説明

配線装置

【課題】電路21を絶縁体22で覆って絶縁した配線体11に、接続部品12を容易に接続できる配線装置を提供する。
【解決手段】配線体11の電路21に接続孔部29を設け、絶縁体22に接続孔部29が露出する開口部35を設ける。接続部品12のハウジング45にコンタクト44を取り付け、コンタクト44のコンタクト部43を絶縁体22の開口部35を通じて電路21の接続孔部29に差し込む。コンタクト部43が接続孔部29に圧接して保持するとともに電気的に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属板によって回路が形成される電路を備えた配線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気機器は、多種の機能を有し、容量的にも拡大しているため、電気機器の電源ラインには多量の電流を流す回路が要求されている。この電流を多く扱う回路では、容量の大きい電線により配線するほか、金属板を加工した電路により配線している。
【0003】
電路を用いた配線装置は、金属板によって回路が形成される電路と、この電路をインサート成形して絶縁する絶縁体とを有する配線体を備え、この配線体の電路に各種の部品などが電気的に接続されている。この部品などを電路に電気的に接続するには、部品の一部や部品に設けたピンなどを電路に挿入し、部品と電路とをはんだ付け接続している(例えば、特許文献1、2参照。)。
【特許文献1】特開2003−224346号公報(第2−3頁、図1−2)
【特許文献2】特開2003−230254号公報(第3頁、図1−2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、配線体の電路と部品とを電気的に接続するのにはんだ付け接続するため、はんだ付け作業が必要になり、はんだの熱量などの管理が必要になるなど手間や時間がかかる問題がある。
【0005】
また、はんだ付け性を向上させる方法としては融点の低い金属メッキなどを施してはんだ付けする方法などがあるが、これは絶縁体の成形加工時の熱により金属メッキが溶融して絶縁材料に混ざり込み比較的早期に絶縁劣化するおそれがある。また、成形加工後において電路に後メッキを施す方法もあるが、これは経済性に欠け、高価なものとなる。また、ニッケルなどの金属メッキの場合は成形加工時に溶解することはないもののはんだが付きにくい。また、はんだ付けの際に多量の熱を比較的長時間加えて加熱するため、接続される部品が熱による絶縁劣化、変形などが発生し、電気機器の不良が発生する場合もあり使用範囲は極端に限定されている。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、はんだ付けによる接続が必要なく、はんだ付け作業を省くことができ、接続部品を容易に接続できる配線装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の配線装置は、金属板によって回路が形成され、この金属板に複数の接続孔部が設けられた電路と、この電路の各接続孔部を露出させる開口部を有し、前記電路を覆って絶縁する絶縁体と、この絶縁体の開口部を通じて前記電路の接続孔部に差し込まれその接続孔部に圧接して保持されるとともに電気的に接続されるコンタクトを有する接続部品とを具備しているものである。
【0008】
請求項2記載の配線装置は、請求項1記載の配線装置において、絶縁体は、開口部の近傍位置に設けられた被係止部を有し、接続部品は、コンタクトを保持しこのコンタクトを電路の接続孔部に差し込んだ接続状態で前記絶縁体の被係止部に係止される係止部が設けられたハウジングを有しているものである。
【0009】
請求項3記載の配線装置は、請求項1または2記載の配線装置において、接続部品は、電路の複数の接続孔部に差し込まれる複数のコンタクト部が設けられた電路間接続用のコンタクトを有しているものである。
【0010】
請求項4記載の配線装置は、請求項1ないし3いずれか記載の配線装置において、接続部品は、複数のコンタクト、およびこれらコンタクトに電気的に接続された電子部品を有しているものである。
【0011】
請求項5記載の配線装置は、請求項1ないし4いずれか記載の配線装置において、電路および絶縁体を有する複数の配線体を備え、これら複数の配線体の電路間を接続部品によって電気的に接続するものである。
【0012】
