説明

配線基板の製造方法

【課題】
厚みに偏りがない配線基板の製造方法を提供すること、および反りが小さい配線基板の製造方法を提供すること。
【解決手段】 コア基板10を水平に維持して搬送路を搬送するとともに、搬送路の上下に対をなして配置された研磨ロールのセットによりコア基板10の上下面を研磨する研磨工程を含む配線基板の製造方法において、研磨ロールのセットを搬送路の上流側に位置する研磨のロールセットS1と下流側に位置する研磨ロールのセットS2との少なくとも2セット設けるとともに、上流側の研磨ロールのセットS1によりコア基板10の上下面を研磨した後、コア基板10を前後および/または上下に反転させ、その状態で下流側の研磨ロールのセットS2によりコア基板10の上下面を研磨する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板の製造方法に関し、より詳細には、穴埋め樹脂で充填されたスルーホールを有するコア基板の上下面を研磨ロールによる研磨する工程を含む配線基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子等の電子部品を搭載するための配線基板としてビルドアップ多層配線基板が知られている。このビルドアップ多層配線基板は、両面銅張り板をコア基板として使用する。両面銅張板は、ガラスクロスにビスマレイミドトリアジン樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させた絶縁板の上下両面に銅箔が張着されたものである。そして、ビルドアップ多層配線基板を製造する際には、このコア基板にドリル加工により多数のスルーホールを形成するとともに、スルーホール内壁および上下の銅箔表面に無電解銅めっきおよび電解銅めっきを順次被着させる。次に、銅めっきが被着されたスルーホール内にエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂から成る穴埋め樹脂を充填して硬化させた後、このコア基板の上下面を研磨ロールにより研磨して平坦化する。この研磨により、コア基板の上下面から突出した穴埋め樹脂の突起部が除去されるとともに、コア基板上下面の銅箔およびその上の銅めっきとを合わせた厚みが薄いものとなる。次にコア基板の上下面の銅箔および銅めっきを周知のサブトラクティブ法により所定パターンに加工してコア用の配線導体を形成する。次に、このコア用の配線導体が形成されたコア基板の上下面にビルドアップ用の樹脂層と配線層とを交互に多層に形成することによって配線基板が完成する。
【0003】
従来、スルーホール内に穴埋め樹脂が充填されたコア基板の上下面を研磨する場合は、図4に示されているような研磨装置が使用されている。この研磨装置においては、コア基板36を図の右側(上流側)から左側(下流側)へと水平に搬送する搬送路の上下に複数の駆動ロール35および第1〜第4の4個の研磨ロール31,32,33,34を備えている。第1の研磨ロール31と第2の研磨ロール32は、互いに対になって上流側の研磨ロールのセット3S1を形成しており、コア基板36の搬送に伴って先ずコア基板36の上面を搬送路の上側の第1の研磨ロール31で研磨し、続いてコア基板36の下面を下側の第2の研磨ロール32で研磨する。第3の研磨ロール33と第4の研磨ロール34は、互いに対になって下流側の研磨ロールのセット3S2を形成しており、コア基板36の搬送に伴ってコア基板36の上面を上側の第3の研磨ロール33で追加研磨し、コア基板36の下面を下側の第4の研磨ロール34で追加研磨する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−308520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の穴コア基板の研磨工程においては、コア基板は、常に一定の方向を向いて搬送される。したがって、コア基板の上下面は常に一定の方向から研磨ロールにより研磨されることになる。そしてコア基板が最初の研磨ロールにかかる際、研磨ロールとコア基板表面とのなじみが悪く研磨ロールがコア基板に大きく食い込む。そのため、研磨されたコア基板において、搬送方向の先頭側の研磨量が多くなる傾向になあり、研磨されたコア基板に厚みに偏りが発生するという問題があった。同時に、上下の研磨ロールへの研磨水の供給量の違いやコア基板にかかる重力の影響から、コア基板の上面と下面とで研磨量に差が発生し、そのため研磨後にコア基板に反りが発生し易いという問題があった。本発明は、かかる従来の問題点に鑑み案出されたものであり、コア基板の厚みに偏りがない配線基板の製造方法を提供することを課題とするものである。また、本発明は、反りが小さい配線基板の製造方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の配線基板の製造方法は、配線基板用のコア基板を水平に維持して搬送路を搬送するとともに、搬送路の上下に対をなして配置された研磨ロールのセットによりコア基板の上下面を研磨する研磨工程を含む配線基板の製造方法において、研磨ロールのセットを搬送路の上流側に位置する研磨ロールのセットと下流側に位置する研磨ロールのセットとの少なくとも2セット設けるとともに、上流側の研磨ロールのセットによりコア基板の上下面を研磨した後、コア基板を前後および/または上下に反転させ、反転させた状態で下流側の研磨ロールのセットによりコア基板の上下面を研磨することを特徴とするものである。

