説明

配光特性測定装置、配光特性検査装置、配光特性測定プログラム、配光特性測定方法および配光特性検査方法

【課題】測定対象または検査対象となる光源の配光特性を瞬時に測定または判定することで、生産ラインにおける光源を高速に検査することができるとともに、経時変化する光源の放射強度を正確に測定することができる配光特性測定装置、配光特性検査装置、配光特性測定プログラム、配光特性測定方法および配光特性検査方法を提供する。
【解決手段】配光特性測定装置100は、光源10を覆うように半球状に形成され当該半球の頂点が光源10の中心軸と一致するように配置される半球状拡散板30と、光源10から照射され半球状拡散板30を透過した光を撮像する撮像装置50と、X軸垂直光強度およびY軸垂直光強度を抽出する垂直光強度抽出手段61と、X軸垂直光強度およびY軸垂直光強度をX軸断面放射強度およびY軸断面放射強度に変換する放射強度算出手段63と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源の配光特性を測定または検査する配光特性測定装置、配光特性検査装置、配光特性測定プログラム、配光特性測定方法および配光特性検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LED等の光源の放射強度と放射方向との関係、すなわち配光特性の良否を検査する場合、まず当該光源の放射強度を正確に測定する必要がある。そして、このような放射強度の測定では、測光上の考え方は一般的な光度測定と同様であり、色補正係数による視感度補正や、測光距離、周囲の反射光の除去等に注意すればよい。
【0003】
但し、放射強度の測定では、光源から照射される光の放射強度を、順次に角度を変えた方向から測定する必要がある。従って、従来の配光特性の検査では、例えば特許文献1に記載されるように、光源を固定してその周囲を測光器が回転する手法を用いるか、あるいは、測光器を固定してその周囲を光源が回転する手法を用いて、光源の放射強度を測定していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−70290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1を始めとする従来の配光特性の検査手法は、一つの光源に対して、角度を変えた複数の方向から放射強度を測定しなければならないため、生産ラインにおける全ての光源を高速かつ瞬時に検査するには不向きであった。また、光源として用いられるLEDは、長い時間点灯させると、自己発熱によって放射強度が変化してしまう。従って、従来のように角度を変えながら複数の方向から放射強度を測定すると、測定中に光源の放射強度が変化し、正確に測定することができないという問題があった。
【0006】
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、測定対象または検査対象となる光源の配光特性を瞬時に測定または判定することで、生産ラインにおける光源を高速に検査することができるとともに、光源の放射強度を正確に測定することができる配光特性測定装置、配光特性検査装置、配光特性測定プログラム、配光特性測定方法および配光特性検査方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために本発明に係る配光特性測定置は、所定の測定位置に搬送された光源の上部および周囲を覆うように半球状に形成され、半球の頂点が前記光源の中心軸と一致するように配置される半球状拡散板と、前記半球状拡散板の上方に所定間隔を置いて設置されるとともに、光軸が前記光源の中心軸と一致するように配置され、前記光源から照射され前記半球状拡散板を透過した光を撮像する撮像装置と、前記撮像装置が撮像した画像に所定の処理を施す画像処理装置と、を備え、前記光源の配光特性を測定する配光特性測定装置であって、前記画像処理装置が、前記撮像装置が撮像した画像の各画素値に対応する垂直光強度のうち、前記画像の中心画素を基準とするX軸上およびY軸上における垂直光強度を示すX軸垂直光強度およびY軸垂直光強度を、それぞれ所定個数ずつ抽出する垂直光強度抽出手段と、前記撮像装置から前記半球状拡散板上における前記X軸垂直光強度を抽出した画素に対応する位置を示すX軸対応位置までの垂直距離と、前記X軸対応位置から前記光源までの距離と、前記X軸対応位置から前記光源の設置面までの距離と、に応じて、前記X軸垂直光強度を前記X軸対応位置における断面放射強度を示すX軸断面放射強度に変換するとともに、前記撮像装置から前記半球状拡散板上における前記Y軸垂直光強度を抽出した画素に対応する位置を示すY軸対応位置までの垂直距離と、前記Y軸対応位置から前記光源までの距離と、前記Y軸対応位置から前記光源の設置面までの距離と、に応じて、前記Y軸垂直光強度を前記Y軸対応位置における断面放射強度を示すY軸断面放射強度に変換する放射強度算出手段と、を備える構成とした。
【0008】
このような構成によれば、配光特性測定装置は、放射強度算出手段によって、垂直光強度抽出手段で抽出されたX軸上およびY軸上における垂直方向の垂直光強度を、光源を基準とした所定角度の放射強度に変換することができる。従って、配光特性検査装置は、光源から照射された光を撮像装置で撮像するだけで、光源の放射強度の値を容易に取得することができる。
【0009】
また、本発明に係る配光特性測定装置は、前記放射強度算出手段が、下記式(1)によって前記X軸断面放射強度を算出するとともに、下記式(2)によって前記Y軸断面放射強度を算出することが好ましい。
【0010】
【数1】

【0011】
ここで、式(1)および式(2)において、WはX軸断面放射強度、WはY軸断面放射強度、wはX軸垂直光強度、wはY軸垂直光強度、dは撮像装置から半球状拡散板の頂点までの距離、rは半球状拡散板の半径、θはX軸対応位置またはY軸対応位置と光源とを結んだ仮想線が、X軸対応位置またはY軸対応位置と光源の設置面とを結んだ垂直線となす角度、を示している。
【0012】
このような構成によれば、配光特性測定装置は、放射強度算出手段によって、撮像装置からX軸対応位置またはY軸対応位置までの垂直距離と、所定角度の余弦値(X軸対応位置またはY軸対応位置と光源とを結んだ仮想線が、X軸対応位置またはY軸対応位置と光源の設置面とを結んだ垂直線となす角度の余弦値)に基づいて、垂直光強度抽出手段で抽出された垂直光強度を、光源を基準とした所定角度の放射強度に変換するため、光源から照射された光を撮像装置で撮像するだけで、光源の放射強度の値を容易に取得することができる。
