説明

配線回路基板およびその製造方法ならびに燃料電池

【課題】導体層の腐食が防止された配線回路基板およびその製造方法ならびに燃料電池を提供する。
【解決手段】FPC基板1は、ベース絶縁層2、導体層30およびめっき層20を備える。導体層30は、所定のパターンを有しかつ主面E1,E2および側面E3を有する。めっき層20は導電性かつ耐食性を有する。めっき層20は導体層30の主面E1,E2および側面E3に形成される。導体層30は、主面E1とベース絶縁層2との間にめっき層20が介在するようにベース絶縁層2上に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線回路基板およびその製造方法ならびに配線回路基板を備えた燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等のモバイル機器には、小型でかつ高容量の電池が求められる。そこで、リチウム二次電池等の従来の電池に比べて、高エネルギー密度を得ることが可能な燃料電池の開発が進められている。燃料電池としては、例えば直接メタノール型燃料電池(Direct Methanol Fuel Cells)がある。
【0003】
直接メタノール型燃料電池では、メタノールが触媒によって分解され、水素イオンが生成される。その水素イオンと空気中の酸素とを反応させることにより電力を発生させる。この場合、化学エネルギーを極めて効率よく電気エネルギーに変換することができ、非常に高いエネルギー密度を得ることができる。
【0004】
特許文献1には、アノード、カソードおよび電解質膜からなる電極膜接合体が絶縁フィルム上のアノード集電体およびカソード集電体間に配置された燃料電池が記載されている。アノードとアノード集電体とは電気的に接触し、カソードとカソード集電体とは電気的に接触している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−123441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されている燃料電池においては、アノード集電体に形成された孔を通って燃料がアノードに供給される。しかしながら、アノード集電体およびカソード集電体に長時間燃料が接触すると、アノード集電体およびカソード集電体が腐食するため、集電効率が低下する。
【0007】
本発明の目的は、導体層の腐食が防止された配線回路基板およびその製造方法ならびに配線回路基板を備えた燃料電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)第1の発明に係る配線回路基板は、絶縁層と、所定のパターンを有しかつ第1および第2の主面ならびに側面を有する導体層と、第1および第2の主面ならびに側面に形成された導電性かつ耐食性の被覆層とを備え、導体層は、第1の主面と絶縁層との間に被覆層が介在するように絶縁層上に設けられるものである。
【0009】
この配線回路基板においては、所定のパターンを有する導体層の第1および第2の主面ならびに側面に導電性かつ耐食性の被覆層が形成される。また、導体層は、第1の主面と絶縁層との間に被覆層が介在するように絶縁層上に設けられる。これにより、被覆層により導体層の導電性を保ちつつ、導体層の第1および第2の主面ならびに側面に腐食が発生することが防止される。
【0010】
(2)導体層は、銅を含み、被覆層は、蟻酸に対して銅よりも高い耐食性を有してもよい。これにより、配線回路基板が蟻酸に接触する場合でも、被覆層により導体層に腐食が発生することが防止される。したがって、配線回路基板を燃料電池の電極として用いることができる。
【0011】
(3)被覆層は、銀を含んでもよい。この場合、被覆層により導体層に腐食が発生することが十分に防止される。
【0012】
(4)絶縁層は、連続孔を有する多孔質材料を含んでもよい。この場合、絶縁層が通気性を有する。それにより、配線回路基板を燃料電池の電極として用いることが可能となる。また、燃料電池の副生成物が絶縁層の連続孔を通って絶縁層と導体層との間に浸入しても、被覆層により副生成物が導体層に付着することが防止される。その結果、導体層に腐食が発生することが防止される。
【0013】
(5)第2の発明に係る燃料電池は、第1の発明に係る配線回路基板と、電池要素と、配線回路基板および電池要素を収容する筺体とを備えるものである。
【0014】
この燃料電池においては、第1の発明に係る配線回路基板および電池要素が筺体内に収容される。電池要素の電力は、配線回路基板を通して筺体の外部に供給される。
【0015】
配線回路基板においては、所定のパターンを有する導体層の第1および第2の主面ならびに側面に導電性かつ耐食性の被覆層が形成される。また、導体層は、第1の主面と絶縁層との間に被覆層が介在するように絶縁層上に設けられる。これにより、被覆層により導体層の導電性を保ちつつ、導体層の第1および第2の主面ならびに側面に腐食が発生することが防止される。したがって、燃料電池における電極の集電効率が低下しない。その結果、燃料電池の信頼性が向上するとともに長寿命化が実現される。
【0016】
(6)第3の発明に係る配線回路基板の製造方法の製造方法は、絶縁層を用意する工程と、所定のパターンを有しかつ第1および第2の主面ならびに側面を有する導体層を形成する工程と、導電性かつ耐食性の被覆層を導体層の第1および第2の主面ならびに側面に形成する工程と、第1の主面と絶縁層との間に被覆層が介在するように導体層を絶縁層の一面に接合する工程とを含むものである。
