説明

酸ガス流からの硫黄の高効率回収方法

酸ガス流からの硫黄回収方法はClaus硫黄回収工程と直接還元工程及び生物的硫黄回収工程とを組合わせて極低濃度のHSとSOを含むスイートガス流を得る。酸ガス流と酸素とを酸化条件下で反応させHSとSOを含む燃焼がスとし、これをClaus反応条件下で反応させて硫黄含有反応ガスを得る。反応ガスから硫黄を回収してHSとSOを含むClausテールガスとし、これを直接還元反応条件下で反応させて硫黄含有直接還元ガスを得る。直接還元ガスから硫黄を回収して低濃度HS含有直接還元テールガスを得る。これを希薄な溶剤と接触させてHSの一部を除去し、スイートガスと、溶解HSを含む豊富な溶剤とを得る。豊富な溶剤を生物的酸化条件下で硫黄バクテリアと接触させて溶解HSを元素状硫黄に生物的に酸化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2004年3月3日に出願した米国暫定出願Serial No.60/549,686の利益を請求する。
本発明は、硫化水素を含有する酸ガス流から硫黄を回収する方法に関する。本発明の一面は、硫化水素を接触的生物的に転化して、硫黄生成物と、低濃度の硫化水素を含むガス流とを生成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロセスガス流から硫黄を除去することは望ましいか、或いは例えば関係官庁の規定に従うため、化学的及び炭化水素処理プラントのプロセス流から硫黄化合物を除去する必要があるなど、種々の理由から必要でさえあり得る。
【0003】
硫化水素を含有する特定のプロセス流を処理して、元素状硫黄を回収するのに使用される周知の一方法はClaus法である。Claus法は、熱工程と次の接触工程とを含む二段階法である。熱工程では、原料流の硫化水素は、燃焼により酸素で部分酸化されて、二酸化硫黄を含む燃焼がスを生成する。熱工程の化学反応は、以下の式(1)で表される。
(1) 2HS+3O → 2SO+2H
【0004】
この硫化水素と燃焼ガスに含まれる生成二酸化硫黄とはClaus反応を受けて反応し、以下の式(2)に従って元素状硫黄を生成できる。
【数1】

【0005】
Claus法では燃焼ガス中の未反応硫化水素及び二酸化硫黄は、燃焼ガスをClaus触媒上に通すことにより、式(2)のClaus反応に従って接触的に反応し、低いClaus反応温度を生じる。またClaus法は、生成した元素状硫黄を生成物として回収すると共に、Clausテールガスを生成する。
【0006】
Claus法は、原料流中の硫黄の大部分を回収する際、極めて効果的であるが、2つの触媒床を有するClausプラントでは硫黄の回収率はなお約94〜96%に過ぎない。3つ以上の触媒床を有するClausプラントでは、その増量分だけ硫黄回収率は向上するが、Clausプラント単独では硫黄回収率の実用的な上限は約97〜98%である。しかしClaus法のテールガスは、残存硫化水素及び二酸化硫黄の転化を行うと共に、追加の硫黄を回収するため、更に処理できる。Clausテールガス処理、例えばSCOT法により、全体の硫黄回収率は、約99〜99.8%に達することができる。
【0007】
高い硫黄回収率及び好ましくは低資本コストで一層良好な操作効率が得られる硫黄回収方法の改良がますます必要になっている。更に厳しくなってきた硫黄の放出基準によって、ClausユニットにClausテールガス処理ユニットを組合わせたような従来の硫黄回収システムよりも硫黄化合物含有プロセス流からの硫黄回収率をなお更に向上する硫黄回収方法も必要となっている。
【特許文献1】USP 4,428,921
【特許文献2】USP 4,452,772
【特許文献3】USP 6,297,189B1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
こうして、本発明方法の目的は、硫黄化合物含有プロセス流から硫黄を高回収率で回収することである。
本発明の他の目的は、硫黄化合物含有プロセス流から硫黄を効率的に回収する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本発明の一実施態様は、或る濃度のHS及び或る濃度のSOを含有するSO含有ガス流を直接還元処理して、直接還元テールガスを生成する工程、及び該直接還元テールガスを生物的に処理して、スイートガス及び硫黄生成物を生成する工程を含む方法である。
【0010】
本発明の他の一実施態様は、硫化水素を含有する酸ガス流を原料として、第一硫黄生成物と、硫化水素を含むClausテールガスとを生成するように操作された硫黄回収システムに装入する硫黄回収方法である。Clausテールガスは、直接還元反応条件下で操作された直接還元反応帯に通されて、硫黄を含有する直接還元反応がスが生成する。直接還元反応がスからは硫黄が回収されて、或る濃度の硫化水素を含有する直接還元テールガスが生成する。次いで、直接還元テールガスは、第二硫黄生成物と、100ppmv未満の硫化水素を含むスイートガスとを生成するように操作された生物的ガス脱硫システムに装入される。
【0011】
