説明

配設体

【課題】造営材の前面より前側に配設体本体が突出しないように配設体本体を造営材に取り付ける作業に掛かる手間を減らし、かつ廃棄物を出すことなく配設体本体を造営材に取り付けることができる配設体を提供する。
【解決手段】配線ボックス10はボックス本体11を備える。さらに、当接部21を軽量形鋼材Pにおけるリップ部Pdの外面Pdaに当接させた状態で、側板部Pcの外面Pca側に配設されてリップ部Pdの外面Pdaにおける所定の位置にボックス本体11を位置合わせ可能とする挟持片23がボックス本体11から延設されている。挟持片23はシート状をなし、挟持片23の厚みは側板部Pcの外面Pcaと壁材Waの裏面Wbとの間に挟み込まれても該壁材Waの立設の障害とならない厚さに設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物における造営材の前面側に立設された壁材の裏側に位置するように、造営材の前面に隣接する側面に取り付けられて使用される配設体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建築物の壁内には、該壁に設置される配線器具を収容する配線ボックス、配線ボックスを造営材(柱、軽量形鋼材等)に取り付けるためのボックス固定具、配線・配管材類を造営材に沿わせて配設するための配線・配管材保持具といった各種配設体が配設されるようになっている。前記壁は、一対の壁材が前記造営材の前後各面に当接するように立設されて構築される。そして、前記配設体は、前記造営材の前後両面に隣接する一側面に取り付けられ、該造営材への取付状態では、配設体は造営材における前面より前側へ突出せず、該配設体が造営材の前面側に立設される壁材の障害とならないように造営材に取り付けられる。
【0003】
例えば、前記配線ボックスが造営材に取り付けられる場合は、配線ボックスの前面が前記造営材の前面と略同一平面上に位置し、配線ボックスが造営材の前面から突出しないように造営材に取り付けられる。配線ボックスには、該配線ボックスの前面側の端面を造営材の前面と略同一平面上に位置させた状態を維持しながら、配線ボックスの造営材への取付を可能にする位置決め手段が設けられている(例えば、特許文献1参照。)
特許文献1に記載の配線ボックスは、有底四角箱状をなすボックス本体を備え、該ボックス本体の側壁には造営材の側面に当接する取付座面が形成されている。また、ボックス本体の前面側には係止部が設けられている。この係止部は、前記取付座面に直交する方向に沿ってボックス本体から離間するように矩形板状に突出し、後面にボックス本体の前面側の端面と同一平面上に位置する係止面を有している。また、係止部は、該係止部とボックス本体とを連結する連結構造を介して前記ボックス本体に連結され、前記連結構造には、前記係止部と前記ボックス本体とを分断するための分断手段が設けられている。
【0004】
そして、上記配線ボックスを造営材に取り付ける際、取付座面を造営材の側面に当接させ、係止部の係止面を造営材の前面に係止させると、ボックス本体の前面側の端面と造営材の前面とを同一平面上に位置させることができる。そして、この状態で取付ねじによって配線ボックスを造営材に取り付けると、ボックス本体の前面側の端面が造営材の前面と同一平面上に位置するように配線ボックスを取り付けることができる。
【特許文献1】特開2007−97391号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、造営材に配線ボックスを取り付けた後、造営材の前側には壁材が設置される。特許文献1に記載の配線ボックスにおいて、係止部はボックス本体の前面側の端面から前方に向けて突出するとともに、ボックス本体の側方へ向けて突出する矩形状に形成されている。そして、係止部が造営材の前面に係止した状態では、係止部が造営材の前面から前側へ突出し、該係止部が壁材の立設に際し大きな障害となってしまう。このため、特許文献1の配線ボックスにおいては、係止部を分断手段を用いてボックス本体から分断する作業を必要とし、その分断された係止部により廃棄物が出るという問題があった。
【0006】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、造営材の前面より前側に配設体本体が突出しないように配設体本体を造営材に取り付ける作業に掛かる手間を減らし、かつ廃棄物を出すことなく配設体本体を造営材に取り付けることができる配設体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、建築物における造営材の前面側に立設された壁材の裏側に位置するように、前記造営材の前面に隣接する側面に取り付けられて使用される配設体であって、配設体本体を備え、該配設体本体には前記造営材の側面に当接させる当接部が設けられ、さらに、前記当接部を前記造営材の側面に当接させた状態で、前記造営材の前面側に配設されて前記造営材の側面における所定の位置に前記配設体本体を位置合わせ可能とする挟持片が配設体本体から延設されており、前記挟持片はシート状をなし、挟持片の厚みは前記造営材の前面と前記壁材の裏面との間に挟み込まれても該壁材の立設の障害とならない厚さに設定されている。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の配設体において、前記挟持片は、前記配設体本体を前記側面における所定の位置に位置合わせした状態で造営材を手で掴んだ際に、前記造営材の前面と手で挟持可能な大きさに形成されていることを要旨とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の配設体において、前記挟持片は、少なくとも前記配設体本体側となる基端側から折り曲げ可能であることを要旨とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の配設体において、前記挟持片は可撓性を有するものである。