説明

配向構造体及びその作製方法

【課題】微小物体を配向制御するとともに固定も併せて実現できる技術を提供する。
【解決手段】光により分子構造若しくは分子配列の異方的な変化を生じる光応答性成分を含有する光応答性材料4上に(a)前記応答性材料の表層側の異方的な分子配列及び/又は(b)前記光応答性材料の異方的な表面形状を形成し、これらの異方的構造に基づいて微小物体8を固定する。こうすることで、微小物体8を配向制御して固定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、微小物体を所望の配向を付与して固定する技術に属する。
【背景技術】
【0002】
微小な物体、特に生体物質を光照射により固定化した例としては、DNAやタンパク質を光応答性のアゾ色素を含有するポリマー(アゾポリマー)の薄膜表面に配置後、光照射によりその配置パターンに応じてDNA及びタンパク質等をアゾポリマーの表面上に固定したことが開示されている(特許文献1)。また、微小な物体に一定の方向性を付与して(配向ともいう。)配列することは、LB膜や脂質膜を利用することが知られている。
【特許文献1】特開2003−329682号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらは分子の配向と分子の固定とをそれぞれ実現しようとするものである。ボトムアップ手法により機能性構造体を構築するには、機能を有する分子の配向も固定もいずれも重要である。しかしながら、この両者を同時に制御し実現する技術は未だ見出されていない。そこで、本発明では、微小物体を配向制御するとともに固定も併せて実現できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、光変形を生ずる光応答性材料に微小物体を光照射により固定する光固定化技術を既に開発している。今回、本発明者らは、この光固定化技術において用いる光応答性材料において、光照射により光応答性成分の分子構造の変化や分子配列の変化が生じていることに着目し、光照射により生じた分子構造や分子配列を利用して微小物体を配向制御して固定でき、さらに、この配向制御された状態を維持して光固定できることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明によれば、以下の手段が提供される。
【0005】
本発明の一つの態様によれば、配向構造体であって、
光により分子構造若しくは分子配列の異方的な変化を生じる光応答性成分を含有する光応答性材料と、
以下の(a)及び/又は(b);
(a)前記応答性材料の表層側の異方的な分子配列、
(b)前記光応答性材料の異方的な表面形状、
に基づいて前記光応答性材料の表面に固定された微小物体と、
を備える、構造体が提供される。
【0006】
この態様においては、前記微小物体は、光照射により固定されるものであってもよい。また、前記(a)及び/又は前記(b)は光照射により該光照射された領域内に形成され、前記微小物体は該光照射された領域内にある前記(a)及び/又は(b)に基づいて固定されていてもよいし、前記(a)及び/又は(b)は光照射によって、該光照射された領域外に形成され、前記微小物体は該光照射された領域外にある前記(a)及び/又は(b)に基づいて固定されていてもよい。
【0007】
また、この態様においては、前記微小物体は形状異方性及び/又は分子構造異方性を有することができる。また、この態様においては、前記微小物体は、前記(a)及び/又は前記(b)に沿って固定されていてもよい。さらに、この態様においては、前記光応答性材料表面には規則的な凹凸構造を有することもできる。
【0008】
また、この態様においては、前記微小物体は、生体由来材料とすることができ、さらにこの生体由来材料は、タンパク質、核酸、オルガネラ及び細胞から選択される1種又は2種以上を含有することができる。また、前記微小物体は前記光応答性成分を備えることもできる。
【0009】
さらに、この態様においては、前記光応答性成分はアゾベンゼン基を有する化合物であり、前記光応答性材料は高分子材料としてもよい。また、前記光応答性材料の表層側には、光応答性成分による光応答性を有しない領域を備えるようにしてもよい。
【0010】
本発明の他の一つの態様によれば、これらのいずれかの構造体を備える生体機能模倣デバイスが提供される。
【0011】
本発明の他の一つの態様によれば、配向構造体の作製方法であって、
光により分子構造又は分子配列の異方的な変化を生じる光応答性成分を含有するとともに、以下の(a)及び/又は(b);
(a)前記応答性材料の表層側の異方的な分子配列、
(b)前記光応答性材料の異方的な表面形状
を有する光応答性材料に微小物体を供給する供給工程と、
前記光応答性材料に供給された前記微小物体と前記光応答性材料との間で相互作用を生じさせて、前記(a)及び/又は(b)に基づいて前記微小物体を前記光応答性材料の表面に配向する配向工程と、
を備える、作製方法が提供される。
【0012】
