説明

配管方法及び配管用分岐管

【課題】分岐管を使用することにより管継手の使用個所を少なくした配管方法を提供する。
【解決手段】直管よりなる主管部1aと、主管部1aの途中から突設された分岐管部1bとからなる分岐管1を予め製作し、水道配管等の施工現場において分岐管1の分岐管部1aを必要長さに切断した後、建造物等の水道配管等に管継手4を介して接続したもので、管継手4による接続個所が少なくできるため、配管作業の能率が向上する上、管継手4を大量に使用する配管にあっては、部品コストの大幅な削減が図れると共に、使用する管継手4の数が少なくなる分配管後の検査個所を少なくできるため、検査に要する工数の削減も図れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてビル等の建造物内に設置する水道配管等の配管方法及び配管用分岐管に関する。
【背景技術】
【0002】
従来ビル等の建造物に配管されている水道配管等には、白ガス管と呼ばれる鉄管が使用されているが、鉄管は長期間使用していると内部に錆が発生して赤水の原因となる。
また水道配管等に使用されている鉄管は、耐用年数が30〜40年位とされていいて、老朽化した水道配管等は水漏れの原因となることから、定期的に点検して寿命がきた水道配管等は新しい水道配管等と交換する必要があるが、建造物がマンション等の場合、交換工事に多くの期間と経費を必要とする上、工事中は水道が使用できない等の問題がある。
このため最近では、初期費用が嵩んでも耐食性に優れ、かつ赤水の原因となる錆が発生することがないステンレス管が水道配管等に多く使用されるようになっている。
【0003】
一方マンション等の建造物に配管されている水道配管等は、例えば直管よりなる主管と、主管より分岐した枝管と称する分岐管等から構成されていて、主管同士の接続部や主管と分岐管の接続部、分岐管同士の接続部には、エルボやチーズ、レジューサ等の継手が一般に使用されており、これら継手と主管または分岐管の間は、溶接や管継手等により接続されている(例えば特許文献1)。
【0004】
建造物に水道配管等を配管する場合、予め配管寸法が分かっているときは、工場等において主管や分岐管の接続部に継手を溶接した状態で施工現場へ搬入し、施工現場で配管作業を行うが、現場合わせにより配管を行う場合は、施工現場において採寸を行い、得られた寸法に合わせて管体を切断した後、管継手を使用して管体と継手を接続する配管方法が一般的に採用されている。
【0005】
図7は従来行われている配管方法の一例を示すもので、直管よりなる主管aの途中より分岐管bを分岐する場合、主管aの途中にチーズcを介在させ、このチーズcにキセル管と称する中継管dの一端を接続すると共に、中継管dの他端をエルボeを介して分岐管bに接続した配管構造となっており、各部の接続にはハウジング管継手等の管継手fが使用されている。
【特許文献1】特開2001−146985号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし図7に示す従来の配管方法では、次のような問題がある。
すなわち主管aの途中にチーズcを介在させて、このチーズcに中継管dを接続する配管構造では、主管aのサイズに対して中継管dのサイズがチーズcにより制限されるため、大口径の主管aから小口径の分岐管bに径を変換する場合アダプタを使用しなければならず、アダプタや管継手f等の部品点数が多くなって部品コストが上がる上、管継手fの接続作業に多くの工数を必要とするため、配管作業の効率低下を招くと等の問題がある。
【0007】
また使用する管継手の数が多くなる分配管後の検査個所が多くなるため、検査に時間と手間がかかる上、液漏れ個所が発見された場合再施工が必要となるため、さらに工数がかかると共に、配管類に使用する管継手fは、継手メーカにより接続部分の形状や寸法等が異なるため、継手メーカの仕様に合わせて中継管dの端部を加工するが、管継手fの数が増す分加工個所も多くなるため、中継管dの寸法出しや加工に多くの手間がかかる上、加工精度が悪いと液漏れの原因となる等の問題もある。
さらに配管が水道配管の場合、配管後保温材を取り付ける作業を行うが、管継手fの部分は保温材を取り付けるのに多くの手間がかかる上、使用する管継手fの数量が多くなると、配管資材の管理や施工現場への運搬にも経費が嵩む等の問題もある。
【0008】
本発明はかかる従来の問題を改善するためになされたもので、分岐管を使用することにより管継手の使用個所を少なくした配管方法及び配管用分岐管を提供して、配管作業の能率化と、作業コスト及び部品コストの削減を図ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の配管方法は、建造物等に設置する水道配管等の配管方法であって、直管よりなる主管部と、主管部の途中から突設された分岐管部とからなる分岐管を予め製作し、水道配管等の施工現場において分岐管の分岐管部を必要長さに切断した後、建造物等の水道配管等に管継手を介して接続したものである。
