説明

配線基板と半導体デバイスとの接続構造

【課題】 配線基板の実装スペース内でIC等の半導体デバイスを移動することによって、接続部材の配列パターンの異なる半導体デバイスや入出力パターンの異なる半導体デバイスを広範に取り替え実装することができる、配線基板と半導体デバイスとの接続構造を提供する。
【解決手段】 第一IC10の長方形状の対向2辺を配列パターンの形成方向に対して斜め方向に平行移動することによって、入出力パターンの異なる第二IC20であっても、配線基板1の実装スペース内で広範に取り替え実装することができる。第一IC10及び第二IC20の取り替え実装は、配線基板1の入力ランドIN1,IN2及び出力ランドOUT1,OUT2を変更しなくても、第一IC10の移動操作によって簡便かつ安価に行える。配線パターン2,3はスクリーン印刷によって予め形成しておくことができるので、第一IC10及び第二IC20の取り替え操作に要する工数が短縮される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板上にIC等の半導体デバイスを実装する際の接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線基板にIC等の半導体デバイスを実装するとき、量産段階(量産品)であれば、配線基板の配線パターンは予めスクリーン印刷されており、基板上に搭載(実装)する半導体デバイスの型式、取付位置等も既に設計が終了している。ところが、例えば研究・開発段階(試作品)の場合には、必要な制御機能が確定していれば、配線基板の配線パターンは予めスクリーン印刷されたものを使用できても、基板上に実装する半導体デバイスとして複数の候補の中から選定しなければならないことが多い。例えばエンジン制御ユニット(エンジンECU)用のICとして、複数の候補のうちどれを採用するかは開発過程での評価試験を経て決定されるのが通常である。
【0003】
このように、IC(半導体デバイス)の複数の候補を配線基板上に取り替え可能に実装するために、配線基板の複数のランド(接続部)のうち少なくとも1つを、ICの接続ピンに対応する共用ランドに構成するランドパターン構造が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−101082号公報
【0005】
特許文献1によれば、接続ピンの配列パターン(接続ピンの個数やピッチ)が異なる複数種のICを選択的に配線基板上に実装する際に、配線基板の実装スペースを共用して省スペース化を図ることができる。しかし、特許文献1に記載の技術は、配線基板の実装スペース全体を占める程度に大きな配列パターンを有するICとそれよりも小さな配列パターンを有するICとを選択して実装することに主眼が置かれている。したがって、大きな配列パターンのICと小さな配列パターンのICとは、一方側のランドパターン(例えば入力側接続部)を兼用してそれらの配列パターンを重ね合わせる形で取り替え実装される。つまり、他方側のランドパターン(例えば出力側接続部)は、個々の配列パターンに合わせて、取り替え実装するICの種類毎に準備されている。そのため、種々の配列パターンのICを取り替え実装可能とするためには、他方側(出力側)のランドパターンをそれぞれのICの配列パターンに対応して予め配備しておく必要がある。
【0006】
また、ICの性能や接続ピンの配列パターンが同じでも各接続ピンの入出力パターンは一様ではなく、IC毎に異なるのが一般的である。したがって、ICの入出力パターンが異なれば、それに応じて配線基板のランドパターンを(入力側・出力側問わず)変更しなければならなくなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、配線基板の実装スペース内でIC等の半導体デバイスを移動することによって、接続部材の配列パターンの異なる半導体デバイスや入出力パターンの異なる半導体デバイスを広範に取り替え実装することができる、配線基板と半導体デバイスとの接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の配線基板と半導体デバイスとの接続構造は、