この態様においては、前記配向工程において又は前記配向工程の後に、前記微小物体に光照射して前記微小物体を前記(a)及び/又は(b)に基づいて固定する工程を実施することができる。また、この態様においては、前記光応答性材料に光照射して当該光応答性材料の表面に、前記(a)及び/又は(b)を形成するテンプレート形成工程を有することができる。前記光照射には偏光方向が制御された光を用いてもよいし、干渉光を用いてもよい。
【0013】
また、この態様においては、前記テンプレート形成工程において又は前記テンプレート形成工程とは別個に前記光応答性材料の表層側の前記光応答性成分の光応答性機能を低下若しくは消失又は前記光応答性成分を除去する工程を実施することができる。また、前記テンプレート形成工程において又は前記テンプレート形成工程とは別個に前記(a)及び/又は(b)を緩和する工程を実施することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の配向構造体は、光により分子構造又は分子配列の異方的な変化を生じる光応答性成分を含有する光応答性材料と、
以下の(a)及び/又は(b);
(a)前記応答性材料の表層側の異方的な分子配列、
(b)前記光応答性材料の異方的な表面形状、
に基づいて前記光応答性材料の表面に固定された微小物体と、
を備えることを特徴としている。
【0015】
本発明の配向構造体によれば、光応答性材料表面の異方的な分子配列及び/又は異方的表面形状と微小物体の全体又は一部との間で選択性の高い相互作用が生じ、これにより微小物体の向きや並びが制御されて固定された配向構造体となっている。異方的な分子配列及び/又は異方的な表面形状によれば、微小物体に対して選択性が高くかつ向きや並び方などの制御が容易に実現される。微小物体が光照射により固定されている場合には、微小物体の配向制御状態が維持された上強固に固定されたものとなっている。また、形状や分子構造において異方性を有する微小物体は、光応答性材料上の異方的構造により良好に配向制御されて固定される配向構造体となっている。
【0016】
また、本発明の配向構造体の作製方法は、光により分子構造又は分子配列の異方的な変化を生じる光応答性成分を含有するとともに、前記(a)及び/又は(b)を有する光応答性材料の表面に微小物体を供給する供給工程と、前記光応答性材料に供給された前記微小物体と前記光応答性材料との間で相互作用を生じさせて、前記(a)及び/又は(b)に基づいて前記微小物体を前記光応答性材料の表面に固定する固定工程と、を備えることを特徴としている。本作製方法は、本発明の配向構造体の作製に好ましい方法である。
【0017】
本発明の配向構造体の作製方法によれば、表面に異方的構造を備える光応答性材料に微小物体を供給し、異方性構造と微小物体とを相互作用させることより微小物体を配向制御して配列させ固定することができる。異方的分子配列及び/又は異方的表面形状を微小物体のテンプレートとして用いることで、微小物体を容易に配向制御できる。さらに光照射により微小物体を固定することにより配向制御を維持して強固に固定できる。
【0018】
以下、これらの発明の実施形態について、微小物体の配向構造体について適宜図面を参照しながら説明し、ついで、微小物体の配構造体の作製方法について説明する。
【0019】
(配向構造体)
図1には、本発明の配向構造体2の一例が示されている。本発明の配向構造体2は、光応答性材料4の表面に微小物体8を配向制御された状態で有している。
【0020】
(微小物体)
本発明の配向構造体2は、1種の微小物体又は2種類以上の微小物体8を有している。また、これらの微小物体は単数であっても複数であってもよい。生体機能模倣デバイス等においては、2種類以上の微小物体8をそれぞれ1個又は2個以上が配向制御された状態で有している。
【0021】
本発明の対象となる微小物体8とは、原子、分子及びこれらが集合した任意形状の粒子を含んでいる。微小物体8は、有形である限り、その存在形態を問うものではない。また、微小物体のサイズ(微小物体8の最長サイズを意味するものとする。)は特に限定しないが、ミリメートルサイズを超えないことが好ましく、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは50μm以下であり、さらに好ましくは10μm以下である。また、微小物体のサイズは、ナノサイズであってもよいが、好ましくは1nm以上である。
【0022】
微小物体8は、形状異方性及び/又は分子構造異方性を有していることが好ましい。形状異方性とは、微小物体8の外形形態が異方性を有していることをいい、分子構造異方性とは、微小物体8を構成する分子の一次構造や二次構造あるいは三次構造等の高次構造が長軸状であるなど異方性を有していることをいう。微小物体8は、形状異方性と分子構造異方性の双方を有する場合がある。具体的な形状あるいは分子構造としては、不定形状、線状、長軸状、シート状等が挙げられる。なお、微小物体8は、必ずしも常に一定の形状を有するものである必要はなく、変形し得るものであってもよい。
【0023】
微小物体8は、有機材料、無機材料、これらの複合物や集合物等いずれの材料から構成されていてもよいが、生体由来材料であることが好ましい。生体由来材料は、多くの場合、異方性を有するとともにその機能の発現あるいは標的物質との相互作用のためには一定の向きや配列を備えることが好ましいため、配向制御することによって生体由来材料を用いた相互作用や反応効率を高めることができる。
