配線用ボックス及び配線用ボックスの取付方法
【課題】ボックス本体の前面側の端面が造営材の前面と面一となるように造営材に取り付ける作業を容易に行うことができるとともに、造営材の前面に設置される壁材の障害となることを無くすことができる配線用ボックス及び配線用ボックスの取付方法を提供する。
【解決手段】配線用ボックス11は、ボックス本体Bの前面側に取付座面に直交する方向に沿ってボックス本体Bから離間するように突出し、後面にボックス本体Bの前面側の端面と同一平面上に位置する係止面17aを有する係止部17を備える。係止部17は、該係止部17とボックス本体Bとを連結する連結部16を介してボックス本体Bに連結されている。連結部16は、係止部17とボックス本体Bとを容易に分断するために薄肉状に形成されている。
【解決手段】配線用ボックス11は、ボックス本体Bの前面側に取付座面に直交する方向に沿ってボックス本体Bから離間するように突出し、後面にボックス本体Bの前面側の端面と同一平面上に位置する係止面17aを有する係止部17を備える。係止部17は、該係止部17とボックス本体Bとを連結する連結部16を介してボックス本体Bに連結されている。連結部16は、係止部17とボックス本体Bとを容易に分断するために薄肉状に形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の造営材に取り付けられる配線用ボックス、及び造営材への配線用ボックスの取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、建築物の壁に配線器具を設置する際、前記壁内には前面に開口を有する四角箱状の配線用ボックスが設置されている。この配線用ボックスは、壁内に立設された造営材(木柱や軽量形鋼)に取り付けられる。
【0003】
前記壁は、一対の壁材が前記造営材の前後各面に当接するように立設されて構築される。このため、配線用ボックスの造営材への取り付けは、該配線用ボックスの前面側の端面が前記造営材の前面より前側へ突出しないように行われる。具体的には、配線用ボックスの造営材への取り付けは、配線用ボックスの前面側の端面が前記造営材の前面と面一となるように行われる。このため、配線用ボックスには、該配線用ボックスの前面側の端面を造営材の前面と面一とした状態を維持しながら、配線用ボックスの造営材への取付を可能にする位置決め手段が設けられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
特許文献1に記載の配線用ボックスは、基板と、周壁の一側が開口し、該開口に前記基板が嵌着される筐体とから構成されている。前記基板において、筐体への嵌着状態で配線用ボックスの前面側となる端面には、造営材としての木柱の前面に係止し、基板の端面を前記木柱の前面と面一に位置決めする位置決め手段としての係止片が一体形成されている。また、基板には、該基板を木柱へ固定するための取付孔が形成されている。
【0005】
そして、特許文献1に記載の配線用ボックスを木柱に取り付けるには、まず、基板の取付孔から木柱に止めねじを固定して基板を木柱の側面に固定する。このとき、係止片を木柱の前面に係止させることで、止めねじの木柱への固定の際に、基板が木柱に対して移動したり、傾斜したりすることが防止され、基板の端面が木柱の前面と面一となる状態が維持される。その後、基板に筐体が取り付けられ、基板の端面に筐体の開口側端面が位置合わせされて、配線用ボックスがその前面側の端面を木柱の前面と面一とした状態で木柱に取り付けられる。
【0006】
ところが、木柱に配線用ボックスを取り付けた後、木柱の前側には、木柱の前面に壁材の後面が当接するように壁材が設置される。このとき、特許文献1に記載の配線用ボックスにおいては、係止片が木柱の前面に係止したままとなっている。このため、係止片が木柱の前面に係止した状態では、係止片が木柱の前面から前側へ突出し、該係止片を備えた配線用ボックスが、壁材の設置の大きな障害となってしまう。その結果としては、例えば、係止片の前面に壁材の後面が当接することで、係止片の厚み分だけ壁材が木柱の前面から浮き上がった状態で設置されてしまう。
【0007】
そこで、位置決め手段(係止片)が壁材設置の障害となることを回避しつつ、配線用ボックスの前面側の端面を造営材の前面と面一とした状態を維持しながら造営材への取付を可能とする配線用ボックスが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。すなわち、特許文献2に記載の配線用ボックスにおいて、位置決め手段は、特許文献1に記載の位置決め手段(係止片)よりも小さく形成されている。
【0008】
特許文献2に記載の配線用ボックスは、前面に開口を有する有底四角箱状に形成されたボックス本体を備え、互いに対向する一対の側壁のうちの一方の側壁には、長孔状をなすビス貫通孔が形成されている。また、前記一対の側壁にて、ボックス本体の前面側の端面には、造営材としての軽量形鋼の角部のみに係合可能な一対の係合突片(特許文献1の係止片に相当)が位置決め手段として外方へ向けて突設されている。
【0009】
そして、特許文献2に記載の配線用ボックスを軽量形鋼に取り付ける際には、軽量形鋼の角部(丸み部)に一対の係合突片を係合させることで、ボックス本体の前面側の端面と軽量形鋼の前面とが面一となる状態が維持される。その後、前記ビス貫通孔から軽量形鋼に止めねじを固定して配線用ボックスが軽量形鋼に取り付けられる。
【0010】
配線用ボックスが軽量形鋼に取り付けられた状態では、係合突片は軽量形鋼の角部のみに係合しており、軽量形鋼の前面には係合していない。このため、軽量形鋼の前面から前側へは係合突片は突出しておらず、該係合突片が壁材設置の障害となることが阻止される。
【特許文献1】実開昭56−73118号公報
【特許文献2】特開平11−275732号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、特許文献2に記載の配線用ボックスにおいて、係合突片は特許文献1に記載の係止片よりも小さく形成され、軽量形鋼の角部のみに係合可能とされている。このため、ビス貫通孔から止めねじを軽量形鋼に固定する際に、係合突片と角部との係合が崩れて配線用ボックスが軽量形鋼に対して移動しやすく、配線用ボックスの前面側の端面と造営材の前面とを面一とした状態での取付作業が困難であるという問題があった。
【0012】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、ボックス本体の前面側の端面が造営材の前面と面一となるように造営材に取り付ける作業を容易に行うことができるとともに、造営材の前面に設置される壁材の障害となることを無くすことができる配線用ボックス及び配線用ボックスの取付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、少なくとも前面に開口を有するボックス本体を備え、建築物の壁材の後側に立設された造営材に取り付けられる配線用ボックスであって、前記ボックス本体の側壁に、該ボックス本体の前記造営材への取付状態で該造営材の側面に当接する取付座面を備えるとともに、前記取付座面が形成された側壁側におけるボックス本体の前面側には、前記取付座面に直交する方向に沿ってボックス本体から離間するように突出し、後面にボックス本体の前面側の端面と同一平面上に位置する係止面を有しており、該係止面を前記造営材の側面に直交する造営材の前面に係止させることでボックス本体の前面側の端面と造営材の前面とを面一とした状態でボックス本体を造営材に係止させる係止部を備え、前記係止部は、該係止部とボックス本体とを連結する連結構造を介して前記ボックス本体に連結され、前記連結構造には、前記係止部と前記ボックス本体とを分断するための分断手段が設けられており、前記係止部は前記分断手段を用いてボックス本体から分断除去可能であることを要旨とする。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の配線用ボックスにおいて、前記連結構造は、前記係止部とボックス本体とに一体形成された連結部より構成されており、前記係止部には、工具を用いた前記連結部からの係止部とボックス本体との分断の際に前記工具を係止部に動作させるための動作部が設けられていることを要旨とする。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の配線用ボックスにおいて、前記分断手段は、前記連結部の少なくとも一部を前記係止部より薄肉状に形成することで構成されていることを要旨とする。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の配線用ボックスにおいて、前記動作部は、前記工具としての把持工具によって把持される被把持部であり、該被把持部は前記把持工具によって把持可能な薄板状に形成されていることを要旨とする。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の配線用ボックスにおいて、前記動作部は前記係止部に凹設され、前記工具としてのドライバの先端が係合される係合凹所であることを要旨とする。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項2〜請求項5のうちいずれか一項に記載の配線用ボックスにおいて、前記ボックス本体の前面側の端面にて前記連結部の周囲には、前記端面よりもボックス本体の深さ方向へ凹んだ凹所が形成されていることを要旨とする。
【0019】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の配線用ボックスにおいて、前記係止部とボックス本体とは別体形成されているとともに、前記連結構造は係止部とボックス本体との間に構成される係合関係より構成されており、前記分断手段は、前記係合関係を解除可能にして構成されていることを要旨とする。
【0020】
請求項8に記載の発明は、少なくとも前面に開口を有するボックス本体を備える配線用ボックスを建築物の壁材の後側に立設された造営材に取り付けるための配線用ボックスの取付方法であって、前記配線用ボックスは、前記ボックス本体の側壁に、該ボックス本体の前記造営材への取付状態で該造営材の側面に当接する取付座面を備えるとともに、前記取付座面が形成された側壁側におけるボックス本体の前面側に、前記取付座面に直交する方向に沿ってボックス本体から離間するように突出し、後面にボックス本体の前面側の端面と同一平面上に位置する係止面を有する係止部を備え、前記係止部は、該係止部とボックス本体とを連結する連結構造を介して前記ボックス本体に連結されているとともに、前記連結構造には、前記係止部と前記ボックス本体とを分断するための分断手段が設けられており、前記取付座面を造営材の側面に当接させるとともに、該側面に対し直交する造営材の前面に前記係止面を係止させ、係止部によってボックス本体を造営材に係止させ、ボックス本体の前面側の端面と造営材の前面とを面一とさせた状態で配線用ボックスを取付ねじで造営材に取り付けた後、前記分断手段を用いて係止部をボックス本体から分断し、係止部をボックス本体から除去することを要旨とする。
【0021】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の配線用ボックスの取付方法において、前記連結構造は、前記係止部とボックス本体とに一体形成された連結部であり、前記係止部は、前記連結部よりボックス本体から分断されることを要旨とする。
【0022】
請求項10に記載の発明は、請求項8又は請求項9に記載の配線用ボックスの取付方法において、前記係止部は、該係止部に設けられた動作部に工具を動作させてボックス本体から分断されることを要旨とする。
【0023】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の配線用ボックスの取付方法において、前記係止部は、前記動作部としての被把持部が前記工具としての把持工具によって把持されてボックス本体から分断されることを要旨とする。
【0024】
請求項12に記載の発明は、請求項10に記載の配線用ボックスの取付方法において、前記係止部は、前記動作部としての係合凹所に前記工具としてのドライバが係合されてボックス本体から分断されることを要旨とする。
【0025】
請求項13に記載の発明は、請求項8に記載の配線用ボックスの取付方法において、前記係止部とボックス本体とは別体形成されているとともに、前記連結構造は係止部とボックス本体との間に構成される係合関係より構成されており、前記係止部は、前記係合関係を解除してボックス本体から分断されることを要旨とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ボックス本体の前面側の端面が造営材の前面と面一となるように造営材に取り付ける作業を容易に行うことができるとともに、造営材の前面に設置される壁材の障害となることを無くすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した配線用ボックス及び配線用ボックスの取付方法の第1の実施形態を図1〜図4にしたがって説明する。なお、以下の説明において配線用ボックス11及びボックス本体Bの「上」「下」「左」「右」「前」「後」は、図1に示す矢印Y1の方向を上下方向とし、矢印Y2の方向を左右方向とし、矢印Y3の方向を前後方向とする。
【0028】
まず、配線用ボックス11が取り付けられる造営材としての形鋼材たる軽量形鋼10について説明する。図1に示すように、軽量形鋼10は、金属板より細長四角筒状に形成され、前記金属板の長さ方向に延びる側端部が互いに向き合うようにして形成された一対のリップ部10aを備えている。そして、一対のリップ部10aによって軽量形鋼10の一側面(図1では右側面)が構成されている。また、前記一対のリップ部10aの間には、軽量形鋼10の長さ方向に延びる間隙Sが形成されている。
【0029】
なお、軽量形鋼10において、前記一対のリップ部10aよりなる側面に対し直交する他の側面(図1では前面)を軽量形鋼10の前面10cとする。また、軽量形鋼10において、前記前面10cに対向する側面を後面10eとし、リップ部10aに対向する側面を側面10fとする。
【0030】
そして、建築物内に立設された軽量形鋼10の前面10c側、及び後面10e側には、壁材としての壁板K(図4参照。図4では前面10c側の壁板Kのみ図示)が立設され、各壁板Kはその後面が軽量形鋼10の前面10cと後面10eに当接するように立設されるようになっている。その結果、軽量形鋼10と一対の壁板Kによって、建築物の壁としての軽量間仕切壁が構築されるようになっている。
【0031】
次に、配線用ボックス11について説明する。配線用ボックス11は、その内部にスイッチ等の配線器具(図示せず)を収容して使用され、前記壁板Kの後側に立設された軽量形鋼10に取り付けられるものである。図1及び図2に示すように、配線用ボックス11は、矩形板状をなす底壁12と、その底壁12の四側周縁から立設された四側壁12a〜12dとから、前面に開口を有する四角箱状をなすボックス本体Bを備えている。ボックス本体Bの開口を前面にした状態において、上下に対向する一対の側壁のうち上側の側壁を上側壁12aとし下側の側壁を下側壁12bとする。また、ボックス本体Bの開口を前面にした状態において、左右に対向する一対の側壁のうち左側の側壁を左側壁12cとし右側の側壁を右側壁12dとする。
