説明

部材の固定構造およびその固定方法

【課題】内側部材および外側部材の軸方向における相対位置の変更および位置決め固定ができる部材の固定構造を提供すること。
【解決手段】第1貫通孔32に第1部材4が挿着されて係合面4aが第1面11に係合されることで、内側部材10は外側部材30に対して軸方向の一方Aに向かう相対移動が規制される。第2貫通孔33に第2部材5が挿着されて係合面5aが第2面13に係合されることで、内側部材10は外側部材30に対して軸方向の他方Bに向かう相対移動が規制されるので、内側部材10及び外側部材30を軸方向に対して位置決め固定できる。また、第1部材4及び第2部材5を外周側に後退させて内側部材10と外側部材30との相対位置を変更した後、第1部材4及び第2部材5を軸心C側に前進させることで、この場合も内側部材10及び外側部材30を軸方向に対して位置決め固定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は部材の固定構造およびその固定方法に関し、特に、内側部材および外側部材の軸方向における相対位置の変更および位置決め固定ができる部材の固定構造およびその固定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、棒状等に形成される内側部材と、その内側部材の外周側に配置される外側部材とを固定するための種々の構造が知られている。例えば特許文献1には、切削ツールのシャンク(内側部材)をホルダ(外側部材)に固定する構造であって、ホルダのスリーブに支持された止めネジを締結して、シャンクの外周面に形成されたフラット部に対して固定するものが開示されている。特許文献1に開示される治術では、止めネジを締結すると止めネジの平坦面でシャンクのフラット部が圧接されるので、シャンクとホルダとが回転方向に対して相対移動することを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2007−502719号公報(図1、図3など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、止めネジの平坦面とシャンクのフラット部とは軸方向に対して滑り易いので、シャンク(内側部材)とホルダ(外側部材)とが軸方向に対して位置決め固定され難いという問題があった。
【0005】
また、止めネジを緩めることでシャンク(内側部材)とホルダ(外側部材)との軸方向に対する相対位置を変更できるが、変更した位置で止めネジを締結した場合も、止めネジがフラット部に対して軸方向に滑り易いので、シャンク(内側部材)とホルダ(外側部材)とが軸方向に対して位置決め固定され難いという問題があった。
【0006】
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、内側部材および外側部材の軸方向における相対位置の変更および位置決め固定ができる部材の固定構造およびその固定方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
この目的を達成するために請求項1記載の部材の固定構造によれば、外側部材の軸方向にそって形成された孔部に内側部材が挿入されることで、内側部材に対して外側部材を軸方向に相対移動可能にできる。内側部材は、外周面から軸心側に軸方向と交差状に下降する第1面を備え、外側部材は、外周面と孔部の内周面との間を貫通し孔部に挿入された内側部材の第1面を臨む第1貫通孔を備えているので、その第1貫通孔に外側部材の外周面側から第1部材が挿着されて、第1部材の係合面が第1面と係合することで、内側部材は、外側部材に対して軸方向の一方に向かう相対移動が規制される。
【0008】
また、内側部材は、外周面から軸心側に軸方向と交差状に下降する第2面を備え、外側部材は、外周面と孔部の内周面との間を貫通し孔部に挿入された内側部材の第2面を臨む第2貫通孔を備えているので、その第2貫通孔に外側部材の外周面側から第2部材が挿着されて係合面が第2面と係合され、第2面に係合面が係合された第2部材および第1面に係合面が係合された第1部材が協働することにより、外側部材および内側部材は軸方向に相対移動不能にされる。その結果、内側部材および外側部材を軸方向に対して位置決め固定できる効果がある。
【0009】
また、第1部材および第2部材を外周側に後退させて第1部材および第2部材と第1面および第2面との係合を解除すると、内側部材および外側部材を軸方向に相対移動させることができ、内側部材と外側部材との相対位置を変更できる。第1部材および第2部材の係合面は、それら係合面が第1面および第2面に係合した場合に、それら係合面の軸心側端部の軸方向位置が、第1面および第2面の軸心側端部の軸方向位置と一致しないように設定されているので、内側部材と外側部材との相対位置を変更できる。相対位置を変更した後、第1部材および第2部材を軸心側に前進させることで、第1部材および第2部材の係合面が第1面および第2面に係合される。第2面に係合面が係合された第2部材および第1面に係合面が係合された第1部材が協働することにより、外側部材および内側部材は軸方向に相対移動不能にされる。これにより、相対位置が変更された内側部材および外側部材を軸方向に対して位置決め固定できる効果がある。
