説明

配線層決定システム、配線層決定方法、および、配線層決定プログラム。

【課題】スルーホールスタブに関し、ザグリ、または、ブラインドヴィアのような高コストのスタブレス化手法を不要にする。
【解決手段】データ処理装置100のパラメータデータ読み出し部110は、記憶装置200からパラメータデータを読み出す。損失計算部120は、パラメータデータに基づき、DH(k,n)=α×Lk+2×Dn=α×Lk+2×DS×Tn(単位配線長当たりの減衰量α[dB/m]、単位スルーホールスタブ長当たりの損失DS[dB/m]、配線層SIGnで配線する場合の1つのスルーホールにおけるスタブ長Tn[m]、各配線の配線長Lk)をk=1番目から最後の配線について、順次n=1から計算し、許容損失DP>DH(k,i)となると、k番目の配線に関し、配線層SIGiを使用して配線する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線層決定システム、配線層決定方法、および、配線層決定プログラムに関し、特に、スルーホールスタブに対する高コストのスタブレス化手法を不要とする配線層決定システム、配線層決定方法、および、配線層決定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
高密度回路形成のため多層基板を使用する際、複数設けられた配線層、および、層間を電気的に接続するスルーホール(ヴィアホール)により信号経路を形成する。高速信号の基板配線では信号経路の余剰部分(スルーホールスタブ)のスルーホールメッキ層の静電容量による信号劣化が問題となるため、従来、スタブレススルーホール化の技術が提案されている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、スルーホールメッキの余剰部分を切削する技術が記載されている。この技術は、ドリルで、配線基板裏面から配線接続に無関係な部分に穴を開け、スルーホールの配線層を除去するものである。
【0004】
【特許文献1】特開2003−158381公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の技術の問題点は、通常の基板製造工程に加えてスタブレス化用の工程(ドリルでの穴開け)が必要となるため、高コストになるということである。
【0006】
本発明の目的は、上記問題点を解決する配線層決定システム、配線層決定方法、および、配線層決定プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の配線層決定システムは、許容損失、配線層対応のスルーホールスタブによる損失、および、各配線長による損失を計算するためのパラメータをパラメータデータとして格納する記憶装置と、前記記憶装置からパラメータデータを読み出し、事前に決定された配線層の順番で、順次、各配線に関し、パラメータデータを使用して配線層対応のスルーホールスタブによる損失、配線長による損失を計算し、許容損失との比較に基づいて各配線層を決定し、結果データとして前記記憶装置に書き込むデータ処理装置とを有する。
【0008】
本発明の第2の配線層決定システムは、許容損失DP、配線層SIGn対応のスルーホールスタブよる損失を計算するためのパラメータ、配線長による損失を計算するためのパラメータ、および、各配線長をパラメータデータとして格納する記憶装置と、前記記憶装置からパラメータデータを読み出し、配線層SIGn対応のスルーホールスタブによる損失、配線長による損失を、事前に決定された配線層SIGnの順番で計算し、DP>(または、≧)(配線層対応のスルーホールスタブによる損失)+(配線長による損失)であれば、配線層SIGnを使用して配線することを示す結果データを作成し、前記記憶装置に書き込むデータ処理装置とを有する。
【0009】
本発明の第3の配線層決定システムは、パラメータデータである許容損失DP、単位配線長当たりの減衰量α、単位スルーホールスタブ長当たりの損失DS、n番目の配線層SIGnで配線する場合の1つのスルーホールにおけるスタブ長Tn、および、k番目(k=1から最後まで)の配線の配線長Lkを格納する記憶装置と、前記記憶装置からパラメータデータを読み出し、k番目の配線に関し、事前に決定された配線層の順番で、DH(k,n)=α×Lk+2×DS×Tnを計算し、DP>(または、≧)DH(k,n)であると、配線層SIGnを使用して配線することを示す結果データを作成し、前記記憶装置に書き込むデータ処理装置とを有する。