【0013】
また、前記課題を解決するために本発明に係る配光特性検査装置は、前記した配光特性測定装置と、当該配光特性測定装置によって測定された配光特性の良否を判定する配光特性判定手段と、を備える配光特性検査装置であって、配光特性判定手段が、前記配光特性測定装置の放射強度算出手段によって測定された前記X軸断面放射強度および前記Y軸断面放射強度が、予め用意されたX軸断面放射強度の上下限値およびY軸断面放射強度の上下限値の範囲内であるか否かを判定することで、前記光源のX軸上およびY軸上における配光特性の良否を判定する配光特性判定手段を備える構成とした。
【0014】
このような構成によれば、配光特性検査装置は、光源から照射された光を撮像装置で撮像するだけで、光源の放射強度の値を容易に取得することができるため、配光特性の良否をより精度良く判定することができる。
【0015】
また、前記課題を解決するために本発明に係る配光特性測定プログラムは、所定の測定位置に搬送された光源から照射され、当該光源の上部および周囲を覆う半球状拡散板を透過した光を撮像装置によって撮像し、当該撮像した画像から、前記光源の配光測定を測定するために、コンピュータを、前記撮像装置が撮像した画像の各画素値に対応する垂直光強度のうち、前記画像の中心画素を基準とするX軸上およびY軸上における垂直光強度を示すX軸垂直光強度およびY軸垂直光強度を、それぞれ所定個数ずつ抽出する垂直光強度抽出手段、前記撮像装置から前記半球状拡散板上における前記X軸垂直光強度を抽出した画素に対応する位置を示すX軸対応位置までの垂直距離と、前記X軸対応位置から前記光源までの距離と、前記X軸対応位置から前記光源の設置面までの距離と、に応じて、前記X軸垂直光強度を前記X軸対応位置における断面放射強度を示すX軸断面放射強度に変換するとともに、前記撮像装置から前記半球状拡散板上における前記Y軸垂直光強度を抽出した画素に対応する位置を示すY軸対応位置までの垂直距離と、前記Y軸対応位置から前記光源までの距離と、前記Y軸対応位置から前記光源の設置面までの距離と、に応じて、前記Y軸垂直光強度を前記Y軸対応位置における断面放射強度を示すY軸断面放射強度に変換する放射強度算出手段、として機能させる構成とした。
【0016】
このような構成によれば、配光特性測定プログラムは、放射強度算出手段によって、垂直光強度抽出手段で抽出されたX軸上およびY軸上における垂直方向の垂直光強度を、光源を基準とした所定角度の放射強度に変換することができる。従って、配光特性検査装置は、光源から照射された光を撮像装置で撮像するだけで、光源の放射強度の値を容易に取得することができる。
【0017】
また、前記課題を解決するために本発明に係る配光特性測定方法は、測定対象となる光源の配光特性を測定する配光特性測定方法であって、ハンドラによって、前記光源の中心軸が半球状拡散板の半球の頂点と撮像装置の光軸とに一致するように、当該光源を搬送する光源搬送工程と、前記撮像装置によって、前記光源から照射され前記半球状拡散板を透過した光を撮像する撮像工程と、垂直光強度抽出手段によって、前記撮像装置が撮像した画像の各画素値に対応する垂直光強度のうち、前記画像の中心画素を基準とするX軸上およびY軸上における垂直光強度を示すX軸垂直光強度およびY軸垂直光強度を、それぞれ所定個数ずつ抽出する垂直光強度抽出工程と、放射強度算出手段によって、前記撮像装置から前記半球状拡散板上における前記X軸垂直光強度を抽出した画素に対応する位置を示すX軸対応位置までの垂直距離と、前記X軸対応位置から前記光源までの距離と、前記X軸対応位置から前記光源の設置面までの距離と、に応じて、前記X軸垂直光強度を前記X軸対応位置における断面放射強度を示すX軸断面放射強度に変換するとともに、前記撮像装置から前記半球状拡散板上における前記Y軸垂直光強度を抽出した画素に対応する位置を示すY軸対応位置までの垂直距離と、前記Y軸対応位置から前記光源までの距離と、前記Y軸対応位置から前記光源の設置面までの距離と、に応じて、前記Y軸垂直光強度を前記Y軸対応位置における断面放射強度を示すY軸断面放射強度に変換する放射強度算出工程と、を行う手順とした。
【0018】
このような手順によれば、配光特性測定方法は、放射強度算出手段によって、垂直光強度抽出手段で抽出されたX軸上およびY軸上における垂直方向の垂直光強度を、光源を基準とした所定角度の放射強度に変換することができる。従って、配光特性検査装置は、光源から照射された光を撮像装置で撮像するだけで、光源の放射強度の値を容易に取得することができる。
【0019】
また、前記課題を解決するために本発明に係る配光特性検査方法は、検査対象となる光源の配光特性を検査する配光特性検査方法であって、ハンドラによって、前記光源の中心軸が半球状拡散板の半球の頂点と撮像装置の光軸とに一致するように、当該光源を搬送する光源搬送工程と、前記撮像装置によって、前記光源から照射され前記半球状拡散板を透過した光を撮像する撮像工程と、垂直光強度抽出手段によって、前記撮像装置が撮像した画像の各画素値に対応する垂直光強度のうち、前記画像の中心画素を基準とするX軸上およびY軸上における垂直光強度を示すX軸垂直光強度およびY軸垂直光強度を、それぞれ所定個数ずつ抽出する垂直光強度抽出工程と、放射強度算出手段によって、前記撮像装置から前記半球状拡散板上における前記X軸垂直光強度を抽出した画素に対応する位置を示すX軸対応位置までの垂直距離と、前記X軸対応位置から前記光源までの距離と、前記X軸対応位置から前記光源の設置面までの距離と、に応じて、前記X軸垂直光強度を前記X軸対応位置における断面放射強度を示すX軸断面放射強度に変換するとともに、前記撮像装置から前記半球状拡散板上における前記Y軸垂直光強度を抽出した画素に対応する位置を示すY軸対応位置までの垂直距離と、前記Y軸対応位置から前記光源までの距離と、前記Y軸対応位置から前記光源の設置面までの距離と、に応じて、前記Y軸垂直光強度を前記Y軸対応位置における断面放射強度を示すY軸断面放射強度に変換する放射強度算出工程と、配光特性判定手段によって、変換された前記X軸断面放射強度が、予め用意されたX軸断面放射強度の上下限値の範囲内であるか否かを判定するとともに、変換された前記Y軸断面放射強度が、予め用意されたY軸断面放射強度の上下限値の範囲内であるか否かを判定することで、前記光源のX軸上およびY軸上における配光特性の良否を判定する配光特性判定工程と、を行う手順とした。