請求項6記載の配線装置は、金属板によって回路が形成され、この金属板に複数の接続孔部が設けられた電路と、この電路の各接続孔部を露出させる開口部を有し、前記電路を覆って絶縁する絶縁体と、外接部および内接部を有する筒状に形成され、前記絶縁体の開口部を通じて前記電路の接続孔部に差し込まれその接続孔部に外接部が圧接して保持されるとともに電気的に接続されるコンタクトと、このコンタクトの内側に差し込まれそのコンタクトの内接部に圧接して保持されるとともに電気的に接続されるリード部が設けられた電子部品を有する接続部品とを具備しているものである。
【0013】
請求項7記載の配線装置は、金属板によって回路が形成され、この金属板に複数の接続孔部が設けられた電路と、この電路の一面側および他面側の両面側で各接続孔部を露出させる開口部を有し、前記電路を覆って絶縁する絶縁体と、この絶縁体の一面側から開口部を通じて前記電路に対向する端子、およびこの端子に回動可能に係合されて前記電路の接続孔部に挿通されるねじを有する接続部品と、前記絶縁体の他面側から開口部を通じて前記電路に当接され、前記接続部品のねじが螺合する結合部品とを具備しているものである。
【0014】
請求項8記載の配線装置は、金属板によって回路が形成され、この金属板の一部に接続板部が設けられた電路と、この電路の接続板部が露出する状態で電路を覆って絶縁し、接続板部が露出する位置に対応して接続部品取付部が形成された絶縁体と、この絶縁体から露出する前記電路の接続板部の先端が差し込まれて電気的に接続されるとともに前記絶縁体の接続部品取付部に取り付けられる接続部品とを具備しているものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の配線装置によれば、接続部品のコンタクトを絶縁体の開口部を通じて電路の接続孔部に差し込むことにより、そのコンタクトが接続孔部に圧接して保持するとともに電気的に接続するので、はんだ付けによる接続が必要なく、はんだ付け作業を省くことができ、接続部品を容易に接続できる。
【0016】
請求項2記載の配線装置によれば、請求項1記載の配線装置の効果に加えて、接続部品のハウジングにコンタクトを保持し、このコンタクトを電路の接続孔部に差し込んだ接続状態でハウジングの係止部が絶縁体の被係止部に係止するので、コンタクトと電路の接続孔部との接続状態を確実に保持できる。
【0017】
請求項3記載の配線装置によれば、請求項1または2記載の配線装置の効果に加えて、コンタクトの複数のコンタクト部を電路の複数の接続孔部に差し込むことにより、電路間を電気的に接続できる。
【0018】
請求項4記載の配線装置によれば、請求項1ないし3いずれか記載の配線装置の効果に加えて、コンタクトを電子部品の接続に利用でき、電子部品を電路に容易に接続できる。
【0019】
請求項5記載の配線装置によれば、請求項1ないし4いずれか記載の配線装置の効果に加えて、電路および絶縁体を有する複数の配線体の電路間を接続部品によって電気的に接続できる。
【0020】
請求項6記載の配線装置によれば、コンタクトを絶縁体の開口部を通じて電路の接続孔部に差し込むことにより、そのコンタクトの外接部が接続孔部に圧接して保持できるとともに電気的に接続できるので、このコンタクトの内側に接続部品の電子部品のリード部を差し込むことにより、リード部にコンタクトの内接部が圧接して保持できるとともに電気的に接続でき、はんだ付けによる接続が必要なく、はんだ付け作業を省くことができ、接続部品を容易に接続できる。
【0021】
請求項7記載の配線装置によれば、絶縁体の一面側から開口部に接続部品の端子を配置するとともにねじを電路の接続孔部に挿通し、このねじを絶縁体の他面側から開口部に配置される結合部品に螺合することにより、端子と結合部品との間で電路を挟み込んでねじ止めできるとともに電気的に接続でき、はんだ付けによる接続が必要なく、はんだ付け作業を省くことができ、接続部品を容易に接続できる。しかも、薄い電路にねじを直接螺合できなくても、結合部品を用いることにより、ねじ止めができる。
【0022】
請求項8記載の配線装置によれば、金属板の一部の接続板部を絶縁体から露出させ、この接続板部が露出する位置に対応して絶縁体に接続部品取付部を設けたので、接続部品に絶縁体から露出する電路の接続板部の先端が差し込まれて電気的に接続でき、この接続状態で接続部品を絶縁体の接続部品取付部に取り付けることができ、はんだ付けによる接続が必要なく、はんだ付け作業を省くことができ、接続部品を容易に接続できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0024】