【0010】
請求項2記載の部材の固定構造によれば、第1部材および第2部材は第1貫通孔および第2貫通孔に螺着されているので、第1貫通孔および第2貫通孔に第1部材および第2部材を確実に係止できる。これにより、請求項1の効果に加え、内側部材および外側部材を軸方向に対して位置決め固定できる効果がある。
【0011】
請求項3記載の部材の固定方法によれば、外側部材の一方の軸方向端面に位置規制部材が配置され、孔部に内側部材が挿入された外側部材の内側部材に対する軸方向の相対位置が規制される。第2部材係合工程により、位置規制部材に外側部材の一方の軸方向端面を接触させつつ第2貫通孔に挿着された第2部材の係合面が第2面に係合される。これにより第2部材は、軸方向の一方に配置された位置規制部材と外側部材とを接触させつつ、内側部材に対して軸方向の他方に向かう外側部材の相対移動を規制する。
【0012】
第2部材係合工程により第2部材の係合面が第2面に係合された後、第1部材係合工程により、第1貫通孔に挿着された第1部材の係合面が第1面に係合される。これにより第1部材は、内側部材に対して軸方向の一方に向かう外側部材の相対移動を規制する。その結果、第2面に係合面が係合された第2部材、及び、第1面に係合面が係合された第1部材が協働することにより、外側部材および内側部材は軸方向に相対移動不能にされる。よって、位置規制部材と接触した位置で、内側部材に対して外側部材を位置決め固定できる効果がある。
【0013】
請求項4記載の部材の固定方法によれば、内側部材は、軸方向に沿う中空状に形成される第1内側部材と、その第1内側部材に同軸状に挿設されつつ第1内側部材の一端から先端側が突出する第2内側部材とを備え、外側部材は、第1内側部材に固定される第1外側部材と、その第1外側部材と軸方向に沿って並設されつつ第2内側部材の先端側に固定される第2外側部材とを備える部材に対して、まず、第2部材係合工程および第1部材係合工程により第1外側部材が第1内側部材に対して固定される。これにより、第1内側部材に対して第1外側部材が軸方向に位置決め固定される。次いで、第2部材係合工程および第1部材係合工程により第2外側部材が第2内側部材に対して固定される。これにより、第2内側部材に対して第2外側部材が軸方向に位置決め固定される。第1外側部材および第2外側部材が、第1内側部材および第2内側部材に対して順に位置決め固定されるので、請求項3の効果に加え、第1内側部材および第2内側部材に対する第1外側部材および第2外側部材の軸方向位置を一意的に決められる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施の形態における部材の軸方向断面図である。
【図2】図1のII−II線における部材の断面図である。
【図3】(a)は軸方向の一方に第1外側部材の位置を変更した部材の軸方向断面図であり、(b)は軸方向の他方に第1外側部材の位置を変更した部材の軸方向断面図である。
【図4】(a)は第2実施の形態における部材の軸方向断面図であり、(b)は図4(a)のIVb−IVb線における部材の断面図である。
【図5】(a)は第3実施の形態における部材の軸方向断面図であり、(b)は第4実施の形態における部材の軸方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施の形態における固定構造を示す部材1の軸方向断面図である。図1に示すように、部材1は大地を掘削する掘削(切削)機械として構成されており、円筒状に形成された装置本体2と、その装置本体2に内設されたラジアル軸受3と、そのラジアル軸受3に外周面が支持され装置本体2の一端から先端側が突設される第1内側部材10と、第1内側部材10の軸心Cに形成された貫通孔10aと、その貫通孔10aに挿入されると共に第1内側部材10と相対回転可能に構成され第1内側部材10の一端から先端側が突設される第2内側部材20と、第1内側部材10の外周面に固定される第1外側部材30と、第2内側部材20の先端側の外周面に固定される第2外側部材40とを備えている。
【0016】
装置本体2は、第2内側部材20を回転駆動するモータ等の駆動装置(図示せず)と、その駆動装置による第2内側部材20の回転と連係して第1内側部材10に逆方向の回転を伝達する遊星歯車装置等の反転歯車機構(図示せず)とが内設されている。第2内側部材20(第2軸)は第2外側部材40を固定するための軸部材であり、第1内側部材10(第1軸)は第1外側部材30を固定するための軸部材である。第1内側部材10及び第2内側部材20の間に反転歯車機構が介設されているので、第1内側部材10及び第2内側部材20が逆方向に回転駆動される。
【0017】
第1外側部材30(第1ドリルビット)及び第2外側部材40(第2ドリルビット)は大地を掘削するための部材であり、略軸状体に形成され、それぞれ第1内側部材10及び第2内側部材20の先端に固定されている。第2外側部材40は、外形が略円錐状に形成された刃部41を備え、第1外側部材30は外形が略円錐台状に形成された刃部31を備えている。第1外側部材30及び第2外側部材40が軸方向に並設されることで、刃部31,41は全体として略円錐状に形成される。第1外側部材30及び第2外側部材40は反転されるので、刃部31,41が回転することによって生じる各々の回転反力を相殺できる。
