□)を中心とした60π(Ω□)以上240π(Ω□)以下とされる請求項4に記載の部屋構造。
【請求項7】
隣り合う前記電波吸収体の側面部電波吸収膜同士を導電部材によって接続する請求項5に記載の部屋構造。
【請求項8】
前記支持部材によって囲まれる空間に単層の導電層を有する仕切り部材が設けられる請求項1〜7の何れか1項に記載の部屋構造。
【請求項9】
請求項1〜8何れか1項に記載の部屋構造に備えられる電波吸収体の製造方法であって、
熱可塑性フィルムに前記平面部電波吸収膜を設けてシート状の基板を製造する基板製造工程と、
前記基板製造工程で製造された基板を加熱することで立体形成する立体形成工程と、
を有する電波吸収体の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜8の何れか1項に記載の部屋構造を有する建築物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate


【公開番号】特開2010−74098(P2010−74098A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−243117(P2008−243117)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】