説明

配線接続器具探査システム

【課題】本発明は、外部から不可視な配線接続器具において新たに電力配線を分岐することができるか否かを判断することができる配線接続器具探査システムを提供する。
【解決手段】本発明の配線接続器具探査システムは、配線接続器具1と、高周波生成装置2と、端末装置3とを備え、配線接続器具1を介して電力配線4に接続されるタップ5へ高周波生成装置2のプラグ23が接続されると、高周波生成装置2から電力配線4へ高周波信号が流れ、この高周波信号が配線接続器具1の高周波信号検出部で検出されると、配線接続器具1の器具側無線通信部から空き個数情報および電流値情報を含む通信信号が発信され、そして、この通信信号が端末装置3の端末側無線通信部で受信されると、この通信信号に含まれる電流値情報で表される電流値および空き個数情報で表される個数が端末装置3の表示部33Aに表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、フロアパネル等によって隠蔽されているために、外部から目視することができない配線接続器具を探査することができると共に、該配線接続器具において新規分岐の可能性の判断を行うことができる配線接続器具探査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、オフィスビル等では、例えば、フロアのレイアウト変更に容易に対応可能な点や美観の点等から、例えば、電力配線(電源線)や通信配線(電話配線およびデータ通信配線)等の配線は、通常、配線用フロアパネルの内部または下に布設され、外部から見ることができないようになっている。
【0003】
このような場合において、前記電力配線から電力の供給を受けるために、例えば、タップ等を追加設置する場合では、前記電力配線に既に設置されている配線接続器具を探し出す必要がある。この配線接続器具は、外部から目視することができないので、この配線接続器具を見つけ出すためにフロアパネルを取り除く必要が生じ、手間がかかってしまう。特に、フロアパネル上に什器が配置されている場合では、この什器も移動する必要があり、さらに手間がかかってしまう。
【0004】
このため、配線接続器具の位置を探査する配線接続器具探査装置が開発されており、例えば、特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示の配線接続器具探査装置は、配線用フロアパネルの内部または下に配設されて外から見えない各種ケーブル配線接続器具に付設した常時一定の電波を出す発信器と、その発信器が出す電波に応動する表示機能を備えた携帯型受信器とから成っている。
【特許文献1】実開平06−025991号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、フロアパネルの内部または下に布設されている配線接続器具を見つけ出したとしても、該配線接続器具が取り付けられている電力配線における現在の使用電流量が該電力配線における電流容量の略限界であって余裕があまりない場合には、新規配線を追加することが難しい。また、該電力配線における現在の使用電流量を知るために、該電力配線が接続されている分電盤のブレーカを特定してその電流量を計測する作業も必要である。
【0006】
前記特許文献1に開示の配線接続器具探査装置では、外部から目視することができない配線接続器具の位置を探査することは、可能であるが、探査した配線接続器具において新規分岐の可能性を判断することは、難しい。また、発信器は、電力ケーブルから常時電力供給を受けて電波を放射しているので、配線接続器具の探査作業以外では、無駄に電力が消費されてしまう。また、配線接続器具の探査作業以外では、携帯型受信器以外の機器にとって、発信器は、ノイズ源となってしまう。
【0007】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、外部から目視することができない配線接続器具において新たに電力配線を分岐することができるか否かを判断することができる配線接続器具探査システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明にかかる一態様では、床下に配設された配線接続器具を探査する配線接続器具探査システムであって、高周波生成装置と、配線接続器具と、端末装置とを備え、前記高周波生成装置は、高周波信号を生成する高周波生成部と、前記高周波生成部で生成された高周波信号を出力するためであって、差込口が外部に臨むように床に配設されたタップに接続するためのプラグとを備え、前記配線接続器具は、電力配線に接続するための配線接続部と、前記電力配線に流れる電力を分岐するための分岐接続部と、前記電力配線に流れる電流を計測する電流計測部と、前記電力配線に流れる高周波信号を検出する高周波信号検出部と、前記分岐接続部にタップが接続されているか否かを検出する接