【0017】
この配線回路基板の製造方法においては、所定のパターンを有する導体層の第1および第2の主面ならびに側面に導電性かつ耐食性の被覆層が形成される。また、導体層は、第1の主面と絶縁層との間に被覆層が介在するように絶縁層の一面に接合される。これにより、被覆層により導体層の導電性を保ちつつ、導体層の第1および第2の主面ならびに側面に腐食が発生することが防止される。
【0018】
(7)被覆層を形成する工程は、導体層の第1および第2の主面ならびに側面にめっきにより被覆層を形成する工程を含んでもよい。この場合、導体層の第1および第2の主面ならびに側面に被覆層を容易に形成することができる。
【0019】
(8)導体層を絶縁層の一面に接合する工程は、導体層の第1の主面上の被覆層と絶縁層とを接着剤層を用いて貼り合わせる工程を含んでもよい。この場合、導体層の第1の主面上の被覆層を絶縁層の一面に確実に接合することができる。
【0020】
(9)被覆層と絶縁層とを接着剤層を用いて貼り合わせる工程は、接着剤層を導体層のパターンに対応するパターンを有するように加工する工程と、加工された接着剤層の一面を被覆層および絶縁層のうち一方に貼り付ける工程と、加工された接着剤層の他面を被覆層および絶縁層のうち他方に貼り付ける工程とを含んでもよい。
【0021】
この場合、接着剤層は導体層のパターンに対応するパターンを有するので、導体層から露出する絶縁層の領域には接着剤層が形成されない。これにより、配線回路基板のフレキシブル性の低下を防止することができる。また、絶縁層が多孔質材料を含む場合、絶縁層の通気性を確保することができる。
【0022】
(10)導体層を絶縁層の一面に接合する工程は、導体層の第1の主面上の被覆層と絶縁層とが接触する状態で導体層を絶縁層に押圧する工程を含んでもよい。
【0023】
この場合、接着剤層を用いることなく導体層を絶縁層の一面に接合することができる。これにより、少ない工程数で配線回路基板を製造することができる。また、配線回路基板のフレキシブル性の低下を防止することができる。さらに、絶縁層が多孔質材料を含む場合、絶縁層の通気性を確保することができる。
【0024】
(11)導体層は、銅を含み、被覆層は、蟻酸に対して銅よりも高い耐食性を有してもよい。これにより、配線回路基板が蟻酸に接触する場合でも、被覆層により導体層に腐食が発生することが防止される。したがって、配線回路基板を燃料電池の電極として用いることができる。
【0025】
(12)被覆層は、銀を含んでもよい。この場合、被覆層により導体層に腐食が発生することが十分に防止される。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、導体層の腐食が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】(a)は第1の実施の形態に係るFPC基板の製造方法により製造されるFPC基板の平面図であり、(b)は(a)のFPC基板のA−A線断面図である。
【図2】FPC基板の製造方法を説明するための工程断面図である。
【図3】FPC基板の製造方法を説明するための工程断面図である。
【図4】FPC基板の製造方法を説明するための工程断面図である。
【図5】FPC基板の製造方法を説明するための工程断面図である。
【図6】キャリア層、第1の積層体、位置合わせ部材および第2の積層体の斜視図である。
【図7】キャリア層、第1の積層体、位置合わせ部材、第2の積層体および固定部材の断面図である。
【図8】第1の実施の形態に係るFPC基板を用いた燃料電池の外観斜視図である。
【図9】燃料電池内における作用を説明するための図である。
【図10】第2の実施の形態に係るFPC基板の製造方法を説明するための工程断面図である。
【図11】第3の実施の形態に係るFPC基板の製造方法を説明するための工程断面図である。
【図12】比較例1におけるFPC基板の製造方法を説明するための工程断面図である。
【図13】比較例1におけるFPC基板の製造方法を説明するための工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[1]第1の実施の形態
以下、図面を参照しながら本発明の第1の実施の形態に係る配線回路基板について説明する。なお、本実施の形態では、配線回路基板の例として、屈曲性を有するフレキシブル配線回路基板について説明する。
【0029】
(1)フレキシブル配線回路基板の構成
図1(a)は第1の実施の形態に係るフレキシブル配線回路基板の平面図であり、図1(b)は図1(a)のフレキシブル配線回路基板のA−A線断面図である。以下の説明においては、フレキシブル配線回路をFPC基板と略記する。
【0030】
図1(a)および図1(b)に示すように、FPC基板1は、例えば連続孔を有する多孔質性のePTFE(延伸ポリテトラフルオロエチレン)からなるベース絶縁層2を備える。そのため、ベース絶縁層2は通気性を有する。ベース絶縁層2は第1絶縁部2a、第2絶縁部2b、第3絶縁部2cおよび第4絶縁部2dからなる。第1絶縁部2aおよび第2絶縁部2bは、それぞれ矩形形状を有し、互いに隣接するように一体的に形成される。以下、第1絶縁部2aと第2絶縁部2bとの境界線に平行な辺を側辺と称し、第1絶縁部2aおよび第2絶縁部2bの側辺に垂直な一対の辺を端辺と称する。
