説明

配線設計システム及び配線設計方法

【課題】屋内配線に関する設計データを早期に完成すること。
【解決手段】配線設計システム1は、クライアント端末10と設計サーバ20とを備えている。クライアント端末10は、入力画面Dを介して、間取り図の画像データの入力と、その間取り図に対する電気設備の設置位置を示す設備データの入力とを受け付ける入力受付部11と、受け付けられた画像データ及び設備データを含む依頼データを設計サーバ20に送信する通信部12とを備えている。設計サーバ20は、その依頼データを受信する通信部21と、受信された依頼データに基づいて、設備データで示される電気設備の配線を決定する設計部22と、決定された配線を示す配線データと、受信された依頼データとを含む設計データを記憶する記憶部25とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内配線に関する設計データを管理する配線設計システム及び配線設計方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、屋内配線に関する設計データを管理する技術が知られている。例えば下記特許文献1には、複数のユーザコンピュータ間で共有できるように設計データを記憶する機能や、製品を生産する工場にその設計データを送信する機能を備える情報管理システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−272567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の情報管理システムの場合も含め、従来、屋内配線の設計データは、工事会社や工務店などの顧客から受け取った図面を基にCADオペレータにより入力されていた。このような場合には、図面の受渡し及び入力作業に一定以上の時間が費やされるので、その分、設計データの完成に時間が掛かってしまう。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、屋内配線に関する設計データを早期に完成することが可能な配線設計システム及び配線設計方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の配線設計システムは、ユーザが利用する第1のコンピュータと、ネットワークを介して該第1のコンピュータと通信可能な第2のコンピュータとを備える配線設計システムであって、第1のコンピュータが、入力画面を介して、間取り図の画像データの入力と、該間取り図に対する電気設備の設置位置を示す設備データの入力とを受け付ける受付手段と、受付手段により受け付けられた画像データ及び設備データを含む依頼データを第2のコンピュータに送信する送信手段と、を備え、第2のコンピュータが、送信手段により送信された依頼データを受信する受信手段と、受信手段により受信された依頼データに基づいて、設備データで示される電気設備の配線を決定する決定手段と、決定手段により決定された配線を示す配線データと、受信手段により受信された依頼データとを含む設計データを記憶する記憶手段と、を備える、ことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の配線設計方法は、ユーザが利用する第1のコンピュータと、ネットワークを介して該第1のコンピュータと通信可能な第2のコンピュータとを備える配線設計システム、により実行される配線設計方法であって、第1のコンピュータが、入力画面を介して、間取り図の画像データの入力と、該間取り図に対する電気設備の設置位置を示す設備データの入力とを受け付ける受付ステップと、第1のコンピュータが、受付ステップにおいて受け付けられた画像データ及び設備データを含む依頼データを第2のコンピュータに送信する送信ステップと、第2のコンピュータが、送信ステップにおいて送信された依頼データを受信する受信ステップと、第2のコンピュータが、受信ステップにおいて受信された依頼データに基づいて、設備データで示される電気設備の配線を決定する決定ステップと、第2のコンピュータが、決定ステップにおいて決定された配線を示す配線データと、受信ステップにおいて受信された依頼データとを含む設計データを記憶手段に記憶する記憶ステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
このような配線設計システム及び配線設計方法によれば、第1のコンピュータにおいて間取り図の画像とその図に対する電気設備の設置場所とが入力画面を介して入力され、第2のコンピュータに送信される。続いて、第2のコンピュータにおいて、入力データに基づいて電気設備の配線が決定され、設計データとして記憶される。このように、ユーザにより入力されたデータがネットワークを介して送信され、送信先においてその入力データに基づいて配線が設計されることで、屋内配線に関する設計データを早期に完成することができる。
【0009】
