説明

配線基板及び半導体装置の製造方法

【課題】本発明の目的は、アライメントマークを容易に認識することができる配線基板及び半導体装置の製造方法を提供することにある。
【解決手段】配線基板1は、光透過性の基板10と、基板10の第1の面11に形成されたアライメントマーク14及び第1の配線パターン21と、基板10の第2の面12に形成された第2の配線パターン22と、を含む。第2の配線パターン22は、第1の面11への正射影122が、アライメントマーク14とオーバーラップ及び接触のいずれもしないように形成されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミド等の絶縁基板の両面に、Cu等の金属箔から形成された配線パターンが形成されてなる配線基板が知られている(特許文献1参照)。また、配線基板に半導体チップを、フェースダウンボンディングすることも知られている。
【0003】
従来、フェースダウンボンディングを行うときに、配線基板に形成されたアライメントマークを認識して、半導体チップの位置決めを行っていた。アライメントマークの認識は、配線基板に対して光を照射し、アライメントマークにて反射した光を検出することで行っていた。しかし、光が配線基板を透過して反対側の配線パターンで反射すると、アライメントマークを認識することが困難になるという問題があった。
【特許文献1】特開2001−85475号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述したような課題を解決するものであり、その目的は、アライメントマークを容易に認識することができる配線基板及び半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明に係る配線基板は、
光透過性の基板と、
前記基板の第1の面に形成されたアライメントマーク及び第1の配線パターンと、
前記基板の第2の面に形成された第2の配線パターンと、
を含み、
前記第2の配線パターンは、前記第1の面への正射影が前記アライメントマークとオーバーラップ及び接触のいずれもしないように形成されてなる。本発明によれば、アライメントマークの反射光を検出して得られる像が、第2の配線パターンの反射光を検出して得られる像と連続しないので、アライメントマークを容易に認識することができる。
(2)この配線基板において、
前記基板の前記第2の面に形成された、前記第2の配線パターンの少なくとも一部を覆う絶縁層をさらに含み、
前記絶縁層は、前記第1の面への正射影が前記アライメントマークとオーバーラップ及び接触のいずれもしないように形成されていてもよい。これによれば、アライメントマークの反射光を検出して得られる像が、絶縁層の反射光を検出して得られる像と連続しないので、アライメントマークを容易に認識することができる。
(3)本発明に係る半導体装置の製造方法は、
配線基板と半導体チップとの相対的な位置合わせと、
前記配線基板への前記半導体チップのフェースダウンボンディングと、
を含み、
前記配線基板は、
光透過性の基板と、
前記基板の第1の面に形成されたアライメントマーク及び第1の配線パターンと、
前記基板の第2の面に形成された第2の配線パターンと、
を含み、前記第2の配線パターンは、前記第1の面への正射影が前記アライメントマークとオーバーラップ及び接触のいずれもしないように形成され、
前記位置合わせは、
前記基板の前記第1の面へ光を照射すること、
前記アライメントマークで反射した前記光を検出すること、
検出された前記光に基づいて前記アライメントマークを認識すること、及び、
認識された前記アライメントマークの位置情報を使用して、予め設定された相対的位置情報に従って、前記半導体チップを配置すること、
を含む。本発明によれば、アライメントマークの反射光を検出して得られる像が、第2の配線パターンの反射光を検出して得られる像と連続しないので、アライメントマークを容易に認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0007】
図1(A)は、本発明の実施の形態に係る配線基板の一部断面図である。配線基板1は、基板10を有する。基板10は、ポリエチレンテレフタレートやポリイミド樹脂などの有機系材料で構成されていてもよいし、無機材料で構成されていてもよいし、これらの複合材料から構成されてもよい。基板10は、テープであってもよいし、フィルムであってもよいし、フレキシブル基板であってもよい。基板10は、光透過性を有する。ここで、光透過性とは、透明のみならず半透明も含む。光は、可視光のみならず、それ以外の波長の電磁波を含み、紫外線・赤外線も含む。基板10は、第1及び第2の面11,12を有する両面基板(両面に配線パターンが形成された基板)である。
【0008】
第1の面11には、少なくとも1つ(通常、複数)のアライメントマーク14が形成されている。アライメントマーク14は、位置決めのためのもので、その形状は、図1(B)に示すように、丸形状であってもよいし、角形状であってもよい。第1の面11には、第1の配線パターン21(図3参照)が形成されている。第1の配線パターン21は、電子部品間の電気的な接続のために使用される。アライメントマーク14及び第1の配線パターン21は、同一の材料で形成してもよく、多くの場合、同時に形成される。アライメントマーク14及び第1の配線パターン21は、分離(電気的に絶縁)されている。アライメントマーク14及び第1の配線パターン21は、相対的な位置が決められており、一方の位置情報を使用して、他方の位置を知ることができる。
【0009】