本発明方法の更に他の一実施態様では、Claus硫黄回収工程のテールガスに対し直接還元工程及び次いで生物的硫黄回収工程を行って、極めて低濃度の硫化水素及び二酸化硫黄を含有するスイートガス流を得る方法が提供される。酸ガス流は、硫化水素及び二酸化硫黄を含有する燃焼がスを生成するような酸化条件下で酸素と反応させる。燃焼がスは、Claus反応条件下で反応させて、硫黄を含有する反応ガスを生成する。反応ガスからは硫黄を回収して、硫黄生成物と、硫化水素及び二酸化硫黄を含有するClausテールガスとが生成する。Clausテールガスは直接還元条件下で反応させて、硫黄を含有する直接還元テールガスが生成する。直接還元テールガスからは硫黄が回収されて、HSを含有する直接還元テールガスが生成する。直接還元テールガスは、希薄な溶剤と接触させ、これにより直接還元テールガスからこのガスに含まれる硫化水素の一部が除去されると共に、スイートガスと、溶解した硫化水素を含有する豊富な溶剤とが生成する。豊富な溶剤は、生物的酸化工程を受け、ここで豊富な溶剤は、バイオ反応帯において生物的酸化条件下で酸素と接触し、これにより硫黄バクテリアは、豊富な溶剤中に溶解した硫化水素を生物的に元素状硫黄に酸化する。
【0012】
本発明の他の目的、利点及び実施態様は以下の詳細な説明及び添付の特許請求の範囲から明かとなろう。
図1は、本発明硫黄回収方法のClausプロセスシステム及びClausプロセス工程の特定の態様を表す概略図である。
図2は、本発明硫黄回収方法の直接還元システム及びプロセス工程の特定の態様を表す概略図である。
図3は、本発明硫黄回収方法の生物的ガス脱硫システム及び生物的転化プロセス工程の特定の態様を表す概略図である。
【発明の効果】
【0013】
本発明方法は、酸がス流から硫黄を高効率で回収し、こうして硫化水素含有ガス流から硫化水素を十分に除去する。本発明の広範な実施態様は、或る濃度のHS及びSOを含有するガス流を直接還元工程により処理して、直接還元テールガスを生成する工程及びこの直接還元テールガスを生物的脱硫処理して、スイートガス及び硫黄生成物を生成する工程を含む。直接還元処理するガス流は、Clausテールガスであってよい。したがって、本発明方法の一特徴は、硫黄回収プロセスシステムを直接還元プロセスシステム及び生物的ガス脱硫プロセスシステムと組合わせて配列することである。この配列により、酸ガス流の処理が行われ、酸ガス流から高効率で硫黄が回収され、こうして硫化水素及び二酸化硫黄の濃度が極めて低いスイートガス生成物流が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の硫黄回収方法は、硫化水素(HS)を含有する酸ガス流をClaus硫黄回収システムに装入する工程を含む。Claus硫黄回収システムは、酸ガス流を処理して、硫黄生成物と、或る濃度のHS及び或る濃度のSOを含むClausテールガスとを生成するいかなる好適なプロセスシステムであってよい。Claus硫黄回収方法は、酸ガス流から硫黄を回収するための公知の方法で、適度に高い硫黄回収率が得られる。しかし、極めて高い硫黄回収率が望まれるか必要とされる場合は、Claus硫黄回収方法又はシステムでは、このような高い回収率は得られない。こうして本発明では、Clausシステムに、Clausテールガスを処理する生物的ガス脱硫システムを組合わせて、Clausテールガスよりも遥かに低濃度のHSを含むスイートテールガスを生成すると共に、酸ガス流からの硫黄の回収率を高めるように、Clausテールガスから更なる増加分の硫黄を除去する。
【0015】
こうしてスイートテールガス中のHS濃度は、Clausテールガス中のHS濃度よりも低く、好ましくは遥かに低くすることができる。したがって、本発明方法は、一般にHS濃度が100万容量部当たり約2000部(ppmv)未満のスイートテールガスを供給することにより、酸ガスからHSを十分に除去するが、スイートテールガス中のHS濃度については、100ppmv未満が望ましい。本発明方法は、スイートテールガス中のHS濃度を好ましくは50ppmv未満のように低くでき、最も好ましくはスイートテールガス中のHS濃度を10ppmv未満、更には5ppmv又は1ppmv未満とすることが可能である。スイートテールガス中の実用的なHS濃度の下限は、10億容量部当たり約100部(ppb)又は10ppbである。
【0016】
Claus硫黄回収システムは、それぞれClaus法の熱工程及び接触工程によりClaus硫黄生成物及びClausテールガスを生成する燃焼手段及び反応手段を備えることができる。燃焼手段としては、酸ガス及び空気のような酸素含有ガスを受入れると共に、酸ガス中に含まれるHSの一部を前記式(1)に従って二酸化硫黄(SO)まで燃焼させる、バーナーを備えた炉又はその他好適な燃焼手段が挙げられる。こうして燃焼手段は、酸ガスのHSが部分的に酸化されて、硫化水素及び二酸化硫黄を含有する燃焼ガス流を生成する燃焼帯又は熱帯を規定する。
【0017】
Clausシステムの燃焼手段への酸ガス原料は、いかなる供給源からのものも可能で、ここで用いた用語である酸ガスとは、HSを通常かなりの濃度水準で含有する流体流を言う。この酸ガス原料は、例えば二酸化炭素、窒素、炭化水素、アンモニア、又はこれら2種以上の組合わせのような他の成分も含有できる。しかし、酸ガス原料の組成は供給源及び他の要素により変化できる。普通の酸ガス供給源は、硫化水素を含む流体流から硫化水素を除去するのに使用される従来の主要ガス処理システムからのものである。
【0018】
一般に酸ガス原料中のHS濃度は、酸ガス原料流の合計容量に対し約5〜約98容量%の範囲であり得る。しかし、酸ガス原料中のHS濃度は、通常、50〜95容量%、更に通常80〜94容量%の範囲である。下記第1表は、酸ガス流中の各種成分についての通常の組成及び濃度範囲を表す。
【0019】
【表1】

【0020】
燃焼ガス流はClaus反応手段に通される。この手段は、好適なClaus触媒を入れたClaus反応器及び硫黄凝縮器を備えることができる。Claus反応手段は、活性アルミナのようなClaus触媒を入れたClaus接触反応帯及び硫黄凝縮帯を規定する。Claus反応手段は、前記式(2)に従って、燃焼ガス中のHSとSOとを反応させる。このClaus反応手段は、更にClaus硫黄生成物を回収すると共に、Clausテールガスを生成する。