【0031】
第3絶縁部2cは、第1絶縁部2aの1つの角部における側辺の一部から延出する。第4絶縁部2dは、第1絶縁部2aの上記角部の対角に位置する第2絶縁部2bの角部における側辺の一部から延出する。
【0032】
第1絶縁部2aと第2絶縁部2bとの境界線上にベース絶縁層2をほぼ二等分するように折曲部B1が設けられる。後述のように、ベース絶縁層2は、折曲部B1に沿って折曲可能である。折曲部B1は、例えば線状の浅い溝であってもよく、または、線状の印等でもよい。あるいは、折曲部B1でベース絶縁層2を折曲可能であれば、折曲部B1に特に何もなくてもよい。ベース絶縁層2を折曲部B1に沿って折曲する場合、第1絶縁部2aと第2絶縁部2bとが対向する。この場合、第3絶縁部2cと第4絶縁部2dとは対向しない。
【0033】
ベース絶縁層2の一面には、図1(b)の接着剤層7を介して、矩形の集電部3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3h,3i,3j、接続導体部3k,3l,3m,3nおよび引き出し導体部3o,3pが形成される。集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pは、後述するように、例えば銅が銀めっきされた構成を有する。
【0034】
集電部3a〜3jの各々は長方形状を有する。集電部3a〜3eは、第1絶縁部2aの端辺に沿って平行に延びかつ第1絶縁部2aの側辺方向に沿って設けられる。同様に、集電部3f〜3jは、第2絶縁部2bの端辺に沿って平行に延びかつ第2絶縁部2bの側辺方向に沿って設けられる。この場合、集電部3a〜3eと集電部3f〜3jとは、折曲部B1を中心として対称な位置に配置される。
【0035】
接続導体部3k〜3nは、折曲部B1をまたぐように第1絶縁部2aおよび第2絶縁部2bにわたって形成される。接続導体部3kは集電部3bと集電部3fとを電気的に接続し、接続導体部3lは集電部3cと集電部3gとを電気的に接続し、接続導体部3mは集電部3dと集電部3hとを電気的に接続し、接続導体部3nは集電部3eと集電部3iとを電気的に接続する。
【0036】
集電部3a〜3eの各々には、端辺方向に沿って複数(本例では4個)の開口H11が形成される。また、集電部3f〜3jの各々には、端辺方向に沿って複数(本例では4個)の開口H12が形成される。
【0037】
引き出し導体部3oは、集電部3aの外側の短辺から第3絶縁部2c上に直線状に延びるように形成される。引き出し導体部3pは、集電部3jの外側の短辺から第4絶縁部2d上に直線状に延びるように形成される。引き出し導体部3o,3pの先端部は、種々の外部回路の端子に電気的に接続可能である。この引き出し導体部3o,3pの先端部をそれぞれ引き出し電極5a,5bと称する。
【0038】
(2)FPC基板の製造方法
次に、図1に示したFPC基板1の製造方法を説明する。図2、図3、図4および図5は、FPC基板1の製造方法を説明するための工程断面図である。なお、図2〜図5は、図1のFPC基板1のA−A線から見た工程断面図である。
【0039】
まず、図2(a)に示すように、例えば銅からなる導体層30が用意される。導体層30は主面E1,E2を有する。導体層30の厚みは例えば35μmである。次に、図2(b)に示すように、レーザ加工により、導体層30が所定のパターンに形成される。レーザ加工に代えて、エッチングまたは金型を用いた打ち抜きにより導体層30が所定のパターンに形成されてもよい。
【0040】
続いて、図2(c)に示すように、所定のパターンを有する導体層30の主面E1,E2および側面E3にめっき層20が形成される。ここで、側面E3は導体層30の外周面および開口の内周面を含む。めっき層20は、蟻酸に対して導体層30よりも高い耐食性を有する。本実施の形態では、無電解銀めっきによりめっき層20が形成される。また、無電解銀めっきが行われる前にバリア層として図示しない無電解ニッケルめっきが行われる。このように、めっきにより導体層30の主面E1,E2および側面E3に被覆層を容易に形成することができる。
【0041】
所定のパターンを有する導体層30およびめっき層20により、図1の集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3n、引き出し導体部3o,3pおよび引き出し電極5a,5bが形成される。また、集電部3a〜3jに複数の開口H11,H12が形成される。なお、図2(c)には、集電部3c,3h、接続導体部3l、引き出し導体部3oおよび引き出し電極5aのみが示されている。このようにして形成された集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3n、引き出し導体部3o,3pおよび引き出し電極5a,5bからなる積層体を第1の積層体L1と呼ぶ。
【0042】
図2(a)〜図2(c)の第1の積層体L1の形成工程と並行して、図3(a)に示すように、接着剤層7およびキャリア層9が用意される。接着剤層7の一面および他面には、それぞれ剥離層7a,7bが設けられている。剥離層7a,7bの材料としては、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)が用いられる。キャリア層9の一面には粘着層9aが設けられている。キャリア層9の材料としては、例えばPETが用いられる。粘着層9aの材料としては、例えばアクリル系の接着剤が用いられる。
