説明

部材接合方法及び構造

【課題】形材の補強と当該形材に対する付加部材の組み付けに適した部材接合方法及び構造を提供する。
【解決手段】第1の溝形材1の両側のフランジ2に第2の溝形材3の両側のフランジ4を突き合わせ接続して形作られる中空構造体5と、第1の溝形材1のウエブ6に沿う板状の第1の付加部材7と、一端部分が第1の付加部材7に固着され且つ他端近傍部分が第2の溝形材3のウエブ8に穿設してある孔9に入った第1の補助部材10と、基端部分が第1の補助部材10の他端部分のねじ穴11に入った第2の補助部材12と、第2の補助部材12の先端寄り部分が入る孔13が穿設してあり且つ第2の溝形材3のウエブ8に当接する第2の付加部材14とを備え、第2の補助部材12を、摩擦熱と塑性流動により第1の補助部材10及び第2の付加部材14に係合させた構成を採る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は部材接合方法及び構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
接合すべき部材を溶融させずに相互に接続する方法として摩擦撹拌接合がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この技法では、被接合部材を重ね合わせた被接合物を、裏当て部材である支持ツールに載せたうえ、被接合物に接合ツールを回転させながら押し付け、摩擦熱と塑性流動により軟化した材料を撹拌して同化させる。
【0004】
次いで、接合ツールを被接合物から離して材料が同化した部位を硬化させ、被接合部材を相互に接合する。
【0005】
接合ツールは、円柱状のショルダ部と、当該ショルダ部に同軸に連なり且つツール先端へ向けて突出する短円筒状でショルダ部よりも外径が小さいピン部とを備えている。
【0006】
また、アルミニウム合金を素材とした中空押し出し形材を二つ並べたうえ、この形材を摩擦撹拌接合によって一体化して構造体を製作する手法も既に提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−136365号公報
【特許文献2】特開2002−137071号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
二つの面板の間をリブによって接続した断面を呈する形材は、面板とリブの共同によりこれら単体を上回る剛性を発揮するが、時として形材の剛性を局所的に高めることが要求される。
【0008】
この場合、二つの面板の間にリブを追加するという手立てが考えられるが、リブは形材の全長にわたって存在するため、結果的に形材の重量が増えてしまうし、コストアップにもなる。
【0009】
しかも、形材にプレートナットブラケットなどのような付加部材を効率よく組み付けることは、全く考慮されていなかった。
【0010】
本発明は上述した実情に鑑みてなしたもので、形材の補強と当該形材に対する付加部材の組み付けに適した部材接合方法及び構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、互いに組み合わされる第1、第2の形材の間に、第1の補助部材の一端部分が固着してある第1の付加部材を、第1の補助部材の他端近傍部分が第2の形材に穿設してある孔にが入り且つ第1の付加部材が第1の形材に沿うように介在させたうえ、第1の補助部材の他端部分に設けてある穴に第2の補助部材の基端部分を入れ、当該第2の補助部材に外嵌する第2の付加部材を第2の形材に沿わせ、接合ツールを回転させながら第2の補助部材の先端に押し付け、摩擦熱と塑性流動により軟化した第2の補助部材の材料で第2の補助付加を覆い、この後、接合ツールを第2の補助部材から引き離して、塑性流動部位を硬化させる。
【0012】
請求項2に記載の発明では、互いに組み合わされる第1、第2の形材の間に、第1の補助部材の一端部分が固着してある第1の付加部材を、第1の補助部材の他端近傍部分が第2の形材に穿設してある孔にが入り且つ第1の付加部材が第1の形材に沿うように介在させたうえ、第1の補助部材の他端部分に設けてある穴に第2の補助部材の基端部分を入れ、当該第2の補助部材に外嵌する第2の付加部材を第2の形材に沿わせ、接合ツールを回転させながら第2の補助部材の先端に押し付け、摩擦熱と塑性流動により軟化した第2の補助部材の材料を第2の補助付加に同化させ、この後、接合ツールを第2の補助部材から引き離して、塑性流動部位を硬化させる。
