説明

配線の固定構造,画像形成装置

【課題】振動を伴って駆動される駆動部を該駆動部と係合することにより支持する支持部を備えた電子機器において,上記駆動部動作時における振動により生じるガタツキを軽減すること,及びこれにより騒音や振動を低減することができ,配線のために専用の部材を設けずに安価に線材を固定することのできる配線の固定構造を提供することにある。
【解決手段】電子機器内に配線される線材を固定するための配線の固定構造であって,上記電子機器に,振動を伴って駆動される駆動部及び該駆動部と係合することにより該駆動部を支持する支持部が設けられてなり,上記線材が,上記駆動部と上記支持部との間に形成された間隙に挟み込まれることにより固定されることを特徴とする配線の固定構造として構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,電子機器内に配線される線材を固定するための配線の固定構造及びそれを備えた画像形成装置に関し,特に,専用部材を設けることなく線材を固定することのできる配線の固定構造及びそれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来,電子機器内に配線される線材を適切な位置に固定するための構造としては,専用の部材を新たに設けることによって線材を固定するものが一般的であった。
特許文献1に記載の画像形成装置は,排気ファンを取り付けたダクトに半円筒状の専用ダクトが設けられている。この専用ダクトは,その上に線材を載置することによって,上記専用ダクト上に載置された線材が滑り落ちないような構造になっている。
【特許文献1】特開2003−162189号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら,特許文献1に記載の画像形成装置は,配線のために専用の部材を新たに設けるので,コストがかかるという問題があった。
一方,画像形成装置などの電子機器には,ファンなどの振動を伴って駆動される駆動部が通常設けられる。このような駆動部の固定構造としては,ネジ止めでの固定ではなく,上記駆動部を支持する支持部に係合されるだけで固定される場合がある。しかし,上記のような係合のみによる固定の場合,上記駆動部と上記支持部の係合部の寸法公差により,上記駆動部動作時における振動によってガタツキが生じる,またそれにより騒音や振動が生じるという問題があった。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,振動を伴って駆動される駆動部を該駆動部と係合することにより支持する支持部を備えた電子機器において,上記駆動部動作時における振動により生じるガタツキを軽減すること,及びこれにより騒音や振動を低減することができ,配線のために専用の部材を設けずに安価に線材を固定することのできる配線の固定構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために本発明は,電子機器内に配線される線材を固定するための配線の固定構造であって,上記電子機器に,振動を伴って駆動される駆動部及び該駆動部と係合することにより該駆動部を支持する支持部が設けられてなり,上記線材が,上記駆動部と上記支持部との間に形成された間隙に挟み込まれることにより固定されることを特徴とする配線の固定構造として構成されている。
一般的な線材の一例としては,例えばすずや軟銅などの芯材と,例えば塩化ビニルやポリエチレンなどの弾性を備えた部材であり上記芯材を覆う被覆部とを備えて構成されている。
従って,このように構成された上記配線の固定構造では,上記線材が上記駆動部と上記支持部との間に形成された間隙に挟み込まれることにより,上記駆動部と上記線材とが当接し,線材の被覆部の弾性機能により駆動部が弾性的に支持される。この弾性機能によって上記駆動部の振動の伝達が抑制される。また,上記電子機器内に設けられた駆動部と支持部の間のガタも,上記弾性体である線材が充填されることで解消される。
また,上記駆動部及び上記支持部には組み付け状態において互いに対向する平坦状の面が設けられてなり,上記線材が上記平坦状の面間に挟み込まれることにより,固定されることがのぞましい。
上記線材が上記平坦状の面間に挟み込まれることは,線材が線と線との間,点と点との間,或いは角部に挟み込まれる場合に比べて,上記線材にかかる圧力が分散されることになるので,上記線材が変形,破損する可能性が低いからである。
一方,上記駆動部が,所定のモータによって回転駆動されるファンであることが考えられる。
上記配線の固定構造は,ファンが備えられているパソコンなどの電子機器や,画像形成装置などにも適用可能である。
【発明の効果】
【0005】
電子機器に振動を伴って駆動される駆動部が設けられる場合に,該駆動部が,これと係合することにより支持する支持部によって支持される場合がある。本発明は,このような場合に,上記駆動部動作時における振動により生じるガタツキを軽減すること,及びこれにより騒音や振動を低減することができ,配線のために専用の部材を設けずに安価に線材を固定することのできる配線の固定構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施の形態に係る配線の固定構造が採用された画像形成装置Xの斜視図,図2は本発明の実施の形態に係る配線の固定構造が採用された画像形成装置Xの断面図,図3は本発明の実施の形態に係る配線の固定構造が採用された画像形成装置Xの本体側面の配線前後の断面図,図4は配線後の係合されたダクト20とファンケース10との斜視図,図5は本発明の実施の形態に係る配線の固定構造が採用された画像形成装置Xのダクト20の斜視図である。
なお,図1及び図3(b)は,説明のため,ファン羽根部14Bは省略している。
【0007】
まず,図1,図2,図3を用いて,本発明の実施の形態に係る配線の固定構造が採用された画像形成装置Xの概略構成について簡単に説明する。
図2に示すように,画像形成装置Xは,大別して,給紙部K,画像形成部G,定着部Tが設けられている。
さらに,図3に示すように,上記画像形成部Gに備えられている後記の現像部Z近傍で,当該画像形成装置X本体側面には,上記現像部Z近傍の温度を冷却するためのファン14を収容したファンケース10と,上記ファンケース10と係合することにより上記ファンケース10を支持するダクト20と,上記給紙部Kや上記画像形成部Gを統括的に制御する制御部である制御基板1と,後記のソレノイド3やクラッチC1,C3,C4やモータなどを電気的に接続する線材S(S1,S2,S3,S4)と,これらの構成要素が入った箱状の構造物である筐体2とが備えられている。上記ファンケース10及びダクト20については,後ほど詳しく説明する。
【0008】
上記線材Sは,例えばすずや軟銅などの芯材と,例えば塩化ビニルやポリエチレンなどの弾性を備えた部材であり上記芯材を覆う被覆部とを備えて構成されている。上記線材Sは,自在に曲げることができる。
また,画像形成装置Xの本体上面には,不図示の操作入力部が設けられている。上記操作入力部は,利用者によって操作される情報入力手段であり,操作ボタンや,液晶タッチパネル等により構成されている。
【0009】
図2に示すように,上記給紙部Kは,上記画像形成装置Xの本体の下方に,予め定められた大きさの複数の記録紙を収納する給紙カセット30と,該給紙カセットに収納された記録紙の給紙を行う給紙ローラ32と,該給紙ローラ32により給紙された記録紙を分離する分離ローラ33(分離ローラ33−1,33−2)と,上記給紙ローラ32及び上記分離ローラ33を回転させるモータのクラッチC1(不図示)と,該給紙カセット30の上方にあり不定型の記録紙を給紙する手差しトレイ31と,該手差しトレイ31に載置された記録紙の給紙を行う手差し用給紙ローラ34と,該手差し用給紙ローラ34を回転させるモータ(後記の給紙モータ46)のクラッチであるソレノイド3(図3参照)と,上記分離ローラ33や上記手差し用給紙ローラ34により搬送された記録紙を搬送する中間搬送ローラ35と,該中間搬送ローラ35を回転させるモータ(後記の給紙モータ46)のクラッチC3(不図示)と,レジストローラ36(レジストローラ36−1,36−2)と,該レジストローラ36を回転させるモータ(後記の給紙モータ46)のクラッチC4(不図示)と,上記各ローラを回転駆動させる給紙モータ46(図1参照)とにより構成されている。
上記レジストローラ36は,後記の感光体ドラム37の表面に形成されたトナー画像の先端部(画像形成開始部)と記録紙の先端部とが同期するように記録紙を搬送するローラである。
【0010】
上記画像形成部Gは,静電潜像を担持する感光体ドラム37と,該感光体ドラム37の表面を一様に帯電させる帯電部と,上記感光体ドラム37上にレーザービームを照射して静電潜像を形成するレーザースキャナユニット38と,上記静電潜像に現像剤に含まれるトナーを付着させてトナー像を上記感光体ドラム37の表面に形成する現像部Zと,転写後の上記感光体ドラム37をクリーニングするクリーニング部と,転写後の上記感光体ドラム37に残留する電位を除去する除電部と,上記感光体ドラム37や上記現像部Zに備えられている後記の現像ローラ39や供給ローラ40や撹拌ローラ41を回転駆動させるドラムモータ45(図1参照)とを備えて構成されている。
【0011】
上記現像部Zは,現像剤を表面に担持する現像ローラ39と,現像剤を撹拌し上記現像ローラ39に現像剤を供給する供給ローラ40と,現像剤を撹拌し上記供給ローラ40に現像剤を供給する撹拌ローラ41と,現像剤を補給する入口である現像剤補給口42と,現像剤を収容する現像剤収容部43と,該現像剤収容部44に収容されたトナーを上記現像剤補給口に搬送する搬送ローラ44とを備えて構成されている。
【0012】
続いて,上記画像形成装置Xで実行される画像形成処理について簡単に説明する。
利用者により上記画像形成装置Xに通信可能に接続されているパーソナルコンピュータなどの情報処理装置から画像の出力操作がなされると,上記給紙カセット30に収納されている記録紙が,上記給紙ローラ32により給紙され,上記分離ローラ33により1枚ずつ分離される。上記分離ローラ33により分離された記録紙は,上記中間搬送ローラ35により上記レジストローラ36まで搬送される。上記中間搬送ローラ35により搬送された記録紙は,更に,上記レジストローラ36により画像形成開始位置まで搬送される。
一方,不定型の記録紙などに画像形成を行う場合には,手差しトレイ31による給紙が行われる。利用者により上記操作入力部から所定の入力操作がなされると,手差し給紙トレイ31に載置されている記録紙が,上記手差し用給紙ローラ34により給紙され,上記中間搬送ローラ35により上記レジストローラ36まで搬送される。上記中間搬送ローラ35により搬送された記録紙は,更に,上記レジストローラ36により画像形成開始位置まで搬送される。
【0013】
利用者により,上記情報処理装置に画像の出力操作がなされると,上記情報処理装置から上記画像形成装置Xに画像情報信号(ディジタル画像データ)が送信される。送信された画像情報信号は,上記画像形成装置Xにおいて所定の画像処理がなされてレーザスキャナユニット38に入力される。その後,このレーザスキャナユニット38から画像処理後の画像データに従ったレーザビームが感光体ドラム37表面に出射される。
上記現像部Zで上記搬送ローラ44によって上記現像剤補給口42を通して上記現像剤収容部43から搬送されたトナーは,上記撹拌ローラ41が上記ドラムモータ45によって回転駆動されることにより,上記供給ローラ40に供給される。上記供給ローラ40は,上記ドラムモータ45によって回転駆動されることにより,上記現像ローラ39にトナーを供給する。
続いて,上記現像ローラ39がドラムモータ45により回転され,該現像ローラ39表面に形成されたトナーの薄層が上記感光体ドラム37表面に接触する。上記感光体ドラム37は,上記現像ローラ39が回転するのと同期して上記ドラムモータ45により回転される。これにより,上記感光体ドラム37表面上の静電潜像に帯電したトナーが付着されて,トナー画像が形成される。上記感光体ドラム37は上記ドラムモータ45により引き続き回転され,上記トナー画像は上記感光体ドラム37に圧接される転写ローラにより上記レジストローラ36により搬送された記録紙に転写される。上記転写ローラよりも上記感光体ドラム37の回転方向下流側には,クリーニング部が配置されており,上記感光体ドラム37の表面上に残留したトナーや他の付着物が除去される。上記クリーニング部よりも上記感光体ドラム37の回転方向下流側には,除電部が設けられており,上記感光体11に残留する電位が除去される。上記記録紙に転写されたトナー像は,上記定着部Tの定着ローラにより熱を加えられ,記録紙に定着する。
【0014】
次に,上記ファンケース10と上記ダクト20について詳しく説明する。
上記ファンケース10は,図4に示すように,四角形状のファンケース底部11と,上記ファンケース底部11と同じ大きさの四角形であり,円状の開口部が形成されたフランジ部12と,上記ファンケース底部11とフランジ部12とをつなぐファンケース側面部13(ファンケース側面部13A,13B,13C,13D)と,ファン14(ファン軸部14A,ファン羽根部14B)とを備えて構成されている。上記ファン14は,トナーの撹拌などにより発生した熱により上昇した上記現像部Z近傍の温度を冷却させるための送風器である。上記ファン14は,ファン軸部14Aとファン羽根部14Bとが一体となり,略扇形の羽根状のファン羽根部14Bが上記ファン軸部14Aの周りに設けられている。上記ファン軸部14Aが不図示のモータにより回転駆動される。上記ファン軸部14Aが不図示のモータにより回転駆動されると,上記ファン軸部14Aと一体となっているファン羽根部14Bも回転駆動され,上記現像部Zに送風される。このようなファン14は,振動を伴って駆動される駆動部の一例である。
上記ファンケース底部11には,上記ダクト20と係合するための係止孔15(係止孔15A1,15A2)が形成されている。
上記ファンケース側面部13は,図4に示すように,ファンケース側面部13A,13B,13C,13D(図4では後記のダクト側面部23Dにより見えない)からなる。
【0015】
上記ダクト20は,図5に示す如く,上記ファンケース10の上記ファンケース底部11を支持するダクト底部21と,ダクト側面部23とを備えて構成されている。このようなダクト20は,支持部の一例である。
上記ダクト側面部23は,図5において,上記ダクト側面部23の中で1番面積の大きいダクト側面部23D,上記ダクト側面部23Dの時計方向隣の面のダクト側面部23C,上記ダクト側面部23Dと平行なダクト側面部23B2,23B1からなる。上記ファンケース10と,上記ダクト20とが図4に示すように係合され,上記筐体2に組み付けられると,上記ファンケース側面部13Bの平坦状の面と上記ダクト側面部23B1及び23B2の平坦状の面とが対向する。また,上記ファンケース側面部13Cの平坦状の面と上記ダクト側面部23Cの平坦状の面とが対向する。さらに,上記ファンケース側面部13Dの平坦状の面と上記ダクト側面部23Dの平坦状の面とが対向する。
上記ダクト底部21には,上記ファンケース底部11に形成された係止孔15と係合する係止突起25(係止突起25A1,25A2)が形成されている。上記係止孔15A1と上記係止突起25A1とが係合し,上記係止孔15A2と上記係止突起25A2とが係合することで,上記ファンケース10が上記ダクト20に位置決め固定される。
上記ダクト側面部23には,上記ファンケース側面部13の上端に引っ掛けることにより上記ファンケース10を上記ダクト20に係止する係止つまみ22が形成されている。上記ダクト側面部23は,上記ファンケース10に上記ダクト20を係止するためにたわむことが可能な弾性部材である。
上記係止つまみ22は,上記ダクト側面部23B1に形成されている係止つまみ22B1,上記ダクト側面部23B2に形成されている係止つまみ22B2,上記ダクト側面部23Cに形成されている係止つまみ22C,上記ダクト側面部23Dに形成されている係止つまみ22D1及び22D2からなる。
図4に示す組み立て状態において,上記係止つまみ22B1及び22B2は,上記ファンケース側面部13Bの上端に係止され,上記係止つまみ22Cは,上記ファンケース側面部13Cの上端に係止され,上記係止つまみ22D1及び22D2は,上記ファン側面部23Dの上端に係止される。これにより,上記ファンケース10が上記ダクト20から脱落しなくなる。
【0016】
図3(a)のように,上記ファンケース10と上記ダクト20が係合して上記筐体2に組み付けられる。
係合された上記ファンケース10と上記ダクト20との間に,クッション材が装着されていないと,上記係止孔15と上記係止突起25との寸法公差により,上記ファンケース10の上記ファン14が駆動されると,上記ファンケース10が振動し,上記ファンケース底部11に対して垂直方向(図3,図4においてP1方向),或いはそれに直角の方向のガタツキが生じる。このガタツキは,後記する配線により吸収される。
なお,ここでは,上記ファンケース10には係止孔15,上記ダクト20には係止突起25が形成されているが,上記ファンケース10に係止突起,上記ダクト20に該係止突起と係合する係止孔が形成されてもかまわない。
【0017】
続いて,上記画像形成装置X内の配線について説明する。
図3(a)は配線前,図3(b)は配線後の断面図である。
上述の様に,現像部Zは発熱するため,上記現像部Z近傍の画像形成装置X本体の側面には,上記のようなファン14が設置されることが多い。更に,上記現像部Z及び上記ファン14の下方には上記給紙ローラ32,上記分離ローラ33,上記手差し用給紙ローラ34,上記中間搬送ローラ35,上記レジストローラ36が配置されることから,上記給紙ローラ32及び上記分離ローラ33を回転させるモータ(上記給紙モータ46)のクラッチC1,上記中間搬送ローラ35を回転させるモータ(上記給紙モータ46)のクラッチC3,該レジストローラ36を回転させるモータ(上記給紙モータ46)のクラッチC4が設置されることが多い。一方,上記制御基板1と,上記クラッチC1,C3,C4,上記ソレノイド3とは,必ず線材Sで接続される。これらを有効に活用して,上記制御基板1から上記クラッチC1,C3,C4,上記ソレノイド3に接続される線材Sを,上記ファン14が収容されるファンケース10と,上記ファンケース10と係合して該ファンケース10を支持するダクト20との間に形成される間隙に挟み込みクッション材として用いる。
具体的には,図3(b),図4に示すように,上記画像形成装置Xの内部に配線される線材の一例である線材S1は,上記制御基板1から上記ファンケース側面部13Aの外側を通り,上記ファンケース側面部13Bの平坦状の面と上記ダクト側面部23B1の平坦状の面との間,上記ファンケース側面部13Bの平坦状の面と上記ダクト側面部23B2の平坦状の面との間に形成された間隙に挟み込まれることにより固定され,上記クラッチC1に接続される。
線材S2は,上記線材S1同様,上記制御基板1から上記ファンケース側面部13Aの外側を通り,上記ファンケース側面部13Bの平坦状の面と上記ダクト側面部23B1の平坦状の面との間,上記ファンケース側面部13Bの平坦状の面と上記ダクト側面部23B2の平坦状の面との間に形成された間隙に挟み込まれる。上記線材S2は,上記線材S1よりも上記ファンケース底部11側に挟み込まれることにより固定され,上記ソレノイド3に接続される。
線材S3及びS4は,上記制御基板1から上記ファンケース側面部13Dの平坦状の面と上記ダクト側面部23Dの平坦状の面との間に形成された間隙に挟み込まれることにより固定される。さらに,上記ファンケース側面部13Cの平坦状の面と上記ダクト側面部23Cの平坦状の面との間に形成された間隙に挟み込まれることにより固定され,上記クラッチC3及びC4に接続される。上記線材S4は,上記線材S3よりも上記ファンケース底部11側に挟み込まれる。
このように,上記線材Sは,上記ファンケース10の上記ファンケース側面部13の平坦状の面と上記ダクト20の上記ダクト側面部23の平坦状の面との間に形成された間隙に挟み込まれることにより固定される。
なお,図3(b),図4において,上記線材S1,S2,S3,S4は,説明のために,それぞれ1本の線で記載しているが,実際は,2本の線材が1組となって配線されている。
【0018】
上述の様に,上記ダクト側面部23は,図4に示す組み付け状態において,上記ファンケース側面部13と平行に,且つ共に平面部同士対向して接するので,上記線材Sを上記ファンケース側面部13との該ダクト側面部23との間に挟みこむのに好適である。
すなわち,上記線材Sを上記平坦状の面間(上記ファンケース側面部13と上記ダクト側面部23との間)に挟み込ませると,線材が線と線との間,点と点との間,或いは角部に挟み込まれる場合に比べて,上記線材Sにかかる圧力が分散されることになるので,上記線材が変形,破損する可能性が低い。
上記のように,上記線材Sが,上記ファンケース10と上記ダクト20の組み付け状態において互いに対向する平坦状の面間に挟みこまれることにより,上記ファンケース側面部13Bの平坦状の面と上記線材S1及びS2,上記ダクト側面部23B1の平坦状の面と上記線材S1及びS2,上記ファンケース側面部13Dの平坦状の面と上記線材S3及びS4,上記ダクト側面部23Dの平坦状の面と上記線材S3及びS4とがそれぞれ当接し,線材Sの被覆部の弾性機能によりファンケース10が弾性的に支持される。この弾性機能によって上記ファンケース10に収容されるファンの振動の伝達が抑制される。そして,上記画像形成装置X内に設けられた上記ファンケース10と上記ダクト20の間の上記ファンケース底部11に対して垂直方向(図3,図4においてP1方向),或いはそれに直角の方向のガタが,上記弾性体である線材Sが上記ファンケース10と上記ダクト20との間隙に充填されることで解消される。これにより,ガタツキにより生じていた騒音が低減される。
さらに,上記線材Sは,上記ファンケース10と上記ダクト20との間に形成された間隙に挟み込まれることにより固定されるので,上記線材Sを固定するための専用の部材を設ける必要がない。そのため,上記線材Sを固定するための専用の部材を新たに設けている従来の配線の固定構造と比べて,安価である。
【0019】
なお,本実施の形態では,画像形成装置に備えられた配線の固定構造を例に挙げて説明したが,これに限らず,パソコンなどの他の電子機器にも適用可能である。
また,本実施の形態では,ファンケースとダクトに線材を挟み込む配線の固定構造について説明したが,一例であり,振動を伴って駆動される駆動部を該駆動部と係合することにより支持する支持部を備えた電子機器において線材を挟み込む配線の固定構造であれば,この限りではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に係る配線の固定構造が採用された画像形成装置Xの斜視図。
【図2】本発明の実施の形態に係る配線の固定構造が採用された画像形成装置Xの断面図。
【図3】本発明の実施の形態に係る配線の固定構造が採用された画像形成装置Xの本体側面の配線前後の断面図。
【図4】配線後の係合されたダクト20とファンケース10との斜視図。
【図5】本発明の実施の形態に係る配線の固定構造が採用された画像形成装置Xのダクト20の斜視図。
【符号の説明】
【0021】
1…制御基板
2…筐体
3…ソレノイド
10…ファンケース
11…ファンケース底部
12…フランジ部
13…ファンケース側面部
14…ファン
15…係止孔
20…ダクト
21…ダクト底部
23…ダクト側面部
25…係止突起
30…給紙カセット
31…手差しトレイ
32…給紙ローラ
33…分離ローラ
34…手差し用給紙ローラ
35…中間搬送ローラ
36…レジストローラ
37…感光体ドラム
38…レーザースキャナユニット
39…現像ローラ
40…供給ローラ
41…撹拌ローラ
42…現像剤補給口
43…現像剤収容部
44…搬送ローラ
45…ドラムモータ
46…給紙モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器内に配線される線材を固定するための配線の固定構造であって,
上記電子機器に,振動を伴って駆動される駆動部及び該駆動部と係合することにより該駆動部を支持する支持部が設けられてなり,
上記線材が,上記駆動部と上記支持部との間に形成された間隙に挟み込まれることにより固定されることを特徴とする配線の固定構造。
【請求項2】
上記駆動部及び上記支持部には組み付け状態において互いに対向する平坦状の面が設けられてなり,上記線材が上記平坦状の面間に挟み込まれることにより,固定されてなる請求項1に記載の配線の固定構造。
【請求項3】
上記駆動部が,所定のモータによって回転駆動されるファンである請求項1又は2のいずれかに記載の配線の固定構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の配線の固定構造を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−193078(P2007−193078A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−10823(P2006−10823)
【出願日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】