説明

酢を含有する錠剤食品

【課題】 酢を含有するが、食べたときにむせることなく、かつ、冷え性改善効果を有する食品の提供。
【解決手段】 粉末酢、成分A(粉末ヒハツエキス及び/又は粉末生姜エキス)、賦型剤、及び乳化剤を含有することを特徴とする錠剤食品であり、該粉末酢が、粉末黒酢、粉末りんご酢、粉末米酢、粉末肌糠酢、粉末ぶどう酢、粉末トマト酢、粉末梅エキス酢、粉末レモンエキス酢、粉末かりんエキス酢、及び粉末シークワーサーエキス酢からなる群より選ばれる1種又は2種以上である錠剤食品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酢を含有する錠剤食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
これまで、冷え性を改善するために、ヒハツ抽出物、イチョウ葉、紅花、生姜、唐辛子等、多くの素材が知られていた(特許文献1)。
しかしながら、これらの素材と酢とを組み合わせた食品はこれまで開発されていなかった。
また、液体の酢や粉末酢は、そのまま食べると、むせてしまうことがあるという欠点を有していた。
【0003】
【特許文献1】特開2003−40788号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、酢を含有するが、食べたときにむせることなく、かつ、冷え性改善効果を有する食品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、鋭意検討した結果、粉末酢、特定素材(成分A)、賦型剤、及び乳化剤を原料として使用することにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明は、粉末酢、成分A、賦型剤、及び乳化剤を含有することを特徴とする錠剤食品である;
成分A:粉末ヒハツエキス、及び/又は粉末生姜エキス。
【0006】
本発明の第2の発明は、前記粉末酢が、粉末黒酢、粉末りんご酢、粉末米酢、粉末肌糠酢、粉末ぶどう酢、粉末トマト酢、粉末梅エキス酢、粉末レモンエキス酢、粉末かりんエキス酢、及び粉末シークワーサーエキス酢からなる群より選ばれる1種又は2種以上であることを特徴する第1の発明に記載の錠剤食品である。 また、本発明の第3の発明は、前記粉末酢を5〜50質量%、前記成分Aを0.1〜5質量%、前記賦型剤を40〜70質量%、及び前記乳化剤を1〜5質量%を含有することを特徴とする第1又は第2の発明に記載の錠剤食品である。
さらに、本発明の第4の発明は、前記粉末酢が粉末黒酢及び粉末りんご酢、前記成分Aが粉末ヒハツエキス及び粉末生姜エキス、前記賦型剤がマルチトール、前記乳化剤がグリセリン脂肪酸エステルであることを特徴とする第1〜第3の発明のいずれか1つの発明に記載の錠剤食品である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の酢を含有する錠剤食品は、食べたときにむせることなく、かつ、冷え性改善効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
まず、本発明の錠剤食品について説明をする。
本発明の錠剤食品は、酢を含有するものであるが、その形状が錠剤であることから、食べたときにむせることなく、酢を摂取することができる。酢の原料としては、粉末酢を使用する。液体の酢を使用すると、錠剤化することができないからである。
これまで冷え性改善効果があるといわれてきた粉末ヒハツエキスや粉末生姜エキスと、酢とを併用して摂取することで、さらなる冷え性改善効果を期待できる。
本発明に使用する粉末酢とは、デキストリン等を使用して酢を粉末化したものをいう。粉末化する酢としては、例えば、黒酢、りんご酢、米酢、肌糠酢、ぶどう酢、及びトマト酢等の醸造酢を使用することができるが、梅、レモン、かりん、及びシークワーサー等の果実を浸漬し、エキス分を抽出した果実エキス酢(梅エキス酢、レモンエキス酢、かりんエキス酢、及びシークワーサーエキス酢等)を使用することもできる。
【0009】
具体的に粉末酢として、粉末黒酢、粉末りんご酢、粉末米酢、粉末肌糠酢、粉末ぶどう酢、粉末トマト酢、粉末梅エキス酢、粉末レモンエキス酢、粉末かりんエキス酢、及び粉末シークワーサーエキス酢等があり、これらの1種又は2種以上を使用することができる。この中でも特に、風味の点で、粉末黒酢及び粉末りんご酢を使用するのがより好ましい。
本発明に使用する粉末酢は、市販品を使用することができる。
【0010】
本発明の錠剤食品中の粉末酢の含量は、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%、最も好ましくは10〜20質量%である。
【0011】
本発明に使用する成分Aは、粉末ヒハツエキス、及び/又は粉末生姜エキスである。冷え性改善効果をより高めるために、粉末ヒハツエキス、及び粉末生姜エキスの両方を含有させるのが、より好ましい。
本発明に使用する成分Aは、市販品を使用することができる。
【0012】
本発明の錠剤食品中の成分Aの含量は、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.5〜5質量%、最も好ましくは1〜3質量%である。
【0013】
本発明に使用する賦型剤は、錠剤食品に通常使用される賦型剤を使用することができ、例えば、粉糖、砂糖、乳糖、澱粉、マルチトール(還元麦芽糖水飴)、ソルビトール、パラチノース、及びブドウ糖等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。この中でも特に、打錠性の点で、マルチトールを使用するのがより好ましい。
【0014】
本発明の錠剤食品中の賦型剤の含量は、好ましくは40〜70質量%、より好ましくは50〜70質量%、最も好ましくは60〜70質量%である。
【0015】
本発明に使用する乳化剤は、通常、錠剤食品に滑沢剤として用いられる乳化剤を使用することができ、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステル等の1種又は2種以上を使用することができる。この中でも特に、適正な錠剤硬度に出来る点で、グリセリン脂肪酸エステルを使用するのがより好ましい。
乳化剤の代わりに、滑沢剤としてステアリン酸カルシウムのみを使用すると、錠剤硬度が低くなるため安定的に錠剤の製造ができず、また、食べたときにむせてしまう。
【0016】
本発明の錠剤食品中の乳化剤の含量は、好ましくは1〜5質量%、より好ましくは2〜5質量%、最も好ましくは3〜5質量%である。
【0017】
本発明の錠剤食品は、錠剤であることから、食べたときにむせることなく、酢を摂取することができる。このように、食べたときにむせがなく、また、流通時の錠剤安定性をより高めるために、錠剤硬度は、6kg以上であることが好ましく、6〜20kgであることがより好ましく、8〜20kgであることがさらにより好ましく、8〜15kgであることが最も好ましい。なお、錠剤食品の打錠硬度は、硬度計で測定することができる。
【0018】
本発明の錠剤食品には、錠剤食品に通常使用されている各種粉末添加物を適宜含有させることができる。かかる粉末添加物としては、例えば、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB12、葉酸、ナイアシン、ビタミンC、及びビタミンE等のビタミン類、イチョウ葉、レモンバーム、及びパッションフラワー等のハーブ類、香料、着色料、甘味料、酸化防止剤、並びに酸味料等の粉末品が挙げられる。
【0019】
次に、本発明の錠剤食品の製造方法について説明をする。
粉末酢、成分A、賦型剤、及び乳化剤をそれぞれ計量後、混合機で混合し、混合粉末を打錠機で打錠し、錠剤食品を製造する。打錠は、錠剤硬度が好ましくは6kg以上、より好ましくは6〜20kg、さらにより好ましくは8〜20kg、最も好ましくは8〜15kgになるように調整をして行う。
得られた錠剤食品を、小袋に充填後、化粧ケースに詰め、商品を製造する。
【実施例】
【0020】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0021】
実施例1〔錠剤食品の製造〕
表1に示す配合で、錠剤食品の製造を行った。製造は、粉末酢、成分A、賦型剤、乳化剤、及びその他の添加剤をそれぞれ計量後、混合機で混合し、混合粉末を打錠機で打錠(1g/粒)して行った。打錠は、打錠硬度が7kgになるように行った。
【0022】
比較例1〔錠剤食品の製造〕
表1に示す配合で、実施例1と同様の製造方法で錠剤食品の製造を行った。
【0023】
【表1】