【0013】
請求項3に記載の発明では、互いに組み合わされる第1、第2の形材と、第1の形材に沿い且つ第2の形材に向き合う第1の付加部材と、一端部分が第1の付加部材に固着され且つ他端近傍部分が第2の形材に穿設してある孔に入った第1の補助部材と、基端部分が第1の補助部材の他端部分に設けてある穴に入った第2の補助部材と、当該第2の補助部材の先端寄り部分が入る孔が穿設してあり且つ第2の形材に当接する第2の付加部材とを備え、第1の補助部材の穴に周方向に延びる溝を設けておき、摩擦熱と塑性流動により第2の補助部材に由来する材料を、第1の補助部材の穴に溝に入り込ませ且つ第2の付加部材の孔の周囲を覆うように形作った構成を採る。
【0014】
請求項4に記載の発明では、互いに組み合わされる第1、第2の形材と、第1の形材に沿い且つ第2の形材に向き合う第1の付加部材と、一端部分が第1の付加部材に固着され且つ他端近傍部分が第2の形材に穿設してある孔に入った第1の補助部材と、基端部分が第1の補助部材の他端部分に設けてある穴に入った第2の補助部材と、当該第2の補助部材の先端寄り部分が入る孔が穿設してあり且つ第2の形材に当接する第2の付加部材とを備え、摩擦熱と塑性流動により第2の補助部材に由来する材料を、第1の補助部材、及び第2の付加部材に同化させた構成を採る。
【0015】
請求項5に記載の発明では、互いに組み合わされる第1、第2の形材と、第1の形材に沿い且つ第2の形材に向き合う第1の付加部材と、一端部分が第1の付加部材に固着され且つ他端近傍部分が第2の形材に穿設してある孔に入った第1の補助部材と、基端部分が第1の補助部材の他端部分に設けてある穴に入った第2の補助部材と、当該第2の補助部材の先端寄り部分が入る孔が穿設してあり且つ第2の形材に当接する第2の付加部材とを備え、第1の補助部材の穴に周方向に延びる溝を設けておき、摩擦熱と塑性流動により第2の補助部材に由来する材料を、第1の補助部材の穴に溝に入り込ませ且つ第2の付加部材に同化させた構成を採る。
【0016】
請求項6に記載の発明では、互いに組み合わされる第1、第2の形材と、第1の形材に沿い且つ第2の形材に向き合う第1の付加部材と、一端部分が第1の付加部材に固着され且つ他端近傍部分が第2の形材に穿設してある孔に入った第1の補助部材と、基端部分が第1の補助部材の他端部分に設けてある穴に入った第2の補助部材と、当該第2の補助部材の先端寄り部分が入る孔が穿設してあり且つ第2の形材に当接する第2の付加部材とを備え、第1の補助部材の穴に周方向に延びる溝を設けておき、摩擦熱と塑性流動により第2の補助部材に由来する材料を、第1の補助部材に同化させ且つ第2の付加部材の孔の周囲を覆うように形作った構成を採る。
【発明の効果】
【0017】
本発明の部材接合方法及び構造によれば、下記のような優れた効果を奏し得る。
【0018】
(1)請求項1に記載の発明では、摩擦熱と塑性流動により、第2の補助部材を第2の付加部材に係合させるので、互いに組み合わされる第1、第2の補助部材の剛性が局所的に高まるとともに、第1の形材に沿う第1の付加部材の組み付けを効率よく行うことができる。
【0019】
(2)請求項2に記載の発明では、摩擦熱と塑性流動により、第2の補助部材を第2の付加部材に同化させるので、互いに組み合わされる第1、第2の補助部材の剛性が局所的に高まるとともに、第1の形材に沿う第1の付加部材の組み付けを効率よく行うことができる。
【0020】
(3)請求項3に記載の発明では、摩擦熱と塑性流動により、第2の補助部材を第1の補助部材及び第2の付加部材に係合させるので、互いに組み合わされる第1、第2の補助部材の剛性が局所的に高まるとともに、第1の形材に沿う第1の付加部材の組み付けを効率よく行うことができる。
【0021】