図1ないし図4に示すように、配線装置は、配線体11、およびこの配線体11に電気的および機械的に接続される複数の接続部品12を備えている。この接続部品12としては、例えば、電路間接続用の第1の接続部品12a、配線接続用の第2の接続部品12b、電子部品接続用の第3の接続部品12c、さらに配線器具である第4の接続部品12dがある。さらに、図12および図13に示すように他の電子部品接続用の第5の接続部品12e、図16ないし図18に示すように他の電子部品接続用の第6の接続部品12fがある。
【0025】
そして、配線体11は、電路21、およびこの電路21をインサート成形することにより電路21を覆って絶縁する絶縁体22を有している。
【0026】
図5に示すように、電路21は、導電性を有する金属板25によって配線回路が形成されており、絶縁体22を一体成形する前の状態では、電路21の外周に配置された枠部26に複数の枠連結部27を介して電路21が支持されているとともに、独立した電路21同士が電路間連結部28によって連結されている。そして、絶縁体22の成形後に各枠連結部27が切断されて枠部26が電路21から切り離され、電路間連結部28が露出するように絶縁体22に予め形成された図示しない開口部を通じて電路間連結部28が切断されて独立した電路21間が切り離される。
【0027】
電路21には、選択的に電路21間を接続する接続位置、電路21に配線を接続する接続位置、電子部品を接続する接続位置などの各接続位置に対応して、接続孔部29がそれぞれ形成されている。各接続孔部29には、電路21の一面側から他面側に突出する筒状のフランジ部30が形成されている。
【0028】
電路21には、第4の接続部品12dの接続位置に対応して、電路21の一部が略直角に折曲されて絶縁体22から突出する接続板部31(図4参照)が形成されている。この接続板部31は絶縁体22の成形後に絶縁体22の一面側と略平行になるように略L字形に折曲されている。
【0029】
図1ないし図4に示すように、絶縁体22は、絶縁性を有する合成樹脂材料にて電路21をインサート成形した板状に形成され、この絶縁体22の一面側22aに各接続部品12が取り付けられる各接続部品取付部34が形成されている。この接続部品取付部34としては、第1の接続部品12aまたは第5の接続部品12eを接続する第1の接続部品取付部34a、第2の接続部品12bを接続する第2の接続部品取付部34b、第3の接続部品12cを接続する第3の接続部品取付部34c、第4の接続部品12dを接続する第4の接続部品取付部34d、第6の接続部品12fを接続する第6の接続部品取付部34f(図16および図17参照)などがある。
【0030】
各接続部品取付部34(第4の接続部品取付部34dおよび第6の接続部品取付部34fを除く)には、電路21の各接続孔部29の位置に対応して絶縁体22が開口される円筒形の開口部35がそれぞれ形成され、絶縁体22の一面側22aに各接続部品12の外周部が着脱可能に嵌合するホルダ部36が形成され、絶縁体22の他面側22bに各開口部35の周囲から突出する円筒状の筒部37が形成されている。各ホルダ部36の形状は、各接続部品12の外周形状に対応していて、対応しない種類の接続部品12は嵌合できないように構成されている。
【0031】
各接続部品取付部34(第4の接続部品取付部34dおよび第6の接続部品取付部34fを除く)における開口部35の近傍位置には、絶縁体22を貫通開口していて、各ホルダ部36に嵌合した各接続部品12を係止するための被係止部としての取付孔38が1つずつまたは複数ずつ形成されている。
【0032】
図4に示すように、第4の接続部品取付部34dは、絶縁体22の一面側22aに並設されており、第4の接続部品12dをスライドさせて取り付けるための一対のリブ39が突出形成され、これら一対のリブ39の位置に対応して絶縁体22から突出されるとともに略L字形に折曲された接続板部31が配置され、スライドさせて取り付ける第4の接続部品12dの内部に自動的に差し込まれて第4の接続部品12dの内部に有する端子に電気的に接続される。一対のリブ39間には、第4の接続部品12dをねじ止めするためのボス40が突出形成されている。
【0033】
なお、第6の接続部品取付部34fは、第6の接続部品12fとともに後で説明する。
【0034】
また、図6ないし図11に示すように、第4ないし第6の接続部品12d,12e,12fを除く各接続部品12a,12b,12cは、電路21の接続孔部29に差し込み接続されるコンタクト部43(43a,43b,43c)を有するコンタクト44(44a,44b,44c)、およびこのコンタクト44(44a,44b,44c)を保持したハウジング45(45a,45b,45c)を有している。各コンタクト44a,44b,44cのコンタクト部43a,43b,43cは、電路21の接続孔部29の内径より大径に形成されていてその接続孔部29への差し込みを許容するように縮径方向に弾性変形可能とする断面略C字形の筒状に形成されている。