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の配設体において、前記挟持片は、透明であることを要旨とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の配設体において、前記配設体本体は合成樹脂よりなり、前記貼着部は前記配設体本体に一体成形されるとともに剛性を有する板状をなす。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6のうちいずれか一項に記載の配設体において、前記配設体本体には、該配設体本体を造営材の側面に取り付ける取付部材が挿通される取付孔が形成され、前記挟持片は、前記造営材の側面において前記取付部材が取り付けられる位置に前記取付孔を位置合わせする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7のうちいずれか一項に記載の配設体において、前記当接部は、前記造営材の側面に対する滑り止めを備えることを要旨とする。
請求項9に記載の発明は、請求項1〜請求項8のうちいずれか一項に記載の配設体において、前記配設体本体は、側壁によって囲み形成されるボックス開口部が前面に形成された配線ボックスのボックス本体であることを要旨とする。
【0014】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜請求項8のうちいずれか一項に記載の配設体において、前記配設体本体は、側壁によって囲み形成されるボックス開口部が前面に形成された配線ボックスを前記造営材に取り付けるために、前記配線ボックスが取り付けられるとともに前記造営材に固定される取付台座の台座本体であることを要旨とする。
【0015】
請求項11に記載の発明は、請求項1〜請求項8のうちいずれか一項に記載の配設体において、前記配設体本体は、側壁によって囲み形成されるボックス開口部が前面に形成された配線ボックスを前記造営材から離れた位置に配設するために、前記配線ボックスが取り付けられるとともに前記造営材に固定されるボックス固定具の固定具本体であることを要旨とする。
【0016】
請求項12に記載の発明は、請求項1〜請求項8のうちいずれか一項に記載の配設体において、前記配設体本体は、配線又は配管材を保持する配線・配管材保持具の保持具本体であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、造営材の前面より前側に配設体本体が突出しないように配設体本体を造営材に取り付ける作業に掛かる手間を減らし、かつ廃棄物を出すことなく配設体本体を造営材に取り付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の配設体を、造営材としての軽量形鋼材に取り付けられる配線ボックスに具体化した一実施形態を図1〜図5にしたがって説明する。
まず、配線ボックスが設置される壁としての軽量間仕切壁Wについて説明する。図1に示すように、軽量間仕切壁Wは、天井(図示せず)と床(図示せず)に固定される上下一対のランナーRと、該ランナーR間に立設された複数の軽量形鋼材Pと、該軽量形鋼材Pを挟むように立設される壁材Waとから構築されている。前記壁材Waは、一般的に使用される石膏ボードが用いられる。前記ランナーRは長尺状をなすとともに、ランナーRの長さ方向に対して直交する断面視がコ字状をなし、長さ方向へ延びる開口を有する。そして、ランナーRが天井と床それぞれに固定された状態では、両ランナーRの開口が互いに対向している。
【0019】
図1及び図5に示すように、前記軽量形鋼材Pは、薄鋼板からなり、軽量形鋼材Pの立設方向(長さ方向)に対して直交する方向への平断面視が略C字状をなすC型鋼である。軽量形鋼材Pは、立設方向に延びる開口部Paと、該開口部Paに相対向する背面板部Pbと、該背面板部Pbを挟む一対の側板部Pcとからなる。また、前記開口部Paは、前記一対の側板部Pcから延設された相対向する一対のリップ部Pdの間に形成されているとともに、各リップ部Pdは前記背面板部Pbと相対向している。
【0020】
そして、軽量形鋼材Pを挟むように立設される壁材Waのうち一方の壁材Waは、一対の側板部Pcのうち一方の側板部Pc側に立設され、他方の壁材Waは他方の側板部Pc側に立設される。ここで、一方の壁材Waが立設される一方の側板部Pc側が軽量形鋼材Pの前面側となり、他方の壁材Waが立設される他方の側板部Pc側が軽量形鋼材Pの後面側となる。また、軽量形鋼材Pにおいて、リップ部Pdの外面Pdaが軽量形鋼材Pの側面となる。
【0021】
次に、軽量間仕切壁Wに配線器具(例えば、スイッチ)を設置するため、一方の側板部Pc側(軽量形鋼材Pの前面側)に立設された壁材Waの裏側に位置するように、リップ部Pdの外面Pda(軽量形鋼材Pの側面)に取り付けられて使用される配設体としての配線ボックス10について説明する。なお、配設体(配線ボックス10)とは、軽量間仕切壁Wに配線器具(例えば、スイッチ)を設置するために軽量間仕切壁W内に配設され、該軽量間仕切壁W内の軽量形鋼材Pに取り付けられるものである。
【0022】