続検出部と、無線で通信を行う器具側無線通信部と、前記接続検出部の検出結果に基づいてタップが接続されていない分岐接続部の個数を計数すると共に、前記高周波信号検出部が前記高周波信号を検出した場合に、前記計数したタップが接続されていない分岐接続部の個数を表す空き個数情報と前記電流計測部で計測した電流値を表す電流値情報とを含む通信信号を前記器具側無線通信部に発信させる器具側制御部とを備え、前記端末装置は、無線で通信を行う端末側無線通信部と、情報を表示する表示部と、前記端末側無線通信部が前記通信信号を受信した場合に、前記通信信号に含まれる電流値情報で表される電流値と前記通信信号に含まれる空き個数情報で表される個数とを前記表示部に表示させる端末側制御部とを備えることを特徴とする。
【0009】
このような構成の配線接続器具探査システムでは、配線接続器具を介して電力配線に接続されるタップへ高周波生成装置のプラグが接続されると、高周波生成装置から電力配線へ高周波信号が流れ、そして、この高周波信号が配線接続器具の高周波信号検出部で検出されると、配線接続器具の器具側無線通信部から空き個数情報および電流値情報を含む通信信号が発信され、そして、この通信信号が端末装置の端末側無線通信部で受信されると、この通信信号に含まれる電流値情報で表される電流値および空き個数情報で表される個数が端末装置の表示部に表示される。このため、ユーザ(作業者)は、端末装置を参照することによって、配線接続器具が外部から目視することができない場合でもこの配線接続器具における電流値(すなわちこの配線接続器具が接続されている電力配線の系統の電流値)および空き個数が分かるから、この配線接続器具において新たに電力配線を分岐することができるか否かの判断を行うことができる。
【0010】
ここで、例えば、端末装置の表示部は、例えば液晶表示装置や有機エレクトロルミネセンス表示装置等を備えて構成され、前記端末側制御部は、前記電流値をその数値(文字)で前記表示部に表示させるように構成されてもよい。この構成によれば、ユーザは、端末装置を参照することによって、配線接続器具の電流値(系統の電流値)を数値で把握することができ、電力配線の電流容量をオーバーしない(超えない)電流値を高精度に判断することができる。また例えば、前記表示部は、複数の発光素子を備えて構成され、前記端末側制御部は、前記電流値を表示すべく、前記複数の発光素子のうち前記電流値に応じた個数の発光素子を点灯するように構成されてもよい。この構成によれば、端末装置を参照することによって、配線接続器具の電流値(系統の電流値)が複数の発光素子の点灯個数で把握することができるので、一目で容易に、新規分岐の可能性の判断を行うことができる。また、端末装置が低廉に提供され得る。
【0011】
また、上述の配線接続器具探査システムにおいて、前記配線接続器具は、自機を特定し識別するための器具識別子を記憶する識別子記憶部をさらに備え、前記器具側制御部は、前記識別子記憶部に記憶されている器具識別子を表す器具識別子情報を前記通信信号にさらに含め、前記端末側制御部は、前記通信信号に含まれる器具識別子情報で表される器具識別子を前記表示部にさらに表示させることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、端末装置の表示部に器具識別子が表示されるので、配線接続器具の布設図面がある場合には、ユーザは、端末装置の表示部に表示される器具識別子と布設図面の器具識別子とを照らし合わせることによって、配線接続器具の位置を把握することができる。あるいは、ユーザは、端末装置を参照することによって、配線接続器具の布設図面を作成または更新を行うことができる。
【0013】
また、これら上述の配線接続器具探査システムにおいて、前記配線接続器具は、自機の駆動電力を生成する電源部と、前記電力配線に流れる電流が予め設定された所定値になった場合に、前記電源部から前記器具側無線通信部、前記器具側制御部および前記接続検出部へ前記駆動電力を供給するように、前記電源部の負荷を調整する調整負荷とをさらに備えることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、調整負荷によって、電力配線に流れる電流が予め設定された所定値以上になった場合に、器具側無線通信部、器具側制御部および接続検出部へ駆動電力が電源部から供給される。このため、端末装置は、配線接続器具の電流値(系統の電流値)が所定値以上である場合に、その表示部に電流値等を表示するので、ユーザは、端末装置に表示があれば、配線接続器具の電流値(系統の電流値)が所定値以上であると認識することができる。そして、器具側無線通信部、器具側制御部および接続検出部は、電力配線に流れる電流が予め設定された所定値以上になった場合に駆動するので、省電力化を図ることができ、また、その構成が簡素化され、低廉化が可能となる。
【0015】