配線基板の入力側接続部及び出力側接続部に対して複数種の半導体デバイスを選択的に実装するための接続構造であって、
前記配線基板には予め定められたランドパターンにて前記入力側接続部及び出力側接続部が固定配置されるとともに、
前記半導体デバイスの矩形状の対向2辺には、前記配線基板の入力側接続部及び出力側接続部に対面する複数の接続部材がそれぞれ所定の個数とピッチとからなる配列パターンで配置され、
前記対向2辺が前記配列パターンの形成方向又はそれに交差する方向に平行移動したとき、各辺の配列パターンを構成する接続部材には、前記配線基板の入力側接続部及び出力側接続部と各々接続可能な入出力パターンが形成されることによって、各辺の接続部材の入出力パターンのうち少なくとも一方を異ならせた複数種の半導体デバイスが前記配線基板に対して選択的に実装可能となることを特徴とする。
【0009】
このように、半導体デバイス(例えば、IC)の矩形状の対向2辺を配列パターンの形成方向又はそれに交差する方向に平行移動することによって、接続部材の配列パターンの異なる半導体デバイスや入出力パターンの異なる半導体デバイスであっても、配線基板の実装スペース内で広範に取り替え実装することができる。しかも、これらの半導体デバイスの取り替え実装は、配線基板のランドパターン(入力側接続部及び出力側接続部)を変更しなくても、半導体デバイスの移動操作によって簡便かつ安価に行える。
【0010】
なお、本発明において「半導体デバイス」には個別半導体(ディスクリート)が含まれるが、主たる対象はIC(集積回路)であり、構造(モノリシックIC、ハイブリッドIC)や集積度(SSI、MSI、LSI、VLSI、ULSI)には関係しない。また、半導体デバイスの「矩形状」には長方形状と正方形状とを含む。
【0011】
そして、このような接続構造の具体例として、
配線基板の入力側接続部及び出力側接続部と入出力パターンが異なるように予め選定された複数種の半導体デバイスの接続部材とを各々接続するために、それら複数種の半導体デバイスの入出力に用いられる配線パターンが予め配線基板の主表面に形成され、
複数種から選択された半導体デバイスの対向2辺が配列パターンの形成方向又はそれに交差する方向に平行移動することにより、半導体デバイスの接続部材に形成された入出力パターンが配線パターンを介して配線基板の入力側接続部及び出力側接続部と各々接続するように位置決めされることがある。
【0012】
IC等の半導体デバイスの裏面(配線基板との接触面)が絶縁構造であることを利用して、配線基板の主表面に、配線基板のランドパターン(入力側接続部及び出力側接続部)と半導体デバイスの入出力パターンとを接続するための配線パターンを(例えば、スクリーン印刷によって)予め形成しておくことができる。そして、異種の半導体デバイスに取り替え実装をするときには、配線基板の主表面上で半導体デバイスを配列パターンの形成方向又はそれに交差する方向に平行移動すればよいので、複数種の半導体デバイスの取り替え操作が簡便かつ安価に行える。
【0013】
あるいは、このような接続構造の他の具体例として、
複数種から選択された半導体デバイスの対向2辺が配列パターンの形成方向又はそれに交差する方向に平行移動して配線基板上に配置され、半導体デバイスの接続部材に形成された入出力パターンが配線基板の入力側接続部及び出力側接続部と各々接続するように、配線基板の主表面に配線パターンが形成されることがある。
【0014】
この場合に、異種の半導体デバイスに取り替え実装をするときには、配線基板の主表面上で半導体デバイスを配列パターンの形成方向又はそれに交差する方向に平行移動して、配線基板の主表面に、配線基板のランドパターンと半導体デバイスの入出力パターンとを接続するための配線パターンを後付けにより(例えば、半田付けやリード線引き回しによって)形成することができる。このように、半導体デバイスを配線基板の主表面上で移動してから配線パターンを形成すればよいので、接続部材の配列パターンや入出力パターンの他に自身の大きさが異なるような複数種の半導体デバイスであっても、取り替え操作が簡便かつ安価に行える。
【0015】
なお、配線基板の「主表面」には表面(半導体デバイスとの接触面)及び裏面(半導体デバイスとの非接触面)が含まれる。