図2及び図3に示すように、配線ボックス10は合成樹脂材料よりなり、有底四角箱状に形成された配設体本体としてのボックス本体11を備える。前記ボックス本体11は、四角板状をなす底壁12と、該底壁12の側縁に立設された側壁13〜16とから形成されるとともに、前記側壁13〜16によって囲み形成されたボックス開口部Saを前面に有している。図2及び図5の2点鎖線に示すように、ボックス本体11において、底壁12と相対向し前記ボックス開口部Saが開口する前記前面を、ボックス本体11の開口面Sとし、全ての側壁13〜16において、ボックス開口部Sa側の端面は全て開口面S上に位置している。なお、側壁13〜16のうち、ボックス本体11の短辺側の一対の側壁を上側壁13と下側壁14とし、長辺側の一対の側壁を左側壁15と右側壁16とする。
【0023】
前記左側壁15の開口面S側には、該左側壁15に隣接する上側壁13と下側壁14とを連結する方向(以下、左側壁15の長さ方向とする)に延びる延設部15aが設けられている。この延設部15aは、左側壁15の壁面に対して直交するように外方へ延設されるとともに、延設部15aにおけるボックス開口部Sa側の面は開口面S上に位置している。すなわち、延設部15aは、左側壁15におけるボックス開口部Sa側の端面の一部を構成している。
【0024】
また、左側壁15には、該左側壁15の正面視で矩形状をなす当接部21が一体形成されている。当接部21において、ボックス本体11の外方へ臨み、左側壁15の壁面に対して平行をなす端面は、滑り止めとしてのゴム材Gによって覆われ、該ゴム材Gの表面によって当接面21aが形成されている。この当接面21aは前記延設部15aにおいて左側壁15の壁面に対して平行をなす面と同一平面上に位置している。
【0025】
また、当接部21には略円孔状をなす取付孔27が複数(本実施形態では2つ)形成されるとともに、各取付孔27はボックス本体11を軽量形鋼材Pに取り付けるための取付部材としてのねじNを挿通可能に形成されている(図5参照)。なお、取付孔27の直径は、ねじNの直径より大きくなっている。このため、ボックス本体11を軽量形鋼材Pに取り付ける際、ねじNを取付孔27に挿通して軽量形鋼材Pに強制的に螺入する際、ねじNは取付孔27の周面にはねじ込まれることがない。
【0026】
そして、図5に示すように、配線ボックス10を軽量形鋼材Pに取り付ける際、当接部21の当接面21aはリップ部Pdの外面Pdaに当接されるようになっている。なお、本実施形態では、配線ボックス10を軽量形鋼材Pへ取り付ける際、当接部21(当接面21a)は、一方の側板部Pc側に位置するリップ部Pdの外面Pdaに当接するようになっている。また、この当接状態において、2つの取付孔27のうち、ボックス本体11のボックス開口部Sa側の取付孔27にねじNが挿通され、軽量形鋼材Pのリップ部Pdへ螺入されるようになっている。
【0027】
前記延設部15a(左側壁15)には、2つの係合突部22が左側壁15の壁面に対して直交するように、外方へ突設されている。各係合突部22は、前記当接部21(当接面21a)をリップ部Pdの外面Pdaに当接させた状態で、リップ部Pdと、該リップ部Pdに隣接する側板部Pcとの間のコーナ部Cに係合可能に形成されている。すなわち、各係合突部22は、前記コーナ部Cに沿った円弧状をなしている。また、図4に示すように、延設部15aにおいて、該延設部15aの長さ方向における中間位置、すなわち、左側壁15の長さ方向における中間位置には、突起状をなす目印24が設けられている。
【0028】
ボックス本体11において、左側壁15の内面にはシート状をなす挟持片23が貼着され、挟持片23はボックス本体11に一体化されている。挟持片23は、透明の合成樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等)により四角形状に形成され、可撓性を有し、容易に折り曲げ可能である一方で、折り曲げられた状態から原形状に自身で復帰しないような強度を有している。挟持片23の基端部23aは、左側壁15の長さ方向における中央部の内面に貼着されている。なお、挟持片23の基端部23aは、左側壁15に形成された3つの取付孔27のうち真ん中の取付孔27を覆うようにして左側壁15の内面に貼着されている。
【0029】
挟持片23は、左側壁15の内面に貼着された基端部23a以外の部位がボックス本体11の開口面Sよりボックス本体11外へ突出している。そして、挟持片23を、その先端側を左側壁15の外面側に向けて折り曲げると、挟持片23はその先端が左側壁15の外面を越える位置まで到達する長さになっている。よって、当接面21aをリップ部Pdの外面Pdaに当接させ、挟持片23を該リップ部Pdに隣接する側板部Pcの外面Pcaに向けて折り曲げたとき、該側板部Pcの外面Pcaより前側に挟持片23が位置するように該挟持片23はボックス本体11から延設されている。
【0030】
また、挟持片23の平面形状は人の親指より大きくなっている。さらに、挟持片23は所要の強度を有している。なお、所要の強度とは、前記ねじNを挟持片23に突き刺したとき、ねじNは挟持片23を貫通するがその貫通部以外の部位は破れることがないような強度のことである。また、挟持片23の厚みは非常に薄くなっており、挟持片23の厚みは0.3〜2mmに設定されるのが好ましい。挟持片23の厚みが0.3mmより薄いと、挟持片23に前記所要の強度が無くなり、ねじNを挟持片23に突き刺したとき、挟持片23が全体に亘って破れてしまい好ましくない。一方、挟持片23の厚みが2mmを越えると、挟持片23が側板部Pcの外面Pcaと壁材Waの裏面Wbとの間に挟み込まれたとき(図5参照)、挟持片23の厚みにより壁材Waが浮き上がってしまうため好ましくない。そして、本実施形態では挟持片23の厚みは1mmに設定されている。すなわち、挟持片23は、側板部Pcの外面Pcaと壁材Waの裏面Wbとの間に挟み込まれたとき、挟持片23が該壁材Waの立設の障害とならない厚さに設定されている。挟持片23には、左側壁15の外面に対し平行に延びる複数の目盛25が等間隔おきに複数設けられている。
【0031】
次に、上記配線ボックス10の軽量形鋼材Pへの取付方法について説明する。
まず、図1に示すように、ランナーRに複数の軽量形鋼材Pが立設された状態において、軽量形鋼材Pの立設方向において、配線ボックス10の長さ方向中間位置にある目印24を合致させる箇所に基準線29を表示させておく。次に、軽量形鋼材Pに対し、当接部21の当接面21aをリップ部Pdの外面Pdaに当接させるとともに、目印24を基準線29に合致させる。さらに、図4に示すように、挟持片23を左側壁15の外方に向けて折り曲げ、挟持片23を当接部21が当接したリップ部Pdに隣接する側板部Pcの外面Pcaより前側に配設する。このとき、挟持片23は透明であるため、目印24と基準線29を挟持片23を介して視認することができる。
【0032】
そして、軽量形鋼材Pを背面板部Pb側から手で掴むと、親指が位置する場所となる側板部Pcの前側に挟持片23が配設されており、軽量形鋼材Pと共に挟持片23を手により掴むことが可能になっているとともに、挟持片23を側板部Pcに向けて親指で押圧することができる。そして、該親指によって挟持片23を押圧すると挟持片23の裏面が側板部Pcの外面Pcaに押し当てられるとともに、親指と側板部Pcとの間に挟持片23が挟持される。すると、配線ボックス10は手により軽量形鋼材Pに保持される。
【0033】
そして、挟持片23を側板部Pcの幅方向に沿って移動させ、図5に示すように、ボックス本体11の開口面Sが側板部Pcの外面Pcaと略同一平面上に位置するように、すなわち、ボックス本体11の開口面Sが側板部Pcの外面Pcaより前側へ突出しないように配線ボックス10を所定の位置に位置合わせする。すると、挟持片23が親指と側板部Pcとの間に挟持されることにより、当接部21をリップ部Pdの外面Pdaに当接させた状態で、ボックス本体11の開口面Sが側板部Pcの外面Pcaより前側へ突出しないように配線ボックス10が軽量形鋼材Pに保持される。なお、この保持状態では、開口面S側の取付孔27は、リップ部Pdに対向する位置にある。よって、「所定の位置」とは、ボックス本体11の開口面Sが側板部Pcの外面Pcaより前側へ突出しない位置であり、詳しくはボックス本体11の開口面Sが側板部Pcの外面Pcaと略同一平面上に位置する位置のことであって、さらには、ねじNが螺入される位置(リップ部Pd)に取付孔27を位置合わせした位置のことである。また、係合突部22が、リップ部Pdと側板部Pcとの間のコーナ部Cに係合する。さらに、当接部21が備えるゴム材Gによって配線ボックス10がリップ部Pd上で滑ることが抑制されている。
【0034】
そして、前記保持状態のまま挟持片23にねじNを突き刺し、そのまま取付孔27にねじNを挿通する。このとき、挟持片23は所要の強度を有し、取付孔27はねじNの直径より大きくなっている。このため、ねじNを挟持片23に突き刺したとき、挟持片23にねじNを保持させることができる。そして、ねじNをリップ部Pdに強制的に螺入する。このとき、ねじNは挟持片23に保持されるが、ねじNは挟持片23を貫通した位置で回転すると同時に、取付孔27の周面にねじ込まれることなく取付孔27内で回転する。加えて、当接部21が備えるゴム材Gによって配線ボックス10がリップ部Pd上で滑ることが抑制される。ねじNがリップ部Pdに螺入され、配線ボックス10が軽量形鋼材Pに取り付られた後は、軽量形鋼材の前後両側に壁材Waが立設され、該壁材Waが釘等によってランナーR及び軽量形鋼材Pに固定されて軽量間仕切壁Wが構築される。このように構築された軽量間仕切壁Wにおいて、一方の壁材Waの裏側に配線ボックス10が配設され、該配線ボックス10が備える挟持片23は、側板部Pcの外面Pcaと壁材Waの裏面Wbとの間に挟み込まれている。
【0035】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)ボックス本体11の左側壁15にはシート状をなす挟持片23が貼着され、該挟持片23は、当接部21をリップ部Pdの外面Pda(軽量形鋼材Pの側面)に当接させた状態で、該リップ部Pdに隣接する側板部Pcの外面Pca(軽量形鋼材Pの前面)より前側に配設される。そして、挟持片23を手と側板部Pcの間に挟持することにより、配線ボックス10を軽量形鋼材Pに保持し、ボックス本体11の開口面Sが側板部Pcの外面Pcaと略同一平面上に位置するようにボックス本体11をリップ部Pdの所定の位置に位置合わせすることができる。そして、配線ボックス10を軽量形鋼材Pに取り付けた後、側板部Pcの前側に壁材Waを立設した際、側板部Pcと壁材Waの間に挟持片23が挟み込まれても挟持片23の厚みは非常に薄いため、該挟持片23が壁材Wa立設の障害となることがない。したがって、挟持片23をボックス本体11から除去しなくても壁材Waを立設することができる。よって、背景技術のように配線ボックスを所定位置に位置決めするための部品(係止部)をボックス本体から除去する必要がある場合と異なり、軽量形鋼材Pに配線ボックス10を取り付ける作業に掛かる手間を減らし、かつ廃棄物を出すことなくボックス本体11を軽量形鋼材Pに取り付けることができる。
【0036】
(2)挟持片23は容易に折り曲げ可能になっている。このため、当接部21をリップ部Pdの外面Pdaに当接させた状態で挟持片23を側板部Pcに向けて容易に折り曲げることができ、挟持片23を手と側板部Pcとの間に挟持し、軽量形鋼材Pにボックス本体11を保持する作業を容易に行うことができる。
【0037】
(3)挟持片23は所要の強度を有し、挟持片23にねじNを突き刺しても挟持片23は全体に亘って破れないようになっている。よって、挟持片23を貫通してねじNを取付孔27から軽量形鋼材Pに螺入しても挟持片23が全体に亘って破れることがなく、挟持片23がボックス本体11から剥がれ落ちたりすることを防止することができる。
【0038】
(4)挟持片23は、可撓性を有し、容易に折り曲げ可能である一方で、折り曲げられた状態から原形状に自身で復帰しないような強度を有している。このため、折り曲げられた挟持片23を側板部Pcと手の間に挟持したとき、挟持片23が原形状に復帰して基端部23aが貼着されたボックス本体11が軽量形鋼材Pより前側に移動してしまうことを防止することができる。また、挟持片23に突き刺したねじNを挟持片23に保持することができ、ねじNを取付孔27からリップ部Pdに螺入する際、ねじNの脱落を防止することができる。加えて、取付孔27はねじNの直径より大きくなっている。このため、ねじNを螺入する力が取付孔27の周面を介してボックス本体11に伝わらず、リップ部Pd上で配線ボックス10が回転することが防止される。
【0039】
(5)挟持片23は、左側壁15における長さ方向中央部に設けられ、目印24も左側壁15における長さ方向中央部に設けられている。そして、挟持片23は透明であるため、目印24及び基準線29を覆うように挟持片23が折り曲げられ、該挟持片23が側板部Pcと手の間に挟持されても目印24及び基準線29を挟持片23を介して視認することができる。よって、挟持片23を挟持し、ボックス本体11の位置を調整するときも目印24と基準線29の位置を視認でき、ボックス本体11を軽量形鋼材Pの立設方向における正確な位置に取り付けることができる。
【0040】
(6)ボックス本体11に挟持片23が設けられ、挟持片23を側板部Pcと手の間に挟持することによりボックス本体11の開口面Sが側板部Pcの外面Pcaと略同一平面上に位置するように保持しながら配線ボックス10を軽量形鋼材Pに取り付ける作業を行うことができる。そして、挟持片23は非常に薄く、壁材Wa立設の障害にならないため、挟持片23を側板部Pcの外面Pcaと壁材Waの裏面Wbとの間に挟み込んで軽量間仕切壁Wを構築しても壁材Waの裏面Wbとボックス本体11の開口端とを接近させ、ボックス本体11と壁材Waとの間の隙間を小さくすることができる。よって、配線ボックス10の内側に収容される配線器具を配線ボックス10によって確実に保護することができるとともに、配線ボックス10内への埃等の侵入を抑制することができる。
【0041】
(7)挟持片23は折り曲げ可能であるため、配線ボックス10の保管時や運搬時は挟持片23をボックス本体11の内側に向けて折り曲げ、ボックス本体11内に収容することができ、挟持片23が保管や運搬の妨げになることを防止することができる。
【0042】
(8)当接部21において、ボックス本体11の外方へ臨み、左側壁15の壁面に対して平行をなす端面はゴム材Gによって覆われている。このため、挟持片23を挟持して配線ボックス10を軽量形鋼材Pに保持しながらねじNを取付孔27からリップ部Pdに螺入するとき、ゴム材Gによって配線ボックス10がリップ部Pd上で滑ることを防止することができる。よって、配線ボックス10が移動することを防止して、ボックス本体11の開口面Sが側板部Pcの外面Pcaと同一平面上に位置した状態に配線ボックス10を軽量形鋼材Pに取り付ける作業の作業性を向上させることができる。
【0043】
(9)挟持片23を手と側板部Pcの間に挟持し、配線ボックス10をリップ部Pdにおける所定の位置に位置決めしたとき、ねじNが螺入される(取り付けられる)リップ部Pdに対向する位置に取付孔27を位置合わせすることができる。
【0044】
(10)挟持片23は、軽量形鋼材Pの側板部Pcと壁材Waとの間に挟み込まれる。そして、軽量間仕切壁Wを構築するため、釘等を壁材Waを貫通させてランナーR及び軽量形鋼材Pに打ち込んだ際、釘等が挟持片23に打ち込まれることがあるが、挟持片23は非常に薄く形成されているため、釘等の打込に何ら障害となることがなく、挟持片23が軽量間仕切壁W構築の障害になることがない。
【0045】
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 図6及び図7に示すように、本発明の配設体を配線ボックスの取付台座30に具体化してもよい。なお、取付台座30に取り付けられる配線ボックス10は、取付孔27が左側壁15の短辺方向へ細長に延びる長孔状に形成されている。なお、この配設体(取付台座30)は、軽量間仕切壁Wに配線ボックス10を設置するために軽量間仕切壁W内に配設され、配線ボックス10が取り付けられた状態で、軽量間仕切壁W内の軽量形鋼材Pに取り付けられるものである。
【0046】
図7に示すように、取付台座30は、合成樹脂材料よりなる配設体本体としての矩形板状の台座本体31と、該台座本体31に一体化された挟持片23とからなる。前記台座本体31は、矩形状をなす。台座本体31の一面は、取付台座30に配線ボックス10が取り付けられる際に、配線ボックス10が取り付けられる取付面35を構成している。この取付面35の中央部には、取付突部36が台座本体31の一側辺(短側辺)方向に沿って細長板状に延びるとともに、取付面35に対して直交するように突設されている。また、この取付突部36の先端には係合突起36aが形成されている。
【0047】
そして、図6に示すように、この取付突部36は、前記取付孔27に対し挿入可能に形成されている。さらに、前記係合突起36aがその挿入された取付孔27の内面に係合するようになっている。台座本体31の取付面35において、前記一側辺(短側辺)に対し直交する一対の他側辺(長側辺)のうち一方の長側辺側には、2つの係止片37が形成されている。各係止片37は取付面35に対して交差する方向へ突出している。そして、取付突部36が取付孔27に挿入されたとき、係止片37は当接部21に形成された凹所21bに係止するようになっている。また、台座本体31において、前記取付面35に直交する一端面を前端面31aとする。係止片37が凹所21bに係止した状態では、係止片37が形成された側となる台座本体31の前端面31aは、ボックス本体11の開口面Sと同一平面上に位置するようになっている。このため、係止片37は台座本体31に取り付けられた配線ボックス10が前端面31aより突出しないように配線ボックス10の移動を規制するようになっている。