ここで、前記電源部は、例えば、電池等を備えて構成されてもよい。また例えば、前記電源部は、電力配線から給電を受けて駆動電力を生成するように構成されてもよい。この構成によれば、電池交換が必要なく、メンテナンスの省力化が可能となる。
【0016】
また、これら上述の配線接続器具探査システムにおいて、前記器具側制御部は、前記通信信号に、前記高周波信号検出部が前記高周波信号を検出した場合に前記器具側無線通信部が発信する通信信号であるか否かを表す識別子であるフラグをさらに含ませ、前記端末側制御部は、前記通信信号に含まれるフラグを前記表示部にさらに表示させることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、複数の配線接続器具から電流値をそれぞれ収集した場合に、フラグを参照することによって、すべての配線接続器具の電流値(すべての系統の電流値)を集計することができる一方で、特定の配線接続器具の電流値(特定の系統の電流値)を集計することも可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかる配線接続器具探査システムでは、外部から目視することができない配線接続器具において新規分岐の可能性を判断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
(実施形態の構成)
図1は、実施形態における配線接続器具探査システムの構成を示す外観斜視図である。図2は、実施形態における配線接続器具の構成を示すブロック図である。図3は、実施形態における高周波生成装置の構成を示すブロック図である。図4は、実施形態における端末装置を示す外観斜視図である。図5は、実施形態における端末装置の構成を示すブロック図である。
【0020】
図1において、実施形態の配線接続器具探査システムSは、床下(建物の床面と例えばフロアパネル等によって前記建物の床面から所定の距離だけ空けて新たに形成された床面との間の空間)に配設され、外部から目視することができない配線接続器具1を探査すると共に、この探査した配線接続器具1に流れる電流値および例えばタップ5等が接続可能な空き(無接続)の分岐接続部12の個数を取得するものであり、配線接続器具1(1−1、1−2)と、高周波生成装置2と、端末装置3とを備えて構成される。なお、図1では、例えばフロアパネル等の二重床部材は、省略されている。
【0021】
配線接続器具1は、電力配線(電源線)4の途中や末端に設けられ、電力配線4を流れる電力を分岐するための器具であり、例えば、ジョイントボックスなどと呼ばれる。配線接続器具1および電力配線4は、通常、床下に布設される。
【0022】
配線接続器具1は、例えば、図1に示すように、扁平な略直方体形状に形成されたハウジングH1を備えている。このハウジングH1の対向する2側面の一端側には、電力配線4を接続するための配線接続部11a、11bがそれぞれ設けられ、前記2側面の他端側には、分岐用の分岐接続部12−1、12−2がそれぞれ設けられている。配線接続部11aは、ハウジングH1内で配線接続部11bと電気的に接続されており、一方の配線接続部11a(11b)から入力された電力を他方の配線接続部11b(11a)へ出力することができるようになっている。また、分岐接続部12−1、12−2は、それぞれ、ハウジングH1内で配線接続部11a(11b)と電気的に接続されており、配線接続部11a(11b)から入力された電力を分岐接続部12−1、12−2へそれぞれ分岐出力することができるようになっている。そして、配線接続部11a、11bが設けられているハウジングH1の側面には、プラグの栓刃を挿入するための3個1組の貫通孔(開口部、差込口)が形成され、分岐接続部12−1、12−2が設けられているハウジングH1の側面にも、プラグの栓刃を挿入するための3個1組の貫通孔(開口部、差込口)が形成されている。
【0023】
図1に示す例では、電力配線4は、ケーブル41の両端にそれぞれプラグ42−1、42−2を備えて構成されている。電力配線4−1は、その一方のプラグ42−2が配線接続器具1−1の配線接続部11aに接続され、電力配線4−2は、その一方のプラグ42−1が配線接続器具1−1の配線接続部11bに接続されると共に、その他方のプラグ42−2が配線接続器具1−2の配線接続部11aに接続され、そして、電力配線4−3は、その一方のプラグ42−1が配線接続器具1−2の配線接続部11bに接続されており、これによって2個の配線接続器具1−1、1−2は、電力配線4(4−1、4−2、4−3)の途中にそれぞれ設けられている。また、図示していないが、電力配線4−1に連なる電力配線は、分電盤の分岐ブレーカに接続されている。そして、配線接続器具1は、その分岐接続部12にタップ5のプラグ51が接続されることによって、電力配線4に流れる電力をこのタップ5へ分岐する。タップ5は、ケーブル52の両端にそれぞれプラグ51およびコンセント53を備えて構成され、前記コンセント53には1または複数の差込口が備えられている。