【0020】
このような手順によれば、配光特性検査方法は、放射強度算出手段によって、垂直光強度抽出手段で抽出されたX軸上およびY軸上における垂直方向の垂直光強度を、光源を基準とした所定角度の放射強度に変換することができる。従って、配光特性検査装置は、光源から照射された光を撮像装置で撮像するだけで、光源の放射強度の値を容易に取得することができるため、配光特性の良否をより精度良く判定することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る配光特性測定装置、配光特性検査装置、配光特性測定プログラム、配光特性測定方法および配光特性検査方法によれば、光源の放射強度を角度ごとに測定する必要がなく、一つの光源に対して一方向から一度の測定を行えばよいため、検査対象となる光源の配光特性を瞬時に判定することができ、生産ラインにおける光源を高速に検査することができる。また、本発明に係る配光特性測定装置、配光特性検査装置、配光特性測定プログラム、配光特性測定方法および配光特性検査方法によれば、一定角度における光を撮像して放射強度を算出するため、光源の放射強度を正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係る配光特性測定装置および配光特性検査装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る配光特性測定装置が備える画像処理装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る配光特性測定装置および配光特性検査装置が備える垂直光強度抽出手段の処理内容を説明するための図である。
【図4】本発明の実施形態に係る配光特性測定装置および配光特性検査装置が備える放射強度算出手段の処理内容を説明するための図である。
【図5】本発明の実施形態に係る配光特性測定装置および配光特性検査装置が備える放射強度算出手段によって算出された放射強度を放射角度ごとにプロットした放射強度分布図を示す概略図であり、(a)は、X軸断面放射強度分布図、(b)は、Y軸断面放射強度分布図、である。
【図6】本発明の実施形態に係る配光特性測定装置および配光特性検査装置によって測定した配光特性分布の一例を示す概略図である。
【図7】本発明の実施形態に係る配光特性測定装置が備える画像処理装置の内部構成と、配光特性判定手段の内部構成と、を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施形態に係る配光特性検査装置が備える配光特性判定手段による処理内容を説明するための図であり、(a)は、X軸上における配光特性の判定処理を示す図であり、(b)は、Y軸上における配光特性の判定処理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態に係る配光特性検査装置200について、図面を参照しながら説明する。なお、各図面が示す部材のサイズや位置関係等は、説明を明確にするため省略あるいは誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については、原則として同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。
【0024】
配光特性検査装置200は、検査対象となる光源10の配光特性を検査するものである。配光特性検査装置200は、後記する図7に示すように、配光特性測定装置100と、配光特性判定手段110と、を独立の構成として備えている。以下の説明では、まず配光特性測定装置100の構成について説明した後に、配光特性判定手段110の構成について説明する。
【0025】
<配光特性測定装置>
配光特性測定装置は、測定対象となる光源の配光特性を測定するものである。配光特性測定装置100は、図1に示すように、ハンドラ20と、半球状拡散板30と、外光遮断箱40と、撮像装置50と、画像処理装置60と、点灯電源70と、PC80と、を主な構成として備えている。なお、図1では、説明の便宜上、半球状拡散板30と外光遮断箱40は断面図で示している。以下、各構成について、詳細に説明する。
【0026】
光源10は、配光特性測定装置100の測定対象となる光の照射源である。光源10は、具体的にはLED(Light Emitting Diode)で構成されるが、その形状、大きさ、波長等は特に限定されない。光源10は、図1に示すように、リードフレーム11が図示しない固定部材を介して搬送機構21に固定されており、当該搬送機構21によって、所定の測定位置に一つずつ搬送されるように構成されている。なお、所定の測定位置とは、図1に示すように、光源10の中心軸が半球状拡散板30の半球の頂点(天頂)と撮像装置50の光軸とに一致する位置のことを意味している。また、光源10は、図1に示すように、リードフレーム11が点灯電源70と電気的に接続されており、当該点灯電源70からの点灯電流に従って点灯するように構成されている。
【0027】
ハンドラ20は、光源10を所定の測定位置に搬送するとともに、測定後の光源10を配光特性別に分類するものである。ハンドラ20は、図1に示すように、搬送機構21と、図示しない把持部と、制御部22と、を備えている。
【0028】
搬送機構21は、制御部22の指示に従って、複数の光源10を一つずつ所定の測定位置へと搬送するものである。また、把持部は、制御部22の指示に従って、光源10が設置面(固定面)に対して垂直となるように、当該光源10を固定(クランプ)するものである。また、制御部22は、搬送装置21および把持部の動作を制御するとともに、光源10の点灯を指示するものである。
【0029】
制御部22は、具体的には、配光特性測定装置100の動作が開始すると、図2に示すように、測定開始指示を生成し、これを点灯電源制御手段66に出力することで、光源10を点灯させる。また、制御部22は、搬送指示を生成し、これを搬送機構21に出力することで、測定対象となる光源10を所定の測定位置に搬送する。そして、制御部22は、光源10の配光特性の測定が終了し、図2に示すように、放射強度算出手段63からハンドラ20に対して測定結果が入力されると、次の光源10を測定位置に搬送するように、搬送機構21を制御する。また、制御部22は、前記した測定結果に従って、光源10を配光特性別にランク分けし、測定済みの光源10をランク別に収容する所定の収容場所まで搬送するように、搬送機構21を制御する。