【0010】
本発明の第4の配線層決定システムは、パラメータデータである許容損失DP、単位配線長当たりの減衰量α、単位スルーホールスタブ長当たりの損失DS、n番目の配線層SIGnで配線する場合の1つのスルーホールにおけるスタブ長Tn、k番目(k=1から最後まで)の配線の配線長Lk、配線に接続される部品内の信号線の線長LCk、および、単位線長当たりの減衰量DCを格納する記憶装置と、前記記憶装置からパラメータデータを読み出し、k番目の配線に関し、事前に決定された配線層の順番で、DH(k,n)=α×Lk+2×DS×Tn+LCk×DCを計算し、DP>(または、≧)DH(k,n)であると、配線層SIGnを使用して配線することを示す結果データを作成し、前記記憶装置に書き込むデータ処理装置とを有する。
【0011】
本発明の第5の配線層決定システムは、前記第1、第2、第3、または、第4の配線層決定システムであって、前記事前に決定された配線層の順番が、配線基板の表面に近い配線層の順番である。
【0012】
本発明の第1の配線層決定方法は、許容損失、配線層対応のスルーホールスタブによる損失、および、各配線長による損失を計算するためのパラメータをパラメータデータとして格納する記憶装置と、データ処理装置とを備える配線層決定システムにおける配線層決定方法であって、前記データ処理装置が、前記記憶装置からパラメータデータを読み出す手順と、事前に決定された配線層の順番で、順次、各配線に関し、パラメータデータを使用して配線層対応のスルーホールスタブによる損失、配線長による損失を計算し、許容損失との比較に基づいて各配線層を決定する手順と、決定した結果を結果データとして前記記憶装置に書き込む手順とを含む。
【0013】
本発明の第2の配線層決定方法は、許容損失DP、配線層SIGn対応のスルーホールスタブよる損失を計算するためのパラメータ、配線長による損失を計算するためのパラメータ、および、各配線長をパラメータデータとして格納する記憶装置と、データ処理装置とを備える配線層決定システムにおける配線層決定方法であって、前記データ処理装置が、前記記憶装置からパラメータデータを読み出す手順と、配線層SIGn対応のスルーホールスタブによる損失、配線長による損失を、事前に決定された配線層SIGnの順番で計算し、DP>(または、≧)(配線層対応のスルーホールスタブによる損失)+(配線長による損失)であれば、配線層SIGnを使用して配線することを示す結果データを作成する手順と、結果データを前記記憶装置に書き込む手順と含む。
【0014】
本発明の第3の配線層決定方法は、パラメータデータである許容損失DP、単位配線長当たりの減衰量α、単位スルーホールスタブ長当たりの損失DS、n番目の配線層SIGnで配線する場合の1つのスルーホールにおけるスタブ長Tn、および、k番目(k=1から最後まで)の配線の配線長Lkを格納する記憶装置と、データ処理装置とを備える配線層決定システムにおける配線層決定方法であって、前記データ処理装置が、前記記憶装置からパラメータデータを読み出す手順と、k番目の配線に関し、事前に決定された配線層の順番で、DH(k,n)=α×Lk+2×DS×Tnを計算し、DP>(または、≧)DH(k,n)であると、配線層SIGnを使用して配線することを示す結果データを作成する手順と、結果データを前記記憶装置に書き込む手順とを含む。
【0015】
本発明の第4の配線層決定方法は、パラメータデータである許容損失DP、単位配線長当たりの減衰量α、単位スルーホールスタブ長当たりの損失DS、n番目の配線層SIGnで配線する場合の1つのスルーホールにおけるスタブ長Tn、k番目(k=1から最後まで)の配線の配線長Lk、配線に接続される部品内の信号線の線長LCk、および、単位線長当たりの減衰量DCを格納する記憶装置と、データ処理装置とを備える配線層決定システムにおける配線層決定方法であって、前記データ処理装置が、前記記憶装置からパラメータデータを読み出す手順と、k番目の配線に関し、事前に決定された配線層の順番で、DH(k,n)=α×Lk+2×DS×Tn+LCk×DCを計算し、DP>(または、≧)DH(k,n)であると、配線層SIGnを使用して配線することを示す結果データを作成する手順と、結果データを前記記憶装置に書き込むデータ手順とを含む。