【0016】
したがって、複数種の半導体デバイスが、配列パターンを構成する接続部材の個数、そのピッチ、配列パターンの形成方向の全長、及びそれに直交する方向の全幅を共通とする場合には、複数種の半導体デバイスの対向2辺を配列パターンの形成方向に対して斜め方向に平行移動することによって、配線基板に対する選択的な実装が可能となる。
【0017】
あるいは、複数種の半導体デバイスが、配列パターンを構成する接続部材の個数、そのピッチ、配列パターンの形成方向の全長、及びそれに直交する方向の全幅のうちの少なくともいずれかが異なる場合でも、複数種の半導体デバイスの対向2辺を配列パターンの形成方向に対して斜め方向に平行移動することによって、配線基板に対する選択的な実装が可能となる。
【0018】
このように、接続部材の配列パターンの共通する半導体デバイスは勿論、接続部材の配列パターンの異なる半導体デバイスや自身の大きさの異なる半導体デバイスであっても広範にかつ容易に取り替え実装することができる。
【0019】
さらに、複数種の半導体デバイスが、配線基板の主表面の範囲内において、対向2辺が配列パターンの形成方向又はそれに交差する方向に平行移動可能とされている場合には、配線基板の実装スペース内で複数種の半導体デバイスの取り替え実装が行われるため、配線基板の他の配線処理等を阻害せずにすむ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(実施例1)
以下、本発明の実施の形態につき図面に示す実施例を参照して説明する。図1は本発明に係る配線基板とICとの接続構造の一例を示す説明図、図2はそのICを取り替え実装した状態の一例を示す説明図である。これらの図は、配線基板1の入力ランドIN1,IN2(入力側接続部)及び出力ランドOUT1,OUT2(出力側接続部)に対して、長方形状(矩形状)の第一IC10(半導体デバイス)と第二IC20(半導体デバイス)とを選択的に実装するための接続構造を表わしている。
【0021】
入力ランドIN1,IN2及び出力ランドOUT1,OUT2は、図1及び図2に示すランドパターンで配線基板1の表面(手前側の主表面)上に固定配置されている。
【0022】
図1では配線基板1の表面上に第一IC10が実装(搭載)されている。具体的には、第一IC10の長方形状(矩形状)の対向2辺には、配線基板1の入力ランドIN1,IN2及び出力ランドOUT1,OUT2に対面する複数(例えば計10本)の接続ピンP10〜P19(接続部材)が、それぞれ同一個数(例えば5本)と同一ピッチPとからなる配列パターンで長手方向に沿って配置されている。すなわち、入力ランドIN1,IN2との対面側に位置する入力側配列パターンは、5本の入力側接続ピンP10〜P14がピッチPで等間隔に配置されている。一方、出力ランドOUT1,OUT2との対面側に位置する出力側配列パターンは、5本の出力側接続ピンP15〜P19がピッチPで等間隔に配置されている。
【0023】
そして、第一IC10の入出力パターンは、入力側配列パターンのうち入力側接続ピンP10,P12が入力ピン、出力側配列パターンのうち出力側接続ピンP15,P19が出力ピンに設定されている。さらに、配線基板1の入力ランドIN1と第一IC10の入力側接続ピンP10、及び配線基板1の入力ランドIN2と第一IC10の入力側接続ピンP12が、それぞれ配線基板1の表面上にスクリーン印刷によって形成された入力側配線パターン2(配線パターン)で接続されている。一方、配線基板1の出力ランドOUT1と第一IC10の出力側接続ピンP19、及び配線基板1の出力ランドOUT2と第一IC10の出力側接続ピンP15が、それぞれ配線基板1の表面上にスクリーン印刷によって形成された出力側配線パターン3(配線パターン)で接続されている。
【0024】