【0030】
半球状拡散板30は、光源10から照射された光を投影するとともに、周囲に拡散させるためのものである。半球状拡散板30は、例えば、所定厚さのガラス製または樹脂製の板を半球状に湾曲させて形成される。また、図示は省略したものの、半球状拡散板30は、内部の全面にサンドブラストが施され、内部面に微細な凹凸が形成されている。そして、半球状拡散板30は、当該凹凸によって、光源10から照射された光を投影するだけでなく、周囲に拡散できるように構成されている。
【0031】
半球状拡散板30は、図1に示すように、半球状に形成され、搬送機構21によって所定の測定位置に搬送された光源10の上部と周囲とを覆うように設置される。また、半球状拡散板30は、図1に示すように、その半球の頂点が、搬送された光源10の測定位置において当該光源10の中心軸と一致するように配置される。なお、半球状拡散板30は、測定対象がLEDの場合は、指向性の角度が180°を超えることがないため、ここでは、搬送される光源10から所定間隔上方に配置されている
【0032】
外光遮断箱40は、光源10の光の照射領域を外光から遮断するためのものである。外光遮断箱40は、例えば図1に示すように、箱状に形成され、半球状拡散板30の上部と周囲とを覆うように配置される。配光特定測定装置100は、このように外光遮断箱40によって外光を遮断することで、後記する撮像装置50によって、検査対象となる光源10の光のみを正確に撮像することができる。
【0033】
撮像装置50は、光源10から照射された光を撮像するものである。撮像装置50は、具体的には、図1に示すように、光源10から照射され半球状拡散板30を透過した光を撮像する。撮像装置50は、具体的には、CCDカメラ等の一般的なカラーカメラで構成され、図1に示すように、撮像した画像データを画像処理装置60に対して出力するように構成されている。
【0034】
撮像装置50は、図1に示すように、半球状拡散板30の上方に所定間隔を置いて設置される。なお、撮像装置50と半球状拡散板30の頂点との間隔は、測定の条件に合わせて任意に設定することができる。撮像装置50は、図1に示すように、外光遮断箱40の上部を貫通して設置される。また、撮像装置50は、図1に示すように、その光軸が半球状拡散板30の頂点と、光源10の中心軸と、に一致するように配置される。
【0035】
画像処理装置60は、撮像装置50が撮像した画像に所定の処理を施すことで、光源10の配光特性を測定するものである。画像処理装置60は、具体的には、図2に示すように、垂直光強度抽出手段61と、抽出条件記憶手段62と、放射強度算出手段63と、点灯電源制御手段66と、を主な構成として備えている。以下、各構成について、詳細に説明する。
【0036】
垂直光強度抽出手段61は、撮像装置50が撮像した画像から垂直光強度を抽出するものである。垂直光強度抽出手段61は、具体的には、図2に示すように、撮像装置50が撮像した画像データの各画素の画素値を参照することで、当該画素値に対応した垂直光強度を抽出する。また、垂直光強度抽出手段61は、各画素値に対応する垂直光強度のうち、画像の中心画素を基準とするX軸上における垂直光強度を示すX軸垂直光強度と、画像の中心画素を基準とするY軸上における垂直光強度を示すY軸垂直光強度と、をそれぞれ所定個数ずつ抽出する。
【0037】
垂直光強度抽出手段61は、図3に示すように、X軸垂直光強度として、X軸と所定角度間隔の放射強度等線との交点位置における垂直光強度を抽出することが好ましい。また、垂直光強度抽出手段61は、Y軸垂直光強度として、Y軸と所定角度間隔の放射強度等線との交点位置の垂直光強度を抽出することが好ましい。
【0038】
ここで、図3の上方に示す図は、半球状拡散板30を上方から撮像した画像であり、等高線を同心円状に付加したものである。また、図3の下方に示す図は、図3の上方に示す図を立体視した場合におけるX軸断面(X軸上の放射強度等線)を示している。なお、図3の上方に示す図を立体視した場合におけるY軸断面(Y軸上の放射強度等線)も、図3の下方に示す図と同様の図となる。そして、例えば、図3の上方に示す図における「X+45°」は、X軸上かつ半球状拡散板30の頂点(天頂)からプラス方向に45°の位置を示している。
【0039】
垂直光強度抽出手段61は、例えば図3の下方に示す図のように、放射強度等線の角度間隔を5°間隔とした場合、画像データからX軸垂直光強度およびY軸垂直光強度をそれぞれ35個ずつ抽出する。なお、放射強度等線の角度間隔は特に限定されず、測定の条件に合わせて任意に設定することができる。また、放射強度等線の角度間隔は、図2に示すように、抽出条件記憶手段62に抽出条件として予め記憶され、測定開始と同時に、当該抽出条件記憶手段62から垂直光強度抽出手段61に入力されるように構成されている。
【0040】
垂直光強度抽出手段61には、図2に示すように、撮像装置50から画像データが入力されるとともに、抽出条件記憶手段62から抽出条件が入力される。そして、垂直光強度抽出手段61には、前記した手法によって画像データからX軸垂直光強度およびY軸垂直光強度を抽出し、図2に示すように、これらを放射強度算出手段63に出力する。なお、垂直光強度抽出手段61は、撮像装置50から入力された画像データを一時的に記憶する図示しない記憶手段を備えていてもよい。
【0041】
抽出条件記憶手段62は、放射強度等線の角度間隔を示す抽出条件を記憶するものである。抽出条件記憶手段62は、具体的には、データを記憶することができるメモリ、ハードディスク等で具現される。抽出条件記憶手段62には、図2に示すように、PC80からユーザが設定した抽出条件が入力され、測定開始と同時に、これを垂直光強度抽出手段61に出力する。
【0042】
放射強度算出手段63は、垂直光強度を断面放射強度に変換するものである。放射強度算出手段63は、具体的には、図4に示すように、撮像装置50から半球状拡散板30上におけるX軸対応位置Pまでの垂直距離eと、X軸対応位置Pから光源10までの距離r(=半球状拡散板30の半径r)と、X軸対応位置Pから光源10の設置面fまでの距離b’と、に応じて、X軸垂直光強度を図5(a)に示すX軸断面放射強度に変換する。また、放射強度算出手段63は、同様に、撮像装置50から半球状拡散板30上におけるY軸対応位置Pまでの垂直距離eと、Y軸対応位置Pから光源10までの距離rと、Y軸対応位置Pから光源10の設置面fまでの距離b’と、に応じて、Y軸垂直光強度を図5(b)に示すY軸断面放射強度に変換する。