【0021】
通常のClausテールガスは、HS及びSOの両方を含有する。Clausユニットの標準操作では、一般にClaus反応部の燃焼ガスには、前記式(2)で考慮されるように、HS対SOのモル比は2:1の化学量論比にできるだけ近いことが望ましい。これにより硫黄回収率は最大化する上、Clausテールガスと一緒に通るHS及びSOの両形態の硫黄の全量も最小化しやすい。
【0022】
以下の第2表は、標準操作条件下で操作されたClausユニット用Clausテールガス流の一般的な組成及び各種成分の濃度範囲を表す。しかし、本発明は、標準的又は一般に望ましい操作条件下で操作されるClausユニットに制限されず、したがって、直接還元処理を受ける本発明方法のClausテールガスでは、HS及びSOの濃度範囲は広範であってよい。例えば本発明方法では、Clausテールガス中のHS濃度は、Clausテールガスの全容量を基準として、0.1〜3容量%の範囲であってよく、またSO濃度は、Clausテールガスの全容量を基準として、0.05容量%(500ppmv)〜1容量%の範囲であってよい。更に通常は、Clausテールガス中のSO濃度は、0.08容量%(800ppmv)を超え1容量%以下の範囲であってよく、最も通常は、0.1容量%(1000ppmv)を超え0.5容量%以下の範囲であってよい。Clausテールガス中のHS濃度については、通常は0.15〜2.5容量%、最も通常は0.2〜2容量%の範囲であってよい。
【0023】
【表2】

【0024】
本発明方法は、Clausテールガスについて前述したように、前記濃度のHS及びSOを含有する、したがって、或る濃度のSO及び或る濃度のHSを含有するSO含有がス流を、該ガス流中に含まれるSOを直接、元素状硫黄に転化すると共に、任意に、得られた直接還元反応ガスから元素状硫黄を除去する直接還元システムに装入して、SO含有がス流中のSOの濃度よりも低い、好ましくは著しく低い濃度のSOを含有する直接還元テールガスを生成する工程を含む。SO含有ガス流は、例えばClausテールガスのように、SO及びHSを含むいかなるガス流であってもよい。直接還元システムは、或る濃度のSO及び或る濃度のHSを含有するガス流中に含まれるSOを直接、元素状硫黄に還元するいかなる好適なプロセスシステムであってもよく、更にSOの還元で生じた元素状硫黄を含有する直接還元ガスから硫黄を回収する硫黄回収手段を備えてよい。
【0025】
本発明の好ましい実施態様では、直接還元システムは、直接還元反応器及び任意に硫黄回収ユニットを備える。直接還元反応器は、直接還元触媒を含有する直接還元反応帯を規定すると共に、SO含有がス流を好適な直接還元反応条件下で直接還元触媒と接触させて、通常、水素又は一酸化炭素での還元により、SO含有がス流中のSOの少なくとも一部を直接、転化すると共に、直接還元反応ガス又は直接還元テールガス(両ガスともSO含有がス流中のSO濃度よりも低い或る濃度のSOを含有する)を生成するか、或いは直接還元反応ガスから硫黄を回収するかどうかに従って、直接還元反応ガス及び直接還元テールガスの両方を生成する。
【0026】
ここで使用した用語“直接還元テールガス”とは、本発明方法の直接還元反応器から生成し、HSと、元素状硫黄と、SO含有ガス流のSO濃度よりも低い或る濃度のSOとを含有する直接還元ガスか、或いは直接還元反応器から生成した直接還元ガスに含まれる元素状硫黄の少なくとも一部を回収又は除去して得られる直接還元テールガスを言う。本発明方法では、直接還元テールガスは、該ガスから硫黄を回収する生物的ガス脱硫システムに装入される。
【0027】
前述のように直接還元テールガスは、SO含有がス流中のSO濃度よりも低い或る濃度のSOを含有するが、本発明方法から最大の利益を実現するには、直接還元テールガスのSO濃度を最小化することが望ましく、このため、SO濃度は、直接還元テールガスの全容量を基準として、0.1容量%(1000ppmv)未満の範囲であってよい。更に特に、直接還元テールガスのSO濃度は800ppmv未満である。しかし、直接還元テールガスのSO濃度については、500ppmv未満が好ましく、このSO濃度は250ppmv未満、又は更には100ppmv未満が最も好ましい。
【0028】
直接還元システムに使用される直接還元触媒は、SO含有がス流中に含まれるSOを直接、元素状硫黄に転化できるいずれかの好適な組成物である。本発明の直接還元触媒として好適に使用できる組成物の例としては、USP 4,428,921及び同4,452,772に記載される炭素質材料又は炭素含有材料、例えば木炭;無煙炭、コークスのような石炭;USP 6,297,189B1(以上の特許は、ここに援用する)に開示される触媒が挙げられる。直接還元触媒としては、いずれも前記USP 6,297,189B1に開示されるような、ボーキサイト−ベントナイト触媒;NiO/Al触媒;Co/Al触媒;金属酸化物がクロム、モリブデン、銅、コバルト及びニッケルから選ばれた金属の酸化物であるアルミナ支持金属酸化物触媒を含む混合酸化物触媒;及び硫化(sulfidized)金属酸化物触媒のような触媒組成物も挙げられる。
【0029】
直接還元触媒として特に好ましく使用される触媒としては、基体を金属化合物の溶液に含浸し、次いで金属含浸基体を硫化して、金属化合物の酸化物形態を硫化物形態に転化して製造した触媒組成物が挙げられる。基体は、例えばα−アルミナ、β−アルミナ又はγ−アルミナを含むいずれのタイプのアルミナ基体であってよい。一般に金属化合物の含浸溶液は、最終の所望触媒配合物を構成する適当な金属塩の溶液である。金属塩は、硝酸塩形態であってよく、これよりも好ましい形態ではないが、金属炭酸塩又は金属亜硝酸塩であってよい。したがって、直接還元触媒は、硫化した金属含浸アルミナ基体であってよい。こうして製造した触媒組成物は、直接還元触媒として使用してよい。