(4)請求項4に記載の発明では、摩擦熱と塑性流動により、第2の補助部材を第1の補助部材及び第2の付加部材に同化させるので、互いに組み合わされる第1、第2の補助部材の剛性が局所的に高まるとともに、第1の形材に沿う第1の付加部材の組み付けを効率よく行うことができる。
【0022】
(5)請求項5に記載の発明では、摩擦熱と塑性流動により、第2の補助部材を第1の補助部材に同化させ、第2の補助部材を第2の付加部材に係合させるので、互いに組み合わされる第1、第2の補助部材の剛性が局所的に高まるとともに、第1の形材に沿う第1の付加部材の組み付けを効率よく行うことができる。
【0023】
(6)請求項6に記載の発明では、摩擦熱と塑性流動により、第2の補助部材を第1の補助部材に係合させ、第2の補助部材を第2の付加部材に同化させるので、互いに組み合わされる第1、第2の補助部材の剛性が局所的に高まるとともに、第1の形材に沿う第1の付加部材の組み付けを効率よく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0025】
図1は本発明の部材接合構造の第1の例であり、第1の溝形材1の両側のフランジ2に第2の溝形材3の両側のフランジ4を突き合わせ接続して形作られる中空構造体5と、フランジ2の間に位置するように第1の溝形材1のウエブ6に沿う板状の第1の付加部材(プレートナットブラケット)7と、一端部分が第1の付加部材7に固着され且つ他端近傍部分が第2の溝形材3のウエブ8に穿設してある孔9に入った丸棒状の第1の補助部材10と、基端部分が第1の補助部材10の他端部分に設けてあるねじ穴11に入った第2の補助部材12と、当該第2の補助部材12の先端寄り部分が入る孔13が穿設してあり且つ第2の溝形材3のウエブ8に当接する第2の付加部材14とを備え、第2の補助部材12を第1の補助部材10及び第2の付加部材14に係合させている。
【0026】
第1の補助部材10、第2の付加部材14は鋼を素材とし、第2の補助部材12はアルミニウム合金を素材としているが、第1の溝形材1、第2の溝形材3、第1の付加部材7は素材を限定していない。
【0027】
図1(b)に示すように、第2の補助部材12に由来する材料は、摩擦熱と塑性流動によって、第1の補助部材10のねじ穴11の内周面に密着し且つ第2の付加部材14の孔13を覆うように形作られ、第1の補助部材10が第1の溝形材1に第1の付加部材7を組み付け、しかも、第1、第2の溝形材1,3からなる中空構造体5の剛性を局所的に高めている。
【0028】
第2の補助部材12を上述したような形状とする際には、例えば、図1(a)に示すような接合ツール15を用いる。
【0029】
接合ツール15は、アルミニウム合金よりも硬く且つ軟化温度が高い鋼を素材として、第2の補助部材12よりも太い円柱状のショルダ部16の先端面に第2の補助部材12よりも細い円柱状のピン部17を同軸に連ねた形をしている。
【0030】
第1の溝形材1のウエブ6に第1の付加部材7を沿わせたうえ、第1の溝形材1のフランジ2に第2の溝形材3のフランジ4を突き合わて中空構造体5を形作るとともに、第2の溝形材3のウエブ8の孔9に第1の補助部材10の他端部分を入れる。
【0031】
次いで、第1の補助部材10のねじ穴11に第2の補助部材12を入れ、当該第2の補助部材12の先端寄り部分が孔13に入るように、第2の溝形材3のウエブ8に第2の付加部材14を当接させる。
【0032】
接合ツール15を回転させながら、そのピン部17を第2の補助部材12の他端部分に押し付けると、摩擦熱と塑性流動により軟化したこの部位にピン部17が徐々にめり込む。
【0033】
やがて、接合ツール15のショルダ部16端面が第2の補助部材12に押し付けられ、摩擦熱と塑性流動により軟化した補助部材12に由来する材料が、ねじ穴11へと押し込まれる。
【0034】
更に、接合ツール15を第2の補助部材12から引き離して、孔13を覆う第2の補助部材12の塑性流動部位と、ねじ穴11に押し込まれた第2の補助部材12の塑性流動部位を硬化させると、第1の付加部材7の組み付けが完了し、第1、第2の溝形材1,3からなる中空構造体5の剛性も局所的に高まる。
【0035】
第1の溝形材1に組み付けられる第1の付加部材7には、アーク溶接のような歪みの原因となる高熱が与えられないので、第1の付加部材7がプレートナットブラケットであったとすると、そのナット部分と第1の溝形材1のウエブ6に穿設したボルト孔(図示せず)に芯ずれが発現しない。