【0043】
次に、図3(b)に示すように、剥離層7aおよび粘着層9aを介して、接着剤層7とキャリア層9とが貼り合わされる。続いて、図3(c)に示すように、剥離層7bが接着剤層7から剥離される。
【0044】
その後、図3(d)に示すように、レーザ加工により、接着剤層7および剥離層7aが所定のパターンに形成される。レーザ加工に代えて、エッチングまたは金型を用いた打ち抜きにより接着剤層7および剥離層7aが所定のパターンに形成されてもよい。このようにして形成された接着剤層7、剥離層7a、粘着層9aおよびキャリア層9からなる積層体を第2の積層体L2と呼ぶ。第2の積層体L2の接着剤層7および剥離層7aのパターンは、図2(c)の第1の積層体L1のパターンと同じである。
【0045】
次に、図4(a)に示すように、図2(c)の第1の積層体L1および図3(d)の第2の積層体L2に加え、キャリア層8が用意される。キャリア層8の一面には粘着層8aが設けられている。キャリア層8の材料としては、例えばPETが用いられる。粘着層8aの材料としては、例えばアクリル系の接着剤が用いられる。
【0046】
続いて、図4(b)に示すように、第1の積層体L1の一面(導体層30の主面E1上のめっき層20の表面)が接着剤層7を介して第2の積層体L2と貼り合わされるとともに、第1の積層体L1の他面(導体層30の主面E2上のめっき層20の表面)が粘着層8aを介してキャリア層8と貼り合わされる。その後、図4(c)に示すように、第2の積層体L2から粘着層9aおよびキャリア層9とともに剥離層7aが剥離される。これにより、第1の積層体L1の他面に接着剤層7が残存する。
【0047】
次に、図5(a)に示すように、図1のベース絶縁層2が用意される。続いて、図5(b)に示すように、接着剤層7を介して第1の積層体L1の一面(導体層30の主面E1上のめっき層20の表面)にベース絶縁層2が貼り合わされる。その後、図5(c)に示すように、第1の積層体L1から粘着層8aおよびキャリア層8が除去される。これにより、FPC基板1が完成する。
【0048】
このように、第1の積層体L1は接着剤層7を介してベース絶縁層2の一面に貼り合わされる。これにより、導体層30の主面E1上のめっき層20をベース絶縁層2の一面に確実に接合することができる。
【0049】
また、接着剤層7は導体層30のパターンに対応するパターンを有するので、導体層30から露出するベース絶縁層2の領域には接着剤層7が形成されない。これにより、FPC基板1のフレキシブル性の低下を防止することができる。さらに、ベース絶縁層2の通気性を確保することができる。
【0050】
導体層30(図2(a)参照)の厚みは500μm以下であることが好ましく、1μm以上100μm以下であることがより好ましい。導体層30の厚みが500μm以下であると導体層30の取り扱い性が向上する。本例において導体層30の材料として銅が用いられるが、これに代えてニッケル、アルミニウム、銀もしくは金またはこれらの合金が用いられてもよい。
【0051】
本例において、めっき層20(図2(c)参照)の材料として銀が用いられるが、これに代えて白金、タングステン、チタン、ジルコニウム、金または銀が用いられてもよい。また、バリア層の材料としてニッケルが用いられるが、これに代えてニッケル銅が用いられてもよいし、バリア層は設けられなくてもよい。バリア層を設ける場合、バリア層の厚みは0.1μm以上10μm以下であることが好ましく、0.3μm以上8μm以下であることがより好ましく、0.3μm以上5μm以下であることがさらに好ましい。バリア層の厚みが0.1μm以上であると導体層30とめっき層20との間の密着性が向上し、バリア層の厚みが10μm以下であると導体層30とめっき層20との間の電気伝導率が向上する。
【0052】
接着剤層7(図3〜図5参照)の厚みは1μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上50μm以下であることがより好ましい。接着剤層7の厚みが1μm以上であると接着剤の接着力が向上し、接着剤層7の厚みが100μm以下であると接着剤層7の取り扱い性が向上する。
【0053】
キャリア層8,9(図4参照)の厚みは1μm以上500μm以下であることが好ましく、25μm以上250μm以下であることがより好ましい。キャリア層8,9の厚みが1μm以上であるとキャリア層8,9の取り扱い性が向上し、キャリア層8,9の厚みが500μm以下であるとキャリア層8,9のフレキシブル性が向上する。
【0054】
図4(b)の第1の積層体L1をキャリア層8および第2の積層体L2に貼り合わせる工程において、位置合わせ部材および固定部材を用いて第1の積層体L1がキャリア層8と第2の積層体L2との間で位置決めされてもよい。図6は、キャリア層8、第1の積層体L1、位置合わせ部材6aおよび第2の積層体L2の斜視図である。図7は、キャリア層8、第1の積層体L1、位置合わせ部材6a、第2の積層体L2および固定部材6bの断面図である。
【0055】