【0016】
本発明の第5の配線層決定方法は、前記第1、第2、第3、または、第4の配線層決定方法であって、前記事前に決定された配線層の順番が、配線基板の表面に近い配線層の順番である。
【0017】
本発明の第1の配線層決定プログラムは、許容損失、配線層対応のスルーホールスタブによる損失、および、各配線長による損失を計算するためのパラメータをパラメータデータとして格納する記憶装置と、データ処理装置とを備える配線層決定システムにおける配線層決定プログラムであって、前記記憶装置からパラメータデータを読み出す手順と、事前に決定された配線層の順番で、順次、各配線に関し、パラメータデータを使用して配線層対応のスルーホールスタブによる損失、配線長による損失を計算し、許容損失との比較に基づいて各配線層を決定する手順と、決定した結果を結果データとして前記記憶装置に書き込む手順とを前記データ処理装置に実行させる。
【0018】
本発明の第2の配線層決定プログラムは、許容損失DP、配線層SIGn対応のスルーホールスタブよる損失を計算するためのパラメータ、配線長による損失を計算するためのパラメータ、および、各配線長をパラメータデータとして格納する記憶装置と、データ処理装置とを備える配線層決定システムにおける配線層決定プログラムであって、前記記憶装置からパラメータデータを読み出す手順と、配線層SIGn対応のスルーホールスタブによる損失、配線長による損失を、事前に決定された配線層SIGnの順番で計算し、DP>(または、≧)(配線層対応のスルーホールスタブによる損失)+(配線長による損失)であれば、配線層SIGnを使用して配線することを示す結果データを作成する手順と、結果データを前記記憶装置に書き込む手順とを前記データ処理に実行させる。
【0019】
本発明の第3の配線層決定プログラムは、パラメータデータである許容損失DP、単位配線長当たりの減衰量α、単位スルーホールスタブ長当たりの損失DS、n番目の配線層SIGnで配線する場合の1つのスルーホールにおけるスタブ長Tn、および、k番目(k=1から最後まで)の配線の配線長Lkを格納する記憶装置と、データ処理装置とを備える配線層決定システムにおける配線層決定プログラムであって、前記記憶装置からパラメータデータを読み出す手順と、k番目の配線に関し、事前に決定された配線層の順番で、DH(k,n)=α×Lk+2×DS×Tnを計算し、DP>(または、≧)DH(k,n)であると、配線層SIGnを使用して配線することを示す結果データを作成する手順と、結果データを前記記憶装置に書き込む手順とを前記データ処理装置に実行させる。
【0020】
本発明の第4の配線層決定プログラムは、パラメータデータである許容損失DP、単位配線長当たりの減衰量α、単位スルーホールスタブ長当たりの損失DS、n番目の配線層SIGnで配線する場合の1つのスルーホールにおけるスタブ長Tn、k番目(k=1から最後まで)の配線の配線長Lk、配線に接続される部品内の信号線の線長LCk、および、単位線長当たりの減衰量DCを格納する記憶装置と、データ処理装置とを備える配線層決定システムにおける配線層決定プログラムであって、前記記憶装置からパラメータデータを読み出す手順と、k番目の配線に関し、事前に決定された配線層の順番で、DH(k,n)=α×Lk+2×DS×Tn+LCk×DCを計算し、DP>(または、≧)DH(k,n)であると、配線層SIGnを使用して配線することを示す結果データを作成する手順と、結果データを前記記憶装置に書き込むデータ手順とを前記データ処理装置に実行させる。
【0021】