【0030】
好ましい直接還元触媒を製造する特定の方法が前記USP 6,297,189B1に詳細に記載されている。例えばこの直接還元触媒は、第VIII族金属及び非第VIII族(第VIII族ではない)金属よりなる群から選ばれた硫化金属の混合物を含有できる。第VIII族金属は、鉄(Fe)、コバルト(Co)及びニッケル(Ni)よりなる群から選択でき、また非第VIII族金属は、モリブデン(Mo)、マンガン(Mn)、銅(Cu)、タングステン(W)、バナジウム(V)及びクロム(Cr)よりなる群から選択できる。直接還元触媒は、下記式:
FeaCobNicCrdMneMofVgCuhWiOxSy
を有する化合物も含有できる。式中、a、b、c、d、e、fは各々、独立に0〜30の範囲の整数(0を含む)であり、g、hは各々、独立に0〜10の範囲の整数(0を含む)であり、iは0〜5の範囲の整数(0を含む)であり、a、b、cの少なくとも1つは0ではなく、d、e、f、g、h、iの少なくとも1つは0ではなく、またx+yは該式の電荷バランスによって決定される。
【0031】
SO含有がス流を直接還元触媒と接触させる直接還元反応条件は、このSOの少なくとも一部を元素状硫黄に転化するのに好適ないかなるプロセス条件であってもよいが、好適なプロセス条件は、使用される特定の直接還元触媒によって、広範に変化することが判る。こうして、直接還元反応温度は、200〜1000℃の範囲であってよく、直接還元反応圧力は、大気圧から1000psigまでの範囲であってよく、またガスの時間当たり空間速度(標準状態で)20,000hr−1までの範囲であってよい。
【0032】
直接還元工程は、SO含有がス流を直接還元反応帯に装入し、該ガス流を好適な直接還元反応条件下で直接還元触媒と接触させて行われる。直接還元反応帯に導入したSO含有がス流と平行して、SOの元素状硫黄への還元又は転化を容易化するのに必要な反応剤を供給するように、還元性ガスを添加又は導入してよい。SO含有がス流がClausテールガスの場合、通常、Clausテールガスに含まれる水素及び一酸化炭素の量は、SO還元反応を起こすのに必要な還元性化合物を供給するのに十分な量でなければならない。したがって、本発明の好ましい実施態様では、直接還元工程を行うClausテールガスに追加の還元性成分は添加されない。
【0033】
直接還元テールガスは、生物的ガス脱硫システムに挿入され、ここで直接還元テールガスからHSを除去して、スイートテールガスを生成すると共に、除去されたHSを転化して、バイオ反応器硫黄生成物を生成するプロセス工程を行う。生物的ガス脱硫システムは、或る濃度のHSを含有する流体流を処理すると共に、バイオ反応硫黄生成物を生成する生物的方法を行ういずれの好適なプロセスシステムであり得る。このような好適な生物的ガス脱硫方法の一例は、HS含有流体流から硫黄を回収するShell−Paques法である。
【0034】
本発明の好ましい実施態様では生物的ガス脱硫システムは、吸収手段、バイオ反応手段及び硫黄回収手段の配列を備え、これら手段は共同して、直接還元テールガスからHSを除去すると共に、これを転化して、元素状硫黄生成物と、極めて低濃度の硫黄、例えば超低濃度のHS及びSOを含むスイートテールガスとを生成する。生物的ガス脱硫システムの吸収手段としては、例えば吸収器のような接触容器又はその他、好適な接触装置が挙げられる。このような接触容器又は装置は、直接還元テールガスが希薄な溶剤と接触して、スイートガスと、溶解した硫化水素を含有する豊富な溶剤とを生成する接触帯又は吸収帯を規定する。
【0035】
生物的ガス脱硫システムの希薄な溶剤は、好適には直接還元テールガスから好ましくは水酸化物イオンの供給によりHSを除去するいかなる溶剤でもよい。このような水酸化物イオンは、直接還元テールガスのHSと反応して、硫化物イオンを形成でき、また硫化物イオンは、得られる豊富な溶剤中に溶解した状態となる。こうして、希薄な溶剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又はそれらの混合物を含む溶液、好ましくは水溶液のようなアルカリ性溶液であり得る。したがって、アルカリ性溶液は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又はそれらの混合物の水溶液を含有できる。希薄な溶剤については、水酸化ナトリウム又は苛性アルカリのアルカリ性緩衝溶液であると共に、pHが7を超えるもの、例えば7を超え14以下の範囲にあるものが望ましい。希薄な溶剤のpHは、好ましくは約7.5〜約12、最も好ましくは8〜10の範囲である。緩衝性化合物としては、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、及びそれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0036】
希薄な溶剤は、スイートテールガス及び豊富な溶剤を生成するような好適な吸収条件下で直接還元テールガスと接触させる。次いで豊富な溶剤は、バイオ反応手段に通される。バイオ反応手段は、バイオ反応帯を規定すると共に、豊富な溶剤に含まれる溶解硫化水素を生物的に元素状硫黄に酸化する手段を備える。バイオ反応帯は、酸素の存在下、該反応帯に含まれる硫黄バクテリアが豊富な溶剤中に含まれる硫化物を転化して、元素状硫黄及び水酸化物イオンを生成し、こうして豊富な溶剤を希薄な溶剤に再生するような好適な生物的酸化条件下で操作される。このような生物的酸化の結果、希薄な溶剤は、概略、硫黄粒子形態の元素状硫黄を含有できる。