次に、図2では配線基板1の表面上に第二IC20が実装(搭載)されている。第二IC20は、配列パターンを構成する接続ピン(接続部材)の個数とピッチ、配列パターンの形成方向の全長とそれに直交する方向の全幅が、それぞれ第一IC10と共通に設定されている。具体的には、第二IC20の長方形状(矩形状)の対向2辺には、配線基板1の入力ランドIN1,IN2及び出力ランドOUT1,OUT2に対面する複数(例えば計10本)の接続ピンP20〜P29(接続部材)が、それぞれ同一個数(例えば5本)と同一ピッチPとからなる配列パターンで長手方向に沿って配置されている。すなわち、入力ランドIN1,IN2との対面側に位置する入力側配列パターンは、5本の入力側接続ピンP20〜P24がピッチPで等間隔に配置されている。一方、出力ランドOUT1,OUT2との対面側に位置する出力側配列パターンは、5本の出力側接続ピンP25〜P29がピッチPで等間隔に配置されている。
【0025】
そして、第二IC20の入出力パターンは、入力側配列パターンのうち入力側接続ピンP21,P22が入力ピン、出力側配列パターンのうち出力側接続ピンP28,P29が出力ピンに設定されている。さらに、配線基板1の入力ランドIN1と第二IC20の入力側接続ピンP21、及び配線基板1の入力ランドIN2と第二IC20の入力側接続ピンP22が、それぞれ配線基板1の表面上にスクリーン印刷によって形成された入力側配線パターン2(配線パターン)で接続されている。一方、配線基板1の出力ランドOUT1と第二IC20の出力側接続ピンP29、及び配線基板1の出力ランドOUT2と第二IC20の出力側接続ピンP28が、それぞれ配線基板1の表面上にスクリーン印刷によって形成された出力側配線パターン3(配線パターン)で接続されている。
【0026】
図1及び図2に示すように、第一IC10と第二IC20とは異なる入出力パターンを有するものが予め選定されている。しかし、これらの入出力ピンP10,P12,P15,P19,P21,P22,P28,P29と配線基板1の入力ランドIN1,IN2及び出力ランドOUT1,OUT2とを各々接続する配線パターン2,3は、共用可能に形成されている。なお、図1の破線は、第二IC20の入出力ピンP21,P22と接続されることになる入力側配線パターン2のうち、第一IC10によって隠される部分を示している。同様に、図2の破線は、第一IC10の入出力ピンP15,P19と接続されることになる出力側配線パターン3のうち、第二IC20によって隠される部分を示している。
【0027】
図1及び図2の対比から明らかなように、第一IC10(又は第二IC20)の対向2辺が配列パターンの形成方向(上下方向)に対して斜め方向に平行移動すると、第一IC10(又は第二IC20)の接続ピンP10〜P19(又はP20〜P29)に形成された入出力パターンが配線パターン2,3を介して配線基板1の入力ランドIN1,IN2及び出力ランドOUT1,OUT2と各々接続するように位置決めされる。これによって、接続ピンの個数とピッチ及び自身の大きさ(全長と全幅)が共通で、互いに入出力パターンの異なる第一IC10と第二IC20とが、配線基板1の表面に形成された実装スペースの範囲内において選択的に実装(取り替え実装)可能となる。
【0028】
このように、第一IC10(又は第二IC20)の長方形状(矩形状)の対向2辺を配列パターンの形成方向に対して斜め方向に平行移動することによって、入出力パターンの異なる第一IC10及び第二IC20であっても、配線基板1の実装スペース内で広範に取り替え実装することができる。しかも、第一IC10及び第二IC20の取り替え実装は、配線基板1のランドパターン(入力ランドIN1,IN2及び出力ランドOUT1,OUT2)を変更しなくても、第一IC10(又は第二IC20)の移動操作によって簡便かつ安価に行える。さらに、この場合の配線パターン2,3はスクリーン印刷によって予め形成しておくことができるので、第一IC10及び第二IC20の取り替え操作に要する工数が短縮される。
【0029】
(実施例2)
次に、図3は本発明に係る配線基板とICとの接続構造の他の例を示す説明図、図4はそのICを取り替え実装した状態の一例を示す説明図である。これらの図は、配線基板1の入力ランドIN1,IN2(入力側接続部)及び出力ランドOUT1,OUT2(出力側接続部)に対して、長方形状(矩形状)の第一IC10(半導体デバイス)と第三IC30(半導体デバイス)とを選択的に実装するための接続構造を表わしている。図3に示す第一IC10は図1(実施例1)と同様に、配線基板1の表面(手前側の主表面)上に実装(搭載)されている。