【0024】
〔錠剤食品の風味評価〕
被験者3人に対して、実施例1及び比較例1の錠剤食品を1粒食べた時に、むせるか否かの風味評価を行った。結果を表2に示す。
【0025】
【表2】

【0026】
〔錠剤食品の冷え性改善効果試験〕
1.測定条件
使用機器:サーモトレーサ(NEC三栄(株)製)
温度:25±1℃
湿度:50±5%
測定部位:手の甲
2.被験者
通常「冷え」を実感している女性、及び通常「冷え」を実感していない女性
3.測定方法
10分間安静後、対照錠剤食品の錠剤2粒(1g/粒)を摂取した。摂取から5分後に20℃に調整した水浴中に両手をつけて1分間冷却した。水分をふき取った時点を冷却直後とし、5分後までの手の甲の皮膚表面温度を測定した。
対照群の測定後、手の甲の皮膚表面温度が試験前温度に戻ったことを確認し、10分間安静後、対照錠剤食品の変わりに実施例1の錠剤食品を用いて、同じ測定を行った。
なお、対照錠剤食品には、表3に示す配合の粉末酢、及び成分Aを含まない錠剤食品を用いた。
4.冷え性改善効果の評価方法
冷却する前の手の甲の皮膚表面温度を100とした時の体温回復率(%)で示した。
5.試験結果
錠剤食品の冷え性改善効果試験結果を、表4及び表5に示す。これらの結果から、本発明の錠剤食品は、対照錠剤食品に比べて強制冷却後の皮膚表面温度の回復が早く、冷え性改善効果を有することがわかった。
【0027】
【表3】

【0028】
【表4】

【0029】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の酢を含有する錠剤食品は、食品、特に健康食品の分野に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末酢、成分A、賦型剤、及び乳化剤を含有することを特徴とする錠剤食品;
成分A:粉末ヒハツエキス及び/又は粉末生姜エキス。
【請求項2】
前記粉末酢が、粉末黒酢、粉末りんご酢、粉末米酢、粉末肌糠酢、粉末ぶどう酢、粉末トマト酢、粉末梅エキス酢、粉末レモンエキス酢、粉末かりんエキス酢、及び粉末シークワーサーエキス酢からなる群より選ばれる1種又は2種以上であることを特徴する請求項1に記載の錠剤食品。
【請求項3】
前記粉末酢を5〜50質量%、前記成分Aを0.1〜5質量%、前記賦型剤を40〜70質量%、及び前記乳化剤を1〜5質量%を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の錠剤食品。
【請求項4】
前記粉末酢が粉末黒酢及び粉末りんご酢、前記成分Aが粉末ヒハツエキス及び粉末生姜エキス、前記賦型剤がマルチトール、前記乳化剤がグリセリン脂肪酸エステルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の錠剤食品。

【公開番号】特開2008−17813(P2008−17813A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−194887(P2006−194887)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【出願人】(000227009)日清オイリオグループ株式会社 (251)
【Fターム(参考)】