【0037】
バイオ反応帯では、豊富な溶剤中に含まれる溶解硫化水素を元素状硫黄に転化するいかなる好適な硫黄バクテリアも使用できる。硫黄バクテリアの可能な菌種及び菌株はBeggiatoa、Thiothrix及びThiobacillusの属内に分類されたものから選択してよい。硫黄バクテリアの供給源は、重要ではなく、いかなる好適な硫黄バクテリアも豊富な溶剤中のHSを生物的に酸化するのに使用してよい。但し、使用される硫黄バクテリアは、HSを元素状硫黄に転化する前記所望の機能を果たすものである。硫黄バクテリアの好適な菌種の多くは、天然産であり、硫黄温泉やその周囲の環境のような、硫黄又は硫黄化合物が存在する産業及び天然の環境等の環境に見られる。本発明のバイオ反応器に使用される硫黄バクテリアの菌種から選択された好ましい属はThiobacillusである。
【0038】
バイオ反応工程で生成した硫黄を回収するため、硫黄を含有する希薄な溶剤の一部は硫黄回収手段に通される。この硫黄回収手段は、希薄な溶剤から硫黄を回収すると共に、第二硫黄生成物、即ち、バイオ反応硫黄生成物及び低硫黄の希薄な溶剤を生成するものである。希薄な溶剤から硫黄粒子を回収する一方法は、希薄な溶剤を硫黄沈降手段に通す工程を含む。硫黄沈降手段としては、硫黄沈降タンクのような沈降帯を規定する容器が挙げられる。沈降帯は、希薄な溶剤に対し該溶剤中の硫黄粒子を沈降させる滞留時間を与える。こうして硫黄沈降手段は、希薄な溶剤に含まれる硫黄粒子を分離して、硫黄粒子含有スラリーを形成する。次にスラリー中の硫黄粒子は、例えば遠心、デカンテーション等、いかなる好適な公知の方法によっても分離して、バイオ反応硫黄生成物と、希薄な溶剤よりも元素状硫黄の濃度が低い、バイオ反応手段に戻すことが可能な低硫黄の希薄な溶剤とを生成できる。
【0039】
本発明方法の重要な特徴は、生物的脱硫システムに装入されるガス状原料に含まれるSO量を最小限にするような方法で操作する点にある。生物的ガス脱硫システムの吸収器に導入されるガス状原料にとって、かなりの濃度のSOを含有することは、該原料と希薄な溶剤の苛性アルカリとの反応のため、一般に望ましくない。実際に、希薄な溶剤の苛性アルカリと接触させるガス状原料のSO濃度と苛性アルカリの消費量との間には直接関係がある。したがって、生物的脱硫工程の操作で苛性アルカリの消費量、したがってまた運転コストを低下させるため、Clausテールガス中のSO濃度は、該ガスの生物的脱硫システムによる処理前に低下させる必要がある。過剰なSO濃度により生じる他の問題は、溶剤のpHを低下させ、更には著しく低下させやすいことである。このうような溶剤pHの低下は、生物的脱硫システムのHS除去効率に対し負の方向に影響する可能性がある。
【0040】
したがって、本発明方法は、直接還元工程によりClausテールガスを処理して、ClausユニットのClausテールガス流中に見られる通常のSO濃度よりも低い或る濃度のSOを含有する直接還元テールガスを生成する工程を含む。こうして、本発明方法の直接還元テールガス中のSO濃度は、一般に1,000ppmv未満である。しかし、前述のように直接還元テールガス中のSO濃度については、最小限にすることが本発明方法の最も好ましい態様であり、したがって、約500ppmv未満、更には300ppmv未満であり得る。本発明方法の直接還元テールガスのSO濃度は、好ましくは100ppmv未満、最も好ましくは50ppmv未満である。SO濃度の実用的な下限は、約100ppb又は10ppbである。
【0041】
図1は、本発明法のClaus硫黄回収工程10を表す概略図である。このClaus硫黄回収工程は、熱又は燃焼工程12及び接触工程14を含む。酸ガス流及び酸素含有ガス流は、それぞれライン18、20経由で炉16に導入される。炉16は、酸ガス流中のHSを部分燃焼してSOを形成する。得られた燃焼がスは、炉16からライン22を通って熱交換器24に入り、ここで水との間接熱交換により冷却される。水はライン26経由で熱交換器24に供給され、水蒸気はライン28から熱交換器24を出る。
【0042】
熱交換器24からの冷却燃焼がス流は、ライン30経由でClaus硫黄回収工程10の接触工程14に入る。接触工程14は、更に冷却燃焼ガス流をライン30経由で第一硫黄凝縮器32に通す工程を含む。第一硫黄凝縮器32は、凝縮帯を規定すると共に、冷却燃焼ガス流から液体硫黄を凝縮、分離して、第一Claus反応器原料流を生成する手段を備える。第一Claus反応器原料流は、ライン36経由で第一Claus反応器34に装入される。分離された液体硫黄は、ライン37から第一硫黄凝縮器32を出る。ライン36は、第一硫黄凝縮器32及び第一Claus反応器34と流体流動可能に連絡し、その間には第一再加熱器38が挿入されている。第一再加熱器38は、熱交換帯を規定すると共に、第一Claus反応器原料流を、第一Claus反応器34に原料として装入する前に、該原料流を加熱する手段を備える。一般に水蒸気は好適な熱供給源であり、ライン40を通って第一再加熱器38に入る。
【0043】
第一Claus反応器34は、活性アルミナのようなClaus触媒の触媒床42を有する反応帯を規定する。第一Claus反応器34により規定された第一Claus反応帯は、第一Claus反応器原料流を、好適なClaus反応条件下で第一Claus反応帯に入れたClaus触媒と接触させるように操作される。第一Claus反応器流出流は、ライン44から第一Claus反応器34を出て、第二硫黄凝縮器46に入る。第二硫黄凝縮器46は、凝縮帯を規定すると共に、第一Claus反応器流出流から液体硫黄を凝縮、分離して、第二Claus反応器原料流を供給する手段を備える。第二Claus反応器原料流は、ライン50経由で第二Claus反応器48に装入される。分離された液体硫黄は、ライン51から第二硫黄凝縮器46を出る。ライン50には、第二再加熱器52が挿入され、第二再加熱器52は、熱交換帯を規定すると共に、第二Claus反応器原料流を、第二Claus反応器48に原料として装入する前に、該原料流を加熱する手段を備える。一般に水蒸気は好適な熱供給源であり、ライン54を通って第一再加熱器52に入る。