【0030】
図4に示す第三IC30も配線基板1の表面上に実装(搭載)されている。第三IC30は、配列パターンを構成する接続ピン(接続部材)の個数とピッチ、配列パターンの形成方向の全長とそれに直交する方向の全幅が、それぞれ第一IC10と共通に設定されている。具体的には、第三IC30の長方形状(矩形状)の対向2辺には、配線基板1の入力ランドIN1,IN2及び出力ランドOUT1,OUT2に対面する複数(例えば計10本)の接続ピンP30〜P39(接続部材)が、それぞれ同一個数(例えば5本)と同一ピッチPとからなる配列パターンで長手方向に沿って配置されている。すなわち、入力ランドIN1,IN2との対面側に位置する入力側配列パターンは、5本の入力側接続ピンP30〜P34がピッチPで等間隔に配置されている。一方、出力ランドOUT1,OUT2との対面側に位置する出力側配列パターンは、5本の出力側接続ピンP35〜P39がピッチPで等間隔に配置されている。
【0031】
そして、第三IC30の入出力パターンは、入力側配列パターンのうち入力側接続ピンP32,P33が入力ピン、出力側配列パターンのうち出力側接続ピンP36,P38が出力ピンに設定されている。さらに、配線基板1の入力ランドIN1と第三IC30の入力側接続ピンP32、及び配線基板1の入力ランドIN2と第三IC30の入力側接続ピンP33が、それぞれ配線基板1の表面上に半田付けによって形成された入力側配線パターン4(配線パターン)で接続されている。一方、配線基板1の出力ランドOUT1と第三IC30の出力側接続ピンP39、及び配線基板1の出力ランドOUT2と第三IC30の出力側接続ピンP36が、それぞれ配線基板1の表面上に半田付けによって形成された出力側配線パターン5(配線パターン)で接続されている。
【0032】
図3及び図4に示すように、第一IC10と第三IC30とは異なる入出力パターンを有するものが予め選定されている。それに伴って、これらの入出力ピンP10,P12,P15,P19;P32,P33,P36,P38と配線基板1の入力ランドIN1,IN2及び出力ランドOUT1,OUT2とを各々接続する配線パターン2,3;4,5も、異なるパターンで形成されている。
【0033】
図3及び図4の対比から明らかなように、第一IC10(又は第三IC30)の対向2辺が配列パターンの形成方向(上下方向)に対して斜め方向に平行移動すると、第一IC10(又は第三IC30)の接続ピンP10〜P19(又はP30〜P39)に形成された入出力パターンが配線パターン2,3(又は4,5)を介して配線基板1の入力ランドIN1,IN2及び出力ランドOUT1,OUT2と各々接続するように配置される。これによって、接続ピンの個数とピッチ及び自身の大きさ(全長と全幅)が共通で、互いに入出力パターンの異なる第一IC10と第三IC30とが、配線基板1の表面に形成された実装スペースの範囲内において選択的に実装(取り替え実装)可能となる。
【0034】
このように、第一IC10(又は第三IC30)の長方形状(矩形状)の対向2辺を配列パターンの形成方向に対して斜め方向に平行移動することによって、入出力パターンの異なる第一IC10及び第三IC30であっても、配線基板1の実装スペース内で広範に取り替え実装することができる。しかも、第一IC10及び第三IC30の取り替え実装は、配線基板1のランドパターン(入力ランドIN1,IN2及び出力ランドOUT1,OUT2)を変更しなくても、第一IC10(又は第三IC30)の移動操作によって簡便かつ安価に行える。
【0035】
(実施例3)
次に、図5は図3のICを取り替え実装した状態の他の例を示す説明図である。図3及び図5は、配線基板1の入力ランドIN1,IN2(入力側接続部)及び出力ランドOUT1,OUT2(出力側接続部)に対して、長方形状(矩形状)の第一IC10(半導体デバイス)と第四IC40(半導体デバイス)とを選択的に実装するための接続構造を表わしている。
【0036】