【0010】
前記方法により、管継手による接続個所が少なくできるため、配管作業の能率が向上する上、管継手を大量に使用する配管にあっては、部品コストの大幅な削減が図れると共に、使用する管継手の数が少なくなる分配管後の検査個所を少なくできるため、検査に要する工数の削減も図れるようになる。
また分岐管を使用することにより、大口径の主管から小口径の分岐管に径を変換する場合でもアダプタを使用する必要がなくなるため、アダプタや管継手等の部品点数を削減でき、これによって部品コストを低減できると共に、配管が水道管等のように保温を必要とする場合、手間のかかる管継手部分の保温材取り付け作業が減少するため、作業工数の削減が図れる上、使用する管継手の数量が少なくなることによって、配管資材の管理や施工現場への運搬にかかる経費の削減も図れるようになる。
【0011】
本発明の配管用分岐管は、建造物等に設置された水道配管等の配管に使用する配管用分岐管あって、直管よりなる主管部と、主管部の途中から突設された分岐管部とからなり、水道配管等の施工現場において分岐管の分岐管部を必要長さに切断した後、建造物等の水道配管等に管継手を介して接続したものである。
【0012】
前記構成により、管継手による接続個所が少なくできるため、配管作業の能率が向上する上、管継手を大量に使用する配管にあっては、部品コストの大幅な削減が図れると共に、使用する管継手の数が少なくなる分配管後の検査個所を少なくできるため、検査に要する工数の削減も図れるようになる。
また分岐管を使用することにより、大口径の主管から小口径の分岐管に径を変換する場合でもアダプタを使用する必要がなくなるため、アダプタや管継手等の部品点数を削減でき、これによって部品コストを低減できると共に、配管が水道管等のように保温を必要とする場合、手間のかかる管継手部分の保温材取り付け作業が減少するため、作業工数の削減が図れる上、使用する管継手の数量が少なくなることによって、配管資材の管理や施工現場への運搬にかかる経費の削減も図れるようになる。
【0013】
本発明の配管用分岐管は、分岐管部の切断後、接続に使用する管継手の種類に応じて端部を加工したものである。
【0014】
前記構成により、配管に使用する管継手の種類が変った場合でも、容易に対応することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の配管方法及び配管用分岐管によれば、管継手による接続個所が少なくできるため、配管作業の能率が向上する上、使用する管継手の数が少なくなる分配管後の検査個所を少なくできるため、検査に要する工数の削減も図れると共に、分岐管を使用することにより、大口径の主管から小口径の分岐管に径を変換する場合でもアダプタを使用する必要がなくなるため、アダプタや管継手等の部品点数を削減でき、これによって部品コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施の形態を、図面を参照して詳述する。
図1は配管方法に使用する分岐管の側面図、図2は分岐管を加工した状態の側面図、図3は分岐管を使用して配管した例を示す側面図である。
図1は例えばマンション等の建造物に設置する水道配管に使用する分岐管1を示すもので、水道配管の主管2と同口径の主管部1aと、主管部1aの途中から分岐された分岐管部1bとからなり、分岐管部1bは、主管2より分岐する分岐管3と同口径となっている。
水道配管の主管2と分岐管3は、耐食性に優れた例えばステンレス薄肉管が使用されていて、主管2と分岐管3の接続に使用する分岐管1も同様なステンレス薄肉管が使用されていると共に、分岐管1の主管部1aと分岐管部1bは、予め工場において溶接されている。
分岐管部1bの長さLは、配管に使用する種々の管継手4に対応できるように予め長めとなっており、主管部1aの両端側には、配管に使用する管継手4の使用に応じて環状溝1cが予め工場でグルービング加工されている。
【0017】
次に前記分岐管1を使用して建造物に水道配管を配管する方法を説明すると、工場において予め製作した分岐管1を、配管に必要な数量施工現場へと搬送し、施工現場や使用する管継手4に応じて分岐管部1bの加工を行う。
すなわち分岐管1bの長さLは、施工現場において必要長さに切断できるように、予め必要長さより長めに形成されているので、接続する主管2の中心から分岐管3の中心までの距離と、使用する管継手4の種類及び分岐部1bと分岐管3を接続する例えばエルボのような継手5の規格寸法に応じて分岐管部1bの長さL1を計算し、その長さL1に分岐管部1bを切断したら、切断側の端部に、管継手4に応じた環状溝1dをグルービング加工する。