本発明の第5の配線層決定プログラムは、前記第1、第2、第3、または、第4の配線層決定プログラムであって、前記事前に決定された配線層の順番が、配線基板の表面に近い配線層の順番である。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、スルーホールメッキのザグリ(スルーホールスタブの削除)等のスタブレス化を不要とし、配線基板の低コスト化を実現できるという効果を持つ。その理由は、基板配線層を考慮した配線におけるスルーホールスタブによる損失、および、配線長による損失を考慮して配線層を決定するからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態の配線層決定システム70の構成を示すブロック図である。図1を参照すると、本発明の第1の実施の形態の配線層決定システム70は、データ処理装置100(たとえば、プロセッサ)と、記憶装置200とを含む。
【0024】
データ処理装置100は、パラメータデータ読み出し部110と、損失計算部120と、結果データ書き込み部130とを含む。記憶装置200は、パラメータデータと、結果データ(決定された配線層を表す)とを格納する。
【0025】
図2は、本発明で扱う多層配線基板300、部品400、および、部品410の一例を示す説明図である。図2を参照すると、部品400のピンと部品410のピンとが多層配線基板300の配線で接続される。部品410には、リード411が付属している。多層配線基板300は、配線層SIG1、配線層SIG2、配線層SIG3、配線層SIG4、配線層SIG5、配線層SIG6、非信号層GV1(グランドまたは電源)、非信号層GV2、非信号層GV3、スルーホールSH1、および、スルーホールSH2を含む。
【0026】
図2では、部品400と部品410とが、スルーホールSH1、SH2、配線層SIG3の配線で接続されている。したがって、余剰分は、スルーホールスタブSTB1、スルーホールスタブSTB2である。
【0027】
図3は、配線層SIG1の配線の場合の説明図である。図3を参照すると、最上層の配線層SIG1を使用して配線する場合、スルーホールSH1のスルーホールスタブSTB3のスタブ長T1は、ほぼ板厚(配線層SIG1から配線層SIG6までの距離)である。すなわち、スタブ長T1のスルーホールスタブSTB3によるスタブ損失(D1)は、最大である。
【0028】
図4は、配線層SIG3の配線の場合の説明図である。図4を参照すると、配線層SIG3を使用して配線する場合、スルーホールSH1のスルーホールスタブSTB4のスタブ長T3は、ほぼ、配線層SIG3から配線層SIG6までの距離である。すなわち、スタブ長T3のスルーホールスタブSTB4によるスタブ損失(D3)は、D1より小である。
【0029】
図5は、配線層SIG6の配線の場合の説明図である。図5を参照すると、配線層SIG6を使用して配線する場合、スルーホールSH1のスルーホールスタブSTB5のスタブ長T6は、ほぼ、“0”である。すなわち、スタブ長T6のスルーホールスタブSTB5によるスタブ損失(D6)は、最小である。
【0030】
配線層SIGnにおいて、番号nの大きい配線層を使用するほどスタブ損失(Dn)を低減することができる。一方、スタブ損失以外にも、配線長のインピーダンスによる減衰に関する損失も存在する。
【0031】
図6は、部品420と部品430とのピン間の配線を示す説明図である。図6を参照すると、配線例510、配線例520、配線例530、配線例540の配線が実施されている。配線長に関しては、配線例510の>配線例540>配線例520>配線例530であり、減衰に関する損失もこの順番である。
【0032】
したがって、配線例530は、配線例510、配線例520、配線例540に比べて、スタブ損失が許容できる。すなわち、配線長の大きい配線であればあるほど、下層側の配線層(番号nの大きい層)で配線することにより、配線収容性を維持しつつ、それぞれ損失を最適な形で十分に低減することが可能となる。
【0033】
次に、パラメータデータについて説明する。パラメータデータは、事前に、データ処理装置100により記憶装置200に格納される。パラメータの一例は、実験等に基づき設定される許容損失DP[dB]、単位配線長当たりの減衰量α[dB/m]、単位スルーホールスタブ長当たりの損失DS[dB/m]、配線層SIGnで配線する場合の1つのスルーホールにおけるスタブ長Tn[m](n=1,2,3,…)、および、各配線の配線長Lk(=1,2,3,…)(スルーホールの配線を含まない)である。これらのパラメータデータは、基板特性(材質、パターン幅、層構成)、または、信号周波数から事前に決定される。