【0024】
なお、本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0025】
配線接続器具1の電気的な構成について説明すると、図2に示すように、配線接続器具1は、前記配線接続部11a、11bと、1または複数の前記分岐接続部12と、電源部13と、電流計測部14と、高周波信号検出部15と、器具側制御部16と、接続検出部17と、器具側無線通信部18とを備えて構成されている。そして、図2に示す配線接続器具1は、さらに、識別子記憶部19を備えて構成されている。また、図2に示す例では、配線接続器具1は、2個の分岐接続部12−1、12−2を備えているが、分岐接続部12の個数は、任意でよい。
【0026】
配線接続部11a、11bは、電力配線4に接続するためのコネクタである。配線接続部11a、11bは、3個1組の栓刃受け部111をそれぞれ備え、配線接続部11aの栓刃受け部111と配線接続部11bの栓刃受け部111とは、3個1組の電路によって互いに電気的に接続されている。栓刃受け部111は、前記貫通孔から挿通される電力配線4におけるプラグ42の栓刃を弾性狭持し、電力配線4におけるプラグ42の栓刃と電気的に接続される。なお、3個1組の栓刃受け部111のうちの1個は、アース用(接地用)である。
【0027】
分岐接続部12は、電力配線4に流れる電力を分岐するためのコネクタである。分岐接続部12は、3個1組の栓刃受け部121を備え、分岐接続部12の栓刃受け部121は、3個1組の前記電路に電気的に接続されており、これによって分岐接続部12の栓刃受け部121は、配線接続部11aの栓刃受け部111(配線接続部11bの栓刃受け部111)と互いに電気的に接続される。栓刃受け部121は、栓刃受け部111と同様に、前記貫通孔から挿通される分岐用のタップ5におけるプラグ51の栓刃を弾性狭持し、タップ5におけるプラグ51の栓刃と電気的に接続される。なお、3個1組の栓刃受け部121のうちの1個は、アース用(接地用)である。
【0028】
電源部13は、電力配線4から給電を受けて自機の駆動電力を生成し、この生成した駆動電力を器具側制御部16、接続検出部17、器具側無線通信部18および識別子記憶部19へそれぞれ供給するものである。電源部13は、例えば、配線接続部11aの栓刃受け部111と配線接続部11bの栓刃受け部111とを結ぶ3個1組の前記電路の近傍に配置され、電磁誘導によって非接触で前記電路を流れる電力を取り出すコイルと、前記コイルで取り出した交流の電力を直流に整流する整流回路と、前記整流回路で整流した直流の電力を所定の電圧値に変換する変換回路とを備えて構成され、この所定の電圧値の電力が駆動電力として器具側制御部16、接続検出部17、器具側無線通信部18および識別子記憶部19へそれぞれ供給される。なお、電源部13は、一次電池や二次電池等の電池等であってもよい。
【0029】
電流計測部14は、電力配線4に流れる電流を計測するものであり、この計測した電流値を器具側制御部16へ出力する。電流計測部14は、例えば、配線接続部11aの栓刃受け部111と配線接続部11bの栓刃受け部111とを結ぶ3個1組の前記電路の近傍に配置され、電磁誘導によって非接触で前記電路を流れる電流を計測し、この計測結果を器具側制御部16へ出力する。
【0030】
高周波信号検出部15は、電力配線4に流れる高周波信号を検出するものであり、この検出結果を器具側制御部16へ出力する。高周波信号検出部15は、例えば、配線接続部11aの栓刃受け部111と配線接続部11bの栓刃受け部111とを結ぶ3個1組の前記電路の近傍に配置され、電磁誘導によって非接触で前記電路を流れる高周波電流を検出し、この検出結果を器具側制御部16へ出力する。より具体的には、本実施形態では、高周波信号が後述するように高周波電流であるので、高周波信号検出部15は、例えば、前記電路を流れる交流の電流によって電磁誘導により電流が生じるコイルと、前記コイルに接続され前記高周波電流の周波数を共振周波数とする共振回路とを備え、前記共振回路の出力が器具側制御部16に入力される。なお、電流計測部14および高周波信号検出部15は、電磁誘導によって非接触で前記電路を流れる電力を取り出すべく設けられる、前記電路を流れる交流の電流によって電磁誘導により電流が生じるコイルを兼用可能である。このようにコイルが兼用されることによって、器具の小型化や低コスト化を図ることができる。
【0031】
接続検出部17は、分岐接続部12にタップ5が接続されているか否かを検出する回路であり、この検出結果を器具側制御部16へ出力する。接続検出部17は、例えば、リミットスイッチを備えて構成され、タップ5のプラグ51が分岐接続部12へ挿入されることによってリミットスイッチが動作し、分岐接続部12にタップ5が接続されたことを検出する。また例えば、接続検出部17は、静電容量の変化でタップ5の接続の有無を検出すべく、静電容量スイッチを備えて構成されてもよく、また例えば、接続検出部17は、反射光の受光強度でタップ5の接続の有無を検出すべく、発光素子および受光素子を備えて構成されてもよい。