【発明の効果】
【0007】
本発明の配線基板の製造方法によれば、コア基板の研磨工程において、上流側の研磨ロールのセットによりコア基板の上下面を研磨した後、コア基板を前後に反転させ、その状態で下流側の研磨ロールのセットによりコア基板の上下面を研磨することによりコア基板の搬送方向に係わる研磨量の均一性を改善し、コア基板の厚みに偏りがない配線基板を提供することができる。さらに、上流側の研磨ロールのセットによりコア基板の上下面を研磨した後、コア基板を上下に反転させ、その状態で下流側の研磨ロールのセットによりコア基板の上下面を研磨することにより、コア基板の上下面の研磨量の均一性を改善し、反りの小さい配線基板を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の配線基板の製造方法における実施の形態例を説明するための概略断面図である。
【図2】本発明の製造方法により研磨されるコア基板を説明するための要部拡大断面模式図である。
【図3】本発明の製造方法により研磨されるコア基板を説明するための要部拡大断面模式図である。
【図4】従来技術における、配線基板を製造する方法を説明するための概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明の実施の好適な形態を図面を用いて説明する。
まず、図2に、本発明の製造方法により研磨されるコア基板10の要部拡大断面模式図を示す。コア基板10は、図2に示されているように、ガラスクロスにビスマレイミドトリアジン樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させた絶縁板11の上下両面に銅箔および銅めっきから成る導体層12が被着されており、その上面から下面にかけて複数のスルーホール13が形成されている。スルーホール13の内壁には銅めっきのみから成る導体層12が被着されているとともにスルーホール13内には穴埋め樹脂14が充填されている。そして、穴埋め樹脂14は、コア基板10の上下面から突出する突出部を有する。そして、本発明の製造方法によりコア基板10の上下面が研磨されることにより、図3に示すように、コア基板10の上下面から突出した穴埋め樹脂14の突起部が除去されるとともに、上下面の導体層12の厚みが薄くなる。なお、図2および図3では、コア基板10の一部分しか示していないが、実際には、縦横の大きさが500〜600mmの大型のパネルである。
【0010】
次に、このコア基板10の上下面を研磨する方法を図1を基にして説明する。本例において使用される研磨装置は、図1に示すように、コア基板10を図の右側(上流側)から左側(下流側)へと水平に搬送する搬送路の上下に複数の駆動ロール5と第1〜第4の研磨ロール1,2,3,4とを備えている。第1の研磨ロール1と第2の研磨ロール2とは、互いに対をなして上流側の研磨ロールのセットS1を形成しており、コア基板10の搬送に伴って先ずコア基板10の上面を第1の研磨ロール1で研磨し、次にコア基板10の下面を第2の研磨ロール2で研磨する。また、第3の研磨ロール3と第4の研磨ロール4とは、互いに対をなして下流側の研磨ロールのセットS2を形成しており、コア基板10の搬送に伴ってコア基板10の上面を第3の研磨ロール3で追加研磨し、次にコア基板10の下面を第4の研磨ロール4で追加研磨する。
【0011】
さらに、図1で示す研磨装置には、上流側の研磨ロールのセットS1と下流側の研磨ロールのセットS2との間に、図示しない反転装置が備えられている。そして、搬送路を搬送されるコア基板10は、上流側の研磨ロールのセットS1によりその上下面が研磨された後、この反転装置により搬送路の搬送方向に対して垂直かつ水平な回転軸を中心にして前後および上下が反転され、その状態で下流側の研磨ロールのセットS2によりその上下面が追加研磨される。なお、図1において、コア基板10の太線で示された面が上流側の研磨ロールのセットS1により研磨される際に先頭側および上面側となる面である。
【0012】
コア基板10が上流側の研磨ロールのセットS1と下流側の研磨ロールのセットS2との間で前後に反転されることにより、コア基板10の上下面が水平方向に180度反対側から交互に研磨されることになり、その結果、コア基板10の搬送方向に係わる研磨量の均一性が改善される。したがって、コア基板10に厚みの偏りがない配線基板を提供することができる。また、上流側の研磨ロールのセットS1と下流側の研磨ロールのセットS2との間でコア基板10が上下に反転されることにより、洗浄水の量や重力による影響がコア基板10の上下面に交互に同じように加わるのでコア基板10における上下面の研磨量の均一性が改善される。したがって、反りの小さい配線基板を提供することができる。なお、コア基板10が反転される位置の上流側と下流側とにそれぞれ同数の研磨ロールのセットを配置することにより、コア基板10の上下面の研磨の状態を略均等な状態とすることができる。したがって、コア基板10が反転される位置の上流側と下流側とにそれぞれ同数の研磨ロールのセットを配置することが好ましい。
【0013】
なお、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば、種々の変更は可能であり、例えば上述の実施の形態では、上流側の研磨ロールのセットS1と下流側の研磨ロールのセットS2との間でコア基板10を前後および上下に反転させたが、コア基板10を水平面に対して垂直な回転軸を中心にして前後のみに反転させてもよいし、あるいは搬送路の搬送方向に平行な回転軸を中心にして上下のみに反転させてもよい。また、コア基板10が反転される位置の上流側と下流側とにそれぞれ異なる数の研磨ロールのセットを配置してもよい。
【符号の説明】
【0014】
1 第1の研磨ロール
2 第2の研磨ロール
3 第3の研磨ロール
4 第4の研磨ロール
5 搬送ロール
10 コア基板
11 絶縁板
12 導体層
13 スルーホール
14 穴埋め樹脂
S1 上流側の研磨ロールのセット
S2 下流側の研磨ロールのセット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板用のコア基板を水平に維持して搬送路を搬送するとともに、前記搬送路の上下に対をなして配置された研磨ロールのセットにより前記コア基板の上下面を研磨する工程を含む配線基板の製造方法において、前記研磨ロールのセットを前記搬送路の上流側と下流側とに少なくとも2セット設けるとともに、前記上流側の研磨ロールのセットにより前記コア基板の上下面を研磨した後、該コア基板を前後および/または上下に反転させ、該反転させた状態で前記下流側の研磨ロールのセットにより前記コア基板の上下面を研磨することを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項2】
前記コア基板を前後に反転させる位置の上流側と下流側とにそれぞれ同数の研磨ロールのセットを配置していることを特徴とする請求項1記載の配線基板の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−238813(P2010−238813A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−83474(P2009−83474)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(304024898)京セラSLCテクノロジー株式会社 (213)
【Fターム(参考)】