【0024】
ここで、生体由来材料としては、アミノ酸あるいはこのオリゴマー及びポリマー(タンパク質)が挙げられる。なかでも、機能性高分子であるタンパク質を好ましく用いることができる。タンパク質としては、酵素、調節因子、転写因子等の制御因子、レセプター等の代謝関連タンパク質、抗原、抗体等の抗原抗体反応関連タンパク質、アクチン、ミオシン、キネシン、ダイニン及びこれらに関連するタンパク質を含む筋線維関連タンパク質、コラーゲン、エラスチン、フィブロネクチン等の結合組織関連タンパク質などの各種タンパク質が挙げられる。なかでも、アクチン、ミオシンなどの筋線維関連タンパク質は、線状の形態を有しており異方性が大きいとともに、運動機能の発現には所定の配列が必要とされている観点から本発明の生体由来材料として好ましい。また、機能性の高いタンパク質として、バクテリオロドプシン、シトクローム、ATPase等も例示できる。タンパク質は、1種又は2種以上を組み合わせることができる。
【0025】
また、生体由来材料としては、ヌクレオチド、ヌクレオシド、これらのオリゴマー及びポリマー及びこれらのオリゴマー、ポリマーが挙げられる。なかでも、オリゴヌクレオチド及び核酸を好ましく用いることができる。核酸は、1本鎖あるいは2本鎖以上、あるいは一部に1本鎖を有するDNA、RNAのほか、人工的な核酸を含んでいる。核酸としては、特に種類を限定しない。例えば、ゲノムDNA及びそのマイクロサテライト部あるいは任意の遺伝子の少なくとも一部を含む断片、cDNA及びその断片、mRNA及びその断片のほか、一塩基多型部位など変異部位を含むDNA(cDNA含む)断片、制限酵素部位を含むDNA断片が挙げられる。この他、生体由来材料としては、単糖類、オリゴ糖類、多糖類などの糖類、脂質等が挙げられる。
【0026】
さらに、生体由来材料としては、オルガネラ、細胞等が挙げられる。オルガネラとしては、例えば、微小管、アクチンフィラメント、ミトコンドリア、小胞体などが挙げられる。また、細胞としては、筋線維細胞、軟骨細胞等の動物細胞、植物細胞、微生物、ウイルス等が挙げられる。なお、細胞が含まれる器官や組織も微小物体8として用いることができる。
【0027】
なお、本明細書において生体由来材料は、生体から採取されたものに限定されず、生体から採取され人工的な改変が施されたものであっても、人工的に合成されたものであってもよく、生体を構成する分子及びその改変体を含んでいる。改変とは、例えば、蛍光色素などの色素を含む標識の結合や、ペプチド鎖に対する後述する光応答性成分の結合、ペプチド核酸などの2種以上の生体由来材料の結合等の各種の複合化が挙げられる。なお、微小物体8が光応答性成分を備えている場合には、配向制御した微小物体8に光照射することにより、微小物体8について別個の分子構造の異方的な変化や分子配列の異方性を付与することができる。この場合、微小物体8の光応答性と光応答性材料4の光応答性に対する照射光の波長に対する効率を異ならせる(例えば、吸収波長をずらすようにするなどして)ことにより、光固定された状態を保持したままでの異方性付与が可能となる。
【0028】
なお、その他、本発明における微小物体8に用いることのできる無機材料としては、少なくとも金属、金属酸化物、半導体、セラミックス、ガラスが挙げられ、有機材料としては、少なくともプラスチック及び生理活性を有する有機化合物が挙げられる。また、微小物体8には生物自体も用いることができ、生物としては、少なくとも各種の生物細胞及びその一部、組織及び生物体が挙げられる。さらに、複合材料としては、前記無機物、前記有機物(前記生体分子を含む)及び前記生物から選択される2種類以上を複合化した複合材料が挙げられる。なお、これらの各種材料としては、特開2003−329682号公報、特開2004−93996号公報及び特開2004−251801号公報に既に記載されているものを本発明においても使用することができる。
【0029】
(光応答性材料)
本発明の配向構造体2は、光により分子構造若しくは分子配列の異方的な変化を生じる光応答性成分を含有する光応答性材料4を備えている。光による分子構造若しくは分子配列が異方的に変化する現象としては、例えば、光異性化、フォトクロミズム、分子の光誘起配向、光重合等が挙げられる。また、こうした光応答性成分を含有する光応答性材料4は、光によるこうした異方的変化により結果として形状変形(以下、光変形ともいう。)を生じる材料であることが好ましい。光変形材料であるときには、光照射により分子構造や分子配列の異方的な変化のみならず、表面形状を変化させることができ、表面形状の異方性により微小物体8を配向制御することができるようになる。
【0030】
こうした光応答性成分としては、例えば、公知の光異性化成分が挙げられる。光異性化成分としては、例えばトランス−シス光異性化を生じる成分、特に代表的にはアゾ基(−N=N−)を有する色素構造、なかでも、アゾベンゼンやその誘導体の構造を持つ成分が挙げられる。
【0031】