【0034】
ここで、k番目の配線の損失は、DH(k,n)=α×Lk+2×Dn=α×Lk+2×DS×Tn[dB]である。スルーホール内の配線長は、無視できるので、式に算入していないが、算入してもよい。
【0035】
次に、本発明の第1の実施の形態の動作について図面を参照して説明する。図7は、本発明の第1の実施の形態の動作の動作を示すフローチャートである。図7を参照すると、データ処理装置100のパラメータデータ読み出し部110が、記憶装置200からパラメータデータを読み出し、損失計算部120に出力する(図7ステップS1)。
【0036】
次に、損失計算部120は、k=1から、順次、n=1とし、DH(k,1)=α×Lk+2×DS×T1[dB]を算出し、DPと比較する(ステップS2)。DP>DH(k,1)であれば(ステップS2/YES)、損失計算部120は、k番目の配線を配線層SIG1に決定し、決定結果を結果データ書き込み部130に出力する(ステップS3)。次に、結果データ書き込み部130は、k番目の配線層がSIG1であることを結果データとして記憶装置200に書き込む(ステップS4)。
【0037】
損失計算部120は、DP>DH(k,1)でなければ(ステップS2/NO)、n=2とし、DH(k,2)=α×Lk+2×DS×T2[dB]を算出し、DPと比較する(ステップS5)。DP>DH(k,2)であれば(ステップS5/YES)、損失計算部120は、k番目の配線を配線層SIG2に決定し、決定結果を結果データ書き込み部130に出力する(ステップS6)。次に、結果データ書き込み部130は、k番目の配線層がSIG2であることを結果データとして記憶装置200に書き込む(ステップS7)。
【0038】
n=6が最大であれば、損失計算部120は、このようにして、n=3、4に関し、上記の処理を実行する。次に、損失計算部120は、n=5とし、DH(k,5)=α×Lk+2×DS×T5[dB]を算出し、DPと比較する(ステップS8)。DP>DH(k,5)であれば(ステップS8/YES)、損失計算部120は、k番目の配線を配線層SIG5に決定し、決定結果を結果データ書き込み部130に出力する(ステップS9)。次に、結果データ書き込み部130は、k番目の配線層がSIG5であることを結果データとして記憶装置200に書き込む(ステップS10)。
【0039】
DP>DH(k,5)でなければ(ステップS8/NO)、損失計算部120は、k番目の配線を配線層SIG6に決定し、決定結果を結果データ書き込み部130に出力する(ステップS11)。次に、結果データ書き込み部130は、k番目の配線層がSIG6であることを結果データとして記憶装置200に書き込む(ステップS12)。
【0040】
次に、損失計算部120は、全てのkについて処理を完了したかどうか調べ(ステップS13)、完了していなければ(ステップS13/NO)、kを1加算して、ステップS2に戻る。全てのkについて処理を完了していれば(ステップS13/NO)、損失計算部120は、処理を終了する。
【0041】
すなわち、k番目の配線に関し、DP>DH(k,n)であると、配線層SIGnを使用して配線する。
【0042】
以上では、n=1,2,3,…のように、処理を実行したが、適宜、事前に順番を決めて、その順番に処理を実行することが可能である。たとえば、n=3,1,4…の順番が可能である。また、比較は、DP≧DH(k,n)でもよい。
【0043】
また、部品の実装は、両方が、裏側(SIGnのnが最大の近く)でも、片方が、表側(SIG1の近く)、もう片方が裏側でもよい。
【0044】
また、一般的に、DP>(または、≧)(配線層対応のスルーホールスタブによる損失)+(配線長による損失)であればよい。
【0045】
本発明の第1の実施の形態は、スルーホールスタブに関し、ザグリ、または、ブラインドヴィアのような高コストのスタブレス化手法が不要にできるという効果を持つ。
【0046】
また、本発明の第1の実施の形態は、どのような実装タイプの部品においてもスルーホールスタブの損失の低減を図ることができるという効果を持つ。たとえば、図2の部品410のリード411の削除は不可能である。
【0047】