【0044】
第二Claus反応器48は、活性アルミナのようなClaus触媒の触媒床56を有する第二Claus反応帯を規定する。第二Claus反応器48により規定された第二Claus反応帯は、第二Claus反応器原料流を、好適なClaus反応条件下で第二Claus反応帯に含まれるClaus触媒と接触させるように操作される。第二Claus反応器流出流は、ライン58から第二Claus反応器48を出て、第三硫黄凝縮器60に入る。第三硫黄凝縮器60は、凝縮帯を規定すると共に、第二Claus反応器流出流から液体硫黄を凝縮、分離して、Clausテールガス流を供給する手段を備える。Clausテールガス流は、ライン62経由で、図1には図示していないが、図2には図示した直接還元硫黄回収工程に装入される。分離された液体硫黄は、ライン64から第三硫黄凝縮器60を出る。
【0045】
ここで注目すべきは、Claus接触工程14の説明は、直列に配列した2つの接触反応工程に関することである。しかし、Claus接触工程は平列で使用するかどうか、或いは正確な数のClaus段階を用いるかどうかは、酸ガス原料の組成及び他の経済的な考慮による。したがって、ここでのClaus法とは、熱工程及び次いでClaus反応工程を含む硫黄回収方法を意味できる。Claus反応工程では、Claus触媒を用いないか、或いはClaus触媒を用いると共に、Claus反応工程を1つ以上の反応段階で行って、前記式(2)のClaus反応により元素状硫黄が形成される。
【0046】
ライン37、51、64を通る液体硫黄は、本発明方法の第一硫黄生成物としてライン66経由でClaus硫黄回収工程10を出る。
図2は、本発明方法の直接還元工程70を示す概略図である。Clausテールガスは、ライン62経由でClaus硫黄回収工程10を出て、直接還元反応器72に装入される。ライン62には加熱器73が挿入され、該加熱器は、Clausテールガスを直接還元反応器72に導入する前に、該ガスに熱エネルギーQを伝達する加熱帯を規定する。直接還元反応器72は、前述のような直接還元触媒の触媒床74を有する直接還元反応帯を規定すると共に、Clausテールガスを直接還元触媒と接触させる手段を備える。直接還元反応帯は、Clausテールガスを好適な直接還元条件下で該反応帯内の直接還元触媒と接触させるように操作される。
【0047】
直接還元反応器72からは、硫黄を含有する直接還元ガスが生成し、このガスは、ライン76経由で反応器72を出て、硫黄凝縮器78に入る。硫黄凝縮器78は、硫黄回収帯を規定すると共に、直接還元ガスから硫黄を除去又は回収して、HSを含有する直接還元テールガスを生成する手段を備える。直接還元テールガスは、或る濃度のSOを含有するが、この濃度はClausテールガスのSO濃度よりも低い。回収された硫黄は、ライン80経由で硫黄回収ユニット78を出る。一方、直接還元テールガスは、ライン82経由で硫黄回収ユニット78を出て、従って直接還元工程70を出て、図3に示すような生物的硫黄回収工程100に入る。
【0048】
図3に本発明の生物的硫黄回収工程100を表す。生物的硫黄回収工程100は、吸収工程102、生物的酸化工程104及び硫黄分離工程106を含む。ライン62経由で直接還元還元工程70を出る直接還元テールガス流は、吸収工程102に通され、ここで直接還元テールがスは、好適な吸収条件下で希薄な溶剤と接触して、直接還元テールガスからHS及び更にあればSOも除去し、スイートテールガス及び豊富な溶剤を生成する。吸収を行うのは、吸収器108である。吸収器108は吸収帯を規定すると共に、直接還元テールガスからHS及びSOを除去して、スイートテールガス及び豊富な溶剤を生成する手段を備える。スイートテールガスは、ライン110を通って吸収器108を出る。
【0049】
希薄な溶剤は、ライン112により吸収器108に導入され、一方、直接還元テールガスは、ライン82により吸収器108に導入される。吸収器108内では、希薄な溶剤と直接還元テールガスとは、好ましくは向流流動方式で互いに接触する。豊富な溶剤は、ライン113経由で吸収器108から生物的酸化工程104に入り、ここで豊富な溶剤と酸素との接触が行われる。溶剤中の硫黄バクテリアは、豊富な溶剤中に溶解した硫化物を元素状硫黄に酸化する。生物的酸化を行うのは、バイオ反応器114である。バイオ反応器114は、生物的酸化又は反応帯を規定すると共に、豊富な溶剤中に溶解した硫化物を生物的酸化又は反応を行って、希薄な溶剤を生成する手段を備える。こうして、希薄な溶剤は硫黄を含有できる。バイオ反応器114は、豊富な溶剤を好適なバイオ反応条件下で硫黄バクテリア及び酸素と接触させて、生物的酸化を行う。豊富な溶剤と接触させるため、酸素又は空気がライン115経由でバイオ反応器114に導入される。
【0050】