【0035】
図6および図7に示すように、電路間接続用の第1の接続部品12aのコンタクト44aは、導電性を有する金属板によって形成されており、ハウジング45aに差し込み固定される取付板部48を有し、この取付板部48の一面側に1つのダボ49が、他面側に2つのダボ50がそれぞれ突出形成され、この取付板部48の両側に一対のコンタクト部43aが一体に折曲形成されている。
【0036】
第1の接続部品12aのハウジング45aは、絶縁性を有する合成樹脂材料によって形成され、絶縁体22のホルダ部36に嵌合されるハウジング本体51を有し、このハウジング本体51には、コンタクト44aの取付板部48側を差し込み固定する差込溝52が形成され、この差込溝52に差し込まれたコンタクト44aの一対のダボ50が係合する一対の係止孔53が形成されている。ハウジング本体51には、絶縁体22のホルダ部36に嵌合する際に、絶縁体22の取付孔38に差し込まれてその取付孔38の縁部に係合して抜け止め係止する係止部としての係止爪部54が突出形成されている。また、このハウジング本体51には、配線体11に装着したときに第2の接続部品12bの端部に嵌合して覆うカバー部55が一体に形成されている。
【0037】
図1、図8および図9に示すように、配線接続用の第2の接続部品12bのコンタクト44bは、一対用いられ、それぞれ導電性を有する金属板によって形成されており、ハウジング45bに差し込み固定される断面略四角形枠状に折曲された取付枠部58を有し、この取付枠部58の先端より突出してコンタクト部43bが一体に折曲形成されている。取付枠部58には、差し込まれたハウジング45bに対して抜け止め係止するための突部59が形成され、先端側には突片60が折曲されて突出されている。
【0038】
第2の接続部品12bのハウジング45bは、絶縁性を有する合成樹脂材料によって形成され、絶縁体22のホルダ部36に嵌合される四角形枠状のハウジング本体61を有している。このハウジング本体61の一端面には、各コンタクト44bの取付枠部48を差し込み固定する一対の四角形状の差込溝62が形成され、これら各差込溝62の一辺縁部にコンタクト44bの突片60が係合する係合孔63が形成されている。さらに、このハウジング本体61の一端側には、絶縁体22のホルダ部36に嵌合する際に、絶縁体22の取付孔38に差し込まれてその取付孔38の縁部に係合して抜け止め係止する係止部としての複数の係止爪部64が突出形成されている。また、ハウジング本体61の内部は、一対のコンタクト44bが絶縁状態に配置されるように仕切部65を介して隔離されている。ハウジング本体61の他端面は開口されているが、配線体11への装着時に第2の接続部品12bのカバー部55が嵌合して覆われる。
【0039】
図10および図11に示すように、第3の接続部品12cは、コンタクト44cに電気的に接続されてハウジング45c内に収納された電子部品68を備えている。この電子部品68は、電子部品本体69を有し、この電子部品本体69から一対のリード線70が引き出されている。
【0040】
第3の接続部品12cのコンタクト44cは、一対用いられ、導電性を有する金属板によって形成されており、ハウジング45cに差し込み固定される略三角形状の取付板部71を有し、この取付板部71にコンタクト部43cが一体に折曲形成されている。この取付板部71には、電子部品68のリード線70を挟み込んで電気的に接続可能に先端側に開口する溝部72が形成され、溝部72の両側域にダボ73が突出形成されているとともに、両側端部に係止爪74が突出形成されている。
【0041】
第3の接続部品12cのハウジング45cは、絶縁性を有する合成樹脂材料によって形成され、絶縁体22のホルダ部36に嵌合されるハウジング本体75を有し、このハウジング本体75の内部には、電子部品68を収容する収容部76が形成されている。ハウジング本体75の一辺縁部には、コンタクト44aの取付板部71を差し込み固定する一対の差込溝77が形成され、これら各差込溝77に電子部品68のリード線70が挿通可能とする挿通溝78が形成されている。そして、電子部品68の各リード線70を各挿通溝78から各差込溝77に挿入した状態で、各コンタクト44cの取付板部71を差込溝77に差し込むことにより、各コンタクト44cの取付板部71の溝部72に電子部品68の各リード線70が係合して抜け止め保持した状態で電気的に接続される。
