配管接続構造
【課題】配管としての耐圧性や水密性を維持しつつ、水平方向の相対変位を吸収できる配管接続構造を提供する。
【解決手段】配管接続構造10は、クリアランス14を有し、第1金属リング11と第2金属リング12との縁が切れている構造(縁切構造)により、第1金属リング11と第2金属リング12とが、相対的にスライド可能となり、その結果、第1金属リング11同士が、最大約100mm(クリアランス14の2箇所分)だけスライド可能となる。配管接続構造10は、積層構造であるため、例えば11層(スライド箇所は10箇所)であるとすると、最大1000mm(1m)の水平方向の相対変位を吸収することができる。
【解決手段】配管接続構造10は、クリアランス14を有し、第1金属リング11と第2金属リング12との縁が切れている構造(縁切構造)により、第1金属リング11と第2金属リング12とが、相対的にスライド可能となり、その結果、第1金属リング11同士が、最大約100mm(クリアランス14の2箇所分)だけスライド可能となる。配管接続構造10は、積層構造であるため、例えば11層(スライド箇所は10箇所)であるとすると、最大1000mm(1m)の水平方向の相対変位を吸収することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は配管接続構造に係わり、特に免震構造を有する原子力プラント建屋の建屋内配管と基礎内配管との間に設けられる配管接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
最近においては原子力プラントを免震化することが検討されている。このような免震構造の原子力プラントでは、地震時に地盤や基礎が大きく変位しても、原子力プラント建屋はそれ程変位せず(絶対変位が小さい)、建屋と基礎との相対変位を吸収する(相対変位を許容する)ことで、原子力プラント建屋およびその内部に設置される機器設備の耐震性を大きく向上させることができる(例えば、特許文献1)。
【0003】
ところで、原子力プラントは、外部から取水した冷却水を復水器等の冷却設備に供給し、復水器に流入するタービン排気及びドレンを冷却し、プラント外に放水するための循環水系系統機能を備える。地震時には建屋は周囲地盤や基礎と別の地震応答をするため、建屋と基礎との相対変位が生じる。そのため、建屋内配管と地盤内に埋設されている基礎内配管との接続をどの様な構造にするかが問題となる。
【0004】
一般に変位吸収可能な配管接続構造として、伸縮継手など可撓性接続配管構造が知られている。原子力プラントにおける大規模な配管接続構造は高度の安全性と信頼性の確保を要求されている。つまり、充分な耐圧性や水密性を満たしつつ、充分な変形吸収性が要求される。原子力プラントの実機においては、ゴム伸縮継手が適用されている。
【0005】
しかし、原子力プラントの基礎マットに免震構造を適用した場合、地震時に生じる建屋と基礎との相対変位は、免震構造を適用しない場合に比べて、大きくなる。このとき、配管接続構造に、従来のゴム伸縮継手を適用しても、必ずしも充分な変位吸収効果が得られない。原子力プラントを免震化の普及を図るためには、配管接続構造自身の変位を許容することで、相対変位を吸収する配管接続構造の開発が急務となっている。
【0006】
上記課題を解決する技術が特許文献2に示されている。特許文献2の冷却水循環設備は、基礎内配管と、基礎内に設けた水槽と、建屋側に設けられ水槽と冷却設備との間に配管された建屋内配管とからなり、建屋内配管の先端部を水槽内に水平方向の相対変位を許容せしめる状態で挿入することにより、基礎内配管と建屋内配管とを水槽を介して免震変位を吸収可能に連絡してプラント内外にわたる一連の冷却水循環経路を構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−107480号公報
【特許文献2】特開2006―145392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2の技術は、地震時に建屋内配管の先端部を水槽内で水平方向に移動させることにより、相対変位を吸収することができる。
【0009】
しかし、特許文献2の技術は配管接続構造そのものの技術ではない。また、大型の水槽を必要とするなど多大なコストも要する。一方、配管接続構造そのものの開発が望まれている。
【0010】
本発明の目的は、配管としての耐圧性や水密性を維持しつつ、水平方向の相対変位を吸収できる配管接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、免震構造を有する原子力プラント建屋の建屋内配管と基礎内配管との間に設けられる配管接続構造であって、複数の金属リングと、前記金属リング間に介挿されるガスケットとを備え、前記金属リング同士が嵌合されて積層され、前記金属リングが水平方向にスライド可能である。
【0012】
このように構成した本発明においては、充分な強度を有する金属リングが積層されることにより、耐圧性を確保できる。弾性体のガスケットが、建屋の自重により圧縮されシール材として機能することにより、水密性を確保できる。
【0013】
一方、金属リングが水平方向にスライド可能に積層されることにより、配管接続構造自身の大きな変位が許容され、その結果、大きな建屋と基礎との相対変位を吸収することができる。このとき、嵌合構造により配管接続構造は安定性を維持し、地震時においても、配管としての耐圧性や水密性を維持できる。
【0014】
すなわち、本発明に係る配管接続構造は、配管としての耐圧性や水密性を維持しつつ、水平方向の相対変位を吸収できる。
【0015】
また金属リングの高さと積層数を調整することによって、吸収する最大変位量を容易に調整することができる。
【0016】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記複数の金属リングは、上部および下部に凹部を有する第1金属リングと、前記第1金属リングの凹部に嵌合される第2金属リングとから構成され、前記ガスケットは前記第1金属リングと第2金属リングとの間に介挿されている。
【0017】
これにより、金属リング同士(第1金属リング,第2金属リング)が嵌合されて積層される。
【0018】
(3)上記目的を達成するために、本発明は、免震構造を有する原子力プラント建屋の建屋内配管と基礎内配管との間に設けられる配管接続構造であって、複数の金属リングと、複数のガスケットとを備え、前記金属リングと前記ガスケットとが嵌合されて積層され、複数の前記金属リングがスライド可能である。
【0019】
このように構成した本発明においては、充分な強度を有する金属リングが積層されることにより、耐圧性を確保できる。弾性体のガスケットが、建屋の自重により圧縮されシール材として機能することにより、水密性を確保できる。
【0020】
一方、金属リングが水平方向にスライド可能に積層されることにより、配管接続構造自身の大きな変位が許容され、その結果、大きな建屋と基礎との相対変位を吸収することができる。このとき、嵌合構造により配管接続構造は安定性を維持し、地震時においても、配管としての耐圧性や水密性を維持できる。
【0021】
すなわち、本発明に係る配管接続構造は、配管としての耐圧性や水密性を維持しつつ、水平方向の相対変位を吸収できる。
【0022】
また金属リングの高さと積層数を調整することによって、吸収する最大変位量を容易に調整することができる。
【0023】
(4)上記(3)において、好ましくは、前記複数の金属リングは、上部および下部に凹部を有し、前記ガスケットは、前記金属リングの凹部に嵌合される。
【0024】
これにより、金属リングとガスケットとが嵌合されて積層される。
【0025】
(5)上記(3)において、好ましくは、前記複数の金属リングは、上部および下部に凸部を有し、前記ガスケットは、上部および下部に凹部を有し、前記金属リングの凸部を嵌合する。
【0026】
これにより、金属リングとガスケットとが嵌合されて積層される。
【0027】
(6)上記(1)〜(5)において、好ましくは、前記ガスケットは弾性体であり、前記建屋の自重により縮小変位する。
【0028】
これにより、ガスケットは圧縮されシール材として機能し、配管接続構造は水密性を確保できる。
【0029】
(7)上記(1)〜(5)において、好ましくは、前記金属リングは、他の金属リングの水平変位量を制限する変位制限機能を有する。