希薄な溶剤は、バイオ反応器114を出て、ライン112経由で前述のように吸収器108に原料として装入される一方、バイオ反応器114からの希薄な溶剤の一部は、ライン118経由で硫黄分離工程106に入る。硫黄分離工程106は、希薄な溶剤から硫黄を除去して、バイオ反応硫黄生成物及び低硫黄の希薄な溶剤を生成する。この分離工程106は、希薄な溶剤の一部を硫黄沈降容器120に通す工程を含む。沈降容器120は、希薄な溶剤に滞留時間を与え、これにより硫黄粒子を内部に沈降させる沈降帯を規定する。沈降容器120から硫黄粒子含有スラリーが除去され、そこからライン122経由で例えば遠心機又はデカンターのような硫黄分離手段124に入る。硫黄分離手段124は、分離帯を規定すると共に、スラリーから硫黄を分離して、バイオ反応器硫黄生成物及び低硫黄の希薄な溶剤を生成する手段を備える。バイオ反応器硫黄生成物は、ライン126経由で硫黄分離手段124を出る。低硫黄の希薄な溶剤は、ライン128経由でバイオ反応器114に再循環される。
本発明を更に説明するため以下に実施例を示すが、本発明の範囲を限定すると解釈されない。
【実施例】
【0051】
本実施例は、通常の2段階Claus硫黄プラントに供給される通常の酸ガス原料の組成、Claus硫黄プラントの標準操作を表す基本型の場合、即ち、Claus反応器原料のHS対S0のモル比が2:1の場合のClausテールガス組成計算値、及び本発明方法のClaus硫黄プラントの操作法を表す本発明の場合の直接還元テールガス組成計算値を示す。
以下の第3表に、通常のClaus硫黄プラント用酸ガス原料流、テールガス中のHS対S0の通常のモル比2:1を得るため操作した場合のClaus硫黄プラントのテールガス組成の計算値、及びClausテールガスの直接還元処理による直接還元テールガス組成の計算値を示す。
【0052】
【表3】

【0053】
第3表に示す組成から判るように、直接還元工程を使用することにより、直接還元テールガス中のSO及び水素の濃度は、Clausテールガス中のこれらの濃度に比べて遥かに低い。直接還元テールガス中の水素濃度が低いのは、処理したClausテールガス中のSOの還元用の還元性ガスとして水素の消費が少ないからである。
【0054】
生物的硫黄回収ユニットの苛性アルカリ吸収器に装入される直接還元テールガス中のSO濃度は、Clausテールガス中のSO濃度よりも大幅に低下したので、生物的硫黄回収ユニットの操作での苛性アルカリの消費も大幅に減少する。こうして生物的硫黄回収ユニットで処理されるテールガス中のSO濃度の低下により、このユニットの操作費用も低減する。
本発明の範囲を逸脱しない限り、説明した開示及び添付した特許請求の範囲の範囲内で合理的な変化、変形及び改造は可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明硫黄回収方法のClausプロセスシステム及びClausプロセス工程の特定の態様を表す概略図である。
【図2】本発明硫黄回収方法の直接還元システム及びプロセス工程の特定の態様を表す概略図である。
【図3】本発明硫黄回収方法の生物的ガス脱硫システム及び生物的転化プロセス工程の特定の態様を表す概略図である。
【符号の説明】
【0056】
10 硫黄回収工程
12 熱又は燃焼工程
14 接触工程
16 炉
24 熱交換器
32 第一硫黄凝縮器
34 第一Claus反応器
38 第一再加熱器
42 触媒床
46 第二硫黄凝縮器
48 第二Claus反応器
52 第二再加熱器
60 第三硫黄凝縮器
70 直接還元工程
72 直接還元反応器
73 加熱器
74 触媒床
78 硫黄凝縮器又は硫黄回収ユニット
100 生物的硫黄回収工程
102 吸収工程
104 生物的酸化工程又はバイオ反応器
106 硫黄分離工程
120 硫黄沈降容器
124 硫黄分離手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
或る濃度のHS及び或る濃度のSOを含有するSO含有ガス流を直接還元処理して、直接還元テールガスを生成する工程、及び該直接還元テールガスを生物的に処理して、スイートガス及びバイオ反応器硫黄生成物を生成する工程を含む方法。
【請求項2】
前記SO含有ガス流が、Clausテールガスであり、前記直接還元工程が、Clausテールガスを、直接還元反応条件下で操作された直接還元反応帯に通して、HSを含有する前記直接還元テールガスを生成する工程を含み、前記生物的処理工程が、硫黄生成物及びスイートガスを生成するために操作された生物的ガス脱硫システムにより行われる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記直接還元工程が、SO含有ガス流を直接還元反応条件下で操作された直接還元反応帯中、直接還元触媒と接触させる工程、及び前記直接還元テールガスを生成する工程を含む請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記直接還元テールガスが、直接還元反応帯から、HS及び元素状硫黄を含む直接還元反応ガスを、生物的処理を受ける直接還元テールガスとして生成する工程により得られる請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記直接還元工程が、直接還元反応ガスから元素状硫黄の少なくとも一部を除去して、生物的処理を受ける、低濃度の元素状硫黄を含有する前記直接還元テールガスを供給する工程を更に含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記直接還元テールガスを生物的に処理する工程が、直接還元テールガスを、吸収条件下、アルカリ性溶液を含有する希薄な溶剤と接触させる工程、及び前記スイートテールガスと、硫化水素を含有する豊富な溶剤とを生成する工程を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記直接還元テールガスを生物的に処理する工程が、前記豊富な溶剤を生物的酸化条件下で硫黄バクテリアと接触させて、該豊富な溶剤の硫化水素を生物的に元素状硫黄に酸化する工程、及び前記バイオ反応器生成物と前記希薄な溶剤とを生成する工程を更に含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記硫黄バクテリアがthiobaxilli属の微生物を含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記直接還元反応帯が直接還元触媒を含有し、前記Clausテールガスが該直接還元触媒と接触し、かつ該直接還元反応帯から、前記生物的ガス脱硫システムに通される直接還元テールガスとして、HS及び元素状硫黄を含有する直接還元反応ガスが生成する請求項1〜12のいずれか1項に記載の硫黄回収方法。