【0042】
ハウジング本体75には、絶縁体22のホルダ部36に嵌合する際に、絶縁体22の取付孔38に差し込まれてその取付孔38の縁部に係合して抜け止め係止する係止部としての複数の係止爪部79が突出形成されている。
【0043】
また、図4に示すように、配線部品である第4の接続部品12dは、絶縁性を有する合成樹脂材料によって形成されるハウジング、このハウジング内に配置される端子などを備えており、第4の接続部品取付部34dにスライドさせて着脱可能に取り付けられる。
【0044】
また、図12ないし図15に示すように、第5の接続部品12eは、例えばヒューズなどの電子部品82、この電子部品82を保持するハウジング45eを有している。
【0045】
電子部品82は、電子部品本体83を有し、この電子部品本体83の両端にリード線であるリード部84が接続されている。
【0046】
ハウジング45eは、絶縁性を有する合成樹脂材料によって形成され、ハウジング本体85を有し、このハウジング本体85の内部に電子部品82を収容する収容部86が形成されている。ハウジング本体85の一端面には電子部品82を収容部86に収容するために開口され、その開口が蓋体87によって閉塞されている。ハウジング本体85の他端面には接続部品取付部34aのホルダ部36の各開口部35位置に差し込み嵌合される一対の差込部88が突出形成され、これら各差込部88にリード部84が貫通する貫通孔89が形成されている。各リード部84の先端は各差込部88の端面より突出されている。
【0047】
この第5の接続部品12eを電路21に接続するためには一対のコンタクト92が用いられ、これらコンタクト92が絶縁体22の開口部35を通じて電路21の一面側から接続孔部29に差し込み装着される。
【0048】
これらコンタクト92は、導電性を有する金属板によって筒状に形成されており、軸方向の一端側に小径部93が形成され、他端側に大径部94が形成されている。小径部93の内面に内接部95が形成され、大径部94の外面に外接部96が形成されている。コンタクト92の周方向の1箇所には軸方向の全域にわたってスリット部97が形成されているとともに、このスリット部97に対して周方向の反対側には小径部93から大径部94の一部にわたってスリット部98が形成されている。
【0049】
コンタクト92の大径部94は、電路21の接続孔部29の内径より大径に形成されていてその接続孔部29への差し込み時に縮径方向に弾性変形し、この接続孔部29の内周面に外接部96が圧接して保持されるとともに電気的に接続される。大径部94の他端には接続孔部29の一面側の縁部に接合するフランジ状の接合部99が形成され、大径部94の外面には接合部99が接続孔部29の一面側の縁部に接合した状態で接続孔部29のフランジ部30に係合してコンタクト92を抜け止め係止するダボ状のストッパ部100が突出形成されている。
【0050】
コンタクト92の小径部93は、外接部96が接続孔部29に接触した状態つまりコンタクト92が縮径した状態で、第5の接続部品12eの電子部品82のリード部84の外径より小径となり、この状態でリード部84を圧入することによって内接部95にリード部84が圧接して保持されるとともに電気的に接続される。
【0051】
次に、図16および図17に示すように、第6の接続部品取付部34fは、電路21に外部からのケーブルを接続する端子台として機能するもので、絶縁体22の縁部に並設されている。絶縁体22の一面側22aにおいて、電路21の一面側および接続孔部29が開口する開口部35が形成され、この開口部35を絶縁体22の縁部方向および電路21に垂直な方向に開口しながらこの開口部35を囲むように略コ字形の接続枠部103が形成されている。絶縁体22の他面側22bにおいて、電路21の他面側および接続孔部29が開口する開口部35が形成され、この開口部35を電路21に垂直な方向に開口しながらこの開口部35を囲むように略四角形枠状の取付枠部104が形成されている。
【0052】
図16ないし図18に示すように、第6の接続部品12fは、係合孔107を有する略四角形の端子108、この端子108の係合孔107に回動可能に係合されたねじ109を有している。ねじ109は、ねじ軸部110、およびこのねじ軸部110の基端の頭部111を有し、ねじ軸部110の基端側にはワッシャ112を介して端子108の係合孔107が回動可能に係合され、ねじ軸部110の先端側周面には雄ねじ113が形成されている。端子108は接続枠部103の内側に嵌合されて開口部35を通じて電路21に対向配置され、ねじ109はねじ軸部110の先端が電路21の接続孔部29を貫通配置されている。