【0030】
これにより、地震時においても金属リングが外れることはなく、積層構造を維持し安定性を維持できる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の配管接続構造によれば、配管としての耐圧性や水密性を維持しつつ、水平方向の相対変位を吸収できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】配管接続構造が適用される原子力プラントの概略図である。
【図2】第1実施形態に係る配管接続構造の主要部の分解斜視断面図である。
【図3】配管接続構造の主要部の断面図である。
【図4】地震時の配管接続構造の作用を説明する図面である。
【図5】配管接続構造と接建屋内配管との接続部の斜視断面図である。
【図6】第2実施形態に係る配管接続構造の主要部の断面図である。
【図7】地震時の配管接続構造の作用を説明する図面である。
【図8】主要部材の拡大断面図である。
【図9】第3実施形態に係る配管接続構造の主要部の断面図である。
【図10】第4実施形態に係る配管接続構造の主要部の断面図である。
【図11】第5実施形態に係る配管接続構造の主要部の断面図である。
【図12】第6実施形態に係る配管接続構造の主要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の各実施形態の配管接続構造について、図面を用いて詳細に説明する。第1〜3実施形態は請求項1に対応し、第4〜6実施形態は請求項3に対応する。つまり、第1〜3実施形態は金属リング同士が嵌合されるものであり、第4〜6実施形態は、金属リングとガスケットが嵌合されるものである。金属リングが水平方向にスライド可能に構成されているという本発明の特徴は共通する。
【0034】
<第1実施形態>
〜構成〜
図1は、第1実施形態の配管接続構造が適用される原子力プラントの概略図である。原子炉等の設備を収容する建屋1は、岩盤2に設置された基礎3上に、免震装置4を介して支持されている。免震装置4は、建屋1と基礎3とを絶縁する機能を有し、基礎3が大きく変位しても、建屋1は基礎3程変位せず(絶対変位が小さい)、その結果、建屋1と基礎3との間に大きな相対変位が生じる。これにより、地盤を通じて伝播される地震波は、免震装置4により減衰され、建屋1に伝達される地震波の大きさは低減され、建屋1内に収容される設備の地震応答は、免震構造でない場合と比べて格段に低減される。
【0035】
一方、原子力プラントには、復水器5などの冷却設備が設置されている。冷却設備は、原子力プラント外から冷却水を取水し、冷却後の冷却水を原子力プラント外に放水する。復水器5は、タービン(図示省略)で仕事を取り出した後の水蒸気を等圧冷却して凝縮させ、低圧の飽和液に戻す装置である。復水器5には建屋内配管6が接続され、建屋内配管6には配管接続構造10を介して基礎内配管7が接続されている。なお、原子力プラント外からの冷却水として海水を用いることが多い。
【0036】
このように、汲み上げられた高圧の海水が、基礎内配管7、配管接続構造10、接建屋内配管6を通って、復水器5に供給される様に、取水配管が構成されている。なお、放水配管についても同様に構成されており、図示、説明とも省略する。
【0037】
図2は、配管接続構造10の主要部の分解斜視断面図、図3は、配管接続構造10の主要部の断面図であり、図4は、地震時の配管接続構造10の作用を説明する図面である。
【0038】
第1実施形態の配管接続構造10は、主要構成として、第1金属リング11と、第2金属リング12と、ガスケット13とを備えている。
【0039】
第1金属リング11は、内径約2600mm(配管6,7の内径に相当)であり、その断面形状は略H型形状をしている。すなわち、第1金属リング11は上部および下部に凹部11a,11bを有する。
【0040】
第2金属リング12は、内径約3300mm(第1金属リング11の内径よりやや大きい)であり、その断面形状は略長方形状をしている。
【0041】
ガスケット13は、弾性体(例えばゴム材)からなるリングであり、内径約3300mm(第2金属リング12の内径に相当)であり、その断面形状は略長方形状をしている。
【0042】
そして、第1金属リング11の凹部11a、11bに、第2金属リング12が嵌合され(嵌合構造)、ガスケット13が第1金属リング11と第2金属リング12との間に介挿され、このような状態で、第1金属リング11、第2金属リング12、ガスケット13が積層されている(積層構造)。
【0043】
このような積層状態において、第1金属リング11の凹部11a、11b側面と第2金属リング12の両側面の間において、約50mm程度の水平方向のクリアランス14が構成される。また、第1金属リング11の凹部11a、11bの深さ方向の合計長は、第2金属リング12の高さと2枚のガスケット13の厚さ(後述する圧縮による短縮も考慮する)との合計長よりも、短くなるように設計されており、その結果、第1金属リング11間において、微小の鉛直方向のクリアランス15が構成される。
【0044】
本実施形態では、ガスケット13は、第1金属リング11とは縁が切れており(密着されていない)、第2金属リング12とは密着されている構造とするが、第1金属リング11とは密着され、第2金属リング12とは縁が切れている構造でもよく、また、第1金属リング11、第2金属リング12とも縁が切れている構造でもよい。すなわち、いずれかで縁が切れてことにより、第1金属リング11と第2金属リング12との縁が切れている構造(縁切構造)であればよい。
【0045】
配管接続構造10において、第1金属リング11と第2金属リング12とは、相対的に水平方向のクリアランス14の分だけスライド可能となる。その結果、第1金属リング11間では、最大でクリアランス14の2箇所分(約100mm)だけスライド可能となる。
【0046】
なお、上記に示した寸法は、構成をイメージしやすいように説明の便宜のために例示したものに過ぎず、これに拘束されるものではない。
【0047】
図5は、配管接続構造10と建屋内配管6との接続部の斜視断面図である。
【0048】
建屋1底面には、接建屋内配管6外径相当の径の孔8aを有する床底面鉄板8が、設置されている。床底面鉄板8には、さらに、第1金属リング11外径よりやや大きい円形の溝8bが設けられている。一方、配管接続構造10の最上層に位置する第1金属リング16は、他の第1金属リング11と異なり、下部凹部11bのみを有し、上面16aはフラットになっている。また、第1金属リング16の内径は建屋内配管6外径と等しくなるように設計されている。
【0049】
そして、第1金属リング上面16aは床底面鉄板8下面に当接している。建屋内配管6は、その先端が床底面鉄板の孔8aを挿通し、先端の外径面が第1金属リング16の内径面に当接している。さらに、固定リング9aが第1金属リング16の外径面に当接しつつ、床底面鉄板の溝8bに嵌合され溶接されている。また、建屋内配管6と第1金属リング16とは、建屋内配管6内径面からボルト9bによりボルト締めされ、第1金属リング16と固定リング9aとは、固定リング9a外径面からボルト9bによりボルト締めされている。これにより、配管接続構造10と建屋内配管6とは接続される。
【0050】
尚、図示省略するが、配管接続構造10と基礎内配管7との接続部も、同様の構成となっている。
【0051】
〜作用〜
通常時の配管接続構造10の作用について説明する。配管接続構造10を介して、原子力プラントに高圧の海水が、冷却水として供給され、冷却後、原子力プラントから放出される。したがって、配管接続構造10は耐圧性が要求される。
【0052】
第1金属リング11間のクリアランス15は微小であり、ほとんどの冷却水が、第1金属リング11により形成された空間を通過する。第1金属リング11は、充分な強度を有し、耐圧性を確保している。仮に、クリアランス15から冷却水が漏れたとしても、第2金属リング12は、充分な強度を有し、耐圧性を確保している。
【0053】
このとき、ガスケット13が冷却水に触れる可能性は少なく、仮にガスケット13が冷却水に触れるとしても、冷却水に触れる部分は微小であり、冷却水の圧力はほとんど影響しない。従って配管接続構造10は耐圧性を確保できる。
【0054】
一方、配管接続構造10は水密性も要求される。すなわち、冷却水が配管接続構造10の外へ漏れることは好ましくない。
【0055】