光応答性材料4は、有機材料、無機材料、有機−無機複合材料等材料を問わないが、当該材料において光変形を生じさせる観点からは、可塑性を有する材料であることが好ましく、より好ましくは可塑性を有する高分子材料又は高分子材料を含む複合材料であることが好ましい。光応答性材料4は、光応答性材料4のマトリックスを構成する高分子材料の一部(主鎖、側鎖あるいは修飾基)として光応答性成分を含有することができる。この場合、高分子材料としては、特に限定しないで、ビニル系樹脂やポリウレタン等各種の高分子材料を用いることができるが、構成単位中にウレタン基,ウレア基,又はアミド基を含んだものが、更には高分子の主鎖中にフェニレン基のような環構造を備えたものが、耐熱性の点では好ましい。
【0032】
光反応性成分を含む高分子材料として、実施例で述べるものの他、次の式(1)〜(6)に示すものが好ましく例示される。
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【0033】
その他、本発明において使用可能な光応答性材料としては、特開2003−329682号公報、特開2004−93996号公報及び特開2004−251801号公報に記載の担体や光固定化材料を用いることができる。また、本明細書には、特開2003−329682号公報、特開2004−93996号公報及び特開2004−251801号公報に記載されるすべての事項が引用により取り込まれるものとする。
【0034】
光応答性材料4は、光応答性成分をマトリックスに添加物(ドーパント)として含有していてもよい。こうしたマトリックスとしては、上記した各種高分子材料が好ましく用いられる。なお、光応答性材料としては、この他、イオウ,セレン及びテルルのいずれかと、ゲルマニウム,ヒ素及びアンチモンのいずれかとが結合した構造を含みカルコゲナイトガラスと総称されるもの等の無機材料も使用できる。
【0035】
光応答性材料4の三次元形態は特に限定しない。フィルム状体、シート状体の他、球形、不定形、針状、棒状、薄片状等の各種の粒子形態を取ることもできる。さらに、光応答性材料4は、適当な支持体に対して固定されていてもよい。
【0036】
(テンプレート)
光応答性材料4上には微小物体8を配向制御するテンプレート6を有している。テンプレート6は、それ自体で微小物体8の配向制御を可能にするが、微小物体8が自己集合又は自己組織化するものである場合には、これを補足することもできる。テンプレート6は、微小物体8を配向制御するために、光応答性材料4の表層側において異方的な分子配列を有することができる。異方的な分子配列とは、光応答性成分あるいはそれを一部に有する材料が、一定の向きを持って一定の並び方で配列された状態が挙げられる。なお、異方的な分子配列には、光応答性成分のトランス−シス光異性化による異方的な分子構造そのものも包含する。こうした異方的な分子配列は、配向しようとする微小物体8の全体あるいは一部と相互作用可能にその全体又は一部の分子配列に対応され又は近似されている。なかでも、微小物体8の全体あるいは一部の異方的な分子配列に基づいて形成されていることが好ましい。
【0037】
また、テンプレート6は、微小物体8の配向制御のために、異方的分子配列とともに又は異方的な分子配列とは別個に異方的な表面形状を有することができる。こうした異方的表面形状は、配向しようとする微小物体8の全体あるいは一部と相互作用可能にその全体又は一部の表面形状に対応され又は近似されている。テンプレート6における異方的な表面形状は、凹部や凸部等の三次元形態であって異方性がある限り、どのような形態であってもよい。たとえば、異方的表面形状は光応答性材料4の表面における三次元形状の深さや高さと表面におけるパターン等の組み合わせによって構成される。具体的には、平面状の光応答性材料4の凹部又は凸部であって、面内方向に伸びる細長いライン状等のパターン(平面形態)を有するものが挙げられる。こうしたものの典型例は、グレーティング構造などの規則的な凹凸構造である。また、断面構造に異方性を有する凸部や凹部が挙げられる。
【0038】
なお、テンプレート6が後述するような光照射によって形成されるものであっても、テンプレート6が形成されている領域は、光が照射領域された領域内に限定されない。異方的な分子配列や表面形状は、光照射の結果、当該光照射された領域以外の光非照射領域(例えば、光照射領域に隣接する外周部などの光照射領域の周囲や光照射領域によって囲まれた非照射領域)に形成されることもある。
【0039】
光応答性材料4は、2種類以上の微小物体8に対する2以上のテンプレート6を有していてもよい。こうすることで、2種類以上の微小物体8を配向制御できる。ある種の微小物体8のためのテンプレート6は、分子配列や表面形状において他の種類の微小物体8のためのテンプレート6と異なっている。さらに、テンプレート6は、光応答性材料4上において適当なパターンを有することができる。また、部分的に光応答性成分の機能が欠損されるか光応答性材料4が欠損されるなどにより光応答性を有しない領域を有していてもよい。
【0040】
(微小物体の配向制御)
本発明の配向構造体2においては、微小物体8は、光応答性材料4の表面に形成したテンプレート6上に配向制御されて固定されている。すなわち、微小物体8は、テンプレート6の有する異方的な分子配列に基づいて配向制御されていてもよく、異方的な表面形状に基づいて配向制御されていてもよく、これらの双方に基づいて配向制御されていてもよい。
【0041】