【0018】
次に、第1外側部材30と第1内側部材10との固定構造について説明する。図1に示すように、第1内側部材10は、軸方向の一方(図1矢印A方向)に向かって外周面から軸心C側に軸方向と交差状に下降傾斜する第1面11と、軸方向の他方(図1矢印B方向)に向かって外周面から軸心C側に軸方向(図1左右方向)と交差状に下降傾斜する第2面13とを備えて構成されている。また、第1内側部材10は、第1面11の軸心側端部に連設される傾斜面であり、軸方向の一方(図1矢印A方向)に向かって軸心C側から外周面に上昇傾斜する第1連設面12と、第2面13の軸心側端部に連設される傾斜面であり、軸方向の他方(図1矢印B方向)に向かって軸心C側から外周面に上昇傾斜する第2連設面14とを備えている。
【0019】
次に図2を参照して、軸直角方向における部材1の断面構造について説明する。図2は図1のII−II線における部材1の断面図である。なお、図2では、刃部31の図示を省略している。図2に示すように、第1内側部材10、第2内側部材20及び第1外側部材30は断面円形状に形成されている。また、第1面11及び第1連設面12、第2面13及び第2連設面14は、第1内側部材10の外周面からすり鉢状に凹設された窪みの一部として構成されている。
【0020】
また、第1面11及び第1連設面12、第2面13及び第2連設面14は、軸心Cを挟んで第1内側部材10の外周面の対向位置に形成されている。そのため、第1面11及び第1連設面12、第2面13及び第2連設面14を軸方向に沿って並設する場合と比較して、第1内側部材10に占める第1面11及び第1連設面12、第2面13及び第2連設面14の軸方向長さを短くすることができる。これにより、軸方向長さの小さい第1外側部材30であっても、その第1外側部材30が固定される第1内側部材10の対応箇所に第1面11及び第1連設面12、第2面13及び第2連設面14をコンパクトに形成できる。
【0021】
図1に戻って説明する。第1外側部材30は、軸方向に沿って孔部30aが形成されており、その孔部30aに第1内側部材10が挿入される。これにより孔部30aに沿って第1外側部材30及び第1内側部材10を軸方向に相対移動できると共に、第1外側部材30及び第1内側部材10を軸心C回りに相対移動できる。
【0022】
第1貫通孔32は、第1外側部材30の外周面30bと孔部30aの内周面との間を貫通する部位であり、孔部30aに挿入された第1内側部材10の第1面11を臨む位置に穿設されている。第2貫通孔33は、第1外側部材30の外周面30bと孔部30aの内周面との間を貫通する部位であり、孔部30aに挿入された第1内側部材10の第2面13を臨む位置に穿設されている。本実施の形態では、第1貫通孔32及び第2貫通孔33は軸心Cに対して直交方向に形成されており、内周面に雌ネジが螺刻されている。
【0023】
第1部材4及び第2部材5は、第1外側部材30の外周面30b側から第1貫通孔32及び第2貫通孔33に進退可能に挿着される棒状の部材であり、外周面に雄ネジが螺刻されているので第1貫通孔32及び第2貫通孔33と螺合される。係合面4a,5aは、第1部材4及び第2部材5の先端に形成される部位であり、第1部材4及び第2部材5が第1貫通孔32及び第2貫通孔33に螺入されると、係合面4a,5aが第1面11及び第2面13に係合される。係合面4a,5aの第1面11及び第2面13への係合および第1部材4及び第2部材5の外周面の螺子によって、第1貫通孔32及び第2貫通孔33に第1部材4及び第2部材5を確実に係止できる。その結果、第1内側部材10及び第1外側部材30を軸方向に対して確実に位置決め固定できる。
【0024】
なお、係合面4a,5aは先端に向かって縮径されており、係合面4a,5aの先端角は、第1面11及び第1連設面12が交わってできる角度および第2面13及び第2連設面14が交わってできる角度と同一に設定されている。これにより、第1外側部材30及び第1内側部材10を軸方向に所定量相対移動した場合であっても、第1部材4及び第2部材5を進退させることにより、係合面4a,5aと第1面11及び第2面13とを密接させることができる。
【0025】
また、第1部材4の係合面4aは、軸心側端部(先端)の軸方向位置が第1面11の軸心側端部の軸方向位置より軸方向の他方(図1矢印B方向)に位置しており、第2部材5の係合面5aは、軸心側端部(先端)の軸方向位置が第2面13の軸心側端部の軸方向位置より軸方向の一方(図1矢印A方向)に位置している。これにより、第1部材4及び第2部材5を軸心C側から後退させた後、第1内側部材10と第1外側部材30との相対位置を変更し、第1部材4及び第2部材5を軸心C側に前進させることで、第1部材4及び第2部材5の係合面4a,5aが第1面11及び第2面13に係合される。第2面13に係合面5aが係合された第2部材5及び第1面11に係合面4aが係合された第1部材4が協働することにより、第1外側部材30及び第1内側部材10は軸方向に相対移動不能にされる。
【0026】
