説明

配線基板

【課題】位置決め孔を有する配線基板において、位置決め孔を用いた位置合わせ精度の高い配線基板を提供すること。
【解決手段】絶縁基板1の上面に、外部との接続に用いられる接続パッド2がその外周部をソルダーレジスト層3で覆われるとともにその中央部を前記ソルダーレジスト層3に設けられた開口部4内に露出させるようにして形成されているとともに、絶縁基板1に位置決め用のガイド孔6が形成されて成る配線基板であって、ソルダーレジスト層3は、ガイド6孔上にガイド孔6よりも小径でかつ開口部4と同時にフォトリソグラフィ技術により形成された位置決め孔7を有している配線基板である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置決め孔を有する配線基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5(a),(b)に、位置決め孔を有する配線基板の従来例として光半導体素子Sを搭載するための配線基板50を概略断面図で示す。従来、光半導体素子Sを搭載するための配線基板50は、例えば絶縁基板11の上面に光半導体素子Sの電極Tが接続される複数の半導体素子接続パッド12を有している。これらの半導体素子接続パッド12は、絶縁基板11の上面に被着されたソルダーレジスト層13によりその外周部が被覆されているとともにその中央部がソルダーレジスト層13に設けられた開口部14内に露出している。そして、光半導体素子Sの電極Tと半導体素子接続パッド12の露出部とは半田バンプBを介してフリップチップ接続により電気的に接続される。また、絶縁基板11の中央部には、光半導体素子Sとの間で光の授受を可能とするための貫通窓15が形成されている。貫通窓15は、光半導体素子Sの受光または発光部Lと対向するように設けられている。また、絶縁基板11の外周部には、光ファイバFを位置決めするためのガイド孔16が形成されている。
【0003】
他方、絶縁基板11の下面側には、光ファイバFが接続される。光ファイバFは、ガイド部材Gにより支持されている。ガイド部材Gには、ガイド孔16に対応する位置に位置決め用のガイドピンPが設けられている。そして、このガイドピンPをガイド孔16に挿通することにより、光ファイバFが光半導体素子Sの受光または発光部Lに対して位置決めされる。
【0004】
ガイド孔16は通常、ドリル加工により形成される。ドリル加工によるガイド孔16の位置精度は±50μm程度である。また、光半導体素子Sの電極Tが接続される半導体素子接続パッド12の露出部は、絶縁基板11上に被着されたソルダーレジスト層13の開口部14により画定されている。ソルダーレジスト層13は、通常、感光性を有するソルダーレジスト13用のペースト状またはフィルム状の樹脂組成物を半導体素子接続パッド12が形成された絶縁基板11上に塗布または貼着した後、周知のフォトリソグラフィ技術を採用して開口部14を有するパターンに露光および現像した後、熱硬化させることにより形成される。このとき、開口部14の位置精度は±15μm程度である。したがって、光半導体素子Sとガイド孔16との間の位置精度はこれらが重なりあって±60μmを超えるものとなってしまう。このように従来の配線基板50では、光半導体素子Sとガイド孔16との間の位置精度が低いため、光半導体素子Sの受光または発光部Lと光ファイバFとの正確な位置合わせが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−341102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、位置決め孔を有する配線基板において、位置決め孔を用いた位置合わせ精度の高い配線基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の配線基板は、絶縁基板の上面に、外部との接続に用いられる接続パッドがその外周部をソルダーレジスト層で覆われるとともにその中央部を前記ソルダーレジスト層に設けられた開口部内に露出させるようにして形成されているとともに、前記絶縁基板に位置決め用のガイド孔が形成されて成る配線基板であって、前記ソルダーレジスト層は、前記ガイド孔上に該ガイド孔よりも小径でかつ前記開口部と同時にフォトリソグラフィ技術により形成された位置決め孔を有していることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の配線基板によれば、絶縁基板上面に被着されたソルダーレジスト層は、絶縁基板に設けたガイド孔上に、ガイド孔より小径でかつ接続パッドの中央部を露出させる開口部と同時にフォトリソグラフィ技術により形成された位置決め孔を有していることから、この位置決め孔は外部との接続に用いられる接続パッドの露出部に対して極めて高い位置精度で形成されている。