【0048】
そして、係合突起36aの取付孔27内面に対する係合と、係止片37の凹所21bに対する係止によって、台座本体31には配線ボックス10が取り付け可能になっている。また、台座本体31に配線ボックス10が取り付けられた状態では、前端面31aはボックス本体11の開口面Sと同一平面上に位置している。前記台座本体31において、前記取付面35に相対向する他面は、取付台座30を軽量形鋼材Pに固定する際に、軽量形鋼材Pのリップ部Pdに当接される当接部を構成している。また、台座本体31において、前記一対の短側辺側には、それぞれ2つの取付孔34が台座本体31を厚み方向へ貫通して形成され、各取付孔34は前記ねじNを挿通可能に形成されている。
【0049】
そして、上記構成の取付台座30において、台座本体31の取付面35には、第1の実施形態と同様の構成を有する挟持片23の基端部23aが貼着されている。挟持片23の基端部23aは、台座本体31の一方の長側辺側における中央部に貼着されている。挟持片23を前端面31aに向けて折り曲げることにより、挟持片23の先端を前端面31aを越えた位置に配設することができる。
【0050】
そして、軽量形鋼材Pを背面板部Pb側から手で掴み、軽量形鋼材Pと共に挟持片23を手により掴むことで、配線ボックス10が取り付けられた取付台座30を軽量形鋼材Pに保持することができる。さらに、挟持片23を側板部Pcの幅方向に沿って移動させ、リップ部Pdにおける所定の位置に取付台座30を位置合わせする。なお、「所定の位置」とは、台座本体31の前端面31aが側板部Pcの外面Pcaより前側へ突出しない位置であり、詳しくは台座本体31の前端面31aが側板部Pcの外面Pcaと略同一平面上に位置する位置のことであって、さらには、ねじNが螺入される位置(リップ部Pd)に取付孔34を対向させた位置のことである。すると、挟持片23が親指と側板部Pcとの間に挟持されることにより、取付台座30が側板部Pcの外面Pcaより前側へ突出しないように軽量形鋼材Pに保持される。
【0051】
○ 図8に示すように、本発明の配設体をボックス固定具50に具体化してもよい。なお、この配設体(ボックス固定具50)は、軽量間仕切壁W内において、配線ボックス10を軽量形鋼材Pから離れた位置に配設するために軽量間仕切壁W内に配設され、配線ボックス10が固定された状態で、軽量間仕切壁W内の軽量形鋼材Pに取り付けられるものである。ボックス固定具50は、薄鋼板を折り曲げて細長板状に形成されている。該ボックス固定具50の一側部には矩形板状をなす固定具本体51が設けられるとともに、前記固定具本体51の一側部からは、該固定具本体51に対して直交し、固定具本体51の表面側へ延びるように細長板状をなす固定片52が折り曲げて延設されている。このボックス固定具50において、固定具本体51が配設体本体を形成している。
【0052】
前記固定具本体51において、固定片52が延設された一側部に対向する位置にある他側部には、前記ねじNを挿通可能な取付孔53が複数(本実施形態では4つ)形成されている。また、前記固定片52には、該固定片52の長さ方向へ延びる長孔54が形成されている。そして、長孔54は、固定片52に配線ボックス10を固定するために、ねじ(図示せず)が螺入されるようになっている。
【0053】
なお、ボックス固定具50において、前記他側部に沿った端縁を前端縁51aとする。そして、ボックス固定具50は、固定具本体51の裏面が軽量形鋼材Pのリップ部Pdの外面Pdaに当接させた状態で取付孔53からリップ部PdにねじNが螺入されることにより軽量形鋼材Pに取り付けられる。よって、固定具本体51の裏面が、ボックス固定具50を軽量形鋼材Pに取り付ける際に、軽量形鋼材Pのリップ部Pdの外面Pdaに当接される当接部を構成している。
【0054】
そして、上記構成のボックス固定具50において、固定具本体51には、第1の実施形態と同様の構成を有する挟持片23の基端部23aが貼着されている。挟持片23の基端部23aは、固定具本体51の他側部における中央部に貼着されている。固定具本体51の裏面を軽量形鋼材Pのリップ部Pdの外面Pdaに当接させ、固定具本体51の前端縁51aを側板部Pcの外面Pcaと同一平面上に位置させた状態(所定位置に位置合わせした状態)で挟持片23を側板部Pcに向けて折り曲げることにより、挟持片23を側板部Pcの外面Pca上に配設することができる。
【0055】
そして、軽量形鋼材Pを背面板部Pb側から手で掴み、軽量形鋼材Pと共に挟持片23を手により掴むことで、ボックス固定具50を軽量形鋼材Pに保持する。さらに、挟持片23を側板部Pcの幅方向に沿って移動させ、リップ部Pdにおける所定の位置に固定具本体51を位置合わせする。なお、「所定の位置」とは、固定具本体51の前端縁51aが側板部Pcの外面Pcaより前側へ突出しない位置であり、詳しくは固定具本体51の前端縁51aが側板部Pcの外面Pcaと略同一平面上に位置する位置のことであって、さらには、ねじNが螺入される位置(リップ部Pd)に取付孔53を対向させた位置のことである。すると、挟持片23が親指と側板部Pcとの間に挟持されることにより、ボックス固定具50が側板部Pcの外面Pcaより前側へ突出しないように軽量形鋼材Pに保持される。
【0056】
○ 図9に示すように、本発明の配設体として、配線・配管材を保持する配線・配管材保持具60に具体化してもよい。なお、この配設体(配線・配管材保持具60)は、軽量間仕切壁W内において、配線・配管材を軽量形鋼材Pに沿わせて配設するための配線・配管材を設置するために軽量間仕切壁W内に配設され、配線・配管材を保持した状態で、軽量間仕切壁W内の軽量形鋼材Pに取り付けられるものである。
【0057】
配線・配管材保持具60は配設体本体としての矩形板状の保持具本体61を備える。保持具本体61の表面側における一側部からは帯状をなす保持部62が延設されている。保持部62は、保持具本体61への連結側となる基端側が円弧状に形成され、該円弧状をなす部位より先端側が平板状に形成されている。保持部62の先端には前記ねじNを挿通可能な透孔(図示せず)が形成されている。そして、保持部62の先端側が保持具本体61に固定されることにより、保持具本体61と保持部62の間に配管材66を保持することができるようになっている。また、保持具本体61において、前記一側部に対向する他側部には、ねじNを挿通可能な取付孔64が形成されている。なお、保持具本体61において、前記他側部側であり、保持具本体61の表面に直交する一端面を前端面61aとする。
【0058】
配線・配管材保持具60は、保持具本体61の裏面が軽量形鋼材Pのリップ部Pdの外面Pdaに当接させた状態で、保持部62の透孔から取付孔64を介してリップ部PdにねじNが螺入されることにより軽量形鋼材Pに取り付けられるとともに、保持部62と保持具本体61の間に配管材66を保持できるようになっている。よって、保持具本体61の裏面が、配線・配管材保持具60を軽量形鋼材Pに取り付ける際に、軽量形鋼材Pのリップ部Pdの外面Pdaに当接される当接部を構成している。
【0059】
そして、上記構成の配線・配管材保持具60において、保持具本体61には、第1の実施形態と同様の構成を有する挟持片23の基端部23aが貼着されている。挟持片23の基端部23aは、保持具本体61の他側部における中央部に貼着されている。保持具本体61の裏面を軽量形鋼材Pのリップ部Pdの外面Pdaに当接させ、保持具本体61の前端面61aを側板部Pcの外面Pcaと同一平面上に位置させた状態(所定位置に位置合わせした状態)で挟持片23を側板部Pcに向けて折り曲げることにより、挟持片23を側板部Pcの外面Pca上に配設することができる。
【0060】
そして、軽量形鋼材Pを背面板部Pb側から手で掴み、軽量形鋼材Pと共に挟持片23を手により掴むことで、保持具本体61を軽量形鋼材Pに保持することができる。さらに、挟持片23を側板部Pcの幅方向に沿って移動させ、リップ部Pdにおける所定の位置に保持具本体61を位置合わせする。なお、「所定の位置」とは、保持具本体61の前端面61aが側板部Pcの外面Pcaより前側へ突出しない位置であり、詳しくは保持具本体61の前端面61aが側板部Pcの外面Pcaと略同一平面上に位置する位置のことであって、さらには、ねじNが螺入される位置(リップ部Pd)に取付孔64を対向させた位置のことである。すると、挟持片23が親指と側板部Pcとの間に挟持されることにより、配線・配管材保持具60が側板部Pcの外面Pcaより前側へ突出しないように軽量形鋼材Pに保持される。なお、配線・配管材保持具60は、保持具本体61の前端面61aが側板部Pcの外面Pcaより後退した位置に位置するように位置合わせしてもよい。
【0061】
○ 当接部21が備えるゴム材Gは削除してもよい。
○ 挟持片23は不透明に形成されていてもよい。
○ 挟持片23は基端側のみが折り曲げ可能に形成され、その折り曲げ可能な部位より先端側は折り曲げ不能に剛性を有していてもよい。
【0062】
○ 挟持片23の厚みは、挟持片23が壁材Wa立設の障害とならないのであれば0.3〜2mmの範囲外の厚みであってもよい。
○ 挟持片23は、配設体本体と一体成形される合成樹脂製のものであってもよい。この場合、例えば、実施形態において、図10に示すように、挟持片23は、延設部15aに一体成形された薄板状をなすとともに剛性を有し、折り曲げ不能になっている。また、挟持片23は左側壁15の壁面に対して直交し、かつ左側壁15の長さ方向全体方向へ延びるように予め形成される。このように構成すると、挟持片23が左側壁15の長さ方向中央部のみに設けられる場合に比して、挟持片23の強度を高めることができる。
【0063】
○ 挟持片23は実施形態より小さく形成されていてもよく、配設体本体をリップ部Pdの外面Pdaにおける所定の位置に位置合わせした状態で軽量形鋼材Pを手で掴んだ際に、側板部Pcの外面Pcaと手で挟持できなくてもよい。
【0064】
○ ねじNを挟持片23において取付孔に対向する位置に突き刺して、ねじNを挟持片23に保持させ、配設体に一体化してもよい。そして、配設体を軽量形鋼材Pに取り付けるとき、挟持片23の保持されたねじNをそのまま取付孔に挿入し、軽量形鋼材Pに螺入してもよい。
【0065】
○ 挟持片23を粘着テープによって形成して、挟持片23を側板部Pcの外面Pcaに貼着してもよい。又は、挟持片23の裏面に接着剤を塗布して、挟持片23を側板部Pcの外面Pcaに接着してもよい。
【0066】
○ 実施形態の配線ボックス10を造営材としての四角柱状をなす木柱に取り付けてもよい。この場合、挟持片23は当接部21を木柱の側面に当接させた状態で、該側面に直交する前面上に位置する。そして、挟持片23を手と木柱の前面の間に挟持することにより、配線ボックス10を木柱に保持することができ、挟持片23の挟持位置を調整することで開口面Sを木柱の前面と略同一平面上に位置させることができる。そして、配線ボックス10を木柱に取り付けた後、木柱の前側に壁材Waを立設した際、木柱の前面と壁材Waの間に挟持片23が挟み込まれても挟持片23の厚みは非常に薄いため、該挟持片23が壁材Wa立設の障害になることがない。
【0067】
なお、配線ボックス10が木柱の側面に取り付けられ、かつ、壁材Waが立設される前の状態において、配線ボックス10の開口面Sが木柱の前面より後退していた場合、挟持片23を引っ張ることで配線ボックス10を前側に移動させることができる。また、配線ボックス10を木柱の前面より後退させる場合、挟持片23の目盛25によって、木柱の前面からの配線ボックス10の後退量を確認してもよい。
【0068】
○ 各配設体の軽量形鋼材Pへの取付は、当接部を軽量形鋼材Pの背面板部Pbに当接させつつ、背面板部Pbに隣接し、かつ直交する側板部Pcの前側に挟持片23を配設した後、挟持片23を挟持して配設体を軽量形鋼材Pに保持し、ねじNを背面板部Pbに螺入して配設体を軽量形鋼材Pに取り付けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】実施形態の配線ボックスを軽量間仕切壁内に設置した状態を示す斜視図。
【図2】実施形態の配線ボックスを示す斜視図。
【図3】実施形態の配線ボックスを示す正面図。
【図4】配線ボックスを軽量形鋼材に保持した状態を示す斜視図。
【図5】挟持片を軽量形鋼材と壁材との間に挟持した状態を示す断面図。
【図6】取付台座を用いて配線ボックスを軽量形鋼材に保持した状態を示す斜視図。
【図7】取付台座を示す斜視図。
【図8】挟持片を備えたボックス固定具を示す斜視図。
【図9】挟持片を備えた配線・配管材保持具を示す斜視図。
【図10】配線ボックスの別例を示す斜視図。
【符号の説明】
【0070】
G…滑り止めを形成するゴム材、N…取付部材としてのねじ、P…造営材としての軽量形鋼材、Pca…造営材の前面としての側板部の外面、Pda…造営材の側面としてのリップ部の外面、Sa…ボックス開口部、Wa…壁材、Wb…壁材の裏面、10…配設体としての配線ボックス、11…配設体本体としてのボックス本体、13〜16…側壁、21…当接部、23…挟持片、27,34,53,64…取付孔、30…取付台座、31…台座本体、50…ボックス固定具、51…固定具本体、60…配線・配管材保持具、61…保持具本体、66…配管材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物における造営材の前面側に立設された壁材の裏側に位置するように、前記造営材の前面に隣接する側面に取り付けられて使用される配設体であって、
配設体本体を備え、該配設体本体には前記造営材の側面に当接させる当接部が設けられ、さらに、前記当接部を前記造営材の側面に当接させた状態で、前記造営材の前面側に配設されて前記造営材の側面における所定の位置に前記配設体本体を位置合わせ可能とする挟持片が配設体本体から延設されており、
前記挟持片はシート状をなし、挟持片の厚みは前記造営材の前面と前記壁材の裏面との間に挟み込まれても該壁材の立設の障害とならない厚さに設定されていることを特徴とする配設体。
【請求項2】
前記挟持片は、前記配設体本体を前記側面における所定の位置に位置合わせした状態で造営材を手で掴んだ際に、前記造営材の前面と手で挟持可能な大きさに形成されている請求項1に記載の配設体。
【請求項3】
前記挟持片は、少なくとも前記配設体本体側となる基端側から折り曲げ可能である請求項1又は請求項2に記載の配設体。
【請求項4】
前記挟持片は可撓性を有する請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の配設体。
【請求項5】
前記挟持片は、透明である請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の配設体。
【請求項6】
前記配設体本体は合成樹脂よりなり、前記挟持片は前記配設体本体に一体成形されるとともに剛性を有する板状をなす請求項1又は請求項2に記載の配設体。
【請求項7】
前記配設体本体には、該配設体本体を造営材の側面に取り付ける取付部材が挿通される取付孔が形成され、前記挟持片は、前記造営材の側面において前記取付部材が取り付けられる位置に前記取付孔を位置合わせする請求項1〜請求項6のうちいずれか一項に記載の配設体。
【請求項8】
前記当接部は、前記造営材の側面に対する滑り止めを備える請求項1〜請求項7のうちいずれか一項に記載の配設体。
【請求項9】
前記配設体本体は、側壁によって囲み形成されるボックス開口部が前面に形成された配線ボックスのボックス本体である請求項1〜請求項8のうちいずれか一項に記載の配設体。
【請求項10】
前記配設体本体は、側壁によって囲み形成されるボックス開口部が前面に形成された配線ボックスを前記造営材に取り付けるために、前記配線ボックスが取り付けられるとともに前記造営材に固定される取付台座の台座本体である請求項1〜請求項8のうちいずれか一項に記載の配設体。
【請求項11】
前記配設体本体は、側壁によって囲み形成されるボックス開口部が前面に形成された配線ボックスを前記造営材から離れた位置に配設するために、前記配線ボックスが取り付けられるとともに前記造営材に固定されるボックス固定具の固定具本体である請求項1〜請求項8のうちいずれか一項に記載の配設体。
【請求項12】
前記配設体本体は、配線又は配管材を保持する配線・配管材保持具の保持具本体である請求項1〜請求項8のうちいずれか一項に記載の配設体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−44849(P2009−44849A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−206699(P2007−206699)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】