第1外側部材30の軸方向の他方(図1矢印B方向)に位置する軸方向端部34は、孔部30aに挿入された第1内側部材10の軸方向端部に覆設されると共に第2内側部材20が貫設される部位である。第1外側部材30の軸方向の一方(図1矢印A方向)に位置する凹部35は、第1内側部材10に環装されるスラストシール50及びスラスト軸受51が装着される部位である。スラストシール50及びスラスト軸受51が凹部35と装置本体2との間に介設されることにより、第1内側部材10の回転に伴い第1外側部材30がスムーズに回転されると共に、掘削された土砂等が第1内側部材10及び第1外側部材30の隙間に侵入することを防止できる。
【0027】
第2外側部材40は、有底の孔部40aが軸方向に沿って形成されており、その孔部40aに第2内側部材20が挿入される。第1貫通孔42は、第2外側部材40の外周面40bと孔部40aの内周面との間を貫通する部位であり、孔部40aに挿入された第2内側部材20の外周面に形成された第1面21を臨む位置に穿設されている。第2貫通孔43は、第2外側部材40の外周面40bと孔部40aの内周面との間を貫通する部位であり、孔部40aに挿入された第2内側部材20の第2面23を臨む位置に穿設されている。本実施の形態では、第1貫通孔42及び第2貫通孔43は軸心Cに対して直交方向に形成されており、内周面に雌ネジが螺刻されている。また、第1面21及び第2面23は、それぞれ第1連設面22及び第2連設面24が連設されている。
【0028】
第1部材6及び第2部材7は、第2外側部材40の外周面40b側から第1貫通孔42及び第2貫通孔43に進退可能に挿着される棒状の部材であり、外周面に雄ネジが螺刻されているので第1貫通孔42及び第2貫通孔43と螺合される。第1部材6及び第2部材7の先端に形成される係合面6a,7aは、第1部材6及び第2部材7が第1貫通孔42及び第2貫通孔43に螺入されると、第1面21及び第2面23に係合される。
【0029】
第2外側部材40の軸方向の一方(図1矢印A方向)に位置する凹部44は、第2内側部材20に環装されるスラストシール52及びスラスト軸受53が装着される部位である。スラストシール52及びスラスト軸受53が、凹部44と第1外側部材30の軸方向端部34との間に介設されることにより、第1外側部材30及び第2外側部材40の軸心C回りの相対回転をスムーズに行うことができると共に、掘削された土砂等が第2内側部材20及び第2外側部材40の隙間に侵入することを防止できる。
【0030】
次に図1を参照して、第1外側部材30を第1内側部材10に固定する固定方法について説明する。第1内側部材10及び第2内側部材20から第1外側部材30及び第2外側部材40が取り外された状態で、スラスト軸受51及びスラストシール50を第1内側部材10に環装する。次いで、第1外側部材30の孔部30aに第2内側部材20及び第1内側部材10を挿入しつつ、スラスト軸受51及びスラストシール50を凹部35に装着する。なお、第1部材4及び第2部材5は第1貫通孔32及び第2貫通孔33から取り外しておく。
【0031】
次いで、装置本体2の軸方向端面と第1外側部材30の一方(図1矢印A方向)の軸方向端面との隙間G1に、所定の厚さに形成された位置規制部材(図示せず)を外周側から挿入した後、第2貫通孔33に第2部材5を挿着して第2部材5の係合面5aを第2面13に係合させる。第2面13は軸方向の他方(図1矢印B方向)に向かって軸心C側に下降傾斜しているので、第2部材5の第2貫通孔33への螺入に伴い係合面5aと第2面13との作用により、第1外側部材30に軸方向の一方(図1矢印A方向)に向かう力が働く。その結果、スラストシール50は第1外側部材30と装置本体2との間で押し潰されつつ、第1外側部材30の軸方向端面は位置規制部材に接触する。スラストシール50の軸方向の潰し代を考慮して位置規制部材の厚さを設定することにより、スラストシール50は軸方向に潰されるのに伴い径方向に所定量拡げられる。そうすると、スラストシール50が凹部35及び第1内側部材10に密着するので、シール効果が発揮される。また、位置規制部材および第2部材5により第1外側部材30の軸方向の移動が規制される。
【0032】
次に、第1貫通孔32に第1部材4を挿着して第1部材4の係合面4aを第1面11に係合させる。第1面11は軸方向の一方(図1矢印A方向)に向かって軸心C側に下降傾斜しているので、第1部材4の第1貫通孔32への螺入に伴い、第1外側部材30に軸方向の他方(図1矢印B方向)に向かう力が作用する。その結果、第1部材4及び第2部材5により第1外側部材30の軸方向の移動が規制され、第1外側部材30が第1内側部材10に位置決め固定される。第1部材4及び第2部材5により第1外側部材30の軸方向の移動が規制されるので、隙間G1に挿入された位置規制部材を取り除いた後も隙間G1を確保できる。
【0033】
なお、隙間G1に挿入された位置規制部材を取り除かずに、隙間G1に配置された位置規制部材を隙間G1に挿入したまま放置することは可能である。また、隙間G1に着脱可能な位置規制部材を挿入するのではなく、装置本体2の軸方向端面に位置規制部材を突設し、その位置規制部材を用いて第1外側部材30の位置決め固定をすることは当然可能である。
【0034】
次に、第2外側部材40を第2内側部材20に固定する固定方法について説明する。まず、スラスト軸受53及びスラストシール52を第2内側部材20に環装する。次いで、第2外側部材40の孔部40aに第2内側部材20を挿入しつつ、スラスト軸受53及びスラストシール52を凹部44に装着する。なお、第1部材6及び第2部材7は第1貫通孔42及び第2貫通孔43から取り外しておく。