【0036】
また、接合ツール15のピン部17がめり込んだあとに形作られた第2の補助部材12の穴18は、雌ねじ加工を施せば別部材のボルト締結に利用できる。
【0037】
図2は本発明の部材接合構造の第2の例であり、第1の溝形材1の両側のフランジ2に第2の溝形材3の両側のフランジ4を突き合わせ接続して形作られる中空構造体5と、フランジ2の間に位置するように第1の溝形材1のウエブ6に沿う板状の第1の付加部材(プレートナットブラケット)7と、一端部分が第1の付加部材7に固着され且つ他端近傍部分が第2の溝形材3のウエブ8に穿設してある孔9に入った丸棒状の第1の補助部材19と、基端部分が第1の補助部材19の他端部分に設けてある穴20に入った第2の補助部材12と、当該第2の補助部材12の先端寄り部分が入る孔21が穿設してあり且つ第2の溝形材3のウエブ8に当接する第2の付加部材22とを備え、第2の補助部材12を第1の補助部材19及び第2の付加部材22に同化させている。
【0038】
第1の補助部材19、第2の補助部材12、第2の付加部材22はアルミニウム合金を素材としているが、第1の溝形材1、第2の溝形材3、第1の付加部材7は素材を限定していない。
【0039】
図2(b)に示すように、第2の補助部材12に由来する材料は、摩擦熱と塑性流動によって、第2の付加部材22に由来する材料や第1の補助部材19に由来する材料とともに同化層23を形作り、第1の補助部材19が第1の溝形材1に第1の付加部材7を組み付け、しかも、第1、第2の溝形材1,3からなる中空構造体5の剛性を局所的に高めている。
【0040】
第2の補助部材12を上述したような形状とする際には、例えば、図2(a)に示すような接合ツール15を用いる。
【0041】
接合ツール15は、アルミニウム合金よりも硬く且つ軟化温度が高い鋼を素材として、第2の補助部材12よりも太い円柱状のショルダ部16の先端面に第2の補助部材12よりも細い円柱状のピン部17を同軸に連ねた形をしている。
【0042】
第1の溝形材1のウエブ6に第1の付加部材7を沿わせたうえ、第1の溝形材1のフランジ2に第2の溝形材3のフランジ4を突き合わて中空構造体5を形作るとともに、第2の溝形材3のウエブ8の孔9に第1の補助部材19の他端部分を入れる。
【0043】
次いで、第1の補助部材19の穴20に第2の補助部材12を入れ、当該第2の補助部材12の先端寄り部分が孔21に入るように、第2の溝形材3のウエブ8に第2の付加部材22を当接させる。
【0044】
接合ツール15を回転させながら、そのピン部17を第2の補助部材12の他端部分に押し付けると、摩擦熱と塑性流動により軟化したこの部位にピン部17が徐々にめり込む。
【0045】
やがて、接合ツール15のショルダ部16端面が第2の補助部材12に押し付けられ、接合ツール15のピン部17の周囲に、第1、第2の補助部材19,12、及び第2の付加部材22に由来する材料の同化層23が軟化した状態で生じる。
【0046】
更に、接合ツール15を同化層23から引き離して、当該同化層23を硬化させると、第1の付加部材7の組み付けが完了し、第1、第2の溝形材1,3からなる中空構造体5の剛性も局所的に高まる。
【0047】
第1の溝形材1に組み付けられる第1の付加部材7には、アーク溶接のような歪みの原因となる高熱が与えられないので、第1の付加部材7がプレートナットブラケットであったとすると、そのナット部分と第1の溝形材1のウエブ6に穿設したボルト孔(図示せず)に芯ずれが発現しない。
【0048】
また、接合ツール15のピン部17がめり込んだあとに形作られた同化層23の穴24は、雌ねじ加工を施せば別部材のボルト締結に利用できる。
【0049】