本発明の配線設計システムでは、受付手段が、記憶手段に記憶されている設計データを取得し、該設計データに含まれる設備データの編集を受け付け、送信手段が、受付手段により設備データが編集された設計データを依頼データとして送信することが好ましい。
【0010】
また、本発明の配線設計方法では、第1のコンピュータが、記憶手段に記憶されている設計データを取得して、該設計データに含まれる設備データの編集を受け付ける編集ステップと、第1のコンピュータが、編集ステップにおいて設備データが編集された設計データを依頼データとして第2のコンピュータに送信する再送ステップと、を更に含み、受信ステップでは、更に、再送ステップにおいて送信された依頼データを受信することが好ましい。
【0011】
この場合、生成された設計データが第1のコンピュータにおいて取得され、そのデータに対する編集が受け付けられる。そして、編集後の設計データが依頼データとして第2のコンピュータに送信される。これにより、第2のコンピュータにおいて、編集後の設計データに対して配線が決定されるので、設計変更を早期に実施することができる。
【0012】
本発明の配線設計システムでは、入力画面が、ウェブブラウザ上に実装されたウェブアプリケーションであることが好ましい。
【0013】
この場合、入力画面がウェブアプリケーションとしてユーザに提供されるので、第1のコンピュータにその入力画面を容易に実装することができる。
【発明の効果】
【0014】
このような配線設計システム及び配線設計方法によれば、ユーザにより入力されたデータがネットワークを介して送信され、送信先においてその入力データに基づいて配線が設計されるので、屋内配線に関する設計データを早期に完成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態に係る配線設計システムの全体構成を示す図である。
【図2】図1に示す配線設計システムの機能構成を示す図である。
【図3】図1に示すクライアント端末のハードウェア構成を示す図である。
【図4】図2に示す入力受付部が提供する入力画面の例を示す図である。
【図5】図2に示す設計部が生成する設計図面の例を示す図である。
【図6】図1に示す配線設計システムの動作を示すシーケンス図である。
【図7】図1に示す配線設計システムの、設計変更に関する動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
まず、図1〜5を用いて、実施形態に係る配線設計システム1の機能及び構成を説明する。
【0018】
配線設計システム1は、住宅などの建物内に配置された電気設備の屋内配線を自動的に設計するコンピュータシステムである。図1に示すように、配線設計システム1は、工事会社や工務店などの顧客(ユーザ)が利用するクライアント端末(第1のコンピュータ)10と、屋内配線を設計する会社に設置された設計サーバ(第2のコンピュータ)20と、その設計に基づいてユニットケーブル(配線ケーブル)を製造する工場に設置された工場端末30とを備えている。クライアント端末10及び設計サーバ20、並びに設計サーバ20及び工場端末30は、インターネットなどで構成されるネットワークNを介して互いに通信することができる。クライアント端末10と工場端末30とは通信不可である。図1では、クライアント端末10及び工場端末30を一つのみ示しているが、配線設計システム1はそれらの端末を複数備えていてもよい。
【0019】
まず、クライアント端末10について説明する。図2に示すように、クライアント端末10は機能的構成要素として入力受付部(受付手段)11及び通信部(送信手段)12を備えている。
【0020】
このクライアント端末10は、図3に示すように、オペレーティングシステムやアプリケーションプログラムなどを実行するCPU101と、ROM及びRAMで構成される主記憶部102と、ハードディスクなどで構成される補助記憶部103と、ネットワークカードなどで構成される通信制御部104と、キーボードやマウスなどの入力部105と、モニタなどの出力部106とで構成される。クライアント端末10の各機能は、CPU101や主記憶部102の上に所定のソフトウェアを読み込ませ、CPU101の制御の下で通信制御部104を動作させ、主記憶部102や補助記憶部103におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0021】
図2に戻って、入力受付部11は、ユーザが入力画面を介して入力したデータを受け付ける部分である。
【0022】
入力受付部11は図4に示すような入力画面Dをモニタ上に表示し、間取り図の画像データと、間取り図に対する電気設備の設置位置を示すシンボル(図記号)と、住所、間取り、面積などの物件情報と、分岐回路の区分け等に必要な設計補助情報の入力を受け付ける。なお、電気設備は、例えばコンセント口、スイッチ、照明器具などである。入力画面Dは、ウェブブラウザ上に実装されたウェブアプリケーションであり、間取り図やシンボルなどを表示する表示部Daと、各種編集作業を行うためのボタンDbとを含んでいる。この入力画面Dは、ユーザ登録された者のみが使用できる。