【0053】
図16および図19に示すように、第6の接続部品12fを電路21に接続するのに、結合部品116が用いられる。この結合部品116は、取付枠部104に嵌合可能とする四角形状に形成された基部117を有し、この基部117にねじ109の雄ねじ113が螺合する雌ねじを有するねじ孔118が形成されている。基部117の対向する辺には折曲部119が形成され、これら折曲部119の両端に爪部120が突設されている。結合部品116は、取付枠部104の内側に嵌合して圧入されて、基部116が電路21に当接した状態に配置され、この状態で両端の各爪部120が取付枠部104の内側に食い付いて抜け止め係止される。
【0054】
次に、配線装置の作用について説明する。
【0055】
まず、配線体11を製造するには、金属板25によって電路21を形成し、この金属板25を成形型にセットしてインサート成形により電路21を覆う絶縁体22を一体形成し、金属板25の枠連結部27や電路間連結部28などの不要な部分を切断分離する。
【0056】
そして、配線体11の仕様などに応じて、各接続部品12a,12b,12c,12d,12e,12fを用いるとともにこれらを配線体11の対応する各接続部品取付部34a,34b,34c,34d,34fに装着する。
【0057】
図1に示すように、第1の接続部品12aを第1の接続部品取付部34aに装着するには、コンタクト44aの各コンタクト部43aを絶縁体22の各開口部35を通じて各電路21の接続孔部29に差し込み、ハウジング45aをホルダ部36内に嵌合挿入し、係止爪部54を取付孔38に挿入して係止する。
【0058】
このように、第1の接続部品12aでは、コンタクト44aの各コンタクト部43aを絶縁体22の開口部35を通じて電路21の接続孔部29に差し込むことにより、その各コンタクト部43aが接続孔部29に圧接して保持するとともに電気的に接続するので、はんだ付けによる接続が必要なく、はんだ付け作業を省くことができ、第1の接続部品12aを容易に接続できる。
【0059】
第1の接続部品12aのハウジング45aにコンタクト44aを保持し、このコンタクト44aのコンタクト部43aを電路21の接続孔部29に差し込んだ接続状態でハウジング45aの係止爪部54が絶縁体22の取付孔38に係止するので、コンタクト44aのコンタクト部43aと電路21の接続孔部29との接続状態を確実に保持できる。
【0060】
コンタクト44aのコンタクト部43aを電路21の接続孔部29の内径より大径の断面略C字形に形成し、このコンタクト部43aを接続孔部29に差し込むことで縮径方向に弾性変形させるようにしたので、接続孔部29に対するコンタクト部43aの保持および電気接続を確実にできる。
【0061】
この第1の接続部品12aでは、コンタクト44aを通じて電路21間を電気的に接続できる。
【0062】
また、第2の接続部品12bを第2の接続部品取付部34bに装着するには、各コンタクト44bのコンタクト部43bを絶縁体22の各開口部35を通じて各電路21の接続孔部29に差し込み、ハウジング45bをホルダ36内に嵌合挿入し、各係止爪部54を各取付孔38に挿入して係止する。
【0063】
したがって、この第2の接続部品12bにおいても、第1の接続部品12aと同様の作用効果を奏する。
【0064】
また、第3の接続部品12cを第3の接続部品取付部34cに装着するには、各コンタクト44cのコンタクト部43cを絶縁体22の各開口部35を通じて各電路21の接続孔部29に差し込み、ハウジング45cをホルダ36内に嵌合挿入し、各係止爪部54を各取付孔38に挿入して係止する。
【0065】
したがって、この第3の接続部品12cにおいても、第1の接続部品12aと同様の作用効果を奏する。
【0066】
この第3の接続部品12cでは、コンタクト44cを電子部品68のリード線70の接続にも兼用でき、電子部品68を電路21に容易に接続できる。
【0067】
また、第4の接続部品12dを第4の接続部品取付部34dに装着するには、第4の接続部品12dを第4の接続部品取付部34dに対してスライドさせることにより、絶縁体22から突出して略L字形に折曲された一対の接続板部31を第4の接続部品12dの内部に差し込み、この第4の接続部品12dの内部に有する各端子に各接続板部31を電気的に接続する。この第4の接続部品取付部34dに配置した第4の接続部品12dをボス40にねじ止めする。