微小物体8がテンプレート6の異方的分子配列に基づいて固定されている状態としては、微小物体8の全体あるいはその一部が光応答性材料4の表層側の異方的な分子配列に沿って固定されている状態が挙げられる。例えば、光応答性成分が一軸性成分であって所定の方向に沿って配向されている場合には、微小物体8もその軸方向に沿って配向されている場合が挙げられる。なお、異方的な分子配列に沿ってというときには、異方的な分子配列と同方向に配向される場合のほか、異方的な分子配列に対してある範囲の角度をもちつつ配向される場合も含まれる。
【0042】
また、微小物体8が異方的な表面形状に基づいて固定されている状態としては、微小物体8の全体又はその一部が、光応答性材料4の異方的な表面形状に沿って固定されている状態が挙げられる。例えば、グレーティング構造中に形成された凹部あるいは凸部の伸びる方向に沿って線状あるいは長軸状の微小物体8が配向されている場合が挙げられる。また、微小物体8の全体又は一部が、異方的な凹部(又は凸部)形態を有する凹部(又は凸部)の深さ方向(又は高さ方向)に沿って配向されている場合が挙げられる。なお、異方的な表面形状に沿ってというときには、異方的な形状と同方向に配向される場合の他、異方的な表面形状に対してある範囲の角度をもちつつ配向される場合も含まれる。
【0043】
微小物体8はテンプレート6上に配向制御され固定されるが、テンプレート6が光照射領域内に形成されている場合には、微小物体8は光照射領域内に固定されることとなり、テンプレート6が光照射領域外に形成されている場合には、微小物体8は光非照射領域に固定されることになる。
【0044】
テンプレート6上に配向された微小物体8は、テンプレート6との相互作用によって固定されているが、微小物体8は、好ましくは、光応答性材料4の表面に光照射により固定(光固定化)されている。光固定化されていることで、洗浄やその他の処理を施しても安定的にかつ配向状態を維持したまま保持される。なお、光固定化とは、光応答性材料4の表面に配した微小物体8に光照射して光応答性材料4の表面において光異性化ないしは光変形を生じさせて固定することをいう。光固定化については、特開2003−329682号公報、特開2004−93996号公報及び特開2004−251801号公報において本出願人が開示しており、これらの方法を本発明における光固定化についても適用することができる。
【0045】
なお、微小物体8が配向箇所において光固定されている場合、当該光固定箇所では、微小物体8の配向制御のための異方的な分子配列及び/又は表面形状が付与されているとともに、微小物体8の光固定のための分子配列及び/又は表面形状とが付与されていることになる。光固定箇所では、通常、微小物体8によって光応答性材料4の表面に微小物体8の大きさ、照射光の偏光性等によって特有の光誘起分子配向や光変形等が誘起されていることが多い。したがって、本配向体2における光固定箇所でも、テンプレート6の異方的構造が光固定により修飾あるいは改変されている場合が多い。修飾や改変部位の分子配列や表面形状は、配向された微小物体8の全体又は一部の異方的分子配列や異方的表面形状に適合したものとなっていると考えられる。なお、結果として、テンプレート6として形成された異方的分子配列及び/又は異方的な表面形状がそのまま維持されている場合もある。
【0046】
以上説明した配向構造体2によれば、微小物体8が光応答性材料4の表面に光照射等により形成した異方的な分子配列及び/又は異方的な表面形状に基づいて配向されている。このため、微小物体8が所望の向きや並びに制御されて配列された配向構造体2となっている。さらに、微小物体8が光照射により当該配向部位に固定されている場合には、配向制御して配列された微小物体8を、そのまま状態を維持して固定されたものとなっている。
【0047】
こうした配向構造体2によれば、微小物体8が所望の向きや並び方で配向され固定されているため、微小物体8の機能を効率的に発揮させることができるようになる。また、微小物体8がある種の反応を媒介する場合には、高効率な反応を実現することができる。さらに、複数個及び/又は複数種類の微小物体8が所定の向き及び並び方で配列されて組織化されている場合には、微小物体8による反応を集約的に実現したり、連続的な反応をより高効率で実現したりできるようになっている。さらに、こうした配向構造体2上では、微小物体8について生体機能を模倣した組織化が可能であるため、生体機能模倣デバイスに適した構造体2となっている。
【0048】
以上のことから、本発明の配向構造体2は、単独又は複数個(複数種類も含む)の微小物体8を組み合わせて得られる機能に基づく各種デバイスに好ましく用いることができる。例えば、微小物体8としてタンパク質を用いる場合には、診断、研究用、治療用のバイオチップ、バイオ燃料電池、バイオセンサー、バイオモーター、バイオリアクター、マイクロマシン等のデバイスに用いることができる。これらの各種デバイスには、生体機能模倣デバイスが含まれる。
【0049】
(配向構造体の製造方法)
次に、配向構造体2の作製方法について説明する。本発明の配向構造体の作製方法は、表層側に微小物体8を配向制御するための所定のテンプレートを有する光応答性材料4に微小物体8を供給する供給工程と、光応答性材料4に供給された微小物体8と光応答性材料4との間の相互作用を生じさせて前記所定のテンプレートに基づいて微小物体8を光応答性材料4の表面に配向する配向工程とを備えている。