【0023】
アプリケーションの起動時にユーザ登録されたID及びパスワードが要求され、そのID及びパスワードが入力されると、入力画面Dは使用可能となる。ウェブブラウザがあれば、その他の特別なソフトウェアが不要であり、配信やシステムの更新が容易であるというメリットがある。クライアントからのアクセスによりサーバ上で起動する通常のウェブアプリケーションを用いず、起動ソフトをユーザの意識無く自動的にクライアント端末に取り込んで起動させることで、CAD操作という複雑な操作をすばやく行うことができる方式とすればより好ましい。
【0024】
ユーザが間取り図の画像ファイルを開く操作を行うと、表示部Da上に間取り図Mが表示される。このとき、入力受付部11は読み込まれた画像ファイルのデータを画像データとして保持する。なお、画像データのファイル形式は、例えばTIF(Tagged Image File)形式、BMP(ビットマップ)形式、PDF(Portable Document Format)形式、DXF(Drawing Interchange File)形式、SXF(Scadec data eXchange Format)形式であるが、これらに限定されない。
【0025】
続いて、ユーザはシンボルSを間取り図M上に配置する。このとき、入力受付部11はそのシンボルSの識別子、種類、描画位置(座標)などを示す設備データを生成し保持する。例えば、入力受付部11は、識別子「001」、種類「コンセント口」及び描画位置「x1,y1」を含む設備データを生成する。
【0026】
また、ユーザは分岐回路の区分け等に必要な設計補助情報を、例えば間取り図上に描画することで入力する。例えば、ユーザは、図4の画面Dにおいて間取り図M内に一つの分岐回路を配線する範囲を線で区切って区画を設ける。区画が設けられると、電気設備の配線を決定するときに区画を超えた配線は行われない。ただし、スイッチ回路に関して、ある区画内にある負荷(照明や換気扇など)を動作させるスイッチがその区画外にある場合には、区画を跨ぐ配線が行われる。区画が入力されると、入力受付部11はその区画の識別子や描画位置(座標)などを示す区画データを生成し保持する。更に、ユーザが物件情報を入力したときには、入力受付部11はその情報を保持する。
【0027】
ユーザは上記のような入力作業を行うことで、図4に示すような設備配置図Kを作成する。そして、ユーザがその設備配置図Kを設計サーバ20に送信するための操作を実行すると、入力受付部11は保持している画像データ、設備データ、区画データ及び物件情報と、ユーザを識別するユーザIDと、設計依頼を識別する依頼IDとを通信部12に出力する。なお、設備データ、区画データ及び物件情報はXML(Extensible Markup Language)形式で出力されるが、データ形式はこれに限定されず、任意の手法を用いてよい。
【0028】
入力受付部11は、更に、後述する設計データ及び見積データを設計サーバ20から取得して設計図面及び見積書を表示し、設計図面の編集を受け付ける機能も備えている。具体的には、入力受付部11はユーザの入力に基づいてユーザID及び依頼IDを含む図面要求信号を生成し通信部12に出力する。そして、その信号に応じて送られてきた設計データ及び見積データを表示部Daに表示する。また、入力受付部11は、一旦設計サーバ20に送信された依頼データを取得して、一度作成した設計図面の変更を受け付ける機能も備えている。この場合も、入力受付部11は上記と同様に図面要求信号を出力する。
【0029】
表示された設計図面に対して、ユーザはシンボルの位置を追加、変更、削除することが可能である。また、入力受付部11は屋内配線のシミュレーション機能を提供し、これにより、ユーザは設計図面上のスイッチをクリックすることで、そのスイッチをオン又はオフしたときの電気設備の状態(例えば照明の点灯及び消灯)を把握できる。入力受付部11は、編集された設計データ又は依頼データを通信部12に出力する。
【0030】
入力受付部11は、更に、設計図面及び見積りの内容に基づいて、屋内配線に関する部材などを発注するための指示を受け付ける機能も備えている。この場合、入力受付部11はユーザの入力に基づいてユーザID、依頼ID、納入日、納入場所などを含む発注情報を生成し、通信部12に出力する。
【0031】
通信部12は、設計サーバ20との間でデータを送受信する部分である。具体的には、通信部12は入力受付部11から入力されたユーザID、依頼ID、画像データ、設備データ、区画データ及び物件情報から構成される依頼データを設計サーバ20に送信する。編集された設計データが入力された場合には、通信部12はそのデータを依頼データとして設計サーバ20に送信する。この他に、通信部12は図面要求信号や発注情報を送信したり、設計データ及び見積データを受信したりする。