【0035】
次いで、第1外側部材30と第2外側部材40の一方(図1矢印A方向)の軸方向端面との隙間G2に、所定の厚さに形成された位置規制部材(図示せず)を外周側から挿入した後、第2貫通孔43に第2部材7を挿着して第2部材7の係合面7aを第2面23に係合させる。第2面23は軸方向の他方(図1矢印B方向)に向かって軸心C側に下降傾斜しているので、第2部材7の螺入に伴い第2部材7と第2面23との作用により、第2外側部材40に軸方向の一方(図1矢印A方向)に向かう力が働く。その結果、スラストシール52は第1外側部材30と第2外側部材40との間で押し潰されつつ、第2外側部材40は位置規制部材に接触する。スラストシール52の軸方向の潰し代を考慮して位置規制部材の厚さを設定することにより、スラストシール52は軸方向に潰されるのに伴い径方向に所定量拡げられる。そうすると、スラストシール52が凹部44及び第2内側部材20に密着するので、シール効果が発揮される。また、位置規制部材および第2部材7により第2外側部材40の軸方向の移動が規制される。
【0036】
次に、第1貫通孔42に第1部材6を挿着して第1部材6の係合面6aを第1面21に係合させる。第1面21は軸方向の一方(図1矢印A方向)に向かって軸心C側に下降傾斜しているので、第1部材6の螺入に伴い、第2外側部材40に軸方向の他方(図1矢印B方向)に向かう力が作用する。その結果、第1部材6及び第2部材7により第2外側部材40の軸方向の移動が規制され、第2外側部材40が第2内側部材20に位置決め固定される。第1部材6及び第2部材7により第2外側部材40の軸方向の移動が規制されるので、位置規制部材を取り除いた後も隙間G2を確保できる。
【0037】
なお、隙間G2に挿入された位置規制部材を取り除かずに、隙間G2に配置された位置規制部材を隙間G2に挿入したまま放置することは可能である。また、隙間G2に着脱可能な位置規制部材を挿入するのではなく、第1外側部材30の軸方向端面に位置規制部材を突設し、その位置規制部材を用いて第2外側部材40の位置決め固定をすることは当然可能である。
【0038】
次に図3を参照して、第2内側部材20及び第2外側部材40の軸方向における相対位置の変更方法について説明する。図3(a)は軸方向の一方に第2外側部材40の相対位置を変更した部材1の軸方向断面図であり、図3(b)は軸方向の他方に第2外側部材40の相対位置を変更した部材1の軸方向断面図である。なお、第1外側部材30の相対位置を変更する場合は、第2外側部材40の相対位置を変更する場合と同様なので、説明を省略する。
【0039】
図3(a)に示すように、図1に示す第2外側部材40及び第2内側部材20の相対位置から、軸方向の一方(図1矢印A方向)に第2外側部材40の相対位置を変更する場合、第2部材7を第2貫通孔43から後退させる。そうすると第2部材7の係合面7aと第2面23との間に隙間ができるので、その隙間の分だけ第2外側部材40を軸方向の一方(図3(a)矢印A方向)に移動できる。そして、まず、第1部材6を第1貫通孔42に螺入して前進させ、次に、第2部材7を第2貫通孔43に螺入して前進させることで、第1部材6の係合面6aを第1面21に係合させ、第2部材7の係合面7aを第2面23に係合させる。これにより、軸方向の一方に相対位置を変更した第2外側部材40の位置決め固定をすることができる。
【0040】
これとは逆に、図3(b)に示すように、図1に示す第2外側部材40及び第2内側部材20の相対位置から、軸方向の他方(図1矢印B方向)に第2外側部材40の相対位置を変更する場合、第1部材6を第1貫通孔42から後退させる。そうすると第1部材6の係合面6aと第1面21との間に隙間ができるので、その隙間の分だけ第2外側部材40を軸方向の他方(図3(b)矢印B方向)に移動できる。そして、まず、第2部材7を第2貫通孔43に螺入して前進させ、次に、第1部材6を第1貫通孔42に螺入して前進させることで、第2部材7の係合面7aを第2面23に係合させ、第1部材6の係合面6aを第1面21に係合させる。これにより、軸方向の他方に相対位置を変更した第2外側部材40の位置決め固定をすることができる。
【0041】
また、第1面21及び第1連設面22、第2面23及び第2連設面24がすり鉢状に形成され、第1部材6及び第2部材7の係合面6a,7aが先窄まり状に形成されているので、係合面6a,7aが第1面21及び第1連設面22、第2面23及び第2連設面24に係合される。これにより、第2外側部材40の第2内側部材20に対する軸心C回りの相対回転を規制できる。その結果、第2外側部材40が第2内側部材20を空回りしたりガタついたりすることが防止される。
【0042】
なお、本実施の形態では、第1部材6及び第2部材7を進退させることにより、第1部材6及び第2部材7の係合面6a,7aがそれぞれ第1面21及び第2面23に係合する範囲で、第2外側部材40及び第2内側部材20の軸方向における相対位置を変更できる。これによりスラストシール52の潰し量を任意に設定できる。
【0043】