図6に示すように、位置合わせ部材6aは、開口H11,H12(図4参照)の部分を除いて第1の積層体L1の反転パターンを有する板状部材である。これにより、第1の積層体L1は、位置合わせ部材6aに嵌合可能である。位置合わせ部材6aの厚みは、第1の積層体L1の厚みと略等しい。これにより、第1の積層体L1が位置合わせ部材6aに嵌合された場合、第1の積層体L1の一面(導体層30の主面E1上のめっき層20の表面)と位置合わせ部材6aの一面とは同一平面上にあり、第1の積層体L1の他面(導体層30の主面E2上のめっき層20の表面)と位置合わせ部材6aの他面とは同一平面上にある。
【0056】
図7(a)に示すように、図4(a)のキャリア層8、第1の積層体L1および第2の積層体L2に加え、位置合わせ部材6aおよび固定部材6bが配置される。キャリア層8の一面には粘着層8aが設けられている。続いて、図7(b)に示すように、位置合わせ部材6aが固定部材6bにより第2の積層体L2上に固定される。固定部材6bは、例えばピンである。これにより、第2の積層体L2の接着剤層7が位置合わせ部材6aのパターンから露出する。
【0057】
次に、図7(c)に示すように、第1の積層体L1が第2の積層体L2上の位置合わせ部材6aに嵌合されるとともに、第1の積層体L1の一面(導体層30の主面E1上のめっき層20の表面)が位置合わせ部材6aから露出する接着剤層7を介して第2の積層体L2に貼り合わされる。これにより、第1の積層体L1が第2の積層体L2上で位置決めされる。続いて、粘着層8aを介してキャリア層8が第1の積層体L1の他面(導体層30の主面E2上のめっき層20の表面)に貼り合わされる。
【0058】
その後、固定部材6bが除去され、FPC基板の製造工程は図4(b)の工程に続く。なお、位置合わせ部材6aは、例えば図4(c)の工程の後に除去される。
【0059】
(3)FPC基板を用いた燃料電池
図8は、第1の実施の形態に係るFPC基板1を用いた燃料電池100の外観斜視図である。図9は、燃料電池100内における作用を説明するための図である。図9は、図8の燃料電池100のB−B線から見た断面図である。
【0060】
図8および図9に示すように、燃料電池100は直方体状のケーシング40を有する。図8では、ケーシング40を破線により示している。ケーシング40は、上面部41、下面部42、一方の側面部43および他方の側面部44を有する。図9には、残りの一対の側面部は図示されない。FPC基板1は、第1の積層体L1が形成された一面を内側にして折曲部B1に沿って折曲された状態でケーシング40の上面部41および下面部42により狭持される。
【0061】
FPC基板1の引き出し電極5a,5bは、ケーシング40の一方の側面部43から外側に引き出される。引き出し電極5a,5bには、種々の外部回路の端子が電気的に接続される。
【0062】
ケーシング40内において、複数(本実施の形態では5個)の電極膜35が、折曲されたFPC基板1の集電部3aと集電部3fとの間、集電部3bと集電部3gとの間、集電部3cと集電部3hとの間、集電部3dと集電部3iとの間、および集電部3eと被覆層集電部3jとの間にそれぞれ配置される(図1(a)参照)。これにより、複数の電極膜35が直列接続される。
【0063】
各電極膜35は空気極35a、燃料極35bおよび電解質膜35cからなる。空気極35aは電解質膜35cの一面に形成され、燃料極35bは電解質膜35cの他面に形成される。複数の電極膜35の空気極35aはFPC基板1の集電部3f〜3jにそれぞれ対向し、複数の電極膜35の燃料極35bはFPC基板1の集電部3a〜3eにそれぞれ対向する。
【0064】
ケーシング40内の上面部41上には、集電部3f〜3jの複数の開口H12に対応するように複数の開口H41が形成される。電極膜35の空気極35aには、ケーシング40の複数の開口H41、通気性を有するFPC基板1のベース絶縁層2、および集電部3f〜3jの複数の開口H12を通して空気が供給される。
【0065】
ケーシング40の下面部42には、ベース絶縁層2の第1絶縁部2a(図1(a)参照)に接するように燃料収容室50が設けられる。燃料収容室50には、燃料供給管51の一端が接続される。燃料供給管51の他端は、ケーシング40の他方の側面部44を通って外部の図示しない燃料供給部に接続される。燃料供給部から燃料供給管51を通して燃料収容室50内に燃料が供給される。各電極膜35の燃料極35bには、通気性を有するFPC基板1のベース絶縁層2および集電部3a〜3eの複数の開口H11を通して燃料が供給される。なお、本実施の形態では、燃料としてメタノールを用いる。
【0066】
上記の構成においては、複数の燃料極35bにおいて、メタノールが水素イオンと二酸化炭素とに分解され、電子が生成される。生成された電子は、FPC基板1の集電部3a(図1参照)から引き出し電極5aに導かれる。メタノールから分解された水素イオンは、電解質膜35cを透過して空気極35aに達する。複数の空気極35aにおいて、引き出し電極5bから集電部3jに導かれた電子を消費しつつ水素イオンと酸素とが反応し、水が生成される。このようにして、引き出し電極5a,5bに接続された外部回路に電力が供給される。
【0067】
(4)効果
本実施の形態に係るFPC基板1においては、所定のパターンを有する導体層30の主面E1,E2および側面E3に導電性かつ耐食性のめっき層20が形成される。また、導体層30は、主面E1とベース絶縁層2との間にめっき層20が介在するようにベース絶縁層2上に設けられる。これにより、めっき層20により導体層30の導電性を保ちつつ、導体層30の主面E1,E2およびに腐食が発生することが防止される。