【0043】
なお、図4は、光源10と半球状拡散板30と撮像装置50との関係を模式的に示した図である。また、図5において、縦軸は断面放射強度を示し、横軸は光源10を基準とした+90°から−90°までの放射角度を示している。また、X軸対応位置Pとは、半球状拡散板30上におけるX軸垂直光強度を抽出した画素に対応する位置を示しており、Y軸対応位置Pとは、半球状拡散板30上におけるY軸垂直光強度を抽出した画素に対応する位置を示している。また、X軸断面放射強度とは、X軸対応位置Pにおける断面放射強度を示しており、Y軸断面放射強度とは、Y軸対応位置Pにおける断面放射強度を示している。そして、設置面fとは、図4に示すように、光源10の光出射面に接した水平面のことを示している。
【0044】
放射強度算出手段63は、下記式(1)によってX軸断面放射強度Wを算出するとともに、下記式(2)によってY軸断面放射強度Wを算出することが好ましい。
【0045】
【数2】

【0046】
ここで、前記式(1)および前記式(2)において、WはX軸断面放射強度、WはY軸断面放射強度、wはX軸垂直光強度、wはY軸垂直光強度、dは撮像装置50から半球状拡散板30の頂点までの距離、rは半球状拡散板30の半径、θはX軸対応位置PまたはY軸対応位置Pと光源10とを結んだ仮想線αが、X軸対応位置PまたはY軸対応位置Pと光源10の設置面とを結んだ垂直線βとなす角度、を示している。
【0047】
前記式(1)は、所定のX軸対応位置PにおけるX軸垂直光強度wを、撮像装置50からX軸対応位置Pまでの垂直距離eの二乗に比例して増加させ、かつ、光源10からX軸対応位置Pまでの距離と光源10の設置面fからX軸対応位置Pまでの距離との距離比cosθに比例して減少させることで、X軸垂直光強度wをX軸断面放射強度Wに変換するものである。また、前記式(2)は、所定のY軸対応位置PにおけるY軸垂直光強度wを、撮像装置50からY軸対応位置Pまでの垂直距離eの二乗に比例して増加させ、かつ、光源10からY軸対応位置Pまでの距離と光源10の設置面fからY軸対応位置Pまでの距離との距離比cosθに比例して減少させることで、Y軸垂直光強度wをY軸断面放射強度Wに変換するものである。これらは、光源10から所定角度θ傾いた場合の放射強度が余弦値cosθに比例するという入射角の余弦の法則と、光源10からの放射強度が撮像装置50から測定点までの距離の二乗に逆比例するという逆二乗の法則と、を応用したものである。
【0048】
このような構成によれば、配光特性測定装置100は、放射強度算出手段63によって、撮像装置50からX軸対応位置またはY軸対応位置までの垂直距離と、所定角度の余弦値cosθ(X軸対応位置PまたはY軸対応位置Pと光源10とを結んだ仮想線αが、X軸対応位置PまたはY軸対応位置Pと光源10の設置面fとを結んだ垂直線βとなす角度θの余弦値cosθ)に基づいて、垂直光強度抽出手段61で抽出された垂直光強度を、光源10を基準とした所定角度の放射強度に変換するため、光源10から照射された光を撮像装置50で撮像するだけで、光源10の放射強度の値を容易に取得することができる。
【0049】
放射強度算出手段63には、図2に示すように、垂直光強度抽出手段61からX軸垂直光強度およびY軸垂直光強度が入力される。そして、放射強度算出手段63は、前記した手法によってX軸断面放射強度およびY軸断面放射強度を算出し、図2に示すように、これらをハンドラ20に出力する。
【0050】
点灯電源制御手段66は、点灯電源70に対して光源10の点灯指示を行うものである。点灯電源制御手段66には、図2に示すように、ハンドラ20から、測定開始指示力される。そして、点灯電源制御手段66は、図2に示すように、当該測定開始指示に基づいて点灯指示を生成し、これを点灯電源70に出力する。
【0051】
点灯電源70は、光源10を点灯あるいは消灯させるためのものである。点灯電源70には、図2に示すように、点灯電源制御手段66から点灯指示が入力される。そして、点灯電源70は、当該点灯指示に従って、測定対象となる光源10に対して点灯電流を供給する。
【0052】
PC80は、ユーザの操作に従って、抽出条件記憶手段62に対して抽出条件を入力するものである。また、PC80は、放射強度算出手段63から放射強度の測定結果が入力されることで、図示しない表示モニタによって、図5に示すようなX軸断面放射強度分布図およびY軸断面放射強度分布図によって、配光特性の測定結果を表示することもできる。
【0053】
また、PC80は、例えば、測定したX軸断面放射強度またはY軸断面放射強度を図6に示すような配光特性分布に変換し、これを図示しない表示モニタによって表示することもできる。ここで、図6において、半球の頂点を基準とした左右の外周方向は放射角度を示し、半球の中心点を基準とした半径方向は放射強度を示している。
【0054】
以上のような構成を備える配光特性測定装置100は、放射強度算出手段63によって、垂直光強度抽出手段61で抽出されたX軸上およびY軸上における垂直方向の垂直光強度を、光源10を基準とした所定角度の放射強度に変換することができる。従って、配光特性検査装置100は、光源10から照射された光を撮像装置50で撮像するだけで、光源10の放射強度の値を容易に取得することができる。
【0055】
また、本発明に係る配光特性測定装置100によれば、光源10の放射強度を角度ごとに測定する必要がなく、一つの光源10に対して一方向から一度の測定を行えばよいため、検査対象となる光源10の配光特性を瞬時に判定することができ、生産ラインにおける光源10を高速に検査することができる。そして、配光特性測定装置100によれば、一定角度における光を撮像して放射強度を算出するため、光源10の放射強度を正確に測定することができる。
【0056】
<配光特性判定手段>
配光特性判定手段110は、配光特性測定装置100によって測定された配光特性の良否を判定するものである。配光特性判定手段110は、図7に示すように、配光特性測定装置100と協働することで、配光特性検査装置200として機能する。配光特性判定手段110は、図7に示すように、配光特性判定手段(配光特性比較手段)64と、判定条件記憶手段65と、を備えている。以下、各構成について、詳細に説明する。