これに対し従来は、第2内側部材20の先端面と第2外側部材40との隙間G3に挿入するシム(図示せず)の厚さを変えて、第2外側部材40及び第2内側部材20の軸方向における相対位置を変更し、スラストシール52の潰し量を変えていた。この場合、第2外側部材40及び第2内側部材20の軸方向における相対位置を変更するには、第2外側部材40を第2内側部材20から取り外し、シムを交換した後、再び第2外側部材40を第2内側部材20に取り付けなければならなかった。このシムの交換作業が煩雑であり、厚さの異なるシムが多数必要となっていたところ、本実施の形態によれば、シムの交換作業を不要にできると共に、第2外側部材40及び第2内側部材20の軸方向における相対位置を簡易に変更できる。
【0044】
次に図4を参照して第2実施の形態について説明する。第1実施の形態では、第1面11,21及び第2面13,23が、すり鉢状に形成された窪みの一部として、第1内側部材10及び第2内側部材20の外周面の対向位置に形成された場合について説明した。これに対し第2実施の形態では、第1面111及び第2面113が、内側部材110の外周面の一部を軸心Cと直交方向に切欠する溝の一部として、軸方向に並設される場合について説明する。図4(a)は第2実施の形態における部材101の軸方向断面図であり、図4(b)は図4(a)のIVb−IVb線における部材101の断面図である。
【0045】
図4(a)に示すように、内側部材110は、軸方向の一方(図4(a)右方向)に向かって外周面から軸心C側に軸方向(図4(a)左右方向)と交差状に下降傾斜する第1面111と、軸方向の他方(図4(a)左方向)に向かって外周面から軸心C側に下降傾斜する第2面113とを備えて構成されている。また、内側部材110は、第1面111の軸心側端部に軸心Cと略平行に連設される平坦状の第1連設面112と、第2面113の軸心側端部に軸心Cと略平行に連設される平坦状の第2連設面114とを備えている。外側部材130は、軸方向に沿って孔部130aが形成されており、その孔部130aに内側部材110が挿入されている。これにより外側部材130と内側部材110とを軸方向に相対移動可能にできる。
【0046】
図4(b)に示すように、第1面111及び第1連設面112、第2面113及び第2連設面114は、内側部材110の外周面の一部を軸心Cと直交方向に切欠する溝の一部として形成されている。これにより、第1面111及び第1連設面112、第2面113及び第2連設面114の作成を容易にできる。
【0047】
図4(a)に戻って説明する。第1貫通孔132は、孔部130aに挿入された内側部材110の第1面111を臨む位置に軸心Cと直交方向に穿設されており、第2貫通孔133は、孔部130aに挿入された内側部材110の第2面113を臨む位置に軸心Cと直交方向に穿設されている。第1貫通孔132及び第2貫通孔133は内周面に雌ネジが螺刻されている。
【0048】
第1部材104及び第2部材105は、外周面に雄ネジが螺刻されているので第1貫通孔132及び第2貫通孔133と螺合される。係合面104a,105aは先端に向かって縮径されており、第1面111及び第2面113と係合可能に構成される傾斜部104a1,105a1と、第1連設面112及び第2連設面114と面接触可能に構成される先端部104a2,105a2とを備えている。先端部104a2,105a2と、第1連設面112及び第2連設面114とが面接触することで、外側部材130と内側部材110とを軸心C回りに相対回転不能にできる。
【0049】
また、第1部材104の係合面104aは、傾斜部104a1の軸心側端部の軸方向位置が第1面111の軸心側端部の軸方向位置と一致しているが、第2部材105の係合面105aは、傾斜部105a1の軸心側端部の軸方向位置が第2面113の軸心側端部の軸方向位置より軸方向の一方(図4(a)右方向)に位置している。これにより、第1部材104を軸心C側から後退させた後、外側部材130の相対位置を軸方向の他方(図4(a)左方向)に変更し、第1部材104及び第2部材105を軸心C側に前進させることで、第1部材104及び第2部材105の係合面104a,105a(傾斜部104a1,105a1)は第1面111及び第2面113に係合される。これにより、内側部材110及び外側部材130の軸方向における相対位置の変更および位置決め固定ができる。
【0050】
次に図5(a)を参照して第3実施の形態について説明する。第1実施の形態では、第1面11,21及び第2面13,23が、すり鉢状に形成された窪みの一部である場合について説明した。これに対し第3実施の形態では、第1面211及び第2面213が、ラウンド状に形成された窪みの一部である場合について説明する。図5(a)は第3実施の形態における部材201の軸方向断面図である。
【0051】
図5(a)に示すように、内側部材210は、軸方向の一方(図5(a)右方向)に向かって外周面から軸心C側に湾曲状に下降傾斜する第1面211と、軸方向の他方(図5(a)左方向)に向かって外周面から軸心C側に湾曲状に下降傾斜する第2面213とを備えて構成されている。また、内側部材210は、第1面211に連設されると共に外周面に向かって湾曲状に上昇傾斜する第2連設面212と、第2面213に連設されると共に外周面に向かって湾曲状に上昇傾斜する第2連設面214とを備えている。外側部材230は、軸方向に沿って孔部230aが形成されており、その孔部230aに内側部材210が挿入されている。