図3は本発明の部材接合構造の第3の例であり、第1の溝形材1の両側のフランジ2に第2の溝形材3の両側のフランジ4を突き合わせ接続して形作られる中空構造体5と、フランジ2の間に位置するように第1の溝形材1のウエブ6に沿う板状の第1の付加部材(プレートナットブラケット)7と、一端部分が第1の付加部材7に固着され且つ他端近傍部分が第2の溝形材3のウエブ8に穿設してある孔9に入った丸棒状の第1の補助部材19と、基端部分が第1の補助部材19の他端部分に設けてある穴20に入った第2の補助部材12と、当該第2の補助部材12の先端寄り部分が入る孔13が穿設してあり且つ第2の溝形材3のウエブ8に当接する第2の付加部材14とを備え、第2の補助部材12を第1の補助部材19に同化させ、第2の補助部材12を第2の付加部材14に係合させている。
【0050】
第1の補助部材19、第2の補助部材12はアルミニウム合金を素材とし、第2の付加部材14は鋼を素材としているが、第1の溝形材1、第2の溝形材3、第1の付加部材7は素材を限定していない。
【0051】
図3(b)に示すように、第2の補助部材12に由来する材料は、摩擦熱と塑性流動によって、第1の補助部材19に由来する材料とともに同化層25を形作り、また、第2の補助部材12に由来する材料は、摩擦熱と塑性流動によって、第2の付加部材14の孔13を覆うように形作られ、第1の補助部材19が第1の溝形材1に第1の付加部材7を組み付け、しかも、第1、第2の溝形材1,3からなる中空構造体5の剛性を局所的に高めている。
【0052】
第2の補助部材12を上述したような形状とする際には、例えば、図3(a)に示すような接合ツール15を用いる。
【0053】
接合ツール15は、アルミニウム合金よりも硬く且つ軟化温度が高い鋼を素材として、第2の補助部材12よりも太い円柱状のショルダ部16の先端面に第2の補助部材12よりも細い円柱状のピン部17を同軸に連ねた形をしている。
【0054】
第1の溝形材1のウエブ6に第1の付加部材7を沿わせたうえ、第1の溝形材1のフランジ2に第2の溝形材3のフランジ4を突き合わて中空構造体5を形作るとともに、第2の溝形材3のウエブ8の孔9に第1の補助部材19の他端部分を入れる。
【0055】
次いで、第1の補助部材19の穴20に第2の補助部材12を入れ、当該第2の補助部材12の先端寄り部分が孔13に入るように、第2の溝形材3のウエブ8に第2の付加部材14を当接させる。
【0056】
接合ツール15を回転させながら、そのピン部17を第2の補助部材12の他端部分に押し付けると、摩擦熱と塑性流動により軟化したこの部位にピン部17が徐々にめり込む。
【0057】
やがて、接合ツール15のショルダ部16端面が第2の補助部材12に押し付けられ、接合ツール15のピン部17の周囲に、第1、第2の補助部材19,12に由来する材料の同化層25が軟化した状態で生じる。
【0058】
更に、接合ツール15を同化層25から引き離して、当該同化層25及び孔13を覆う第2の補助部材12の塑性流動部位を硬化させると、第1の付加部材7の組み付けが完了し、第1、第2の溝形材1,3からなる中空構造体5の剛性も局所的に高まる。
【0059】
第1の溝形材1に組み付けられる第1の付加部材7には、アーク溶接のような歪みの原因となる高熱が与えられないので、第1の付加部材7がプレートナットブラケットであったとすると、そのナット部分と第1の溝形材1のウエブ6に穿設したボルト孔(図示せず)に芯ずれが発現しない。
【0060】
また、接合ツール15のピン部17がめり込んだあとに形作られた同化層25の穴26は、雌ねじ加工を施せば別部材のボルト締結に利用できる。
【0061】
図4は本発明の部材接合構造の第4の例であり、第1の溝形材1の両側のフランジ2に第2の溝形材3の両側のフランジ4を突き合わせ接続して形作られる中空構造体5と、フランジ2の間に位置するように第1の溝形材1のウエブ6に沿う板状の第1の付加部材(プレートナットブラケット)7と、一端部分が第1の付加部材7に固着され且つ他端近傍部分が第2の溝形材3のウエブ8に穿設してある孔9に入った丸棒状の第1の補助部材10と、基端部分が第1の補助部材10の他端部分に設けてあるねじ穴11に入った第2の補助部材12と、当該第2の補助部材12の先端寄り部分が入る孔21が穿設してあり且つ第2の溝形材3のウエブ8に当接する第2の付加部材22とを備え、第2の補助部材12を第1の補助部材10に係合させ、第2の補助部材12を第2の付加部材22に同化させている。
【0062】