ガスケット13は、弾性体(例えばゴム材)であり、上述した積層状態において、建屋1の自重により圧縮される。その結果、ガスケット13はシール材として機能し、配管接続構造10は水密性を確保できる。なお、ガスケット13自体も水密性を有する。
【0056】
このように、配管接続構造10は、配管としての耐圧性や水密性を確保できる。
【0057】
地震時の配管接続構造10の作用について説明する。免震構造の原子力プラントでは、建屋1は、基礎2と異なった地震応答をするため、大きな相対変位が生じる場合がある。したがって、配管接続構造10は大きな相対変位を吸収する(配管接続構造10自身の変位を許容する)機能が要求される。
【0058】
配管接続構造10は、クリアランス14を有し、第1金属リング11と第2金属リング12との縁が切れている構造(縁切構造)により、第1金属リング11と第2金属リング12とが、相対的にスライド可能となり、その結果、第1金属リング11同士が、最大約100mm(クリアランス14の2箇所分)だけスライド可能となる。配管接続構造10は、積層構造であるため、例えば11層(スライド箇所は10箇所)であるとすると、最大1000mm(1m)の水平方向の相対変位を吸収することができる。
【0059】
なお、建屋1と基礎3との間のクリアランス長(例えば、1〜1.5m)は免震設計により定まる為、このクリアランス長を調整することは難しいが、第1金属リング11の高さと積層数を調整することによって、吸収する最大変位量を容易に調整することができる。たとえば、第1金属リング11の高さを低くして、積層構造を16層(スライド箇所は15箇所)とすると、最大1500mm(1.5m)の変位を吸収することができる。
【0060】
また、クリアランス15により、第1金属リング11同士は、互いに干渉しあうことなく滑らかにスライドできる。
【0061】
第1金属リング11、第2金属リング12がスライドするとき、第2金属リング12の一側面は、下方に位置する第1金属リング11の凹部11aの側面に係止され、第2金属リング12の反対側面は、上方に位置する第1金属リング11の凹部11bの側面に係止されており、第2金属リング12は、上下の第1金属リング11により、それ以上の水平方向の変位を制限されている。すなわち、第1金属リング11の凹部11a、11bは変位制限機能を発揮する。逆にいうと、第1金属リング11は、第2金属リング12により、それ以上の水平方向の変位を制限されているともいえる。これにより、地震時においても第1金属リング11が外れることはなく、配管接続構造10は積層構造を維持し安定性を維持できる。
【0062】
地震時の配管接続構造10のは水平方向の変位以外に、鉛直方向の変位、ねじれ方向の変位についても考慮する必要がある。
【0063】
ガスケット13は、弾性体であり、鉛直方向の変位を吸収できる。
【0064】
上述した縁切構造により、第1金属リング11と第2金属リング12とは、相互に回動自在となり、その結果、第1金属リング11同士が回動自在となる。これにより、ねじれ方向の変位を吸収できる。
【0065】
また、地震時においても、第1金属リング11間のクリアランス15は微小なまま維持され、通常時同様の耐圧性を維持できる。ガスケット13はシール材として機能し、通常時同様の水密性を維持できる。
【0066】
〜効果〜
以上のように構成した第1実施形態では、通常時において、第1金属リング11の強度により耐圧性を確保できる。また、ガスケット13はシール材として機能し、水密性を確保できる。
【0067】
地震時において、クリアランス14と、縁切構造、積層構造により、大きな水平方向の相対変位を吸収することができる。なお、鉛直方向、ねじれ方向の相対変位も吸収できる。金属リングの高さと積層数を調整することにより、吸収する最大変位量を容易に調整することができる。一方で、地震時も配管としての耐圧性や水密性は維持される。
【0068】
すなわち、配管接続構造10は、地震時においても、配管としての耐圧性や水密性を維持しつつ、水平方向の大きな相対変位を吸収できる。
【0069】
また、クリアランス15は微小であり、ガスケット13が冷却水に触れる可能性は少なく、配管接続構造10は、後述する第5〜6実施形態の配管接続構造50,60と比べて、耐圧性、ガスケットの腐食防止の点で優れた効果を得る。
【0070】
<第2実施形態>
図6は、第2実施形態の配管接続構造20の主要部の断面図であり、図7は、地震時の配管接続構造20の作用を説明する図面であり、図8は、主要部材21,22の拡大断面図である。第2実施形態の配管接続構造20の第1金属リング21、第2金属リング22は、第1実施形態の配管接続構造10の第1金属リング11、第2金属リング12と、断面形状が相違する。
【0071】
第1金属リング21は、その断面形状が2つのH型が連なった略HH型形状をしており、上部に凹部21a1,21a2を、下部に凹部21b1,21b2を有する。
【0072】
第2金属リング22は、その断面形状が略H型形状をしており、上部に2つの凸部22a1,22a2を、下部に2つの凸部22b1,22b2を有する。その結果、凸部22a1,22a2の間に凹部22a3が、22b1,22b2間に凹部22b3が形成されている。つまり、第2金属リング22は、結果的に第1実施形態の第1金属リング11と同じものである。
【0073】
ガスケット23はガスケット23a,23bから構成される。ガスケット23a,23bは、それぞれ、弾性体からなるリングであり、その断面形状は略長方形状をしている。ガスケット23aのリング径はガスケット23bのリング径より大きくなっている。
【0074】
そして、第1金属リング21の凹部21a1に第2金属リング22の凸部22b1が嵌合され、第1金属リング21の凹部21a2に第2金属リング22の凸部22b2が嵌合され、第1金属リング21の凹部21b1に第2金属リング22の凸部22a1が嵌合され、第1金属リング21の凹部21b2に第2金属リング22の凸部22a2が嵌合され、ガスケット23aが凹部21a1と凸部22b1との間および凹部21b1と凸部22a1との間に介挿され、ガスケット23bが凹部21a2と凸部22b2との間および凹部21b2と凸部22a2との間に介挿され、このような状態で、第1金属リング21、第2金属リング22、ガスケット23が積層されている。
【0075】
つまり、第1実施形態の配管接続構造10が1重の嵌合構造なのに対し、第2実施形態の配管接続構造20が2重の嵌合構造になっている。
【0076】
また、第1実施形態と同様に、水平方向のクリアランス24(クリアランス14に相当)、微小の鉛直方向のクリアランス25(クリアランス15に相当)が形成され、その他の構成も第1実施形態とほぼ同様である。
【0077】
以上のように構成した第2実施形態では、配管接続構造20は、配管としての耐圧性や水密性を維持しつつ、水平方向の大きな相対変位を吸収できるという、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0078】
さらに、配管接続構造20は二重の嵌合構造になっているため、第1実施形態の配管接続構造10と比べて、配管接続構造20は耐圧性や水密性を向上することができる。
【0079】
また、配管接続構造20は二重の嵌合構造になっていることにより、第1実施形態の配管接続構造10と比べて、地震時においても第1金属リング21が外れ難くなり、配管接続構造20は安定性を向上することができる。
【0080】
<第3実施形態>
図9は、第3実施形態の配管接続構造30の主要部の断面図である。第1実施形態の配管接続構造10の金属リングは第1金属リング11と第2金属リング12とから構成されるのに対し、第3実施形態の配管接続構造30の金属リングは金属リング31のみから構成される。また、金属リングの断面形状も相違する。
【0081】
金属リング31は、その断面形状が略凸型形状の下中央部が欠けた形状をしており、すなわち、上部に凸部31aを、下部に凹部31bを有する。
【0082】
ガスケット33は、弾性体からなるリングであり、その断面形状は略長方形状をしている。
【0083】
そして、上側の金属リング31の凹部31bに下側の金属リング31の凸部31aが嵌合され、ガスケット33が凹部31bと凸部31aとの間に介挿され、このような状態で、金属リング31、ガスケット33が積層されている。
【0084】
また、第1実施形態と同様に、水平方向のクリアランス34(クリアランス14に相当)、微小の鉛直方向のクリアランス35(クリアランス15に相当)が形成され、その他の構成も第1実施形態とほぼ同様である。