したがって、この位置決め孔を位置決め用の基準孔として利用することにより高い精度の位置合わせを容易に行なうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1(a),(b)は、本発明の配線基板の実施形態の一例を示す概略断面図である。
【図2】図2(a),(b)は、本発明の配線基板の実施形態の他の例を示す概略断面図である。
【図3】図3は、本発明の配線基板の実施形態の更に他の例を示す概略断面である。
【図4】図4は、本発明の応用例を示す概略断面図である。
【図5】図5(a),(b)は、従来の配線基板を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の配線基板の実施形態の一例を図1(a),(b)を基にして説明する。本例の配線基板10は、絶縁基板1の上面に光半導体素子Sの電極Tが接続される複数の半導体素子接続パッド2を有している。半導体素子接続パッド2は、絶縁基板1の上面に被着されたソルダーレジスト層3によりその外周部が被覆されているとともにその中央部がソルダーレジスト層3に設けられた開口部4内に露出している。そして、光半導体素子Sの電極Tと半導体素子接続パッド2の露出部とは半田バンプBを介してフリップチップ接続により電気的に接続される。また、絶縁基板1の中央部には、光半導体素子Sとの間で光の授受を可能とするための貫通窓5が形成されている。貫通窓5は、光半導体素子Sの受光または発光部Lと対向するように設けられている。また、絶縁基板1の外周部には、ガイド孔6が形成されている。
【0011】
絶縁基板1は、例えばガラスクロスにエポキシ樹脂やビスマレイミドトリアジン樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させて硬化させた電気絶縁材料から成る。絶縁基板1の厚みは例えば40〜1500μm程度である。絶縁基板1は、単層であっても多層であってもよい。絶縁基板1に設けた貫通窓5およびガイド孔6は、例えば、ドリル加工により形成されている。貫通窓5の直径は50〜500μm程度である。またガイド孔6の直径は100〜3000μm程度である。これらの貫通窓5およびガイド孔6はドリル加工により形成されるため、その位置精度は±50μm程度である。
【0012】
半導体素子接続パッド2は、例えば銅箔や銅めっき層から成る。半導体素子接続パッド2は通常円形であり、その直径は30〜700μm程度である。また半導体素子接続パッド2の厚みは5〜50μm程度である。このような半導体素子接続パッド2は、周知のサブトラクティブ法やセミアディティブ法等のパターン形成法により形成されている。
【0013】
ソルダーレジスト層3は、例えばアクリル変性エポキシ樹脂等の感光性を有する熱硬化性樹脂を硬化させた電気絶縁材料から成る。ソルダーレジスト層3の厚みは、5〜50μm程度である。ソルダーレジスト層3に設けられた開口部4は、半導体素子接続パッド2よりも小さな円形であり、その直径は20〜650μm程度である。このようなソルダーレジスト層は、フォトリソグラフィ技術により形成されている。具体的には、感光性を有する熱硬化性樹脂のフィルムを絶縁基板1の上面に貼着するとともに所定のパターンに露光および現像した後、紫外線硬化および熱硬化させることにより形成される。
【0014】
本例の配線基板10では、ソルダーレジスト層3は、絶縁基板1のガイド孔6上に位置決め孔7を有している。位置決め孔7の直径は、ガイド孔6の直径よりも30〜500μm程度小さく、70〜2500μm程度である。この位置決め孔7は、開口部4と同時にフォトリソグラフィ技術により形成されている。そのため位置決め孔7は、光半導体素子Sの電極がフリップチップ接続される半導体素子接続パッド2の露出部に対して±15μm以下の極めて高い位置精度で形成されている。
【0015】