【0068】
このように、金属板25の一部の接続板部31を絶縁体22から露出させ、この接続板部31が露出する位置に対応して絶縁体22に接続部品取付部34dを設けたので、第4の接続部品12dに絶縁体22から露出する電路21の接続板部31の先端が差し込まれて電気的に接続でき、この接続状態で第4の接続部品12dを絶縁体22の接続部品取付部34dに取り付けることができ、はんだ付けによる接続が必要なく、はんだ付け作業を省くことができ、第4の接続部品12dを容易に接続できる。
【0069】
また、第5の接続部品12eを第1の接続部品取付部34aに装着するには、まず、図15に示すように、一対のコンタクト92を絶縁体22の開口部35を通じて電路21の一面側から接続孔部29に差し込み装着する。これにより、コンタクト92が縮径方向に弾性変形し、コンタクト92の外接部96が接続孔部29の内周面に圧接して保持するとともに電気的に接続する。
【0070】
第5の接続部品12eのハウジング本体85の各差込部88から突出する各リード部84を絶縁体22の各開口部35を通じてコンタクト92内に差し込むとともに、各差込部88をホルダ36の各開口部35位置に差し込む。これにより、リード部84をコンタクト92の小径部93の内側である内接部95に圧入し、このリード部84に内接部95が圧接して保持するとともに電気的に接続する。
【0071】
このように、コンタクト92を絶縁体22の開口部35を通じて電路21の接続孔部29に差し込むことにより、そのコンタクト92の外接部96が接続孔部29に圧接して保持できるとともに電気的に接続できるので、このコンタクト92の内側に第5の接続部品12eの電子部品82のリード部84を差し込むことにより、リード部84にコンタクト92の内接部95が圧接して保持できるとともに電気的に接続でき、はんだ付けによる接続が必要なく、はんだ付け作業を省くことができ、第5の接続部品12eを容易に接続できる。
【0072】
なお、第5の接続部品12eの電子部品82のリード部84は、リード線のほか、リード線に端子などの他の接続部材を接続してもよい。
【0073】
第5の接続部品12eは、ハウジング45eを用いず、リード部84を有する電子部品82のみでもよい。
【0074】
また、第6の接続部品12fを第6の接続部品取付部34fに装着するには、結合部品116を取付枠部104の内側に嵌合圧入して基部116が電路21に当接した状態に抜け止め係止させた後、第6の接続部品12fの端子108を接続枠部103の内側に嵌合して開口部35を通じて電路21に対向配置し、ねじ109のねじ軸部110の先端を電路21の接続孔部29に挿入して結合部品116のねじ孔118に螺合する。
【0075】
そして、電路21と端子108との間に外部から接続する図示しないケーブルを挟み込むように配置し、ねじ109を締め付け操作することにより、端子108と結合部品116との間で電路21およびケーブルを挟み込んで保持するとともに電気的に接続できる。そのため、はんだ付けによる接続が必要なく、はんだ付け作業を省くことができ、第6の接続部品12fおよびケーブルを容易に接続できる。しかも、薄い電路21にねじ109を直接螺合できなくても、結合部品116を用いることにより、ねじ止めができる。
【0076】
また、複数の配線体11を隣接して配置する場合には、これら複数の配線体11の電路21間を電気的に接続するのにも接続部品12を用いることができ、配線体11間の電気的な接続を容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の一実施の形態を示す配線装置の一部を切り欠いた斜視図である。
【図2】同上配線装置の斜視図である。
【図3】同上配線装置のコンタクト接続部分の裏面側の斜視図である。
【図4】同上配線装置の電路の接続板部を示す斜視図である。
【図5】同上配線装置の電路の一部を省略した斜視図である。
【図6】同上配線装置の電路間接続用の接続部品の斜視図である。
【図7】同上配線装置の電路間接続用の接続部品に用いるコンタクトの斜視図である。
【図8】同上配線装置の他の接続部品の斜視図である。
【図9】同上配線装置の他の接続部品のコンタクトの斜視図である。
【図10】同上配線装置の電子部品を備えた接続部品の斜視図である。
【図11】同上配線装置の電子部品を備えた接続部品用のコンタクトの斜視図である。
【図12】同上配線装置の他の電子部品を備えた接続部品の接続状態の一部を切り欠いた斜視図である。