【0032】
器具側無線通信部18は、無線で通信を行う回路であり、少なくとも送信機能を備えている。器具側無線通信部18は、例えば、器具側制御部16の制御に従って通信信号を生成する送信部と、前記送信部で生成した通信信号に応じた電波を放射する送信アンテナとを備えて構成される。なお、器具側無線通信部18は、受信機能を備えていてもよい。
【0033】
識別子記憶部19は、自機を特定し識別するための器具識別子(器具ID)を記憶するものであり、この記憶されている器具識別子を器具側制御部16へ出力する。識別子記憶部19は、例えば、不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)や書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等を備えて構成される。器具識別子は、例えばアルファベットや数字等の1または複数の符号から成る符号列であり、例えば、シリアル番号等の配線接続器具1の器具番号である。識別子記憶部19は、また例えば、複数のディップスイッチを備えて構成され、各ディップスイッチのオン/オフによって器具識別子が記憶されてもよい。
【0034】
器具側制御部16は、例えば、マイクロプロセッサ、記憶素子およびその周辺回路を備えて構成され、配線接続器具1の各部を当該機能に応じてそれぞれ制御することによって配線接続器具1の全体制御を司る回路である。そして、器具側制御部16は、接続検出部17の検出結果に基づいてタップ5が接続されていない分岐接続部12の個数を計数すると共に、高周波信号検出部15が高周波信号を検出した場合に、この計数したタップ5が接続されていない分岐接続部12の個数を表す空き個数情報と電流計測部14で計測した電流値を表す電流値情報とを含む通信信号を器具側無線通信部18に発信させる。また、本実施形態では、器具側制御部16は、識別子記憶部19に記憶されている器具識別子を表す器具識別子情報を前記通信信号にさらに含める。
【0035】
図1に戻って、高周波生成装置2は、所定の周波数の高周波信号を生成し、この生成した高周波信号を、配線接続器具1に接続されているタップ5および当該配線接続器具1を介して、当該配線接続器具1に接続されている電力配線4へ出力する装置である。
【0036】
高周波生成装置2は、例えば、図1および図3に示すように、扁平な略直方体形状に形成されたハウジングH2と、ハウジングH2に内蔵され、高周波信号を生成する高周波信号生成部21と、一方端がハウジングH2に引き込まれて高周波信号生成部21に接続されるケーブル22と、ケーブル22の他方端に接続され一対の栓刃231を備えるプラグ23とを備えて構成される。プラグ23は、ケーブル22を介して高周波信号生成部21に接続されており、高周波信号生成部21で生成された高周波信号をその一対の栓刃231から出力する。また、プラグ23は、電力配線4へ高周波信号を出力する場合に、その一対の栓刃231がタップ5のコンセント53における差込口を介してコンセント53の栓刃受け部(不図示)に接続されることによって、差込口が外部に臨むように床に配設されたタップ5に接続される。高周波信号生成部21は、高周波発振回路を備えて構成され、本実施形態では、予め設定された所定の周期で電流パルスを発生することで所定の周波数の高周波電流を生成する。前記電流パルスは、1または複数の電流波形が含まれる。
【0037】
図1に戻って、端末装置3は、配線接続器具1との間で無線によって通信を行って、配線接続器具1から受信した通信信号に収容されている情報を表示部33で表示する装置である。
【0038】
端末装置3は、例えば、図1および図4に示すように、扁平な略直方体形状に形成されたハウジングH3を備えている。ハウジングH3の一面には、表示面が外部に臨むように表示部33Aが設けられ、外部から操作可能なように操作部34が設けられている。
【0039】
端末装置3の電気的な構成について説明すると、図5に示すように、端末装置3は、端末側無線通信部31と、端末側制御部32と、前記表示部33Aと、前記操作部34とを備えて構成される。
【0040】
端末側無線通信部31は、無線で通信を行う回路であり、少なくとも受信機能を備えている。端末側無線通信部31は、例えば、電波を受信して受信電波に応じた電気信号を出力する受信アンテナと、前記受信アンテナの前記電気信号から通信信号を復調して端末側制御部32へ出力する受信部とを備えて構成される。なお、端末側無線通信部31は、送信機能を備えていてもよい。
【0041】
表示部33Aは、文字等によって情報を表示する回路であり、例えば、液晶表示装置(LCD)や有機エレクトロルミネセンス(有機EL)表示装置等を備えて構成される。