他方、絶縁基板1の下面側には、光ファイバFが接続される。光ファイバFは、ガイド部材Gにより支持されている。ガイド部材Gには、位置決め孔7に対応する位置に位置決め用のガイドピンPが設けられている。そして、このガイドピンPを位置決め孔7に挿通することにより、光ファイバFが光半導体素子Sの受光または発光部Lに対して位置決めされる。このとき、位置決め孔7は光半導体素子Sの電極がフリップチップ接続される半導体素子接続パッド2の露出部に対して±15μm以下の極めて高い位置精度で形成されているので、この位置決め孔7を光ファイバFを取り付けるガイド部材Gを位置決めするための基準孔として利用することにより、搭載される光半導体素子Sの受光または発光部Lと光ファイバFとの位置合わせを高い精度で容易に行なうことが可能となる。したがって、本例によれば、搭載される光半導体素子の受光または発光部と光ファイバとの位置合わせを高い精度で容易に行なうことが可能な配線基板を提供することができる。
【0016】
次に、本発明の配線基板の実施形態の他の例を図2(a),(b)を基にして説明する。なお、図2(a),(b)において上述の実施形態の一例と同様の箇所には同様の符号を付しその詳細な説明は省略する。
【0017】
この例の配線基板20は、絶縁基板1のガイド孔6およびその周辺に対応する上面にソルダーレジスト層3よりも厚みが厚く強度の強い別のソルダーレジスト層8が被着されている。ソルダーレジスト層8は、感光性を有する熱硬化性樹脂を硬化させた電気絶縁材料から成り、ガイド孔6の上に位置決め孔7が開口部4と同時にフォトリソグラフィ技術により形成されている。この場合、ソルダーレジスト層8の厚みが厚く強度が強いので、この位置決め孔7にガイドピンPを挿通することにより、光ファイバFを光半導体素子Sの受光または発光部Lに対して位置決めする際に、強固に位置決めすることができる。
【0018】
なお、本発明は、上述の実施形態の一例または他の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能であり、例えば上述の実施形態の一例および他の例では、絶縁基板1の上面側のみにソルダーレジスト層3やソルダーレジスト層8を設けたが、絶縁基板1の上下両面にソルダーレジスト層3やソルダーレジスト層8を設けてもよい。また、上述の実施形態の一例または他の例では、本発明を光半導体素子Sを搭載する配線基板10,20に適用した例を示したが、本発明は、図3に示すように、半導体素子S1を搭載する配線基板30の上に、別の半導体素子S2を搭載する配線基板40を搭載して成るPoP(Package on Package)構造をとる配線基板30,40に適用しても良い。この場合、上下に積み重ねる配線基板30,40における互いの接続パッド9a,9b同士の位置決めを極めて正確に行なうことができる。また、本発明を例えば図4に示すように、上述の実施形態の一例および他の例で用いられたガイド部材Gに応用することも可能である。この場合、光ファイバFおよびガイドピンPをガイド部材Gの上面に設けたソルダーレジスト層3の位置決め孔7で位置決めすることで極めて高精度に位置決めすることができる。なお、光ファイバFおよびガイドピンPは接着樹脂Rによりガイド部材Gに接着固定する。
【符号の説明】
【0019】
1 絶縁基板
2,9a,9b 接続パッド
3,8 ソルダーレジスト層
4 開口部
6 ガイド孔
7 位置決め孔
10,20,30,40 配線基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板の上面に、外部との接続に用いられる接続パッドがその外周部をソルダーレジスト層で覆われるとともにその中央部を前記ソルダーレジスト層に設けられた開口部内に露出させるようにして形成されているとともに、前記絶縁基板に位置決め用のガイド孔が形成されて成る配線基板であって、前記ソルダーレジスト層は、前記ガイド孔上に該ガイド孔よりも小径でかつ前記開口部と同時にフォトリソグラフィ技術により形成された位置決め孔を有していることを特徴とする配線基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−79850(P2012−79850A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222330(P2010−222330)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(304024898)京セラSLCテクノロジー株式会社 (213)
【Fターム(参考)】