【0050】
(テンプレート形成工程)
配向構造体2を作製するには、予め、微小物体8を配向制御するためのテンプレート6を持った光応答性材料4を準備する。テンプレート6における異方的配列や異方的形状は、電圧の付与、光照射、熱などを付与して形成することができるが、テンプレート形成の自由度や配向制御の観点等から光照射により形成することが好ましい。
【0051】
光照射によりテンプレート6を形成するには、光応答性材料6の表面の所望の領域に光照射する。光照射は特に限定しないで、各種の伝搬光、近接場光又はエバネッセント光などの任意の光が担体4の表面6又はその近傍に到達するように照射すればよい。光照射に用いる光の波長は、光応答性材料4の種類等や得ようとする異方的構造にもよるが、光応答性材料4の吸収極大近傍の波長であることが好ましい。
【0052】
照射する光の偏光性、波長、光強度、入射角、照射方向等を変化させることによって、異方的な分子配列や異方的表面形状を種々に異ならせることができる。なかでも、偏光方向が制御された光を用いることが好ましい。光応答性材料4に偏光方向が制御された光が照射されると偏光方向に垂直方向に光応答性成分が配向され、表面形状にも異方形状が付与されることになる。特に、直線方向に偏光制御された光を用いることで異方的な分子配列を容易に形成できる。また、レーザー光を用いることで精度の高いテンプレートを形成することができる。一方、偏光方向が制御されていない円偏光を用いることで、異方的な分子配列の形成を抑制して異方的な表面形状を形成できる。また、円偏光を用いると既に形成された異方的な分子配列を緩和ないし解消する等の修飾が可能である。さらに、テンプレート6の形成には、干渉光を用いることができる。干渉光を用いることで光応答性材料4に照射する光強度を異ならせて容易に各種パターンを形成することができる。
【0053】
偏光方向が制御された光や干渉光の光応答性材料4に対する入射角や照射方向を変化させることで光応答性材料4の表面に、例えばグレーティング構造等の各種の異方的な分子配列や表面形状のパターンを容易に形成することができる。
【0054】
テンプレート6をパターニングすることもできる。パターニングは、光応答性材料4の表層側の全体又は一部の領域を公知のフォトマスクや描画法を用いてに選択的に光照射することによっても可能である。また、光応答性材料4において部分的に光応答性成分を含有しない領域を予め備えておくか、あるいは、テンプレート形成時あるいはその前後に、選択的な光照射等によって、光応答性材料4に含まれる光応答性成分を分解等して光応答性機能を低下もしくは消失させるか、光応答性成分を除去するなどすることができる。
【0055】
(微小物体の供給工程)
次に、テンプレート6を形成した光応答性材料4に微小物体8を供給する。微小物体8を光応答性材料4の表面に供給する方法は特に限定しないが、液状の媒体を介して適用することが好ましい。液状の媒体は、テンプレート6との相互作用を高めるようなものを選択することができる。例えば、液状媒体のpH、電解質濃度、極性などを調整することにより相互作用を高めることができる。液状の媒体としては、水、水と相溶性のある有機溶媒である水性溶媒、非水性溶媒を単独であるいは組み合わせるなどして、光応答性材料4及び微小物体8の種類に応じて適切なものを選択することができる。また、光応答性材料4と微小物体8との相互作用を高めるための上記した液性を付与するのに必要な成分を添加することもできる。
【0056】
(微小物体の配向工程)
微小物体8をテンプレート6上に配向制御して配列させるには、微小物体8とテンプレート6とを相互作用させる。微小物体8をテンプレート6に供給することで両者の相互作用は可能となっている。微小物体8とテンプレート6との相互作用は、ファンデルワールス力、双極子モーメント、疎水性相互作用、静電的相互作用、水素結合等が挙げられる。両者を効果的に相互作用させるには、適切な液状媒体を選択するほか、必要に応じて、熱などの熱力学的パラメーターを付与したり変化させたりすることもできる。微小物体8とテンプレート6との相互作用は、必要に応じて時間をかけて行う。特に限定しないが、例えば、数秒から数十分以上とすることができる。
【0057】
(微小物体の固定工程)
テンプレート6上で配向制御して配列させた微小物体8は相互作用に基づいて光応答性材料4に配置され固定されている。したがって、配向工程を完了すれば、光応答性材料4と微小物体8とは配向構造体2を構成しているといえる。こうした状態であっても利用可能な用途はあるが、光応答性材料4の表面に洗浄等の処理や加工を施す程度に微小物体8を強固に固定することが好ましい。微小物体8が配向制御された状態を維持して強固に固定するには、光照射により微小物体8を配向箇所に固定することができる。
【0058】