第2の補助部材12、第2の付加部材22はアルミニウム合金を素材とし、第1の補助部材10は鋼を素材としているが、第1の溝形材1、第2の溝形材3、第1の付加部材7は素材を限定していない。
【0063】
図4(b)に示すように、第2の補助部材12に由来する材料は、摩擦熱と塑性流動によって、第1の補助部材10のねじ穴11の内周面に密着し、由来する材料とともに同化層27を形作り、また、第2の補助部材12に由来する材料は、摩擦熱と塑性流動によって、第2の付加部材22に由来する材料とともに同化層27を形作り、第1の補助部材10が第1の溝形材1に第1の付加部材7を組み付け、しかも、第1、第2の溝形材1,3からなる中空構造体5の剛性を局所的に高めている。
【0064】
第2の補助部材12を上述したような形状とする際には、例えば、図4(a)に示すような接合ツール15を用いる。
【0065】
接合ツール15は、アルミニウム合金よりも硬く且つ軟化温度が高い鋼を素材として、第2の補助部材12よりも太い円柱状のショルダ部16の先端面に第2の補助部材12よりも細い円柱状のピン部17を同軸に連ねた形をしている。
【0066】
第1の溝形材1のウエブ6に第1の付加部材7を沿わせたうえ、第1の溝形材1のフランジ2に第2の溝形材3のフランジ4を突き合わて中空構造体5を形作るとともに、第2の溝形材3のウエブ8の孔9に第1の補助部材10の他端部分を入れる。
【0067】
次いで、第1の補助部材10のねじ11に第2の補助部材12を入れ、当該第2の補助部材12の先端寄り部分が孔21に入るように、第2の溝形材3のウエブ8に第2の付加部材22を当接させる。
【0068】
接合ツール15を回転させながら、そのピン部17を第2の補助部材12の他端部分に押し付けると、摩擦熱と塑性流動により軟化したこの部位にピン部17が徐々にめり込む。
【0069】
やがて、接合ツール15のショルダ部16端面が第2の補助部材12に押し付けられ、接合ツール15のピン部17の周囲に、第2の補助部材12、及び第2の付加部材22に由来する材料の同化層27が軟化した状態で生じ、摩擦熱と塑性流動により軟化した補助部材12に由来する材料が、ねじ穴11へと押し込まれる。
【0070】
更に、接合ツール15を同化層27から引き離して、当該同化層27及びねじ穴11に押し込まれた第2の補助部材12の塑性流動部位を硬化させると、第1の付加部材7の組み付けが完了し、第1、第2の溝形材1,3からなる中空構造体5の剛性も局所的に高まる。
【0071】
第1の溝形材1に組み付けられる第1の付加部材7には、アーク溶接のような歪みの原因となる高熱が与えられないので、第1の付加部材7がプレートナットブラケットであったとすると、そのナット部分と第1の溝形材1のウエブ6に穿設したボルト孔(図示せず)に芯ずれが発現しない。
【0072】
また、接合ツール15のピン部17がめり込んだあとに形作られた同化層27の穴28は、雌ねじ加工を施せば別部材のボルト締結に利用できる。
【0073】
なお、本発明の部材接合方法及び構造は、上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変更を加え得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の部材接合方法及び構造は、様々な部品の接合組付工程に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の部材接合構造の第1の例の施工手順を示す概念図である。
【図2】本発明の部材接合構造の第2の例の施工手順を示す概念図である。
【図3】本発明の部材接合構造の第3の例の施工手順を示す概念図である。
【図4】本発明の部材接合構造の第4の例の施工手順を示す概念図である。
【符号の説明】
【0076】
1 第1の溝形材(第1の形材)
3 第2の溝形材(第2の形材)
7 第1の付加部材
9 孔
10 第1の補助部材
12 第2の補助部材
13 孔
14 第2の付加部材
19 第1の補助部材
21 孔
