配管に装着される部品及び配管継手
【課題】廃却量の低減が図れるとともに、配管用カバーとして継続して使用できる配管に装着される部品及び配管継手を実現する。
【解決手段】第1配管2の端部22及び第2配管3の端部32の外周側に配置されて、端部22,32を保護する配管継手40において、配管継手40は、第1配管2の端部22及び第2配管3の端部32の外周側に配置される円筒部41と、この円筒部41における一方の軸方向端部に形成され、配管2、3の端部22、32に形成される拡管部34及びテーパー面35に係止される第1の内側鍔部41aと、円筒部41における他方の軸方向端部に形成される貫通孔45を覆いうる端板43を取り外し可能とする繋ぎ部44とを有する。これにより、廃却量の低減が図れるとともに、継続して使用できる。
【解決手段】第1配管2の端部22及び第2配管3の端部32の外周側に配置されて、端部22,32を保護する配管継手40において、配管継手40は、第1配管2の端部22及び第2配管3の端部32の外周側に配置される円筒部41と、この円筒部41における一方の軸方向端部に形成され、配管2、3の端部22、32に形成される拡管部34及びテーパー面35に係止される第1の内側鍔部41aと、円筒部41における他方の軸方向端部に形成される貫通孔45を覆いうる端板43を取り外し可能とする繋ぎ部44とを有する。これにより、廃却量の低減が図れるとともに、継続して使用できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管の端部を覆う保護プラグ等の配管に装着される部品、並びに接続された2つの配管の端部を保護する配管継手に関するものであり、例えば、車両空調用冷凍サイクルの冷媒配管の配管継手装置に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の保護プラグとして、例えば、特許文献1に示されるものが知られている。すなわち、配管の端部から、配管内にチリやごみ、あるいは水分等が浸入しないように、開口端部を蓋する端板を有する保護プラグを配管の端部に装着している。そして、開口端部を蓋する端板には、管内圧が上昇したときに、配管内の流体が外部に抜けるように溝および凹部が形成されている。また、保護プラグは、配管の端部を保護するとともに、管端から容易に外れないように把持力を付与するために、樹脂製の管端に密着する形状になっている。
【0003】
また、一般的に、車両空調用冷凍サイクルの配管継手装置では、車両において、冷凍サイクルを形成するために、雌側継手部を有する配管と、雄側継手部を有する配管とを備えている。そのため、雌側継手部および雄側継手部のそれぞれの端部を覆うための形状の異なる保護プラグを用意している。
【特許文献1】特開平10−231986号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1のような形状の保護プラグは、再利用できるように形成されていない。つまり、少なくとも雄側用保護プラグと雌側用保護プラグとの2種類の保護プラグを設け、一方の配管の端部に相手側配管の端部を接続する組み付け時において、それぞれの配管の端部から保護プラグを取り外して廃却処分している。その結果、廃棄費用の負担が問題である。
【0005】
また、粉塵の多い環境下で使用される場合は、配管の端部同士が接続された接続部には、その接続部の外形を覆うための別体の防塵用カバーが必要となる。これにより、構成部品が増加し、コストアップとなる問題もある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、廃却量の低減が図れるとともに、配管用カバーとして、継続して使用できる「配管に装着される部品」及び「配管継手」を提供することにある。また、別の目的として塵埃の多い環境下で用いることが可能な「配管に装着される部品」及び「配管継手」を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では、以下の技術的手段が採用されている。即ち、請求項1に記載の発明では、配管(2、3)の端部(22、32)外周側に配置される筒部(41)と、この筒部(41)の一方の軸方向端部に形成され、配管(2、3)の端部(22、32)に形成される外周側突起部(34、35)に係止される第1の内側鍔部(41a)と、筒部(41)の他方の軸方向端部に形成される開口部(45、46)を覆い、筒部(41)における他方の軸方向端部に、取り外し可能に設けられている端板(43)とを備えることを特徴としている。
【0008】
この発明によれば、他の配管と接続した場合、端板(43)を筒部(41)から取り外すことにより、筒部(41)をそのまま接続される配管の保護部材として継続使用することが可能となる。また、廃却する部分は、端板(43)のみであることから、廃却量の低減も図ることが可能となる。
【0009】
請求項2に記載の発明では、筒部(41)は、軸方向に沿って延びる複数の部分体(41e、41f)を備え、軸を通る展開面に沿って展開可能に構成されていることを特徴としている。この発明によれば、配管に装着される部品を、配管(2、3)に簡単に装着できる。また、容易に取り外すことができる。
【0010】
請求項3に記載の発明では、端板(43)は、部分体(41e、41f)の1つに、破断可能な繋ぎ部(44)を介して一体的に形成されるとともに、繋ぎ部(44)を破断させて、端板(43)を筒部(41)から取り外すことが可能となっていることを特徴としている。
【0011】
この発明によれば、端板(43)を容易に部分体(41e、41f)に形成すること、及び端板(43)を簡単に部分体(41e、41f)から容易に取り外すことが可能である。
【0012】
請求項4に記載の発明では、端板(43)は、筒部(41)とは別体であるとともに、筒部(41)に着脱可能であることを特徴としている。この発明によれば、端板(43)を容易に部分体(41e、41f)に、取付け及び取り外すことが可能である。
【0013】
請求項5に記載の発明では、部分体(41e、41f)のそれぞれには、筒部(41)が装着される配管(2、3)の端部(22、32)の外側形状に対応した略半円柱状の嵌合部(42)が形成されていることを特徴としている。
【0014】
この発明によれば、相互に接続される配管(2、3)の端部(22、32)を、部分体(41e、41f)により確実に覆うことが可能となり、相互に接続された後の配管(2、3)の端部(22、32)を保護することができる。
【0015】
請求項6に記載の発明では、第1配管(2)の端部(22)及び第2配管(3)の端部(32)の外周側に配置されて、端部(22,32)を保護する配管継手(40)において、
配管継手(40)は、第1配管(2)の端部(22)及び第2配管(3)の端部(32)の外周側に配置される筒部(41)と、この筒部(41)における一方の軸方向端部に形成され、配管(2、3)の端部(22、32)に形成される外周側突起部(34、35)に係止される第1の内側鍔部(41a)と、筒部(41)における他方の軸方向端部に形成される開口部(45、46)を覆いうる端板(43)を取り外し可能とする取り外し部(44、41d)とを有することを特徴としている。
【0016】
この発明によれば、第1および第2配管(2、3)が相互に接続される場合、端板(43)を取り外し部(44、41d)から取り外すことにより、筒部(41)をそのまま接続される配管の保護部材として継続使用することが可能となる。また、廃却する部分は、端板(43)のみであることから、廃却量の低減も図ることが可能となる。
【0017】
請求項7に記載の発明では、筒部(41)は、軸方向に沿って延びる複数の部分体(41e、41f)を備え、軸を通る展開面に沿って展開可能に構成されていることを特徴としている。この発明によれば、配管継手(40)の筒部(41)を、部分体(41e、41f)により、第1および第2配管(2、3)に簡単に装着できる。また、容易に取り外すことができる。
【0018】
請求項8に記載の発明では、端板(43)は、部分体(41e、41f)の1つに、破断可能な繋ぎ部(44)を介して一体的に形成されるとともに、繋ぎ部(44)を破断させて、端板(43)を筒部(41)から取り外すことが可能となっていることを特徴としている。
【0019】
この発明によれば、端板(43)を簡単に配管継手(40)の部分体(41e、41f)に形成すること、及び端板(43)を簡単に配管継手(40)の部分体(41e、41f)から取り外すことが可能である。
【0020】
請求項9に記載の発明では、端板(43)は、筒部(41)とは別体であるとともに、筒部(41)に着脱可能であることを特徴としている。この発明によれば、端板(43)を簡単に配管継手(40)の部分体(41e、41f)に、取付け及び取り外すことが可能である。
【0021】
請求項10に記載の発明では、部分体(41e、41f)のそれぞれには、筒部(41)が装着される配管(2、3)の端部(22、32)の外側形状に対応した略半円柱状の嵌合部(42)が形成されていることを特徴としている。
【0022】
この発明によれば、相互に接続される配管(2、3)の端部(22、32)を、配管継手(40)の部分体(41e、41f)により確実に覆うことが可能となり、相互に接続された後の配管(2、3)の端部(22、32)を保護することができる。
【0023】
請求項11に記載の発明では、第1配管(2)の端部(22)は、雄側継手部(22)として形成され、第2配管(3)の端部(32)は、雄側継手部(22)が挿入される雌側継手部(32)として形成され、第1配管(2)の外周側に配置され、第1配管(2)が第2配管(3)に挿入接続されているとき、第1配管(2)が第2配管(3)から外れないように、接続状態を保持する係止部材(10)を有しており、この係止部材(10)は、雄側継手部(22)が雌側継手部(32)に挿入接続される前の状態において、第1配管(2)の端部(22)の外周側に保持され、
配管継手(40)は、雄側継手部(22)が雌側継手部(32)に挿入接続される前の状態において、第2配管(3)の端部(32)の外周側に保持されていることを特徴としている。
【0024】
この発明によれば、第1及び第2配管(2、3)は簡単に相互接続されるとともに、第1配管(2)が第2配管(3)から外れることが、係止部材(10)及び配管継手(40)により抑止される。
【0025】
請求項12に記載の発明では、第1配管(2)の端部(22)は、雄側継手部(22)として形成され、第2配管(3)の端部(32)は、雄側継手部(22)が挿入される雌側継手部(32)として形成され、第1配管(2)の外周側に配置され、第1配管(2)が第2配管(3)に挿入接続されているとき、第1配管(2)が第2配管(3)から外れないように、接続状態を保持する係止部材(10)を有しており、係止部材(10)は、雄側継手部(22)が雌側継手部(32)に挿入接続される前の状態において、第1配管(2)の端部(22)の外周側に保持され、
配管継手(40)は、雄側継手部(22)が雌側継手部(32)に挿入接続される前の状態において、係止部材(10)を覆うように第1配管(2)の端部(22)の外周側に保持されていることを特徴としている。
【0026】
この発明によれば、配管継手(40)が、雄側継手部(22)が雌側継手部(32)に挿入接続される前の状態において、第1配管(2)の端部(22)の外周側に保持されている点が、上記請求項11の発明と異なるものであり、上記請求項11と同様の作用効果が得られる。
【0027】
請求項13に記載の発明では、配管継手(40)は、筒部(41)における他方の軸方向端部に形成され、係止部材(10)の軸方向の後端部に係止される第2の内側鍔部(41b)を有することを特徴としている。この発明によれば、第1配管(2)が第2配管(3)から外れることが、係止部材(10)及び配管継手(40)により抑止される。
【0028】
請求項14に記載の発明では、筒部(41)における両方の軸方向端部に形成される、第1及び第2の内側鍔部(41a、41b)の長さ(L1)は、第1配管(2)の端部(22)が第2配管(3)の端部(32)に挿入接続されている状態において、第2配管(3)の端部(32)に形成される外周側突起部(34、35)から係止部材(10)の後端部に至る長さのに相当することを特徴としている。