【請求項10】
前記直接還元反応帯から元素状硫黄の少なくとも一部を除去して、生物的ガス脱硫システムに通される、低濃度の元素状硫黄を含有する前記直接還元反応テールを供給する工程を更に含む請求項1〜9のいずれか1項に記載の硫黄回収方法。
【請求項11】
前記Clausテールガス中のHSの濃度が、Clausテールガスに対し0.5〜3容量%の範囲であり、該Clausテールガス中のSOの濃度が、Clausテールガスに対し0.05〜1容量%の範囲である請求項1〜10のいずれか1項に記載の硫黄回収方法。
【請求項12】
前記直接還元テールガス中のSOの濃度が、前記Clausテールガス中のSOの濃度よりも低い請求項1〜11のいずれか1項に記載の硫黄回収方法。
【請求項13】
前記直接還元テールガス中のSOの濃度が1000ppmv未満である請求項1〜12のいずれか1項に記載の硫黄回収方法。
【請求項14】
前記スイートガス中のHSの濃度が100ppmv未満である請求項1〜13のいずれか1項に記載の硫黄回収方法。
【請求項15】
前記生物的ガス脱硫システムが、前記直接還元テールガスを希薄な溶剤と接触させて、前記スイートガス及び豊富な溶剤を生成する吸収手段と、前記豊富な溶剤に含まれる溶解硫化水素を生物的に酸化すると共に、硫黄を含有する前記希薄な溶剤を生成するバイオ反応手段と、前記希薄な溶剤の一部から硫黄を回収すると共に、前記第二硫黄生成物及び低硫黄の希薄な溶剤を生成する硫黄回収手段とを備える請求項2に記載の硫黄回収方法。
【請求項16】
前記低硫黄の希薄な溶剤を前記バイオ反応手段に戻す工程を更に含む請求項15に記載の硫黄回収方法。
【請求項17】
硫化水素を含有する酸ガス流を原料として、第一硫黄生成物と、硫化水素及び二酸化硫黄を含むClausテールガスとを生成するように操作された硫黄回収システムに装入する工程、該Clausテールガスを直接還元反応条件下で操作された直接還元反応帯に通して、硫黄を含有する直接還元反応がスを生成する工程、該直接還元反応がスから硫黄を回収して、或る濃度の硫化水素を含有する直接還元テールガスを生成する工程、及び該直接還元テールガスを第二硫黄生成物と、100ppmv未満の硫化水素を含むスイートガスとを生成するように操作された生物的ガス脱硫システムに装入する工程を含む硫黄回収方法。
【請求項18】
前記生物的ガス脱硫システムが、前記直接還元ガスを希薄な溶剤と接触させて、前記スイートガス及び豊富な溶剤を生成する吸収手段と、前記豊富な溶剤に含まれる溶解硫化水素を生物的に酸化すると共に、硫黄を含有する前記希薄な溶剤を生成するバイオ反応手段と、前記希薄な溶剤の一部から硫黄を回収すると共に、前記第二硫黄生成物及び低硫黄の希薄な溶剤を生成する硫黄回収手段とを備える請求項21に記載の硫黄回収方法。
【請求項19】
前記低硫黄の希薄な溶剤を前記バイオ反応手段に戻す工程を更に含む請求項22に記載の硫黄回収方法。
【請求項20】
Claus硫黄回収システム、直接還元処理システム及び生物的がス脱硫システムを備え、該Claus硫黄回収システムは直接還元処理システムと操作可能に接続し、該直接還元処理システムは生物的がス脱硫システムと操作可能に接続している装置。
【請求項21】
酸ガスを処理して、或る濃度のHS及び或る濃度のSOを含有するClausテールガスを生成するClaus硫黄回収手段;該Clausテールガスを受入れるため該Claus硫黄回収手段と操作可能に接続した直接還元手段であって、Clausテールガスを処理して、該Clausテールガス中のSO濃度よりも低い濃度のSOを含有する直接還元テールガスを生成する該直接還元手段;及び該直接還元テールガスを受入れるため該直接還元手段と操作可能に接続した生物的ガス脱硫手段であって、直接還元テールガスを処理して、該直接還元テールガス中のHS濃度よりも低い濃度のHSを含有するスイートガスを生成する該直接還元手段;を備えた装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−526205(P2007−526205A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−501919(P2007−501919)
【出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【国際出願番号】PCT/US2005/006687
【国際公開番号】WO2005/092788
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(390023685)シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイ (411)
【氏名又は名称原語表記】SHELL INTERNATIONALE RESEARCH MAATSCHAPPIJ BESLOTEN VENNOOTSHAP
【Fターム(参考)】