22 第2の付加部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに組み合わされる第1、第2の形材の間に、第1の補助部材の一端部分が固着してある第1の付加部材を、第1の補助部材の他端近傍部分が第2の形材に穿設してある孔にが入り且つ第1の付加部材が第1の形材に沿うように介在させたうえ、第1の補助部材の他端部分に設けてある穴に第2の補助部材の基端部分を入れ、当該第2の補助部材に外嵌する第2の付加部材を第2の形材に沿わせ、接合ツールを回転させながら第2の補助部材の先端に押し付け、摩擦熱と塑性流動により軟化した第2の補助部材の材料で第2の付加部材を覆い、この後、接合ツールを第2の補助部材から引き離して、塑性流動部位を硬化させることを特徴とする部材接合方法。
【請求項2】
互いに組み合わされる第1、第2の形材の間に、第1の補助部材の一端部分が固着してある第1の付加部材を、第1の補助部材の他端近傍部分が第2の形材に穿設してある孔にが入り且つ第1の付加部材が第1の形材に沿うように介在させたうえ、第1の補助部材の他端部分に設けてある穴に第2の補助部材の基端部分を入れ、当該第2の補助部材に外嵌する第2の付加部材を第2の形材に沿わせ、接合ツールを回転させながら第2の補助部材の先端に押し付け、摩擦熱と塑性流動により軟化した第2の補助部材の材料を第2の付加部材に同化させ、この後、接合ツールを第2の補助部材から引き離して、塑性流動部位を硬化させることを特徴とする部材接合方法。
【請求項3】
互いに組み合わされる第1、第2の形材と、第1の形材に沿い且つ第2の形材に向き合う第1の付加部材と、一端部分が第1の付加部材に固着され且つ他端近傍部分が第2の形材に穿設してある孔に入った第1の補助部材と、基端部分が第1の補助部材の他端部分に設けてある穴に入った第2の補助部材と、当該第2の補助部材の先端寄り部分が入る孔が穿設してあり且つ第2の形材に当接する第2の付加部材とを備え、第1の補助部材の穴に周方向に延びる溝を設けておき、摩擦熱と塑性流動により第2の補助部材に由来する材料を、第1の補助部材の穴に溝に入り込ませ且つ第2の付加部材の孔の周囲を覆うように形作ったことを特徴とする部材接合構造。
【請求項4】
互いに組み合わされる第1、第2の形材と、第1の形材に沿い且つ第2の形材に向き合う第1の付加部材と、一端部分が第1の付加部材に固着され且つ他端近傍部分が第2の形材に穿設してある孔に入った第1の補助部材と、基端部分が第1の補助部材の他端部分に設けてある穴に入った第2の補助部材と、当該第2の補助部材の先端寄り部分が入る孔が穿設してあり且つ第2の形材に当接する第2の付加部材とを備え、摩擦熱と塑性流動により第2の補助部材に由来する材料を、第1の補助部材、及び第2の付加部材に同化させたことを特徴とする部材接合構造。
【請求項5】
互いに組み合わされる第1、第2の形材と、第1の形材に沿い且つ第2の形材に向き合う第1の付加部材と、一端部分が第1の付加部材に固着され且つ他端近傍部分が第2の形材に穿設してある孔に入った第1の補助部材と、基端部分が第1の補助部材の他端部分に設けてある穴に入った第2の補助部材と、当該第2の補助部材の先端寄り部分が入る孔が穿設してあり且つ第2の形材に当接する第2の付加部材とを備え、第1の補助部材の穴に周方向に延びる溝を設けておき、摩擦熱と塑性流動により第2の補助部材に由来する材料を、第1の補助部材の穴に溝に入り込ませ且つ第2の付加部材に同化させたことを特徴とする部材接合構造。
【請求項6】
互いに組み合わされる第1、第2の形材と、第1の形材に沿い且つ第2の形材に向き合う第1の付加部材と、一端部分が第1の付加部材に固着され且つ他端近傍部分が第2の形材に穿設してある孔に入った第1の補助部材と、基端部分が第1の補助部材の他端部分に設けてある穴に入った第2の補助部材と、当該第2の補助部材の先端寄り部分が入る孔が穿設してあり且つ第2の形材に当接する第2の付加部材とを備え、第1の補助部材の穴に周方向に延びる溝を設けておき、摩擦熱と塑性流動により第2の補助部材に由来する材料を、第1の補助部材に同化させ且つ第2の付加部材の孔の周囲を覆うように形作ったことを特徴とする部材接合構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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