【0085】
以上のように構成した第3実施形態では、配管接続構造30は、配管としての耐圧性や水密性を維持しつつ、水平方向の大きな相対変位を吸収できるという、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0086】
さらに、配管接続構造30の金属リングは金属リング31のみから構成され、構成部材を単一化することに、第1実施形態の配管接続構造10と比べて、簡易な構成とすることができ、製作コストを低減することができる。
【0087】
<第4実施形態>
図10は、第4実施形態の配管接続構造40の主要部の断面図である。第1実施形態の配管接続構造10では金属リング同士(第1金属リング11,第2金属リング12)が嵌合されるのに対し、第4実施形態の配管接続構造40では金属リング41とガスケット43とが嵌合される。
【0088】
金属リング41は、その断面形状が略H型形状をしており、すなわち、上部および下部に凹部41a,41bを有する。金属リング41は、実質的に第1実施形態の第1金属リング11と同じものである。
【0089】
ガスケット43は、弾性体からなるリングであり、その断面形状は略長方形状をしている。ガスケット43の厚さ(圧縮による短縮も考慮する)は、第1実施形態の第2金属リング12の高さと2枚のガスケット13の厚さ(圧縮による短縮も考慮する)との合計長と同じになるように設計されている。つまり、金属リング41の凹部41a、41bの深さ方向の合計長は、ガスケット43の厚さ(圧縮による短縮も考慮する)合計長よりも、短くなるように設計されており、その結果、金属リング41間において、微小の鉛直方向のクリアランス45が構成される。
【0090】
そして、金属リング41の凹部41a、41bに、ガスケット43が嵌合され、このような状態で、金属リング41、ガスケット43が積層されている。このような積層状態において、金属リング41の凹部41a、41b側面とガスケット43の両側面の間において、水平方向のクリアランス44が構成される。
【0091】
つまり、第4実施形態の配管接続構造40は、第1実施形態の第2金属リング12とガスケット13とを、ガスケット43に置き換えたものである。
【0092】
以上のように構成した第4実施形態では、配管接続構造40は、配管としての耐圧性や水密性を維持しつつ、水平方向の大きな相対変位を吸収できるという、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0093】
さらに、配管接続構造40の金属リングは金属リング41のみから構成され、構成部材を単一化することに、第1実施形態の配管接続構造10と比べて、簡易な構成とすることができ、製作コストを低減することができる。
【0094】
<第5実施形態>
図11は、第5実施形態の配管接続構造50の主要部の断面図である。第1実施形態の配管接続構造10では金属リング同士(第1金属リング11,第2金属リング12)が嵌合されるのに対し、第5実施形態の配管接続構造50では金属リング51とガスケット53とが嵌合される。
【0095】
金属リング51は、その断面形状が略クロス型形状をしており、すなわち、上部および下部に凸部51a,51bを有する。
【0096】
ガスケット53は、弾性体からなるリングであり、その断面形状が略H型形状をしており、すなわち、上部および下部に凹部53a,53bを有する。
【0097】
そして、ガスケット53の凹部53aに金属リング51の凸部51bが嵌合され、ガスケット53の凹部53bに金属リング51の凸部51aが嵌合され、このような状態で、金属リング51、ガスケット53が積層されている。
【0098】
このような積層状態において、凸部51aの両側面と凹部53b側面の間および凸部51bの両側面と凹部53a側面の間において、水平方向のクリアランス54が構成される。また、金属リング51の凸部51a、51bの高さは、ガスケット53の凹部53aの深さよりも、短くなるように設計されており、その結果、凸部51a上面と凹部53b下面の間および凸部51b下面と凹部53a上面の間において、微小の鉛直方向のクリアランス55が構成される。
【0099】
通常時において、冷却水は、金属リング51とガスケット53とにより形成された空間を通過する。このとき、ガスケット53はシール材として機能する。クリアランス55は冷却水に触れることはなく、したがってクリアランス55から冷却水が漏れることもない。これにより、第1実施形態の配管接続構造10と比べて、配管接続構造50は水密性を向上することができる。
【0100】
以上のように構成した第5実施形態では、配管接続構造50は、配管としての耐圧性や水密性を維持しつつ、水平方向の大きな相対変位を吸収できるという、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0101】
さらに、配管接続構造50は、第1実施形態の配管接続構造10と比べて、水密性を向上することができる。
【0102】
<第6実施形態>
図12は、第6実施形態の配管接続構造60の主要部の断面図である。第5実施形態のガスケット53は、その断面形状が略H型形状をしている単体であるのに対し、第6実施形態のガスケット63はガスケット63aとガスケット63bとから構成される。
【0103】
金属リング61は、その断面形状が略クロス型形状をしており、すなわち、上部および下部に凸部61a,61bを有する。金属リング61は、実質的に第5実施形態の第1金属リング51と同じものである。
【0104】
ガスケット63a,63bは、それぞれ、弾性体からなるリングであり、その断面形状は略長方形状をしている。ガスケット63aのリング径はガスケット63bのリング径より小さくなっている。ガスケット63a,63bの間には、スペース63cが形成される。
【0105】
そして、スペース63cに金属リング61の凸部61a,61bが嵌合され、このような状態で、金属リング61、ガスケット63が積層されて、その結果、クリアランス64、クリアランス65が構成される。その他の構成は、第5実施形態とほぼ同様であり、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0106】
1 建屋
2 岩盤
3 基礎
4 免震装置
5 復水器
6 建屋内配管
7 基礎内配管
10,20,30,40,50,60 配管接続構造
11,21 第1金属リング
12,22 第2金属リング
31,41,51,61 金属リング
13,23,23a,23b,33,43,53,63,63a,63b ガスケット
14,24,34,44,54,64 クリアランス
15,25,35,45,55,65 クリアランス
【技術分野】
【0001】
本発明は配管接続構造に係わり、特に免震構造を有する原子力プラント建屋の建屋内配管と基礎内配管との間に設けられる配管接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
最近においては原子力プラントを免震化することが検討されている。このような免震構造の原子力プラントでは、地震時に地盤や基礎が大きく変位しても、原子力プラント建屋はそれ程変位せず(絶対変位が小さい)、建屋と基礎との相対変位を吸収する(相対変位を許容する)ことで、原子力プラント建屋およびその内部に設置される機器設備の耐震性を大きく向上させることができる(例えば、特許文献1)。
【0003】
ところで、原子力プラントは、外部から取水した冷却水を復水器等の冷却設備に供給し、復水器に流入するタービン排気及びドレンを冷却し、プラント外に放水するための循環水系系統機能を備える。地震時には建屋は周囲地盤や基礎と別の地震応答をするため、建屋と基礎との相対変位が生じる。そのため、建屋内配管と地盤内に埋設されている基礎内配管との接続をどの様な構造にするかが問題となる。
【0004】
一般に変位吸収可能な配管接続構造として、伸縮継手など可撓性接続配管構造が知られている。原子力プラントにおける大規模な配管接続構造は高度の安全性と信頼性の確保を要求されている。つまり、充分な耐圧性や水密性を満たしつつ、充分な変形吸収性が要求される。原子力プラントの実機においては、ゴム伸縮継手が適用されている。
【0005】