【0042】
操作部34は、端末装置3の操作に必要な各種の指示を受付けて入力される回路であり、受け付けた指示を端末側制御部32へ出力する。操作部34は、例えば、端末装置3の操作に必要な各種の指示に対応する複数のキースイッチを備えて構成される。
【0043】
端末側制御部32は、例えば、マイクロプロセッサ、記憶素子およびその周辺回路を備えて構成され、端末装置3の各部を当該機能に応じてそれぞれ制御することによって端末装置3の全体制御を司る回路である。そして、端末側制御部32は、端末側無線通信部31が通信信号を受信した場合に、通信信号に含まれる電流値情報で表される電流値とこの通信信号に含まれる空き個数情報で表される個数とを表示部33Aに表示させる。また、本実施形態では、端末側制御部32は、この通信信号に含まれる器具識別子情報で表される器具識別子を表示部33Aにさらに表示させる。
【0044】
次に、本実施形態の動作について説明する。
(実施形態の動作)
このような構成の配線接続器具探査システムSでは、まず、新規にタップ5を追加したい場所に最も近い床上に設置されている既設のタップ5におけるコンセント53に高周波生成装置2のプラグ23が接続される。これによって高周波生成装置2で生成された高周波電流の高周波信号は、既設のタップ5およびこの既設のタップ5に接続されている配線接続器具1を介して、この配線接続器具1に接続されている電力配線4へ出力され、この電力配線4を伝播し、この電力配線4の系統に流れる。この電力配線4に商用電力が流れている場合には、高周波信号が商用電力に重畳される。
【0045】
一方、配線接続器具1では、その電源部13は、電力配線4から給電を受けて器具側制御部16、接続検出部17、器具側無線通信部18および識別子記憶部19へ駆動電力をそれぞれ供給する。その電流計測部14は、電力配線4に流れる電流を計測し、この計測した電流値を器具側制御部16へ出力する。その接続検出部17は、分岐接続部12にタップ5が接続されているか否かを検出し、この検出結果を器具側制御部16へ出力し、器具側制御部16は、接続検出部17の検出結果に基づいてタップ5が接続されていない分岐接続部12の個数を計数する。そして、高周波信号検出部15は、電力配線4に流れる高周波信号をモニタ(監視)しており、高周波信号を検出すると、この旨を器具側制御部16へ通知する。器具側制御部16は、高周波信号検出部15から高周波信号の検出した旨の通知を受けると、器具側制御部16は、計数したタップ5が接続されていない分岐接続部12の個数を表す空き個数情報と、電流計測部14で計測した電流値を表す電流値情報と、識別子記憶部19に記憶されている器具識別子を表す器具識別子情報とを含む通信信号を器具側無線通信部18に発信させる。
【0046】
そして、この通信信号は、ユーザが携行している端末装置3の端末側無線通信部31で受信され、端末側無線通信部31から端末側制御部32へ出力される。端末側制御部32は、この通信信号に収容されている空き個数情報、電流値情報および器具識別子情報を取り出し、電流値情報で表される電流値、空き個数情報で表される個数および器具識別子情報で表される器具識別子を表示部33Aに表示させる。表示部33Aは、これら電流値、個数および器具識別子を文字等で表示する。なお、表示部33Aは、アイコンによってこれら情報を表示してもよい。
【0047】
このように配線接続器具探査システムSが動作するので、ユーザ(作業者)は、端末装置3の表示部33Aを参照することによって、高周波信号を流した電力配線4に接続する配線接続器具1における現在の電流値および分岐接続部12の空き個数を把握することができる。特に、この配線接続器具1が外部から目視することができない場合でも、この配線接続器具1における現在の電流値および分岐接続部12の空き個数を把握することができる。このため、ユーザは、この配線接続器具1において新たに電力配線(分岐配線)を接続して分岐可能か否かの判断を行うことができ、余裕がある場合には、この配線接続器具1にタップ5を接続することによって新規配線を追加することができる。
【0048】
また、本実施形態の配線接続器具探査システムSでは、端末装置3の表示部33Aは、電流値を数値で表示するので、ユーザは、端末装置3を参照することによって、配線接続器具1の電流値(系統の電流値)を数値で把握することができ、電力配線4の電流容量をオーバーしない(超えない)電流値を高精度に判断することができる。また、端末装置3の表示部33Aは、空き個数を数値で表示するので、ユーザは、端末装置3を参照することによって、配線接続器具1の空き個数を数値で把握することができ、配線接続器具1に追加可能なタップの個数を正確に把握することができる。
【0049】