図5に示す第四IC40も配線基板1の表面上に実装(搭載)されている。第四IC40は、配列パターンを構成する接続ピン(接続部材)の個数とピッチ、配列パターンの形成方向の全長とそれに直交する方向の全幅が、それぞれ第一IC10と異なるように設定されている。具体的には、第一IC10より短く広い第四IC40の長方形状(矩形状)の対向2辺には、配線基板1の入力ランドIN1,IN2及び出力ランドOUT1,OUT2に対面する複数(例えば計18本)の接続ピンP40〜P57(接続部材)が、それぞれ同一個数(例えば9本)と同一ピッチP’とからなる配列パターンで長手方向に沿って配置されている。すなわち、入力ランドIN1,IN2との対面側に位置する入力側配列パターンは、第一IC10より多い9本の入力側接続ピンP40〜P48が第一IC10より細かいピッチP’で等間隔に配置されている。一方、出力ランドOUT1,OUT2との対面側に位置する出力側配列パターンは、9本の出力側接続ピンP49〜P57がピッチP’で等間隔に配置されている。
【0037】
そして、第四IC40の入出力パターンは、入力側配列パターンのうち入力側接続ピンP42,P46が入力ピン、出力側配列パターンのうち出力側接続ピンP53,P57が出力ピンに設定されている。さらに、配線基板1の入力ランドIN1と第四IC40の入力側接続ピンP42、及び配線基板1の入力ランドIN2と第四IC40の入力側接続ピンP46が、それぞれ配線基板1の表面上に半田付けによって形成された入力側配線パターン6(配線パターン)で接続されている。一方、配線基板1の出力ランドOUT1と第四IC40の出力側接続ピンP57び配線基板1の出力ランドOUT2と第四IC40のの出力側接続ピンP53が、それぞれ配線基板1の表面上に半田付けによって形成された出力側配線パターン7(配線パターン)で接続されている。
【0038】
図3及び図5に示すように、第一IC10と第四IC40とは異なる入出力パターンを有するものが予め選定されている。それに伴って、これらの入出力ピンP10,P12,P15,P19;P42,P46,P53,P57と配線基板1の入力ランドIN1,IN2及び出力ランドOUT1,OUT2とを各々接続する配線パターン2,3;6,7も、異なるパターンで形成されている。
【0039】
図3及び図5の対比から明らかなように、第一IC10(又は第四IC40)の対向2辺が配列パターンの形成方向(上下方向)に対して斜め方向に平行移動すると、第一IC10(又は第四IC40)の接続ピンP10〜P19(又はP40〜P57)に形成された入出力パターンが配線パターン2,3(又は6,7)を介して配線基板1の入力ランドIN1,IN2及び出力ランドOUT1,OUT2と各々接続するように配置される。これによって、接続ピンの個数とピッチ及び自身の大きさ(全長と全幅)が異なり、互いに入出力パターンの異なる第一IC10と第四IC40とが、配線基板1の表面に形成された実装スペースの範囲内において選択的に実装(取り替え実装)可能となる。
【0040】
このように、第一IC10(又は第四IC40)の長方形状(矩形状)の対向2辺を配列パターンの形成方向に対して斜め方向に平行移動することによって、入出力パターンの異なる第一IC10及び第四IC40であっても、配線基板1の実装スペース内で広範に取り替え実装することができる。しかも、第一IC10及び第四IC40の取り替え実装は、配線基板1のランドパターン(入力ランドIN1,IN2及び出力ランドOUT1,OUT2)を変更しなくても、第一IC10(又は第四IC40)の移動操作によって簡便かつ安価に行える。
【0041】
なお、以上の実施例では、配線基板1の表面(IC10,20,30,40との接触面)に配線パターン2,3,4,5,6,7を形成する場合のみについて説明したが、配線基板1の裏面(IC10,20,30,40との非接触面)に形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る配線基板とICとの接続構造の一例を示す説明図。
【図2】図1のICを取り替え実装した状態の一例を示す説明図。
【図3】本発明に係る配線基板とICとの接続構造の他の例を示す説明図。
【図4】図3のICを取り替え実装した状態の一例を示す説明図。
【図5】図3のICを取り替え実装した状態の他の例を示す説明図。
【符号の説明】
【0043】
1 配線基板
2,4,6 入力側配線パターン(配線パターン)