しかし、原子力プラントの基礎マットに免震構造を適用した場合、地震時に生じる建屋と基礎との相対変位は、免震構造を適用しない場合に比べて、大きくなる。このとき、配管接続構造に、従来のゴム伸縮継手を適用しても、必ずしも充分な変位吸収効果が得られない。原子力プラントを免震化の普及を図るためには、配管接続構造自身の変位を許容することで、相対変位を吸収する配管接続構造の開発が急務となっている。
【0006】
上記課題を解決する技術が特許文献2に示されている。特許文献2の冷却水循環設備は、基礎内配管と、基礎内に設けた水槽と、建屋側に設けられ水槽と冷却設備との間に配管された建屋内配管とからなり、建屋内配管の先端部を水槽内に水平方向の相対変位を許容せしめる状態で挿入することにより、基礎内配管と建屋内配管とを水槽を介して免震変位を吸収可能に連絡してプラント内外にわたる一連の冷却水循環経路を構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−107480号公報
【特許文献2】特開2006―145392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2の技術は、地震時に建屋内配管の先端部を水槽内で水平方向に移動させることにより、相対変位を吸収することができる。
【0009】
しかし、特許文献2の技術は配管接続構造そのものの技術ではない。また、大型の水槽を必要とするなど多大なコストも要する。一方、配管接続構造そのものの開発が望まれている。
【0010】
本発明の目的は、配管としての耐圧性や水密性を維持しつつ、水平方向の相対変位を吸収できる配管接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、免震構造を有する原子力プラント建屋の建屋内配管と基礎内配管との間に設けられる配管接続構造であって、複数の金属リングと、前記金属リング間に介挿されるガスケットとを備え、前記金属リング同士が嵌合されて積層され、前記金属リングが水平方向にスライド可能である。
【0012】
このように構成した本発明においては、充分な強度を有する金属リングが積層されることにより、耐圧性を確保できる。弾性体のガスケットが、建屋の自重により圧縮されシール材として機能することにより、水密性を確保できる。
【0013】
一方、金属リングが水平方向にスライド可能に積層されることにより、配管接続構造自身の大きな変位が許容され、その結果、大きな建屋と基礎との相対変位を吸収することができる。このとき、嵌合構造により配管接続構造は安定性を維持し、地震時においても、配管としての耐圧性や水密性を維持できる。
【0014】
すなわち、本発明に係る配管接続構造は、配管としての耐圧性や水密性を維持しつつ、水平方向の相対変位を吸収できる。
【0015】
また金属リングの高さと積層数を調整することによって、吸収する最大変位量を容易に調整することができる。
【0016】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記複数の金属リングは、上部および下部に凹部を有する第1金属リングと、前記第1金属リングの凹部に嵌合される第2金属リングとから構成され、前記ガスケットは前記第1金属リングと第2金属リングとの間に介挿されている。
【0017】
これにより、金属リング同士(第1金属リング,第2金属リング)が嵌合されて積層される。
【0018】
(3)上記目的を達成するために、本発明は、免震構造を有する原子力プラント建屋の建屋内配管と基礎内配管との間に設けられる配管接続構造であって、複数の金属リングと、複数のガスケットとを備え、前記金属リングと前記ガスケットとが嵌合されて積層され、複数の前記金属リングがスライド可能である。
【0019】
このように構成した本発明においては、充分な強度を有する金属リングが積層されることにより、耐圧性を確保できる。弾性体のガスケットが、建屋の自重により圧縮されシール材として機能することにより、水密性を確保できる。
【0020】
一方、金属リングが水平方向にスライド可能に積層されることにより、配管接続構造自身の大きな変位が許容され、その結果、大きな建屋と基礎との相対変位を吸収することができる。このとき、嵌合構造により配管接続構造は安定性を維持し、地震時においても、配管としての耐圧性や水密性を維持できる。
【0021】
すなわち、本発明に係る配管接続構造は、配管としての耐圧性や水密性を維持しつつ、水平方向の相対変位を吸収できる。
【0022】
また金属リングの高さと積層数を調整することによって、吸収する最大変位量を容易に調整することができる。
【0023】
(4)上記(3)において、好ましくは、前記複数の金属リングは、上部および下部に凹部を有し、前記ガスケットは、前記金属リングの凹部に嵌合される。
【0024】
これにより、金属リングとガスケットとが嵌合されて積層される。
【0025】
(5)上記(3)において、好ましくは、前記複数の金属リングは、上部および下部に凸部を有し、前記ガスケットは、上部および下部に凹部を有し、前記金属リングの凸部を嵌合する。
【0026】
これにより、金属リングとガスケットとが嵌合されて積層される。
【0027】
(6)上記(1)〜(5)において、好ましくは、前記ガスケットは弾性体であり、前記建屋の自重により縮小変位する。
【0028】
これにより、ガスケットは圧縮されシール材として機能し、配管接続構造は水密性を確保できる。
【0029】
(7)上記(1)〜(5)において、好ましくは、前記金属リングは、他の金属リングの水平変位量を制限する変位制限機能を有する。
【0030】
これにより、地震時においても金属リングが外れることはなく、積層構造を維持し安定性を維持できる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の配管接続構造によれば、配管としての耐圧性や水密性を維持しつつ、水平方向の相対変位を吸収できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】配管接続構造が適用される原子力プラントの概略図である。
【図2】第1実施形態に係る配管接続構造の主要部の分解斜視断面図である。
【図3】配管接続構造の主要部の断面図である。
【図4】地震時の配管接続構造の作用を説明する図面である。
【図5】配管接続構造と接建屋内配管との接続部の斜視断面図である。
【図6】第2実施形態に係る配管接続構造の主要部の断面図である。
【図7】地震時の配管接続構造の作用を説明する図面である。
【図8】主要部材の拡大断面図である。
【図9】第3実施形態に係る配管接続構造の主要部の断面図である。
【図10】第4実施形態に係る配管接続構造の主要部の断面図である。
【図11】第5実施形態に係る配管接続構造の主要部の断面図である。
【図12】第6実施形態に係る配管接続構造の主要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の各実施形態の配管接続構造について、図面を用いて詳細に説明する。第1〜3実施形態は請求項1に対応し、第4〜6実施形態は請求項3に対応する。つまり、第1〜3実施形態は金属リング同士が嵌合されるものであり、第4〜6実施形態は、金属リングとガスケットが嵌合されるものである。金属リングが水平方向にスライド可能に構成されているという本発明の特徴は共通する。
【0034】
<第1実施形態>
〜構成〜
図1は、第1実施形態の配管接続構造が適用される原子力プラントの概略図である。原子炉等の設備を収容する建屋1は、岩盤2に設置された基礎3上に、免震装置4を介して支持されている。免震装置4は、建屋1と基礎3とを絶縁する機能を有し、基礎3が大きく変位しても、建屋1は基礎3程変位せず(絶対変位が小さい)、その結果、建屋1と基礎3との間に大きな相対変位が生じる。これにより、地盤を通じて伝播される地震波は、免震装置4により減衰され、建屋1に伝達される地震波の大きさは低減され、建屋1内に収容される設備の地震応答は、免震構造でない場合と比べて格段に低減される。
【0035】
一方、原子力プラントには、復水器5などの冷却設備が設置されている。冷却設備は、原子力プラント外から冷却水を取水し、冷却後の冷却水を原子力プラント外に放水する。復水器5は、タービン(図示省略)で仕事を取り出した後の水蒸気を等圧冷却して凝縮させ、低圧の飽和液に戻す装置である。復水器5には建屋内配管6が接続され、建屋内配管6には配管接続構造10を介して基礎内配管7が接続されている。なお、原子力プラント外からの冷却水として海水を用いることが多い。