【0068】
導体層30は銅により形成され、めっき層20は、蟻酸に対して銅よりも高い耐食性を有する銀により形成される。これにより、FPC基板1が蟻酸に接触する場合でも、めっき層20により導体層30に腐食が発生することが十分に防止される。したがって、FPC基板1を燃料電池100の電極として用いることができる。
【0069】
また、ベース絶縁層2は、連続孔を有するePTFEにより形成される。それにより、FPC基板1を燃料電池100の電極として用いることが可能となる。また、蟻酸等の燃料電池100の副生成物がベース絶縁層2の連続孔を通ってベース絶縁層2と導体層30との間に浸入しても、めっき層20により副生成物が導体層30に付着することが防止される。その結果、導体層30に腐食が発生することが防止される。
【0070】
このように、本実施の形態に係るFPC基板1を燃料電池100に使用することにより、燃料電池100における電極の集電効率の低下を防止することができる。その結果、燃料電池100の信頼性が向上するとともに長寿命化が実現される。
【0071】
[2]第2の実施の形態
第2の実施の形態に係るFPC基板1の製造方法について、第1の実施の形態に係るFPC基板1の製造方法と異なる点を説明する。図10は、第2の実施の形態に係るFPC基板1の製造方法を説明するための工程断面図である。
【0072】
まず、図10(a)に示すように、図3(d)の第2の積層体L2および図1のベース絶縁層2が用意される。続いて、図10(b)に示すように、ベース絶縁層2が接着剤層7を介して第2の積層体L2と貼り合わされる。その後、図10(c)に示すように、第2の積層体L2から粘着層9aおよびキャリア層9とともに剥離層7aが剥離される。これにより、ベース絶縁層2に接着剤層7が残存する。
【0073】
次に、図10(d)に示すように、図2(c)の第1の積層体L1が用意される。続いて、図10(e)に示すように、接着剤層7を介して第1の積層体L1にベース絶縁層2が貼り合わされる。このとき、図6および図7の位置合わせ部材6aを用いて第1の積層体L1がベース絶縁層2上で位置決めされてもよい。この場合、第1の積層体L1がベース絶縁層2に貼り合わされた後、位置合わせ部材6aが除去される。これにより、FPC基板1が完成する。
【0074】
本実施の形態においては、キャリア層8を用意することなく、接着剤層7を介して第1の積層体L1とベース絶縁層2とを接合することができる。これにより、FPC基板1の製造における工程数を削減することができる。
【0075】
[3]第3の実施の形態
第3の実施の形態に係るFPC基板1の製造方法について、第1の実施の形態に係るFPC基板1の製造方法と異なる点を説明する。図11は、第3の実施の形態に係るFPC基板1の製造方法を説明するための工程断面図である。
【0076】
まず、図11(a)に示すように、図2(c)の第1の積層体L1および図1のベース絶縁層2が用意される。続いて、図11(b)に示すように、ベース絶縁層2の融点よりも高い温度でかつ所定の圧力で所定時間第1の積層体L1をベース絶縁層2にプレス(押圧)することにより、第1の積層体L1がベース絶縁層2に貼り合わされる。
【0077】
第1の積層体L1がベース絶縁層2にプレスされる前に、図6および図7の位置合わせ部材6aを用いて第1の積層体L1がベース絶縁層2上で位置決めされてもよい。この場合、第1の積層体L1がベース絶縁層2上に位置決めされた後、位置合わせ部材6aが除去される。その後、第1の積層体L1がベース絶縁層2にプレスされる。これにより、FPC基板1が完成する。
【0078】
本実施の形態においては、接着剤層7を設けることなく第1の積層体L1をベース絶縁層2の一面に接合することができる。これにより、FPC基板1の製造における工程数を大幅に削減することができる。また、FPC基板1のフレキシブル性の低下を防止することができる。さらに、ベース絶縁層2の通気性を確保することができる。
【0079】
[4]他の実施の形態
(1)上記実施の形態において、所定のパターンを有する導体層30の全体の主面E1,E2および側面E3にめっき層20が形成されるが、これに限定されない。例えば、集電部3a〜3nおよび接続導体部3k〜3nを含む導体層30の主面E1,E2および側面E3にのみめっき層20が形成されてもよい。この場合、集電部3a〜3nおよび接続導体部3k〜3nを含む導体層30の部分に蟻酸が付着しても、導体層30に腐食が発生することが防止される。
【0080】
(2)上記実施の形態において、第2の積層体L2のパターンが第1の積層体L1のパターンと完全に同一でなくてもよい。例えば、第2の積層体L2のパターンの各部のサイズが、第1の積層体L1のパターンの各部のサイズよりも小さくてもよい。
【0081】
(3)上記実施の形態において、ベース絶縁層2の材料として多孔質性のePTFEが用いられたが、これに限定されない。例えば、ベース絶縁層2の材料として、ePTFEに代えて、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリオレフィン樹脂、シクロオレフィンポリマー樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリメチルメタクリレートポリマー樹脂、液晶ポリマー樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリエステル樹脂もしくはポリウレタン樹脂またはこれらの樹脂を多孔質化したフィルムを用いてもよい。