【0052】
第1貫通孔232は、孔部230aに挿入された内側部材210の第1面211を臨む位置に軸心Cと直交方向に穿設されており、第2貫通孔233は、孔部230aに挿入された内側部材210の第2面213を臨む位置に軸心Cと直交方向に穿設されている。第1部材204及び第2部材205は、第1面211及び第2面213と係合可能に構成される湾曲状の係合面204a,205aを備えている。第1部材204及び第2部材205の係合面204a,205aが第1面211及び第2面213に係合されることにより、内側部材210及び外側部材230の軸方向における位置決め固定ができる。係合面204a,205a、第1面211及び第2面213がラウンド状に形成されているので、磨耗し難く耐久性を向上できる。
【0053】
次に図5(b)を参照して第4実施の形態について説明する。第1実施の形態から第3実施の形態では、軸心Cに対して第1貫通孔32,132,232及び第2貫通孔33,133,233が直交する場合について説明した。これに対し第4実施の形態では、軸心Cに対して第1貫通孔332及び第2貫通孔333が斜交する場合について説明する。図5(b)は第4実施の形態における部材301の軸方向断面図である。
【0054】
図5(b)に示すように、内側部材310は、軸方向の一方(図5(b)右方向)に向かって外周面から軸心C側に平坦状に下降傾斜する第1面311と、軸方向の他方(図5(b)左方向)に向かって外周面から軸心C側に平坦状に下降傾斜する第2面313とを備えて構成されている。また、内側部材310は、第1面311に連設されると共に外周面に向かって上昇傾斜する第2連設面312と、第2面313に連設されると共に外周面に向かって上昇傾斜する第2連設面214とを備えている。外側部材330は、軸方向に沿って孔部330aが形成されており、その孔部330aに内側部材310が挿入されている。
【0055】
第1貫通孔332は、孔部330aに挿入された内側部材310の第1面311を臨む位置に、軸心Cと斜交しつつ第1面311と直交方向に穿設されており、第2貫通孔333は、孔部330aに挿入された内側部材310の第2面313を臨む位置に、軸心Cと斜交しつつ第2面313と直交方向に穿設されている。第1部材304及び第2部材305は、第1面311及び第2面313と係合可能に構成される平坦状の係合面304a,305aを備えている。第1部材304及び第2部材305の係合面304a,305aが第1面311及び第2面313に係合されることにより、内側部材310及び外側部材330の軸方向における位置決め固定ができる。
【0056】
この第4実施の形態によれば、第1部材304の係合面304aと第1面311とが係合する面積、第2部材305の係合面305aと第2面313とが係合する面積を確保できるので、内側部材310及び外側部材330の軸方向における位置決め固定の確実性を向上できる。また、第1面311及び第2面313の軸方向長さを大きくすることで、内側部材310及び外側部材330の軸方向において相対位置を調整できる長さを大きくできる。
【0057】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、上記実施の形態で挙げた数値(例えば、各構成の数量や寸法等)は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
【0058】
上記各実施の形態では、第1内側部材10、第2内側部材20、内側部材110,210,310、第1外側部材30、外側部材130,230,330は、軸心Cと直交する断面が円形状に形成されているが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の断面形状を採用することは当然可能である。第1内側部材10、第2内側部材20、内側部材110,210,310、第1外側部材30、外側部材130,230,330が軸方向に相対移動可能に構成されていれば、断面形状に関わらず軸方向の位置決め固定ができるからである。他の断面形状としては、例えば、楕円形状、長円状、三角形や四角形等の多角形状が挙げられる。また、第1内側部材10、第2内側部材20、内側部材110,210,310、第1外側部材30、外側部材130,230,330は、ドリル等の回転体に限定されるものでないことは言うまでもない。
【0059】
上記各実施の形態では、窪みや溝を形成することにより軸心Cに向かって一様な傾斜角度で傾斜する傾斜面として第1面11,111,211,311及び第2面13,113,213,313を構成する場合について説明した。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、第1面や第2面を他の形態とすることは当然可能である。第1面や第2面の他の形態としては、例えば、軸心Cに向かって傾斜角度が増加したり減少したりする(変化する)湾曲面、軸心Cと直交する垂直面が挙げられる。第1面や第2面を軸心Cと直交する垂直面とする場合は、第4実施の形態で説明した第1貫通孔332や第2貫通孔333のように、軸心Cに対して斜交する貫通孔を形成し、その貫通孔に第1部材および第2部材を挿着すれば良い。この場合も、第1部材および第2部材と第1面および第2面とを係合させて、軸方向の位置決め固定ができるからである。