【0029】
この発明によれば、相互に接続される第1及び第2配管(2、3)の端部(22、32)を、配管継手(40)の筒部(41)により確実に覆うことが可能となり、相互に接続された後の第1及び第2配管(2、3)の端部(22、32)を保護することができる。
【0030】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
(第1実施形態)
第1実施形態による配管に装着される部品を、図1乃至図7に基づいて説明する。本実施形態では、配管に装着される部品として、配管の端部を保護する保護キャップとしても、配管継手装置に用いられて、少なくとも当該継手部分を保護する配管継手としても用いられる部品を説明する。図1は、部品を、保護キャップとして雌側継手の配管に装着した装着状態を示す縦断面図である。図2は、配管継手の全体構成を示す縦断面図である。図3は、図2に示すIII矢視図である。図4は、配管継手の展開状態、言い換えれば開放状態を示す斜視図である。
【0032】
図5は、雌側継手の配管と雄側継手の配管との連結前の状態を示す縦断面図である。図6は、配管継手装置の全体構成を示す縦断面図である。図5及び図6は、部品を、配管継手として装着した状態を示している。図7(a)及び図7(b)は、係止部材の外観形状を示す斜視図である。以下の説明では、部品40を配管継手40と呼ぶ。
【0033】
配管継手40は、例えば、車両空調用冷凍サイクルの冷媒配管の連結に用いる配管継手装置に適用できる。車両用の空調装置においては、圧縮機、蒸発器、受液器、凝縮器などの冷凍機器を冷媒配管(以下、配管と称する)で接続し、冷媒が循環する冷凍サイクルを構成している。
【0034】
工場から空調装置を出荷する際には、冷凍サイクルを各部分(各冷凍機器)に分割し、車に搭載する際に各冷凍機器や配管を接続している。例えば、冷媒配管同士を接続するには、雄側継手を有する配管2と、雌側継手を有する配管3と、これら配管2、3を係止する係止部材10などからなる配管継手装置により接続している。
【0035】
配管継手40は、上記配管継手装置に組み込まれるものである。工場から配管継手装置を分割した状態で出荷する場合は、配管の端部からチリ、ごみ、あるいは水分が管内に侵入しないように配管の端部にキャップ、もしくプラグとして配管継手40を装着して、配管の端部開口を蓋するようにしている(図1)。
【0036】
そして、車両への搭載に際し、配管の端部に相手側配管の端部を接続するとき、少なくとも配管継手40から端部開口を蓋する端板43のみを取り外して相手側の配管を接続できるようにしている(図2)。このように、配管が単品の時において、この配管継手40は配管の端部開口を塞ぐ機能と、配管の端部外周を保護する機能とを有している。言い換えると、配管継手40は、配管端部の保護キャップとして機能している。
【0037】
さらに、この配管継手40は、配管同士を接続した後も、接続部の外形を保護する機能を有している。言い換えると、配管継手40は、接続部の配管カバーとして機能している。これにより、端部開口を蓋する端板43のみを取り外すことにより、配管の継手部を保護する保護部品を別途設けなくても、配管同士の接続部の外周を保護することができる。
【0038】
配管継手装置は、図5及び図6に示すように、雄側継手部22を有する第1配管2、雌側継手部32を有する第2配管3、第1配管2と第2配管3とを係止する係止部材10、および雄側及び雌側継手部22、32が接続された配管の端部外周に装着された配管継手40から構成される。
【0039】
配管継手装置は、雌側継手部32内に雄側継手部22を挿入して、第1配管2と第2配管3とを接続している。第1配管2の外周側に係止部材10が装着されており、係止部材10を介して第1配管2と第2配管3とを係止するように構成されている。
【0040】
第1配管2は、冷媒を流通するために筒状に形成され、その挿入側先端部には、筒部21より拡径された雄側継手部22が形成されている。雄側継手部22には、ゴム材からなるOリング5が嵌入される円環状の凹状溝部23が2列形成されている。その凹状溝部23の反先端部側、すなわち雄側継手部22の根元部(凹状溝部23と筒部21との間)には、外方に突き出した膨拡部24が形成されている。
【0041】
膨拡部24は、外形が外方に拡径された略円筒形状に形成され、膨拡部24の後方側に配置される筒部21と膨拡部24との段差面が、係止部材10の係止部14と係止する第1被係止部26として形成されている。膨拡部24の前方側の端面は、第2配管3に形成された拡管部34の根元部に当接される。膨拡部24の外周面には、第2配管3と第1配管2との回り止め機能を果たすための図示しない回り止め部が形成されている。
【0042】
膨拡部24の後方側の筒部21には、凹状の溝部からなる制止部21bが形成されている。この制止部21bは、係止部材10を第1配管2の外周に装着するときに、係止部材10の位置決めを行うための溝である。つまり、第1配管2と第2配管3とを接続するときに、第1配管2の外周に装着された係止部材10が筒部21の後方側にずれることを防止するためのストッパー機能を有している。
【0043】
一方、第2配管3は、冷媒を流通するために筒状に形成され、挿入側先端部には、筒部31より拡径された雌側継手部32が形成されている。この雌側継手部32には、第1配管2の雄側継手部22を内嵌する挿入口33、この挿入口33よりも拡径された拡管部34、この拡管部34から前方に延設された延設筒部37が形成されている。挿入口33は雄側継手部22をシールするための内周面である。
【0044】
拡管部34は、膨拡部24を内嵌するように形成されるとともに、その内周面には、第2配管3と第1配管2との回り止め機能を果たすための図示しない回り止め部が形成されている。拡管部34の根元側は、円錐状のテーパー面35が形成されて挿入口33の先端に繋がれている。このテーパー面35には、膨拡部24の先端側が当接される。
【0045】
延設筒部37は、拡管部34よりも外方に拡径されて延設されるとともに、その先端を内周側に折り曲げることにより、延設筒部37の内周面に凹状の溝部からなる内径段差部38を形成している。内径段差部38は、係止部材10の係止部14が内嵌される。内径段差部38の先端側は、係止部14の第2当接部14aに当接するように形成されている。
【0046】
第1配管2と第2配管3とが接続された状態、即ち膨拡部24が拡管部34のテーパー面35に当接したときに、係止部材10の係止部14が内径段差部38に内嵌可能なように、内径段差部38は、凹状の溝部として形成されている。
【0047】
これら挿入口33、テーパー面35、拡管部34、および内径段差部38は、筒部31の先端側を拡管などの塑性加工によって形成される。ここで、本実施形態の内径段差部38は、凹状の溝部を延設筒部37の内周面の全周にわたって形成したが、これに限らず、部分的に凹状の溝部を形成しても良い。
【0048】
次に、係止部材10は、第1配管2に形成された膨拡部24の反先端部側の外周に装着されている。係止部材10は、弾性変位を許容する樹脂材料によって形成される。係止部材10は、金属材料で、あるいは樹脂材料と金属材料とを組み合わせて一体的に形成しても良い。
【0049】
係止部材10は、第1配管2および第2配管3に対して同軸的に形成されており、第2配管3の延設筒部37の内周側と、第1配管2の筒部21の外周側との間の隙間に、配設されている(図6)。係止部材10は、図7(a)及び図7(b)に示すように、内径段差部38と膨拡部24とに係止する係止部14と、その係止部14を径方向に弾性変位させるための弾性変位部13と、係止部材10を第1配管2の外周面に装着するための配管装着部12とから構成されている。
【0050】
係止部14は、軸心CLに対して対向する位置(点対称の位置)に複数(本例では2個)形成されている。この係止部14の数は、配管における圧力に応じて設定される。本実施形態では、軸心CLに対して対向する一対の係止部14が、組を成して形成されているが、複数組の係止部14が円周方向に分散して、例えば等間隔に配置されても良い。
【0051】
係止部14の先端側には、凸状の第1当接部14eが形成されている。第1当接部14eが、膨拡部24に形成された第1被係止部26に係止される。そして、第1当接部14eとは反対側となる軸方向の他端側には、直線状の第2当接部14aが形成され、第2当接部14aが第2配管3に形成された内径段差部38の先端に係止される。
【0052】
つまり、係止部14の軸方向の両端面において、一方の端面である第1当接部14eが第1配管2の第1被係止部26に係止され、他方の端面である第2当接部14aが第2配管3の内径段差部38に係止されることになる。
【0053】
また、第1配管2と第2配管3とが接続された後に、第1及び第2配管2、3内に流体が封入されて内部圧力が上昇すると、内圧によって第1、第2配管2、3には、それぞれ接続相手側の継手部から離間する方向(抜け方向)に力が作用する。その結果、第2当接部14aは、内径段差部38の先端と当接し、内径段差部38に係止される。
【0054】
また、係止部14は、周方向に湾曲した円弧状の隆起部として形成されている。係止部14は、軸方向断面において、長方形もしくは略台形となる形状で形成されており、テーパー状のテーパー面部14bが形成されており、そのテーパー面部14bに繋がる外周面は、円筒面として形成されている。
【0055】
また、係止部14の先端内周面に形成された段差面が、第1当接部14eを構成しており、膨拡部24に形成された第1被係止部26に係止される。また、係止部14の後端面に形成された端面が第2当接部14aを構成しており、第2配管3の内径段差部38の先端に係止される。
【0056】
以上の通り、係止部14の一端(第1当接部14e)を膨拡部24に係止させ、その他端(第2当接部14a)を内径段差部38の先端に係止させることにより、第1配管2と第2配管3とが接続できる。また、係止部14の先端にテーパー面部14bを設けたため、第2配管3に第1配管2を挿入するときに、延設筒部37の先端で係止部14を縮径することができ、係止部材10を延設筒部37の内周側にスムーズに挿入することができる。
【0057】
係止部材10の配管装着部12は、略C型の円筒形状に形成されており、第1配管2の外周に弾性変位させて装着されている。略C型で薄肉の円筒状に形成することにより、第1配管2の外周に装着するときに、略C型の開口部を開いて第1配管2の側方から装着することができる。
【0058】
また、配管装着部12には、第1配管2の筒部21に形成された制止部21bに係合する複数の爪部12aが、配管装着部12の内周側に折り曲げて形成されている。更に、配管装着部12の後端には、後端部12bが形成されている。
【0059】
弾性変位部13は、配管装着部12の後端部12bと係止部14とを繋ぐとともに、係止部14を径方向に弾性変位するように形成している。弾性変位部13は、その一端が配管装着部12の後端から径方向外側に延びて、軸方向にUターンするように延設させ、その先端が係止部14に繋ぐように形成されている。
【0060】
弾性変位部13の厚さは、係止部14の厚さよりも充分に小さく形成されている。従って、同じ樹脂材料によって形成されていても、径方向に関して充分な柔軟性を有し、係止部14が径方向に弾性変位可能に構成されている。弾性変位部13は、配管装着部12の軸心CLに対して、対称位置で対向するように一対形成されている。
【0061】
ところで、係止部材10が第1配管2および第2配管3に回転自在に装着されているので、雄側継手部22と雌側継手部32とは、相対的に回転可能となっており、第1配管2または第2配管3のいずれかで連れ回りが発生する恐れがある。この連れ回りを防止するために、雄側継手部22の外周面が雌側継手部32の内周面に嵌合する部位、例えば、第1配管2の膨拡部24の外周面と第2配管3の拡管部34の内周面とが嵌合する部位に、図示しない回り止め部が形成されている。
【0062】
配管継手40を含む配管継手装置は、工場から出荷されるとき、分割された状態で出荷される。配管継手40は、出荷時には、第2配管3の端部(雌側継手部32)を覆うように装着されている。配管継手40は、有底筒状であって、軸方向に沿って、半分に割れて展開可能な形状である。配管継手40は、樹脂材料の成形加工によって一体的に形成されている。配管継手40は、金属材料、あるいは樹脂材料と金属材料とを組み合わせた材料を用いても、製造することができる。
【0063】
配管継手40は、筒部としての円筒部41と、その一端部を覆う端板43とを有する。配管継手40は、軸方向に沿って延びる二つの部分体41e、41fを備える。各部分体41e、41fは、円筒部41を、軸を通る分割面に沿って分割した半円筒形状を有している。各部分体41e、41fは、半筒状である。これら部分体41e、41fは、ヒンジ部47によって連結されている。
【0064】
円筒部41は、その内側面を露出させるように、軸を通る分割面に沿って展開可能に構成されている。円筒部41に代えて、多角形柱状などの形状を持つ筒部を採用することができる。また、円筒部41は、当該円筒部41を、軸を通る複数の分割面に沿って複数に分割して得られる複数の部分体によって構成されることができる。
【0065】
各部分体41e、41fの一方の内側には、第2配管3の端部に形成される拡管部34及びテーパー面35(外周側突起部に相当する)に係止される第1の内側鍔部41aが形成されている。同様に、各部分体41e、41fの他方の軸方向端部には、第1及び第2配管2、3が接続されたときに、係止部材10の軸方向の後端部12bに係止される第2の内側鍔部41bが形成されている。
【0066】
そして、この第1及び第2の内側鍔部41a、41bの間となる円筒部41との内側には、第2配管3の端部(雌側継手部32)を包含するための嵌合部42が形成されている。この嵌合部42は、第2配管3の端部(雌側継手部32)の外形形状に対応させた略半円柱状の溝で形成されている。嵌合部42の軸方向の長さL1(即ち、第1及び第2の内側鍔部41a、41bの距離)は、第2配管3の端部(雌側継手部32)に第1配管2の端部(雄側継手部22)を接続したときに、係止部材10を含めた第1配管2の端部(雄側継手部22)と第2配管3の端部(雌側継手部32)とを包含できる長さにしている。
【0067】
つまり、第2配管3の端部(雌側継手部32)に第1配管2の端部(雄側継手部22)を接続したときに、第1配管2に装着された係止部材10の後端側から第2配管3の拡管部34の根元側までに至る外形部分を包含できる寸法に設定されている。嵌合部42の一端に形成される一方の貫通孔45の内径D1は、第1配管2の筒部21の外径とほぼ同じ大きさに設定されている。
【0068】
そして、他方の貫通孔46の内径D2は、第2配管3の挿入口33の外径とほぼ同じ大きさに設定されている。端板43は、一方の貫通孔45を蓋するように円筒部41の一端面に形成されている。端板43は、円筒部41の外形と略同一の円形状に形成されている。端板43は、円筒部41の端面に繋ぎ部44を介して一体的に形成されている。繋ぎ部44以外の端板43の端面は、円筒部41の端面に当接するように形成されている。繋ぎ部44は、端板43を取り外し可能とする取り外し部である。
【0069】
つまり、部分体41e、41fが開いたときは、分割された部分体41e、41fの一端面に端板43が配置されている。そして、部分体41e、41fが閉じたときは、端板43で貫通孔45を蓋するように配置される。ここで、端板43は繋ぎ部44を介して円筒部41の一端面に繋がっているが、図2中に示す矢印方向に外力を掛けることで、端板43を円筒部41から取り外すことができる。
【0070】
ヒンジ部47は、分割された部分体41e、41fを連結するとともに、ヒンジ機能を有するように薄板で形成されている。取手部48は、分割された分体41e、41fが閉じられたときに、開くための取っ手であり、分割された各部分体41e、41fの一方に設けられている。この取手部48には、分割された部分体41e、41fを閉じたときに、他方の部分体41e、41fを固定するための凸部48aが設けられている。
【0071】
他方の部分体41e、41fには、この凸部48aに対応する位置に凹部49が設けられている。分割された部分体41e、41fが閉じられたときに、凸部48aが凹部49に係合することで分割された部分体41e、41f同士が固定される。そして、取手部48に外力を加えることで、凸部48aと凹部49との係合が外されて分割された部分体41e、41fを開くことができる。
【0072】
次に、以上の構成による配管継手装置の組付け方法、即ち、配管等を工場から出荷するときに、配管継手40を第2配管3に組み付ける方法を、図1、図5および図6に基づいて説明する。まず、配管継手40を、図1に示すように、第2配管3の端部(雌側継手部32)の外周部および端部開口を覆うように装着する。即ち、分割された部分体41e、41fを開いた状態で、第2配管3の挿入口33の外周を一方の嵌合部42内に嵌合するとともに、第2配管3の挿入口33の外周を貫通孔46に嵌め合う。
【0073】
そして、開らかれた状態の部分体41e、41fを閉じるとともに、凸部48aを凹部49に係合させる(図1の状態)。これにより、第2配管3の端部(雌側継手部32)が配管継手40により覆われる。外部から第2配管3内に、チリ、ごみ、あるいは水分が侵入することなく、防塵および防水ができる。
【0074】
第2配管3の端部(雌側継手部32)の外周部が、円筒部41で覆われて包含されるので、外部からの傷付きや変形が発生しないように外周部を保護することができる。さらに、配管継手40が第2配管3の端部(雌側継手部32)に装着された状態で第2配管3を保管することができる。
【0075】
そして、車両に搭載して相手側配管と接続するときには、配管継手40を第2配管3に装着した状態で、図5に示すように、第1配管2を第2配管3に挿入する前に、端板43を繋ぎ部44からちぎって取り外す。よって、繋ぎ部44は、作業者の力によって破断可能に形成されている。取り外した端板43は廃却する。これにより、貫通孔45が開口する。
【0076】
次に、取手部48を操作して、凸部48aと凹部49との係合を外して、部分体41e、41fを半割れ状態に開く。そして、第1配管2の膨拡部24の後端側に係止部材10が装着された第1配管2を、第2配管3の端部開口前に配置する。そして、図5中に示す矢印の方向に、第1配管2の雄側継手部22を移動させて、延設筒部37内に雄側継手部22を挿入する。
【0077】
これにより、雄側継手部22の先端が、第2配管3の挿入口33内に挿入される。このとき、延設筒部37の先端で係止部14のテーパー面部14bが押圧されるため、係止部14が軸心方向に縮径される。
【0078】
そして、膨拡部24の先端側が、拡管部34に挿入される。それとともに、係止部14が延設筒部37の内周側に挿入される。そして、膨拡部24の先端側が拡管部34の根元部に当接されると、係止部14は弾性復帰して内径段差部38内に嵌合係止される。
【0079】
そして、この状態から第1配管2を左方側(抜け方向)に引っ張ると、係止部14の第1当接部14eの内壁面は、膨拡部24の第1被係止部26に係止される。また、係止部14の第2当接部14aが内径段差部38の先端に係止されることになり、第1および第2配管2、3同士が軸方向に拘束されて、第1配管2と第2配管3とが接続される。このように、第1配管2と第2配管3とが、係止部材10を介してワンタッチで接続できる。
【0080】
次に、半割れ状態に開かれた部分体41e、41fを閉じて、取手部48の凸部48aを凹部49に係合させる。なお、嵌合部42の軸方向の長さL1は、前述のように、第1配管2に装着された係止部材10の後端側から第2配管3の拡管部34の根元側までに至る継手部分を包含できる寸法に設定されている。つまり、接続部(10、22、32)の外形形状に対応して、嵌合部42が形成されている。
【0081】
このため、例えば、係止部14が、内径段差部38内に正しく嵌め込まれていなかったときには、係止部材10の後端側が嵌合部42の外方にはみ出ることになり、取手部48の凸部48aが凹部49に係合できなくなる。言い換えると、第1配管2と第2配管3との接続が不良であると、接続部(10、22、32)を配管継手40が覆うことができなくなる。
【0082】
一方、半割れ状態に開かれた部分体41e、41fを閉じることができた場合には、図6に示すように、軸方向の長さL1内の嵌合部42に、係止部材10、第1配管2の端部(雄側継手部22)と第2配管3の端部(雌側継手部32)との接続部(10、22、32)を、配管継手40が正しく覆うことができる。従って、第1配管2と第2配管3との接続の良否が判定できる。
【0083】
ここでは、嵌合部42の軸方向の長さL1を、第1配管2に装着された係止部材10の後端側から第2配管3の拡管部34の根元側までに至る外形を包含できる寸法に設定したが、これに限ることはなく、嵌合部42の軸方向の長さL1を、第1配管2に装着された係止部材10の後端側から第2配管3の延設筒部37の根元側までに至る外形部分を包含できる寸法に設定しても良い。
【0084】
以上の第1実施形態による配管継手40によれば、円筒部41の部分体41e、41fに形成された貫通孔45を覆う端板43が取り外し可能に形成されており、端板43が取り外された配管継手40は、第2配管3に第1配管2を接続した後も、接続部(10、22、32)の保護カバーとして継続して使用することができる。これにより、配管継手40の廃却量の低減が図れる。
【0085】
このように、第2配管3に第1配管2を接続した後も、配管継手40が接続部(10、22、32)を覆う保護カバーとして構成されることにより、接続部(10、22、32)における防塵及び防水機能に加えて、傷付きや打痕などの接続部(10、22、32)における外形の外部からの損傷を防止することができる。また、別体の防塵カバーを設けることもなく、塵埃の多い環境下で用いることが可能である。
【0086】
また、配管継手40の部分体41e、41fを開閉可能な半割れ形状に形成したことにより、嵌合部42の形状を接続部(10、22、32)の外形形状に応じて形成できる。また、部分体41e、41fの端面に、繋ぎ部44を介して一体的な端板43を形成したことにより、配管継手40を第2配管3に装着した状態で、端板43のみを容易に取り外すことができる。繋ぎ部44の取り外し痕は、小さく形成することができる。
【0087】
(第2実施形態)
以上の第1実施形態では、配管継手40を、雌側継手部32を有する第2配管3に装着するように構成したが、雄側継手部22を有する第1配管2に装着するように構成しても良い。図8は、配管継手を雄側継手の配管に装着した装着状態を示す縦断面図である。本実施形態の配管継手40は、図8に示すように、取り外し可能な端板43が、貫通孔46を蓋するように設けられている。
【0088】
つまり、嵌合部42の両端に形成される貫通孔45、46のうち、第2配管3の挿入口33の外径に嵌め合う貫通孔46の外側に端板43が設けられている。また、上記第1実施形態と同様に、嵌合部42の軸方向の長さL1は、第2配管3の端部(雌側継手部32)に第1配管2の端部(雄側継手部22)を接続したときに、係止部材10を含めた第1配管2の端部(雄側継手部22)と第2配管3の端部(雌側継手部32)とを包含できる長さにしている。
【0089】
配管継手40は、工場から配管継手装置を分割した状態で出荷するときに、係止部材10を含めて第1配管2の端部(雄側継手部22)の外周部及び端部開口を覆うように装着される。これにより、第1配管2の端部(雄側継手部22)が配管継手40により覆われ、外部から第1配管2内にチリ、ごみあるには水分が侵入することなく防塵及び防水ができる。
【0090】
第1配管2の端部(雄側継手部22)の外形が円筒部41で覆われて包含されるので、外部からの傷付き、変形などが発生しないように、端部外形を保護することができる。さらに、配管継手40が、第1配管2の端部(雄側継手部22)に装着された状態で第1配管2を保管することができる。
【0091】
そして、車両に搭載して相手側配管と接続するときには、配管継手40を第1配管2に装着した状態で、第2配管3を第1配管2に接続する前に、端板43を繋ぎ部44からちぎって取り外す。取り外した端板43は廃却する。これにより、貫通孔46が開口する。
【0092】
次に、取手部48を操作して凸部48aと凹部49との係合を外して、円筒部41を半割れ状態に開く。そして、第2配管3の雌側継手部32を移動させて延設筒部37内に雄側継手部22を挿入する。これにより、第1配管2と第2配管3とが、係止部材10を介してワンタッチで接続できる。
【0093】
そして、半割れ状態に開かれた部分体41e、41fを閉じて、取手部48の凸部48aを凹部49に係合させる。これにより、軸方向の長さL1を有する嵌合部42に、係止部材10を含めて、第1配管2の端部(雄側継手部22)と第2配管3の端部(雌側継手部32)との接続部(10、22、32)を配管継手40で覆うことができる。
【0094】
これにより、接続部(10、22、32)における防塵及び防水機能に加えて、傷付きや打痕などの接続部(10、22、32)における外形の外部からの損傷を防止することができる。また、別体の防塵カバーを設けることもなく、塵埃の多い環境下で用いることが可能である。
【0095】
(第3実施形態)
以上の実施形態では、配管継手40の端板43において、繋ぎ部44以外の端面が円筒部41の一端面に当接するように形成したが、端板43の外周の一部を円筒部41に差し込むように形成しても良い。図9は、配管継手の全体構成を示す縦断面図である。
【0096】
本実施形態の配管継手40は、図9に示すように、半割れ形状の一方の部分体41e、41fに端板43の外周の一部が差し込まれる溝部41cを形成している。分割された円筒部41が閉じたときには、繋ぎ部44の反対側となる端板43の外周の一部が溝部41cに差し込まれる。
【0097】
以上のような構成によれば、円筒部41に形成された貫通孔45を端板43によって確実に蓋することができる。また、分割された円筒部41を開くことにより、端板43を繋ぎ部44からちぎって取り外すことができる。
【0098】
(第4実施形態)
以上の実施形態では、取り外し可能な端板43を配管継手40に一体的に形成したが、端板43を着脱できるように配管継手40と別体で形成しても良い。図10および図11は、配管継手の全体構成を示す縦断面図である。本実施形態の配管継手40の一つは、図10に示すように、貫通孔45を蓋する端板43が配管継手40と別体で形成されている。
【0099】
端板43の一端面には、スナップ状の止め具43aが設けられている。配管継手40の円筒部41の貫通孔45には、この止め具43aに対応する受け部41dが設けられている。そして、分割された円筒部41を閉じたときに、端板43を貫通孔45の端面に装着することにより、貫通孔45を蓋することができる。また、分割された部分体41e、41fを開くことにより、端板43を配管継手40から取り外すことができる。
【0100】
また、もう一つの配管継手40は、図11に示すように、配管継手40の円筒部41と端板43とが別体で形成されている。端板43の一端面には、リベット状の止め具43aが設けられている。円筒部41の一端面には、この止め具43aに対応する受け部41dが設けられている。そして、分割された部分体41e、41fを閉じたときに、端板43を貫通孔45の端面に装着することにより、貫通孔45を蓋することができる。また、止め具43aを受け部41cから引き抜いて、端板43を配管継手40から取り外すことができる。受け部41dは、端板43を取り外し可能とする取り外し部である。
【0101】
以上のような構成によれば、配管同士を接続する前に、配管継手40を一方の配管2、3に装着した状態で、端板43のみを容易に取り外すことができる。また、端板43が取り外された配管継手40は、配管同士を接続した後も、接続部(10、22、32)の保護カバーとして継続して使用することができる。これにより、配管継手40の廃却量の低減が図れる。
【0102】
(他の実施形態)
以上の実施形態では、配管に装着される部品の用途として、配管が単品の時に配管端部の保護キャップとして用い、配管同士を接続した後も接続部の配管カバーとして用いた配管継手40に適用させたが、このような用途の他に、配管継手40を車両側に支持するための配管ブラケットもしくは配管クランプの用途に適用させても良い。また、配管継手40の外周面にマーキングを施して、配管識別表示などの用途に適用させても良い。
【0103】
以上の実施形態では、車両用空調用冷凍サイクルの冷媒配管に適用させたが、これに限定することなく、流体を封入する配管に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】第1実施形態における配管に装着される部品を、保護キャップとして雌側継手の配管に装着した装着状態を示す縦断面図である。
【図2】第1実施形態における配管継手の全体構成を示す縦断面図である。
【図3】図2に示すIII矢視図である。
【図4】第1実施形態における配管継手の展開状態を示す斜視図である。
【図5】第1実施形態における雌側継手の配管と雄側継手の配管との連結前の状態を示す縦断面図である。
【図6】第1実施形態における配管継手装置の全体構成を示す縦断面図である。
【図7】(a)および(b)は第1実施形態における係止部材の外観形状を示す斜視図である。
【図8】第2実施形態における配管継手を雄側継手の配管に装着した装着状態を示す縦断面図である。
【図9】第3実施形態における配管継手の全体構成を示す縦断面図である。
【図10】第4実施形態における配管継手の全体構成を示す縦断面図である。
【図11】第4実施形態の変形例における配管継手の全体構成を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0105】
2…第1配管、配管
3…第2配管、配管
10…係止部材、接続部
22…雄側継手部、端部、接続部
32…雌側継手部、端部、接続部
34…拡管部(外周側突起部)
35…テーパー面(外周側突起部)
40…配管継手
41…円筒部(筒部)
41a…第1の内側鍔部
41b…第2の内側鍔部
41d…受け部(取り外し部)
42…嵌合部
43…端板
44…繋ぎ部(取り外し部)
45、46…貫通孔(開口部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管の端部を覆う保護プラグ等の配管に装着される部品、並びに接続された2つの配管の端部を保護する配管継手に関するものであり、例えば、車両空調用冷凍サイクルの冷媒配管の配管継手装置に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の保護プラグとして、例えば、特許文献1に示されるものが知られている。すなわち、配管の端部から、配管内にチリやごみ、あるいは水分等が浸入しないように、開口端部を蓋する端板を有する保護プラグを配管の端部に装着している。そして、開口端部を蓋する端板には、管内圧が上昇したときに、配管内の流体が外部に抜けるように溝および凹部が形成されている。また、保護プラグは、配管の端部を保護するとともに、管端から容易に外れないように把持力を付与するために、樹脂製の管端に密着する形状になっている。
【0003】
また、一般的に、車両空調用冷凍サイクルの配管継手装置では、車両において、冷凍サイクルを形成するために、雌側継手部を有する配管と、雄側継手部を有する配管とを備えている。そのため、雌側継手部および雄側継手部のそれぞれの端部を覆うための形状の異なる保護プラグを用意している。
【特許文献1】特開平10−231986号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1のような形状の保護プラグは、再利用できるように形成されていない。つまり、少なくとも雄側用保護プラグと雌側用保護プラグとの2種類の保護プラグを設け、一方の配管の端部に相手側配管の端部を接続する組み付け時において、それぞれの配管の端部から保護プラグを取り外して廃却処分している。その結果、廃棄費用の負担が問題である。
【0005】
また、粉塵の多い環境下で使用される場合は、配管の端部同士が接続された接続部には、その接続部の外形を覆うための別体の防塵用カバーが必要となる。これにより、構成部品が増加し、コストアップとなる問題もある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、廃却量の低減が図れるとともに、配管用カバーとして、継続して使用できる「配管に装着される部品」及び「配管継手」を提供することにある。また、別の目的として塵埃の多い環境下で用いることが可能な「配管に装着される部品」及び「配管継手」を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では、以下の技術的手段が採用されている。即ち、請求項1に記載の発明では、配管(2、3)の端部(22、32)外周側に配置される筒部(41)と、この筒部(41)の一方の軸方向端部に形成され、配管(2、3)の端部(22、32)に形成される外周側突起部(34、35)に係止される第1の内側鍔部(41a)と、筒部(41)の他方の軸方向端部に形成される開口部(45、46)を覆い、筒部(41)における他方の軸方向端部に、取り外し可能に設けられている端板(43)とを備えることを特徴としている。
【0008】
この発明によれば、他の配管と接続した場合、端板(43)を筒部(41)から取り外すことにより、筒部(41)をそのまま接続される配管の保護部材として継続使用することが可能となる。また、廃却する部分は、端板(43)のみであることから、廃却量の低減も図ることが可能となる。
【0009】
請求項2に記載の発明では、筒部(41)は、軸方向に沿って延びる複数の部分体(41e、41f)を備え、軸を通る展開面に沿って展開可能に構成されていることを特徴としている。この発明によれば、配管に装着される部品を、配管(2、3)に簡単に装着できる。また、容易に取り外すことができる。
【0010】
請求項3に記載の発明では、端板(43)は、部分体(41e、41f)の1つに、破断可能な繋ぎ部(44)を介して一体的に形成されるとともに、繋ぎ部(44)を破断させて、端板(43)を筒部(41)から取り外すことが可能となっていることを特徴としている。
【0011】
この発明によれば、端板(43)を容易に部分体(41e、41f)に形成すること、及び端板(43)を簡単に部分体(41e、41f)から容易に取り外すことが可能である。
【0012】
請求項4に記載の発明では、端板(43)は、筒部(41)とは別体であるとともに、筒部(41)に着脱可能であることを特徴としている。この発明によれば、端板(43)を容易に部分体(41e、41f)に、取付け及び取り外すことが可能である。
【0013】
請求項5に記載の発明では、部分体(41e、41f)のそれぞれには、筒部(41)が装着される配管(2、3)の端部(22、32)の外側形状に対応した略半円柱状の嵌合部(42)が形成されていることを特徴としている。
【0014】
この発明によれば、相互に接続される配管(2、3)の端部(22、32)を、部分体(41e、41f)により確実に覆うことが可能となり、相互に接続された後の配管(2、3)の端部(22、32)を保護することができる。
【0015】
請求項6に記載の発明では、第1配管(2)の端部(22)及び第2配管(3)の端部(32)の外周側に配置されて、端部(22,32)を保護する配管継手(40)において、
配管継手(40)は、第1配管(2)の端部(22)及び第2配管(3)の端部(32)の外周側に配置される筒部(41)と、この筒部(41)における一方の軸方向端部に形成され、配管(2、3)の端部(22、32)に形成される外周側突起部(34、35)に係止される第1の内側鍔部(41a)と、筒部(41)における他方の軸方向端部に形成される開口部(45、46)を覆いうる端板(43)を取り外し可能とする取り外し部(44、41d)とを有することを特徴としている。
【0016】
この発明によれば、第1および第2配管(2、3)が相互に接続される場合、端板(43)を取り外し部(44、41d)から取り外すことにより、筒部(41)をそのまま接続される配管の保護部材として継続使用することが可能となる。また、廃却する部分は、端板(43)のみであることから、廃却量の低減も図ることが可能となる。
【0017】
請求項7に記載の発明では、筒部(41)は、軸方向に沿って延びる複数の部分体(41e、41f)を備え、軸を通る展開面に沿って展開可能に構成されていることを特徴としている。この発明によれば、配管継手(40)の筒部(41)を、部分体(41e、41f)により、第1および第2配管(2、3)に簡単に装着できる。また、容易に取り外すことができる。
【0018】
請求項8に記載の発明では、端板(43)は、部分体(41e、41f)の1つに、破断可能な繋ぎ部(44)を介して一体的に形成されるとともに、繋ぎ部(44)を破断させて、端板(43)を筒部(41)から取り外すことが可能となっていることを特徴としている。
【0019】
この発明によれば、端板(43)を簡単に配管継手(40)の部分体(41e、41f)に形成すること、及び端板(43)を簡単に配管継手(40)の部分体(41e、41f)から取り外すことが可能である。
【0020】
請求項9に記載の発明では、端板(43)は、筒部(41)とは別体であるとともに、筒部(41)に着脱可能であることを特徴としている。この発明によれば、端板(43)を簡単に配管継手(40)の部分体(41e、41f)に、取付け及び取り外すことが可能である。
【0021】
請求項10に記載の発明では、部分体(41e、41f)のそれぞれには、筒部(41)が装着される配管(2、3)の端部(22、32)の外側形状に対応した略半円柱状の嵌合部(42)が形成されていることを特徴としている。
【0022】
この発明によれば、相互に接続される配管(2、3)の端部(22、32)を、配管継手(40)の部分体(41e、41f)により確実に覆うことが可能となり、相互に接続された後の配管(2、3)の端部(22、32)を保護することができる。
【0023】
請求項11に記載の発明では、第1配管(2)の端部(22)は、雄側継手部(22)として形成され、第2配管(3)の端部(32)は、雄側継手部(22)が挿入される雌側継手部(32)として形成され、第1配管(2)の外周側に配置され、第1配管(2)が第2配管(3)に挿入接続されているとき、第1配管(2)が第2配管(3)から外れないように、接続状態を保持する係止部材(10)を有しており、この係止部材(10)は、雄側継手部(22)が雌側継手部(32)に挿入接続される前の状態において、第1配管(2)の端部(22)の外周側に保持され、
配管継手(40)は、雄側継手部(22)が雌側継手部(32)に挿入接続される前の状態において、第2配管(3)の端部(32)の外周側に保持されていることを特徴としている。
【0024】
この発明によれば、第1及び第2配管(2、3)は簡単に相互接続されるとともに、第1配管(2)が第2配管(3)から外れることが、係止部材(10)及び配管継手(40)により抑止される。
【0025】
請求項12に記載の発明では、第1配管(2)の端部(22)は、雄側継手部(22)として形成され、第2配管(3)の端部(32)は、雄側継手部(22)が挿入される雌側継手部(32)として形成され、第1配管(2)の外周側に配置され、第1配管(2)が第2配管(3)に挿入接続されているとき、第1配管(2)が第2配管(3)から外れないように、接続状態を保持する係止部材(10)を有しており、係止部材(10)は、雄側継手部(22)が雌側継手部(32)に挿入接続される前の状態において、第1配管(2)の端部(22)の外周側に保持され、
配管継手(40)は、雄側継手部(22)が雌側継手部(32)に挿入接続される前の状態において、係止部材(10)を覆うように第1配管(2)の端部(22)の外周側に保持されていることを特徴としている。
【0026】
この発明によれば、配管継手(40)が、雄側継手部(22)が雌側継手部(32)に挿入接続される前の状態において、第1配管(2)の端部(22)の外周側に保持されている点が、上記請求項11の発明と異なるものであり、上記請求項11と同様の作用効果が得られる。
【0027】
請求項13に記載の発明では、配管継手(40)は、筒部(41)における他方の軸方向端部に形成され、係止部材(10)の軸方向の後端部に係止される第2の内側鍔部(41b)を有することを特徴としている。この発明によれば、第1配管(2)が第2配管(3)から外れることが、係止部材(10)及び配管継手(40)により抑止される。
【0028】
請求項14に記載の発明では、筒部(41)における両方の軸方向端部に形成される、第1及び第2の内側鍔部(41a、41b)の長さ(L1)は、第1配管(2)の端部(22)が第2配管(3)の端部(32)に挿入接続されている状態において、第2配管(3)の端部(32)に形成される外周側突起部(34、35)から係止部材(10)の後端部に至る長さのに相当することを特徴としている。
【0029】
この発明によれば、相互に接続される第1及び第2配管(2、3)の端部(22、32)を、配管継手(40)の筒部(41)により確実に覆うことが可能となり、相互に接続された後の第1及び第2配管(2、3)の端部(22、32)を保護することができる。
【0030】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
(第1実施形態)
第1実施形態による配管に装着される部品を、図1乃至図7に基づいて説明する。本実施形態では、配管に装着される部品として、配管の端部を保護する保護キャップとしても、配管継手装置に用いられて、少なくとも当該継手部分を保護する配管継手としても用いられる部品を説明する。図1は、部品を、保護キャップとして雌側継手の配管に装着した装着状態を示す縦断面図である。図2は、配管継手の全体構成を示す縦断面図である。図3は、図2に示すIII矢視図である。図4は、配管継手の展開状態、言い換えれば開放状態を示す斜視図である。
【0032】
図5は、雌側継手の配管と雄側継手の配管との連結前の状態を示す縦断面図である。図6は、配管継手装置の全体構成を示す縦断面図である。図5及び図6は、部品を、配管継手として装着した状態を示している。図7(a)及び図7(b)は、係止部材の外観形状を示す斜視図である。以下の説明では、部品40を配管継手40と呼ぶ。
【0033】
配管継手40は、例えば、車両空調用冷凍サイクルの冷媒配管の連結に用いる配管継手装置に適用できる。車両用の空調装置においては、圧縮機、蒸発器、受液器、凝縮器などの冷凍機器を冷媒配管(以下、配管と称する)で接続し、冷媒が循環する冷凍サイクルを構成している。
【0034】
工場から空調装置を出荷する際には、冷凍サイクルを各部分(各冷凍機器)に分割し、車に搭載する際に各冷凍機器や配管を接続している。例えば、冷媒配管同士を接続するには、雄側継手を有する配管2と、雌側継手を有する配管3と、これら配管2、3を係止する係止部材10などからなる配管継手装置により接続している。
【0035】
配管継手40は、上記配管継手装置に組み込まれるものである。工場から配管継手装置を分割した状態で出荷する場合は、配管の端部からチリ、ごみ、あるいは水分が管内に侵入しないように配管の端部にキャップ、もしくプラグとして配管継手40を装着して、配管の端部開口を蓋するようにしている(図1)。
【0036】
そして、車両への搭載に際し、配管の端部に相手側配管の端部を接続するとき、少なくとも配管継手40から端部開口を蓋する端板43のみを取り外して相手側の配管を接続できるようにしている(図2)。このように、配管が単品の時において、この配管継手40は配管の端部開口を塞ぐ機能と、配管の端部外周を保護する機能とを有している。言い換えると、配管継手40は、配管端部の保護キャップとして機能している。
【0037】
さらに、この配管継手40は、配管同士を接続した後も、接続部の外形を保護する機能を有している。言い換えると、配管継手40は、接続部の配管カバーとして機能している。これにより、端部開口を蓋する端板43のみを取り外すことにより、配管の継手部を保護する保護部品を別途設けなくても、配管同士の接続部の外周を保護することができる。
【0038】
配管継手装置は、図5及び図6に示すように、雄側継手部22を有する第1配管2、雌側継手部32を有する第2配管3、第1配管2と第2配管3とを係止する係止部材10、および雄側及び雌側継手部22、32が接続された配管の端部外周に装着された配管継手40から構成される。
【0039】
配管継手装置は、雌側継手部32内に雄側継手部22を挿入して、第1配管2と第2配管3とを接続している。第1配管2の外周側に係止部材10が装着されており、係止部材10を介して第1配管2と第2配管3とを係止するように構成されている。
【0040】
第1配管2は、冷媒を流通するために筒状に形成され、その挿入側先端部には、筒部21より拡径された雄側継手部22が形成されている。雄側継手部22には、ゴム材からなるOリング5が嵌入される円環状の凹状溝部23が2列形成されている。その凹状溝部23の反先端部側、すなわち雄側継手部22の根元部(凹状溝部23と筒部21との間)には、外方に突き出した膨拡部24が形成されている。
【0041】
膨拡部24は、外形が外方に拡径された略円筒形状に形成され、膨拡部24の後方側に配置される筒部21と膨拡部24との段差面が、係止部材10の係止部14と係止する第1被係止部26として形成されている。膨拡部24の前方側の端面は、第2配管3に形成された拡管部34の根元部に当接される。膨拡部24の外周面には、第2配管3と第1配管2との回り止め機能を果たすための図示しない回り止め部が形成されている。
【0042】
膨拡部24の後方側の筒部21には、凹状の溝部からなる制止部21bが形成されている。この制止部21bは、係止部材10を第1配管2の外周に装着するときに、係止部材10の位置決めを行うための溝である。つまり、第1配管2と第2配管3とを接続するときに、第1配管2の外周に装着された係止部材10が筒部21の後方側にずれることを防止するためのストッパー機能を有している。
【0043】
一方、第2配管3は、冷媒を流通するために筒状に形成され、挿入側先端部には、筒部31より拡径された雌側継手部32が形成されている。この雌側継手部32には、第1配管2の雄側継手部22を内嵌する挿入口33、この挿入口33よりも拡径された拡管部34、この拡管部34から前方に延設された延設筒部37が形成されている。挿入口33は雄側継手部22をシールするための内周面である。
【0044】
拡管部34は、膨拡部24を内嵌するように形成されるとともに、その内周面には、第2配管3と第1配管2との回り止め機能を果たすための図示しない回り止め部が形成されている。拡管部34の根元側は、円錐状のテーパー面35が形成されて挿入口33の先端に繋がれている。このテーパー面35には、膨拡部24の先端側が当接される。
【0045】
延設筒部37は、拡管部34よりも外方に拡径されて延設されるとともに、その先端を内周側に折り曲げることにより、延設筒部37の内周面に凹状の溝部からなる内径段差部38を形成している。内径段差部38は、係止部材10の係止部14が内嵌される。内径段差部38の先端側は、係止部14の第2当接部14aに当接するように形成されている。
【0046】
第1配管2と第2配管3とが接続された状態、即ち膨拡部24が拡管部34のテーパー面35に当接したときに、係止部材10の係止部14が内径段差部38に内嵌可能なように、内径段差部38は、凹状の溝部として形成されている。
【0047】
これら挿入口33、テーパー面35、拡管部34、および内径段差部38は、筒部31の先端側を拡管などの塑性加工によって形成される。ここで、本実施形態の内径段差部38は、凹状の溝部を延設筒部37の内周面の全周にわたって形成したが、これに限らず、部分的に凹状の溝部を形成しても良い。
【0048】
次に、係止部材10は、第1配管2に形成された膨拡部24の反先端部側の外周に装着されている。係止部材10は、弾性変位を許容する樹脂材料によって形成される。係止部材10は、金属材料で、あるいは樹脂材料と金属材料とを組み合わせて一体的に形成しても良い。
【0049】
係止部材10は、第1配管2および第2配管3に対して同軸的に形成されており、第2配管3の延設筒部37の内周側と、第1配管2の筒部21の外周側との間の隙間に、配設されている(図6)。係止部材10は、図7(a)及び図7(b)に示すように、内径段差部38と膨拡部24とに係止する係止部14と、その係止部14を径方向に弾性変位させるための弾性変位部13と、係止部材10を第1配管2の外周面に装着するための配管装着部12とから構成されている。
【0050】
係止部14は、軸心CLに対して対向する位置(点対称の位置)に複数(本例では2個)形成されている。この係止部14の数は、配管における圧力に応じて設定される。本実施形態では、軸心CLに対して対向する一対の係止部14が、組を成して形成されているが、複数組の係止部14が円周方向に分散して、例えば等間隔に配置されても良い。
【0051】
係止部14の先端側には、凸状の第1当接部14eが形成されている。第1当接部14eが、膨拡部24に形成された第1被係止部26に係止される。そして、第1当接部14eとは反対側となる軸方向の他端側には、直線状の第2当接部14aが形成され、第2当接部14aが第2配管3に形成された内径段差部38の先端に係止される。
【0052】
つまり、係止部14の軸方向の両端面において、一方の端面である第1当接部14eが第1配管2の第1被係止部26に係止され、他方の端面である第2当接部14aが第2配管3の内径段差部38に係止されることになる。
【0053】
また、第1配管2と第2配管3とが接続された後に、第1及び第2配管2、3内に流体が封入されて内部圧力が上昇すると、内圧によって第1、第2配管2、3には、それぞれ接続相手側の継手部から離間する方向(抜け方向)に力が作用する。その結果、第2当接部14aは、内径段差部38の先端と当接し、内径段差部38に係止される。
【0054】
また、係止部14は、周方向に湾曲した円弧状の隆起部として形成されている。係止部14は、軸方向断面において、長方形もしくは略台形となる形状で形成されており、テーパー状のテーパー面部14bが形成されており、そのテーパー面部14bに繋がる外周面は、円筒面として形成されている。
【0055】
また、係止部14の先端内周面に形成された段差面が、第1当接部14eを構成しており、膨拡部24に形成された第1被係止部26に係止される。また、係止部14の後端面に形成された端面が第2当接部14aを構成しており、第2配管3の内径段差部38の先端に係止される。
【0056】
以上の通り、係止部14の一端(第1当接部14e)を膨拡部24に係止させ、その他端(第2当接部14a)を内径段差部38の先端に係止させることにより、第1配管2と第2配管3とが接続できる。また、係止部14の先端にテーパー面部14bを設けたため、第2配管3に第1配管2を挿入するときに、延設筒部37の先端で係止部14を縮径することができ、係止部材10を延設筒部37の内周側にスムーズに挿入することができる。
【0057】
係止部材10の配管装着部12は、略C型の円筒形状に形成されており、第1配管2の外周に弾性変位させて装着されている。略C型で薄肉の円筒状に形成することにより、第1配管2の外周に装着するときに、略C型の開口部を開いて第1配管2の側方から装着することができる。
【0058】
また、配管装着部12には、第1配管2の筒部21に形成された制止部21bに係合する複数の爪部12aが、配管装着部12の内周側に折り曲げて形成されている。更に、配管装着部12の後端には、後端部12bが形成されている。
【0059】
弾性変位部13は、配管装着部12の後端部12bと係止部14とを繋ぐとともに、係止部14を径方向に弾性変位するように形成している。弾性変位部13は、その一端が配管装着部12の後端から径方向外側に延びて、軸方向にUターンするように延設させ、その先端が係止部14に繋ぐように形成されている。
【0060】
弾性変位部13の厚さは、係止部14の厚さよりも充分に小さく形成されている。従って、同じ樹脂材料によって形成されていても、径方向に関して充分な柔軟性を有し、係止部14が径方向に弾性変位可能に構成されている。弾性変位部13は、配管装着部12の軸心CLに対して、対称位置で対向するように一対形成されている。
【0061】
ところで、係止部材10が第1配管2および第2配管3に回転自在に装着されているので、雄側継手部22と雌側継手部32とは、相対的に回転可能となっており、第1配管2または第2配管3のいずれかで連れ回りが発生する恐れがある。この連れ回りを防止するために、雄側継手部22の外周面が雌側継手部32の内周面に嵌合する部位、例えば、第1配管2の膨拡部24の外周面と第2配管3の拡管部34の内周面とが嵌合する部位に、図示しない回り止め部が形成されている。
【0062】
配管継手40を含む配管継手装置は、工場から出荷されるとき、分割された状態で出荷される。配管継手40は、出荷時には、第2配管3の端部(雌側継手部32)を覆うように装着されている。配管継手40は、有底筒状であって、軸方向に沿って、半分に割れて展開可能な形状である。配管継手40は、樹脂材料の成形加工によって一体的に形成されている。配管継手40は、金属材料、あるいは樹脂材料と金属材料とを組み合わせた材料を用いても、製造することができる。
【0063】
配管継手40は、筒部としての円筒部41と、その一端部を覆う端板43とを有する。配管継手40は、軸方向に沿って延びる二つの部分体41e、41fを備える。各部分体41e、41fは、円筒部41を、軸を通る分割面に沿って分割した半円筒形状を有している。各部分体41e、41fは、半筒状である。これら部分体41e、41fは、ヒンジ部47によって連結されている。
【0064】
円筒部41は、その内側面を露出させるように、軸を通る分割面に沿って展開可能に構成されている。円筒部41に代えて、多角形柱状などの形状を持つ筒部を採用することができる。また、円筒部41は、当該円筒部41を、軸を通る複数の分割面に沿って複数に分割して得られる複数の部分体によって構成されることができる。
【0065】
各部分体41e、41fの一方の内側には、第2配管3の端部に形成される拡管部34及びテーパー面35(外周側突起部に相当する)に係止される第1の内側鍔部41aが形成されている。同様に、各部分体41e、41fの他方の軸方向端部には、第1及び第2配管2、3が接続されたときに、係止部材10の軸方向の後端部12bに係止される第2の内側鍔部41bが形成されている。
【0066】
そして、この第1及び第2の内側鍔部41a、41bの間となる円筒部41との内側には、第2配管3の端部(雌側継手部32)を包含するための嵌合部42が形成されている。この嵌合部42は、第2配管3の端部(雌側継手部32)の外形形状に対応させた略半円柱状の溝で形成されている。嵌合部42の軸方向の長さL1(即ち、第1及び第2の内側鍔部41a、41bの距離)は、第2配管3の端部(雌側継手部32)に第1配管2の端部(雄側継手部22)を接続したときに、係止部材10を含めた第1配管2の端部(雄側継手部22)と第2配管3の端部(雌側継手部32)とを包含できる長さにしている。
【0067】
つまり、第2配管3の端部(雌側継手部32)に第1配管2の端部(雄側継手部22)を接続したときに、第1配管2に装着された係止部材10の後端側から第2配管3の拡管部34の根元側までに至る外形部分を包含できる寸法に設定されている。嵌合部42の一端に形成される一方の貫通孔45の内径D1は、第1配管2の筒部21の外径とほぼ同じ大きさに設定されている。
【0068】
そして、他方の貫通孔46の内径D2は、第2配管3の挿入口33の外径とほぼ同じ大きさに設定されている。端板43は、一方の貫通孔45を蓋するように円筒部41の一端面に形成されている。端板43は、円筒部41の外形と略同一の円形状に形成されている。端板43は、円筒部41の端面に繋ぎ部44を介して一体的に形成されている。繋ぎ部44以外の端板43の端面は、円筒部41の端面に当接するように形成されている。繋ぎ部44は、端板43を取り外し可能とする取り外し部である。
【0069】
つまり、部分体41e、41fが開いたときは、分割された部分体41e、41fの一端面に端板43が配置されている。そして、部分体41e、41fが閉じたときは、端板43で貫通孔45を蓋するように配置される。ここで、端板43は繋ぎ部44を介して円筒部41の一端面に繋がっているが、図2中に示す矢印方向に外力を掛けることで、端板43を円筒部41から取り外すことができる。
【0070】
ヒンジ部47は、分割された部分体41e、41fを連結するとともに、ヒンジ機能を有するように薄板で形成されている。取手部48は、分割された分体41e、41fが閉じられたときに、開くための取っ手であり、分割された各部分体41e、41fの一方に設けられている。この取手部48には、分割された部分体41e、41fを閉じたときに、他方の部分体41e、41fを固定するための凸部48aが設けられている。
【0071】
他方の部分体41e、41fには、この凸部48aに対応する位置に凹部49が設けられている。分割された部分体41e、41fが閉じられたときに、凸部48aが凹部49に係合することで分割された部分体41e、41f同士が固定される。そして、取手部48に外力を加えることで、凸部48aと凹部49との係合が外されて分割された部分体41e、41fを開くことができる。
【0072】
次に、以上の構成による配管継手装置の組付け方法、即ち、配管等を工場から出荷するときに、配管継手40を第2配管3に組み付ける方法を、図1、図5および図6に基づいて説明する。まず、配管継手40を、図1に示すように、第2配管3の端部(雌側継手部32)の外周部および端部開口を覆うように装着する。即ち、分割された部分体41e、41fを開いた状態で、第2配管3の挿入口33の外周を一方の嵌合部42内に嵌合するとともに、第2配管3の挿入口33の外周を貫通孔46に嵌め合う。
【0073】
そして、開らかれた状態の部分体41e、41fを閉じるとともに、凸部48aを凹部49に係合させる(図1の状態)。これにより、第2配管3の端部(雌側継手部32)が配管継手40により覆われる。外部から第2配管3内に、チリ、ごみ、あるいは水分が侵入することなく、防塵および防水ができる。
【0074】
第2配管3の端部(雌側継手部32)の外周部が、円筒部41で覆われて包含されるので、外部からの傷付きや変形が発生しないように外周部を保護することができる。さらに、配管継手40が第2配管3の端部(雌側継手部32)に装着された状態で第2配管3を保管することができる。
【0075】
そして、車両に搭載して相手側配管と接続するときには、配管継手40を第2配管3に装着した状態で、図5に示すように、第1配管2を第2配管3に挿入する前に、端板43を繋ぎ部44からちぎって取り外す。よって、繋ぎ部44は、作業者の力によって破断可能に形成されている。取り外した端板43は廃却する。これにより、貫通孔45が開口する。
【0076】
次に、取手部48を操作して、凸部48aと凹部49との係合を外して、部分体41e、41fを半割れ状態に開く。そして、第1配管2の膨拡部24の後端側に係止部材10が装着された第1配管2を、第2配管3の端部開口前に配置する。そして、図5中に示す矢印の方向に、第1配管2の雄側継手部22を移動させて、延設筒部37内に雄側継手部22を挿入する。
【0077】
これにより、雄側継手部22の先端が、第2配管3の挿入口33内に挿入される。このとき、延設筒部37の先端で係止部14のテーパー面部14bが押圧されるため、係止部14が軸心方向に縮径される。
【0078】
そして、膨拡部24の先端側が、拡管部34に挿入される。それとともに、係止部14が延設筒部37の内周側に挿入される。そして、膨拡部24の先端側が拡管部34の根元部に当接されると、係止部14は弾性復帰して内径段差部38内に嵌合係止される。
【0079】
そして、この状態から第1配管2を左方側(抜け方向)に引っ張ると、係止部14の第1当接部14eの内壁面は、膨拡部24の第1被係止部26に係止される。また、係止部14の第2当接部14aが内径段差部38の先端に係止されることになり、第1および第2配管2、3同士が軸方向に拘束されて、第1配管2と第2配管3とが接続される。このように、第1配管2と第2配管3とが、係止部材10を介してワンタッチで接続できる。
【0080】
次に、半割れ状態に開かれた部分体41e、41fを閉じて、取手部48の凸部48aを凹部49に係合させる。なお、嵌合部42の軸方向の長さL1は、前述のように、第1配管2に装着された係止部材10の後端側から第2配管3の拡管部34の根元側までに至る継手部分を包含できる寸法に設定されている。つまり、接続部(10、22、32)の外形形状に対応して、嵌合部42が形成されている。
【0081】
このため、例えば、係止部14が、内径段差部38内に正しく嵌め込まれていなかったときには、係止部材10の後端側が嵌合部42の外方にはみ出ることになり、取手部48の凸部48aが凹部49に係合できなくなる。言い換えると、第1配管2と第2配管3との接続が不良であると、接続部(10、22、32)を配管継手40が覆うことができなくなる。
【0082】
一方、半割れ状態に開かれた部分体41e、41fを閉じることができた場合には、図6に示すように、軸方向の長さL1内の嵌合部42に、係止部材10、第1配管2の端部(雄側継手部22)と第2配管3の端部(雌側継手部32)との接続部(10、22、32)を、配管継手40が正しく覆うことができる。従って、第1配管2と第2配管3との接続の良否が判定できる。
【0083】
ここでは、嵌合部42の軸方向の長さL1を、第1配管2に装着された係止部材10の後端側から第2配管3の拡管部34の根元側までに至る外形を包含できる寸法に設定したが、これに限ることはなく、嵌合部42の軸方向の長さL1を、第1配管2に装着された係止部材10の後端側から第2配管3の延設筒部37の根元側までに至る外形部分を包含できる寸法に設定しても良い。
【0084】
以上の第1実施形態による配管継手40によれば、円筒部41の部分体41e、41fに形成された貫通孔45を覆う端板43が取り外し可能に形成されており、端板43が取り外された配管継手40は、第2配管3に第1配管2を接続した後も、接続部(10、22、32)の保護カバーとして継続して使用することができる。これにより、配管継手40の廃却量の低減が図れる。
【0085】
このように、第2配管3に第1配管2を接続した後も、配管継手40が接続部(10、22、32)を覆う保護カバーとして構成されることにより、接続部(10、22、32)における防塵及び防水機能に加えて、傷付きや打痕などの接続部(10、22、32)における外形の外部からの損傷を防止することができる。また、別体の防塵カバーを設けることもなく、塵埃の多い環境下で用いることが可能である。
【0086】
また、配管継手40の部分体41e、41fを開閉可能な半割れ形状に形成したことにより、嵌合部42の形状を接続部(10、22、32)の外形形状に応じて形成できる。また、部分体41e、41fの端面に、繋ぎ部44を介して一体的な端板43を形成したことにより、配管継手40を第2配管3に装着した状態で、端板43のみを容易に取り外すことができる。繋ぎ部44の取り外し痕は、小さく形成することができる。
【0087】
(第2実施形態)
以上の第1実施形態では、配管継手40を、雌側継手部32を有する第2配管3に装着するように構成したが、雄側継手部22を有する第1配管2に装着するように構成しても良い。図8は、配管継手を雄側継手の配管に装着した装着状態を示す縦断面図である。本実施形態の配管継手40は、図8に示すように、取り外し可能な端板43が、貫通孔46を蓋するように設けられている。
【0088】
つまり、嵌合部42の両端に形成される貫通孔45、46のうち、第2配管3の挿入口33の外径に嵌め合う貫通孔46の外側に端板43が設けられている。また、上記第1実施形態と同様に、嵌合部42の軸方向の長さL1は、第2配管3の端部(雌側継手部32)に第1配管2の端部(雄側継手部22)を接続したときに、係止部材10を含めた第1配管2の端部(雄側継手部22)と第2配管3の端部(雌側継手部32)とを包含できる長さにしている。
【0089】
配管継手40は、工場から配管継手装置を分割した状態で出荷するときに、係止部材10を含めて第1配管2の端部(雄側継手部22)の外周部及び端部開口を覆うように装着される。これにより、第1配管2の端部(雄側継手部22)が配管継手40により覆われ、外部から第1配管2内にチリ、ごみあるには水分が侵入することなく防塵及び防水ができる。
【0090】
第1配管2の端部(雄側継手部22)の外形が円筒部41で覆われて包含されるので、外部からの傷付き、変形などが発生しないように、端部外形を保護することができる。さらに、配管継手40が、第1配管2の端部(雄側継手部22)に装着された状態で第1配管2を保管することができる。
【0091】
そして、車両に搭載して相手側配管と接続するときには、配管継手40を第1配管2に装着した状態で、第2配管3を第1配管2に接続する前に、端板43を繋ぎ部44からちぎって取り外す。取り外した端板43は廃却する。これにより、貫通孔46が開口する。
【0092】
次に、取手部48を操作して凸部48aと凹部49との係合を外して、円筒部41を半割れ状態に開く。そして、第2配管3の雌側継手部32を移動させて延設筒部37内に雄側継手部22を挿入する。これにより、第1配管2と第2配管3とが、係止部材10を介してワンタッチで接続できる。
【0093】
そして、半割れ状態に開かれた部分体41e、41fを閉じて、取手部48の凸部48aを凹部49に係合させる。これにより、軸方向の長さL1を有する嵌合部42に、係止部材10を含めて、第1配管2の端部(雄側継手部22)と第2配管3の端部(雌側継手部32)との接続部(10、22、32)を配管継手40で覆うことができる。
【0094】
これにより、接続部(10、22、32)における防塵及び防水機能に加えて、傷付きや打痕などの接続部(10、22、32)における外形の外部からの損傷を防止することができる。また、別体の防塵カバーを設けることもなく、塵埃の多い環境下で用いることが可能である。
【0095】
(第3実施形態)
以上の実施形態では、配管継手40の端板43において、繋ぎ部44以外の端面が円筒部41の一端面に当接するように形成したが、端板43の外周の一部を円筒部41に差し込むように形成しても良い。図9は、配管継手の全体構成を示す縦断面図である。
【0096】
本実施形態の配管継手40は、図9に示すように、半割れ形状の一方の部分体41e、41fに端板43の外周の一部が差し込まれる溝部41cを形成している。分割された円筒部41が閉じたときには、繋ぎ部44の反対側となる端板43の外周の一部が溝部41cに差し込まれる。
【0097】
以上のような構成によれば、円筒部41に形成された貫通孔45を端板43によって確実に蓋することができる。また、分割された円筒部41を開くことにより、端板43を繋ぎ部44からちぎって取り外すことができる。
【0098】
(第4実施形態)
以上の実施形態では、取り外し可能な端板43を配管継手40に一体的に形成したが、端板43を着脱できるように配管継手40と別体で形成しても良い。図10および図11は、配管継手の全体構成を示す縦断面図である。本実施形態の配管継手40の一つは、図10に示すように、貫通孔45を蓋する端板43が配管継手40と別体で形成されている。
【0099】
端板43の一端面には、スナップ状の止め具43aが設けられている。配管継手40の円筒部41の貫通孔45には、この止め具43aに対応する受け部41dが設けられている。そして、分割された円筒部41を閉じたときに、端板43を貫通孔45の端面に装着することにより、貫通孔45を蓋することができる。また、分割された部分体41e、41fを開くことにより、端板43を配管継手40から取り外すことができる。
【0100】
また、もう一つの配管継手40は、図11に示すように、配管継手40の円筒部41と端板43とが別体で形成されている。端板43の一端面には、リベット状の止め具43aが設けられている。円筒部41の一端面には、この止め具43aに対応する受け部41dが設けられている。そして、分割された部分体41e、41fを閉じたときに、端板43を貫通孔45の端面に装着することにより、貫通孔45を蓋することができる。また、止め具43aを受け部41cから引き抜いて、端板43を配管継手40から取り外すことができる。受け部41dは、端板43を取り外し可能とする取り外し部である。
【0101】
以上のような構成によれば、配管同士を接続する前に、配管継手40を一方の配管2、3に装着した状態で、端板43のみを容易に取り外すことができる。また、端板43が取り外された配管継手40は、配管同士を接続した後も、接続部(10、22、32)の保護カバーとして継続して使用することができる。これにより、配管継手40の廃却量の低減が図れる。
【0102】
(他の実施形態)
以上の実施形態では、配管に装着される部品の用途として、配管が単品の時に配管端部の保護キャップとして用い、配管同士を接続した後も接続部の配管カバーとして用いた配管継手40に適用させたが、このような用途の他に、配管継手40を車両側に支持するための配管ブラケットもしくは配管クランプの用途に適用させても良い。また、配管継手40の外周面にマーキングを施して、配管識別表示などの用途に適用させても良い。
【0103】
以上の実施形態では、車両用空調用冷凍サイクルの冷媒配管に適用させたが、これに限定することなく、流体を封入する配管に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】第1実施形態における配管に装着される部品を、保護キャップとして雌側継手の配管に装着した装着状態を示す縦断面図である。
【図2】第1実施形態における配管継手の全体構成を示す縦断面図である。
【図3】図2に示すIII矢視図である。
【図4】第1実施形態における配管継手の展開状態を示す斜視図である。
【図5】第1実施形態における雌側継手の配管と雄側継手の配管との連結前の状態を示す縦断面図である。
【図6】第1実施形態における配管継手装置の全体構成を示す縦断面図である。
【図7】(a)および(b)は第1実施形態における係止部材の外観形状を示す斜視図である。
【図8】第2実施形態における配管継手を雄側継手の配管に装着した装着状態を示す縦断面図である。
【図9】第3実施形態における配管継手の全体構成を示す縦断面図である。
【図10】第4実施形態における配管継手の全体構成を示す縦断面図である。
【図11】第4実施形態の変形例における配管継手の全体構成を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0105】
2…第1配管、配管
3…第2配管、配管
10…係止部材、接続部
22…雄側継手部、端部、接続部
32…雌側継手部、端部、接続部
34…拡管部(外周側突起部)
35…テーパー面(外周側突起部)
40…配管継手
41…円筒部(筒部)
41a…第1の内側鍔部
41b…第2の内側鍔部
41d…受け部(取り外し部)
42…嵌合部
43…端板
44…繋ぎ部(取り外し部)
45、46…貫通孔(開口部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管(2、3)の端部(22、32)外周側に配置される筒部(41)と、
前記筒部(41)の一方の軸方向端部に形成され、前記配管(2、3)の端部(22、32)に形成される外周側突起部(34、35)に係止される第1の内側鍔部(41a)と、
前記筒部(41)の他方の軸方向端部に形成される開口部(45、46)を覆い、前記筒部(41)における他方の軸方向端部に、取り外し可能に設けられている端板(43)とを備えることを特徴とする配管に装着される部品。
【請求項2】