第1の面11には、絶縁層(例えばソルダーレジスト)30が形成されている。絶縁層30は、第1の配線パターン21(図3参照)の少なくとも一部を(あるいは、第1の配線パターン21をその一部を除いて)覆っている。絶縁層30は、開口(又は貫通穴)32を有する。開口32内に、アライメントマーク14が配置されている。アライメントマーク14は、絶縁層30に覆われておらず、接触すらしていない。また、第1の面11の一部(アライメントマーク14を囲む部分)も、開口32を介して、絶縁層30から露出している。
【0010】
第2の面12には、第2の配線パターン22が形成されている。第2の配線パターン22も、電子部品間の電気的な接続のために使用される。第2の配線パターン22は、第1の配線パターン21と電気的に接続されている。その接続は、基板10に形成されたスルーホール(図示せず)によってなされる。第1及び第2の配線パターン21,22は、同一の材料で形成してもよい。
【0011】
第2の面12には、絶縁層(例えばソルダーレジスト)40が形成されている。絶縁層40は、第2の配線パターン22の少なくとも一部を(あるいは、第2の配線パターン22をその一部を除いて)覆っている。絶縁層40は、開口(又は貫通穴)42を有する。第2の面12の一部が、開口42を介して、絶縁層40から露出している。
【0012】
図1(B)は、第2の面に形成された第2の配線パターン及び絶縁層の、第1の面への正射影を示す図である。図1(B)には、第1の面11を投影面として、正投影法によって表した、第2のパターン22及び絶縁層40の正射影122,140(正確にはこれらの裏面)が示されている。
【0013】
本実施の形態では、第2の配線パターン22の正射影122は、アライメントマーク14とオーバーラップせず、接触もしないように形成されている。また、絶縁層40の正射影140は、アライメントマーク14とオーバーラップせず、接触もしないように形成されている。これによる効果は、後述するように半導体装置を製造するときに得られる。
【0014】
図2は、本実施の形態に係る配線基板の変形例を示す図である。図2では、絶縁層50は、その正射影(図示せず)が、アライメントマーク14とオーバーラップするように形成されている。すなわち、絶縁層50には、図1(A)に示す開口42が形成されていない。しかし、第2の配線パターン22とアライメントマーク14との位置関係は、図1(A)に示す例と同じである。本発明は、この例も含む。
【0015】
図3は、本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。本実施の形態では、半導体チップ60の配線基板1へのフェースダウンボンディングを行う。
【0016】
半導体チップ60には、集積回路62が形成されている。半導体チップ60の一方の面(能動面)には、バンプ64が形成されている。バンプ64は、集積回路62と電気的に接続されている。バンプ64は、例えばアルミニウム又は銅、金等で形成されている。
【0017】
配線基板1は、テーブル70上に配置する。テーブル70は、図示しないアクチュエータ等によって、2次元的に又は3次元に移動するようになっていてもよいが、動かないように固定されていてもよい。テーブル70の、配線基板1を支持する面は、アライメントマーク14よりも光の反射率が低くてもよい。配線基板1は、第2の面12をテーブル70に向けて配置される。したがって、第1の面11が上(テーブル70とは反対方向)を向いている。
【0018】
テーブル70の上方にはボンディングツール72が配置されている。半導体チップ60は、ボンディングツール72に吸着される。ボンディングツール72は、図示しないアクチュエータ等によって、上下方向(テーブル70に対して接近する方向及び離れる方向)に移動できるようになっている。また、ボンディングツール72は、図示しないヒータによって、半導体チップ60を加熱できるようになっている。
【0019】
テーブル70の上方には、撮像器(例えばカメラ)80が配置されている。撮像器80は、他の部品(ボンディングツール72等)によって妨げられずに、テーブル70上の配線基板1を撮影できる位置にある。
【0020】
半導体装置の製造方法は、配線基板1と半導体チップ60との相対的な位置合わせを含む。位置合わせでは、アライメントマーク14が撮像器80の撮像範囲内に入るように、配線基板1を配置する。アライメントマーク14が撮像範囲よりも、かなり小さいので、この配置に正確さは要求されない。
【0021】
そして、第1の面11に向けて(例えば垂直に)光82を照射する。光82は、絶縁層30の開口32内では、アライメントマーク14で反射する。
【0022】
次に、アライメントマーク14で反射した光82を検出する。検出は、撮像器80によって行う。撮像器80が受光素子を有していれば、光82を電気信号に変換する。続いて、検出された光82(例えばその電気信号)に基づいてアライメントマーク14を認識する。アライメントマーク14の画像をディスプレイ(図示せず)に表示してこれを作業者が認識してもよい。自動化する場合、アライメントマーク14の形状を予めメモリ(図示せず)に記憶しておき、その形状と撮像された形状とを比較して、決められた条件下で一致すると判断された場合に、これをアライメントマーク14として認識する。
【0023】
開口32内では、基板10が光透過性を有するため、アライメントマーク14がない部分では光82が基板10を透過する。なお、光82が完全に透過しない場合、その一部が反射するとしても、その反射は、アライメントマーク14での反射よりも少ない。
【0024】
基板10を透過した光82は、絶縁層40の開口42内に出射し、テーブル70で反射するとしても、開口42内で空気中を進行するため大きく減衰される。テーブル70の表面が非反射処理してあればさらに反射しにくい。開口42内に仮に第2の配線パターン22があってこれで反射した場合と比較すると、テーブル70で反射した光82は無視できる程度のものである。さらに、開口42内には、絶縁層40がないので、結局、開口42内では光82は反射しないか、反射したとしても無視できる程度である。
【0025】
本実施の形態によれば、図1(B)に示すように、第2の配線パターン22及び絶縁層40の正射影122,140は、アライメントマーク14とオーバーラップせず、接触もしないように形成されている。したがって、第2の配線パターン22及び絶縁層40で光82が反射したとしても、アライメントマーク14で反射した光82を検出して得られる像が、第2の配線パターン22又は絶縁層40で反射した光を検出して得られる像と連続しない。これにより、アライメントマーク14を容易に認識することができる。図2に示す配線基板を使用した場合であっても、第2の配線パターン22反射する光に関して同様の効果を得ることができる。
【0026】
そして、認識されたアライメントマーク14の位置情報を取得する。例えば、予め設定された座標系において、アライメントマーク14の座標を算出する。こうして得られたアライメントマーク14の位置情報を使用して、予め設定された相対的位置情報に従って、半導体チップ60を配置する。詳しくは、予め設定された座標系でアライメントマーク14の座標(位置情報)が得られると、アライメントマーク14に対する第1の配線パターン21の相対的な位置が予め決まっているので、この相対的位置情報にしたがって、第1の配線パターン21の座標(位置情報)を算出することができる。こうして、第1の配線パターン21の位置情報(詳しくは、バンプ64と対向すべき部分(ランド)の位置情報)を取得することができ、半導体チップ60を搭載する位置情報を算出することができる。
【0027】
そして、半導体チップ60を、搭載すべき位置の上方に配置する。続いて、配線基板1への半導体チップ60のフェースダウンボンディングを行う。フェースダウンボンディングでは、ボンディングツール72を介して、半導体チップ60を配線基板1に押圧し、バンプ64及び第1の配線パターン21を加熱する。バンプ64及び第1の配線パターン21は、金属接合又は図示しない異方性導電フィルム等を介して電気的に接続する。以上の工程を含むプロセスによって、半導体装置を製造することができる。
【0028】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び結果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。さらに、本発明は、実施の形態で説明した技術的事項のいずれかを限定的に除外した内容を含む。あるいは、本発明は、上述した実施の形態から公知技術を限定的に除外した内容を含む。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1(A)は、本発明の実施の形態に係る配線基板の一部断面図であり、図1(B)は、第2の面に形成された第2の配線パターン及び絶縁層の、第1の面への正射影を示す図である。
【図2】図2は、本実施の形態に係る配線基板の変形例を示す図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0030】
1…配線基板、 10…基板、 11…第1の面、 12…第2の面、 14…アライメントマーク、 21…第1の配線パターン、 22…第2の配線パターン、 30…絶縁層、 32…開口、 40…絶縁層、 42…開口、 50…絶縁層、 60…半導体チップ、 62…集積回路、 64…バンプ、 70…テーブル、 72…ボンディングツール、 80…撮像器、 82…光、 122…正射影、 140…正射影

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性の基板と、
前記基板の第1の面に形成されたアライメントマーク及び第1の配線パターンと、
前記基板の第2の面に形成された第2の配線パターンと、
を含み、
前記第2の配線パターンは、前記第1の面への正射影が前記アライメントマークとオーバーラップ及び接触のいずれもしないように形成されてなる配線基板。
【請求項2】
請求項1に記載された配線基板において、
前記基板の前記第2の面に形成された、前記第2の配線パターンの少なくとも一部を覆う絶縁層をさらに含み、
前記絶縁層は、前記第1の面への正射影が前記アライメントマークとオーバーラップ及び接触のいずれもしないように形成されてなる配線基板。
【請求項3】
配線基板と半導体チップとの相対的な位置合わせと、
前記配線基板への前記半導体チップのフェースダウンボンディングと、
を含み、
前記配線基板は、
光透過性の基板と、
前記基板の第1の面に形成されたアライメントマーク及び第1の配線パターンと、
前記基板の第2の面に形成された第2の配線パターンと、
を含み、前記第2の配線パターンは、前記第1の面への正射影が前記アライメントマークとオーバーラップ及び接触のいずれもしないように形成され、
前記位置合わせは、
前記基板の前記第1の面へ光を照射すること、
前記アライメントマークで反射した前記光を検出すること、
検出された前記光に基づいて前記アライメントマークを認識すること、及び、
認識された前記アライメントマークの位置情報を使用して、予め設定された相対的位置情報に従って、前記半導体チップを配置すること、
を含む半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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