その理由は、本発明の第1の実施の形態は、配線による減衰に関する損失(α×Lk)、および、事前に決定した順番で配線層ごとのスタブ損失(2×DS×Tn)を合算した損失DH(k,n)と、許容損失DPとを比較し、DP>(または、≧)DH(k,n)であれば、配線を配線層SIGnに決定するからである。
【0048】
次に、本発明の第2の実施の形態について詳細に説明する。本発明の第2の実施の形態は、DH(k,n)=α×Lk+2×DS×Tn+DC×LCk[dB]として計算する。LCkは、k番目の配線に接続される部品内の信号線の線長[m]である。DCは、単位線長当たりの減衰量[dB/m]である。
【0049】
本発明の第2の実施の形態は、部品内の減衰を考慮することにより、本発明の第2の実施の形態より精緻に減衰を算出できるという効果を持つ。
【0050】
次に、本発明の第3の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図8は、本発明の第3の実施の形態の構成を示すブロック図である。図8を参照すると、本発明の第3の実施の形態は、コンピュータ700と、記憶装置200とから構成される。記憶装置200には、パラメータデータ読み出し部110と、損失計算部120と、結果データ書き込み部130の機能を実現するプログラム600が格納される。コンピュータ700は、プログラム600を内部にロードし実行する。このように、本発明の第3の実施の形態は、ハードウェアとソフトウェアとの協働により、図7の処理を実行するので、実現が容易であるという効果を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1の実施の形態の構成を示すブロック図。
【図2】多層配線基板、および、部品の一例を示す説明図である。
【図3】配線層SIG1の配線の場合の説明図。
【図4】配線層SIG3の配線の場合の説明図。
【図5】配線層SIG6の配線の場合の説明図。
【図6】部品のピン間の配線を示す説明図。
【図7】本発明の第1の実施の形態の動作の動作を示すフローチャート。
【図8】本発明の第3の実施の形態の構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0052】
70 配線層決定システム
100 データ処理装置
110 パラメータデータ読み出し部
120 損失計算部
130 結果データ書き込み部
200 記憶装置
300 多層配線基板
400 部品
410 部品
411 リード
420 部品
430 部品
510 配線例
520 配線例
530 配線例
540 配線例
600 プログラム
700 コンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
許容損失、配線層対応のスルーホールスタブによる損失、および、各配線長による損失を計算するためのパラメータをパラメータデータとして格納する記憶装置と、前記記憶装置からパラメータデータを読み出し、事前に決定された配線層の順番で、順次、各配線に関し、パラメータデータを使用して配線層対応のスルーホールスタブによる損失、配線長による損失を計算し、許容損失との比較に基づいて各配線層を決定し、結果データとして前記記憶装置に書き込むデータ処理装置とを有することを特徴とする配線層決定システム。
【請求項2】
許容損失DP、配線層SIGn対応のスルーホールスタブよる損失を計算するためのパラメータ、配線長による損失を計算するためのパラメータ、および、各配線長をパラメータデータとして格納する記憶装置と、前記記憶装置からパラメータデータを読み出し、配線層SIGn対応のスルーホールスタブによる損失、配線長による損失を、事前に決定された配線層SIGnの順番で計算し、DP>(または、≧)(配線層対応のスルーホールスタブによる損失)+(配線長による損失)であれば、配線層SIGnを使用して配線することを示す結果データを作成し、前記記憶装置に書き込むデータ処理装置とを有することを特徴とする配線層決定システム。
【請求項3】