【0036】
このように、汲み上げられた高圧の海水が、基礎内配管7、配管接続構造10、接建屋内配管6を通って、復水器5に供給される様に、取水配管が構成されている。なお、放水配管についても同様に構成されており、図示、説明とも省略する。
【0037】
図2は、配管接続構造10の主要部の分解斜視断面図、図3は、配管接続構造10の主要部の断面図であり、図4は、地震時の配管接続構造10の作用を説明する図面である。
【0038】
第1実施形態の配管接続構造10は、主要構成として、第1金属リング11と、第2金属リング12と、ガスケット13とを備えている。
【0039】
第1金属リング11は、内径約2600mm(配管6,7の内径に相当)であり、その断面形状は略H型形状をしている。すなわち、第1金属リング11は上部および下部に凹部11a,11bを有する。
【0040】
第2金属リング12は、内径約3300mm(第1金属リング11の内径よりやや大きい)であり、その断面形状は略長方形状をしている。
【0041】
ガスケット13は、弾性体(例えばゴム材)からなるリングであり、内径約3300mm(第2金属リング12の内径に相当)であり、その断面形状は略長方形状をしている。
【0042】
そして、第1金属リング11の凹部11a、11bに、第2金属リング12が嵌合され(嵌合構造)、ガスケット13が第1金属リング11と第2金属リング12との間に介挿され、このような状態で、第1金属リング11、第2金属リング12、ガスケット13が積層されている(積層構造)。
【0043】
このような積層状態において、第1金属リング11の凹部11a、11b側面と第2金属リング12の両側面の間において、約50mm程度の水平方向のクリアランス14が構成される。また、第1金属リング11の凹部11a、11bの深さ方向の合計長は、第2金属リング12の高さと2枚のガスケット13の厚さ(後述する圧縮による短縮も考慮する)との合計長よりも、短くなるように設計されており、その結果、第1金属リング11間において、微小の鉛直方向のクリアランス15が構成される。
【0044】
本実施形態では、ガスケット13は、第1金属リング11とは縁が切れており(密着されていない)、第2金属リング12とは密着されている構造とするが、第1金属リング11とは密着され、第2金属リング12とは縁が切れている構造でもよく、また、第1金属リング11、第2金属リング12とも縁が切れている構造でもよい。すなわち、いずれかで縁が切れてことにより、第1金属リング11と第2金属リング12との縁が切れている構造(縁切構造)であればよい。
【0045】
配管接続構造10において、第1金属リング11と第2金属リング12とは、相対的に水平方向のクリアランス14の分だけスライド可能となる。その結果、第1金属リング11間では、最大でクリアランス14の2箇所分(約100mm)だけスライド可能となる。
【0046】
なお、上記に示した寸法は、構成をイメージしやすいように説明の便宜のために例示したものに過ぎず、これに拘束されるものではない。
【0047】
図5は、配管接続構造10と建屋内配管6との接続部の斜視断面図である。
【0048】
建屋1底面には、接建屋内配管6外径相当の径の孔8aを有する床底面鉄板8が、設置されている。床底面鉄板8には、さらに、第1金属リング11外径よりやや大きい円形の溝8bが設けられている。一方、配管接続構造10の最上層に位置する第1金属リング16は、他の第1金属リング11と異なり、下部凹部11bのみを有し、上面16aはフラットになっている。また、第1金属リング16の内径は建屋内配管6外径と等しくなるように設計されている。
【0049】
そして、第1金属リング上面16aは床底面鉄板8下面に当接している。建屋内配管6は、その先端が床底面鉄板の孔8aを挿通し、先端の外径面が第1金属リング16の内径面に当接している。さらに、固定リング9aが第1金属リング16の外径面に当接しつつ、床底面鉄板の溝8bに嵌合され溶接されている。また、建屋内配管6と第1金属リング16とは、建屋内配管6内径面からボルト9bによりボルト締めされ、第1金属リング16と固定リング9aとは、固定リング9a外径面からボルト9bによりボルト締めされている。これにより、配管接続構造10と建屋内配管6とは接続される。
【0050】
尚、図示省略するが、配管接続構造10と基礎内配管7との接続部も、同様の構成となっている。
【0051】
〜作用〜
通常時の配管接続構造10の作用について説明する。配管接続構造10を介して、原子力プラントに高圧の海水が、冷却水として供給され、冷却後、原子力プラントから放出される。したがって、配管接続構造10は耐圧性が要求される。
【0052】
第1金属リング11間のクリアランス15は微小であり、ほとんどの冷却水が、第1金属リング11により形成された空間を通過する。第1金属リング11は、充分な強度を有し、耐圧性を確保している。仮に、クリアランス15から冷却水が漏れたとしても、第2金属リング12は、充分な強度を有し、耐圧性を確保している。
【0053】
このとき、ガスケット13が冷却水に触れる可能性は少なく、仮にガスケット13が冷却水に触れるとしても、冷却水に触れる部分は微小であり、冷却水の圧力はほとんど影響しない。従って配管接続構造10は耐圧性を確保できる。
【0054】
一方、配管接続構造10は水密性も要求される。すなわち、冷却水が配管接続構造10の外へ漏れることは好ましくない。
【0055】
ガスケット13は、弾性体(例えばゴム材)であり、上述した積層状態において、建屋1の自重により圧縮される。その結果、ガスケット13はシール材として機能し、配管接続構造10は水密性を確保できる。なお、ガスケット13自体も水密性を有する。
【0056】
このように、配管接続構造10は、配管としての耐圧性や水密性を確保できる。
【0057】
地震時の配管接続構造10の作用について説明する。免震構造の原子力プラントでは、建屋1は、基礎2と異なった地震応答をするため、大きな相対変位が生じる場合がある。したがって、配管接続構造10は大きな相対変位を吸収する(配管接続構造10自身の変位を許容する)機能が要求される。
【0058】
配管接続構造10は、クリアランス14を有し、第1金属リング11と第2金属リング12との縁が切れている構造(縁切構造)により、第1金属リング11と第2金属リング12とが、相対的にスライド可能となり、その結果、第1金属リング11同士が、最大約100mm(クリアランス14の2箇所分)だけスライド可能となる。配管接続構造10は、積層構造であるため、例えば11層(スライド箇所は10箇所)であるとすると、最大1000mm(1m)の水平方向の相対変位を吸収することができる。
【0059】
なお、建屋1と基礎3との間のクリアランス長(例えば、1〜1.5m)は免震設計により定まる為、このクリアランス長を調整することは難しいが、第1金属リング11の高さと積層数を調整することによって、吸収する最大変位量を容易に調整することができる。たとえば、第1金属リング11の高さを低くして、積層構造を16層(スライド箇所は15箇所)とすると、最大1500mm(1.5m)の変位を吸収することができる。
【0060】
また、クリアランス15により、第1金属リング11同士は、互いに干渉しあうことなく滑らかにスライドできる。
【0061】
第1金属リング11、第2金属リング12がスライドするとき、第2金属リング12の一側面は、下方に位置する第1金属リング11の凹部11aの側面に係止され、第2金属リング12の反対側面は、上方に位置する第1金属リング11の凹部11bの側面に係止されており、第2金属リング12は、上下の第1金属リング11により、それ以上の水平方向の変位を制限されている。すなわち、第1金属リング11の凹部11a、11bは変位制限機能を発揮する。逆にいうと、第1金属リング11は、第2金属リング12により、それ以上の水平方向の変位を制限されているともいえる。これにより、地震時においても第1金属リング11が外れることはなく、配管接続構造10は積層構造を維持し安定性を維持できる。
【0062】
地震時の配管接続構造10のは水平方向の変位以外に、鉛直方向の変位、ねじれ方向の変位についても考慮する必要がある。
【0063】
ガスケット13は、弾性体であり、鉛直方向の変位を吸収できる。
【0064】
上述した縁切構造により、第1金属リング11と第2金属リング12とは、相互に回動自在となり、その結果、第1金属リング11同士が回動自在となる。これにより、ねじれ方向の変位を吸収できる。