【0032】
前記左側壁12cにおいて、ボックス本体Bの前面側(開口側)には、左側壁12cの外面に直交する方向に沿って左側壁12cから離れるように延びる延設片13が形成されている。この延設片13の前面13aは、ボックス本体Bの前面側の端面(上側壁12a、下側壁12b、及び右側壁12dの前面側の端面)と同一平面上に位置している。また、図2に示すように、左側壁12cの外面には、一定の厚みを有する取付座部14が延設片13に連設して3箇所に突出形成されている。この取付座部14には、左側壁12cの外面に対し平行をなし、配線用ボックス11を前記軽量形鋼10に取り付ける際に、該軽量形鋼10の側面たるリップ部10aに当接する取付座面14aが形成されている。
【0033】
さらに、各取付座部14には、取付座部14(左側壁12c)を貫通する短孔状(丸孔状)の取付孔14bが2箇所ずつ形成されている。前記取付孔14bは、配線用ボックス11を軽量形鋼10に取り付ける際に、取付ねじ19(図4参照)が挿通されるようになっている。延設片13の前面13aから、2つの取付孔14bのうちの前面側の取付孔14bまでの長さは、軽量形鋼10の前面10cから該前面10c側のリップ部10aの後端縁までの長さより短くなっている。このため、図4に示すように、ボックス本体Bの前面側の端面(延設片13の前面13a)を、軽量形鋼10の前面10cと面一にしたとき、ボックス本体Bの前面側の取付孔14bは、前面10c側のリップ部10aに対向する位置に配設されるようになっている。また、各取付孔14bは、取付座部14の貫通方向への長さが取付座部14の厚みと同じになっており、取付孔14bの貫通方向に沿った長さは、取付孔14bの内面に当接した取付ねじ19の傾倒を防止可能とする長さになっている。
【0034】
また、図1及び図3に示すように、前記延設片13の外側縁には、一対の係止突部15が形成されている。図3に示すように、各係止突部15の前面は、延設片13の前面13aと面一になっている。また、各係止突部15の後面には、各係止突部15の基端側から先端側へ向かうに従い円弧状に湾曲する湾曲面15aが形成されている。湾曲面15aの曲率半径は、軽量形鋼10の角部10dの曲率半径と同じになっている。なお、湾曲面15aの曲率半径は、軽量形鋼10の角部10dの曲率半径より小さくなっていてもよい。
【0035】
そして、ボックス本体Bの前面側の端面が、軽量形鋼10の前面10cと面一となるように1本の取付ねじ19を用いて配線用ボックス11を軽量形鋼10に取り付けたとき、各係止突部15の湾曲面15aは、軽量形鋼10の前面10cとリップ部10aとの間に位置する角部10dに沿って係止するようになっている。このとき、係止突部15の前面は、軽量形鋼10の前面10cよりも前側に突出せず、前面10cと面一となるようになっている。そして、係止突部15は、前記一本の取付ねじ19を回動中心としたボックス本体Bの回動を規制する回動規制手段を構成している。
【0036】
図1に示すように、延設片13の前面13aにて、該延設片13の長さ方向(図1では上下方向)の両側には連結部16を介して係止部17が前側へ突設されている。そして、前記係止部17は、ボックス本体Bの前面側の端面と軽量形鋼10の前面10cとを面一とした状態でボックス本体Bを軽量形鋼10に係止させるものである。
【0037】
図2に示すように、一対の連結部16及び係止部17は、前記3つの取付座部14(取付孔14b)よりも、延設片13の長さ方向(図2では上下方向)の外側に配設されている。すなわち、一対の連結部16及び係止部17のうち、一方(図1では上方)の連結部16及び係止部17は最上部の取付座部14(取付孔14b)よりも外側(上側)に形成されている。他方(図1では下方)の連結部16及び係止部17は最下部の取付座部14(取付孔14b)よりも外側(下側)に形成されている。したがって、一対の連結部16及び係止部17は、延設片13の長さ方向において3つの取付座部14を挟む位置に配設されている。
【0038】
各係止部17は、連結構造としての連結部16を介してボックス本体Bたる延設片13に連結されている。各連結部16は、係止部17とボックス本体B(延設片13)とに一体形成されており、延設片13の前面13aに対し直交するようにボックス本体Bの前側へ突設されている。
【0039】
図1に示すように、連結部16において、取付座面14aに直交する方向を連結部16の長さ方向とする。また、図2に示すように、各連結部16において、係止部17が軽量形鋼10に係止する方向(図2では前後方向)に対して直交する方向(図2では上下方向)を連結部16の厚み方向とする。この場合、連結部16は、その厚み方向への厚みが、係止部17側からボックス本体B(延設片13)側へ向かうに従い薄くなっている(薄肉状)。一方、連結部16は、その長さ方向への厚みが、一定となっている。このため、連結部16は、ボックス本体B(延設片13)側たる基端側から、ボックス本体Bと容易に分断することが可能となっている。そして、連結部16の一部が係止部17より薄肉状に形成されることで、連結部16には係止部17をボックス本体Bから分断するための分断手段が設けられている。
【0040】
また、図1及び図2に示すように、ボックス本体Bの前面側の端面、すなわち、延設片13の前面13aにて連結部16の周囲には、凹所13bがボックス本体Bの深さ方向(図1及び図2では前後方向)へ凹み形成されている。前記凹所13bの深さは、配線用ボックス11(ボックス本体B)の深さ方向に沿った連結部16の長さと同じになっている。すなわち、連結部16は、凹所13bの内底面から、ボックス本体Bの前面側へ向けて突出し、延設片13の前面13aである凹所13bの開口縁に至るまでとなっている。
【0041】
図1に示すように、前記連結部16に一体形成された係止部17は、取付座面14aに直交し、かつボックス本体Bから離れる方向(図1では左方向)へ細長に延びる薄板より形成されている。なお、取付座面14aに直交し、かつボックス本体Bから離れる方向を、係止部17の長さ方向とした場合、係止部17にて前記長さ方向に対して直交する方向(上下方向)を係止部17の厚み方向とする。この場合、係止部17の長さ方向への長さは、該長さ方向に沿った前記係止突部15の長さよりも長くなっている。すなわち、係止部17の先端は係止突部15の先端よりもボックス本体Bから離れた位置にある。
【0042】
そして、係止部17は、その厚み方向への厚み、連結部16からの突出高さ、及び長さ方向への長さが、把持工具としてのペンチPによって厚み方向から容易に把持することが可能な形状に形成されている。すなわち、係止部17そのものが、ペンチPを用いたボックス本体Bからの係止部17の分断の際にペンチPを係止部17に動作させるための動作部を構成し、ペンチPによって把持可能な被把持部を構成している。
【0043】
そして、上記連結部16に係止部17が一体形成されていることから、係止部17にて、ボックス本体Bの後側へ臨むこととなる後面には、ボックス本体Bの前面側の端面(延設片13の前面13a)と同一平面上に位置する係止面17aが形成されている。
【0044】
次に、上記配線用ボックス11の軽量形鋼10への取付方法について説明する。
まず、軽量形鋼10にて、一対のリップ部10aのうち軽量形鋼10の前面10c側のリップ部10aに取付座面14aを当接させる。同時に、図1及び図3に示すように、軽量形鋼10の前面10cに、各係止部17の係止面17aを係止させるとともに、一対の係止突部15の湾曲面15aを軽量形鋼10の角部10dに係止させる。ここで、延設片13の前面13aからボックス本体Bの前面側の取付孔14bまでの長さは、軽量形鋼10の前面10cから該前面10c側のリップ部10aの後端縁までの長さより短くなっている(図4参照)。また、取付孔14bは、ボックス本体Bの深さ方向へ延びる長孔状ではなく短孔状に形成されている。このため、ボックス本体Bの開口から、中央の取付座部14に形成された取付孔14bから取付ねじ19をねじ込んだとき、取付ねじ19は前面10c側のリップ部10aに直接ねじ込まれる。このとき、取付ねじ19は、ボックス本体Bの開口から深さ方向に沿った底壁12側へねじ込まれ、配線用ボックス11にはその底壁12側へ押圧する力が作用する。
【0045】
しかし、軽量形鋼10には、係止部17の係止面17aが、軽量形鋼10の前面10cに直交する方向から係止している。このため、配線用ボックス11が、該配線用ボックス11を底壁12側へ押圧する力によって軽量形鋼10の後側に向かって移動したり、傾いたりすることが防止される。特に、係止部17は、係止突部15に比して長さ方向への長さが長く、軽量形鋼10に対する係止面積も広くなっている。また、係止部17は、平面たる軽量形鋼10の前面10cに係止しているのに対し、係止突部15は、円弧状をなす角部10dに係止している。このため、配線用ボックス11は、係止突部15の角部10dへの係止のみでは、前記力によって軽量形鋼10の後側へ移動したり、傾いたりしてしまう場合であっても、係止部17により前記移動や傾きが防止される。
【0046】
また、連結部16において、その長さ方向へ沿った厚みは一定となっており、薄肉状に形成された連結部16の厚み方向に比して強度が高くなっている。このため、連結部16は、係止部17が軽量形鋼10に係止する方向へは所要の強度を有し、連結部16が配線用ボックス11を底壁12側へ押圧する力によって容易に損傷を受けることを阻止することができる。
【0047】
そして、取付ねじ19によって配線用ボックス11が軽量形鋼10に取り付けられる。配線用ボックス11が軽量形鋼10に取り付けられた状態では、ボックス本体Bの前面側の端面と、軽量形鋼10の前面10cとは同一平面上に位置し、面一となっている。
【0048】
続いて、係止部17をその厚み方向からペンチP(図1参照)によって把持し、ペンチPによる把持状態で係止部17を上下方向へ繰り返し傾動させる。このとき、連結部16は、係止部17側からボックス本体B側へ向かうに従い厚み方向への厚みが薄くなっている。このため、係止部17より薄肉状に形成された連結部16はボックス本体Bから容易に折り取られる。
【0049】
その結果、連結部16による係止部17とボックス本体Bとの連結が解除され、係止部17はボックス本体Bから分断される。もう1つの係止部17についても同様の作業を行って係止部17をボックス本体Bから分断させ、一対の係止部17を配線用ボックス11から除去する。
【0050】
なお、係止部17の除去後、配線用ボックス11には、該配線用ボックス11への配線器具の取付や、ケーブルの差込等によって該配線用ボックス11を前後方向へ移動させる力が作用する。そして、配線用ボックス11は、1本の取付ねじ19によって軽量形鋼10に取り付けられているが、一対の係止突部15が軽量形鋼10の角部10dに係止しているため、前記力が作用しても配線用ボックス11が取付ねじ19を回動中心として容易に回動することが抑制される。
【0051】
そして、図4に示すように、軽量形鋼10の前面10cと、ボックス本体Bの前面側に、壁板Kが設置される。このとき、ボックス本体Bの前面側には係止部17が無いため、壁板Kの後面を軽量形鋼10の前面10cとボックス本体Bの前面側の端面に当接させた状態で壁板Kが設置される。
【0052】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)ボックス本体Bの前面側に係止部17を設け、係止部17の後面(係止面17a)がボックス本体Bの前面側の端面と同一平面上に位置するように形成した。そして、取付座面14aを軽量形鋼10の側面(リップ部10a)に当接させ、係止部17の係止面17aを軽量形鋼10の前面10cに係止させると、ボックス本体Bの前面側の端面と前面10cとが面一となった状態を維持することができる。すなわち、本実施形態の配線用ボックス11では、ボックス本体Bの前面側の端面が軽量形鋼10の前面10cと面一となるように軽量形鋼10に取り付ける作業を容易に行うことができる。また、係止部17は、分断手段(連結部16を係止部17より薄肉状に形成すること)を備えた連結構造(連結部16)を介してボックス本体Bの前面側に連結されており、分断手段を用いることで連結部16から係止部17を容易に分断させることが可能となっている。
【0053】
すなわち、係止部17は連結部16を介してボックス本体Bに連結されることで、配線用ボックス11からの除去を意図した構成となっており、係止部17が軽量形鋼10の前面10cに係止した状態では容易に折り曲げられないように所要の厚み及び幅を有する構成とは異なっている。このため、係止部17を軽量形鋼10に係止させながら配線用ボックス11を軽量形鋼10に取り付けた後は、係止部17を配線用ボックス11から容易に除去することができる。したがって、配線用ボックス11を軽量形鋼10に取り付け、壁材(壁板K)を設置する際に、配線用ボックス11の係止部17が壁板Kの設置の障害となることを無くすことができる。その結果として、係止部17によって壁板Kが軽量形鋼10の前面10cから浮き上がったり、その浮き上がりにより壁板K同士の繋ぎ目が離れたりして、軽量間仕切壁の見栄えが悪くなるといった不具合の発生を無くすことができる。
【0054】
(2)係止部17は、取付座面14aに直交し、かつボックス本体Bから離れる方向(長さ方向)へ細長状に延びる一方で、前記長さ方向に直交する方向(厚み方向)へは薄板状に形成されている。そして、係止部17は、長さ方向への長さ、厚み方向への厚み、及び連結部16からの突出高さは、厚み方向からペンチPで容易に把持可能なサイズに形成されている。したがって、ペンチPで係止部17を把持しながら行う係止部17の分断作業を容易とすることができ、係止部17を配線用ボックス11から除去する作業を容易に行うことができる。
【0055】
(3)連結部16は、その厚み方向への厚みが、係止部17側からボックス本体B(延設片13)側へ向かうに従い薄くなっている。そして、連結部16は、係止部17を把持したペンチPを移動させ、係止部17を繰り返し傾動させる方向への厚みが薄くなっている。逆に、連結部16は、ペンチPで係止部17を傾動させることのない方向へは厚みが一定である。このため、ペンチPを傾動させ、係止部17を配線用ボックス11から除去する作業を容易に行うことができる一方で、係止部17が軽量形鋼10に係止する方向へは連結部16の強度を維持することができる。
【0056】
(4)連結部16の周囲には、ボックス本体Bの深さ方向へ凹んだ凹所13bが形成されている。このため、例えば、係止部17を配線用ボックス11から除去した後、凹所13bの内底面にバリが発生しても、バリは凹所13bの深さ内に収まっており、ボックス本体Bの前面側の端面(延設片13の前面13a)からバリがボックス本体Bの前側へ突出しにくい構成とすることができる。したがって、前記バリが壁板K設置の障害となることを無くすことができる。
【0057】
(5)ボックス本体Bの前面側の端面(延設片13の前面13a)からボックス本体Bの前面側の取付孔14bまでの長さは、軽量形鋼10の前面10cから該前面10c側のリップ部10aの後端縁までの長さより短くなっており、取付孔14bは短孔状に形成されている。このため、係止部17の係止面17aを軽量形鋼10の前面10cに係止させた状態としたとき、ボックス本体Bの前面側の取付孔14bは、前面10c側のリップ部10aに対向する位置に配設されるようになっている。したがって、取付孔14bに取付ねじ19をねじ込んだとき、取付ねじ19のねじ込み先にはリップ部10aが配設されている。その結果として、取付ねじ19のねじ込み作業の際に、配線用ボックス11を移動させて取付孔14bをリップ部10aに合致させる必要がなく、配線用ボックス11を軽量形鋼10に取り付ける作業を容易に行うことができる。
【0058】
(6)取付座部14の取付孔14bは、短孔状に形成されている。このため、例えば、取付孔14bがボックス本体Bの深さ方向へ延びる長孔状に形成され、取付ねじ19を軽量形鋼10のリップ部10aにねじ込むとき、取付ねじ19が軽量形鋼10のリップ部10a外面を滑ってしまい、長孔に沿ってボックス本体Bの奥方へ移動してしまうことがない。したがって、配線用ボックス11の軽量形鋼10への取付作業の際に、取付ねじ19が取付孔14b内を移動するのを規制しながら取付ねじ19をリップ部10aにねじ込む作業を行う必要がなく、配線用ボックス11の軽量形鋼10への取付作業を容易に行うことができる。
【0059】
(7)ボックス本体B(延設片13)には、一対の係止突部15が形成され、配線用ボックス11を軽量形鋼10に取り付けた状態では、一対の係止突部15が軽量形鋼10の角部10dに係止している。このため、係止部17がボックス本体Bから除去された状態で、配線用ボックス11に前後方向へ移動させる力が作用しても、一対の係止突部15が角部10dに係止していることで配線用ボックス11が取付ねじ19を回動中心として回動することを抑制することができる。
【0060】
(8)ボックス本体Bの前面側の端面(延設片13の前面13a)に凹所13bを凹設し、その凹所13bの深さ内に連結部16を設け、該連結部16の先端を凹所13bの開口縁に至るまでとした。このため、係止部17が連結部16を介してボックス本体Bに連結され、該連結部16に分断手段(連結部16を薄肉状に形成すること)を設けた構成であっても、係止面17aをボックス本体Bの前面側の端面(延設片13の前面13a)と同一平面上に位置させることが可能となる。したがって、係止部17をボックス本体Bから分断する作業を容易としながらも、係止部17の係止面17aを軽量形鋼10の前面10cに係止させた状態で、該前面10cとボックス本体Bの前面側の端面とを面一とすることができる。
【0061】
(9)一対の係止部17は、3つの取付座部14(取付孔14b)よりも、延設片13の長さ方向(上下方向)の外側に配設されている。このため、一対の係止部17は、取付孔14bからリップ部10aにねじ込まれた取付ねじ19を挟む位置で軽量形鋼10の前面10cに係止している。したがって、配線用ボックス11が取付ねじ19を回動中心として回動することを抑制することができる。
【0062】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図5及び図6に基づき説明する。なお、以下に説明する第2の実施形態では、既に説明した第1の実施形態と同一構成については、同一符号を付すなどして、その重複する説明を省略又は簡略する。
【0063】
図5に示すように、配線用ボックス11において、ボックス本体Bの左側壁12cにて、ボックス本体Bの前面側には係止部材30が組み付けられている。そして、この係止部材30が、取付座面14aに直交する方向に沿ってボックス本体Bから離間するように突出し、後面にボックス本体Bの前面側の端面と同一平面上に位置する係止面31aを有する係止部を構成している。なお、ボックス本体Bの左側壁12cにおいて、3つの取付座部14のうち両側の取付座部14よりも外側には、連結孔12f(図6参照)が形成されている。
【0064】
図5及び図6に示すように、前記係止部材30は、矩形板状のプレート本体31を備えている。係止部材30において、前記プレート本体31の相対向する一対の側縁部のうち一方(図5及び図6では右方)の側縁部には、一対の連結片32が曲げ形成されている。各連結片32は、前記プレート本体31に対して直角に曲げ形成されている。また、各連結片32の先端には、各連結片32に対して直交するようにプレート本体31側へ突出する連結突起33が形成されている。
【0065】
また、係止部材30において、前記プレート本体31の相対向する一対の側縁部のうち他方(図5及び図6では左方)の側縁部には、係止片34がプレート本体31に対して直角をなし、前記連結片32と同じ方向へ曲げ形成されている。そして、前記連結片32と係止片34との間の幅は、軽量形鋼10の前面10cの幅に左側壁12cの厚みを加えた幅と同じに設定されている。プレート本体31において、前記連結片32及び係止片34が曲げられた方向となる面、すなわち、プレート本体31の後面には係止面31aが設けられている。
【0066】
そして、各連結片32の連結突起33を、ボックス本体Bの左側壁12cにおける連結孔12fに係合させるとともに、連結片32を左側壁12cの内面に係止させることで係止部材30をボックス本体Bに連結することができる。すなわち、連結片32の連結突起33と、ボックス本体Bの連結孔12fとの間に形成される凹凸の係合関係よりなる連結構造を介して係止部材30がボックス本体Bに連結され、係止部材30によってボックス本体Bには係止部が設けられている。
【0067】
第2の実施形態の配線用ボックス11を軽量形鋼10へ取り付けるには、図5及び図6に示すように、軽量形鋼10の前面10c側のリップ部10aに取付座面14aを当接させる。同時に、軽量形鋼10の前面10cに、プレート本体31の係止面31aを係止させるとともに、係止片34を軽量形鋼10にてリップ部10aと対向する側面10fに係止させる。なお、一対の係止突部15の湾曲面15aも軽量形鋼10の角部10dに係止させる。
【0068】
そして、取付ねじ19によって配線用ボックス11が軽量形鋼10に取り付けられる。配線用ボックス11が軽量形鋼10に取り付けられた状態では、ボックス本体Bの前面側の端面と、軽量形鋼10の前面10cとは同一平面上に位置し、面一となっている。その後、係止部材30を配線用ボックス11から除去する。具体的には、連結突起33を連結孔12fから抜き取り、連結突起33と連結孔12fとの間に形成された係合関係を解除するとともに、係止部材30とボックス本体Bとの連結構造を解除して係止部材30(係止部)をボックス本体Bから組み外す(分断する)。そして、係止部材30を配線用ボックス11から除去することで、軽量形鋼10の前面10c全体が前面側へ臨む状態となる。
【0069】
したがって、第2の実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(10)ボックス本体Bの前面側に係止部材30を設け、係止部材30の後面たる係止面31aがボックス本体Bの前面側の端面と同一平面上に位置するように形成した。そして、配線用ボックス11の取付座面14aを軽量形鋼10の側面(リップ部10a)に当接させ、係止部材30の係止面31aを軽量形鋼10の前面10cに係止させると、ボックス本体Bの前面側の端面と前面10cとを容易に面一とすることができる。また、係止部材30は、連結突起33と連結孔12fとの凹凸の係合関係よりなる連結構造を介してボックス本体Bの前面側に連結されており、前記係合関係を解除することで係止部材30はボックス本体Bから容易に分断させることが可能となっている。
【0070】
すなわち、係止部材30は、ボックス本体Bからの除去を意図した構成となっている。このため、係止部材30の係止面31aを前面10cに係止させながら配線用ボックス11を軽量形鋼10に取り付けた後は、係止部材30を配線用ボックス11から容易に除去することができる。したがって、配線用ボックス11を軽量形鋼10に取り付けた後に、軽量形鋼10及び配線用ボックス11の前面側に壁板Kを設置する際に、配線用ボックス11の係止部材30が障害となることを無くすことができる。すなわち、係止部材30によって壁板Kが浮き上がったりする不具合の発生を無くすことができる。
【0071】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を図7に基づき説明する。なお、以下に説明する第3の実施形態では、既に説明した第1の実施形態と同一構成については、同一符号を付すなどして、その重複する説明を省略又は簡略する。
【0072】
図7に示すように、配線用ボックス11において、ボックス本体Bの左側壁12cにてボックス本体Bの前面側の端面(延設片13の前面13a)には矩形板状をなす係止部40が一体形成されている。係止部40は、該係止部40にてボックス本体Bの底壁12側たる後面に設けられた連結構造としての連結部41を介して前面13aに連結(一体形成)されている。連結部41は、延設片13の前面13aからボックス本体Bの前側へ突設されている。
【0073】
連結部41は、左側壁12cの厚みよりも薄く形成されることで、連結部41には係止部40をボックス本体Bから分断するための分断手段が設けられている。また、延設片13の前面13aにて連結部41の周囲には、凹所42がボックス本体Bの深さ方向へ凹み形成されている。
【0074】
前記係止部40は、取付座面14aに直交する方向へ延びる薄板状に形成されている。また、係止部40の前面には、把持工具としてのペンチPにより把持可能な被把持部43が突設されている。この被把持部43は、前記ペンチPを用いたボックス本体Bからの係止部40の分断作業の際にペンチPを係止部40に動作させるための動作部を構成している。
【0075】
また、前記係止部40の後面には、ボックス本体Bの前面側の端面と同一平面上に位置する係止面40aが形成されている。そして、第3の実施形態の配線用ボックス11は、取付座面14aをリップ部10aに当接させ、係止面40aを前面10cに係止させた状態で、取付ねじ19によって軽量形鋼10のリップ部10aに取り付けられる。
【0076】
また、係止部40には被把持部43が形成されている。このため、被把持部43をペンチPで容易に把持することができ、ペンチPで被把持部43を把持しながら行う係止部40の分断作業を容易とし、係止部40を配線用ボックス11から除去する作業を容易に行うことができる。
【0077】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態を図8〜図11に基づき説明する。なお、以下に説明する第3の実施形態では、既に説明した第1の実施形態と同一構成については、同一符号を付すなどして、その重複する説明を省略又は簡略する。
【0078】
図8〜図11に示すように、延設片13において、左側壁12cの長さ方向における中央部であり、2つの係止突部15の間には係止部70が突設されている。すなわち、ボックス本体Bの左側壁12cにてボックス本体Bの前面側の端面(延設片13の前面13a)には係止部70が一体形成されている。係止部70は、該係止部70におけるボックス本体B側の連結構造としての連結部71を介して前面13aに連結(一体形成)されている。また、係止部70は、取付座面14aに直交し、かつボックス本体Bから離れる方向に延びる薄板より形成されている。係止部70にて、ボックス本体Bの後側へ臨むこととなる後面には、ボックス本体Bの前面側の端面(延設片13の前面13a)と同一平面上に位置する係止面70aが形成されている。なお、係止部70において、係止面70aと相対向する面を前面70bとする。
【0079】
連結部71は、係止部70の基端側の端縁よりなり、薄板状(薄肉状)に形成されている。このため、連結部71は、ボックス本体B(延設片13)側たる基端側から、ボックス本体Bと容易に分断することが可能となっている。そして、連結部71が係止部70より薄板状に形成されることで、連結部71には係止部70をボックス本体Bから分断除去するための分断手段が設けられている。
【0080】
係止部70は、全体が平板状に形成されているとともに、正面視コ字状に形成されている。そして、係止部70は、延設片13に対して2つの連結部71で連結されているとともに、2つの連結部71が、その先端側で繋がっている。すなわち、すなわち、係止部70における延設片13への2つの連結部71の間には透孔72が形成されている。また、この係止部70は、所要の厚みを有するとともに、成人男性の手、具体的には指によって押圧可能な平板状に形成されている。そして、係止部70の前面70bには、複数の凹部70dが形成されているが、前面70bからは何も突設されていない。このため、係止部70の前面70bは、指で押圧することに不都合が発生せず、また、指で押さえるのに適したサイズに形成されている。すなわち、係止部70は、指より小さすぎず、また大きすぎないサイズに形成されている。そして、係止部70の前面70bは、指で押圧するのに適した押圧部を構成している。
【0081】
係止部70には前記透孔72が形成されている。図11に示すように、該透孔72には前記把持工具たるペンチPの一方の把持片Paの先端が挿入可能になっている。そして、透孔72にペンチPの一方の把持片Paを挿入し、該一方の把持片PaとペンチPの他方の把持片Pbとで、係止部70の一部を把持することが可能となっている。すなわち、係止部70にはペンチPによって把持される動作部たる被把持部73が形成されている。
【0082】
また、図10に示すように、係止部70の係止面70aには、係合凹所74が凹設されている。この係合凹所74は、係止部70の係止面70aが軽量形鋼10の前面10cに係止した状態において、係止部70の係止面70aと前面10cとの間に隙間が形成されるように外方に向けて開放しており、該隙間、すなわち、係合凹所74にドライバ(マイナス)Dの先端を挿入することが可能となっている。そして、係合凹所74へドライバDの先端が挿入された状態で該ドライバDを傾動させると、ドライバDの先端が係合凹所74の内面に係合するようになっている。
【0083】
そして、第4の実施形態の配線用ボックス11は、図9に示すように、取付座面14aをリップ部10aに当接させ、係止面70aを前面10cに係止させた状態で、軽量形鋼10を側面10f側から手で掴む。このとき、指(親指)が位置する場所に係止部70が配設されており、軽量形鋼10と共に係止部70を手により掴むことが可能になっている。さらに、軽量形鋼10を手により掴んだ状態では、係止部70の前面70bを前面10cに向けて親指で押圧することができる。
【0084】
なお、係止部70は、全体として平板状をなすとともに正面視コ字状に形成されている。すなわち、係止部70は、前面70bを前面10cに向けて押圧したとき、係止部70そのものが自身を回転軸として前面10c上で回転しないように全体が平板状に形成されている。また、係止部70は、延設片13に対して連結部71により2箇所で連結されているため、係止部70は前面10cに対して、軽量形鋼10の立設方向に離れた位置で当接している(図8参照)。
【0085】
加えて、係止部70は、前面70bを前面10cに向けて押圧したとき、係止部70を回動中心としたボックス本体Bの軽量形鋼10に向かう方向への回動及び軽量形鋼10の後側への移動を防止する大きさに形成されている。このため、係止面70aの前面10cへの当接により、配線用ボックス11が一対のリップ部10a同士の間に形成された間隙Sへ入り込み、配線用ボックス11が傾くことを防止することができる。
【0086】
そして、該親指によって係止部70の前面70bを押圧すると係止部70の係止面70aが前面10cに押し当てられるとともに、親指と前面10cとの間に係止部70が挟持される。すると、ボックス本体Bの前面側の端面と前面10cとが面一となった状態で配線用ボックス11を軽量形鋼10に保持することができる。その後、配線用ボックス11は、取付ねじ19によって軽量形鋼10のリップ部10aに取り付けられる。
【0087】
そして、取付ねじ19がリップ部10aに螺入され、配線用ボックス11が軽量形鋼10に取付られた後は、係止部70が配線用ボックス11から除去される。配線用ボックス11が軽量形鋼10に取り付けられた状態において、前面10cと係止部70の係止面70aとの間には、係合凹所74が側方へ開放されている。そして、図10に示すように、ドライバDの先端を係合凹所74内に挿入し、該ドライバDの先端を係合凹所74に係合させた状態でドライバDを傾動させる。すると、図10の2点鎖線に示すように、係止部70が基端側から折り曲げられる。このドライバDの傾動を繰り返すことにより、係止部70が連結部71から折り取られる。すなわち、連結部71による係止部70とボックス本体Bとの連結が解除され、係止部70はボックス本体Bから分断除去される。
【0088】
又は、図11に示すように、ペンチPの把持片Paを透孔72に挿入し、両把持片Pa,Pbによって被把持部73を把持する。その後、被把持部73を把持したペンチPによって係止部70をボックス本体Bから切り離す。すると、連結部71による係止部70とボックス本体Bとの連結が解除され、係止部70はボックス本体Bから分断除去される。
【0089】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 第3の実施形態において、図12に示すように、係止部40をボックス本体Bの内側にまで延設し、その延設された係止部40の前面に、工具としてのドライバDの先端を係合可能とする係合凹所40bを凹設してもよい。この係合凹所40bは、ドライバDを用いたボックス本体Bからの係止部40の分断作業の際にドライバDを係止部40に動作させるための動作部を構成している。
【0090】
そして、係合凹所40bにドライバDの先端を係合させ、ドライバDの操作により連結部41を中心として係止部40を傾動させることで連結部41を繰り返し折り曲げて、係止部40をボックス本体Bから分断してもよい。すなわち、係合凹所40bにより係止部40にドライバDの先端を確実に係合することができるため、ドライバDを用いた係止部40の分断作業を容易とし、係止部40を配線用ボックス11から除去する作業を容易に行うことができる。
【0091】
○ 各実施形態において、図13に示すように、配線用ボックス11のボックス本体Bに当接片60を突設してもよい。この当接片60は、例えば、第1の実施形態の配線用ボックス11において、取付座面14aを、軽量形鋼10の前面10c側のリップ部10aに当接させ、係止部17の係止面17aを軽量形鋼10の前面10cに係止させたとき、後面10e側のリップ部10aに当接するようになっている。このため、当接片60のリップ部10aへの当接により、配線用ボックス11が一対のリップ部10a同士の間に形成された間隙Sへ入り込み、配線用ボックス11が傾くことを防止することができる。なお、前記当接片60には、複数の折り取り部60aを設け、間隙Sの幅及び他方のリップ部10aの位置に対応させて折り取り部60aから当接片60を折り取り可能に構成してもよい。
【0092】
○ 第2の実施形態において、配線用ボックス11の上側壁12a及び下側壁12bからフランジ部を外方へ延設し、該フランジ部に係止部材30の連結突起33を係止させる構成としてもよい。
【0093】
○ 各実施形態では、造営材として軽量形鋼10に配線用ボックス11を取り付けたが、造営材としての木柱に配線用ボックス11を取り付けてもよい。第4の実施形態の配線用ボックス11において、木柱と共に係止部70を手により掴めない場合は、係止部70を前面70b側から押圧してもよい。
【0094】
○ 各実施形態において、係止突部15を削除してもよい。又は、係止突部15を3つ以上形成してもよい。
○ 各実施形態において、取付孔14bはボックス本体Bの深さ方向へ延びる長孔状に形成してもよい。
【0095】
○ 第2の実施形態において、左側壁12cに連結突起を形成し、係止部材30の連結片32に連結突起33が係合可能な連結孔を形成し、連結突起と連結孔との凹凸の係合関係を第2の実施形態と逆転させてもよい。
【0096】
○ 第1の実施形態において、係止部17にペンチPで把持可能な被把持部を形成してもよい。
○ 各実施形態において、配線用ボックス11は、前後両面に開口を有する枠状をなすボックス本体を備えた構成であってもよい。
【0097】
○ 第1の実施形態において、凹所13bにドライバDの先端を挿入し、該ドライバDで連結部16を押して係止部17を折り曲げ、係止部17をボックス本体Bから折り取り除去してもよい。
【0098】
○ 第3の実施形態において、分断手段として連結部41の一部を薄肉状に形成する代わりに、係止部40と、ボックス本体Bの前面側の端面(延設片13の前面13a)とを複数の細板状をなす連結部41により連結し、連結部41を分断手段としてもよい。
【0099】
○ 第1〜第4の実施形態において、1本の取付ねじ19を用いて、配線用ボックス11が軽量形鋼10へ取り付けられた状態で、軽量形鋼10の間隙S内に入り込み、リップ部10aの端縁に係止する係止突部を左側壁12c(取付座面14aが形成された側壁)に形成する。又は、1本の取付ねじ19を用いて、配線用ボックス11が軽量形鋼10へ取り付けられた状態で、軽量形鋼10の後面10eに係止する係止突部を左側壁12cに形成する。そして、係止突部により、一本の取付ねじ19を回動中心としたボックス本体Bの回動を規制する回動規制手段を構成してもよい。
【0100】
○ 図14に示すように、第4の実施形態における係止部70は、該係止部70を一体に備えた取付台座80をボックス本体Bの左側壁12cに取り付けることで配線用ボックス11に設けてもよい。前記取付台座80は、合成樹脂材料よりなる矩形板状の台座本体81と、該台座本体81から突設された第4の実施形態と同一構成の前記係止部70とを一体に備えてなる。
【0101】
○ 第4の実施形態において、ボックス本体Bの前面側の端面、すなわち、延設片13の前面13aにおいて、係止部70の連結部71の周囲に凹所13bを凹み形成してもよい。
【0102】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(1)少なくとも前面に開口を有するボックス本体を備え、建築物の壁材の後側に立設された造営材に取り付けられる配線用ボックスであって、前記ボックス本体の側壁に、該ボックス本体の前記造営材への取付状態で該造営材の側面に当接する取付座面を備えるとともに、前記取付座面が形成された側壁側におけるボックス本体の前面側には、前記取付座面に直交する方向に沿ってボックス本体から離間するように突出し、後面にボックス本体の前面側の端面と同一平面上に位置する係止面を有しており、該係止面を前記造営材の側面に直交する造営材の前面に係止させることで造営材に係止可能とする係止部を備え、
前記係止部は、該係止部とボックス本体の前面側の端面とに一体形成してなる連結部を介して前記ボックス本体に連結され、前記連結部は、前記ボックス本体の前面側の端面にて、該端面よりもボックス本体の深さ方向へ凹んだ凹所の内底面からボックス本体の前面側の端面に至るまで突設されているとともに、連結部には、前記係止部と前記ボックス本体とを分断するための分断手段が設けられており、前記係止部は前記分断手段を用いてボックス本体から分断除去可能であることを特徴とする配線用ボックス。
【0103】
このように構成することで、係止部が連結部を介してボックス本体に連結され、該連結部に分断手段を設けた構成であっても、係止面をボックス本体の前面側の端面と同一平面上に位置させることが可能となる。したがって、係止部をボックス本体から分断する作業を容易としながらも、係止部の係止面を造営材の前面に係止させた状態で、該前面とボックス本体の前面側の端面とを面一とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】第1の実施形態の配線用ボックスの軽量形鋼への取付状態を示す斜視図。
【図2】第1の実施形態の配線用ボックスを示す側面図。
【図3】配線用ボックスの軽量形鋼への取付状態を示す図1の3−3線断面図。
【図4】第1の実施形態の配線用ボックスの軽量形鋼への取付状態を示す断面図。
【図5】第2の実施形態の配線用ボックスの軽量形鋼への取付状態を示す斜視図。
【図6】第2の実施形態の配線用ボックスを示す図5の6−6線断面図。
【図7】第3の実施形態の配線用ボックスの軽量形鋼への取付状態を示す斜視図。
【図8】第4の実施形態の配線用ボックスの軽量形鋼への取付状態を示す斜視図。
【図9】第4の実施形態の配線用ボックスの軽量形鋼への取付状態を示す断面図。
【図10】係止部の折り曲げ作業を示す斜視図。
【図11】係止部を把持した状態を示す斜視図。
【図12】第3の実施形態の配線用ボックスの別例を示す斜視図。
【図13】別例の配線用ボックスを示す平断面図。
【図14】別例の配線用ボックスを示す斜視図。
【符号の説明】
【0105】
B…ボックス本体、D…工具としてのドライバ、K…壁材としての壁板、P…工具における把持工具としてのペンチ、10…造営材としての形鋼材たる軽量形鋼、10a…造営材の側面としてのリップ部、10c…造営材の前面、10d…角部、11…配線用ボックス、12c…側壁としての左側壁、12f…係合関係を構成する連結孔、13b…凹所、14a…取付座面、14b…取付孔、15…回動規制手段としての係止突部、16…連結構造を構成する連結部、17…動作部及び被把持部としての係止部、17a…後面としての係止面、19…取付ねじ、30…係止部を構成する係止部材、31a…係止面、33…係合関係を構成する連結突起、40…係止部、40a…後面としての係止面、40b…動作部を構成する係合凹所、41…連結構造を構成する連結部、42…凹所、43…動作部を構成する被把持部、70…係止部、70a…後面としての係止面、71…連結構造を構成する連結部、73…動作部を構成する被把持部、74…動作部を構成する係合凹所。
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の造営材に取り付けられる配線用ボックス、及び造営材への配線用ボックスの取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、建築物の壁に配線器具を設置する際、前記壁内には前面に開口を有する四角箱状の配線用ボックスが設置されている。この配線用ボックスは、壁内に立設された造営材(木柱や軽量形鋼)に取り付けられる。
【0003】
前記壁は、一対の壁材が前記造営材の前後各面に当接するように立設されて構築される。このため、配線用ボックスの造営材への取り付けは、該配線用ボックスの前面側の端面が前記造営材の前面より前側へ突出しないように行われる。具体的には、配線用ボックスの造営材への取り付けは、配線用ボックスの前面側の端面が前記造営材の前面と面一となるように行われる。このため、配線用ボックスには、該配線用ボックスの前面側の端面を造営材の前面と面一とした状態を維持しながら、配線用ボックスの造営材への取付を可能にする位置決め手段が設けられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
特許文献1に記載の配線用ボックスは、基板と、周壁の一側が開口し、該開口に前記基板が嵌着される筐体とから構成されている。前記基板において、筐体への嵌着状態で配線用ボックスの前面側となる端面には、造営材としての木柱の前面に係止し、基板の端面を前記木柱の前面と面一に位置決めする位置決め手段としての係止片が一体形成されている。また、基板には、該基板を木柱へ固定するための取付孔が形成されている。
【0005】
そして、特許文献1に記載の配線用ボックスを木柱に取り付けるには、まず、基板の取付孔から木柱に止めねじを固定して基板を木柱の側面に固定する。このとき、係止片を木柱の前面に係止させることで、止めねじの木柱への固定の際に、基板が木柱に対して移動したり、傾斜したりすることが防止され、基板の端面が木柱の前面と面一となる状態が維持される。その後、基板に筐体が取り付けられ、基板の端面に筐体の開口側端面が位置合わせされて、配線用ボックスがその前面側の端面を木柱の前面と面一とした状態で木柱に取り付けられる。
【0006】
ところが、木柱に配線用ボックスを取り付けた後、木柱の前側には、木柱の前面に壁材の後面が当接するように壁材が設置される。このとき、特許文献1に記載の配線用ボックスにおいては、係止片が木柱の前面に係止したままとなっている。このため、係止片が木柱の前面に係止した状態では、係止片が木柱の前面から前側へ突出し、該係止片を備えた配線用ボックスが、壁材の設置の大きな障害となってしまう。その結果としては、例えば、係止片の前面に壁材の後面が当接することで、係止片の厚み分だけ壁材が木柱の前面から浮き上がった状態で設置されてしまう。
【0007】
そこで、位置決め手段(係止片)が壁材設置の障害となることを回避しつつ、配線用ボックスの前面側の端面を造営材の前面と面一とした状態を維持しながら造営材への取付を可能とする配線用ボックスが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。すなわち、特許文献2に記載の配線用ボックスにおいて、位置決め手段は、特許文献1に記載の位置決め手段(係止片)よりも小さく形成されている。
【0008】
特許文献2に記載の配線用ボックスは、前面に開口を有する有底四角箱状に形成されたボックス本体を備え、互いに対向する一対の側壁のうちの一方の側壁には、長孔状をなすビス貫通孔が形成されている。また、前記一対の側壁にて、ボックス本体の前面側の端面には、造営材としての軽量形鋼の角部のみに係合可能な一対の係合突片(特許文献1の係止片に相当)が位置決め手段として外方へ向けて突設されている。
【0009】
そして、特許文献2に記載の配線用ボックスを軽量形鋼に取り付ける際には、軽量形鋼の角部(丸み部)に一対の係合突片を係合させることで、ボックス本体の前面側の端面と軽量形鋼の前面とが面一となる状態が維持される。その後、前記ビス貫通孔から軽量形鋼に止めねじを固定して配線用ボックスが軽量形鋼に取り付けられる。
【0010】
配線用ボックスが軽量形鋼に取り付けられた状態では、係合突片は軽量形鋼の角部のみに係合しており、軽量形鋼の前面には係合していない。このため、軽量形鋼の前面から前側へは係合突片は突出しておらず、該係合突片が壁材設置の障害となることが阻止される。
【特許文献1】実開昭56−73118号公報
【特許文献2】特開平11−275732号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、特許文献2に記載の配線用ボックスにおいて、係合突片は特許文献1に記載の係止片よりも小さく形成され、軽量形鋼の角部のみに係合可能とされている。このため、ビス貫通孔から止めねじを軽量形鋼に固定する際に、係合突片と角部との係合が崩れて配線用ボックスが軽量形鋼に対して移動しやすく、配線用ボックスの前面側の端面と造営材の前面とを面一とした状態での取付作業が困難であるという問題があった。
【0012】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、ボックス本体の前面側の端面が造営材の前面と面一となるように造営材に取り付ける作業を容易に行うことができるとともに、造営材の前面に設置される壁材の障害となることを無くすことができる配線用ボックス及び配線用ボックスの取付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、少なくとも前面に開口を有するボックス本体を備え、建築物の壁材の後側に立設された造営材に取り付けられる配線用ボックスであって、前記ボックス本体の側壁に、該ボックス本体の前記造営材への取付状態で該造営材の側面に当接する取付座面を備えるとともに、前記取付座面が形成された側壁側におけるボックス本体の前面側には、前記取付座面に直交する方向に沿ってボックス本体から離間するように突出し、後面にボックス本体の前面側の端面と同一平面上に位置する係止面を有しており、該係止面を前記造営材の側面に直交する造営材の前面に係止させることでボックス本体の前面側の端面と造営材の前面とを面一とした状態でボックス本体を造営材に係止させる係止部を備え、前記係止部は、該係止部とボックス本体とを連結する連結構造を介して前記ボックス本体に連結され、前記連結構造には、前記係止部と前記ボックス本体とを分断するための分断手段が設けられており、前記係止部は前記分断手段を用いてボックス本体から分断除去可能であることを要旨とする。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の配線用ボックスにおいて、前記連結構造は、前記係止部とボックス本体とに一体形成された連結部より構成されており、前記係止部には、工具を用いた前記連結部からの係止部とボックス本体との分断の際に前記工具を係止部に動作させるための動作部が設けられていることを要旨とする。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の配線用ボックスにおいて、前記分断手段は、前記連結部の少なくとも一部を前記係止部より薄肉状に形成することで構成されていることを要旨とする。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の配線用ボックスにおいて、前記動作部は、前記工具としての把持工具によって把持される被把持部であり、該被把持部は前記把持工具によって把持可能な薄板状に形成されていることを要旨とする。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の配線用ボックスにおいて、前記動作部は前記係止部に凹設され、前記工具としてのドライバの先端が係合される係合凹所であることを要旨とする。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項2〜請求項5のうちいずれか一項に記載の配線用ボックスにおいて、前記ボックス本体の前面側の端面にて前記連結部の周囲には、前記端面よりもボックス本体の深さ方向へ凹んだ凹所が形成されていることを要旨とする。
【0019】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の配線用ボックスにおいて、前記係止部とボックス本体とは別体形成されているとともに、前記連結構造は係止部とボックス本体との間に構成される係合関係より構成されており、前記分断手段は、前記係合関係を解除可能にして構成されていることを要旨とする。
【0020】
請求項8に記載の発明は、少なくとも前面に開口を有するボックス本体を備える配線用ボックスを建築物の壁材の後側に立設された造営材に取り付けるための配線用ボックスの取付方法であって、前記配線用ボックスは、前記ボックス本体の側壁に、該ボックス本体の前記造営材への取付状態で該造営材の側面に当接する取付座面を備えるとともに、前記取付座面が形成された側壁側におけるボックス本体の前面側に、前記取付座面に直交する方向に沿ってボックス本体から離間するように突出し、後面にボックス本体の前面側の端面と同一平面上に位置する係止面を有する係止部を備え、前記係止部は、該係止部とボックス本体とを連結する連結構造を介して前記ボックス本体に連結されているとともに、前記連結構造には、前記係止部と前記ボックス本体とを分断するための分断手段が設けられており、前記取付座面を造営材の側面に当接させるとともに、該側面に対し直交する造営材の前面に前記係止面を係止させ、係止部によってボックス本体を造営材に係止させ、ボックス本体の前面側の端面と造営材の前面とを面一とさせた状態で配線用ボックスを取付ねじで造営材に取り付けた後、前記分断手段を用いて係止部をボックス本体から分断し、係止部をボックス本体から除去することを要旨とする。
【0021】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の配線用ボックスの取付方法において、前記連結構造は、前記係止部とボックス本体とに一体形成された連結部であり、前記係止部は、前記連結部よりボックス本体から分断されることを要旨とする。
【0022】
請求項10に記載の発明は、請求項8又は請求項9に記載の配線用ボックスの取付方法において、前記係止部は、該係止部に設けられた動作部に工具を動作させてボックス本体から分断されることを要旨とする。
【0023】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の配線用ボックスの取付方法において、前記係止部は、前記動作部としての被把持部が前記工具としての把持工具によって把持されてボックス本体から分断されることを要旨とする。
【0024】
請求項12に記載の発明は、請求項10に記載の配線用ボックスの取付方法において、前記係止部は、前記動作部としての係合凹所に前記工具としてのドライバが係合されてボックス本体から分断されることを要旨とする。
【0025】
請求項13に記載の発明は、請求項8に記載の配線用ボックスの取付方法において、前記係止部とボックス本体とは別体形成されているとともに、前記連結構造は係止部とボックス本体との間に構成される係合関係より構成されており、前記係止部は、前記係合関係を解除してボックス本体から分断されることを要旨とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ボックス本体の前面側の端面が造営材の前面と面一となるように造営材に取り付ける作業を容易に行うことができるとともに、造営材の前面に設置される壁材の障害となることを無くすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した配線用ボックス及び配線用ボックスの取付方法の第1の実施形態を図1〜図4にしたがって説明する。なお、以下の説明において配線用ボックス11及びボックス本体Bの「上」「下」「左」「右」「前」「後」は、図1に示す矢印Y1の方向を上下方向とし、矢印Y2の方向を左右方向とし、矢印Y3の方向を前後方向とする。
【0028】
まず、配線用ボックス11が取り付けられる造営材としての形鋼材たる軽量形鋼10について説明する。図1に示すように、軽量形鋼10は、金属板より細長四角筒状に形成され、前記金属板の長さ方向に延びる側端部が互いに向き合うようにして形成された一対のリップ部10aを備えている。そして、一対のリップ部10aによって軽量形鋼10の一側面(図1では右側面)が構成されている。また、前記一対のリップ部10aの間には、軽量形鋼10の長さ方向に延びる間隙Sが形成されている。
【0029】
なお、軽量形鋼10において、前記一対のリップ部10aよりなる側面に対し直交する他の側面(図1では前面)を軽量形鋼10の前面10cとする。また、軽量形鋼10において、前記前面10cに対向する側面を後面10eとし、リップ部10aに対向する側面を側面10fとする。
【0030】
そして、建築物内に立設された軽量形鋼10の前面10c側、及び後面10e側には、壁材としての壁板K(図4参照。図4では前面10c側の壁板Kのみ図示)が立設され、各壁板Kはその後面が軽量形鋼10の前面10cと後面10eに当接するように立設されるようになっている。その結果、軽量形鋼10と一対の壁板Kによって、建築物の壁としての軽量間仕切壁が構築されるようになっている。
【0031】
次に、配線用ボックス11について説明する。配線用ボックス11は、その内部にスイッチ等の配線器具(図示せず)を収容して使用され、前記壁板Kの後側に立設された軽量形鋼10に取り付けられるものである。図1及び図2に示すように、配線用ボックス11は、矩形板状をなす底壁12と、その底壁12の四側周縁から立設された四側壁12a〜12dとから、前面に開口を有する四角箱状をなすボックス本体Bを備えている。ボックス本体Bの開口を前面にした状態において、上下に対向する一対の側壁のうち上側の側壁を上側壁12aとし下側の側壁を下側壁12bとする。また、ボックス本体Bの開口を前面にした状態において、左右に対向する一対の側壁のうち左側の側壁を左側壁12cとし右側の側壁を右側壁12dとする。
【0032】
前記左側壁12cにおいて、ボックス本体Bの前面側(開口側)には、左側壁12cの外面に直交する方向に沿って左側壁12cから離れるように延びる延設片13が形成されている。この延設片13の前面13aは、ボックス本体Bの前面側の端面(上側壁12a、下側壁12b、及び右側壁12dの前面側の端面)と同一平面上に位置している。また、図2に示すように、左側壁12cの外面には、一定の厚みを有する取付座部14が延設片13に連設して3箇所に突出形成されている。この取付座部14には、左側壁12cの外面に対し平行をなし、配線用ボックス11を前記軽量形鋼10に取り付ける際に、該軽量形鋼10の側面たるリップ部10aに当接する取付座面14aが形成されている。
【0033】
さらに、各取付座部14には、取付座部14(左側壁12c)を貫通する短孔状(丸孔状)の取付孔14bが2箇所ずつ形成されている。前記取付孔14bは、配線用ボックス11を軽量形鋼10に取り付ける際に、取付ねじ19(図4参照)が挿通されるようになっている。延設片13の前面13aから、2つの取付孔14bのうちの前面側の取付孔14bまでの長さは、軽量形鋼10の前面10cから該前面10c側のリップ部10aの後端縁までの長さより短くなっている。このため、図4に示すように、ボックス本体Bの前面側の端面(延設片13の前面13a)を、軽量形鋼10の前面10cと面一にしたとき、ボックス本体Bの前面側の取付孔14bは、前面10c側のリップ部10aに対向する位置に配設されるようになっている。また、各取付孔14bは、取付座部14の貫通方向への長さが取付座部14の厚みと同じになっており、取付孔14bの貫通方向に沿った長さは、取付孔14bの内面に当接した取付ねじ19の傾倒を防止可能とする長さになっている。
【0034】
また、図1及び図3に示すように、前記延設片13の外側縁には、一対の係止突部15が形成されている。図3に示すように、各係止突部15の前面は、延設片13の前面13aと面一になっている。また、各係止突部15の後面には、各係止突部15の基端側から先端側へ向かうに従い円弧状に湾曲する湾曲面15aが形成されている。湾曲面15aの曲率半径は、軽量形鋼10の角部10dの曲率半径と同じになっている。なお、湾曲面15aの曲率半径は、軽量形鋼10の角部10dの曲率半径より小さくなっていてもよい。
【0035】
そして、ボックス本体Bの前面側の端面が、軽量形鋼10の前面10cと面一となるように1本の取付ねじ19を用いて配線用ボックス11を軽量形鋼10に取り付けたとき、各係止突部15の湾曲面15aは、軽量形鋼10の前面10cとリップ部10aとの間に位置する角部10dに沿って係止するようになっている。このとき、係止突部15の前面は、軽量形鋼10の前面10cよりも前側に突出せず、前面10cと面一となるようになっている。そして、係止突部15は、前記一本の取付ねじ19を回動中心としたボックス本体Bの回動を規制する回動規制手段を構成している。
【0036】
図1に示すように、延設片13の前面13aにて、該延設片13の長さ方向(図1では上下方向)の両側には連結部16を介して係止部17が前側へ突設されている。そして、前記係止部17は、ボックス本体Bの前面側の端面と軽量形鋼10の前面10cとを面一とした状態でボックス本体Bを軽量形鋼10に係止させるものである。
【0037】
図2に示すように、一対の連結部16及び係止部17は、前記3つの取付座部14(取付孔14b)よりも、延設片13の長さ方向(図2では上下方向)の外側に配設されている。すなわち、一対の連結部16及び係止部17のうち、一方(図1では上方)の連結部16及び係止部17は最上部の取付座部14(取付孔14b)よりも外側(上側)に形成されている。他方(図1では下方)の連結部16及び係止部17は最下部の取付座部14(取付孔14b)よりも外側(下側)に形成されている。したがって、一対の連結部16及び係止部17は、延設片13の長さ方向において3つの取付座部14を挟む位置に配設されている。
【0038】
各係止部17は、連結構造としての連結部16を介してボックス本体Bたる延設片13に連結されている。各連結部16は、係止部17とボックス本体B(延設片13)とに一体形成されており、延設片13の前面13aに対し直交するようにボックス本体Bの前側へ突設されている。
【0039】
図1に示すように、連結部16において、取付座面14aに直交する方向を連結部16の長さ方向とする。また、図2に示すように、各連結部16において、係止部17が軽量形鋼10に係止する方向(図2では前後方向)に対して直交する方向(図2では上下方向)を連結部16の厚み方向とする。この場合、連結部16は、その厚み方向への厚みが、係止部17側からボックス本体B(延設片13)側へ向かうに従い薄くなっている(薄肉状)。一方、連結部16は、その長さ方向への厚みが、一定となっている。このため、連結部16は、ボックス本体B(延設片13)側たる基端側から、ボックス本体Bと容易に分断することが可能となっている。そして、連結部16の一部が係止部17より薄肉状に形成されることで、連結部16には係止部17をボックス本体Bから分断するための分断手段が設けられている。
【0040】
また、図1及び図2に示すように、ボックス本体Bの前面側の端面、すなわち、延設片13の前面13aにて連結部16の周囲には、凹所13bがボックス本体Bの深さ方向(図1及び図2では前後方向)へ凹み形成されている。前記凹所13bの深さは、配線用ボックス11(ボックス本体B)の深さ方向に沿った連結部16の長さと同じになっている。すなわち、連結部16は、凹所13bの内底面から、ボックス本体Bの前面側へ向けて突出し、延設片13の前面13aである凹所13bの開口縁に至るまでとなっている。
【0041】
図1に示すように、前記連結部16に一体形成された係止部17は、取付座面14aに直交し、かつボックス本体Bから離れる方向(図1では左方向)へ細長に延びる薄板より形成されている。なお、取付座面14aに直交し、かつボックス本体Bから離れる方向を、係止部17の長さ方向とした場合、係止部17にて前記長さ方向に対して直交する方向(上下方向)を係止部17の厚み方向とする。この場合、係止部17の長さ方向への長さは、該長さ方向に沿った前記係止突部15の長さよりも長くなっている。すなわち、係止部17の先端は係止突部15の先端よりもボックス本体Bから離れた位置にある。
【0042】
そして、係止部17は、その厚み方向への厚み、連結部16からの突出高さ、及び長さ方向への長さが、把持工具としてのペンチPによって厚み方向から容易に把持することが可能な形状に形成されている。すなわち、係止部17そのものが、ペンチPを用いたボックス本体Bからの係止部17の分断の際にペンチPを係止部17に動作させるための動作部を構成し、ペンチPによって把持可能な被把持部を構成している。
【0043】
そして、上記連結部16に係止部17が一体形成されていることから、係止部17にて、ボックス本体Bの後側へ臨むこととなる後面には、ボックス本体Bの前面側の端面(延設片13の前面13a)と同一平面上に位置する係止面17aが形成されている。
【0044】
次に、上記配線用ボックス11の軽量形鋼10への取付方法について説明する。
まず、軽量形鋼10にて、一対のリップ部10aのうち軽量形鋼10の前面10c側のリップ部10aに取付座面14aを当接させる。同時に、図1及び図3に示すように、軽量形鋼10の前面10cに、各係止部17の係止面17aを係止させるとともに、一対の係止突部15の湾曲面15aを軽量形鋼10の角部10dに係止させる。ここで、延設片13の前面13aからボックス本体Bの前面側の取付孔14bまでの長さは、軽量形鋼10の前面10cから該前面10c側のリップ部10aの後端縁までの長さより短くなっている(図4参照)。また、取付孔14bは、ボックス本体Bの深さ方向へ延びる長孔状ではなく短孔状に形成されている。このため、ボックス本体Bの開口から、中央の取付座部14に形成された取付孔14bから取付ねじ19をねじ込んだとき、取付ねじ19は前面10c側のリップ部10aに直接ねじ込まれる。このとき、取付ねじ19は、ボックス本体Bの開口から深さ方向に沿った底壁12側へねじ込まれ、配線用ボックス11にはその底壁12側へ押圧する力が作用する。
【0045】
しかし、軽量形鋼10には、係止部17の係止面17aが、軽量形鋼10の前面10cに直交する方向から係止している。このため、配線用ボックス11が、該配線用ボックス11を底壁12側へ押圧する力によって軽量形鋼10の後側に向かって移動したり、傾いたりすることが防止される。特に、係止部17は、係止突部15に比して長さ方向への長さが長く、軽量形鋼10に対する係止面積も広くなっている。また、係止部17は、平面たる軽量形鋼10の前面10cに係止しているのに対し、係止突部15は、円弧状をなす角部10dに係止している。このため、配線用ボックス11は、係止突部15の角部10dへの係止のみでは、前記力によって軽量形鋼10の後側へ移動したり、傾いたりしてしまう場合であっても、係止部17により前記移動や傾きが防止される。
【0046】
また、連結部16において、その長さ方向へ沿った厚みは一定となっており、薄肉状に形成された連結部16の厚み方向に比して強度が高くなっている。このため、連結部16は、係止部17が軽量形鋼10に係止する方向へは所要の強度を有し、連結部16が配線用ボックス11を底壁12側へ押圧する力によって容易に損傷を受けることを阻止することができる。
【0047】
そして、取付ねじ19によって配線用ボックス11が軽量形鋼10に取り付けられる。配線用ボックス11が軽量形鋼10に取り付けられた状態では、ボックス本体Bの前面側の端面と、軽量形鋼10の前面10cとは同一平面上に位置し、面一となっている。
【0048】
続いて、係止部17をその厚み方向からペンチP(図1参照)によって把持し、ペンチPによる把持状態で係止部17を上下方向へ繰り返し傾動させる。このとき、連結部16は、係止部17側からボックス本体B側へ向かうに従い厚み方向への厚みが薄くなっている。このため、係止部17より薄肉状に形成された連結部16はボックス本体Bから容易に折り取られる。
【0049】
その結果、連結部16による係止部17とボックス本体Bとの連結が解除され、係止部17はボックス本体Bから分断される。もう1つの係止部17についても同様の作業を行って係止部17をボックス本体Bから分断させ、一対の係止部17を配線用ボックス11から除去する。
【0050】
なお、係止部17の除去後、配線用ボックス11には、該配線用ボックス11への配線器具の取付や、ケーブルの差込等によって該配線用ボックス11を前後方向へ移動させる力が作用する。そして、配線用ボックス11は、1本の取付ねじ19によって軽量形鋼10に取り付けられているが、一対の係止突部15が軽量形鋼10の角部10dに係止しているため、前記力が作用しても配線用ボックス11が取付ねじ19を回動中心として容易に回動することが抑制される。
【0051】
そして、図4に示すように、軽量形鋼10の前面10cと、ボックス本体Bの前面側に、壁板Kが設置される。このとき、ボックス本体Bの前面側には係止部17が無いため、壁板Kの後面を軽量形鋼10の前面10cとボックス本体Bの前面側の端面に当接させた状態で壁板Kが設置される。
【0052】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)ボックス本体Bの前面側に係止部17を設け、係止部17の後面(係止面17a)がボックス本体Bの前面側の端面と同一平面上に位置するように形成した。そして、取付座面14aを軽量形鋼10の側面(リップ部10a)に当接させ、係止部17の係止面17aを軽量形鋼10の前面10cに係止させると、ボックス本体Bの前面側の端面と前面10cとが面一となった状態を維持することができる。すなわち、本実施形態の配線用ボックス11では、ボックス本体Bの前面側の端面が軽量形鋼10の前面10cと面一となるように軽量形鋼10に取り付ける作業を容易に行うことができる。また、係止部17は、分断手段(連結部16を係止部17より薄肉状に形成すること)を備えた連結構造(連結部16)を介してボックス本体Bの前面側に連結されており、分断手段を用いることで連結部16から係止部17を容易に分断させることが可能となっている。
【0053】
すなわち、係止部17は連結部16を介してボックス本体Bに連結されることで、配線用ボックス11からの除去を意図した構成となっており、係止部17が軽量形鋼10の前面10cに係止した状態では容易に折り曲げられないように所要の厚み及び幅を有する構成とは異なっている。このため、係止部17を軽量形鋼10に係止させながら配線用ボックス11を軽量形鋼10に取り付けた後は、係止部17を配線用ボックス11から容易に除去することができる。したがって、配線用ボックス11を軽量形鋼10に取り付け、壁材(壁板K)を設置する際に、配線用ボックス11の係止部17が壁板Kの設置の障害となることを無くすことができる。その結果として、係止部17によって壁板Kが軽量形鋼10の前面10cから浮き上がったり、その浮き上がりにより壁板K同士の繋ぎ目が離れたりして、軽量間仕切壁の見栄えが悪くなるといった不具合の発生を無くすことができる。
【0054】
(2)係止部17は、取付座面14aに直交し、かつボックス本体Bから離れる方向(長さ方向)へ細長状に延びる一方で、前記長さ方向に直交する方向(厚み方向)へは薄板状に形成されている。そして、係止部17は、長さ方向への長さ、厚み方向への厚み、及び連結部16からの突出高さは、厚み方向からペンチPで容易に把持可能なサイズに形成されている。したがって、ペンチPで係止部17を把持しながら行う係止部17の分断作業を容易とすることができ、係止部17を配線用ボックス11から除去する作業を容易に行うことができる。
【0055】
(3)連結部16は、その厚み方向への厚みが、係止部17側からボックス本体B(延設片13)側へ向かうに従い薄くなっている。そして、連結部16は、係止部17を把持したペンチPを移動させ、係止部17を繰り返し傾動させる方向への厚みが薄くなっている。逆に、連結部16は、ペンチPで係止部17を傾動させることのない方向へは厚みが一定である。このため、ペンチPを傾動させ、係止部17を配線用ボックス11から除去する作業を容易に行うことができる一方で、係止部17が軽量形鋼10に係止する方向へは連結部16の強度を維持することができる。
【0056】
(4)連結部16の周囲には、ボックス本体Bの深さ方向へ凹んだ凹所13bが形成されている。このため、例えば、係止部17を配線用ボックス11から除去した後、凹所13bの内底面にバリが発生しても、バリは凹所13bの深さ内に収まっており、ボックス本体Bの前面側の端面(延設片13の前面13a)からバリがボックス本体Bの前側へ突出しにくい構成とすることができる。したがって、前記バリが壁板K設置の障害となることを無くすことができる。
【0057】
(5)ボックス本体Bの前面側の端面(延設片13の前面13a)からボックス本体Bの前面側の取付孔14bまでの長さは、軽量形鋼10の前面10cから該前面10c側のリップ部10aの後端縁までの長さより短くなっており、取付孔14bは短孔状に形成されている。このため、係止部17の係止面17aを軽量形鋼10の前面10cに係止させた状態としたとき、ボックス本体Bの前面側の取付孔14bは、前面10c側のリップ部10aに対向する位置に配設されるようになっている。したがって、取付孔14bに取付ねじ19をねじ込んだとき、取付ねじ19のねじ込み先にはリップ部10aが配設されている。その結果として、取付ねじ19のねじ込み作業の際に、配線用ボックス11を移動させて取付孔14bをリップ部10aに合致させる必要がなく、配線用ボックス11を軽量形鋼10に取り付ける作業を容易に行うことができる。
【0058】
(6)取付座部14の取付孔14bは、短孔状に形成されている。このため、例えば、取付孔14bがボックス本体Bの深さ方向へ延びる長孔状に形成され、取付ねじ19を軽量形鋼10のリップ部10aにねじ込むとき、取付ねじ19が軽量形鋼10のリップ部10a外面を滑ってしまい、長孔に沿ってボックス本体Bの奥方へ移動してしまうことがない。したがって、配線用ボックス11の軽量形鋼10への取付作業の際に、取付ねじ19が取付孔14b内を移動するのを規制しながら取付ねじ19をリップ部10aにねじ込む作業を行う必要がなく、配線用ボックス11の軽量形鋼10への取付作業を容易に行うことができる。
【0059】
(7)ボックス本体B(延設片13)には、一対の係止突部15が形成され、配線用ボックス11を軽量形鋼10に取り付けた状態では、一対の係止突部15が軽量形鋼10の角部10dに係止している。このため、係止部17がボックス本体Bから除去された状態で、配線用ボックス11に前後方向へ移動させる力が作用しても、一対の係止突部15が角部10dに係止していることで配線用ボックス11が取付ねじ19を回動中心として回動することを抑制することができる。
【0060】
(8)ボックス本体Bの前面側の端面(延設片13の前面13a)に凹所13bを凹設し、その凹所13bの深さ内に連結部16を設け、該連結部16の先端を凹所13bの開口縁に至るまでとした。このため、係止部17が連結部16を介してボックス本体Bに連結され、該連結部16に分断手段(連結部16を薄肉状に形成すること)を設けた構成であっても、係止面17aをボックス本体Bの前面側の端面(延設片13の前面13a)と同一平面上に位置させることが可能となる。したがって、係止部17をボックス本体Bから分断する作業を容易としながらも、係止部17の係止面17aを軽量形鋼10の前面10cに係止させた状態で、該前面10cとボックス本体Bの前面側の端面とを面一とすることができる。
【0061】
(9)一対の係止部17は、3つの取付座部14(取付孔14b)よりも、延設片13の長さ方向(上下方向)の外側に配設されている。このため、一対の係止部17は、取付孔14bからリップ部10aにねじ込まれた取付ねじ19を挟む位置で軽量形鋼10の前面10cに係止している。したがって、配線用ボックス11が取付ねじ19を回動中心として回動することを抑制することができる。
【0062】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図5及び図6に基づき説明する。なお、以下に説明する第2の実施形態では、既に説明した第1の実施形態と同一構成については、同一符号を付すなどして、その重複する説明を省略又は簡略する。
【0063】
図5に示すように、配線用ボックス11において、ボックス本体Bの左側壁12cにて、ボックス本体Bの前面側には係止部材30が組み付けられている。そして、この係止部材30が、取付座面14aに直交する方向に沿ってボックス本体Bから離間するように突出し、後面にボックス本体Bの前面側の端面と同一平面上に位置する係止面31aを有する係止部を構成している。なお、ボックス本体Bの左側壁12cにおいて、3つの取付座部14のうち両側の取付座部14よりも外側には、連結孔12f(図6参照)が形成されている。
【0064】
図5及び図6に示すように、前記係止部材30は、矩形板状のプレート本体31を備えている。係止部材30において、前記プレート本体31の相対向する一対の側縁部のうち一方(図5及び図6では右方)の側縁部には、一対の連結片32が曲げ形成されている。各連結片32は、前記プレート本体31に対して直角に曲げ形成されている。また、各連結片32の先端には、各連結片32に対して直交するようにプレート本体31側へ突出する連結突起33が形成されている。
【0065】
また、係止部材30において、前記プレート本体31の相対向する一対の側縁部のうち他方(図5及び図6では左方)の側縁部には、係止片34がプレート本体31に対して直角をなし、前記連結片32と同じ方向へ曲げ形成されている。そして、前記連結片32と係止片34との間の幅は、軽量形鋼10の前面10cの幅に左側壁12cの厚みを加えた幅と同じに設定されている。プレート本体31において、前記連結片32及び係止片34が曲げられた方向となる面、すなわち、プレート本体31の後面には係止面31aが設けられている。
【0066】
そして、各連結片32の連結突起33を、ボックス本体Bの左側壁12cにおける連結孔12fに係合させるとともに、連結片32を左側壁12cの内面に係止させることで係止部材30をボックス本体Bに連結することができる。すなわち、連結片32の連結突起33と、ボックス本体Bの連結孔12fとの間に形成される凹凸の係合関係よりなる連結構造を介して係止部材30がボックス本体Bに連結され、係止部材30によってボックス本体Bには係止部が設けられている。
【0067】
第2の実施形態の配線用ボックス11を軽量形鋼10へ取り付けるには、図5及び図6に示すように、軽量形鋼10の前面10c側のリップ部10aに取付座面14aを当接させる。同時に、軽量形鋼10の前面10cに、プレート本体31の係止面31aを係止させるとともに、係止片34を軽量形鋼10にてリップ部10aと対向する側面10fに係止させる。なお、一対の係止突部15の湾曲面15aも軽量形鋼10の角部10dに係止させる。
【0068】
そして、取付ねじ19によって配線用ボックス11が軽量形鋼10に取り付けられる。配線用ボックス11が軽量形鋼10に取り付けられた状態では、ボックス本体Bの前面側の端面と、軽量形鋼10の前面10cとは同一平面上に位置し、面一となっている。その後、係止部材30を配線用ボックス11から除去する。具体的には、連結突起33を連結孔12fから抜き取り、連結突起33と連結孔12fとの間に形成された係合関係を解除するとともに、係止部材30とボックス本体Bとの連結構造を解除して係止部材30(係止部)をボックス本体Bから組み外す(分断する)。そして、係止部材30を配線用ボックス11から除去することで、軽量形鋼10の前面10c全体が前面側へ臨む状態となる。
【0069】
したがって、第2の実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(10)ボックス本体Bの前面側に係止部材30を設け、係止部材30の後面たる係止面31aがボックス本体Bの前面側の端面と同一平面上に位置するように形成した。そして、配線用ボックス11の取付座面14aを軽量形鋼10の側面(リップ部10a)に当接させ、係止部材30の係止面31aを軽量形鋼10の前面10cに係止させると、ボックス本体Bの前面側の端面と前面10cとを容易に面一とすることができる。また、係止部材30は、連結突起33と連結孔12fとの凹凸の係合関係よりなる連結構造を介してボックス本体Bの前面側に連結されており、前記係合関係を解除することで係止部材30はボックス本体Bから容易に分断させることが可能となっている。
【0070】
すなわち、係止部材30は、ボックス本体Bからの除去を意図した構成となっている。このため、係止部材30の係止面31aを前面10cに係止させながら配線用ボックス11を軽量形鋼10に取り付けた後は、係止部材30を配線用ボックス11から容易に除去することができる。したがって、配線用ボックス11を軽量形鋼10に取り付けた後に、軽量形鋼10及び配線用ボックス11の前面側に壁板Kを設置する際に、配線用ボックス11の係止部材30が障害となることを無くすことができる。すなわち、係止部材30によって壁板Kが浮き上がったりする不具合の発生を無くすことができる。
【0071】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を図7に基づき説明する。なお、以下に説明する第3の実施形態では、既に説明した第1の実施形態と同一構成については、同一符号を付すなどして、その重複する説明を省略又は簡略する。
【0072】
図7に示すように、配線用ボックス11において、ボックス本体Bの左側壁12cにてボックス本体Bの前面側の端面(延設片13の前面13a)には矩形板状をなす係止部40が一体形成されている。係止部40は、該係止部40にてボックス本体Bの底壁12側たる後面に設けられた連結構造としての連結部41を介して前面13aに連結(一体形成)されている。連結部41は、延設片13の前面13aからボックス本体Bの前側へ突設されている。
【0073】
連結部41は、左側壁12cの厚みよりも薄く形成されることで、連結部41には係止部40をボックス本体Bから分断するための分断手段が設けられている。また、延設片13の前面13aにて連結部41の周囲には、凹所42がボックス本体Bの深さ方向へ凹み形成されている。
【0074】
前記係止部40は、取付座面14aに直交する方向へ延びる薄板状に形成されている。また、係止部40の前面には、把持工具としてのペンチPにより把持可能な被把持部43が突設されている。この被把持部43は、前記ペンチPを用いたボックス本体Bからの係止部40の分断作業の際にペンチPを係止部40に動作させるための動作部を構成している。
【0075】
また、前記係止部40の後面には、ボックス本体Bの前面側の端面と同一平面上に位置する係止面40aが形成されている。そして、第3の実施形態の配線用ボックス11は、取付座面14aをリップ部10aに当接させ、係止面40aを前面10cに係止させた状態で、取付ねじ19によって軽量形鋼10のリップ部10aに取り付けられる。
【0076】
また、係止部40には被把持部43が形成されている。このため、被把持部43をペンチPで容易に把持することができ、ペンチPで被把持部43を把持しながら行う係止部40の分断作業を容易とし、係止部40を配線用ボックス11から除去する作業を容易に行うことができる。
【0077】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態を図8〜図11に基づき説明する。なお、以下に説明する第3の実施形態では、既に説明した第1の実施形態と同一構成については、同一符号を付すなどして、その重複する説明を省略又は簡略する。
【0078】
図8〜図11に示すように、延設片13において、左側壁12cの長さ方向における中央部であり、2つの係止突部15の間には係止部70が突設されている。すなわち、ボックス本体Bの左側壁12cにてボックス本体Bの前面側の端面(延設片13の前面13a)には係止部70が一体形成されている。係止部70は、該係止部70におけるボックス本体B側の連結構造としての連結部71を介して前面13aに連結(一体形成)されている。また、係止部70は、取付座面14aに直交し、かつボックス本体Bから離れる方向に延びる薄板より形成されている。係止部70にて、ボックス本体Bの後側へ臨むこととなる後面には、ボックス本体Bの前面側の端面(延設片13の前面13a)と同一平面上に位置する係止面70aが形成されている。なお、係止部70において、係止面70aと相対向する面を前面70bとする。
【0079】
連結部71は、係止部70の基端側の端縁よりなり、薄板状(薄肉状)に形成されている。このため、連結部71は、ボックス本体B(延設片13)側たる基端側から、ボックス本体Bと容易に分断することが可能となっている。そして、連結部71が係止部70より薄板状に形成されることで、連結部71には係止部70をボックス本体Bから分断除去するための分断手段が設けられている。
【0080】
係止部70は、全体が平板状に形成されているとともに、正面視コ字状に形成されている。そして、係止部70は、延設片13に対して2つの連結部71で連結されているとともに、2つの連結部71が、その先端側で繋がっている。すなわち、すなわち、係止部70における延設片13への2つの連結部71の間には透孔72が形成されている。また、この係止部70は、所要の厚みを有するとともに、成人男性の手、具体的には指によって押圧可能な平板状に形成されている。そして、係止部70の前面70bには、複数の凹部70dが形成されているが、前面70bからは何も突設されていない。このため、係止部70の前面70bは、指で押圧することに不都合が発生せず、また、指で押さえるのに適したサイズに形成されている。すなわち、係止部70は、指より小さすぎず、また大きすぎないサイズに形成されている。そして、係止部70の前面70bは、指で押圧するのに適した押圧部を構成している。
【0081】
係止部70には前記透孔72が形成されている。図11に示すように、該透孔72には前記把持工具たるペンチPの一方の把持片Paの先端が挿入可能になっている。そして、透孔72にペンチPの一方の把持片Paを挿入し、該一方の把持片PaとペンチPの他方の把持片Pbとで、係止部70の一部を把持することが可能となっている。すなわち、係止部70にはペンチPによって把持される動作部たる被把持部73が形成されている。
【0082】
また、図10に示すように、係止部70の係止面70aには、係合凹所74が凹設されている。この係合凹所74は、係止部70の係止面70aが軽量形鋼10の前面10cに係止した状態において、係止部70の係止面70aと前面10cとの間に隙間が形成されるように外方に向けて開放しており、該隙間、すなわち、係合凹所74にドライバ(マイナス)Dの先端を挿入することが可能となっている。そして、係合凹所74へドライバDの先端が挿入された状態で該ドライバDを傾動させると、ドライバDの先端が係合凹所74の内面に係合するようになっている。
【0083】
そして、第4の実施形態の配線用ボックス11は、図9に示すように、取付座面14aをリップ部10aに当接させ、係止面70aを前面10cに係止させた状態で、軽量形鋼10を側面10f側から手で掴む。このとき、指(親指)が位置する場所に係止部70が配設されており、軽量形鋼10と共に係止部70を手により掴むことが可能になっている。さらに、軽量形鋼10を手により掴んだ状態では、係止部70の前面70bを前面10cに向けて親指で押圧することができる。
【0084】
なお、係止部70は、全体として平板状をなすとともに正面視コ字状に形成されている。すなわち、係止部70は、前面70bを前面10cに向けて押圧したとき、係止部70そのものが自身を回転軸として前面10c上で回転しないように全体が平板状に形成されている。また、係止部70は、延設片13に対して連結部71により2箇所で連結されているため、係止部70は前面10cに対して、軽量形鋼10の立設方向に離れた位置で当接している(図8参照)。
【0085】
加えて、係止部70は、前面70bを前面10cに向けて押圧したとき、係止部70を回動中心としたボックス本体Bの軽量形鋼10に向かう方向への回動及び軽量形鋼10の後側への移動を防止する大きさに形成されている。このため、係止面70aの前面10cへの当接により、配線用ボックス11が一対のリップ部10a同士の間に形成された間隙Sへ入り込み、配線用ボックス11が傾くことを防止することができる。
【0086】
そして、該親指によって係止部70の前面70bを押圧すると係止部70の係止面70aが前面10cに押し当てられるとともに、親指と前面10cとの間に係止部70が挟持される。すると、ボックス本体Bの前面側の端面と前面10cとが面一となった状態で配線用ボックス11を軽量形鋼10に保持することができる。その後、配線用ボックス11は、取付ねじ19によって軽量形鋼10のリップ部10aに取り付けられる。
【0087】
そして、取付ねじ19がリップ部10aに螺入され、配線用ボックス11が軽量形鋼10に取付られた後は、係止部70が配線用ボックス11から除去される。配線用ボックス11が軽量形鋼10に取り付けられた状態において、前面10cと係止部70の係止面70aとの間には、係合凹所74が側方へ開放されている。そして、図10に示すように、ドライバDの先端を係合凹所74内に挿入し、該ドライバDの先端を係合凹所74に係合させた状態でドライバDを傾動させる。すると、図10の2点鎖線に示すように、係止部70が基端側から折り曲げられる。このドライバDの傾動を繰り返すことにより、係止部70が連結部71から折り取られる。すなわち、連結部71による係止部70とボックス本体Bとの連結が解除され、係止部70はボックス本体Bから分断除去される。
【0088】
又は、図11に示すように、ペンチPの把持片Paを透孔72に挿入し、両把持片Pa,Pbによって被把持部73を把持する。その後、被把持部73を把持したペンチPによって係止部70をボックス本体Bから切り離す。すると、連結部71による係止部70とボックス本体Bとの連結が解除され、係止部70はボックス本体Bから分断除去される。
【0089】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 第3の実施形態において、図12に示すように、係止部40をボックス本体Bの内側にまで延設し、その延設された係止部40の前面に、工具としてのドライバDの先端を係合可能とする係合凹所40bを凹設してもよい。この係合凹所40bは、ドライバDを用いたボックス本体Bからの係止部40の分断作業の際にドライバDを係止部40に動作させるための動作部を構成している。
【0090】
そして、係合凹所40bにドライバDの先端を係合させ、ドライバDの操作により連結部41を中心として係止部40を傾動させることで連結部41を繰り返し折り曲げて、係止部40をボックス本体Bから分断してもよい。すなわち、係合凹所40bにより係止部40にドライバDの先端を確実に係合することができるため、ドライバDを用いた係止部40の分断作業を容易とし、係止部40を配線用ボックス11から除去する作業を容易に行うことができる。
【0091】
○ 各実施形態において、図13に示すように、配線用ボックス11のボックス本体Bに当接片60を突設してもよい。この当接片60は、例えば、第1の実施形態の配線用ボックス11において、取付座面14aを、軽量形鋼10の前面10c側のリップ部10aに当接させ、係止部17の係止面17aを軽量形鋼10の前面10cに係止させたとき、後面10e側のリップ部10aに当接するようになっている。このため、当接片60のリップ部10aへの当接により、配線用ボックス11が一対のリップ部10a同士の間に形成された間隙Sへ入り込み、配線用ボックス11が傾くことを防止することができる。なお、前記当接片60には、複数の折り取り部60aを設け、間隙Sの幅及び他方のリップ部10aの位置に対応させて折り取り部60aから当接片60を折り取り可能に構成してもよい。
【0092】
○ 第2の実施形態において、配線用ボックス11の上側壁12a及び下側壁12bからフランジ部を外方へ延設し、該フランジ部に係止部材30の連結突起33を係止させる構成としてもよい。
【0093】
○ 各実施形態では、造営材として軽量形鋼10に配線用ボックス11を取り付けたが、造営材としての木柱に配線用ボックス11を取り付けてもよい。第4の実施形態の配線用ボックス11において、木柱と共に係止部70を手により掴めない場合は、係止部70を前面70b側から押圧してもよい。
【0094】
○ 各実施形態において、係止突部15を削除してもよい。又は、係止突部15を3つ以上形成してもよい。
○ 各実施形態において、取付孔14bはボックス本体Bの深さ方向へ延びる長孔状に形成してもよい。
【0095】
○ 第2の実施形態において、左側壁12cに連結突起を形成し、係止部材30の連結片32に連結突起33が係合可能な連結孔を形成し、連結突起と連結孔との凹凸の係合関係を第2の実施形態と逆転させてもよい。
【0096】
○ 第1の実施形態において、係止部17にペンチPで把持可能な被把持部を形成してもよい。
○ 各実施形態において、配線用ボックス11は、前後両面に開口を有する枠状をなすボックス本体を備えた構成であってもよい。
【0097】
○ 第1の実施形態において、凹所13bにドライバDの先端を挿入し、該ドライバDで連結部16を押して係止部17を折り曲げ、係止部17をボックス本体Bから折り取り除去してもよい。
【0098】
○ 第3の実施形態において、分断手段として連結部41の一部を薄肉状に形成する代わりに、係止部40と、ボックス本体Bの前面側の端面(延設片13の前面13a)とを複数の細板状をなす連結部41により連結し、連結部41を分断手段としてもよい。
【0099】
○ 第1〜第4の実施形態において、1本の取付ねじ19を用いて、配線用ボックス11が軽量形鋼10へ取り付けられた状態で、軽量形鋼10の間隙S内に入り込み、リップ部10aの端縁に係止する係止突部を左側壁12c(取付座面14aが形成された側壁)に形成する。又は、1本の取付ねじ19を用いて、配線用ボックス11が軽量形鋼10へ取り付けられた状態で、軽量形鋼10の後面10eに係止する係止突部を左側壁12cに形成する。そして、係止突部により、一本の取付ねじ19を回動中心としたボックス本体Bの回動を規制する回動規制手段を構成してもよい。
【0100】
○ 図14に示すように、第4の実施形態における係止部70は、該係止部70を一体に備えた取付台座80をボックス本体Bの左側壁12cに取り付けることで配線用ボックス11に設けてもよい。前記取付台座80は、合成樹脂材料よりなる矩形板状の台座本体81と、該台座本体81から突設された第4の実施形態と同一構成の前記係止部70とを一体に備えてなる。
【0101】
○ 第4の実施形態において、ボックス本体Bの前面側の端面、すなわち、延設片13の前面13aにおいて、係止部70の連結部71の周囲に凹所13bを凹み形成してもよい。
【0102】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(1)少なくとも前面に開口を有するボックス本体を備え、建築物の壁材の後側に立設された造営材に取り付けられる配線用ボックスであって、前記ボックス本体の側壁に、該ボックス本体の前記造営材への取付状態で該造営材の側面に当接する取付座面を備えるとともに、前記取付座面が形成された側壁側におけるボックス本体の前面側には、前記取付座面に直交する方向に沿ってボックス本体から離間するように突出し、後面にボックス本体の前面側の端面と同一平面上に位置する係止面を有しており、該係止面を前記造営材の側面に直交する造営材の前面に係止させることで造営材に係止可能とする係止部を備え、
前記係止部は、該係止部とボックス本体の前面側の端面とに一体形成してなる連結部を介して前記ボックス本体に連結され、前記連結部は、前記ボックス本体の前面側の端面にて、該端面よりもボックス本体の深さ方向へ凹んだ凹所の内底面からボックス本体の前面側の端面に至るまで突設されているとともに、連結部には、前記係止部と前記ボックス本体とを分断するための分断手段が設けられており、前記係止部は前記分断手段を用いてボックス本体から分断除去可能であることを特徴とする配線用ボックス。
【0103】
このように構成することで、係止部が連結部を介してボックス本体に連結され、該連結部に分断手段を設けた構成であっても、係止面をボックス本体の前面側の端面と同一平面上に位置させることが可能となる。したがって、係止部をボックス本体から分断する作業を容易としながらも、係止部の係止面を造営材の前面に係止させた状態で、該前面とボックス本体の前面側の端面とを面一とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】第1の実施形態の配線用ボックスの軽量形鋼への取付状態を示す斜視図。
【図2】第1の実施形態の配線用ボックスを示す側面図。
【図3】配線用ボックスの軽量形鋼への取付状態を示す図1の3−3線断面図。
【図4】第1の実施形態の配線用ボックスの軽量形鋼への取付状態を示す断面図。
【図5】第2の実施形態の配線用ボックスの軽量形鋼への取付状態を示す斜視図。
【図6】第2の実施形態の配線用ボックスを示す図5の6−6線断面図。
【図7】第3の実施形態の配線用ボックスの軽量形鋼への取付状態を示す斜視図。
【図8】第4の実施形態の配線用ボックスの軽量形鋼への取付状態を示す斜視図。
【図9】第4の実施形態の配線用ボックスの軽量形鋼への取付状態を示す断面図。
【図10】係止部の折り曲げ作業を示す斜視図。
【図11】係止部を把持した状態を示す斜視図。
【図12】第3の実施形態の配線用ボックスの別例を示す斜視図。
【図13】別例の配線用ボックスを示す平断面図。
【図14】別例の配線用ボックスを示す斜視図。
【符号の説明】
【0105】
B…ボックス本体、D…工具としてのドライバ、K…壁材としての壁板、P…工具における把持工具としてのペンチ、10…造営材としての形鋼材たる軽量形鋼、10a…造営材の側面としてのリップ部、10c…造営材の前面、10d…角部、11…配線用ボックス、12c…側壁としての左側壁、12f…係合関係を構成する連結孔、13b…凹所、14a…取付座面、14b…取付孔、15…回動規制手段としての係止突部、16…連結構造を構成する連結部、17…動作部及び被把持部としての係止部、17a…後面としての係止面、19…取付ねじ、30…係止部を構成する係止部材、31a…係止面、33…係合関係を構成する連結突起、40…係止部、40a…後面としての係止面、40b…動作部を構成する係合凹所、41…連結構造を構成する連結部、42…凹所、43…動作部を構成する被把持部、70…係止部、70a…後面としての係止面、71…連結構造を構成する連結部、73…動作部を構成する被把持部、74…動作部を構成する係合凹所。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも前面に開口を有するボックス本体を備え、建築物の壁材の後側に立設された造営材に取り付けられる配線用ボックスであって、
前記ボックス本体の側壁に、該ボックス本体の前記造営材への取付状態で該造営材の側面に当接する取付座面を備えるとともに、
前記取付座面が形成された側壁側におけるボックス本体の前面側には、前記取付座面に直交する方向に沿ってボックス本体から離間するように突出し、後面にボックス本体の前面側の端面と同一平面上に位置する係止面を有しており、該係止面を前記造営材の側面に直交する造営材の前面に係止させることでボックス本体の前面側の端面と造営材の前面とを面一とした状態でボックス本体を造営材に係止させる係止部を備え、
前記係止部は、該係止部とボックス本体とを連結する連結構造を介して前記ボックス本体に連結され、前記連結構造には、前記係止部と前記ボックス本体とを分断するための分断手段が設けられており、前記係止部は前記分断手段を用いてボックス本体から分断除去可能であることを特徴とする配線用ボックス。
【請求項2】
前記連結構造は、前記係止部とボックス本体とに一体形成された連結部より構成されており、前記係止部には、工具を用いた前記連結部からの係止部とボックス本体との分断の際に前記工具を係止部に動作させるための動作部が設けられている請求項1に記載の配線用ボックス。
【請求項3】
前記分断手段は、前記連結部の少なくとも一部を前記係止部より薄肉状に形成することで構成されている請求項2に記載の配線用ボックス。
【請求項4】
前記動作部は、前記工具としての把持工具によって把持される被把持部であり、該被把持部は前記把持工具によって把持可能な薄板状に形成されている請求項2又は請求項3に記載の配線用ボックス。
【請求項5】
前記動作部は前記係止部に凹設され、前記工具としてのドライバの先端が係合される係合凹所である請求項2又は請求項3に記載の配線用ボックス。
【請求項6】
前記ボックス本体の前面側の端面にて前記連結部の周囲には、前記端面よりもボックス本体の深さ方向へ凹んだ凹所が形成されている請求項2〜請求項5のうちいずれか一項に記載の配線用ボックス。
【請求項7】
前記係止部とボックス本体とは別体形成されているとともに、前記連結構造は係止部とボックス本体との間に構成される係合関係より構成されており、前記分断手段は、前記係合関係を解除可能にして構成されている請求項1に記載の配線用ボックス。
【請求項8】
少なくとも前面に開口を有するボックス本体を備える配線用ボックスを建築物の壁材の後側に立設された造営材に取り付けるための配線用ボックスの取付方法であって、
前記配線用ボックスは、前記ボックス本体の側壁に、該ボックス本体の前記造営材への取付状態で該造営材の側面に当接する取付座面を備えるとともに、前記取付座面が形成された側壁側におけるボックス本体の前面側に、前記取付座面に直交する方向に沿ってボックス本体から離間するように突出し、後面にボックス本体の前面側の端面と同一平面上に位置する係止面を有する係止部を備え、前記係止部は、該係止部とボックス本体とを連結する連結構造を介して前記ボックス本体に連結されているとともに、前記連結構造には、前記係止部と前記ボックス本体とを分断するための分断手段が設けられており、
前記取付座面を造営材の側面に当接させるとともに、該側面に対し直交する造営材の前面に前記係止面を係止させ、係止部によってボックス本体を造営材に係止させ、ボックス本体の前面側の端面と造営材の前面とを面一とさせた状態で配線用ボックスを取付ねじで造営材に取り付けた後、
前記分断手段を用いて係止部をボックス本体から分断し、係止部をボックス本体から除去することを特徴とする配線用ボックスの取付方法。
【請求項9】
前記連結構造は、前記係止部とボックス本体とに一体形成された連結部であり、前記係止部は、前記連結部よりボックス本体から分断される請求項8に記載の配線用ボックスの取付方法。
【請求項10】
前記係止部は、該係止部に設けられた動作部に工具を動作させてボックス本体から分断される請求項8又は請求項9に記載の配線用ボックスの取付方法。
【請求項11】
前記係止部は、前記動作部としての被把持部が前記工具としての把持工具によって把持されてボックス本体から分断される請求項10に記載の配線用ボックスの取付方法。
【請求項12】
前記係止部は、前記動作部としての係合凹所に前記工具としてのドライバが係合されてボックス本体から分断される請求項10に記載の配線用ボックスの取付方法。
【請求項13】
前記係止部とボックス本体とは別体形成されているとともに、前記連結構造は係止部とボックス本体との間に構成される係合関係より構成されており、前記係止部は、前記係合関係を解除してボックス本体から分断される請求項8に記載の配線用ボックスの取付方法。
【請求項1】
少なくとも前面に開口を有するボックス本体を備え、建築物の壁材の後側に立設された造営材に取り付けられる配線用ボックスであって、
前記ボックス本体の側壁に、該ボックス本体の前記造営材への取付状態で該造営材の側面に当接する取付座面を備えるとともに、
前記取付座面が形成された側壁側におけるボックス本体の前面側には、前記取付座面に直交する方向に沿ってボックス本体から離間するように突出し、後面にボックス本体の前面側の端面と同一平面上に位置する係止面を有しており、該係止面を前記造営材の側面に直交する造営材の前面に係止させることでボックス本体の前面側の端面と造営材の前面とを面一とした状態でボックス本体を造営材に係止させる係止部を備え、
前記係止部は、該係止部とボックス本体とを連結する連結構造を介して前記ボックス本体に連結され、前記連結構造には、前記係止部と前記ボックス本体とを分断するための分断手段が設けられており、前記係止部は前記分断手段を用いてボックス本体から分断除去可能であることを特徴とする配線用ボックス。
【請求項2】
前記連結構造は、前記係止部とボックス本体とに一体形成された連結部より構成されており、前記係止部には、工具を用いた前記連結部からの係止部とボックス本体との分断の際に前記工具を係止部に動作させるための動作部が設けられている請求項1に記載の配線用ボックス。
【請求項3】
前記分断手段は、前記連結部の少なくとも一部を前記係止部より薄肉状に形成することで構成されている請求項2に記載の配線用ボックス。
【請求項4】
前記動作部は、前記工具としての把持工具によって把持される被把持部であり、該被把持部は前記把持工具によって把持可能な薄板状に形成されている請求項2又は請求項3に記載の配線用ボックス。
【請求項5】
前記動作部は前記係止部に凹設され、前記工具としてのドライバの先端が係合される係合凹所である請求項2又は請求項3に記載の配線用ボックス。
【請求項6】
前記ボックス本体の前面側の端面にて前記連結部の周囲には、前記端面よりもボックス本体の深さ方向へ凹んだ凹所が形成されている請求項2〜請求項5のうちいずれか一項に記載の配線用ボックス。
【請求項7】
前記係止部とボックス本体とは別体形成されているとともに、前記連結構造は係止部とボックス本体との間に構成される係合関係より構成されており、前記分断手段は、前記係合関係を解除可能にして構成されている請求項1に記載の配線用ボックス。
【請求項8】
少なくとも前面に開口を有するボックス本体を備える配線用ボックスを建築物の壁材の後側に立設された造営材に取り付けるための配線用ボックスの取付方法であって、
前記配線用ボックスは、前記ボックス本体の側壁に、該ボックス本体の前記造営材への取付状態で該造営材の側面に当接する取付座面を備えるとともに、前記取付座面が形成された側壁側におけるボックス本体の前面側に、前記取付座面に直交する方向に沿ってボックス本体から離間するように突出し、後面にボックス本体の前面側の端面と同一平面上に位置する係止面を有する係止部を備え、前記係止部は、該係止部とボックス本体とを連結する連結構造を介して前記ボックス本体に連結されているとともに、前記連結構造には、前記係止部と前記ボックス本体とを分断するための分断手段が設けられており、
前記取付座面を造営材の側面に当接させるとともに、該側面に対し直交する造営材の前面に前記係止面を係止させ、係止部によってボックス本体を造営材に係止させ、ボックス本体の前面側の端面と造営材の前面とを面一とさせた状態で配線用ボックスを取付ねじで造営材に取り付けた後、
前記分断手段を用いて係止部をボックス本体から分断し、係止部をボックス本体から除去することを特徴とする配線用ボックスの取付方法。
【請求項9】
前記連結構造は、前記係止部とボックス本体とに一体形成された連結部であり、前記係止部は、前記連結部よりボックス本体から分断される請求項8に記載の配線用ボックスの取付方法。
【請求項10】
前記係止部は、該係止部に設けられた動作部に工具を動作させてボックス本体から分断される請求項8又は請求項9に記載の配線用ボックスの取付方法。
【請求項11】
前記係止部は、前記動作部としての被把持部が前記工具としての把持工具によって把持されてボックス本体から分断される請求項10に記載の配線用ボックスの取付方法。
【請求項12】
前記係止部は、前記動作部としての係合凹所に前記工具としてのドライバが係合されてボックス本体から分断される請求項10に記載の配線用ボックスの取付方法。
【請求項13】
前記係止部とボックス本体とは別体形成されているとともに、前記連結構造は係止部とボックス本体との間に構成される係合関係より構成されており、前記係止部は、前記係合関係を解除してボックス本体から分断される請求項8に記載の配線用ボックスの取付方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−278747(P2008−278747A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−144960(P2008−144960)
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【分割の表示】特願2006−235797(P2006−235797)の分割
【原出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【分割の表示】特願2006−235797(P2006−235797)の分割
【原出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】
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