パラメータデータである許容損失DP、単位配線長当たりの減衰量α、単位スルーホールスタブ長当たりの損失DS、n番目の配線層SIGnで配線する場合の1つのスルーホールにおけるスタブ長Tn、および、k番目(k=1から最後まで)の配線の配線長Lkを格納する記憶装置と、前記記憶装置からパラメータデータを読み出し、k番目の配線に関し、事前に決定された配線層の順番で、DH(k,n)=α×Lk+2×DS×Tnを計算し、DP>(または、≧)DH(k,n)であると、配線層SIGnを使用して配線することを示す結果データを作成し、前記記憶装置に書き込むデータ処理装置とを有することを特徴とする配線層決定システム。
【請求項4】
パラメータデータである許容損失DP、単位配線長当たりの減衰量α、単位スルーホールスタブ長当たりの損失DS、n番目の配線層SIGnで配線する場合の1つのスルーホールにおけるスタブ長Tn、k番目(k=1から最後まで)の配線の配線長Lk、配線に接続される部品内の信号線の線長LCk、および、単位線長当たりの減衰量DCを格納する記憶装置と、前記記憶装置からパラメータデータを読み出し、k番目の配線に関し、事前に決定された配線層の順番で、DH(k,n)=α×Lk+2×DS×Tn+LCk×DCを計算し、DP>(または、≧)DH(k,n)であると、配線層SIGnを使用して配線することを示す結果データを作成し、前記記憶装置に書き込むデータ処理装置とを有することを特徴とする配線層決定システム。
【請求項5】
前記事前に決定された配線層の順番が、配線基板の表面に近い配線層の順番であることを特徴とする請求項1、2、3、または、4記載の配線層決定システム。
【請求項6】
許容損失、配線層対応のスルーホールスタブによる損失、および、各配線長による損失を計算するためのパラメータをパラメータデータとして格納する記憶装置と、データ処理装置とを備える配線層決定システムにおける配線層決定方法であって、
前記データ処理装置が、前記記憶装置からパラメータデータを読み出す手順と、事前に決定された配線層の順番で、順次、各配線に関し、パラメータデータを使用して配線層対応のスルーホールスタブによる損失、配線長による損失を計算し、許容損失との比較に基づいて各配線層を決定する手順と、決定した結果を結果データとして前記記憶装置に書き込む手順とを含むことを特徴とする配線層決定方法。
【請求項7】
許容損失DP、配線層SIGn対応のスルーホールスタブよる損失を計算するためのパラメータ、配線長による損失を計算するためのパラメータ、および、各配線長をパラメータデータとして格納する記憶装置と、データ処理装置とを備える配線層決定システムにおける配線層決定方法であって、
前記データ処理装置が、前記記憶装置からパラメータデータを読み出す手順と、配線層SIGn対応のスルーホールスタブによる損失、配線長による損失を、事前に決定された配線層SIGnの順番で計算し、DP>(または、≧)(配線層対応のスルーホールスタブによる損失)+(配線長による損失)であれば、配線層SIGnを使用して配線することを示す結果データを作成する手順と、結果データを前記記憶装置に書き込む手順と含むことを特徴とする配線層決定方法。
【請求項8】
パラメータデータである許容損失DP、単位配線長当たりの減衰量α、単位スルーホールスタブ長当たりの損失DS、n番目の配線層SIGnで配線する場合の1つのスルーホールにおけるスタブ長Tn、および、k番目(k=1から最後まで)の配線の配線長Lkを格納する記憶装置と、データ処理装置とを備える配線層決定システムにおける配線層決定方法であって、
前記データ処理装置が、前記記憶装置からパラメータデータを読み出す手順と、k番目の配線に関し、事前に決定された配線層の順番で、DH(k,n)=α×Lk+2×DS×Tnを計算し、DP>(または、≧)DH(k,n)であると、配線層SIGnを使用して配線することを示す結果データを作成する手順と、結果データを前記記憶装置に書き込む手順とを含むことを特徴とする配線層決定方法。
【請求項9】
パラメータデータである許容損失DP、単位配線長当たりの減衰量α、単位スルーホールスタブ長当たりの損失DS、n番目の配線層SIGnで配線する場合の1つのスルーホールにおけるスタブ長Tn、k番目(k=1から最後まで)の配線の配線長Lk、配線に接続される部品内の信号線の線長LCk、および、単位線長当たりの減衰量DCを格納する記憶装置と、データ処理装置とを備える配線層決定システムにおける配線層決定方法であって、