【0057】
配光特性判定手段(配光特性比較手段)64は、光源10の配光特性の良否を判定(比較)するものである。配光特性判定手段64は、具体的には、図8(a)に示すように、放射強度算出手段63によって算出されたX軸断面放射強度と、予め用意されたX軸断面放射強度の上下限値(上限値および下限値)とを比較し、X軸断面放射強度のそれぞれが上下限値の範囲内にあるか否かを判定する。また、配光特性判定手段64は、図8(b)に示すように、放射強度算出手段63によって算出されたY軸断面放射強度と、予め用意されたY軸断面放射強度の上下限値とを比較し、Y軸断面放射強度のそれぞれが上下限値の範囲内にあるか否かを判定する。
【0058】
なお、図8において、縦軸は断面放射強度を示し、横軸は光源10を基準とした+90°から−90°までの放射角度を示している。また、図8において、○でプロットしたものはX軸断面放射強度、×でプロットしたものはX軸断面放射強度の上限値、△でプロットしたものはX軸断面放射強度の下限値、を示している。また、上下限値は特に限定されず、検査の条件に合わせて任意に設定することができる。そして、上下限値は、図7に示すように、判定条件記憶手段65に判定条件として予め記憶され、検査開始と同時に、当該判定条件記憶手段65から配光特性判定手段64に入力されるように構成されている。
【0059】
X軸断面放射強度およびY軸断面照射強度のそれぞれの上下限値は、配光特性検査装置200による検査開始前に、図示しない放射強度測定装置によって、事前に基準LEDの角度ごとに変化する放射強度を測定することで定めることができる。例えば一例としては、まず光源10を設置面に対して垂直(設置面と半球状拡散板30を結ぶ直線に対して角度0°)に設置する。そして、半球状拡散板30の頂点を100%として、放射強度を測定する。次に、光源10を頂点から+5°(あるいは−5°)傾け、その地点を100%として放射強度を測定する。これを+90°から−90°までの範囲、およびX軸断面およびY軸断面において、繰り返し測定することで、X軸断面放射強度およびY軸断面照射強度のそれぞれの上下限値を定めることができる。
【0060】
配光特性判定手段64には、図7に示すように、放射強度算出手段63からX軸断面放射強度およびY軸断面放射強度が入力される。そして、配光特性判定手段64は、前記した手法によってX軸断面放射強度およびY軸断面放射強度の良否を判定し、図7に示すように、その判定結果をハンドラ20に出力する。なお、配光特性判定手段64は、放射強度算出手段63から入力されたX軸断面放射強度およびY軸断面放射強度を一時的に記憶する図示しない記憶手段を備えていてもよい。
【0061】
なお、配光特性検査装置200におけるPC80には、ハンドラ20から判定結果が入力されてもよい。この場合、PC80は、当該ハンドラ20から入力された判定結果として、図8に示すようなX軸断面放射強度分布の上下限値との判定結果図およびY軸断面放射強度分布の上下限値との判定結果図を、図示しない表示モニタによって表示することができる。
【0062】
以上のような構成を備える配光特性検査装置200は、光源10から照射された光を撮像装置50で撮像するだけで、光源10の放射強度の値を容易に取得することができるため、配光特性の良否をより精度良く判定することができる。
【0063】
<配光特性測定プログラムおよび配光特性検査プログラム>
配光特性測定装置100および配光特性検査装置200は、一般的なコンピュータを、前記した各手段および各部として機能させるプログラムにより動作させることで実現することができる。このプログラムは、通信回線を介して配布することも可能であるし、CD−ROM等の記録媒体に書き込んで配布することも可能である。
【0064】
<配光特性測定方法>
以下、本発明の実施形態に係る配光特性測定装置100の動作、すなわち配光特性測定方法について、簡単に説明する。配光特性測定方法は、光源搬送工程と、撮像工程と、垂直光強度抽出工程と、放射強度算出工程と、を行う。
【0065】
光源搬送工程は、光源10を所定の測定位置まで搬送する工程である。光源搬送工程では、具体的には、ハンドラ20によって搬送機構21を制御し、光源10の中心軸が半球状拡散板30の半球の頂点と撮像装置50の光軸とに一致するように、光源10を搬送する。そして、この光源搬送工程の後に、撮像工程を行う。
【0066】
撮像工程は、光源搬送工程によって所定の測定位置まで搬送された光源10から照射された光を撮像する工程である。撮像工程では、具体的には、撮像装置50によって、光源10から照射され半球状拡散板30を透過した光を撮像し、画像データを生成する。そして、この撮像工程の後に、垂直光強度抽出工程を行う。
【0067】
垂直光強度抽出工程は、撮像工程で撮像された画像から垂直光強度を抽出する工程である。垂直光強度抽出工程では、具体的には、垂直光強度抽出手段61によって、撮像装置50が撮像した画像の各画素値に対応する垂直光強度のうち、X軸垂直光強度およびY軸垂直光強度を、それぞれ所定個数ずつ抽出する。そして、この垂直光強度抽出工程の後に、放射強度算出工程を行なう。
【0068】
なお、垂直光強度抽出工程では、前記したように、X軸垂直光強度として、X軸と所定角度間隔の放射強度等線との交点位置における垂直光強度を抽出することが好ましく、Y軸垂直光強度として、Y軸と所定角度間隔の放射強度等線との交点位置の垂直光強度を抽出することが好ましい(図3参照)。
【0069】
放射強度算出工程は、垂直光強度抽出工程で抽出された垂直光強度を放射強度に変換する工程である。放射強度算出工程は、具体的には、放射強度算出手段63によって、撮像装置50からX軸対応位置までの垂直距離と、X軸対応位置から光源10までの距離とX軸対応位置から光源10の設置面までの距離との距離比と、に応じて、X軸垂直光強度をX軸断面放射強度に変換する。また、放射強度算出工程では、放射強度算出手段63によって、撮像装置50からY軸対応位置までの垂直距離と、Y軸対応位置から光源10までの距離と、Y軸対応位置から光源10の設置面までの距離と、に応じて、Y軸垂直光強度をY軸断面放射強度に変換する。
【0070】
なお、放射強度算出工程では、前記したように、放射強度算出手段63によって、下記式(1)でX軸断面放射強度Wを算出するとともに、下記式(2)でY軸断面放射強度Wを算出することが好ましい(図4参照)。