前記筒部(41)は、軸方向に沿って延びる複数の部分体(41e、41f)を備え、軸を通る展開面に沿って展開可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の配管に装着される部品。
【請求項3】
前記端板(43)は、前記部分体(41e、41f)の1つに、破断可能な繋ぎ部(44)を介して一体的に形成されるとともに、前記繋ぎ部(44)を破断させて、前記端板(43)を前記筒部(41)から取り外すことが可能となっていることを特徴とする請求項2に記載の配管に装着される部品。
【請求項4】
前記端板(43)は、前記筒部(41)とは別体であるとともに、前記筒部(41)に着脱可能であることを特徴とする請求項2に記載の配管に装着される部品。
【請求項5】
前記部分体(41e、41f)のそれぞれには、前記筒部(41)が装着される前記配管(2、3)の端部(22、32)の外側形状に対応した略半円柱状の嵌合部(42)が形成されていることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか一項に記載の配管に装着される部品。
【請求項6】
第1配管(2)の端部(22)及び第2配管(3)の端部(32)の外周側に配置されて、前記端部(22,32)を保護する配管継手(40)において、
前記配管継手(40)は、前記第1配管(2)の端部(22)及び前記第2配管(3)の端部(32)の外周側に配置される筒部(41)と、
前記筒部(41)における一方の軸方向端部に形成され、前記配管(2、3)の端部(22、32)に形成される外周側突起部(34、35)に係止される第1の内側鍔部(41a)と、
前記筒部(41)における他方の軸方向端部に形成される開口部(45、46)を覆いうる端板(43)を取り外し可能とする取り外し部(44、41d)とを有することを特徴とする配管継手。
【請求項7】
前記筒部(41)は、軸方向に沿って延びる複数の部分体(41e、41f)を備え、軸を通る展開面に沿って展開可能に構成されていることを特徴とする請求項6に記載の配管継手。
【請求項8】
前記端板(43)は、前記部分体(41e、41f)の1つに、破断可能な繋ぎ部(44)を介して一体的に形成されるとともに、前記繋ぎ部(44)を破断させて、前記端板(43)を前記筒部(41)から取り外すことが可能となっていることを特徴とする請求項7に記載の配管継手。
【請求項9】
前記端板(43)は、前記筒部(41)とは別体であるとともに、前記筒部(41)に着脱可能であることを特徴とする請求項7に記載の配管継手。
【請求項10】
前記部分体(41e、41f)のそれぞれには、前記筒部(41)が装着される前記配管(2、3)の端部(22、32)の外側形状に対応した略半円柱状の嵌合部(42)が形成されていることを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれか一項に記載の配管継手。
【請求項11】
前記第1配管(2)の端部(22)は、雄側継手部(22)として形成され、
前記第2配管(3)の端部(32)は、前記雄側継手部(22)が挿入される雌側継手部(32)として形成され、
前記第1配管(2)の外周側に配置され、前記第1配管(2)が前記第2配管(3)に挿入接続されているとき、前記第1配管(2)が前記第2配管(3)から外れないように、接続状態を保持する係止部材(10)を有しており、前記係止部材(10)は、前記雄側継手部(22)が前記雌側継手部(32)に挿入接続される前の状態において、前記第1配管(2)の端部(22)の外周側に保持され、
前記配管継手(40)は、前記雄側継手部(22)が前記雌側継手部(32)に挿入接続される前の状態において、前記第2配管(3)の端部(32)の外周側に保持されていることを特徴とする請求項6乃至請求項10のいずれか一項に記載の配管継手。
【請求項12】
前記第1配管(2)の端部(22)は、雄側継手部(22)として形成され、
前記第2配管(3)の端部(32)は、前記雄側継手部(22)が挿入される雌側継手部(32)として形成され、
前記第1配管(2)の外周側に配置され、前記第1配管(2)が前記第2配管(3)に挿入接続されているとき、前記第1配管(2)が前記第2配管(3)から外れないように、接続状態を保持する係止部材(10)を有しており、
前記係止部材(10)は、前記雄側継手部(22)が前記雌側継手部(32)に挿入接続される前の状態において、前記第1配管(2)の端部(22)の外周側に保持され、
前記配管継手(40)は、前記雄側継手部(22)が前記雌側継手部(32)に挿入接続される前の状態において、前記係止部材(10)を覆うように前記第1配管(2)の端部(22)の外周側に保持されていることを特徴とする請求項6乃至請求項10のいずれか一項に記載の配管継手。
【請求項13】
前記配管継手(40)は、前記筒部(41)における他方の軸方向端部に形成され、前記係止部材(10)の軸方向の後端部に係止される第2の内側鍔部(41b)を有することを特徴とする請求項6乃至請求項12のいずれか一項に記載の配管継手装置。
【請求項14】
前記筒部(41)における両方の軸方向端部に形成される、前記第1及び第2の内側鍔部(41a、41b)の長さ(L1)は、前記第1配管(2)の端部(22)が前記第2配管(3)の端部(32)に挿入接続されている状態において、前記第2配管(3)の端部(32)に形成される外周側突起部(34、35)から前記係止部材(10)の後端部に至る長さのに相当することを特徴とする請求項13に記載の配管継手。
【請求項1】
配管(2、3)の端部(22、32)外周側に配置される筒部(41)と、
前記筒部(41)の一方の軸方向端部に形成され、前記配管(2、3)の端部(22、32)に形成される外周側突起部(34、35)に係止される第1の内側鍔部(41a)と、
前記筒部(41)の他方の軸方向端部に形成される開口部(45、46)を覆い、前記筒部(41)における他方の軸方向端部に、取り外し可能に設けられている端板(43)とを備えることを特徴とする配管に装着される部品。
【請求項2】
前記筒部(41)は、軸方向に沿って延びる複数の部分体(41e、41f)を備え、軸を通る展開面に沿って展開可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の配管に装着される部品。
【請求項3】
前記端板(43)は、前記部分体(41e、41f)の1つに、破断可能な繋ぎ部(44)を介して一体的に形成されるとともに、前記繋ぎ部(44)を破断させて、前記端板(43)を前記筒部(41)から取り外すことが可能となっていることを特徴とする請求項2に記載の配管に装着される部品。
【請求項4】
前記端板(43)は、前記筒部(41)とは別体であるとともに、前記筒部(41)に着脱可能であることを特徴とする請求項2に記載の配管に装着される部品。
【請求項5】
前記部分体(41e、41f)のそれぞれには、前記筒部(41)が装着される前記配管(2、3)の端部(22、32)の外側形状に対応した略半円柱状の嵌合部(42)が形成されていることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか一項に記載の配管に装着される部品。
【請求項6】
第1配管(2)の端部(22)及び第2配管(3)の端部(32)の外周側に配置されて、前記端部(22,32)を保護する配管継手(40)において、
前記配管継手(40)は、前記第1配管(2)の端部(22)及び前記第2配管(3)の端部(32)の外周側に配置される筒部(41)と、
前記筒部(41)における一方の軸方向端部に形成され、前記配管(2、3)の端部(22、32)に形成される外周側突起部(34、35)に係止される第1の内側鍔部(41a)と、
前記筒部(41)における他方の軸方向端部に形成される開口部(45、46)を覆いうる端板(43)を取り外し可能とする取り外し部(44、41d)とを有することを特徴とする配管継手。
【請求項7】
前記筒部(41)は、軸方向に沿って延びる複数の部分体(41e、41f)を備え、軸を通る展開面に沿って展開可能に構成されていることを特徴とする請求項6に記載の配管継手。
【請求項8】
前記端板(43)は、前記部分体(41e、41f)の1つに、破断可能な繋ぎ部(44)を介して一体的に形成されるとともに、前記繋ぎ部(44)を破断させて、前記端板(43)を前記筒部(41)から取り外すことが可能となっていることを特徴とする請求項7に記載の配管継手。
【請求項9】
前記端板(43)は、前記筒部(41)とは別体であるとともに、前記筒部(41)に着脱可能であることを特徴とする請求項7に記載の配管継手。
【請求項10】
前記部分体(41e、41f)のそれぞれには、前記筒部(41)が装着される前記配管(2、3)の端部(22、32)の外側形状に対応した略半円柱状の嵌合部(42)が形成されていることを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれか一項に記載の配管継手。
【請求項11】
前記第1配管(2)の端部(22)は、雄側継手部(22)として形成され、
前記第2配管(3)の端部(32)は、前記雄側継手部(22)が挿入される雌側継手部(32)として形成され、
前記第1配管(2)の外周側に配置され、前記第1配管(2)が前記第2配管(3)に挿入接続されているとき、前記第1配管(2)が前記第2配管(3)から外れないように、接続状態を保持する係止部材(10)を有しており、前記係止部材(10)は、前記雄側継手部(22)が前記雌側継手部(32)に挿入接続される前の状態において、前記第1配管(2)の端部(22)の外周側に保持され、
前記配管継手(40)は、前記雄側継手部(22)が前記雌側継手部(32)に挿入接続される前の状態において、前記第2配管(3)の端部(32)の外周側に保持されていることを特徴とする請求項6乃至請求項10のいずれか一項に記載の配管継手。
【請求項12】
前記第1配管(2)の端部(22)は、雄側継手部(22)として形成され、
前記第2配管(3)の端部(32)は、前記雄側継手部(22)が挿入される雌側継手部(32)として形成され、
前記第1配管(2)の外周側に配置され、前記第1配管(2)が前記第2配管(3)に挿入接続されているとき、前記第1配管(2)が前記第2配管(3)から外れないように、接続状態を保持する係止部材(10)を有しており、
前記係止部材(10)は、前記雄側継手部(22)が前記雌側継手部(32)に挿入接続される前の状態において、前記第1配管(2)の端部(22)の外周側に保持され、
前記配管継手(40)は、前記雄側継手部(22)が前記雌側継手部(32)に挿入接続される前の状態において、前記係止部材(10)を覆うように前記第1配管(2)の端部(22)の外周側に保持されていることを特徴とする請求項6乃至請求項10のいずれか一項に記載の配管継手。
【請求項13】
前記配管継手(40)は、前記筒部(41)における他方の軸方向端部に形成され、前記係止部材(10)の軸方向の後端部に係止される第2の内側鍔部(41b)を有することを特徴とする請求項6乃至請求項12のいずれか一項に記載の配管継手装置。
【請求項14】
前記筒部(41)における両方の軸方向端部に形成される、前記第1及び第2の内側鍔部(41a、41b)の長さ(L1)は、前記第1配管(2)の端部(22)が前記第2配管(3)の端部(32)に挿入接続されている状態において、前記第2配管(3)の端部(32)に形成される外周側突起部(34、35)から前記係止部材(10)の後端部に至る長さのに相当することを特徴とする請求項13に記載の配管継手。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−275079(P2008−275079A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−119887(P2007−119887)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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