【0032】
次に、設計サーバ20について説明する。図2に示すように、設計サーバ20は機能的構成要素として通信部(受信手段)21、設計部(決定手段)22、価格データベース23、見積部24、記憶部(記憶手段)25、発注部26、工場データベース27、及びデータ管理部28を備えている。
【0033】
設計サーバ20のハードウェア構成は図3に示すものと同様であり、設計サーバ20の各機能がハードウェア上でどのように実現されるかも、上記クライアント端末10に関する説明と同様である。ただし、設計サーバは一つのハードウェアでなくてもよく、各機能的構成要素が別々のハードウェアに収められていてそれらのハードウェアが集合的に下記に説明する機能を果たすものであってもよい。例えば、サーバをラックで構成する場合には機能別にハードを分けることがある。
【0034】
通信部21は、クライアント端末10との間でデータを送受信する部分である。具体的には、通信部21はクライアント端末10から依頼データを受信しデータ管理部28に出力する。また、通信部21は受信した図面要求信号をデータ管理部28に出力し、これに応じてデータ管理部28から入力された設計データ及び見積データ、又は依頼データをクライアント端末10に送信する。更に、通信部21は受信した発注情報を発注部26に出力する。
【0035】
データ管理部28は、各種データを管理する部分である。通信部21から依頼データが入力された場合には、データ管理部28はそのデータを一旦記憶部25に出力し記憶させる。続いて、データ管理部28は記憶部25から依頼データを読み出して設計部22に出力することで、設計部22に設計データの生成を指示する。
【0036】
通信部21から図面要求信号が入力された場合には、データ管理部28はその信号に含まれるユーザID及び依頼IDに対応する設計データ及び見積データを記憶部25から読み出して通信部21に出力する。設計データ及び見積データが未だ生成されておらず記憶部25に存在しない場合には、データ管理部28はユーザID及び依頼IDに対応する依頼データを記憶部25から読み出して通信部21に出力する。この場合には、修正後の依頼データに基づいて後述する配線データが生成される。
【0037】
設計部22は、データ管理部28から入力された依頼データに基づいて電気設備の配線を決定する部分であり、CAD(Computer Aided Design)システムを含んで構成されている。設計部22は、図面データ、設備データ及び区画データに対して従来の配線決定手法を適用することで各電気設備の配線を決定し、各配線(各ユニットケーブル)について、配線の識別子、位置(座標)、長さなどを含む配線データを生成する。そして、設計部22は入力された依頼データと生成した配線データとを含んで構成される設計データを生成し、その設計データを見積部24及び記憶部25に出力する。具体的には、設計部22は分岐回路の区分けの作成、設備間の結線処理、区分けの結合又は分割、立上げ点及び引下げ点の決定、ユニットケーブルの配線、分電盤の配置、回路結線計算などを含む一連の処理を実行することで設計データを生成する。
【0038】
設計部22は設計データをDWG(オートデスク社製のCADソフトウェア、AutoCADの標準ファイル形式。DraWinG)、DXF(Drawing Interchange File)、PDF(Portable Document Format)などのような、CADシステムのファイル形式で生成する。または、設計部22はXMLやTiff等を組み合わせて設計データを生成する。この設計データに基づいて描画することで設計図面(屋内配線図)を得ることができる。例えば図4に示す設備配置図Kの依頼データが入力された場合には、設計部22は図5の設計図面を示す設計データを生成する。図5において符号Lで示されているものが配線である。
【0039】
編集された設計データが依頼データとして入力された場合には、設計部22はそのデータに対して上記処理を実行することで、配線データを更新する(設計変更)。
【0040】
価格データベース23は、屋内配線の工事費用に算出に用いるデータを記憶する部分である。具体的には、価格データベース23は、電気設備及びユニットケーブルの種類とその単価とを含む商品データなどを予め記憶している。
【0041】
見積部24は、設計部22から入力された設計データに基づいて電気設備の配線の見積りを作成する部分である。見積部24は設計データに含まれる各電気設備及び各ユニットケーブルに対応する商品データを読み出し、設備データ、配線データ及び商品データに基づいて、屋内配線に必要な部材の金額などを算出する。そして、見積部24は算出結果、ユーザID及び依頼IDを含む見積データを生成し、記憶部25に出力する。
【0042】
また、見積部24は、屋内配線の設計及び見積りが完了したことを示す電子メールを生成し、通信部21を介してクライアント端末10のユーザに送信する。これにより、ユーザは設計図面及び見積りが作成されたことを知ることができる。