光照射による固定工程は、配向工程後に行うことができる。微小物体8とテンプレート6との間で十分な相互作用を生じさせた後に光照射することで、効率的にかつ配向制御された状態を良好に維持して微小物体8を光固定できる。なお、配向のために要する実質的な時間を要しない場合もあり、また、光照射を行いながら配向し固定させることもできる。したがって、配向工程と同時に光固定工程を実施してもよい。本発明方法では、微小物体8と光応答性材料4のテンプレート6との間には、分子配列及び/又は表面形状において予め親和性を有しているといえるので、配向工程において光照射しても配向制御した状態での固定が可能である。
【0059】
光固定のための光照射の方法は特に限定しない。各種の伝搬光、近接場光又はエバネッセント光などの任意の光が微小物体8の存在する光応答性材料4の表面又はその近傍に到達するように照射すればよい。また、光固定は、テンプレート6上に微小物体8を含有する液状媒体が存在している状態で行うことができる。微小物体8は、テンプレート6との相互作用によりテンプレート6上に配置されるため、液状媒体中でも良好に光固定できる。さらに、光照射は公知の手法を用いてテンプレート6上の一部に対して選択的に行うこともできる。なお、光固定のための光照射については、特開2003−329682号公報、特開2004−93996号公報及び特開2004−251801号公報に既に記載される照射光や光照射方法を採用することができる。
【0060】
テンプレート6上の微小物体8に光照射することで、配向制御して配列させた微小物体8を光固定できる。したがって、所望の状態に配向制御した微小物体8をテンプレート上に得ることができ、微小物体8を所望の配列状態で組織化することが可能となる。また、光固定によれば、可視光の照射によっても固定が可能であるので生体分子などへの障害を抑制又は回避した固定が可能である。このため、配向制御される微小物体8が生体分子などの機能的分子の場合には、良好な活性を有する生体分子を機能的に組織化することができるようになる。
【0061】
(洗浄工程)
微小物体8を光固定した後は、光応答性材料4のテンプレート6の洗浄工程を実施することができる。洗浄工程を実施した配向構造体2は、そのままあるいはさらなる加工や修飾を施すことにより各種用途のデバイスとして用いることができるようになる。
【0062】
以上説明したように、本発明の配向構造体の作製方法によれば、微小物体8を配向制御して配列固定した配向構造体2を得ることができる。特に、光照射によるテンプレート形成及び光固定とを用いることで容易にかつ高度に配向制御した配向構造体2を得ることができる。
【実施例1】
【0063】
以下、本発明を、具体例を挙げて説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0064】
(試料の調製)
光応答性材料として、以下の式(7)で表される、アゾ色素を有するウレタン系アゾポリマー(重量平均分子量9000、数平均分子量5600)を用いた。本ポリマーをピリジンに所定量溶解し、スピンコーターにてガラス基板上に所定回転数でコーティングを行いフィルム化した。ガラス基板としては、剥離防止用MASコートスライドガラス(松浪ガラス製:表面が高密度アミノ基で覆われている)を用いた。アゾポリマーをスピンコートしたガラス基板は、真空下、室温で一晩、130℃で1時間乾燥して、以下の試験に供した。なお、膜厚は約0.2μmであった。
【化7】

【0065】
(レーザー照射によるテンプレート形成)
干渉光学系にて試料表面に2光束干渉露光を行った。光源には、水冷CWのArレーザー(LEXEL社製)を用い、波長488nmのレーザー光(光強度20mW/cm)を照射した。レーザー光は無偏光ビームスプリッタで2分割した後、所定の入射角(45°)でアゾポリマー表面上に入射し、干渉露光した。
【0066】
表面変形したフィルム表面をコンタクトモードAFM(Digital Instrument社製、Nano Scpoe E)で観察を行い、その断面像から変形構造の深さについて評価した。得られたAFM像を図2に示す。図2に示すように、アゾポリマーフィルム表面は変形し、345nmピッチのグレーティング構造が得られた。吸収の異方性を評価したところ、照射した直線偏光に対して平行な方向と垂直な方向とで異なる吸収性を示す吸収異方性が確認された。
【0067】
また、光照射前のフィルムに対して直線偏光を照射しながら、偏光吸収係数の経時変化を測定したところ、図3に示す結果が得られ、吸収異方性の発現は光誘起分子配向によるアゾ色素の分子配向によるものであることが確認された。また、アゾ色素は、偏光方向に垂直方向に配向されるため、本実施例における偏光方向によれば、図2に示すテンプレートにおいては、溝方向に沿ってアゾ色素が配向されているものと考えられる。
【0068】
(タバコモザイクウイルスの配向)
タバコモザイクウイルスのリン酸緩衝液を試料表面に滴下し、しばらく放置後、LEDをアレイ状に並べた光照射装置を用いて試料表面全体に光照射(波長465nm、光強度約10mW/cm)して光固定を行った。光固定後、直ちにリン酸緩衝液で洗浄を30分程度行い、試料を乾燥させて表面の形状観察をタッピングモードAFMで行った。得られた表面の状態を図4に示す。図4に示すように、タバコモザイクウイルスが溝の方向に沿って並んでいるのが観察された。
【0069】
以上のことから、本発明によれば、光応答性材料上の異方的な分子配列及び/又は表面形状に基づいて微小物体を配向制御し固定することが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】配向構造体の一例を示す概念図。