【図13】同上配線装置の他の電子部品を備えた接続部品の分解状態の斜視図である。
【図14】同上配線装置の他の電子部品を備えた接続部品用のコンタクトを接続した状態の一部を切り欠いた斜視図である。
【図15】同上配線装置の他の電子部品を備えた接続部品用のコンタクトの斜視図である。
【図16】同上配線装置のさらに他の接続部品の接続状態の一部を切り欠いた斜視図である。
【図17】同上配線装置のさらに他の接続部品の接続状態の斜視図である。
【図18】同上配線装置のさらに他の接続部品の斜視図である。
【図19】同上配線装置のさらに他の接続部品の結合部品の斜視図である。
【符号の説明】
【0078】
11 配線体
12 接続部品
21 電路
22 絶縁体
25 金属板
29 接続孔部
31 接続板部
34d 接続部品取付部
35 開口部
38 被係止部としての取付孔
43 コンタクト部
44 コンタクト
45 ハウジング
54 係止部としての係止爪部
64 係止部としての係止爪部
68 電子部品
79 係止部としての係止爪部
82 電子部品
84 リード部
92 コンタクト
95 内接部
96 外接部
108 端子
109 ねじ
116 結合部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板によって回路が形成され、この金属板に複数の接続孔部が設けられた電路と、
この電路の各接続孔部を露出させる開口部を有し、前記電路を覆って絶縁する絶縁体と、
この絶縁体の開口部を通じて前記電路の接続孔部に差し込まれその接続孔部に圧接して保持されるとともに電気的に接続されるコンタクトを有する接続部品と
を具備していることを特徴とする配線装置。
【請求項2】
絶縁体は、開口部の近傍位置に設けられた被係止部を有し、
接続部品は、コンタクトを保持しこのコンタクトを電路の接続孔部に差し込んだ接続状態で前記絶縁体の被係止部に係止される係止部が設けられたハウジングを有している
ことを特徴とする請求項1記載の配線装置。
【請求項3】
接続部品は、電路の複数の接続孔部に差し込まれる複数のコンタクト部が設けられた電路間接続用のコンタクトを有している
ことを特徴とする請求項1または2記載の配線装置。
【請求項4】
接続部品は、複数のコンタクト、およびこれらコンタクトに電気的に接続された電子部品を有している
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の配線装置。
【請求項5】
電路および絶縁体を有する複数の配線体を備え、これら複数の配線体の電路間を接続部品によって電気的に接続する
ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載の配線装置。
【請求項6】
金属板によって回路が形成され、この金属板に複数の接続孔部が設けられた電路と、
この電路の各接続孔部を露出させる開口部を有し、前記電路を覆って絶縁する絶縁体と、
外接部および内接部を有する筒状に形成され、前記絶縁体の開口部を通じて前記電路の接続孔部に差し込まれその接続孔部に外接部が圧接して保持されるとともに電気的に接続されるコンタクトと、
このコンタクトの内側に差し込まれそのコンタクトの内接部に圧接して保持されるとともに電気的に接続されるリード部が設けられた電子部品を有する接続部品と
を具備していることを特徴とする配線装置。
【請求項7】
金属板によって回路が形成され、この金属板に複数の接続孔部が設けられた電路と、
この電路の一面側および他面側の両面側で各接続孔部を露出させる開口部を有し、前記電路を覆って絶縁する絶縁体と、
この絶縁体の一面側から開口部を通じて前記電路に対向する端子、およびこの端子に回動可能に係合されて前記電路の接続孔部に挿通されるねじを有する接続部品と、
前記絶縁体の他面側から開口部を通じて前記電路に当接され、前記接続部品のねじが螺合する結合部品と
を具備していることを特徴とする配線装置。
【請求項8】
金属板によって回路が形成され、この金属板の一部に接続板部が設けられた電路と、
この電路の接続板部が露出する状態で電路を覆って絶縁し、接続板部が露出する位置に対応して接続部品取付部が形成された絶縁体と、
この絶縁体から露出する前記電路の接続板部の先端が差し込まれて電気的に接続されるとともに前記絶縁体の接続部品取付部に取り付けられる接続部品と
を具備していることを特徴とする配線装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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