また、本実施形態の配線接続器具探査システムSでは、端末装置3の表示部33Aは、器具識別子を表示するので、配線接続器具1の布設図面がある場合には、ユーザは、端末装置3の表示部33に表示された器具識別子と布設図面の器具識別子を照らし合わせることによって、配線接続器具1の位置を把握することができる。あるいは、ユーザは、端末装置3を参照することによって、配線接続器具1の布設図面を作成または更新を行うことができる。
【0050】
ここで、端末装置3の端末側無線通信部31は、通信信号を受信した場合に、この受信した通信信号の受信強度(受信レベル)を計測し、この計測結果を端末側制御部32へ出力するように構成され、端末側制御部32は、この通信信号の受信強度を表示部33Aに表示させるように構成されてもよい。このように構成されることによって、ユーザは、端末装置3を移動させながら、端末装置3の表示部33Aに表示される通信信号の受信強度を参照することによって、配線接続器具1の位置を特定することが可能となる。あるいは、図5に破線で示すように、高周波信号の電界強度を測定し、この測定結果を端末側制御部32へ出力する高周波信号電界強度測定部35をさらに備えるように端末装置3が構成され、そして、端末側制御部32は、この高周波信号の電界強度を表示部33Aに表示させるように構成されてもよい。このように構成されることによって、ユーザは、端末装置3を移動させながら、端末装置3の表示部33Aに表示される高周波信号の電界強度を参照することによって、配線接続器具1の位置を特定することが可能となる。
【0051】
また、本実施形態の配線接続器具探査システムSでは、配線接続器具1は、高周波信号を検出した場合に通信信号を発信するので、高周波信号を流した電力配線4のみの情報を得ることができる。
【0052】
なお、上述の実施形態では、端末装置3の表示部33Aは、例えば液晶表示装置等で構成されたが、図6に示すように、端末装置3の表示部33Bは、複数の発光素子、例えば発光ダイオード(LED)331を備えて構成され、端末側制御部32は、受信した通信信号に収容されていた電流値情報に応じた電流値を表示すべく、これら複数の発光素子331のうちこの電流値に応じた個数の発光素子331を点灯するように構成されてもよい。図6は、実施形態における他の形態の端末装置を示す外観斜視図である。図6に示す例では、表示部33Bは、4個のLED331−1〜331−4を備えて構成され、電流値情報に応じた電流値に応じて3個のLED331−1〜331−3が点灯している。このように表示部33Bが構成されることによって、ユーザは、端末装置3を参照することによって、配線接続器具1の電流値(系統の電流値)が複数の発光素子331の点灯個数で把握することができるので、一目で容易に、新規分岐の可能性を判断することができる。また、端末装置3を低廉に提供することが可能となる。
【0053】
また、上述の実施形態において、電力配線4に流れる電流が予め設定された所定値になった場合に、電源部13から器具側制御部16、接続検出部17および器具側無線通信部18へ駆動電力を供給するように、電源部13の負荷を調整する調整負荷(不図示)をさらに備えるように配線接続器具1が構成されてもよい。このような調整負荷は、例えば、可変抵抗器等を備えて構成される。このような構成では、調整負荷によって、電力配線4に流れる電流が予め設定された所定値以上になった場合に、器具側制御部16、接続検出部17および器具側無線通信部18へ駆動電力が電源部13から供給される。このため、端末装置3は、配線接続器具1の電流値(系統の電流値)が所定値以上である場合に、その表示部33(33A、33B)に電流値等を表示するので、ユーザは、端末装置3に表示があれば、配線接続器具1の電流値(系統の電流値)が所定値以上であると認識することができる。そして、器具側制御部16、接続検出部17および器具側無線通信部18は、電力配線4に流れる電流が予め設定された所定値以上になった場合に駆動するので、省電力化を図ることができ、また、その構成が簡素化され、低廉化が可能となる。
【0054】
また、上述の実施形態において、通信信号に、高周波信号検出部15が高周波信号を検出した場合に器具側無線通信部18が発信する通信信号であるか否かを表す識別子であるフラグをさらに含ませるように器具側制御部が構成され、通信信号に含まれるフラグを表示部33にさらに表示させるように端末側制御部32が構成されてもよい。このような倍では、端末装置3は、配線接続器具1に前記通信信号を発信させる信号を送信し、配線接続器具1は、この信号を受信すると、前記通信信号に、高周波信号検出部15が高周波信号を検出した場合に器具側無線通信部18が発信する通信信号ではない場合を表すフラグ、例えば、“0”をさらに含ませて発信する一方、高周波信号を検出すると、前記通信信号に、高周波信号検出部15が高周波信号を検出した場合に器具側無線通信部18が発信する通信信号である場合を表すフラグ、例えば、“1”をさらに含ませて発信する。このため、複数の配線接続器具1から電流値をそれぞれ収集した場合に、フラグを参照することによって、ユーザは、通信信号を受信したすべての配線接続器具1の電流値(すべての系統の電流値)を集計することができる一方で、高周波信号を流した特定の配線接続器具1の電流値(特定の系統の電流値)を集計することも可能となる。