前記データ処理装置が、前記記憶装置からパラメータデータを読み出す手順と、k番目の配線に関し、事前に決定された配線層の順番で、DH(k,n)=α×Lk+2×DS×Tn+LCk×DCを計算し、DP>(または、≧)DH(k,n)であると、配線層SIGnを使用して配線することを示す結果データを作成する手順と、結果データを前記記憶装置に書き込むデータ手順とを含むことを特徴とする配線層決定方法。
【請求項10】
前記事前に決定された配線層の順番が、配線基板の表面に近い配線層の順番であることを特徴とする請求項6、7、8、または、9記載の配線層決定方法。
【請求項11】
許容損失、配線層対応のスルーホールスタブによる損失、および、各配線長による損失を計算するためのパラメータをパラメータデータとして格納する記憶装置と、データ処理装置とを備える配線層決定システムにおける配線層決定プログラムであって、
前記記憶装置からパラメータデータを読み出す手順と、事前に決定された配線層の順番で、順次、各配線に関し、パラメータデータを使用して配線層対応のスルーホールスタブによる損失、配線長による損失を計算し、許容損失との比較に基づいて各配線層を決定する手順と、決定した結果を結果データとして前記記憶装置に書き込む手順とを前記データ処理装置に実行させることを特徴とする配線層決定プログラム。
【請求項12】
許容損失DP、配線層SIGn対応のスルーホールスタブよる損失を計算するためのパラメータ、配線長による損失を計算するためのパラメータ、および、各配線長をパラメータデータとして格納する記憶装置と、データ処理装置とを備える配線層決定システムにおける配線層決定プログラムであって、
前記記憶装置からパラメータデータを読み出す手順と、配線層SIGn対応のスルーホールスタブによる損失、配線長による損失を、事前に決定された配線層SIGnの順番で計算し、DP>(または、≧)(配線層対応のスルーホールスタブによる損失)+(配線長による損失)であれば、配線層SIGnを使用して配線することを示す結果データを作成する手順と、結果データを前記記憶装置に書き込む手順とを前記データ処理に実行させることを特徴とする配線層決定プログラム。
【請求項13】
パラメータデータである許容損失DP、単位配線長当たりの減衰量α、単位スルーホールスタブ長当たりの損失DS、n番目の配線層SIGnで配線する場合の1つのスルーホールにおけるスタブ長Tn、および、k番目(k=1から最後まで)の配線の配線長Lkを格納する記憶装置と、データ処理装置とを備える配線層決定システムにおける配線層決定プログラムであって、
前記記憶装置からパラメータデータを読み出す手順と、k番目の配線に関し、事前に決定された配線層の順番で、DH(k,n)=α×Lk+2×DS×Tnを計算し、DP>(または、≧)DH(k,n)であると、配線層SIGnを使用して配線することを示す結果データを作成する手順と、結果データを前記記憶装置に書き込む手順とを前記データ処理装置に実行させることを特徴とする配線層決定プログラム。
【請求項14】
パラメータデータである許容損失DP、単位配線長当たりの減衰量α、単位スルーホールスタブ長当たりの損失DS、n番目の配線層SIGnで配線する場合の1つのスルーホールにおけるスタブ長Tn、k番目(k=1から最後まで)の配線の配線長Lk、配線に接続される部品内の信号線の線長LCk、および、単位線長当たりの減衰量DCを格納する記憶装置と、データ処理装置とを備える配線層決定システムにおける配線層決定プログラムであって、
前記記憶装置からパラメータデータを読み出す手順と、k番目の配線に関し、事前に決定された配線層の順番で、DH(k,n)=α×Lk+2×DS×Tn+LCk×DCを計算し、DP>(または、≧)DH(k,n)であると、配線層SIGnを使用して配線することを示す結果データを作成する手順と、結果データを前記記憶装置に書き込むデータ手順とを前記データ処理装置に実行させることを特徴とする配線層決定プログラム。
【請求項15】
前記事前に決定された配線層の順番が、配線基板の表面に近い配線層の順番であることを特徴とする請求項11、12、13、または、14記載の配線層決定プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate