説明

配線用静電スイッチ

【課題】 負荷の所在を案内する銘板を取外し可能に設け、エンドユーザーの利便性と操作性を改善できる配線用静電スイッチを提供する。
【解決手段】 スイッチ箱2と化粧カバー3との間に操作パネル5と案内銘板6とスイッチ基板18とを重合状態で配置する。スイッチ基板18に静電容量の変化を検知する検知電極21を配設し、案内銘板6に負荷の所在を案内する表示部7を検知電極21に被さるように設ける。操作パネル5と案内銘板6とスイッチ基板18とをスイッチ箱2の額縁部10の内側に配置し、化粧カバー3の掛止片20と操作パネル5の係止爪29を額縁部10に着脱し、案内銘板6を表示部7のデザインが異なるものと交換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体の接触による静電容量の変化を検知して、負荷回路を開閉する配線用静電スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋内配線用のスイッチとして、スイッチ箱の前面にスイッチハンドルを備えた機械式スイッチが多用されている。しかし、機械式スイッチは、可動部の摩耗や汚損で寿命が限られ、壁面から突出するうえ、大きなスペースを占有するなどの問題がある。そこで、指先の接触による静電容量の変化を利用する静電スイッチが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、図8に示すような静電スイッチ51が記載されている。この静電スイッチ51は化粧カバー52の内側に操作パネル53を備え、操作パネル53の裏面にスイッチ基板54と絶縁基板55とが接着されている。スイッチ基板54に検知電極56が埋設され、指先が操作パネル53に触れたときの静電容量の変化を検知し、負荷回路を開閉するようになっている。
【特許文献1】特開平11−136116号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の静電スイッチ51によると、操作パネル53がスイッチ基板54に接着されているため、負荷の所在を案内する銘板(ネームプレート)を取り付けることができなかった。このため、複数の負荷機器を操作する静電スイッチの場合に、スイッチ製造時に付された既製の記号やマークに従って負荷機器を識別する必要があり、これらの表示をエンドユーザーが自由に変更できないという問題点があった。
【0005】
本発明の目的は、負荷の所在を案内する銘板を交換可能に設け、エンドユーザーの利便性と操作性を改善できる配線用静電スイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の配線用静電スイッチは、人体の接触による静電容量の変化を検知して、負荷回路を開閉する配線用静電スイッチにおいて、次のような手段を採用したことを特徴とする。
【0007】
(1)スイッチ箱の前面に化粧カバーを着脱可能に取り付け、化粧カバーとスイッチ箱との間に操作パネルと案内銘板とスイッチ基板とを重合状態で配置し、スイッチ基板に静電容量の変化を検知する検知電極を配設し、案内銘板に負荷の所在を案内する表示部を検知電極に被さるように設け、化粧カバーの着脱により案内銘板を交換可能に装着したことを特徴とする。
【0008】
(2)スイッチ箱が壁面に埋め込まれる筺体部と、壁面に露出する額縁部とを備え、化粧カバーが額縁部の掛止部に着脱可能な掛止片を備えていることを特徴とする配線用静電スイッチ。
【0009】
(3)操作パネルと案内銘板とスイッチ基板とが額縁部の内側に配置されていることを特徴とする配線用静電スイッチ。
【0010】
(4)操作パネルが額縁部の係止部に着脱可能な係止爪を備えていることを特徴とする配線用静電スイッチ。
【発明の効果】
【0011】
本発明の配線用静電スイッチによれば、化粧カバーとスイッチ箱との間に操作パネルと案内銘板とスイッチ基板とを配置し、化粧カバーの着脱により案内銘板を交換可能に装着したので、複数の案内銘板を好みに応じて載せ替えたり、案内銘板の表示部に覚えやすいデザインで描いたりするなど、エンドユーザーの利便性と操作性を改善できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、この実施形態の静電スイッチ1は屋内の壁面W(図4,5参照)に取り付けられるスイッチ箱2と、スイッチ箱2の前面を覆う化粧カバー3とを備えている。化粧カバー3の開口部4は操作パネル5で内側から覆われ、操作パネル5の裏面側に案内銘板6が配置されている。操作パネル5は透明材料で形成され、化粧カバー3の開口部4から操作パネル5を通して案内銘板6上の複数の表示部7を透視できるようになっている。
【0013】
図2、図3に示すように、スイッチ箱2は壁面Wに埋め込まれる筺体部9と、壁面Wに露出する額縁部10とを備えている。筺体部9の相対向する二つの内壁面にはボス部11が設けられ、ボス部11の貫通穴12を通るネジ13によって、スイッチ箱2が壁面W内部の建材に取り付けられる。筺体部9の内側には回路基板14が収められ、図4に示すように、ボス部11の両隣に位置する支持部15に支持された状態で、ボス部11とは異なる内壁面に設けた押え爪16によりスイッチ箱2に組み付けられている。
【0014】
図2、図5に示すように、額縁部10の内側には操作パネル5と案内銘板6とスイッチ基板18とが重合状態で配置され、化粧カバー3によって保持されている。額縁部10の相対向する二辺には掛止穴19が二つずつ形成され、化粧カバー3の内面に掛止穴19に着脱される四つの掛止片20が突設されている。スイッチ基板18には、指先が操作パネル5に触れたときに、静電容量の変化を検知する複数の検知電極21が配設されている。案内銘板6には、負荷の所在を示す表示部7が各検知電極21に被さるように設けられている。なお、検知電極21は信号配線(図示略)で回路基板14に接続されている。
【0015】
図2、図3に示すように、筺体部9の上面には、スイッチ基板18の二辺を支持する平坦面23と、スイッチ基板18の別の二辺を幅決めする凸部24とが形成されている。スイッチ基板18は、ボス部11の突起25と一致する位置に取付穴26を備え、取付穴26と突起25の嵌合によってスイッチ箱2に固定されている。凸部24の両端と対応する位置において、額縁部10の内面には係止穴28(図4参照)が形成され、操作パネル5の四隅に係止穴28に着脱される係止爪29が突設されている。
【0016】
そして、図4、図5に示すように、スイッチ基板18に案内銘板6を重ね、案内銘板6に操作パネル5を重ねて額縁部10に係止し、操作パネル5に化粧カバー3を重ねて額縁部10に掛止することによって、案内銘板6が操作パネル5とスイッチ基板18との間に挟み付けられた状態でスイッチ箱2に装着される。また、化粧カバー3と操作パネル5を取り外すことにより、案内銘板6をスイッチ箱2から取り外し、別の案内銘板6と交換できるようになっている。なお、額縁部10の相対向する二辺には、案内銘板6を爪先で剥がすための切欠30が設けられている(図2,3参照)。
【0017】
したがって、上記構成の配線用静電スイッチ1によれば、化粧カバー3と操作パネル5の着脱により案内銘板6を交換可能に装着したので、エンドユーザーは表示部7のデザインを自由に変更することができる。例えば、図6(a),(b)に示すように、表示部7のデザインが異なる複数枚の案内銘板6をスイッチ製品に同梱して提供することで、エンドユーザーは好みのデザインの案内銘板6を選んで、スイッチ箱2に装着することができる。また、図7に示すように、スイッチ製品に同梱した印刷用紙32上に案内銘板6を切取線31でハーフカットし、エンドユーザーがプリンタを使用し、案内銘板6の指定箇所に表示部を自由にデザインすることも可能である。
【0018】
特に、この実施形態の配線用静電スイッチ1によれば、壁面Wに露出する額縁部10の内側に操作パネル5と案内銘板6とスイッチ基板18とを重合配置したので、案内銘板6の載せ替えに際し、スイッチ箱2を取り付けたままの状態で、化粧カバー3と操作パネル5を簡単に取り外し、案内銘板6を容易に交換できる。この場合、化粧カバー3が掛止片20で、操作パネル5が係止爪29でそれぞれ額縁部10に着脱されるので、ネジを使用することなく、案内銘板6をワンタッチで交換でき、しかも、掛止片20と係止爪29の弾性を利用して案内銘板6をスイッチ箱2上に強固に保持できるという利点もある。
【0019】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、案内銘板6において、表示部7の数を増減したり、スイッチ基板18において、検知電極21の近傍に操作表示ランプを設け、操作銘板6に透光穴を形成したりするなど、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各部の形状や構成を適宜に変更して実施することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態を示す配線用静電スイッチの外観斜視図である。
【図2】配線用静電スイッチの構成部品を分解して示す斜視図である。
【図3】配線用静電スイッチのスイッチ箱を示す正面図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】図3のV−V線断面図である。
【図6】デザインが異なる表示部を備えた案内銘板の正面図である。
【図7】案内銘板を切抜き可能に設けた印刷用紙の正面図である。
【図8】従来の静電スイッチを示す断面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 配線用静電スイッチ
2 スイッチ箱
3 化粧カバー
5 操作パネル
6 案内銘板
7 表示部
9 筺体部
10 額縁部
18 スイッチ基板
19 掛止穴
20 掛止片
21 検知電極
28 係止穴
29 係止爪
W 壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の接触による静電容量の変化を検知して、負荷回路を開閉する配線用静電スイッチにおいて、
スイッチ箱の前面に化粧カバーを着脱可能に取り付け、化粧カバーとスイッチ箱との間に操作パネルと案内銘板とスイッチ基板とを重合状態で配置し、スイッチ基板に静電容量の変化を検知する検知電極を配設し、案内銘板に負荷の所在を案内する表示部を検知電極に被さるように設け、化粧カバーの着脱により案内銘板を交換可能に装着したことを特徴とする配線用静電スイッチ。
【請求項2】
前記スイッチ箱が壁面に埋め込まれる筺体部と、壁面に露出する額縁部とを備え、化粧カバーが額縁部の掛止部に着脱可能な掛止片を備えていることを特徴とする請求項1記載の配線用静電スイッチ。
【請求項3】
前記操作パネルと案内銘板とスイッチ基板とが額縁部の内側に配置されていることを特徴とする請求項2記載の配線用静電スイッチ。
【請求項4】
前記操作パネルが額縁部の係止部に着脱可能な係止爪を備えていることを特徴とする請求項3記載の配線用静電スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−272164(P2009−272164A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−122379(P2008−122379)
【出願日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(000124591)河村電器産業株式会社 (857)
【Fターム(参考)】