【0082】
(4)上記実施の形態において、FPC基板1は5対の集電部(集電部3a,3f、集電部3b,3g、集電部3c,3h、集電部3d,3iおよび集電部3e,3j)を有するが、これに限定されない。FPC基板1の集電部の数は4対以下であってもよいし、6対以上であってもよい。これにより、任意の数の電極膜35を直列接続することができる。また、FPC基板1が1対の集電部を有してもよい。この場合、接続導体部3k〜3nは設けられない。
【0083】
[5]請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0084】
上記実施の形態においては、ベース絶縁層2が絶縁層の例であり、導体層30が導体層の例であり、主面E1が第1の主面の例であり、主面E2が第2の主面の例であり、側面E3が側面の例であり、めっき層20が被覆層の例であり、FPC基板1が配線回路基板の例である。電極膜35が電池要素の例であり、ケーシング40が筺体の例であり、燃料電池100が燃料電池の例である。
【0085】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【0086】
[6]実施例
(1)実施例および比較例
実施例1〜4および比較例1では、以下の方法でFPC基板を製造した。以下、実施例1〜4および比較例1におけるFPC基板の製造方法を説明する。
【0087】
実施例1におけるFPC基板1は、第1の実施の形態に係るFPC基板1の製造方法により製造された。実施例2におけるFPC基板1は、第2の実施の形態に係るFPC基板1の製造方法により製造された。実施例3におけるFPC基板1は、第3の実施の形態に係るFPC基板1の製造方法により製造された。実施例4におけるFPC基板1は、無電解ニッケルめっきによるバリア層が設けられない点を除いて、第1の実施の形態に係るFPC基板1の製造方法と同様の製造方法により製造された。導体層30は、例えば厚み35μmの銅である。
【0088】
図12および図13は、比較例1におけるFPC基板の製造方法を説明するための工程断面図である。まず、図12(a)に示すように、接着剤層7、キャリア層8および導体層30が用意される。導体層30は主面E1,E2を有する。接着剤層7の一面には剥離層7aが設けられている。キャリア層8の一面には粘着層8aが設けられている。導体層30は、例えば厚み35μmの銅である。
【0089】
次に、図12(b)に示すように、導体層30の主面E1が接着剤層7に貼り合わされるとともに、導体層30の主面E2が粘着層8aを介してキャリア層8に貼り合わされる。続いて、図12(c)に示すように、剥離層7aが接着剤層7から剥離される。その後、図12(d)に示すように、レーザ加工により、接着剤層7および導体層30が所定のパターンに形成される。このようにして形成された接着剤層7、導体層30、粘着層8aおよびキャリア層8からなる積層体を第3の積層体L3と呼ぶ。
【0090】
次に、図13(a)に示すように、図12(d)の第3の積層体L3に加え、図1のベース絶縁層2が用意される。続いて、図13(b)に示すように、第3の積層体L3の一面(導体層30の主面E1)が接着剤層7を介してベース絶縁層2と貼り合わされる。その後、図13(c)に示すように、第3の積層体L3から粘着層8aおよびキャリア層8が除去される。この場合、これにより、ベース絶縁層2に接着剤層7および導体層30が残存する。これにより、比較例1におけるFPC基板1aが完成する。
【0091】
(2)FPC基板の耐食試験
FPC基板の集電部として銅(Cu)を用い、燃料電池の燃料としてメタノール(CHOH)を用いる場合、以下の反応式に示すように、メタノールが酸素(O)と反応することにより、蟻酸(HCOOH)等の副生成物が発生する。
燃料極反応:CHOH+HO→6H+6e+CO
空気極反応:6H+6e+(3/2)O→3H
副生成物:CHOH+(1/2)O→HCHO+H
HCHO+(1/2)O→HCOOH
銅のイオン化:2Cu+(1/2)O+2H→2Cu+H
2Cu+(1/2)O+2H→2Cu2++H
蟻酸塩の生成:Cu+HCO→Cu(HCO
Cu2++2HCO→Cu(HCO
酸化銅の生成:2Cu(HCO)→(1/2)O→CuO+2Cu(HCO
2CuO+O→4CuO+4e
このように、FPC基板の集電部では、銅が蟻酸と長時間接することにより酸化銅からなる腐食が発生する。そこで、実施例1〜4のFPC基板1および比較例1のFPC基板1aについて以下の耐食試験を行った。
【0092】
実施例1〜4のFPC基板1および比較例1のFPC基板1aを濃度1000ppm、温度50℃の蟻酸水溶液に7日間浸漬させた。その後、FPC基板1,1aの集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3n,引き出し導体部3o,3pまたは導体層30の腐食状態を観察することにより、FPC基板1,1aの耐食性を評価した。FPC基板1,1aの耐食試験の結果を表1に示す。