環状溝1dのグルービング加工には、ロールグルーバと称する転造溝付け機を使用するが、その方法は従来と同様なので説明は省略する。
【0018】
分岐管部1bの端部に環状溝1dを形成したら、管継手4を使用して分岐管部1bと継手5を接続し、継手5と分岐管3を図3に示すように接続するもので、分岐管1を使用することにより管継手4で接続する個所が従来の配管方法に比べて少なくとも1個所減少するので、配管作業に要する工数が半減でき、これによって配管作業の高能率化が図れるようになる。
また主管2より分岐する分岐管3が複数個所ある場合は、前記配管作業を繰り返し行うと共に、主管2や分岐管3を壁面や天井面に沿って配管する場合は、管継手4より所定距離離間した位置を吊り金具(図示せず)で壁面や天井面に固定するが、予め主管部1aに分岐管部1bが溶接された分岐管1を使用することにより、管継手4の数量が減少することから、使用する吊り金具の数量や固定に要する工数の削減が図れるようになる。
【0019】
以上は主管2と同口径の主管部1aより分岐管3と同口径の分岐管部1bを突設した分岐管1を使用して建造物の水道配管を配管する方法について説明したが、図4に示す変形例のように主管部1aより複数の分岐管部1bを突設したヘッダ型の分岐管1を使用してもよく、また図5及び図6に示す変形例のように、使用する管継手4に応じて分岐管部1bの端部にねじ1dを形成したり、袋ナット6を取り付けてもよい。
【0020】
なお前記実施の形態では水道配管を例にして説明したが、水道配管に限らず給湯配管や冷暖房配管、プラント配管等の配管にも適用できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明の配管方法及び配管用分岐管は、管継手による接続個所が少なくできるため、配管作業の能率が向上する上、使用する管継手の数が少なくなる分配管後の検査個所を少なくできるため、検査に要する工数の削減も図れると共に、分岐管を使用することにより、大口径の主管から小口径の分岐管に径を変換する場合でもアダプタを使用する必要がなくなるため、ビル等の建造物内に設置する水道管等の配管方法及び配管用分岐管に最適である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態になる配管方法に使用する分岐管の側面図である。
【図2】本発明の実施の形態になる配管方法に使用するため加工した分岐管の側面図である。
【図3】本発明の実施の形態になる配管方法により配管された水道配管の側面図である。
【図4】本発明の実施の形態になる配管用分岐管の変形例を示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態になる配管用分岐管の変形例を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態になる配管用分岐管の変形例を示す説明図である。
【図7】従来の配管方法により配管された水道配管等の説明図である。
【符号の説明】
【0023】
1 分岐管
1a 主管部
1b 分岐管部
2 主管
3 分岐管
4 管継手

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物等に設置する水道配管等の配管方法であって、直管よりなる主管部と、前記主管部の途中から突設された分岐管部とからなる分岐管を予め製作し、前記水道配管等の施工現場において前記分岐管の前記分岐管部を必要長さに切断した後、前記建造物等の水道配管等に管継手を介して接続することを特徴とする配管方法。
【請求項2】
建造物等に設置された水道配管等の配管に使用する配管用分岐管あって、直管よりなる主管部と、前記主管部の途中から突設された分岐管部とからなり、前記水道配管等の施工現場において前記分岐管の分岐管部を必要長さに切断した後、前記建造物等の水道配管等に管継手を介して接続することを特徴とする配管用分岐管。
【請求項3】
前記分岐管部の切断後、接続に使用する前記管継手の種類に応じて端部を加工してなる請求項2に記載の配管用分岐管。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−22842(P2006−22842A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−199076(P2004−199076)
【出願日】平成16年7月6日(2004.7.6)
【出願人】(598007274)ジャパン・エンヂニアリング株式会社 (9)
【Fターム(参考)】