【0043】
見積部24は、編集された設計データに対しても上記と同様の処理を実行する(再見積り)。
【0044】
記憶部25は、データ管理部28から入力された依頼データと、設計部22から入力された設計データと、見積部24から入力された見積データとを記憶する部分である。
【0045】
発注部26は、通信部21から入力された発注情報に基づいて発注処理を実行する部分である。発注部26は、発注情報に含まれるユーザID及び依頼IDに対応する設計データを記憶部25から抽出する。続いて、発注部26は、各工場の生産能力及び稼動状況を記憶している工場データベース27からデータを読み出し、そのデータに基づいて、設計データに基づく製品の製造をどの工場に依頼するかを決定する。この決定方法は任意であるが、例えば発注部26は、最も稼働率が低い工場を選択してもよいし、ユーザに最も近い場所に位置している工場を選択してもよい。続いて、発注部26は選択した工場の工場端末30に設計データ及び発注情報を送信する。
【0046】
次に、図6,7を用いて、図1に示す配線設計システム1の動作を説明するとともに本実施形態に係る配線設計方法について説明する。
【0047】
まず、図6を用いて、設計変更を含まない基本的な動作手順を説明する。クライアント端末10において、入力受付部11が画像データ、設備データ、区画データ及び物件情報の入力を受け付ける(ステップS11、受付ステップ)。続いて、通信部12がそれらのデータを依頼データとして設計サーバ20に送信する(ステップS12、送信ステップ)。
【0048】
設計サーバ20では、通信部21がその依頼データを受信する(ステップS13、受信ステップ)。続いて、設計部22がそのデータに基づいて各電気設備の配線を決定し、設計データを生成する(ステップS14、決定ステップ)。この設計データは記憶部25に記憶される(ステップS15、記憶ステップ)。続いて、見積部24がその設計データに基づいて見積データを生成する(ステップS16)。この見積データも記憶部25に記憶される(ステップS17)。
【0049】
その後設計が確定すると、クライアント端末10のユーザは発注情報を入力する。このとき、入力受付部11がその発注情報を受け付け、通信部12がその情報を設計サーバ20に送信する(ステップS18)。設計サーバ20では、発注部26が製品を製造する工場を決定し(ステップS19)、発注情報及び設計データを選択した工場の工場端末30に送信する(ステップS20)。その後、選択された工場において屋内配線に関する製品(例えばユニットケーブル)が製造され、ユーザに納品される。
【0050】
次に、図7を用いて、設計変更に関する動作手順を説明する。図7におけるステップS31〜S35の処理は、上記ステップS11〜S17の処理と同様である。その後、クライアント端末10のユーザが設計変更を開始するための操作を行うと、入力受付部11が図面要求信号を生成し通信部12がその信号を設計サーバ20に送信する(ステップS36)。設計サーバ20では、データ管理部28がその信号に対応する設計データ及び見積データ、又は依頼データを記憶部25から読み出し(ステップS37)、通信部21がそのデータをクライアント端末10に送信する(ステップS38)。
【0051】
クライアント端末10では、入力受付部11が受信データに対する編集を受け付ける(ステップS39、編集ステップ)。続いて、通信部12が編集されたデータを依頼データとして設計サーバ20に送信する(ステップS40、再送ステップ)。その後設計サーバ20で実行されるステップS41〜S43の処理は、上記ステップS33〜S35の処理と同様である。図7では、ステップ36が、見積データを生成し記憶するステップ35の後である場合を示したが、ステップ36の処理が、まだ設計データが生成されていない時点、すなわちステップ34の前で実行されることもある。その場合、ステップ38で送信されるデータは依頼データとなる。
【0052】
上記ステップS36〜S43の処理は、クライアント端末10のユーザが設計変更を行う度に繰り返し実行される。そして設計が確定すると、ユーザの発注指示の入力に基づいて、図6に示すステップS18〜S20の処理が実行される。
【0053】
以上説明したように、本実施形態によれば、クライアント端末10において間取り図の画像とその図に対する電気設備の設置場所とが入力画面を介して入力され、依頼データとして設計サーバ20に送信される。続いて、設計サーバ20において、依頼データに基づいて電気設備の配線が決定され、設計データとして記憶される。これにより、従来のように、ユーザが設計会社に図面を渡して配線の設計を依頼し、設計会社が配線だけでなく間取り図や電気設備の配置を改めて入力する場合と比べて、屋内配線に関する設計データを早期に完成することができる。
【0054】