【0071】
【数3】

【0072】
ここで、前記式(1)および前記式(2)において、WはX軸断面放射強度、WはY軸断面放射強度、wはX軸垂直光強度、wはY軸垂直光強度、dは撮像装置50から半球状拡散板30の頂点までの距離、rは半球状拡散板30の半径、θはX軸対応位置PまたはY軸対応位置Pと光源10とを結んだ仮想線αが、X軸対応位置PまたはY軸対応位置Pと光源10の設置面とを結んだ垂直線βとなす角度、を示している。
【0073】
<配光特性検査方法>
以下、本発明の実施形態に係る配光特性検査装置200の動作、すなわち配光特性検査方法について、簡単に説明する。配光特性検査方法は、前記した配光特性測定方法における光源搬送工程と、撮像工程と、垂直光強度抽出工程と、放射強度算出工程と、に加えて、配光特性判定工程を行うことを特徴としている。
【0074】
配光特性判定工程は、放射強度算出工程によって算出した光源10の配光特性の良否を判定する工程である。配光特性判定工程では、具体的には、配光特性判定手段64によって、X軸断面放射強度と予め用意されたX軸断面放射強度の上下限値とを比較することで、光源10のX軸上における配光特性の良否を判定する。また、配光特性判定工程では、配光特性判定手段64によって、Y軸断面放射強度と予め用意されたY軸断面放射強度の上下限値とを比較することで、光源10のY軸上における配光特性の良否を判定する。
【0075】
以上、本発明に係る配光特性測定装置 配光特性検査装置、配光特性測定プログラム、配光特性測定方法および配光特性検査方法について、発明を実施するための形態により具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変等したものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。
【0076】
例えば、前記した配光特性測定装置100および配光特性検査装置200は、放射強度算出手段63が前記式(1)によってX軸断面放射強度Wを算出するとともに、前記式(2)によってY軸断面放射強度Wを算出することが好ましいとしたが、前記式(1)および前記式(2)における「(d+(r−rcosθ))/cosθ」を、定数C(θ)およびC(θ)として予め算出しておき、放射強度算出手段63において、X軸垂直光強度wと定数C(θ)とを乗算することでX軸断面放射強度Wを算出し、Y軸垂直光強度wと定数C(θ)とを乗算することでY軸断面放射強度Wを算出する構成としてもよい。すなわち、放射強度算出手段63は、下記式(3)によってX軸断面放射強度Wを算出するとともに、下記式(4)によってY軸断面放射強度Wを算出してもよい。これにより、配光特性測定装置100および配光特性検査装置200は、生産ラインにおける光源10をより高速に検査することができる。
【0077】
【数4】

【0078】
また、例えば前記した配光特性測定装置100および配光特性検査装置200では、図2および図7に示すように、画像処理装置60が点灯電源制御手段66を備える構成としたが、例えばハンドラ20が点灯電源制御手段66を備え、点灯電源70を直接制御する構成としてもよい。
【0079】
また、例えば前記した配光特性検査装置200では、図7に示すように、配光特性測定装置100と、配光特性判定手段110と、を別個の構成として説明したが、当該配光特性判定手段110を配光特性測定装置100における画像処理装置60の内部に備える構成としてもよい。
【0080】
また、前記した配光特性測定装置100および配光特性検査装置200では、図1に示すように、半球状拡散板30を光源10から所定間隔だけ上方に配置されているが、当該半球状拡散板30によって光源10の上方および周囲を完全に覆い、搬送される光源10が通過できる切欠を搬送方向に形成してもよい。あるいは、このような切欠を形成せずに、光源10が測定位置に搬送される度に半球状拡散板30、外光遮断箱40および撮像装置50を上方に移動させ、光源10を通過させるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0081】
10 光源
11 リードフレーム
20 ハンドラ
21 搬送機構
22 制御部
30 半球状拡散板
40 外光遮断箱
50 撮像装置
60 画像処理装置
61 垂直光強度抽出手段
62 抽出条件記憶手段
63 放射強度算出手段
64 配光特性判定手段(配光特性比較手段)
65 判定条件記憶手段
66 点灯電源制御手段
70 点灯電源
80 PC
100 配光特性測定装置
110 配光特性判定手段
200 配光特性検査装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の測定位置に搬送された光源の上部および周囲を覆うように半球状に形成され、半球の頂点が前記光源の中心軸と一致するように配置される半球状拡散板と、前記半球状拡散板の上方に所定間隔を置いて設置されるとともに、光軸が前記光源の中心軸と一致するように配置され、前記光源から照射され前記半球状拡散板を透過した光を撮像する撮像装置と、前記撮像装置が撮像した画像に所定の処理を施す画像処理装置と、を備え、前記光源の配光特性を測定する配光特性測定装置であって、
前記画像処理装置は、
前記撮像装置が撮像した画像の各画素値に対応する垂直光強度のうち、前記画像の中心画素を基準とするX軸上およびY軸上における垂直光強度を示すX軸垂直光強度およびY軸垂直光強度を、それぞれ所定個数ずつ抽出する垂直光強度抽出手段と、
前記撮像装置から前記半球状拡散板上における前記X軸垂直光強度を抽出した画素に対応する位置を示すX軸対応位置までの垂直距離と、前記X軸対応位置から前記光源までの距離と、前記X軸対応位置から前記光源の設置面までの距離と、に応じて、前記X軸垂直光強度を前記X軸対応位置における断面放射強度を示すX軸断面放射強度に変換するとともに、前記撮像装置から前記半球状拡散板上における前記Y軸垂直光強度を抽出した画素に対応する位置を示すY軸対応位置までの垂直距離と、前記Y軸対応位置から前記光源までの距離と、前記Y軸対応位置から前記光源の設置面までの距離と、に応じて、前記Y軸垂直光強度を前記Y軸対応位置における断面放射強度を示すY軸断面放射強度に変換する放射強度算出手段と、
を備えることを特徴とする配光特性測定装置。
【請求項2】