【0060】
上記各実施の形態では、第1部材4,6,104,204,304、第2部材5,7,105,205,305が、第1貫通孔32,132,232,332、第2貫通孔33,133,233,333に螺子により挿着(螺着)される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の機構により挿着されることは当然可能である。他の機構としては、例えば、嵌着、溶着等を挙げることができる。
【0061】
また、上記各実施の形態に挙げた構成の一部を、他の実施の形態の構成の一部と置き換えることは当然可能である。例えば、第1実施の形態で説明した第2内側部材20の対向位置に第1面21及び第2面23を設ける構成を、第2実施の形態の第1面111及び第2面113に適用することは可能である。
【符号の説明】
【0062】
1,101,201,301 部材
4,6,104,204,304 第1部材
4a,6a,104a,204a,304a 係合面
5,7,105,205,305 第2部材
5a,7a,105a,205a,305a 係合面
10 第1内側部材(内側部材)
110,210,310 内側部材
11,111,211,311 第1面
13,113,213,313 第2面
20 第2内側部材(内側部材)
30 第1外側部材(外側部材)
130,230,330 外側部材
30a,130a,230a,330a 孔部
32,132,232,332 第1貫通孔
33,133,233,333 第2貫通孔
40 第2外側部材(外側部材)
42 第1貫通孔
43 第2貫通孔
C 軸心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に沿って孔部が形成される外側部材と、
その外側部材に形成された孔部に挿入される内側部材と、
その内側部材の外周面から軸心側に軸方向と交差状に下降する第1面と、
前記外側部材の外周面と前記孔部の内周面との間を貫通し前記孔部に挿入された前記内側部材の第1面を臨む第1貫通孔と、
その第1貫通孔に前記外側部材の外周面側から軸心側に進退可能に挿着されて前記第1面に所定の係合面が係合される第1部材と、
前記内側部材の外周面から軸心側に軸方向と交差状に下降する第2面と、
前記外側部材の外周面と前記孔部の内周面との間を貫通し前記孔部に挿入された前記内側部材の第2面を臨む第2貫通孔と、
その第2貫通孔に前記外側部材の外周面側から軸心側に進退可能に挿着されて前記第2面に所定の係合面が係合され、前記第1面に係合面が係合された前記第1部材と協働して前記外側部材および前記内側部材を軸方向に相対移動不能にする第2部材とを備え、
前記第1部材および前記第2部材の係合面は、それら係合面が前記第1面および第2面に係合した場合に、それら係合面の軸心側端部の軸方向位置が、前記第1面および前記第2面の軸心側端部の軸方向位置と一致しないように設定されていることを特徴とする部材の固定構造。
【請求項2】
前記第1部材および前記第2部材は、前記第1貫通孔および前記第2貫通孔に螺着されていることを特徴とする請求項1記載の部材の固定構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の部材の固定構造を構成する部材の固定方法であって、
前記孔部に前記内側部材が挿入された前記外側部材の前記内側部材に対する軸方向の相対位置を規制する部材であり、前記外側部材の一方の軸方向端面に配置された位置規制部材に、前記外側部材の一方の軸方向端面を接触させつつ前記第2貫通孔に挿着された前記第2部材の係合面を前記第2面に係合させる第2部材係合工程と、
その第2部材係合工程により前記第2部材の係合面が前記第2面に係合された後、前記第1貫通孔に挿着された前記第1部材の係合面を前記第1面に係合させる第1部材係合工程とを備えていることを特徴とする部材の固定方法。
【請求項4】
前記内側部材は、軸方向に沿う中空状に形成される第1内側部材と、その第1内側部材に同軸状に挿設されつつ前記第1内側部材の一端から先端側が突出する第2内側部材とを備え、
前記外側部材は、前記第1内側部材に固定される第1外側部材と、その第1外側部材と軸方向に沿って並設されつつ前記第2内側部材の先端側に固定される第2外側部材とを備えるものであり、
前記第2部材係合工程および前記第1部材係合工程により前記第1外側部材を前記第1内側部材に対して固定した後、前記第2部材係合工程および前記第1部材係合工程により前記第2外側部材を前記第2内側部材に対して固定するものであることを特徴とする請求項3記載の部材の固定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−23990(P2013−23990A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162443(P2011−162443)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000154347)株式会社ユニバンス (132)
【Fターム(参考)】