【0093】
【表1】

【0094】
表1に示すように、実施例1〜4のFPC基板1において、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pに腐食が発生しなかった。一方、比較例1のFPC基板1aにおいて、導体層30に腐食が発生した。
【0095】
比較例1のFPC基板1aでは、蟻酸が導体層30に接触することにより導体層30が腐食したものと考えられる。
【0096】
実施例1〜4および比較例1の結果から、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pに銀からなるめっき層20を設けることにより集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pの耐食性が向上することが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、種々の配線回路基板およびその製造に有効に利用できる。
【符号の説明】
【0098】
1,1a FPC基板
2 ベース絶縁層
2a 第1絶縁部
2b 第2絶縁部
2c 第3絶縁部
2d 第4絶縁部
3a〜3j 集電部
3k〜3n 接続導体部
3o,3p 引き出し導体部
5a,5b 引き出し電極
6a 位置合わせ部材
6b 固定部材
7 接着剤層
7a,7b 剥離層
8,9 キャリア層
8a,9a 粘着層
20 めっき層
30 導体層
35 電極膜
35a 空気極
35b 燃料極
35c 電解質膜
40 ケーシング
41 上面部
42 下面部
43,44 側面部
50 燃料収容室
51 燃料供給管
100 燃料電池
B1 折曲部
H11,H12,H41 開口
L1〜L3 積層体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層と、
所定のパターンを有しかつ第1および第2の主面ならびに側面を有する導体層と、
前記第1および第2の主面ならびに前記側面に形成された導電性かつ耐食性の被覆層とを備え、
前記導体層は、前記第1の主面と前記絶縁層との間に前記被覆層が介在するように前記絶縁層上に設けられることを特徴とする配線回路基板。
【請求項2】
前記導体層は、銅を含み、
前記被覆層は、蟻酸に対して銅よりも高い耐食性を有することを特徴とする請求項1記載の配線回路基板。
【請求項3】
前記被覆層は、銀を含むことを特徴とする請求項1または2記載の配線回路基板。
【請求項4】
前記絶縁層は、連続孔を有する多孔質材料を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の配線回路基板。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の配線回路基板と、
電池要素と、
前記配線回路基板および前記電池要素を収容する筺体とを備えることを特徴とする燃料電池。
【請求項6】
絶縁層を用意する工程と、
所定のパターンを有しかつ第1および第2の主面ならびに側面を有する導体層を形成する工程と、
導電性かつ耐食性の被覆層を前記導体層の前記第1および第2の主面ならびに前記側面に形成する工程と、
前記第1の主面と前記絶縁層との間に前記被覆層が介在するように前記導体層を前記絶縁層の一面に接合する工程とを含むことを特徴とする配線回路基板の製造方法。
【請求項7】
前記被覆層を形成する工程は、前記導体層の前記第1および前記第2の主面ならびに前記側面にめっきにより前記被覆層を形成する工程を含むことを特徴とする請求項6記載の配線回路基板の製造方法。
【請求項8】
前記導体層を前記絶縁層の一面に接合する工程は、
前記導体層の前記第1の主面上の前記被覆層と前記絶縁層とを接着剤層を用いて貼り合わせる工程を含むことを特徴とする請求項6または7記載の配線回路基板の製造方法。
【請求項9】
前記被覆層と前記絶縁層とを接着剤層を用いて貼り合わせる工程は、
前記接着剤層を前記導体層の前記パターンに対応するパターンを有するように加工する工程と、
前記加工された接着剤層の一面を前記被覆層および前記絶縁層のうち一方に貼り付ける工程と、
前記加工された接着剤層の他面を前記被覆層および前記絶縁層のうち他方に貼り付ける工程とを含むことを特徴とする請求項8記載の配線回路基板の製造方法。
【請求項10】
前記導体層を前記絶縁層の一面に接合する工程は、
前記導体層の前記第1の主面上の前記被覆層と前記絶縁層とが接触する状態で前記導体層を前記絶縁層に押圧する工程を含むことを特徴とする請求項6または7記載の配線回路基板の製造方法。
【請求項11】
前記導体層は、銅を含み、
前記被覆層は、蟻酸に対して銅よりも高い耐食性を有することを特徴とする請求項6〜10のいずれかに記載の配線回路基板の製造方法。
【請求項12】
前記被覆層は、銀を含むことを特徴とする請求項6〜11のいずれかに記載の配線回路基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−104668(P2012−104668A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252123(P2010−252123)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】