【0055】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】実施形態における配線接続器具探査システムの構成を示す外観斜視図である。
【図2】実施形態における配線接続器具の構成を示すブロック図である。
【図3】実施形態における高周波生成装置の構成を示すブロック図である。
【図4】実施形態における端末装置を示す外観斜視図である。
【図5】実施形態における端末装置の構成を示すブロック図である。
【図6】実施形態における他の形態の端末装置を示す外観斜視図である。
【符号の説明】
【0057】
S 配線接続器具探査システム
1 配線接続器具
2 高周波生成装置
3 端末装置
4 電力配線
5 タップ
11 配線接続部
12 分岐接続部
13 電源部
14 電流計測部
15 高周波信号検出部
16 器具側制御部
17 接続検出部
18 器具側無線通信部
19 識別子記憶部
21 高周波信号生成部
22 ケーブル
23 プラグ
31 端末側無線通信部
32 端末側制御部
33(33A、33B) 表示部
34 操作部
35 高周波信号電界強度測定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床下に配設された配線接続器具を探査する配線接続器具探査システムであって、
高周波生成装置と、配線接続器具と、端末装置とを備え、
前記高周波生成装置は、
高周波信号を生成する高周波生成部と、
前記高周波生成部で生成された高周波信号を出力するためであって、差込口が外部に臨むように床に配設されたタップに接続するためのプラグとを備え、
前記配線接続器具は、
電力配線に接続するための配線接続部と、
前記電力配線に流れる電力を分岐するための分岐接続部と、
前記電力配線に流れる電流を計測する電流計測部と、
前記電力配線に流れる高周波信号を検出する高周波信号検出部と、
前記分岐接続部にタップが接続されているか否かを検出する接続検出部と、
無線で通信を行う器具側無線通信部と、
前記接続検出部の検出結果に基づいてタップが接続されていない分岐接続部の個数を計数すると共に、前記高周波信号検出部が前記高周波信号を検出した場合に、前記計数したタップが接続されていない分岐接続部の個数を表す空き個数情報と前記電流計測部で計測した電流値を表す電流値情報とを含む通信信号を前記器具側無線通信部に発信させる器具側制御部とを備え、
前記端末装置は、
無線で通信を行う端末側無線通信部と、
情報を表示する表示部と、
前記端末側無線通信部が前記通信信号を受信した場合に、前記通信信号に含まれる電流値情報で表される電流値と前記通信信号に含まれる空き個数情報で表される個数とを前記表示部に表示させる端末側制御部とを備えること
を特徴とする配線接続器具探査システム。
【請求項2】
前記配線接続器具は、自機を特定し識別するための器具識別子を記憶する識別子記憶部をさらに備え、
前記器具側制御部は、前記識別子記憶部に記憶されている器具識別子を表す器具識別子情報を前記通信信号にさらに含め、
前記端末側制御部は、前記通信信号に含まれる器具識別子情報で表される器具識別子を前記表示部にさらに表示させること
を特徴とする請求項1に記載の配線接続器具探査システム。
【請求項3】
前記配線接続器具は、自機の駆動電力を生成する電源部と、前記電力配線に流れる電流が予め設定された所定値以上になった場合に、前記電源部から前記器具側無線通信部、前記器具側制御部および前記接続検出部へ前記駆動電力を供給するように、前記電源部の負荷を調整する調整負荷とをさらに備えること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の配線接続器具探査システム。
【請求項4】
前記器具側制御部は、前記通信信号に、前記高周波信号検出部が前記高周波信号を検出した場合に前記器具側無線通信部が発信する通信信号であるか否かを表す識別子であるフラグをさらに含ませ、
前記端末側制御部は、前記通信信号に含まれるフラグを前記表示部にさらに表示させること
を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の配線接続器具探査システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−75847(P2009−75847A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−244077(P2007−244077)
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】