【0065】
また、地震時においても、第1金属リング11間のクリアランス15は微小なまま維持され、通常時同様の耐圧性を維持できる。ガスケット13はシール材として機能し、通常時同様の水密性を維持できる。
【0066】
〜効果〜
以上のように構成した第1実施形態では、通常時において、第1金属リング11の強度により耐圧性を確保できる。また、ガスケット13はシール材として機能し、水密性を確保できる。
【0067】
地震時において、クリアランス14と、縁切構造、積層構造により、大きな水平方向の相対変位を吸収することができる。なお、鉛直方向、ねじれ方向の相対変位も吸収できる。金属リングの高さと積層数を調整することにより、吸収する最大変位量を容易に調整することができる。一方で、地震時も配管としての耐圧性や水密性は維持される。
【0068】
すなわち、配管接続構造10は、地震時においても、配管としての耐圧性や水密性を維持しつつ、水平方向の大きな相対変位を吸収できる。
【0069】
また、クリアランス15は微小であり、ガスケット13が冷却水に触れる可能性は少なく、配管接続構造10は、後述する第5〜6実施形態の配管接続構造50,60と比べて、耐圧性、ガスケットの腐食防止の点で優れた効果を得る。
【0070】
<第2実施形態>
図6は、第2実施形態の配管接続構造20の主要部の断面図であり、図7は、地震時の配管接続構造20の作用を説明する図面であり、図8は、主要部材21,22の拡大断面図である。第2実施形態の配管接続構造20の第1金属リング21、第2金属リング22は、第1実施形態の配管接続構造10の第1金属リング11、第2金属リング12と、断面形状が相違する。
【0071】
第1金属リング21は、その断面形状が2つのH型が連なった略HH型形状をしており、上部に凹部21a1,21a2を、下部に凹部21b1,21b2を有する。
【0072】
第2金属リング22は、その断面形状が略H型形状をしており、上部に2つの凸部22a1,22a2を、下部に2つの凸部22b1,22b2を有する。その結果、凸部22a1,22a2の間に凹部22a3が、22b1,22b2間に凹部22b3が形成されている。つまり、第2金属リング22は、結果的に第1実施形態の第1金属リング11と同じものである。
【0073】
ガスケット23はガスケット23a,23bから構成される。ガスケット23a,23bは、それぞれ、弾性体からなるリングであり、その断面形状は略長方形状をしている。ガスケット23aのリング径はガスケット23bのリング径より大きくなっている。
【0074】
そして、第1金属リング21の凹部21a1に第2金属リング22の凸部22b1が嵌合され、第1金属リング21の凹部21a2に第2金属リング22の凸部22b2が嵌合され、第1金属リング21の凹部21b1に第2金属リング22の凸部22a1が嵌合され、第1金属リング21の凹部21b2に第2金属リング22の凸部22a2が嵌合され、ガスケット23aが凹部21a1と凸部22b1との間および凹部21b1と凸部22a1との間に介挿され、ガスケット23bが凹部21a2と凸部22b2との間および凹部21b2と凸部22a2との間に介挿され、このような状態で、第1金属リング21、第2金属リング22、ガスケット23が積層されている。
【0075】
つまり、第1実施形態の配管接続構造10が1重の嵌合構造なのに対し、第2実施形態の配管接続構造20が2重の嵌合構造になっている。
【0076】
また、第1実施形態と同様に、水平方向のクリアランス24(クリアランス14に相当)、微小の鉛直方向のクリアランス25(クリアランス15に相当)が形成され、その他の構成も第1実施形態とほぼ同様である。
【0077】
以上のように構成した第2実施形態では、配管接続構造20は、配管としての耐圧性や水密性を維持しつつ、水平方向の大きな相対変位を吸収できるという、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0078】
さらに、配管接続構造20は二重の嵌合構造になっているため、第1実施形態の配管接続構造10と比べて、配管接続構造20は耐圧性や水密性を向上することができる。
【0079】
また、配管接続構造20は二重の嵌合構造になっていることにより、第1実施形態の配管接続構造10と比べて、地震時においても第1金属リング21が外れ難くなり、配管接続構造20は安定性を向上することができる。
【0080】
<第3実施形態>
図9は、第3実施形態の配管接続構造30の主要部の断面図である。第1実施形態の配管接続構造10の金属リングは第1金属リング11と第2金属リング12とから構成されるのに対し、第3実施形態の配管接続構造30の金属リングは金属リング31のみから構成される。また、金属リングの断面形状も相違する。
【0081】
金属リング31は、その断面形状が略凸型形状の下中央部が欠けた形状をしており、すなわち、上部に凸部31aを、下部に凹部31bを有する。
【0082】
ガスケット33は、弾性体からなるリングであり、その断面形状は略長方形状をしている。
【0083】
そして、上側の金属リング31の凹部31bに下側の金属リング31の凸部31aが嵌合され、ガスケット33が凹部31bと凸部31aとの間に介挿され、このような状態で、金属リング31、ガスケット33が積層されている。
【0084】
また、第1実施形態と同様に、水平方向のクリアランス34(クリアランス14に相当)、微小の鉛直方向のクリアランス35(クリアランス15に相当)が形成され、その他の構成も第1実施形態とほぼ同様である。
【0085】
以上のように構成した第3実施形態では、配管接続構造30は、配管としての耐圧性や水密性を維持しつつ、水平方向の大きな相対変位を吸収できるという、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0086】
さらに、配管接続構造30の金属リングは金属リング31のみから構成され、構成部材を単一化することに、第1実施形態の配管接続構造10と比べて、簡易な構成とすることができ、製作コストを低減することができる。
【0087】
<第4実施形態>
図10は、第4実施形態の配管接続構造40の主要部の断面図である。第1実施形態の配管接続構造10では金属リング同士(第1金属リング11,第2金属リング12)が嵌合されるのに対し、第4実施形態の配管接続構造40では金属リング41とガスケット43とが嵌合される。
【0088】
金属リング41は、その断面形状が略H型形状をしており、すなわち、上部および下部に凹部41a,41bを有する。金属リング41は、実質的に第1実施形態の第1金属リング11と同じものである。
【0089】
ガスケット43は、弾性体からなるリングであり、その断面形状は略長方形状をしている。ガスケット43の厚さ(圧縮による短縮も考慮する)は、第1実施形態の第2金属リング12の高さと2枚のガスケット13の厚さ(圧縮による短縮も考慮する)との合計長と同じになるように設計されている。つまり、金属リング41の凹部41a、41bの深さ方向の合計長は、ガスケット43の厚さ(圧縮による短縮も考慮する)合計長よりも、短くなるように設計されており、その結果、金属リング41間において、微小の鉛直方向のクリアランス45が構成される。
【0090】
そして、金属リング41の凹部41a、41bに、ガスケット43が嵌合され、このような状態で、金属リング41、ガスケット43が積層されている。このような積層状態において、金属リング41の凹部41a、41b側面とガスケット43の両側面の間において、水平方向のクリアランス44が構成される。
【0091】
つまり、第4実施形態の配管接続構造40は、第1実施形態の第2金属リング12とガスケット13とを、ガスケット43に置き換えたものである。
【0092】
以上のように構成した第4実施形態では、配管接続構造40は、配管としての耐圧性や水密性を維持しつつ、水平方向の大きな相対変位を吸収できるという、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0093】
さらに、配管接続構造40の金属リングは金属リング41のみから構成され、構成部材を単一化することに、第1実施形態の配管接続構造10と比べて、簡易な構成とすることができ、製作コストを低減することができる。
【0094】
<第5実施形態>
図11は、第5実施形態の配管接続構造50の主要部の断面図である。第1実施形態の配管接続構造10では金属リング同士(第1金属リング11,第2金属リング12)が嵌合されるのに対し、第5実施形態の配管接続構造50では金属リング51とガスケット53とが嵌合される。
【0095】
金属リング51は、その断面形状が略クロス型形状をしており、すなわち、上部および下部に凸部51a,51bを有する。
【0096】
ガスケット53は、弾性体からなるリングであり、その断面形状が略H型形状をしており、すなわち、上部および下部に凹部53a,53bを有する。
【0097】
そして、ガスケット53の凹部53aに金属リング51の凸部51bが嵌合され、ガスケット53の凹部53bに金属リング51の凸部51aが嵌合され、このような状態で、金属リング51、ガスケット53が積層されている。
【0098】
このような積層状態において、凸部51aの両側面と凹部53b側面の間および凸部51bの両側面と凹部53a側面の間において、水平方向のクリアランス54が構成される。また、金属リング51の凸部51a、51bの高さは、ガスケット53の凹部53aの深さよりも、短くなるように設計されており、その結果、凸部51a上面と凹部53b下面の間および凸部51b下面と凹部53a上面の間において、微小の鉛直方向のクリアランス55が構成される。
【0099】
通常時において、冷却水は、金属リング51とガスケット53とにより形成された空間を通過する。このとき、ガスケット53はシール材として機能する。クリアランス55は冷却水に触れることはなく、したがってクリアランス55から冷却水が漏れることもない。これにより、第1実施形態の配管接続構造10と比べて、配管接続構造50は水密性を向上することができる。
【0100】
以上のように構成した第5実施形態では、配管接続構造50は、配管としての耐圧性や水密性を維持しつつ、水平方向の大きな相対変位を吸収できるという、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0101】
さらに、配管接続構造50は、第1実施形態の配管接続構造10と比べて、水密性を向上することができる。
【0102】
<第6実施形態>
図12は、第6実施形態の配管接続構造60の主要部の断面図である。第5実施形態のガスケット53は、その断面形状が略H型形状をしている単体であるのに対し、第6実施形態のガスケット63はガスケット63aとガスケット63bとから構成される。
【0103】
金属リング61は、その断面形状が略クロス型形状をしており、すなわち、上部および下部に凸部61a,61bを有する。金属リング61は、実質的に第5実施形態の第1金属リング51と同じものである。
【0104】
ガスケット63a,63bは、それぞれ、弾性体からなるリングであり、その断面形状は略長方形状をしている。ガスケット63aのリング径はガスケット63bのリング径より小さくなっている。ガスケット63a,63bの間には、スペース63cが形成される。
【0105】
そして、スペース63cに金属リング61の凸部61a,61bが嵌合され、このような状態で、金属リング61、ガスケット63が積層されて、その結果、クリアランス64、クリアランス65が構成される。その他の構成は、第5実施形態とほぼ同様であり、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0106】
1 建屋
2 岩盤
3 基礎
4 免震装置
5 復水器
6 建屋内配管
7 基礎内配管
10,20,30,40,50,60 配管接続構造
11,21 第1金属リング
12,22 第2金属リング
31,41,51,61 金属リング
13,23,23a,23b,33,43,53,63,63a,63b ガスケット
14,24,34,44,54,64 クリアランス
15,25,35,45,55,65 クリアランス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
免震構造を有する原子力プラント建屋の建屋内配管と基礎内配管との間に設けられる配管接続構造であって、
複数の金属リングと、
前記金属リング間に介挿されるガスケットとを備え、
前記金属リング同士が嵌合されて積層され、
前記金属リングが水平方向にスライド可能であることを特徴とする配管接続構造。
【請求項2】
請求項1記載の配管接続構造において、
前記複数の金属リングは、
上部および下部に凹部を有する第1金属リングと、
前記第1金属リングの凹部に嵌合される第2金属リングとから構成され、
前記ガスケットは前記第1金属リングと第2金属リングとの間に介挿されていることを特徴とする配管接続構造。
【請求項3】
免震構造を有する原子力プラント建屋の建屋内配管と基礎内配管との間に設けられる配管接続構造であって、
複数の金属リングと、
複数のガスケットとを備え、
前記金属リングと前記ガスケットとが嵌合されて積層され、
複数の前記金属リングがスライド可能であることを特徴とする配管接続構造。
【請求項4】
請求項3記載の配管接続構造において、
前記複数の金属リングは、上部および下部に凹部を有し、
前記ガスケットは、前記金属リングの凹部に嵌合されることを特徴とする配管接続構造。
【請求項5】
請求項3記載の配管接続構造において、
前記複数の金属リングは、上部および下部に凸部を有し、
前記ガスケットは、上部および下部に凹部を有し、前記金属リングの凸部を嵌合することを特徴とする配管接続構造。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5記載の配管接続構造において、
前記ガスケットは弾性体であり、前記建屋の自重により縮小変位することを特徴とする配管接続構造。
【請求項7】
請求項1乃至請求項5記載の配管接続構造において、
前記金属リングは、他の金属リングの水平変位量を制限する変位制限機能を有することを特徴とする配管接続構造。
【請求項1】
免震構造を有する原子力プラント建屋の建屋内配管と基礎内配管との間に設けられる配管接続構造であって、
複数の金属リングと、
前記金属リング間に介挿されるガスケットとを備え、
前記金属リング同士が嵌合されて積層され、
前記金属リングが水平方向にスライド可能であることを特徴とする配管接続構造。
【請求項2】
請求項1記載の配管接続構造において、
前記複数の金属リングは、
上部および下部に凹部を有する第1金属リングと、
前記第1金属リングの凹部に嵌合される第2金属リングとから構成され、
前記ガスケットは前記第1金属リングと第2金属リングとの間に介挿されていることを特徴とする配管接続構造。
【請求項3】
免震構造を有する原子力プラント建屋の建屋内配管と基礎内配管との間に設けられる配管接続構造であって、
複数の金属リングと、
複数のガスケットとを備え、
前記金属リングと前記ガスケットとが嵌合されて積層され、
複数の前記金属リングがスライド可能であることを特徴とする配管接続構造。
【請求項4】
請求項3記載の配管接続構造において、
前記複数の金属リングは、上部および下部に凹部を有し、
前記ガスケットは、前記金属リングの凹部に嵌合されることを特徴とする配管接続構造。
【請求項5】
請求項3記載の配管接続構造において、
前記複数の金属リングは、上部および下部に凸部を有し、
前記ガスケットは、上部および下部に凹部を有し、前記金属リングの凸部を嵌合することを特徴とする配管接続構造。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5記載の配管接続構造において、
前記ガスケットは弾性体であり、前記建屋の自重により縮小変位することを特徴とする配管接続構造。
【請求項7】
請求項1乃至請求項5記載の配管接続構造において、
前記金属リングは、他の金属リングの水平変位量を制限する変位制限機能を有することを特徴とする配管接続構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−117578(P2011−117578A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277707(P2009−277707)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)
【Fターム(参考)】
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