前記放射強度算出手段は、下記式(1)によって前記X軸断面放射強度を算出するとともに、下記式(2)によって前記Y軸断面放射強度を算出することを特徴とする請求項1に記載の配光特性測定装置。

【数1】


但し、式(1)および式(2)において、WはX軸断面放射強度、WはY軸断面放射強度、wはX軸垂直光強度、wはY軸垂直光強度、dは撮像装置から半球状拡散板の頂点までの距離、rは半球状拡散板の半径、θはX軸対応位置またはY軸対応位置と光源とを結んだ仮想線が、X軸対応位置またはY軸対応位置と光源の設置面とを結んだ垂直線となす角度、を示している。

【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の配光特性測定装置と、当該配光特性測定装置によって測定された配光特性の良否を判定する配光特性判定手段と、を備える配光特性検査装置であって、
前記配光特性判定手段は、前記配光特性測定装置の放射強度算出手段によって測定された前記X軸断面放射強度および前記Y軸断面放射強度が、予め用意されたX軸断面放射強度の上下限値およびY軸断面放射強度の上下限値の範囲内であるか否かを判定することで、前記光源のX軸上およびY軸上における配光特性の良否を判定する配光特性判定手段を備えることを特徴とする配光特性検査装置。
【請求項4】
所定の測定位置に搬送された光源から照射され、当該光源の上部および周囲を覆う半球状拡散板を透過した光を撮像装置によって撮像し、当該撮像した画像から、前記光源の配光測定を測定するために、コンピュータを、
前記撮像装置が撮像した画像の各画素値に対応する垂直光強度のうち、前記画像の中心画素を基準とするX軸上およびY軸上における垂直光強度を示すX軸垂直光強度およびY軸垂直光強度を、それぞれ所定個数ずつ抽出する垂直光強度抽出手段、
前記撮像装置から前記半球状拡散板上における前記X軸垂直光強度を抽出した画素に対応する位置を示すX軸対応位置までの垂直距離と、前記X軸対応位置から前記光源までの距離と、前記X軸対応位置から前記光源の設置面までの距離と、に応じて、前記X軸垂直光強度を前記X軸対応位置における断面放射強度を示すX軸断面放射強度に変換するとともに、前記撮像装置から前記半球状拡散板上における前記Y軸垂直光強度を抽出した画素に対応する位置を示すY軸対応位置までの垂直距離と、前記Y軸対応位置から前記光源までの距離と、前記Y軸対応位置から前記光源の設置面までの距離と、に応じて、前記Y軸垂直光強度を前記Y軸対応位置における断面放射強度を示すY軸断面放射強度に変換する放射強度算出手段、
として機能させることを特徴とする配光特性測定プログラム。
【請求項5】
測定対象となる光源の配光特性を測定する配光特性測定方法であって、
ハンドラによって、前記光源の中心軸が半球状拡散板の半球の頂点と撮像装置の光軸とに一致するように、当該光源を搬送する光源搬送工程と、
前記撮像装置によって、前記光源から照射され前記半球状拡散板を透過した光を撮像する撮像工程と、
垂直光強度抽出手段によって、前記撮像装置が撮像した画像の各画素値に対応する垂直光強度のうち、前記画像の中心画素を基準とするX軸上およびY軸上における垂直光強度を示すX軸垂直光強度およびY軸垂直光強度を、それぞれ所定個数ずつ抽出する垂直光強度抽出工程と、
放射強度算出手段によって、前記撮像装置から前記半球状拡散板上における前記X軸垂直光強度を抽出した画素に対応する位置を示すX軸対応位置までの垂直距離と、前記X軸対応位置から前記光源までの距離と、前記X軸対応位置から前記光源の設置面までの距離と、に応じて、前記X軸垂直光強度を前記X軸対応位置における断面放射強度を示すX軸断面放射強度に変換するとともに、前記撮像装置から前記半球状拡散板上における前記Y軸垂直光強度を抽出した画素に対応する位置を示すY軸対応位置までの垂直距離と、前記Y軸対応位置から前記光源までの距離と、前記Y軸対応位置から前記光源の設置面までの距離と、に応じて、前記Y軸垂直光強度を前記Y軸対応位置における断面放射強度を示すY軸断面放射強度に変換する放射強度算出工程と、
を行うことを特徴とする配光特性測定方法。
【請求項6】
検査対象となる光源の配光特性を検査する配光特性検査方法であって、
ハンドラによって、前記光源の中心軸が半球状拡散板の半球の頂点と撮像装置の光軸とに一致するように、当該光源を搬送する光源搬送工程と、
前記撮像装置によって、前記光源から照射され前記半球状拡散板を透過した光を撮像する撮像工程と、
垂直光強度抽出手段によって、前記撮像装置が撮像した画像の各画素値に対応する垂直光強度のうち、前記画像の中心画素を基準とするX軸上およびY軸上における垂直光強度を示すX軸垂直光強度およびY軸垂直光強度を、それぞれ所定個数ずつ抽出する垂直光強度抽出工程と、
放射強度算出手段によって、前記撮像装置から前記半球状拡散板上における前記X軸垂直光強度を抽出した画素に対応する位置を示すX軸対応位置までの垂直距離と、前記X軸対応位置から前記光源までの距離と、前記X軸対応位置から前記光源の設置面までの距離と、に応じて、前記X軸垂直光強度を前記X軸対応位置における断面放射強度を示すX軸断面放射強度に変換するとともに、前記撮像装置から前記半球状拡散板上における前記Y軸垂直光強度を抽出した画素に対応する位置を示すY軸対応位置までの垂直距離と、前記Y軸対応位置から前記光源までの距離と、前記Y軸対応位置から前記光源の設置面までの距離と、に応じて、前記Y軸垂直光強度を前記Y軸対応位置における断面放射強度を示すY軸断面放射強度に変換する放射強度算出工程と、
配光特性判定手段によって、変換された前記X軸断面放射強度が、予め用意されたX軸断面放射強度の上下限値の範囲内であるか否かを判定するとともに、変換された前記Y軸断面放射強度が、予め用意されたY軸断面放射強度の上下限値の範囲内であるか否かを判定することで、前記光源のX軸上およびY軸上における配光特性の良否を判定する配光特性判定工程と、
を行うことを特徴とする配光特性検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−98131(P2012−98131A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245621(P2010−245621)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(591057348)株式会社ユニテック (13)
【Fターム(参考)】