3,5,7 出力側配線パターン(配線パターン)
10 第一IC(半導体デバイス)
P10〜P19 接続ピン(接続部材)
20 第二IC(半導体デバイス)
P20〜P29 接続ピン(接続部材)
30 第三IC(半導体デバイス)
P30〜P39 接続ピン(接続部材)
40 第四IC(半導体デバイス)
P40〜P57 接続ピン(接続部材)
IN1,IN2 入力ランド(入力側接続部)
OUT1,OUT2 出力ランド(出力側接続部)
P,P’ 接続ピンのピッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板の入力側接続部及び出力側接続部に対して複数種の半導体デバイスを選択的に実装するための接続構造であって、
前記配線基板には予め定められたランドパターンにて前記入力側接続部及び出力側接続部が固定配置されるとともに、
前記半導体デバイスの矩形状の対向2辺には、前記配線基板の入力側接続部及び出力側接続部に対面する複数の接続部材がそれぞれ所定の個数とピッチとからなる配列パターンで配置され、
前記対向2辺が前記配列パターンの形成方向又はそれに交差する方向に平行移動したとき、各辺の配列パターンを構成する接続部材には、前記配線基板の入力側接続部及び出力側接続部と各々接続可能な入出力パターンが形成されることによって、各辺の接続部材の入出力パターンのうち少なくとも一方を異ならせた複数種の半導体デバイスが前記配線基板に対して選択的に実装可能となることを特徴とする配線基板と半導体デバイスとの接続構造。
【請求項2】
前記配線基板の入力側接続部及び出力側接続部と前記入出力パターンが異なるように予め選定された複数種の半導体デバイスの接続部材とを各々接続するために、それら複数種の半導体デバイスの入出力に用いられる配線パターンが予め前記配線基板の主表面に形成され、
複数種から選択された半導体デバイスの対向2辺が前記配列パターンの形成方向又はそれに交差する方向に平行移動することにより、当該半導体デバイスの接続部材に形成された入出力パターンが前記配線パターンを介して前記配線基板の入力側接続部及び出力側接続部と各々接続するように位置決めされる請求項1に記載の配線基板と半導体デバイスとの接続構造。
【請求項3】
複数種から選択された半導体デバイスの対向2辺が前記配列パターンの形成方向又はそれに交差する方向に平行移動して前記配線基板上に配置され、当該半導体デバイスの接続部材に形成された入出力パターンが前記配線基板の入力側接続部及び出力側接続部と各々接続するように、前記配線基板の主表面に配線パターンが形成される請求項1に記載の配線基板と半導体デバイスとの接続構造。
【請求項4】
前記複数種の半導体デバイスは、前記配列パターンを構成する接続部材の個数、そのピッチ、前記配列パターンの形成方向の全長、及びそれに直交する方向の全幅を共通とし、
前記複数種の半導体デバイスは、前記対向2辺が前記配列パターンの形成方向に対して斜め方向に平行移動し、前記配線基板に対して選択的に実装可能となる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の配線基板と半導体デバイスとの接続構造。
【請求項5】
前記複数種の半導体デバイスは、前記配列パターンを構成する接続部材の個数、そのピッチ、前記配列パターンの形成方向の全長、及びそれに直交する方向の全幅のうちの少なくともいずれかが異なり、
前記複数種の半導体デバイスは、前記対向2辺が前記配列パターンの形成方向に対して斜め方向に平行移動し、前記配線基板に対して選択的に実装可能となる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の配線基板と半導体デバイスとの接続構造。
【請求項6】
前記複数種の半導体デバイスは、前記配線基板の主表面の範囲内において、前記対向2辺が前記配列パターンの形成方向又はそれに交差する方向に平行移動可能とされている請求項1ないし5のいずれか1項に記載の配線基板と半導体デバイスとの接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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