【図2】実施例における配向構造体のテンプレートを示す図。
【図3】光照射によりテンプレートに分子配向が誘起されることを示す吸収異方性の経時変化のグラフ図。
【図4】タバコモザイクウイルスが固定された配向構造体の表面観察図。
【符号の説明】
【0071】
2 配向構造体、4 光応答性材料、6 テンプレート、8 微小物体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配向構造体であって、
光により分子構造又は分子配列の異方的な変化を生じる光応答性成分を含有する光応答性材料と、
以下の(a)及び/又は(b);
(a)前記応答性材料の表層側の異方的な分子配列、
(b)前記光応答性材料の異方的な表面形状、
に基づいて前記光応答性材料の表面に固定される微小物体と、
を備える、構造体。
【請求項2】
前記微小物体は、光照射により前記(a)及び/又は(b)に基づいて固定される、請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
前記(a)及び/又は(b)は光照射により形成される、請求項1又は2に記載の構造体。
【請求項4】
前記(a)及び/又は前記(b)は光照射により該光照射された領域内に形成され、前記微小物体は該光照射された領域内にある前記(a)及び/又は(b)に基づいて固定されている、請求項3に記載の構造体。
【請求項5】
前記(a)及び/又は(b)は光照射によって、該光照射された領域外に形成され、前記微小物体は該光照射された領域外にある前記(a)及び/又は(b)に基づいて固定されている、請求項3に記載の構造体。
【請求項6】
前記微小物体は形状異方性及び/又は分子構造異方性を有している、請求項1〜5のいずれかに記載の構造体。
【請求項7】
前記微小物体は、前記(a)及び/又は前記(b)に沿って固定されている、請求項1〜5のいずれかに記載の構造体。
【請求項8】
前記光応答性材料表面には規則的な凹凸構造を有する、請求項1〜7に記載の構造体。
【請求項9】
前記微小物体は、生体由来材料である、請求項1〜8のいずれかに記載の構造体。
【請求項10】
前記生体由来材料は、タンパク質、核酸、オルガネラ及び細胞から選択される1種又は2種を含有する、請求項9に記載の構造体。
【請求項11】
前記微小物体が前記光応答性成分を備えている、請求項1〜10のいずれかに記載の構造体。
【請求項12】
前記光応答性成分はアゾベンゼン基を有する化合物であり、前記光応答性材料は高分子材料である、請求項1〜11のいずれかに記載の構造体。
【請求項13】
前記光応答性材料の表層側には、光応答性成分による光応答性を有しない領域を備えている、請求項1〜12のいずれかに記載の構造体。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載の構造体を備える生体機能模倣デバイス。
【請求項15】
配向構造体の作製方法であって、
光により分子構造又は分子配列の異方的な変化を生じる光応答性成分を含有するとともに、以下の(a)及び/又は(b);
(a)前記応答性材料の表層側の異方的な分子配列、
(b)前記光応答性材料の異方的な表面形状
を有する光応答性材料に微小物体を供給する供給工程と、
前記光応答性材料に供給された前記微小物体と前記光応答性材料との間で相互作用を生じさせて、前記(a)及び/又は(b)に基づいて前記微小物体を前記光応答性材料の表面に配向する配向工程と、
を備える、作製方法。
【請求項16】
前記配向工程において又は前記配向工程の後に、前記微小物体に光照射して前記微小物体を前記(a)及び/又は(b)に基づいて固定する工程を実施する、請求項15に記載の作製方法。
【請求項17】
光により分子構造若しくは分子配列の異方的な変化を生じる光応答性成分を含有する光応答性材料に光照射して当該光応答性材料の表面に、前記(a)及び/又は(b)を形成するテンプレート形成工程を有する、請求項15又は16に記載の作製方法。
【請求項18】
前記光照射には偏光方向が制御された光を用いる、請求項17に記載の作製方法。
【請求項19】
前記光照射には干渉光を用いる、請求項17又は18に記載の作製方法。
【請求項20】
前記テンプレート形成工程において又は前記テンプレート形成工程とは別個に前記光応答性材料の表層側の前記光応答性成分の光応答性機能を低下若しくは消失又は前記光応答性成分を除去する工程を実施する、請求項17〜19のいずれかに記載の作製方法。
【請求項21】
前記テンプレート形成工程において又は前記テンプレート形成工程とは別個に前記(a)及び/又は(b)を緩和する工程を実施する、請求項17〜20のいずれかに記載の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−233004(P2006−233004A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−49450(P2005−49450)
【出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】