また、本実施形態によれば、生成された設計データがクライアント端末10において取得され、そのデータに対する編集が受け付けられる。そして、編集後の設計データが依頼データとして設計サーバ20に送信される。これにより、設計サーバ20において、編集後の設計データに対して配線が決定されるので、設計変更を早期に実施することができる。
【0055】
また、本実施形態によれば、入力画面Dがウェブアプリケーションとしてユーザに提供されるので、ユーザに特別なインストール作業を要求することなく、自動ダウンロードによりクライアント端末10にその入力画面を容易に実装することができる。
【0056】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で以下のような様々な変形が可能である。
【0057】
上記実施形態では入力画面をウェブアプリケーションで実現したが、Java(登録商標)アプリケーションなどの他の手法により、クライアント端末10に入力画面を実装してもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…配線設計システム、10…クライアント端末(第1のコンピュータ)、11…入力受付部(受付手段)、12…通信部(送信手段)、20…設計サーバ(第2のコンピュータ)、21…通信部(受信手段)、22…設計部(決定手段)、23…価格データベース、24…見積部、25…記憶部(記憶手段)、26…発注部、27…工場データベース、28…データ管理部、30…工場端末、D…入力画面、N…ネットワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが利用する第1のコンピュータと、ネットワークを介して該第1のコンピュータと通信可能な第2のコンピュータとを備える配線設計システムであって、
前記第1のコンピュータが、
入力画面を介して、間取り図の画像データの入力と、該間取り図に対する電気設備の設置位置を示す設備データの入力とを受け付ける受付手段と、
前記受付手段により受け付けられた画像データ及び設備データを含む依頼データを前記第2のコンピュータに送信する送信手段と、
を備え、
前記第2のコンピュータが、
前記送信手段により送信された依頼データを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された依頼データに基づいて、前記設備データで示される電気設備の配線を決定する決定手段と、
前記決定手段により決定された配線を示す配線データと、前記受信手段により受信された依頼データとを含む設計データを記憶する記憶手段と、
を備える、
ことを特徴とする配線設計システム。
【請求項2】
前記受付手段が、前記記憶手段に記憶されている設計データを取得し、該設計データに含まれる設備データの編集を受け付け、
前記送信手段が、前記受付手段により設備データが編集された設計データを前記依頼データとして送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の配線設計システム。
【請求項3】
前記入力画面が、ウェブブラウザ上に実装されたウェブアプリケーションである、請求項1又は2に記載の配線設計システム。
【請求項4】
ユーザが利用する第1のコンピュータと、ネットワークを介して該第1のコンピュータと通信可能な第2のコンピュータとを備える配線設計システム、により実行される配線設計方法であって、
前記第1のコンピュータが、入力画面を介して、間取り図の画像データの入力と、該間取り図に対する電気設備の設置位置を示す設備データの入力とを受け付ける受付ステップと、
前記第1のコンピュータが、前記受付ステップにおいて受け付けられた画像データ及び設備データを含む依頼データを前記第2のコンピュータに送信する送信ステップと、
前記第2のコンピュータが、前記送信ステップにおいて送信された依頼データを受信する受信ステップと、
前記第2のコンピュータが、前記受信ステップにおいて受信された依頼データに基づいて、前記設備データで示される電気設備の配線を決定する決定ステップと、
前記第2のコンピュータが、前記決定ステップにおいて決定された配線を示す配線データと、前記受信ステップにおいて受信された依頼データとを含む設計データを記憶手段に記憶する記憶ステップと、
を含むことを特徴とする配線設計方法。
【請求項5】
前記第1のコンピュータが、前記記憶手段に記憶されている設計データを取得して、該設計データに含まれる設備データの編集を受け付ける編集ステップと、
前記第1のコンピュータが、前記編集ステップにおいて設備データが編集された設計データを前記依頼データとして前記第2のコンピュータに送信する再送ステップと、
を更に含み、
前記受信ステップでは、更に、前記再送ステップにおいて送信された依頼データを受信する、
ことを特徴とする請求項4に記載の配線設計方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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